(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6474781
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】管外壁の洗浄を含む鋼管を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
B21B 45/02 20060101AFI20190218BHJP
B21B 21/00 20060101ALI20190218BHJP
【FI】
B21B45/02 330
B21B21/00
【請求項の数】13
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-503604(P2016-503604)
(86)(22)【出願日】2014年3月11日
(65)【公表番号】特表2016-512793(P2016-512793A)
(43)【公表日】2016年5月9日
(86)【国際出願番号】EP2014054729
(87)【国際公開番号】WO2014146935
(87)【国際公開日】20140925
【審査請求日】2017年1月11日
(31)【優先権主張番号】102013102703.2
(32)【優先日】2013年3月18日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515157459
【氏名又は名称】サンドヴィック マテリアルズ テクノロジー ドイチュラント ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】フロベーゼ, トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ラウフマン, ウド
【審査官】
坂口 岳志
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−277111(JP,A)
【文献】
特開平11−050284(JP,A)
【文献】
特開2005−205530(JP,A)
【文献】
特開平11−000711(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/010647(WO,A1)
【文献】
特開平11−077546(JP,A)
【文献】
特開2007−203448(JP,A)
【文献】
特開平07−000931(JP,A)
【文献】
特開昭61−108410(JP,A)
【文献】
国際公開第2005/068098(WO,A1)
【文献】
米国特許第04924643(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 45/00−45/08
B24C 11/00
B21B 21/00
B21C 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管内壁(2)、管外壁(3)、及び管内壁(2)によって囲まれた自由管断面を有する鋼管(1)を製造することを含み、製造後に鋼管(1)が管外壁(3)上に少なくとも一の混入物を含む、鋼管(1)を製造するための方法であって、
鋼管(1)の製造後、管外壁(3)から混入物を取り除くため、管外壁(3)上へ液体又は固体CO2を適用することにより、管外壁(3)が洗浄されることを特徴とし、液体又は固体CO2の管外壁(3)上への適用の間、鋼管(1)の温度が測定され、かつ鋼管(1)の温度が所定の温度閾値を下回った場合に洗浄が中断される、方法。
【請求項2】
管外壁(3)の洗浄が、CO2スノーブラスティング又はドライアイスブラスティングにより行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
液体又は固体CO2が、加圧空気を用いて管外壁(3)上に適用されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
液体又は固体CO2が、噴射の形状で管外壁上に適用され、CO2の噴射方向が、管外壁に垂直であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
噴射の温度が、鋼管(1)の後ろの、液体又は固体CO2の噴射方向において測定されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
供給ラインを出るときの液体又は固体CO2の速度が、鋼管(1)の後ろの、液体又は固体CO2の噴射方向における噴射の温度の関数として、制御されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
液体又は固体CO2の噴射下の洗浄の間、鋼管が回転されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
洗浄の間、液体又は固体CO2の噴射が、鋼管の外壁にわたり長さ方向に導かれることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
