特許第6474732号(P6474732)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6474732
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】激痛治療用組成物と方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20190218BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20190218BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20190218BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20190218BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20190218BHJP
【FI】
   A61K45/00
   A61P29/00
   A61K47/10
   A61K47/14
   A61K47/44
【請求項の数】18
【全頁数】87
(21)【出願番号】特願2015-552092(P2015-552092)
(86)(22)【出願日】2014年1月14日
(65)【公表番号】特表2016-504401(P2016-504401A)
(43)【公表日】2016年2月12日
(86)【国際出願番号】EP2014050628
(87)【国際公開番号】WO2014108569
(87)【国際公開日】20140717
【審査請求日】2017年1月13日
(31)【優先権主張番号】61/752,356
(32)【優先日】2013年1月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515192346
【氏名又は名称】インファースト ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ブリュー,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】バニスター,ロビン マーク
【審査官】 菊池 美香
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−539230(JP,A)
【文献】 特表2000−515130(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/104655(WO,A2)
【文献】 特表2008−521807(JP,A)
【文献】 特表2002−511099(JP,A)
【文献】 特開平03−135925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 45/00
A61K 47/10
A61K 47/14
A61K 47/44
A61P 29/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬組成物であって、
a)抗疼痛活性を有する治療化合物、および
b)前記医薬組成物の30重量%〜95重量%の薬学的に許容可能なアジュバントであって、前記薬学的に許容可能なアジュバントが、前記医薬組成物の少なくとも30重量%のハードファットと、モノグリセリドとを含む疎水性脂質である、薬学的に許容可能なアジュバント、および
c)前記医薬組成物の1重量%〜50重量%の量である薬学的に許容可能な溶媒であって、薬学的に許容可能なポリプロピレングリコール(PPG)ポリマー、薬学的に許容可能なポリエチレングリコール(PEG)ポリマーまたはそれらの任意の組み合わせである、薬学的に許容可能な溶媒、
を含み、
乳化剤も親水性溶媒も含まず、
15℃以下の温度で固体となるように製剤化されており、且つ25℃以上の融点を有する、
医薬組成物。
【請求項2】
前記治療化合物は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、PPARγアゴニスト、核受容体結合剤、抗高脂血症剤、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記ハードファットはトリグリセリドを含む、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記トリグリセリドは、41℃〜45℃の融点を有する飽和C10〜C18トリグリセリドの混合物を含む、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記ハードファットは、前記医薬組成物の30重量%〜50重量%または前記医薬組成物の35重量%〜45重量%の量である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記モノグリセリドはグリセリルモノリノレアートを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記薬学的に許容可能なアジュバントは、ジグリセリド、トリグリセリド、またはそれらの任意の組み合わせをさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記PEGポリマーは、液体のPEGポリマーである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記薬学的に許容可能なPEGポリマーは2,000g/mol未満である、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記液体のPEGポリマーは、PEG100、PEG200、PEG300、PEG400、PEG500、PEG600、PEG700、PEG800、PEG900、PEG1000、またはそれらの組み合わせである、請求項8または9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記PPGポリマーは、液体のPPGポリマーである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記薬学的に許容可能なPPGポリマーは2,000g/mol未満である、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記液体のPPGポリマーは、PPG100、PPG200、PPG300、PPG400、PPG500、PPG600、PPG700、PPG800、PPG900、PPG1000、またはそれらの組み合わせである、請求項11または12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記薬学的に許容可能な溶媒は、前記医薬組成物の4重量%〜30重量%、前記医薬組成物の6重量%〜20重量%、前記医薬組成物の8重量%〜15重量%、前記医薬組成物の7重量%〜13重量%、前記医薬組成物の8重量%〜12重量%、または前記医薬組成物の9重量%〜11重量%の量である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記乳化剤は、界面活性剤、多糖類、レクチン、およびリン脂質である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
激痛状態の治療における使用のための、請求項1〜15のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記激痛状態が、急性疼痛、亜急性疼痛、または慢性疼痛である、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記激痛状態が、侵害受容性疼痛、病態痛、関連痛、頭痛、または片頭痛である、請求項16に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本一部継続出願は、米国特許法第120条に基づき2012年2月3日に出願の一部継続出願である米国特許出願第13/365,824号の優先権を主張する。この米国特許出願は、2011年10月31日に出願の国際出願第PCT/GB2011/052115号の優先権を主張し、また、この国際出願は、2010年10月29日に出願の英国特許出願第GB1018289.7号の優先権を主張している。さらに、本一部継続出願は、2012年2月3日に出願の米国特許出願第13/365,828号、ならびに2011年8月10日に出願の英国特許出願第GB1113730.4号、2011年8月10日に出願の同GB1113729.6号、2011年8月10日に出願の同GB1113728.8号、及び2011年2月4日に出願の同GB1101937.9号の優先権を主張する。これらの特許出願のそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
疼痛は、組織損傷が発生したか、又は発生している個体へ合図として送られた主観的で、非常に複雑な知覚作用である。疼痛は、一過性で、疼痛の原因の有害な刺激が除かれるまで、もしくは根底にある損傷もしくは病状が治癒するまでの期間だけ持続する場合もあり、又は損傷の治癒を過ぎても持続し、数ヶ月間以上続く場合もある。疼痛反応には、生理的な要素のみならず、心理的な要素も含まれる。疼痛反応は、鈍い、うずくような痛み、鋭く突き刺すような感覚、熱い、冷たい、もしくは冷た熱い(icy−hot)感覚、刺痛、又は、かゆみ感もしくは痺れとして表現できる広範囲の感覚を誘起する。疼痛は、背中、腹部もしくは胸などの身体の一領域で感じることもあり、又は流感のために身体の全筋肉が痛む場合のように身体全体で感じることもある。
【0003】
激痛は、米国において個人が保健医療提供者にかかる際の最も良くある理由である。激痛は多くの病状における主要な症状であり、人の生活の質と全般的機能を大きく低下させる場合がある。従って、激痛は重要でコストのかかる保健医療問題である。
【0004】
激痛を治療する現在の療法は限界があり、疼痛軽減は完全には行えず、生活の質を回復できない可能性があるという理解を前提として、複数の薬物の投与を伴う場合が多い。これらの療法は、高頻度の投薬を必要とすることがあり、望ましくない全身性の副作用を伴い、概して、不十分な軽減になる場合が多い。従って、持続する軽減をもたらすと同時に、全身性の副作用及び薬物−薬物相互作用の起こる可能性を最小限にした、特に激痛用に開発された治療選択肢に対する要求が依然として残されている。
【0005】
本明細書は、激痛状態に苦しんでいる個体を治療する医薬組成物及び方法を開示する。本明細書で開示する医薬組成物は実質的に脂質送達システムであり、抗疼痛活性を有する治療化合物を、より効果的に疼痛反応を抑制するように送達することを可能とする。最終成果は、激痛状態の改善療法である。
【発明の概要】
【0006】
本明細書のいくつかの態様は、治療化合物と薬学的に許容可能なアジュバントとを含む医薬組成物を開示する。治療化合物は、抗疼痛活性を有することができる。本明細書の他の態様は、本明細書で開示される治療化合物と、薬学的に許容可能な溶媒と、薬学的に許容可能なアジュバントとを含む医薬組成物を開示する。他の態様では、本明細書で開示される医薬組成物は、薬学的に許容可能な安定化剤をさらに含む。
【0007】
本明細書の他の態様は、医薬組成物を調製する方法を開示し、その方法は、医薬組成物の形成を可能とする条件下で、治療化合物を薬学的に許容可能なアジュバントに接触させる工程を含む。本明細書の他の態様は、医薬組成物を調製する方法を開示し、その方法は、a)治療化合物を薬学的に許容可能な溶媒に溶解することを可能とする条件下で、薬学的に許容可能な溶媒を治療化合物に接触させることにより溶液を形成する工程であって、治療化合物が抗疼痛活性を有する工程と、b)工程(a)で形成された溶液を、医薬組成物の形成を可能とする条件下で、薬学的に許容可能なアジュバントに接触させる工程とを含む。他の態様では、本明細書で開示される調製方法は、c)医薬組成物から薬学的に許容可能な溶媒を除去する工程をさらに含む。
【0008】
本明細書の別の態様は、医薬組成物を開示し、その医薬組成物は、医薬組成物の形成を可能とする条件下で治療化合物を薬学的に許容可能なアジュバントに接触させる工程を含む方法により製造される。本明細書の他の態様は、医薬組成物を開示し、その医薬組成物は、a)治療化合物が薬学的に許容可能な溶媒に溶解することを可能とする条件下で、薬学的に許容可能な溶媒を治療化合物に接触させることにより溶液を形成する工程であって、治療化合物が抗疼痛活性を有する工程と、b)工程(a)で形成された溶液を、医薬組成物の形成を可能とする条件下で、薬学的に許容可能なアジュバントに接触させる工程とを含む方法により製造される。他の態様では、本明細書で開示される医薬組成物の製造方法は、c)医薬組成物から前記薬学的に許容可能な溶媒を除去する工程をさらに含む。
【0009】
本明細書の他の態様は、激痛状態の個体を治療する方法を開示し、その方法は、本明細書で開示される医薬組成物を、それを必要とする個体に投与する工程を含み、投与は激痛状態に関連した症状の低減をもたらし、それによってその個体を治療する。
【0010】
本明細書の他の態様は、激痛状態の治療用の薬物の製造における本明細書で開示される医薬組成物の使用を開示する。
【0011】
本明細書の他の態様は、激痛状態の治療のための、本明細書で開示される医薬組成物の使用を開示する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書の一部の態様では、組成物を開示する。本明細書で開示の組成物は、通常、薬学的に許容可能な組成物として投与される。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容可能な」という用語は、個体に投与されたときに、有害反応、アレルギー反応、又はその他の不都合な、もしくは望ましくない反応を生じない分子実体又は組成物を意味する。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容可能な組成物」という用語は「医薬組成物」と同義であり、治療に有効な濃度の有効成分(例えば、本明細書で開示される治療化合物のいずれか)を意味する。本明細書で開示される医薬組成物は、医学的及び獣医学的用途において有用である。医薬組成物は、単独で個体に投与してもよく、あるいは、他の補足的な有効成分、試薬、薬剤、又はホルモンと組合せて投与してもよい。
【0013】
本明細書で開示される医薬組成物は、有効成分を処理して薬学的に許容可能な組成物にすることを促進する、薬学的に許容可能なキャリアを任意で含むことができる。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容可能なキャリア」という用語は「薬学的キャリア」と同義であり、投与された場合に長期的又は永続的な有害作用を実質的に有さない任意のキャリアを意味し、「薬学的に許容可能なビヒクル、安定化剤、希釈剤、添加剤、補助剤、又は賦形剤」などの用語を包含する。一般的にそのようなキャリアは、治療化合物と混合されるか、又は活性化合物を希釈もしくは封入可能であり、固形、半固形、又は液体試薬であってよい。治療化合物又は有効成分は溶解するか、又は所望のキャリアもしくは希釈剤中の懸濁物として送達できることが理解されよう。例えば、水、食塩水、グリシン、ヒアルロン酸などの水性媒体;例えば、マンニトール、ラクトース、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルカム、セルロース、グルコース、ショ糖、炭酸マグネシウムなどの固体キャリア;溶媒;分散媒;コーティング;抗菌剤及び抗真菌剤;等張性剤及び吸収遅延剤;又はその他の不活性成分を含む種々の薬学的に許容可能なキャリアのいずれかを使用できるがこれらに限定されない。薬学的に許容可能なキャリアの選択は投与方法によって変わる場合もある。薬学的に許容可能ないずれのキャリアも、有効成分と不適合でない限り、薬学的に許容可能な組成物中でのその使用が意図されている。このような医薬キャリアの特定の使用の非限定的な例は、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems(Howard C.Ansel et al.,eds.,Lippincott Williams & Wilkins Publishers,7th ed.1999);REMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY(Alfonso R.Gennaro ed.,Lippincott,Williams & Wilkins,20th ed.2000);Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics(Joel G. Hardman et al.,eds.,McGraw−Hill Professional,10th ed.2001);and Handbook of Pharmaceutical Excipients(Raymond C.Rowe et al., APhA Publications,4th edition 2003)で見出すことができる。これらのプロトコルはルーチンの手順であって、そのいずれの修正も当業者の技量及び本明細書の教示の範囲内に十分含まれる。
【0014】
本明細書で開示される医薬組成物は、任意選択で、他の薬学的に許容可能な成分(あるいは医薬成分)を含むことができ、これらの成分としては、緩衝剤、保存剤、張度調節剤、塩、抗酸化剤、浸透圧調節剤、生理的物質、薬理学的物質、増量剤、乳化剤、湿潤剤、甘味料もしくは香料等が挙げられるが、これらに限定されない。得られる調製物が薬学的に許容可能なものとなることを条件として、様々な緩衝剤及びpH調節手段を使用して、本明細書で開示される医薬組成物を調製できる。このような緩衝剤としては、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、中性緩衝食塩水、リン酸緩衝食塩水、及びホウ酸緩衝液が挙げられるが、これらに限定されない。組成物のpHを調節するために、必要に応じて、酸又は塩基を使用できることが理解されよう。薬学的に許容可能な抗酸化剤としては、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アセチルシステイン、ブチルヒドロキシアニソール、及びブチルヒドロキシトルエンが挙げられるが、これらに限定されない。有用な保存剤としては、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、チメロサール、酢酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、安定化オキシクロロ組成物、及びキレート剤(例えば、DTPA又はDTPAビスアミド、カルシウムDTPA、及びCaNaDTPAビスアミドなど)が挙げられるが、これらに限定されない。医薬組成物において有用な張度調節剤としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどの塩、マンニトール又はグリセリン、及びその他の薬学的に許容可能な張度調節剤が挙げられるが、これらに限定されない。医薬組成物は塩として提供することができ、限定されないが、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸などを含む多様な酸を使って形成することができる。塩は、対応する遊離塩基型と比較して、水性溶媒又はその他のプロトン性溶媒への可溶性がより高い傾向がある。薬理学の分野で既知のこれらの物質及び他の物質を医薬組成物に含めることができることが理解されよう。
【0015】
一実施形態において、本明細書で開示される医薬組成物は、抗疼痛活性を有する治療化合物と、薬学的に許容可能なアジュバントとを含む。抗疼痛活性は、意識消失を伴わない疼痛又は侵害受容の感覚の減弱化又は消失活性を包含し、また、限定されないが、鎮痛活性、及び/又は侵害受容活性を含む。別の実施形態では、本明細書で開示される医薬組成物は、抗疼痛活性を有する治療化合物と、薬学的に許容可能な溶媒と、薬学的に許容可能なアジュバントとを含む。この実施形態のいくつかの態様では、本明細書で開示される医薬組成物は、薬学的に許容可能な安定化剤をさらに含むことができる。この実施形態の他の態様では、本明細書で開示される医薬組成物は、薬学的に許容可能なキャリアもしくは薬学的に許容可能な成分、又は、薬学的に許容可能なキャリアと薬学的に許容可能な成分の両方をさらに含むことができる。
【0016】
本明細書のいくつかの態様の一部では、治療化合物を開示する。治療化合物は、疾患の診断、治癒、緩和、治療、もしくは予防において、薬理活性もしくはその他の直接的な作用を提供する、又は、ヒトもしくは動物の身体の構造もしくはいずれかの機能に影響を及ぼす化合物である。本明細書で開示される治療化合物は、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、又は塩の溶媒和物、例えば塩酸塩の形態で使用できる。加えて、本明細書で開示される治療化合物は、ラセミ体として、又は個々のエナンチオマー(R−又はS−エナンチオマーを含む)として提供できる。従って、本明細書で開示される治療化合物は、治療化合物のR−エナンチオマーのみ、S−エナンチオマーのみ、又はR−エナンチオマーとS−エナンチオマーの両方の組合せを含むことができる。本明細書で開示される治療化合物は、抗疼痛活性を有することができる。
【0017】
一実施形態では、本明細書で開示される治療化合物は、激痛反応を低下させることができる抗疼痛活性を有する。この実施形態のいくつかの態様では、本明細書で開示される治療化合物は、激痛反応を、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%低減できる抗疼痛活性を有する。この実施形態の他の態様では、本明細書で開示される治療化合物は、激痛反応を、例えば、約10%〜約100%、約20%〜約100%、約30%〜約100%、約40%〜約100%、約50%〜約100%、約60%〜約100%、約70%〜約100%、約80%〜約100%、約10%〜約90%、約20%〜約90%、約30%〜約90%、約40%〜約90%、約50%〜約90%、約60%〜約90%、約70%〜約90%、約10%〜約 80%、約20%〜約80%、約30%〜約80%、約40%〜約80%、約50%〜約80%、又は約60%〜約80%、約10%〜約70%、約20%〜約70%、約30%〜約70%、約40%〜約70%、又は約50%〜約70%の範囲で低減させることができる抗疼痛活性を有する。
【0018】
一実施形態では、本明細書で開示される治療化合物は、侵害受容性疼痛反応を低下させることができる抗疼痛活性を有する。この実施形態のいくつかの態様では、本明細書で開示される治療化合物は、侵害受容性疼痛反応を、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%低減できる抗疼痛活性を有する。この実施形態の他の態様では、本明細書で開示される治療化合物は、侵害受容性疼痛反応を、例えば、約10%〜約100%、約20%〜約100%、約30%〜約100%、約40%〜約100%、約50%〜約100%、約60%〜約100%、約70%〜約100%、約80%〜約100%、約10%〜約90%、約20%〜約90%、約30%〜約90%、約40%〜約90%、約50%〜約90%、約60%〜約90%、約70%〜約90%、約10%〜約80%、約20%〜約80%、約30%〜約80%、約40%〜約80%、約50%〜約80%、又は約60%〜約80%、約10%〜約70%、約20%〜約70%、約30%〜約70%、約40%〜約70%、又は約50%〜約70%の範囲で低減させることができる抗疼痛活性を有する。
【0019】
一実施形態では、本明細書で開示される治療化合物は、侵害受容体により媒介される疼痛反応を低下させることができる抗疼痛活性を有する。この実施形態のいくつかの態様では、本明細書で開示される治療化合物は、侵害受容体により媒介される疼痛反応を、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%低減できる抗疼痛活性を有する。この実施形態の他の態様では、本明細書で開示される治療化合物は、侵害受容体により媒介される疼痛反応を、例えば、約10%〜約100%、約20%〜約100%、約30%〜約100%、約40%〜約100%、約50%〜約100%、約60%〜約100%、約70%〜約100%、約80%〜約100%、約10%〜約90%、約20%〜約90%、約30%〜約90%、約40%〜約90%、約50%〜約90%、約60%〜約90%、約70%〜約90%、約10%〜約80%、約20%〜約80%、約30%〜約80%、約40%〜約80%、約50%〜約80%、又は約60%〜約80%、約10%〜約70%、約20%〜約70%、約30%〜約70%、約40%〜約70%、又は約50%〜約70%の範囲で低減させることができる抗疼痛活性を有する。
【0020】
一実施形態では、本明細書で開示される治療化合物は、体性痛反応を低下させることができる抗疼痛活性を有する。この実施形態のいくつかの態様では、本明細書で開示される治療化合物は、体性痛反応を、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%低減できる抗疼痛活性を有する。この実施形態の他の態様では、本明細書で開示される治療化合物は、体性痛反応を、例えば、約10%〜約100%、約20%〜約100%、約30%〜約100%、約40%〜約100%、約50%〜約100%、約60%〜約100%、約70%〜約100%、約80%〜約100%、約10%〜約90%、約20%〜約90%、約30%〜約90%、約40%〜約90%、約50%〜約90%、約60%〜約90%、約70%〜約90%、約10%〜約80%、約20%〜約80%、約30%〜約80%、約40%〜約80%、約50%〜約80%、又は約60%〜約80%、約10%〜約70%、約20%〜約70%、約30%〜約70%、約40%〜約70%、又は約50%〜約70%の範囲で低減させることができる抗疼痛活性を有する。
【0021】
一実施形態では、本明細書で開示される治療化合物は、内臓痛反応を低下させることができる抗疼痛活性を有する。この実施形態のいくつかの態様では、本明細書で開示される治療化合物は、内臓痛反応を、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%低減できる抗疼痛活性を有する。この実施形態の他の態様では、本明細書で開示される治療化合物は、内臓痛反応を、例えば、約10%〜約100%、約20%〜約100%、約30%〜約100%、約40%〜約100%、約50%〜約100%、約60%〜約100%、約70%〜約100%、約80%〜約100%、約10%〜約90%、約20%〜約90%、約30%〜約90%、約40%〜約90%、約50%〜約90%、約60%〜約90%、約70%〜約90%、約10%〜約80%、約20%〜約80%、約30%〜約80%、約40%〜約80%、約50%〜約80%、又は約60%〜約80%、約10%〜約70%、約20%〜約70%、約30%〜約70%、約40%〜約70%、又は約50%〜約70%の範囲で低減させることができる抗疼痛活性を有する。
【0022】
一実施形態では、本明細書で開示される治療化合物は、病態痛反応を低減できる抗疼痛活性を有する。この実施形態のいくつかの態様では、本明細書で開示される治療化合物は、病態痛反応を、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%低減できる抗疼痛活性を有する。この実施形態の他の態様では、本明細書で開示される治療化合物は、病態痛反応を、例えば、約10%〜約100%、約20%〜約100%、約30%〜約100%、約40%〜約100%、約50%〜約100%、約60%〜約100%、約70%〜約100%、約80%〜約100%、約10%〜約90%、約20%〜約90%、約30%〜約90%、約40%〜約90%、約50%〜約90%、約60%〜約90%、約70%〜約90%、約10%〜約80%、約20%〜約80%、約30%〜約80%、約40%〜約80%、約50%〜約80%、又は約60%〜約80%、約10%〜約70%、約20%〜約70%、約30%〜約70%、約40%〜約70%、又は約50%〜約70%の範囲で低減させることができる抗疼痛活性を有する。
【0023】
一実施形態では、本明細書で開示される治療化合物は、神経障害性疼痛反応を低減できる抗疼痛活性を有する。この実施形態のいくつかの態様では、本明細書で開示される治療化合物は、神経障害性疼痛反応を、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%低減できる抗疼痛活性を有する。この実施形態の他の態様では、本明細書で開示される治療化合物は、神経障害性疼痛反応を、例えば、約10%〜約100%、約20%〜約100%、約30%〜約100%、約40%〜約100%、約50%〜約100%、約60%〜約100%、約70%〜約100%、約80%〜約100%、約10%〜約90%、約20%〜約90%、約30%〜約90%、約40%〜約90%、約50%〜約90%、約60%〜約90%、約70%〜約90%、約10%〜約80%、約20%〜約80%、約30%〜約80%、約40%〜約80%、約50%〜約80%、又は約60%〜約80%、約10%〜約70%、約20%〜約70%、約30%〜約70%、約40%〜約70%、又は約50%〜約70%の範囲で低減させることができる抗疼痛活性を有する。
【0024】
一実施形態では、本明細書で開示される治療化合物は、中枢性神経障害性疼痛反応を低減できる抗疼痛活性を有する。この実施形態のいくつかの態様では、本明細書で開示される治療化合物は、中枢性神経障害性疼痛反応を、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%低減できる抗疼痛活性を有する。この実施形態の他の態様では、本明細書で開示される治療化合物は、中枢性神経障害性疼痛反応を、例えば、約10%〜約100%、約20%〜約100%、約30%〜約100%、約40%〜約100%、約50%〜約100%、約60%〜約100%、約70%〜約100%、約80%〜約100%、約10%〜約90%、約20%〜約90%、約30%〜約90%、約40%〜約90%、約50%〜約90%、約60%〜約90%、約70%〜約90%、約10%〜約80%、約20%〜約80%、約30%〜約80%、約40%〜約80%、約50%〜約80%、又は約60%〜約80%、約10%〜約70%、約20%〜約70%、約30%〜約70%、約40%〜約70%、又は約50%〜約70%の範囲で低減させることができる抗疼痛活性を有する。
【0025】
一実施形態では、本明細書で開示される治療化合物は、末梢神経障害性疼痛反応を低減できる抗疼痛活性を有する。この実施形態のいくつかの態様では、本明細書で開示される治療化合物は、末梢神経障害性疼痛反応を、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%低減できる抗疼痛活性を有する。この実施形態の他の態様では、本明細書で開示される治療化合物は、末梢神経障害性疼痛反応を、例えば、約10%〜約100%、約20%〜約100%、約30%〜約100%、約40%〜約100%、約50%〜約100%、約60%〜約100%、約70%〜約100%、約80%〜約100%、約10%〜約90%、約20%〜約90%、約30%〜約90%、約40%〜約90%、約50%〜約90%、約60%〜約90%、約70%〜約90%、約10%〜約80%、約20%〜約80%、約30%〜約80%、約40%〜約80%、約50%〜約80%、又は約60%〜約80%、約10%〜約70%、約20%〜約70%、約30%〜約70%、約40%〜約70%、又は約50%〜約70%の範囲内に低減させることができる抗疼痛活性を有する。
【0026】
一実施形態では、本明細書で開示される治療化合物は、単神経障害性疼痛反応を低減できる抗疼痛活性を有する。この実施形態のいくつかの態様では、本明細書で開示される治療化合物は、単神経障害性疼痛反応を、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%低減できる抗疼痛活性を有する。この実施形態の他の態様では、本明細書で開示される治療化合物は、単神経障害性疼痛反応を、例えば、約10%〜約100%、約20%〜約100%、約30%〜約100%、約40%〜約100%、約50%〜約100%、約60%〜約100%、約70%〜約100%、約80%〜約100%、約10%〜約90%、約20%〜約90%、約30%〜約90%、約40%〜約90%、約50%〜約90%、約60%〜約90%、約70%〜約90%、約10%〜約80%、約20%〜約80%、約30%〜約80%、約40%〜約80%、約50%〜約80%、又は約60%〜約80%、約10%〜約70%、約20%〜約70%、約30%〜約70%、約40%〜約70%、又は約50%〜約70%の範囲で低減させることができる抗疼痛活性を有する。
【0027】
一実施形態では、本明細書で開示される治療化合物は、多発性単神経障害性疼痛反応を低減できる抗疼痛活性を有する。この実施形態のいくつかの態様では、本明細書で開示される治療化合物は、多発性単神経障害性疼痛反応を、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%低減できる抗疼痛活性を有する。この実施形態の他の態様では、本明細書で開示される治療化合物は、多発性単神経障害性疼痛反応を、例えば、約10%〜約100%、約20%〜約100%、約30%〜約100%、約40%〜約100%、約50%〜約100%、約60%〜約100%、約70%〜約100%、約80%〜約100%、約10%〜約90%、約20%〜約90%、約30%〜約90%、約40%〜約90%、約50%〜約90%、約60%〜約90%、約70%〜約90%、約10%〜約80%、約20%〜約80%、約30%〜約80%、約40%〜約80%、約50%〜約80%、又は約60%〜約80%、約10%〜約70%、約20%〜約70%、約30%〜約70%、約40%〜約70%、又は約50%〜約70%の範囲で低減させることができる抗疼痛活性を有する。
【0028】
一実施形態では、本明細書で開示される治療化合物は、多発性神経障害性疼痛反応を低減できる抗疼痛活性を有する。この実施形態のいくつかの態様では、本明細書で開示される治療化合物は、多発性神経障害性疼痛反応を、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%低減できる抗疼痛活性を有する。この実施形態の他の態様では、本明細書で開示される治療化合物は、多発性神経障害性疼痛反応を、例えば、約10%〜約100%、約20%〜約100%、約30%〜約100%、約40%〜約100%、約50%〜約100%、約60%〜約100%、約70%〜約100%、約80%〜約100%、約10%〜約90%、約20%〜約90%、約30%〜約90%、約40%〜約90%、約50%〜約90%、約60%〜約90%、約70%〜約90%、約10%〜約80%、約20%〜約80%、約30%〜約80%、約40%〜約80%、約50%〜約80%、又は約60%〜約80%、約10%〜約70%、約20%〜約70%、約30%〜約70%、約40%〜約70%、又は約50%〜約70%の範囲で低減させることができる抗疼痛活性を有する。
【0029】
一実施形態では、本明細書で開示される治療化合物は、自律神経障害性疼痛反応を低減できる抗疼痛活性を有する。この実施形態のいくつかの態様では、本明細書で開示される治療化合物は、自律神経障害性疼痛反応を、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%低減できる抗疼痛活性を有する。この実施形態の他の態様では、本明細書で開示される治療化合物は、自律神経障害性疼痛反応を、例えば、約10%〜約100%、約20%〜約100%、約30%〜約100%、約40%〜約100%、約50%〜約100%、約60%〜約100%、約70%〜約100%、約80%〜約100%、約10%〜約90%、約20%〜約90%、約30%〜約90%、約40%〜約90%、約50%〜約90%、約60%〜約90%、約70%〜約90%、約10%〜約80%、約20%〜約80%、約30%〜約80%、約40%〜約80%、約50%〜約80%、又は約60%〜約80%、約10%〜約70%、約20%〜約70%、約30%〜約70%、約40%〜約70%、又は約50%〜約70%の範囲で低減させることができる抗疼痛活性を有する。
【0030】
一実施形態では、本明細書で開示される治療化合物は、神経痛反応を低減できる抗疼痛活性を有する。この実施形態のいくつかの態様では、本明細書で開示される治療化合物は、神経痛反応を、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%低減できる抗疼痛活性を有する。この実施形態の他の態様では、本明細書で開示される治療化合物は、神経痛反応を、例えば、約10%〜約100%、約20%〜約100%、約30%〜約100%、約40%〜約100%、約50%〜約100%、約60%〜約100%、約70%〜約100%、約80%〜約100%、約10%〜約90%、約20%〜約90%、約30%〜約90%、約40%〜約90%、約50%〜約90%、約60%〜約90%、約70%〜約90%、約10%〜約80%、約20%〜約80%、約30%〜約80%、約40%〜約80%、約50%〜約80%、又は約60%〜約80%、約10%〜約70%、約20%〜約70%、約30%〜約70%、約40%〜約70%、又は約50%〜約70%の範囲で低減させることができる抗疼痛活性を有する。
【0031】
一実施形態では、本明細書で開示される治療化合物は、複合性局所疼痛症候群疼痛反応を低減できる抗疼痛活性を有する。この実施形態のいくつかの態様では、本明細書で開示される治療化合物は、複合性局所疼痛症候群疼痛反応を、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%低減できる抗疼痛活性を有する。この実施形態の他の態様では、本明細書で開示される治療化合物は、複合性局所疼痛症候群疼痛反応を、例えば、約10%〜約100%、約20%〜約100%、約30%〜約100%、約40%〜約100%、約50%〜約100%、約60%〜約100%、約70%〜約100%、約80%〜約100%、約10%〜約90%、約20%〜約90%、約30%〜約90%、約40%〜約90%、約50%〜約90%、約60%〜約90%、約70%〜約90%、約10%〜約80%、約20%〜約80%、約30%〜約80%、約40%〜約80%、約50%〜約80%、又は約60%〜約80%、約10%〜約70%、約20%〜約70%、約30%〜約70%、約40%〜約70%、又は約50%〜約70%の範囲で低減させることができる抗疼痛活性を有する。
【0032】
一実施形態では、本明細書で開示される治療化合物は、関連痛反応を低減できる抗疼痛活性を有する。この実施形態のいくつかの態様では、本明細書で開示される治療化合物は、関連痛反応を、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%低減できる抗疼痛活性を有する。この実施形態の他の態様では、本明細書で開示される治療化合物は、関連痛反応を、例えば、約10%〜約100%、約20%〜約100%、約30%〜約100%、約40%〜約100%、約50%〜約100%、約60%〜約100%、約70%〜約100%、約80%〜約100%、約10%〜約90%、約20%〜約90%、約30%〜約90%、約40%〜約90%、約50%〜約90%、約60%〜約90%、約70%〜約90%、約10%〜約80%、約20%〜約80%、約30%〜約80%、約40%〜約80%、約50%〜約80%、又は約60%〜約80%、約10%〜約70%、約20%〜約70%、約30%〜約70%、約40%〜約70%、又は約50%〜約70%の範囲で低減させることができる抗疼痛活性を有する。
【0033】
一実施形態では、本明細書で開示される治療化合物は、求心路遮断性疼痛反応を低減できる抗疼痛活性を有する。この実施形態のいくつかの態様では、本明細書で開示される治療化合物は、求心路遮断性疼痛反応を、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%低減できる抗疼痛活性を有する。この実施形態の他の態様では、本明細書で開示される治療化合物は、求心路遮断性疼痛反応を、例えば、約10%〜約100%、約20%〜約100%、約30%〜約100%、約40%〜約100%、約50%〜約100%、約60%〜約100%、約70%〜約100%、約80%〜約100%、約10%〜約90%、約20%〜約90%、約30%〜約90%、約40%〜約90%、約50%〜約90%、約60%〜約90%、約70%〜約90%、約10%〜約80%、約20%〜約80%、約30%〜約80%、約40%〜約80%、約50%〜約80%、又は約60%〜約80%、約10%〜約70%、約20%〜約70%、約30%〜約70%、約40%〜約70%、又は約50%〜約70%の範囲で低減させることができる抗疼痛活性を有する。
【0034】
