(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6474810
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】薄層の内部にマーキングするためのレーザシステム並びに方法及びこれにより作製される対象物
(51)【国際特許分類】
B23K 26/00 20140101AFI20190218BHJP
B23K 26/035 20140101ALI20190218BHJP
B23K 26/53 20140101ALI20190218BHJP
【FI】
B23K26/00 B
B23K26/00 N
B23K26/035
B23K26/53
【請求項の数】10
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-534879(P2016-534879)
(86)(22)【出願日】2014年8月15日
(65)【公表番号】特表2016-528048(P2016-528048A)
(43)【公表日】2016年9月15日
(86)【国際出願番号】US2014051349
(87)【国際公開番号】WO2015023984
(87)【国際公開日】20150219
【審査請求日】2017年8月1日
(31)【優先権主張番号】61/866,705
(32)【優先日】2013年8月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】593141632
【氏名又は名称】エレクトロ サイエンティフィック インダストリーズ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100109896
【弁理士】
【氏名又は名称】森 友宏
(74)【代理人】
【識別番号】100192809
【弁理士】
【氏名又は名称】桑原 宏光
(72)【発明者】
【氏名】ライヘンバッハ,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,チュアン
(72)【発明者】
【氏名】シャン,ファン
【審査官】
柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2011/0123737(US,A1)
【文献】
特開2006−007619(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00
B23K 26/035
B23K 26/53
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と該基板により支持される層とを含む対象物にマークを施すための方法であって、前記層は内面と外表面とを含み、前記外表面は前記基板までの距離が長く、前記内面は前記基板までの距離が短く、
ビームウェストを有するレーザ出力のビームを生成し、
前記レーザ出力の焦点でのエネルギー密度が前記外表面及び前記内面から離れた前記層の領域内に複数の構造を形成するのに十分なものとなるように前記焦点を前記層の前記内面と前記外表面との間に方向付け、前記レーザ出力のビームは、前記外表面に対して非垂直の入射角で方向付けられ、前記層の前記内面と前記外表面との間の厚さが100ミクロン以下であり、前記複数の構造は、前記層の前記外表面に入射する光を散乱させるように構成される、
方法。
【請求項2】
前記内面と前記外表面との間の厚さが50ミクロン以下である、請求項1の方法。
【請求項3】
前記複数の構造は、L*値が約60以上の光学濃度を有するマークを構成する、請求項1又は2の方法。
【請求項4】
前記レーザ出力のビームは、15度以上の入射角で前記基板に照射される、請求項1から3のいずれか一項の方法。
【請求項5】
基板と該基板により支持される層とを含む対象物をマーキングするためのレーザシステムであって、前記層は内面と外表面とを有し、前記外表面は前記基板までの距離が長く、前記内面は前記基板までの距離が短いようなレーザシステムであって、
レーザ光を生成するように構成されたレーザと、
前記レーザ光を修正するように構成されたビーム修正システムと、
焦点で5ミクロン以下の開口数回折制限スポットサイズとなるように前記レーザ光を集束するように構成されたレンズと、
前記内面、前記外表面、又は前記基板に対して前記焦点の高さを調整する高さ制御機構と、
