【実施例】
【0087】
以下、参照が、上記説明と共に、非限定的な方式で本発明の一部の実施形態を例示する以下の実施例に対してなされる。
【0088】
一般に、本明細書で使用される命名法及び本発明で利用される実験室手順には、分子技術、生化学的技術、微生物学的技術及び組換えDNA技術が含まれる。このような技術は、文献中で完全に説明されている。例えば、「分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning:A laboratory Manual)」Sambrookら、(1989);「分子生物学における現代のプロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)」第I〜III巻 Ausubel,R.M.編(1994);Ausubelら、「分子生物学における現代のプロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)」、John Wiley and Sons、Baltimore、Maryland(1989);Perbal、「分子クローニングのための実務ガイド(A Practical Guide to Molecular Cloning)」、John Wiley & Sons、New York(1988);Watsonら、「組換えDNA(Recombinant DNA)」、Scientific American Books、New York;Birrenら(編)「ゲノム分析:実験室マニュアルシリーズ(Genome Analysis:A Laboratory Manual Series)」、第1〜4巻、Cold Spring Harbor Laboratory Press、New York(1998);米国特許第4,666,828号;同第4,683,202号;同第4,801,531号;同第5,192,659号及び同第5,272,057号に示される方法論;「細胞生物学:実験室ハンドブック(Cell Biology:A Laboratory Handbook)」、第I〜III巻 Cellis,J.E.編(1994);「動物細胞の培養−基礎技術のマニュアル(Culture of Animal Cells−A Manual of Basic Technique)」、Freshney、Wiley−Liss、N.Y.(1994)、第3版;「免疫学における現代のプロトコール(Current Protocols in Immunology)」第I〜III巻 Coligan J.E.編(1994);Stitesら(編)、「基礎及び臨床免疫学(Basic and Clinical Immunology)」(第8版)、Appleton & Lange、Norwalk、CT(1994);Mishell及びShiigi(編)、「細胞免疫学における選択された方法(Selected Methods in Cellular Immunology)」、W.H.Freeman and Co.、New York(1980);利用可能なイムノアッセイは、特許及び科学文献中に広範に記載されている、例えば、米国特許第3,791,932号;同第3,839,153号;同第3,850,752号;同第3,850,578号;同第3,853,987号;同第3,867,517号;同第3,879,262号;同第3,901,654号;同第3,935,074号;同第3,984,533号;同第3,996,345号;同第4,034,074号;同第4,098,876号;同第4,879,219号;同第5,011,771号及び同第5,281,521号を参照のこと;「オリゴヌクレオチド合成(Oligonucleotide Synthesis)」Gait,M.J.編(1984);「核酸ハイブリダイゼーション(Nucleic Acid Hybridization)」Hames,B.D.及びHiggins S.J.編(1985);「転写及び翻訳(Transcription and Translation)」Hames,B.D.及びHiggins S.J.編(1984);「動物細胞培養(Animal Cell Culture)」Freshney,R.I.編(1986);「固定化された細胞及び酵素(Immobilized Cells and Enzymes)」IRL Press、(1986);「分子クローニングのための実務ガイド(A Practical Guide to Molecular Cloning)」Perbal,B.、(1984)並びに「酵素学における方法(Methods in Enzymology)」第1〜317巻、Academic Press;「PCRプロトコール:方法及び適用のためのガイド(PCR Protocols:A Guide To Methods And Applications)」、Academic Press、San Diego、CA(1990);Marshakら、「タンパク質の精製及び特徴付けのための戦略−実習コースマニュアル(Strategies for Protein Purification and Characterization−A Laboratory Course Manual)」CSHL Press(1996)を参照のこと;これらは全て、本明細書に完全に示されたと同様に、参照によって組み込まれる。他の一般的な参考文献は、この文書を通じて提供される。それらの中の手順は、当業者に周知であると考えられ、読者の便宜のために提供される。それらの中に含まれる全ての情報は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0089】