一実施形態では、本明細書で開示される治療化合物は、機能障害性疼痛反応を低減できる抗疼痛活性を有する。この実施形態のいくつかの態様では、本明細書で開示される治療化合物は、機能障害性疼痛反応を、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%低減できる抗疼痛活性を有する。この実施形態の他の態様では、本明細書で開示される治療化合物は、機能障害性疼痛反応を、例えば、約10%〜約100%、約20%〜約100%、約30%〜約100%、約40%〜約100%、約50%〜約100%、約60%〜約100%、約70%〜約100%、約80%〜約100%、約10%〜約90%、約20%〜約90%、約30%〜約90%、約40%〜約90%、約50%〜約90%、約60%〜約90%、約70%〜約90%、約10%〜約80%、約20%〜約80%、約30%〜約80%、約40%〜約80%、約50%〜約80%、又は約60%〜約80%、約10%〜約70%、約20%〜約70%、約30%〜約70%、約40%〜約70%、又は約50%〜約70%の範囲で低減させることができる抗疼痛活性を有する。
【0035】
一実施形態では、本明細書で開示される治療化合物は、頭痛反応を低減できる抗疼痛活性を有する。この実施形態のいくつかの態様では、本明細書で開示される治療化合物は、頭痛反応を、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%低減できる抗疼痛活性を有する。この実施形態の他の態様では、本明細書で開示される治療化合物は、頭痛反応を、例えば、約10%〜約100%、約20%〜約100%、約30%〜約100%、約40%〜約100%、約50%〜約100%、約60%〜約100%、約70%〜約100%、約80%〜約100%、約10%〜約90%、約20%〜約90%、約30%〜約90%、約40%〜約90%、約50%〜約90%、約60%〜約90%、約70%〜約90%、約10%〜約80%、約20%〜約80%、約30%〜約80%、約40%〜約80%、約50%〜約80%、又は約60%〜約80%、約10%〜約70%、約20%〜約70%、約30%〜約70%、約40%〜約70%、又は約50%〜約70%の範囲で増加させることができる抗疼痛活性を有する。
【0036】
一実施形態では、本明細書で開示される治療化合物は、片頭痛反応を低減できる抗疼痛活性を有する。この実施形態のいくつかの態様では、本明細書で開示される治療化合物は、片頭痛反応を、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%低減できる抗疼痛活性を有する。この実施形態の他の態様では、本明細書で開示される治療化合物は、片頭痛反応を、例えば、約10%〜約100%、約20%〜約100%、約30%〜約100%、約40%〜約100%、約50%〜約100%、約60%〜約100%、約70%〜約100%、約80%〜約100%、約10%〜約90%、約20%〜約90%、約30%〜約90%、約40%〜約90%、約50%〜約90%、約60%〜約90%、約70%〜約90%、約10%〜約80%、約20%〜約80%、約30%〜約80%、約40%〜約80%、約50%〜約80%、又は約60%〜約80%、約10%〜約70%、約20%〜約70%、約30%〜約70%、約40%〜約70%、又は約50%〜約70%の範囲で減少させることができる抗疼痛活性を有する。
【0037】
本明細書で開示される治療化合物は、その化合物が有機溶媒中に可溶であることを示すlogP値を有することができる。本明細書で使用される場合、「logP値」という用語は、化合物についての分配係数(P)の対数(底10)を表し、親油性の尺度である。通常、Pは、平衡状態にある2種の非混和性溶媒の混合物の2相における非イオン化化合物の濃度の比として定義される。すなわち、logP = Log10(P)であって、P=[非混和性溶媒1中の溶質]/[非混和性溶媒2中の溶質]である。有機相及び水相に関しては、いずれの所与の水性及び有機溶媒の対についても化合物のlogP値は一定であり、その値は、例えば、振盪フラスコアッセイ、HPLCアッセイ、及び2つの非混和性電解質溶液の界面(ITIES)アッセイを含む、当業者に既知のいくつかの相分配法の内の1種によって経験的に決定することができる。
【0038】
この実施形態のいくつかの態様では、本明細書で開示される治療化合物は、その化合物が有機溶媒に実質的に可溶性であることを示すlogP値を有することができる。この実施形態のいくつかの態様では、本明細書で開示される治療化合物は、その化合物が、例えば有機溶媒に少なくとも50%可溶性である、有機溶媒に少なくとも60%可溶性である、有機溶媒に少なくとも70%可溶性である、有機溶媒に少なくとも80%可溶性である、又は有機溶媒に少なくとも90%可溶性であることを示すlogP値を有することができる。この実施形態のいくつかの態様では、本明細書で開示される治療化合物は、その化合物が、例えば有機溶媒に約50%〜約100%可溶性である、有機溶媒に約60%〜約100%可溶性である、有機溶媒に約70%〜約100%可溶性である、有機溶媒に約80%〜約100%可溶性である、又は有機溶媒に約90%〜約100%可溶性であることを示すlogP値を有することができる。
【0039】
この実施形態のいくつかの態様では、本明細書で開示される治療化合物は、例えば、1.1を超える、1.2を超える、1.4を超える、1.6を超える、1.8を超える、2.0を超える、2.2を超える、2.4を超える、2.6を超える、2.8を超える、3.0を超える、3.2を超える、3.4を超える、又は3.6を超えるlogP値を有することができる。この実施形態の他の態様では、本明細書で開示される治療化合物は、例えば、1.8〜4.0、2.0〜4.0、2.1〜4.0、2.2〜4.0、又は2.3〜4.0、2.4〜4.0、2.5〜4.0、2.6〜4.0、又は2.8〜4.0の範囲のlogP値を有することができる。この実施形態の他の態様では、本明細書で開示される治療化合物は、例えば、3.0〜4.0、3.1〜4.0、3.2〜4.0、3.3〜4.0、3.4〜4.0、3.5〜4.0、又は3.6〜4.0の範囲のlogP値を有することができる。この実施形態のさらに他の態様では、本明細書で開示される治療化合物は、例えば、2.0〜2.5、2.0〜2.7、2.0〜3.0、又は2.2〜2.5の範囲のlogP値を有することができる。
【0040】
本明細書で開示される治療化合物は、疎水性の極性表面積を有することができる。本明細書で使用される場合、「極性表面積」という用語は、化合物の構造中の全ての極性原子の表面合計を表し、疎水性の尺度である。通常は、これらの極性原子には、例えば、酸素、窒素、及びそれらの結合水素が含まれる。この実施形態のいくつかの態様では、本明細書で開示される治療化合物は、例えば、8.0nm未満、7.0nm未満、6.0nm未満、5.0nm未満、4.0nm未満、又は3.0nm未満の極性表面積を有することができる。この実施形態の他の態様では、本明細書で開示される治療化合物は、例えば、3.0nm〜6.5nm、3.0nm〜6.0nm、3.0nm〜5.5nm、3.0nm〜5.0nm、3.0nm〜4.5nm、3.5nm〜6.5nm、3.5nm〜6.0nm、3.5nm〜5.5nm、3.5nm〜5.0nm、3.5nm〜4.5nm、4.0nm〜6.5nm、4.0nm〜6.0nm、4.0nm〜5.5nm、又は4.0nm〜5.0nm、4.0nm〜4.5nm、又は4.5nm〜5.5nmの範囲の極性表面積を有することができる。この実施形態のさらに他の態様では、本明細書で開示される治療化合物は、例えば、2.0nm〜6.5nm、2.0nm〜6.0nm、2.0nm〜5.5nm、2.0nm〜5.0nm、2.0nm2〜4.5nm2、2.5nm2〜6.5nm2、2.5nm〜6.0nm、2.5nm〜5.5nm、2.5nm〜5.0nm、又は2.5nm〜4.5nmの範囲の極性表面積を有することができる。
【0041】
本明細書で開示される治療化合物は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)であってもよい。NSAIDは、鎮痛性、抗疼痛性、及び解熱性を有する治療化合物の大きなグループに属する。NSAIDとしては、アセクロフェナク、アセメタシン、アクタリット、アルコフェナク、アルミノプロフェン、アンフェナク、アロキシピリン、アミノフェナゾン、アントラフェニン、アスピリン、アザプロパゾン、ベノリラート、ベノキサプロフェン、ベンジダミン、ブチブフェン、セレコキシブ、クロルテノキサシン、サリチル酸コリン、クロメタシン、デクスケトプロフェン、ジクロフェナク、ジフルニサル、エモルファゾン、エピリゾール、エトドラク、エトリコキシブ、フェクロブゾン、フェルビナク、フェンブフェン、フェンクロフェナク、フルルビプロフェン、グラフェニン、サリチル酸ヒドロキシエチル、イブプロフェン、インドメタシン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ケトロラク、ラクチルフェネチジン、ロキソプロフェン、ルミラコキシブ、メフェナム酸、メロキシカム、メタミゾール、メチアジン酸、モフェブタゾン、モフェゾラク、ナブメトン、ナプロキセン、ニフェナゾン、ニフルミン酸、オキサメタシン、フェナセチン、ピペブゾン、プラノプロフェン、プロピフェナゾン、プロカゾン、プロチジン酸、ロフェコキシブ、サリチルアミド、サルサラート、スリンダク、スプロフェン、チアラミド、チノリジン、トルフェナム酸、バルデコキシブ、及びゾメピラックが挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
NSAIDは、その化学的構造又は作用機序に基づいて分類することができる。NSAIDの比限定的な例には、サリチル酸誘導体NSAID、p−アミノフェノール誘導体NSAID、プロピオン酸誘導体NSAID、酢酸誘導体NSAID、エノール酸誘導体NSAID、フェナム酸誘導体NSAID、非選択的シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ1(COX1)阻害剤、及び選択的シクロオキシゲナーゼ2(COX2)阻害剤が含まれる。NSAIDはプロフェンであってもよい。適切なサリチル酸誘導体NSAIDの例としては、アセチルサリチル酸(アスピリン)、ジフルニサル、及びサルサラートが含まれるが、これらに限定されない。適切なp−アミノフェノール誘導体NSAIDの例としては、パラセタモール及びフェナセチンが含まれるが、これらに限定されない。適切なプロピオン酸誘導体NSAIDの例としては、アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、デクスケトプロフェン、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ロキソプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、プラノプロフェン、及びスプロフェンが含まれるが、これらに限定されない。適切な酢酸誘導体NSAIDの例としては、アセクロフェナク、アセメタシン、アクタリット、アルコフェナク、アンフェナク、クロメタシン、ジクロフェナク、エトドラク、フェルビナク、フェンクロフェナク、インドメタシン、ケトロラク、メチアジン酸、モフェゾラク、ナブメトン、ナプロキセン、オキサメタシン、スリンダク、及びゾメピラックが含まれるが、これらに限定されない。適切なエノール酸(オキシカム)誘導体NSAIDの例としては、ドロキシカム、イソキシカム、ロルノキシカム、メロキシカム、ピロキシカム、及びテノキシカムが含まれるが、これらに限定されない。適切なフェナム酸誘導体NSAIDの例としては、フルフェナム酸、メフェナム酸、メクロフェナム酸、及びトルフェナム酸が含まれるが、これらに限定されない。適切な選択的COX−2阻害剤の例としては、セレコキシブ、エトリコキシブ、フィロコキシブ、ルミラコキシブ、メロキシカム、パレコキシブ、ロフェコキシブ、及びバルデコキシブが含まれるが、これらに限定されない。
【0043】
本明細書で開示される治療化合物は、PPARγアゴニストであってもよい。適切なPPARγアゴニストの例としては、ベンズブロマロン、カンナビジオール、シロスタゾール、クルクミン、デルタ(9)−テトラヒドロカンナビノール、グリチルレチン酸、インドメタシン、イルベサルタン、モナシン、ミコフェノール酸、レスベラトロール、6−ショウガオール、テルミサルタン、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、及びトログリタゾンなどのチアゾリジンジオン、NSAID、ならびにフィブラートが含まれるが、これらに限定されない。他の適切なPPARγアゴニストは、米国特許出願公開第2011/0195993号、Masson and Caumont−Bertrand,PPAR Agonist Compounds,Preparation and Uses、に記述されており、この特許はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0044】
本明細書で開示される治療化合物は、核受容体結合剤であってもよい。適切な核受容体結合剤の例としては、レチノイン酸受容体(RAR)結合剤、レチノイドX受容体(RXR)結合剤、肝臓X受容体(LXR)結合剤、及びビタミンD結合剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0045】
本明細書で開示される治療化合物は、抗高脂血症剤であってもよい。抗高脂血症剤(脂質低下剤としても知られる)にはいくつかの種類がある。それらはコレステロールプロファイルに対する影響及び有害作用の両方において異なる場合がある。例えば、あるものは低密度リポタンパク質(LDL)を低下させる一方で、他のものは高密度リポタンパク質(HDL)を優先的に増加させることができる。臨床的には、薬剤の選択は、個体のコレステロールプロファイル、個体の心血管リスク、及び/又は個体の肝臓と腎臓の機能に依存する。適切な抗高脂血症剤の例としては、フィブラート、スタチン、トコトリエノール、ナイアシン、胆汁酸封鎖剤(胆汁酸レジン)、コレステロール吸収阻害剤、膵リパーゼ阻害剤、及び交感神経刺激アミンが含まれるが、これらに限定されない。
【0046】
本明細書で開示される治療化合物は、フィブラートであってもよい。フィブラートは、脂質レベル調節特性を有する両親媒性カルボン酸のクラスに属する。これらの治療化合物は一連の代謝障害のために使用される。一非限定的例は、抗高脂血症剤としての使用であり、使用した場合、例えば、トリグリセリドとLDLのレベルを低下させるとともにHDLのレベルを増加させることができる。適切なフィブラートの例としては、ベザフィブラート、シプロフィブラート、クロフィブラート、ゲムフィブロジル、及びフェノフィブラートが含まれるが、これらに限定されない。
【0047】
本明細書で開示される治療化合物は、スタチンであってもよい。スタチン(又はHMG−CoA還元酵素阻害剤)は、肝臓のコレステロール生成において中心的役割を果たすHMG−CoA還元酵素を阻害することによりLDL及び/又はコレステロールのレベルを低下させるために使用される治療化合物のクラスに属する。コレステロールの利用可能量の減少を補うために、肝臓LDL受容体の合成が増え、血液由来のLDL粒子の排出が増加する。適切なスタチンの例としては、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、及びシンバスタチンが含まれるが、これらに限定されない。
【0048】
本明細書で開示される治療化合物は、トコトリエノールであってもよい。トコトリエノールは、HMG−CoA還元酵素阻害剤の別のクラスに属し、これを使用して、肝臓LDL受容体の上方制御を誘導することにより、及び/又は血漿LDLレベルを減少させることにより、LDL及び/又はコレステロールのレベルを低下させることができる。適切なトコトリエノールの例としては、γ−トコトリエノール及びδ−トコトリエノールが含まれるが、これらに限定されない。
【0049】
本明細書で開示される治療化合物は、ナイアシンであってもよい。ナイアシンは、脂質レベル調節特性を有する治療化合物のクラスに属する。例えばナイアシンは、肝臓ジアシルグリセロール・アシルトランスフェラーゼ2を選択的に阻害することによりLDLを減少させ、トリグリセリド合成を減少させ、受容体HM74及びHM74A又はGPR109Aを介してVLDL分泌を減少させ得る。これらの治療化合物は一連の代謝障害のために使用される。一非限定的例は、抗高脂血症剤としての使用であり、使用した場合、脂肪組織中の脂肪の分解を抑制することができる。ナイアシンは脂肪の分解を阻止するので、血液中の遊離脂肪酸の減少を引き起こし、結果として、肝臓による超低密度リポタンパク質(VLDL)とコレステロールの分泌を減少させる。VLDLのレベルを低下させることにより、ナイアシンは血液中のHDLのレベルを上昇させることもできる。適切なナイアシンの例としては、アシピモックス、ナイアシン、ニコチンアミド、及びビタミンB3が含まれるが、これらに限定されない。
【0050】
本明細書で開示される治療化合物は、胆汁酸封鎖剤であってもよい。胆汁酸封鎖剤(胆汁酸レジンとしても知られる)は、胃腸管中の胆汁の特定の成分に結合させるために使用される治療化合物のクラスに属する。これらは、胆汁酸を封鎖することによって胆汁酸の腸肝循環を中断させ、胆汁酸が消化管から再吸収されることを防止する。胆汁酸封鎖剤は、腸に放出されるコレステロール含有胆汁酸を封鎖して、それが腸から再吸収されることを防止することにより、LDL及びコレステロールを減少させるのに特に効果的である。それに加えて、胆汁酸封鎖剤はHDLレベルを上昇させることもできる。適切な胆汁酸封鎖剤の例としては、コレスチラミン、コレセベラム、及びコレスチポールが含まれるが、これらに限定されない。
【0051】
本明細書で開示される治療化合物は、コレステロール吸収阻害剤であってもよい。コレステロール吸収阻害剤は、コレステロールの腸からの吸収を阻害する治療化合物のクラスに属する。コレステロール吸収の減少は、細胞表面上のLDL受容体の発現上昇、及びこれらの細胞へのLDL−コレステロールの取り込みの増加をもたらし、これによって血漿中のLDLのレベルを減少させる。適切なコレステロール吸収阻害剤の例としては、エゼチミブ、フィトステロール、ステロール、及びスタノールが含まれるが、これらに限定されない。
【0052】
本明細書で開示される治療化合物は、脂肪吸収阻害剤であってもよい。脂肪吸収阻害剤は、腸から脂肪の吸収を阻害する治療化合物のクラスに属する。脂肪吸収の減少はカロリー摂取を低下させる。一態様では、脂肪吸収阻害剤は、腸中のトリグリセリドを分解する酵素である膵リパーゼを阻害する。適切な脂肪吸収阻害剤の例としてはオルリスタットが挙げられるがこれに限定されない。
【0053】
本明細書で開示される治療化合物は、交感神経刺激アミンであってもよい。交感神経刺激アミンは、カテコールアミン、エピネフリン(アドレナリン)、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)、及び/又はドパミンのような交感神経系の伝達物質の作用を模倣する治療化合物のクラスに属する。交感神経刺激アミンは、α−アドレナリン作動薬、β−アドレナリン作動薬、ドパミン作動薬、モノアミンオキシダーゼ(MAO)阻害剤、及びCOMT阻害剤として作用できる。このような治療化合物は、特に、心停止や低血圧の治療、さらには早期分娩を遅らせることにも使用される。適切な交感神経刺激アミンの例としては、クレンブテロール、サルブタモール、エフェドリン、プソイドエフェドリン、メタンフェタミン、アンフェタミン、フェニレフリン、イソプロテレノール、ドブタミン、メチルフェニデート、リスデキサンフェタミン、カシン、カチノン、メトカチノン、コカイン、ベンジルピペラジン(BZP)、メチレンジオキシピロバレロン(MDPV)、4−メチルアミノレックス、ペモリン、フェンメトラジン、及びプロピルヘキセドリンが含まれるが、これらに限定されない。
【0054】
本明細書で開示される治療化合物は、治療化合物のエステルであってもよい。治療化合物のエステルは、エステル修飾を伴わない同じ治療化合物と比較してlogP値を上昇させる。例えば、治療化合物に存在するカルボン酸又はヒドロキシル官能基によって、エステル基を治療化合物に結合させることができる。治療化合物のエステルは疎水性が増加する場合があり、従って、本明細書で開示される溶媒のより少ない量に溶解できる可能性がある。いくつかの例では、治療化合物のエステルを、本明細書で開示されるアジュバントと直接組み合わせることができ、その結果、溶媒の必要性がなくなる。治療化合物の非エステル化型が他の方法では本明細書で開示される溶媒中に混和しない場合であっても、同じ治療化合物のエステルであれば、本明細書で開示される医薬組成物の製造が可能となる場合がある。治療化合物のエステルは、その化合物を本明細書で開示されるアジュバントと組み合わせさえすれば、炎症促進反応をより効果的に阻害する形で送達することができる。一実施形態では、治療化合物は、その治療化合物のエチルエステルを形成するためにエチルエステルと反応させることができる。
【0055】
別の実施形態では、本明細書で開示される医薬組成物は、本明細書で開示される薬学的に許容可能な溶媒を含まない。この実施形態の一態様では、医薬組成物は、治療化合物と薬学的に許容可能なアジュバントとを含むが、本明細書で開示される薬学的に許容可能な溶媒は含まない。
【0056】
本明細書で開示される医薬組成物は、個体への日常的な投与を可能とする十分な量の治療化合物を含むことができる。この実施形態のいくつかの態様では、本明細書で開示される医薬組成物は、例えば、少なくとも5mg、少なくとも10mg、少なくとも15mg、少なくとも20mg、少なくとも25mg、少なくとも30mg、少なくとも35mg、少なくとも40mg、少なくとも45mg、少なくとも50mg、少なくとも55mg、少なくとも60mg、少なくとも65mg、少なくとも70mg、少なくとも75mg、少なくとも80mg、少なくとも85mg、少なくとも90mg、少なくとも95mg、又は少なくとも100mgの治療化合物であってよい。この実施形態の他の態様では、本明細書で開示される医薬組成物は、例えば、少なくとも5mg、少なくとも10mg、少なくとも20mg、少なくとも25mg、少なくとも50mg、少なくとも75mg、少なくとも100mg、少なくとも200mg、少なくとも300mg、少なくとも400mg、少なくとも500mg、少なくとも600mg、少なくとも700mg、少なくとも800mg、少なくとも900mg、少なくとも1,000mg、少なくとも1,100mg、少なくとも1,200mg、少なくとも1,300mg、少なくとも1,400mg、又は少なくとも1,500mgの治療化合物であってよい。この実施形態のさらに他の態様では、本明細書で開示される医薬組成物は、例えば、約5mg〜約100mg、約10mg〜約100mg、約50mg〜約150mg、約100mg〜約250mg、約150mg〜約350mg、約250mg〜約500mg、約350mg〜約600mg、約500mg〜約750mg、約600mg〜約900mg、約750mg〜約1,000mg、約850mg〜約1,200mg、又は約1,000mg〜約1,500mgの範囲であってよい。この実施形態のさらに他の態様では、本明細書で開示される医薬組成物は、例えば、約10mg〜約250mg、約10mg〜約500mg、約10mg〜約750mg、約10mg〜約1,000mg、約10mg〜約1,500mg、約50mg〜約250mg、約50mg〜約500mg、約50mg〜約750mg、約50mg〜約1,000mg、約50mg〜約1,500mg、約100mg〜約250mg、約100mg〜約500mg、約100mg〜約750mg、約100mg〜約1,000mg、約100mg〜約1,500mg、約200mg〜約500mg、約200mg〜約750mg、約200mg〜約1,000mg、約200mg〜約1,500mg、約5mg〜約1,500mg、約5mg〜約1,000mg、又は約5mg〜約250mgの範囲であってよい。
【0057】
本明細書のいくつかの態様は、一部で薬学的に許容可能な溶媒を開示する。溶媒は、別の固体、液体、又は気体(溶質)を溶解して溶液を生成する液体、固体、又は気体である。本明細書で開示される医薬組成物において有用な溶媒としては、薬学的に許容可能な極性非プロトン性溶媒、薬学的に許容可能な極性プロトン性溶媒、及び薬学的に許容可能な非極性溶媒が挙げられるが、これらに限定されない。薬学的に許容可能な極性非プロトン性溶媒としては、ジクロロメタン(DCM)、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル、アセトン、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル(MeCN)、ジメチルスルホキシド(DMSO)が挙げられるが、これらに限定されない。薬学的に許容可能な極性プロトン性溶媒としては、酢酸、ギ酸、エタノール、n−ブタノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、1,2−プロパンジオール、メタノール、グリセロール、及び水が挙げられるが、これらに限定されない。薬学的に許容可能な非極性溶媒としては、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、1,4−ジオキサン、クロロホルム、n−メチルピリリドン(NMP)、及びジエチルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
本明細書で開示される医薬組成物は、本明細書で開示される治療化合物を溶解する上で十分な量の溶媒を含むことができる。この実施形態の他の態様では、本明細書で開示される医薬組成物は、溶媒を、例えば、約90%(v/v)未満、約80%(v/v)未満、約70%(v/v)未満、約65%(v/v)未満、約60%(v/v)未満、約55%(v/v)未満、約50%(v/v)未満、約45%(v/v)未満、約40%(v/v)未満、約35%(v/v)未満、約30%(v/v)未満、約25%(v/v)未満、約20%(v/v)未満、約15%(v/v)未満、約10%(v/v)未満、約5%(v/v)、又は約1%(v/v)未満含むことができる。この実施形態の他の態様では、本明細書で開示される医薬組成物は、溶媒を、例えば、約1%(v/v)〜90%(v/v)、約1%(v/v)〜70%(v/v)、約1%(v/v)〜60%(v/v)、約1%(v/v)〜50%(v/v)、約1%(v/v)〜40%(v/v)、約1%(v/v)〜30%(v/v)、約1%(v/v)〜20%(v/v)、約1%(v/v)〜10%(v/v)、約2%(v/v)〜50%(v/v)、約2%(v/v)〜40%(v/v)、約2%(v/v)〜30%(v/v)、約2%(v/v)〜20%(v/v)、約2%(v/v)〜10%(v/v)、約4%(v/v)〜50%(v/v)、約4%(v/v)〜40%(v/v)、約4%(v/v)〜30%(v/v)、約4%(v/v)〜20%(v/v)、約4%(v/v)〜10%(v/v)、約6%(v/v)〜50%(v/v)、約6%(v/v)〜40%(v/v)、約6%(v/v)〜30%(v/v)、約6%(v/v)〜20%(v/v)、約6%(v/v)〜10%(v/v)、約8%(v/v)〜50%(v/v)、約8%(v/v)〜40%(v/v)、約8%(v/v)〜30%(v/v)、約8%(v/v)〜20%(v/v)、約8%(v/v)〜15%(v/v)、又は約8%(v/v)〜12%(v/v)の範囲の量で含むことができる。
【0059】
一実施形態では、溶媒は、薬学的に許容可能なアルコールを含むことができる。本明細書において使用される場合、「アルコール」という用語は、炭素原子に結合したヒドロキシル官能基(−OH)を含む有機分子を表し、この場合、その炭素原子は飽和している。この実施形態のいくつかの態様では、アルコールは、例えば、C2−4アルコール、C1−4アルコール、C1−5アルコール、C1−7アルコール、C1−10アルコール、C1−15アルコール、又はC1−20アルコールであってよい。この実施形態の他の態様では、アルコールは、例えば、1級アルコール、2級アルコール、又は3級アルコールであってよい。この実施形態の他の態様では、アルコールは、例えば、非環式アルコール、一価アルコール、多価アルコール(ポリオールあるいは糖アルコールとしても知られる)、不飽和脂肪族アルコール、脂環式アルコール、又はこれらの組み合わせであってよい。一価アルコールの例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、及び1−ヘキサデカノールが挙げられるが、これらに限定されない。多価アルコールの例としては、グリコール、グリセロール、アラビトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトール(グルシトール)、マンニトール、イノシトール、ラクチトール、ガラクチトール(イジトール)、及びイソマルトが挙げられるが、これらに限定されない。不飽和脂肪族アルコールの例としては、プロパ−2−エン−1−オール、3,7−ジメチルオクタ−2,6−ジエン−1−オール、及びプロプ−2−イン−1−オールが挙げられるが、これらに限定されない。脂環式アルコールの例としては、シクロヘキサン−1,2,3,4,5,6,−ヘキソール及び2−(2−プロピル)−5−メチルシクロヘキサン−1−オールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
別の実施形態では、溶媒は、薬学的に許容可能なアルコールと酸のエステルを含むことができる。適切な薬学的に許容可能なアルコールとしては本明細書で開示されているものが挙げられる。適切な酸としては、酢酸、酪酸、及びギ酸が挙げられるが、これらに限定されない。アルコールと酸のエステルとしては、酢酸メチル、酪酸メチル、ギ酸メチル、酢酸エチル、酪酸エチル、ギ酸エチル、酢酸プロピル、酪酸プロピル、ギ酸プロピル、酢酸ブチル、酪酸ブチル、ギ酸ブチル、酢酸イソブチル、酪酸イソブチル、ギ酸イソブチル、酢酸ペンチル、酪酸ペンチル、ギ酸ペンチル、及び1−ヘキサデシルアセタート、1−ヘキサデシルブチラート、及び1−ヘキサデシルホルマートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
別の実施形態では、溶媒は、薬学的に許容可能なグリコールエーテルを含んでもよい。グリコールエーテルは、エチレングリコールのアルキルエーテルベースの溶媒のグループに属する。非限定的例には、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(2−(2−メトキシエトキシ)エタノール)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(2−(2−エトキシエトキシ)エタノール)、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル(2−(2−プロポキシエトキシ)エタノール)、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(2−(2−イソプロポキシエトキシ)エタノール)、及びジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル(2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール)、が含まれる。ジエチレングリコールモノエチルエーテル(2−(2−エトキシエトキシ)エタノール)は、TRANSCUTOL(登録商標)として市販されている。
【0062】
別の実施形態では、溶媒は、薬学的に許容可能なジオールを含んでもよい。ジオール又はダブルアルコールは、2個のヒドロキシル基(−OH基)を含む化学物質である。
【0063】
別の実施形態では、溶媒は、薬学的に許容可能なプロピレングリコールを含んでもよい。1,2−プロパンジオール又はプロパン−1,2−ジオールとも呼ばれるプロピレングリコールは、式:C又はHO−CH−CHOH−CHの有機化合物である。
【0064】
別の実施形態では、溶媒は、薬学的に許容可能なジプロピレングリコールを含んでもよい。ジプロピレングリコールは、3種の異性体化学物質、4−オキサ−2,6−ヘプタンジオール、2−(2−ヒドロキシプロポキシ)−プロパン−1−オール、及び2−(2−ヒドロキシ−1−メチルエトキシ)−プロパン−1−オール、の混合物である。
【0065】
別の実施形態では、溶媒は、薬学的に許容可能なポリプロピレングリコール(PPG)ポリマーを含んでもよい。PPGポリマーは、ポリプロピレンオキシド(PPO)ポリマー又はポリオキシプロピレン(POP)ポリマーとしても知られるが、プロピレンオキシドの重合によって調製され、100g/molから10,000,000g/molまでの広範囲の分子量のものが市販されている。低分子量のPPGポリマーは、液体又は低融点固体であるが、高分子量のPPGポリマーは固体である。PPGポリマーとしては、PPG100、PPG200、PPG300、PPG400、PPG500、PPG600、PPG700、PPG800、PPG900、PPG1000、PPG1100、PPG1200、PPG1300、PPG1400、PPG1500、PPG1600、PPG1700、PPG1800、PPG1900、PPG2000、PPG2100、PPG2200、PPG2300、PPG2400、PPG2500、PPG2600、PPG2700、PPG2800、PPG2900、PPG3000、PPG3250、PPG3350、PPG3500、PPG3750、PPG4000、PPG4250、PPG4500、PPG4750、PPG5000、PPG5500、PPG6000、PPG6500、PPG7000、PPG7500、PPG8000、PPG8500、PPG9000、PPG9500、PPG10,000、PPG11,000、PPG12,000、PPG13,000、PPG14,000、PPG15,000、PPG16,000、PPG17,000、PPG18,000、PPG19,000、又はPPG20,000、が挙げられるがこれらに限定されない。
【0066】
別の実施形態では、溶媒は、薬学的に許容可能なポリエチレングリコール(PEG)ポリマーを含んでもよい。PEGポリマーは、ポリエチレンオキシド(PEO)ポリマー又はポリオキシエチレン(POE)ポリマーとしても知られるが、エチレンオキシドの重合によって調製され、100g/molから10,000,000g/molまでの広範囲の分子量のものが市販されている。低分子量のPEGポリマーは、液体又は低融点固体であるが、高分子量のPEGポリマーは固体である。PEGポリマーとしては、PEG100、PEG200、PEG300、PEG400、PEG500、PEG600、PEG700、PEG800、PEG900、PEG1000、PEG1100、PEG1200、PEG1300、PEG1400、PEG1500、PEG1600、PEG1700、PEG1800、PEG1900、PEG2000、PEG2100、PEG2200、PEG2300、PEG2400、PEG2500、PEG2600、PEG2700、PEG2800、PEG2900、PEG3000、PEG3250、PEG3350、PEG3500、PEG3750、PEG4000、PEG4250、PEG4500、PEG4750、PEG5000、PEG5500、PEG6000、PEG6500、PEG7000、PEG7500、PEG8000、PEG8500、PEG9000、PEG9500、PEG10,000、PEG11,000、PEG12,000、PEG13,000、PEG14,000、PEG15,000、PEG16,000、PEG17,000、PEG18,000、PEG19,000、又はPEG20,000、が挙げられるがこれらに限定されない。
【0067】
別の実施形態では、溶媒は、薬学的に許容可能なグリセリドを含んでもよい。グリセリドは置換グリセロールを含み、この場合、グリセロールのヒドロキシル基の内の1個、2個、又は3個全部が脂肪酸を用いて各々エステル化され、それぞれモノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリドを生成する。これらの化合物においては、グリセロールの各ヒドロキシル基は異なる脂肪酸によりエステル化されてもよい。それに加えて、グリセリドはアセチル化されてアセチル化モノグリセリド、アセチル化ジグリセリド、及びアセチル化トリグリセリドを形成してもよい。
【0068】
一実施形態では、溶媒は、薬学的に許容可能な固体溶媒を含んでもよい。固体溶媒は、本明細書で開示される医薬組成物の固形投与製剤を製造する上で有用であろう。典型的には、固体溶媒は治療化合物を溶解するために融解される。薬学的に許容可能な固体溶媒としては、メントール、及び約20,000g/mol超のPEGポリマーが挙げられるがこれらに限定されない。
【0069】
本明細書のいくつかの態様は、一部で、薬学的に許容可能なアジュバントを開示する。アジュバントは、他の薬剤(例えば本明細書で開示される治療化合物)の作用を改良する薬剤である。それに加えて、本明細書で開示されるアジュバントは、本明細書で開示される治療化合物を溶解する溶媒として使用してアジュバント溶液を形成することもできる。本明細書で開示されるアジュバントは、炎症促進性反応をより効果的に阻害する形での治療化合物の送達を促進する。一実施形態では、本明細書で開示されるアジュバントは、本明細書で開示される治療化合物のマクロファージへの送達を促進する。
【0070】
本明細書で開示される医薬組成物は、本明細書で開示される溶液又は本明細書で開示されるエマルションと混合する上で十分な量の、薬学的に許容可能なアジュバントを含むことができる。この実施形態の他の態様では、本明細書で開示される医薬組成物は、例えば、少なくとも10%(v/v)、少なくとも20%(v/v)、少なくとも30%(v/v)、少なくとも35%(v/v)、少なくとも40%(v/v)、少なくとも45%(v/v)、少なくとも50%(v/v)、少なくとも55%(v/v)、少なくとも60%(v/v)、少なくとも65%(v/v)、少なくとも70%(v/v)、少なくとも75%(v/v)、少なくとも80%(v/v)、少なくとも85%(v/v)、少なくとも90%(v/v)、少なくとも95%(v/v)、又は少なくとも99%(v/v)の量のアジュバントを含むことができる。この実施形態の他の態様では、本明細書で開示される医薬組成物は、例えば、約30%(v/v)〜約99%(v/v)、約35%(v/v)〜約99%(v/v)、約40%(v/v)〜約99%(v/v)、約45%(v/v)〜約99%(v/v)、約50%(v/v)〜約99%(v/v)、約30%(v/v)〜約98%(v/v)、約35%(v/v)〜約98%(v/v)、約40%(v/v)〜約98%(v/v)、約45%(v/v)〜約98%(v/v)、約50%(v/v)〜約98%(v/v)、約30%(v/v)〜約95%(v/v)、約35%(v/v)〜約95%(v/v)、約40%(v/v)〜約95%(v/v)、約45%(v/v)〜約95%(v/v)、又は約50%(v/v)〜約95%(v/v)の範囲の量のアジュバントを含むことができる。この実施形態のさらに他の態様では、本明細書で開示される医薬組成物は、例えば、約70%(v/v)〜約97%(v/v)、約75%(v/v)〜約97%(v/v)、約80%(v/v)〜約97%(v/v)、約85%(v/v)〜約97%(v/v)、約88%(v/v)〜約97%(v/v)、約89%(v/v)〜約97%(v/v)、約90%(v/v)〜約97%(v/v)、約75%(v/v)〜約96%(v/v)、約80%(v/v)〜約96%(v/v)、約85%(v/v)〜約96%(v/v)、約88%(v/v)〜約96%(v/v)、約89%(v/v)〜約96%(v/v)、約90%(v/v)〜約96%(v/v)、約75%(v/v)〜約93%(v/v)、約80%(v/v)〜約93%(v/v)、約85%(v/v)〜約93%(v/v)、約88%(v/v)〜約93%(v/v)、約89%(v/v)〜約93%(v/v)、又は約90%(v/v)〜約93%(v/v)の範囲の量のアジュバントを含むことができる。
【0071】
一実施形態では、アジュバントは、薬学的に許容可能な脂質であってもよい。脂質は、疎水性又は両親媒性の小分子として広く定義できる。一部の脂質の両親媒性の性質により、水性環境においてベシクル、リポソーム、又は膜などの構造を形成することが可能となる。脂質の非限定的な例としては、脂肪酸、グリセロ脂質(例えばモノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリド)、リン脂質、スフィンゴ脂質、ステロール脂質、プレノール脂質、サッカロ脂質、及びポリケチドが挙げられる。本明細書で開示される医薬組成物は、例えば、油、油ベースの液体、脂肪、脂肪酸、ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸塩、脂肪アルコール、グリセリド(モノ、ジ、又はトリグリセリド)、部分水解グリセロ脂質、リン脂質、グリコールエステル、スクロースエステル、オレイン酸グリセロール誘導体、中鎖トリグリセリド、又はこれらの混合物などの脂質を含むことができる。アジュバントとして有用な薬学的に許容可能な脂質のその他の例は、例えば、米国特許第6,923,988号、同6,451,339号、同6,383,471号、同6,294,192号、及び同6,267,985号に記載されている。これらの特許は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0072】
