(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記上側アームが上側ヘッドギアストラップと解放可能に係合でき、前記上側アームは、前記上側ヘッドギアストラップの張力ベクトルをフランクフォート水平方向と略平行な方向に向けるとともに、患者の耳を横切って延在することを回避する請求項1に記載のフレームアセンブリ。
前記上側アーム接続ポイントが前記リング部材上の最上位置にあり、前記下側アーム接続ポイントが前記上側アーム接続ポイントから約80°〜約160°に位置付けられている請求項1に記載のフレームアセンブリ。
前記上側アームは、前記フレームアセンブリに対して解放可能に取り付けることができる、複数のサイズのクッションアセンブリを受け入れることができるように、互いに離間されている請求項1に記載のフレームアセンブリ。
前記磁石の封入により、前方に延在する隆起面が形成されており、前記隆起面は、ヘッドギアクリップの外周縁部に対する機械的な係合を可能にする請求項9に記載のフレームアセンブリ。
前記磁石および前記隆起面は、略円形または楕円の断面を有し、前記断面を有することにより、ヘッドギア張力が加えられるときに下側ヘッドギアストラップがねじれることを最小限に抑えるように、前記ヘッドギアクリップが磁気的に係合されるときに、前記ヘッドギアクリップが前記下側アームに対して回転できる請求項10に記載のフレームアセンブリ。
前記空気回路は、前記リング部材に接続されているカフを有するガス送出チューブを備え、前記リング部材は、周期的な雑音を減らすために、加圧空気の流路を前記通気孔を介した排ガスの流路から分離する、後方に突出した径方向壁を有する請求項13に記載のフレームアセンブリ。
前記フレーム部材および前記保持構造体は、解放可能な硬質−硬質間接続を形成するために半硬質材料から構成されている請求項17または請求項18に記載のフレームアセンブリ。
前記クッションアセンブリは、前記保持構造体および前記フレーム部材が互いに取り付けられるときに前記フレーム部材に対してシールを形成するシールリップを備え、前記クッションアセンブリ内の空気圧が増大すると、シール力が増大する請求項17から19のいずれか一項に記載のフレームアセンブリ。
供給加圧空気または呼吸用供給ガスの送出のためのチューブを更に備え、前記チューブが旋回エルボーなしで前記フレームアセンブリに接続されている請求項1から20のいずれか一項に記載のフレームアセンブリ。
【発明を実施するための形態】
【0065】
6 (F)本技術の実施例の詳細な説明
本技術を更に詳しく説明する前に、本技術が本明細書中に記載される変更可能な特定の実施例に限定されないことを理解するべきである。また、この開示の中で使用される用語は、本明細書中で論じられる特定の実施例を説明するという目的のためにすぎず、限定しようとするものでないことも理解されるべきである。
【0066】
6.1 処置システム
1つの形態において、本技術は、呼吸器疾患を処置するための機器を備える。機器は、
図1aに示されるように、患者インタフェース3000に通じる空気回路4170を介して空気などの加圧呼吸ガスを患者1000へ供給するためのフロージェネレータまたはブロワを備えてもよい。
【0067】
6.2 治療
1つの形態において、本技術は、患者1000の気道の入口に陽圧を印加するためのステップを備える呼吸器疾患を処置する方法を備える。
【0068】
6.2.1 OSAのための鼻CPAP
1つの形態において、本技術は、鼻連続陽性気道圧を患者に印加することによって患者の閉塞性睡眠時無呼吸を処置する方法を備える。
【0069】
6.3 患者インタフェース3000
図82を参照すると、本技術の1つの態様に係る非侵襲的な患者インタフェース3000は、以下の機能的態様、すなわち、フレームアセンブリ3001と、シール形成構造体3100(
図73〜76、
図80、
図81参照)およびプレナムチャンバ3200を備えるクッションアセンブリ3002(
図71参照)と、位置決め安定化構造体3300(
図72参照)とを備える。幾つかの形態では、機能的態様が1つ以上の物理的構成要素によって与えられてもよい。幾つかの形態では、1つの物理的構成要素が1つ以上の機能的態様を与えてもよい。使用時、シール形成構造体3100は、陽圧の空気の気道への供給を容易にするために患者1000の気道への入口を取り囲むように配置される。シール形成構造体3100は一般にクッションと称されてもよい。
【0070】
図69、
図71、
図72を参照すると、フレームアセンブリ3001は中心ハブとして機能し、この中心ハブには、短チューブ4180、クッションアセンブリ3002、および、位置決め安定化構造体3300が取り外し可能な態様であるいはより恒久的な態様で接続される。フレームアセンブリ3001は、空気回路4170の短チューブ4180に接続するための接続ポート3600(
図53参照)を有する。本技術の1つの例において、フレームアセンブリ3001は、フレーム3310、短チューブ4180、および、通気孔3400のサブアセンブリを含む。
【0071】
フレーム3310は、一般にフレーム筺体と称されてもよい。フレーム3310は、位置決め安定化構造体3300に対する4ポイント接続をもたらすべくクッションアセンブリ3002と取り外し可能に係合する。フレーム3310は、接続ポート3600を取り囲む多穴通気孔3400を更に備える。短チューブ4180は、短チューブ4180の一端にオーバーモールドされるあるいはさもなければ接続される非旋回カフ10610を備える。カフ10610は、クッションアセンブリ3002のプレナムチャンバ3200と流体連通するためにフレーム3310の接続ポート3600にオーバーモールドされあるいはさもなければ接続される。
【0072】
一例において、短チューブ4180は、エルボーまたは旋回エルボーを使用することなくフレーム3310に直接に取り付けられあるいはさもなければ設けられ、これにより、1部品少ないより軽量な構成がもたらされる。一例において、短チューブ4180は、特定の方向でチューブトルクを切り離すために、エルボーまたは旋回エルボーと同様な機能を果たすのに十分な可撓性を与えてもよい。
【0073】
一例では、プレナムチャンバ3200とシール形成構造体3100とが一体に成形される。他の例では、これらが2つ以上の別個の構成要素として形成される。
【0074】
図71において、クッションアセンブリ3002は、シール領域251またはシールカフ、側壁または側壁領域457、保持構造体3242、および、取り付け領域158を備えてもよい。一例では、クッションアセンブリ3002が可撓性のエラストマーまたはゴムから形成されてもよい。同様に、クッションアセンブリ3002は、シール領域251、側壁または側壁領域457、および、保持機能部3244,3245を備える保持構造体3242を備えてもよい。保持機能部3244,3245は、クッションアセンブリ3002をフレーム3310に対して解放可能な態様でシール係合させるためにフレーム3310に位置付けられるそれぞれのフレーム接続領域3312,3313(例えば、
図98および
図100参照)に挿通嵌合するようになっている鉤状部3246の形態を成してもよい。
【0075】
6.3.1 シール形成構造体3100
本技術の1つの形態において、シール形成構造体3100は、シール形成表面を与えるとともに、クッション機能を更に与えてもよい。
【0076】
本技術に係る非侵襲的な患者インタフェース3000のシール形成構造体3100は、シリコーンなどの柔軟な、可撓性のある、弾性材料から構成されてもよい。シール形成構造体3100は、PAP装置4000からの空気のためのシール経路の一部を形成してもよく、また、鼻の内側に部分的に位置付けられることなく両方の鼻孔を取り囲むシールを患者の気道に対して形成するように構成されて配置される。シール形成構造体3100は、単一のオリフィスによって、例えば鼻クッションまたは鼻クレードルによって両方の鼻孔を扱う。鼻クッションは、プラスチッククリップ構成要素/保持構造体3242上に恒久的にオーバーモールドされる柔軟なシリコーンクッションである。クッションアセンブリ3002は、プレナムチャンバ3200の壁上にわたってフレーム3310を保持するための保持構造体3242を備える。シール形成構造体3100は、フレームアセンブリ3001と患者の顔面との間のインタフェースとしての役目を果たす。シール形成構造体3100は、空気チャンバ/プレナムチャンバ3200を備えるとともに、所定のPAP(気道陽圧)を患者の鼻の気道へ送出するために必要なエアシールを患者の鼻の周囲に備える。
【0077】
シール形成構造体3100は鼻梁よりも下側をシールする。これは、患者インタフェース3000を目立たなくし、その上快適にして漏れを回避するべく安定させることを目的とする。シール形成構造体3100は、快適なシールのために改良された二重壁形態(すなわち、アンダークッション構造体265を伴う)を有する。これは二重壁クッション膜形態である。薄い可撓性の外膜260が膨張して顔面に適合する。アンダークッション構造体または内膜265は、シールを向上させるために二次的な構造的支持を与える。
【0078】
図69、
図71、
図80〜83を参照すると、本技術の1つの形態において、クッションアセンブリ3002は、シール形成構造体3100と、保持構造体3242を伴うプレナム接続領域3240とを含む。クッションアセンブリ3002は円錐台形状を有してもよい。保持構造体3242は、幅広い保持機能部3244と、フレーム3310の対応する接続領域3312,3313と係合するための幅狭い保持機能部3245とを有する。シール形成構造体3100がシールフランジ3110と支持フランジ3120とを備えてもよい。シールフランジ3110は、約1mm未満、例えば約0.25mm〜約0.45mmの厚さを有する比較的薄い部材を備えてもよい。支持フランジ3120がシールフランジ3110よりも相対的に厚くてもよい。支持フランジ3120は、スプリング状要素でありまたはスプリング状要素を含んでもよく、使用時にシールフランジ3110を座屈しないように支持するべく機能する。使用時、シールフランジ3110は、該シールフランジを、患者の顔面との緊密なシール係合状態へと付勢するべくシールフランジの下面に作用するプレナムチャンバ3200内のシステム圧力に容易に応答し得る。プレナムチャンバ3200は、シリコーンなどの軟質材料から形成される。
【0079】
図81を参照すると、本技術の1つの形態において、クッションアセンブリ3002はシールフランジ3110を有する。シールフランジ3110はシール領域251の膜260-1を含み、また、支持フランジ3120はシール領域251のアンダークッション構造体またはバックアップバンド265を含む。シールフランジ3110は、プレナムチャンバ3200の外周3210にわたって延在する。支持フランジ3120は、シールフランジ3110とプレナムチャンバ3200の境界縁部3220との間に配置されるとともに、プレナムチャンバ3200の外周3210にわたる経路の少なくとも一部にわたって延在する。
【0080】
本技術の1つの形態では、シール形成構造体3100が上シール部3102と下シール部3104とを備える(
図81参照)。上シール部3102および下シール部3104は例えば互いに隣接して位置付けられ、また、一方の領域が他方の領域へと混入されてもよい。
【0081】
上シール部3102
上シール部3102は、鼻の軟骨骨格の一部にシールを形成するように構成されて配置される。一例において、上シール部3102は、比較的薄い材料、例えば材料のフラップ、フランジ、または、膜、例えば熱可塑性エラストマーまたはシリコーンゴムから構成され、更には、非使用時に軽い指圧に応じて容易に屈曲するあるいは折れ曲がる材料から構成される。上シール部3102の相対的に狭い幅は、それが使用されている鼻の形状に応じて、シールを形成するべく鼻稜部と係合してもよい。上シール部3102の相対的に幅広い部分は、シールを形成するべく側鼻軟骨に隣接する皮膚と係合してもよい。
【0082】
上シール部3102は、鼻の全体を覆い隠すように形成されない。一例において、上シール部3102は、例えば薄く且つ可撓性を有することにより、鼻稜部の異なる高さに適合できるように構成されて配置される。このようにすると、良好なシールを得ることができる顔面の範囲が増大する。
【0083】
また、所定の顔面および鼻に関して、上シール部3102の可撓性は、例えば短チューブ4180の動きに応じてプレナムチャンバ3200を動かすことができればシールを維持できることを意味する。
【0084】
上シール部3102は、それが使用時に鼻骨を覆い隠さないように構成されるが、上シール部3102の特定の部分は、患者インタフェース3000が正にどのように使用されるのかに応じて、また、特定の患者の顔のサイズおよび形状に応じて、一部の顔面上の鼻骨の何らかの部分を覆い隠してもよい。別の形態において、上シール部3102は、使用時に鼻骨でシールを形成するように構成されて配置される。
【0085】
下シール部3104
下シール部3104は、患者1000の上唇の一部でシールを形成するとともに、シール力の少なくとも一部を患者1000の上顎骨へ方向付けるように構成されて配置される。使用時、下シール部3104の一部は、鼻翼最下点および鼻翼頂点の近傍に位置付けられる。
【0086】
1つの形態において、下シール部3104は、上歯および歯茎に対する過度な圧力を回避するように構成される。一例では、下シール部3104が骨(例えば、上顎骨前頭突起)に沿って鼻翼頂点の上方に延在しないが、他の例では下シール部がそのように延在してもよいことは言うまでもない。
【0087】
下シール部3104は、例えば約1mm〜2mmの厚さを有する単一の相対的に更に厚い材料のフラップ、周縁、または、フランジ、例えばシリコーンゴムまたは熱可塑性エラストマーから構成されてもよい。1つの形態において、下シール部3104は、二重のフラップ、周縁、または、フランジから構成されてもよく、例えば、一方が相対的に薄く、他方が相対的に厚い。あるいは、下シール部3104がゲル充填嚢から構成されてもよい。
【0088】
「W」形状領域
図75は、本技術の他の例に係るクッションアセンブリ3002を示す。この例において、クッションアセンブリ3002は、上唇領域255に略「W」形状を有する、すなわち、上唇領域255内の膜260-2の外(下)縁260(o)に沿って略「W」形状を有する。
【0089】
他の例の
図76において、クッションアセンブリ3002は、上唇領域255内の膜260-3の内(上)縁260(i)および膜260-3の外(下)縁260(o)の両方に沿って略「W」形状を有するシール形成構造体3100を備える。1つの形態において、上唇領域255の「W」部は、シール形成構造体3100が使用時に上側に(上方へ)移動して、鼻孔の下側または左右の鼻翼最下点のそれぞれの周囲に(アンダークッション265の内縁とプレナムチャンバ3200の内面との間にある)隙間または空間が残る場合に、「W」の中央部が使用時に鼻棘または鼻柱に当接し得るように構成されて配置される。
【0090】
図110に示される他の例において、クッションアセンブリ3002は、上唇領域255内において、膜260-3の内(上)縁260(i)に沿って略「W」形状を有するとともに、膜260-3の外(下)縁260(o)に沿って略平坦形状または略平面形状を有してもよい。一例において、
図110における略平坦状または略平面状の外縁あるいは略平坦な下壁260(o)は、患者の上唇に加わる圧力を軽減してもよい。
【0091】
一例において、シール部3102,3104の一部は、クエスチョンマーク形状、鎌形状、または、c形状の断面を有してもよい。クエスチョンマーク形状、鎌形状、または、c形状の断面は、使用時に患者の顔面へと向かうより大きな範囲の動きあるいは可撓性をシール部3102,3104に与える。図示の例において、クエスチョンマーク形状、鎌形状、または、c形状の断面は、アンダークッション265の下部および/または側壁領域457(
図71参照)に対して与えられ、それにより、アンダークッション265の下部よりも下側と側壁領域457の近傍とに空間が設けられる。例えば、アンダークッション265の下部は、側壁領域457の外側へ向けて径方向にオフセットされる。そのような断面がシール形成構造体3100の全周にわたって設けられてもよいことあるいはシール形成構造体3100の選択された領域にのみ、例えば上唇領域255にのみ設けられてもよいことが理解されるべきである。また、そのような断面のサイズおよび/または形態が選択された領域で異なってもよい。
【0092】
図73および
図74の図示の例において、D6は約40mm〜50mm(例えば約42mm)であり、D7は約55mm〜75mm(例えば約68mm)であり、D8は約20mm〜30mm(例えば約24mm)である。特定の寸法が与えられるが、これらの寸法が単なる典型例であり、用途に応じて他の寸法が想定し得ることが理解されるべきである。例えば、典型的な寸法は、用途に応じて±10%〜20%以上または以下だけ変化してもよい(
図75参照)。
【0093】
シール領域251
本技術の他の形態に係る
図73を参照すると、シール形成構造体3100はシール領域251を備える。シール領域251は、患者1000と適合して患者の気道にシールを形成するようになっている。シール領域251は、鼻稜部領域252と、鼻側部領域253と、鼻角部領域254と、上唇領域255とを含んでもよい。シール領域251は、膜またはフラップ型のシール260を備えてもよい。一例において、膜260-1の内縁は、例えば引き裂けを防止するため、縁に沿うシール性を向上させるために、ビード260-1を含んでもよい。シール領域251は、シール領域251の外周の一部または全周にわたって延在するアンダークッション構造体またはバックアップバンド265を更に備えてもよい。本技術の更なる態様は、その上側範囲が鼻の頂部よりも概ね上側にある鼻の領域でシールするとともに患者の鼻の鼻翼またはフレア部を横切って延在するマスク3000のためのシール形成構造体3100である。
【0094】
一例において、シール領域251は、患者の顔面形態に適合するように予め成形されあるいは他の態様で予め形成されてもよい。
【0095】
鼻稜部に沿うシール
本技術の1つの態様は、鼻稜部領域252でのシール領域251のシールに関する。一例において、鼻稜部領域252内のシール領域251は、鼻尖と鼻根との間で患者の鼻稜部に沿って係合するとともに、鼻稜部の鼻軟骨領域に沿って鼻骨よりも下側または下方で係合するようになっている。すなわち、患者インタフェース3000は、患者の鼻の軟骨骨格の少なくとも一部上にあって鼻骨上にないシール形成構造体3100、つまり、鼻梁/鼻骨上の皮膚と接触することなく鼻稜部に沿ってシールするシール形成構造体3100を有するように構成される。
【0096】
例えば、シール領域251は、その上側範囲が概ね鼻の頂部よりも上側(すなわち、鼻尖よりも上側)にある鼻の領域内に位置付けられて該領域をシールするとともに、患者の鼻の鼻翼またはフレア部を横切って延在し、例えば患者の鼻の骨上にわたってあるいは骨を横切って延在しない。
【0097】
一例において、シール領域251は、より大きな鼻を有する一連の人々においては、骨と軟骨との間の接合部にほぼ近い鼻の領域内にその上側範囲が位置付けられ、また、より小さい鼻を有する患者1000の視野に影響を及ぼすことを避ける。
【0098】
鼻稜部領域252
図74を参照すると、鼻稜部領域252は、患者1000の鼻稜部と係合するようになっていてもよい。一例において、鼻稜部領域252は、患者の鼻稜部を受け入れるように形成されあるいは予め成形されてもよく、鼻稜部領域252は、鼻側部領域253よりも下側にあってもよい(鼻側部領域253よりも取り付け領域158に近くてもよい)。鼻稜部領域252は、アンダークッションまたはバックアップバンドを伴わないシール用の膜260-1を備えてもよい。一例において、そのような構成は、敏感な鼻稜部領域252で過度の圧力を防止する。一例において、鼻稜部領域252の膜260-1は、シール領域251の他の領域内、例えば上唇領域255内の膜260-1よりも相対的に長くてもよい。鼻稜部領域252内の膜260-1は例えば長さが約2mm〜5mmであってもよい。一例では、鼻稜部領域252内の膜260-1の長さが約2mm〜4mmであってもよい。一例では、鼻稜部領域252内の膜260-1の長さが約3mmであってもよい。
【0099】
鼻側部領域253
図74を参照すると、鼻側部領域253は、患者の鼻の側部と係合するようになっていてもよい。一例において、鼻側部領域253は、患者の鼻の側部を受け入れるように、また、場合により患者の頬を受け入れるように予め成形されてもよい。鼻側部領域253は、鼻稜部領域252にあるシール形成構造体3100の頂点から鼻角部領域254へと延在する。鼻側部領域253は、鼻稜部領域252から鼻角部領域254へ向かって上方へ傾斜する。鼻側部領域253は、アンダークッションまたはバックアップバンドを伴わないシール用の膜260-1を備えてもよい。一例において、そのような構成は、患者やの鼻の側部または鼻の鼻翼あるいはフレア部で過度の圧力を防止する。これらの領域に作用する過度の圧力は、鼻の軟骨を鼻中隔へ向けて内側に潰し、それにより、患者の気道を塞ぐあるいは部分的に塞ぐ場合がある。
【0100】
鼻角部領域254
図74を参照すると、鼻角部領域254は、患者の鼻の角部と共にシールを形成するようになっていてもよい。鼻角部領域254は、シール領域251の最大高さである頂点または先端を有する。この高さは、鼻角部が顔面の骨領域であり、したがって、圧力にあまり敏感でないため、大部分の力が鼻角部領域254でシール領域251に加えられるようにするためである。また、患者の顔のこの領域はシールすることが特に難しい。これは、この領域における顔の幾何学的形態がかなり複雑であり、そのため、この領域でシールするために加えられる力が大きければ大きいほど、シールが生じる見込みが大きくなるからである。また、鼻稜部領域252および鼻側部領域253では(快適さのために、また、閉塞を回避するために)より低いシール力が求められるため、シール領域251は鼻角部領域254で固定されなければならない。鼻角部領域254は、膜または膜シール260と、アンダークッション構造体またはバックアップバンド265とを備えてもよい。膜260-1およびアンダークッション構造体265の両方の使用は、鼻角部領域254においてより高いシール力を確保することができる。一例において、膜260-1は、約0.1〜0.5mm、例えば約0.3mmの厚さを有してもよい。一例では、アンダークッション構造体265が約0.3mm〜2mmの厚さを有してもよい。
【0101】
上唇領域255
図74を参照すると、上唇領域255は、患者の上唇と鼻の付け根との間の表面と係合するようになっていてもよい。一例において、上唇領域255は、鼻稜部領域252よりも相対的に短い膜長さ、例えば約0.5mm〜2.5mm、例えば約1.5mm〜2.5mmの長さを有してもよい。一例では、より短いこの膜長さが有利である。これは、一部の患者が自分達の上唇と自分達の鼻の付け根との間に小さい空間しか有さないからである。上唇領域255は、膜シール260と、アンダークッション構造体またはバックアップバンド265とを有してもよい。膜260-1およびアンダークッション構造体265の両方の使用は、上唇領域255においてより高いシール力を確保することができる。一例において、膜260-1は、約0.1〜0.5mm、例えば約0.3mmの厚さを有してもよい。一例では、アンダークッション構造体265が約0.3mm〜2mm、例えば約1.5mmの厚さを有してもよい。一例では、アンダークッション構造体265の厚さが上唇領域255の長さに沿って変化してもよい。例えば、鼻角部領域254における約0.3mmから上唇領域255の中心における約1.2mmまで変化してもよい。
【0102】
シール
アンダークッション構造体265またはバックアップバンドの使用は、単一の支持されないフラップが使用されなかった場合よりも膜260-1または顔面フラップをかなり薄くすることができるようにする。これは、フラップが薄ければ薄いほど、可撓性が高く、より柔軟で快適に感じるとともに、顔の輪郭の凹凸に容易に適合するという点において非常に有益である。また、それにより、フラップは、それを患者の顔との緊密なシール係合状態へと付勢するべくプレナムチャンバ3200内でその下面に作用するシステム圧に対してより容易に応答することができる。
【0103】
前述したように、患者インタフェースは、実質的に鼻の軟骨骨格上にあって(すなわち、鼻骨上になく)鼻を塞がないシール形成領域を有するように構成される。一例において、これは、患者の鼻上ではなく患者の上唇(例えば、下シール部3104)に沿って(例えばアンダークッション構造体265を使用して)圧縮シールを与えることによって達成されてもよい。患者の鼻上のシール(例えば、上シール部3102)は、膜260-1の張力および/または空気圧シールによって達成されてもよい。
【0104】
1つの例において、アンダークッション構造体またはバックアップバンド265は、シール形成構造体3100の上唇領域255および鼻角部領域254のみに設けられる。すなわち、シール領域251は、鼻稜部領域252および鼻側部領域253において単一層または膜260-1のみの構造体を含み、また、シール領域251は、上唇領域255および鼻角部領域254において二重の層または膜260-1とアンダークッション構造体265とを含む。二重層構造体は、上唇領域255および鼻角部領域254に沿って圧縮シールをもたらす。一方、鼻稜部領域252および鼻側部領域253は、膜260-1(膜260-1に加えられる張力に起因してシール係合状態へと伸長される膜260-1の縁部)の張力および/または膜260-1に作用するプレナムチャンバ3200内の圧力を使用してシールをもたらす。また、単一層は、患者の鼻を塞ぐ任意の可能性を避ける、すなわち、患者の鼻の側部あるいは鼻翼またはフレア部に作用することにより軟骨を内側に押し潰して場合により患者の気道を少なくとも部分的に塞ぐ場合がある過度の圧力を防止する、より柔軟でより可撓性のあるシールをもたらすためにも鼻稜部領域252および鼻側部領域253に設けられる。
【0105】
したがって、本技術の一例に係るクッションアセンブリ3002は、シール形成構造体3100の異なる部分に異なるシール機構を与える。例えば、クッションアセンブリ3002は、シール形成構造体3100の上部に1つのシール機構(例えば、膜260-1の張力によるシールおよび/または空気圧シール)を与えるとともに、シール形成構造体3100の下部に異なるシール機構(例えば、圧縮シール)を与えてもよい。図示の例において、クッションアセンブリ3002は、二重の層または膜260-1とアンダークッション構造体265とによって圧縮シールを与える。しかしながら、別の構造体、例えばゲル充填ポケットまたは発泡体充填ポケット、より厚い単一壁(例えば、約0.8mm〜1.2mm厚のシリコーン)によって圧縮シールが与えられてもよいことが理解されるべきである。
【0106】
使用時にクッションアセンブリ3002が患者の顔と係合されて収縮されあるいは膨張されると、すなわち、陽圧の供給空気がクッションアセンブリ3002に印加されると、使用時にシール部3102,3104の幅または接触部位280が患者の顔面と係合される。幅または接触部位は、例えばオリフィス275(
図73参照)の縁に沿う内縁280(i)と、外縁280(o)とを含む。上シール部3102の相対的に狭い幅は、例えば、それが使用されている鼻の形状に応じて、シールを形成するべく鼻稜部と係合してもよい。上シール部3102の相対的に幅広い部分は、シールを形成するべく側鼻軟骨に隣接する皮膚と係合してもよい。下シール部3104では、該下シール部3104のほぼ全幅がシールを形成するべく鼻角部領域254および上唇領域255に沿って皮膚と係合してもよい。したがって、使用時に患者の顔面と係合されるシール部3102,3104の幅または接触部位は、シールを形成するべくクッションアセンブリ3002の外周にわたって変化してもよい。
【0107】
シールフラップ
図73および
図74に示される一例において、シール領域251の鼻側部領域253のそれぞれは、膜260-1の縁部からその内周に沿って突出する部分270、例えば翼またはシールフラップを含む。各シールフラップ270は、患者の鼻の大鼻翼軟骨と側鼻軟骨との間の接合部の近傍の領域(鼻翼皺とも称される)にシールを形成するようになっている。使用時における顔面上のシールフラップ270の正確な位置は、それが使用されている鼻のサイズおよび形状に応じて変化してもよい。
【0108】
図示のように、各シールフラップ270は、少なくとも一部がシール形成構造体3100のプレナムチャンバ3200から外側に離れるように傾斜されあるいは事前に付勢される。シールフラップ270は、患者の鼻と係合されると、プレナムチャンバ3200の方へ向けて撓まされ、それにより、前述した接合部にシールのための付勢を与える。すなわち、シールフラップ270の形状、可撓性、および、事前付勢により、フラップ270は、使用時にシールを維持して漏れを防止するために、この接合部における曲率または輪郭の変化(例えば、使用時に鼻翼または「フレア部」のときに連続的に変化する傾向がある)に対応できる。