材料及び方法
アッセイに使用するアストロサイトの生成
ヒトES細胞系を、ヒト新生児包皮線維芽細胞(HEF)のフィーダー層上で5%CO
2中で37℃で培養した。増殖培地(ES1)は、DMEM/F12(Sigma)、14%ノックアウト血清代用品(KSR)、非必須アミノ酸(1/100)、0.1mMベータ−メルカプトエタノール(3つ全て、Invitrogen/Gibcoから)、1mMピルビン酸Na、2μg/mlヘパリン(Sigma)及び8ng/mlヒト組換え塩基性FGF(FGF−2;Preprotech)からなった。播種の5日後、hES細胞コロニーを、1.2mg/mlコラゲナーゼIV(Worthington)で37℃で45〜90分間脱離させた。凝集物を、上記のようにさらに培養し、又は記載されたように(Izraelら、Mol Cell Neurosci 34、310〜323(2007)、分化に供した。
【0090】
ステップ1−移行:この移行ステップのために、hES細胞コロニーを、50%(v/v)ES1培地及び50%(v/v)のITTSPP/B27培地からなる培地T(Transition(移行))中で、組織培養プレートに移した。ITTSPP/B27はそれ自体、100U/mlペニシリン及び100μg/mlストレプトマイシンを含む、2%B27サプリメント(Invitrogen)を含むDMEM/F12の1体積と、25μg/mlヒトインスリン(ActRapid、Novo Nordisk)、50μg/mlヒトアポトランスフェリン(Biological Industries、Israel)、6.3ng/mlプロゲステロン、10μg/mlプトレシン、50ng/ml亜セレン酸ナトリウム及び40ng/mlトリヨードサイロニン(T3)(全てSigmaから)を含むDMEM/F12の1体積との混合物である。培地Tには、20ng/ml r−ヒトEGF(R&D Systems)及び4ng/ml r−ヒトbFGFを補充した。1日後、非接着性hES細胞コロニー及び凝集物のバルクを、6cm細菌(非接着性)プレートに移し、20ng/ml r−ヒトEGF(R&D Systems)及び2ng/ml r−ヒトbFGFを補充したT培地中で増殖させた。
【0091】
ステップ2:オール−トランスレチノイン酸(ATRA)処理:培地を、20ng/ml EGF及び10μM ATRAを添加したITTSPP/B27に切り替えた。培地を、7日間毎日交換した。
【0092】
ステップ3:懸濁培養:ニューロスフェア(NS)の熟化を可能にするこのステップの間に、培養を、20ng/ml EGFを含むITTSPP/B27培地中で18日間継続した。培地を、1日おきに交換した。
【0093】
神経幹細胞の増殖及び分化
ステップ4:Matrigel接着1:スフェア/クラスターを、DMEM/F12中に1:30希釈したBD Matrigel(増殖因子低減Matrigel、BD Biosciences)で室温(RT)で1.5時間にわたって被覆した6ウェル組織培養プレートに移した。培養培地は、20ng/ml EGFを含むITTSPP/B27であり、1日後に、いずれの非接着性凝集物をも廃棄した。培地を、7〜9日間にわたって1日おきに交換した。
【0094】
ステップ5:Matrigel接着2:線維芽細胞及び上皮細胞を含まないニューロスフェア/クラスターを、選択し、新たなMatrigelプレート上に採取した。ニューロスフェア(10個以下のNS)を、脱離させ、PBS(Ca+及びMg2+を含まない)中0.025%のトリプシン(InVitrogen)で37℃で2〜3分間、部分的に解離させた(継代1)。トリプシンを、1体積のトリプシンインヒビター(Invitrogen)及び4体積のITTSPP/B27中2mg/ml BSAによって中和した。細胞を、Eppendorf遠心分離において5分間1200rpmでスピンした。解離された小さいクラスターを、20ng/ml EGFを含むITTSPP/B27中でMatrigel被覆プレート上に(1:1〜1:3の比率で)再度播種した(ステップ4)。2〜3週間後、これらの細胞を、上記のようにトリプシン処理によって解離させ(継代2)、得られたhES−NS細胞を、ポリ−D−リシン(PDL、100μg/ml)で被覆したプレート、又はMatrigel被覆プレート、並びに20ng/ml EGFを含むITTSPP/B27中のマウスラミニン(20μg/ml)若しくはPDL(20μg/ml)及びフィブロネクチン5μg/ml上に、1日間播種した。各新たな播種の時点において、1μg/mlマウスラミニン(Sigma)を、培地に添加した。
【0095】
ステップ6及び7:ポリ−D−リシン又はMatrigel上で増大する:1日後、培地を、0.5%(v/v)N2サプリメント(Invitrogen)、1%(v/v)B27サプリメントを含むDMEM/F12からなるN2/B27培地に交換した。増殖因子EGF及びbFGFを、各々10ng/mlで添加した。7〜14日後、細胞を、トリプシン処理によって分割し(1:2又は1:3、継代2(P2))、単層を得た。1週間後、細胞を、トリプシンを用いて収集し、0.5×10