本明細書で開示される医薬組成物に有用な脂質は、薬学的に許容可能な脂肪酸であってもよい。脂肪酸は、飽和でも不飽和であってもよい長い非分枝炭化水素鎖を有するカルボン酸を含む。そのような配置により、極性の親水性末端、及び水に不溶の非極性疎水性末端を有する脂肪酸が形成される。天然脂肪酸のほとんどは、炭素原子数が偶数で、通常、4〜24個の炭素の炭化水素鎖を有し、酸素、ハロゲン、窒素、及び硫黄を含む官能基が結合している場合もある。合成、又は非天然脂肪酸は、炭素原子数が3個〜40内個の内のいずれかの数の炭化水素鎖を有することができる。二重結合が存在する場合は、シス又はトランス幾何異性のいずれかである可能性があり、これはその分子の分子立体構造に大きな影響を与える。シス二重結合は脂肪酸の鎖を曲げさせ、この効果は鎖中の二重結合が多ければ多いほどより顕著となる。天然に起こる脂肪酸のほとんどはシス配置であるが、天然の、及び部分的に水素化された脂肪と油の中にはトランス型のものも存在する。脂肪酸の例としては、カプリル酸(8:0)、ペラルゴン酸(9:0)、カプリン酸(10:0)、ウンデシル酸(11:0)、ラウリン酸(12:0)、トリデシル酸(13:0)、ミリスチン酸(14:0)、ミリストレイン酸(14:1)、ペンタデシル酸(15:0)、パルミチン酸(16:0)、パルミトレイン酸(16:1)、サピエン酸(16:1)、マルガリン酸(17:0)、ステアリン酸(18:0)、オレイン酸(18:1)、エライジン酸(18:1)、バクセン酸(18:1)、リノール酸(18:2)、リノエライジン酸(18:2)、α−リノレン酸(18:3)、γ−リノレン酸(18:3)、ステアリドン酸(18:4)、ノナデシル酸(19:0)、アラキジン酸(20:0)、エイコセン酸(20:1)、ジホモ−γ−リノレン酸(20:3)、ミード酸(20:3)、アラキドン酸(20:4)、エイコサペンタエン酸(20:5)、ヘンイコシル酸(21:0)、ベヘン酸(22:0)、エルカ酸(22:1)、ドコサヘキサエン酸(22:6)、トリコシル酸(23:0)、リグノセリン酸(24:0)、ネルボン酸(24:1)、ペンタコシル酸(25:0)、セロチン酸(26:0)、へプタコシル酸(27:0)、モンタン酸(28:0)、ノナコシル酸(29:0)、メリシン酸(30:0)、ヘントリアコンチル酸(31:0)、ラクセロン酸(32:0)、プシリン酸(33:0)、ゲダ酸(34:0)、セロプラスチン酸(35:0)、及びヘキサトリアコンチル酸(36:0)、が挙げられるがこれらに限定されない。
【0073】
本明細書で開示される医薬組成物に有用な脂質は、薬学的に許容可能な部分水添脂質であってもよい。水素添加プロセスは不飽和の脂質に水素原子を付加して二重結合を除き、部分的に又は完全に飽和した脂質にする。部分水添は酵素的というよりは化学的であり、完全に水素添加するのではなく、シス異性体の一部をトランス不飽和脂質に変換する。第1の反応工程では、1個の水素が付加され、配位不飽和の残りの炭素が触媒に結合している。第2工程では、残りの炭素に水素を付加し、飽和脂肪酸を生成する。第一工程は可逆的であり、それにより、水素は触媒上に再吸収され、二重結合が再形成される。1個のみの付加水素を有する中間体は、二重結合を持たず、自由に回転できる。従って、二重結合はシス又はトランスのいずれかとして再形成できるが、これらの内、出発物質に関係なくトランスが選択される。
【0074】
一実施形態では、アジュバントは、薬学的に許容可能な飽和又は不飽和脂肪酸であってよい。この実施形態のいくつかの態様では、飽和又は不飽和脂肪酸は、例えば、少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも14個、少なくとも16個、少なくとも18個、少なくとも20個、少なくとも22個、少なくとも24個、少なくとも26個、少なくとも28個、又は少なくとも30個の炭素原子を含む。この実施形態の他の態様では、飽和もしくは不飽和脂肪酸は、例えば4〜24個の炭素原子、6〜24個の炭素原子、8〜24個の炭素原子、10〜24個の炭素原子、12〜24個の炭素原子、14〜24個の炭素原子、又は16〜24個の炭素原子、4〜22個の炭素原子、6〜22個の炭素原子、8〜22個の炭素原子、10〜22個の炭素原子、12〜22個の炭素原子、14〜22個の炭素原子、又は16〜22個の炭素原子、4〜20個の炭素原子、6〜20個の炭素原子、8〜20個の炭素原子、10〜20個の炭素原子、12〜20個の炭素原子、14〜20個の炭素原子、又は16〜20個の炭素原子を含む。不飽和の場合、脂肪酸は例えば1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、又は6個以上の二重結合を有することができる。
【0075】
この実施形態のいくつかの態様では、薬学的に許容可能な飽和又は不飽和脂肪酸は、室温で液体である。脂肪酸の融点は、炭化水素鎖の飽和/不飽和の程度によりほぼ決定される。この実施形態のいくつかの態様では、飽和又は不飽和脂肪酸は、例えば、20℃以下、15℃以下、10℃以下、5℃以下、0℃以下、−5℃以下、−10℃以下、−15℃以下、又は−20℃以下の融点を有する。この実施形態の他の態様では、飽和又は不飽和脂肪酸は、例えば、約−20℃〜約20℃、約−20℃〜約18℃、約−20℃〜約16℃、約−20℃〜約12℃、約−20℃〜約8℃、約−20℃〜約4℃、約−20℃〜約0℃、約−15℃〜約20℃、約−15℃〜約18℃、約−15℃〜約16℃、約−15℃〜約12℃、約−15℃〜約8℃、約−15℃〜約4℃、約−15℃〜約0℃の範囲の融点を有する。
【0076】
別の実施形態では、アジュバントは、1種類の薬学的に許容可能な脂肪酸を含むことができる。この実施形態のいくつかの態様では、アジュバントは、パルミチン酸のみ、ステアリン酸のみ、オレイン酸のみ、リノール酸のみ、又はリノレン酸のみを含むことができる。
【0077】
別の実施形態では、アジュバントは、複数の異なる薬学的に許容可能な脂肪酸を含むことができる。この実施形態のいくつかの態様では、アジュバントは、例えば2種以上の異なる脂肪酸、3種以上の異なる脂肪酸、4種以上の異なる脂肪酸、5種以上の異なる脂肪酸、又は6種以上の異なる脂肪酸を含むことができる。
【0078】
この実施形態の他の態様では、アジュバントは、少なくともパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、及び/又はリノレン酸、ならびにこれらのいずれかの組合せを含む2種以上の異なる薬学的に許容可能な脂肪酸を含むことができる。この実施形態の他の態様では、アジュバントは、例えば、少なくとも2:1、少なくとも3:1、少なくとも4:1、少なくとも5:1、少なくとも6:1、少なくとも7:1、少なくとも8:1、少なくとも9:1、少なくとも10:1、少なくとも15:1、又は少なくとも20:1の比率のパルミチン酸及び/又はステアリン酸及び/又はオレイン酸:リノレン酸及び/又はリノール酸を含むことができる。この実施形態のさらに他の態様では、アジュバントは、例えば、約1:1〜約20:1、約2:1〜約15:1、約4:1〜約12:1、又は約6:1〜約10:1の範囲の比率のパルミチン酸及び/又はステアリン酸及び/又はオレイン酸:リノレン酸及び/又はリノール酸を含むことができる。
【0079】
この実施形態の他の態様では、アジュバントは、少なくともパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、及び/又はリノレン酸、ならびにこれらのいずれかの組合せを含む4種以上の異なる薬学的に許容可能な脂肪酸を含むことができる。この実施形態の他の態様では、アジュバントは、例えば、10:10:1:1、9:9:1:1、8:8:1:1、7:7:1:1、6:6:1:1、5:5:1:1、4:4:1:1、3:3:1:1、2:2:1:1、又は1:1:1:1、の比率のパルミチン酸:ステアリン酸:リノレン酸:リノール酸を含むことができる。この実施形態の他の態様では、アジュバントは、例えば、約10:10:1:1〜約6:6:1:1、約8:8:1:1〜約4:4:1:1、又は約5:5:1:1〜約1:1:1:1、の範囲の比率のパルミチン酸:ステアリン酸:リノレン酸:リノール酸を含むことができる。
【0080】
本明細書で開示される医薬組成物に有用な脂質は、薬学的に許容可能なオメガ脂肪酸であってもよい。オメガ脂肪酸の非限定的な例としては、オメガ3、オメガ6、オメガ7、及びオメガ9が挙げられる。オメガ3脂肪酸(n−3脂肪酸あるいはω−3脂肪酸としても知られる)は、必須不飽和脂肪酸のファミリーであって、共通してn−3位に、すなわち脂肪酸のメチル末端から数えて3番目の結合位置に最後の炭素・炭素二重結合を有する。オメガ3脂肪酸は「必須」脂肪酸であるが、これは、それらが正常な代謝にとって不可欠であり、かつ人体によって合成できないからである。オメガ3脂肪酸としては、ヘキサデカトリエン酸(16:3)、α−リノレン酸(18:3)、ステアリドン酸(18:4)、エイコサトリエン酸(20:3)、エイコサテトラエン酸(20:4)、エイコサペンタエン酸(20:5)、ヘンエイコサペンタエン酸(21:5)、ドコサペンタエン酸(クルパノドン酸)(22:5)、ドコサヘキサエン酸(22:6)、テトラコサペンタエン酸(24:5)、テトラコサヘキサエン酸(ニシン酸)(24:6)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
オメガ6脂肪酸(n−6脂肪酸あるいはω−6脂肪酸としても知られる)は、不飽和脂肪酸のファミリーであって、共通してn−6位に、すなわち脂肪酸のメチル末端から数えて6番目の結合位置に最後の炭素・炭素二重結合を有する。オメガ6脂肪酸としては、リノール酸(18:2)、γ−リノレン酸(18:3)、カレンジン酸(18:3)、エイコサジエン酸(20:2)、ジホモ−γ−リノレン酸(20:3)、アラキドン酸(20:4)、ドコサジエン酸(22:2)、アドレン酸(22:4)、ドコサペンタエン酸(22:5)、テトラコサテトラエン酸(24:4)、及びテトラコサペンタエン酸(24:5)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
オメガ7脂肪酸(n−7脂肪酸あるいはω−7脂肪酸としても知られる)は、不飽和脂肪酸のファミリーであって、共通してn−7位に、すなわち脂肪酸のメチル末端から数えて7番目の結合位置に最後の炭素・炭素二重結合を有する。オメガ7脂肪酸としては、5−ドデセン酸(12:1)、7−テトラデセン酸(14:1)、9−ヘキサデセン酸(パルミトレイン酸)(16:1)、11−デセン酸(バクセン酸)(18:1)、9Z,11E共役リノール酸(ルーメン酸)(18:2)、13−エイコセン酸(パウリン酸)(20:1)、15−ドコセン酸(22:1)、及び17−テトラコセン酸(24:1)、が挙げられるがこれらに限定されない。
【0083】
オメガ9脂肪酸(n−9脂肪酸あるいはω−9脂肪酸としても知られる)は、不飽和脂肪酸のファミリーであって、共通してn−9位に、すなわち脂肪酸のメチル末端から数えて9番目の結合位置に最後の炭素・炭素二重結合を有する。オメガ9脂肪酸としては、オレイン酸(18:1)、エライジン酸(18:1)、エイコセン酸(20:1)、ミード酸(20:3)、エルカ酸(22:1)、ネルボン酸(24:1)、及びリシノール酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
本明細書で開示される医薬組成物に有用な脂質は、薬学的に許容可能な脂肪であってもよい。ハードファット又は固形脂肪としても知られているように、脂肪は、通常の室温、例えば、約20℃において固形状である任意の脂肪酸を含む。脂肪は、通常、有機溶剤に可溶性で、かつ、通常、水に不溶性の広範な化合物群から構成される。本明細書で開示される医薬組成物に有用な脂質として好適な脂肪は、トリグリセリド、グリセロールのトリエステル又はいくつかの脂肪酸の内のいずれかであってよい。
【0085】
本明細書で開示される医薬組成物に有用な脂質は、薬学的に許容可能な油であってもよい。液体油脂としても知られる油は、通常の室温、例えば、約20℃で液体である任意の脂肪酸を含む。本明細書で開示される医薬組成物に有用な脂質として適切な油は、天然油、植物油、又はグリース状の水と混和しない任意の物質であってよい。適切な天然油の例としては、鉱油、トリアセチン、オレイン酸エチル、水素化天然油、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。適切な植物油の例としては、アーモンド油、ラッカセイ油、アボカド油、カノーラ油、ヒマシ油、ヤシ油、トウモロコシ油、綿実油、ブドウ種子油、へーゼルナッツ油、大麻油、亜麻仁油(亜麻種子油)、オリーブ油、パーム油、ピーナッツ油、ナタネ油、米糠油、ベニバナ油、ゴマ油、大豆油(soybean oil)、大豆油(soya oil)、ヒマワリ油、カカオ脂(ココアバター)、くるみ油、コムギ胚芽油、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。これらの油はそれぞれ、当業者によく知られた多くの販売者により市販されている。
【0086】
油は典型的には様々な脂肪酸の混合物である。例えば、セイヨウアブラナの種から得られるナタネ油は、オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸の両方を、約2:1の比率で含有する。別の例として、亜麻の種子から得られる亜麻仁油は、約7%のパルミチン酸、約3.4〜4.6%のステアリン酸、約18.5〜22.6%のオレイン酸、約14.2〜17%のリノール酸、及び約51.9〜55.2%のα−リノレン酸を含有する。別の例として、テオブロマ・カカオの種子から得られるカカオ脂は、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、及びアラキドン酸由来のグリセリドを含有し、融点は34〜38℃である。この実施形態のいくつかの態様では、医薬組成物は、少なくとも2種の異なる脂肪酸、少なくとも3種の異なる脂肪酸、少なくとも4種の異なる脂肪酸、少なくとも5種の異なる脂肪酸、又は少なくとも6種の異なる脂肪酸を含有する油を含む。
【0087】
本明細書で開示される医薬組成物に有用な脂質は、薬学的に許容可能なグリセロ脂質であってもよい。グリセロ脂質は、モノ、ジ、及びトリ置換されたグリセロールから主に構成される。グリセロ脂質の1つのグループはグリセリドであり、これはグリセロールのヒドロキシル基のうちの1つ、2つ、又は3つ全部がそれぞれ本明細書で開示の脂肪酸を用いてエステル化されて、それぞれモノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリドを生じたものである。これらの化合物においては、グリセロールの各ヒドロキシル基は異なる脂肪酸によりエステル化されてもよい。それに加えて、グリセリドはアセチル化されてアセチル化モノグリセリド、アセチル化ジグリセリド、及びアセチル化トリグリセリドを形成してもよい。グリセロ脂質の1つのグループは、グリセロールのヒドロキシル基のうちの1つ、2つ、又は3つ全部がグリコシド結合を介して結合された糖残基を有する。
【0088】
本明細書で開示される医薬組成物に有用な脂質は、薬学的に許容可能な部分水解グリセロ脂質であってもよい。この実施形態の一態様では、薬学的に許容可能な部分水解グリセロ脂質は、モノ、ジ、及びトリグリセリドの混合物に部分加水分解されたトリグリセリドである。
【0089】
本明細書で開示される医薬組成物に有用な脂質は、薬学的に許容可能なグリコール脂肪酸エステルであってもよい。薬学的に許容可能なグリコール脂肪酸エステルは、グリコールのモノエステル、グリコールのジエステル、又はグリコールのトリエステルであってよい。グリコール脂肪酸エステルとしては、エチレングリコール脂肪酸エステル、ジエチレングリコール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及びジプロピレン脂肪酸エステル、が挙げられるがこれらに限定されない。グリコール脂肪酸エステルの非限定的例には、例えば、エチレングリコールカプリラート、エチレングリコールペラルゴナート、エチレングリコールカプラート、エチレングリコールウンデシラート、エチレングリコールラウラート、エチレングリコールトリデシラート、エチレングリコールミリスタート、エチレングリコールミリストラート、エチレングリコールペンタデシクラート、エチレングリコールパルミタート、エチレングリコールパルミトレアート、エチレングリコールサピエナート、エチレングリコールマルガラート、エチレングリコールステアラート、エチレングリコールパルミトステアラート、エチレングリコールオレアート、エチレングリコールエライダート、エチレングリコールバッシナート、エチレングリコールリノレアート、エチレングリコールリノエライダート、エチレングリコールα−リノレナート、エチレングリコールγ−リノレナート、エチレングリコールステアリドナート、エチレングリコールカップリルオカプラート、エチレングリコールジカップリルオカプラート、ジエチレングリコールカプリラート、ジエチレングリコールペラルゴナート、ジエチレングリコールカプラート、ジエチレングリコールウンデシラート、ジエチレングリコールラウラート、ジエチレングリコールトリデシラート、ジエチレングリコールミリスタート、ジエチレングリコールミリストラート、ジエチレングリコールペンタデシクラート、ジエチレングリコールパルミタート、ジエチレングリコールパルミトレアート、ジエチレングリコールサピエナート、ジエチレングリコールマルガラート、ジエチレングリコールステアラート、ジエチレングリコールパルミトステアラート、ジエチレングリコールオレアート、ジエチレングリコールエライダート、ジエチレングリコールバッシナート、ジエチレングリコールリノレアート、ジエチレングリコールリノエライダート、ジエチレングリコールα−リノレナート、ジエチレングリコールγ−リノレナート、ジエチレングリコールステアリドナート、ジエチレングリコールカップリルオカプラート、ジエチレングリコールジカップリルオカプラート、プロピレングリコールカプリラート、プロピレングリコールペラルゴナート、プロピレングリコールカプラート、プロピレングリコールウンデシラート、プロピレングリコールラウラート、プロピレングリコールトリデシラート、プロピレングリコールミリスタート、プロピレングリコールミリストラート、プロピレングリコールペンタデシクラート、プロピレングリコールパルミタート、プロピレングリコールパルミトレアート、プロピレングリコールサピエナート、プロピレングリコールマルガラート、プロピレングリコールステアラート、プロピレングリコールパルミトステアラート、プロピレングリコールオレアート、プロピレングリコールエライダート、プロピレングリコールバッシナート、プロピレングリコールリノレアート、プロピレングリコールリノエライダート、プロピレングリコールα−リノレナート、プロピレングリコールγ−リノレナート、プロピレングリコールステアリドナート、プロピレングリコールカップリルオカプラート、プロピレングリコールジカップリルオカプラート、ジプロピレングリコールカプリラート、ジプロピレングリコールペラルゴナート、ジプロピレングリコールカプラート、ジプロピレングリコールウンデシラート、ジプロピレングリコールラウラート、ジプロピレングリコールトリデシラート、ジプロピレングリコールミリスタート、ジプロピレングリコールミリストラート、ジプロピレングリコールペンタデシクラート、ジプロピレングリコールパルミタート、ジプロピレングリコールパルミトレアート、ジプロピレングリコールサピエナート、ジプロピレングリコールマルガラート、ジプロピレングリコールステアラート、ジプロピレングリコールパルミトステアラート、ジプロピレングリコールオレアート、ジプロピレングリコールエライダート、ジプロピレングリコールバッシナート、ジプロピレングリコールリノレアート、ジプロピレングリコールリノエライダート、ジプロピレングリコールα−リノレナート、ジプロピレングリコールγ−リノレナート、ジプロピレングリコールステアリドナート、ジプロピレングリコールカップリルオカプラート、ジプロピレングリコールジカップリルオカプラート、又はこれらのいずれかの組み合わせ、が挙げられる。
【0090】
本明細書で開示される医薬組成物に有用な脂質は、薬学的に許容可能なポリエーテル脂肪酸エステルであってもよい。薬学的に許容可能なポリエーテル脂肪酸エステルは、ポリエーテルのモノ脂肪酸エステル、ポリエーテルのジ脂肪酸エステル、又はポリエーテルのトリ脂肪酸エステルであってよい。ポリエーテル脂肪酸エステルとしては、PEG脂肪酸エステル、PEGグリセリル脂肪酸、PEG脂肪酸エステルグリセリド、PPG脂肪酸エステル、PPGグリセリル脂肪酸、及びPPG脂肪酸エステルグリセリド、が挙げられるがこれらに限定されない。PEG又はPPGの分子量は、例えば、5〜20,000であってよい。ポリエーテル脂肪酸エステルの非限定的例としては、例えば、PEGカプリラート、PEGペラルゴナート、PEGカプラート、PEGウンデシラート、PEGラウラート、PEGトリデシラート、PEGミリスタート、PEGミリストラート、PEGペンタデシクラート、PEGパルミタート、PEGパルミトレアート、PEGサピエナート、PEGマルガラート、PEGステアラート、PEGパルミトステアラート、PEGオレアート、PEGエライダート、PEGバッシナート、PEGリノレアート、PEGリノエライダート、PEGα−リノレナート、PEGγ−リノレナート、PEGステアリドナート、PEGカプリロカプラート、PEGジカプリロカプラート、PEGグリセリルカプリラート、PEGグリセリルペラルゴナート、PEGグリセリルカプラート、PEGグリセリルウンデシラート、PEGグリセリルラウラート、PEGグリセリルトリデシラート、PEGグリセリルミリスタート、PEGグリセリルミリストラート、PEGグリセリルペンタデシクラート、PEGグリセリルパルミタート、PEGグリセリルパルミトレアート、PEGグリセリルサピエナート、PEGグリセリルマルガラート、PEGグリセリルステアラート、PEGグリセリルパルミトステアラート、PEGグリセリルオレアート、PEGグリセリルエライダート、PEGグリセリルバッシナート、PEGグリセリルリノレアート、PEGグリセリルリノエライダート、PEGグリセリルα−リノレナート、PEGグリセリルγ−リノレナート、PEGグリセリルステアリドナート、PEGグリセリルカプリロカプラート、PEGグリセリルジカプリロカプラート、カプリロイルPEGグリセリド、ペラルゴノイルPEGグリセリド、カプロイルPEGグリセリド、ウンデシロイルPEGグリセリド、ラウロイルPEGグリセリド、トリデシロイルPEGグリセリド、ミリストイルPEGグリセリド、ミリストロイルPEGグリセリド、ペンタデシクロイルPEGグリセリド、パルミトイルPEGグリセリド、パルミトレオイルPEGグリセリド、サピエノイルPEGグリセリド、マルガロイルPEGグリセリド、ステアロイルPEGグリセリド、パルミトステアロイルPEGグリセリド、オレオイルPEGグリセリド、エライドイルPEGグリセリド、バッシノイルPEGグリセリド、リノレオイルPEGグリセリド、リノエライドイルPEGグリセリド、α−リノレノイルPEGグリセリド、γ−リノレノイルPEGグリセリド、ステアリドノイルPEGグリセリド、カプリロカプロイルPEGグリセリド、ジカプリロカプロイルPEGグリセリド、PPGカプリラート、PPGペラルゴナート、PPGカプラート、PPGウンデシラート、PPGラウラート、PPGトリデシラート、PPGミリスタート、PPGミリストラート、PPGペンタデシクラート、PPGパルミタート、PPGパルミトレアート、PPGサピエナート、PPGマルガラート、PPGステアラート、PPGパルミトステアラート、PPGオレアート、PPGエライダート、PPGバッシナート、PPGリノレアート、PPGリノエライダート、PPGα−リノレナート、PPGγ−リノレナート、PPGステアリドナート、PPGカプリロカプラート、PPGジカプリロカプラート、PPGグリセリルカプリラート、PPGグリセリルペラルゴナート、PPGグリセリルカプラート、PPGグリセリルウンデシラート、PPGグリセリルラウラート、PPGグリセリルトリデシラート、PPGグリセリルミリスタート、PPGグリセリルミリストラート、PPGグリセリルペンタデシクラート、PPGグリセリルパルミタート、PPGグリセリルパルミトレアート、PPGグリセリルサピエナート、PPGグリセリルマルガラート、PPGグリセリルステアラート、PPGグリセリルパルミトステアラート、PPGグリセリルオレアート、PPGグリセリルエライダート、PPGグリセリルバッシナート、PPGグリセリルリノレアート、PPGグリセリルリノエライダート、PPGグリセリルα−リノレナート、PPGグリセリルγ−リノレナート、PPGグリセリルステアリドナート、PPGグリセリルカプリロカプラート、PPGグリセリルジカプリロカプラート、カプリロイルPPGグリセリド、ペラルゴノイルPPGグリセリド、カプロイルPPGグリセリド、ウンデシロイルPPGグリセリド、ラウロイルPPGグリセリド、トリデシロイルPPGグリセリド、ミリストイルPPGグリセリド、ミリストロイルPPGグリセリド、ペンタデシクロイルPPGグリセリド、パルミトイルPPGグリセリド、パルミトレオイルPPGグリセリド、サピエノイルPPGグリセリド、マルガロイルPPGグリセリド、ステアロイルPPGグリセリド、パルミトステアロイルPPGグリセリド、オレオイルPPGグリセリド、エライドイルPPGグリセリド、バッシノイルPPGグリセリド、リノレオイルPPGグリセリド、リノエライドイルPPGグリセリド、α−リノレノイルPPGグリセリド、γ−リノレノイルPPGグリセリド、ステアリドノイルPPGグリセリド、カプリロカプロイルPPGグリセリド、ジカプリロカプロイルPPGグリセリド、又はこれらのいずれかの組み合わせ、が挙げられる。
【0091】
市販の薬学的に許容可能なポリエーテル脂肪酸エステルとしては、カプリロカプロイルマクロゴール−8グリセリド(LABRASOL(登録商標))、プロピレングリコールモノパルミトステアラート(MONOSTEOL(登録商標))、グリセリルジベヘナート(COMPRITOL(登録商標)888)、グリセリンベヘナート(COMPRITOL(登録商標)E ATO)、ベヘノイルポリオキシル−8グリセリド(COMPRITOL(登録商標)HD5 ATO)、トリグリセリンジイソステアラート(PLUROL(登録商標)Diisostearique)、PEG−8蜜蝋(APIFIL(登録商標))、ラウロイルマクロゴール−32グリセリド(GELUCIRE 44/14)、ステアロイルマクロゴール−32グリセリド(GELUCIRE 50.13)、プロピレングリコールジカプリロカプラート(LABRAFAC(登録商標)PG)、ポリグリセリン−3ジオレアート(PLUROL(登録商標)Oleique CC 497)、プロピレングリコールモノラウラート(I型)(LAUROGLYCOL(登録商標)FCC)、プロピレングリコールモノラウラート(II型)(LAUROGLYCOL(登録商標)90)、プロピレングリコールモノカプリラート(I型)(CAPRYOL(登録商標)PGMC)、プロピレングリコールモノカプリラート(II型)(CAPRYOL(登録商標)90)、リノレオイルマクロゴール−6グリセリド(LABRAFIL(登録商標)M2125CS)、オレオイルマクロゴール−6グリセリド(LABRAFIL(登録商標)M1944CS)、ラウロイルマクロゴール−6グリセリド(LABRAFIL(登録商標)M2130CS)、グリセリンジパルミトステアラート(Biogapress Vegetal BM297ATO)、グリセリンジステアラート(I型)(PRECIROL(登録商標)ATO 5)、及びグリセリンモノリノレアート(MAISINE(登録商標)35−1)、が挙げられるがこれらに限定されない。
【0092】
本明細書で開示される医薬組成物に有用な脂質は、薬学的に許容可能な脂質の混合物であってもよい。薬学的に許容可能な脂質の混合物の例としては、本明細書で開示の1種又は複数種のグリセロ脂質の混合物、本明細書で開示の1種又は複数種のグリコール脂肪酸エステルの混合物、本明細書で開示の1種又は複数種のポリエーテル脂肪酸エステルの混合物、本明細書で開示の1種又は複数種のグリセリドの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0093】
この実施形態のいくつかの態様では、薬学的に許容可能な脂質の混合物は、例えば、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約43℃、約43℃、約44℃、約45℃、約45℃、約47℃、約48℃、約49℃、約50℃の融点を有するモノ、ジ、及び/又はトリグリセリドの混合物を含む。この実施形態のいくつかの態様では、薬学的に許容可能な脂質の混合物は、例えば、約30℃〜約44℃、約30℃〜約45℃、約30℃〜約46℃、約30℃〜約47℃、約30℃〜約48℃、約30℃〜約49℃、約30℃〜約50℃、約32℃〜約44℃、約32℃〜約45℃、約32℃〜約46℃、約32℃〜約47℃、約32℃〜約48℃、約32℃〜約49℃、約32℃〜約50℃、約34℃〜約44℃、約34℃〜約45℃、約34℃〜約46℃、約34℃〜約47℃、約34℃〜約48℃、約34℃〜約49℃、約34℃〜約50℃、約36℃〜約44℃、約36℃〜約45℃、約36℃〜約46℃、約36℃〜約47℃、約36℃〜約48℃、約36℃〜約49℃、約36℃〜約50℃、約38℃〜約44℃、約38℃〜約45℃、約38℃〜約46℃、約38℃〜約47℃、約38℃〜約48℃、約38℃〜約49℃、約38℃〜約50℃、約40℃〜約44℃、約40℃〜約45℃、約40℃〜約46℃、約40℃〜約47℃、約40℃〜約48℃、約40℃〜約49℃、約40℃〜約50℃、約42℃〜約44℃、約42℃〜約45℃、約42℃〜約46℃、約42℃〜約47℃、約42℃〜約48℃、約42℃〜約49℃、又は約42℃〜約50℃の融点を有するモノ、ジ、及び/又はトリグリセリドの混合物を含む。
【0094】
この実施形態の他の態様では、薬学的に許容可能な脂質の混合物は、例えば、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約43℃、約43℃、約44℃、約45℃、約45℃、約47℃、約48℃、約49℃、約50℃の融点を有するPEG脂肪酸エステルの混合物を含む。この実施形態のいくつかの態様では、薬学的に許容可能な脂質の混合物は、例えば、約30℃〜約44℃、約30℃〜約45℃、約30℃〜約46℃、約30℃〜約47℃、約30℃〜約48℃、約30℃〜約49℃、約30℃〜約50℃、約32℃〜約44℃、約32℃〜約45℃、約32℃〜約46℃、約32℃〜約47℃、約32℃〜約48℃、約32℃〜約49℃、約32℃〜約50℃、約34℃〜約44℃、約34℃〜約45℃、約34℃〜約46℃、約34℃〜約47℃、約34℃〜約48℃、約34℃〜約49℃、約34℃〜約50℃、約36℃〜約44℃、約36℃〜約45℃、約36℃〜約46℃、約36℃〜約47℃、約36℃〜約48℃、約36℃〜約49℃、約36℃〜約50℃、約38℃〜約44℃、約38℃〜約45℃、約38℃〜約46℃、約38℃〜約47℃、約38℃〜約48℃、約38℃〜約49℃、約38℃〜約50℃、約40℃〜約44℃、約40℃〜約45℃、約40℃〜約46℃、約40℃〜約47℃、約40℃〜約48℃、約40℃〜約49℃、約40℃〜約50℃、約42℃〜約44℃、約42℃〜約45℃、約42℃〜約46℃、約42℃〜約47℃、約42℃〜約48℃、約42℃〜約49℃、又は約42℃〜約50℃の融点を有するPEG脂肪酸エステルの混合物を含む。
【0095】
この実施形態の他の態様では、薬学的に許容可能な脂質の混合物は、例えば、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約43℃、約43℃、約44℃、約45℃、約45℃、約47℃、約48℃、約49℃、約50℃の融点を有するモノ、ジ、及び/又はトリグリセリドならびにPEG脂肪酸エステルの混合物を含む。この実施形態のいくつかの態様では、薬学的に許容可能な脂質の混合物は、例えば、約30℃〜約44℃、約30℃〜約45℃、約30℃〜約46℃、約30℃〜約47℃、約30℃〜約48℃、約30℃〜約49℃、約30℃〜約50℃、約32℃〜約44℃、約32℃〜約45℃、約32℃〜約46℃、約32℃〜約47℃、約32℃〜約48℃、約32℃〜約49℃、約32℃〜約50℃、約34℃〜約44℃、約34℃〜約45℃、約34℃〜約46℃、約34℃〜約47℃、約34℃〜約48℃、約34℃〜約49℃、約34℃〜約50℃、約36℃〜約44℃、約36℃〜約45℃、約36℃〜約46℃、約36℃〜約47℃、約36℃〜約48℃、約36℃〜約49℃、約36℃〜約50℃、約38℃〜約44℃、約38℃〜約45℃、約38℃〜約46℃、約38℃〜約47℃、約38℃〜約48℃、約38℃〜約49℃、約38℃〜約50℃、約40℃〜約44℃、約40℃〜約45℃、約40℃〜約46℃、約40℃〜約47℃、約40℃〜約48℃、約40℃〜約49℃、約40℃〜約50℃、約42℃〜約44℃、約42℃〜約45℃、約42℃〜約46℃、約42℃〜約47℃、約42℃〜約48℃、約42℃〜約49℃、又は約42℃〜約50℃の融点を有するモノ、ジ、及び/又はトリグリセリドならびにPEG脂肪酸エステルの混合物を含む。
【0096】
市販の薬学的に許容可能な脂質の混合物としては、PEG−6ステアラートとエチレングリコールパルミトステアラートとPEG−32ステアラートの混合物(TEFOSE(登録商標)1500;TEFOSE(登録商標)63)、トリセテアレス−4 ホスファートとエチレングリコールパルミトステアラートとジエチレングリコールパルミトステアラートの混合物(SEDEFOS(登録商標)75)、グリセロールモノステアラートとPEG−75ステアラートの混合物(GELOT(登録商標))、セチルアルコールとエトキシ化脂肪族アルコールの混合物(セテス−2−、ステアレス−20)(EMULCIRE(登録商標))、約33℃の融点を有する飽和C10〜C18トリグリセリド(GELUCIRE(登録商標)33/01)の混合物、約39℃の融点を有する飽和C10〜C18トリグリセリドの混合物(GELUCIRE(登録商標)39/01)、約43℃の融点を有する飽和C10〜C18トリグリセリドの混合物(GELUCIRE(登録商標)43/01)、グリセロールモノステアラート40−55(I型)とジグリセリドの混合物(GELEOL(登録商標)Mono and Diglycerides)、ならびに中鎖トリグリセリドの混合物(LABRAFAC(登録商標)Lipophile WL1349)、が挙げられるがこれらに限定されない。
【0097】
本明細書のいくつかの態様は、一部に、薬学的に許容可能な安定化剤を開示する。安定化剤は、使用される特定の溶媒との望ましくない反応の結果として起こる可能性のある治療化合物のエステル形成を減少させるか又は排除する。安定化剤としては、水、脂肪酸成分と酢酸とを含む犠牲酸、酢酸エチル、酢酸ナトリウム/酢酸(E262)、モノグリセリド、アセチル化モノグリセリド、ジグリセリド、アセチル化モノグリセリド、アセチル化ジグリセリド、脂肪酸、及び脂肪酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0098】
一実施形態では、薬学的に許容可能な安定化剤は、薬学的に許容可能な乳化剤を含むことができる。乳化剤(エマルジェントとしても知られる)は、液体分散相と液体連続相とを含むエマルションを、その動力学的安定性を上昇させることにより安定化させる物質である。従って、本明細書で開示される医薬組成物を作るために使用される溶媒とアジュバントとが通常だと混ざらないという状況において、本明細書で開示される乳化剤を使用して均質かつ安定なエマルションが作られる。乳化剤としては、界面活性剤、多糖類、レクチン、及びリン脂質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0099】
この実施形態の一態様では、乳化剤は界面活性剤を含むことができる。本明細書で使用される場合、「界面活性剤」は、天然又は合成両親媒性化合物を意味する。界面活性剤は、非イオン性、双性イオン性、又はイオン性であってよい。界面活性剤に非限定的例には、ポリソルベート20(TWEEN(登録商標)20)、ポリソルベート40(TWEEN(登録商標)40)、ポリソルベート60(TWEEN(登録商標)60)、ポリソルベート61(TWEEN(登録商標)61)、ポリソルベート65(TWEEN(登録商標)65)、ポリソルベート80(TWEEN(登録商標)80)、及びポリソルベート81(TWEEN(登録商標)81)などのポリソルベート;ポロキサマー124(PLURONIC(登録商標)L44)、ポロキサマー181(PLURONIC(登録商標)L61)、ポロキサマー182(PLURONIC(登録商標)L62)、ポロキサマー184(PLURONIC(登録商標)L64)、ポロキサマー188(PLURONIC(登録商標)F68)、ポロキサマー237(PLURONIC(登録商標)F87)、ポロキサマー338(PLURONIC(登録商標)L108)、及びポロキサマー407(PLURONIC(登録商標)F127)などのポロキサマー(ポリエチレン・ポリプロピレン共重合体);BRIJ(登録商標)30及びBRIJ(登録商標)35などのポリオキシエチレングリコールドデシルエーテル;2−ドデコキシエタノール(LUBROL(登録商標)−PX);ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(TRITON(登録商標)X−100);ドデシル硫酸ナトリウム(SDS);3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニウム)−1−プロパンスルホナート(CHAPS);3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニウム)2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホナート(CHAPSO);スクロースモノラウラート;ならびにナトリウムコラートが含まれる。界面活性物質賦形剤の他の非限定的な例は、例えば、Ansel(1999)(上述);Gennaro(2000)(上述);Hardman(2001)(上述);及びRowe(2003)(上述)において見出すことができる。これらの文献の各々はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0100】
この実施形態の一態様では、乳化剤は多糖類を含むことができる。多糖類の非限定的な例としては、グアーガム、寒天、アルギン酸、カルゲン、デキストラン(例えば、デキストラン1K、デキストラン4K、デキストラン40K、デキストラン60K、及びデキストラン70K)、デキストリン、グリコーゲン、イヌリン、デンプン、デンプン誘導体(例えば、ヒドロキシメチルデンプン、ヒドロキシエチルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシブチルデンプン、及びヒドロキシペンチルデンプン)、ヘタスターチ、セルロース、フィコール、メチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC);ポリビニル酢酸(PVA);18以下のK値、18超もしくは95以下のK値、又は95超のK値を有するポリビニルピロリドン(PVP)(ポビドンとしても知られる)、例えばPVP12(KOLLIDON(登録商標)12)、PVP17(KOLLIDON(登録商標)17)、PVP25(KOLLIDON(登録商標)25)、PVP30(KOLLIDON(登録商標)30)、PVP90(KOLLIDON(登録商標)90);及びポリエチレンイミン(PEI)が含まれる。
【0101】
この実施形態の一態様では、乳化剤はレクチンを含むことができる。レクチンは糖結合タンパク質であり、糖部分に対して高い特異性を有する。レクチンは、結合する糖部分によって分類することができ、マンノース結合レクチン、ガラクトース/N−アセチルガラクトサミン結合レクチン、N−アセチルグルコサミン結合レクチン、N−アセチルノイラミン結合レクチン、N−アセチルノイラミン酸結合レクチン、及びフコース結合レクチンが含まれるが、これらに限定されない。界面活性剤の非限定的な例には、コンカナバリンA、レンチルレクチン、スノードロップレクチン、ロイン(Roin)、ピーナッツ凝集素、ジャカリン、ヘアリーヴェッチレクチン、コムギ胚芽凝集素、ニワトコレクチン、イヌエンジュ白血球凝集素、イヌエンジュ赤血球凝集素、ハリエニシダ凝集素、及びヒイロチャワンタケレクチンが含まれる。
【0102】
この実施形態の一態様では、乳化剤はリン脂質を含むことができる。通常、リン脂質の構造は疎水性の尾部と親水性の頭部を含み、その性質は両親媒性である。大部分のリン脂質は、ジグリセリドと、リン酸基と、コリンのような単純な有機分子とを含有するが、このルールの1つの例外がスフィンゴミエリンであり、これは、グリセロールではなくスフィンゴシン由来である。リン脂質としては、ジアシルグリセリド及びリンスフィンゴ脂質が挙げられるが、これらに限定されない。ジアシルグリセリドの非限定的な例としては、ホスファチジン酸(ホスファチダート)(PA)、ホスファチジルエタノールアミン(セファリン)(PE)、ホスファチジルコリン(レシチン)(PC)、ホスファチジルセリン(PS)、ならびに、ホスファチジルイノシトール(PI)、ホスファチジルイノシトールリン酸(PIP)、ホスファチジルイノシトール二リン酸(PIP2)、及びホスファチジルイノシトール三リン酸(PIP3)を含むホスホイノシチドが含まれる。リンスフィンゴ脂質の非限定的な例としては、セラミドホスホリルコリン(スフィンゴミエリン)(SPH)、セラミドホスホリルエタノールアミン(スフィンゴミエリン)(Cer−PE)、及びセラミドホスホリルグリセロールが含まれる。