鋼管(1)を製造することが、ホローシェルを、仕上り寸法の鋼管(1)の形状に成形することを含むことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
成形することが、ホローシェルを仕上り鋼管(1)の形状に冷間ピルガ圧延することにより行われることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
冷間ピルガ圧延の間、潤滑剤がロールから管外壁(3)に移動され、かつ液体又は固体CO2を適用することにより管外壁(3)から再度取り除かれることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
成形することが、ホローシェルを仕上り鋼管(1)の形状に冷間引抜きすることにより行われることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
冷間引抜の間、引抜油が鋳型から管外壁(3)に移動され、かつ液体又は固体CO2を適用することにより管外壁(3)から再度取り除かれることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、管内壁、管外壁、及び管内壁によって囲まれた自由管断面を有する鋼管の製造を含み、製造後に鋼管が管外壁上に少なくとも一の混入物を含み、かつ鋼管の製造後に鋼管の管外壁を洗浄することを伴う、鋼管を製造するための方法に関する。
【0002】
高精密金属管、特に鋼で出来た金属管、を製造するため、完全冷却された状態において拡張された中空の円筒状ブランクは、圧縮−又は引張応力により冷間圧延の対象となる。その過程で、ブランクは、定義された縮外径及び定義された肉厚を有する、管に成形される。
【0003】
最も一般的に用いられる、管を縮小するための方法は、ブランクがホローシェルと呼ばれる、冷間ピルガ圧延として知られている。ホローシェルは、圧延の間、調整された圧延マンドレル、すなわち仕上り管の内径を有する圧延マンドレル、上へ押され、かつその過程で、それは二の調整されたロール、すなわち仕上り管の外径を定義するロール、により掴まれ、かつ圧延マンドレル上で縦断方向に圧延される。
【0004】
冷間ピルガ圧延の間、ホローシェルは、圧延マンドレルの方向に段階的に供給され、後者を超え、通過し、一方、ロールは、それらが回転するに伴い、マンドレル上、そのためホローシェル上、を水平に往復動される。その過程で、ロールの水平な動きは、ロールが回転可能に取り付けられたロールスタンドにより予め決められる。既知の冷間ピルガ圧延ミルでは、ロールスタンドは、クランクドライブにより圧延マンドレルと並行な方向に往復動され、一方、ロール自体は、ロールスタンドと相対的に固定であり、かつロール軸エンゲージに堅固に接続された歯車を備えるラックにより回転される。
【0005】
マンドレル上へのホローシェルの供給は、圧延マンドレルの軸に並行方向へ並進動作される、フィーディングクランピングカートリッジにより生じる。
【0006】
ロールスタンド内に重なって配置された、円錐形に調整されたロールは、フィーディングクランピングカートリッジの供給方向と反対に回転する。ロールにより形成される所謂ピルガマウスが、ホローシェルを掴み、ロールが、材料の小さな起伏を外側へ押し出し、ロールのスムージングパス及び圧延マンドレルにより、ロールのアイドルパスが仕上り管を離すまで、意図された肉厚に延伸される。圧延の間、ロールが取り付けられたロールスタンドが、ホローシェルの供給方向に対して反対に動く。フィーディングクラインピングカートリッジにより、ホローシェルは、ロールのアイドルパスが到達した後、圧延マンドレル上に追加工程により進行され、一方、ロールはロールスタンドと共に、それらの水平スタート位置に戻る。同時に、均一な形状の仕上り管を達成するために、ホローシェルはその軸周りの回転を受ける。各管断面の繰り返される圧延の結果、均一な内径及び外径と同様に、管の均一な肉厚及び真円度が達成される。
【0007】
成形の間、ロールとホローシェルとの間の摩擦を低減するために、潤滑剤がロールに適用される。成形後、この潤滑剤は、仕上り管の外壁に少なくとも部分的に付着する。このような残留するマンドレルバー潤滑剤からなる管外壁の混入物は、仕上り管の幾つかの用途のために重要ではない一方で、他の用途では、管外壁は多大な費用を掛けて洗浄されなければならない。
【0008】
しかしながら、同様の管外壁の混入物は、例えば、管引抜のような代替成形技術においても出現する。
【0009】
管引抜では、既に管状のブランクが、それが所望の寸法を受け入れるように、引抜台上で冷間成形される。しかしながら、引抜は、仕上り管に、随意に調整可能な、正確な寸法取りを可能にするだけでなく、冷間成形は材料の硬化も達成する、すなわちその降伏限界及び強度が増加され、一方で、同時に伸び特性は小さくなる。材料特性のこの最適化は、例えば、高圧技術及び医療技術、航空機製造に限らず、一般機械製造など、多くの応用目的についての管引抜の所望の効果である。