【0109】
図73および
図74を参照すると、一例において、シールフランジ3110(膜260-1およびシールフラップ270を含む)は略T形状のオリフィスを画定する。膜260-1のその内周に沿う縁部は、各シールフラップ270のその内周に沿う縁部と共に、プレナムチャンバ3200内へのオリフィス275を画定するべく協働する。一例において、そのようなオリフィス275は、(
図73において見られるような垂直軸線vに沿う)上側オリフィス部275(1)と、上側オリフィス部275(1)に対して略垂直に延在する(
図73において見られるような水平軸線hに沿う)下側オリフィス部275(2)とを含む略T形状を有する。
【0110】
鼻側部領域253のシールフラップ270は、オリフィス275を画定する縁部の曲率および/または角度を変える。すなわち、オリフィス275の縁部は、少なくともシールフラップ270に沿ってプレナムチャンバ3200から上方外側に離れるように湾曲する。
【0111】
クッションの曲率
シール形成構造体3100の曲率は、例えば患者の顔の異なる領域でシールを容易にするために、シール形成構造体3100の異なる領域で膜260-1の患者接触面に沿って変化してもよい。
【0112】
例えば、
図73に示されるように、鼻稜部領域252および上唇領域255はそれぞれ、湾曲が局所的にサドル形状を成す部分、例えば、一方向で上方に湾曲するとともに異なる方向で下方へ湾曲する部分を少なくとも含む。前述した湾曲形状がおおよその形状であってそのような形状の厳格な数学的定義に限定されるべきでないことを理解すべきである。また、これらの領域が同様の湾曲形状を有してもよいがそのような湾曲の大きさが異なってもよいことが理解されるべきである。例えば、鼻稜部領域252および上唇領域255の両方が局所的にサドル形状を成す部分を少なくとも含んでもよいが、そのようなサドル形状の一方および/または両方の主方向の曲率の大きさが各領域で異なってもよい。
【0113】
開口
女性集団の約85%に適合するために単一のマスクが使用されるべき一例において、アンダークッション開口幅は(例えば、
図76にuwで示される)、約36mm〜約42mm、または、約38mm〜約40mmである。男性集団の約85%に適合するために単一のマスクが使用されるべき一例において、アンダークッション開口幅は、約40mm〜約46mm、または、約42mm〜約44mmである。1つの形態では、様々な民族性の鼻幅変化を考慮して、平均的な母集団の最大で95%に適合するべく、アンダークッション開口幅が約50mm〜約56mm、または、約52mm〜約54mmである。
【0114】
女性集団の約85%に適合するために単一のマスクが使用されるべき一例において、膜開口幅は(例えば、
図76にmwで示される)、約23mm〜約29mm、または、約25mm〜約27mmである。男性集団の約85%に適合するために単一のマスクが使用されるべき一例において、膜開口幅は、約39mm〜約45mm、または、約41mm〜約43mmである。1つの形態では、様々な民族性の鼻幅変化を考慮して、平均的な母集団の最大で95%に適合するべく、膜開口幅が約49mm〜約55mm、または、約51mm〜約53mmである。
【0115】
側壁領域457
図71を参照すると、側壁領域457は、クッションアセンブリ3002のシール領域251と取り付け領域158との間で延在してもよい。側壁領域457は略円錐形である。すなわち、側壁領域は、取り付け領域158付近で第1の直径を有するとともに、シール領域251付近で第2の直径を有してもよく、この場合、第1の直径は第2の直径よりも小さい。側壁領域457は、約1.5〜5mm、例えば約1.5〜3mm、例えば約2mmの厚さを有してもよい。そのような厚さは、シール形成構造体3100が使用時にヘッドギア張力によって潰れないようにするべくシール領域251に対して何らかの支持を与えてもよい。
【0116】
薄肉壁部分
図71を参照すると、シール領域251と取り付け領域158との間の側壁領域457は、シール領域251の鼻稜部領域、鼻側部領域、および、鼻角部領域の近傍の対応する厚さよりも薄い厚さを含む部位をシール領域251の上唇領域255の近傍に含む。すなわち、この部位は、シール領域251の上唇領域255の近傍に薄肉壁状の断面を含む。薄肉断面のそのような部位は、上唇領域255のこの断面に沿ってシール領域251により与えられる力を軽減する。例えば、そのような部位は、患者の鼻のより敏感な領域である患者の鼻の鼻柱または鼻中隔で過度の圧力を回避するために、鼻角部領域254よりも低い圧力を上唇領域255に沿って与える(すなわち、鼻角部領域254に沿って上唇領域255よりも硬く、それにより、鼻角部領域254に沿って(鼻翼付近の唇の角部に沿って)相対的に大きい圧力を生じるあるいはもたらす)。
【0117】
図74は、鼻稜部領域252における単一層または膜260-1のみの構造体と、上唇領域255における二重の層または膜260-1およびアンダークッション構造体265とを示す、鼻稜部領域252および上唇領域255を描く。上唇領域255付近の側壁領域457における薄い断面部位は、例えば、鼻柱または鼻中隔で過度の圧力を回避する。
【0118】
6.3.2 プレナムチャンバ3200
本技術の1つの形態の一態様に係るプレナムチャンバ3200は、患者の鼻孔間での空気の流れとPAP装置4000から短チューブ4180を介した空気の供給とを可能にするように機能する。このようにすると、プレナムチャンバ3200は、呼吸サイクルの吸気部分の最中には入口マニホールドとして、および/または、呼吸サイクルの呼気部分の最中には排気マニホールドとして、選択的に機能し得る。
【0119】
プレナムチャンバ3200は、保持構造体3242と、プレナム接続領域3240とを含む。
【0120】
プレナムチャンバ3200は一部が側壁によって形成される。1つの形態では、側壁がシール領域251の側壁領域457を含む。プレナムチャンバ3200は、平均的な人の顔面の表面輪郭にほぼ適合するように形成される外周3210を有する(例えば、
図73〜
図76参照)。使用時、プレナムチャンバ3200の境界縁部3220は、患者の顔の隣接表面に近接して位置付けられる(
図80および
図81参照)。患者の顔面との実際の接触はシール形成構造体3100によってもたらされる。一例において、シール形成構造体3100は、使用時に、プレナムチャンバ3200の外周3210の全体にわたって延在する。一例において、プレナムチャンバ3200は、鼻尖を含む患者の鼻の一部を受けるようになっており、例えば、プレナムチャンバ3200は、鼻尖を含む鼻の軟骨骨格の一部を覆って取り囲む。
【0121】
一例において、プレナムチャンバ3200の壁は、可撓性があるあるいは半硬質である。一例では、プレナムチャンバ3200が硬質のフレームまたは外殻を含まない。一例では、プレナムチャンバ3200の壁が硬質ではなく、例えば、プレナムチャンバ3200の壁が軟質ではない。特定の形態において、プレナムチャンバ3200の壁の可撓性は、シールに支障を来さないようにチューブ抵抗力を切り離すのに役立つ。
【0122】
1つの形態では、プレナムチャンバ3200の壁がシリコーンゴムから成形される。一例において、プレナムチャンバ3200の壁は、約35〜約40のA型圧入硬度を有するとともに約2mm〜約4mmの範囲内の厚さを有するシリコーンゴムから構成される。本技術の特定の形態において、プレナムチャンバ3200は、異なる領域に異なる厚さを有してもよい。
【0123】
プレナムチャンバ3200はエラストマー材料から構成されてもよい。
【0124】
プレナムチャンバ3200は、本技術の1つの形態の他の態様によれば、シール形成構造体3100と位置決め安定化構造体3300との間にクッション機能を与える。
【0125】
プレナムチャンバ3200の1つの形態では、同じ物理的構成要素によって入口/出口マニホールド機能およびクッション機能が果たされるが、本技術の別の形態では、これらの機能が2つ以上の構成要素によって形成される。
【0126】
シール形成構造体3100およびプレナムチャンバ3200は、単一の一体の構成要素として形成され、例えば成形される。
【0127】
プレナムチャンバ3200の境界縁部3220は、シール形成構造体3100との接続部を形成する。境界縁部3220は、例えば約35〜約45の範囲内のA型圧入硬度を有するシリコーンゴムから構成されてもよい。しかしながら、同様のレベルの力を得るべく境界縁部3220の厚さが適宜に調整されれば、より幅広い範囲も想定し得る。
【0128】
1つの形態では、プレナムチャンバ3200がシールリップ3250(
図80参照)を更に備えてもよい。シールリップ3250は、可撓性のある弾性材料、例えば約30〜約50の範囲内のA型硬度を有するシリコーンゴムから構成されてもよく、それにより、比較的柔軟な構成要素を形成する。シールリップ3250は、プレナムチャンバ3200の内面または内周に位置付けられまたは内面または内周の一部を形成してもよく、または、プレナムチャンバ3200の内周領域全体に位置付けられてもよい。しかしながら、シールリップ3250がプレナムチャンバ3200の外面または外周にわたってまたはプレナムチャンバ3200の外周領域全体にわたって配置されてもよいことも想起される。シールリップ3250は、以下で更に詳しく説明されるように、プレナムチャンバ3200とフレーム3310との間に空気圧シールを形成してもよい。シールリップ3250およびプレナムチャンバ3200が一体部品を成してもよい。
【0129】
他の患者インタフェース装置は、シリコーンなどの弾性変形可能な材料から形成されるプレナムチャンバを圧縮してプレナムチャンバをフレームに係合させると同時に空気圧シールを形成するために、圧縮シールを使用してプレナムチャンバとフレームとの間に空気圧シールを形成する。一方、本技術の1つの例は、フレーム3310に当て付いて撓むシールリップ3250からの干渉によってプレナムチャンバ3200が最初にフレーム3310に固定されるときに空気圧シールを形成する。呼吸障害を処置するためにプレナムチャンバ3200内の圧力が大気圧を上回って増大すると、より大きな力によってシールリップ3250がフレーム3310に押し付けられるため、空気圧シールが強化されてシール力を高める。これらの他の患者インタフェース装置のシール形成構造体3100内/プレナムチャンバ3200内の空気圧は、シール形成構造体3100とフレーム3310との間のシール力に影響を及ぼさない。また、これらの他の患者インタフェース装置は、フレームおよびシールリップと係合するための側壁を伴うクッションを有する。シールリップは、指圧に容易に順応し、硬質ではなく、僅かな労力で伸長され得るまたは弾性的に曲げられ得るため、軟質である。特に、鼻クッションのサイズおよびアスペクト比が比較的大きいため、これがクッションの軟質性に寄与する。フレーム係合のための側壁は、非常に軟質であるため、非常に僅かな指力でクッションの両側を一緒につまんで互いに接触させることができる。フレーム係合のための側壁の変形のこの容易さは、これらの他の患者インタフェースにおいて手に関節炎を伴う患者がクッションをフレームに素早く接続する困難さの主な根源となる場合がある。また、十分な剛性を有する前述したプレナムチャンバ3200の特徴を形成することにより、シール形成構造体により形成されるシールの安定性を向上させることができてもよいことも理解されるべきである。また、プレナムチャンバがプレナム接続領域3240からシール形成構造体3100へ向かって次第に薄くなるようにプレナムチャンバ3200の厚さを変えることができてもよい。本技術の1つの例において、プレナムチャンバ3200は、プレナム接続領域3240またはその近傍で約2〜3mm厚であってもよく、プレナム接続領域3240とシール形成構造体3100との間のポイントで1mm厚であってもよく、および、シール形成構造体3100またはその近傍で0.75mm厚であってもよい。これらの特徴を有するプレナムチャンバ3200の形成が射出成形製造によって達成されてもよい。プレナムチャンバ3200の厚さにおけるこの漸進的な減少は、シール部3102,3104の接触部位により近いシリコーン材料のより大きな変形能を可能にして、患者の快適さを高めるとともに、シール破壊の可能性を減少させる。
【0130】
一部の鼻用患者インタフェースは、(i)プレナムチャンバ、(ii)ヘッドギア接続、および、(iii)シール形成構造体の組み付け順序を有する。一方、本技術の患者インタフェース3000の1つの例は、(i)ヘッドギア接続、(ii)プレナムチャンバ、および、(iii)シール形成構造体の組み付け順序を有する。配置におけるこの違いは、シール力に支障を来す場合があるプレナムチャンバ3200およびシール形成構造体3100の変形をヘッドギア張力が引き起こさないことを意味する。
【0131】
6.3.3 フレーム3310
フレーム3310は、Eastman Chemical Companyによって製造されるTritan(商標)、EMS-Chemie AGによって製造されるGrilamid(商標)、または、Arkema, Inc.によって製造されるRilsan(商標)G170を含む熱可塑性材料から形成されてもよい。好ましくは、フレーム3310に関しては、半透明材料または不透明材料ではなく、無色透明の熱可塑性物質が使用される。これは、患者1000の視野を妨げない目立たない透明な眼下フレーム3310を与えるとともに、患者インタフェース3000に安定性を与える。他の例において、フレーム3310は、一方側または両側が艶消しされてもよい。
【0132】
技術の1つの例では、フレーム3310がポリプロピレンから形成されてもよい。他の例では、フレーム3310がナイロンまたはポリエステルから形成されてもよい。フレーム3310は短チューブカフ10610上へオーバーモールドされ、一方、回転スイベル端部4190は締まり圧嵌めによって短チューブ4180に結合する。短チューブ4180の可撓性および拡張可能特性は、360°回転スイベル末端部4190と共に、空気回路4170の更なるガス送出チューブ4178からマスク3000を機械的に切り離すようになっている。
【0133】
技術の他の例では、フレーム3310が1つのサイズで形成されてもよいが、プレナムチャンバ3200およびシール形成構造体3100は、本明細書中に記載される共通に寸法付けられた接続機能部によって単一のフレーム3310に取り付け可能な複数のサイズで形成されてもよい。一例において、シール形成構造体は、3つのサイズで形成されてもよいが、フレームに取り付け可能な同じ保持構造体を使用してもよい。しかしながら、より大きいサイズまたはより小さいサイズのシール形成構造体が想定し得ることが理解されるべきである。
【0134】
技術の一例において、フレーム3310は、それが成形された後に屈曲を伴わずに金型から除去され得るように逃げ溝を何ら伴うことなく成形されてもよい。
【0135】
図59〜
図63を参照すると、本技術の他の例において、患者インタフェース3000のシール形成構造体3100は、位置決め安定化構造体3300に対する4点接続によってシール位置に保持される。フレーム3310は、対向するアームの2つの対、すなわち、2つの上側アーム10320と2つの下側アーム10330とを備える。上側アーム10320は、対向する上側ヘッドギア接続ポイント10325の対を備える。下側アーム10330は、対向する下側ヘッドギア接続ポイント10331の対を備える。1つの形態において、下側ヘッドギア接続ポイント10331は、下側アーム10330と一体に形成される円筒形状を有する。
【0136】
図示のように、フレーム3310は、接続ポート3600を画定するリング部材またはリング部10315の形態を成す本体と、リング部材10315上の上側位置でリング部材10315から後方へ延在する連結部材または連結部10316とを含む。これについては、例えば
図59〜
図61を参照されたい。下側アーム10330は、リング部材10315に径方向に位置付けられる下側アーム接続ポイント10317から延在する。上側アーム10320は、下側アーム接続ポイント10317が上側アーム接続ポイント10305よりも前方の位置にあるように連結部材10316の遠位端部で上側アーム接続ポイント10305(トップフレーム接続ポイントとも称される)から延在する。
【0137】
一例では、
図60に最も良く示されるように、上側アーム接続ポイント10305がリング部材10315上の最も上側の位置にあり、また、下側アーム接続ポイント10317が上側アーム接続ポイント10305から約80°〜約160°、例えば約90°の位置にある。
【0138】
一例において、上側アーム10320およびそれらの上側ヘッドギア接続ポイント10325は、それらが上側ヘッドギアストラップ10230により与えられる力/張力を上向きの力ベクトルへと向けるように位置付けられて方向付けられる。上向きの力ベクトルは、患者インタフェース3000のシール形成構造体3100が上唇および軟骨骨格を最適にシールできるようにするための力を与える。上側ヘッドギアストラップ10230は、フレーム3310の上部に作用する上向きの力ベクトルを、この力をシール形成構造体3100へ伝える態様でシール領域251の上端鼻稜部領域252へと方向付ける。上側アーム10320は、トップフレーム接続ポイント10305から上方向に向けて弓形に曲がるあるいは湾曲する。
【0139】
一例において、下側アーム10330およびそれらの下側ヘッドギア接続ポイント10331は、それらが鼻マスク3000のずり上がりと上向きの任意のシール破壊力とに抵抗するための反作用力を与えることにより安定性を高めるための下向きの力ベクトルへと下側ヘッドギアストラップ10220を方向付けるような位置及び向きに設けられる。また、反作用力は、使用時の患者インタフェース3000の短チューブ4180のチューブ上向き形態において安定性を高める下向きの力ベクトルを与えてもよい。
【0140】
前述したように、上側アーム接続ポイント10305および下側アーム接続ポイント10317は、所定の距離を隔てて離間される。すなわち、上側アーム接続ポイント10305は、下側アーム接続ポイント10317よりも後側または後方に位置し、それにより、患者の顔面に対する最大の傾斜範囲をフレーム3310に与える。そのようなオフセット間隔は、最大傾斜範囲を与えるモーメントアームMAを画定する(例えば
図111参照)。このオフセット間隔は、部分的には、連結部10316の使用によって与えられる。
【0141】
図111は、回転の中心または回動点PPをフレームの下側に伴う、上側アーム接続ポイント10305と下側アーム接続ポイント10317との間のモーメントアームMAを示す。一例において、回動点PPは、シール形成構造体3100が取り付けられて患者の顔面に接触するときには、図示よりも下側であってもよくおよび/または図示よりも患者の顔面に近くてもよい。患者の顔面に対するフレームの回動点/回転の中心PPは、フレーム3310上の上側アーム接続ポイント10305の単一の中心の位置に起因して更に下側に下げられる。これは、患者インタフェース3000が患者にうまく取り付くようにするべく、上側ヘッドギアストラップ10230が調整され/締め付けられるときに傾斜をもたらす。フレーム3310は、患者の顔面と望ましい嵌め合いとに応じて、上側ストラップ10230が下側ストラップ10220とは異なる張力を有し得るように上側アーム10320を下側アーム10330から分離する。
【0142】
上側ヘッドギアストラップ10230は、単一の中心の上側アーム接続ポイント10305で上側アーム10320を介してフレーム3310に接続され、したがって、ヘッドギア張力が印加されるときの上側ヘッドギアベクトルUVは、フランクフォート水平方向に対して略平行である。これは、マスク3000のずり上がりあるいはずり下がりを最小限に抑えるとともに、良好な安定性をもたらす。すなわち、上側アーム10320は上側ヘッドギアストラップ10230と解放可能に係合することができ、また、上側アーム10320は、上側ヘッドギアストラップ10230の張力ベクトルをフランクフォート水平方向と略平行な方向に向けるとともに、患者の耳を横切って延在することを回避する。一例において、下側アーム10330は、ヘッドギア張力が印加されるときにフランクフォート水平方向と略平行な下側ヘッドギアベクトルLVを与える。
【0143】
図111は、最大傾斜範囲態様、および、ヘッドギア力ベクトルまたは張力ベクトルとのその関係を示す。上側ヘッドギアストラップ10230が締め付けられると、上側ヘッドギアストラップ10230は、上側アーム10320を引っ張るとともに、フレーム3310の前面の断面がフランクフォート水平方向に対して略垂直となるように患者インタフェース3000がより良く傾いて嵌まり付くおよび/またはシールするようにする。これは、マスク3000が患者の顔面に対してずり上がるあるいはずり下がることを防止する。
【0144】
また、一例において、上側アーム10320は、上側ヘッドギアストラップ10230からのヘッドギア張力により上側アーム10320が実質的に変形しないあるいはそれらの形状または外形を変化させないように十分な硬質性/剛性を含む。例えば、上側アーム10320は、フレーム3310に対して回動しないようにするとともにヘッドギア張力が印加されるときに上側アーム10320が真っ直ぐになるあるいは平らになることを防止するべく、十分に硬質であるあるいは剛性が高い。むしろ、上側ヘッドギアストラップ10230を締め付けるヘッドギアからの張力は上側アーム接続ポイント10305へ伝えられ、それにより、フレーム3310のリング部材10315は、クッションアセンブリ3002が最適なシールを与えるように、前述したように回動点/回転の中心PP周りで傾く。
【0145】
国際公開第2009/108995号は、上側ヘッドギアコネクタおよび下側ヘッドギアコネクタを備える上側アームおよび下側アームを伴う覆体を含むマスクシステムの一例を開示する。本技術の一例に係るフレーム3310とは対照的に、国際公開第2009/108995号における回転/傾斜の中心は、上側ヘッドギア接続ポイントおよび下側ヘッドギア接続ポイントと同じ前頭面内に位置付けられる。すなわち、国際公開第2009/108995号は、オフセットした上側および下側のヘッドギア接続ポイントを有さない。つまり、本技術の一例に係るフレーム3310は、上側ヘッドギア接続ポイントおよび下側ヘッドギア接続ポイントと同じ前頭面内に位置付けられない回転/傾斜の中心を与える。また、本技術の一例に係る患者インタフェース3000は、例えば国際公開第2009/108995号に開示されるようなフルフェースマスクよりも小さい顔面占有領域を与えるとともに、ヘッドギア張力を調整する際に異なるベクトルおよび傾斜を与える鼻インタフェースまたは鼻マスクをもたらす。
【0146】
リング部材10315上の単一のポイントで、すなわち、上側アーム接続ポイント10305で上側アーム10320をリング部材10315に連結する連結部材10316は、力がほぼ完全に伝えられるように比較的剛性が高いとともに、連結部材10316での破壊を防止するように十分に強度がある。剛性は、構造的要素(補強リブ)または材料特性(より厚いあるいはより硬質な材料)のいずれかあるいはこれらの両方の組み合わせによって達成されてもよい。
【0147】
本技術の1つの例では、フレーム3310の上側アーム10320が左右対称である。上側アーム10320は、トップフレーム接続ポイント10305でフレーム3310から延在するとともに、患者の眼と耳との間のほぼ中間位置で終端する。上側アーム10320は、使用時に患者の頬上にわたって延在するとともに、障害を最小限に抑えるべく患者の顔面の外形に適合するように湾曲した形状を有する。上側アーム10320は、不快感を回避するべく上側アーム10320と患者の顔面との間の接触を最小限に抑えるように患者の顔面から外側へ延在する。更なる例において、上側アーム10320は、フレーム3310のトップフレーム接続ポイント10305から80mm〜100mmにわたって延在する。
【0148】
下側アーム10330は、横断面内において上側アーム10320の第2の湾曲部分10311とほぼ平行な方向でフレーム3310から所定の角度を成して外側に延在する(
図62および
図63参照)。下側アーム10330は矢状面内で何らかの曲率を有し、また、曲率の方向は下向きである。下側アーム10330は、目立つのを最小限に抑えるべく使用時に患者の顔面に適合するように湾曲した形状を有するとともに、患者の顔面との何らかの緊密な適合性を有する。
【0149】
下側アーム10330は上側アーム10320の長さのほぼ半分である。下側アーム10330は、使用時に患者の頬のほぼ底部上のポイントまで延在する。更なる例において、下側アーム10330は、フレーム3310の接続ポート3600の底部から20mm〜40mmにわたって延在する。
【0150】
6.3.3.1 フレーム3310のためのアームの形状
図56〜
図61を参照すると、上側アーム10320は、最初にトップフレーム接続ポイント10305から、接続ポート3600の曲率をほぼ辿って弓形に湾曲して下向きに延在する。フレーム3310から延在する細長い空隙10306が上側アーム10320を下側アーム10330から分離する。これは上側アーム10320を下側アーム10330から切り離し、したがって、フレーム3310の4本のアーム10320,10330のそれぞれは、他のアーム10320,10330に対して最小限にしか影響を及ぼさないはずである。一方、Y形状のあるいは枝分かれしたアーム部材は、一般に、上側ヘッドギアポイントと下側ヘッドギアポイントとの間で動きを容易に伝える。
【0151】
各上側アーム10320は、トップフレーム接続ポイント10305から第1の屈曲部10308まで延在する第1の湾曲部分10307を有する。第1の湾曲部分10307の内面の形状は、クッションアセンブリ3002の外面の形状に対応するように湾曲される。第1の湾曲部分10307の下縁部および接続ポート3600の外側径方向縁部並びに下側アーム10330の上縁部は細長い空隙10306を画定する。ほぼ直線状の部分10309が第1の屈曲部10308から第2の屈曲部10310まで延在する。
【0152】
第2の湾曲部分10311が第2の屈曲部10310から上側アーム10320の遠位端部まで延在する。第2の湾曲部分10311における湾曲の方向は上向きである。上側アーム10320の第2の湾曲部分10311は、付加的な支持および剛性をもたらす。第2の湾曲部分10311は、上側アーム10320のより薄い遠位端部10323を形成するべく幅が鋭くあるいは滑らかに移行するように上側ヘッドギア接続ポイント10325へ向けて延在する。
【0153】
上側アーム10320の遠位端部10323は、上側ヘッドギアストラップ10230を受けるために細長いスロット10325の形態を成す上側ヘッドギア接続ポイント10325を有する上側アーム10320の拡大部である。遠位端部10323は、使用時に上側ヘッドギア接続ポイント10325を患者1000の眼と耳との間にほぼ位置させるために第2の湾曲部分10311から上方へ傾けられる。遠位端部10323の内面形状は、使用時に、上側頬領域で、および、実質的に眼と耳との間で、患者の顔面形状に適合する。細長いスロット10325の長手方向軸線は、上側アーム10320の長手方向軸線に対して略垂直に方向付けられる(例えば、スロット10325の長手方向軸線は、例えば
図61で見られるように上側アーム10320の第2の湾曲部分10311の長手方向軸線に対して略垂直である)とともに、スロットを通過する上側ヘッドギアストラップ10230を受けるように寸法付けられる。
【0154】
上側アーム10320は、それが三次元形状を有するとともに平坦ではないため、矢状面内、前頭面内、および、横断面内に曲率を有する。上側アーム10320の形状は、患者の頬をたどり、患者の顔面を枠で囲み、患者の視線から外れるようになっている。上側から見た上側アーム10320の形状は、直線部分10309の内面が使用時に頬領域付近で患者の顔面の曲率に適合するように湾曲されることを示す(
図58参照)。また、上側アーム10320は、フレーム3310に対して解放可能に取り付けることができる、複数のサイズのクッションアセンブリ3002を受け入れることができるように、湾曲されて互いに離間される。例えば、上側アーム10320の第1の湾曲部分10307は、クッションアセンブリ3002における幅広い範囲のサイズに対応するべく所定距離だけ互いに離間されてもよい。
【0155】
上側アーム10320の湾曲の形状は、患者の頬を厳密にたどるようになっている。使用中に患者の頬と接触する上側アーム10320の相対位置は、上側アームが患者の顔面上で滑らないようになっている。例えば、上側アーム10320は、該上側アーム10320が上方へスライドするのを防止する患者の頬骨よりも僅かに下側に位置してもよい。また、上側アーム10320の内側面の大部分または全てと患者の顔面との間の接触は、滑りを防止して最終的にシール力に支障を来すのを最小限に抑えるべく摩擦を増大させてもよい。上側アーム10320の湾曲した外形の形状は、位置決め安定化構造体3300を人体測定学的範囲の大部分にわたって眼と耳との間に方向付ける。この方向付けは、それが患者1000および患者のベッドパートナー1100の観点から審美的であって目立たないため有益である。