6細胞アンプル中で凍結させた(P3)。さらなる継代を、示された場合に、毎週実施した。
【0096】
アストロサイトを富化し、アストロサイト傾倒を促進するために、細胞を、Matrigel、Cultrex又はGeltrex上で増殖させてもよい。
【0097】
ステップ8:GF除去:異なる継代において、最終分化を、増殖因子を除去することによって開始した。増殖因子を除去した場合には、常に50μg/mlビタミンCをN2/B27培地に添加した。細胞を、増殖因子bFGF及びEGFを補充したN2/B27培地中で解凍した。分割及び96ウェルプレート中での播種の1日前に、増殖因子を除去した。
【0098】
アストロサイト馴化培地又はアストロサイト添加を使用した、神経保護アッセイ
【0099】
【化1】
【0100】
化合物の効果は、以下のステップ(黄色の丸)において試験することができる:
1.化合物は、成熟アストロサイトに向かうhAPC分化の間に添加され得、その後、化合物曝露したアストロサイト又はそれらの馴化培地が、ニューロンに添加され得る。
2.酸化ストレスを誘導する前の、24〜72時間にわたる最後の培地交換の時点。
3.酸化ストレスの間の共培養中。
4.組み合わせ、即ち1+2、1+3、2+3などが実施され得る。
【0101】
ステップ1:げっ歯類の脊髄からの運動ニューロンの生成
ラット胚(E15)由来の脊髄を、各実験に使用した。髄膜を、全ての脊髄から除去した。これらの脊髄組織を、小さい断片へと切り刻み、15mlチューブへと分割した(チューブ1つ当たり5つの胚)。トリプシン(2ml、0.25%)(Gibco #250050014)を、各チューブに添加し、37℃で15分間インキュベートした。細胞を、NB培地(7ml)及びFCS(1ml)中に再懸濁し、300gで5分間遠心分離し、上清を吸引した。ペレットを、NB培地(2ml)中に再懸濁した。単一細胞を計数し、matrigel(BD #FAL354230)被覆96ウェルプレート(Costar #cc−3596)上に播種した(120K細胞/ウェル)。細胞を、2日の培地交換で、50ng/ml NGF(Alomone #n−100)を補充したNB培地中で培養した。運動ニューロンの特徴付けを、3日間の培養後に実施した。ニューロンを、チューブリン−b3、ニューロフィラメント及びHB9(運動ニューロン特異的転写因子)で染色した。ニューロンの少なくとも70%が、これらの抗体について陽性であった。
【0102】
ステップ2:アストロサイト播種
アストロサイトを、(脊髄手術後)8〜10日目に播種した。細胞を、50ng/ml NGF(Alomone #n−100)を補充したNB培地を用いて培養した。
【0103】
ステップ3:アストロサイト馴化培地の生成
hPSC由来アストロサイト(30〜150日齢のアストロサイト)由来の培地を収集し;ビタミンCを補充した新鮮なN2B27で1:1希釈した。この培地を、ACM(アストロサイト馴化培地)と命名した。
【0104】
ステップ4:酸化ストレス誘導(9〜10日目に実施した)
50μM又は150μMのH2O2(Sigma #216763)を、ビタミンCを補充したN2B27、即ちACM(150μl)中に希釈し、アストロサイトを播種したプレートの各ウェルに添加した。これらのプレートを、37℃で6時間インキュベートした。
【0105】
これらのプレートを、4%PFA、100μl/ウェルで10分間固定し、次いで、これらのプレートを、2回洗浄し、染色まで4℃で貯蔵した。
【0106】
ステップ5:運動ニューロン細胞死の分析:
染色:
細胞を、Tx−100 0.3%(sigma)を補充したブロッキング緩衝液と共に室温(RT)で1時間インキュベートし、PBS(−/−)で洗浄した。
【0107】
細胞を、以下の抗体と共に、RTで1時間インキュベートした:
第1の抗体−Rb−抗カスパーゼ−3a(Promega #G7481)(1:250)
M−抗β−Tub3(Convence #MMS−435P)(1:500)
Rb−抗HB9(Abeam #AB−ab92606)(1:100)
【0108】
細胞を、PBS(−/−)を使用して2回洗浄し、以下の抗体と共に、RTで1時間インキュベートした:
第2の抗体−ヤギ−抗Rb−568(Invitrogen #A11036)(1:1000)
ヤギ−抗マウス−488(Invitrogen #A11029)(1:1000)
【0109】
細胞を、PBS(−/−)を使用して2回洗浄し、DAPI(1:1000)で標識し、5分間インキュベートし、PBS(−/−)を使用して2回洗浄した。HCS分析を、Scan Array−Cellomics(Thermo−scientific inc)を使用して実施した。
【0110】
ACM、又はhPSC由来アストロサイトの添加の効果は、以下などの他のストレス誘導因子に対して試験することができる:
− 運動ニューロン興奮毒性。具体的には、グルタマート毒性(運動ニューロン細胞の生存度に加えて、グルタマート取り込み能力を試験する)
− さらなる活性酸素種毒性
− AMPA/カイナート毒性
【0111】
培地組成:
N2B27培地:
− DMEM/F12(Sigma #01−170)96.5%。
− N2(Invitrogen #17502−048)0.5%。
− B27(Invitrogen #17504044)1%。