【0010】
ここで、本発明の意味では、CO
2を適用することは、CO
2を管外壁又は混入物と接触又は衝突させることを意味する。
【0011】
用いられる材料によって、いわゆるホロー引抜、芯材引抜、及びバー引抜の間の区別が作られる。ホロー引抜の場合には管の外径のみが、引抜リング又は引抜鋳型と呼ばれる工具で縮小されるのに対し、芯材引抜き及びバー引抜の場合は、引き抜かれる管の内径及び肉厚も定義される。
【0012】
管の冷間引抜の間の所望されない効果は、いわゆるラットリングである。ここで、工具と引き抜かれる管との間の高摩擦によって、変則的な引抜速度が生じる。最も不都合な場合、管は断続的に又は工具と全く関連せず又は高速で動く。ラットリングの結果、溝が、特に引抜かれた管の内表面上に、形成する。
【0013】
均一な引抜速度を達成し、かつラットリングを防ぐため、したがって、引抜油が、引き抜かれる管と工具との間の滑り摩擦を低減するために使用される。
【0014】
先行技術から、鋼管の管外壁の洗浄するための様々な方法が知られている。そのため、例えば、管全体が、その後、管外壁上の混入物を溶解する溶剤に浸され得る。先行技術の代替的な実施態様では、管は布及びフェルトを用いて機械的に洗浄される。
【0015】
この先行技術と比較して、本発明の目的は、管外壁が混入物を有さないように、長尺を有する管を効果的に洗浄すること可能にする、鋼管を洗浄するための方法を提供することである。
【0016】
上記の目的は、管内壁、管外壁、及び管内壁によって囲まれた自由管断面を有する鋼管の製造を含み、製造後に鋼管が管外壁上に少なくとも一の混入物を含み、製造後、管外壁から混入物を取り除くために、液体又は固体CO
2を管外壁に適用することにより管外壁を洗浄されることを含む、鋼管を生産するための方法により達成される。
【0017】
驚くべきことに、液体又は固体CO
2を管外璧に適用することが、上記の管外壁から混入物を取り除くため、ひいては管の管外壁の洗浄のために、非常に適していることが分かった。
【0018】
管内壁を液体又は固体CO
2を用いて交互に洗浄することは原理的に可能であるが、液体CO
2は、液体CO
2と洗浄される内壁との接触時に、壁と液体CO
2との間に、洗浄作用を低減するガス薄膜が形成するという不利な点を有する傾向にある。
【0019】
比較すると、固体CO
2は、固体CO
2から洗浄される管壁又は混入物への有利な熱伝導及びそのための改善した洗浄作用だけでなく、固体CO
2は、研磨効果も有し、そのため固体CO
2が用いられるとき、方法はブラスティング洗浄法である。
【0020】
管外壁を洗浄するために固体CO
2を用いるとき、一方では、いわゆるCO
2スノーブラスティングと、他方では、ドライアイスブラスティングとが区別される。二つの方法間の差異は、CO
2スノーブラスティングの場合、固体CO
2が方法自体中において生み出されることである。この方法では、キャリアーガス又はドライビングジェットが、ジェットノズルへ加圧下でジェットラインを通され、液体CO
2が供給ラインを介して供給され、減圧によりドライスノーに変換され、ジェットラインに供給され、供給ラインからのCO
2は拡幅された断面を有する減圧スペースを通りジェットラインに導入される。このような方法は、例えば、WO2004/033154A1から知られている。他方では、ドライアイスブラスティングの場合、すでに固体のCO
2が方法に供給され、そこで、洗浄される表面上、この場合は管外壁、へ加速される。
【0021】
一実施態様では、液体又は固体CO
2は、加圧流体、好ましくは加圧空気、により鋼管の管外壁上に加速される。
【0022】
さらに、管外管の洗浄について、液体又は固体CO
2が、噴射の形状で、管外壁上に適用され、CO
2の噴射方向が、好ましくは管外壁に実質的に垂直であることは、利点がある。
【0023】
このような鋼管の管外壁のブラスティングでは、噴射の温度が鋼管の後ろの噴射方向において測定されるならば、利点があると見出された。洗浄プロセスにおいて既に用いられた、すなわち鋼管との相互作用の後の、CO
2の温度は、洗浄プロセスの効率の尺度である。
【0024】
本発明の一実施態様では、温度測定値は、管が効率的に洗浄されたが否かを決定するために用いられる。測定された温度が、ある温度閾値より高い、すなわち管の後ろの噴射が過度に温かい、場合、一実施態様では、洗浄は効率的ではなかったと推定され、洗浄プロセスが繰り返される又は洗浄パラメーターが変更される。
【0025】
追加的な実施態様では、測定された温度が、ある温度閾値より低い、すなわち管の後ろの噴射が過度に冷たい、場合、洗浄は効率的ではなかったと推定され、洗浄プロセスが繰り返される又は洗浄パラメーターが変更される。この場合、十分な相互作用がCO
2と洗浄される鋼管との管に生じた又は管が既に凍結された、と推定されるはずである。
【0026】
