(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載のシステムにおいて、前記マニホールドが第1の側面および第2の側面を有し、前記第1の側面は、前記組織部位に隣接して位置決めされるように適合され、および前記第2の側面は、前記シーリングドレープの前記内部表面に隣接して位置決めされるように適合されることを特徴とする、システム。
請求項1に記載のシステムにおいて、前記シーリングドレープが、前記組織部位を越えて延在し、かつ前記組織部位を取り囲む周囲面に重なり合うように適合され、および前記シーリングドレープの前記内部表面は、前記周囲面に隣接して位置決めされるように適合されていることを特徴とする、システム。
請求項1に記載のシステムにおいて、前記吸収材を担持するキャリヤをさらに含み、前記キャリヤおよび前記吸収材は、前記シーリング材の第1の層と第2の層との間に配置されていることを特徴とする、システム。
請求項1に記載のシステムにおいて、前記シーリングドレープの前記シーリング材に関連付けられた複数の吸収材をさらに含み、前記複数の吸収材の吸収能力は、前記シーリングドレープの前記内部表面から前記シーリングドレープの横断面を通る距離が増すにつれて、高くなることを特徴とする、システム。
請求項1に記載のシステムにおいて、前記吸収材が、相互接続された吸収性繊維、吸収性粒子、およびシート様の吸収層の三次元構造を含むことを特徴とする、システム。
請求項1に記載のシステムにおいて、前記シーリングドレープの前記シーリング材が、前記吸収材に保持された流体を、前記シーリングドレープの前記外部表面を通して蒸発させるように適合されていることを特徴とする、システム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の、説明に役立つ非限定的な実施形態の詳細な説明において、その一部をなす添付図面を参照する。本明細書の範囲から逸脱せずに、他の実施形態を使用してもよく、および論理的、構造的、機械的、電気的および化学的な変更を行ってもよい。当業者が、本明細書で説明する実施形態を実施できるようにするのに必要ではない詳細に関する説明を避けるために、詳細な説明では、当業者に公知の特定の情報に関する説明を省略し得る。以下の詳細な説明は、限定されずに提供され、説明に役立つ実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0013】
全体的に図面を参照して、本明細書は、組織部位102を治療するためにシーリングドレープ101を使用する減圧治療システム100を提供する。減圧治療システム100は、限定されるものではないが、表皮106、真皮108を通って延び、および皮下組織(hypodermisまたはsubcutaneous tissue)110に達する創傷104を含み得る組織部位102との関連で提示される。減圧治療システム100は、減圧ドレッシング112、減圧源114、および減圧供給導管116を含み得る。減圧供給導管116は、減圧源114から減圧ドレッシング112へ減圧をもたらし得る。下記で説明するように、シーリングドレープ101は、減圧ドレッシング112の構成要素であり、組織部位102との流体シールをもたらす一方で、組織部位102の表面が水分で飽和しないようにし得る。
【0014】
これに関連して、用語「組織部位」は、例えば、骨組織、脂肪組織、筋組織、神経組織、皮膚組織、脈管組織、結合組織、軟骨、腱、または靭帯を含むがこれらに限定されない、いずれかの組織上にあるまたはその内部の、創傷または欠損を指し得る。創傷は、限定されるものではないが、組織でのいずれかの不規則性、例えば、開放創、外科的切開、または病変組織を含み得る。例えば、創傷は、慢性の、急性の、外傷性の、亜急性の、および離開した創傷、中間層熱傷、潰瘍(例えば糖尿病潰瘍、圧迫潰瘍、または静脈不全潰瘍)、弁、およびグラフトを含み得る。用語「組織部位」はまた、必ずしも傷ついても欠損してもいない任意の組織領域であるが、その代わりに、追加的な組織の成長を支援または促進することが望ましいとし得る領域を指し得る。例えば、いくつかの組織領域において減圧を使用して、追加的な組織を成長させ、それら組織を採取し、別の組織の箇所に移植してもよい。
【0015】
概して、減圧治療システム100のそれぞれの構成要素は、直接または間接的に結合され得る。例えば、減圧源114は、減圧ドレッシング112に直接結合されても、または減圧ドレッシング112に、減圧供給導管116を通して間接的に結合されてもよい。構成要素は互いに流体的に結合されて、構成要素間で流体、例えば液体または気体を移動させる経路を提供し得る。一部の実施形態では、構成要素は、チューブに流体的に結合され得る。本明細書では「チューブ」は、任意のチューブ、パイプ、ホース、導管、または2つの端部間で流体を運ぶように適合された、1つ以上のルーメンを備える他の構造体を指し得る。一部の実施形態では、構成要素は、単一の構造体と一体的であるかまたは同じ材料部片から形成される物理的近接によって、結合され得る。結合はまた、いくつかの状況において、機械的、熱的、電気的、または化学的な結合(ケミカルボンドなど)を含み得る。