− Pen/Srep/Ampho B(Biological ind.#03−033−lB)1%。
− GlutaMAX(Invitrogen #35050038)1%。
【0112】
NB培地:
− Neurobasal培地(Gibco #21103049)97%。
− B27(Invitrogen #17504044)1%。
− Pen/Srep/Ampho B(Biological ind.#03−033−1B)1%。
− GlutaMAX(Invitrogen #35050038)1%。
【0113】
FACS分析を使用した、ヒトPSC由来アストロサイトの特徴付け:
FACSに使用したサンプル:
異なる発生段階におけるhPSC由来アストロサイト由来のサンプルを染色した;
0日目=EGF及びbFGFの存在下で増殖させたhPSC由来アストロサイト
7〜14日目=EGF及びbFGFの非存在下で7〜14日間増殖させたhPSC由来アストロサイト
14〜28日目=EGF及びbFGFの非存在下で14〜28日間増殖させたhPSC由来アストロサイト
28〜42日目=EGF及びbFGFの非存在下で28〜42日間増殖させたhPSC由来アストロサイト
42〜56日目=EGF及びbFGFの非存在下で42〜56日間増殖させたhPSC由来アストロサイト
【0114】
FACS染色:
試薬:
FACS緩衝液:PBS(Gibco #14190−094)99.5%
BSA(sigma #A9418)0.5%
抗体:
− GLAST(Miltenyi)
− A2B5(Miltenyi)
− CD44(Miltenyi)
− CXCR4(Miltenyi)
− CD140(BD)
− CD9(Miltenyi)
− CD133(Miltenyi)
− TRA1−60(Miltenyi)
− EpCAM(Miltenyi)
− ALDH1L1(Miltenyi)
− GFAP(固定後)(Sigma)
− Aqua4(固定後+Tx−100)
【0115】
接着性細胞のための細胞調製物:
細胞を、トリプシン(Gibco)を使用して3分間トリプシン処理し、DMEM/F12(Sigma)中の2mg/ml BSA(Sigma、Cat#:A9418)を補充したDTI(Gibco)で不活性化した。細胞を、コニカルチューブ中に培地と共に収集し、300gでRTで5分間遠心分離し、上清を廃棄した。細胞を、冷PBS緩衝液(Gibco、Cat#:14190−094)で再懸濁し、300gでRTで5分間遠心分離し、上清を廃棄した。
【0116】
固定:
細胞を、PFA 0.5%(希釈、EMC)で再懸濁し、4℃で30分間インキュベートした。細胞を、300gで5分間遠心分離し、上清を廃棄した。細胞を、1ml PBS中で洗浄し、300gで5分間遠心分離し、上清を廃棄した。
【0117】
細胞内抗原の染色のための透過処理:
細胞を、Tx−100 0.5%と共に4℃で30分間インキュベートして、細胞膜を透過処理した。細胞を、300gで5分間遠心分離し、上清を廃棄した。細胞を、PBS中に再懸濁し、300gで5分間遠心分離し、上清を廃棄した。
【0118】
免疫染色:
細胞を、FACS緩衝液(FB)で再懸濁した(1×10
5細胞/チューブ、100ulの体積中)。
【0119】
非コンジュゲート化一次抗体について:
非コンジュゲート化一次抗体及び非コンジュゲート化アイソタイプ対照抗体を、FB中に別々に希釈した。一次抗体を、製造者の指示に従って、最適な希釈で希釈した。細胞を、希釈した一次抗体又は希釈したアイソタイプ対照抗体と共に再懸濁し、4℃で30分間インキュベートした。細胞を、300gで5分間遠心分離し、上清を廃棄した。細胞を、FBで洗浄し、300gで5分間遠心分離し、上清を廃棄した。対応する蛍光色素コンジュゲート化二次抗体を、FB中に希釈した。細胞を、希釈した二次抗体と共に再懸濁し、4℃で30分間インキュベートした。二次抗体を、製造者の指示に従って、最適な希釈で希釈したが、このインキュベーションは、暗所で実施しなければならない。細胞を、FBで再懸濁し、300gで5分間遠心分離し、上清を廃棄した。細胞を、0.5ml FB中に再懸濁し、フローサイトメーターで分析した。
【0120】
蛍光色素コンジュゲート化一次抗体について:
蛍光色素コンジュゲート化一次抗体を、製造者の指示に従って、FB中に希釈した。細胞を、コンジュゲート化一次抗体と共に再懸濁し、暗所で4℃で15分間インキュベートした。細胞を、300gで5分間遠心分離し、上清を廃棄した。細胞を、FBで再懸濁し、300gで5分間遠心分離し、上清を廃棄した。細胞を、0.5ml FB中に再懸濁し、フローサイトメーターで分析した。
【0121】
ヒトPSC由来アストロサイトの遺伝子発現:
RNA抽出に使用したサンプル:
RNAサンプルを、異なる発生段階において、hPSC由来アストロサイトから抽出した;
0日目=EGF及びbFGFの存在下で増殖させたhPSC由来アストロサイト
7〜14日目=EGF及びbFGFの非存在下で7〜14日間増殖させたhPSC由来アストロサイト
14〜28日目=EGF及びbFGFの非存在下で14〜28日間増殖させたhPSC由来アストロサイト
28〜42日目=EGF及びbFGFの非存在下で28〜42日間増殖させたhPSC由来アストロサイト
42〜56日目=EGF及びbFGFの非存在下で42〜56日間増殖させたhPSC由来アストロサイト