前記外表面及び前記内面から離間した前記層の領域内に複数の構造を形成するために、前記レーザ光が、前記外表面に対して非垂直の入射角で方向付けられ、かつ、前記レーザ光の前記焦点が前記層の前記内面と前記外表面との間に方向付けられるように、また、前記複数の構造が前記層の前記領域に入射した光を散乱するように構成されるように、前記レーザ、前記高さ制御機構、及び前記ビーム修正システムのうち少なくとも1つの動作を制御するように構成されたコントローラとを備え、前記層の前記内面と前記外表面との間の厚さは50ミクロン以下である、
レーザシステム。
【請求項6】
前記レンズは、0.3から0.8の範囲の開口数を有する、請求項5のレーザシステム。
【請求項7】
前記レーザ出力のビームは、30度以上の入射角で前記基板に照射される、請求項5又は
6のレーザシステム。
【請求項8】
レーザで生成されたマークを有する対象物であって、
金属を有する基板と、
前記基板によって支持され、酸化物を有する層とを備え、前記層は内面と外表面とを有し、前記外表面は前記基板までの距離が遠く、前記内面は前記基板までの距離が短く、前記層の前記内面と前記外表面との間の厚さは50ミクロン以下であり、
前記層の前記内面と前記外表面との間かつ前記対象物の領域内で複数のレーザ誘起特徴部を有する複数の構造を備え、前記特徴部は、レーザ誘起亀裂、レーザ誘起屈折率変化、及びレーザ誘起ボイドのうち1つ以上を含み、前記特徴部は、前記層の前記外表面まで延びることなく前記層内で終端し、前記複数の構造は、前記層の前記領域に入射する光を散乱するように構成される、
対象物。
【請求項9】
前記複数の構造は、L*値が約70以上の光学濃度を有するマークを構成する、請求項8の対象物。
【請求項10】
前記層は染色されていない、請求項8又は9の対象物。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本件出願は、2013年8月16日に提出された米国特許仮出願第61/866,705号の本出願であり、当該仮出願からの優先権の利益を主張するものである。この仮出願の内容はその全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(c) 2014 Electro Scientific Industries社。この特許文書の開示の一部には、著作権保護を受ける構成要素が含まれている。この特許文書又は特許開示は米国特許商標庁の特許ファイル又は記録に記載されているので、著作権者は、いかなる者による特許文書又は特許開示のファクシミリによる複製に対して異議を唱えることはないが、それ以外についてはどのようなものであってもすべての著作権を留保する。米国連邦規則集第37巻第1.71条(d)。
【技術分野】
【0003】
本出願は、レーザマーキングに関するものであり、特に、薄層の内部にレーザマーキングを施すためのレーザシステム及び/又は方法に関するものである。
【0004】
陽極酸化アルミニウム対象物にマーキングするためにレーザを用いることができる。レーザマークは、幅広い種類や変化する性質によって黒色又は白色に見えることがある。しかしながら、レーザマーキングプロセスが適切に行われなかった場合、陽極酸化アルミニウム層の表面には、亀裂が入ったり、ダメージを受けたりしてしまうことがある。この結果、陽極酸化アルミニウム層がより傷つきやすくなり、あるいはエッチングされやすくなり、あるいは除去されやすくなり、あるいはダメージを受けやすくなる。陽極酸化アルミニウム層に対する望ましくないダメージにより、下地のアルミニウム母基板が傷つき、摩耗し、酸化し、腐食し、あるいはダメージをうける可能性が高まる。
【0005】
本概要は、例示の実施形態の詳細な説明においてさらに述べられる概念を厳選したものを簡略化した形態で紹介するために提供されるものである。本概要は、特許請求の範囲に記載された主題の重要な又は必須の創作的な概念を特定すること意図しているものでも、あるいは、特許請求の範囲に記載された主題の範囲を限定することを意図しているものでもない。
【0006】
ある実施形態において、対象物は、サファイヤ又は他のウェハ材料の薄層を有する。
【0007】
ある実施形態において、対象物は、基板により支持される層を有する。
【0008】
ある実施形態において、基板と該基板により支持される層とを含む対象物にマークを施すための方法では、上記層は内面と外表面とを含み、上記外表面は上記基板までの距離が長く、上記内面は上記基板までの距離が短く、ビームウェストを有するレーザ出力のビームを生成し、上記焦点でのエネルギー密度が上記対象物の上記外表面から離れた上記対象物の領域内に複数の構造を形成するのに十分なものとなるように上記レーザ出力の焦点を上記層の上記内面と上記外表面との間に照射し、上記層の上記内面と上記外表面との間の厚さが50ミクロン以下であり、上記複数の構造は、上記層の上記外表面に入射する光を散乱させるように構成される。
