特許第6474711号(P6474711)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6474711
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】カード取扱システム
(51)【国際特許分類】
   G06K 13/103 20060101AFI20190218BHJP
   G07D 9/00 20060101ALI20190218BHJP
   G06K 13/12 20060101ALI20190218BHJP
   B65G 60/00 20060101ALI20190218BHJP
【FI】
   G06K13/103
   G07D9/00 436Z
   G06K13/12 E
   B65G60/00
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-227753(P2015-227753)
(22)【出願日】2015年11月20日
(65)【公開番号】特開2017-97547(P2017-97547A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2018年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】504373093
【氏名又は名称】日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司
(74)【代理人】
【識別番号】100129218
【弁理士】
【氏名又は名称】百本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】石井 雅之
【審査官】 境 周一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−170294(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/024386(WO,A1)
【文献】 特開昭58−024965(JP,A)
【文献】 特表2016−527644(JP,A)
【文献】 特開平05−266294(JP,A)
【文献】 特開平06−084051(JP,A)
【文献】 特開平06−266923(JP,A)
【文献】 特開平08−335289(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 1/00−21/08
B42D 1/00−25/485
B65G 57/00−61/00
G07D 1/00−13/00
G06Q 10/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード取扱装置から回収された複数のカードを順に収容するカード回収箱と、
前記カード回収と前記カード取扱装置のユーザ側前面との間でカードを搬送する搬送機構と、
前記回収箱内で、その高さ方向に、夫々、昇降自在の上側昇降板、及び、下側昇降板であって、夫々、カードの平面に臨み、カードを搬送させるローラを備える、前記上側昇降板、及び、下側昇降板と、
前記上側昇降板と前記下側昇降板とを夫々昇降させる移動機構と、
前記回収箱の底面に位置し、ユーザに返却する必要が無い不要カードを収容する収容部と、
前記搬送機構、前記ローラ、及び、前記移動機構を夫々制御するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記回収箱内に回収しようとしているカードが、前記上側昇降板と前記下側昇降板との間で他のカードと共に積層されるように、前記搬送機構を制御して、前記回収しようとしているカードを、前記カード取扱装置から、前記回収箱の開口部を介して、当該回収箱に搬送させ、
前記上側昇降板と前記下側昇降板との間の複数のカードからなる積層体の中からユーザが返却を求めるカードを選別し、当該選別されたカードを、前記移動機構を駆動させて前記開口部に臨むように位置させ、次いで、前記上側昇降板のローラ、又は、前記下側昇降板のローラを駆動させて前記開口部から前記搬送機構に送出し、そして、当該搬送機構を駆動させて、前記選別されたカードを前記カード取扱装置のユーザ側前面に搬送し、
前記回収しようとしているカードが前記不要カードであることを判定すると、前記移動機構を制御して、前記上側昇降板、及び、前記下側昇降板を、前記開口部より上の位置まで上昇させ、そして、前記搬送機構によって前記不要カードを前記開口部から前記回収箱に送出して、当該不要カードを、当該回収箱内を前記収納部まで自由落下させる、