【0156】
6.3.3.2 フレーム3310のためのアームの可撓性
上側アーム10320は、アーム10320および/またはフレーム3310に対する上側アーム10320に沿う特定の位置で特定の方向において、より大きな可撓性を有する。より大きな可撓性を有することにより、上側アーム10320は、特定の方向に移動されるときに、患者1000に対してより大きな快適さを与えるとともに、チューブトルクにより引き起こされるシール破壊の可能性を低くし、したがって、使用の頻度および治療持続時間に関して患者の治療遵守の向上をもたらす。一例では、上側アーム10320が下側アーム10330よりも可撓性がある。いずれのアーム10320,10330も、ヘッドギアストラップ10230,10220が締め付けられるときに伸長するようになっていない。
【0157】
上側アーム10320の異なる方向における相対的な可撓性も重要な考慮すべき事項である。例えば、上側アーム10320は、様々な患者の顔幅に対応するべく、
図60に示される矢状面内(例えば、側方に外れた方向)において他の面よりも大きな可撓性を有してもよい。
図60に示される横断面内(例えば、垂直下方向)の可撓性が高すぎる(すなわち、側方に外れた方向に等しい)場合には、シール不安定性が存在し得る。1つの例において、上側アーム10320は、側方に外れた方向で、垂直下方向よりも大きな可撓性を有する。上側アーム10320は、側方に外れた方向で、垂直下方向よりも9〜10倍大きな可撓性を有する。好ましくは、上側アーム10320は、側方に外れた方向で、垂直下方向よりも約9.23倍大きな可撓性を有する。チューブトルクを、短チューブ4180を有するような他のマスク構成要素(例えば、それを軽量にしたり、体の線によりぴったり合うようにしたり、または、可撓性をより高くしたりするもの)と共に扱ってもよく、スイベルコネクタ、ボールソケットジョイント、または、ガセット、または、プリーツ付き部分を使用して扱ってもよい。しかしながら、多様な顔幅は大部分が上側アーム10320の可撓性によって対処され、したがって、上側アーム10320は、垂直下方向と比べて側方に外れた方向で大きな可撓性を有する必要がある。
【0158】
下側アーム10330の中心領域10313は、下側アーム10330の遠位端部よりも幅が狭い(
図60参照)。この幅が狭い中心領域10313は、矢状面内で屈曲するための何らかの可撓性を下側アーム10330に与える。下側アーム10330は、前頭面内および横断面内では、実質的に可撓性がなくあるいは矢状面内のその可撓性と比べて可撓性がない。下側アーム10330の可撓性を制御することにより、マスク3000をより安定させることができるとともに、患者1000にとって快適にすることができる。ヘッドギアストラップ10230,10220は、調整可能なフックアンドループ接続機構950を使用してヘッドギアストラップの長さを調整することによって締め付けられる。下側ヘッドギアストラップ10220の長さの調整により、下側アーム10330が患者1000へ向けて僅かに屈曲できる。これは、ヘッドギアクリップ10210の機械的な保持部材10215が関与されて下側アーム10330の下側ヘッドギア接続ポイント10331を反対方向に引くからである。
【0159】
従前のマスクの幾つかの硬化ヘッドギア構成要素は、フレームよりも硬質である。一般に、これらの剛性が高いヘッドギア構成要素は、ヘッドギアを手動調整してそれを患者の頭部に嵌め付けるためにネジ付きのアームとボルトとを使用する。可撓性フレームは、マスクの快適さを向上させて、良好なシールをもたらし、不慮の漏れを最小限に抑えるとともに、ヘッドギアストラップが治療のための低圧レベルにとって締め付けすぎるリスクを最小にするが、可撓性フレームがシール形成構造体と解放可能に取り外しできるものである必要があった場合には何らかの困難が生じる。シール形成構造体は、それらが患者の気道に対するシールを形成するように弾性的に可撓性がある。シール形成構造体およびフレームの両方が同様の可撓性を有する(すなわち、非常に可撓性があるあるいは非常に軟質である)場合、これらの2つの部分を互いに係合させることは、患者1000にとって、特に暗い部屋にいる手に関節炎を患っている患者1000にとっては困難である。
【0160】
従前のマスクの幾つかの硬化ヘッドギア構成要素は、フレームから取り外しできる。一般に、これは、いずれも硬質で剛性が高い構成要素であるリジダイザアームとマスクフレームとの間のスナップ嵌合またはクリップ接続によってなされる。リジダイザアームとフレームとの間のこのタイプの硬質−硬質間接続は、接続ポイントで低い可撓性をもたらし得る。このことは、このポイントで屈曲するためにより大きな力が必要とされ、それにより、顔幅が大きい患者に不快感を引き起こすことを意味する。これは、リジダイザアームを外側に強制的に曲げるときに締め付け力を受ける場合があるからである。これらのリジダイザヘッドギア構成要素の一部は、フレームとの解放可能な接続のためにリジダイザアームの遠位端部に硬質クリップを有する。硬質クリップはヘッドギアストラップに取り外し不能に接続されており、そのため、ヘッドギアが洗浄機内で洗浄される際に洗浄機チューブまたは他の洗濯物を損傷させる場合がある。また、これらの硬化ヘッドギア構成要素の一部は、幅広フレームを有する患者インタフェースを必要とする傾向があり、このことは、ヘッドギアストラップが他からより大きく距離を隔てたフレーム位置から始まることを意味する。幅広フレームは横方向アームを有してもよく、これらの横方向アームは、それらが同じ材料から形成されるため、フレームの一部と見なされる。幅広フレームは、顔面上でより大きな占有領域を占めるものであるため、患者1000および患者のベッドパートナー1110はこれを一段と目立ち、且つ審美的に望ましくないと感じる場合がある。一方、本技術の1つの例において、上側アーム10320は、ヘッドギアストラップ3301よりも可撓性が低い材料から形成される。言い換えると、ヘッドギアストラップ3301は、主に弾性織物から形成されるため、位置決め安定化構造体3300の最も可撓性がある構成要素である。位置決め安定化構造体3300の2番目および3番目に可撓性が大きい構成要素はそれぞれ、1つの例では、上側アーム10320、その次に下側アーム10330である。最も硬質なあるいは最も剛性が高い構成要素は、容易にあるいは全く屈曲しない、伸長しない、または、曲がらないようになっているフレーム3310、特に接続ポート3600付近のフレーム3310の部位である。これは、シール形成構造体3100が弾性変形によって患者の気道とのシールを形成するようになっているからである。個々の構成要素の可撓性の違いは、特定の場所で屈曲の大きさを制御できるとともに、特定の力が加えられるとき、例えばチューブトルクが作用するときまたは大きな顔幅を受け入れるときに特定の構成要素が屈曲し始める順序を決定できる。個々の構成要素の可撓性の違いは、力が特定の態様または順序でシール形成構造体3100のシールに支障を来し始め得る前に、これらの力を切り離してもよい。これらの因子は、快適さ、安定性、および、良好なシールの形成という患者インタフェース3000のための要件に同時に対処することを狙っている。
【0161】
6.3.4 プレナムチャンバとフレームとの間の接続
本技術の1つの形態において、プレナムチャンバ3200は、例えば洗浄を容易にするため、または、異なって寸法付けられたシール形成構造体3100の交換のために、フレーム3310に対して取り外し可能に取り付けることができる。これにより、プレナムチャンバ3200をフレーム3310および短チューブ4180よりも頻繁に洗って洗浄できるようにしてもよい。また、それにより、プレナムチャンバ3200をヘッドギアストラップ3301とは別個に洗って洗浄できるようにしてもよい。別の形態では、プレナムチャンバ3200をフレーム3310から容易に取り外すことができない。
【0162】
プレナムチャンバ3200はプレナム接続領域3240(
図81参照)を備えてもよい。プレナム接続領域3240の保持構造体3242は、対応するフレーム接続領域3312(
図83参照)の形状および/または形態に対して相補的な形状および/または形態を有する。プレナム接続領域3240の保持構造体3242は、プレナムチャンバ3200の他の部分よりも硬質であり、フレーム3310と同じ材料、例えばポリプロピレンまたはポリアミドから形成されてもよい。他の実施形態では、プレナム接続領域3240がナイロンから形成されてもよく、また、フレーム3310がポリプロピレンから形成されてもよい。ナイロン、ポリアミド、および、ポリプロピレンは、軟質材料ではなく、指圧に容易に順応しない。したがって、プレナム接続領域およびフレームが互いに係合されると、聞き取れるクリック音および硬質−硬質間接続が存在する。
図83および
図102〜
図105には、保持構造体3242の形状が円、放物柱または双曲柱に似た形状を成して描かれる。保持構造体3242は、それがフレーム3310と係合するときおよびフレーム3310から離脱するときにその一般的形状を維持するために、伸長不可能であり、伸び縮みしない。保持構造体3242の形状は、僅かな程度の屈曲を許容するが、保持構造体3242の両側が指圧によって一緒につままれる場合に互いに触れることができる程度まで屈曲を許容しない。言い換えると、保持構造体3242の両側は、通常の治療状況下では生じない患者1000により意図された大きな締め付け力によってのみ互いに接触し得る。保持構造体3242は、成形後、技術の一例にしたがって、プレナムチャンバ3200に(例えば接着剤を使用して)接着されてもよい。他の例において、保持構造体3242とプレナムチャンバ3200との間で一体の化学結合(分子付着)が利用されてもよい。
【0163】
技術の一例において、保持構造体3242は、それが成形された後に屈曲を伴わずに金型から除去され得るように逃げ溝を何ら伴うことなく成形されてもよい。保持構造体3242は、フレーム3310と接触する前側に連続的な外周縁を有する。この連続的な外周縁は、それがフレーム3310と接触して軟質−硬質間係合を形成するように露出される。これは、大部分の軟質−硬質間接続とは対照的であり、軟質−硬質間接続では、一部の従前のマスクにおいて、取り外し可能な硬質保持構造体の大部分を覆ってこれと重なるシール形成構造体の前唇部が存在する。前唇部は、LSRから形成されており、保持構造体を一緒に保持するために保持構造体上にわたって巻き付く。しかしながら、そのような従前のマスクでは、取り外し可能なクリップ上に前唇部を巻き付けることが困難であって煩わしく、また、クリップを誤って配置することが想定でき、その結果、シール形成構造体をフレームに接続できなくなる。
【0164】
保持構造体3242の1つの目的は、フレーム3310と係合するときにプレナムチャンバ3200を位置合わせすることである。これは、フレーム3310のフレーム接続領域3312と干渉部3314との間に画定される空間内でプレナムチャンバ3200の保持構造体3242の形状が(場合により多様な深さで)保持されるからである(
図97参照)。
【0165】
保持構造体3242の他の目的は、プレナムチャンバ3200をフレーム3310に対して、これらの2つの部品間の相対的な横方向の垂直な相対動作を防止することによって保持することである。プレナム接続領域3240は少なくとも1つの保持機能部3244,3245を備えてもよく、また、少なくとも1つの相補的なフレーム接続領域3312,3313が存在してもよい。プレナム接続領域3240が1つ以上の保持機能部3244,3245を備えてもよい(
図81)。プレナムチャンバ3200とフレーム3310との間の相対的な横方向の垂直な動きを防止することに加えて、保持機能部3244,3245の他の目的は、これらの2つの部品間の相対的な長手方向の動きを防止することである。プレナムチャンバ3200の残りの部分は、保持構造体3242およびプレナム接続領域3240よりも可撓性がある材料を備えてもよい。
【0166】
1つの形態において、プレナム接続領域3240は、硬質材料または半硬質材料、例えば高デュロメータシリコーンまたはTPE、プラスチック、ナイロン、耐温度性材料、ポリプロピレン、および/または、ポリカーボネートから構成される。プレナム接続領域3240は、プレナムチャンバ3200の他の部分とは異なる材料から構成されてもよい。例えば、プレナム接続領域3240は、プレナムチャンバ3200の接続部3202(
図81)と取り外し不能に接続される、一体的に結合される、または、機械的に連結される別個の構成要素であってもよい。
図89を参照すると、プレナムチャンバ3200の接続部3202は、プレナム接続領域3240の保持構造体3242とほぼ同じ厚さを有してもよい。プレナム接続領域3240は、チャネル部3211.1、例えばフレーム3310(
図92)のチャネル部により嵌合状態で受けられるように構成されて配置された舌部3211を含んでもよい。このようにすると、チャネル部3211.1が舌部3211のための嵌め合い機能部を形成することができ、逆もまた同様である。また、舌部3211およびチャネル部3211.1は、この領域でシール表面積を最大にするように寸法付けられてもよい。
【0167】
6.3.4.1.1 プレナムチャンバの取り付けおよびフレームからの取り外し
プレナムチャンバ3200は、フレーム3310に対して取り付け固定されてもよいが、フレーム3310に対して取り外し可能に取り付けられてもよい。
図90は、フレーム3310に対する接続位置にあるプレナムチャンバ3200の接続部3202を示す。プレナム接続領域3240は、この例では、接続領域3240に位置付けられる保持機能部3244のみを含む。
図90は、鉤状部3246を貫通する断面を示し、一方、
図92は、例えばチャネルまたは溝3211.1を形成する、鉤状部3246が存在しない他の断面を示す。弾性鉤状部3246は、(偶発的な外れを防止するための)高い保持力を与えるとともに比較的容易い意図的な取り外しも可能にするある種のスナップ式圧縮嵌合部材である。
図92において、プレナム接続領域3240およびフレーム3310は、舌−溝状態様で互いに簡単に嵌合する。フレーム3310および保持構造体3242は、保持機能部3244,3245がフレーム3310と係合する前に舌部3211とチャネル部3211.1とが係合するように形成されてもよい。これは、接続のために保持機能部3244,3245を位置合わせするのに役立ち得る。
【0168】
フレーム3310に接続するプレナム接続領域3240(
図81参照)は、上端および下端に位置付けられる2つの「スナップ機能部/鉤状部」(幅が異なる、例えば保持機能部3244,3245)から成る。これは、フレームとの容易な一方向組み付けを可能にするとともに、使用中に十分な保持をもたらす。フレーム3310に組み付けられると、
図90に示されるように、クッションアセンブリ3002の内周付近のシリコーンシールリップ3250がフレーム3310上の干渉部3314に当て付いて撓ませられる。この干渉は、加圧下で積極的に強化されるエアシールをクッションアセンブリ3002とフレームアセンブリ3001との間にもたらす。フレームアセンブリ3001からのクッションアセンブリ3002の取り外しは、上端部および下端部における2つの「スナップ機能部」位置(例えば、保持機能部3244,3245)でクッションアセンブリ3002をつまんでフレーム3310から引き離すことによって助けられる。一例において、保持構造体3243は、フレームに対して繰り返し係脱できるように構造化されてもよい。
【0169】
各保持機能部3244,3245は、前面3246.1および後面3246.2を有する鉤状部3246(
図89および
図90)の形態を成してもよい。前面3246.1は、プレナムチャンバ3200とフレーム3310とが互いとの係合状態へと移動される際にフレーム3310のフレーム接続領域3312の引き込み面3312.1と係合するようになっている。
図95および96に示されるように、保持機能部3244が所定位置へと押し込まれると、該保持機能部が変形する。また、フレーム3310のフレーム接続領域3312の上側領域および下側領域並びに干渉領域3314も僅かに変形してもよい。また、保持構造体3242も特に保持機能部3244付近で僅かに変形してもよい(例えば、
図95および
図96の破線参照)。
図98〜
図102を参照すると、フレーム3310のフレーム接続領域3312および干渉部3314の変形は、許容される変形量に関して、および、変形が起こるようになっている区域に関しても、リブ3294の使用によって制御される。本技術の1つの例では、干渉部3314の周囲で離間されて干渉部3314に当て付く4つのリブ3294が存在するが、4つを上回るあるいは4つを下回るリブも想定し得る。リブ3294の間隔および位置は、干渉部3314の変形の区域を、保持機能部3244,3245に近い区域だけに制限する。リブ3294は、プレナムチャンバ3200がフレーム3310と係合されるときにプレナム接続領域3240とフレーム接続領域3312との間のより強固な係合をこれらの接触点でもたらすためにプレナム接続領域3240の内面に当接して変形してもよい。プレナムチャンバ3200から独立したプレナム接続領域3240を示す
図102〜
図105を参照すると、プレナムチャンバ3200のプレナム接続領域3240は、リブ3294と対応するように切り欠き3295を有してもよい。切り欠き3295は、プレナムチャンバ3200とフレーム3310との組み付け中にリブ3294に当て付くプレナム接続領域3240の摩擦を最小限に抑えるために面取りであってもよい。鉤状部3246が十分な量で押し込まれる時点で、鉤状部は、鉤状部3246が
図90に示される保持位置をとるように径方向外側へとスナップ係合する。スナップ作用は、安心感を与えるクリック音などの聞き取れる音をユーザにもたらし、それにより、適切な接続が確立されたというフィードバックをユーザまたは患者に与える。保持位置では、
図90に示されるように、鉤状部3246の後面3246.2がフレーム接続領域3312の保持面3312.2と係合する。この安心感を与えるクリック音は、技術の1つの例では、十分な剛性のプレナム接続領域3240を形成することによって容易にされてもよく、その剛性はプレナム接続領域3240の近傍で最も大きい。この剛性は、オーバーモールド製造によって達成されてもよい。
【0170】
使用の容易さを促進させるために、鼻マスク形態では、ユーザ/患者が識別できるサブアセンブリの数を減らすべくオーバーモールド技術が使用される。フレーム3310およびチューブサブアセンブリ4180を構成する構成要素は、1つの完全に一体化されたフレームアセンブリ3001へとオーバーモールドされる。これらの構成要素は、フレーム3310と、下側アーム10330上の2つの磁石10340と、短チューブ4180とを含む。スイベルアダプタおよび回転スイベル4190がその後に短チューブ4180の遠位端部に取り付けられる。組み付けられた時点で、アーム10320,10330から回転スイベル端部4190にまで至るこの一体化されたフレーム3310および短チューブアセンブリ4180は、取り外しの必要なく、取り扱われ、洗浄され、および、消毒されるようになっている。フレーム3310は、スナップ機能部または接続領域3312,3313を介して接続するクッションアセンブリ3002のための筐体としての役目を果たすとともに、クッション3100とフレーム3310とのエアシールを得るためのシール面も与える。
【0171】
スイベルアセンブリ4190自体は、1つのユニットへと取り外し不能に組み付けられる2つの部分から成る。スイベルアダプタ4190は、短チューブ4180とスイベルとの間を接続する。スイベル構成要素は、スイベルアダプタ4190とPAPシステム空気送出ホース4178との間で360°全体にわたって回転できる。
【0172】
図90において分かるように、鉤状部3246およびフレーム接続領域3312の表面は、プレナムチャンバ3200とフレーム3310との間のスライド接続を容易にするために特定の態様で傾けられる。例えば、先に述べられたように、前面3246.1および引き込み面3312.1は、これらの表面が相対的な容易さをもって互いにスライド係合できるように互いに対応する角度をもって形成されてもよい。同様に、後面3246.2および保持面3312.2は、接続された時点で、フレーム3310およびプレナムチャンバ3200を保持するのに役立つように互いに対して傾けられてもよい。後面3246.2と保持面3312.2との間の角度は、例えばシール形成構造体3100の軸線にほぼ沿って印加される引張力が鉤状部3246を内側に屈曲させることによりプレナムチャンバ3200をフレーム3310から解放するのに十分であるように選択される。この引張力は、患者1000が最初に例えばプレナムチャンバ3200を前後方向に圧搾することによって鉤状部3246を径方向内側に撓ませることを要しない。むしろ、関連する角度に起因して、鉤状部3246の径方向の撓みは、印加される軸方向の引張力の結果としてのみ生じる。本技術の1つの例では、プレナム接続領域3240が撓まされ、また、フレーム3310からのプレナムチャンバ3200の分解は、プレナムチャンバ3200(例えば、プレナムチャンバ3200をその横方向寸法(左右)で圧搾する)をつまんでプレナムチャンバ3200をフレーム3310から引き離すことによって行われる。
【0173】
図90において分かるように、プレナムチャンバ3200は、プレナム接続領域3240を介してフレーム3310に取り付けられ、また、保持機能部3244は、鉤状部3246によってフレーム接続領域3312と係合される。この図にも示されるように、フレーム接続領域3312の保持面3312.2および鉤状部3246の後面3246.2は、係合されて互いに同一平面である。患者がプレナムチャンバ3200をフレーム3310から取り外すために、患者1000は、後面3246.2に当て付く保持面3312.2の抵抗に打ち勝つべくプレナムチャンバ3200を十分な力を伴ってフレーム3310に対して引っ張らなければならない。本技術の1つの例において、プレナムチャンバ3200を挟圧すると、プレナムチャンバ3200をフレーム3310から取り外すために必要とされる軸方向引張力が減少する。この抵抗は、これらの表面3312.2,3246.2が互いに係合する角度を変えることによって所望のレベルに「合わせられ」得るまたは選択的に調整され得る。これらの表面3312.2,3246.2がプレナムチャンバ3200をフレーム3310から取り外すために患者1000により加えられる力の方向に対して垂直に近ければ近いほど、取り外しをもたらすために必要とされる力が大きくなる。この角度は、後面3246.2が公称垂直軸線3246.4(フレーム3310に対するプレナムチャンバ3200の軸方向の引張方向に対応する)に対して傾けられる
図91にβとして示される。βが増大するにつれて、プレナムチャンバ3200をフレーム3310から取り外すために必要とされる力が増大する。また、βが増大するにつれて、取り外しが患者1000にとってより急激と感じる。1つの例では、約75°の角度βが、患者にとって快適な取り外し感触を生み出すことが分かってきた。更なる例において、βは、取り外しに対する理想的な抵抗レベルをもたらすために、30°から110°まで、または、40°から90°まで、または、65°から85°までさまざまであってもよい。これは、偶発的な外れの可能性を最小限に抑えるように、また、患者1000による意図的な取り外しのみを許容するように選択されてきた。
【0174】
公称垂直軸線3246.4と前面3246.1との間の角度である角度αも、患者1000がプレナムチャンバ3200をフレーム3310に取り付けるときに特定のレベルの力を必要とするように同様に「合わせられ」得るまたは選択的に調整され得る。角度αが増大するにつれて、保持機能部3244をフレーム接続領域3312と係合させるために必要とされる力が増大するとともに、これらの構成要素3244,3312を係合させる患者にとっての取り付け感触もより急激となる。言い換えると、保持機能部3244の前面3246.1がフレーム接続領域3312の引き込み面3312.1に沿ってスライドする際に、患者1000は、角度αが減少するにつれて、より滑らかな係合感触を受けることができる。1つの例では、約30°の角度αが、患者1000にとって快適な取り外し感触を生み出すことが分かってきた。更なる例において、角度αは、取り外しに対する理想的な抵抗レベルをもたらすために、50°から70°まで、または、15°から60°までさまざまであってもよい。
【0175】
また、プレナムチャンバ3200とフレーム接続領域3312との係合および離脱の感触および力を互いに無関係に合わせるまたは選択的に調整することができるため、角度αおよびβは、取り外しの抵抗のレベルとは異なる取り外しに対する抵抗のレベルを患者に感じさせるように選択されてもよい。技術の1つの例において、角度αおよびβは、角度βが角度αよりも大きいように選択されてもよく、それにより、患者は、取り外し抵抗よりも小さいプレナムチャンバ3200とフレーム3310との取り付け抵抗を感じる。言い換えると、プレナムチャンバ3200をフレーム3310から取り外すことの方がそれらを接続することよりも困難であると患者1000が感じ得る。
【0176】
図82において分かるように、技術の1つの例は一対の保持機能部3244,3245を含む。また、この図に示されるように、典型的な保持機能部3244,3245は異なって寸法付けられる。特に、この図は、プレナム接続領域3240の下部に配置された幅狭い方の保持機能部3245がプレナム接続領域3240の上部に配置された幅広い方の保持機能部3244よりも幅狭いことを示す。保持機能部3244,3245を異なって寸法付けることにより、患者1000は、1つの方向でのみプレナムチャンバ3200をフレーム3310に取り付けることができ、位置合わせミスを防止できる。そのような構成が
図82に示される。これは、取り付け中の患者のフラストレーションを回避し、不正確な取り付けによって起こり得る患者インタフェース3000の損傷を最小限に抑えるとともに、患者の気道に対して適切なシールを与えるべくシール形成構造体3100が正しい方向となるようにして、特に患者1000の上唇で接触力の集中を減らすあるいは回避することによって快適さを与える。
【0177】
図88には、フレーム接続領域3312が対応する保持機能部3244と係合して示される。幅広い方の後保持機能部3244は、対応して寸法付けられたフレーム接続領域3312と係合される。ここに描かれる例では、幅狭い方の保持機能部3245が幅狭い方の前フレーム接続領域3313に対応するように寸法付けられるが、それらの係合は見えない。1つの保持機能部が対応する一意的に寸法付けられたフレーム接続領域と係合するように一意的に寸法付けられるこのような構成は、患者がプレナムチャンバ3200を1つの方向でのみフレーム3310に取り付けることができるという利点を有する。取り付け方向を制限することにより、患者1000は、患者インタフェース3000を不適切に組み付けることが防止されるとともに、不適切に組み付けられた患者インタフェース3000に起因して次善の治療を受けることが防止される。技術のこの特定の例に関して記載された構成は、構成要素が適切に位置合わせされる場合にのみ患者1000が患者インタフェース3000を完全に組み付けることができるため、視覚問題に起因して構成要素を正確に係合させる方法を理解するのが困難な場合がある患者1000、または、暗い部屋、例えば就寝前のベッドルームで患者インタフェース3000を組み付けているかもしれない患者1000に有利である。
【0178】
前述したように、鉤状部3246の前面3246.1および後面3246.2は、患者インタフェース3000の組み付けおよび分解に対する最適な大きさの抵抗を与えるのに重要である。また、組み付け時に構成要素の適切な方向付けが確保されるようにそれぞれの保持機能部3244,3245およびフレーム接続領域3312,3313を対応して寸法付ける利点についても前述した。保持機能部3244,3245およびフレーム接続領域3312,3313を適切に寸法付けることは、プレナムチャンバ3200をフレーム3310の方へと案内するのに役立ち得る。言い換えると、フレーム接続領域3312,3313および保持機能部3244,3245は、フレーム接続領域3312,3313の外周および保持機能部3244,3245の外周が保持機能部3244,3245をそれぞれのフレーム接続領域3312,3313へと方向付けて位置合わせするのに役立つように互いに緊密に適合して寸法付けられてもよい。これは、疾病(例えば関節炎)に起因して機敏さが制限される患者、または、就寝前の暗いベッドルーム内であろうがまたは限られた視力に起因していようが視界が損なわれる場合に患者インタフェース3000を組み付ける患者にとって有益となり得る。また、保持機能部3244,3245およびフレーム接続領域3312,3313を互いに緊密に適合して寸法付けることにより、これは、プレナムチャンバ3200とフレーム3310との間のシールがこれらの2つの構成要素間の強固な接続を容易にすることによって維持されるようにするのに役立つ。また、保持機能部3244,3245とフレーム接続領域3312,3313との間の緊密な適合は、フレーム3310に対するプレナムチャンバ3200の同等の位置合わせを容易にするのに役立ち得る。本技術の1つの例では、保持機能部3244,3245とフレーム接続領域3312,3313との間に0.3mm〜2mmの差が組み入れられてもよい。