【0009】
他の実施形態、追加の実施形態、又は累積的な実施形態においては、基板と該基板により支持される層とを含む対象物をマーキングするためのレーザシステムは、上記層は内面と外表面とを有し、上記外表面は上記基板までの距離が長く、上記内面は上記基板までの距離が短いようなレーザシステムであって、レーザ光を生成するように構成されたレーザと、上記レーザ光を修正するように構成されたビーム修正システムと、焦点で5ミクロン以下のスポットサイズとなるように上記レーザ光を集束するように構成されたレンズと、上記内面、上記外表面、又は上記基板に対して上記焦点の高さを調整する高さ制御機構と、上記対象物の領域内に上記対象物の上記外表面から離間した複数の構造を形成するために、上記レーザ光の上記焦点が上記層の上記内面と上記外表面との間に方向付けられるように、また、上記複数の構造が上記層の上記領域に入射した光を散乱するように構成されるように、上記レーザ、上記高さ制御機構、及び上記ビーム修正システムのうち少なくとも1つの動作を制御するように構成されたコントローラとを備え、上記層の上記内面と上記外表面との間の厚さは50ミクロン以下である。
【0010】
他の実施形態、追加の実施形態、又は累積的な実施形態においては、レーザで生成されたマークを有する対象物は、金属を有する基板と、上記基板によって支持され、酸化物を有する層とを備え、上記層は内面と外表面とを有し、上記外表面は上記基板までの距離が遠く、上記内面は上記基板までの距離が短く、上記層の上記内面と上記外表面との間の厚さは50ミクロン以下であり、上記層の上記内面と上記外表面との間かつ上記対象物の領域内で複数のレーザ誘起亀裂を有する複数の構造を備え、上記レーザ誘起亀裂は、上記外表面又は上記基板まで延びることなく上記層内で終端し、上記複数の構造は、上記層の上記領域に入射する光を散乱するように構成される。
【0011】
他の実施形態、追加の実施形態、又は累積的な実施形態においては、上記レーザ出力の上記ビームウェストは、上記焦点から離れる広がりであって、上記外表面及び上記内面での上記エネルギー密度が上記外表面及び上記内面を永続的に変化させるのには不十分なように上記外表面及び上記内面での上記エネルギー密度が上記焦点での上記エネルギー密度よりも十分に小さくなるような急峻な広がりを呈する。
【0012】
他の実施形態、追加の実施形態、又は累積的な実施形態においては、上記スポットサイズは、開口数回折が制限されている。
【0013】
他の実施形態、追加の実施形態、又は累積的な実施形態においては、上記レーザ出力のビームは、上記ビームウェストの焦点で5ミクロン(μm)以下のスポットサイズに集束される。
【0014】
他の実施形態、追加の実施形態、又は累積的な実施形態においては、上記内面と上記外表面との間の厚さは、100ミクロン以下、75ミクロン以下、50ミクロン以下、40ミクロン以下、又は30ミクロン以下、又は20ミクロン以下、又は10ミクロン以下である。
【0015】
他の実施形態、追加の実施形態、又は累積的な実施形態においては、上記層の厚さは5μm以上である。
【0016】
他の実施形態、追加の実施形態、又は累積的な実施形態においては、上記複数の構造は、L*値が約70以上の光学濃度を有するマークを構成する。
【0017】
他の実施形態、追加の実施形態、又は累積的な実施形態においては、上記複数の構造は、L*値が約80以上の光学濃度を有するマークを構成する。
【0018】
他の実施形態、追加の実施形態、又は累積的な実施形態においては、上記複数の構造は、L*値が約90以上の光学濃度を有するマークを構成する。
【0019】
他の実施形態、追加の実施形態、又は累積的な実施形態においては、上記基板は金属を有し、上記層は酸化物を有し、上記複数の構造は、光を散乱する複数の特徴部を有する。
【0020】
他の実施形態、追加の実施形態、又は累積的な実施形態においては、上記光を散乱する特徴部は、上記対象物の上記領域内の亀裂、ボイド、又は屈折率が変化する領域のうちの1以上である。
【0021】
他の実施形態、追加の実施形態、又は累積的な実施形態においては、上記層の上記外表面には、上記マークに関連した亀裂や裂け目がない。
【0022】
他の実施形態、追加の実施形態、又は累積的な実施形態においては、上記基板には、上記マークに関連した亀裂や裂け目がない。
【0023】