【0016】
「減圧」は、治療が施される組織部位における、周囲圧力を下回る圧力を指し得る。減圧は、大気圧を下回り得る。減圧はまた、組織部位における静水圧を下回り得る。他に指定のない限り、本明細書で述べる圧力の値はゲージ圧である。本明細書での使用に一致して、減圧または真空圧の上昇への言及は、一般に絶対圧の相対的低下を指し得る。
【0017】
減圧源114は、減圧治療システム100の一部として、減圧をもたらし得る。減圧源114は、真空ポンプ、壁面吸い込み具、マイクロポンプ、または他の減圧源などの、減圧を供給するための任意の装置とし得る。組織部位に行われる減圧の量および性質は治療適用例に従って変化し得るが、減圧は、約−5mm Hg(−667Pa)〜約−500mm Hg(−66.7kPa)とし得る。一部の実施形態では、減圧は、約−75mm Hg(−9.9kPa)〜約−300mm Hg(−39.9kPa)とし得る。
【0018】
図1に示すように、一部の実施形態では、減圧ドレッシング112は、マニホールド118、シーリングドレープ101、および減圧インターフェース122を含み得る。マニホールド118は、第1の側面119および第2の側面121を有し得る。マニホールド118の第1の側面119は、組織部位102内に、その上側を覆って、それに近接して、それに隣接して、またはそれと直接接触して配置され得る。
【0019】
マニホールド118は、例えば、組織部位102に減圧を適用するか、流体を送達するか、組織部位102から流体を除去することができる物体または構造体とし得る。マニホールド118は、シーリングドレープ101と組織部位102との間に位置決めされ得る。マニホールド118は、部分的にまたは全体的に組織部位102と接触し得る。マニホールド118は、組織部位102を部分的にまたは完全に塞ぎ得るか、またはマニホールド118は、組織部位102の上側を覆って配置され得る。マニホールド118は多くの形態をとってもよく、および様々な要因、例えば、施されている治療のタイプ、または特定の組織部位の性質およびサイズなどに依存して、任意のサイズ、形状、または厚さとし得る。例えば、マニホールド118のサイズおよび形状は、深くて不規則な形状の組織部位の輪郭に適合され得る。
【0020】
マニホールド118は複数の流路または流れ経路を含み、これら複数の流路または流れ経路は、組織部位102に流体を分配しかつそこから流体を除去するように構成し得る。一部の実施形態では、流路または流れ経路は相互に接続されて、組織部位102に提供されるまたはそこから除去される流体の分配を改善し得る。マニホールド118は、組織部位102と接触して配置されかつ組織部位102に減圧を分配することができる生体適合性材料とし得る。例えば、マニホールド118は、限定されるものではないが、流路を形成するように配置された構造要素を有する装置、例えば、気泡質の発泡体、連続気泡発泡体、多孔性組織集合体、流路を含むまたは硬化して流路を含む、液体、ゲルおよび他の発泡体を含み得る。さらに、マニホールド118は、ガーゼ、フェルトのマット、または特定の生物学的応用に好適な任意の他の材料とし得る。
【0021】
一部の実施形態では、マニホールド118は、流路の機能を果たす連続気泡や細孔を有し得る多孔質発泡体とし得る。多孔質発泡体は、例えば、疎水性材料、例えば、Kinetic Concepts,Inc.(San Antonio、Texas)製の商品名GranuFoam(登録商標)から製造されたポリウレタン製の連続気泡の網状発泡体とし得る。一部の実施形態では、マニホールドはまた、薬剤、抗菌薬、成長因子、および様々な溶液などの流体を組織部位102に分配するためにも使用し得る。マニホールド118に、またはマニホールド118上に、例えば吸収材、ウィッキング材料、疎水性材料、および親水性材料などの他の層も含まれ得る。
【0022】
一部の実施形態では、マニホールド118は、組織部位102にわたって減圧を分配し続ける間に組織部位102から流体を吸い上げることができる親水性材料から作製され得る。マニホールド118のウィッキングすなわち吸い上げ特性は、毛細管流動または他のウィッキング機構によって組織部位102から流体を引き出し得る。親水性発泡体の例は、ポリビニルアルコール製の連続気泡発泡体、例えばKinetic Concepts,Inc.(San Antonio、Texas)から入手可能なV.A.C. WhiteFoam(登録商標)ドレッシングとし得る。他の親水性発泡体は、ポリエーテルから作製されたものを含み得る。親水性を示し得る他の発泡体は、親水性をもたらすように処理または被覆された疎水性発泡体を含む。