【0179】
また、前述したおよび後述するフレーム3310とプレナムチャンバ3200との間の接続が他のタイプのマスクと共に使用されてもよいことも理解されるべきである。そのような特徴は、フルフェースマスクにも同様に適用できてもよい。コンパクトな鼻マスクまたはコンパクトなフルフェースマスクなどの鼻梁下をシールするマスクは、本明細書中に記載される接続機能部を組み込んでもよい。また、前頭支持体を欠くマスクは、これらの接続機能部を含んでもよい。また、鼻クレードル/鼻フランジ3101を有するマスクなどの鼻尖部下をシールするマスクを含む本技術の例がこれらの接続機能部を使用してもよいことも想起される。
【0180】
6.3.4.1.2 プレナムチャンバおよびフレームの取り付けおよび取り外しシーケンス
図93〜
図97は、プレナムチャンバ3200の接続部3202およびフレーム3310のフレーム接続領域3312の一連の断面図を示す。これらの順次的な図は、フレーム3310に対するプレナムチャンバ3200の取り付けのプロセスを示す。これらの図は1つのフレーム接続領域3312に対する1つの保持機能部3244の取り付けのみを示すが、
図53〜55、
図69および
図81において分かるようにおよび前述したように、複数の保持機能部3244および複数のフレーム接続領域3312が存在してもよいことが理解されるべきである。したがって、プレナムチャンバ3200およびフレーム3310の取り付けシーケンス中に、プレナムチャンバ3200とフレーム3310との完全な取り付けを達成するために、図示の取り付けシーケンスの複数の事例が行われてもよい。
【0181】
図93は、プレナムチャンバ3200の接続部3202およびフレーム3310のフレーム接続領域3312の断面図を示し、この場合、接続部3202およびフレーム接続領域3312は互いの近傍に位置するが接触しない。矢印は、接続部3202とフレーム接続領域3312とが結合しようとしていることを示す。言うまでもなく、これらの図に関しては、簡単にするため、プレナムチャンバ3200およびフレーム3310の更なる部分が含まれていない。したがって、例えば
図90において分かるように、フレーム接続領域3312および該フレーム接続領域3312の干渉部3314がいずれもフレーム3310の一部であることも理解されるべきである。また、フレーム接続部3312および該フレーム接続部3312の干渉部3314が取り付けシーケンスにわたって互いに対して移動することは言うまでもない。
図93に戻ると、この図は、シールリップ3250が形成されないとともに、保持機能部3244が変形されないことを示す。これは、これらの構成要素3250,3244のいずれもフレーム3310と接触しないからである。
【0182】
図94は、保持機能部3244の鉤状部3246がフレーム3310のフレーム接続領域3312と接触し始めていることを示す。具体的には、この図は、フレーム接続領域3312の引き込み面3312.1と接触する鉤状部3246の前面3246.1を示す。この図において、保持機能部3244およびフレーム接続領域3312は、保持機能部3244が撓まされないように互いに接触しているにすぎない。また、シールリップ3250は、それがフレーム接続領域3312の干渉部3314と未だ接触していないため、撓まされてしまっていない。前述したように、前面3246.1の角度αは、プレナムチャンバ3200とフレーム接続領域3312との係合に対して患者1000が感じる抵抗に影響を及ぼし始める。これは、前面3246.1が引き込み面3312.1と摩擦接触状態で係合し始めるからである。
【0183】
図95は、保持機能部3244がフレーム接続領域3312との接触によって撓まされるように取り付けシーケンスに更に従うプレナムチャンバ3200およびフレーム3310を示す。この図において分かるように、フレーム接続領域3312およびフレーム接続領域3312の干渉部3314は接続部3202に更に近づいている。また、この図に示されるように、鉤状部3246の前面3246.1は、保持面3312.2に更に近い引き込み面3312.1の部分と接触する。言い換えると、鉤状部3246は、フレーム接続領域3312との取り付けの更に近くまで移動してしまっているとともに
図94に示される位置に対して移動してしまって見える。前述したように、プレナムチャンバ3200の接続部3202およびプレナム接続領域3240は、患者1000により生み出される締め付け力によって撓まされてもよい。また、
図95は、保持機能部3244がフレーム接続領域3312との接触によって撓まされてしまっていることも示し、破線は、非変形状態の保持機能部3244の輪郭を示す。また、
図95は、シールリップ3250がフレーム接続領域3312の干渉部3314と未だ接触せず、したがって、シールリップ3250が変形されていないことも示す。この図に示されないが、これらの部分3312,3244が互いに押し進められる力に起因してフレーム接続領域3312が保持機能部3244から離れるように撓み得ることも理解されるべきである。
【0184】
図96では、プレナムチャンバ3200とフレーム3310とがほぼ取り付けられて、保持機能部3244がフレーム接続領域3312とほぼ完全に係合される。この図では、保持機能部3244が依然として変形されるが、鉤状部3246はフレーム接続領域3312の異なる部分と接触する。具体的には、このとき、鉤状部3246の後面3246.2がフレーム接続領域3312の保持面3312.2と接触する。また、後面3246.2と保持面3312.2とが互いに接触する角度に起因して、保持機能部3244およびフレーム接続領域3312は、撓まされた保持機能部3244のその非変形状態へと戻ろうとする固有の傾向によって係合状態へと付勢され、それにより、実際には、特定の挿入距離に達した後にこれらの部分が互いに引き寄せられる。また、
図96は、非変形状態の保持機能部3244の輪郭を破線によって示す。また、この図では、シールリップ3250がフレーム接続領域3312の干渉部3314と接触していることも分かる。取り付けシーケンスのこの時点では、シールリップ3250とフレーム接続領域3312の干渉部3314との接触によってシールが形成され始めてもよい。シールリップ3250は、フレーム接続領域3312の干渉部3314に当て付く接触によって僅かに撓まされてもよい。
【0185】
図97は、保持機能部3244の鉤状部3246とフレーム接続領域3312との係合によって完全に取り付けられるプレナムチャンバ3200およびフレーム3310を示す。この図では、保持面3312.2が後面3246.2に比較的ぴったりとくっついている。また、保持機能部3244は、フレーム接続領域3312との接触によってもはや撓まされ得ない。保持機能部3244は、
図96に示されるその撓んだまたは変形された状態から非変形状態へと戻り、鉤状部3246および保持機能部3244が
図98に示される位置から
図97に示される位置へと移動する際に聞き取れるクリック音を発生させてもよい。この安心感を与える聞き取れるクリック音は、プレナムチャンバ3200とフレーム3310とが完全に係合されるというフィードバックをクリック音が患者1000に与えるという点において有益となり得る。係合の完了時にこのフィードバックを患者1000に与えることにより、患者1000は、プレナムチャンバ3200とフレーム3310とがしっかりと取り付けられて患者1000が就寝して治療を受けている間に分離しないという確信をもって患者インタフェース3000を使用できてもよい。
【0186】
また、所望のレベルのシール接触は、プレナムチャンバ3200とフレーム3310とが
図97に示されるように取り付けられるときに達成されてもよい。シールリップ3250は、フレーム接続領域3312の干渉部3314に当て付いて撓まされているのが分かる。図示のように撓まされることにより、シールリップ3250は、シールリップ3250がその非変形形状に戻ろうとする傾向に起因して十分な力でフレーム接続領域3312の干渉部3314にそれ自体が押し付けられてもよく、それにより、所望のシールがこれらの構成要素間にもたらされる。更に、治療が施されるときにプレナムチャンバ3200内の空気圧が増大するにつれて、シールリップ3250は、フレーム接続領域3312の干渉部3314へ向けて強制的に撓ませられ、それにより、この領域でシール力を増大させる。プレナムチャンバ3200がフレーム3310と係合されるときに保持構造体3242とフレーム接続領域3312との間に圧縮シールが形成される場合であっても、係合時に、シールリップ3250とフレーム接続領域3312の干渉部3314との間には、内部の空気圧が増大するにつれて強くなる圧力作動シールも形成される。特定の例では、圧縮シールが気密ではなく、それにより、望ましくない漏れが生じることが想定され得る。
【0187】
また、圧縮シールを形成するために構成要素の非常に大きな圧縮量が必要とされる場合には、これにより、フレーム3310に対するプレナムチャンバ3200の容易な取り付けおよび取り外しが妨げられる場合があり、その結果、場合により、その操作を行うために片手では済まず、または、かなりの量の労力を必要とする。したがって、本技術の1つの例において、圧縮シールは、主に、シールよりはむしろ保持の目的のために機能し、また、圧力作動シールは、主に、気密シールを形成して維持する目的のために機能する。そのようなシール作用がプレナムチャンバ3200とフレーム3310との間の接合部の周囲にわたって生じていてもよいことが理解されるべきである。例えば、
図92は、保持機能部3244とは別個の領域でフレーム接続領域3312に当て付く同様に撓まされた状態のシールリップ3250を示す。また、
図80および
図81においては、例えば、シールリップ3250がプレナムチャンバ3200の外周にわたって延在することが分かる。シールリップ3250をプレナムチャンバ3200とフレーム3310との間の接合部の周囲にわたって内側で延在させることにより、この領域の全体にわたって所望のレベルのシールを得ることができ、それにより、加圧ガスの望ましくない漏れが防止される。
【0188】
また、シールリップ3250がこれらの部分を分離付勢している力によってフレーム接続部3312の干渉部3314に押し付いていてもよいことが理解されるべきである。しかしながら、鉤状部3246の後面3246.2とフレーム接続領域3312の保持面3312.2との構造的な係合に起因する摩擦力は、シールリップ3250が非変形状態に戻ってプレナムチャンバ3200をフレーム3310から分離しようとする傾向の力に抵抗するのに十分でなければならない。
【0189】
プレナムチャンバ3200とフレーム3310との取り外しに関しては、このプロセスが前述したプロセスとはほぼ逆の順序であることが理解されなければならない。言い換えると、患者1000は、これらの構成要素を反対方向に引くことによってプレナムチャンバ3200をフレーム3310から分離してもよく、また、
図97が分離プロセスの始まりであってもよく、
図25は、プレナムチャンバ3200とフレーム3310とが完全に分離される図を表してもよい。プレナム接続領域3240付近でプレナムチャンバ3200を締め付けてまたはプレナム接続領域3240を締め付けてフレーム3310から引き離すことは、フレーム3310からのプレナムチャンバ3200の取り外しに役立ち得る。また、患者1000がプレナムチャンバ3200を握る目的でプレナムチャンバ3200を任意の場所で、締め付けて単にフレーム3310から引き離してもよいことも想起される。引っ張りつつひねる動作も、プレナムチャンバ3200をフレーム3310から離脱させることに役立ち得る。
【0190】
6.3.4.1.3 硬質−硬質間接続
プレナム接続領域3240およびフレーム3310は、
図93〜
図97に示されるように組み付けられて取り付けられてもよい。前述したように、プレナム接続領域3240および/または保持構造体3242は、半硬質材料、例えば高デュロメータシリコーン(プレナムチャンバ3200よりも高いデュロメータ)/TPE、プラスチック、ナイロン、ポリプロピレン、ポリアミド、および/または、ポリカーボネートから構成されてもよい。プレナム接続領域3240は、連続したリングまたは楕円形の2つのC形状クリップ、1つのC形状クリップ、または、単一の連続する断片の形態を成すがプレナムチャンバ3200の一部のみを取り囲んで構成され得る。クリップは、スプリングクリップとして機能してもよく、また、C断面または二重C断面の形態を成してもよい。スプリングクリップのバネ力は、プレナム接続領域3240がフレーム3310のフレーム接続領域3312,3313または干渉部3314に抗して伸長される弾力性によって与えられてもよい。他の例では、クリップ形態が必要でなくてもよく、保持機能部3244,3245のみが接続領域3312,3313と係合するためにプレナム接続領域3240および/または保持構造体3242を伴わずにプレナムチャンバ3200に取り外し不能に直接に接続される。また、本技術の1つの例がプレナム接続領域3240と同じまたは同様の半硬質材料から構成されるフレーム3310を含んでもよいことも想起される。フレーム3310およびプレナム接続領域3240を半硬質材料から製造することにより、「硬質−硬質間」接続インタフェースまたは結合インタフェース、例えば解放可能な硬質−硬質間接続が形成されてもよい。この「硬質−硬質間」接続は、プレナム接続領域3240およびフレーム接続領域3312の構造的特徴と併せて、患者インタフェース3000を組み付けるときにプレナムチャンバ3200とフレーム3310との間の接続の確信的感触を(例えば、聞き取れるスナップ嵌合または安心感を与えるクリック音をもたらすことによって)患者1000に与えることができる。プレナムチャンバ3200とフレーム3310との間の確実な嵌合は、患者1000が患者インタフェース3000を介して最適な治療を受けるようにするのに役立つため、容易な使用と確実な嵌合が達成されたという確信を患者1000に与える構造は有益である。本明細書中に記載される硬質−硬質間接続は、それがシール形成構造体3100により形成されるシールに対して安定性を加えることができるという点においても有益となり得る。これは、プレナムチャンバおよびフレームのいずれか一方または両方が軟質材料から形成され、それにより、特に暗い部屋でプレナムチャンバとフレームとを容易に適切に係合させることを関節炎の手にとって難しくする、硬質−軟質間接続または軟質−軟質間接続とは対照的である。また、「硬質−硬質間」接続は、フレーム3310に対するシール形成構造体3100の簡単な取り付けおよび再取り付けをもたらす。
【0191】
保持機能部3244,3245がプレナムチャンバ3200に設けられるように説明されるとともに、接続領域3312,3313がフレーム3310に設けられるが、その場所をフレーム上の保持機能部およびプレナムチャンバ上の接続領域に切り換えることができてもよい。また、一方の部分には、他方の部分にある接続領域および保持機能部と対応する保持機能部と接続領域との組み合わせが存在してもよい。
【0192】
6.3.5 プレナムチャンバを形成する方法
プレナムチャンバ3200を製造する方法は、第1の金型内でプレナム接続領域3240を成形して、成形されたプレナム接続領域3240を第1の金型から除去するとともに、プレナム接続領域3240を第2の金型内へ挿入して、第2の金型内で接続部3202を備えるプレナムチャンバ3200の一部を成形するステップを備えてもよい。プレナム接続領域3240は、接続部3202に対して化学的に結合されおよび/または機械的に連結されてもよい。
【0193】
1つの形態において、シールリップ3250は、プレナムチャンバ3200とフレーム3310とが互いに組み付けられるときにフレーム接続領域3312の干渉部3314と干渉する(
図90)ように構成されて配置される。使用時、シールリップ3250は、フレーム接続領域3213の干渉部3314と組み付けられるときに静止位置(
図89)から離れるように弾性的に屈曲させられるとともに、少なくとも部分的には弾性材料である結果として干渉部3314に押し付いて(
図90)、シールリップ3250と干渉部3314との間での空気の漏れに抵抗するまたは漏れを防止する。シールリップ3250がプレナムチャンバ3200に設けられるように説明してきたが、シールリップ3250がフレーム3310に設けられてもよい。1つのシールリップを説明してきたが、2つ以上のシールリップが設けられてもよいことが想定され、その場合、少なくとも1つのシールリップがプレナムチャンバ3200に設けられ、また、少なくとも1つのシールリップがフレーム3310に設けられる。
【0194】
6.3.6 位置決め安定化構造体3300
本技術の1つの形態では、多くの構造的特徴が位置決め安定化構造体3300の一部、例えばヘッドギアアセンブリ(単にヘッドギアと称される場合がある)を形成することに留意されたい。本技術の別の形態では、これらの特徴のうちの1つ以上がフレーム3310に位置付けられる。
【0195】
本技術の患者インタフェース3000のシール形成構造体3100は、使用時に、位置決め安定化構造体3300によってシール位置に保持されてもよい(
図75、
図76および
図166)。1つの形態において、位置決め安定化構造体3300はヘッドギアを備える。言うまでもなく、位置決め安定化構造体3300は、本技術の1つの形態では、ヘッドギアと称されてもよい。
【0196】
ヘッドギアストラップ3301は、フレーム3310の上側アームおよび下側アーム10320,10330を介して位置決め安定化構造体3300などの患者インタフェース3000の一部分に対して取り外し可能に接続できてもよい。
【0197】
位置決め安定化構造体3300は、首ストラップ10227または円形のクラウンストラップ10225に接続される2対のサイドストラップ、すなわち、一対の上側サイドストラップ10230と、一対の下側サイドストラップ10220とを備えてもよい。上側サイドストラップ10230は、上側ヘッドギア接続ポイント10325に接続して、実質的に患者1000の眼と耳との間からクラウンストラップ10225まで延在する患者の顔面の両側に沿って位置付けられてもよい主ヘッドギアループを画定する。サイドストラップ10230,10220は、Y形状のヘッドギアコネクタ800上またはフレーム3310上のヘッドギア接続ポイント10325,10331に接続するために調整可能なフックアンドループ(Velcro(商標))接続機構950を含む。
【0198】
接続ポイント10325,10331はいずれも、コネクタに対するヘッドギアストラップ3301の接続を保持するための保持機構と、シールのためにヘッドギアストラップ張力を調整するための別個の調整機構とを備える。保持機構と調整機構との分離は、コネクタに対するヘッドギアストラップ3301の接続とは独立してヘッドギアストラップ3301を調整できるようにする。独立した調整は、ヘッドギアストラップ3301を調整または‘設定’した後、ヘッドギアストラップ3301を着用するあるいは取り外す際にこの調整された位置のままにしておくことができるようにし、それにより、患者1000が自分達の以前の設定を‘忘れる’ことができるようにする「設定および忘れ機能部」を可能にする。
【0199】
位置決め安定化構造体3300は、首ストラップ10227または円形のクラウンストラップ10225に接続される2対のサイドストラップ、すなわち、一対の上側ヘッドギアストラップ10230と、一対の下側ヘッドギアストラップ10220とを備えてもよい。上側ヘッドギアストラップ10230は、上側ヘッドギア接続ポイント10325に接続して、実質的に患者の眼と耳との間からクラウンストラップ10225まで延在する患者の顔面の両側に沿って位置付けられてもよい主ヘッドギアループを画定する。上側ヘッドギアストラップ10230は、フレーム3310の上側アーム10320上の上側ヘッドギア接続ポイント10325に接続するために調整可能なVelcro(商標)状の接続機構950を備える。
【0200】
典型的な位置決め安定化構造体3300は、参照によりその全体が本願に組み入れられる2010年5月28日に出願された国際特許出願公開2010/0135785号に開示される。
【0201】
一例において、本技術の患者インタフェース3000のシール形成構造体3100は、使用時に、位置決め安定化構造体3300によってシール位置に保持される。
【0202】
本技術の他の形態において、本技術の患者インタフェース3000のシール形成構造体3100は、位置決め安定化構造体3300に対する4点接続によってシール位置に保持される。
【0203】
位置決め安定化構造体3300は、クッションアセンブリ3002を患者1000の顔面上に保持する。ヘッドギアストラップ3301は、患者1000の頭部に適合するように形成される。ヘッドギアストラップ3301は、顔マーキングを減少させるとともに快適で嵌め付けが容易な高級なロールエッジ布地から形成されてもよい。ヘッドギアストラップ3301は、頭冠を被包する円形のクラウン構造から成る。2対の水平に方向付けられた上側ヘッドギアストラップ10230は、上端クラウンストラップ10225から患者の顔の前面へと延在し、これらはフレーム3310に固定される。2つの上側ヘッドギアストラップ10230の端部は、上側アーム10320に通されて、後方に折り返された後、調整部材または締結部材、例えばVelcro(商標)状のフックタブ950を使用して締結される。これらの上側ヘッドギアストラップ10230は、患者の鼻梁部位の周囲でエアシールを容易にする。同様に、下側ヘッドギアストラップ10220は、2つのオーバーモールドされた磁気ヘッドギアクリップ10210に通されて同じタイプのVelcro(商標)状のフックタブ950を使用して固定される。ヘッドギアクリップ10210は、自動位置決めして、フレーム3310の下側アーム10330に位置付けられる2つの対応する半体と係合する。これらの2つの下側ヘッドギアストラップ10220は、患者の顔に対してシリコーンシール形成構造体3100を保持するとともに、シール形成構造体3100の下端および両側部が患者の顔面と共にエアシールを達成できるようにする。
【0204】
ヘッドギアストラップ3301の長さは、Velcro(商標)状のフックタブ950を外して、ストラップ10220,10230を上側アーム10320またはヘッドギアクリップ10210のいずれかに通してスライドさせ、フックタブ950を再び締結することによって容易に調整される。フックタブ950がひとたび締結されてセットされると、ヘッドギアクリップ10210のうちの一方を解放することによりヘッドギアを迅速且つ容易に取り外すことができる。締結されたVelcro(商標)状のフックタブ950は、次の使用のためにヘッドギア設定を維持するのに役立つ。例示されるように、ヘッドギアは、ストラップ10220,10230,10225,10226および首ストラップ10227へとカットされる互いに超音波溶着される三層の積層体(布地、発泡体、および、布地)から形成される。一例では、例えばコストを節約するために、ストラップの少なくとも一部(例えば、10220,10230,10225,10226)が、直線状のカットによって形成されてもよく、また、直線状の縁部を伴って一直線を成す。これは、それらのストラップが材料のシートからカットされれば、材料廃棄物が少ないからである。
【0205】
図115〜
図121は、本技術の1つ形態に係る患者インタフェース3000を患者に嵌め付けるための連続するステップを示す。例えば、シール形成構造体3100が最初に患者の顔面と係合され、上端クラウンストラップ10225、首ストラップ10227、側部クラウンストラップ10226、および、下側ヘッドギアストラップ10220が
図115に示されるように患者の頭部の上端を乗り越えて通される。上端クラウンストラップおよび側部クラウンストラップ10225,10226が頭冠を被包するように患者の頭部と係合され(
図116)、その後、下側ヘッドギアストラップ10220と関連付けられるヘッドギアクリップ10210がフレーム3310の下側アーム10330と係合される(
図116)。上側ヘッドギアストラップ10230および/または下側ヘッドギアストラップ10220の長さが手動調整されてもよい(
図118および
図119)。最後に、空気回路4170が患者インタフェースに設けられる短チューブ4180に接続されてもよく(
図120)、その後、快適さのためおよび適合させるために、患者インタフェースが顔面上において手動で調整されあるいは微調整されてもよい(
図121)。
【0206】
図122および
図123に示されるように、患者インタフェース3000は、ヘッドギアクリップ10210のうちの一方を外して(
図122)、患者の頭部を乗り越えるようにヘッドギアを引き上げる(
図123)ことによって患者の頭部から迅速且つ容易に取り外すことができる。
【0207】
図124〜
図126は、本技術の1つの形態に係る患者インタフェース3000を分解するための様々なステップを示す。例えば、
図124は、外されて上側アーム10320から引っ張られて離脱される上側ヘッドギアストラップ10230のVelcro(商標)状のフックタブ950を示し、また、
図125は、クッションアセンブリをフレーム3310から取り外すためにクッションアセンブリ3002がその横側から圧搾されて挟持されている状態を示し、また、
図126は、上側アーム10320からスライドして外されて除去される上側アームスリーブ10312を示す。
【0208】
図127〜
図130は、本技術の1つの形態に係る患者インタフェース3000を再び組み付けるための様々なステップを示す。例えば、
図127は、クッションアセンブリ3002がその横側で圧搾されてフレーム3310に押し込まれてこれと係合される状態を示し、
図128は、上側アーム10320上へとスライドされて上側アーム10320に組み付けられる上側アームスリーブ10312を示し、
図129は、上側アーム10320に通される上側ヘッドギアストラップ10230のVelcro(商標)状のフックタブ950を示し、および、
図130は、ヘッドギアクリップ10210に通されて、後方へ折り返された後に、締結される下側ヘッドギアストラップ10220のVelcro(商標)状のフックタブ950を示す。
【0209】
図64〜
図67、
図72、
図84、
図86は、開示技術に係る位置決め安定化構造体3300のためのヘッドギアストラップ3301を描く。ヘッドギアのクラウンアセンブリは、首ストラップ10227と、側部クラウンストラップ10226と、上端クラウンストラップ10225を備える。首ストラップ10227は、側部クラウンストラップ10226および下側ヘッドギアストラップ10220に接続される。側部クラウンストラップ10226および上端クラウンストラップ10225は、高い可撓性を与える薄肉接続部10223で接続される。薄肉接続部10223は、略V形状を有してもよく、また、少なくとも部分的に互いに離間されることが好ましい。薄肉接続部10223が溶着部であってもよい。
【0210】
首ストラップ10227は2つの大側縁部10228,10229を備える。この例では、大側縁部10228,10229が略湾曲形状を有する。大側縁部10228,10229は2つの小側縁部10231,10232を相互に接続する。小側縁部10231,10232は、首ストラップ10227の対称軸線から離れてあるいは対称軸線の側方に位置付けられる。小側縁部10231,10232はそれぞれ3つのエッジ部を備える。
【0211】
首ストラップ10227の対称軸線に対して垂直な軸線と直交する方向で測定される首ストラップ10227の幅は、両側の大側縁部10228,10229の凹状の湾曲部で減少される。側部クラウンストラップ10226は、それぞれの上側接続部10222で首ストラップ10227に接続されあるいは接続可能である。下側ヘッドギアストラップ10220は、それぞれの下側接続部10221で首ストラップ10227に接続されあるいは接続可能である。描かれた例の下側接続部10221は、それぞれの下側ヘッドギアストラップ10220の主軸線に対して略垂直に延在する。ここで、上側接続部10222は、それぞれの側部クラウンストラップ10226の延在の主軸線に対して鋭角を成して方向付けられる。
【0212】
フレーム3310に接続する各ストラップ10230,10220にはフックアンドループタブ950が設けられる。下側ヘッドギアストラップ10220に溶着される側部クラウンストラップ10226に対して上端クラウンストラップ10225を溶着することにより、最終的な三次元クラウンアセンブリが得られる。
【0213】
6.3.6.1 磁気的なヘッドギア係合
