【実施例1】
【0009】
次に、本発明の実施形態について説明する。従来のカード回収装置では、回収したカードの収容がスロットによって行われていたために、回収できるカードの数はスロットによって制限を受けていたが、下記実施形態に係るカード回収装置は、回収したカードを順に重ねて収容するだけなので、スロットに制限されずに、多くのカードを回収することができる。
【0010】
図1Aは、カード取扱システムの一実施形態の平面図であり、
図1Bは、その左側面図である。カード取扱システムは、カード取扱装置100と、カード回収装置120とを備える。カード取扱装置100は、例えば、ATM、又は、CDである。カード取扱装置100の背面に隣接してカード回収装置120が配置されている。
【0011】
カード取扱装置100は、従来の装置と同様に構成されていてよい。そこで、カード取扱装置100の構成を概説する。符号2はカード取扱装置の本体である。カード取扱装置本体2の前面には、カード挿入口2aが配置されている。符号2a−1は、カードの検出手段としての、例えば、光センサである。
【0012】
本体2内には、カードを水平に搬送するための複数の搬送装置130,132,134(カード搬送機構)が設けられている。各搬送装置は、上下一対のローラ140,142を備え、二つのローラ間にカード1を挟持して、カードを水平方向に搬送する。本体2の背面側の搬送装置の134よりカード挿入口2a寄りには、カード情報を読み取るための磁気ヘッド2bと、IC接点2cとが搬送されるカードに臨むように配置されている。
【0013】
符号150は、カード1を磁気ヘッド2bに対して支持する支持ローラである。本体2のカード搬送路160の終端は、カード回収用開口170に臨むようになっているため、本体2の背面側の搬送装置134は、カード回収用開口170からカードをカード回収装置120に搬出可能である。
【0014】
カード回収装置120は、外側ケーシング3の中にカード回収箱9(カード回収機構)を備えるように構成されている。外側ケーシング3とカード回収箱9には、カード回収用開口170に臨むように、カード通過用開口200,210が形成されている。
【0015】
カード回収箱9には、夫々、カード回収箱9の高さ方向に昇降自在の上側昇降板12、及び、下側昇降板13が配置されている。カード回収箱9には、上側昇降板12、及び、下側昇降板13の昇降を可能にするとともに、上側昇降板12、及び、下側昇降板13の昇降の案内を実現する昇降・案内機構(移動機構)が設けられている。
【0016】
昇降・案内機構として、限定されるものではないが、上側昇降板12、及び、下側昇降板13の左右の側面の夫々で立設された一対の直動機構16が図示されている。直動機構16は、上側昇降板12、及び、下側昇降板13を上下に直動させるものであって、上側昇降板12、及び、下側昇降板13を、ラック&ピニオン、ボールねじ、リニアガイド等の公知の駆動機構によって、昇降させる。一対の直動機構16は、カードの搬送方向に沿って2基設けられている。直動機構16は、上側昇降板12、及び、下側昇降板13を夫々独立して昇降させる。
【0017】
上側昇降板12、及び、下側昇降板13には、それぞれ、カードの平面に臨み、カードを搬送させるローラが設けられている。符号10は、上側昇降板12用のローラであり、符号11は、下側昇降板13用ローラである。夫々のローラは、駆動用モータ10aに連結されている。
【0018】
カード回収箱9の開口210の近傍で、外側ケーシング3の開口200には、一対の分離ローラ14,15を備える分離ローラユニット(搬送機構)が設けられている。これは、上下一対の分離ローラによって、カード1をカード取扱装置100からカード回収箱9に引き込み、又は、カード回収箱9からカード取扱装置100に向けて送出させるものであり、二つのローラを独立してその回転を制御できる。分離ローラユニットは、カード搬送路160に沿ってカード1をカード回収装置120とカード取扱装置100の間で搬送できるようにしている。
【0019】
次に、カード取扱システムの制御システムについて説明する。
図3はその制御ブロック図である。制御システムは、コントローラ400と、メモリ402と、カード取扱装置100の搬送装置130,132,134を夫々駆動可能な第1駆動制御回路404と、カード回収装置120の直動機構16と、分離ローラユニット14,15とを夫々駆動可能な第2駆動制御回路406と、を備えている。
【0020】
コントローラ400及び第1駆動制御回路404はカード取扱装置100に存在し、第2駆動制御回路406はカード回収装置120に存在する。コントローラ400は第2駆動制御回路406に駆動信号を提供するが、カード回収装置120に他のコントローラを設け、このコントローラがカード取扱装置100のコントローラの支配のもと、第2駆動制御回路406に対する制御を実行してもよい。