他の実施形態、追加の実施形態、又は累積的な実施形態においては、上記基板材料には、亀裂やバーリング(burring)、又は上記複数の構造の上記領域における上記レーザから受ける他の考え得る影響がない。
【0024】
他の実施形態、追加の実施形態、又は累積的な実施形態においては、上記焦点スポットは、上記内面及び上記外表面の双方から2ミクロンよりも遠くに離れて位置している。
【0025】
他の実施形態、追加の実施形態、又は累積的な実施形態においては、上記焦点スポットは、上記内面及び上記外表面の双方から5ミクロンよりも遠くに離れて位置している。
【0026】
他の実施形態、追加の実施形態、又は累積的な実施形態においては、上記焦点スポットは、上記層内で2ミクロンの高さ精度に制御される。
【0027】
他の実施形態、追加の実施形態、又は累積的な実施形態においては、上記焦点スポットは、上記層内で1ミクロンの高さ精度に制御される。
【0028】
他の実施形態、追加の実施形態、又は累積的な実施形態においては、上記層内で上記焦点スポットの高さを制御するために高さ制御フィードバックが用いられる。
【0029】
他の実施形態、追加の実施形態、又は累積的な実施形態においては、上記ビームウェストの空間長軸は、上記焦点スポットから上記ビーム軸に沿った距離に対して1ミクロンあたり110%の因数よりも長い。
【0030】
他の実施形態、追加の実施形態、又は累積的な実施形態においては、上記ビームウェストの空間長軸は、上記焦点スポットから上記ビーム軸に沿った距離に対して1ミクロンあたり115%の因数よりも長い。
【0031】
他の実施形態、追加の実施形態、又は累積的な実施形態においては、上記ビームウェストの空間長軸は、上記焦点スポットから上記ビーム軸に沿った距離に対して1ミクロンあたり120%の因数よりも長い。
【0032】
他の実施形態、追加の実施形態、又は累積的な実施形態においては、上記レーザ出力のビームは、30度以上、又は45度以上、又は60度以上の入射角で上記基板に照射される。
【0033】
他の実施形態、追加の実施形態、又は累積的な実施形態においては、上記レーザパルスは、約0.2μmから約2.5μmの範囲の距離だけ離間した位置で上記対象物に当たる。
【0034】
他の実施形態、追加の実施形態、又は累積的な実施形態においては、上記レーザパルスは、約0.2μmから約2.5μmの範囲のバイトサイズで上記対象物に当たる。
【0035】
他の実施形態、追加の実施形態、又は累積的な実施形態においては、上記レーザシステムは、0.3から0.8の範囲の開口数を有するレンズを含む。
【0036】
他の実施形態、追加の実施形態、又は累積的な実施形態においては、上記レンズは、0.5以上、又は0.6以上、又は0.7以上、又は0.8以上の開口数を有する。
【0037】
他の実施形態、追加の実施形態、又は累積的な実施形態においては、上記レーザ出力は、0.1psから100psの範囲のパルス持続時間を有するレーザ光のレーザパルスを含む。
【0038】
他の実施形態、追加の実施形態、又は累積的な実施形態においては、上記レーザ出力は、可視波長を有するレーザ光のレーザパルスを含む。
【0039】
他の実施形態、追加の実施形態、又は累積的な実施形態においては、上記層は染色されていない。
【0040】
他の実施形態、追加の実施形態、又は累積的な実施形態においては、上記基板は染色されていない。
【0041】
他の実施形態、追加の実施形態、又は累積的な実施形態においては、上記層及び上記基板の双方が染色されていない。
【0042】
追加の態様及び利点は、添付図面を参照して述べられる以下の例示的な実施形態の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態によりマーキングされた例示の対象物を模式的に示す断面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示される対象物上に形成された例示的なマークを模式的に示す、
図1のII-II線に沿って見た平面図である。
【
図3】
図3は、白色マーキングプロセスの実施形態によりマーキングされたサファイヤウェハを示している。
【
図4】
図4Aから
図4Cは、それぞれ
図3に示されている加工済みサファイヤウェハの上面、準表面マーク、及び底面の顕微鏡画像を示している。
【
図5】
図5A及び
図5Bは、白色マーキングプロセスの実施形態によりマーキングされた陽極酸化アルミニウム対象物の陽極酸化アルミニウム薄層を示している。
【
図6】
図6Aから
図6Cは、
図5A及び