カード取扱システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記積層体を構成する複数のカード夫々の位置を管理する管理情報をメモリに記憶させ、前記複数のカードのうちユーザに返却すべきカードの前記積層体における位置を、前記管理情報に基いて決定する、
請求項記載のカード取扱システム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記積層体の下端にあるカードが、前記ユーザが返却求めるカードであることを判定すると、当該下端にあるカードを、前記下側昇降板のローラを駆動させることによって、前記開口部を介して前記搬送機構に送出する、請求項記載のカード取扱システム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記積層体の上端にあるカードが、前記ユーザが返却を求めるカードであることを判定すると、前記上側昇降板のローラを駆動させることによって、当該上端にあるカードを、前記開口部を介して搬送機構に送出する、請求項記載のカード取扱システム。
【請求項5】
前記コントローラは、
前記ユーザが返却を求めるカードが、前記積層体の上端と下端との間にあることを判定すると、
前記下側昇降板のローラを駆動させて、前記積層体の下端のカードを前記開口部から前記搬送機構に送出し
前記下側昇降板を下降させ、その後、前記搬送機構を駆動させて、前記開口部を介して、前記下端のカードを、前記積層体の上端に移動させ、
前記下端のカードを前記積層体の上端に移動させることを、前記ユーザが返却を求めるカードが前記積層体の下端になるまで繰り返す、
請求項記載のカード取扱システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードの回収と返却を可能にするカード取扱システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ATM(Automated Teller Machine)、そして、CD(Cash Dispenser)等のカードを取扱う装置において、カードの取り扱い処理の後に、ユーザがカードを取り忘れて立ち去った場合、カードを旦回収し、後に、ユーザの求めに応じてカードを返却することが行われている。
【0003】
従来では、カード取扱装置に、複数のスロットを備えるカード回収装置を付設し、カード回収装置は複数のスロットを上下に動かしてスロットにカードを回収し、カードを返却する場合には、前記スロットから返却すべきカードを搬出させている(特許文献1乃至3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許出願公開第103544768号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第103544769号明細書
【特許文献3】中国特許出願公開第103559755号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
既述のように、スロットによってカードの回収及び返却が可能になるものの、回収できるカードの数はスロットによって制限される、という課題がある。そこで、本発明は、多くのカードを回収でき、しかも、目的のカードを正しく返却できるカード取扱システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明に係るカード取扱システムは、カード取扱装置から回収された複数のカードを順に収容するカード回収箱と、前記カード回収と前記カード取扱装置のユーザ側前面との間でカードを搬送する搬送機構と、前記回収箱内で、その高さ方向に、夫々、昇降自在の上側昇降板、及び、下側昇降板であって、夫々、カードの平面に臨み、カードを搬送させるローラを備える、前記上側昇降板、及び、下側昇降板と、前記上側昇降板と前記下側昇降板とを夫々昇降させる移動機構と、前記回収箱の底面に位置し、ユーザに返却する必要が無い不要カードを収容する収容部と、前記搬送機構、前記ローラ、及び、前記移動機構を夫々制御するコントローラと、を備え、前記コントローラは、前記回収箱内に回収しようとしているカードが、前記上側昇降板と前記下側昇降板との間で他のカードと共に積層されるように、前記搬送機構を制御して、前記回収しようとしているカードを、前記カード取扱装