特許第6474714号(P6474714)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6474714エレベーターの監視装置及び遠隔監視システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6474714
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】エレベーターの監視装置及び遠隔監視システム
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20190218BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20190218BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20190218BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20190218BHJP
   B66B 5/02 20060101ALI20190218BHJP
【FI】
   B66B5/00 G
   G08B25/04 B
   H04M11/00 301
   H04Q9/00 311K
   H04Q9/00 341B
   H04Q9/00 311W
   B66B5/02 Z
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-241558(P2015-241558)
(22)【出願日】2015年12月10日
(65)【公開番号】特開2017-105608(P2017-105608A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2018年3月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司
(74)【代理人】
【識別番号】100129218
【弁理士】
【氏名又は名称】百本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】薛 祺
(72)【発明者】
【氏名】渡部 恭志
【審査官】 羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−177441(JP,A)
【文献】 特開2005−255310(JP,A)
【文献】 特開2005−346163(JP,A)
【文献】 特開2012−030903(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00−5/28
G08B 23/00−31/00
H04M 11/00
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備の異常の有無を検出し、検出した検出情報を無線通信網を介してセンター装置へ通報するエレベーターの監視装置であって、
所定の時間毎に前記センター装置と通信した通信状態を所定の期間計測する通信状態統計手段と、
前記通信状態統計手段で計測した計測結果に基づいて、前記センター装置との通信状態が所定値よりも低下する時間帯を特定し、前記特定した時間帯に前記センター装置へ通報する通信時間特定手段と、を備えることを特徴とするエレベーターの監視装置。
【請求項2】
請求項1に記載のエレベーターの監視装置において、
前記通信状態統計手段は、
前記センター装置と通信した通信状態を示す計測結果を曜日と時間帯に関連づけて記録し、
前記通信時間特定手段は、
前記通信状態統計手段により記録された計測結果を基づいて、前記センター装置との通信状態が所定値よりも低下する時間帯と曜日を特定し、前記特定した時間帯と曜日に前記センター装置へ通報することを特徴とするエレベーターの監視装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のエレベーターの監視装置において、
前記通信時間特定手段は、
前記通信状態統計手段で計測した計測結果に基づいて、前記センター装置との通信状態が所定値よりも低下する時間帯として、通信時間が最も長い時間帯、通信リトライが最も多い時間帯、或いは通信失敗が最も多く発生した時間帯のうちいずれかの時間帯を特定することを特徴とするエレベーターの監視装置。
【請求項4】
設備の異常の有無を検出する監視装置と、前記監視装置で検出した検出情報を無線通信網へ送信する無線装置と、前記無線装置と前記無線通信網を介して情報の送受信を行うセンター装置と、を備えるエレベーターの遠隔監視システムであって、
前記監視装置は、
所定の時間毎に前記センター装置と通信した通信状態を所定の期間計測する通信状態統計手段と、
前記通信状態統計手段で計測した計測結果に基づいて、前記センター装置との通信状態が所定値よりも低下する時間帯を特定し、前記特定した時間帯に前記センター装置へ通報する通信時間特定手段と、を備えることを特徴とするエレベーターの遠隔監視システム。
【請求項5】
請求項4に記載のエレベーターの遠隔監視システムにおいて、
前記通信状態統計手段は、
前記センター装置と通信した通信状態を示す計測結果を曜日と時間帯に関連づけて記録し、
前記通信時間特定手段は、