【0023】
マニホールド118は、減圧ドレッシング112内に減圧が存在するとき、組織部位における肉芽形成を促進させ得る。例えば、マニホールド118の表面のいずれかまたは全ては、凸凹した、粗い、またはギザギザしたプロファイルを有することがあり、マニホールド118を通して減圧が行われるとき、組織部位102において微小歪みおよび応力を誘発し得る。
【0024】
一部の実施形態では、マニホールド118は、減圧ドレッシング112の使用後に患者の体に留めてもよい生体再吸収性材料から構成し得る。好適な生体再吸収性材料は、限定されるものではないが、ポリ乳酸(PLA)とポリグリコール酸(PGA)とのポリマーブレンドを含み得る。ポリマーブレンドはまた、限定されるものではないが、ポリカーボネート、ポリフマレート、およびカプララクトン(capralactone)を含み得る。マニホールド118は、新しい細胞増殖のための足場としての機能をさらに果たしてもよいし、または細胞増殖を促進するためにマニホールド118と足場材料が一緒に使用されてもよい。足場は、細胞増殖または組織形成を増進させるまたは促進するのに使用される物体または構造体であり、例えば、細胞増殖のテンプレートを提供する三次元の多孔質構造体とし得る。足場材料の説明に役立つ例は、リン酸カルシウム、コラーゲン、PLA/PGA、コーラルヒドロキシアパタイト、カーボネート、または加工された同種移植片材料を含み得る。
【0025】
シーリングドレープ101は、マニホールド118の第2の側面121を被覆しかつ組織部位102に近接した周囲面128に対して封止するように適合され得る。それゆえ、シーリングドレープ101は、減圧ドレッシング112と組織部位102との間に流体シールをもたらし得る。「流体シール」または「シール」は、関連の特定の減圧源によって与えられた減圧を所望の部位において維持するのに適切なシールを指し得る。
【0026】
周囲面128は、組織部位102の周辺の無傷の表皮106とし得る。それゆえ、シーリングドレープ101は、組織部位102に近接して密閉空間123をもたらしてもよく、この密閉空間は、外部環境から実質的に隔離されており、かつ減圧源114によってもたらされた減圧を維持できる。マニホールド118を通して密閉空間123に適用された減圧は、組織部位102にマクロ歪みおよび微小歪みを誘発することによって、ならびに組織部位102から滲出液および他の流体を除去することによって、治癒を促すことができる。組織部位102からの流体は、減圧源114に関連付けられた流体キャニスター(図示せず)によって収集されて、廃棄され得る。
【0027】
シーリングドレープ101は、エラストマー性材料を含み得る。「エラストマー性」は、エラストマーの特性を指し、例えばゴムのような特性を有するポリマー材料を指し得る。より具体的には、一部のエラストマーは、100%超の極限伸び、および相当の弾力性を有する。材料の弾力性は、弾性変形から回復する材料の能力を指し得る。
【0028】
一部の実施形態では、減圧ドレッシング112はまた、組織部位102とシーリングドレープ101との間に位置決めされた追加的な層(図示せず)を含み得る。例えば、減圧ドレッシング112は、さらに、吸収層、組織境界層、または追加的なマニホールド層を含み得る。減圧ドレッシング112はまた、シーリングドレープ101を周囲面128に接着または他の方法で封止できる取付装置(図示せず)を含み得る。組織部位の周りでシーリングドレープ101を接着するための取付装置として使用するのに好適な材料は、例えば、シリコーンおよびホットメルト接着剤を含み得る。他の取付装置は、例えば、ヒドロゲルおよび親水コロイドを含み得る。
【0029】
減圧は、減圧インターフェース122を通して減圧ドレッシング112に適用され得る。減圧インターフェース122は、シーリングドレープ101にあるアパーチャ124を通してシーリングドレープ101に流体的に結合され得る。
図1の説明に役立つ例では、アパーチャ124は、シーリングドレープ101の中心に配置されて示されている。しかしながら、アパーチャ124は、限定されるものではないが、シーリングドレープ101の縁部に隣接し得るシーリングドレープ101の周辺部分を含め、シーリングドレープ101上のどこに配置してもよい。アパーチャ124を円形であるとして示すが、アパーチャ124は任意の形状を有し得る。アパーチャ124の形状はまた、減圧供給導管116の輪郭に適合され得るか、またはその形状に実質的に調整され得る。減圧インターフェース122は、密閉空間123と減圧供給導管116との間にアパーチャ124を通して流体連通をもたらし得る。