置から、前記回収箱の開口部を介して、当該回収箱に搬送させ、前記上側昇降板と前記下側昇降板との間の複数のカードからなる積層体の中からユーザが返却を求めるカードを選別し、当該選別されたカードを、前記移動機構を駆動させて前記開口部に臨むように位置させ、次いで、前記上側昇降板のローラ、又は、前記下側昇降板のローラを駆動させて前記開口部から前記搬送機構に送出し、そして、当該搬送機構を駆動させて、前記選別されたカードを前記カード取扱装置のユーザ側前面に搬送し、前記回収しようとしているカードが前記不要カードであることを判定すると、前記移動機構を制御して、前記上側昇降板、及び、前記下側昇降板を、前記開口部より上の位置まで上昇させ、そして、前記搬送機構によって前記不要カードを前記開口部から前記回収箱に送出して、当該不要カードを、当該回収箱内を前記収納部まで自由落下させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、多くのカードをカードの回収でき、しかも、目的のカードを正しく返却できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】本発明に係るカード取扱システムの一実施形態の平面図である。
図1B】当該実施形態の左側面図である。
図2A】当該実施形態の動作を説明するための左側面図である。
図2B】当該実施形態の図2Aの状態に続く動作を説明するための左側面図である。
図3】前記実施形態の制御システムのブロック図である。
図4】前記実施形態の制御システムがカード位置を管理するための管理テーブルの一例である。
図5】前記制御システムのフローチャートである。
図6】前記実施形態の他の動作例を説明するための当該実施形態の左側面図である。
図7A】前記実施形態のさらに他の動作を説明するための当該実施形態の左側面図である。
図7B】当該実施形態の図7Aの状態に続く動作を説明するための左側面図である。
図8A】前記実施形態のさらに他の動作例を説明するための当該実施形態の左側面図である。
図8B】当該実施形態の図8Aの状態に続く動作を説明するための左側面図である。
図9】本発明に係るカード取扱システムの他の実施形態の左側面図である。
図10】本発明に係るカード取扱システムのさらに他の実施形態の左側面図である。
図11A】本発明に係るカード取扱システムのさらに他の実施形態の動作を説明するための左側面図である。
図11B】当該実施形態の図11Aの状態に続く動作を説明するための左側面図である。
図12】カード取引システムの他の実施形態に係るカード回収装置の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0009】
次に、本発明の実施形態について説明する。従来のカード回収装置では、回収したカードの収容がスロットによって行われていたために、回収できるカードの数はスロットによって制限を受けていたが、下記実施形態に係るカード回収装置は、回収したカードを順に重ねて収容するだけなので、スロットに制限されずに、多くのカードを回収することができる。
【0010】
図1Aは、カード取扱システムの一実施形態の平面図であり、図1Bは、その左側面図である。カード取扱システムは、カード取扱装置100と、カード回収装置120とを備える。カード取扱装置100は、例えば、ATM、又は、CDである。カード取扱装置100の背面に隣接してカード回収装置120が配置されている。
【0011】
カード取扱装置100は、従来の装置と同様に構成されていてよい。そこで、カード取扱装置100の構成を概説する。符号2はカード取扱装置の本体である。カード取扱装置本体2の前面には、カード挿入口2aが配置されている。符号2a−1は、カードの検出手段としての、例えば、光センサである。
【0012】
本体2内には、カードを水平に搬送するための複数の搬送装置130,132,134(カード搬送機構)が設けられている。各搬送装置は、上下一対のローラ140,142を備え、二つのローラ間にカード1を挟持して、カードを水平方向に搬送する。本体2の背面側の搬送装置の134よりカード挿入口2a寄りには、カード情報を読み取るための磁気ヘッド2bと、IC接点2cとが搬送されるカードに臨むように配置されている。
【0013】
符号150は、カード1を磁気ヘッド2bに対して支持する支持ローラである。本体2のカード搬送路160の終端は、カード回収用開口170に臨むようになっているため、本体2の背面側の搬送装置134は、カード回収用開口170からカードをカード回収装置120に搬出可能である。