【0021】
メモリ402にはコントローラ400の制御プログラムが格納されている。カードに係る情報はホスト計算機によって管理され、コントローラはホスト計算機にアクセスしてカードに係る情報を参照する。
【0022】
コントローラ400は、ユーザからの入力に応じて、メモリ402に記録されたカード処理用プログラムを実行して、例えば、紙幣の受け入れ、払出等のカード取扱処理を行う。さらに、コントローラ400は、第1駆動制御回路404を制御して、カード挿入口2aからカードの受け入れ、カードの返却等、カード取扱装置100内でのカードの搬送のために各搬送装置におけるローラの回転を制御する。
【0023】
さらに、コントローラ400は、第2駆動制御回路406も制御することによって、カードをカード取扱装置100からカード回収装置120内へ引き込み、又は、カードをカード回収装置120からカード取扱装置100への搬出のために、分離ローラユニット14,15、直動機構16、上側昇降板のローラ10、及び、下側昇降板のローラ11を夫々制御可能である。
【0024】
次に、カード取扱システムによる、カードの回収の流れを説明する。コントローラ400は、カードの取扱が終了すると、カードの回収の要否を判定する。例えば、カード取引後にユーザが所定時間カードをカード挿入口2aから取り出さなかった場合、カードを回収する、と決定する。
【0025】
コントローラ400は、搬送装置130,132,134によって、カード1をカード回収装置120に向けて搬送させる。コントローラ400は、カード回収箱9内にカードが回収できるように、上側昇降板12を開口部200,210より上方に移動させ、下側昇降板13をカード回収箱9の下端に移動させる。コントローラは、分離ローラ14,15の回転と、搬送装置134のローラの回転とを、同期させて、カード1をカード回収装置120側に搬送する。
【0026】
図2A(カード取扱システムの左側面図)に示すように、カード1は開口200,210を介してロール回収箱9に搬送され、下側昇降板13に向けて自由落下してその上に載置される。コントローラは、カード1が回収箱9に回収されると、搬送装置134のローラ、分離ローラ14,15等を停止させる。このようにして、複数のカードが、カード回収箱9内で、回収順に下側昇降板13の上に重なって収容される。
図2B(カード取扱システムの左側面図)は、6枚のカードが回収箱内9に回収順に積層されていることを示している。
【0027】
コントローラ400は、どのカードがどのような順番で回収されているかを管理テーブルによって管理している(管理システム)。管理テーブルは、ホスト計算機が利用するメモリ領域に記録されている。
図4は管理テーブルの一例である。管理テーブルは、カード識別情報としての、例えば、口座情報(金融機関名、口座番号等)、口座名義人情報(氏名、会社名、住所等)、カードの位置情報を備えている。取引番号が記録されてもよい。
【0028】
カードの位置情報とは、下側昇降板13上で複数のカードが順番に積層されたカード群(積層体)における、夫々のカードの積層順番である。例えば、下側昇降板13の直上にあるカードの位置情報は1である。コントローラ400はカードの回収を決定する都度、テーブルにエントリを追加し、取引情報に基づいてカードの識別情報を記録する。#1〜#6は管理テーブルのエントリ番号である。さらに、コントローラ400は、カードの回収を決定すると、回収されるカードの位置情報をテーブル内の最大値より一つ多い値とする。例えば、#6のカードが新たに回収される場合には、当該カードの位置情報は6になる。後述するように、コントローラ400は、回収されたカードを返却すると、又は、カードの積層順番を変更すると、それに合わせて、管理テーブルのカードの位置情報を変更する。
【0029】
次に、カードの返却処理について説明する。
図5はそのためのフローチャートである。コントローラ400は、ユーザからカードの返却要求があると返却処理を開始する。コントローラ400は、カードをユーザに返却すべきか否かを決定する(SP10)。そこで、コントローラ400は、ユーザにカードの識別情報の入力を求める。識別情報とは、管理テーブルに含まれる口座情報、口座名義人等の複数の識別情報の一つ又は2つ以上、及び、暗証番号である。
【0030】
コントローラ400は、カードの識別情報と暗所番号とをホスト計算機に照会し、ユーザの入力情報が適正でない場合には、ユーザにカードを返却すべきでないと判定して、これをユーザに報知してフローチャートを終了する。コントローラは、ユーザの入力情報が適正であることを確認すると、入力情報をキーにして管理テーブルを検索し、識別情報に合致するカードが存在するか否かを検索する(SP12)。
【0031】