【0103】
一実施形態では、薬学的に許容可能な安定化剤は薬学的に許容可能な乳化剤を含有しない。
【0104】
別の実施形態においては、医薬組成物は薬学的に許容可能な乳化剤を含有しない。
【0105】
本明細書で開示される医薬組成物は、本明細書で開示される治療化合物が、疼痛反応をより効果的に阻害するように、細胞型、組織、器官、又は身体領域により効果的に送達又は標的化されることを可能とする送達システムとして作用する。この阻害は激痛の治療の改善をもたらす。例えば、本明細書で開示される医薬組成物は、本明細書で開示される治療化合物のマクロファージへの送達を促進できる。この選択的体内分布を達成する1つの可能な機序として、本明細書で開示される医薬組成物を、カイロミクロンの活性を利用するように設計できることがある。カイロミクロンは比較的大きなリポタンパク質粒子であり、75nm〜1,200nmの直径を有する。カイロミクロンは、トリグリセリド(85〜92%)、リン脂質(6〜12%)、コレステロール(1〜3%)、及びアポリポタンパク質(1〜2%)を含んでおり、食事由来の脂質を腸から身体の他の部位へと輸送する。カイロミクロンは、5つの主要リポタンパク質群の内の1つであり、残りは、VLDL、IDL、低密度リポタンパク質(LDL)、高密度リポタンパク質(HDL)で、これらは脂肪とコレステロールが血流の水系溶液内で移動することを可能にする。
【0106】
消化の間、脂肪酸とコレステロールは、胃腸管内で、リパーゼを含む膵液の作用と胆汁酸塩による乳化により処理されてミセルを生成する。これらのミセルは、脂質が、遊離脂肪酸として、小腸の吸収細胞(腸細胞として知られる)により吸収されることを可能とする。エンテロサイトに入ると、トリグリセリドとコレステロールは新生のカイロミクロンに組み込まれる。新生カイロミクロンは主にトリグリセリド(85%)から構成され、少しのコレステロール及びコレステリルエステルを含む。主たるアポリポタンパク質成分はアポリポタンパク質B−48(APOB48)である。これらの新生カイロミクロンは、エンテロサイトから乳糜管(小腸の絨毛由来のリンパ管)中にエキソサイトーシスによって放出され、その後、胸管の左鎖骨下静脈との連結部において血流中に分泌される。
【0107】
リンパ液及び血液中を循環する間、カイロミクロンは構成成分をHDLと交換する。HDLは新生カイロミクロンにアポリポタンパク質C−II(APOC2)及びアポリポタンパク質E(APOE)を付与することによって、成熟カイロミクロン(単に「カイロミクロン」と呼ばれる場合が多い)に変換する。APOC2はリポタンパク質リパーゼ(LPL)活性の補因子である。貯蔵トリグリセリドが分配されると、カイロミクロンはHDLにAPOC2を返し(ただしAPOEは維持する)、それによりカイロミクロンレムナントとなる(この時点でわずか30〜50nmとなっている)。APOB48とAPOEは、エンドサイトーシスによりリポタンパク質(VLDL、LDL、及びHDL)に分解する、肝臓中のカイロミクロンレムナントの存在を確認するのに重要である。これらのリポタンパク質はコンピテント細胞(例えば肝細胞、脂肪細胞、及びマクロファージなどを含む)により処理され貯蔵される。従って、理論に制約されることは望まないが、本明細書で開示される医薬組成物は、経口投与時に、胃腸管中に存在する間にミセルに処理されて、腸細胞により吸収され、新生カイロミクロンに組み入れられ、肝臓によって取り込まれるカイロミクロンレムナントに結合されたままで残り、最終的には疼痛を受けている組織中に存在するマクロファージに供給される。
【0108】
別の例として、本明細書で開示される医薬組成物は、本明細書で開示される治療化合物の樹状細胞への送達を促進できる。本明細書で開示の医薬組成物の選択的体内分布を達成する1つの可能な機序として、樹状細胞のエンドサイトーシス/食作用活性を利用することがある。樹状細胞は、哺乳類免疫系の一部を構成する免疫細胞である。樹状細胞の主機能は、抗原物質を処理し、免疫系の他の細胞に対し、樹状細胞表面上に処理抗原物質を提示することである。従って、樹状細胞は、抗原提示細胞として機能し、自然免疫と獲得免疫との間のメッセンジャーとしての役割を果たす。樹状細胞は、外部環境と接触している組織、例えば、皮膚(ランゲルハンス細胞と呼ばれる特殊な樹状細胞型が存在する)及び鼻、肺、胃、及び腸の内壁に存在する。これらの細胞は、血液の未成熟の状態にも認めることができる。一旦活性化されると、樹状細胞はリンパ節に移動し、そこで、T細胞及びB細胞と相互作用して獲得免疫反応を開始し、実行する。脂質粒子を飲食及び貪食する樹状細胞は、樹状細胞の環境モニタリング及び抗原提示プロセスの一部として知られている。理論に制約されることを望むのもではないが、局所又は吸入投与時には、本明細書で開示の医薬組成物は、皮膚又は鼻、肺、胃、及び腸の内壁中に侵入し、樹状細胞飲食/貪食され、最終的に、疼痛を受けている組織中に存在するT細胞及び/又はB細胞中に挿入されうる。
【0109】
本明細書のいくつかの態様は、一部で、本明細書で開示される医薬組成物を調製する方法を開示する。本明細書で開示される方法は、本明細書で開示される薬学的に許容可能なアジュバントと、本明細書で開示される治療化合物とを、その治療化合物がその薬学的に許容可能なアジュバント中に溶解される条件下で接触させ、それによって本明細書で開示される医薬組成物を形成する工程を含む。
【0110】
本明細書のいくつかの態様は、一部で、本明細書で開示される医薬組成物を調製する方法を開示する。本明細書で開示される方法は、a)本明細書で開示される薬学的に許容可能な溶媒と、本明細書で開示される治療化合物とを、その治療化合物がその薬学的に許容可能な溶媒中に溶解できる条件下で接触させ、それによって溶液を形成する工程;及び、b)工程(a)で形成された溶液と、本明細書で開示される薬学的に許容可能なアジュバントとを、医薬組成物の形成を可能とする条件下で接触させる工程を含む。本明細書で開示される調製方法は、医薬組成物から薬学的に許容可能な溶媒を除去する工程(c)をさらに含むことができる。
【0111】
方法の工程(a)において薬学的に許容可能な溶媒と接触させられる治療化合物の量は任意の所望の量であってよい。使用される治療化合物の量を決定するために用いられる因子としては、医薬組成物において望まれる治療化合物の最終的な量、溶液中の治療化合物の望ましい濃度、治療化合物の疎水性、治療化合物の疎油性、接触工程(a)が実施される温度、及び接触工程(a)が実施される時間、所望の特定の配合物、ならびに医薬化合物の特定の送達経路、が挙げられるが、これらに限定されない。
【0112】
方法の工程(a)において使用される薬学的に許容可能な溶媒の容量は、任意の所望の容量であってよい。使用される薬学的に許容可能な溶媒の容量を決定するために用いられる因子としては、所望の医薬組成物の最終的な量、溶液中の治療化合物の所望の濃度、治療化合物の疎水性、及び治療化合物の疎油性、所望の特定の配合物、ならびに医薬化合物の特定の送達経路、が挙げられるが、これらに限定されない。
【0113】
この実施形態のいくつかの態様では、工程(a)において溶媒と接触させられる治療化合物の量は、例えば、少なくとも10mg、少なくとも20mg、少なくとも30mg、少なくとも40mg、少なくとも50mg、少なくとも60mg、少なくとも70mg、少なくとも80mg、少なくとも90mg、少なくとも100mg、少なくとも200mg、少なくとも300mg、少なくとも400mg、少なくとも500mg、少なくとも600mg、少なくとも700mg、少なくとも800mg、少なくとも900mg、少なくとも1,000mg、少なくとも1,100mg、少なくとも1,200mg、少なくとも1,300mg、少なくとも1,400mg、又は少なくとも1,500mgであってよい。この実施形態の他の態様では、工程(a)において溶媒と接触させられる治療化合物の量は、例えば約10mg〜約100mg、約50mg〜約150mg、約100mg〜約250mg、約150mg〜約350mg、約250mg〜約500mg、約350mg〜約600mg、約500mg〜約750mg、約600mg〜約900mg、約750mg〜約1,000mg、約850mg〜約1,200mg、又は約1,000mg〜約1,500mgの範囲であってよい。この実施形態の他の態様では、工程(a)において溶媒に溶解される治療化合物の量は、例えば約10mg〜約250mg、約10mg〜約500mg、約10mg〜約750mg、約10mg〜約1,000mg、約10mg〜約1,500mg、約50mg〜約250mg、約50mg〜約500mg、約50mg〜約750mg、約50mg〜約1,000mg、約50mg〜約1,500mg、約100mg〜約250mg、約100mg〜約500mg、約100mg〜約750mg、約100mg〜約1,000mg、約100mg〜約1,500mg、約200mg〜約500mg、約200mg〜約750mg、約200mg〜約1,000mg、又は約200mg〜約1,500mgの範囲であってよい。
【0114】
工程(a)は、治療化合物を薬学的に許容可能な溶媒に完全に溶解させるために、室温で実施することができる。しかし、方法の他の実施形態では、工程(a)は室温よりも高い温度で実施できる。この実施形態のいくつかの態様では、工程(a)は、例えば21℃より高い温度、25℃より高い温度、30℃より高い温度、35℃より高い温度、37℃より高い温度、40℃より高い温度、42℃より高い温度、45℃より高い温度、50℃より高い温度、55℃より高い温度、又は60℃より高い温度で実施できる。この実施形態のいくつかの態様では、工程(a)は、例えば、約20℃〜約30℃、約25℃〜約35℃、約30℃〜約40℃、約35℃〜約45℃、約40℃〜約50℃、約45℃〜約55℃、又は約50℃〜約60℃の温度で実施できる。場合によっては、工程(a)は、治療化合物を薬学的に許容可能な溶媒に完全に溶解させるために、室温よりも低い温度で実施できる。しかしながら、この方法の他の実施形態では、工程(a)は、室温よりも低い温度、例えば10℃未満、5℃超、0℃超、−10℃超、又は−20℃超で実施できる。工程(a)における接触は、例えば、撹拌、反転、超音波処理、又はボルテックス処理により、治療化合物と薬学的に許容可能な溶媒とを混合することを含むことができる。この混合は、治療化合物が溶媒中に完全に溶解するまで、例えば、少なくとも1秒、少なくとも5秒、少なくとも10秒、少なくとも20秒、少なくとも30秒、少なくとも45秒、少なくとも60秒、又はそれより長く行うことができる。
【0115】
接触後、溶液中における本明細書で開示される治療化合物の濃度は、任意の所望の濃度であってよい。この実施形態のいくつかの態様では、溶液中における本明細書で開示される治療化合物の濃度は、例えば、少なくとも0.00001mg/mL、少なくとも0.0001mg/mL、少なくとも0.001mg/mL、少なくとも0.01mg/mL、少なくとも0.1mg/mL、少なくとも1mg/mL、少なくとも10mg/mL、少なくとも25mg/mL、少なくとも50mg/mL、少なくとも100mg/mL、少なくとも200mg/mL、少なくとも500mg/mL、少なくとも700mg/mL、少なくとも1,000mg/mL、又は少なくとも1,200mg/mLであってよい。この実施形態の他の態様では、溶液中の本明細書で開示される治療化合物の濃度は、例えば、最大1,000mg/mL、最大1,100mg/mL、最大1,200mg/mL、最大1,300mg/mL、最大1,400mg/mL、最大1,500mg/mL、最大2,000mg/mL、最大2,000mg/mL、又は最大3,000mg/mLであってよい。この実施形態の他の態様では、溶液中における本明細書で開示される治療化合物の濃度は、例えば、約0.00001mg/mL〜約3,000mg/mL、約0.0001mg/mL〜約3,000mg/mL、約0.01mg/mL〜約3,000mg/mL、約0.1mg/mL〜約3,000mg/mL、約1mg/mL〜約3,000mg/mL、約250mg/mL〜約3,000mg/mL、約500mg/mL〜約3,000mg/mL、約750mg/mL〜約3,000mg/mL、約1,000mg/mL〜約3,000mg/mL、約100mg/mL〜約2,000mg/mL、約250mg/mL〜約2,000mg/mL、約500mg/mL〜約2,000mg/mL、約750mg/mL〜約2,000mg/mL、約1,000mg/mL〜約2,000mg/mL、約100mg/mL〜約1,500mg/mL、約250mg/mL〜約1,500mg/mL、約500mg/mL〜約1,500mg/mL、約750mg/mL〜約1,500mg/mL、約1,000mg/mL〜約1,500mg/mL、約100mg/mL〜約1,200mg/mL、約250mg/mL〜約1,200mg/mL、約500mg/mL〜約1,200mg/mL、約750mg/mL〜約1,200mg/mL、約1,000mg/mL〜約1,200mg/mL、約100mg/mL〜約1,000mg/mL、約250mg/mL〜約1,000mg/mL、約500mg/mL〜約1,000mg/mL、約750mg/mL〜約1,000mg/mL、約100mg/mL〜約750mg/mL、約250mg/mL〜約750mg/mL、約500mg/mL〜約750mg/mL、約100mg/mL〜約500mg/mL、約250mg/mL〜約500mg/mL、約0.00001mg/mL〜約0.0001mg/mL、約0.00001mg/mL〜約0.001mg/mL、約0.00001mg/mL〜約0.01mg/mL、約0.00001mg/mL〜約0.1mg/mL、約0.00001mg/mL〜約1mg/mL、約0.001mg/mL〜約0.01mg/mL、約0.001mg/mL〜約0.1mg/mL、約0.001mg/mL〜約1mg/mL、約0.001mg/mL〜約10mg/mL、又は約0.001mg/mL〜約100mg/mLの範囲であってよい。
方法の工程(b)において使用される薬学的に許容可能なアジュバントの容量は、任意の所望の容量であってよい。使用される薬学的に許容されるアジュバントの容量を決定するために用いられる因子としては、医薬組成物の望まれる最終的な量、医薬組成物における治療化合物の望ましい濃度、使用される溶媒:アジュバントの比、及び溶媒とアジュバントの混和性、所望の特定の配合物、ならびに医薬化合物の特定の送達経路、が挙げられるが、これらに限定されない。
【0116】
この実施形態のいくつかの態様では、溶液:アジュバントの比は、例えば、少なくとも5:1、少なくとも4:1、少なくとも3:1、少なくとも2:1、少なくとも0:1、少なくとも1:1、少なくとも1:2、少なくとも1:3、少なくとも1:4、少なくとも1:5、少なくとも1:6、少なくとも1:7、少なくとも1:8、少なくとも1:9、少なくとも1:10、少なくとも1:15、少なくとも1:20、又は少なくとも1:25であってよい。この実施形態の他の態様では、溶液:アジュバントの比は、例えば、約5:1〜約1:25、約4:1〜約1:25、約3:1〜約1:25、約2:1〜約1:25、約0:1〜約1:25、約1:1〜約1:25、約1:2〜約1:25、約1:3〜約1:25、約1:4〜約1:25、約1:5〜約1:25、約5:1〜約1:20、約4:1〜約1:20、約3:1〜約1:20、約2:1〜約1:20、約0:1〜約1:20、約1:1〜約1:20、約1:2〜約1:20、約1:3〜約1:20、約1:4〜約1:20、約1:5〜約1:20、約5:1〜約1:15、約4:1〜約1:15、約3:1〜約1:15、約0:1〜約1:15、約2:1〜約1:15、約1:1〜約1:15、約1:2〜約1:15、約1:3〜約1:15、約1:4〜約1:15、約1:5〜約1:15、約5:1〜約1:12、約4:1〜約1:12、約3:1〜約1:12、約2:1〜約1:12、約0:1〜約1:12、約1:1〜約1:12、約1:2〜約1:12、約1:3〜約1:12、約1:4〜約1:12、約1:5〜約1:12、約1:6〜約1:12、約1:7〜約1:12、約1:8〜約1:12、約5:1〜約1:10、約4:1〜約1:10、約3:1〜約1:10、約2:1〜約1:10、約0:1〜約1:10、約1:1〜約1:10、約1:2〜約1:10、約1:3〜約1:10、約1:4〜約1:10、約1:5〜約1:10、約1:6〜約1:10、約1:7〜約1:10、又は約1:8〜約1:10、の範囲であってよい。
【0117】
工程(b)は、治療化合物を含む溶液が医薬組成物を形成することを可能とするために、室温で実施することができる。しかし、方法の他の実施形態では、工程(b)は室温よりも高い温度で実施できる。この実施形態のいくつかの態様では、工程(b)は、例えば、21℃より高い温度、25℃より高い温度、30℃より高い温度、35℃より高い温度、37℃より高い温度、40℃より高い温度、42℃より高い温度、45℃より高い温度、50℃より高い温度、55℃より高い温度、又は60℃より高い温度で実施できる。この実施形態のいくつかの態様では、工程(a)は、例えば、約20℃〜約30℃、約25℃〜約35℃、約30℃〜約40℃、約35℃〜約45℃、約40℃〜約50℃、約45℃〜約55℃、又は約50℃〜約60℃の温度で実施できる。特定のケースでは、工程(b)は、治療化合物を薬学的に許容可能な溶媒に完全に溶解させるために、室温よりも低い温度で実施できる。しかしながら、方法の他の実施形態では、工程(b)は、室温よりも低い温度、例えば10℃未満、5℃超、0℃超、−10℃超、又は−20℃超で実施できる。工程(b)における接触は、例えば、撹拌、反転、超音波処理、又はボルテックス処理により、溶液と薬学的に許容可能なアジュバントとを混合することを含むことができる。この混合は、医薬組成物が形成されるまで、例えば、少なくとも1秒、少なくとも5秒、少なくとも10秒、少なくとも20秒、少なくとも30秒、少なくとも45秒、少なくとも60秒、又はそれより長く行うことができる。
【0118】
特定の実施形態では、本明細書で開示の医薬組成物の形成後に、急速冷却工程を使ってその組成物の温度を下げることができる。例えば、急速冷却工程は、室温より高い温度を使って治療化合物を薬学的に許容可能な溶媒中に完全に溶解可能とする、及び/又は治療化合物を含む溶液に医薬組成物を形成可能とする方法の場合に使用できる。この実施形態のいくつかの態様では、急速冷却工程は、例えば、約30℃/20分、約25℃/20分、約20℃/20分、約15℃/20分、約30℃/15分、約25℃/15分、約20℃/15分、約15℃/15分、約30℃/10分、約25℃/10分、約20℃/10分、約15℃/10分、約30℃/5分、約25℃/5分、約20℃/5分、約15℃/5分の温度低下を生ずる。この実施形態の他の態様では、急速冷却工程は、例えば、約20℃〜約30℃/20分、約20℃〜約30℃/15分、約20℃〜約30℃/10分、約20℃〜約30℃/5分、約15℃〜約25℃/20分、約15℃〜約25℃/15分、約15℃〜約25℃/10分、約15℃〜約25℃/5分、約10℃〜約20℃/20分、約10℃〜約20℃/15分、約10℃〜約20℃/10分、又は約10℃〜約20℃/5分の温度低下を生ずる。
【0119】
この実施形態のさらなる態様では、急速冷却工程は、例えば、約2.0℃/分、約1.9℃/分、約1.8℃/分、約1.7℃/分、約1.6℃/分、約1.5℃/分、約1.4℃/分、約1.3℃/分、約1.2℃/分、約1.1℃/分、約1.0℃/分、約0.9℃/分、約0.8℃/分、約0.7℃/分、約0.6℃/分、約0.5℃/分、約0.4℃/分、約0.3℃/分、約0.2℃/分、又は約0.1℃/分の温度低下を生ずる。この実施形態のさらなる態様では、急速冷却工程は、例えば、約0.1℃〜約0.4℃/分、約0.2℃〜約0.6℃/分、約0.4℃〜約0.8℃/分、約0.6℃〜約1.0℃/分、約0.8℃〜約1.2℃/分、約1.0℃〜約1.4℃/分、約1.2℃〜約1.6℃/分、約1.4℃〜約1.8℃/分、約1.6℃〜約2.0℃/分、約0.1℃〜約0.5℃/分、約0.5℃〜約1.0℃/分、約1.0℃〜約1.5℃/分、約1.5℃〜約2.0℃/分、約0.5℃〜約1.5℃/分、又は約1.0℃〜約2.0℃/分の温度低下を生ずる。
【0120】
いくつかの実施形態では、工程(a)もしくは工程(b)又はその両方で用いられる室温より高い温度は、医薬組成物から溶媒を除去するために使用できる。他の実施形態では、医薬組成物からの溶媒除去には、別の工程(c)が必要である。工程(c)において、医薬組成物からの溶媒の除去は、当該技術分野において既知の種々の手順の内の1つを使用して達成することができ、これらの手順としては蒸発、透析、蒸留、凍結乾燥、及び濾過が挙げられるがこれらに限定されない。これらの除去手順は、周囲大気条件下、低圧下、又は真空下、及び室温又は加熱を要する温度で行うことができる。
【0121】
一実施形態では、工程(c)は、本明細書で開示される医薬組成物からの薬学的に許容可能な溶媒の完全なる除去を行うことができる。この実施形態のいくつかの態様では、工程(c)は、本明細書で開示される医薬組成物からの薬学的に許容可能な溶媒の、例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は少なくとも99%の除去を行うことができる。
【0122】
工程(c)は、本明細書で開示される薬学的に許容可能な溶媒の蒸発を可能とする温度で行われ、従って、蒸発温度は溶媒に依存する。本明細書で開示される溶媒の蒸発温度に影響する因子としては、使用される特定の溶媒、存在する溶媒の量、存在する特定の治療化合物、存在する特定のアジュバント、存在する治療化合物の安定性、存在する治療化合物の反応性、使用される特定の気圧、完全な蒸発のために望まれる時間が挙げられるが、これらに限定されない。一般的に、蒸発工程が、例えば、1気圧のような大気圧で実施される場合には、医薬組成物は加熱を要する。しかしながら、高真空条件下では、蒸発工程は室温よりも低い温度、例えば22℃より低い温度で行うことができる。
【0123】
一実施形態では、本明細書で開示される医薬組成物からの溶媒の除去は、大気圧で、かつ、室温より高い温度で実施できる。この実施形態のいくつかの態様では、本明細書で開示される医薬組成物からの溶媒の除去は、大気圧で、かつ、例えば、25℃より高い温度、30℃より高い温度、35℃より高い温度、40℃より高い温度、45℃より高い温度、50℃より高い温度、55℃より高い温度、60℃より高い温度、65℃より高い温度、70℃より高い温度、80℃より高い温度、又は25℃より高い温度で実施できる。この実施形態の他の態様では、本明細書で開示される医薬組成物からの溶媒の除去は、大気圧で、かつ、例えば、約25℃〜約100℃、約25℃〜約95℃、約25℃〜約90℃、約25℃〜約85℃、約25℃〜約80℃、約25℃〜約75℃、約25℃〜約70℃、約25℃〜約65℃、又は約25℃〜約60℃の範囲の温度で実施できる。
【0124】
別の実施形態では、本明細書で開示される医薬組成物からの溶媒の除去は、真空下で、かつ、室温より低い温度で実施できる。この実施形態のいくつかの態様では、本明細書で開示される医薬組成物からの溶媒の除去は、真空下で、かつ、例えば、20℃より低い温度、18℃より低い温度、16℃より低い温度、14℃より低い温度、12℃より低い温度、10℃より低い温度、8℃より低い温度、6℃より低い温度、4℃より低い温度、2℃より低い温度、又は0℃より低い温度で実施できる。この実施形態の他の態様では、本明細書で開示される医薬組成物からの溶媒の除去は、真空下で、かつ、例えば、約−20℃〜約20℃、約−20℃〜約18℃、約−20℃〜約16℃、約−20℃〜約14℃、約−20℃〜約12℃、約−20℃〜約10℃、約−20℃〜約8℃、約−20℃〜約6℃、約−20℃〜約4℃、約−20℃〜約2℃、約−20℃〜約0℃、約−15℃〜約20℃、約−10℃〜約20℃、約−5℃〜約20℃、約0℃〜約20℃、約−10℃〜約20℃、約−10℃〜約18℃、約−10℃〜約16℃、約−10℃〜約14℃、約−10℃〜約12℃、約−10℃〜約10℃、約−10℃〜約8℃、約−10℃〜約6℃、約−10℃〜約4℃、約−10℃〜約2℃、又は約−10℃〜約0℃の範囲の温度で実施できる。
【0125】
本明細書で開示される医薬組成物における本明細書で開示される治療化合物の最終濃度は、任意の所望の濃度であってよい。この実施形態の一態様では、医薬組成物中の治療化合物の最終濃度は、治療的有効量であってよい。この実施形態の他の態様では、医薬組成物中の治療化合物の最終濃度は、例えば、少なくとも0.00001mg/mL、少なくとも0.0001mg/mL、少なくとも0.001mg/mL、少なくとも0.01mg/mL、少なくとも0.1mg/mL、少なくとも1mg/mL、少なくとも10mg/mL、少なくとも25mg/mL、少なくとも50mg/mL、少なくとも100mg/mL、少なくとも200mg/mL、少なくとも500mg/mL、少なくとも700mg/mL、少なくとも1、000mg/mL、又は少なくとも1、200mg/mLであってよい。この実施形態の他の態様では、溶液中の本明細書で開示される治療化合物の濃度は、例えば、最大1,000mg/mL、最大1,100mg/mL、最大1,200mg/mL、最大1,300mg/mL、最大1,400mg/mL、最大1,500mg/mL、最大2,000mg/mL、最大2,000mg/mL、又は最大3,000mg/mLであってよい。この実施形態の他の態様では、医薬組成物中の治療化合物の最終濃度は、例えば、約0.00001mg/mL〜約3,000mg/mL、約0.0001mg/mL〜約3,000mg/mL、約0.01mg/mL〜約3,000mg/mL、約0.1mg/mL〜約3,000mg/mL、約1mg/mL〜約3,000mg/mL、約250mg/mL〜約3,000mg/mL、約500mg/mL〜約3,000mg/mL、約750mg/mL〜約3,000mg/mL、約1,000mg/mL〜約3,000mg/mL、約100mg/mL〜約2,000mg/mL、約250mg/mL〜約2,000mg/mL、約500mg/mL〜約2,000mg/mL、約750mg/mL〜約2,000mg/mL、約1,000mg/mL〜約2,000mg/mL、約100mg/mL〜約1,500mg/mL、約250mg/mL〜約1,500mg/mL、約500mg/mL〜約1,500mg/mL、約750mg/mL〜約1,500mg/mL、約1,000mg/mL〜約1,500mg/mL、約100mg/mL〜約1,200mg/mL、約250mg/mL〜約1,200mg/mL、約500mg/mL〜約1,200mg/mL、約750mg/mL〜約1,200mg/mL、約1,000mg/mL〜約1,200mg/mL、約100mg/mL〜約1,000mg/mL、約250mg/mL〜約1,000mg/mL、約500mg/mL〜約1,000mg/mL、約750mg/mL〜約1,000mg/mL、約100mg/mL〜約750mg/mL、約250mg/mL〜約750mg/mL、約500mg/mL〜約750mg/mL、約100mg/mL〜約500mg/mL、約250mg/mL〜約500mg/mL、約0.00001mg/mL〜約0.0001mg/mL、約0.00001mg/mL〜約0.001mg/mL、約0.00001mg/mL〜約0.01mg/mL、約0.00001mg/mL〜約0.1mg/mL、約0.00001mg/mL〜約1mg/mL、約0.001mg/mL〜約0.01mg/mL、約0.001mg/mL〜約0.1mg/mL、約0.001mg/mL〜約1mg/mL、約0.001mg/mL〜約10mg/mL、又は約0.001mg/mL〜約100mg/mLの範囲であってよい。
【0126】
本明細書で開示される方法を使用して製造される医薬組成物は、局所的、腸内又は非経口投与経路を使った局所又は全身送達用に処方できる。さらに、本明細書で開示される治療化合物は、単独で医薬組成物に処方しても、又は本明細書で開示の1種又は複数種の他の治療化合物と一緒に単一医薬組成物として処方してもよい。
【0127】
本明細書で開示される方法を使用して製造される医薬組成物は、液体製剤又は固形もしくは半固形製剤であってよい。本明細書で開示の製剤は、例えば、オイル又は固相などの単相を形成するように製造できる。あるいは、本明細書で開示の製剤は、例えば、エマルションなどの2相を形成するように製造できる。このような投与を意図した本明細書で開示の医薬組成物は、医薬組成物の製造用に当技術分野で既知の任意の方法により調製できる。局所投与に好適な半固形製剤には、軟膏、クリーム剤、膏薬、及びゲルが含まれるがこれらに限定されない。
【0128】
液状製剤は、所望の温度範囲内で液状であり続ける油やその他の脂肪酸のような様々な脂質を使用して形成することができる。一実施形態では、本明細書で開示される医薬組成物は室温において液体である。この実施形態のいくつかの態様では、本明細書で開示される医薬組成物は、例えば、約25℃以上の温度、約23℃以上の温度、約21℃以上の温度、約19℃以上の温度、約17℃以上の温度、約15℃以上の温度、約12℃以上の温度、約10℃以上の温度、約8℃以上の温度、約6℃以上の温度、約4℃以上の温度、又は約0℃以上の温度で液体であるように処方できる。
【0129】
液体及び半固形製剤では、本明細書で開示される治療化合物の濃度は、約50mg/mL〜約1,000mg/mLであってよい。この実施形態のいくつかの態様では、本明細書で開示される治療化合物の治療有効量は、例えば、約50mg/mL〜約100mg/mL、約50mg/mL〜約200mg/mL、約50mg/mL〜約300mg/mL、約50mg/mL〜約400mg/mL、約50mg/mL〜約500mg/mL、約50mg/mL〜約600mg/mL、約50mg/mL〜約700mg/mL、約50mg/mL〜約800mg/mL、約50mg/mL〜約900mg/mL、約50mg/mL〜約1、000mg/mL、約100mg/mL〜約200mg/mL、約100mg/mL〜約300mg/mL、約100mg/mL〜約400mg/mL、約100mg/mL〜約500mg/mL、約100mg/mL〜約600mg/mL、約100mg/mL〜約700mg/mL、約100mg/mL〜約800mg/mL、約100mg/mL〜約900mg/mL、約100mg/mL〜約1、000mg/mL、約200mg/mL〜約300mg/mL、約200mg/mL〜約400mg/mL、約200mg/mL〜約500mg/mL、約200mg/mL〜約600mg/mL、約200mg/mL〜約700mg/mL、約200mg/mL〜約800mg/mL、約200mg/mL〜約900mg/mL、約200mg/mL〜約1、000mg/mL、約300mg/mL〜約400mg/mL、約300mg/mL〜約500mg/mL、約300mg/mL〜約600mg/mL、約300mg/mL〜約700mg/mL、約300mg/mL〜約800mg/mL、約300mg/mL〜約900mg/mL、約300mg/mL〜約1、000mg/mL、約400mg/mL〜約500mg/mL、約400mg/mL〜約600mg/mL、約400mg/mL〜約700mg/mL、約400mg/mL〜約800mg/mL、約400mg/mL〜約900mg/mL、約400mg/mL〜約1、000mg/mL、約500mg/mL〜約600mg/mL、約500mg/mL〜約700mg/mL、約500mg/mL〜約800mg/mL、約500mg/mL〜約900mg/mL、約500mg/mL〜約1、000mg/mL、約600mg/mL〜約700mg/mL、約600mg/mL〜約800mg/mL、約600mg/mL〜約900mg/mL、又は約600mg/mL〜約1、000mg/mL、であってよい。
【0130】
半固形及び固形製剤では、本明細書で開示される治療化合物の量は、通常、約0.01重量%〜約45重量%であってよい。この実施形態のいくつかの態様では、本明細書で開示される治療化合物の量は、例えば、約0.1重量%〜約45重量%、約0.1重量%〜約40重量%、約0.1重量%〜約35重量%、約0.1重量%〜約30重量%、約0.1重量%〜約25重量%、約0.1重量%〜約20重量%、約0.1重量%〜約15重量%、約0.1重量%〜約10重量%、約0.1重量%〜約5重量%、約1重量%〜約45重量%、約1重量%〜約40重量%、約1重量%〜約35重量%、約1重量%〜約30重量%、約1重量%〜約25重量%、約1重量%〜約20重量%、約1重量%〜約15重量%、約1重量%〜約10重量%、約1重量%〜約5重量%、約5重量%〜約45重量%、約5重量%〜約40重量%、約5重量%〜約35重量%、約5重量%〜約30重量%、約5重量%〜約25重量%、約5重量%〜約20重量%、約5重量%〜約15重量%、約5重量%〜約10重量%、約10重量%〜約45重量%、約10重量%〜約40重量%、約10重量%〜約35重量%、約10重量%〜約30重量%、約10重量%〜約25重量%、約10重量%〜約20重量%、約10重量%〜約15重量%、約15重量%〜約45重量%、約15重量%〜約40重量%、約15重量%〜約35重量%、約15重量%〜約30重量%、約15重量%〜約25重量%、約15重量%〜約20重量%、約20重量%〜約45重量%、約20重量%〜約40重量%、約20重量%〜約35重量%、約20重量%〜約30重量%、約20重量%〜約25重量%、約25重量%〜約45重量%、約25重量%〜約40重量%、約25重量%〜約35重量%、又は約25重量%〜約30重量%、であってよい。
【0131】
一実施形態では、液体製剤は、治療化合物、グリコールエーテル、部分水添脂肪、油、及びアルコールを含む。この実施形態の一態様では、液体製剤は、約15重量%〜約35重量%の治療化合物、約5重量%〜約25重量%のグリコールエーテル、約15重量%〜約40重量%の部分水添脂肪、約15重量%〜約40重量%の油、及び約1重量%〜約15重量%のアルコールを含む。この実施形態の別の態様では、液体製剤は、約20重量%〜約30重量%の治療化合物、約10重量%〜約20重量%のグリコールエーテル、約20重量%〜約35重量%の部分水添脂肪、約20重量%〜約35重量%の油、及び約2重量%〜約10重量%のアルコールを含む。この実施形態のさらに別の態様では、液体製剤は、約23重量%〜約27重量%の治療化合物、約13重量%〜約17重量%のグリコールエーテル、約25重量%〜約30重量%の部分水添脂肪、約25重量%〜約30重量%の油、及び約4重量%〜約8重量%のアルコールを含む。この実施形態のさらに別の態様では、液体製剤は、約24重量%〜約26重量%の治療化合物、約14重量%〜約16重量%のグリコールエーテル、約26重量%〜約28重量%の部分水添脂肪、約26重量%〜約28重量%の油、及び約5重量%〜約7重量%のアルコールを含む。この実施形態の他の態様では、油は菜種油又はカカオ脂である。
【0132】
別の実施形態では、液体製剤は、治療化合物、グリコールエーテル、グリセリルモノリノレアート、油、及びアルコールを含む。この実施形態の一態様では、液体製剤は、約15重量%〜約35重量%の治療化合物、約5重量%〜約25重量%のグリコールエーテル、約15重量%〜約40重量%のグリセリルモノリノレアート、約15重量%〜約40重量%の油、及び約1重量%〜約15重量%のアルコールを含む。この実施形態の別の態様では、液体製剤は、約20重量%〜約30重量%の治療化合物、約10重量%〜約20重量%のグリコールエーテル、約20重量%〜約35重量%のグリセリルモノリノレアート、約20重量%〜約35重量%の油、及び約2重量%〜約10重量%のアルコールを含む。この実施形態のさらに別の態様では、液体製剤は、約23重量%〜約27重量%の治療化合物、約13重量%〜約17重量%のグリコールエーテル、約25重量%〜約30重量%のグリセリルモノリノレアート、約25重量%〜約30重量%の油、及び約4重量%〜約8重量%のアルコールを含む。この実施形態のさらに別の態様では、液体製剤は、約24重量%〜約26重量%の治療化合物、約14重量%〜約16重量%のグリコールエーテル、約26重量%〜約28重量%のグリセリルモノリノレアート、約26重量%〜約28重量%の油、及び約5重量%〜約7重量%のアルコールを含む。この実施形態の他の態様では、油は菜種油又はカカオ脂である。
【0133】
別の実施形態では、液体製剤は、イブプロフェン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリルモノリノレアート、油、及びアルコールを含む。この実施形態の一態様では、液体製剤は、約15重量%〜約35重量%のイブプロフェン、約5重量%〜約25重量%のジエチレングリコールモノエチルエーテル、約15重量%〜約40重量%のグリセリルモノリノレアート、約15重量%〜約40重量%の油、及び約1重量%〜約15重量%のアルコールを含む。この実施形態の別の態様では、液体製剤は、約20重量%〜約30重量%のイブプロフェン、約10重量%〜約20重量%のジエチレングリコールモノエチルエーテル、約20重量%〜約35重量%のグリセリルモノリノレアート、約20重量%〜約35重量%の油、及び約2重量%〜約10重量%のアルコールを含む。この実施形態のさらに別の態様では、液体製剤は、約23重量%〜約27重量%のイブプロフェン、約13重量%〜約17重量%のジエチレングリコールモノエチルエーテル、約25重量%〜約30重量%のグリセリルモノリノレアート、約25重量%〜約30重量%の油、及び約4重量%〜約8重量%のアルコールを含む。この実施形態のさらに別の態様では、液体製剤は、約24重量%〜約26重量%のイブプロフェン、約14重量%〜約16重量%のジエチレングリコールモノエチルエーテル、約26重量%〜約28重量%のグリセリルモノリノレアート、約26重量%〜約28重量%の油、及び約5重量%〜約7重量%のアルコールを含む。この実施形態の他の態様では、イブプロフェンはイブプロフェンの塩の遊離酸であってよい。この実施形態の他の態様では、油は菜種油又はカカオ脂である。
【0134】
一実施形態では、液体製剤は、治療化合物、アルコールのエステル、及び油を含む。この実施形態の一態様では、液体製剤は、約1重量%〜約10重量%の治療化合物、約1重量%〜約10重量%のアルコールのエステル、及び約80重量%〜約98重量%の油を含む。この実施形態の別の態様では、液体製剤は、約2重量%〜約8重量%の治療化合物、約1重量%〜約7重量%のアルコールのエステル、及び約85重量%〜約97重量%の油を含む。この実施形態のさらに別の態様では、液体製剤は、約3重量%〜約7重量%の治療化合物、約2重量%〜約6重量%のアルコールのエステル、及び約87重量%〜約95重量%の油を含む。この実施形態のさらに別の態様では、液体製剤は、約4重量%〜約6重量%の治療化合物、約3重量%〜約5重量%のアルコールのエステル、及び約90重量%〜約92重量%の油を含む。この実施形態の他の態様では、油は菜種油又はカカオ脂である。
【0135】
別の実施形態では、液体製剤は、治療化合物、酢酸エチル、及び油を含む。この実施形態の一態様では、液体製剤は、約1重量%〜約10重量%の治療化合物、約1重量%〜約10重量%の酢酸エチル、及び約80重量%〜約98重量%の油を含む。この実施形態の別の態様では、液体製剤は、約2重量%〜約8重量%の治療化合物、約1重量%〜約7重量%の酢酸エチル、及び約85重量%〜約97重量%の油を含む。この実施形態のさらに別の態様では、液体製剤は、約3重量%〜約7重量%の治療化合物、約2重量%〜約6重量%の酢酸エチル、及び約87重量%〜約95重量%の油を含む。この実施形態のさらに別の態様では、液体製剤は、約4重量%〜約6重量%の治療化合物、約3重量%〜約5重量%の酢酸エチル、及び約90重量%〜約92重量%の油を含む。この実施形態の他の態様では、油は菜種油又はカカオ脂である。
【0136】
別の実施形態では、液体製剤は、イブプロフェン、酢酸エチル、及び油を含む。この実施形態の一態様では、液体製剤は、約1重量%〜約10重量%のイブプロフェン、約1重量%〜約10重量%の酢酸エチル、及び約80重量%〜約98重量%の油を含む。この実施形態の別の態様では、液体製剤は、約2重量%〜約8重量%のイブプロフェン、約1重量%〜約7重量%の酢酸エチル、及び約85重量%〜約97重量%の油を含む。この実施形態のさらに別の態様では、液体製剤は、約3重量%〜約7重量%のイブプロフェン、約2重量%〜約6重量%の酢酸エチル、及び約87重量%〜約95重量%の油を含む。この実施形態のさらに別の態様では、液体製剤は、約4重量%〜約6重量%のイブプロフェン、約3重量%〜約5重量%の酢酸エチル、及び約90重量%〜約92重量%の油を含む。この実施形態の他の態様では、イブプロフェンはイブプロフェンの塩の遊離酸であってよい。この実施形態の他の態様では、油は菜種油又はカカオ脂である。
【0137】
一実施形態では、本明細書で開示の固形又は半固形製剤は、水のような親水性の溶媒なしで処方される。このような製剤は、脂質と治療化合物の共結晶を形成する。言い方を変えれば、このような製剤は、親水性溶媒を必要とするリポソームエマルション及び/又はミセル状粒子を形成しない。
【0138】