位置決め安定化構造体3300とフレーム3310との間の係合の1つの形態が磁気的係合によるものであってもよい。これは、患者1000がヘッドギアストラップ3301の長さを調整しなければならないとともに患者が患者インタフェース3000を着脱する度にフックアンドループタブ950を使用することを回避する「設定および忘れ」メモリとして磁気的係合が機能するため、患者1000に利便性を与える。また、磁気的係合は、使用の容易さを与えるとともに、関節炎の手を有する患者1000を微光状態において助ける。これは、磁気的吸引力が直観的にヘッドギアクリップ10210を下側アーム10330上の下側ヘッドギア接続ポイント10331の方へとそれらが互いに接近しているときに至らせるあるいは案内するからである。これは自動位置合わせをもたらし、また、良好な係合時の可聴クリックは、患者が治療をより迅速に開始または再開できるようにする素早い嵌め付けを患者1000にとって可能にする。
【0214】
下側アーム10330は、下側ヘッドギア接続ポイント10331で下側アーム10330の遠位自由端部に収容されるあるいは埋め込まれる磁石10340を備えてもよい。磁石10340は、下側アーム10330と同じ材料中に完全に封入される。一例において、下側アーム内の磁石の封入は、例えばオーバーモールドまたは超音波溶着によって行われてもよい。磁石10340は、例えば磁極吸引力によってヘッドギアクリップ10210内に埋め込まれる磁石10216に磁気的に引き付けられる。ヘッドギアクリップ10210は、位置決め安定化構造体3300の下端ヘッドギアストラップ10220上に位置付けられて下端ヘッドギアストラップ10220に沿って自由に移動できる。
図109は、ヘッドギアクリップ10210および該ヘッドギアクリップ内に埋め込まれた磁石10216の断面を示す。図示のように、ヘッドギアクリップ10210は、ヘッドギアストラップ10220を通すことができるようにするスロットまたは空隙10217を画定するクロスバー10218を備える。一例において、スロット10217は、細長く、そのため、使用時にその長手方向軸線が名目上の垂直軸線と平行に方向付けられる。ヘッドギアクリップ10210がヘッドギア接続ポイント10331と係合されてヘッドギア張力が加えられるときに、スロット10217は下側アーム10330およびフレーム3310によって遮られない。
【0215】
磁石10340と磁石10216との間の磁気的吸引力は、ヘッドギアクリップ10210を下側アーム10330の下側ヘッドギア接続ポイント10331へと案内して位置合わせする。また、これらの磁石は、ヘッドギアクリップ10210と下側ヘッドギア接続ポイント10331との機械的な係合に加えて、下側ヘッドギア接続ポイント10331でフレーム3310に対するヘッドギアクリップ10210の何らかの係合力を与えるのに役立ってもよい。一例において、ヘッドギアクリップ10210およびフレーム3310は、ヘッドギアシステムと称されるサブアセンブリを形成してもよい。
【0216】
磁石10216は、ヘッドギアクリップ10210を形成する材料によって完全に覆われる。磁石10216を覆う材料は、モールドラインを何ら伴うことなくほぼ滑らかな外面を有してもよい。同様に、磁石10340も下側アーム10330内に完全に封入される。磁石10340を覆う材料は、モールドラインを何ら伴うことなくほぼ滑らかな外面を有してもよい。磁石10216,10340を覆う材料のほぼ滑らかな外面は、視覚的および審美的に良好であることに加えて、任意の相対的な摩擦および物理的障害を最小限に抑え、それにより、容易な相対回転を可能にする。
【0217】
図70を参照すると、ヘッドギアクリップ10210は、フレーム3310の下側アーム10330の下側ヘッドギア接続ポイント10331と機械的に係合するようになっている機械的構造体または機械的保持部材10215を備えてもよい。下側アーム10330は、該下側アーム10330と共に下端ヘッドギアストラップ10220を解放可能に保持するための磁石10340を備える。1つの例において、機械的な保持部材10215は、下側ヘッドギア接続ポイント10331の円筒部10334(例えば、
図57および
図59参照)の半円外周領域と機械的に係合するための半円の形状を成す保持壁または隆起壁、縁部またはリムである(例えば、
図70および
図109における隆起壁の半円断面またはU形状を参照)。すなわち、磁石10340の封入は、前方に延在する円筒部10334によって隆起面10335をもたらし、また、隆起面10335は、ヘッドギアクリップ10210の外周隆起縁部10215に対する機械的な係合を可能にする。これは、雄部分がヘッドギアクリップ10210の隆起縁部10215内に画定される円形空間である雌部分(
図70参照)と嵌合する下側ヘッドギア接続ポイント10331の筒体または円筒部10334(
図56参照)の半円外周領域となる嵌め合い関係である。すなわち、隆起壁または縁部10215は、ヘッドギア接続ポイント10331を受けるようにされた空間を画定する。この幾何学的形態は、雌部分と雄部分との間の止まり嵌めあるいは機械的なロックをもたらす。例えば、機械的構造体は、ヘッドギア張力が加えられるときにフランクフォート水平方向と略平行な方向でのヘッドギアクリップ10210の直線移動を防止する。一例において、円筒部10334による隆起面10335は、円筒部10334に対するヘッドギアクリップ10210の保持を容易にするためにアンダーカットを与えるべく傾けられあるいは傾斜されてもよい。円形嵌め合いの幾何学的形態は、ヘッドギア接続ポイント10331に対するヘッドギアクリップ10210の360°回転も可能にし、この場合、剪断力は、磁石10216,10340間の磁力に対応する。すなわち、磁石10340、および、下側ヘッドギア接続ポイント10331の円筒部10334によって与えられる隆起面10335は、略円形または楕円の断面を有し、このような断面を有することにより、例えばヘッドギア張力が加えられるときに下側ヘッドギアストラップ10220がねじれることを最小限に抑えるように、ヘッドギアクリップ10210およびその隆起縁部10215が磁気的に係合されるときに、ヘッドギアクリップ10210は下側アーム10330に対して回転できる。例えば、ヘッドギアストラップ10220の長さを調整することによってヘッドギア張力が加えられるときに、ヘッドギアクリップ10210は、下側アーム10330との機械的および磁気的な係合を維持して、下側アーム10330に対して回転する。磁石10340は、それらの全表面がプラスチック材料の薄層によって完全に覆われるように完全に封入されてもよい。これは、下側アーム10330を形成する同じプラスチック材料であってもよく、したがって、継ぎ目がなく、視覚的に審美性があるとともに、一体的に形成される。下側アーム10330の磁石10340は、使用時にヘッドギアクリップ10210を下側アーム10330上の特定の位置に案内して位置決めするべくヘッドギアクリップ10210を磁気的に引き付ける。下側アーム10330は、患者1000によって意図的に解放されるまで確実な機械的係合を維持するべく前述した嵌め合い関係を使用してヘッドギアクリップ10210と機械的に係合する。また、
図112は、下側アーム10330とヘッドギアクリップ10210との間の磁気的で機械的な係合も示し、この場合、ヘッドギアクリップ10210の隆起縁部10215が下側アーム10330の円筒部10334の隆起面10335と係合される。
【0218】
本技術の一例に係る磁気的なヘッドギア係合の典型的な利点は、ヘッドギアクリップ10210が、より低いプロファイルであって、それにより例えばあまり嵩張らない、物理的障害が少ない、重量が少ない、および、視覚的により多く訴える、ことを含むという点である。他の典型的な利点は有用性の向上であり、例えば、ヘッドギアクリップ10210を下側アーム10330から取り外すための離脱力は、特定の方向では低いが、他の方向では高い。この構成は、使用時に不測の離脱を防止するが、容易な意図的離脱を可能にする。他の典型的な利点は、ヘッドギアクリップ10210および下側アーム10330の円筒部10334の形状と幾何学的な嵌め合い形態とに起因する下側アーム磁石10340に対するヘッドギアクリップ磁石10216の正確な案内である。すなわち、磁石10216,10340の平坦な表面は、磁気的な吸引力がこれらの磁石を互いに特定の距離を隔てて引き付けるときに、互いに対して同心的にほぼ位置合わせする(例えば、
図112参照)。
【0219】
他の例において、保持部材10215の外周隆起縁部は、回転が望ましくない他のマスク、例えば口鼻マスクのためにクリップを使用できるようにする切り欠きを有してもよい。そのような口鼻マスクにおけるヘッドギアコネクタポイントは、切り欠きと係合するための突起を有し、したがって、相対回転を防止する。
【0220】
ヘッドギアクリップ10210がマスク3000の内面で下側アーム10330の磁石10340と磁気的に係合されるとき、組み付けられたヘッドギアクリップ10210およびフレーム3310の表面における磁場強度は、ガウスメータまたは磁気探知機により測定して380ミリテスラ(mT)未満である。磁場強度が約160mT〜約190mTであってもよい。磁場強度が約180mTであってもよい。Health Physics 96(4):504-514; 2009において公開されたICNIRP Guidelines on Limits of Exposure to Static Magnetic Fieldsに起因して、磁場強度は400mTを超えるべきでない。また、磁場強度が強すぎる場合には、下側アーム10330からヘッドギアクリップ10210を容易に取り外すことが患者1000にとって困難な場合がある。磁場強度が低すぎれば、下側アーム10330からのヘッドギアクリップ10210の不測の離脱が頻繁となる場合があり、また、協働する磁石10340,10216の案内位置合わせ機能がかなり低下されて患者1000にとって利益を欠く場合がある。一例では、磁石10340,10216が強磁性材料、永久磁石、または、電磁石であってもよい。
【0221】
ヘッドギアクリップ10210は、下側アーム10330との磁気吸引力によって自動位置決めしており、これは、例えば暗い部屋において、特に高齢者や関節炎患者により、非視覚的に有益である。また、ヘッドギアクリップ10210は、下側アーム10330との機械的係合がうまくいったことを示すための聞き取れる触覚フィードバックを与える。磁石10216,10340は、方向付けを案内し、下側アーム10330とヘッドギアクリップ10210との間の係合を維持するためだけではない。ヘッドギアストラップ3301を締め付けることによってヘッドギア張力が加えられると、ヘッドギアクリップ10210と下側アーム10330との間の機械的係合は、ヘッドギアクリップ10210が下側アーム10330から外れることを防止する。2つの磁石を説明してきたが、1つの磁石(クリップ10210または下側アーム10330)と1つのフェライト材料(クリップ10210または下側アーム10330)とが存在することも想定し得る。
【0222】
Sleepnet Corporationによって製造されるMojo(登録商標)フルフェースマスクは、磁気ヘッドギアコネクタと調整可能な前頭支持体とを備える。Mojo(登録商標)マスクは、マスクの比較的硬質な外殻に取り外し不能に接続されるゲルが充填されたクッションを有する。通気孔付きの旋回エルボーが外殻から延在する。一対の磁石が外殻の側面付近の外殻内に収容される。各磁石の中心領域は、その上端面および下端面で環境に晒され、任意のプラスチック材料によって覆われない。同様に、それぞれの三角形状のヘッドギアクリップ内の磁石もその上端面および下端面で環境に晒される。これに対し、本技術の磁石は、プラスチック材料中に完全に封入されあるいは被包される。これについては、例えばプラスチック材料の上端層とプラスチック材料の下端層とによってクリップ10210/下側アーム10330内に磁石10216,10340が保持され、隆起壁10215がプラスチック材料の下端層から離れるように突出し(例えば、隆起壁10215が磁石10216の周囲で外周部から突出し)、それにより、引っ掻きによって引き起こされる磁石への損傷を最小限に抑えるあるいは防止するとともに、外気との接触を防止して酸化または腐食を回避することを示す
図109および
図112を参照されたい。本技術のフレーム3310の下側アーム10330内の磁石10340は、Mojo(登録商標)マスクの外殻内の磁石よりも更に離間される。Mojo(登録商標)マスクの外殻内の磁石は、クッションの最大幅よりも小さい外殻の最大幅分だけしか離間させることができない。これに対し、本技術のフレーム3310の下側アーム10330内の磁石10340は、クッションアセンブリ3002の最大幅よりも更に離間される。この位置決めおよび配置は、患者1000がヘッドギアクリップ10210をフレーム3310の下側アーム10330に対して取り付けて取り外すことを更に容易にする。また、それは、下側ヘッドギア張力ベクトルLVをフランクフォート水平方向とより接近して位置合わせされるように向上させ、したがって、ヘッドギア張力が特定の顔部位に集中することなく患者の顔面上により均一に分配される。また、これは、マスク3000の安定性を向上させる。
【0223】
Mojo(登録商標)マスクでは、ヘッドギアクリップが外殻内の磁石と磁気的に係合する。ヘッドギアクリップが外殻内の磁石と磁気的に係合されると、ヘッドギアクリップが回転できない。これは、外殻から外側に延在する突起が、ヘッドギアストラップによってもループして通るために使用されるヘッドギアクリップ内に画定される空隙を通じて突出するからである。これに対し、本技術のヘッドギアクリップ10210は、フレーム3310の下側アーム10330内の磁石10340と磁気的に係合されるときに360°回転することができる。鼻マスクのためのヘッドギアクリップ10210の回転は、患者1000の顔および頭の異なる形状とサイズとに起因して、快適さと安定性とを向上させる。また、患者1000が眠りながら動く場合には、ヘッドギアクリップ10210の不測の外れの可能性を減らすこともできる。これは、ヘッドギアストラップ10220が異なる方向に引っ張られる場合にヘッドギアクリップが回転できるからである。また、Mojo(登録商標)マスクの三角形状のヘッドギアクリップおよび外殻の突起は、ヘッドギアクリップを外殻から離脱させることを困難にする。これは、それによって、患者が最初にヘッドギアクリップを上方へ持ち上げあるいは傾けて突起を乗り越えなければならないからである。これに対し、本技術のヘッドギアクリップ10210は、クロスバー10218付近の機械的保持部材10215とは反対側のヘッドギアクリップ10210の端部をつかんで外側へねじって動かすことによって下側アーム10330から外れることができ、そして、磁石10340,10216を離脱させることができる。
【0224】
また、本技術のヘッドギアクリップ10210における空隙10217の幅は、Mojo(登録商標)マスクのヘッドギアクリップにおける空隙よりも少なくとも2倍だけ幅広い。このことは、Mojo(登録商標)マスクと比べてヘッドギアストラップ10220とヘッドギアクリップ10210との間に摩擦が少なくより大きな空間が存在するため、ヘッドギアストラップ長さを調整するときに、本技術の位置決め安定化構造体3300の下端ヘッドギアストラップ10220が比較的容易に空隙10217を通り抜けて移動できることを意味する。これにより、患者1000は、ヘッドギアストラップ10220がヘッドギアクリップ10210を通り抜けてスムーズに自由に移動しないことによる多くのフラストレーションを伴わずに、最適な快適さおよび安定性のために患者インタフェース3000のヘッドギア張力を迅速且つ都合良く調整することができる。
【0225】
治療中、患者の頭部は、寝ている間に左右にあるいは上下に向きを変える場合がある。患者1000により睡眠時に使用される患者インタフェース3000において、ストラップおよびシールの配置は、無意識のあるいは反射的な頭部および身体の動きにも対応しなければならない。対応しなければ、処置が損なわれ、患者1000が患者インタフェース3000によって不適切に扱われる。磁石10216,10340を同時に締結するあるいは解放することができる。磁石10216,10340の相補的な磁気結合面のほぼ同一の寸法の結果として、磁石10216,10340は、それらが接触した時点でほぼ自動的な位置合わせの状態となり、したがって、一般に、初期接触およびその後の係合のために外的な助けが必要とされない。磁石10216,10340の結合面は正反対のあるいは相補的な極性を有しているため、また、通常は結合面とほぼ垂直なあるいは直交する方向で磁気結合力が最も強いため、相互の横方向の吸引力は比較的弱く、そのため、磁石10216,10340を横方向に引っ張ることによって磁石10216,10340の横方向の変位が比較的容易に生じる場合があり、それにより、横方向の張力が加えられるときに締結具の不用意なあるいは不測の外れが引き起こされる場合がある。したがって、望ましくない横方向の動きを阻止するべく、機械的な保持部材10215がヘッドギアクリップ10210に設けられた。これらの締結具は、ヘッドギアクリップ10210と下側アーム10330とを引き離して互いに離間させることによって簡単に分離される。これらの締結具は、磁石10216,10340が互いに接近しているときに自動的に締結される。
【0226】
磁石10216,10340は、消磁または劣化をもたらす場合がある磁石10216,10340の酸化または腐食の可能性を最小にするあるいは排除するために、完全に囲繞されるとともに、水密または気密であることが好ましい。磁石10216,10340の囲繞は、磁石10216,10340を環境から保護するとともに磁石が製品のプレゼンテーションおよび外観にとって重要なそれらの当初の視覚的訴求を維持するようにするための化粧カバーによってもたらされる。一例において、磁石10216,10340は、例えば磁石に対する引っ掻き傷/損傷を防止するために、コーティング(例えば、磁石10216,10340がニッケルまたは亜鉛でコーティングされる)を含んでもよい。
【0227】
本技術の1つの例では、患者1000の様々な頭部サイズに対応するために、全体的に長さ調整できる複数のヘッドギアストラップ3301(上側および下側のストラップ10220,10230)が使用される。患者1000は、一般に患者1000が睡眠中に無意識に自分の頭の向きを左右または上下に変えることにより引き起こされる回転力に抗するべく、しばしばストラップ3301を少々締め付け過ぎる場合がある。CPAP治療のために患者インタフェースに関連付けられない一部の従前の磁気的な留め具は、患者1000が自分の頭部を無意識に動かすことによって直面される大きさの回転力に抗するように形成されていない。また、従前のマスクの幾つかのヘッドギアストラップは、全ての患者1000に適合するように十分に締め付けることができない。しかしながら、本技術において、磁気的なヘッドギアクリップ10210は、複数のヘッドギアストラップ3301と共に使用される際に、磁気的な下側アーム10330とともに、患者1000の様々な頭部サイズに対応するべく十分に調整できるとともに、患者1000が寝ている間に自分の頭部の向きを無意識に左右または上下に変えることによって一般に引き起こされる回転力に抗することができる。一例では、ほぼ全ての患者を網羅するべく幅広いヘッドギア適合範囲を与えるために2つのヘッドギアサイズのみが与えられてもよい。しかしながら、それよりも多いあるいは少ないヘッドギアサイズも想定し得ることが理解されるべきである。
【0228】
別の例において、上側アーム10320は、上側ヘッドギア接続ポイント10325で上側アーム10320の遠位自由端部10323内に収容されあるいは埋め込まれる磁石を備えてもよい。
【0229】
6.3.7 通気孔3400
1つの形態において、患者インタフェース3000は、呼気(吐き出される二酸化炭素を含む)の流出を可能にするように構成されて配置された通気孔3400を含んでもよい。通気孔3400は大きくない。通気孔3400は、排気をフレーム3310から離れるように方向付ける。
【0230】
図78を参照すると、本技術に係る通気孔3400の1つの形態は、複数の非常に小さい穴3405(例えば、
図106および
図114参照)、言い換えると、多穴通気孔を備える。2つ以上の多穴通気孔3400がフレーム3310に設けられてもよい。
【0231】
一例において、排気通気孔3400は、フレーム3310に組み込まれるとともに、少なくとも30個の通気孔穴、例えば少なくとも40個の通気孔穴3405の配列として実施され、これらの穴は、接続ポート3600に隣接して短チューブカフ10610の周囲で環状を成す。言い換えると、通気孔3400は略円形状を有する。すなわち、リング部材10315は、空気回路に接続するための接続ポート3600の周囲に径方向に配置された多穴通気孔3400を有する。個々の通気孔穴3405は、排気を拡散するように(すなわち、指向性ではない)形成され、それにより、適したCO
2流出を行いつつ、排気雑音および「空気噴流」の作用を減少させる。この拡散通気孔3400は、患者1000および患者のベッドパートナー1100の両方に対する睡眠障害を最小限に抑えるようになっている。クッションアセンブリ3022−1が取り外されると、洗浄のためにデッドスペースのフレーム側にアクセスできる。そのため、両側から通気孔穴3405を洗浄できる。
【0232】
通気孔3400は、0.317mm
2の穴面積と2.9mmの入口通気孔隙間とを有し、また、通気孔リングの直径は34.7mmである。通気孔3400が60個の穴を有する場合には、20cmH2Oでの流量は毎分59リットルである。通気孔3400が41個の穴を有する場合には、20cmH2Oでの流量は毎分45リットルである。
【0233】
拡散空気流の角度は、通気孔穴の寸法を変えることによって調整され得る。拡散空気流は、より大きな面積にわたって通気を行って噴流を回避するとともに、雑音も減らすことができる。離間トラックがそれぞれの通気孔穴に隣接してもよい。トラックは略長方形である。しかしながら、トラックは、流出ガスを方向付けるのに適した形状、例えば楕円形を有してもよい。一例では、トラックの配置が環状バッフルの使用を組み入れてもよい。
【0234】
例えば、
図106、
図111、
図113、
図114に示されるように、フレーム3310のリング部材10315は外側径方向壁10350および内側径方向壁10351を含み、これらの壁はいずれも接続ポート3600に沿って後方へ突出する。径方向壁10350,10351は、通気孔穴3405に通じる径方向チャネル10352を画定する。前述したように、離間トラック10355は、患者からの呼気を通気孔穴3405へと方向付けるために外側径方向壁10350から径方向内側に延在する。
【0235】
一例において、チューブ4180の短チューブカフ10610は、機械的な連結を介して、フレーム3310のリング部材10315に対して接続され、例えば取り外し不能に接続されてもよい。例えば、
図106、
図107、
図108に示されるように、カフ10610は、内側径方向壁10351に設けられる環状リブ10360(例えば、
図114参照)を受けるように構造化された環状の溝または凹部10611を含み、これにより、カフ10610は内側径方向壁10351と機械的に連結することができる。図示のように、凹部10611の内側面のうちの少なくとも1つは、例えば連結、成形を容易にするために傾斜形態を含んでもよい。
図106および
図114に最も良く示されるように、内側径方向壁10351は、径方向内側に延在するストッパ面10353を含み、ストッパ面10353は、カフ10610がフレームへと更に挿入されることを防止するためのストッパとなる。また、ストッパ面10353は、カフ10610、したがってチューブ4180がフレーム3310に完全に取り付けられるという目安を与える。一例において、カフ10610は、内側径方向壁10351を介してフレーム3310のリング部材10315に回転不能に接続される。
【0236】
一例において、チューブ4180のカフ10610は、取り外し不能で回転不能な接続をもたらすべくフレーム3310に対してインサート成形されてもよい。あるいは、機械的な連結がカフ10610とフレーム3310との間の一方向スナップ嵌合であってもよい。
【0237】
使用時、
図106に示されるように、内側径方向壁10351は、バッフルとして機能して、PAP装置から入ってくる加圧空気の流路を通気孔3400を介した排気の流路から分離するように、後方へ突出する。一例において、カフ10610は、内側径方向壁10351と共に空気流路(PAP装置4000から入ってくる加圧空気および患者から吐き出される空気)の分離を促進させるために十分後方へ突出してもよい。
【0238】
6.3.8 接続ポート3600
接続ポート3600は、
図83に示されるように、空気回路4170の短チューブ4180に対する患者インタフェース3000の接続を可能にする。本技術の1つの例において、短チューブ4180は、接続ポート3600によって患者インタフェース3000に直接に接続されてもよい。短チューブ4180は、短チューブ4180に対して、特に短チューブカフ10610に対してフレーム3310をインサート成形することにより、接続ポート3600でフレーム3310に接続されてもよい。接続ポート3600は、患者インタフェース3000に位置付けられてもよく、また、ガス送出チューブ4180に対する固定接続部または可動接続部のいずれかを備えてもよい。
【0239】
接続ポート3600は、フレーム3310が接続ポート3600を一体で含むべく成形されるようにフレーム3310の一部であってもよい。また、接続ポート3600は、その外周の限られた1または複数の部分でフレーム3310に接続されてもよい。これは、接続ポート3600とフレーム3310との間に開放領域をもたらしてもよく、また、これらの開放領域が本明細書中に記載される通気孔3400を含んでもよい。接続ポート3600は、フレーム3310に対して任意の角度で且つ任意の方向に傾けられてもよい。接続ポート3600は、一般に処置中にチューブ4180が下方へ向けられる患者の大部分に応じるべくフレーム3310に対して下方に傾けられてもよい。これは、チューブ4180のルーピングを最小限に抑えるとともに、処置中に患者インタフェース3000のシールおよび安定性を向上させることができる。また、接続ポート3600をフレーム3310とは別個に形成してこれらの構成要素を接続ポート3600がスイベル接続を使用してフレーム3310に対して回転できるように接続することができてもよい。そのような例は、シール力に支障を来す短チューブ4180のチューブトルクを減少させることができ、または、短チューブ4180が患者の頭部の上の方にチューブを上にした位置で設定される場合に快適さおよびシールを向上させることができる。
【0240】
また、本技術の例では、空気回路4170を患者インタフェース3000に接続するためにエルボーが使用されない場所で、患者インタフェース3000へのガスの流入がより均一に分配され得ることが理解されるべきである。エルボーの鋭い屈曲部は、エルボーの一方側で高密度の流線を引き起こし得る。これは、流れが密にされる噴流を引き起こす場合があり、また、これは、患者インタフェース3000、特にシール形成構造体3100への次善の流れをもたらす場合がある。前述した通気孔3400が噴流の減少に寄与し得ることが理解されるべきである。従前のマスクにおけるエルボーの使用は、空気回路4170とフレーム3310との間の少なくとも相対的な回転動作を許容することによってチューブトルクを切り離すためであったが、本技術の1つの形態は、従来のエルボーが関与するチューブトルクを切り離すことができる特に軟質な短チューブ4180を有する。
【0241】
6.3.9 前頭支持体
本技術の1つの形態において、患者インタフェース3000は前頭支持体を含まない。1つの形態において、患者インタフェース3000は、前頭支持体が必要とされない十分な安定性を与え、それにより、あまり目立たないとともに、眼および鼻骨が開放される。
【0242】
1つの別の形態では、患者インタフェース3000が前頭支持体を含む。
【0243】
6.3.10 窒息防止
本技術の1つの形態では、患者インタフェース3000が窒息防止弁(AAV)を含んでもよい。本技術の更なる例では、フルフェースマスクが使用されるときに、AAVが分離構造体4190(
図1b参照)、空気回路4170(
図1a〜
図1c参照)、または、患者インタフェース3000と共に含まれてもよい。
【0244】
6.3.11 ポート
本技術の1つの形態において、患者インタフェース3000は、プレナムチャンバ3200内の空間にアクセスできるようにする1つ以上の酸素補給ポート4185を含んでもよい。1つの形態において、これは、臨床医が補給酸素を供給できるようにする。1つの形態において、これは、圧力などのプレナムチャンバ3200内のガス特性の直接的な測定を可能にする。
【0245】
6.4 分離構造体4190