【0014】
カード回収装置120は、外側ケーシング3の中にカード回収箱9(カード回収機構)を備えるように構成されている。外側ケーシング3とカード回収箱9には、カード回収用開口170に臨むように、カード通過用開口200,210が形成されている。
【0015】
カード回収箱9には、夫々、カード回収箱9の高さ方向に昇降自在の上側昇降板12、及び、下側昇降板13が配置されている。カード回収箱9には、上側昇降板12、及び、下側昇降板13の昇降を可能にするとともに、上側昇降板12、及び、下側昇降板13の昇降の案内を実現する昇降・案内機構(移動機構)が設けられている。
【0016】
昇降・案内機構として、限定されるものではないが、上側昇降板12、及び、下側昇降板13の左右の側面の夫々で立設された一対の直動機構16が図示されている。直動機構16は、上側昇降板12、及び、下側昇降板13を上下に直動させるものであって、上側昇降板12、及び、下側昇降板13を、ラック&ピニオン、ボールねじ、リニアガイド等の公知の駆動機構によって、昇降させる。一対の直動機構16は、カードの搬送方向に沿って2基設けられている。直動機構16は、上側昇降板12、及び、下側昇降板13を夫々独立して昇降させる。
【0017】
上側昇降板12、及び、下側昇降板13には、それぞれ、カードの平面に臨み、カードを搬送させるローラが設けられている。符号10は、上側昇降板12用のローラであり、符号11は、下側昇降板13用ローラである。夫々のローラは、駆動用モータ10aに連結されている。
【0018】
カード回収箱9の開口210の近傍で、外側ケーシング3の開口200には、一対の分離ローラ14,15を備える分離ローラユニット(搬送機構)が設けられている。これは、上下一対の分離ローラによって、カード1をカード取扱装置100からカード回収箱9に引き込み、又は、カード回収箱9からカード取扱装置100に向けて送出させるものであり、二つのローラを独立してその回転を制御できる。分離ローラユニットは、カード搬送路160に沿ってカード1をカード回収装置120とカード取扱装置100の間で搬送できるようにしている。
【0019】
次に、カード取扱システムの制御システムについて説明する。図3はその制御ブロック図である。制御システムは、コントローラ400と、メモリ402と、カード取扱装置100の搬送装置130,132,134を夫々駆動可能な第1駆動制御回路404と、カード回収装置120の直動機構16と、分離ローラユニット14,15とを夫々駆動可能な第2駆動制御回路406と、を備えている。
【0020】
コントローラ400及び第1駆動制御回路404はカード取扱装置100に存在し、第2駆動制御回路406はカード回収装置120に存在する。コントローラ400は第2駆動制御回路406に駆動信号を提供するが、カード回収装置120に他のコントローラを設け、このコントローラがカード取扱装置100のコントローラの支配のもと、第2駆動制御回路406に対する制御を実行してもよい。
【0021】
メモリ402にはコントローラ400の制御プログラムが格納されている。カードに係る情報はホスト計算機によって管理され、コントローラはホスト計算機にアクセスしてカードに係る情報を参照する。
【0022】
コントローラ400は、ユーザからの入力に応じて、メモリ402に記録されたカード処理用プログラムを実行して、例えば、紙幣の受け入れ、払出等のカード取扱処理を行う。さらに、コントローラ400は、第1駆動制御回路404を制御して、カード挿入口2aからカードの受け入れ、カードの返却等、カード取扱装置100内でのカードの搬送のために各搬送装置におけるローラの回転を制御する。
【0023】
さらに、コントローラ400は、第2駆動制御回路406も制御することによって、カードをカード取扱装置100からカード回収装置120内へ引き込み、又は、カードをカード回収装置120からカード取扱装置100への搬出のために、分離ローラユニット14,15、直動機構16、上側昇降板のローラ10、及び、下側昇降板のローラ11を夫々制御可能である。
【0024】
次に、カード取扱システムによる、カードの回収の流れを説明する。コントローラ400は、カードの取扱が終了すると、カードの回収の要否を判定する。例えば、カード取引後にユーザが所定時間カードをカード挿入口2aから取り出さなかった場合、カードを回収する、と決定する。
【0025】