一実施形態では、固形製剤は、治療化合物、ハードファット、部分水添脂肪、及びポリエチレングリコールを含む。この実施形態の一態様では、固形製剤は、約1重量%〜約30重量%の治療化合物、約8重量%〜約70重量%のハードファット、約2重量%〜約65重量%の部分水添脂肪、及び約1重量%〜約15重量%のポリエチレングリコールを含む。この実施形態の別の態様では、固形製剤は、約10重量%〜約30重量%の治療化合物、約20重量%〜約50重量%のハードファット、約10重量%〜約30重量%の部分水添脂肪、及び約5重量%〜約15重量%のポリエチレングリコールを含む。この実施形態のさらに別の態様では、固形製剤は、約20重量%〜約30重量%の治療化合物、約30重量%〜約50重量%のハードファット、約10重量%〜約30重量%の部分水添脂肪、及び約7重量%〜約13重量%のポリエチレングリコールを含む。この実施形態のさらに別の態様では、固形製剤は、約20重量%〜約30重量%の治療化合物、約35重量%〜約50重量%のハードファット、約15重量%〜約25重量%の部分水添脂肪、及び約7重量%〜約13重量%のポリエチレングリコールを含む。この実施形態のさらなる態様では、固形製剤は、約23重量%〜約27重量%の治療化合物、約41重量%〜約47重量%のハードファット、約18重量%〜約22重量%の部分水添脂肪、及び約9重量%〜約11重量%のポリエチレングリコールを含む。この実施形態の他の態様では、ポリエチレングリコールは、例えば、PEG100、PEG200、PEG300、PEG400、PEG500、PEG600、又はPEG700である。
【0139】
別の実施形態では、固形製剤は、治療化合物、モノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、グリセリルモノリノレアート、及びポリエチレングリコールを含む。この実施形態の一態様では、固形製剤は、約1重量%〜約30重量%の治療化合物、約8重量%〜約70重量%のモノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、約2重量%〜約65重量%のグリセリルモノリノレアート、及び約1重量%〜約15重量%のポリエチレングリコールを含む。この実施形態の別の態様では、固形製剤は、約10重量%〜約30重量%の治療化合物、約20重量%〜約50重量%のモノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、約10重量%〜約30重量%のグリセリルモノリノレアート、及び約5重量%〜約15重量%のポリエチレングリコールを含む。この実施形態のさらに別の態様では、固形製剤は、約20重量%〜約30重量%の治療化合物、約30重量%〜約50重量%のモノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、約10重量%〜約30重量%のグリセリルモノリノレアート、及び約7重量%〜約13重量%のポリエチレングリコールを含む。この実施形態のさらに別の態様では、固形製剤は、約20重量%〜約30重量%の治療化合物、約35重量%〜約50重量%のモノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、約15重量%〜約25重量%のグリセリルモノリノレアート、及び約7重量%〜約13重量%のポリエチレングリコールを含む。この実施形態のさらなる態様では、固形製剤は、約23重量%〜約27重量%の治療化合物、約41重量%〜約47重量%のモノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、約18重量%〜約22重量%のグリセリルモノリノレアート、及び約9重量%〜約11重量%のポリエチレングリコールを含む。この実施形態の他の態様では、ポリエチレングリコールは、例えば、PEG100、PEG200、PEG300、PEG400、PEG500、PEG600、又はPEG700である。
【0140】
別の実施形態では、固形製剤は、イブプロフェン、モノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、グリセリルモノリノレアート、及びポリエチレングリコールを含む。この実施形態の一態様では、固形製剤は、約1重量%〜約30重量%のイブプロフェン、約8重量%〜約70重量%のモノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、約2重量%〜約65重量%のグリセリルモノリノレアート、及び約1重量%〜約15重量%のポリエチレングリコールを含む。この実施形態の別の態様では、固形製剤は、約10重量%〜約30重量%のイブプロフェン、約20重量%〜約50重量%のモノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、約10重量%〜約30重量%のグリセリルモノリノレアート、及び約5重量%〜約15重量%のポリエチレングリコールを含む。この実施形態のさらに別の態様では、固形製剤は、約20重量%〜約30重量%のイブプロフェン、約30重量%〜約50重量%のモノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、約10重量%〜約30重量%のグリセリルモノリノレアート、及び約7重量%〜約13重量%のポリエチレングリコールを含む。この実施形態のさらに別の態様では、固形製剤は、約20重量%〜約30重量%のイブプロフェン、約35重量%〜約50重量%のモノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、約15重量%〜約25重量%のグリセリルモノリノレアート、及び約7重量%〜約13重量%のポリエチレングリコールを含む。この実施形態のさらなる態様では、固形製剤は、約23重量%〜約27重量%のイブプロフェン、約41重量%〜約47重量%のモノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、約18重量%〜約22重量%のグリセリルモノリノレアート、及び約9重量%〜約11重量%のポリエチレングリコールを含む。この実施形態の他の態様では、ポリエチレングリコールは、例えば、PEG100、PEG200、PEG300、PEG400、PEG500、PEG600、又はPEG700である。
【0141】
別の実施形態では、固形製剤は、治療化合物、ハードファット、部分水添脂肪、ポリエチレングリコール、及びプロピレングリコールを含む。この実施形態の一態様では、固形製剤は、約1重量%〜約30重量%の治療化合物、約8重量%〜約70重量%のハードファット、約2重量%〜約65重量%の部分水添脂肪、約1重量%〜約15重量%のポリエチレングリコール、及び約1重量%〜約15重量%のプロピレングリコールを含む。この実施形態の別の態様では、固形製剤は、約10重量%〜約30重量%の治療化合物、約20重量%〜約50重量%のハードファット、約10重量%〜約30重量%の部分水添脂肪、約5重量%〜約15重量%のポリエチレングリコール、及び約5重量%〜約15重量%のプロピレングリコールを含む。この実施形態のさらに別の態様では、固形製剤は、約20重量%〜約30重量%の治療化合物、約30重量%〜約50重量%のハードファット、約10重量%〜約30重量%の部分水添脂肪、約7重量%〜約13重量%のポリエチレングリコール、及び約7重量%〜約13重量%のプロピレングリコールを含む。この実施形態のさらに別の態様では、固形製剤は、約20重量%〜約30重量%の治療化合物、約35重量%〜約50重量%のハードファット、約15重量%〜約25重量%の部分水添脂肪、約7重量%〜約13重量%のポリエチレングリコール、及び約7重量%〜約13重量%のプロピレングリコールを含む。この実施形態のさらなる態様では、固形製剤は、約23重量%〜約27重量%の治療化合物、約41重量%〜約47重量%のハードファット、約18重量%〜約22重量%の部分水添脂肪、9重量%〜約11重量%のポリエチレングリコール、及び約9重量%〜約11重量%のプロピレングリコールを含む。この実施形態の他の態様では、ポリエチレングリコールは、例えば、PEG100、PEG200、PEG300、PEG400、PEG500、PEG600、又はPEG700である。
【0142】
別の実施形態では、固形製剤は、治療化合物、モノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、グリセリルモノリノレアート、ポリエチレングリコール、及びプロピレングリコールを含む。この実施形態の一態様では、固形製剤は、約1重量%〜約30重量%の治療化合物、約8重量%〜約70重量%のモノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、約2重量%〜約65重量%のグリセリルモノリノレアート、約1重量%〜約15重量%のポリエチレングリコール、及び約1重量%〜約15重量%のプロピレングリコールを含む。この実施形態の別の態様では、固形製剤は、約10重量%〜約30重量%の治療化合物、約20重量%〜約50重量%のモノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、約10重量%〜約30重量%のグリセリルモノリノレアート、約5重量%〜約15重量%のポリエチレングリコール、及び約5重量%〜約15重量%のプロピレングリコールを含む。この実施形態のさらに別の態様では、固形製剤は、約20重量%〜約30重量%の治療化合物、約30重量%〜約50重量%のモノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、約10重量%〜約30重量%のグリセリルモノリノレアート、約7重量%〜約13重量%のポリエチレングリコール、及び約7重量%〜約13重量%のプロピレングリコールを含む。この実施形態のさらに別の態様では、固形製剤は、約20重量%〜約30重量%の治療化合物、約35重量%〜約50重量%のモノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、約15重量%〜約25重量%のグリセリルモノリノレアート、7重量%〜約13重量%のポリエチレングリコール、及び約7重量%〜約13重量%のプロピレングリコールを含む。この実施形態のさらなる態様では、固形製剤は、約23重量%〜約27重量%の治療化合物、約41重量%〜約47重量%のモノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、約18重量%〜約22重量%のグリセリルモノリノレアート、約9重量%〜約11重量%のポリエチレングリコール、及び約9重量%〜約11重量%のプロピレングリコールを含む。この実施形態の他の態様では、ポリエチレングリコールは、例えば、PEG100、PEG200、PEG300、PEG400、PEG500、PEG600、又はPEG700である。
【0143】
別の実施形態では、固形製剤は、イブプロフェン、モノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、グリセリルモノリノレアート、ポリエチレングリコール、及びプロピレングリコールを含む。この実施形態の一態様では、固形製剤は、約1重量%〜約30重量%のイブプロフェン、約8重量%〜約70重量%のモノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、約2重量%〜約65重量%のグリセリルモノリノレアート、約1重量%〜約15重量%のポリエチレングリコール、及び約1重量%〜約15重量%のプロピレングリコールを含む。この実施形態の別の態様では、固形製剤は、約10重量%〜約30重量%のイブプロフェン、約20重量%〜約50重量%のモノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、約10重量%〜約30重量%のグリセリルモノリノレアート、約5重量%〜約15重量%のポリエチレングリコール、及び約5重量%〜約15重量%のプロピレングリコールを含む。この実施形態のさらに別の態様では、固形製剤は、約20重量%〜約30重量%のイブプロフェン、約30重量%〜約50重量%のモノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、約10重量%〜約30重量%のグリセリルモノリノレアート、約7重量%〜約13重量%のポリエチレングリコール、及び約7重量%〜約13重量%のプロピレングリコールを含む。この実施形態のさらに別の態様では、固形製剤は、約20重量%〜約30重量%のイブプロフェン、約35重量%〜約50重量%のモノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、約15重量%〜約25重量%のグリセリルモノリノレアート、7重量%〜約13重量%のポリエチレングリコール、及び約7重量%〜約13重量%のプロピレングリコールを含む。この実施形態のさらなる態様では、固形製剤は、約23重量%〜約27重量%のイブプロフェン、約41重量%〜約47重量%のモノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、約18重量%〜約22重量%のグリセリルモノリノレアート、約9重量%〜約11重量%のポリエチレングリコール、及び約9重量%〜約11重量%のプロピレングリコールを含む。この実施形態の他の態様では、ポリエチレングリコールは、例えば、PEG100、PEG200、PEG300、PEG400、PEG500、PEG600、又はPEG700である。
【0144】
別の実施形態では、半固形製剤は、治療化合物、ハードファット、部分水添脂肪、ポリエチレングリコール、及びプロピレングリコールを含む。この実施形態の一態様では、半固形製剤は、約15重量%〜約55重量%の治療化合物、約7重量%〜約20重量%のハードファット、約20重量%〜約50重量%の部分水添脂肪、約7重量%〜約20重量%のポリエチレングリコール、及び約1重量%〜約8重量%のプロピレングリコールを含む。この実施形態の一態様では、半固形製剤は、約20重量%〜約50重量%の治療化合物、約8重量%〜約18重量%のハードファット、約25重量%〜約45重量%の部分水添脂肪、約8重量%〜約18重量%のポリエチレングリコール、及び約2重量%〜約6重量%のプロピレングリコールを含む。この実施形態の別の態様では、半固形製剤は、約20重量%〜約50重量%の治療化合物、約10重量%〜約16重量%のハードファット、約25重量%〜約45重量%の部分水添脂肪、約10重量%〜約16重量%のポリエチレングリコール、及び約2重量%〜約6重量%のプロピレングリコールを含む。この実施形態のさらに別の態様では、半固形製剤は、約20重量%〜約50重量%の治療化合物、約11重量%〜約15重量%のハードファット、約30重量%〜約40重量%の部分水添脂肪、約11重量%〜約15重量%のポリエチレングリコール、及び約3重量%〜約5重量%のプロピレングリコールを含む。この実施形態のさらに別の態様では、半固形製剤は、約25重量%〜約44重量%の治療化合物、約12重量%〜約14重量%のハードファット、約32重量%〜約39重量%の部分水添脂肪、約12重量%〜約14重量%のポリエチレングリコール、及び約4重量%のプロピレングリコールを含む。この実施形態の他の態様では、ポリエチレングリコールは、例えば、PEG100、PEG200、PEG300、PEG400、PEG500、PEG600、又はPEG700である。
【0145】
別の実施形態では、半固形製剤は、治療化合物、モノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、グリセリルモノリノレアート、ポリエチレングリコール、及びプロピレングリコールを含む。この実施形態の一態様では、半固形製剤は、約15重量%〜約55重量%の治療化合物、約7重量%〜約20重量%のモノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、約20重量%〜約50重量%のグリセリルモノリノレアート、約7重量%〜約20重量%のポリエチレングリコール、及び約1重量%〜約8重量%のプロピレングリコールを含む。この実施形態の別の態様では、半固形製剤は、約20重量%〜約50重量%の治療化合物、約8重量%〜約18重量%のモノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、約25重量%〜約45重量%のグリセリルモノリノレアート、約8重量%〜約18重量%のポリエチレングリコール、及び約2重量%〜約6重量%のプロピレングリコールを含む。この実施形態の別の態様では、半固形製剤は、約20重量%〜約50重量%の治療化合物、約10重量%〜約16重量%のモノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、約25重量%〜約45重量%のグリセリルモノリノレアート、約10重量%〜約16重量%のポリエチレングリコール、及び約2重量%〜約6重量%のプロピレングリコールを含む。この実施形態のさらに別の態様では、半固形製剤は、約20重量%〜約50重量%の治療化合物、約11重量%〜約15重量%のモノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、約30重量%〜約40重量%のグリセリルモノリノレアート、約11重量%〜約15重量%のポリエチレングリコール、及び約3重量%〜約5重量%のプロピレングリコールを含む。この実施形態のさらに別の態様では、半固形製剤は、約25重量%〜約44重量%の治療化合物、約12重量%〜約14重量%のモノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、約32重量%〜約39重量%のグリセリルモノリノレアート、約12重量%〜約14重量%のポリエチレングリコール、及び約4重量%のプロピレングリコールを含む。この実施形態の他の態様では、ポリエチレングリコールは、例えば、PEG100、PEG200、PEG300、PEG400、PEG500、PEG600、又はPEG700である。
【0146】
別の実施形態では、半固形製剤は、イブプロフェン、モノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、グリセリルモノリノレアート、ポリエチレングリコール、及びプロピレングリコールを含む。この実施形態の一態様では、半固形製剤は、約15重量%〜約55重量%のイブプロフェン、約7重量%〜約20重量%のモノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、約20重量%〜約50重量%のグリセリルモノリノレアート、約7重量%〜約20重量%のポリエチレングリコール、及び約1重量%〜約8重量%のプロピレングリコールを含む。この実施形態の別の態様では、半固形製剤は、約20重量%〜約50重量%のイブプロフェン、約8重量%〜約18重量%のモノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、約25重量%〜約45重量%のグリセリルモノリノレアート、約8重量%〜約18重量%のポリエチレングリコール、及び約2重量%〜約6重量%のプロピレングリコールを含む。この実施形態の別の態様では、半固形製剤は、約20重量%〜約50重量%のイブプロフェン、約10重量%〜約16重量%のモノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、約25重量%〜約45重量%のグリセリルモノリノレアート、約10重量%〜約16重量%のポリエチレングリコール、及び約2重量%〜約6重量%のプロピレングリコールを含む。この実施形態のさらに別の態様では、半固形製剤は、約20重量%〜約50重量%のイブプロフェン、約11重量%〜約15重量%のモノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、約30重量%〜約40重量%のグリセリルモノリノレアート、約11重量%〜約15重量%のポリエチレングリコール、及び約3重量%〜約5重量%のプロピレングリコールを含む。この実施形態のさらに別の態様では、半固形製剤は、約25重量%〜約44重量%のイブプロフェン、約12重量%〜約14重量%のモノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、約32重量%〜約39重量%のグリセリルモノリノレアート、約12重量%〜約14重量%のポリエチレングリコール、及び約4重量%のプロピレングリコールを含む。この実施形態の他の態様では、ポリエチレングリコールは、例えば、PEG100、PEG200、PEG300、PEG400、PEG500、PEG600、又はPEG700である。
【0147】
別の実施形態では、半固形製剤は、治療化合物、ハードファット、部分水添脂肪、ポリエチレングリコール、及びプロピレングリコールを含む。この実施形態の一態様では、半固形製剤は、約10重量%〜約35重量%の治療化合物の遊離酸、約1重量%〜約30重量%の治療化合物の塩、約7重量%〜約20重量%のハードファット、約20重量%〜約50重量%の部分水添脂肪、約7重量%〜約20重量%のポリエチレングリコール、及び約1重量%〜約8重量%のプロピレングリコールを含む。この実施形態の別の態様では、半固形製剤は、約15重量%〜約30重量%の治療化合物の遊離酸、約1重量%〜約25重量%の治療化合物の塩、約10重量%〜約16重量%のハードファット、約25重量%〜約45重量%の部分水添脂肪、約10重量%〜約16重量%のポリエチレングリコール、及び約2重量%〜約6重量%のプロピレングリコールを含む。この実施形態のさらに別の態様では、半固形製剤は、約15重量%〜約30重量%の治療化合物の遊離酸、約1重量%〜約25重量%の治療化合物の塩、約11重量%〜約15重量%のハードファット、約30重量%〜約40重量%の部分水添脂肪、約11重量%〜約15重量%のポリエチレングリコール、及び約3重量%〜約5重量%のプロピレングリコールを含む。この実施形態のさらに別の態様では、半固形製剤は、約20重量%〜約24重量%の治療化合物の遊離酸、約5重量%〜約20重量%の治療化合物の塩、約12重量%〜約14重量%のハードファット、約32重量%〜約39重量%の部分水添脂肪、約12重量%〜約14重量%のポリエチレングリコール、及び約4重量%のプロピレングリコールを含む。この実施形態の他の態様では、ポリエチレングリコールは、例えば、PEG100、PEG200、PEG300、PEG400、PEG500、PEG600、又はPEG700である。
【0148】
別の実施形態では、半固形製剤は、治療化合物、モノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、グリセリルモノリノレアート、ポリエチレングリコール、及びプロピレングリコールを含む。この実施形態の一態様では、半固形製剤は、約10重量%〜約35重量%の治療化合物の遊離酸、約1重量%〜約30重量%の治療化合物の塩、約7重量%〜約20重量%のモノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、約20重量%〜約50重量%のグリセリルモノリノレアート、約7重量%〜約20重量%のポリエチレングリコール、及び約1重量%〜約8重量%のプロピレングリコールを含む。この実施形態の別の態様では、半固形製剤は、約15重量%〜約30重量%の治療化合物の遊離酸、約1重量%〜約25重量%の治療化合物の塩、約10重量%〜約16重量%のモノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、約25重量%〜約45重量%のグリセリルモノリノレアート、約10重量%〜約16重量%のポリエチレングリコール、及び約2重量%〜約6重量%のプロピレングリコールを含む。この実施形態のさらに別の態様では、半固形製剤は、約15重量%〜約30重量%の治療化合物の遊離酸、約1重量%〜約25重量%の治療化合物の塩、約11重量%〜約15重量%のモノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、約30重量%〜約40重量%のグリセリルモノリノレアート、約11重量%〜約15重量%のポリエチレングリコール、及び約3重量%〜約5重量%のプロピレングリコールを含む。この実施形態のさらに別の態様では、半固形製剤は、約20重量%〜約24重量%の治療化合物の遊離酸、約5重量%〜約20重量%の治療化合物の塩、約12重量%〜約14重量%のモノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、約32重量%〜約39重量%のグリセリルモノリノレアート、約12重量%〜約14重量%のポリエチレングリコール、及び約4重量%のプロピレングリコールを含む。この実施形態の他の態様では、ポリエチレングリコールは、例えば、PEG100、PEG200、PEG300、PEG400、PEG500、PEG600、又はPEG700である。
【0149】
別の実施形態では、半固形製剤は、イブプロフェン、モノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、グリセリルモノリノレアート、ポリエチレングリコール、及びプロピレングリコールを含む。この実施形態の一態様では、半固形製剤は、約10重量%〜約35重量%のイブプロフェンの遊離酸、約1重量%〜約30重量%のイブプロフェンの塩、約7重量%〜約20重量%のモノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、約20重量%〜約50重量%のグリセリルモノリノレアート、約7重量%〜約20重量%のポリエチレングリコール、及び約1重量%〜約8重量%のプロピレングリコールを含む。この実施形態の別の態様では、半固形製剤は、約15重量%〜約30重量%のイブプロフェンの遊離酸、約1重量%〜約25重量%のイブプロフェンの塩、約10重量%〜約16重量%のモノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、約25重量%〜約45重量%のグリセリルモノリノレアート、約10重量%〜約16重量%のポリエチレングリコール、及び約2重量%〜約6重量%のプロピレングリコールを含む。この実施形態のさらに別の態様では、半固形製剤は、約15重量%〜約30重量%のイブプロフェンの遊離酸、約1重量%〜約25重量%のイブプロフェンの塩、約11重量%〜約15重量%のモノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、約30重量%〜約40重量%のグリセリルモノリノレアート、約11重量%〜約15重量%のポリエチレングリコール、及び約3重量%〜約5重量%のプロピレングリコールを含む。この実施形態のさらに別の態様では、半固形製剤は、約20重量%〜約24重量%のイブプロフェンの遊離酸、約5重量%〜約20重量%のイブプロフェンの塩、約12重量%〜約14重量%のモノ、ジ、トリグリセリドとPEG脂肪酸エステルの混合物、約32重量%〜約39重量%のグリセリルモノリノレアート、約12重量%〜約14重量%のポリエチレングリコール、及び約4重量%のプロピレングリコールを含む。この実施形態の他の態様では、ポリエチレングリコールは、例えば、PEG100、PEG200、PEG300、PEG400、PEG500、PEG600、又はPEG700である。
【0150】
本明細書で開示される固形又は半固形製剤は、脂肪酸のような様々なアジュバントの融点が異なるのを利用する。固形又は半固形剤形の形成は、本明細書で開示される医薬組成物を含む脂肪酸のそれぞれの濃度を調節することにより可能となる。例えば、リノレン酸は約−11℃の融点(Tm)を有し、リノール酸は約−5℃のTmを有し、オレイン酸は約16℃のTmを有し、パルミチン酸は約61〜62℃のTmを有し、ステアリン酸は約67〜72℃のTmを有する。パルミチン酸、ステアリン酸、又はオレイン酸の割合を増加させると組成物全体としての融点が上昇し、一方で、逆にリノール酸及びリノレン酸の割合を増加させると、組成物の融点が低下する。このように、添加されるアジュバント成分の種類と量を制御することにより、本明細書で開示される医薬組成物は、室温では実質的に固形状又は半固形状であるが摂取され体温に達すると融けるように作ることができる。得られる融解組成物は容易にミセルを形成し、それが腸により吸収され、カイロミクロンに組み入れられ、最終的にはマクロファージにより吸収される。固形剤形は、粉末、顆粒、錠剤、カプセル、又は坐剤であってよい。
【0151】
一実施形態では、本明細書で開示される医薬組成物は、室温で固形である。この実施形態のいくつかの態様では、本明細書で開示される医薬組成物は、例えば、約35℃以下の温度、約33℃以下の温度、約31℃以下の温度、約29℃以下の温度、約27℃以下の温度、約25℃以下の温度、約23℃以下の温度、約21℃以下の温度、約19℃以下の温度、約17℃以下の温度、約15℃以下の温度、約12℃以下の温度、約10℃以下の温度、約8℃以下の温度、約6℃以下の温度、約4℃以下の温度、又は約0℃以下の温度で固形であるように処方できる。
この実施形態の他の態様では、開示される医薬組成物は、例えば、5℃以上、10℃以上、15℃以上、22℃以上、23℃以上、24℃以上、25℃以上、26℃以上、27℃以上、28℃以上、29℃以上、30℃以上、31℃以上、32℃以上、33℃以上、34℃以上、又は35℃以上の融点を有する。この実施形態の他の態様では、開示される医薬組成物は、例えば、約5℃〜約24℃、約10℃〜約24℃、約22℃〜約24℃、約23℃〜約25℃、約24℃〜約26℃、約25℃〜約27℃、約26℃〜約28℃、約27℃〜約29℃、約28℃〜約30℃、約29℃〜約31℃、約30℃〜約32℃、約31℃〜約33℃、約32℃〜約34℃、又は約33℃〜約35℃の範囲の融点を有する。この実施形態の他の態様では、開示される医薬組成物は、例えば、約22℃〜約26℃、約24℃〜約28℃、約26℃〜約30℃、約28℃〜約32℃、又は約30℃〜約34℃の範囲の融点を有する。
【0152】
本明細書のいくつかの態様は、一部で、激痛状態の個体の治療方法を開示する。一実施形態では、方法は、本明細書で開示される医薬組成物を、それを必要とする個体に投与する工程を含み、投与は激痛に関連する症状を低減させ、それによりその個体を治療する。
【0153】
本明細書のいくつかの態様は、一部で、激痛状態に罹患した個体の治療方法を開示する。本明細書で使用される場合、「治療する」という用語は、個体における激痛状態の臨床的症状を低減もしくは取り除くこと、又は個体における激痛状態の臨床症状の発症を遅延もしくは防止することを意味する。例えば「治療する」という用語は、激痛状態により特徴付けられる状態の症状を、例えば、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%少なくとも95%、又は少なくとも100%低減させることを意味してもよい。激痛状態に付随する実際の症状はよく知られており、様々な因子を考慮に入れて当業者が決定することができ、それらの因子としては、激痛状態の部位、激痛状態の原因、激痛状態の重症度、及び/又は激痛状態により影響を受けた組織又は器官、が挙げられるが、これらに限定されない。当業者であれば、特定の種類の激痛状態に付随する特有の症状又は指標を理解し、個体が本明細書で開示される治療の対象となり得るか否かを判断する方法を理解するであろう。
【0154】
疼痛は1種又は複数種の疼痛閾値を使って測定できる。疼痛閾値は、身体に加えられた電流又は熱などの刺激の強度を徐々に増加することにより測定される。痛覚閾値は、悪影響を及ぼし始める時点であり、痛覚許容限度閾値は、個体が疼痛を止めようとして行動を起こす時点である。
【0155】
疼痛は1種又は複数種の疼痛スケール質問票を使って測定できる。激痛状態に苦しんでいる個体による自己申告質問票は最も信頼性の高い尺度であると言えるが、医療専門家からの報告書も同様に使用できる。多数の疼痛測定スケールが開発されており、それらには、Alder Hey Triage Pain Score、Behavioral Pain Scale(BPS)、簡易疼痛調査票(Brief Pain Inventory(BPI))、Checklist of Nonverbal Pain Indicators(CNPI)、重症患者疼痛観察法(Critical−Care Pain Observation Tool(CPOT))、COMFORT scale、ダラス疼痛質問票(Dallas Pain Questionnaire)、Descriptor differential scale(DDS)、Disease−Specific Pain Scale(DSPI )、痛覚計疼痛指数(Dolorimeter Pain Index(DPI))、改訂版−フェイススケール(Faces Pain Scale − Revised(FPS−R))、Face Legs Activity Cry Consolability scale、Lequesne algofunctional index、Original index、マギル痛みの質問表(McGill Pain Questionnaire(MPQ))、多面的疼痛行動評価質問項目一覧表(Multidimensional Pain Inventory(MPI))、Neck Pain and Disability Scale−NPAD、Numerical 11 point box(BS−11)、数値化スケール(Numeric Rating Scale(NRS−11))、Pediatric Pain Questionnaire(PPQ)、Roland−Morris Back Pain Questionnaire、視覚的アナログスケール(Visual analog scale(VAS))、及びウォン・ベーカーのフェイススケール(Wong−Baker FACES Pain Rating Scale)、が挙げられるがこれらに限定されない。一例として、NRS−11スケールは、患者の自己申告用の11点数尺度法で、受けた痛みを0〜10にランク付けし、0:全く痛みなし、1〜3:日常生活動作を少し妨げる軽度の痛み、4〜6:日常生活動作を大きく妨げる中程度の痛み、及び7〜10:日常生活動作を完全に妨げる激痛、に分類する。質については、どの語句がその人の痛みを最も良く説明しているかを示すマギル痛みの質問票を個人に記入してもらうことにより確定できる。
【0156】
激痛状態症状には、冷感、痺れ、そう痒、知覚異常、電気ショック感、灼熱感、冷た熱い感覚、感覚不全、異痛症、痛覚過敏、痛覚過敏、体性痛感、及び内臓痛感、が挙げられるがこれらに限定されない。激痛状態に付随する実際の症状はよく知られており、様々な因子を考慮に入れて当業者が決定することができ、それらの因子としては、激痛の部位、激痛の原因、激痛の重症度、影響を受けた組織又は器官、及び関連障害が挙げられるが、これらに限定されない。
【0157】
本明細書で開示の医薬組成物は激痛の治療に有用である。疼痛は、実際の又は潜在的な組織損傷に関連する、又はこのような損傷に関連して表現される何らかの不快な感覚及び/又は感情である。疼痛は、種々の重症度で発症し、通常、損傷、疾患、又は情緒障害の結果であるが、保健医療提供者にとって根底にある原因が明らかな場合も、そうでない場合もある。激痛は、個体の1種又は複数種の日常生活動作の実行を大きく妨げるか、又は阻止するような重症度の疼痛反応による疼痛である。日常生活動作(ADL)は、個体が日常行う、摂食、入浴、更衣、整容、仕事、家事、及びレジャーなどの活動である。ADLは、動作が基本的なものか、何かの手段になるものか、作業上(occupational)のものか、に基づいて分類できる。基本的なADL(BADL)には、例えば、個人衛生、及び整容、着衣と脱衣、自食、機能的移動(ベッドや車椅子への出入り、便器の乗り降り、など)、腸と膀胱の管理、ならびに、移動(支援機器(歩行器、杖、又は松葉杖)を使って、もしくは使わないで、又は車椅子を使っての歩行)などのセルフケアタスクを含む。手段的ADL(IADL)は、基本的機能動作には必要ないが、共同体の中で個体に独立した生活をするための動作である。IADLには、例えば、家事の実行、処方された通りの薬剤の服用、お金の管理、食料雑貨類又は衣類の買い物、通信機器の使用、技術の使用、共同体内での移動手段の使用などが挙げられる。作業的ADL(OADL)は、通常、オプションの位置付けであり、他の人に委任できる。OADLには、例えば、他人の世話(介護人の選択と監督を含む)、ペットの世話、育児、通信機器の使用、共同体内移動、財務管理と維持、食事の準備と後片付け、及び安全のための手順と緊急対応、が挙げられる。
【0158】
本発明で使用する場合、「激痛」という用語は、急性、亜急性、慢性侵害受容性の病態痛、又は精神的苦痛を含む。この実施形態のいくつかの態様では、激痛は炎症性疼痛ではないか、又は1次起原が炎症反応による疼痛ではない。
【0159】
激痛状態は、発生の期間とパターンにより、例えば、急性疼痛、亜急性疼痛、及び慢性疼痛などに分類することができる。急性疼痛は、通常は、一過性で、突然発症型の器質性疼痛状態であり、有害な刺激が除かれるまでの、及び/又は根底にある損傷又は病状が治癒されるまでの期間中のみ継続する。慢性疼痛は、持続し、治癒の予測期間を越えて長引く器質性疼痛であり、連続的に発現する場合も、又は中程度に発現する場合もある。亜急性疼痛は、急性疼痛と慢性疼痛との間に位置する疼痛を意味する器質性疼痛状態である。幾分恣意的であるが、急性、亜急性、及び慢性疼痛の間の区別は、発症からの時間に基づいて決定できる。従って、急性疼痛は1ヶ月未満続く疼痛であり、亜急性疼痛は1ヶ月〜6ヶ月続く疼痛であり、さらに、慢性疼痛は6ヶ月以上続く疼痛である。
【0160】
また、激痛状態は、1)侵害受容性疼痛;2)病態痛;及び3)炎症性疼痛に分類できる。
【0161】
一実施形態では、激痛状態は侵害受容性疼痛を含む。侵害受容性疼痛は、器質性疼痛状態が、有害な強度に近い又はこれを越える刺激にのみ反応する末梢神経線維(侵害受容器)の有害な侵襲又は損傷により引き起こされる場合の激痛状態であり、通常、うずく痛みとして表現される。このタイプの疼痛は、皮膚、筋肉、内臓、関節、腱、又は骨などの非神経性組織に対する損傷に付随し、正常に機能する体性感覚神経系により発現される。侵害受容性疼痛は、例えば、熱痛、機械的疼痛、及び化学的疼痛などの有害刺激の種類に基づいて、又は例えば、体性痛又は内臓痛などの疼痛の部位に基づいて分類できる。
【0162】
一実施形態では、激痛状態は体性痛を含む。体性痛は、靱帯、腱、骨、血管から、及び神経それ自体からも発生する侵害受容性疼痛である。体性痛は体性侵害受容器で検出される。これらの領域における痛覚受容器の不足は、皮膚痛覚より長く続く、鈍い、局在化のはっきりしない疼痛を作り出す。体性痛の非限定的例には、次記が挙げられる。1)過度の筋緊張は、例えば、捻挫又は筋挫傷により引き起こされる場合がある。2)反復運動障害は、手、手首、肘、肩、首、背中、股関節、足、脚、又は足関節の過使用により生じる場合がある。3)体性痛を引き起こす筋障害には、多発性筋炎、皮膚筋炎、ループス、線維筋痛症、リウマチ性多発筋痛症、及び横紋筋融解症、及び4)例えば、過使用、過度の伸長、ウイルス感染、代謝性ミオパチー、栄養欠乏、又は慢性疲労症候群により引き起こされる筋痛などを含む筋肉痛、などが挙げられる。また、5)例えば、膿瘍、旋毛虫症、インフルエンザ、ライム病、マラリア、ロッキー山脈紅斑熱、鳥インフルエンザ、感冒、市中肺炎、髄膜炎、サル痘、重症急性呼吸器症候群、毒素性ショック症候群、旋毛虫症、腸チフス熱、及び上気道感染症などの感染症、ならびに、6)例えば、コカイン、コレステロール低下用スタチン(アトルバスタチン、シンバスタチン、及びロバスタチンなど)、及び血圧降下用ACE阻害剤(エナラプリル及びカプトプリルなど)などの薬剤も体性痛の原因となる。体性痛は表在性体性痛又は深部体性痛に分類できる。表在性体性痛は、皮膚又はその他の表在性組織中の侵害受容器の活性化により開始され、鋭く、輪郭がはっきりしていて、明確に局在化している。表在性体性痛を生成する損傷の例には、軽度の創傷及び軽度の(1度の)火傷が挙げられる。深部体性痛は、靱帯、腱、骨、血管、筋膜及び筋肉中の侵害受容器の刺激により開始され、鈍い、ずきずき痛む、局在化のはっきりしない疼痛である。例としては、捻挫や骨折が挙げられる。
【0163】
一実施形態では、激痛状態は内臓痛を含む。内臓痛は、典型的には、伸張又は虚血が原因の、身体の器官及び内部腔中の侵害受容器の刺激により開始される侵害受容性疼痛である。内臓痛は、びまん性で、局在化のはっきりしない疼痛であり、うずく痛み、不快痛、鈍痛、締めつけられるような痛み、及び/又は深部痛として表すことができ、さらに、悪心及び嘔吐を伴うこともある。内臓痛は、極めて局在化し難く、内臓組織に対する幾つかの損傷が「関連」痛を示すことがあり、その場合には、感覚は損傷の部位とは全く無関係な領域に限局される。これらの領域での侵害受容器のさらに多くの不足により、通常、体性痛の場合よりずきずき痛み、より長い期間続く疼痛が生成される。体性痛の非限定的例には、1)例えば、過敏性腸症候群と慢性機能性腹痛(CFAP)、機能性便秘と機能性消化不良、非心臓性胸痛(NCCP)、及び慢性腹痛を含む機能性内臓痛;2)例えば、胃炎、例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎、微視的大腸炎、憩室炎、及び胃腸炎のような炎症性腸疾患;腸管虚血、胆嚢炎、虫垂炎、胃食道逆流症、潰瘍、腎結石症、尿路感染症、膵炎、及びヘルニアを含む慢性胃腸炎;3)例えば、サルコイドーシス及び血管炎を含む自己免疫痛;4)例えば、消化管の外傷性の、炎症性もしくは退行性病変から生じた疼痛又は感覚神経支配に侵害した腫瘍により生成される疼痛を含む器質性内臓痛;5)例えば、化学療法に付随する疼痛又は放射線療法に付随する疼痛を含む治療誘導内臓痛、が挙げられる。
【0164】
