(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、光源から表示面へ光を導く反射層と他の構成要素とを一体的に射出成形する場合、次のような問題がある。一方の部材を先に形成し、次に、先に形成した部材を型に入れて、先に形成した部材と一体になるように他方の部材を射出成形すると、先に形成した部材が熱や圧力によって変形する。光源から表示面へ光を導く部材が変形すると、光源から表示面まで到達する光が少なくなり、視認性が悪くなるという不利益がある。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高精度に形成された部材により低損失で導光できる入力装置、及び、そのような入力装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、光源と表示領域を含む表示面とを備えて外部からの操作に基づいて入力を行う入力装置であって、第1の部材と、第1の部材よりも反射率の大きな材料で形成された第2の部材と、を備え、第2の部材が、光源からの光の少なくとも一部を反射して表示領域に導く導光面と、第1の部材に接する対置面と、を含み、第1の部材が、対置面から導光面まで貫通するように配設された突設部を含む入力装置である。
【0007】
この構成によれば、突設部が設けられているので、射出成形時の変形を抑制できる。その結果、高精度に形成された部材により低損失で導光できる。
【0008】
本発明の入力装置は、第1の部材が、第1の端面と、第1の端面から光源に向けて延在する枠部と、をさらに含み、第1の端面が、表示面内において不連続部分以外で表示領域を囲う近接区域と、不連続部分において表示面から光源側に離れて延在する離間区域と、を有し、第2の部材が、表示面内において第1の端面よりも内側で表示領域を囲う第2の端面と、第2の端面から光源に向けて延在して導光面をもつ導光部と、離間区域と表示面との間において導光部に接続された接続部と、をさらに含み、表示面内において、導光部のすべての位置から所定の方向に沿って接続部に到達する線分が、いずれも第1の部材と交差しない。
【0009】
この構成によれば、表示面内において、材料が、第1の部材に当たらずに所定の方向に進行するので、射出成形時に第1の部材が変形することを抑制できる。その結果、高精度に形成された部材により低損失で導光できる。
【0010】
好適には本発明の入力装置は、表示領域が、表示面内において略長方形の外縁を画定する4つの辺をもち、離間区域が、表示領域の4つの辺のうちの少なくとも1つに沿って配設される。
【0011】
この構成によれば、表示面内において、材料が、第1の部材に当たらずに所定の方向に進行するので、射出成形時に第1の部材が変形することを抑制できる。特に、離間区域を長方形の1辺に沿って配設することにより、簡易な構造で変形を抑制できる。その結果、高精度に形成された部材により低損失で導光できる。
【0012】
好適には本発明の入力装置は、導光面が、筒状の導光路を画定する複数の面を含み、複数の面のそれぞれに、突設部が設けられている。
【0013】
この構成によれば、複数の面に突設部を設けることにより、より広い範囲で変形を抑制でき、高精度に形成された部材により低損失で導光できる。
【0014】
好適には本発明の入力装置は、第1の部材と第2の部材とが一体的に成形される。
【0015】
この構成によれば、高精度に形成された部材により低損失で導光できる。
【0016】
好適には本発明の入力装置は、表示領域が第2の部材によって成形される。
【0017】
この構成によれば、高精度に形成された部材により低損失で導光できる。さらに、同一材料の利用により、製造が容易となる。
【0018】
好適には本発明の入力装置は、静電容量の変化に基づいて入力が行われる。
【0019】
この構成によれば、静電容量方式の入力装置において、高精度に形成された部材により低損失で導光できる。
【0020】
本発明は、光源と表示領域を含む表示面とを備えて外部からの操作に基づいて入力を行う入力装置であって、保持面と保持面から突設された突設部とを含み、第1の材料から形成された第1の部材と、光源の光の少なくとも一部を反射して表示領域に導く導光面を有する導光部を含み、第1の材料より反射率の大きな第2の材料から射出成型により形成された第2の部材と、を備え、導光部が、型の成形面に突設部を接触させたときの成形面と保持面との間の導光部用隙間に形成され、導光面が、成形面により形成される入力装置である。
【0021】