前記通信状態統計手段により記録された計測結果を基づいて、前記センター装置との通信状態が所定値よりも低下する時間帯と曜日を特定し、前記特定した時間帯と曜日に前記センター装置へ通報することを特徴とするエレベーターの遠隔監視システム。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のエレベーターの遠隔監視システムにおいて、
前記通信時間特定手段は、
前記通信状態統計手段で計測した計測結果に基づいて、前記センター装置との通信状態が所定値よりも低下する時間帯として、通信時間が最も長い時間帯、通信リトライが最も多い時間帯、或いは通信失敗が最も多く発生した時間帯のうちいずれかの時間帯を特定することを特徴とするエレベーターの遠隔監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーターの運用状態を監視するエレベーター監視装置及び遠隔監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベーターの運用状態を遠隔地において監視するエレベーター遠隔監視システムは、エレベーターの異常を検出する監視装置を設け、検出情報を遠隔のセンター装置へ通報する構成としている。このシステムでは、センター装置と監視装置との間の通信確立ができることを確認するため、監視装置はセンター装置に向けて定時通報を行っている。センター装置は、所定の時間以上、監視装置からの定時通報を受信しない場合には、監視装置との間の通信が異常であると判断していた。
【0003】
しかし、監視装置とセンター装置との間の通信で無線による通信網を利用する場合には、監視装置を設置する場所によって電波状況が異なる可能性がある。また、監視装置を設置した時点では電波状況が良好であった場合でも、その後、電波を妨害する建物や電波塔などの建設により電波状況が悪化する可能性が生じるなどの課題があった。
【0004】
そこで、例えば特許文献1には、電波受信レベルを確認する技術が開示されている。具体的には、監視装置は無線装置の電波受信レベルを所定の時間間隔で確認し、電波受信レベルが所定の基準レベルより低い場合には、電波受信レベルが異常であることを無線装置を介してセンター装置へ通報する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−346163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1では、例えば、エレベーターの所在建物のシャッターが閉まり、電波通信が急遽遮蔽されて、電波受信レベルがセンター装置へ通報ができないレベルまでに低下する場合、遠隔監視装置は、センター装置へ通報することができない。
【0007】
本発明の目的は、監視装置とセンター装置との間の通信状態が所定値よりも悪化した場合、その時間帯をセンター装置に通報することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明は、設備の異常の有無を検出し、検出した検出情報を無線通信網を介してセンター装置へ通報するエレベーターの監視装置であって、所定の時間毎に前記センター装置と通信した通信状態を所定の期間計測する通信状態統計手段と、前記通信状態統計手段で計測した計測結果に基づいて、前記センター装置との通信状態が所定値よりも低下する時間帯を特定し、前記特定した時間帯に前記センター装置へ通報する通信時間特定手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
監視装置とセンター装置との間の通信状態が所定値よりも悪化した場合、その時間帯をセンター装置に通報することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施例によるエレベーターの遠隔監視システムの概略構成図である。
図2】第1実施例による通信状態統計処理のフローチャートである。
図3】日にち毎の通信状態を示す統計データが記録された統計テーブルの構成図である。
図4】本実施例の通信時間特定処理を示すフローチャートである。
図5】第2実施例における通信時間特定処理を示すフローチャートである。
図6】曜日毎の通信状態を示す統計データが記録された統計テーブルの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施例)
以下、本発明の実施例を図1に基づいて説明する。図1は、第1実施例によるエレベーターの遠隔監視システムの概略構成図である。図1において、エレベーターの遠隔監視システム監視装置100は、監視装置100と、無線装置200と、センター装置300と、交換機400と、無線通信網500から構成される。監視装置100は、設備やエレベーターに設置され、異常検出部101と、通信処理部102とを備えている。異常検出部101は、設備やエレベーターの異常の有無を検出してそれぞれに対応した信号情報を発生する。通信処理部102は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリと、入出力インターフェース等を備えている。メモリには、CPUによって処理されるプログラムとして、例えば、通信状態統計手段111と、通信時間特定手段112が格納される。通信処理部102は、異常検出部101が発生した信号情報を通報可能なように処理する。通信状態統計手段111は、センター装置300との通信状態、例えば、通信成否、通信時間、通信リトライ回数等を所定の期間計測し、計測結果を通信状態の統計データとして日づけと時間に対応づけて記録して管理する。通信時間特定手段112は、通信状態統計手段111によって記録された所定の期間の通信状態(統計データ)に基づいて、通信状態が所定値よりも悪化(低下)する時間(時間帯)を判定し、通信状態が所定値よりも悪化(低下)する時間(時間帯)になったときに、センター装置300へ通報する。