コントローラは、該当するカードが存在しない場合には、これをユーザに報知してフローチャートを終了する。該当するカードが存在する場合には、カードを搬送するための準備として、上側昇降板12及び/又は下側昇降板13を移動させて、両昇降板で下側昇降板13上に積層された複数のカードを押圧挟持する。
【0032】
コントローラは、該当カードの位置情報を参照して、他のカードの位置情報と比較して最も大きい値であるか否かを判定する(SP14)。コントローラは、これを肯定する、即ち、複数のカードのうち最上段にあるカードが目的のカードであると判定して、
図6(カード取扱システムの左側面図)に示すように、当該カードが開口部200,210に臨む位置、換言すれば、カードの搬送路の位置、まで上側昇降板12及び下側昇降板13を移動させ、その後、上側ローラ10をカードが分離ローラユニット14,15に送出されるように回転させる。上側昇降板12及び下側昇降板13で下側昇降板13上に積層された複数のカードが適切に押圧されているために、上側ローラ10は、最上段のカードの平面(他のカードに接触していない開放面)に密着して、ローラに回転によって最上段のカードのみをその他のカードから選別して送り出すことができる。
【0033】
コントローラは、上側ローラ10と分離ローラユニット14,15を同期して回転させて、カードをカード取扱装置100の背面側開口から搬送装置134まで送り出し、さらに他の搬送装置130,132によって当該カードをカード挿入口2a(ユーザ側前面)に向けて搬送させる(SP16)。
【0034】
この過程で、コントローラはカード情報を磁気ヘッド2b、IC接点2cよって読み込み、読み込んだデータを管理テーブルのカード情報と照合させる。コントローラは、照合の結果、両者のデータが一致していると判定すると(SP18)、カードをカード挿入口2aからユーザが取り出すことができるように、カードを露出させる(SP20)。そして、コントローラは、管理テーブルの該当カードのエントリを削除すると共に、管理テーブルに記録されている全てのカードについて、カード位置情報を一つ減算する。
【0035】
両者が一致しないことは、何らかの原因によって、カード回収箱9の中でカードの回収順番とカードの積層順番がずれて、管理テーブルのカードの識別情報とカード位置情報が整合しなくなったことを意味している。そこで、コントローラは、カードの識別情報とカード位置情報を整合させるために、テーブルの校正処理を行い(SP22)、この後、SP12に戻ってユーザにカード返却処理のやり直しを求める。なお、コントローラは、ユーザにカード返却処理のやり直しを求めることなく、目的のカードを返却してもよい。校正処理については、後述する。
【0036】
次いで、コントローラは、管理テーブルに基づいて、該当するカードがカードの積層群の最下段か否かを判定し(SP24)、これを肯定すると、
図7A,7B(カード取扱システムの左側面図)に示すように、上下の昇降板12,13で下側昇降板13上に積層されたカードを押圧挟持しながら、複数のカードのうち最下段にあるカードが開口200,210に臨む位置まで上側昇降板12及び下側昇降板13を移動させ、最下段のカードを、下側ローラ11を回転させて、分離ローラユニット14,15に搬送する(SP26)。カードの返却のためのその他の動作は既述の場合(SP16,SP18,SP20,SP22)と同様である。この時、上側ローラ10は回転されない。
【0037】
該当するカードが最下段にない場合には、該当するカードが最下段になるまでカード位置を変更する。この理由は、目的のカードは下側昇降板13のローラ11によって、送り出されるためである。
【0038】
カード位置を変更するための制御を具体的に説明する。
図8A(カード取扱システムの左側面図)に示すように、コントローラが、下から3番目のカード1をユーザに返却すべきカードとして判定すると、
図8B(カード取扱システムの左側面図)に示す様に、上側昇降板12及び下側昇降板13を上昇させて、最下段のカードの位置をカード搬送路面の高さに一致させる。コントローラは、最下段のカードをカード取扱装置100に送り出して、カード取扱装置内の搬送装置130,132,134に当該カードを一時保持する。
【0039】
そして、コントローラは、下側昇降板13を下端に退避させ、上側昇降板を上方に退避させて、カード回収箱9にカード回収用の空間を形成させた後、搬送装置134、分離ローラ14,15を、カードが回収ユニット120側に搬送されるように駆動して、一時保管したカードをカード積層体の最も上の位置に積層させる(SP24)。コントローラは、このようにしてカードの位置を変更すると共に、管理テーブルのカード位置の情報を変更する(SP28)。
【0040】
コントローラは、SP24に戻り、変更された管理テーブルを参照して処理を継続する。コントローラは、これを繰り返すことによって、目的のカードを最下段に移動させることができる。
【0041】