この構成によれば、突設部が設けられているので、射出成形時の変形を抑制できる。その結果、高精度に形成された部材により低損失で導光できる。
【0022】
好適には本発明の入力装置は、第1の部材が、第1の端面と、第1の端面から光源に向けて延在する枠部と、をさらに含み、第1の端面が、表示面内において不連続部分以外で表示領域を囲う近接区域と、不連続部分において表示面から光源側に離れて延在する離間区域と、を有し、第2の部材が、表示面を形成するための型の他の成形面に近接区域を接触させたとときの離間区域と他の成形面との間の接続部用隙間から、導光部用隙間に第2の材料を流し込むことにより形成され、第2の部材が、離間区域と表示面との間に配設されて導光部に接続された接続部をさらに含み、表示面内において、導光部用隙間のすべての位置から所定の方向に沿って接続部に到達する線分が、いずれも第1の部材と交差しない。
【0023】
この構成によれば、表示面内において、材料が、第1の部材に当たらずに所定の方向に進行するので、射出成形時に第1の部材が変形することを抑制できる。その結果、高精度に形成された部材により低損失で導光できる。
【0024】
本発明は、光源と表示領域を含む表示面とを備えて外部からの操作に基づいて入力を行う入力装置の製造方法であって、保持面と保持面から突設された突設部とを含む第1の部材を、第1の材料から形成する第1の工程と、型の成形面に突設部を接触させて、成形面と保持面との間に導光部用隙間を形成する第2の工程と、第1の材料より反射率の大きな第2の材料から射出成型により導光部を含む第2の部材を形成する第3の工程であって、導光部が導光部用隙間に形成され、導光部が光源の光の少なくとも一部を反射して表示領域に導く導光面を有し、導光面が成形面により形成される、第3の工程と、を含む、入力装置の製造方法である。
【0025】
この構成によれば、突設部が設けられているので、射出成形時の変形を抑制できる。その結果、高精度に形成された部材により低損失で導光できる。
【0026】
本発明の入力装置の製造方法は、第1の工程において形成される第1の部材が、第1の端面と、第1の端面から第1の所定の方向に延在する枠部と、をさらに含み、第1の端面が、表示面内において不連続部分以外で表示領域を囲う近接区域と、不連続部分において表示面から第1の所定の方向に離れて延在する離間区域と、を有し、第2の工程が、表示面を形成するための型の他の成形面に近接区域が接するように、型の他の成形面と第1の部材とを位置決めすることと、離間区域と他の成形面との間に接続部用隙間を形成することとを含み、他の成形面内において、導光部用隙間のすべての位置から第2の所定の方向に沿って接続部用隙間に到達する線分が、いずれも第1の部材と交差せず、第3の工程が、接続部用隙間から、導光部用隙間に第2の材料を流すことを含む。
【0027】
この構成によれば、表示面内において、材料が、第1の部材に当たらずに所定の方向に進行するので、射出成形時に第1の部材が変形することを抑制できる。その結果、高精度に形成された部材により低損失で導光できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の入力装置によれば、高精度に形成された部材により低損失で導光でき、本発明の入力装置の製造方法によれば、高精度に形成された部材により低損失で導光できる入力装置を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態に係る入力装置について説明する。
図1は、本実施形態の入力装置100の斜視図である。入力装置100は、例えば、図示しない車両のダッシュボードに取り付けられる。
【0031】
入力装置100は、運転手などの人間によって操作を受けて、操作に応じた入力を車両の制御装置に伝達する。入力装置100は、近接と接触とを含む人間の指の動作を静電容量の変化として検出して、静電容量の変化に基づいた入力を電気信号として制御装置に伝達する。入力装置100は、静電容量方式の入力のための構成要素を適宜備えるが、説明は省略する。入力装置100の全体が動いて機械スイッチを押すことによって入力が行われてもよく、他の方式で入力が行われてもよい。
【0032】
(入力装置の構造)
本明細書において、上下方向は、説明の便宜上規定するものであって、実際の使用の方向を限定するものではない。本明細書で説明に用いられる用語は、各構成要素の概略の形状を説明するために使用されており、説明に使用される用語は、「略」という言葉があるかないかにかかわらず、各構成要素が厳密にその形状のみに限定されるわけではない。
【0033】