1つの形態において、患者インタフェース3000は、少なくとも1つの分離構造体、例えば、
図1bおよび
図1cに示されるような回転可能なカフまたはアダプタ4190、または、ボールおよびソケットを含む。
図1bおよび
図1cを参照すると、チューブ抵抗力の分離は、少なくとも部分的に短チューブ4180によって行われる。このようにすると、短チューブ4180は、少なくとも部分的に分離構造体4190として機能する。
【0246】
図1bおよび
図1cを参照すると、少なくとも1つの態様では短チューブ4180と異なってもよい更なるガス送出チューブ4178の第3の端部への接続を容易にするために、短チューブ4180の端部に回転可能なカフまたはアダプタ4190がある。回転可能なカフ4190は、短チューブ4180および更なるガス送出チューブ4178がそれぞれの端部で互いに対して回転できるようにする。更なるガス送出チューブ4178は、短チューブ4180と同様の特徴を組み込んでもよいが、より大きな内径(例えば18mm〜22mm)を有してもよい。チューブに与えられるこの更なる自由度は、空気回路4170のねじれ、したがって空気回路4170のもつれを軽減することによってチューブ抵抗力を減少させるのに役立ち得る。更なるガス送出チューブ4178の他端はPAP装置4000に接続されてもよい。
【0247】
6.4.1 短チューブ4180
本技術の1つの形態において、短チューブ4180は、
図82に示されるように、PAP装置4000に接続される更に長いチューブ(更なるガス送出チューブ)4178を介して、接続ポート3600でフレーム3310に接続される。短チューブ4180は空気回路4170の一部を形成する。
【0248】
短チューブ4180は、本技術の一態様に係るガス送出チューブであり、PAP装置4000と患者インタフェース3000との間で呼吸可能ガスの流れを可能にするように構成されて配置される。
【0249】
ガス送出チューブは、使用している間にチューブが受ける力に相当するチューブ抵抗力に晒される。これは、送出チューブが使用中に患者の上または他の表面(例えば、ベッド、寝室用小卓、病院ベッド、テーブル、床など)上に横たわるからである。短チューブ4180は呼吸可能ガスを患者1000へ供給するために患者インタフェース3000に接続されるため、これらのチューブ抵抗力は、患者インタフェース3000と患者1000との間の接続に影響を及ぼし得る。例えば、引張りやねじれのチューブ抵抗力により、患者インタフェース3000が患者の顔面から移動し、それにより、患者インタフェース3000からの呼吸可能ガスの漏れが引き起こされる場合がある。したがって、チューブ抵抗力を減少させることが望ましい。これは、短チューブ4180の重量を減少させることによって、短チューブの可撓性を向上させることによって(例えば、チューブ4180をよりきつく湾曲させることができるようにチューブの曲げ半径を減少させることによって)、および、短チューブ4180のための少なくとも1つの自由度を加えることによって達成されてもよい。また、そのようなチューブ抵抗力の減少は、例えば患者が自分の腕をチューブ4180の上に置くときまたはキンク位置へとねじられるときにチューブが閉塞力に抵抗できるようにチューブ4180の強度を大きく低下させることなく達成されなければならない。
【0250】
図4〜
図6は、3つの異なる状態の典型的の短チューブ4180の3つの側面図を示す。
図4は、ニュートラル状態または通常状態の短チューブ4180を示す。ニュートラル状態において、短チューブ4180はいかなる外力にも晒されない。すなわち、短チューブは伸長されずまたは圧縮されない。短チューブ4180は、螺旋コイル4174の隣り合うコイル間で間隔が隔てられる材料のウェブ4172から構成されてもよい。短チューブ4180の螺旋コイル4174はWCの幅を有してもよい。材料のウェブ4172は、隣り合うコイル間の距離WFに跨ってもよい。また、
図4に示されるように、材料のウェブ4172は、折り曲げ部の頂点または山4182が隣り合うコイル間から径方向外側へ延在するように折り曲げられてもよい。材料のウェブ4172の折り曲げ部4182に起因して、材料のウェブ4172を構成する材料の幅が隣り合うコイル間の幅WFよりも幅広くてよいことが理解されるべきである。また、材料のウェブ4172は、所定の折り曲げ線4186に沿って折り曲げられてもよい。
【0251】
また、
図4に示されるように、隣り合うコイル間の距離WFは、短チューブ4180がニュートラル状態にあるときに、螺旋コイルの幅WCに等しくてもよく、または、ほぼ等しくてもよい。そのような配置では、チューブ4180の最大曲げ半径R(
図7に示される)が減少されて、可撓性が向上される。これは、隣り合うコイル間の距離に跨るように従来技術のチューブよりも多くの量の材料が使用されなければならないからである。一例として、距離WFがコイルの幅WCに等しいことは、その距離に跨るためにより多くの量の材料をもたらし、また、コイルが折り曲げられるため、材料のウェブ4172を備えるべく、より一層多くの材料が設けられなければならない。この原理は、
図7に関連して更に詳しく説明される。折り曲げ部4182の形状は、チューブ4180の全体の可撓性にとって重要である。ウェブの折り曲げ部4182の半径を大きくすればするほど、より可撓性の高いチューブ4180がもたらされる。非常に鋭い折り目は、チューブ4180の可撓性を低下させる。複数の熱消毒サイクルの後、折り曲げ部4182が弛緩し始め、チューブ4180の可撓性が低くなる。折り曲げ部4182が弛緩されると、折り曲げ部直径がコイル直径に対して減少され、そのため、折り曲げ部4182の山4186が下降されることが観察される。
【0252】
また、
図4では、材料のウェブ4172の折り曲げ部が短チューブ4180から径方向外側に延在するだけでなく、材料のウェブ4172の折り曲げ部が螺旋コイル4174の隣り合うコイル間の中心に位置付けられるのが分かる。また、
図4は、材料のウェブ4172の傾きが螺旋コイル4174の隣り合うコイルから折り曲げ部の頂点または山4182へ向かってどのように増大し得るのかも示す。言い換えると、材料のウェブ4172は、所定の折り曲げ線または山4186から離れるにつれて平坦になり、また、材料のウェブ4172は、折り曲げ部4182の頂点または山4186の付近で急勾配となって先が尖る。
【0253】
また、
図4では、以下で更に詳しく説明するように、螺旋コイル4174の外側部分または外表面4184が幅広い角度にわたって丸みを帯びた湾曲形状を有することが分かる。言い換えると、螺旋コイル4174は、楕円形の外周の一部分の形状を有してもよい。丸みを帯びた外表面または形状4184を螺旋コイル4174に与えることにより、より柔軟で且つより滑らかな触感が患者1000に与えられてもよい。また、この丸みを帯びた外表面4184は、使用している間に寝具類、患者の衣類、ベッドルームまたは病院の家具などの表面に引っかかる短チューブ4180の傾向を減らすこともできる。
図4において分かるように、短チューブ4180の長手方向軸線に対して垂直に測定される複数の螺旋コイル4174のうちの1つの直径であるコイル直径DCを見ることができる。
【0254】
図4において見られ得る他の特徴において、短チューブ4180は、そのニュートラル状態で、折り曲げ部の頂点または山4182が螺旋コイル4174の外表面4184とほぼ同じ高さまたは同じ高さであるようにガス送出チューブ4180から径方向外側に立ち上がる材料のウェブ4172の折り曲げ部4182を有する。また、材料のウェブ4172の折り曲げ部4182は、折り曲げ部の両側の頂点4182間に、短チューブ4180の長手方向軸線に対して垂直に測定される折り曲げ部直径DFを画定する。言い換えると、短チューブ4180がそのニュートラル状態にあるとき、ガス送出チューブ4180の長手方向軸線を横切ってその折り曲げ部のそれぞれの頂点4182に跨る材料のウェブ4172の直径は、長手方向軸線を横切るそれぞれの外表面4184に跨る螺旋コイル4174の直径に等しくてもよい。また、短チューブ4180がニュートラル状態で真っ直ぐに配置されれば、単一の円筒が折り曲げ部の頂点または山4182と螺旋コイル4174の外表面4184とに対して同一平面に外接され得ると言うこともできる。また、短チューブ4180がニュートラル状態にあるときに折り曲げ部直径DFがコイル直径DCに等しいまたはほぼ等しいと言ってもよい。
【0255】
そのような構成は、螺旋コイル4174の丸みを帯びた外形状4184と併せて、触感の向上をもたらすことができ、それにより、患者にとってより滑らかで且つより柔軟な感触を生み出す。また、短チューブ4180の引っかかる傾向の減少は、折り曲げ部4182の頂点または山4186と螺旋コイル4174の外表面4184とを同じ高さまで立ち上がらせることによって促進させることができる。これは、外表面に引っかかるように著しく突出する単一表面が存在しないからである。
【0256】
本技術の他の例において、材料のウェブ4172は、螺旋コイル4174の隣り合うコイル間で複数回折り曲げられてもよい。これは、それぞれの隣り合うコイル間にある付加的な材料の量に起因して、短チューブ4180の付加的な可撓性を更なる伸縮性と共に可能にする。また、本技術の他の例においては、材料のウェブ4172が螺旋コイル4174の隣り合うコイル間で折り曲げられる短チューブ4180の長さに沿う特定の領域または部分と、材料のウェブが折り曲げられないガス送出チューブの他の領域とが存在してもよい。そのような構成は、ガス送出チューブの長さに沿って可撓性および伸縮性の度合いを変えることができるようにしてもよい。例えば、患者インタフェース3000およびPAP装置4000の近傍の位置で剛性の増大または減少を伴う短チューブ4180の部分を設けることができてもよい。1つの例において、患者インタフェース3000およびPAP装置4000の近傍の短チューブ4180の部分は、これらの領域でチューブ4180の剛性を高めてこれらの領域でキンクが減少されるようにするために、チューブ4180の単位長さ当たりの折り曲げ部の数が少なくてもよい。材料のウェブ4172の一部分を折り曲げない他の理由は、製造理由のためであってもよい。例えば、カフ10610,4190のオーバーモールドが行われるようになっている遠位端部ではウェブ4172に折り曲げ部4182を有さない。これにより、ウェブがカフ10610,4190と接合する場所でウェブ4172に脆弱スポットを形成する傾向を減少させることができる。これは、これらの位置で折り曲げられたウェブが弱い締め付け状態で捕捉される可能性があるからである。
【0257】
図5は、典型的な短チューブ4180の他の側面図を示す。この図では、短チューブ4180が圧縮状態または収縮状態にある。この状態において、短チューブ4180の長さは、それが
図4に示されるニュートラル状態にあるときのその長さよりも短い。例えば、短チューブ4180は、ニュートラル状態におけるよりも最大で50%短い長さまで圧縮されてもよい。短チューブ4180がその圧縮状態まで圧縮されると、材料のウェブ4172は、その折り曲げ部4182が更に急勾配になって螺旋コイル4174の隣り合うコイル間の距離WFが減少するように圧縮される。圧縮状態において、隣り合うコイル間の距離WFは、螺旋コイルの幅WCよりも小さくなるように減少してもよい。また、材料のウェブ4172の折り曲げ部4182の頂点または山4186は、頂点または山が螺旋コイル4174の外面4184よりも上側に立ち上がるように更に径方向外側に押し進められてもよい。言い換えると、材料のウェブ4172の丈が更に高くなってもよい。この作用は、隣り合うコイルWF間の材料の量と、材料のウェブ4172の折り曲げ部の角度および厚さTWとによって制御されてもよい。また、螺旋コイルの幅WCが短チューブ4180の圧縮中に減少しなくてもよい一方で、他のバネには普通にあることだが、螺旋コイル4174の隣り合うコイル同士が近づけられてもよいことも理解されるべきである。また、
図5においては、短チューブ4180が圧縮状態にあるときに、材料のウェブ4172の折り曲げ部4182の頂点または山4186における角度(すなわち、所定の折り曲げ線の両側にある材料のウェブ4172のそれぞれの部分間の角度)が減少されて、先と同様に、材料のウェブ4172の丈が更に高くなってもよいことが分かる。
【0258】
図6は、短チューブ4180のそれがその拡張状態または伸長状態にあるときの更なる側面図を示す。この状態において、短チューブ4180は、
図4に示されるニュートラル状態におけるよりも長い長さを有し得る。例えば、短チューブ4180は、ニュートラル状態にあるときのその長さの最大200%まで伸長されてもよい。また、この図では、螺旋コイル4174の隣り合うコイル間の距離WFが増大して、材料のウェブ4172の折り曲げ部4182が更に平らになることが分かる。また、隣り合うコイル間の距離WFは、螺旋コイルの幅WCよりも大きい幅まで増大し得る。更に、
図6において分かるように、材料のウェブ4172の折り曲げ部の頂点または山4182は、頂点または山4186が螺旋コイル4174の外表面4184の高さよりも下側まで下がるように径方向内側に押し進められ得る。この場合も先と同様、これは、隣り合うコイルWF間の材料の量と折り曲げ部4182の角度とによって制御されてもよい。また、螺旋コイルの幅WCが短チューブ4180の伸長中に増大しなくてもよい一方で、他のバネには普通にあることだが、螺旋コイル4174の隣り合うコイルが引き離されてもよいことも理解されるべきである。また、
図6においては、短チューブ4180が伸長状態にあるときに、材料のウェブの折り曲げ部4182の頂点または山における角度(すなわち、所定の折り曲げ線の両側にある材料のウェブのそれぞれの部分間の角度)が増大して、先と同様に、材料のウェブ4172が更に平坦になってもよいことが分かる。
【0259】
図7は、2つの端部間で湾曲された典型的な短チューブ4180を示す。
図7に示されるように湾曲されると、螺旋コイル4174の隣り合うコイル間の材料のウェブ4172が湾曲部の外側4179で伸長され得るとともに、屈曲部の内部4176の材料のウェブが圧縮され得る。このように湾曲されると、屈曲部半径Rの限界をより良く理解できる。1つの例において、チューブは、13mm直径を有する円筒体上にわたってまとわれると、それ自体の重量下で44mmの屈曲部半径Rを有してもよい(付加的な重量が加えられない状態)。材料のウェブ4172を構成する材料の量が多ければ多いほど、想定し得る屈曲部半径Rは小さくなる。これは、
図7において分かるように、隣り合うコイル間の最大可能距離WFまでだけ湾曲部の外側4179を伸ばすことができるからである。屈曲部の外部4179において、短チューブ4180は、隣り合うコイルWF間に設けられる材料のウェブ4172の幅に至るまでしか屈曲して伸びることができない。したがって、隣り合うコイルWF間の材料のウェブ4172のために更に多くの材料が設けられれば、屈曲部の外部4179が更に伸長されるように短チューブ4180を屈曲できるとともに、最大屈曲部半径Rが減少されるため、可撓性が向上される。
【0260】
また、屈曲部の湾曲内部4176の内側における隣り合うコイル間の距離WFは、螺旋コイル4174の隣り合うコイルWFがほぼ接触しているポイントまで減少されるのが分かる。したがって、屈曲部の内部4176にある材料のウェブ4172によって屈曲部半径Rも制限される。
図8において分かるように、材料のウェブ4172は、屈曲部の内部4176では、螺旋コイル4174の隣り合うコイル間で圧縮される。そのため、材料のウェブ4172が厚くなればなるほど、最大屈曲部半径Rが大きくなる。これは、隣り合うコイルWF間の材料の量が多ければ多いほど、コイル同士が屈曲部の内部4176で互いに近づきにくくなるからである。
【0261】
したがって、短チューブ4180の屈曲部半径Rを最適化するためには、屈曲部の外部4179が伸長して所望の屈曲部半径を満たすことができるようにするべく十分な幅の材料のウェブ4172が設けられなければならないが、螺旋コイル4174の隣り合うコイルWFが屈曲部の内部4176で近づいて所望の屈曲部半径を達成できるようにするべく十分な厚さの材料のウェブ4172も設けられなければならない。
【0262】
図8は、
図7に示されるようにとられた典型的な短チューブ4180の断面図を示す。短チューブ4180のこの断面図は、隣り合うコイル間の距離WFが螺旋コイルの幅WCに等しいようにガス送出チューブ4180をそのニュートラル状態で示す。また、短チューブ4180は、約18mmである内径DIを有してもよい。短チューブ4180は、3.2mm〜4.7mm、または、好ましくは4.5mm〜4.7mmのピッチPを有してもよい。また、この図は、螺旋コイル4174が材料のウェブ4172の厚さTWよりも大きい厚さTCを有してもよいことも示す。螺旋コイル4174が材料のウェブ4172よりも厚いと、螺旋コイル4174が構造的強度を与えることができるとともに、これが短チューブ4180にバネ作用を与える。また、この図では、材料のウェブ4172が略均一のおよび/または連続する厚さを有してもよいことが分かる。
【0263】
図8は、材料のウェブ4172の少なくとも一部が所定の折り曲げ線4186の周りで非対称であってもよいことも示す。例えば、材料のウェブ4172は、所定の折り曲げ線4186の一方側で螺旋コイル4174に隣接する瘤部4181を含んでもよく、また、他方側には、他方側の螺旋コイル4174に隣接して傾斜部4183が含まれてもよい。また、折り曲げ部の頂点または山4182に対する材料のウェブ4172の傾斜は、瘤部4181の側よりも傾斜部4183の側で急であってもよい。勾配の険しさが異なるため、短チューブ4180がニュートラル状態にあるときに、傾斜部4183の側の螺旋コイル4174の縁部と所定の折り曲げ線4186との間の幅WFSは、瘤部4181の側の螺旋コイル4174の縁部と所定の折り曲げ線との間の幅WFFよりも小さくてよい。したがって、伸長されると、材料のウェブ4172は、WFSがWFFよりも増大するように伸長され得る。これは、より多くの量の材料がその領域に含まれるからである。言い換えると、短チューブ4180は、第1の方向で(例えば、傾斜部4183から瘤部4181へと)特定の量だけ伸ばされてもよく、また、第1の方向と反対の第2の方向で(例えば、瘤部から傾斜部へと)異なる量だけ伸ばされてもよい。そのような構成は、患者インタフェース3000が短チューブ4180の一端に取り付けられるとともにPAP装置4000が他端に取り付けられる場合に有益となり得る。これは、患者1000が、患者インタフェース3000を着用しながら移動する場合があり、したがって、患者1000の方向でより大きな量の伸縮性を必要とする場合があるからである。チューブ4180の非対称な形状は、一般に、チューブ4180がどのように形成されたかの結果である。しかしながら、もう1つの方法として、材料のウェブ4172が所定の折り曲げ線4186の周りで略対称な形状を有することも想定し得る。
【0264】
図8において分かるように、瘤部の幅WHおよび傾斜部の幅WSが異なってもよい。したがって、材料のウェブ4172は、瘤部4181を横切るよりも大きな範囲にわたって傾斜部4183を横切って隣り合うコイルWFへ向けて屈曲されてもよい。言い換えると、WSにおける大きな隙間に起因して、小さい隙間を有するWHにおけるよりも大きな大きさの可撓性(すなわち、より小さい屈曲部半径)がこの特定の領域に存在してもよい。また、WHにおける小さい隙間に起因して、この部分は、材料のウェブ4172がWHにおいてWSにおけるよりも既にコイル4174に近づいているため、WSにおけるよりも少ない度合いまで圧縮できてもよい。
【0265】
図8に示される他の特徴は、螺旋コイル4174が一般にウェブ4172よりも良いと感じる場合、特にウェブ4172の折り曲げ部が非常に鋭利である場合には、外見上の表面積(例えば、短チューブ4180の最も外側の表面積)が材料のウェブ4172よりも大きな割合で螺旋コイル4174の外表面4184によって占められ得ることである。これにより、患者にとってより良い触感を与えることができる。これは、
図8において分かるように、螺旋コイル4174の外表面4184が、丸みを帯びており、したがって、材料のウェブ4172の折り曲げ部の頂点または山4182よりも滑らかだからである。
【0266】
また、
図8において分かるように、材料のウェブ4172および螺旋コイル4174は、短チューブ4180の内面が滑らかで連続するように一体に結合されてもよい。滑らかで連続する内面を形成するために材料のウェブ4172の隣り合う側を互いに接合でき、または、材料のウェブ4172を螺旋コイル4174の隣り合うコイルの隣り合う側に結合できることが理解されるべきである。このようにして、内面が滑らかで連続するように短チューブ4180を形成することにより、呼吸可能ガスのよりスムーズな流れがガス送出チューブ4180を通じても垂らされてもよい。一般に、テープ締め付けを防止するために、折り曲げ部4182は、短チューブ4180の両端にカフ10610,4190をオーバーモールドした後に形成される。
【0267】
また、材料の任意の適した組み合わせが材料のウェブ4172および螺旋コイル4174を構成してもよいことも理解されるべきである。それぞれの各構成要素4172,4174の材料は、同じであってもよく、または、少なくとも1つの局面で異なってもよい。本技術の1つの例において、材料のウェブ4172および螺旋コイル4174は、熱可塑性エラストマー(TPE)または熱可塑性ポリウレタン(TPU)から形成されてもよい。ウェブ4172およびコイル4174はいずれも、ウェブ4172とコイル4174との間に一体的な化学結合(分子付着)をもたらすのに有利な同じプラスチック材料(または、同じプラスチック材料の異なる混合)から形成されてもよい。材料選択は多くの因子によって制約される。可撓性を与えることができるようにするウェブ4172用の材料の機械的特性は、決定的な因子である。熱消毒に耐えることができる能力がもう1つの重要な因子である。べとついて粘着性がないことが他の因子である。また、短チューブ4180は、患者の手足が短チューブ4180の上に位置する場合に起こり得るようなチューブ4180の外周面に対する外力の印加時に閉塞を回避してフープ応力に耐えなければならない。これは、短チューブ4180に最小の内径を与えて、螺旋コイル4174の螺旋ピッチおよび構造的剛性を定めることによって対処される。
【0268】
また、材料の選択は、短チューブ4180のバネ剛性(P=kx、ここで、Pは負荷であり、kは剛性であり、xは撓みである)にも影響を及ぼし得る。バネの剛性kが大きくなればなるほど、一定の負荷下での撓みが小さくなる。バネ率は、測定単位当たりのバネ(任意のバネ)を撓ませるために必要な重量の大きさである。例えば、異なる弾性率および異なる曲げ剛性を有する材料は、所望のバネ剛性をもたらすために、材料のウェブ4172および螺旋コイル4174のそれぞれのために使用されてもよい。同様に、バネ剛性は、材料のウェブ4172および螺旋コイル4174の両方において同じ弾性率を有する材料を使用することによって選択されてもよい。また、
図8に関連して説明した螺旋コイル4174のピッチは、ガス送出チューブ4180のバネ剛性にも影響を及ぼし得る。1つの例において、バネ剛性は約0.03N/mmであってもよい。
【0269】
図9は、屈曲状態または湾曲状態の典型的な短チューブ4180の他の図を示す。この図においても
図7と同様に、短チューブ4180が半径Rにわたって湾曲される。しかしながら、この図では、チューブ4180が重力に起因して一端で張力を受けるときにどのように曲がることができるのかを明らかにするために、短チューブ4180が平坦な高い表面(例えばテーブル)の縁上に垂らしてかけられて見える。テーブルの角を越えて垂れ下がる短チューブ4180の部分の重量は、チューブ4180の伸長と、テーブルの縁付近のチューブ4180の領域での曲げとを引き起こし得る。この図は、
図7に示される曲げ特性と同様の曲げ特性を描く。具体的には、材料のウェブ4172は、WFが湾曲の内側よりも外側で大きくなるように、屈曲部領域の外側4179で伸長されるとともに、屈曲部の内部4176で圧縮される。
【0270】
図82は、患者インタフェース3000に対して直接に取り付けられる典型的な短チューブ4180を示す。従前のマスクでは、ガス送出チューブが旋回エルボーを介してマスクに取り付けられる。ガス送出チューブを患者インタフェースとのその接合部で旋回エルボーによって変向させることにより、従来技術のアセンブリはチューブ抵抗力を減少させようとしている。しかしながら、旋回エルボーの含ませることにより重量および部品が増大し、それにより、チューブ抵抗力の減少が抑制され得る。したがって、本技術によれば、短チューブ4180がマスクフレーム3310に直接に接続されてもよい。短チューブ4180がマスクフレーム3310に対する接続部から下方に傾けられてもよく、これは、チューブ抵抗力の減少にも寄与し得る。下向き角度は、部分的には接続ポート3600によって円滑にされてもよい。
【0271】
再び
図1bおよび
図1cを参照すると、本技術に係る短チューブ4180は、第1の端部に患者インタフェース3000を接続して見える。この接続は、
図82に関連して前述した固定接続であってもよい。この例では、カフ10610がチューブ4180の第1の端部にオーバーモールドされ、その後、チューブ4180の第1の端部が患者インタフェース3000に形成される対応する接続ポート3600にオーバーモールドされる。この例は、チューブ4180とマスクフレーム3310との間にエルボーが存在しないという意味でエルボーレスである。他の例では、スイベルエルボーをチューブ4180とマスクフレーム3310との間に位置させて、スイベルエルボーおよびチューブ4180がマスクフレーム3310に対して自由に回転できるようにすることができる。様々な異なる患者インタフェースが短チューブ4180に接続されてもよいことを示すために、これらの図に示される患者インタフェース3000が破線で示されることが理解されるべきである。短チューブ4180の第2の端部は、短チューブ4180(
図36および
図82参照)とは異なってもよい更なるガス送出チューブ4178の第3の端部に対する接続を容易にするための回転可能なカフ、スイベルカフ、または、アダプタ4190である。回転可能なカフ4190は、短チューブ4180および更なるガス送出チューブ4178がそれぞれの端部で互いに対して回転できるようにする。短チューブ4180は、ほぼ任意の睡眠姿勢に対応するべく360°のスムーズな動きを与える一体型チューブをスイベル4190と共にもたらす。
【0272】
更なるガス送出チューブ4178は、短チューブ4180と同様の特徴を組み込んでもよいが、更に大きな直径(例えば、18mm〜22mm)を有してもよい。チューブ4178,4180に対して与えられるこの更なる自由度は、短チューブ4180のねじれを軽減して、短チューが受ける任意のチューブ抵抗力を切り離し、したがって、キンクを切り離すことによって、チューブ抵抗力を減少させるのに役立ち得る。更なるガス送出チューブ4178の第4の端部はPAP装置4000に接続されてもよい。スナップ式に取り付けられる二部品スイベルがカフ4190にインモールド成形で組み付けられる。または、スナップ式の一部品スイベルも想定し得る。
【0273】
図10〜
図29を参照すると、本技術のチューブ4180が、螺旋コイルを有する従前の短チューブと比較される。比較は、本技術のチューブ4180の曲げ剛性または軟質性が優れていることを示す。これは、チューブ4180が伸長されるときに該チューブがより低いグラム重量(gf)を有するからである。チューブの下端は、短チューブを伸長するするために印加される力の方向に対して垂直である角度からチューブの長手方向軸線が始まるように固定位置に保持される。言い換えると、短チューブの下端は、それが最初に水平面に対して平行で接するように保持される(
図10、
図15、
図20、
図25参照)。短チューブの上端は、短チューブの保持された下端の真上でInstron機により保持される。Instron機は、0から30mmまで、60mmまで、90mmまで、および、120mmまで、一連のステップで30mmずつ短チューブを垂直上方向で伸長させる。また、Instron機は、短チューブのバネ剛性に対応してもよい力をニュートン単位でそれぞれの距離ごとに測定する。短チューブが伸長されるそれぞれの距離ごとに短チューブの固定された下端でグラム重量を測定するために、トルクゲージおよび力ゲージ(Torque Gauge RM No. MTSD05997およびMecmesin Force Gauge RM No, MFGX05996)が使用される。チューブは異なる重量および長さを有するため、初期位置で、Instron機、トルクゲージ、および、力ゲージがゼロに合わされる。このようにして測定機器をゼロに合わせることにより、測定値が各チューブの重量および長さとは無関係になる。それぞれの距離ごとに短チューブの角度を大まかに示すために、背景には1cmのマス目も配置される。比較は以下を示す。
【0275】