コントローラ400は、搬送装置130,132,134によって、カード1をカード回収装置120に向けて搬送させる。コントローラ400は、カード回収箱9内にカードが回収できるように、上側昇降板12を開口部200,210より上方に移動させ、下側昇降板13をカード回収箱9の下端に移動させる。コントローラは、分離ローラ14,15の回転と、搬送装置134のローラの回転とを、同期させて、カード1をカード回収装置120側に搬送する。
【0026】
図2A(カード取扱システムの左側面図)に示すように、カード1は開口200,210を介してロール回収箱9に搬送され、下側昇降板13に向けて自由落下してその上に載置される。コントローラは、カード1が回収箱9に回収されると、搬送装置134のローラ、分離ローラ14,15等を停止させる。このようにして、複数のカードが、カード回収箱9内で、回収順に下側昇降板13の上に重なって収容される。図2B(カード取扱システムの左側面図)は、6枚のカードが回収箱内9に回収順に積層されていることを示している。
【0027】
コントローラ400は、どのカードがどのような順番で回収されているかを管理テーブルによって管理している(管理システム)。管理テーブルは、ホスト計算機が利用するメモリ領域に記録されている。図4は管理テーブルの一例である。管理テーブルは、カード識別情報としての、例えば、口座情報(金融機関名、口座番号等)、口座名義人情報(氏名、会社名、住所等)、カードの位置情報を備えている。取引番号が記録されてもよい。
【0028】
カードの位置情報とは、下側昇降板13上で複数のカードが順番に積層されたカード群(積層体)における、夫々のカードの積層順番である。例えば、下側昇降板13の直上にあるカードの位置情報は1である。コントローラ400はカードの回収を決定する都度、テーブルにエントリを追加し、取引情報に基づいてカードの識別情報を記録する。#1〜#6は管理テーブルのエントリ番号である。さらに、コントローラ400は、カードの回収を決定すると、回収されるカードの位置情報をテーブル内の最大値より一つ多い値とする。例えば、#6のカードが新たに回収される場合には、当該カードの位置情報は6になる。後述するように、コントローラ400は、回収されたカードを返却すると、又は、カードの積層順番を変更すると、それに合わせて、管理テーブルのカードの位置情報を変更する。
【0029】
次に、カードの返却処理について説明する。図5はそのためのフローチャートである。コントローラ400は、ユーザからカードの返却要求があると返却処理を開始する。コントローラ400は、カードをユーザに返却すべきか否かを決定する(SP10)。そこで、コントローラ400は、ユーザにカードの識別情報の入力を求める。識別情報とは、管理テーブルに含まれる口座情報、口座名義人等の複数の識別情報の一つ又は2つ以上、及び、暗証番号である。
【0030】
コントローラ400は、カードの識別情報と暗所番号とをホスト計算機に照会し、ユーザの入力情報が適正でない場合には、ユーザにカードを返却すべきでないと判定して、これをユーザに報知してフローチャートを終了する。コントローラは、ユーザの入力情報が適正であることを確認すると、入力情報をキーにして管理テーブルを検索し、識別情報に合致するカードが存在するか否かを検索する(SP12)。
【0031】
コントローラは、該当するカードが存在しない場合には、これをユーザに報知してフローチャートを終了する。該当するカードが存在する場合には、カードを搬送するための準備として、上側昇降板12及び/又は下側昇降板13を移動させて、両昇降板で下側昇降板13上に積層された複数のカードを押圧挟持する。
【0032】
コントローラは、該当カードの位置情報を参照して、他のカードの位置情報と比較して最も大きい値であるか否かを判定する(SP14)。コントローラは、これを肯定する、即ち、複数のカードのうち最上段にあるカードが目的のカードであると判定して、図6(カード取扱システムの左側面図)に示すように、当該カードが開口部200,210に臨む位置、換言すれば、カードの搬送路の位置、まで上側昇降板12及び下側昇降板13を移動させ、その後、上側ローラ10をカードが分離ローラユニット14,15に送出されるように回転させる。上側昇降板12及び下側昇降板13で下側昇降板13上に積層された複数のカードが適切に押圧されているために、上側ローラ10は、最上段のカードの平面(他のカードに接触していない開放面)に密着して、ローラに回転によって最上段のカードのみをその他のカードから選別して送り出すことができる。
【0033】