一実施形態では、激痛状態は病態痛を含む。損傷病態痛は、激痛状態であり、器質性疼痛状態は神経系の任意の部分への疾患又は損傷により引き起こされるか、又は神経系の異常機能動作により引き起こされる。このタイプの疼痛は、痛覚受容器の刺激ではなく、神経組織への損傷及び異常機能動作体性感覚神経系に関連する。病態痛の非限定的例には、神経障害性疼痛及び機能障害性疼痛が挙げられる。
【0165】
一実施形態では、激痛状態は神経障害性疼痛を含む。損傷神経障害性疼痛は病態痛であり、器質性疼痛状態は体性感覚神経系の損傷又は疾患により引き起こされ、末梢神経系、中枢神経系、又はこれら両方から異常な感覚性興奮が生じる。神経障害性疼痛は、自発的又は誘起された疼痛が伴う場合があり、連続的な及び/又は偶発的(発作的)疼痛成分が含まれる場合もある。神経障害性疼痛は、例えば、異痛症(通常は有痛性ではない刺激に対する疼痛反応)、痛覚過敏(通常は軽度の不快感のみを生ずる疼痛性刺激に対する悪化した反応)、及び痛覚過敏(短期の不快感が長期の激痛になる)などの感覚不全(異常な疼痛反応)に付随する場合がある。痛みの感覚は、冷感、痺れ、そう痒、知覚異常(刺痛又は「しびれてピリピリする」感覚)、電気ショック、及び焼けるような又は冷た熱い疼痛として表現される。神経障害性疼痛の非限定的例には、中枢性神経障害性疼痛、末梢神経障害性疼痛、及び求心路遮断性疼痛が挙げられる。
【0166】
一実施形態では、激痛状態は中枢性神経障害性疼痛を含む。中枢神経系の神経に影響を及ぼす損傷又は疾患は、中枢性神経障害性疼痛と呼ばれる。概して、損傷又は疾患は大脳病変として発生し、この病変は、主に視床領域で発生するが視床上部及び視床内領域を含む場合もある。一般に、中枢性神経障害性疼痛の発症は、中枢神経系に損傷を生じる初期現象の発生後に遅れて発生するのが通常であり、疼痛の発生は、神経系の傷害からの回復相の間に起こる場合がある。中枢性神経障害性疼痛は、例えば、視床梗塞、脳幹梗塞、又はくも膜下出血;脳静脈血栓症、視床又は脳幹を圧迫している脳腫瘍;視床又は脳幹を圧迫している脳膿瘍;外傷性脳損傷、脳又は脊椎外科手術後の痛み;運動障害、多発性硬化症、及びパーキンソン病に対する視床破壊術などの脳手術後の合併症;脊髄損傷;前側方脊髄切断術及び交連脊髄切開術などの脊髄手術後の合併症;前脊髄動脈症候群及びワレンベルク症候群などの虚血性病変、脊髄空洞症、放射線脊髄症、HIV脊髄症、を含む脳卒中後の状態中に現れる場合がある。
【0167】
一実施形態では、激痛状態は末梢神経障害性疼痛を含む。末梢神経系の感覚神経、運動神経、及び/又は自律神経に影響を及ぼす損傷又は疾患は、末梢神経障害性疼痛と呼ばれる。末梢神経障害性疼痛は、末梢神経が脳及び脊髄への、及びそこからの情報伝達に失敗した場合に発生し、疼痛、感覚消失、又は筋肉制御不能状態を生ずる。場合によっては、血管、腸、及びその他の器官を制御する神経の不全は、異常な血圧、消化不良、及び基本的生体プロセスの消失をもたらす。また、症状は状態が全身に影響を及ぼすのか、又は1つの神経のみに影響を及ぼすのかに依存する。神経障害のリスク因子には、糖尿病、大量の飲酒、特定の化学物質や薬剤への暴露、神経への長期の圧迫が含まれる。一部の人は、末梢神経障害の遺伝的素因がある。末梢神経障害性疼痛の4種の主要な型は、単神経障害、多発性単神経障害、多発性神経障害、及び自律神経障害である。
【0168】
一実施形態では、激痛状態は単神経障害を含む。単神経障害は、単一の神経又は神経群に影響を与える機能低下又は病理学的変化を伴う末梢神経障害である。単神経障害は、損傷又は外傷から生じた局所領域に対する損傷が原因であることが最も多いが、場合によっては、全身障害が単独の神経損傷の原因となることもある。通常の原因は、直接的な外傷、神経への長期の圧迫、及び近くの身体構造の腫れ又は損傷による神経の圧迫である。損傷には、神経の又は神経細胞(軸索)のミエリン鞘(覆い)の破壊が含まれる。この損傷は神経を通る活動電位の伝導を遅らせるか、又は妨げる。単神経障害は身体のどの部分にも関与できる。単神経障害性疼痛は、例えば、坐骨神経機能障害、総腓骨神経機能障害、橈骨神経機能障害、尺骨神経機能障害、単脳神経障害VI、単脳神経障害VII、単脳神経障害III(圧迫型)、単脳神経障害III(糖尿病型)、腋窩神経機能障害、手根管症候群、大腿神経機能障害、脛骨神経機能障害、ベル麻痺、胸郭出口症候群、手根管症候群又はその他の局所的絞扼性神経障害、及び第6(外転)脳神経麻痺、に付随して現れる。
【0169】
一実施形態では、激痛状態は多発性単神経障害を含む。多発性単神経障害は、非対称方式で幾つかの非隣接神経に対し順次に又は同時に影響を与える機能低下又は病理学的変化を伴う末梢神経障害である。多発性単神経障害による神経障害性疼痛は、数日から数年にわたり進行する場合があり、典型的には、個別神経の急性又は亜急性の感覚機能及び運動機能の消失を示す。付随するパターンは、非対称であるが、疾患が傷害を進行させるに伴い、より集密的で対称性になり、多発性神経障害との識別が困難になる。また、多発性単神経障害は、深部の、うずく痛みを特徴とする痛みを引き起こし、この症状は、夜間に悪化し、多くの場合、腰部、股関節、又は脚に現れる。また、多発性単神経障害は、急性で片側性の重篤な下肢痛に続く、前側筋力低下及び膝蓋反射の消失として特徴付けることができる。多発性単神経障害性疼痛は、例えば、真性糖尿病や、例えば、ハンセン病、ライム病、HIV、及び中毒などの感染症に付随する。
【0170】
一実施形態では、激痛状態は多発性神経障害を含む。多発性神経障害は、身体全体の複数の神経に対称的に影響を与える機能低下又は病理学的変化を伴う末梢神経障害である。多発性神経障害は、警告なしに急に出現することもあり、又は慢性的で、長期間にわたり徐々に進行することもある。多くの多発性神経障害は、運動及び感覚に関与し、また、一部は自律神経系の機能障害も伴う。これらの障害は、対称的であることが多く、通常は、種々の系統的疾病や疾患プロセスに起因し、その全体が末梢神経系に影響を与える。多くの場合、多発性神経障害は、足及び手に影響を与え、脱力、感覚消失、しびれてピリピリする感覚又は焼けるような疼痛を引き起こす。多発性神経障害は、進行速度、又は関与する身体の部分による方法などの様々な方法で分類できる。また、多発性神経障害の種類は、軸索、ミエリン鞘、又は細胞体、などの主に影響を受けた神経細胞の部分により区別される。
【0171】
一実施形態では、激痛状態は遠位軸索障害を含む。遠位軸索障害、又は「逆行性死滅ニューロパシー」は、一部の代謝又は有毒性の神経障害の結果である。それらは糖尿病や腎不全などの代謝疾患、栄養障害やアルコール依存症などの不全症候群、又は毒素もしくは化学療法などの薬剤の影響により引き起こされる場合もある。遠位軸索障害の最もよくある原因は糖尿病であり、最もよくある遠位軸索障害は糖尿病性神経障害である。それらは影響を受けた軸索のタイプにより大径線維、細径線維、又は両方を含む型に分けることができる。通常、軸索の最遠位部が最初に変質し、軸索萎縮が神経細胞体に向かってゆっくり進行する。原因が取り除かれると、再生が可能であるが、予後は刺激の持続期間と強さに依存する。遠位軸索障害の人は、通常、対称的「手袋靴下型」分布を有する感覚運動障害を示す。影響を受けた領域では、深部腱反射及び自律神経系機能が失われるか、又は減少する。
【0172】
一実施形態では、激痛状態は髄鞘障害を含む。髄鞘障害、又は「脱髄性多発神経障害」は、ミエリン(又はミエリンを作り、これを含有するシュワン細胞)の消失に起因する。この脱髄は、軸索を無傷のまま残すが、神経細胞の軸索を通る活動電位の伝導を遅らせるか、又は完全に遮断する。最もよくある原因は、急性炎症性脱髄性多発神経炎(AIDP、ギラン・バレー症候群の最もよくある形態)であるが、その他の原因には、慢性炎症性脱髄性多発神経障害(CIDP)、遺伝性代謝障害(例えば、白質ジストロフィー)、及び毒素が挙げられる。
【0173】
一実施形態では、激痛状態は神経細胞障害を含む。神経細胞障害は末梢神経系神経の破壊の結果である。それらは、運動ニューロン疾患、感覚ニューロン障害(例えば、帯状疱疹)、毒素又は自律神経障害により引き起こされる。化学療法薬剤ビンクリスチンなどの神経毒は、神経細胞障害の原因となる場合がある。神経細胞障害の人は、原因、神経細胞を冒す方法、及び最も影響を受けた神経細胞のタイプに応じて、様々な症状が現れることがある。
【0174】
多発性神経障害の原因となる多数の状態がある。末梢神経障害性疼痛には、糖尿病性神経障害のような全身性疾患に付随する神経障害、アルコール性神経障害や灼熱脚症候群のような代謝異常状態に付随する神経障害、帯状疱疹やHIVのようなウイルス感染に付随する神経障害、栄養障害に付随する神経障害、毒素に付随する神経障害、腫瘍圧迫に付随する神経障害、悪性病変の遠隔発症に付随する神経障害、化学療法のような薬剤に付随する神経障害、放射線に付随する神経障害、免疫介在疾患に付随する神経障害、及び神経幹に対する身体外傷に付随する神経障害、が挙げられるがこれらに限定されない。多発性神経障害性疼痛には、ポリオ後症候群、乳房切除後症候群、糖尿病性神経障害、アルコール性神経障害、アミロイド、毒素、AIDS、甲状腺機能低下症、尿毒症、ビタミン欠乏症、化学療法誘発性疼痛、2’,3’−ジデオキシシチジン(ddC)治療、ギラン・バレー症候群又はファブリー病、が含まれるがこれらに限定されない。
【0175】
一実施形態では、激痛状態は自律神経障害を含む。自律神経障害は、不随意で非感覚性神経系(すなわち、自律神経系)に影響を与える機能低下又は病理学的変化を伴う末梢神経障害である。自律神経障害は、主に、膀胱、筋肉、心臓血管系、消化管、及び生殖器などの内部器官に影響を与える多発性神経障害の一形態である。
【0176】
末梢神経障害性疼痛は、全身性疾患、代謝障害、栄養障害、薬誘発障害、外傷、外傷及び陥穿症候群、術後痛手術、術後合併症、HIV感覚性神経障害、脱髄性多発性根神経障害、帯状疱疹後神経痛、神経根引き抜き、三叉神経痛のような脳神経痛、神経障害性癌性疼痛;末梢神経、神経叢、及び神経根の圧迫;傍腫瘍性末梢性ニューロパチー、ガングリオノパチー(ganglionopathy);化学療法、照射、及び手術のようながん療法の合併症;ならびに、1型や2型のような複合性局所疼痛症候群、において発現する場合がある。
【0177】
一実施形態では、激痛状態は神経痛を含む。神経痛は、通常は神経構造における何らの実証可能な病理学的変化を伴わない1種又は複数種の特定の神経の神経路に沿って放射状に広がる末梢神経障害性疼痛である。影響を受けた神経は、接触、温度及び圧力の検知に関与する。食事、会話、洗顔、又は何らかの軽い接触又は知覚などの単純な刺激(穏やかな微風の感覚でさえも)が、攻撃のきっかけとなる場合がある。攻撃はいくつもの群れを成して発生する場合も、又は単独の攻撃として発生する場合もある。一般に、神経痛は、通常2分未満の短時間の耐え難い疼痛を発症させる。しかし、不定型の神経痛の場合は、疼痛は単にずきずきした痛みから激痛までの症状としても現れ、長期間続くこともある。症状は、どこにでも現れるが、通常は身体の表面上又は近傍の、それぞれの発症が同じ部位で起こる鋭い刺痛又は一定の灼熱痛;特定の神経の経路に沿った疼痛;疼痛により影響を受けた身体部位の機能障害又は付随する運動神経損傷による筋力低下;皮膚の感受性増加又は影響を受けた皮膚領域の痺れとして現れる。また、全ての接触又は圧迫は疼痛として発現される。動きもまた痛みを伴う場合がある。神経痛には、三叉神経痛、舌咽神経痛、帯状疱疹後神経痛(例えば、ヘルペスウイルス、梅毒及びライム病に起因する)、手根管症候群、異常感覚性大腿痛、坐骨神経痛及び非定型顔面痛、が挙げられるがこれらに限定されない。
【0178】
一実施形態では、激痛状態は複合性局所疼痛症候群(CRPS)を含む。CRPSは、交感神経依存性疼痛から生じた神経障害である。まだよくわかっていないが、恐らく機序には、異常な交感神経体性神経接合部(エファプス)、局所的炎症変化、及び脊髄の変化が関与しているであろう。CRPSには2種の型がある。CRPS1(反射性交感神経性ジストロフィー)は、軽度又は重度の損傷の後で腕又は脚で最も多く発生する慢性神経障害である。CRPS1は、激痛;爪、骨、及び皮膚の変化;ならびに影響を受けた肢での接触に対する感受性増加に関連する。CRPS2(灼熱痛)は、神経に対する特定損傷により引き起こされ、持続性灼熱痛症候群、異痛症、ならびに、外傷性神経病変後の痛覚過敏を生じ、血管運動性や発汗促進性機能障害及び遅れて現れる栄養変化を併発することが多い。
【0179】
一実施形態では、激痛状態は関連痛を含む。関連痛は、疼痛刺激の部位から離れた領域に局在化した疼痛に起因する。多くの場合、関連痛は、神経源又はその近くで、神経が圧迫されるか、又は損傷を受ける場合に生ずる。この状況下で、疼痛の感覚は、たとえ損傷が他の部位であっても、通常、神経が作用する領域中で感じられる。一般的例は、椎間板ヘルニアで発生し、この場合、脊髄から生ずる神経根は隣接する椎間板材料により圧迫されている。疼痛は損傷を受けた椎間板それ自体から生ずるが、疼痛は圧迫された神経により作用される領域(例えば、大腿、膝、又は足)においても感じられる。永続的な神経損傷が起きていない状況下では、神経根での圧迫の軽減により関連痛を緩和できる。心筋虚血(心筋組織の一部への血流の低下)は、恐らく最もよく知られた関連痛の例であろう。感覚は限定された感覚として上部胸で、又は左肩、腕、もしくは手における痛みとして発生する場合がある。
【0180】
一実施形態では、激痛状態は求心路遮断性疼痛を含む。末梢又は中枢求心性神経活動に影響を与える損傷又は疾患は、求心路遮断性疼痛と呼ばれる。求心路遮断性疼痛は、身体の一部からの感覚入力の部分又は完全消失に起因し、末梢感覚線維又は神経の中枢神経系からの遮断により引き起こされる場合がある。このタイプの根底にある機序は知られていないが、低い活性化閾値及び受容野の拡大による中枢神経の鋭敏化を伴う場合がある。求心路遮断性疼痛症候群には、幻痛、脳損傷、脊髄損傷、腰髄神経根障害、脳卒中後の疼痛、対麻痺、腕神経叢裂離、又は末梢神経の他のタイプの病変、中枢神経系の病態、が挙げられるがこれらに限定されない。
【0181】
一実施形態では、激痛状態は機能障害性疼痛を含む。機能障害性疼痛は、病態痛であり、この場合、器質性疼痛状態は体性感覚神経系の異常な機能により引き起こされるが、神経系の何らかの特定可能な病変により開始されることはない。神経障害性疼痛と同様に、機能障害性疼痛は、一般に、灼熱痛、冷感、電気ショック、「しびれてピリピリする」感覚、痺れ及びそう痒として表される。
【0182】
一実施形態では、激痛状態は頭痛を含む。激痛状態は、頭痛(医学的には、頭痛(cephalgia)として知られている)の場合もある。頭痛は、頭の軽度から激痛までの疼痛の状態であり、時には、首又は上背部の痛みも頭痛として解釈される場合もある。頭痛は根底にある局所又は全身性疾患を知らせるものである場合もあり、又はそれ自体障害であることもある。頭痛には、筋性/筋原性頭痛、血管性頭痛、牽引性頭痛、炎症性頭痛、慢性副鼻腔炎頭痛、ホルモン頭痛、反跳性頭痛、器質性頭痛、及びてんかん頭痛、が挙げられるがこれらに限定されない。
【0183】
一実施形態では、激痛状態は筋性/筋原性頭痛を含む。筋性/筋原性頭痛は、顔面と首の筋肉の締め付け又は緊張を伴うように見え、前頭部に放射状に広がることがある。緊張型頭痛は、最もよくある型の筋原性頭痛である。緊張型頭痛は、頭部、頭皮、又は首の疼痛又は不快感を伴い、通常はこれらの領域の筋肉締め付けに付随する状態である。緊張型頭痛は、首や頭皮筋肉の収縮から生ずる。この筋肉収縮の1つの原因は、ストレス、うつ状態、又は不安に対する反応である。動かないで頭部を1つの位置に長期間にわたって保持させる何らかの動作が、頭痛の原因になる可能性がある。このような動作には、タイピング又はコンピュータの使用、手による細かい作業、及び顕微鏡の使用が含まれる。涼しい部屋での睡眠、又は首を異常な位置に置いた睡眠もまた、このタイプの頭痛のきっかけとなる場合がある。緊張型頭痛には、一時的緊張型頭痛及び慢性緊張型頭痛が挙げられるがこれらに限定されない。
【0184】
一実施形態では、激痛状態は血管性頭痛を含む。血管性頭痛の最もよくある種類は、片頭痛である。他の種類の血管性頭痛には、激痛の反復発症を引き起こす群発頭痛が含まれ、頭痛は高血圧から生ずる。
【0185】
一実施形態では、激痛状態は片頭痛を含む。片頭痛は、通常は反復性頭痛を伴う不均一障害である。片頭痛はその他の頭痛とは異なるが、その理由は、例えば、悪心、嘔吐、又は光に対する感受性、などの他の症状と一緒に発生するためである。ほとんどの人の場合、拍動痛は頭部の片側のみで感じる。前兆現象、前駆症状の存在、又はめまいのような随伴症状などの臨床的特徴が、根底にある異なる病態生理学的及び遺伝的機序の患者サブグループで認められる場合がある。片頭痛には、前兆のない片頭痛(普通型片頭痛)、前兆のある片頭痛(古典的片頭痛)、月経性片頭痛、片頭痛等価症(無頭痛性頭痛)、複雑型片頭痛、腹部型片頭痛、及び緊張型・偏頭痛の複合型、が挙げられるがこれらに限定されない。
【0186】
一実施形態では、激痛状態は群発頭痛を含む。群発頭痛は頭部の片側に影響を与え(片側性)、目の流涙と鼻詰まりに付随する場合がある。それらはいくつもの群れを成して発生し、毎日同じ時間に数週間にわたり繰り返し起こり、その後、寛解する。
【0187】
一実施形態では、激痛状態は副鼻腔炎頭痛を含む。副鼻腔炎は細菌性、真菌性、副鼻腔のウイルス性、アレルギー性又は自己免疫性の炎症である。慢性副鼻腔炎は、感冒の最もよくある合併症の1つである。症状には、鼻詰まり、顔面痛、頭痛、発熱、全身倦怠感、濃厚な緑色又は黄色の鼻水、前かがみ時の顔面のむくみが悪化した感じ、が含まれる。症例はわずかであるが、歯科感染症由来の細菌の拡散により慢性上顎洞炎がもたらされる場合もある。慢性増殖性好酸球性副鼻腔炎は、慢性副鼻腔炎の非感染性型である。
【0188】
一実施形態では、激痛状態は牽引性頭痛を含む。牽引性及び炎症性頭痛は、通常、脳卒中から副鼻腔感染症までの範囲に入る障害とは別の障害の症状である。
【0189】
一実施形態では、激痛状態は反跳性頭痛を含む。反跳性頭痛は、薬剤乱用性頭痛としても知られ、頭痛を軽減するために過剰頻度で薬物が摂取される場合に発生する。反跳性頭痛は多くの場合毎日発生し、強い痛みを感じる場合がある。
【0190】
一実施形態では、激痛状態はてんかん頭痛を含む。てんかん頭痛は、てんかん発作活動に付随する。
【0191】
一実施形態では、激痛状態は心因性疼痛を含む。心因性疼痛は、精神性苦痛又は身体表現性疼痛とも呼ばれ、精神的、感情的、又は挙動因子により引き起こされ、高められ、又は延長された疼痛である。頭痛、背部痛、及び胃痛は、時には、心因性と診断されることもある。患者は、非難されることが多い。なぜなら、医療従事者と世間一般の人が、心理的な原因由来の疼痛は「本物」ではないと考える傾向があるためである。しかし、専門医は、それが、いずれか他の原因由来の疼痛よりも現実性が少ない、又は有害性が少ないということはないと考えている。長期の疼痛に冒されている個体は心理的な障害を示すことが多い。
【0192】
一実施形態では、激痛状態は炎症性疼痛を含む。炎症性疼痛は、器質性疼痛状態が組織炎症部位の介在物質の放出により引き起こされ、この介在物質が侵害受容性疼痛経路を活性化し、感度を高める激痛状態である。このタイプの疼痛は、慢性炎症反応により引き起こされる何らかの組織損傷に付随する。炎症性疼痛は、関節疾患、自己免疫疾患、結合組織障害、損傷、感染症、及び神経炎に付随する場合がある。
【0193】
一実施形態では、激痛状態は炎症性疼痛を含まない。
【0194】
一実施形態では、激痛状態は炎症反応により引き起こされない。
【0195】
本明細書で開示の医薬組成物は、個体に投与される。個体は、通常、ヒトである。通常、従来の激痛治療の候補である全ての個体は、本明細書で開示の激痛治療の候補である。通常、手術前の評価には、手順の全ての関連リスクと利益を開示した入念なインフォームドコンセントに加えて、定型的な病歴調査と身体検査が含まれる。
【0196】
本明細書で開示される医薬組成物には、治療有効量の治療化合物を含めることができる。本発明で使用する場合、「有効量(effective amount)」という用語は、「治療有効量(therapeutically effective amount)」、「有効量(effective dose)」、又は「治療有効量(therapeutically effective dose)」と同義であり、激痛状態の治療に関連して使用される場合、本明細書で開示される治療化合物の所望の治療効果を達成するために必要な最小用量を意味し、激痛状態に付随する症状を低減するのに十分な用量を含む。激痛状態の治療における本明細書で開示される治療化合物の有効性は、状態に関連する1種又は複数種の臨床症状、及び/又は生理的な指標に基づいて、個体における改善を観察することにより判定できる。また、激痛状態の改善は、併用療法の必要性の低減によっても示すことができる。
【0197】
特定の激痛状態に関し個体に投与する本明細書で開示される治療化合物の適切な有効量は、激痛状態のタイプ、激痛状態の部位、激痛状態の原因、激痛状態の重症度、所望の軽減の程度、所望の軽減の期間、使われる特定の治療化合物、使われる治療化合物の排出速度、使われる治療化合物の薬力学、組成物に含まれる他の化合物の性質、特定の製剤、特定の投与経路、特定の特性、患者の病歴と、例えば、年齢、体重、総体的な健康などのリスク因子、又はこれらの任意の組み合わせ、などの種々の因子を考慮して当業者により決定できるがこれらに限定されない。さらに、治療化合物の反復投与が行われる場合は、有効量の治療化合物は、限定されないが、投与頻度、治療化合物の半減期、又はこれらの任意の組み合わせなどの因子に依存する。有効量の本明細書で開示される治療化合物は、ヒトへの投与の前のインビトロアッセイや動物モデルを使ったインビボ投与調査から推定できることは当業者には理解されている。
【0198】
この実施形態のいくつかの態様では、本明細書で開示される治療化合物の治療有効量は、激痛状態に関連する症状を、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも100%低減させる。この実施形態の他の態様では、本明細書で開示される治療化合物の治療有効量は、激痛状態に関連する症状を、例えば、最大で10%、最大で15%、最大で20%、最大で25%、最大で30%、最大で35%、最大で40%、最大で45%、最大で50%、最大で55%、最大で60%、最大で65%、最大で70%、最大で75%、最大で80%、最大で85%、最大で90%、最大で95%、又は最大で100%低減させる。この実施形態のさらに他の態様では、本明細書で開示される治療化合物の治療有効量は、激痛状態に関連する症状を、例えば、約10%〜約100%、約10%〜約90%、約10%〜約80%、約10%〜約70%、約10%〜約60%、約10%〜約50%、約10%〜約40%、約20%〜約100%、約20%〜約90%、約20%〜約80%、約20%〜約20%、約20%〜約60%、約20%〜約50%、約20%〜約40%、約30%〜約100%、約30%〜約90%、約30%〜約80%、約30%〜約70%、約30%〜約60%、又は約30%〜約50%低減する。
【0199】
この実施形態のさらに他の態様では、本明細書で開示される治療化合物の治療有効量は、通常、約0.001mg/kg/日〜約100mg/kg/日の範囲である。この実施形態のいくつかの態様では、本明細書で開示される治療化合物の有効量は、例えば、少なくとも0.001mg/kg/日、少なくとも0.01mg/kg/日、少なくとも0.1mg/kg/日、少なくとも1.0mg/kg/日、少なくとも5.0mg/kg/日、少なくとも10mg/kg/日、少なくとも15mg/kg/日、少なくとも20mg/kg/日、少なくとも25mg/kg/日、少なくとも30mg/kg/日、少なくとも35mg/kg/日、少なくとも40mg/kg/日、少なくとも45mg/kg/日、又は少なくとも50mg/kg/日であってよい。この実施形態の他の態様では、本明細書で開示される治療化合物の有効量は、例えば、約0.001mg/kg/日〜約10mg/kg/日、約0.001mg/kg/日〜約15mg/kg/日、約0.001mg/kg/日〜約20mg/kg/日、約0.001mg/kg/日〜約25mg/kg/日、約0.001mg/kg/日〜約30mg/kg/日、約0.001mg/kg/日〜約35mg/kg/日、約0.001mg/kg/日〜約40mg/kg/日、約0.001mg/kg/日〜約45mg/kg/日、約0.001mg/kg/日〜約50mg/kg/日、約0.001mg/kg/日〜約75mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日〜約100mg/kg/日の範囲であってよい。この実施形態のさらに他の態様では、本明細書で開示される治療化合物の有効量は、例えば、約0.01mg/kg/日〜約10mg/kg/日、約0.01mg/kg/日〜約15mg/kg/日、約0.01mg/kg/日〜約20mg/kg/日、約0.01mg/kg/日〜約25mg/kg/日、約0.01mg/kg/日〜約30mg/kg/日、約0.01mg/kg/日〜約35mg/kg/日、約0.01mg/kg/日〜約40mg/kg/日、約0.01mg/kg/日〜約45mg/kg/日、約0.01mg/kg/日〜約50mg/kg/日、約0.01mg/kg/日〜約75mg/kg/日、又は約0.01mg/kg/日〜約100mg/kg/日の範囲であってよい。この実施形態のさらに他の態様では、本明細書で開示される治療化合物の有効量は、例えば、約0.1mg/kg/日〜約10mg/kg/日、約0.1mg/kg/日〜約15mg/kg/日、約0.1mg/kg/日〜約20mg/kg/日、約0.1mg/kg/日〜約25mg/kg/日、約0.1mg/kg/日〜約30mg/kg/日、約0.1mg/kg/日〜約35mg/kg/日、約0.1mg/kg/日〜約40mg/kg/日、約0.1mg/kg/日〜約45mg/kg/日、約0.1mg/kg/日〜約50mg/kg/日、約0.1mg/kg/日〜約75mg/kg/日、又は約0.1mg/kg/日〜約100mg/kg/日の範囲であってよい。
【0200】
この実施形態の他の態様では、本明細書で開示される治療化合物の有効量は、例えば、約1mg/kg/日〜約10mg/kg/日、約1mg/kg/日〜約15mg/kg/日、約1mg/kg/日〜約20mg/kg/日、約1mg/kg/日〜約25mg/kg/日、約1mg/kg/日〜約30mg/kg/日、約1mg/kg/日〜約35mg/kg/日、約1mg/kg/日〜約40mg/kg/日、約1mg/kg/日〜約45mg/kg/日、約1mg/kg/日〜約50mg/kg/日、約1mg/kg/日〜約75mg/kg/日、又は約1mg/kg/日〜約100mg/kg/日の範囲であってよい。この実施形態のさらに他の態様では、本明細書で開示される治療化合物の有効量は、例えば、約5mg/kg/日〜約10mg/kg/日、約5mg/kg/日〜約15mg/kg/日、約5mg/kg/日〜約20mg/kg/日、約5mg/kg/日〜約25mg/kg/日、約5mg/kg/日〜約30mg/kg/日、約5mg/kg/日〜約35mg/kg/日、約5mg/kg/日〜約40mg/kg/日、約5mg/kg/日〜約45mg/kg/日、約5mg/kg/日〜約50mg/kg/日、約5mg/kg/日〜約75mg/kg/日、又は約5mg/kg/日〜約100mg/kg/日の範囲であってよい。
【0201】
投与量、は一回用量でも、累積量(連続投薬)でもよく、当業者により容易に決定できる。例えば、激痛状態の治療には、本明細書で開示される有効量の医薬組成物の1回のみの投与を含めることができる。あるいは、激痛状態の治療には、例えば、1日1回、1日2回、1日3回、数日ごとに1回、又は1週間に1回などの期間の範囲にわたって行われる有効量の医薬組成物の複数回の投与を含めることができる。投与のタイミングは、個体の症状の重症度などの因子に応じて、個体ごとに変わってよい。例えば、本明細書で開示の医薬組成物の有効量は、不確定期間、又は個体がそれ以上治療の必要がなくなるまで、1日1回、個体に投与できる。当業者なら、治療の全過程にわたり個体の状態をモニターし、それに応じて投与する医薬組成物の有効量を調節できることをわかるであろう。
【0202】
本明細書で開示の激痛状態の治療方法に従って、本明細書で開示される治療化合物を投与する種々の投与経路が使用可能である。例えば、治療する激痛状態の種類、治療する激痛状態の部位、使われる特定の治療化合物又は組成物、又は組成物中に含められるその他の化合物、ならびに、個体の病歴、リスク因子及び症状に応じて、種々の手段のいずれかにより医薬組成物を個体に投与できる。従って、局所、腸内、又は非経口の投与経路が本明細書で開示の激痛状態の治療に好適である場合があり、このような経路は本明細書で開示の治療化合物又は組成物の局所及び全身送達の両方を包含する。吸入、局所、鼻腔内、舌下、注射、点滴注入、直腸、及び/又は腟経路での使用が意図される本明細書で開示される単一の治療化合物、又は本明細書で開示の2種以上の治療化合物を含む組成物は、医薬組成物の製造用として当技術分野で既知のいずれかの方法により調製できる。
【0203】
一実施形態では、個体への投与時に、本明細書で開示される治療化合物を含む医薬組成物は、本明細書で開示のアジュバントを除いた以外は同一である医薬組成物中に含まれる治療化合物の体内分布とは異なる治療化合物の体内分布を生じる。
【0204】
別の実施形態では、個体への投与時に、本明細書で開示の医薬組成物の治療化合物は、マクロファージに送達される。マクロファージは、炎症反応の制御に関与すると考えられている鍵となる細胞型の1つである。得られたマクロファージ中に存在する抗疼痛活性を有する高レベルの治療化合物は、激痛状態の効果的治療をもたらす。この実施形態の一態様では、個体に投与時に、本明細書で開示される医薬組成物の治療有効量の治療化合物がマクロファージに優先的に送達される。この実施形態の他の態様では、個体に投与時に、本明細書で開示される医薬組成物の治療化合物がマクロファージに実質的に送達される。この実施形態のさらに他の態様では、個体に投与時にマクロファージに送達される、本明細書で開示される医薬組成物の治療化合物の量は、投与される医薬組成物中に含まれる治療化合物の合計量の、例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも100%である。この実施形態のさらに他の態様では、マクロファージに送達される本明細書で開示の医薬組成物の治療化合物の量は、投与される医薬組成物中に含まれる治療化合物の合計量の、例えば、約5%〜約100%、約10%〜約100%、約15%〜約100%、約20%〜約100%、約25%〜約100%、約30%〜約100%、約35%〜約100%、約40%〜約100%、約45%〜約100%、約50%〜約100%、約5%〜約90%、約10%〜約90%、約15%〜約90%、約20%〜約90%、約25%〜約90%、約30%〜約90%、約35%〜約90%、約40%〜約90%、約45%〜約90%、約50%〜約90%、約5%〜約80%、約10%〜約80%、約15%〜約80%、約20%〜約80%、約25%〜約80%、約30%〜約80%、約35%〜約80%、約40%〜約80%、約45%〜約80%、約50%〜約80%、約5%〜約70%、約10%〜約70%、約15%〜約70%、約20%〜約70%、約25%〜約70%、約30%〜約70%、約35%〜約70%、約40%〜約70%、約45%〜約70%、又は約50%〜約70%の範囲である。
【0205】
別の実施形態では、個体への投与時に、本明細書で開示の医薬組成物の治療化合物は、樹状細胞に送達される。樹状細胞は、自然免疫と獲得免疫との間の相互作用を調整すると考えられている鍵となる細胞型の1つである。得られた樹状細胞中に存在する抗疼痛活性を有する高レベルの治療化合物は、激痛状態の効果的治療をもたらす。この実施形態の一態様では、個体に投与時に、本明細書で開示される医薬組成物の治療有効量の治療化合物が優先的に樹状細胞に送達される。この実施形態の他の態様では、個体に投与時に、本明細書で開示される医薬組成物の治療化合物が樹状細胞に実質的に送達される。この実施形態のさらに他の態様では、個体に投与時に、樹状細胞に送達される本明細書で開示の医薬組成物の治療化合物の量は、投与される医薬組成物中に含まれる治療化合物の合計量の、例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも100%である。この実施形態のさらに他の態様では、樹状細胞に送達される本明細書で開示の医薬組成物の治療化合物の量は、投与される医薬組成物中に含まれる治療化合物の合計量の、例えば、約5%〜約100%、約10%〜約100%、約15%〜約100%、約20%〜約100%、約25%〜約100%、約30%〜約100%、約35%〜約100%、約40%〜約100%、約45%〜約100%、約50%〜約100%、約5%〜約90%、約10%〜約90%、約15%〜約90%、約20%〜約90%、約25%〜約90%、約30%〜約90%、約35%〜約90%、約40%〜約90%、約45%〜約90%、約50%〜約90%、約5%〜約80%、約10%〜約80%、約15%〜約80%、約20%〜約80%、約25%〜約80%、約30%〜約80%、約35%〜約80%、約40%〜約80%、約45%〜約80%、約50%〜約80%、約5%〜約70%、約10%〜約70%、約15%〜約70%、約20%〜約70%、約25%〜約70%、約30%〜約70%、約35%〜約70%、約40%〜約70%、約45%〜約70%、又は約50%〜約70%の範囲である。
【0206】
別の実施形態では、個体に投与時に、本明細書で開示される医薬組成物は胃刺激を低減させる。この実施形態の一態様では、本明細書で開示される医薬組成物は、胃刺激を実質的に低減させる。さらに別の実施形態では、個体に投与時に、本明細書で開示される医薬組成物は、薬学的に許容可能なアジュバントを含まないこと以外は同一である本明細書で開示の医薬組成物の場合と比較して、胃刺激を低減させる。この実施形態の一態様では、本明細書で開示される医薬組成物は、薬学的に許容可能なアジュバントを含まないこと以外は同一である本明細書で開示の医薬組成物の場合と比較して、胃刺激を実質的に低減させる。この実施形態の他の態様では、本明細書で開示される医薬組成物は、胃刺激を、例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも100%低減させる。この実施形態のさらに他の態様では、本明細書で開示の医薬組成物は、胃刺激を、例えば、約5%〜約100%、約10%〜約100%、約15%〜約100%、約20%〜約100%、約25%〜約100%、約30%〜約100%、約35%〜約100%、約40%〜約100%、約45%〜約100%、約50%〜約100%、約5%〜約90%、約10%〜約90%、約15%〜約90%、約20%〜約90%、約25%〜約90%、約30%〜約90%、約35%〜約90%、約40%〜約90%、約45%〜約90%、約50%〜約90%、約5%〜約80%、約10%〜約80%、約15%〜約80%、約20%〜約80%、約25%〜約80%、約30%〜約80%、約35%〜約80%、約40%〜約80%、約45%〜約80%、約50%〜約80%、約5%〜約70%、約10%〜約70%、約15%〜約70%、約20%〜約70%、約25%〜約70%、約30%〜約70%、約35%〜約70%、約40%〜約70%、約45%〜約70%、又は約50%〜約70%の範囲に低減させる。
【0207】
別の実施形態において、個体に投与時に、本明細書で開示される医薬組成物は、腸刺激を低減させる。この実施形態の一態様では、本明細書で開示される医薬組成物は腸刺激を実質的に低減させる。さらに別の実施形態では、個体に投与時に、本明細書で開示される医薬組成物は、薬学的に許容可能なアジュバントを含まないこと以外は同一である本明細書で開示の医薬組成物の場合と比較して、腸刺激を低減させる。この実施形態の一態様では、本明細書で開示される医薬組成物は、薬学的に許容可能なアジュバントを含まないこと以外は同一である本明細書で開示の医薬組成物の場合と比較して、腸刺激を実質的に低減させる。この実施形態の他の態様では、本明細書で開示される医薬組成物は、薬学的に許容可能なアジュバントを含まないこと以外は同一である医薬組成物の場合と比較して、腸刺激を、例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも100%低減させる。この実施形態のさらに他の態様では、本明細書で開示の医薬組成物は、薬学的に許容可能なアジュバントを含まないことを除いて同一の本明細書で開示の医薬組成物に比べた場合に、腸刺激を、例えば、約5%〜約100%、約10%〜約100%、約15%〜約100%、約20%〜約100%、約25%〜約100%、約30%〜約100%、約35%〜約100%、約40%〜約100%、約45%〜約100%、約50%〜約100%、約5%〜約90%、約10%〜約90%、約15%〜約90%、約20%〜約90%、約25%〜約90%、約30%〜約90%、約35%〜約90%、約40%〜約90%、約45%〜約90%、約50%〜約90%、約5%〜約80%、約10%〜約80%、約15%〜約80%、約20%〜約80%、約25%〜約80%、約30%〜約80%、約35%〜約80%、約40%〜約80%、約45%〜約80%、約50%〜約80%、約5%〜約70%、約10%〜約70%、約15%〜約70%、約20%〜約70%、約25%〜約70%、約30%〜約70%、約35%〜約70%、約40%〜約70%、約45%〜約70%、又は約50%〜約70%低減させる。
【0208】
本明細書で開示される医薬組成物は、他の治療化合物と組合せて個体に投与して、全体的な治療効果を高めることもできる。適応症を治療するために複数の化合物を使用することは、有益な効果を高めるとともに副作用の存在を低減させることができる。
【0209】
本発明のいくつかの態様は、以下のように記載することもできる:
1.a)抗疼痛活性を有する治療化合物と、b)薬学的に許容可能なアジュバントとを含む医薬組成物。
2.薬学的に許容可能な溶媒をさらに含む実施形態1に記載の医薬組成物。
3.a)抗疼痛活性を有する治療化合物と、b)薬学的に許容可能な溶媒と、c)薬学的に許容可能なアジュバントとを含む医薬組成物。
4.a)抗疼痛活性を有する治療化合物と、b)薬学的に許容可能な溶媒と、c)薬学的に許容可能なアジュバントとを含み、薬学的に許容可能な溶媒と薬学的に許容可能なアジュバントとの比が約0:1〜約1:25の範囲である医薬組成物。
5.薬学的に許容可能な溶媒と薬学的に許容可能なアジュバントとの比が約0:1〜約1:25の範囲である実施形態2又は3に記載の医薬組成物。
6.抗疼痛活性が激痛反応を減らす実施形態1〜5に記載の医薬組成物。
7.抗疼痛活性が激痛反応を少なくとも10%減らす実施形態6に記載の医薬組成物。
8.抗疼痛活性が侵害受容性疼痛反応を減らす実施形態1〜7に記載の医薬組成物。
9.抗疼痛活性が侵害受容性疼痛反応を少なくとも10%減らす実施形態8に記載の医薬組成物。
10.抗疼痛活性が侵害受容体により媒介される疼痛反応を減らす実施形態1〜7に記載の医薬組成物。
11.抗疼痛活性が侵害受容体により媒介される疼痛反応を少なくとも10%減らす実施形態10に記載の医薬組成物。
12.抗疼痛活性が体性痛反応を減らす実施形態1〜7に記載の医薬組成物。
13.抗疼痛活性が体性痛反応を少なくとも10%減らす実施形態12に記載の医薬組成物。
14.抗疼痛活性が内臓痛反応を減らす実施形態1〜7に記載の医薬組成物。
15.抗疼痛活性が内臓痛反応を少なくとも10%減らす実施形態14に記載の医薬組成物。
16.抗疼痛活性が病態痛反応を減らす実施形態1〜7に記載の医薬組成物。
17.抗疼痛活性が病態痛反応を少なくとも10%減らす実施形態16に記載の医薬組成物。
18.抗疼痛活性が神経障害性疼痛反応を減らす実施形態1〜7に記載の医薬組成物。
19.抗疼痛活性が神経障害性疼痛反応を少なくとも10%減らす実施形態18に記載の医薬組成物。
20.抗疼痛活性が中枢性神経障害性疼痛反応を減らす実施形態1〜7に記載の医薬組成物。
21.抗疼痛活性が中枢性神経障害性疼痛反応を少なくとも10%減らす実施形態20に記載の医薬組成物。
22.抗疼痛活性が末梢神経障害性疼痛反応を減らす実施形態1〜7に記載の医薬組成物。
23.抗疼痛活性が末梢神経障害性疼痛反応を少なくとも10%減らす実施形態22に記載の医薬組成物。
24.抗疼痛活性が単神経障害性疼痛反応を減らす実施形態1〜7に記載の医薬組成物。
25.抗疼痛活性が単神経障害性疼痛反応を少なくとも10%減らす実施形態24に記載の医薬組成物。
26.抗疼痛活性が多発性単神経障害性疼痛反応を減らす実施形態1〜7に記載の医薬組成物。
27.抗疼痛活性が多発性単神経障害性疼痛反応を少なくとも10%減らす実施形態26に記載の医薬組成物。
28.抗疼痛活性が多発性神経障害性疼痛反応を減らす実施形態1〜7に記載の医薬組成物。
29.抗疼痛活性が多発性神経障害性疼痛反応を少なくとも10%減らす実施形態28に記載の医薬組成物。
30.抗疼痛活性が自律神経障害性疼痛反応を減らす実施形態1〜7に記載の医薬組成物。
31.抗疼痛活性が自律神経障害性疼痛反応を少なくとも10%減らす実施形態30に記載の医薬組成物。
32.抗疼痛活性が神経痛反応を減らす実施形態1〜7に記載の医薬組成物。
33.抗疼痛活性が神経痛反応を少なくとも10%減らす実施形態32に記載の医薬組成物。
34.抗疼痛活性が複合性局所疼痛症候群疼痛反応を減らす実施形態1〜7に記載の医薬組成物。
35.抗疼痛活性が複合性局所疼痛症候群疼痛反応を少なくとも10%減らす実施形態34に記載の医薬組成物。