前記比較は、本技術の短チューブ4180だけが30mmと60mmとの間の伸長でチューブトルクを受け始め、一方、従前のチューブは、30mm伸長によってチューブトルクを既に受ける。測定された全ての距離で、従前のチューブは、それらが本技術のチューブ4180と比べて軟質性が低いととともに高い曲げ剛性を有することを示すかなり高いグラム重量を有する。したがって、チューブ4180においては、従前のチューブと比べてチューブトルクの結果としてのシール破壊が生じる可能性が殆どない。また、チューブ4180の軟質性は、チューブトルクを扱うために一般に使用されるスイベルエルボーまたはボールソケットエルボーを必要とすることなくチューブをフレーム3310に直接に接続できるようにする。これは付加的な部品を排除し、それにより、患者インタフェース3000における全体の重量の減少がもたらされる。チューブ4180が患者1000によって感じられることが殆どなく、また、何らかのチューブ抵抗がシール形成構造体3100を患者の顔面から引き抜くように作用する前にチューブがより大きな動作自由度を患者1000に与えるため、快適さが向上される。
【0276】
前述したように、短チューブ4180が患者インタフェース3000に対して移動されるにつれて、短チューブがチューブ抵抗力をもたらす場合がある。チューブ抵抗力は、ここでは、力および/またはモーメントを含んでもよいが、別段に述べられなければ、チューブ抵抗力という用語が力および/またはモーメントを包含することが理解され得る。
【0277】
そのようなチューブ抵抗力のうちの1つが短チューブ4180の曲げであってもよい。例えば、患者1000が自分の身体をPAP装置4000から背ける際に短チューブ4180で生み出される曲げは、患者インタフェース3000でチューブ抵抗力をもたらす場合があり、それにより、随意的に、シールに支障を来し、および/または、不快感を患者にもたらす。
【0278】
チューブ抵抗力の作用を実証するために、患者インタフェース3000と短チューブ4180とを備えるシステムの簡単な描写が考えられてもよい。このシステムでは、患者インタフェースが患者1000に配置されて、ヘッドギアが患者インタフェースから切り離されることが想定されてもよい。このケースでは、何らかのチューブ抵抗に患者インタフェース3000が反応せざるを得ない。この場合、例えば何らかのモーメントが偶力として患者1000に作用する場合があり、および/または、何らかの力が等しい、相反する反力によって患者1000に作用する場合がある。
【0279】
結果として患者インタフェース3000に生じるチューブ抵抗力は、短チューブ4180の構造に関連付けられてもよい。より具体的には、短チューブ4180が曲げられると、短チューブ4180の曲げ剛性が患者インタフェース3000でもたらされるチューブ抵抗力に影響を及ぼし得る。
【0280】
一般的には、一定の断面をもつ円筒状の管状物体が固定端で固定されて自由端部で荷重を受ける(すなわち、片持ち)と、結果として固定端に生じる力およびモーメントは、
【数1】
(重力を無視する)として表すことができる。ここで、dは撓みであり、Pは垂直力であり、lはチューブの長さであり、Eは材料の弾性率であり、Iは断面の断面に二次モーメントである。ここでは、結果として固定端で生じる反作用は、逆向きのPの垂直力、および、lPのモーメントとなる。
【0281】
これを患者インタフェース3000と短チューブ4180とを備えるシステムに適用すると、近位端部における反作用は、チューブ抵抗力の一部を形成してもよいPの垂直力およびlPのモーメントとなる。先の式が
【数2】
へと書き換えられてもよい。このとき、所定の撓みd(すなわち、患者1000により与えられる動作)およびチューブ長さlに関して、チューブ抵抗力は、EIが増大するにつれて増大し、または、EIが減少されるにつれてチューブ抵抗が減少されるのが分かる。
【0282】
断面が一定の円形チューブに関して、Iは、方程式
【数3】
を使用して計算されてもよい。したがって、一例として、15mmの所定の内径(d
i)に関して、外径(d
o)の19mmから18mmへの減少は、チューブ抵抗力を約32%減少させる。同様に、使用される材料の弾性率の減少は、チューブ抵抗力の減少をもたらすが、この場合の関係は直線的であってもよい。
【0283】
したがって、本技術における短チューブ4180は断面が一定の円形でなくてもよいが、短チューブ4180の全体の曲げ剛性は、材料のウェブ4172および螺旋コイル4174などの短チューブ4180の様々な部分の幾何学的形態および材料特性の結果となり得る。
【0284】
短チューブ4180の曲げ剛性の減少は、短チューブ4180の構造的完全性の低下をもたらす場合がある。すなわち、一例として、短チューブ4180の外径を減少させることによって材料のウェブ4172の厚さが変えられた場合には、曲げ剛性、したがってチューブ抵抗力が減少され得るが、これは、短チューブ4180のより脆弱な構造をもたらすとともに、通常の使用中に短チューブ4180の閉塞を引き起こす場合がある。
【0285】
したがって、本技術の利点は、閉塞を回避して耐久性をもつべく適切な強度を維持しつつ曲げ剛性を低下させるように作用する短チューブ4180の幾何学的形態と材料との組み合わせである。
【0286】
チューブ4180は、チューブ4180の軸方向の圧縮および伸長によって生じ得る厄介な雑音/静止摩擦力を伴わず、実質的に静かである。雑音を減らすまたは排除するための1つの例は、螺旋コイル4174のコイル同士が互いに固着しないようにするために添加剤を加えることであってもよい。患者インタフェースのための従前のチューブは、寝ようとするときにそれが断続的な雑音であることから患者1000および患者1000のベッドパートナー1100を不快にさせ得るこの種の雑音に見舞われることで知られてきた。チューブ4180は、重力下でチューブ4180の重量により引き起こされるチューブ抵抗力を最小にするために軽量となるように意図される。本技術の1つの例では、ニュートラル状態において、チューブ4180の長さが端部カフ10610,4190を含めて約285mm〜305mmであってもよく、また、重量が約18.7グラム〜19.1グラムであってもよい。したがって、端部カフ10610,4190を伴うチューブ4180の重量は約62.6g/m〜65.6g/mであってもよい。チューブ4180とチューブ4180の端部にオーバーモールドされる端部カフ10610,4190との間で空気漏れは存在しない。端部カフのうちの一方は、短チューブ4180と長チューブ4178との間の360°の相対回転を可能にするためにスイベルカフ4190であってもよく、一方、他方の端部カフは、旋回しないフレームカフ10610である。スイベルカフ4190は、患者1000の人差し指によってチューブ4180を長チューブ4178に接続されるチューブアダプタ4190から離脱させることができる感触のある外周縁を与える隆起部を有してもよい。隆起部は、長チューブ4178に対する係脱の繰り返し後のスイベルカフ4190および短チューブ4180の耐久性を高めるために、より大きな力に耐えてもよい。
【0287】
単一の螺旋コイル4174について説明してきたが、より多くの螺旋コイルがチューブ4180に設けられてもよいことが想起される。複数の螺旋コイルをチューブ4180に設けると、マルチスタート(ダブルスタート、トリプルスタートなど)、言い換えると、多条が可能となる。これは、チューブ4180の軟質度を高めてチューブ抵抗力を減少させるが強力な構造を有することによりキンクおよび閉塞も防止するまたはそれに抵抗するために、各螺旋コイルを異なる材料から形成できるまたは各螺旋コイルが異なる寸法を有することができるようにし得る。
【0288】
6.5 代替的な患者インタフェース
図30〜
図36を参照すると、本技術の一例における患者インタフェース3000は、フレームアセンブリ3001、クッションアセンブリ3003、および、位置決め安定化構造体3300を備える。クッションアセンブリ3003はフレームアセンブリ3001と取り外し可能に係合できる。位置決め安定化構造体3300はフレームアセンブリ3001と取り外し可能に係合できる。クッションアセンブリ3003はシール形成構造体3100とプレナムチャンバ3200とを有する。フレーム3310は、空気回路4170に対する接続のための接続ポート3600を有する。フレーム3310は、位置決め安定化構造体3300に対する4点接続をもたらす。
【0289】
プレナムチャンバ3200の外面には3つの保持機能部が存在し、それにより、プレナムチャンバは、該プレナムチャンバ3200の外面上にわたってフレーム3310を所定位置に保持する。
図33において、フレーム3310は、上側アーム10320および下側アーム10330である2対の対向するアーム10320,10330を備える。上側アーム10320は、対向する上側ヘッドギア接続ポイント10325の対を備え、一方、下側アーム10330は、対向する下側ヘッドギア接続ポイント10331の対を備える。上側アーム10320およびそれらの上側ヘッドギア接続ポイント10325は、それらが上側ヘッドギアストラップ10230により与えられる力を上向きの力ベクトルへと方向付けるように位置付けられ、上向きの力ベクトルは、患者インタフェース3000がシール形成構造体3100により上唇および軟骨骨格をシールできるようにするための力を与える(
図33参照)。下側アーム10330およびそれらの下側ヘッドギア接続ポイント10331は、それらが患者インタフェース3000のずり上がりと上向きの任意のシール破壊力とに抵抗するための反作用力を与える下向きの力ベクトルへと下側ヘッドギアストラップ10220を方向付けるように位置付けられる。これは、マスク3000の安定性を高めるとともに、シール破壊を最小限に抑える。この反作用力は、使用時の患者インタフェース3000のチューブ上向き形態において安定性を高めることができるようにする下向きの力ベクトルを与えてもよい。
【0290】
6.4.1.1 Y形状ヘッドギアコネクタ800
図37〜
図41を参照すると、本技術の他の例において、2つのヘッドギアコネクタ156がシール形成構造体3100に作用可能に接続される。2つのヘッドギアコネクタ156はY形状ヘッドギアコネクタ800に接続し、Y形状ヘッドギアコネクタ800はヘッドギアストラップ10220,10230に接続される。Y形状ヘッドギアコネクタ800は、ヘッドギア張力によって与えられる力ベクトルをフランクフォート水平方向と平行な方向にほぼ方向付ける。ほぼフランクフォート水平方向の力ベクトルは、フランクフォート水平方向と直交する垂直方向で力の均一な分配をもたらす。力の均一な分配は、ヘッドギア張力により与えられる力の上方または下方の任意の偏り防止し、ずり上がりあるいはずり下がりに抵抗する。安定性が高まることにより、患者インタフェース3000をチューブ上向き形態(短チューブ4180が頭部よりも上側にある形態)およびチューブ下向き形態で安定的に使用することができる。
【0291】
患者インタフェース3000は、位置決め安定化構造体3300に対する4点接続をもたらす一対のY形状ヘッドギアコネクタ800を含むクッションアセンブリ3005を有する。位置決め安定化構造体3300は、2つのY形状ヘッドギアコネクタ800を介してプレナムチャンバ3200に接続する。
【0292】
コネクタが、位置決め安定化構造体3300でY形状ヘッドギアコネクタ800を受けるようにされたラグまたはインタフェースを備えてもよい。Y形状ヘッドギアコネクタ800またはフレーム3310は、クッションアセンブリ3005と一体に形成されてもよく、あるいは、クッションアセンブリ3005との取り外し可能な係合のための別個の構成要素を形成してもよいことが理解される。
【0293】
フレーム3310のアーム10320,10330上に位置付けられるヘッドギア接続ポイント10331,10325のY形状ヘッドギアコネクタ800の形態およびその相対的な位置は、前頭支持体または垂直ヘッドギアストラップの必要性を打ち消すあるいは排除するようにシール力をシール領域251へ方向付ける。言い換えると、シール力は、フランクフォート水平方向と略平行な方向に向けられる。
【0294】
Y形状ヘッドギアコネクタ800は、Yの上端が患者の耳へ向けて延在するが患者の耳の手前で終端するように、ほぼフランクフォート水平方向で患者インタフェース3000の両側に位置付けられてもよい。Y形状ヘッドギアコネクタ800は、シリコーンなどの可撓性材料から形成されてもよい。Y形状ヘッドギアコネクタ800のそれぞれは、上側ヘッドギアストラップ接続ポイント810と下側ヘッドギアストラップ接続ポイント820とをクッションアセンブリ3005の両側に与える2つのアームを有する。上側ヘッドギアストラップ10230および下側ヘッドギアストラップ10220はそれぞれ患者の耳よりも上側および下側で延びる。上側および下側のヘッドギアストラップ10230,10220は、その後、後頭骨に沿う、後頭骨よりも下側、または、後頭骨の下方で患者の頭部の背部または後部に沿って係合するための円形のクラウンストラップ10225を形成するべく首ストラップ10227に接続する。
【0295】
6.4.1.2 乗り越え防止機能部791
図50〜
図52を参照すると、本技術の一例に係る乗り越え防止機能部の1つの形態は、Velcro(商標)状の接続機構950に近接して下側ヘッドギアストラップ10220上に位置付けられる重合部または乗り越え防止機能部791である。下側ヘッドギアストラップ10220は、乗り越え防止機能部791によって接続が維持されるようにフレーム3310の下側アーム10330に接続される。乗り越え防止機能部791は、Velcro(商標)状の接続機構950に近接する下側ヘッドギアストラップ10220の部分を備え、この場合、下側ヘッドギアストラップ10220は、乗り越え防止機能部791を与えるループが形成されるように該ストラップ自体の上に重ね合わせられて接続される。乗り越え防止機能部791を形成するループは、下側ヘッドギアストラップ接続ポイント820を一方向で嵌合挿通するように圧縮させることができ、それにより、下側ヘッドギアストラップ10220は、該下側ヘッドギアストラップ10220がフレーム3310から外れるように反対方向で下側ヘッドギアストラップ接続ポイント820を乗り越えるのを防止することによって、フレーム3310に対するその接続を保持することができる。
【0296】
乗り越え防止機能部は、乗り越え防止機能部791の保持ループを圧縮することによってのみフレーム3310の下側ヘッドギアストラップ接続ポイント820を乗り越えることができる。下側ヘッドギアストラップ10220は、下側ヘッドギアストラップ接続ポイント820によって与えられる穴を乗り越えることによってフレーム3310の下側アーム10330に接続されてもよい。接続後、乗り越え防止機能部791のループは、下側ヘッドギアストラップ10220がフレーム3310の下側アーム10330から外れるように反対方向に乗り越えるのを防止するべく拡張する。
【0297】
乗り越え防止機能部791は、ヘッドギアストラップが下側ヘッドギアストラップ接続ポイント820を乗り越えるのを防止するとともに、下側ヘッドギアストラップ10220とフレーム3310の下側アーム10330との間の接続を保持する。
【0298】
ヘッドギアは、ヘッドギアストラップ3301上に乗り越え防止機能部791を備える。乗り越え防止機能部791がヘッドギアコネクタに対して前記ヘッドギアコネクタに存在する接続ポイント穴を通ってスライドすることにより接続された後は、乗り越え防止機能部が逆向きにスライドすることによってヘッドギアコネクタから外れることはできない。乗り越え防止機能部791は、ヘッドギアストラップ3301とヘッドギアコネクタとの間の接続を保持するための保持機能部としての役目を果たす。乗り越え防止機能部791は、ヘッドギアストラップ3301の端部に存在する厚肉部、重合部、または、更なる構造体を、厚肉部、重合部、または、更なる構造体がヘッドギアコネクタ上の接続ポイント穴を嵌合挿通できないように備え、それにより、ヘッドギアストラップ3301がヘッドギアコネクタを完全に乗り越えてヘッドギアコネクタから外れることを防止してもよい。
【0299】
6.4.1.3 代替的なフレーム3310
図42〜
図49を参照すると、フレーム3310が略硬質の材料から形成されてもよい。フレーム3310は、プレナムチャンバ3200を備えるクッションアセンブリ3002と解放可能に係合してもよい。フレーム3310とクッションアセンブリ3002との間の係合は、クッションアセンブリ3002の保持機能部3244,3245がフレーム3310のフレーム接続領域3312,3313と係合することによる。フレーム接続領域3312,3313は、保持機能部3244,3245が通過できるようにする。
【0300】
フレーム3310は略三角形の外周部720を備え、この場合、クッションアセンブリ3002上に嵌合するために丸みのある角部と接続ポート3600とが外周部720にある。外周部720は、クッションアセンブリ3002の形状と適合するための湾曲形状を有する。接続ポート3600は、クッションアセンブリ3002の前開口の形状と適合するべく略円形である。フレーム3310は、一対の上側アーム10320と一対の下側アーム10330とを更に備える。上側アーム10320は、フレーム3310の外周部720の上端から延在して、患者の眼と耳との間のほぼ中間位置で終端する。上側アーム10320は、使用時に患者の頬上にわたって延在するとともに、障害を最小限に抑えるべく患者の顔の形状に適合するために湾曲形状を有する。上側アーム10320は、該上側アーム10320と患者の顔面との間の接触を最小限に抑えて不快感を回避するために患者の顔面から外側に延在する。更なる例において、上側アーム10320は、フレーム3310の外周部720の上端から80mm〜100mmにわたって延在する。上側アーム10320は、上側ヘッドギアストラップ10230を挿通して受けるために細長いスロットの形態を成す上側ヘッドギア接続ポイント10325を有する。下側アーム10330は、下側ヘッドギアストラップ10220を挿通して受けるために細長いスロットの形態を成す下側ヘッドギア接続ポイント10331を有する。ヘッドギア接続ポイント10325,10331は、位置決め安定化構造体3300がフレーム3310に接続する、引き続いてクッションアセンブリ3002に接続するための4点接続をもたらす。4点接続は、患者インタフェース3000の安定性を向上させる。上側アーム10320は、一般に、フレーム3310のトップフレーム接続ポイント10305でフレーム3310に接続する。トップフレーム接続ポイント10305の上端中心位置における単一の上側ヘッドギア張力ベクトルは、フランクフォート水平方向と平行な方向で、シール破壊を防止するとともに、空気回路4170からのチューブトルクに対処できる。2つの下側ヘッドギア接続ポイント10331は2つの平行な下側ヘッドギア張力ベクトルを与える。
【0301】
フレーム3310は、患者インタフェース3000に安定性を与えるとともに、無色透明のプラスチック材料から形成される。上側アーム10320は患者の頬よりも下側に位置し、したがって、患者インタフェース3000は、目立たないとともに、患者の顔面を開放する。
【0302】
6.4.1.4 エルボーアセンブリ120を有するマスク
図30〜
図41を参照すると、本技術の1つの例に係る患者インタフェース3000は、位置決め安定化構造体3300、エルボーアセンブリ120、空気回路4170、および、クッションアセンブリ3003,3005を備える。エルボーアセンブリ120は、二酸化炭素を含む呼気の流出のための通気孔を有する。位置決め安定化構造体3300は、クッションアセンブリ3003,3005を患者の顔面上に支持する、安定させる、および/または、位置決めするようになっていてもよい。
【0303】
クッションアセンブリ3003,3005は、患者の鼻を含む患者の気道とシール係合するようになっていてもよい。クッションアセンブリ3003,3005は、空気回路4170および/またはエルボーアセンブリ120から呼吸用ガスを受けるとともに、位置決め安定化構造体3300によって患者の顔面上の位置を維持してもよい。
【0304】
6.6 上側アームスリーブ10312
図68を参照すると、織布材料から形成される上側アームスリーブ10312が設けられる。上側アームスリーブ10312は、使用時に患者の頬付近にあってもよい上側アーム10320の部分を巻回する。上側アームスリーブ10312は、上側アーム10320と解放可能に係合することができ、したがって、フレーム3310とは別個に洗浄されてもよい。上側アームスリーブ10312は、上側アーム10320のプラスチック材料を覆って、使用時に上側アーム10320の内側面および上下縁が患者の顔面と直接に触れることを防止する。アームスリーブ10312の織布材料は、柔軟で快適に感じ、あまり「医療的に」見えないものとして患者により認識される。これは、より良い治療遵守をもたらし得る。上側アームスリーブ10312は、特に患者1000が仰向けではなく横向きで寝る場合に、典型的な治療期間から上側アーム10320によって引き起こされる顔マーキングを防止するあるいは最小限に抑えることができる。また、織布材料は、汗からの表面熱および凝縮物を保持せず、そのため、患者の顔面とプラスチック上側アーム10320との間の直接的な接触と比べて都合が良い。下側アーム10330が同様のアームスリーブ10312を有してもよいことが想起される。
【0305】
6.7 マスクシステム
マスク構成要素のうちの1つ以上は、シール破壊の可能性を最小限に抑えるためにチューブトルクを切り離すように共に構成されて配置されてもよい。短チューブ4180は、その高い軟質さと伸長できる能力とに起因して、チューブトルクを切り離すことができる。短チューブ4180が分離できることよりもチューブトルクが大きい場合には、位置決め安定化構造体3300もチューブトルクを切り離す。フレーム3310の上側アーム10320は、チューブトルクを切り離すために矢状面内で屈曲してもよい。また、プレナムチャンバ3200および/またはシール形成構造体3100のクッション機能はチューブトルクの一部を切り離す。これらの特徴のうちの2つ以上の任意の組み合わせは、チューブトルクを切り離すことができる能力を高める。これらの特徴の全ての組み合わせは、より大きなチューブトルクを切り離すことができる能力を更に高める。
【0306】
マスク構成要素のうちの1つ以上は、患者1000にとっての快適さを高めるべく共に構成されて配置されてもよい。短チューブ4180は軽量であり、また、プレナムチャンバ3200およびシール形成構造体3100も軽量であり、したがって、位置決め安定化構造体3300により与えられるヘッドギア張力は、良好なシールをもたらすために不快に高くならないで済む。エルボーが短チューブ4180をフレーム3310に接続する必要性を減らすと、患者インタフェース3000の全体の重量も減少し、それにより、位置決め安定化構造体3300により必要とされるヘッドギア張力のレベルが下がる。また、患者インタフェース3000が軽量であるときの患者1000による認識は、それが「そこに殆どない」というものであり、それにより、患者インタフェース3000を着用しているように感じず、不安神経症や閉所恐怖症を殆どもたらさない。アーム10320,10330の形状および可撓性は患者1000に快適さを与える。これは、これらのアームが、頬骨の下側に位置するとともに、患者1000にとって敏感な顔面領域となり得る患者の耳の周囲でヘッドギアストラップ3301を方向付けるからである。ヘッドギアストラップ3301および上側アームスリーブ10312は、織布から形成されるとともに、それがプラスチックヘッドギアストラップと比べて汗からの表面熱および凝縮物を保持しないため、患者の皮膚に接触して良好に感じる。また、ヘッドギアストラップ3301は織布から形成されるため、プラスチック材料よりも密度が低く、これは、重量および嵩の減少につながる。これらの特徴のうちの2つ以上の任意の組み合わせは、患者1000にとっての快適さを高める。これらの特徴の全ての組み合わせは、患者1000にとっての快適さを大きく高める。
【0307】
マスク構成要素のうちの1つ以上は、患者1000との最適なシールの機会を増やすように共に構成されて配置されてもよい。これは、より良い治療コンプライアンスをもたらすとともに、平均的な毎日の使用を更に36分だけ増大させる。前述したようなチューブトルクの切り離しの向上と患者1000にとっての高い快適さとの組み合わせによって最適なシールを得ることができる。また、フレームアーム10320,10330によって与えられる最大傾斜範囲は、最適なシールの機会を高める。
【0308】
マスク構成要素のうちの1つ以上は、特に初めての患者1000において、より良好な治療コンプライアンスをもたらす患者インタフェース3000の視覚的訴求を高めるように共に構成されて配置されてもよい。患者インタフェース3000は、低いプロファイルを有するとともに、患者の顔面上に小さい占有領域を有する。これは、フレーム3310があまり幅広くないとともに顔の幾何学的形態に対応して湾曲されるからであり、また、前頭支持体が存在しないからである。これらの特徴の2つ以上の任意の組み合わせは、患者インタフェース3000の視覚的訴求を向上させる。これらの特徴の全ての組み合わせは、患者インタフェース3000の視覚的訴求を大きく高める。
【0309】
マスク構成要素のうちの1つ以上は、患者インタフェース3000の組み付けおよび分解を向上させるように共に構成されて配置されてもよい。患者インタフェース3000は患者1000に対して簡潔さを与える。これは、患者インタフェースが、シール形成構造体3100およびヘッドギアストラップ3301であるフレーム3310から取り外しできる2つの構成要素を含む3ピースマスクシステムをもたらすからである。また、取り外しできる構成要素が少ないことは、患者インタフェース3000を洗浄する必要があるときに患者インタフェース3000を組み付けるおよび分解するこが容易であることも意味する。フレーム3310、プレナムチャンバ3200/シール形成構造体3100、および、ヘッドギアストラップ3301は、個別に異なるスケジュールで洗浄されてもよく、例えば、プレナムチャンバ3200/シール形成構造体3100がヘッドギアストラップ3301よりも頻繁に洗浄されてもよい。構成要素の形状および構造は、患者インタフェース3000を直観的態様で組み付けるおよび分解する方法を患者1000に対して視覚的および触覚的に示唆する。例えば、係合が正しいときに聞き取れるクリック音を発生させるプレナムチャンバ3200とフレーム3310との間の嵌め合い関係は、患者1000に直観的である。また、フレーム3310、プレナムチャンバ3200、および、位置決め安定化構造体3300に視覚的および触覚的な指標を設けること、および、磁気ヘッドギアクリップ10210を設けることは、患者1000がマスク構成要素の誤った組み付け/分解または誤った方向付け/位置ずれを回避するための更なるガイドを付加する。これらの特徴の一部は、暗い環境の中にいる手に関節炎を伴う患者1000にとって特に有益である。例えば、可聴クリック音が聞かれてもよく、あるいは、マスク構成要素の形状の手触りおよび感触、並びに、触覚指標または磁気吸引力の感覚も、微光状態において有用である。これらの特徴のうちの2つ以上の任意の組み合わせは、患者インタフェース3000の簡素化を向上させる。これらの特徴の全ての組み合わせは、患者インタフェース3000の簡素化を大きく高める。
【0310】
本技術の1つの例において、フレームアセンブリ3001は、フレーム3310、短チューブ4180、および、通気孔3400のサブアセンブリを含む。フレームアセンブリ3001のサブアセンブリは互いに取り外し不能に接続され、例えば、フレーム3310と一体の通気孔3400と短チューブ4180とが互いに取り外し不能に接続される。クッションアセンブリ3002がフレームアセンブリ3001と取り外し可能に係合できる。クッションアセンブリ3002は、シール形成構造体3100とプレナムチャンバ3200とを含む。ヘッドギアストラップ3301は、フレームアセンブリ3001と、特にフレーム3310のアーム10320,10330と取り外し可能に係合できる。
【0311】
図131〜
図137は、前述した1つ以上の態様を含む本技術の1つの形態に係る患者インタフェースの様々な図を示す。
【0312】
6.8 PAP装置4000
本技術の1つの態様に係るPAP装置4000は、機械的な空気圧式の構成要素4100と電気的構成要素4200とを備えるとともに、1つ以上のアルゴリズム4300を実行するようにプログラミングされる。PAP装置は外部ハウジング4010を有してもよく、外部ハウジング4010は、2つの部分を成して、すなわち、外部ハウジング4010の上部4012と、外部ハウジング4010の下部4014とを成して形成される。別の形態では、外部ハウジング4010が1つ以上のパネル4015を含んでもよい。PAP装置4000は、PAP装置4000の1つ以上の内部構成要素を支持する筐体4016を備えてもよい。1つの形態では、空気圧ブロック4020が筐体4016によって支持されまたは筐体4016の一部として形成される。PAP装置4000はハンドル4018を含んでもよい。