【0122】
hPSC由来アストロサイトからのRNAの抽出:
0.05%トリプシン(Invitrogen #25200−056)を、細胞サンプル(1×10
6〜10×10
6細胞)に添加した。細胞を、37℃で5分間インキュベートした。トリプシンを、2体積の2mg/ml BSA(Sigma)の添加によって不活性化した。細胞を、300rpmで遠心分離し、上清を除去した。ペレットを、1mlのRLT(Qiagen)及び10μlベータ−メルカプトエタノール中に再懸濁し、−80Cで貯蔵した。
【0123】
リアルタイムRT−PCR
試薬及び装置
TaqMan(登録商標)遺伝子発現アッセイプローブ:
− A2B5(ABI、Life technologies)
− GFAP Hs00909236(life technologies)
− BDNF(ABI、Life technologies)
− PDGFR Hs00998018(life technologies)
− GLAST(ABI、Life technologies)
− GDNF(ABI、Life technologies)
− ALDH1L1 Hs00201836(life technologies)
− TRA−1−60(ABI、Life technologies)
− Nanog Hs04260366(life technologies)
− Oct4(ABI、Life technologies)
− Glu1 Hs00365928(life technologies)
− IGF−1(ABI、Life technologies)
− NGF(ABI、Life technologies)
− Aqua4(ABI、Life technologies)
− コネキシン30(ABI、Life technologies)
− CD44(ABI、Life technologies)
【0124】
・Human total RNA(Ambion)。
・Human Fetal RNA(Clontech)。
・TaqMan PCRマスターミックス、50ml(Applied Biosystems)。
・Fast Optical 96ウェル反応プレート(Applied Biosystems)。
・RT−PCR用T−Professionalベーシックグラジエント(Biometra)。
・High Capacity cDNA Reverse Transcription Kit(200反応)(Applied Biosystems)。
・Step One PlusリアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems)。
【0125】
逆転写
逆転写を、High Capacity cDNA Reverse Transcription Kit(Applied Biosystems)及びT−Professionalベーシックグラジエントを使用して実施した。以下の手順は、Invitrogenのプロトコールに基づいた。
【0126】
以下のRNA/プライマー混合物を、各チューブにおいて調製した:
RT緩衝液 2μl
総RNA 1μg
RTランダムプライマー 1μl
RNaseインヒビター 1μl
逆転写酵素 1μl
100mM dNTPミックス 0.8μl
DEPC H
2O 10μlまで
【0127】
自動サーモサイクラーを、以下のようにプログラムした:
1. 25℃ 10分間
2. 37℃ 120分間
3. 85℃ 5分間
4. 4℃ ポーズ
【0128】
cDNAを、リアルタイムPCRに使用するまで、−20℃で貯蔵した。
【0129】
リアルタイムPCR
以下の混合物を、光学プレートの各ウェルにおいて調製した(10μlの反応混合物について)。
5μl TaqMan Mix
0.5μl プローブ+プライマー
0.5μl cDNA
4μl H
2O
【0130】
遺伝子の各々についてqPCRによって得られたデータを、参照として成人胎児脳RNAを使用して分析した。
【0131】
hPSC由来アストロサイトの神経栄養因子分泌アッセイ
Elisaプロトコール:
使用した市販のキット:− BDNF(promega #G7610)
− GDNF(promega #G7620)
− IGF−1(R&D Systems #DG100)
− VEGF(R&D Systems #DVE00)
− NGF(promega #G7630)
【0132】
hPSC由来アストロサイトを、増殖因子(EGF+bFGF)の非存在下で少なくとも20日間増殖させた。hPSC由来アストロサイト上清培地(馴化培地)及び/又は細胞内容物(24時間〜72時間)を、最後の培地補給の後に収集した。
【0133】
因子の各々について、Elisaを、製造者のプロトコール指示に従って実施した。
【0134】
グルタマート取り込みプロトコール:
市販のキット:− EnzyChrom Glutamate Assay Kit(Bioassay Systems #EGLT−100)を使用した。
【0135】
使用した細胞培養物サンプル:少なくとも20日間の増殖因子枯渇(EGF+bFGF)hPSC由来アストロサイト、陽性対照ヒトアストロサイト(Gibco)、陰性対照ヒト線維芽細胞。グルタマート(0.5〜3mM)を、各実験ウェルに添加した。
【0136】