図2は、
図1の2−2線における断面を矢印の方向に見た断面図である。
図3は、
図1の3−3線における断面を矢印の方向に見た断面図である。
図2は、
図4の4−4線における断面を矢印の方向に見た断面図である。
図2、
図3及び
図4は、断面のみを示し、奥の構造は省略されている。
図5は、入力装置100の内部構造を下斜め方向から見た部分斜視図であり、見やすくするため、後述する
図2に示す回路基板400が除去されている。
【0034】
入力装置100は、
図1に示す第1の部材200及び第2の部材300と、
図2に示す回路基板400、及び、
図5に示す6つのばね500と、
図1及び
図5に示す4つのクッション材600とを備える。第1の部材200は、遮光性の樹脂で形成されている。第2の部材300は、半透明の樹脂で形成されている。第2の部材300の反射率は、第1の部材200の反射率よりも大きい。
【0035】
(回路基板)
回路基板400は、
図2、
図3及び
図4に示す5つの光源410を含む。本実施形態の光源は、発光ダイオード(LED;light emitting diode)であるが、これに限定されず、電球など、光を放出する他の部材であってもよい。回路基板400は、図示しない車両の制御装置と通信して、光源410の発光を制御する回路を搭載している。回路基板400は、静電容量方式で操作を検知するための回路を搭載している。
【0036】
(第2の部材)
図1に示すように、第2の部材300は、入力装置100の筐体として機能するとともに、人間の指による操作を受ける部材でもある。
【0037】
図5に示すように、第2の部材300の外形は、略直方体である。第2の部材300は、上下方向に略直交する平面に、概ね沿った上板310と、上板310の長方形状の外縁から筒状に下方に延在する板状の壁部320とを含む。第2の部材300によって画定される略直方体の内部空間330は、下方に開放されている。
【0038】
図6Aは、第1の部材200及び第2の部材300の上面図である。
図6Bは、第1の部材200及び第2の部材300の底面図である。
図6Aに示すように、上板310の上面と第1の部材200の上端面の一部とによって形成された、上方を臨む外面を表示面110と呼ぶ。
図1に示すように表示面110には、凹凸が設けられている。表示面110は、光源410で照らされない部分も含む。
【0039】
図6Aに示すように、表示面110は、第1の表示領域111a〜第5の表示領域111e(以下、区別せずに表示領域111と呼ぶ場合がある)を含む。表示領域111は、第2の部材300で形成される。表示領域111は、上から下に見たとき略長方形であり、長方形の外縁を画定する4辺をもつ。いずれの表示領域111も、大部分が、上下方向に直交する平面に平行であるが、第3の表示領域111c以外は、若干の凹凸を含む。第1の表示領域111aと第2の表示領域111bとは、長方形の1辺を隣接させるように配設されている。第4の表示領域111dと第5の表示領域111eとは、長方形の1辺を隣接させるように配設されている。
【0040】
図2、
図3及び
図4の光源410が、
図6Aの表示領域111を照らす。表示領域111は、無地でもよく、文字や図形などが描かれていてもよい。例えば、表示領域111に遮光性の材料で文字が描かれている例では、光源410の光を受けたときに、文字の周りが明るく照らされることによって、文字が認識しやすくなる。
【0041】
図5に示すように、第2の部材300は、内部空間330内で上板310から下方に延在する第1の導光部340a〜第5の導光部340e(以下、区別せずに導光部340と呼ぶ場合がある)を備える。
【0042】
図6Bに示すように、第1の導光部340aは、第1の表示領域111aの外縁から下方に延在している。第2の導光部340bは、第2の表示領域111bの長方形の外縁から下方に延在している。第3の導光部340cは、第3の表示領域111cの長方形の外縁から下方に延在している。第4の導光部340dは、第4の表示領域111dの長方形の外縁から下方に延在している。第5の導光部340eは、第5の表示領域111eの長方形の外縁から下方に延在している。
【0043】
いずれの導光部340も、上下方向に直交する平面に沿った断面は、上下方向に沿ったいずれの位置でも略同一である。
図6Bに示すように、第3の導光部340cにおける、上下方向に直交する平面に沿った断面は、長方形である。第3の導光部340cは、上下方向に沿った均一な厚さの4枚の板状部341を備える。板状部341は、表示領域111の下方の導光路を筒状に囲うように配設されている。