【0012】
無線装置200は、無線通信網500に接続され、監視装置100からの情報を無線通信網500と交換機400を介してセンター装置300に送信する。交換機400は、無線通信網500に接続され、センター装置300との通信の接続・切断を制御する。センター装置300は、交換機400に接続され、監視装置100からの情報を受信して処理を行う。
【0013】
通信処理部102で処理された検出情報は、無線装置200から無線通信網500及び交換機400を介してセンター装置300の回線に接続した後、センター装置300へ通報される。通信処理部102は、監視装置100とセンター装置300との間が通信可能の状態であることを通知するため、異常検出部101による設備やエレベーターの異常検出の有無にかかわらず、センター装置300へ定期的に定時通報を行う。
【0014】
次に、本実施例による通信状態統計処理について図2を用いて説明する。図2は、第1実施例による通信状態統計処理のフローチャートである。ステップS101では、通信処理部102はセンター装置300へ所定の時間に定時通報を行う。本実施例では、1時間に1回、所定の時間に定時通報を行うものとするが、定時通報を行う時間間隔はこれに限られるものではない。通信処理部102は、定時通報として、例えば固定データをセンター装置300に送信する。そして、通信処理部102は、センター装置300からの応答を受信した後、または所定の時間経過後、通信結果成功かの判定を行う(ステップS102)。センター装置300は、監視装置100からの定時通報を受信した場合、正常に受信できたことを示す応答を監視装置100に返す。また、センター装置300は、監視装置100からの定時通報を受信できなかった場合、受信できなかったことを示すエラー応答を返す。
【0015】
ステップS102では、通信処理部102は、センター装置300との通信結果(通信結果成功)を判定する。センター装置300への通信結果が成功の場合(ステップS102:Yes)、即ち、センター装置300からの応答を受信した場合、通信処理部102は、センター装置300との通信が成功したと判定し、次に通信リトライ有りかを判定する(ステップS103)。通信結果が失敗の場合(ステップS102:No)、通信処理部102は、センター装置300との通信が失敗したと判定し、通信失敗を記録する(ステップS106)。
【0016】
ステップS103では、通信処理部102は、センター装置300へ定時通報において、通信リトライを行ったか否かを判定する。通信リトライを行った場合(ステップS103:Yes)、通信処理部102は、センター装置300との通信において通信リトライが発生したと判定し、通信リトライを記録する(ステップS104)。通信リトライを行わなかった場合(ステップS103:No)、通信処理部102は、センター装置300との通信において通信リトライは発生しなかったと判定し、通信時間と通信成功を記録する(ステップS105)。
【0017】
ステップS104では、通信処理部102は、今回の通信リトライ回数をメモリに記録し、通信時間と通信成功を記録する(ステップS105)。例えば、センター装置300に定時通報を送信し、2回の通信リトライが発生した場合、通信処理部102は「2」をメモリに記録する。ステップS105では、通信処理部102は、今回通信を行った時刻、例えば、YYYY年MM月DD日HH時MM分SS秒、通信時間、例えば60秒、及び通信成功の情報をメモリに記録する。ステップS106では、通信処理部102は、今回通信を行った時刻、及び通信失敗の情報をメモリに記録する。通信処理部102は、ステップS101〜S106までの処理を所定の時間毎に所定の期間実行し、通信状態の統計データである通信状態データを統計テーブルに蓄積する。
【0018】
図3は、日にち毎の通信状態を示す統計データが記録された統計テーブルの構成図である。図3において、統計テーブル600は、日付601と、時間602から構成され、時間602には、通信を行った時刻603、通信の成功/失敗を示す情報604、通信リトライの回数605、通信時間606が記録される。なお、他に必要な情報を統計テーブル600に追加してもよい。通信状態データの統計テーブル600は、説明の簡略化のため0時のみ詳細なデータを示しているが、1時以降にも同様の情報が記録され、規定期間である30日間の通信状態データが記録されている。なお、通信状態データの統計テーブル600を定期的に更新してもよい。定期的に統計テーブル600を更新することによって、例えば建築物の建設が行われて電波状況が変化する等、通信環境が変化して通信状態が悪化する時間帯が変化する場合でも統計テーブル600に反映することができる。
【0019】