試験した細胞由来の培地サンプルの少なくとも0.5mlを、以下の時点:T=0分、10分、30分、60分、90分、120分、において採取し、さらなる処理まで4℃でそれらを貯蔵した。グルタマート取り込みを、製造者のプロトコールに従って実施した(Bioassay Systems #EGLT−100)。
【0137】
移植に使用したヒトアストロサイト:
ヒトアストロサイトを、ステップ1〜8を経て、上記のように(「アッセイに使用するアストロサイトの生成」)、生成した。移植のために、ヒトアストロサイト先駆体細胞を、増殖因子の除去によって分化させた。2つの細胞集団を実験に使用した:一方は、増殖因子の非存在下で7日間増殖させ(「7日目」)、他方は、42日間増殖させた(「42日目」)。「7日目」及び「42日目」のヒトアストロサイトを、2.85×10
5細胞/μLの濃度でDMEM/F12中に懸濁した。
【0138】
細胞移植
実験設計
5つの移植実験群を試験した。群番号1では、67±2日齢のSOD1
G93Aマウスに、「42日目」の分化したヒトアストロサイトを移植した(n=10匹のSOD1
G93Aマウス)。群番号2では、67±2日齢のSOD1
G93Aマウスに、「7日目」の分化したヒトアストロサイトを移植した(n=12匹のSOD1
G93Aマウス)。群番号3では、「7日目」細胞の2回の注射を、67±2日齢のSOD1
G93Aマウス及び97±2日目のSOD1
G93Aマウス(n=13)に対して実施した。群番号4には、67±2日齢のSOD1
G93Aマウス(n=10)にビヒクルのみを注射し(DMEM/F12偽注射群)、群番号5は、いずれの処置も受けなかった(インタクト群、n=4)。これらのマウスを、移植の3日前に開始して実験の最後までの、10mg/Kgシクロスポリン(Sandimmun、Novartis)の毎日のI.P.注射を介して免疫抑制し、さらに、15mg/kg CellCept(Roche)(O.S当たり)を、移植の3日前に開始して移植の7日後まで、1日2回与えた。
【0139】
ヒトアストロサイト移植
免疫抑制した動物は、67±2日(全ての群)及び97±2(群番号3)において移植を受けた。7μlの培地、又は7μlの総体積中の2.0×10
6細胞を、大槽を介してくも膜下腔内注射した。細胞を、30ゲージの45°斜角針(Hamilton;Reno、NV)を取り付けたHamilton Gastightシリンジ(10μL)を使用して送達した。移植セッションの完了後、細胞生存度を、Nucleocounterを使用して評価したところ、85%よりも高いことが見出された。
【0140】
SOD1
G93Aマウス
G93A変異を有するヒトSOD1遺伝子を保有するトランスジェニックマウスを使用した(B6SJL−Tg(SOD1
*G93A)1Gur/J)。雄性及び雌性マウスを、実験群間で均等に分けた。マウスは、The Jackson Laboratory(Bar Harbor、ME)から取得し、社内コロニーとして維持した。
【0141】
動物の看護及び処置
全ての手順を、イスラエルのガイドラインに厳格に従って実施した:任意の潜在的な疼痛又は動物の不快感を最小化するために、手段を講じた。マウスを、食物及び水を自由に摂取させ、標準的な温度(21℃)で光制御された環境に収容し、同じ部屋に位置付けられた換気ケージのラック中で維持した。脱水症を回避するために、ケージの水皿へのアクセスを、動物が疾患症状を示し始めた場合に提供した。
【0142】
行動及び運動性能の分析
前肢握力
動物の計量及び全ての行動データ収集を、移植の1週間前に開始し、最終段階まで1週間に2回実施した。前肢筋握力を、「握力メーター」を使用して別々に決定した。握力試験を、動物に、力計測器に取り付けた細いバーを握らせることによって実施した。その後、後肢又は前肢がバーを放すまで、計測器から動物を引き離した。これにより、最大握力の力についての値が提供される。力の測定は、3つの別々の試験で記録し、分析において平均を使用した。
【0143】
ロータロッド性能試験
運動機能を、1週間に2回実施した。運動機能を、加速Rota−Rodデバイス(180秒間、Rota−Rod 7650;Ugo Basile、Comerio、Italy)を使用して試験した。マウスがロッドから落ちた時間を記録した。動物を、記録する前に1週間トレーニングした。記録は、インプランテーションの1週間前に開始した。
【0144】
BBB臨床スコアリング
スコアリングは、以下の表に従って、0〜5の尺度である。マウスには、臨床像が2つの規定されたスコアの間にある場合、「中間」スコア(即ち、0.5、1.5、2.5、3.5)が与えられ得る。
【0145】
【表1-1】
【表1-2】
【0146】
体重
体重を、1週間に2回測定した。
【0147】
生存/最終段階及び発症分析
信頼性がある倫理的な方式で疾患の最終段階を決定するために、最終段階を、横向きに寝かせた場合にマウスが30秒以内に正しい位置に戻ることができないことによって規定した。
【0148】
疾患発症を、160秒を下回る、ロータロッド性能における減少によって規定した。
【0149】
統計分析
SOD1
G93AマウスのKaplan−Meier分析を、統計ソフトウェアSigmastat(SAS Software)を使用して実施して、生存、疾患発症及び持続時間のデータを分析した。Weight Rotarod、BBB及び握力の結果を、反復測定ANOVAを介して分析した。一部の場合には、Student t検定を実施して、動物の群間のデータを比較した。全てのデータを、平均±S.E.M.として示し、有意性のレベルをp≦0.05に設定した。