次に、既述のカード校正処理(SP22)を説明する。コントローラは、カード回収箱9内に収容された全てのカードについて、SP26で説明したように、最下層のカードをカード取扱装置100に一旦保管し、その間、磁気ヘッド2b及び/又はIC接点2cでカード情報を検出し、管理テーブルを参照して、カードの識別情報とカードの位置情報との対応が正しいか否かを判定する。コントローラは、カードの識別情報とカードの位置情報との対応が正確でなければ、テーブルを修正する。その後、コントローラは、カードをカード回収箱9の最上層に戻す。コントローラは、全てのカードについて、この処理を繰り返す。カードの回収、返却の要求、返却の成否等、カードの回収、返却のログ情報は、コントローラ400によって、ホスト計算機に記録される。
【0042】
既述の説明において、目的のカードが最上層にある場合には、目的のカードを最下層まで移動させて、下側昇降板から搬送させるのではなく、カードの位置を変えることなく、上側昇降板のローラ10によって、カードを搬送させているが、この理由は次のとおりである。カードを取り忘れたユーザは、通常、カード取扱装置から離れた後、すぐに気付いて戻って来ることが多い。この場合、目的のカードは、最上層にあるので、上側昇降板のローラ10によってカードを搬送させる方がカード返却のための工程が少なくて済む。なお、全てのカードは、下側昇降板のローラ11によって搬送されるため、上側昇降板のローラ10を省略することは可能である。
【0043】
従来のカード回収装置では、回収したカードを1枚ずつ収容するカードスロットを上下に複数段重ねた構造を備えており、カード取扱装置の背部にカード回収装置を接続する場合、カード回収装置の高さがカード取扱装置と同等に制約されていたため、実質的なスロットの数は数個程度に限定されていた。さらに、スロット自体の厚みも数ミリ程度に制限されていたため、変形したカードをスロットに収納できない、或いは、スロットにカードが詰まるという問題があった。
【0044】
これに対して既述のカード取引システムによれば、複数のカードを回収順に直接重ねて保管しているために、より多くのカードを回収することができる。そして、複数のカードの積層体を移動させて、積層体の中のカードを取り出すことができるために、複数のカードを直に積層させて保管しても、目的のカードを正確に選別してユーザに返却することができる。
【0045】
図9は、カード取引システムの第2の実施形態に係る左側面図である。カード回収箱9の底面に、第2のカードの回収箱17が配置されている。偽造カード、不正カード、変形カード等回収したカードを返却する必要が無いことが確定している場合、コントローラは上側昇降板12及び下側昇降板13を開口部より上の位置まで上昇させ、カード取扱装置100から回収したカード1を第2の回収箱17内に自由落下させる。この構成にすると下側昇降板13の可動域が小さくなるので、下側昇降板13上に積層されるカードの回収枚数が少なくなるが、返却不要とされたカードを、返却の可能性があるカードから簡単に分けることができるという効果がある。
【0046】
図10はカード取引システムの第3の実施形態に係る左側面図である。下側昇降板13に実装するカード繰出し機構としてベルト18が使用される態様を示している。上側昇降板12及び下側昇降板13の両方にベルトを実装しても良い。
【0047】
図11Aはカード取引システムの第4の実施形態に係る左側面図である。下側昇降板13に実装するカード繰出し機構にフック19を使用した形態が示されている。通常の回収時にはフック19はカード回収箱9の終端側に位置し、
図11Bに示すように、カードを返却する場合には」、フック19が最下段のカード一枚だけと係合しながら前進して、カードをカード取扱装置100側に繰出す事が出来る。上側昇降板12及び下側昇降板13の両方に繰り出し用のフックを実装してもよい。
【0048】
図12はカード取引システムの第5の実施形態に係るカード回収装置120の左側面図である。第2の回収箱17をカード回収箱9の後方に配置する。カード回収箱9には後部に開口部9b、上側回収ローラ20a及び下側回収ローラ20bを設ける。回収したカードを返却する必要が無いことが確定している場合、上側昇降板12及び下側昇降板13を
図12の位置まで移動させ、カード取引装置100から回収したカード1を第2の回収箱17に自由落下させる。この時、上側回収ローラ20a及び下側回収ローラ20bをカードが後方に搬送されるように回転させる。この構成にすると装置の全長は長くなるが、
図9と比較して、下側昇降板13の可動域を最大限取れるので、カードの回収枚数を多くでき、かつ、返却不要のカードを容易に取り出すことができる。
【0049】
既述の実施形態は一例であり、本発明を限定するものではない。例えば、カードの分野は、銀行等の金融機関に限らず、映画、公演等の娯楽産業、鉄道等の交通機関等限定されない。そして、カードの素材及び厚みは限定されない。