36.抗疼痛活性が関連痛反応を減らす実施形態1〜7に記載の医薬組成物。
37.抗疼痛活性が関連痛反応を少なくとも10%減らす実施形態36に記載の医薬組成物。
38.抗疼痛活性が求心路遮断性疼痛反応を減らす実施形態1〜7に記載の医薬組成物。
39.抗疼痛活性が求心路遮断性疼痛反応を少なくとも10%減らす実施形態38に記載の医薬組成物。
40.抗疼痛活性が機能障害性疼痛反応を減らす実施形態1〜7に記載の医薬組成物。
41.抗疼痛活性が機能障害性疼痛反応を少なくとも10%減らす実施形態38に記載の医薬組成物。
42.抗疼痛活性が頭痛反応を減らす実施形態1〜7に記載の医薬組成物。
43.抗疼痛活性が頭痛反応を少なくとも10%減らす実施形態42に記載の医薬組成物。
44.抗疼痛活性が片頭痛反応を減らす実施形態1〜7に記載の医薬組成物。
45.抗疼痛活性が片頭痛反応を少なくとも10%減らす実施形態44に記載の医薬組成物。
46.治療化合物が、有機溶媒に可溶性であることを示すlogP値を有する実施形態1〜45に記載の医薬組成物。
47.治療化合物が、1.0より高いlogP値を有する実施形態1〜46に記載の医薬組成物。
48.治療化合物が、2.0より高いlogP値を有する実施形態1〜46に記載の医薬組成物。
49.治療化合物が、疎水性の極性表面積を有する実施形態1〜48に記載の医薬組成物。
50.治療化合物が、8.0nm未満の極性表面積を有する実施形態1〜49に記載の医薬組成物。
51.治療化合物が、6.0nm未満の極性表面積を有する実施形態1〜49に記載の医薬組成物。
52.治療化合物が、非ステロイド抗疼痛薬(NSAID)を含む実施形態1〜51に記載の医薬組成物。
53.NSAIDが、サリチル酸誘導体NSAID、p−アミノフェノール誘導体NSAID、プロピオン酸誘導体NSAID、酢酸誘導体NSAID、エノール酸誘導体NSAID、フェナム酸誘導体NSAID、非選択的シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ1(COX1)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ2(COX2)阻害剤、又はこれらの組み合わせを含む実施形態52に記載の医薬組成物。
54.治療化合物が、PPARγアゴニストを含む実施形態1〜53に記載の医薬組成物。
55.PPARγアゴニストが、モナシン、イルベサルタン、テルミサルタン、ミコフェノール酸、レスベラトロール、デルタ(9)− テトラヒドロカンナビノール、カンナビジオール、クルクミン、シロスタゾール、ベンズブロマロン、6−ショウガオール、グリチルレチン酸、チアゾリジンジオン、NSAID、フィブラート、又はこれらの組合せを含む実施形態54に記載の医薬組成物。
56.治療化合物が、核受容体結合剤を含む実施形態1〜55に記載の医薬組成物。
57.核受容体結合剤が、レチノイン酸受容体(RAR)結合剤、レチノイドX受容体(RXR)結合剤、肝臓X受容体(LXR)結合剤、ビタミンD結合剤、又はこれらの組合せを含む実施形態56に記載の医薬組成物。
58.治療化合物が、抗高脂血症剤を含む実施形態1〜57に記載の医薬組成物。
59.抗高脂血症剤が、フィブラート、スタチン、トコトリエノール、ナイアシン、胆汁酸封鎖剤(胆汁酸レジン)、コレステロール吸収阻害剤、膵リパーゼ阻害剤、交感神経刺激アミン、又はこれらの組合せを含む実施形態58に記載の医薬組成物。
60.フィブラートが、ベザフィブラート、シプロフィブラート、クロフィブラート、ゲムフィブロジル、フェノフィブラート、又はこれらの組合せを含む実施形態59に記載の医薬組成物。
61.スタチンが、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、又はこれらの組合せを含む実施形態59に記載の医薬組成物。
62.ナイアシンが、アシピモックス、ナイアシン、ニコチンアミド、ビタミンB3、又はこれらの組合せを含む実施形態59に記載の医薬組成物。
63.胆汁酸封鎖剤が、コレスチラミン、コレセベラム、コレスチポール、又はこれらの組み合わせを含む実施形態59に記載の医薬組成物。
64.コレステロール吸収阻害剤が、エゼチミブ、フィトステロール、ステロール、スタノール、又はこれらの組合せを含む実施形態59に記載の医薬組成物。
65.脂肪吸収阻害剤が、オルリスタットを含む実施形態59に記載の医薬組成物。
66.交感神経刺激アミンが、クレンブテロール、サルブタモール、エフェドリン、プソイドエフェドリン、メタンフェタミン、アンフェタミン、フェニレフリン、イソプロテレノール、ドブタミン、メチルフェニデート、リスデキサンフェタミン、カシン、カチノン、メトカチノン、コカイン、ベンジルピペラジン(BZP)、メチレンジオキシピロバレロン(MDPV)、4−メチルアミノレックス、ペモリン、フェンメトラジン、プロピルヘキセドリン、又はこれらの組合せを含む実施形態59に記載の医薬組成物。
67.治療化合物が、治療化合物のエステルを含む実施形態1〜66に記載の医薬組成物。
68.治療化合物が、実施形態52〜66に記載の治療化合物のエステルを含む実施形態1〜67に記載の医薬組成物。
69.薬学的に許容可能な溶媒が、約20%(v/v)未満である実施形態1〜68に記載の医薬組成物。
70.薬学的に許容可能な溶媒が、薬学的に許容可能な極性非プロトン性溶媒、薬学的に許容可能な極性プロトン性溶媒、薬学的に許容可能な非極性溶媒、又はこれらの組み合わせを含む実施形態1〜69に記載の医薬組成物。
71.薬学的に許容可能な溶媒が、薬学的に許容可能なアルコールを含む実施形態1〜70に記載の医薬組成物。
72.薬学的に許容可能なアルコールが、非環式アルコール、一価アルコール、多価アルコール、不飽和脂肪族アルコール、脂環式アルコール、又はこれらの組合せを含む実施形態71に記載の医薬組成物。
73.薬学的に許容可能なアルコールが、C1−20アルコールを含む実施形態71に記載の医薬組成物。
74.薬学的に許容可能なアルコールが、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、1−ヘキサデカノール、又はこれらの組合せを含む実施形態71に記載の医薬組成物。
75.薬学的に許容可能な溶媒が、薬学的に許容可能なアルコールと酸との薬学的に許容可能なエステルを含む実施形態1〜74に記載の医薬組成物。
76.薬学的に許容可能なエステルが、酢酸メチル、酪酸メチル、ギ酸メチル、酢酸エチル、酪酸エチル、ギ酸エチル、酢酸プロピル、酪酸プロピル、ギ酸プロピル、酢酸ブチル、酪酸ブチル、ギ酸ブチル、酢酸イソブチル、酪酸イソブチル、ギ酸イソブチル、酢酸ペンチル、酪酸ペンチル、ギ酸ペンチル、及び1−ヘキサデシルアセタート、1−ヘキサデシルブチラート、1−ヘキサデシルホルマート、又はこれらの組合せを含む実施形態75に記載の医薬組成物。
77.薬学的に許容可能な溶媒が、薬学的に許容可能なグリコールエーテル、薬学的に許容可能なジオール、薬学的に許容可能なプロピレングリコール、薬学的に許容可能なジプロピレングリコール、薬学的に許容可能なポリプロピレングリコール(PPG)ポリマー、薬学的に許容可能なポリエチレングリコール(PEG)ポリマー、又はこれらの任意の組み合わせを含む実施形態1〜76に記載の医薬組成物。
78.薬学的に許容可能なグリコールエーテルが、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(2−(2−メトキシエトキシ)エタノール)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(2−(2−エトキシエトキシ)エタノール)、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル(2−(2−プロポキシエトキシ)エタノール)、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(2−(2−イソプロポキシエトキシ)エタノール)、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル(2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール)、又はこれらの任意の組み合わせを含む実施形態77に記載の医薬組成物。
79.薬学的に許容可能なポリプロピレングリコール(PPG)ポリマー又は薬学的に許容可能なポリエチレングリコール(PEG)ポリマーが、約2,000g/mol未満である実施形態77に記載の医薬組成物。
80.薬学的に許容可能なポリプロピレングリコール(PPG)ポリマー又は薬学的に許容可能なポリエチレングリコール(PEG)ポリマーが、約2,000g/mol超である実施形態77に記載の医薬組成物。
81.薬学的に許容可能な溶媒が、薬学的に許容可能なグリセリドを含む実施形態1〜51に記載の医薬組成物。
82.薬学的に許容可能なグリセリドが、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、アセチル化モノグリセリド、アセチル化ジグリセリド、アセチル化トリグリセリド、又はこれらの組合せを含む実施形態81に記載の医薬組成物。
83.薬学的に許容可能な溶媒が20℃において液体であるか、又は薬学的に許容可能な溶媒が20℃において固体である実施形態1〜82に記載の医薬組成物。
84.薬学的に許容可能な固体溶媒がメントールを含む実施形態83に記載の医薬組成物。
85.アジュバントが少なくとも80%(v/v)である実施形態1〜84に記載の医薬組成物。
86.薬学的に許容可能なアジュバントが、20℃において液体である実施形態1〜85に記載の医薬組成物。
87.薬学的に許容可能なアジュバントが、20℃において固体である実施形態1〜86に記載の医薬組成物。
88.薬学的に許容可能なアジュバントが、薬学的に許容可能な脂質を含む実施形態1〜87に記載の医薬組成物。
89.薬学的に許容可能な脂質が、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、又はこれらの組み合わせを含む実施形態88に記載の医薬組成物。
90.薬学的に許容可能な脂質が、2種以上の飽和又は不飽和脂肪酸を含む実施形態88又は89に記載の医薬組成物。
91.2種以上の飽和又は不飽和脂肪酸が、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、又はこれらの組み合わせを含む実施形態90に記載の医薬組成物。
92.不飽和脂肪酸が、20℃以下の融点を有するか、又は不飽和脂肪酸が20℃において固体である実施形態89〜91に記載の医薬組成物。
93.不飽和脂肪酸がオメガ脂肪酸を含む実施形態89〜91に記載の医薬組成物。
94.薬学的に許容可能な脂質が、薬学的に許容可能な油を含む実施形態88に記載の医薬組成物。
95.薬学的に許容可能な油が、アーモンド油、ラッカセイ油、アボカド油、カノーラ油、ヒマシ油、ヤシ油、トウモロコシ油、綿実油、ブドウ種子油、へーゼルナッツ油、大麻油、亜麻仁油、オリーブ油、パーム油、ピーナッツ油、ナタネ油、米糠油、ベニバナ油、ゴマ油、大豆油(soybean oil)、大豆油(soya oil)、ヒマワリ油、カカオ脂、クルミ油、コムギ胚芽油、又はこれらの組合せを含む請求項94に記載の医薬組成物。
96.薬学的に許容可能な脂質が、薬学的に許容可能なグリセロ脂質、薬学的に許容可能なグリコール脂肪酸エステル、薬学的に許容可能なポリエーテル脂肪酸エステル、薬学的に許容可能な脂質の混合物、又はこれらの任意の組み合わせを含む実施形態88に記載の医薬組成物。
97.薬学的に許容可能な安定化剤をさらに含む実施形態1〜96に記載の医薬組成物。
98.薬学的に許容可能な安定化剤は、水、脂肪酸成分と酢酸とを含む犠牲酸、酢酸エチル、酢酸ナトリウム/酢酸、モノグリセリド、アセチル化モノグリセリド、ジグリセリド、アセチル化ジグリセリド、脂肪酸、脂肪酸塩、又はこれらの組合せを含む実施形態97に記載の医薬組成物。
99.薬学的に許容可能な安定化剤が、薬学的に許容可能な乳化剤を含む実施形態97に記載の医薬組成物。
100.薬学的に許容可能な乳化剤が、界面活性剤、多糖類、レクチン、リン脂質、又はこれらの組合せを含む実施形態99に記載の医薬組成物。
101.医薬組成物が、薬学的に許容可能な乳化剤を含まない実施形態1〜100に記載の医薬組成物。
102.医薬組成物を調製する方法であって、医薬組成物の形成を可能とする条件下で、治療化合物を薬学的に許容可能なアジュバントに接触させる工程を含む方法。
103.医薬組成物を調製する方法であって、a)治療化合物の薬学的に許容可能な溶媒への溶解を可能とする条件下で、記薬学的に許容可能な溶媒を治療化合物に接触させることによって溶液を形成する工程であって、治療化合物が抗疼痛活性を有する工程と、b)工程(a)で形成された溶液を、医薬組成物の形成を可能とする条件下で、薬学的に許容可能なアジュバントに接触させる工程とを含む方法。
104.医薬組成物を調製する方法であって、a)治療化合物の薬学的に許容可能な溶媒への溶解を可能とする条件下で、薬学的に許容可能な溶媒を治療化合物に接触させることにより溶液を形成する工程であって、治療化合物が抗疼痛活性を有する工程と、b)工程(a)で形成された溶液を、医薬組成物の形成を可能とする条件下で、薬学的に許容可能なアジュバントに接触させる工程とを含み、薬学的に許容可能な溶媒と薬学的に許容可能なアジュバントとの比が約0:1〜約1:25の範囲である方法。
105.治療化合物が、有機溶媒に可溶性であることを示すlogP値を有する実施形態102〜104に記載の方法。
106.治療化合物が、1.0より高いlogP値を有する実施形態102〜105に記載の方法。
107.治療化合物が、2.0より高いlogP値を有する実施形態102〜105に記載の方法。
108.治療化合物が、疎水性の極性表面積を有する実施形態102〜107に記載の方法。
109.治療化合物が、8.0nm2未満の極性表面積を有する実施形態102〜108に記載の方法。
110.治療化合物が、6.0nm2未満の極性表面積を有する実施形態102〜108に記載の方法。
111.治療化合物が、非ステロイド性抗疼痛薬(NSAID)を含む実施形態102〜110に記載の方法。
112.NSAIDが、サリチル酸誘導体NSAID、p−アミノフェノール誘導体NSAID、プロピオン酸誘導体NSAID、酢酸誘導体NSAID、エノール酸誘導体NSAID、フェナム酸誘導体NSAID、非選択的シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ1(COX1)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ2(COX2)阻害剤、又はこれらの組み合わせを含む実施形態111に記載の方法。
113.治療化合物が、PPARγアゴニストを含む実施形態102〜112に記載の方法。
114.PPARγアゴニストが、モナシン、イルベサルタン、テルミサルタン、ミコフェノール酸、レスベラトロール、デルタ(9)−テトラヒドロカンナビノール、カンナビジオール、クルクミン、シロスタゾール、ベンズブロマロン、6−ショウガオール、グリチルレチン酸、チアゾリジンジオン、NSAID、フィブラート、又はこれらの組合せを含む実施形態113に記載の方法。
115.治療化合物が、核受容体結合剤を含む実施形態102〜114に記載の方法。
116.核受容体結合剤が、レチノイン酸受容体(RAR)結合剤、レチノイドX受容体(RXR)結合剤、肝臓X受容体(LXR)結合剤、ビタミンD結合剤、又はこれらの組合せを含む実施形態115に記載の方法。
117.治療化合物が、抗高脂血症剤を含む実施形態102〜116に記載の方法。
118.抗高脂血症剤が、フィブラート、スタチン、トコトリエノール、ナイアシン、胆汁酸封鎖剤(胆汁酸レジン)、コレステロール吸収阻害剤、膵リパーゼ阻害剤、交感神経刺激アミン、又はこれらの組合せを含む実施形態117に記載の方法。
119.フィブラートが、ベザフィブラート、シプロフィブラート、クロフィブラート、ゲムフィブロジル、フェノフィブラート、又はこれらの組合せを含む実施形態118に記載の方法。
120.スタチンが、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、又はこれらの組合せを含む実施形態118に記載の方法。
121.ナイアシンが、アシピモックス、ナイアシン、ニコチンアミド、ビタミンB3、又はこれらの組合せを含む実施形態118に記載の方法。
122.胆汁酸封鎖剤が、コレスチラミン、コレセベラム、コレスチポール、又はこれらの組み合わせを含む実施形態118に記載の方法。
123.コレステロール吸収阻害剤が、エゼチミブ、フィトステロール、ステロール、スタノール、又はこれらの組合せを含む実施形態118に記載の方法。
124.脂肪吸収阻害剤が、オルリスタットを含む実施形態118に記載の方法。
125.交感神経刺激アミンが、クレンブテロール、サルブタモール、エフェドリン、プソイドエフェドリン、メタンフェタミン、アンフェタミン、フェニレフリン、イソプロテレノール、ドブタミン、メチルフェニデート、リスデキサンフェタミン、カシン、カチノン、メトカチノン、コカイン、ベンジルピペラジン(BZP)、メチレンジオキシピロバレロン(MDPV)、4−メチルアミノレックス、ペモリン、フェンメトラジン、プロピルヘキセドリン、又はこれらの組合せを含む実施形態118に記載の方法。
126.治療化合物が、治療化合物のエステルを含む実施形態102〜125に記載の方法。
127.治療化合物が、実施形態111〜126に記載の治療化合物のエステルを含む実施形態102〜126に記載の方法。
128.薬学的に許容可能な溶媒が、約20%(v/v)未満である実施形態103〜127に記載の方法。
129.薬学的に許容可能な溶媒が、薬学的に許容可能な極性非プロトン性溶媒、薬学的に許容可能な極性プロトン性溶媒、薬学的に許容可能な非極性溶媒、又はこれらの組み合わせを含む実施形態103〜128に記載の方法。
130.薬学的に許容可能な溶媒が、薬学的に許容可能なアルコールを含む実施形態103〜129に記載の方法。
131.薬学的に許容可能なアルコールが、非環式アルコール、一価アルコール、多価アルコール、不飽和脂肪族アルコール、脂環式アルコール、又はこれらの組合せを含む実施形態130に記載の方法。
132.薬学的に許容可能な溶媒が、C1−20アルコールを含む実施形態130に記載の方法。
133.薬学的に許容可能なアルコールが、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、1−ヘキサデカノール、又はこれらの組合せを含む実施形態130に記載の方法。
134.薬学的に許容可能な溶媒が、薬学的に許容可能なアルコールと酸との薬学的に許容可能なエステルを含む実施形態130に記載の方法。
135.薬学的に許容可能なエステルが、酢酸メチル、酪酸メチル、ギ酸メチル、酢酸エチル、酪酸エチル、ギ酸エチル、酢酸プロピル、酪酸プロピル、ギ酸プロピル、酢酸ブチル、酪酸ブチル、ギ酸ブチル、酢酸イソブチル、酪酸イソブチル、ギ酸イソブチル、酢酸ペンチル、酪酸ペンチル、ギ酸ペンチル、及び1−ヘキサデシルアセタート、1−ヘキサデシルブチラート、1−ヘキサデシルホルマート、又はこれらの組合せを含む実施形態134に記載の方法。
136.薬学的に許容可能な溶媒が、薬学的に許容可能なポリエチレングリコール(PEG)ポリマーである実施形態103〜135に記載の方法。
137.薬学的に許容可能なポリエチレングリコール(PEG)ポリマーが、約2,000g/mol未満である実施形態136に記載の方法。
138.薬学的に許容可能なポリエチレングリコール(PEG)ポリマーが、約2,000g/mol超である実施形態136に記載の方法。
139.薬学的に許容可能な溶媒が、薬学的に許容可能なグリセリドを含む実施形態103〜138に記載の方法。
140.薬学的に許容可能なグリセリドが、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、アセチル化モノグリセリド、アセチル化ジグリセリド、アセチル化トリグリセリド、又はこれらの組合せである実施形態139に記載の方法。
141.薬学的に許容可能な溶媒が、20℃において液体である実施形態103〜140に記載の方法。
142.薬学的に許容可能な溶媒が、20℃において固体である実施形態103〜141に記載の方法。
143.薬学的に許容可能な溶媒がメントールである実施形態142に記載の方法。
144.薬学的に許容可能なアジュバントが少なくとも80%(v/v)である実施形態102〜143に記載の方法。
145.薬学的に許容可能なアジュバントが、20℃において液体である実施形態102〜144に記載の方法。
146.薬学的に許容可能なアジュバントが、20℃において固体である実施形態102〜144に記載の方法。
147.薬学的に許容可能なアジュバントが、薬学的に許容可能な脂質を含む実施形態102〜146に記載の方法。
148.薬学的に許容可能な脂質が、薬学的に許容可能な飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、又はこれらの組み合わせを含む実施形態147に記載の方法。
149.薬学的に許容可能な脂質が、2種以上の薬学的に許容可能な飽和又は不飽和脂肪酸を含む実施形態147又は148に記載の方法。
150.2種以上の飽和又は不飽和脂肪酸が、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、又はこれらの組み合わせを含む実施形態149に記載の方法。
151.薬学的に許容可能な不飽和脂肪酸が、20℃以下の融点を有する実施形態148〜150に記載の方法。
152.薬学的に許容可能な不飽和脂肪酸が、20℃において固体である実施形態148〜150に記載の方法。
153.薬学的に許容可能な不飽和脂肪酸がオメガ脂肪酸を含む実施形態148〜152に記載の方法。
154.薬学的に許容可能な脂質が、薬学的に許容可能な油を含む実施形態147〜153に記載の方法。
155.薬学的に許容可能な油が、アーモンド油、ラッカセイ油、アボカド油、カノーラ油、ヒマシ油、ヤシ油、トウモロコシ油、綿実油、ブドウ種子油、へーゼルナッツ油、大麻油、亜麻仁油、オリーブ油、パーム油、ピーナッツ油、ナタネ油、米糠油、ベニバナ油、ゴマ油、大豆油(soybean oil)、大豆油(soya oil)、ヒマワリ油、クルミ油、コムギ胚芽油、又はこれらの組合せを含む実施形態154に記載の方法。
156.工程(b)で、薬学的に許容可能な溶媒と薬学的に許容可能なアジュバントとの比が約0:1〜約1:25の範囲である実施形態103又は105〜155に記載の方法。
157.工程(a)が、薬学的に許容可能な安定化剤を、薬学的に許容可能な溶媒及び治療化合物に接触させる工程をさらに含む実施形態102〜156に記載の方法。
158.薬学的に許容可能な安定化剤が、水、脂肪酸成分と酢酸とを含む犠牲酸、酢酸エチル、酢酸ナトリウム/酢酸、モノグリセリド、アセチル化モノグリセリド、ジグリセリド、アセチル化ジグリセリド、脂肪酸、脂肪酸塩、又はこれらの組合せを含む実施形態157に記載の方法。
159.薬学的に許容可能な安定化剤が、薬学的に許容可能な乳化剤を含む実施形態157又は158に記載の方法。
160.薬学的に許容可能な乳化剤が、界面活性剤、多糖類、レクチン、リン脂質、又はこれらの組合せを含む実施形態159に記載の方法。
161.医薬組成物が、薬学的に許容可能な乳化剤を含まない実施形態102〜158に記載の方法。
162.薬学的に許容可能な溶媒を医薬組成物から除去する工程をさらに含む実施形態103〜161に記載の方法。
163.少なくとも5%の薬学的に許容可能な溶媒が医薬組成物から除去される実施形態162に記載の方法。
164.本明細書で開示される医薬組成物からの溶媒の除去が、20℃未満の温度で実施される実施形態162又は163に記載の方法。
165.医薬組成物が実施形態1〜101の記載に従って作られる実施形態102〜164に記載の方法。
166.激痛状態の個体を治療する方法であって、実施形態1〜101に記載の医薬組成物を、それを必要とする個体に投与する工程を含み、投与が激痛状態に関連する症状の低減をもたらし、それによってその個体を治療する方法。
167.慢性炎症の治療用の薬物の製造における実施形態1〜101に記載の医薬組成物の使用。
168.激痛状態の治療のための実施形態1〜101に記載の医薬組成物の使用。
169.激痛状態が急性疼痛である実施形態166に記載の方法又は実施形態167もしくは168に記載の使用。
170.激痛状態が侵害受容性疼痛である実施形態166に記載の方法又は実施形態167もしくは168に記載の使用。
171.侵害受容性疼痛が、内臓痛、深部体性痛、表在性体性痛又はこれらの任意の組み合わせである実施形態170に記載の方法又は使用。
172.激痛状態が病態痛であるである実施形態166に記載の方法又は実施形態167もしくは168に記載の使用。
173.病態痛が、神経障害性疼痛、機能障害性疼痛、又はこれらの任意の組み合わせである実施形態172に記載の方法又は使用。
174.神経障害性疼痛が、中枢性神経障害性疼痛、末梢神経障害性疼痛、求心路遮断性疼痛、又はこれらの任意の組み合わせである実施形態173に記載の方法又は使用。
175.末梢神経障害性疼痛が、単神経障害、多発性単神経障害、多発性神経障害、又は自律神経障害である実施形態174に記載の方法又は使用。
176.多発性神経障害が、遠位軸索障害、髄鞘障害、又は神経細胞障害である実施形態175に記載の方法又は使用。
177.末梢神経障害性疼痛が、神経痛、複合性局所疼痛症候群である実施形態174に記載の方法又は使用。
178.激痛状態が関連痛である実施形態166に記載の方法又は実施形態167もしくは168に記載の使用。
179.激痛状態が頭痛である実施形態166に記載の方法又は実施形態167もしくは168に記載の使用。
180.頭痛が、筋性/筋原性頭痛、血管性頭痛、牽引性頭痛、炎症性頭痛、慢性副鼻腔炎頭痛、ホルモン頭痛、反跳性頭痛、器質性頭痛、又はてんかん頭痛、である実施形態179に記載の方法又は使用。
181.激痛状態が片頭痛である実施形態166に記載の方法又は実施形態167もしくは168に記載の使用。
182.個体への投与時に、実施形態1〜101に記載の治療化合物を含む医薬組成物が、薬学的に許容可能なアジュバントを含まないこと以外は同一である医薬組成物中に含まれる治療化合物の体内分布とは異なる治療化合物の体内分布を生じる実施形態166もしくは169〜181に記載の方法又は実施形態167〜181に記載の使用。
183.個体への投与時に、マクロファージに送達される実施形態1〜101に記載の医薬組成物の治療化合物の量が、投与される医薬組成物中に含まれる治療化合物の合計量の少なくとも5%である実施形態166もしくは169〜182に記載の方法又は実施形態167〜182に記載の使用。
184.個体への投与時に、実施形態1〜101に記載の医薬組成物が、薬学的に許容可能なアジュバントを含まない実施形態1〜101に記載の医薬組成物に比べて、腸刺激を少なくとも5%低減させる実施形態166もしくは169〜183に記載の方法又は実施形態167〜183に記載の使用。
185.個体への投与時に、実施形態1〜101に記載の医薬組成物の治療化合物が、薬学的に許容可能なアジュバントを含まない実施形態1〜101に記載の医薬組成物に比べて、胃刺激を少なくとも5%低減させる実施形態166もしくは169〜184に記載の方法又は実施形態167〜184に記載の使用。
【0210】
実施例
次の非限定的実施例は、現時点考えられる代表的実施形態のより完全な理解を容易にするために、例証の目的のみで提供される。これらの実施例は、本明細書で記載の、前記化合物類、アルコール類、脂質、医薬組成物、医薬組成物の調製方法、又は激痛状態の治療方法もしくは治療ための使用に関するものを含むいずれの実施形態をも制限するものと解釈されるべきではない。
【0211】
実施例1
医薬組成物液体製剤
本実施例は、本明細書で開示する医薬組成物の液体製剤としての作製方法を示す。
【0212】
最初に、治療化合物を1,200mg/mLの濃度で直接アジュバントに溶解するために、2,400mgのイブプロフェンを2.0mLの菜種油に直接接触させた。しかし、イブプロフェンが不溶のまま残され、事実上測定できるほどは溶解しなかった。混合物を20秒間ボルテックスにより混合した場合も、不溶のまま残されたので、20℃又は37℃で接触、及び/又は20℃又は37℃で24時間のインキュベーションを行った。イブプロフェンが3.6のlogP値を有し、このような高いlogP値が、油などのアジュバント中へ化合物が容易に溶解する指標であることを考えると、イブプロフェンの菜種油中への不溶性は驚くべきことであった。
【0213】
イブプロフェンの高いlogP値にもかかわらず、イブプロフェンを直接油中に溶解できなかったので、次に、治療薬を溶媒に溶解して最初に化合物を含む溶液を生成することを試みた。第1ステップとして、治療化合物が存在しない条件下で油などのアジュバント中への溶媒の混和性に関する実験を行った。これらの実験では、0.5mLのエタノールを10種の異なる容量の菜種油と接触させた(表1)。各混合物を22℃と37℃で試験した。この場合、一緒に混合する前に、最初にエタノールと油を水浴中で加熱した。20秒間ボルテックス混合による混合を試み、直後、又は24時間後の目視評価の前に容器を静置した。各混合物を評価してエタノールと菜種油が不混和層を形成するか、又は均一混合物を形成するかを判定した。結果を表1にまとめている。1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、及び1:6の溶媒:アジュバント比では、インキュベーションの直後又は24時間後に22℃又は37℃で不混和層を形成し、エタノールと油はこれらの比ではうまく混合されないことを示した。しかし、1:7を越える溶媒:アジュバント比では、全ての試験条件下で均一混合物が形成された。
【表1】
【0214】
均質混合物の形成に適したアルコールと脂質の比が決定されると、次に、アジュバントと接触させる前に、最初に治療化合物を溶媒と接触させるかどうかを決定した。これらの実験を行うために、1,000mg又は1,200mgのイブプロフェンを0.5mLのエタノール中に溶解した。次に、得られたアルコール溶液を2種の異なる溶媒:アジュバント比(1:2と1:9)で菜種油と接触させた。各混合物を20℃と37℃で試験した。この場合、一緒に混合する前に、最初にエタノール溶液と油を水浴中で加熱した。20秒間ボルテックス混合による混合を試み、直後、又は24時間後の目視評価の前に容器を静置した。各混合物を評価してエタノール溶液と菜種油が不混和層を形成するか、又は均一混合物を形成するかを判定した。結果を表2にまとめている。治療化合物が存在しない状況と対照的に、イブプロフェンがエタノール中に存在する場合、1:2を越える溶媒:アジュバント比の場合の全ての試験条件下でエタノールと油が均一混合物を形成するのを可能とした。理論に束縛されるのを望むものではないが、治療化合物が、アジュバントと溶媒の相互作用の仕方に何らかの影響を与えることができ、その結果として、治療化合物が存在しない場合には起こらない方式で均一混合物が形成されるように見えるという理由で、この観察は極めて意外なものであった。加えて、結果は、治療化合物を臨床的に有用な濃度で処方することができることを示す。
【表2】
【0215】
実施例2
医薬組成物液体製剤
本実施例は、本明細書で開示する医薬組成物の液体製剤としての作製方法を示す。
【0216】
ゲムフィブロジルを使って本明細書で開示の医薬組成物を調製するために、次の配合物を調査した。これらの実験では、600mgのゲムフィブロジルを種々の容量の溶媒としてのエタノールと接触させ、37℃に暖め、その後、得られた溶液を種々の容量のアジュバントとしての亜麻仁油と接触させ、37℃に暖めた(表3)。各配合物を評価し、エタノールと亜麻仁油が不混和層、又は透明な均一混合物を形成するか否かを判定し、さらに、ゲムフィブロジルが溶液から結晶化するか否かを判定した。結果を表3にまとめている。
【0217】
上記実施例1と同様に、単独の油中にゲムフィブロジルが不溶のまま残され、事実上測定できるほどは溶解しなかった。0.2mLのエタノールを含む配合物は、ゲムフィブロジルを完全に溶解することはできなかった。さらに、0.3mLのエタノールを含む配合物はゲムフィブロジルを溶解することができたが、3時間以内に治療化合物が溶液から晶出し始め、48時間以内に完全に結晶化した。試験した他の全ての配合物はゲムフィブロジルを溶解でき、本明細書で開示の医薬組成物を形成できた。しかし、3週間後もゲムフィブロジルが完全に溶解したままであったという観点からは、0.5mLのエタノールを含む配合物のみが安定な医薬組成物であるように思われた。
【表3】
【0218】
実施例3
医薬組成物液体製剤
本実施例は、本明細書で開示する医薬組成物の液体製剤としての作製方法を示す。
【0219】
イブプロフェンを使って本明細書で開示の医薬組成物を調製するために、次の方法を実施した。約4gのイブプロフェンを3.6mLの溶媒としての酢酸エチルと接触させて、その後、得られた溶液を76.4mLのアジュバントとしての菜種油と接触させた。得られた医薬組成物は、約1:21の溶媒:アジュバント比であった。次に、この医薬組成物を丸底フラスコ中に入れ、低圧下でロータリーエバポレーターに供した。温度を低温に保持し、一定重量になるまで継続して蒸発させた。失われた全量は、合計重量の3.65%であった。得られた液体はもはや特徴的酢酸エチル臭/味を保持しておらず、医薬組成物から酢酸エチルのほとんどが除去されたことを示した。
【0220】
イブプロフェンを使って本明細書で開示の医薬組成物を調製するために、次の方法を実施した。約2gのイブプロフェンを1.2mLの溶媒としてのジエチレングリコールモノエチルエーテル(2−(2−エトキシエトキシ)エタノール)、アジュバントとしての2.2mLのグリセリルモノリノレアート(MAISINE(登録商標)35−1(Gattefosse))、及び2.2mLの菜種油と接触させて、その後、得られた混合物を0.46mLのイソプロパノールと接触させた。混合物を容器に加えて約40℃〜約50℃に加熱し、混合物中の全成分が溶解するまで撹拌後、30℃に冷却した。得られた医薬組成物は、約1:3.67の溶媒:アジュバント比であった。次に、この医薬組成物を分取し、それぞれが約200mgのイブプロフェンを含む10個の液体カプセルを作製した。
【0221】
実施例4
医薬組成物固形製剤
本実施例は、本明細書で開示する医薬組成物の固形製剤としての作製方法を示す。
【0222】
脂肪酸は室温で液体の場合も固体の場合もあるので、固形配合物の製造における各脂肪酸の可能性を評価するために種々の脂肪酸の調査を行った。これを理解することにより、各脂肪酸の相対比率を調節して、多様な固形配合物の開発が可能になるであろう。最初の実験として、リノレン酸、リノール酸、パルミチン酸、及びステアリン酸を評価し、これらの脂肪酸の1つを使用して、22℃(室温条件をシミュレート)で固形又は半固形であるが、37℃(摂取後の身体内部温度条件をシミュレート)では融解するように処方可能な本明細書で開示の医薬組成物を調製できるか否かを判断した。
【0223】
4種の異なる試験用配合物を調製し、22℃で固形投与配合物を形成し、37℃で懸濁液を形成することなく均一溶液に融解する能力に関して評価した(表4)。200mgのイブプロフェンを400mgのメントールに溶解し、その後、得られた溶液を200mgのステアリン酸(Tm:約67〜72℃)と混合し、60℃で30分間加熱して均一溶液を形成することにより、配合物1を調製した。配合物1は、22℃に冷却時に直ちに固化した。配合物1は、37℃で一晩インキュベート後も固体のままであった。200mgのイブプロフェンを400mgのメントールに溶解し、その後、得られた溶液を200mgのパルミチン酸(Tm:約61〜62℃)と混合し、60℃で30分間加熱して均一溶液を形成することにより、配合物2を調製した。配合物2は、22℃に冷却後、約1時間で固化した。37℃で一晩のインキュベーションにより、配合物2は完全に融解し、透明な均質の液体になった。しかし、配合物2は、22℃に冷却後、約1時間で再度固化した。200mgのイブプロフェンを400mgのメントールに溶解し、その後、得られた溶液を200mgのリノール酸(Tm:約−5℃)と混合し、37℃で2時間加熱して均一溶液を形成することにより、配合物3を調製した。配合物3は、22℃で72時間冷却後でも液体のままであった。200mgのイブプロフェンを400mgのメントールに溶解し、その後、得られた溶液を200mgのリノレン酸(Tm:約−11℃)と混合し、37℃で2時間加熱して均一溶液を形成することにより、配合物4を調製した。配合物4は、22℃で72時間冷却後でも液体のままであった。
【表4】
【0224】
これらのデータに基づいて、本明細書で開示の医薬組成物の固形剤形を作製できる。例えば、医薬組成物は、22℃で固形又は半固形であるが、37℃で適切な透明溶液(懸濁液ではなく)に融解するように処方される(表5)。
【表5】
【0225】
イブプロフェンを使って本明細書で開示の固形医薬組成物を調製するために、次の方法を実施した。約15gのイブプロフェンを、溶媒としての約9.0mLのジエチレングリコールモノエチルエーテル(2−(2−エトキシエトキシ)エタノール)、アジュバントとしての約33gの飽和C10〜C18トリグリセリドの混合物を含む37℃〜41℃の融点を有する蝋状固形物(GELUCIRE(登録商標)39/01(Gattefosse))、及び約3.6mLのイソプロパノールに接触させた。混合物を容器に加え、約40℃〜約50℃に加熱し、混合物の全成分が溶解するまで撹拌し、約30℃に冷却した後、分取して型中に注ぎ込み、室温に冷却した。得られた医薬組成物は、約1:3.67の溶媒:アジュバント比であった。この医薬組成物から、それぞれが約200mgのイブプロフェンを含む75個の固形錠剤を作製した。
【0226】
イブプロフェンを使って本明細書で開示の固形医薬組成物を調製するために、次の方法を実施した。約20gのイブプロフェンを、溶媒としての約12.0mLのジエチレングリコールモノエチルエーテル(2−(2−エトキシエトキシ)エタノール)、アジュバントとしての約16gの飽和C10〜C18トリグリセリドの混合物を含む41℃〜45℃の融点を有する蝋状固形物(GELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse))、及び16gのグリセリルモノリノレアート(MAISINE(登録商標)35−1(Gattefosse))、ならびに、約3.6mLのイソプロパノールに接触させた。混合物を容器に加え、約40℃〜約50℃に加熱し、混合物の全成分が溶解するまで撹拌し、約30℃に冷却した後、分取して型中に注ぎ込み、室温に冷却した。得られた医薬組成物は、約1:2.67の溶媒:アジュバント比であった。この医薬組成物から、それぞれが約200mgのイブプロフェンを含む100個の固形錠剤を作製した。
【0227】
イブプロフェンを使って本明細書で開示の固形医薬組成物を調製するために、次の方法を実施した。約80gのイブプロフェン、約152gの飽和C10〜C18トリグリセリドの混合物を含む41℃〜45℃の融点を有する蝋状固形物(GELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse)、)、及び約72mLのグリセリルモノリノレアート(MAISINE(登録商標)35−1(Gattefosse))、ならびに、約32mLのPEG400を容器に加え、約50℃〜約60℃に加熱して、混合物の全成分が溶解するまで撹拌した。加熱混合物を約40℃に冷却した後、分取して型中に注ぎ込み、室温まで冷却した。この医薬組成物から、それぞれが約200mgのイブプロフェンを含む400個の固形錠剤を作製した。
【0228】
イブプロフェンを使って本明細書で開示の固形医薬組成物を調製するために、次の方法を実施した。約1.1gのイブプロフェンナトリウム塩、約1.9gの飽和C10〜C18トリグリセリドの混合物を含む41℃〜45℃の融点を有する蝋状固形物(GELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse))、及び約0.9mLのグリセリルモノリノレアート(MAISINE(登録商標)35−1(Gattefosse))、約0.4mLのPEG400、ならびに、約0.3mLのプロピレングリコールを容器に加え、約50℃〜約60℃に加熱して、混合物の全成分が溶解するまで撹拌した。加熱混合物を約40℃に冷却した後、分取して型中に注ぎ込み、室温まで冷却した。この医薬組成物から、それぞれが約200mgのイブプロフェンを含む5個の固形錠剤を作製した。
【0229】
イブプロフェンを使って本明細書で開示の固形医薬組成物を調製するために、次の方法を実施した。約5gのイブプロフェンナ遊離酸、約5gのイブプロフェンナトリウム塩、約3gの飽和C10〜C18トリグリセリドの混合物を含む41℃〜45℃の融点を有する蝋状固形物(GELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse))、及び約8mLのグリセリルモノリノレアート(MAISINE(登録商標)35−1(Gattefosse))、約3mLのPEG400、ならびに、約1mLのプロピレングリコールを容器に加え、約50℃〜約60℃に加熱して、混合物の全成分が溶解するまで撹拌した。加熱混合物を約40℃に冷却した後、分取して型中に注ぎ込み、室温まで冷却した。この医薬組成物から、それぞれが約200mgのイブプロフェンを含む50個の固形錠剤を作製した。