【0030】
減圧源114によってもたらされた減圧は、減圧供給導管116を通って減圧インターフェース122に送達され得る。それゆえ、減圧源114は、減圧供給導管116によって減圧インターフェース122に流体的に結合され得る。一部の実施形態では、減圧インターフェース122は、Kinetic Concepts,Inc.(San Antonio、Texas)から入手可能なT.R.A.C.(登録商標)PadまたはSensa T.R.A.C.(登録商標)Padとし得る。減圧インターフェース122は、シーリングドレープ101に減圧を送達して、シーリングドレープ101と組織部位102との間に形成された密閉空間123内で減圧を実現できるようにし得る。一部の実施形態では、減圧インターフェース122は、シーリングドレープ101を通ってマニホールド118まで延在できるが、多数の配置構成が可能である。減圧インターフェース122は、シーリングドレープ101のアパーチャ124を通してマニホールド118および組織部位102まで減圧を送達し得る。
【0031】
減圧ドレッシング112に減圧を適用すると、組織部位102からの滲出液などの流体は、マニホールド118に引き入れられ得る。その結果、ある程度の流体がまた、シーリングドレープ101(組織部位102を取り囲む周囲面128に隣接し得るシーリングドレープ101の部分を含む)と、接触するようにされ得る。周囲面128とシーリングドレープ101との間の境界面における水分が、シーリングドレープ101と周囲面128との間のシールに対して悪影響を及ぼし、かつ浸軟の危険性を高め得る。「浸軟」または「浸軟する」は、水分に長時間さらされる結果としての、組織の軟化または破壊を指し得る。
【0032】
減圧治療システム100のシーリングドレープ101は、組織部位102との流体シールを維持する一方で周囲面128が水分で飽和されないようにすることによって、これらの欠点および他の欠点を克服できる。シーリングドレープ101は、濡れているまたは乾いているときに組織部位102に接着し、皮膚の水分を伝達しかつ低レベルに管理して浸軟を防止し、および長時間、適所に残され得る。
【0033】
引き続き、
図1の実施形態では、シーリングドレープ101は、外部表面130および内部表面132を有し得る。内部表面132は、組織部位102に対面するように適合され得る。前述の通り、シーリングドレープ101は、周囲面128に封止式に係合して、組織部位102との密閉空間123をもたらすように適合され得る。シーリングドレープ101の内部表面132は、組織部位102を取り囲む周囲面128に接触して、密閉空間123をもたらし得る。シーリングドレープ101はまた、事実上、伸縮性または弾性とし得る。シーリングドレープ101が伸縮性であることによって、様々な形状、トポロジー、または可撓性条件を有する組織部位に近接してシーリングドレープ101を配置するのを容易にし得る。シーリングドレープ101は、組織部位102を越えて延在し、組織部位102を取り囲む周囲面128に重なり合うようなサイズにされ得る。
【0034】
シーリングドレープ101は、シーリング材134および吸収材136を含み得る。シーリング材134は、流体透過性としてもよく、シーリングドレープ101に実質的にシート様の構造体を提供してもよく、およびシーリングドレープ101の内部表面132の一部を形成してもよい。吸収材136は、例えば、シーリング材134内に含まれても、シーリング材134全体に分散されても、またはシーリング材134内にシート様の層として埋め込まれてもよい。吸収材136は、組織部位102の周囲面128から流体を引き出すかまたは吸い上げることによって、組織部位102からの水分、例えば滲出液を吸収するように適合され得る。
【0035】
シーリング材134は、任意の実質的に純粋な疎水性材料で構成され、および、流体、例えば液体または気体が、シーリング材134によって吸収されることなく、シーリング材134を通過できるようにする材料および構造体を含め、様々な構造を有し得る。本明細書では、実質的に純粋な疎水性材料は、親水性材料が流体を保持する傾向を有するために、親水性成分が実質的にないとし得る。例えば、シーリング材134の実質的に純粋な疎水性材料は、親水性モノマーなどの親水性成分を含むコポリマーではないかもしれない。シーリング材134は、例えば、疎水性エラストマー、例えば疎水性シリコーンエラストマーを含み得る。シーリング材134が疎水性であることによって、シーリング材134が、組織部位102からの流体、例えば滲出液を直接吸収せず、流体が通過できるようにし得る。それゆえ、シーリング材134は、周囲面128および組織部位102からの流体の通過を可能にし、組織部位102に対して維持されるシールに対するいずれの悪影響も実質的に除外し得る。このようにして、シーリング材134は、減圧ドレッシング112における流体の管理を高め、組織部位102に対する継続的な流体シールを可能にする一方で、組織部位102および周囲領域を浸軟から保護し得る。