次に、通信時間特定処理を図4を用いて説明する。図4は、本実施例の通信時間特定処理を示すフローチャートである。ステップS201では、通信処理部102は、規定期間の通信統計データは有りか否かを判定する。即ち、規定期間分の通信状態データを統計した統計データがあるか否かを判定する。本実施例では、規定期間を30日とする。規定期間分の通信状態データの統計データがある場合(ステップS201:Yes)、通信処理部102は通信状態の判定を行うことができると判定し、通信失敗記録有かの判定を行う(ステップS202)。規定期間分の通信状態データの統計データがない場合(ステップS201:No)、通信処理部102は、通信状態データが統計継続中であると判定し、処理を終了する。ステップS202では、通信処理部102は、通信状態データの統計データに通信失敗記録があるか否かを判定する。通信失敗記録がない場合(ステップS202:No)、通信処理部102は、センター装置300との通信において通信は失敗しなかったと判定し、通信リトライ記録有かの判定を行う(ステップS203)。通信失敗記録がある場合(ステップS202:Yes)、通信処理部102は通信失敗が発生した時間帯を特定する(ステップS206)。ステップS203では、通信処理部102は、通信状態データの統計データに通信リトライ記録があるか否かを判定する。通信リトライ記録がない場合(ステップS203:No)、通信処理部102は通信のリトライは発生しなかったと判定して通信時間帯の特定を行う(ステップS204)。通信リトライ記録がある場合(ステップS203:Yes)、通信処理部102は、通信リトライの時間帯を特定する(ステップS205)。
【0020】
ステップS204では、通信処理部102は、通信時間が最も長い時間帯を特定する。その後、通信処理部102は、特定した時間帯になったときに遠隔のセンター装置300へ通報する。通信時間が最も長い時間帯を特定することによって、センター装置300との通信状態が所定値よりも悪化する時間帯を特定することができる。ステップS204で特定した時間帯は他の時間帯よりも通信時間を要し、監視装置100とセンター装置300との間の通信は悪化するものの通信は成功しているので、他の時間帯に通報を行う場合でも通信は確実に成功する。
【0021】
ステップS205では、通信処理部102は通信リトライ回数が最も多い時間帯を特定する。その後、通信処理部102は、特定した時間帯になったときに遠隔のセンター装置300へ通報する。通信リトライ回数が最も多く発生する時間帯を特定することによって、センター装置300との通信状態が所定値よりも悪化(低下)する時間帯を特定することができる。ステップS205で特定した時間帯は通信リトライ回数が多く、監視装置100とセンター装置300との通信は悪化するものの通信は成功するので、他の時間帯に通報を行う場合でも通信は確実に成功する。
【0022】
ステップS206では、通信処理部102は、通信失敗が最も多く発生した時間帯を特定する。その後、通信処理部102は、特定した時間帯になったときに遠隔のセンター装置300へ通報する。通信失敗が最も多く発生した時間帯を特定することによって、センター装置300との通信状態が所定値よりも悪化(低下)する時間帯を特定することができる。ステップS206で特定した時間帯は通信状態が所定値よりも悪化(低下)し、監視装置100とセンター装置300との通信は失敗する時間帯である。即ち、ステップS206で特定された時間帯に監視装置100が設備またはエレベーターの異常を検出した場合でも、センター装置300への通報ができないことになり、オペレータは通信状態の改善を図る必要があると判断できる。そして、オペレータは、通信装置の移設、または、シャッターを閉めない等、建屋の運用アドバイス等の対策を講じることができる。
【0023】
このように、本実施例では、監視装置100とセンター装置300との間の通信状態を所定時間毎、所定の期間分統計した通信状態を示す統計データに基づき、通信状態が所定値よりも悪化(低下)する時間帯を特定する。そして、通信状態が所定値よりも悪化(低下)する時間帯に監視装置100からセンター装置300に通報する。これにより、センター装置300では、通信状態が所定値よりも悪化(低下)した時間帯において、監視装置100とセンター装置300との通信が可能か否かを判定することができ、通信ができない場合には早期に通信状態を改善するための措置を講じることができる。
【0024】
(第2実施例)
次に、本発明の第2実施例による監視装置について説明する。本実施例の監視装置は、日にち及び曜日を記録した統計テーブルに基づいて通信状態が悪化する時間帯を曜日に関連づけて確認する。なお、第1実施例と同じ構成については同様の符号を付して説明を省略する。
【0025】
図5は、第2実施例における通信時間特定処理を示すフローチャートである。図5において、ステップS301では、通信処理部102は、ステップS201と同様に、規定期間の通信統計データ有りかの判定(規定期間の通信統計データは有りか否かの判定)を行う。規定期間分の通信統計データがある場合(ステップS301:Yes)、通信処理部102は、通信状態の判定を行うことができると判定し、曜日毎のデータ抽出処理として、通信統計データから曜日毎の通信状態を示すデータを抽出する(ステップS302)。規定期間分の通信統計データがない場合(ステップS301:No)、通信処理部102は処理を終了する。ステップS302では、通信統計データから曜日毎のデータを抽出する。曜日毎の通信状態を示す統計データが記録された統計テーブルを図6に示す。
【0026】