【0230】
実施例5
医薬組成物の半固形製剤
本実施例は、本明細書で開示する医薬組成物の局所投与に有用な半固形製剤としての作製方法を示す。
【0231】
イブプロフェンを使って本明細書で開示の半固形医薬組成物を調製するために、次の方法を実施した。約1gのイブプロフェン遊離酸、約0.2gのイブプロフェンナトリウム塩、約0.6gの飽和C10〜C18トリグリセリドの混合物を含む41℃〜45℃の融点を有する蝋状固形物(GELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse))、及び約1.6mLのグリセリルモノリノレアート(MAISINE(登録商標)35−1(Gattefosse))、約0.6mLのPEG400、ならびに、約0.15mLのプロピレングリコールを容器に加え、約50℃〜約60℃に加熱して、混合物の全成分が溶解するまで撹拌した。加熱混合物を室温に冷却し、適切な容器中に分取した。この医薬組成物から、約400mg/mLのイブプロフェン濃度の半固形軟膏を作製した。
【0232】
イブプロフェンを使って本明細書で開示の半固形医薬組成物を調製するために、次の方法を実施した。約5gのイブプロフェンナ遊離酸、約5gのイブプロフェンナトリウム塩、約3gの飽和C10〜C18トリグリセリドの混合物を含む41℃〜45℃の融点を有する蝋状固形物(GELUCIRE(登録商標)43/01(Gattefosse))、及び約8mLのグリセリルモノリノレアート(MAISINE(登録商標)35−1(Gattefosse))、約3mLのPEG400、ならびに、約1mLのプロピレングリコールを容器に加え、約50℃〜約60℃に加熱して、混合物の全成分が溶解するまで撹拌した。加熱混合物を室温に冷却し、適切な容器中に分取した。この医薬組成物から、約650mg/mLのイブプロフェン濃度の半固形軟膏を作製した。
【0233】
実施例6
腸びらん動物モデル
本明細書で開示の医薬組成物が胃刺激を低減するか否かを判断するために、腸びらんマウスモデルを使って、いくつかの実験を行った。
【0234】
スプラーグドーリーラットをそれぞれ5匹の動物を含む7つの実験群に分割した。一晩絶食後、動物を7種の異なる処理の内の1つで調査した。A群は対照とし、各マウスは1%メチルセルロース/0.5%ポリソルベート80ビヒクルのみの経口投与を受けた。B群は対照とし、各マウスは、溶媒/アジュバントビヒクルのみ(10%のエタノールと90%の亜麻仁油の経管栄養)を経口投与された。C群は対照とし、各マウスは150mg/kgのアスピリンの経口投与を受けた。D群は対照とし、各マウスは1%メチルセルロース/0.5%ポリソルベート80中に懸濁させた100mg/kgのイブプロフェンの経口投与を受けた。E群は、実験群で、各マウスは、100mg/kgのイブプロフェン、10%のエタノール及び90%の亜麻仁油を含む本明細書で開示の医薬組成物(BC1054−100)の投与を受けた。F群は対照とし、各マウスは1%メチルセルロース/0.5%ポリソルベート80中に懸濁させた100mg/kgのイブプロフェンの経口投与を受けた。G群は、実験群で、各マウスは、200mg/kgのイブプロフェン、10%のエタノール及び90%の亜麻仁油を含む本明細書で開示の医薬組成物(BC1054−200)の投与を受けた。処理の4時間後動物を屠殺し、胃の出血の程度と粘膜のびらん性病変の重症度を調べた。胃刺激を以下のようにスコア化した:0、病変なし;1、充血;2、1つ又は2つの軽度の病変;3、3つ以上の軽度の病変又は重度の病変;及び4、非常に重度の病変。C群に比べて50%(アスピリン治療対照群=100%に設定)以上のスコアは、胃刺激に対する陽性スコアと見なした。
【0235】
結果を表6に示す。D群(100mg/kgのイブプロフェン処理対照群)とF群(200mg/kgのイブプロフェン処理対照群)は、C群(アスピリン処理対照群)で誘導される場合のそれぞれ75%と95%の重症度の胃病変を形成した。しかし、E群(BC1054−100処理実験群)とG群(BC1054−200処理実験群)は、C群(アスピリン処理対照群)に付随する胃病変のそれぞれ20%と40%の重症度の胃病変を形成した。これらの結果は、本明細書で開示の医薬組成物が、治療化合物が粘膜の病変を生じさせ、さらに、胃刺激を引き起こす程度を低減することを示す。
【表6】
【0236】
実施例7
激痛治療のケーススタディ
歯の詰め物の崩壊後の神経の露出に起因する重度歯痛を経験した51歳の男性。疼痛は激しすぎてイブプロフェン又はジクロフェナクで抑えることができないと考えられたが、患者は、自分に有用なコデイン(30mg)とパラセタモール(500mg)の併用を嫌った。患者は、治療用セメント充填を受けるために歯科医に行く前に、7日コースの、20mg/kgのイブプロフェン、10%のエタノール、及び90%の菜種油(800mg1日2回)を含む本明細書で開示の医薬組成物(BC1054)を服用し、これにより効果的に疼痛を抑えた。疼痛の軽減は各用量の服用後30分以内に起こり、再服用の前の約12時間続いた。疼痛の制圧は極めて良好だったので患者はもはや冒された歯の疼痛を意識することはなかった。
【0237】
50歳の男性が、スポーツ外傷後、足関節のメゾンヌーブ骨折と診断された。患者は最初、激痛を抑えるための10mgのジクロフェナクの1日3回の8ヶ月間の服用に加えて、500mgのパラセタモールと30mgのコデインを投与された。受け入れがたい副作用を受けた後、患者は、アヘン剤のパラセタモールとジクロフェナク療法を中止し、本明細書で開示の20mg/kgのイブプロフェン、10%のエタノール、及び90%の菜種油(600mg1日2回)を含む医薬組成物(BC1054)の5日コースを開始した。患者は、2日後に疼痛の大きな改善があったこと、3日後にその疼痛が完全に制圧されたことを明らかにした。2ヶ月後の経過観察でも患者は激痛がない状態で、その後、活発なスポーツライフを再開している。
【0238】
実施例8
激痛状態の治療
前日に重い箱を持ち上げた後で、62歳の女性が激しい腰痛を訴える。医師は腰痛が急性疼痛によるものであると判断する。女性は、本明細書で開示のような1日2回服用のイブプロフェンを含む医薬組成物の経口投与により治療される。あるいは、女性は、本明細書で開示のような1日3回服用のアスピリンを含む医薬組成物の経口投与により治療される。あるいは、女性は、本明細書で開示のような1日2回服用のナプロキセンを含む医薬組成物の経口投与により治療される。女性の状態はモニターされ、治療の約3日後、女性は痛みが減少したことを知らせる。1週後と3週後の検査時に、女性は、痛みの減少が継続していることを知らせる。この急性疼痛症状の減少は、本明細書で開示の医薬組成物を使った治療の成功を示す。類似の方法で、例えば、サリチル酸誘導体NSAID、p−アミノフェノール誘導体NSAID、プロピオン酸誘導体NSAID、酢酸誘導体NSAID、エノール酸誘導体NSAID、フェナム酸誘導体NSAID、非選択的シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ1(COX1)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ2(COX2)阻害剤、又はフィブラートの内のいずれかを医薬組成物に処方して、上述の患者に投与される。
【0239】
22歳の男性が、1か月前ジムでウエイトを持ち上げた際に発生した右肩の激痛を訴える。医師は激痛が亜急性疼痛であると判断する。男性は、本明細書で開示のような1日2回服用のイブプロフェンを含む医薬組成物の経口投与により治療される。あるいは、男性は、本明細書で開示のような1日3回服用のアスピリンを含む医薬組成物の経口投与により治療される。あるいは、男性は、本明細書で開示のような1日2回服用のナプロキセンを含む医薬組成物の経口投与により治療される。男性の状態はモニターされ、治療の約3日後、男性は肩の痛みなしに腕を動かすことができるように改善されていることを知らせる。1週後及び1か月後と3ヶ月後の検査時に、男性は、肩の可動性が改善され、痛みがない状態が継続していることを知らせる。この亜急性疼痛症状の減少は、本明細書で開示の医薬組成物を使った治療の成功を示す。類似の方法で、例えば、サリチル酸誘導体NSAID、p−アミノフェノール誘導体NSAID、プロピオン酸誘導体NSAID、酢酸誘導体NSAID、エノール酸誘導体NSAID、フェナム酸誘導体NSAID、非選択的シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ1(COX1)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ2(COX2)阻害剤、又はフィブラートの内のいずれかを医薬組成物に処方して、上述の患者に投与される。
【0240】
67歳の男性が、2ヶ月前の落下による足関節の激痛を訴える。医師は疼痛が慢性疼痛であると判断する。男性は、本明細書で開示のような1日2回服用のイブプロフェンを含む医薬組成物の経口投与により治療される。あるいは、男性は、本明細書で開示のような1日3回服用のアスピリンを含む医薬組成物の経口投与により治療される。あるいは、男性は、本明細書で開示のような1日2回服用のナプロキセンを含む医薬組成物の経口投与により治療される。男性の状態はモニターされ、治療の約3日後、男性は足関節の痛みが減少し、足関節の可動性が改善されていることを知らせる。1か月後と3ヶ月後の検査時に、男性は、足関節の可動性が改善され、痛みがない状態が継続していることを知らせる。この慢性疼痛症状の低減は、本明細書で開示の医薬組成物を使った治療の成功を示す。類似の方法で、例えば、サリチル酸誘導体NSAID、p−アミノフェノール誘導体NSAID、プロピオン酸誘導体NSAID、酢酸誘導体NSAID、エノール酸誘導体NSAID、フェナム酸誘導体NSAID、非選択的シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ1(COX1)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ2(COX2)阻害剤、又はフィブラートの内のいずれかを医薬組成物に処方して、上述の患者に投与される。
【0241】
加熱オーブンで前腕に火傷後に、73歳の女性が激痛を訴える。医師は、疼痛が表在体性侵害受容性疼痛によると判断する。女性は、本明細書で開示のような1日2回服用のイブプロフェンを含む医薬組成物の経口投与により治療される。あるいは、女性は、本明細書で開示のような1日3回服用のアスピリンを含む医薬組成物の経口投与により治療される。あるいは、女性は、本明細書で開示のようなナプロキセンを含む医薬組成物の1日2回の経口投与により治療される。女性の状態はモニターされ、治療の約3日後、女性はもはや前腕の痛みを感じないことを知らせる。1週後と3週後の検査時に、女性は、その時点でも痛みを感じないことを知らせる。この表在体性侵害受容性疼痛の症状の低減は、本明細書で開示の医薬組成物を使った治療の成功を示す。本明細書で開示の医薬組成物の類似のタイプの経口投与は、限定されないが、過度な筋肉の緊張、反復運動障害、筋障害、筋肉痛、感染症、及び薬剤誘発性疼痛を含む他のいずれかの深部の体性侵害受容性疼痛に付随する激痛に悩まされている患者の治療に使用される。類似の方法で、例えば、サリチル酸誘導体NSAID、p−アミノフェノール誘導体NSAID、プロピオン酸誘導体NSAID、酢酸誘導体NSAID、エノール酸誘導体NSAID、フェナム酸誘導体NSAID、非選択的シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ1(COX1)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ2(COX2)阻害剤、又はフィブラートの内のいずれかを医薬組成物に処方して、上述の患者に投与される。
【0242】
37歳の男性が、スキー中の下腿骨折による激痛を訴える。医師は、疼痛が深部体性侵害受容性疼痛によるものと判断する。男性は、本明細書で開示のような1日2回服用のイブプロフェンを含む医薬組成物の経口投与により治療される。あるいは、男性は、本明細書で開示のような1日3回服用のアスピリンを含む医薬組成物の経口投与により治療される。あるいは、男性は、本明細書で開示のような1日2回服用のナプロキセンを含む医薬組成物の経口投与により治療される。男性の状態はモニターされ、治療の約3日後、男性は脚の痛みが減少していることを知らせる。1か月後と2ヶ月後の検査時に、男性は、痛みの減少が継続していることを知らせる。この深部の体性侵害受容性疼痛症状の低減は、本明細書で開示の医薬組成物を使った治療の成功を示す。本明細書で開示の医薬組成物の類似のタイプの経口投与は、限定されないが、過度な筋肉の緊張、反復運動障害、筋障害、筋肉痛、感染症、及び薬剤誘発性疼痛を含む他のいずれかの深部の体性侵害受容性疼痛に付随する激痛に悩まされている患者の治療に使用される。類似の方法で、例えば、サリチル酸誘導体NSAID、p−アミノフェノール誘導体NSAID、プロピオン酸誘導体NSAID、酢酸誘導体NSAID、エノール酸誘導体NSAID、フェナム酸誘導体NSAID、非選択的シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ1(COX1)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ2(COX2)阻害剤、又はフィブラートの内のいずれかを医薬組成物に処方して、上述の患者に投与される。
【0243】
33歳の女性が慢性腹痛を訴える。医師は、疼痛が深部の内臓侵害受容性疼痛によるものと判断する。女性は、本明細書で開示のような1日2回服用のイブプロフェンを含む医薬組成物の経口投与により治療される。あるいは、女性は、本明細書で開示のような1日3回服用のアスピリンを含む医薬組成物の経口投与により治療される。あるいは、女性は、本明細書で開示のようなナプロキセンを含む医薬組成物の1日2回の経口投与により治療される。女性の状態はモニターされ、治療の約3日後、女性は腹痛が減少していることを知らせる。1か月後と3ヶ月後の検査時に、女性は、腹痛の減少状態が継続していることを知らせる。この内臓侵害受容性疼痛症状の低減は、本明細書で開示の医薬組成物を使った治療の成功を示す。本明細書で開示の医薬組成物の類似のタイプの経口投与は、限定されないが、機能性内臓痛、慢性胃腸炎、自己免疫痛、器質性内臓痛、及び治療誘導内臓痛を含む他のいずれかの深部の内臓侵害受容性疼痛に付随する激痛に悩まされている患者の治療に使用される。類似の方法で、例えば、サリチル酸誘導体NSAID、p−アミノフェノール誘導体NSAID、プロピオン酸誘導体NSAID、酢酸誘導体NSAID、エノール酸誘導体NSAID、フェナム酸誘導体NSAID、非選択的シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ1(COX1)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ2(COX2)阻害剤、又はフィブラートの内のいずれかを医薬組成物に処方して、上述の患者に投与される。
【0244】
66歳の男性が、脳卒中罹患後に激痛を訴える。医師は、疼痛が中枢性神経障害性疼痛によるものと判断する。男性は、本明細書で開示のような1日2回服用のイブプロフェンを含む医薬組成物の経口投与により治療される。あるいは、男性は、本明細書で開示のような1日3回服用のアスピリンを含む医薬組成物の経口投与により治療される。あるいは、男性は、本明細書で開示のような1日2回服用のナプロキセンを含む医薬組成物の経口投与により治療される。男性の状態はモニターされ、治療の約3日後、男性は腹痛が減少していることを知らせる。1か月後と3ヶ月後の検査時に、男性は、痛みの減少が継続していることを知らせる。この中枢性神経障害性疼痛の症状の低減は、本明細書で開示の医薬組成物を使った治療の成功を示す。本明細書で開示の医薬組成物の類似のタイプの経口投与は、限定されないが、脳静脈血栓症、脳部を圧迫している大脳腫瘍又は膿瘍、外傷性脳損傷又は脊髄損傷、脳又は脊髄手術後の合併症、多発性硬化症、及びパーキンソン病、虚血性病変、脊髄空洞症、放射線脊髄症、ならびにHIV脊髄症、を含む他のいずれかの中枢性神経障害性疼痛又は機能障害性疼痛に付随する激痛に悩まされている患者の治療に使用される。類似の方法で、例えば、サリチル酸誘導体NSAID、p−アミノフェノール誘導体NSAID、プロピオン酸誘導体NSAID、酢酸誘導体NSAID、エノール酸誘導体NSAID、フェナム酸誘導体NSAID、非選択的シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ1(COX1)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ2(COX2)阻害剤、又はフィブラートの内のいずれかを医薬組成物に処方して、上述の患者に投与される。
【0245】
糖尿病の58歳の男性が激痛を訴える。医師は、疼痛が糖尿病性神経障害由来の末梢神経障害性疼痛によるものと判断する。男性は、本明細書で開示のような1日2回服用のイブプロフェンを含む医薬組成物の経口投与により治療される。あるいは、男性は、本明細書で開示のような1日3回服用のアスピリンを含む医薬組成物の経口投与により治療される。あるいは、男性は、本明細書で開示のような1日2回服用のナプロキセンを含む医薬組成物の経口投与により治療される。男性の状態はモニターされ、治療の約3日後、男性は痛みが減少していることを知らせる。1か月後と3ヶ月後の検査時に、男性は、その時点でも痛みが減少していることを知らせる。この末梢神経障害性疼痛の低減は、本明細書で開示の医薬組成物を使った治療の成功を示している。本明細書で開示の医薬組成物の類似のタイプの経口投与は、限定されないが、全身性疾患、代謝障害、栄養障害、薬誘発障害、外傷及び陥穿症候群、術後合併症、遠位軸索障害、HIV感覚性神経障害、脱髄性多発性根神経障害、帯状疱疹後神経痛、神経根引き抜き、三叉神経痛のような脳神経痛、神経障害性癌性疼痛;末梢神経、神経叢、及び神経根の圧迫;傍腫瘍性末梢性ニューロパチー、ガングリオノパチー(ganglionopathy);化学療法、照射、及び手術のようながん療法の合併症;ならびに、1型や2型のような複合性局所疼痛症候群、を含む他のいずれかの末梢神経障害性疼痛又は機能障害性疼痛に付随する激痛に悩まされている患者の治療に使用される。類似の方法で、例えば、サリチル酸誘導体NSAID、p−アミノフェノール誘導体NSAID、プロピオン酸誘導体NSAID、酢酸誘導体NSAID、エノール酸誘導体NSAID、フェナム酸誘導体NSAID、非選択的シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ1(COX1)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ2(COX2)阻害剤、又はフィブラートの内のいずれかを医薬組成物に処方して、上述の患者に投与される。
【0246】
59歳の女性が、前腕にほんのわずかな圧迫を加えられても起こる激痛を訴える。医師は、疼痛が異痛症によるものと判断する。女性は、本明細書で開示のような1日2回服用のイブプロフェンを含む医薬組成物の局所投与により治療される。あるいは、女性は、本明細書で開示のような1日3回服用のアスピリンを含む医薬組成物の局所投与により治療される。あるいは、女性は、本明細書で開示のようなナプロキセンを含む医薬組成物の1日2回の局所投与により治療される。女性の状態はモニターされ、治療の約3日後、女性は痛みが減少したことを知らせる。1か月後と3ヶ月後の検査時に、女性は、痛みの減少状態が継続していることを知らせる。この異痛症の症状の低減は、本明細書で開示の医薬組成物を使った治療の成功を示す。本明細書で開示の医薬組成物の類似のタイプの局所投与は、例えば、痛覚過敏又は痛覚過敏などの何らかの感覚不全に付随する激痛に悩まされている患者の治療に使用される。類似の方法で、例えば、サリチル酸誘導体NSAID、p−アミノフェノール誘導体NSAID、プロピオン酸誘導体NSAID、酢酸誘導体NSAID、エノール酸誘導体NSAID、フェナム酸誘導体NSAID、非選択的シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ1(COX1)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ2(COX2)阻害剤、又はフィブラートの内のいずれかを医薬組成物に処方して、上述の患者に投与される。
【0247】
47歳の女性が、かがみ込んで皿洗いをする際に左脚に激痛が走ったのを訴える。医師は、下肢痛が坐骨神経機能障害によるものと判断する。女性は、本明細書で開示のような1日2回服用のイブプロフェンを含む医薬組成物の経口投与により治療される。あるいは、女性は、本明細書で開示のような1日3回服用のアスピリンを含む医薬組成物の経口投与により治療される。あるいは、女性は、本明細書で開示のようなナプロキセンを含む医薬組成物の1日2回の経口投与により治療される。女性の状態はモニターされ、治療の約3日後、女性は痛みが減少していることを知らせる。1か月後と3ヶ月後の検査時に、女性は、脚の痛みの減少状態が継続していることを知らせる。この坐骨神経機能障害の症状の低減は、本明細書で開示の医薬組成物を使った治療の成功を示す。本明細書で開示の医薬組成物の類似のタイプの経口投与は、例えば、総腓骨神経機能障害、橈骨神経機能障害、尺骨神経機能障害、単脳神経障害VI、単脳神経障害VII、単脳神経障害III(圧迫型)、単脳神経障害III(糖尿病型)、腋窩神経機能障害、手根管症候群、大腿神経機能障害、脛骨神経機能障害、ベル麻痺、胸郭出口症候群、手根管症候群又はその他の局所的絞扼性神経障害、及び第6(外転)脳神経麻痺、などのいずれかの単神経障害に付随する激痛に悩まされている患者の治療に使用される。類似の方法で、例えば、サリチル酸誘導体NSAID、p−アミノフェノール誘導体NSAID、プロピオン酸誘導体NSAID、酢酸誘導体NSAID、エノール酸誘導体NSAID、フェナム酸誘導体NSAID、非選択的シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ1(COX1)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ2(COX2)阻害剤、又はフィブラートの内のいずれかを医薬組成物に処方して、上述の患者に投与される。
【0248】
22歳の男性が、森でハイキング後発症した右脚の激痛を訴える。医師は激痛がライム病によるものであると判断する。男性は、本明細書で開示のような1日2回服用のイブプロフェンを含む医薬組成物の静脈内注射投与により治療される。あるいは、男性は、本明細書で開示のような1日3回服用のアスピリンを含む医薬組成物の静脈内注射投与により治療される。あるいは、男性は、本明細書で開示のような1日2回服用のナプロキセンを含む医薬組成物の静脈内注射投与により治療される。男性の状態はモニターされ、治療の約3日後、男性は痛みが減少していることを知らせる。1週後及び1か月後と3ヶ月後の検査時に、男性は、痛みがない状態が継続していることを知らせる。このライム病症状の低減は、本明細書で開示の医薬組成物を使った治療の成功を示す。本明細書で開示の医薬組成物の類似のタイプの静脈内注射投与は、例えば、全身性疾患、代謝障害、栄養障害、薬誘発障害、外傷及び陥穿症候群、中毒、及び感染症、などの何らかの多発性単神経障害に付随する激痛に悩まされている患者の治療に使用される。類似の方法で、例えば、サリチル酸誘導体NSAID、p−アミノフェノール誘導体NSAID、プロピオン酸誘導体NSAID、酢酸誘導体NSAID、エノール酸誘導体NSAID、フェナム酸誘導体NSAID、非選択的シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ1(COX1)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ2(COX2)阻害剤、又はフィブラートの内のいずれかを医薬組成物に処方して、上述の患者に投与される。
【0249】
慢性アルコール依存症の67歳の男性が激痛を訴える。医師は疼痛が多発性神経障害であると判断する。男性は、本明細書で開示のような1日2回服用のイブプロフェンを含む医薬組成物の経口投与により治療される。あるいは、男性は、本明細書で開示のような1日3回服用のアスピリンを含む医薬組成物の経口投与により治療される。あるいは、男性は、本明細書で開示のような1日2回服用のナプロキセンを含む医薬組成物の経口投与により治療される。男性の状態はモニターされ、治療の約3日後、男性は痛みが減少していることを知らせる。1か月後と3ヶ月後の検査時に、男性は、痛みのない状態が継続していることを知らせる。この多発性神経障害性疼痛の症状の低減は、本明細書で開示の医薬組成物を使った治療の成功を示す。本明細書で開示の医薬組成物の類似のタイプの経口投与は、限定されないが、急性炎症性脱髄性多発神経炎、慢性炎症性脱髄性多発神経障害、及び遺伝的代謝障害、を含む他のいずれかの多発性神経障害に付随する激痛に悩まされている患者の治療に使用される。類似の方法で、例えば、サリチル酸誘導体NSAID、p−アミノフェノール誘導体NSAID、プロピオン酸誘導体NSAID、酢酸誘導体NSAID、エノール酸誘導体NSAID、フェナム酸誘導体NSAID、非選択的シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ1(COX1)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ2(COX2)阻害剤、又はフィブラートの内のいずれかを医薬組成物に処方して、上述の患者に投与される。
【0250】
73歳の女性が膀胱の激痛を訴える。医師は、疼痛が自律神経障害によるものと判断する。女性は、本明細書で開示のような1日2回服用のイブプロフェンを含む医薬組成物の点滴投与により治療される。あるいは、女性は、本明細書で開示のような1日3回服用のアスピリンを含む医薬組成物の経口投与により治療される。あるいは、女性は、本明細書で開示のようなナプロキセンを含む医薬組成物の1日2回の経口投与により治療される。女性の状態はモニターされ、治療の約3日後、女性はもはや膀胱の痛みを感じないことを知らせる。1ヶ月と3ヶ月後の検査時に、女性は、その時点でも痛みを感じないことを知らせる。この自律神経障害症状の低減は、本明細書で開示の医薬組成物を使った治療の成功を示す。本明細書で開示の医薬組成物の類似のタイプの経口投与は、他の何らかの内部器官に影響を与える他のいずれかの自律神経障害に付随する激痛に悩まされている患者の治療に使用される。類似の方法で、例えば、サリチル酸誘導体NSAID、p−アミノフェノール誘導体NSAID、プロピオン酸誘導体NSAID、酢酸誘導体NSAID、エノール酸誘導体NSAID、フェナム酸誘導体NSAID、非選択的シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ1(COX1)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ2(COX2)阻害剤、又はフィブラートの内のいずれかを医薬組成物に処方して、上述の患者に投与される。
【0251】
42歳の男性が、顔の左側を圧迫する時には必ず発生する激痛を訴える。医師は、疼痛が三叉神経痛によるものと判断する。男性は、本明細書で開示のような1日2回服用のイブプロフェンを含む医薬組成物の局所投与により治療される。あるいは、男性は、本明細書で開示のような1日3回服用のアスピリンを含む医薬組成物の局所投与により治療される。あるいは、男性は、本明細書で開示のような1日2回服用のナプロキセンを含む医薬組成物の局所投与により治療される。男性の状態はモニターされ、治療の約3日後、男性は顔の痛みが減少していることを知らせる。1か月後と2ヶ月後の検査時に、男性は、痛みの減少が継続していることを知らせる。この三叉神経痛の症状の低減は、本明細書で開示の医薬組成物を使った治療の成功を示す。本明細書で開示の医薬組成物の類似のタイプの局所投与は、限定されないが、舌咽神経痛、帯状疱疹後神経痛、手根管症候群、異常感覚性大腿痛、坐骨神経痛及び非定型顔面痛、を含む他のいずれかの神経痛に付随する激痛に悩まされている患者の治療に使用される。類似の方法で、例えば、サリチル酸誘導体NSAID、p−アミノフェノール誘導体NSAID、プロピオン酸誘導体NSAID、酢酸誘導体NSAID、エノール酸誘導体NSAID、フェナム酸誘導体NSAID、非選択的シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ1(COX1)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ2(COX2)阻害剤、又はフィブラートの内のいずれかを医薬組成物に処方して、上述の患者に投与される。
【0252】
54歳の女性が、心臓発作を患った後に左肩の疼痛を訴える。医師は、疼痛が心筋虚血由来の関連痛によるものと判断する。女性は、本明細書で開示のような1日2回服用のイブプロフェンを含む医薬組成物の経口投与により治療される。あるいは、女性は、本明細書で開示のような1日3回服用のアスピリンを含む医薬組成物の経口投与により治療される。あるいは、女性は、本明細書で開示のような1日2回服用のナプロキセンを含む医薬組成物の経口投与により治療される。女性の状態はモニターされ、治療の約3日後、女性は肩痛が減少していることを知らせる。1か月後と3ヶ月後の検査時に、女性は、肩痛が減少した状態が継続していることを知らせる。この関連痛症状の低減は、本明細書で開示の医薬組成物を使った治療の成功を示す。本明細書で開示の医薬組成物の類似のタイプの経口投与は、限定されないが、椎間板ヘルニアを含む他のいずれかの関連痛に付随する激痛に悩まされている患者の治療に使用される。類似の方法で、例えば、サリチル酸誘導体NSAID、p−アミノフェノール誘導体NSAID、プロピオン酸誘導体NSAID、酢酸誘導体NSAID、エノール酸誘導体NSAID、フェナム酸誘導体NSAID、非選択的シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ1(COX1)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ2(COX2)阻害剤、又はフィブラートの内のいずれかを医薬組成物に処方して、上述の患者に投与される。
【0253】
26歳の男性が、以前に切断した腕の部位の激痛を訴える。医師は、疼痛が幻痛によるものと判断する。男性は、本明細書で開示のような1日2回服用のイブプロフェンを含む医薬組成物の経口投与により治療される。あるいは、男性は、本明細書で開示のような1日3回服用のアスピリンを含む医薬組成物の経口投与により治療される。あるいは、男性は、本明細書で開示のような1日2回服用のナプロキセンを含む医薬組成物の経口投与により治療される。男性の状態はモニターされ、治療の約3日後、男性は痛みが減少していることを知らせる。1か月後と3ヶ月後の検査時に、男性は、痛みの減少が継続していることを知らせる。この幻痛症状の低減は、本明細書で開示の医薬組成物を使った治療の成功を示す。本明細書で開示の医薬組成物の類似のタイプの経口投与は、限定されないが、脳損傷、脊髄損傷、腰髄神経根障害、脳卒中後疼痛、対麻痺、腕神経叢裂離又は他のタイプの末梢神経病変、中枢神経系の病態、を含む他のいずれかの求心路遮断性疼痛症候群に付随する激痛に悩まされている患者の治療に使用される。類似の方法で、例えば、サリチル酸誘導体NSAID、p−アミノフェノール誘導体NSAID、プロピオン酸誘導体NSAID、酢酸誘導体NSAID、エノール酸誘導体NSAID、フェナム酸誘導体NSAID、非選択的シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ1(COX1)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ2(COX2)阻害剤、又はフィブラートの内のいずれかを医薬組成物に処方して、上述の患者に投与される。
【0254】
58歳の男性が頭痛を訴える。男性は、本明細書で開示のような1日2回服用のイブプロフェンを含む医薬組成物の経口投与により治療される。あるいは、男性は、本明細書で開示のような1日3回服用のアスピリンを含む医薬組成物の経口投与により治療される。あるいは、男性は、本明細書で開示のような1日2回服用のナプロキセンを含む医薬組成物の経口投与により治療される。男性の状態はモニターされ、治療の約3時間後、男性は頭痛が去っていることを知らせる。この頭痛の消失は、本明細書で開示の医薬組成物を使った治療の成功を示す。本明細書で開示の医薬組成物の類似のタイプの経口投与は、限定されないが、筋性/筋原性頭痛、血管性頭痛、牽引性頭痛、炎症性頭痛、慢性副鼻腔炎頭痛、ホルモン頭痛、反跳性頭痛、器質性頭痛、及びてんかん頭痛、を含む他のいずれかの頭痛に付随する激痛に悩まされている患者の治療に使用される。類似の方法で、例えば、サリチル酸誘導体NSAID、p−アミノフェノール誘導体NSAID、プロピオン酸誘導体NSAID、酢酸誘導体NSAID、エノール酸誘導体NSAID、フェナム酸誘導体NSAID、非選択的シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ1(COX1)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ2(COX2)阻害剤、又はフィブラートの内のいずれかを医薬組成物に処方して、上述の患者に投与される。
【0255】
59歳の女性が激しい頭痛を訴える。医師は、疼痛が片頭痛によるものと判断する。女性は、本明細書で開示のような1日2回服用のイブプロフェンを含む医薬組成物の経口投与により治療される。あるいは、女性は、本明細書で開示のような1日3回服用のアスピリンを含む医薬組成物の局所投与により治療される。あるいは、女性は、本明細書で開示のような1日2回服用のナプロキセンを含む医薬組成物の局所投与により治療される。女性の状態はモニターされ、治療の約3日後、女性は片頭痛の再発がないことを知らせる。1か月後と3ヶ月後の検査時に、女性は、片頭痛の頻度と強さの減少した状態が継続していることを知らせる。この片頭痛症状の低減は、本明細書で開示の医薬組成物を使った治療の成功を示す。本明細書で開示の医薬組成物の類似のタイプの経口投与は、限定されないが、前兆のない片頭痛(普通型片頭痛)、前兆のある片頭痛(古典的片頭痛)、月経性片頭痛、片頭痛等価症(無頭痛性頭痛)、複雑型片頭痛、腹部型片頭痛、及び混合性偏頭痛、を含む他のいずれかの片頭痛に付随する激痛に悩まされている患者の治療に使用される。類似の方法で、例えば、サリチル酸誘導体NSAID、p−アミノフェノール誘導体NSAID、プロピオン酸誘導体NSAID、酢酸誘導体NSAID、エノール酸誘導体NSAID、フェナム酸誘導体NSAID、非選択的シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ1(COX1)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ2(COX2)阻害剤、又はフィブラートの内のいずれかを医薬組成物に処方して、上述の患者に投与される。
【0256】
最後に、特定の実施形態に言及することにより本明細書の態様が強調されているが、これらの開示実施形態は、本明細書で開示の主題の原理を例示したものに過ぎないことは、当業者に容易に認識されるであろうことを理解されたい。従って、開示主題は、本明細書で記載の特定の方法、プロトコル、及び/又は試薬、などに決して限定されないことを理解されたい。従って、開示主題又は開示主題の代替構成物に対する種々の修正もしくは変更を、本明細書の趣旨から逸脱することなく本明細書の教示に従って行うことができる。最後に、本明細書に使用される用語は、特定の実施形態のみを説明する目的のためであり、本発明の範囲を制限することを意図していない。本発明の範囲は請求項によってのみ規定される。従って、本発明は、示し、説明された通りの形態に正確に限定されるものではない。
【0257】
本発明の特定の実施形態が本明細書に記載されており、これには、発明者らに既知の本発明を実施するための最良の形態が含まれる。むろん、これらの記載された実施形態に対する変更は、前出の記載を読めば当業者には明らかになるであろう。発明者は、当業者が必要に応じてこのような変更を採用することを予期しており、また、発明者らは、本明細書で具体的に記載された方法とは別の方法で本発明が実施されることは考慮している。従って、本発明は、適用法で認められている本明細書に添付の請求項に記載の主題の全ての変形物及び等価物を含む。さらに、本明細書で特に指示がない限り、又は別の理由で文脈と明確に矛楯することがない限り、その全ての可能な変形物としての上述の実施形態のいずれの組み合わせも本出願に包含される。
【0258】
本発明の代替実施形態、要素、又はステップのグループ分けは、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。各グループのメンバーは、本明細書で開示のその他のグループメンバーを参照しても、個別に、又はそれらと任意に組み合わせて請求されてもよい。グループの1つ又は複数のメンバーが、利便性、及び/又は特許性の理由で、グループに含められるか、又はグループから除去される場合があることが予測される。いずれかのこのような包含又は除去が発生する場合、本明細書は、修正され、従って、添付の請求項で使われる全てのマーカッシュグループの記載要件を満たすグループが含まれると見なされる。
【0259】
別段の指示がない限り、本明細書及び請求項で使われる特性、項目、量、パラメータ、性質、期間、などを表す全ての数字は、全ての場合において、「約」という語で修飾されているものとして理解されるべきである。本明細書で使用する場合、用語の「約」は、そのように限定された、特性、項目、量、パラメータ、性質、期間が、表示された特性、項目、量、パラメータ、性質、期間の値より、プラス又はマイナス10%高い又は低い範囲を包含することを意味する。従って、特に指示がない限り、明細書及び添付請求項に記載の数値パラメータは変わってもよい近似値である。控えめに言っても、また、請求項の範囲に対する均等論の適用を限定しようとするものでもないが、各々の数値表示は、少なくとも、報告された有効桁数を考慮に入れて、及び通常の丸め技術を適用することによって解釈しなければならない。本発明の広い範囲を記載する数値範囲及び値は近似値であるにもかかわらず、具体例な実施例に記載の数値範囲及び値は可能な限り正確に報告されている。しかしながら、いずれの数値範囲及び値も、標準偏差に起因して必然的に生じ、それらの各試験測定で認められる一定の固有誤差を含む。本明細書における値の範囲の記載は、その範囲内に入るそれぞれ別々の値を個別に参照する省略表現法として機能することを意図しているに過ぎない。本明細書で特に指示がない限り、数値範囲のそれぞれの個別値は、あたかもそれが個別に本明細書中に記述されているかのように明細書中に組み込まれる。
【0260】
本発明(特に、次の請求項の文脈において)を記載する文脈において使用される用語の「a」、「an」、「the」は、別段の指示がない限り、又は文脈と明らかに矛盾することがない限り、単数形及び複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。本明細書で特に指示がない限り、又は別の理由で文脈と明らかに矛盾することがない限り、全ての本明細書記載の方法は、任意の適切な順番で実行できる。本明細書で提供されるいずれかの及び全ての例、又は例示的表現(例えば、「such as」)の使用は、本出願をより明らかにする意図によるものに過ぎず、別に請求される本出願の範囲に制限を課すものではない。明細書中のどの用語も、本出願の実施に必須のいずれかの非請求要素を示すものと解釈されるべきではない。
【0261】
本明細書で開示の具体的実施形態は、〜から構成される(consisting of)、又は本質的に〜から構成される(consisting essentially of)という言い方を使って請求項中でさらに制限できる。請求項で使用する場合、出願時の使用であっても、又は補正時に追加するのであっても、移行語の「〜から構成される(consisting of)」は、請求項に指定されていない全ての要素、工程、又は成分を排除する。移行語の「本質的に〜から構成される(consisting essentially of)」は、請求項の範囲を、特定の材料又は工程、及び基本的で新しい特徴に実質的に影響しないものに限定する。そのように請求された本発明の実施形態は、本質的に又は明示的に記載され、本明細書で使用可能とされる。
【0262】
本明細書で言及され、特定された全ての特許、特許公報、及び他の出版物は、例えば、このような出版物に記載され、本発明との関係で使用可能な組成物及び方法を説明し、開示するために、個別に、明示的に参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。これらの出版物は、単に本出願の出願日に先行してそれらが開示されているという理由で提示されている。この点に関するいずれも、本発明者らが、先行発明又は何らかの他の理由でこのような開示に先行する権利がないことを容認すると解釈されるべきではない。これらの文書の内容に関する日付又は表現は、出願者らに入手可能な情報に基づいており、これらの文書の日付又は内容の正確さに関して何ら認めるものではない。