【0036】
吸収材136は、流体を吸収できる親水性材料とし得る。吸収材136は、本明細書で説明するようにシーリングドレープ101を提供するためのシーリング材134に結合された、別個のおよび異なる構成要素とし得る。一部の実施形態では、吸収材136は、超吸収材を含み得る。例えば、吸収材136は、1種以上の超吸収材、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)またはカルボキシメチルセルロース塩、親水性の架橋アクリルまたは親水性の架橋アクリル酸塩、またはアクリルアミドなどを含み得る。
【0037】
シーリング材134と結合されると、吸収材136は、組織部位102から流体を引き出すまたは他の方法で吸い上げるための吸収勾配を提供し得る。組織部位102からの流体は、吸収勾配によって、シーリング材134を通して引き出され、その後、吸収材136によって吸収される。吸収材136は、流体を、物理的または化学的変化と相俟って、吸収材136に保持し得るかまたはそれに結合し得る。吸収材136、例えばゲルは、組織部位102からの流体と接触すると、粘度を高め、または他の方法で増粘し、それにより、流体を捕捉し得る。吸収材136の吸い上げ特性は、組織部位102から流体を迅速に引き出すため、組織部位102にまたはその付近に流体が蓄積しないようにし得る。同様の方法で、シーリング材134は、吸収材136によって吸収されたかまたは他の方法でシーリング材134を通ってシーリングドレープ101の外部表面130の方へ移動された流体の蒸発を促し得る。組織部位102からの流体は、シーリング材134を通過して、上述のように吸収材136に達し得るため、シーリング材134は、組織部位102と吸収材136とを分離させ得る。それゆえ、シーリング材134は、シーリングドレープ101の内部表面132と吸収材136との間に位置決めされ得る。さらに、シーリング材134は、吸収材136によって吸収された流体が、組織部位102および周囲面128に接触しないように実質的に妨げ得る。
【0038】
シーリング材134は、様々な要因、例えば施される治療のタイプ、組織部位102の性質、または周囲面128の性質に依存して、任意のサイズ、形状、または厚みを有し得る。シーリング材134の厚さは、組織部位102と吸収材136との間のセパレータとして、シーリング材134の有効性を最適にするために増減され得る。例えば、組織部位102が大量の流体を放出すると予期される適用例では、流体が組織部位102または周囲面128に接触するのを抑えるまたは防止するためには、厚いシーリング材134が望ましいとし得る。反対に、存在する流体が少量である適用例では、薄いシーリング材134が望ましいとし得る。例えば、シーリング材134は、約100マイクロメートル〜約200マイクロメートルの厚さとし得る。シーリング材134の厚さはまた、適用例に依存して、シーリングドレープ101を構成している、シーリング材134対吸収材136の所望の比率に従って、調整され得る。一部の実施形態では、シーリング材134および吸収材136を含むシーリングドレープ101の全厚は、約250マイクロメートルとし得る。
【0039】
吸収材136は、シーリング材134内のシート様の層にわたって分散され得るおよび/または埋め込まれ得る。
図2は、シーリングドレープ201にわたって分散された吸収性粒子236を有するシーリング材134を含み得るシーリングドレープ201の実施形態を示す。吸収性粒子236は、前述の吸収材136を提供し得る。吸収性粒子236は、様々な要因、例えば組織部位102の性質、または組織部位102によって放出されると見込まれる流体の量に依存して、任意のサイズまたは形状を有し得る。組織部位102が大量の流体を放出する適用例では、流体に対して適切な吸収能力をもたらすために、大きな吸収性粒子236が望ましいとし得る。
【0040】
図3は、吸収性繊維336、例えば細長いチューブが、シーリング材134にわたって分散されているシーリングドレープ301の別の実施形態を示す。吸収性繊維336は、上述の吸収材136を提供し得る。吸収性繊維336は、組織部位102によって放出されると見込まれる流体の量を含む様々な要因に依存して、任意のサイズまたは形状を有し得る。本明細書は、本明細書で説明するように、吸収性粒子236と吸収性繊維336の混合物がシーリング材134内に分散された実施形態を考慮する。
【0041】