【0150】
組織学的分析及び生化学的分析
組織処理
動物を、0.3%生理食塩水とその後の氷冷4%パラホルムアルデヒド(Fisher Scientific;Pittsburgh、PA)とによる経心腔的灌流によって、最終段階で屠殺した。脊髄を、動物から取り出し、その後、30%スクロース(Fisher)/.1Mホスファート塩緩衝液中で4℃で3日間、凍結保護した。この組織を、OCT(Fisher)中に包埋し、ドライアイスで素早く凍結させ、処理するまで−80℃で貯蔵した。脊髄組織ブロックを、30μmの厚さで、矢状面又は横断面において切断した。切片を、スライドガラス上に収集し、分析するまで−20℃で貯蔵した。脊髄スライスのサブセットを、自由浮遊組織化学のためにPBS中に収集した。
【0151】
移植片の生存及び遊走の定量
HuNA(ヒト核抗原;Millipore;Temecula、CA;モノクローナル;1:400)を使用して、移植片由来のヒト細胞を選択的に同定した(hGRP及びhFの両方)。
【0152】
(例1)
in−vitroでのヒト多能性幹細胞(PSC)由来アストロサイトの生成及び特徴付け。
【0153】
成熟アストロサイトに向かうヒトアストロサイト先駆体細胞(APC)の分化を、以下によって、各アストロサイト系についてin−vitroで試験した:
a.リアルタイムPCR(qPCR)。以下のプローブ(mRNA)を試験した:BDNF、GDNF、PDGFR、GFAP、GLAST及びALDH1L1。
図1は、hESC由来アストロサイトのアストロサイト系統遺伝子発現の動態を実証した。成熟表現型に向かうアストロサイト先駆体細胞の分化を促進するために、増殖因子を、培地から除去した。サンプルを、0日目(増殖因子あり)、及び増殖因子を除去した状況で1週間毎に、収集及び試験した。ヒト胎児脳を、陽性対照として機能したヒト成人脳と一緒に、全ての試験した遺伝子について参照サンプルとして使用した(相対定量(RQ)=1)。ヒト成人脳は、50%を超えるアストロサイトからなることに留意することが重要である。この研究では、有意な増加が、細胞分化に際して全ての試験したアストロサイト遺伝子において見出され、多くの場合には、アストロサイト遺伝子(即ち、GFAP、BDNF、PDGFRα及びGLAST)の発現は、ヒト胎児脳よりも有意に高かった(
図1)。これらの結果は、このプロトコールが、ヒトアストロサイトの富化された集団を生じることを証明している。
【0154】
b.以下のような初期及び後期グリア限定マーカーを使用した、蛍光励起細胞ソーティング(FACS、フローサイトメトリー)分析:CD44、CXCR4及びGLAST。提示されたFACS分析の時点で(
図2)、CD44及びCXCR4などの初期アストロサイトマーカー並びに後期アストロサイトマーカーとしてのGLASTの動態を、試験した。フーシン又はCD184としても公知のCXCR4は、CNSにおいて強力な走化性活性を有するケモカイン受容体である。これらの細胞の95%超が、0日目から21日目までCXCR4及びCD44を発現し、これらのレベルが、アストロサイトの成熟化の際に減少したことが見出された。並行して、GLASTのレベルは、アストロサイトの成熟化の際に増加した(
図2)。CXCR4発現は、hESC由来アストロサイト先駆体細胞の高い遊走能の潜在力、細胞がそれらの目的地に到達するのに必要とされる能力を示す。
【0155】
c.アストロサイト特異的抗体:GFAP、GLAST、S100b及びアクアポリン4を使用した免疫組織化学(IHC)。染色を、本発明者らのScanArrayハイコンテントスクリーニングデバイス(HCS)によって定量する。
図3上で、hPSC由来アストロサイトを、in−vitroでの分化の50日目に染色した。画像中に見ることができるように、細胞の大多数は、アストロサイト特異的マーカー;GFAP、GLAST及びAQP4について陽性である。
【0156】
(例2)
hPSC由来アストロサイト生物学的機能性の試験
いくつかの実験を実施して、hPSC由来ヒトアストロサイトが、成熟健常アストロサイトの機能的特性を示すことを証明した。in−vitroでの結果は、作用の可能性のあるin−vivo機構に光明を投じた。その目的のために、以下の機能的機構を試験した:
【0157】
a.神経栄養因子(NTF)分泌:BDNF、GDNF及びVEGFについてのElisaを、アストロサイト上清培地及び界面活性剤抽出物に対して実施した。IFN−γ及びLPSなどの異なるアストロサイト活性化因子を使用した。
図4は、hPSC由来アストロサイトの活性化の際に、GDNF、BDNF及びVEGFが培地に分泌されることを実証した(
図4、それぞれ、中央の柱)。
【0158】
b.グルタマート取り込み:アストロサイトのグルタマート取り込み能力を、アストロサイト上清培地中のグルタマートのレベルを測定することによって試験した。比色アッセイ(Enzychrom)を、培地中のグルタマートのレベルを測定するために使用した。線維芽細胞を陰性対照として使用し、成人ヒト組織由来のアストロサイトは、陽性対照として機能した。データは、ヒトPSC由来アストロサイトによるグルタマート取り込みを示している(