図5Bに示された加工済み陽極酸化アルミニウム対象物の上面、準表面マーク、及び底面の顕微鏡画像を示している。
【
図7】
図7は、マークを構成する複数のレーザ誘起亀裂を生成するのに好適な例示的レーザ微細加工システムの一部の構成要素の部分簡略化模式的斜視図である。
【
図8】
図8は、レーザパルスの焦点スポットとそのビームウェストの図を示している。
【
図9】
図9は、陽極酸化アルミニウム対象物の陽極酸化層内でレーザとは異なるZ方向高さ位置で、かつ、レーザとは異なるパワー設定でのマークの配列を示している。
【
図10】
図10A及び
図10Bは、それぞれ、陽極酸化層の外表面と内面との間に完全かつ明確に位置するマークであって、マークされていない領域の光沢面とマッチする陽極酸化の光沢面によって示されるような致命的なダメージを陽極酸化層が受けないような正しいフィルファクター(fill factor)となるように選択されたレーザパワーで作成されたマークの例を示す断面図及び平面図を示している。
【
図11】
図11A及び
図11Bは、それぞれ、陽極酸化アルミニウム対象物の陽極酸化層内のうまく調整した準表面白色マークのカメラ画像を示している。
【0044】
例示的な実施形態では添付図面を参照して当業者が開示された主題を製造及び使用できるのに十分な詳細が述べられる。本開示に基づいて他の実施形態が明らかになるであろうし、特許請求の範囲により規定される開示の範囲を逸脱することなくプロセス的及び機械的な変更が可能であることを理解すべきである。以下の説明では、本開示を完全に理解できるように、たくさんの具体的な詳細が述べられる。しかしながら、これらの具体的な詳細がなくても本開示の主題を実施することができることは明らかであろう。本発明を不明瞭にすることを避けるために、既知のシステム構成及プロセス工程は、詳細には述べられていない場合がある。
【0045】
同様に、本システムの実施形態を示す図面は、模式的であり、縮尺が一致していない。特に、一部の寸法は、説明を簡略化するためのものであり、図面において非常に誇張されて示されている。加えて、複数の実施形態が共通の特徴を有しているものとして開示され説明されているときは、その図示、説明、及び理解を簡単かつ明瞭にするために、互いに類似又は同様の特徴は、通常、同様の参照符号によって説明される。
【0046】
さらに、明細書において使用される用語は、特定の例示的な実施形態を説明するためだけのものであり、限定を意図しているものではない。本明細書で使用される場合には、内容が明確にそうではないことを示している場合を除き、単数形は複数形を含むことを意図している。さらに、「備える」及び/又は「備えている」という用語は、本明細書で使用されている場合には、述べられた特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を特定するものであるが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそのグループの存在又は追加を排除するものではないことも理解されよう。特に示している場合を除き、値の範囲が記載されているときは、その範囲は、その範囲の上限と下限の間にあるサブレンジだけではなく、その上限及び下限を含むものである。
【0047】
図1は、本明細書に開示される例示的な実施形態によりマーキングされる例示的な対象物100の断面図を示している。
図2は、
図1のII−II線に沿って切断したときにおける
図1に示される対象物100上に形成された例示的なマーク200の平面図を示している。
【0048】
図1を参照すると、対象物100のような対象物は、基板102と、フィルム又は層104とを含んでいる。基板102は、金属又は金属合金のような材料から形成され得る。例えば、基板は、アルミニウム、チタン、亜鉛、マグネシウム、ニオビウム、タンタルなどの金属、又はアルミニウム、チタン、亜鉛、マグネシウム、ニオビウム、タンタルなどのうち1つ以上を含む合金から形成され得る。層104は、金属酸化物のような材料であり得る。一実施形態においては、層104は、基板102内の1以上の金属の酸化物を含んでいるが、基板102内に存在しない金属の酸化物を含み得る。
【0049】
層104は、任意の好適なプロセスによって形成され得る。例えば、層104は、物理的蒸着プロセス、化学蒸着プロセス、陽極酸化プロセス(例えば、クロム酸、硫酸、シュウ酸、スルホサリチル酸、リン酸、シュウ酸塩又は酒石酸塩槽などへの暴露、プラズマなどへの暴露、又はこれらの組み合わせを伴う)など、又はこれらの組み合わせにより形成され得る。