図4は、吸収材136が、シーリング材134内に位置決めされた吸収層436を含む、シーリングドレープ401の別の実施形態を示す。シーリングドレープ401は、シーリング材134の第1の層134aと、シーリング材134の第2の層134bとを含み得る。吸収層436は、第1の層134aと第2の層134bとの間に位置決めされ得る。第1の層134a、第2の層134b、および吸収層436は、それぞれ、同じ厚さを有しても、または異なる厚さを有してもよい。それゆえ、吸収層436は、第1および第2の層134a、134bのそれぞれの厚さに依存して、シーリングドレープ401の外部表面130およびシーリングドレープ401の内部表面132から様々な距離に配置され得る。
【0042】
吸収層436は、不織または織りの構造体として設けられ得る。例えば、吸収層436は、CMC繊維の不織または織りのシートを含み得る。吸収層436内の空間またはボイドは、減圧ドレッシング112に適用される減圧を、吸収層436内におよびそれを通して伝えることができるようにし得る。
【0043】
さらに、吸収層436は、様々な要因、例えば施される治療のタイプまたは組織部位102の性質に依存して、任意のサイズ、形状、または厚さを有し得る。吸収層436のサイズおよび形状は、使用者によって、シーリングドレープ401の特定の部分を通って延在するようにカスタマイズされ得る。それゆえ、吸収層436は、組織部位102の特定の部分または近くの組織を被覆するように設計され得る。例えば、吸収層436の幅または厚さは、吸収層436の流体貯蔵容量を対応して増加させるように、増大され得る。
【0044】
図2〜3を参照すると、一部の実施形態では、吸収性粒子236および/または吸収性繊維336は、シーリング材134にわたって実質的に均一に分散または他の方法で配置され得る。吸収性粒子236および/または吸収性繊維336の実質的に均一な分散は、吸収される前に流体が内部表面132から移動する必要がある距離を短くし得る。下記で説明するように、一部の実施形態では、吸収性粒子236および/または吸収性繊維336および/または吸収層436を用いるシーリングドレープ101のための構成を使用することによって、使用者は、所望の適用例に関して、シーリングドレープ101の横断面を通る吸収勾配をカスタマイズし得る。さらに、一部の実施形態では、吸収性粒子236および/または吸収性繊維336は、所望の密度およびシーリングドレープ101内の位置で、シーリング材134内に分散または他の方法で配置され、特定の適用例に適合し得る。
【0045】
図5は、シーリング材134に関して上述したように構成された複数の前述の吸収材236、336、436を有し得るシーリングドレープ501の別の実施形態を示す。吸収材236、336、436は、上述のようなシール部材134を備えて構成され、かつシーリングドレープ501内で互いに対して複数の層になるように位置決めされ得る。さらに、吸収材236、336、436は、同じ寸法を有してもまたは異なる寸法を有してもよく、かつ同じ吸収特性を含んでもまたは異なる吸収特性を含んでもよい。一部の実施形態では、複数の吸収材236、336、436の密度は、シーリングドレープ501の横断面を通るシーリングドレープ501の内部表面132からの距離、例えば、内部表面132から外部表面130の方へ向かう距離などが増すと共に、高くなり得る。同様に、シーリングドレープ501は、内部表面132からの距離が増すと共に、吸収材236、336、436のシーリング材134に対する比率が高くなり得る。一部の実施形態では、吸収材236、336、436は、内部表面132からの距離が増すと共に、親水性または吸収性が増し得る。さらに、一部の実施形態では、複数の吸収材236、336、436はシーリングドレープ501内に配置され得るため、内部表面132から最も遠くに位置決めされた吸収材236、336、436は、内部表面132に近いものよりも、多くの流体を吸収する。例えば、内部表面132から最も遠くに位置決めされた吸収層436は、
図5に示すように、内部表面132の近くに連続的に位置決めされた吸収材336、236よりも高い流体貯蔵容量を有し得る。このように、複数の吸収材236、336、436は吸収材の三次元ネットワークを提供して、組織部位102からの水分移動を促進し、かつ組織部位102から最大の距離の場所に水分を保持し得る。この構成は、上述の通りカスタマイズされて、所望の吸収勾配、透湿度(MVTR)、および流体貯蔵容量をもたらして、特定の適用例に適合し得る。
【0046】