コントローラは、上側ローラ10と分離ローラユニット14,15を同期して回転させて、カードをカード取扱装置100の背面側開口から搬送装置134まで送り出し、さらに他の搬送装置130,132によって当該カードをカード挿入口2a(ユーザ側前面)に向けて搬送させる(SP16)。
【0034】
この過程で、コントローラはカード情報を磁気ヘッド2b、IC接点2cよって読み込み、読み込んだデータを管理テーブルのカード情報と照合させる。コントローラは、照合の結果、両者のデータが一致していると判定すると(SP18)、カードをカード挿入口2aからユーザが取り出すことができるように、カードを露出させる(SP20)。そして、コントローラは、管理テーブルの該当カードのエントリを削除すると共に、管理テーブルに記録されている全てのカードについて、カード位置情報を一つ減算する。
【0035】
両者が一致しないことは、何らかの原因によって、カード回収箱9の中でカードの回収順番とカードの積層順番がずれて、管理テーブルのカードの識別情報とカード位置情報が整合しなくなったことを意味している。そこで、コントローラは、カードの識別情報とカード位置情報を整合させるために、テーブルの校正処理を行い(SP22)、この後、SP12に戻ってユーザにカード返却処理のやり直しを求める。なお、コントローラは、ユーザにカード返却処理のやり直しを求めることなく、目的のカードを返却してもよい。校正処理については、後述する。
【0036】
次いで、コントローラは、管理テーブルに基づいて、該当するカードがカードの積層群の最下段か否かを判定し(SP24)、これを肯定すると、図7A,7B(カード取扱システムの左側面図)に示すように、上下の昇降板12,13で下側昇降板13上に積層されたカードを押圧挟持しながら、複数のカードのうち最下段にあるカードが開口200,210に臨む位置まで上側昇降板12及び下側昇降板13を移動させ、最下段のカードを、下側ローラ11を回転させて、分離ローラユニット14,15に搬送する(SP26)。カードの返却のためのその他の動作は既述の場合(SP16,SP18,SP20,SP22)と同様である。この時、上側ローラ10は回転されない。
【0037】
該当するカードが最下段にない場合には、該当するカードが最下段になるまでカード位置を変更する。この理由は、目的のカードは下側昇降板13のローラ11によって、送り出されるためである。
【0038】
カード位置を変更するための制御を具体的に説明する。図8A(カード取扱システムの左側面図)に示すように、コントローラが、下から3番目のカード1をユーザに返却すべきカードとして判定すると、図8B(カード取扱システムの左側面図)に示す様に、上側昇降板12及び下側昇降板13を上昇させて、最下段のカードの位置をカード搬送路面の高さに一致させる。コントローラは、最下段のカードをカード取扱装置100に送り出して、カード取扱装置内の搬送装置130,132,134に当該カードを一時保持する。
【0039】
そして、コントローラは、下側昇降板13を下端に退避させ、上側昇降板を上方に退避させて、カード回収箱9にカード回収用の空間を形成させた後、搬送装置134、分離ローラ14,15を、カードが回収ユニット120側に搬送されるように駆動して、一時保管したカードをカード積層体の最も上の位置に積層させる(SP24)。コントローラは、このようにしてカードの位置を変更すると共に、管理テーブルのカード位置の情報を変更する(SP28)。
【0040】
コントローラは、SP24に戻り、変更された管理テーブルを参照して処理を継続する。コントローラは、これを繰り返すことによって、目的のカードを最下段に移動させることができる。
【0041】
次に、既述のカード校正処理(SP22)を説明する。コントローラは、カード回収箱9内に収容された全てのカードについて、SP26で説明したように、最下層のカードをカード取扱装置100に一旦保管し、その間、磁気ヘッド2b及び/又はIC接点2cでカード情報を検出し、管理テーブルを参照して、カードの識別情報とカードの位置情報との対応が正しいか否かを判定する。コントローラは、カードの識別情報とカードの位置情報との対応が正確でなければ、テーブルを修正する。その後、コントローラは、カードをカード回収箱9の最上層に戻す。コントローラは、全てのカードについて、この処理を繰り返す。カードの回収、返却の要求、返却の成否等、カードの回収、返却のログ情報は、コントローラ400によって、ホスト計算機に記録される。
【0042】