【0044】
第1の導光部340a、第2の導光部340b、第4の導光部340d及び第5の導光部340eにおける、上下方向に直交する平面に沿った断面は、長方形の一辺が欠けた形状になっている。第1の導光部340a、第2の導光部340b、第4の導光部340d及び第5の導光部340eは、上下方向に沿った均一な厚さの3枚の板状部341を備える。板状部341は、表示領域111の下方を部分的に囲うように配設されている。第1の導光部340a及び第2の導光部340bは、互いに対面する部分に板状部341が存在しない。第4の導光部340d及び第5の導光部340eは、互いに対面する部分に板状部341が存在しない。
【0045】
図2、
図3及び
図4に示すように、各板状部341には、表示領域111の下方の導光路を臨む導光面342と、導光面342とは反対側を臨む対置面343とを備える。導光面342は、上下方向に沿って延在する平面である。対置面343は、導光面342に平行である。板状部341は、対置面343から導光面342まで貫通した孔344を備える。導光面342側の孔344の開口面積は、導光面342の面積に比べると小さい。孔344は、複数あってもよく、図示される位置とは異なる位置にあってもよい。孔344の断面形状は、丸であってもよく、他の形状であってもよい。孔344は、上下方向に長く延在していてもよく、他の方向に長く延在していてもよい。
【0046】
図2に示すように第1の導光部340aは、第1の導光部340aの上端面345付近で、上板310に一体的に接続されている。第1の導光部340aの上端面345は、第1の表示領域111aを長方形の3辺に沿って囲う。第2の導光部340bは、第2の導光部340bの上端面345付近で、上板310に一体的に接続されている。第2の導光部340bの上端面345は、第2の表示領域111bを長方形の3辺に沿って囲う。
【0047】
図3に示すように第3の導光部340cは、第3の導光部340cの上端面345付近で、上板310に一体的に接続されている。第3の導光部340cの上端面345は、第3の表示領域111cを長方形の4辺に沿って囲う。
【0048】
図4に示すように第4の導光部340dは、第4の導光部340dの上端面345付近で、上板310に一体的に接続されている。第4の導光部340dの上端面345は、第4の表示領域111dを長方形の3辺に沿って囲う。第5の導光部340eは、第5の導光部340eの上端面345付近で、上板310に一体的に接続されている。第5の導光部340eの上端面345は、第5の表示領域111eを長方形の3辺に沿って囲う。
【0049】
(第1の部材)
図7は、第1の部材200とばね500とを示す斜視図である。
図8は、第1の部材200の上面図である。
図7に示すように、第1の部材200は、第1の群210aと第2の群210bと第3の群210cとを備える。第1の群210aは、第1の枠部220aと2つのばね収容部230とを含む。第2の群210bは、第2の枠部220bと2つのばね収容部230とを含む。第3の群210cは、第3の枠部220cと2つのばね収容部230とを含む。
【0050】
第1の枠部220aと第2の枠部220bと第3の枠部220c(以下、区別せずに枠部220と呼ぶ場合がある)とは、それぞれ、上下方向に延在する複数の板状部材を連結したような形状をもつ。第1の枠部220aは、第1の枠部220aを上下方向に貫通した第1の導光空間221aと第2の導光空間221bとを画定する。第2の枠部220bは、第2の枠部220bを上下方向に貫通した第3の導光空間221cを画定する。第3の枠部220cは、第3の枠部220cを上下方向に貫通した第4の導光空間221dと第5の導光空間221eとを画定する。
【0051】
図8に示すように上から下を見たとき、第1の導光空間221a〜第5の導光空間221e(以下、区別せずに導光空間221と呼ぶ場合がある)は、いずれも、略長方形に見える。
図7に示すように、各導光空間221は、上下方向に延在した複数の平面状の保持面222によって画定されている。第1の部材200の下端面は、全体として、上下方向に直交する1つの平面内に延在している。
【0052】
保持面222から、上下方向に直交する方向に、