図6は、キャリヤ635によって担持される吸収材136を含み得るシーリングドレープ601の別の実施形態を示す。吸収材136を含むキャリヤ635は、シーリング材134内に位置決めされ得る。例えば、シーリングドレープ401と同様に、シーリングドレープ601は、シーリング材134の第1の層134aおよび第2の層134bを含み得る。キャリヤ635は、第1の層134aと第2の層134bとの間の層として位置決めされ得る。それゆえ、キャリヤ635は、吸収材136を担持する支持構造体を提供し得る。キャリヤ635は、様々な形状およびサイズのいずれかを含み、および任意の好適な不織または織りの材料を含み得る。一部の実施形態では、キャリヤ635は、シート様の構造体に形成される不織の疎水性ポリプロピレン材料を含み得る。キャリヤ635は、吸収材136に支持および強度をもたらし得る。一部の実施形態では、吸収材136は、キャリヤ635内に、吸収性粒子236および/または吸収性繊維336として分散され得る。
【0047】
シーリングドレープ101、201、301、401、501、および601は、組織部位102に自己封止し得るか、または追加的なシール装置を必要とし得る。上述の通り、一実施形態では、シーリングドレープ101、201、301、401、501、および601のシーリング材134は、疎水性シリコーンエラストマーを含んでもよく、疎水性シリコーンエラストマーは、シリコーン接着剤として機能し、かつ組織部位102の周囲面128、表皮106、またはマニホールド118とダイレクトボンドすなわち直接結合を形成し得る。
【0048】
一部の実施形態では、減圧ドレッシング112は、組織部位102の周りでシーリングドレープ101、201、301、401、501、および601を流体封止するために追加的な取付装置(図示せず)を含み得る。取付装置は、シーリングドレープ101、201、301、401、501、および601の内部表面132に取り付けられ、かつシーリングドレープ101、201、301、401、501、および601を表皮106に流体封止して、組織部位102を取り囲む密閉空間123を提供し得る。取付装置は、シーリングドレープ101、201、301、401、501、および601の内部表面132の少なくとも一部分を被覆し得る。取付装置は、限定されるものではないが、シーリングドレープ101、201、301、401、501、および601の周辺、一部分、または全体に延在する、医学的に容認できる感圧接着剤、両面ドレープテープ、糊、親水コロイド、ヒドロゲル、または同様のシール装置を含み得る。このように、シーリングドレープ101、201、301、401、501、および601は、周囲面128に接着して、減圧ドレッシング112を組織部位102に固定するように適合され得る。
【0049】
動作の説明に役立つ実施形態では、減圧治療システム100は、外科的処置後に手術室においてまたは他の場所で患者に適用され得る。例えば、マニホールド118は、組織部位102に近接して、その内部に、それに重なり合って、またはそれに接触して配置され得る。シーリングドレープ101、201、301、401、501、および601は、マニホールド118の上側を覆ってまたは他の方法でそれを被覆して配置されてもよく、シーリングドレープ101、201、301、401、501、および601の一部分が組織部位102の周りの周囲面128に重なり合う。組織部位102とシーリングドレープ101、201、301、401、501、および601との間に流体シールを形成するために、シーリングドレープ101、201、301、401、501、および601は周囲面128に固定され得る。流体シールは、減圧治療システム100が組織部位102で減圧を所望の治療時間維持することができるようにするのに適切でありさえすれば十分である。減圧ドレッシング112の個々の構成要素は、ヘルスケア提供者によって行われている特定の適用例または処置に従うサイズにされ得る。例えば、減圧ドレッシング112の構成要素は、腹部、胸部、腿、臀部、および他の箇所などの異なる解剖学的適用例で機能するようなサイズ、形状にされ、かつそのように構成され得る。
【0050】
減圧インターフェース122は、シーリングドレープ101、201、301、401、501、および601の設置前または設置後に、シーリングドレープ101、201、301、401、501、および601に流体的に結合され得る。減圧導管116は、減圧インターフェース122に流体的に結合され得る。減圧インターフェース122はまた、省略してもよく、および減圧導管116は、密閉空間123と流体連通して、シーリングドレープ101、201、301、401、501、および601に直接挿入されてもよい。減圧導管116は、減圧源114に流体的に結合され得る。減圧源114は、組織部位102を取り囲むシーリングドレープ101、201、301、401、501、および601によってもたらされた密閉空間123に減圧を送達するように、作動され得る。一部の実施形態では、減圧源114は、減圧ドレッシング112内にまたはその上にあるマイクロポンプとし得る。
【0051】