図5)。この研究では、2つのグルタマート濃度(0.5mM及び2mM)のグルタマート取り込みの動態を、グルタマートの添加の、0分後、10分後、30分後、60分後、90分後及び120分後の時点で試験した。hPSC由来アストロサイトが、時間依存的様式で両方の濃度の培地からグルタマートを取り込むことが見出された。これは、アストロサイトの特定のサンプルがグルタマートを取り込む能力を示す。
【0159】
c.MN神経保護アッセイ:このアッセイでは、マウス又はヒト由来のMNを、過酸化水素(H
2O
2)でチャレンジした。hPSC由来アストロサイト馴化培地及び/又はアストロサイトの添加の、MNの生存に対する効果を、酸化ストレスの誘導後に試験した。生/死MNの数を、ハイコンテントスクリーニングデバイス(Cellomics−Scan Array)を使用することによって評価した。このアッセイは、ALS疾患においてMNの生存に影響を与える新たな薬物を見出すための価値あるツールとして機能し得る。データは、酸化ストレス(H
2O
2による)下にあるげっ歯類脊髄MNに対する、hPSC由来アストロサイト組織培養物由来の馴化培地の神経保護効果を示した。
図6に示すように、H
2O
2の2つの濃度(50μM及び150μM)において、hPSC由来アストロサイト由来の馴化培地の保護効果、及びマウスMN培養物に直接hPSC由来アストロサイトを添加することの効果を、試験した。MNの死における有意な減少が、両方のH
2O
2濃度でhPSC由来アストロサイト馴化培地を添加した後に見出された。著しいことに、酸化ストレス下にあるMN培養物にhPSC由来アストロサイトを添加することの神経保護効果は、それらの馴化培地を添加する場合よりもさらに高く(
図6)、このことは、それらの存在が、単なるそれらが分泌するものよりも、酸化ストレスを低下させることにおいてより有意であることを示唆している。これらの結果は、本発明者らのhPSC由来アストロサイトの神経保護能をin vitroでさらに実証している。hPSC由来アストロサイトのプロトコールは、高い純度のヒトアストロサイトを生じる。これらのヒトアストロサイトは、神経栄養因子の分泌及びグルタマート取り込み、運動ニューロンの生存を増加させることが公知の特性などの機能的アストロサイト特性をin−vitroで示す。in vitroモデルを使用して、酸化ストレス下にある運動ニューロンを保護することにおけるhPSC由来アストロサイトの潜在力を直接検証した。このアッセイは、in−vivoでのヒトアストロサイトの神経保護的潜在力を増加させる薬物を見出すことにおいて、価値あるツールである。
【0160】
(例3)
hPSC由来アストロサイトの移植のための最適な条件の発見
異なる移植態様のための最適化実験を、SOD1動物に対する実験の前に実施した。
【0161】
a.細胞注射方法を最適化する
i.異なる移植位置を試験した(即ち、脊髄前角中に直接、くも膜下腔内に、又は側脳室内に)。
ii.hPSC由来アストロサイトの数を試験した(注射(単数又は複数)部位(単数又は複数)当たり)。
【0162】
b.大規模有効性研究を最適化するために使用した、ニューロン損傷を測定するため及びインプラントされた細胞の検出のための組織学的方法を評価する。
【0163】
c.疾患を追跡するための行動試験及び電気生理学試験の有用性を評価する。
【0164】
d.hPSC由来アストロサイト生存の動態;移植後の遊走及び細胞分化を、免疫組織化学を使用して試験した。
【0165】
(例4)
ALS動物モデル−SOD1マウスへのhPSC由来アストロサイトの移植
MNに対するhPSC由来アストロサイトの神経保護効果を、in vivoで、即ち、動物の運動改善及び生存に対して試験した。その目的のために、hSOD1 G93A C57BL6/SJLバックグラウンド(高コピー数)マウスモデルを、材料及び方法に記載したように、使用及び処置した。
【0166】
図7に示すように、若いヒト由来アストロサイトの注射は、hSOD1マウスの生存を増加させた。
図8は、偽注射に対する、BBBロータロッド性能「7日目(プールした)」における有意な改善(P<0.05)を実証している。
【0167】
図9に示すように、「7日目」群は、偽注射群と比較して、それらの体重を有意に維持した(P<0.05)。
【0168】
図10に示すように、T1/2統計分析により、生存における有意な増加が、偽注射群と比較して、「7日目」の2回の注射群において観察されたことが明らかになった(P=0.046)。
【0169】
本発明を、その特定の実施形態と併せて記載してきたが、多くの代替物、改変及びバリエーションが当業者に明らかであることは、明白である。したがって、添付の特許請求の範囲の精神及び広い範囲内に入る全てのこのような代替物、改変及びバリエーションを包含することが意図される。
【0170】
本明細書中で言及される全ての刊行物、特許及び特許出願は、各個々の刊行物、特許又は特許出願が、具体的に且つ個々に参照によって本明細書に組み込まれると示されるのと同程度まで、本明細書中に参照によってその全体が組み込まれる。さらに、本出願における任意の参考文献の引用又は識別は、このような参考文献が本発明に対する先行技術として利用可能であることの承認と解釈すべきではない。セクション見出しが使用される範囲に対し、これら見出しを必然的に限定として解釈すべきではない。