本発明の一実施態様では、測定された温度が、ある第一の温度閾値より低く、かつ、ある第二の温度閾値より高い場合、洗浄は効果的であったと推定される。
【0027】
本発明の追加的な実施態様では、供給ラインを出るとき液体又は固体CO
2の速度は、鋼管の後ろの、液体又は固体CO
2の噴射方向における噴射の温度の関数として、制御される。例えば、温度が所定の温度閾値を下回った場合、一実施態様では、噴射速度は増加される。
【0028】
本発明による方法については、管の製造、すなわち成形プロセス、及び管の洗浄の間にどれ程の時間的遅れが存在するは、重要ではない。特に、本発明による方法は、製造及び洗浄が時間的に直ちに交互に生じる、製造ライン製造において用いられ得る。あるいは、数日、数週又は数か月規模の相当に長い期間が製造及び洗浄の間に挿入されることも可能である。
【0029】
本方法の一実施態様では、液体又は固体CO
2の適用の間、鋼管の温度が測定され、かつ鋼管の温度が所定の温度閾値を下回った場合には洗浄が中断される。
【0030】
液体又は固体CO
2を用いて洗浄された管の温度は、既に生じた管の洗浄の、すなわち管の洗浄度の尺度であると示されてきた。そのため、洗浄される管の温度が、ある温度閾値を下回った場合、管が所望の程度の洗浄度に達し、かつ液体又は固体CO
2による洗浄は中断され得ると推定され得る。
【0031】
管外壁の洗浄時、最初に混入物から液体又は固体CO
2への熱伝導が生じ、そのため、管がまだ汚染されている限り、管自体は実質的に一定の温度にとどまるか、又は他方では微かに冷却を受けるだけであると推定される。混入物が管外壁から大規模に除去されたときにだけ、管自身から液体又は固体CO
2への熱伝導が生じ、そのため管は更なる冷却を受ける。
【0032】
ここで、一実施態様では、鋼管の製造は、仕上り寸法の鋼管の形状にホローシェルを特に成形、好ましくは冷間成形すること、により生じる。本発明によれば、ホローシェルを仕上り鋼管の形状に冷間ピルガ圧延すること又はホローシェルを仕上り鋼管の形状に冷間引抜することのどちらかにより、この成形が生じ得る。
【0033】
成形がホローシェルを仕上り鋼管への形状に冷間ピルガ圧延することによって生じる場合、一実施態様では、冷間ピルガ圧延の間、潤滑剤が冷間ピルガ圧延ミルのロールから管外壁に移動され、その後、液体又は固体CO
2を適用することにより管外壁から再度取り除かれる。
【0034】
他方では、成形がホローシェルを仕上り鋼管の形状に冷間引抜することによって生じる場合、一実施態様では、冷間引抜の間、引抜油が鋳型から管外壁に移動され、その後、液体又は固体CO
2を適用することにより管外壁から再度取り除かれる。
【0035】
本発明の一実施態様では、鋼管はステンレス鋼管、好ましくはステンレス鋼製の円管である。
【0036】
本発明の、追加の利点、特徴及び応用可能性は、実施態様の下記の記述及び関連する図面に基づいて明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】
図1は、先行技術からの冷間ピルガ圧延ミルを模式的側面図において示す。
【
図2】
図2は、本発明による洗浄工程を実施するための実施形態の模式的断面図を示す。
【0038】
図1では、冷間ピルガ圧延ミルの構造が、側面図に模式的に示されている。ここで、冷間ピルガ圧延の記述は、鋼管の製造の例として、及びどのように鋼管の管外壁上に、後に管外壁から取り除かれなければならない混入物が生じるかの例として用いられる
【0039】
圧延ミルは、ロール102及び103を備えるロールスタンド101、調整された圧延マンドレル104、並びにフィーディングクランピングカートリッジ105からなる。表された実施態様では、冷間ピルガ圧延ミルは、フィーディングクランピングカートリッジ105のためのダイレクトドライブとしてリニアモーター106を含む。リニアモーター106は、ロータ116及びステータ117から構成される。
【0040】
図1に示される圧延ミルでの冷間ピルガ圧延の間、ホローシェル111は、圧延マンドレル104の方向に段階的に供給され、後者を超え、通過する、一方、ロール102及び103は、それらが回転するにつれて、マンドレル104上、そのためホローシェル111上、を水平に往復動される。その過程で、ロール102及び103の水平な動きは、ロール102及び103が回転可能に取り付けられたロールスタンド101により予め決められる。ロールスタンド101は、クランクドライブ121により圧延マンドレル104と並行な方向に往復動され、一方、ロール102及び103自体は、ロールスタンド101と相対的に固定であり、かつロール軸エンゲージに堅固に接続された歯車を備えるラックにより回転される。
【0041】