既述の説明において、目的のカードが最上層にある場合には、目的のカードを最下層まで移動させて、下側昇降板から搬送させるのではなく、カードの位置を変えることなく、上側昇降板のローラ10によって、カードを搬送させているが、この理由は次のとおりである。カードを取り忘れたユーザは、通常、カード取扱装置から離れた後、すぐに気付いて戻って来ることが多い。この場合、目的のカードは、最上層にあるので、上側昇降板のローラ10によってカードを搬送させる方がカード返却のための工程が少なくて済む。なお、全てのカードは、下側昇降板のローラ11によって搬送されるため、上側昇降板のローラ10を省略することは可能である。
【0043】
従来のカード回収装置では、回収したカードを1枚ずつ収容するカードスロットを上下に複数段重ねた構造を備えており、カード取扱装置の背部にカード回収装置を接続する場合、カード回収装置の高さがカード取扱装置と同等に制約されていたため、実質的なスロットの数は数個程度に限定されていた。さらに、スロット自体の厚みも数ミリ程度に制限されていたため、変形したカードをスロットに収納できない、或いは、スロットにカードが詰まるという問題があった。
【0044】
これに対して既述のカード取引システムによれば、複数のカードを回収順に直接重ねて保管しているために、より多くのカードを回収することができる。そして、複数のカードの積層体を移動させて、積層体の中のカードを取り出すことができるために、複数のカードを直に積層させて保管しても、目的のカードを正確に選別してユーザに返却することができる。
【0045】
図9は、カード取引システムの第2の実施形態に係る左側面図である。カード回収箱9の底面に、第2のカードの回収箱17が配置されている。偽造カード、不正カード、変形カード等回収したカードを返却する必要が無いことが確定している場合、コントローラは上側昇降板12及び下側昇降板13を開口部より上の位置まで上昇させ、カード取扱装置100から回収したカード1を第2の回収箱17内に自由落下させる。この構成にすると下側昇降板13の可動域が小さくなるので、下側昇降板13上に積層されるカードの回収枚数が少なくなるが、返却不要とされたカードを、返却の可能性があるカードから簡単に分けることができるという効果がある。
【0046】
図10はカード取引システムの第3の実施形態に係る左側面図である。下側昇降板13に実装するカード繰出し機構としてベルト18が使用される態様を示している。上側昇降板12及び下側昇降板13の両方にベルトを実装しても良い。
【0047】
図11Aはカード取引システムの第4の実施形態に係る左側面図である。下側昇降板13に実装するカード繰出し機構にフック19を使用した形態が示されている。通常の回収時にはフック19はカード回収箱9の終端側に位置し、図11Bに示すように、カードを返却する場合には」、フック19が最下段のカード一枚だけと係合しながら前進して、カードをカード取扱装置100側に繰出す事が出来る。上側昇降板12及び下側昇降板13の両方に繰り出し用のフックを実装してもよい。
【0048】
図12はカード取引システムの第5の実施形態に係るカード回収装置120の左側面図である。第2の回収箱17をカード回収箱9の後方に配置する。カード回収箱9には後部に開口部9b、上側回収ローラ20a及び下側回収ローラ20bを設ける。回収したカードを返却する必要が無いことが確定している場合、上側昇降板12及び下側昇降板13を図12の位置まで移動させ、カード取引装置100から回収したカード1を第2の回収箱17に自由落下させる。この時、上側回収ローラ20a及び下側回収ローラ20bをカードが後方に搬送されるように回転させる。この構成にすると装置の全長は長くなるが、図9と比較して、下側昇降板13の可動域を最大限取れるので、カードの回収枚数を多くでき、かつ、返却不要のカードを容易に取り出すことができる。
【0049】
既述の実施形態は一例であり、本発明を限定するものではない。例えば、カードの分野は、銀行等の金融機関に限らず、映画、公演等の娯楽産業、鉄道等の交通機関等限定されない。そして、カードの素材及び厚みは限定されない。
【符号の説明】
【0050】
1 カード
2 カード取扱装置
2a カード挿入口
2b 磁気ヘッド
2c IC接点
3 カード回収装置
9 カード回収ユニット
9a 開口部
10 上側繰出しローラ
10a 上側繰出しローラ用モータ
11 下側繰出しローラ
12 上側昇降板
13 下側昇降板
14 上側分離ローラ
15 下側分離ローラ
16 昇降板の昇降機構
18 下側繰出しベルト
19 下側繰出しフック
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図11A
図11B
図12