【0313】
PAP装置4000の空気圧経路は、入口空気フィルタ4112と、入口マフラと、陽圧の空気を供給できる制御可能な圧力装置(例えば、制御可能なブロワ4142)と、出口マフラとを備えてもよい。1つ以上の圧力センサおよび流量センサが空気圧経路中に含まれてもよい。
【0314】
空気圧ブロック4020は、外部ハウジング4010内に位置付けられる空気圧経路の一部を構成してもよい。
【0315】
PAP装置4000は、電源4210と、1つ以上の入力装置4220とを有してもよい。電気構成要素4200が単一の印刷回路基板アセンブリ(PCBA)4202上に装着されてもよい。別の形態では、PAP装置4000が複数のPCBA4202を含んでもよい。
【0316】
6.8.1 PAP装置の機械的な空気圧式の構成要素4100
6.8.1.1 空気フィルタ4110
本技術の1つの形態に係るPAP装置4000は、1つの空気フィルタ4110または複数の空気フィルタ4110を含んでもよい。
【0317】
1つの形態では、入口空気フィルタ4112が制御可能なブロワ4142の上流側の空気圧経路の冒頭に位置付けられる。
図3c参照。
【0318】
1つの形態では、出口空気フィルタ4114、例えば抗菌フィルタが空気圧ブロック4020の出口と患者インタフェース3000との間に位置付けられる。
図3c参照。
【0319】
6.8.1.2 圧力装置4140
本技術の一形態では、陽圧の空気の流れを生み出すための圧力装置が制御可能なブロワ4142である。例えば、ブロワ4142は、1つ以上のインペラが渦巻きを成して収容されるブラシレスDCモータを含んでもよい。ブロワ4142は、約4cmH2O〜約20cmH2Oの範囲内、または、他の形態では最大で約30cmH2Oの陽圧の例えば約120リットル/分の供給空気を送出することができてもよい。
【0320】
6.9 加湿器5000
6.9.1 加湿器概要
本技術の1つの形態では、
図3bに示されるように、水リザーバと加熱プレートとを備えてもよい加湿器5000が設けられる。
【0321】
6.10 用語解説
本技術の開示目的のため、本技術の特定の形態では、以下の定義のうちの1つ以上が適用される場合がある。本技術の他の形態では、別の定義が適用される場合がある。
【0322】
6.10.1 総論
空気:本技術の特定の形態では、患者へ供給される空気が大気であってもよく、また、本技術の他の形態では、大気に酸素が補給されてもよい。
【0323】
持続的気道陽圧(CPAP):CPAP処置は、大気に対して持続的にプラスで且つ好ましくは患者の呼吸サイクルにわたってほぼ一定の圧力で供給空気または呼吸可能供給ガスを気道への入口に印加することを意味するべく解釈される。幾つかの形態において、気道への入口における圧力は、単一の呼吸サイクル内で数センチメートルの水だけ変化し、例えば吸気中において高く、呼気中において低い。幾つかの形態において、気道への入口における圧力は、呼気中においては僅かに高く、吸気中においては僅かに低い。幾つかの形態において、圧力は、患者の異なる呼吸サイクル間で変化し、例えば、部分上気道閉塞の兆候の検出に応じて増大し、また、部分上気道閉塞の兆候がない場合には減少される。
【0324】
6.10.2 PAP装置の態様
空気回路:使用時に供給空気または呼吸可能供給ガスをPAP装置と患者インタフェースとの間で送出するように構成されて配置された導管またはチューブ。特に、空気回路は、空気圧ブロックの出口および患者インタフェースと流体接続してもよい。空気回路が空気送出チューブと称されてもよい。ある場合には、吸気および呼気のための回路の別個の肢が存在してもよい。他の場合には、単一の肢が使用される。
【0325】
APAP:自動気道陽圧。SDB事象の兆候の存在または不存在に応じて最小限界と最大限界との間で連続的に調整できる気道陽圧。
【0326】
ブロワまたはフロージェネレータ:周囲圧力を上回る圧力の空気流を送出する装置。
【0327】
コントローラ:入力に基づいて出力を調整する装置または装置の一部。例えば、コントローラの1つの形態は、装置への入力を構成する制御下の変数−制御変数−を有する。装置の出力は、制御変数の現在の値の関数、および、変数のための設定点である。サーボ換気装置は、入力としての換気、設定点としての目標換気量、および、出力としての圧力サポートレベルを有するコントローラを含んでもよい。他の形態の入力は、酸素飽和度(SaO2)、二酸化炭素の分圧(PCO2)、動作、プレチスモグラフからの信号、および、ピーク流量のうちの1つ以上であってもよい。コントローラの設定点は、固定、可変、または、学習のうちの1つ以上であってもよい。例えば、換気装置における設定点は、患者の測定された換気量の長期平均値であってもよい。他の換気装置は、時間に伴って変化する換気量設定点を有してもよい。圧力コントローラは、特定の圧力の空気を送出するためにブロワまたはポンプを制御するように構成されてもよい。
【0328】
治療:本文脈における治療は、陽圧療法、酸素療法、二酸化炭素療法、死腔の制御、および、薬剤の投与のうちの1つ以上であってもよい。
【0329】
モータ:電気エネルギーを部材の回転動作へと変換するための装置。本文脈において、回転部材は、回転軸に沿って移動する空気に対して圧力増大を与えるために固定軸を中心に所定位置で回転するインペラである。
【0330】
気道陽圧(PAP)装置:陽圧の供給空気を気道へ供給するための装置。
【0331】
トランスデューサ:1つの形態のエネルギーまたは信号を他の形態のエネルギーまたは信号へと変換するための装置。トランスデューサは、機械エネルギー(動作など)を電気信号へ変換するためのセンサまたは検出器であってもよい。トランスデューサの例としては、圧力センサ、流量センサ、二酸化炭素(CO2)センサ、酸素(O2)センサ、エフォートセンサ、動作センサ、ノイズセンサ、プレチスモグラフ、および、カメラが挙げられる。
【0332】
6.10.3 呼吸サイクルの態様
無呼吸:好ましくは、無呼吸は、所定の持続時間、例えば10秒にわたって流量が所定の閾値を下回って降下するときに起こると言われる。閉塞性無呼吸は、患者努力にもかかわらず気道の何らかの閉塞が空気の流れを許容しないときに起こると言われる。中枢性無呼吸は、呼吸努力の減少または呼吸努力の欠如に起因する無呼吸が検出されるときに起こると言われる。
【0333】
デューティサイクル:総呼吸時間Ttotに対する吸気時間Tiの割合。
【0334】
努力(呼吸):好ましくは、呼吸努力は、呼吸しようとする自発的に呼吸する人によって行われる作業であると言われる。
【0335】
呼吸サイクルの呼気部分:呼気流の開始から吸気流の開始までの期間。
【0336】
流量限界:好ましくは、流量限界は、患者による努力の増大が対応する流量の増大を引き起こさない患者の呼吸における事象の状態であると解釈される。呼吸サイクルの吸気部分中に流量限界が起こる場合、それは、吸気流量限界と見なされてもよい。呼吸サイクルの呼気部分中に流量限界が起こる場合、それは、呼気流量限界と見なされてもよい。
【0337】
呼吸低下:好ましくは、呼吸低下は、流れの中断ではなく、流量の減少であるであると解釈される。1つの形態において、呼吸低下は、所定の持続時間にわたって閾値を下回る流量の減少があるときに起こると言われる。成人における1つの形態では、以下のうちのいずれかを来すと、呼吸低下と見なされてもよい。
(i)少なくとも10秒にわたって呼吸する患者における30%減少+関連する4%脱飽和、または、
(ii)少なくとも3%の関連する脱飽和または覚醒を伴う、少なくとも10秒にわたって呼吸する患者における減少(しかし、50%未満)。
【0338】
呼吸サイクルの吸気部分:好ましくは、吸気流の開始から呼気流の開始までの期間が呼吸サイクルの吸気部分であると解釈される。
【0339】
開通性(気道):気道が開放している度合い、または、気道が開放する範囲。開通気道は開放している。気道開通性は、例えば開通している1の値および閉塞しているゼロ(0)の値を用いて定量化されてもよい。
【0340】
呼気終末陽圧(PEEP):呼気の終わりに存在する肺内の大気圧を上回る圧力。
【0341】
ピーク流量(Qpeak):呼吸流波形の吸気部分中の流量の最大値。
【0342】
呼吸流量、気流量、患者気流量、呼吸気流量(Qr):これらの同義語は、通常はリットル/分の単位で表される患者が直面する実際の呼吸流量である「真の呼吸流量」または「真の呼吸気流量」とは対照的に、PAP装置の呼吸気流量の推定値を示すものと理解されてもよい。
【0343】
1回換気量(Vt):余分な努力が加えられないときの通常の呼吸中に吸い込まれるまたは吐き出される空気の量。
【0344】
(吸気)時間(Ti):呼吸流波形の吸気部分の持続時間。
【0345】
(呼気)時間(Te):呼吸流波形の呼気部分の持続時間。
【0346】
(総)時間(Ttot):1つの呼吸流波形の吸気部分の開始と後続の呼吸流波形の吸気部分の開始との間の総持続時間。
【0347】
典型的な最近の換気量:何らかの所定のタイムスケールにわたる最近の値がその周囲に集まる傾向がある換気量の値、すなわち、換気量の最近の値の中心的傾向の指標。
【0348】
上気道閉塞(UAO):一部上気道閉塞および完全上気道閉塞の両方を含む。これは、上気道にわたる圧力差が増大するにつれて流量のレベルが僅かだけ増大するまたは更には減少してもよい流量限界の状態(スターリング抵抗挙動)と関連付けられてもよい。
【0349】
換気量(Vent):吸気流量および呼気流量の両方を含む、患者の呼吸器系によって交換されるガスの単位時間当たりの総量の指標。1分当たりの量として表される際、この量は、しばしば、「分時換気量」と称される。分時換気量は、時として、単に、1分当たりの量であると理解されるボリュームとして与えられる。
【0350】
6.10.4 PAP装置パラメータ
流量:単位時間当たりに送出される空気の瞬時の量(または質量)。流量および換気量は単位時間当たり同じ大きさの量または質量を有するが、流量は、かなり短い時間にわたって測定される。流量は、患者の呼吸サイクルの吸気部分においては名目上プラスであってもよく、そのため、患者の呼吸サイクルの呼気部分においてはマイナスであってもよい。ある場合には、流量への言及は、スカラー量、すなわち、大きさのみを有する量への言及となる。他の場合には、流量への言及は、ベクトル量、すなわち、大きさおよび方向の両方を有する量への言及となる。流量には記号Qが与えられる。総流量Qtは、PAP装置から出る空気の流量である。通気孔流量Qvは、吐き出されたガスの流出を可能にするための通気孔から出る空気の流量である。漏れ流量Qlは、患者インタフェースシステムからの意図しない漏れの流量である。呼吸流量Qrは、患者の呼吸器系内へ受けられる空気の流量である。
【0351】
漏れ:好ましくは、漏れという用語は、周囲環境への空気の流れであると解釈される。漏れは、例えば吐き出されるCO
2の流出を可能にするために意図的であってもよい。漏れは、例えばマスクと患者の顔面との間の不完全なシールの結果として意図的でなくてもよい。
【0352】
圧力:単位面積当たりの力。圧力は、cmH
2O、g-f/cm
2、ヘクトパスカルを含む一連の単位で測定されてもよい。1cmH
2Oは、1 g-f/cm
2に等しいとともに、約0.98ヘクトパスカルである。この明細書中では、別段に述べられなければ、圧力がcmH
2Oの単位で与えられる。OSAの鼻CPAP処置に関して、処置圧力への言及は、約4〜20cmH
2Oの範囲内の圧力、または、約4〜30cmH
2Oへの言及である。患者インタフェース内の圧力には記号Pmが与えられる。
【0353】
音響パワー:音波によって伝えられる単位時間当たりのエネルギー。音響パワーは、音圧の平方と波面の面積との積に比例する。音響パワーは、通常、デシベルSWLの単位、すなわち、通常は10
-12ワットとして解釈される、基準パワーに対するデシベルの単位で与えられる。
【0354】
音圧:媒体を通じて進む音波の結果としての所定の時刻での周囲圧力からの局所的な偏り。音圧は、通常、デシベルSPLの単位、すなわち、人の聴力の閾値と見なされる、通常は20×10
-6パスカル(Pa)として解釈される、基準パワーに対するデシベルの単位で与えられる。
【0355】
6.10.5 顔面の生体構造
鼻翼(ala):各鼻孔の外側の外壁または「翼」(複数形:alar)。
【0356】
鼻翼最外点(alare):鼻翼の最も外側にある点。
【0357】
鼻翼湾曲(または鼻翼頂部)点:頬との鼻翼の結合により形成される折れ目で見出される各鼻翼の湾曲ベースラインにおける最も後側の点。
【0358】
耳介(auricula)または耳介(pinna):耳の視認できる全体の外側部分。
【0359】
(鼻)骨格:鼻の骨格は、鼻骨、上顎骨前頭突起、および、前頭骨の鼻部を備える。
【0360】
(鼻)軟骨骨格:鼻の軟骨骨格は、鼻中隔、外側軟骨、大鼻翼軟骨、小鼻翼軟骨を備える。
【0361】
鼻柱:鼻孔を分離するとともに鼻尖点から上唇まで延在する皮膚片。
【0362】
鼻柱角:鼻孔開口の中点を通って引かれるラインと鼻棘を横切りつつフランクフォート水平面に対して垂直に引かれるラインとの間の角度。
【0363】
フランクフォート水平面:眼窩縁の最下点から左耳珠点まで延在するライン。耳珠点は、耳介の耳毛よりも上側の切痕における最深点である。
【0364】
眉間:軟組織上に位置付けられる、額の正中矢状面内の最隆起点。
【0365】
側鼻軟骨:軟骨の略三角形プレート。その上縁は鼻骨および上顎骨前頭突起に付いており、また、その下縁は大鼻翼軟骨に接続される。
【0366】
大鼻翼軟骨:側鼻軟骨の下側に位置する軟骨のプレート。大鼻翼軟骨は、鼻孔の前部の周囲で湾曲される。その後端は、鼻翼の3つまたは4つの小軟骨を含む頑丈な線維膜によって上顎骨前頭突起に接続される。
【0367】
鼻孔(鼻の穴):鼻腔への入口を形成する略楕円形の開口。鼻孔(nares)の単数形は鼻孔(naris(nostril))である。鼻孔は、鼻中隔によって分離される。
【0368】
鼻唇溝(Naso-labial sulcus)または鼻唇溝(Naso-labial fold):頬を上唇から分離する、鼻の両側から口の角まで延在する皮膚の襞または溝。
【0369】
鼻唇角:鼻棘を横切る状態での鼻柱と上唇との間の角度。
【0370】
耳下基点:顔面の皮膚に対する耳介の取り付け最下点。
【0371】
耳上基点:顔面の皮膚に対する耳介の取り付け最上点。
【0372】
鼻尖点:頭部の一部の残りの側面図で特定され得る鼻の最突出点または頂点。
【0373】
人中:鼻中隔の下縁から上唇領域の唇の上端まで延在する正中溝。
【0374】
ポゴニオン:軟組織上に位置付けられる、顎の最前中点。
【0375】
稜部(鼻堤):鼻稜部は、鼻根から鼻尖点まで延在する鼻の正中突起。
【0376】
矢状面:身体を右半分と左半分とに分ける前(正面)から後(背面)まで通り過ぎる垂直面。
【0377】
鼻根:軟組織上に位置付けられる、前頭鼻骨縫合の領域上に横たわる最凹点。
【0378】
中隔軟骨(鼻中隔軟骨):鼻中隔軟骨は、中隔の一部を形成するとともに、鼻腔の前部を分ける。
【0379】
鼻翼最下点:鼻翼基部が上(上側)唇の皮膚と結合する鼻翼基部の下縁。
【0380】
鼻棘:軟組織上に位置付けられる、鼻柱が正中矢状面内で上唇と合流する点。
【0381】
スプラメンターレ:下唇中点と軟組織ポゴニオンとの間の下唇の中線における最凹点。
【0382】
6.10.6 頭蓋骨の構造
前頭骨:前頭骨は、額として知られる領域に対応する、大垂直部、すなわち、前頭鱗を含む。
【0383】
下顎:下顎は下側の顎を形成する。オトガイ隆起は、オトガイを形成する顎の骨隆起である。
【0384】
上顎:上顎は、上側の顎を形成するとともに、下顎よりも上側および眼窩よりも下側に位置付けられる。上顎骨前頭突起は、鼻の側面によって上方へ突出するとともに、鼻の側面境界の一部を形成する。
【0385】
鼻骨:鼻骨は、異なる個体でサイズおよび形状が異なる2つの小さい楕円形の骨である。鼻骨は、顔面の中央部および上部に並んで配置されるとともに、それらの接合によって鼻の「梁」を形成する。
【0386】
ナジオン:前頭骨と2つの鼻骨との交わりであり、眼と鼻梁の上部とのちょうど間にある陥凹領域である。
【0387】
後頭骨:後頭骨は頭蓋の後下部に位置付けられる。後頭骨は、楕円開口、すなわち、大後頭孔を含み、この大後頭孔を通じて頭蓋腔が脊柱管と連通する。大後頭孔の背後の湾曲板が後頭鱗である。
【0388】
眼窩:眼球を収容するための頭蓋骨の腔。
【0389】
頭骨頭頂部:頭骨頭頂部は、互いに接合されるときに頭蓋の天盤および側面を形成する骨である。
【0390】
側頭骨:側頭骨は、頭蓋骨の基部および側部に位置付けられるとともに、こめかみとして知られる顔面の部分を支持する。
【0391】
頬骨:顔面は、顔面の上部および側部に位置付けられて頬の隆起を形成する2つの頬骨を含む。
【0392】
6.10.7 呼吸器系の構造
横隔膜:胸郭の底部を横切って延在する筋層。横隔膜は、心臓、肺、肋骨を収容する胸腔を腹腔から分離する。横隔膜が収縮すると、胸腔の容積が増大して、空気が肺内へ引き込まれる。
【0393】
喉頭:喉頭または発声器は、声帯を収容するとともに、咽頭の下部(下咽頭)を気管と接続する。
【0394】
肺:人の呼吸器。肺の伝導領域は、気管、気管支、細気管支、および、終末細気管支を含む。呼吸器領域は、呼吸細気管支、肺胞管、および、肺胞を含む。
【0395】
鼻腔:鼻腔(nasal cavity)(または鼻腔(nasal fossa))は、顔面の中央の鼻の上後にある大きい空気充填空間である。鼻腔は、鼻中隔と呼ばれる垂直ひれによって2つに分けられる。鼻腔の両側には、鼻甲介(conchae)(単数形「concha」)または鼻甲介(turbinate)と呼ばれる3つの水平な延出部がある。鼻腔の前方には、背部が後鼻孔を介して鼻咽頭へと一体化する鼻がある。
【0396】
咽頭:鼻腔の真下(下方)に位置付けられるとともに食道および喉頭の上に位置付けられる咽喉の一部。喉頭は、通常、3つの部分、すなわち、鼻咽頭(上咽頭)(咽頭の鼻部分)と、中咽頭(oropharynx)(中咽頭(mesopharynx))(咽頭の口腔部分)と、咽喉頭(下咽頭)とに分けられる。
【0397】
6.10.8 材料
シリコーンまたはシリコーンエラストマー:合成ゴム。この明細書において、シリコーンへの言及は、液状シリコーンゴム(LSR)または圧縮成形シリコーンゴム(CMSR)への言及である。市販のLSRの1つの形態は、Dow Corningにより製造されるSILASTIC(この商標の下で販売される一連の製品に含まれる)である。LSRの他の製造業者はWackerである。正反対のことが別段に明示されなければ、LSRの好ましい形態は、ASTM D2240を使用して測定される約35〜約45の範囲内のショアA(またはタイプA)圧入硬度を有する。
【0398】
ポリカーボネート:ビスフェノールAカーボネートの一般的に透明な熱可塑性高分子。
【0399】
6.10.9 患者インタフェースの態様
窒息防止弁(AAV):フェイルセーフ方式で大気へ開放することによって患者による過剰なCO
2再呼吸の危険を減らすマスクシステムの構成要素またはサブアセンブリ。
【0400】
エルボー:所定の角度にわたって方向を変えるべく空気流の軸線を方向付ける導管。1つの形態では、角度が約90°であってもよい。他の形態では、角度が90°未満であってもよい。導管が略円形断面を有してもよい。他の形態では、導管が楕円または長方形の断面を有してもよい。
【0401】
フレーム:フレームは、位置決め安定化構造体との2つ以上の接続点間の張力負荷を支持するマスク構造体を意味するように解釈される。マスクフレームは、マスクにおける気密でない負荷支持構造体であってもよい。しかしながら、気密なマスクフレームの形態であってもよい。
【0402】
位置決め安定化構造体:位置決め安定化構造体は、頭部上で用いるようになっている位置決め安定化構造体の一形態を意味するように解釈される。好ましくは、位置決め安定化構造体は、呼吸療法を与えるために患者インタフェースを患者の顔面上の所定位置に位置決めして保持するように構成される1つ以上の支柱、紐、補強材の集合体を備える。幾つかの紐は、発泡体と織物との積層複合体などの柔軟な可撓性の弾性材料から形成される。
【0403】
膜:膜は、例えばシール部および/または顔面接触部との関連で、好ましくは曲げ耐性を実質的に有さないが伸長耐性を有する一般的に薄い要素を意味するように解釈される。
【0404】
プレナムチャンバ:マスクプレナムチャンバは、所定容積の空間を封入する壁を有する患者インタフェースの部分を意味するように解釈され、前記空間は、使用時に大気圧を上回って加圧される空気を内部に有する。外殻がマスクプレナムチャンバの壁の一部を形成してもよい。1つの形態では、患者の顔面の領域がプレナムチャンバの壁のうちの1つを形成する。
【0405】
シール:名詞形(「シール」)は、2つの表面の界面を通じた空気の流れに意図的に抵抗する構造体または障壁を意味するように解釈される。動詞形(「シールする」)は、空気の流れに抵抗することを意味するように解釈される。
【0406】
外殻:好ましくは、外殻は、曲げ剛性、引張剛性、および、圧縮剛性を有する湾曲構造体、例えばマスクの湾曲構造壁を形成するマスクの一部を意味するように解釈される。好ましくは、外殻は、その全体の寸法と比べて比較的薄い。幾つかの形態では、外殻が面取りされてもよい。好ましくは、そのような壁が気密であるが、幾つかの形態では、それらの壁が気密でなくてもよい。
【0407】
補強材:補強材は、他の構成要素の曲げ抵抗を少なくとも1つの方向で高めるようになっている構造的な構成要素を意味するように解釈される。
【0408】
支柱:支柱は、他の構成要素の圧縮抵抗を少なくとも1つの方向で高めるようになっている構造的な構成要素であるように解釈される。
【0409】
スイベル:(名詞)好ましくは低トルク下で、好ましくは独立に、共通の軸の周りで回転するように構成される構成要素のサブアセンブリ。1つの形態において、スイベルは、少なくとも360°の角度にわたって回転するように構成されてもよい。他の形態において、スイベルは、360°未満の角度にわたって回転するように構成されてもよい。構成要素のサブアセンブリは、空気送出導管との関連で使用されるときには、好ましくは、円筒状の導管の適合された対を備える。好ましくは、使用中スイベルからの空気流の漏れが殆どまたは全くない。
【0410】
紐:紐は、張力に抵抗するようになっている構造的な構成要素であると解釈される。
【0411】
通気孔:(名詞)吐き出された二酸化炭素(CO
2)の流出および酸素(O
2)の供給を可能にするための、マスクの内部からの空気の意図的な制御された割合の漏れを許容する構造体、または、外気への導管。
【0412】
6.10.10 患者インタフェースに関して使用される用語
(表面の)曲率:1つの方向で上方に曲がるとともに異なる方向で下方に曲がるサドル形状を有する表面の領域は、マイナスの曲率を有すると言われる。2つの主方向で同じように曲がるドーム形状を有する表面の領域は、プラスの曲率を有すると言われる。平坦な表面は、ゼロ曲率を有するように解釈される。
【0413】
軟質:以下の特徴の組み合わせである材料、構造体、または、複合体の品質。
指圧に容易に順応する。
それ自体の重量を支持させられるときにその形状を保つことができない。
硬質ではない。
僅か労力で弾性的に伸長され得るまたは曲げられ得る。
【0414】
軟質であるという性質は、方向と関連付けられてもよく、したがって、特定の材料、構造体、または、複合体は、第1の方向で軟質であるが、第2の方向で、例えば第1の方向と垂直な第2の方向で高剛性または硬質であってもよい。
【0415】
弾性:1秒などの比較的短い時間内で、ほぼ弾力的に変形できるとともに、荷重除去時にエネルギーのほぼ全てを解放できる。
【0416】
硬質:指圧に応じて、および/または、患者インタフェースを患者の気道への入口とのシール関係に設定して維持するときに一般に直面される張力または負荷に応じて、容易に変形しない。
【0417】
半硬質:気道陽圧治療中に一般に印加される機械的な力の作用下で実質的に歪まないように十分に硬質であることを意味する。
【0418】
6.11 他の所見
この特許文献の開示の一部は、著作権保護を受ける題材を含む。著作権所有者は、特許文献または特許開示のうちのいずれかによる複製に何ら異存はない。これは、複製が、特許商標局の特許ファイルまたは記録に現れるが、そのほかの点では全ての著作権を何であれ留保するからである。
【0419】
文脈が別段に明確に指示する場合を除き、値の範囲が与えられる場合、その範囲の上限と下限との間にある下限の単位の1/10までのそれぞれの値、および、任意の他の述べられた値またはその述べられた範囲内にある値は、本技術内に含まれることが理解される。これらの介在範囲の該介在範囲内に独立に含まれてもよい上限および下限も、述べられた範囲内の任意の特に排除された限界値の制約下で本技術内に含まれる。述べられた範囲がその限界値の一方または両方を含む場合、それらの含まれた限界値のいずれか一方または両方を排除する範囲も本技術内に含まれる。また、1または複数の値が本技術の一部として実施されるように本明細書中で述べられる場合には、別段に述べられなければ、そのような値が近似されてもよいことが理解され、また、そのような値は、任意の適した有効数字まで利用されてもよい。ただし、実用的な技術的実施がそれを許容するまたは必要とする場合に限る。また、任意の全ての述べられた値は、述べられた値から10〜20%増変可能であってもよいことが理解されるべきである。
【0420】
別段に規定されなければ、本明細書中で使用される全ての技術用語および科学用語は、この技術が属する技術分野における当業者により一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書中に記載される方法および材料と同様または等価な任意の方法および材料を本技術の実施または試験で使用することもできるが、本明細書中には、限られた数の典型的な方法および材料が記載される。
【0421】
特定の材料が一構成要素を構成するために使用されるのが好ましいと見なされる場合、同様の特性を有する自明な別の材料が代替物として使用されてもよい。また、反対のことが明示されなければ、本明細書中に記載される任意の全ての構成要素は、一緒にまたは個別に製造され得る、したがって製造されてもよいと理解される。
【0422】
本明細書中でおよび添付の特許請求の範囲で使用される単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および、「その(the)」は、文脈が別段に明確に指示しなければ、それらの複数の等価物を含むことが留意されなければならない。
【0423】
本明細書中で言及される全ての刊行物は、それらの刊行物の主題である方法および/または材料を開示して説明するべく、参照により本願に組み入れられる。本明細書中で論じられる刊行物は、本出願の出願日前のそれらの開示のためだけに与えられているにすぎない。本明細書中のいずれも、本技術が従前の発明に基づきそのような刊行物に先行する権利を有さないという自白として解釈されるべきでない。また、与えられる刊行物の日付は、実際の公開日とは異なる場合があり、公開日は独立に確認される必要がある場合がある。
【0424】
また、開示内容を解釈する際、全ての用語は、文脈と一致する最も広い妥当な態様で解釈されるべきである。特に、「備える(comprises)」および「備えている(comprising)」という用語は、非排他的態様で要素、構成要素、または、ステップに言及しているとして解釈されるべきであり、言及された要素、構成要素、または、ステップが存在し、または、利用され、または、明確に言及されない他の要素、構成要素、もしくは、ステップと組み合わされてもよいことを示唆している。
【0425】
詳細な説明で使用される主題の表題は、読者の参照を容易にするためだけに含まれており、開示または特許請求の範囲の全体にわたって見出される主題を限定するために使用されるべきでない。主題の表題は、1または複数の特許請求項の範囲を限定的に解釈して使用されるべきでない。
【0426】
本明細書中の技術を特定の実施形態に関連して説明してきたが、言うまでもなく、これらの実施例は、本技術の原理および用途の単なる例示にすぎない。ある場合には、専門用語および記号は、本技術を実施するために必要とされない特定の詳細を示唆する場合がある。例えば、「第1」および「第2」という用語が使用される場合があるが、別段に明記されなければ、それらの用語は、任意の順序を示すように意図されず、別個の要素間を区別するために利用される場合がある。また、方法論におけるプロセスステップが所定の順序で説明されまたは図示される場合があるが、そのような順序付けは必要とされない。当業者であれば分かるように、そのような順序付けが変更されてもよく、および/または、その態様が同時にまたは更には同期して行われてもよい。
【0427】
したがって、本技術の思想および範囲から逸脱することなく、例示された実施形態に対して多数の変更が成されてもよく、また、他の構成が考え出されてもよいことが理解されるべきである。