【0050】
層104を染色ないし着色してもよい。しかしながら、多くの実施形態においては、層104は染色されていない。米国特許第8,451,873号に開示されているようなレーザ漂白技術は、陽極酸化層104における(染色の効果をなくす)染色破壊(dye breakdown)を用いていることに留意されたい。典型的には、そのようなプロセスによって外表面108又は基板表面106を変化させることなく作り出せる最良の色は、金属基板102の本来の色(例えば、L*<40)である。そのようなプロセスは、染色がなければ、際だったコントラストを作り出すことができない。
【0051】
一般的に、層104は、100ミクロン(μm)以下の厚さtを有している。ある実施形態においては、tは75μm以下である。ある実施形態においては、tは50μm以下である。ある実施形態においては、tは40μm以下である。ある実施形態においては、tは30μm以下である。ある実施形態においては、tは25μm以下である。ある実施形態においては、tは20μm以下である。ある実施形態においては、tは15μm以下である。ある実施形態においては、tは10μm以下である。ある実施形態においては、tは3μm以上である。ある実施形態においては、tは5μm以上である。ある実施形態においては、tは10μm以上である。
【0052】
ある実施形態においては、基板102の表面(例えば、基板表面106)が少なくとも部分的に層104を通して見えるように層104の特性(例えば、材料組成、厚さ、分子幾何構造、結晶構造、電子構造、微細構造、ナノ構造など、又はこれらの組み合わせ)を選択してもよい。一実施形態においては、層104は、傷、摩耗、酸化、腐食、及び他のタイプのダメージから基板表面106を保護する役割を有する。このように、本明細書においては、層104を「パッシベーション層」又は「パッシベーション膜」ということができる。図示された実施形態においては、層104は基板102に隣接(すなわち直接接触)している。しかしながら、他の実施形態においては、層104は、基板102に近接するが基板102には接触しないようにしてもよい。例えば、基板102と層104との間に介在層(例えば、層104とは異なる組成や層104とは異なる構造などを有する自然酸化物層)が位置していてもよい。上記では、対象物100が基板102及び層104を含むものとして述べたが、基板102がなくてもよく、対象物100が単にサファイヤ、ガラス、ポリカーボネートなど、又はこれらの組み合わせのような透明又は半透明の材料からなる層(例えば、約3mmから約10μmの範囲の厚さを有する)であってもよいことは理解できよう。
【0053】
上述したように構成されているため、対象物100は、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、携帯情報端末、携帯メディアプレーヤ、テレビ、コンピュータモニタ、電話、携帯電話、電子書籍、リモコン、ポインティングデバイス(例えばコンピュータマウス)、ゲームコントローラ、サーモスタット、食器洗い機、冷蔵庫、電子レンジ、時計などといったデバイス用のハウジングの少なくとも一部であってもよく、あるいは、他のデバイスや製品のボタンであってもよく、あるいは、ディスプレイ(例えば、LCDディスプレイ、LEDディスプレイ、OLEDディスプレイ、タッチスクリーンディスプレイなど)の構成要素であってもよく、標識やバッジなどであってもよい。上述したように構成されているため、対象物100は、目に見える層104の外表面108を含んでいる。
【0054】
ある実施形態によれば、対象物100の一部の外観(本明細書においては「初期外観(preliminary visual appearance)」ともいう)を修正して、対象物100の外表面108に見えるマーク(例えば、
図2に示されるようなマーク200)を形成することができる。マーク200は単一の特定の形態で示されているが、マーク200が任意の形状を有していてもよく、2以上のマーク200を設けてもよいことは理解できよう。ある例においては、マーク200は、文字、グラフィックなど、又はこれらの組み合わせであってもよく、製品名、製造者名、商標、著作権情報、設計場所、組立場所、モデル番号、シリアル番号、ライセンス番号、関係当局による認可、規格に対する適合性情報、電子コード、ロゴ、認証マーク、広告、ユーザによりカスタマイズ可能な特徴など、あるいはこれらの組み合わせのような情報を伝達するものであってもよい。
【0055】