図8に示す棒状の突設部226が突設されている。第1の導光空間221aを画定する4つの保持面222のうち、第2の導光空間221bに隣接していない3つの保持面222に突設部226が設けられている。第2の導光空間221bを画定する4つの保持面222のうち、第1の導光空間221aに隣接していない3つの保持面222に突設部226が設けられている。第3の導光空間221cを画定する4つの保持面222に突設部226が設けられている。第4の導光空間221dを画定する4つの保持面222のうち、第5の導光空間221eに隣接していない3つの保持面222に突設部226が設けられている。第5の導光空間221eを画定する4つの保持面222のうち、第4の導光空間221dに隣接していない3つの保持面222に突設部226が設けられている。
【0053】
第1の枠部220aは、上端に位置する第1の上端面223aを含む。第1の上端面223aは、第1の近接区域224aと第1の離間区域225aと第2の離間区域225bとを含む。第1の近接区域224aは、上から下に見たとき、H字状に延在する。第1の離間区域225aは、第1の近接区域224aのH字の一方の開口部分をふさぐように、直線状に延在する。上から下に見たとき、第1の近接区域224aの一部と第1の離間区域225aとにより、第1の導光空間221aが長方形状に囲われる。第2の離間区域225bは、第1の近接区域224aのH字の他方の開口部分をふさぐように、直線状に延在する。上から下に見たとき、第1の近接区域224aの一部と第2の離間区域225bとにより、第2の導光空間221bが長方形状に囲われる。
【0054】
第2の枠部220bは、上端に位置する第2の上端面223bを含む。第2の上端面223bは、第2の近接区域224bと第3の離間区域225cとを含む。第2の近接区域224bは、上から下に見たとき、長方形の3辺に沿って延在する。第3の離間区域225cは、第2の近接区域224bによって一部形成される長方形の残りの1辺に沿って延在する。上から下に見たとき、第2の近接区域224bの一部と第3の離間区域225cとにより、第3の導光空間221cが長方形状に囲われる。
【0055】
第3の枠部220cは、上端に位置する第3の上端面223cを含む。第3の上端面223cは、第3の近接区域224cと第4の離間区域225dと第5の離間区域225eとを含む。第3の近接区域224cは、上から下に見たとき、歪んだH字状に延在する。第4の離間区域225dは、第3の近接区域224cのH字の一方の開口部分をふさぐように、直線状に延在する。上から下に見たとき、第3の近接区域224cの一部と第4の離間区域225dとにより、第4の導光空間221dが長方形状に囲われる。第5の離間区域225eは、第3の近接区域224cのH字の他方の開口部分をふさぐように、直線状に延在する。上から下に見たとき、第3の近接区域224cの一部と第5の離間区域225eとにより、第2の導光空間221bが長方形状に囲われる。
【0056】
ばね収容部230は、円柱状に上下方向に延在しており、枠部220よりも上下方向の長さが短い。各ばね収容部230内には、上下方向に弾性力を与えるばね500が1つ収容されている。ばね500は、第1の部材200を射出成形する際に、組み込まれている。1つの枠部220に対して2つのばね収容部230が接続されている。
【0057】
第1の部材200は、第2の部材300よりも遮光性の高い樹脂で形成されている。導光空間221を通る光は、枠部220を透過しないか、透過してもごくわずかである。第1の部材200およびばね500は、導電性の部材で形成されていてもよい。第1の部材200内に、静電容量方式で操作を検出するための配線が組み込まれていてもよい。
【0058】
(第1の部材と第2の部材との関係)
図2に示すように、第1の部材200と第2の部材300とは、射出成形によって一体的に形成される。
【0059】
図2に示すように、第1の導光空間221a内に第1の導光部340aが配設される。第2の導光空間221b内に第2の導光部340bが配設される。
図3に示すように、第3の導光空間221c内に第3の導光部340cが配設される。
図4に示すように、第4の導光空間221d内に第4の導光部340dが配設される。第5の導光空間221e内に第5の導光部340eが配設される。
【0060】
図2、
図3及び
図4に示すように、長方形状の1つの対置面343に、略同形状の長方形状の1つの保持面222が密着している。1つの突設部226が、1つの孔344を完全に埋めるように配設される。突設部226は、対置面343から導光面342まで第2の部材300を貫通するように配設される。導光面342と突設部226の先端とは面一であり、1つの平面を形成する。
【0061】
図6Aに示すように、第1の近接区域224a、第2の近接区域224b及び第3の近接区域224c(以下、区別せずに近接区域224と呼ぶ場合がある)は、上板310の上面と共に、表示面110を構成する。