減圧ドレッシング112に減圧を行うと、組織部位102からの滲出液または他の流体は、マニホールド118へ、シーリングドレープ101、201、301、401、501、および601へ、および減圧インターフェース122を通って引き込まれ得る。流体が組織部位102から引き出されるとき、周囲面128と、減圧ドレッシング112の構成要素とが湿潤し、これには、シーリングドレープ101、201、301、401、501、および601が組織部位102の周りの周囲面128に接触する箇所のシーリングドレープ101、201、301、401、501、および601の内部表面132を含む。シーリングドレープ101、201、301、401、501、および601は水分を組織部位102の周囲面128から離れるように移動させることができるため、シーリングドレープ101、201、301、401、501、および601は、組織部位102との流体シールを維持し得る。シーリングドレープ101、201、301、401、501、および601は、流体が、シーリングドレープ101、201、301、401、501、および601の内部表面132を通過して、シーリングドレープ101、201、301、401、501、および601のシーリング材134内に含まれる吸収材136に達するようにできるため、組織部位102の飽和、および浸軟が発生する可能性を防止するのを助ける。
【0052】
本明細書はまた、減圧治療システム100と一緒に使用するためのシーリングドレープ101、201、301、401、501、および601を製造する方法を提供する。一部の実施形態では、方法は、シーリング材134を提供するステップと、シーリング材134内に吸収材136を配置するステップとを含み得る。吸収材136は、上述の吸収性粒子236、吸収性繊維336、吸収層436、またはそれらの任意に組み合わせとし得る。
【0053】
シーリングドレープ201、301などの、吸収性粒子236および吸収性繊維336を用いる実施形態では、方法は、シーリング材134を硬化または他の方法で凝固させる前に、シーリング材134内で吸収性粒子236および/または吸収性繊維336を混合するステップを含み得る。方法は、さらに、吸収性粒子236および/または吸収性繊維336の混合物を所望の形状、例えばシートに形成するステップと、混合物を硬化または他の方法で凝固させるステップとを含み得る。一部の実施形態では、吸収性粒子236および/または吸収性繊維336は、シーリング材134内で混合されて、シーリング材134内で吸収性粒子236および/または吸収性繊維336を実質的に均一に分散させるようにし得る。一部の実施形態では、吸収性粒子236および/または吸収性繊維336は、シーリング材134内で混合されて、シーリング材134内の所望の箇所において、吸収性粒子236および/または吸収性繊維336の所望の密度をもたらし得る。
【0054】
シーリングドレープ401などの、吸収層436を用いる実施形態では、方法は、シーリング材134の第1の層134aを提供するステップと、シーリング材134の第2の層134bを提供するステップとを含み得る。方法は、さらに、吸収層436を提供するステップと、第1の層134aと第2の層134bとの間に吸収層436を位置決めするステップと、吸収層436の周囲を第1の層134aおよび第2の層134bで囲むステップとを含み得る。他の実施形態では、シーリング材134の複数の層および吸収層436を使用して、特定の適用例に適合し得る。
【0055】
シーリングドレープ601など、キャリヤ635を用いる実施形態では、方法は、吸収材136、例えば吸収性粒子236および/または吸収性繊維336を、キャリヤ635によって担持するステップを含み得る。例えば、吸収性粒子236および/または吸収性繊維336は、キャリヤ635の上述の不織または織りの構造によって支持および保持するために、キャリヤ635に適用され得る。方法は、さらに、シーリング材134の第1の層134aを提供するステップと、シーリング材134の第2の層134bを提供するステップとを含み得る。さらに、方法は、吸収材136を含むキャリヤ635を、第1の層134aと第2の層134bとの間に位置決めするステップと、キャリヤ635の周囲を第1の層134aおよび第2の層134bで囲むステップとを含み得る。一部の実施形態では、シーリング材134の複数の層、および吸収材136を含むキャリヤ635を使用して、特定の適用例に適合し得る。
【0056】
いくつかの説明に役立つ非限定的な実施形態に照らして治療システム100を開示したが、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本明細書の範囲から逸脱せずに、様々変更、代替、置換、および修正をなし得る。いずれかの一つの実施形態に関連して説明された任意の特徴はまた、任意の他の実施形態にも適用可能とし得る。