マンドレル104上へのホローシェル111の供給は、圧延マンドレルの軸に並行方向への並進運動を可能とする、フィーディングクランピングカートリッジ105により生じる。ロールスタンド101内に重なって配置された、円錐形に調整されたロール102及び103は、フィーディングクランピングカートリッジ105の供給方向に逆らって回転する。ロールにより形成された所謂ピルガマウスが、ホローシェル111を掴み、ロール102及び103が、材料の小さな起伏を外側から押し出し、ロール102及び103のアイドルパスが仕上り管を離すまで、ロール102及び103のスムージングパス及び圧延マンドレル104により、所定の肉厚に延伸される。圧延の間、ロール102及び103が取り付けられたロールスタンド101が、ホローシェル111の供給方向に逆らって動く。ロール102及び103のアイドルパスが到達した後、フィーディングクラインピングカートリッジ105により、ホローシェル111は圧延マンドレル104上に追加工程により供給される、一方、ロール102及び103はロールスタンド111と共に、それらの水平スタート位置に戻る。同時に、均一な形状の仕上り管に達するために、ホローシェル111はその軸周りの回転を受ける。各管断面の多段圧延の結果、均一な内径及び外径と同様に、管の均一な肉厚及び真円度が達成される。
【0042】
ロール102及び103とホローシェル111との間の摩擦を低減するために、潤滑剤、例えば、グラファイト含有潤滑剤、がロール102及び103上に適用される。この潤滑剤は、仕上り縮小された管の管外璧に残留物を形成する。本目的は、以下に記述される本発明による処理工程により、管の全長にわたり管外壁からこの残留物を除去することである。
【0043】
一例としてここに記載された、本発明の実施態様では、冷間ピルガ圧延ミルは、鋼管を製造するため、すなわちホローシェルを仕上り管の形状に成形するために用いられる。あるいは、本発明のこの成形工程は、しかしながら、特にホローシェルの冷間引抜によっても生じ得る。
【0044】
図2は、冷間ピルガ圧延により得られた仕上り縮小された管1の管外壁3のドライアイスブラスティングを示す。このドライアイスブラスティングでは、冷間ピルガ圧延の間、その管外壁3上で汚染された管1から潤滑剤が洗浄される。
【0045】
この目的のため、洗浄ランス4は、管1に向けられる。洗浄ランス4を通り、ドライスノー6は加圧空気7により管1に供給され、かつそれはアウトレットノズル5を通って管外壁3上に加速又はブラストされ、それにより外壁3はドライスノーにより洗浄される。
【0046】
矢印により示されるように、洗浄の間、管1はその軸周りに回転され、かつ直線的に動かされ、洗浄ランスのアウトレットノズル5を通り過ぎる。しかしながら、洗浄プロセスの間、ドライスノーの噴射が管の全長にわたり管外壁3と相互作用する限り、管が動くか洗浄ランス4が動くかはここで重要ではない。洗浄プロセスの間、管がその全外周にわたり洗浄されるように、管1はその軸周りに更に回転される。
【0047】
表された実施態様では、ドライスノー及び加圧空気で作られた噴射の温度は、管1の後ろの噴射方向において、すなわちドライスノー6の管外壁3との相互作用の後で、温度センサ8により測定される。
【0048】
結果として、管1の後ろの「廃ガス噴射」の温度が、管外壁3が効果的に洗浄されたか否かの指標として用いられる。廃ガス噴射の温度が、第一の上温度閾値及び第二の下温度閾値により定義される、ある温度範囲の外にある場合、洗浄は効果的ではなかったと推定されるはずであり、かつ洗浄プロセスは繰り返される。
【0049】
原開示の目的のため、本明細書、図面及び請求項から当事者に開示される全ての特徴は、たとえ特定の追加の特徴と関係した具体的な用語中でのみ記載されていたとしても、これが明示的に除外される範囲又は技術的状況がこのような組み合わせを不可能又は不合理にする程度で、個別に、及び他の特徴又はここに開示された特徴の群とのいかなる所望の組合せの双方において、組合され得るという事実に言及される。特徴の考えうる組合せの全ての、包括的、明示的な記述は、記載事項の簡潔さ及び読み易さのためだけに、ここでは省略される。
【0050】
本発明は、図面及び上記明細書において表され、詳細に記載されてきた一方で、この表現とこの記載は、例として生じるのみであり、かつ請求項により定義される保護の範囲を制限することを意図するものではない。本発明は、開示された実施態様に限られない。
【0051】
開示された実施態様の変形形態は、図面、明細書、記載及び添付された請求項から当業者にとって自明である。請求項内において、「含む(comprise)」という単語は、他の要素又は工程を排除せず、かつ不定冠詞「a」又は「an」は複数形を除外しない。特定の特徴が異なる請求項内で請求されているという単なる事実は、それらの組合せを除外しない。請求項内の参照番号は、保護の範囲を限定することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0052】
1 管
2 管内壁
3 管外壁
4 洗浄ランス
5 アウトレットノズル
6 ドライスノー
7 加圧空気
8 温度センサ
101 ロールスタンド
102、103 ロール
104 圧延マンドレル
105 フィーディングクランピングカートリッジ
106 リニアモーター
107 ホローシェル
112 チャック
116 ロータ
117 ステータ