図2、
図3及び
図4に示すように、近接区域224の下方の一部は、上板310に密着しており、上下方向に直交する方向において上板310に囲まれている。
【0062】
図2、
図3及び
図4に示すように、第1の離間区域225a、第2の離間区域225b、第3の離間区域225c、第4の離間区域225d、第5の離間区域225e(以下、区別せずに離間区域225と呼ぶ場合がある)は、表示面110から下方に離間して延在している。離間区域225は、上板310の下面に密着している。離間区域225と表示面110との距離は、離間区域225と上板310とが密着する位置における上板310の厚さに相当し、略一定である。
【0063】
図6Aに示す第1の近接区域224aは、表示面110内において、一部の不連続部分以外で第1の表示領域111aを囲っている。
図7に示す第1の離間区域225aは、表示面110から離間した位置でその不連続部分を補間するように延在している。
図6Aに示す第1の近接区域224aは、さらに、表示面110内において、一部の不連続部分以外で第2の表示領域111bを囲っている。
図7に示す第2の離間区域225bは、表示面110から離間した位置でその不連続部分を補間するように延在している。
【0064】
図6Aに示す第2の近接区域224bは、表示面110内において、一部の不連続部分以外で第3の表示領域111cを囲っている。
図7に示す第3の離間区域225cは、表示面110から離間した位置でその不連続部分を補間するように延在している。
【0065】
図6Aに示す第3の近接区域224cは、表示面110内において、一部の不連続部分以外で第4の表示領域111dを囲っている。
図7に示す第4の離間区域225dは、表示面110から離間した位置でその不連続部分を補間するように延在している。
図6Aに示す第5の近接区域224eは、さらに、表示面110内において、一部の不連続部分以外で第5の表示領域111eを囲っている。
図7に示す第5の離間区域225eは、表示面110から離間した位置でその不連続部分を補間するように延在している。
【0066】
(回路基板との関係)
図2、
図3及び
図4に示すように、各導光空間221の下端付近に光源410が、上に光を放射するように配設されている。
【0067】
図7に示すばね500は、射出成形時に、上端が第1の部材200と共に第2の部材300の上板310に固定される。ばね500の下端は、
図2に示す回路基板400に接触する。ばね500を介して第1の部材200及び第2の部材300と回路基板400とが弾性的に固定されるので、形状に個体差があっても位置決めを大まかに行うことができる。第1の部材200及びばね500が導電性である場合、ばね500が第1の部材200と回路基板400との間を電気的に接続する。指などの操作に基づく静電容量の変化の検出部として、第1の部材200が使用されてもよい。
【0068】
(クッション材)
図2に示すように、第1の導光空間221aを画定する第1の枠部220a及び第1の導光部340aと回路基板400とに上下方向から挟まれるように、矩形のクッション材600が配設されている。
図4に示すように、第4の導光空間221dを画定する第3の枠部220c及び第4の導光部340dと回路基板400とに上下方向から挟まれるように、矩形のクッション材600が配設されている。
【0069】
図1に示すように、表示面110には、第1の表示領域111aを矩形に囲む位置にクッション材600が固定されており、第4の表示領域111dを矩形に囲む位置に別のクッション材600が固定されている。クッション材600は、入力装置100と他の部材とを結合したときに、入力装置100と他の部材との間に狭持される。クッション材600は、導電性であってもよい。
【0070】
(動作)
光源410から導光空間221に放射される光は、導光空間221内の導光面342及び保持面222で反射されて表示領域111に到達し、表示領域111を明るく照らす。第2の部材300の反射率は、第1の部材200の反射率よりも大きいので、大部分の光は導光面342で反射されるが、一部は保持面222でも反射される。第1の部材200は遮光性の樹脂で形成されているので、光は、実質的に第1の部材200を透過しない。
【0071】
(製造方法)
次に、
図9のフロー700を参照して、入力装置100の製造方法を説明する。まず、工程710において、
図7に示す第1の部材200を形成する。具体的には、遮光性の樹脂を材料として使用して、射出成形によって第1の部材200を形成する。第1の部材200は、