図6は、曜日毎の通信状態を示す統計データが記録された統計テーブルの構成図である。図6において、統計テーブル700は、通信状態統計手段111によって管理されるテーブルであって、各月の曜日701と、時間702から構成される。曜日701には、月曜日から日曜日までの情報が記録され、各曜日の時間702には、通信の成功又は失敗を示す情報703、リトライ回数704、通信時間705が統計データとして記録される。統計テーブル700には、それぞれの曜日において通信状態が所定値よりも悪化(低下)した曜日と時間帯が記録されている。例えば、日曜日の0時はすべての通信が失敗していることが記録されている。
【0027】
ステップS303では、通信処理部102は、曜日毎の統計データに通信失敗記録があるか否かを判定する。通信失敗記録がない場合(ステップS303:No)、通信処理部102は、センター装置300との通信において通信は失敗しなかったと判定し、通信リトライ記録有りかの判定を行う(ステップS304)。通信失敗記録がある場(ステップS303:Yes)合、通信処理部102は通信失敗が発生した時間帯を特定する(ステップS307)。ステップS304では、通信処理部102は、曜日毎の統計データに通信リトライ記録があるか否かを判定する。通信リトライ記録がない場合(ステップS304:No)、通信処理部102は通信のリトライは発生しなかったと判定して通信時間帯の特定を行う(ステップS305)。通信リトライ記録がある場合(ステップS304:Yes)、通信処理部102は、通信リトライがあった曜日とその時間帯とを特定する(ステップS306)。
【0028】
ステップS305では、通信処理部102は、通信時間が最も長い時間帯とその曜日とを特定する。その後、通信処理部102は、特定した曜日の時間帯になったときに遠隔のセンター装置300へ通報する。通信時間が最も長い時間帯とその曜日とを特定することによって、センター装置300との通信状態が所定値よりも悪化(低下)する曜日と時間帯とを特定することができる。ステップS305で特定した曜日と時間帯とは他の曜日または時間帯よりも通信時間を要し、監視装置100とセンター装置300との間の通信は悪化するものの通信は成功しているので、他の時間帯に通報を行う場合でも通信は確実に成功する。
【0029】
ステップS306では、通信処理部102は通信リトライ回数が最も多い時間帯とその曜日を特定する。その後、通信処理部102は、特定した曜日の時間帯になったときに遠隔のセンター装置300へ通報する。通信リトライ回数が最も多く発生する曜日と時間帯とを特定することによって、センター装置300との通信状態が所定値よりも悪化(低下)する曜日とその時間帯とを特定することができる。ステップS306で特定した曜日と時間帯とは通信リトライ回数が多く、監視装置100とセンター装置300との通信は悪化するものの通信は成功するので、他の時間帯に通報を行う場合でも通信は確実に成功する。
【0030】
ステップS307では、通信処理部102は、通信失敗が最も多く発生した時間帯とその曜日を特定する。その後、通信処理部102は特定した曜日の時間帯になったときに遠隔のセンター装置300へ通報する。通信失敗が最も多く発生した曜日とその時間帯とを特定することによって、センター装置300との通信状態が所定値よりも悪化(低下)する曜日とその時間帯とを特定することができる。ステップS307で特定した曜日とその時間帯は通信状態が所定値よりも悪化し、監視装置100とセンター装置300との通信は失敗する時間帯である。即ち、ステップS307で特定された曜日とその時間帯に監視装置100が設備またはエレベーターの異常を検出した場合でもセンター装置300への通報ができないことになり、センター装置300のオペレータは通信状態の改善を図る必要があると判断できる。そして、オペレータは、通信装置の移設、または、シャッターを閉めない等、建屋の運用アドバイス等の対策を講じることができる。
【0031】
このように、本実施例では、監視装置100とセンター装置300との間の通信状態を所定時間毎、規定期間記録した統計テーブルに基づいて曜日毎の統計データを抽出し、通信状態が所定値よりも悪化(低下)する曜日とその時間帯とを特定する。そして、通信状態が所定値よりも悪化(低下)する曜日とその時間帯に監視装置100からセンター装置300へ通報する。これにより、センター装置300では、通信状態が所定値よりも悪化(低下)する曜日とその時間帯に監視装置100とセンター装置300との通信が可能か否かを判定することができ、通信ができない場合には早期に通信を改善するための措置を講じすることができる。
【0032】
以上で本実施例の説明を終えるが、本発明は範囲を超えない範囲で種々の変更が可能である。例えば、第2実施例では、通信処理部102は、通信状態データの統計データから曜日毎に統計データを抽出し、通信状態が所定値よりも悪化(低下)する曜日と時間帯を判定したが、時間帯の判定に用いる情報は曜日に限らず種々の情報を利用可能である。例えば、日付情報を時間帯の判定に用いて、年末等、通信状態が悪化する日付とその時間帯とを判定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0033】
100 監視装置、101 異常検出部、102 通信処理部、111 通信状態統計手段、112 通信時間特定手段、200 無線装置、300 センター装置、400 交換機。
図1
図2
図3
図4
図5
図6