図1に示す第2の部材300よりも遮光性が高い。第1の部材200は、第2の部材300よりも反射率が低い。第1の部材200を形成するとき、第1の型にばね500を固定して、
図7に示すばね500を一体的に形成する。
【0072】
次に、
図9の工程720において、
図10に示すように、第2の部材300を形成するための第2の型800と、ばね500及び第1の部材200とを位置決めする。
図10は、
図2と同じ断面で見たときの、第2の型800と第1の部材200との位置関係を示す。第2の型800と第1の部材200との間には、第2の部材300の材料となる樹脂を流し込む空間がある。
【0073】
第2の型800は、導光面342を形成するための第1の成形面810を有する。突設部226は、第1の成形面810に接触している。突設部226と第1の成形面810との間に、導光部340を形成するための導光部用隙間820が形成される。枠部220の、突設部226が形成されていない側の面は型に密着して固定されている。
【0074】
第2の型800は、表示面110を形成するための第2の成形面830を有する。近接区域224は、第2の成形面830に接触している。離間区域225は、第2の成形面830から離間している。離間区域225と第2の成形面830との間に、
図11に示す接続部350を形成するための接続部用隙間850が形成される。第2の部材300が備える
図11の接続部350は、離間区域225と表示面110との間に存在して、導光部340と第2の部材300の残りの部分とを接続する。
【0075】
次に、
図9の工程730において、第2の部材300を射出成形する。
図10に示す第2の型800の中の、第1の部材200で埋められていない空間に、第2の部材300の材料である樹脂を流し込む。樹脂は、第2の部材300の外部構造に相当する型部分から、接続部用隙間850を矢印840の方向に通って、導光部用隙間820に流れ込む。
【0076】
突設部226は射出成形時に第1の成形面810に接触して枠部220を支持するので、矢印840の方向に樹脂が流れるときに、枠部220が押されて変形又は位置ずれすることを抑制できる。突設部226が設けられているので、射出成形時の熱で保持面222を含む枠部220が変形することを抑制できる。導光空間221を画定する保持面222の変形が抑制されるので、保持面222における光の損失を低減できる。導光面342を含む導光部340が高精度で形成されるので、低損失で導光することが可能となる。突設部226は、本実施形態で示した位置とは異なる位置に配設されていてもよく、本実施形態で示した形状とは異なる形状であってもよい。
【0077】
図11は、第1の群210a付近の、第1の部材200及び第2の部材300の部分平面図である。第1の表示領域111aについて説明するが、他の表示領域111についても同様である。離間区域225の延在する方向を所定の方向とする。
【0078】
第1の表示領域111aの下方に延在する第1の導光部340aの、所定の方向における最大幅は、第1の離間区域225aの所定の方向における最小幅と同じdである。表示面110内において、導光部340のすべての位置から、所定の方向に直交する矢印840の方向に沿って接続部350に到達する線分が、いずれも第1の部材200と交差しない。従って、射出成形時に、矢印840の方向に樹脂が進行するとき、樹脂が、矢印840の方向の移動においては、第1の部材200に当たらない。
【0079】
本実施形態の入力装置100では、突設部226が設けられているので、射出成形時の熱で保持面222を含む枠部220が変形することを抑制できる。導光空間221を画定する保持面222の変形が抑制されるので、保持面222における光の損失を低減できる。導光面342を含む導光部340が高精度で形成されるので、低損失で導光することが可能となる。
【0080】
本実施形態の入力装置100では、射出成形時に、表示面110内において、樹脂が、第1の部材200に当たらずに矢印840の方向に進行するので、射出成形時に枠部220が変形することを抑制できる。その結果として、導光面342を含む導光部340が高精度に形成されるので、低損失で導光することが可能となる。
【0081】
本発明は上述した実施形態には限定されない。すなわち、当業者は、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し、様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。