マーク200自体は、外表面108と、外表面108よりも基板102に近い内面110との間の層104内に形成された小さな亀裂(cracks)又は裂け目(fractures)の相互接続網又は他の構成からなり得る。マーク200の亀裂又は裂け目のすべて又は実質的にすべてが外表面108から離間されている。層104の厚さによっては、マーク200の亀裂又は裂け目を層内で約10μmから約100μmの範囲の深さで形成することができる。必要に応じて、マーク200の亀裂又は裂け目のすべて又は実質的にすべてが内面110から離間され得る。マーク200は、初期外観よりも明るい修正外観(modified visual appearance)を呈し得る。例えば、マーク200の修正外観は、白い外観又は実質的に白い外観を有し得る。マーク200内の亀裂又は裂け目のサイズ及び密度によっては、マーク200が不透明又は半透明であってもよい。マーク200内の亀裂又は裂け目が外表面108から離間されているので、マーク200近傍の外表面108の構造的一体性が維持され、これにより傷、摩耗、酸化、腐食、及び他のタイプのダメージから基板表面106を保護するという層104の役割を維持することができる。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態に係る対象物100及びマーク200について述べてきたが、ここでマーク200を形成するプロセスの例について説明する。
【0057】
一実施形態においては、対象物100の対象領域の少なくとも1つの特性(例えば、化学組成、分子幾何構造、結晶構造、電子構造、微細構造、ナノ構造など、又はこれらの組み合わせ)を修正する修正プロセスを行うことによりマーク200を形成してもよい。一実施形態においては、対象物100の対象領域は、外表面108と内面110との間の層104内に位置している。一実施形態においては、対象領域の少なくとも1つの特性を修正することにより、外表面108に入射した光を散乱させ得る上述した亀裂又は裂け目が層104内に形成され、対象物100の外表面108に目に見えるマーク200を形成することができる。
【0058】
ある実施形態においては、得られたマーク200の外観は、CIE 1976 L* a* b* (国際照明委員会により規定された色空間規格であるCIELABとしても知られる)を用いて記述することができる。CIELABは、人間の目に見える色を記述しており、基準として用いられる機器非依存型モデルとしての役割を有するように作成された。CIELAB規格の3つの座標軸は、1)色の明るさのファクターの大きさ(L*=0は完全な黒となり、L*=100は拡散した完全な白を示す)、2)赤/マゼンダと緑との間の位置(a*が負であれば緑を示し、正であればマゼンダを示す)、及び3)黄色と青との間の位置(b*が負であれば青を示し、正であれば黄色を示す)を表している。GretagMacbeth(登録商標)社により販売されているCOLOREYE(登録商標)XTH分光光度計のような分光光度計を用いてCIELAB規格に対応する形式で測定を行うことができる。類似の分光光度計がX-Rite(商標)社から入手可能である。
【0059】
本明細書の開示においては、十分に白いマーク200(例えば、マーク200の近傍の層108の外表面と基板表面106が(例えば、アブレーション、亀裂、エッチング、バブリング、剥離などにより)ダメージを受けないことを確保しつつ、約70以上のL*値を有するもの)を確実に形成するために、(例えば、波長、パルス持続時間、パルス繰り返し率、ピッチ、バイトサイズ、パルスエネルギーなど又はこれらの任意の組み合わせをはじめとする)レーザ条件の特定の値(又は値の範囲)を可変的に選択できることは理解できよう。ある実施形態においては、L*値が約75以上である。ある実施形態においては、L*値が約80以上である。ある実施形態においては、L*値が約90以上である。ある実施形態においては、L*値が約95以上である。
【0060】
修正プロセスは任意の好適な方法により行うことができる。例えば、第1の光学パルス(例えばレーザ光のパルス、本明細書においては「レーザパルス」ともいう)のようなレーザ出力ビームを対象物100に照射することにより対象領域を修正することができる。
図1に例示的に示されているように、レーザ微細加工システム112が、(1以上のレーザパルス52(
図8)を含む)レーザ出力114のビームをビーム軸72(
図7)に沿って対象物100に向かって生成及び照射してもよい。外表面108がダメージを受けない(すなわち、アブレートされたり、亀裂が入ったり、エッチングされたりしない)ことを確保しつつ、対象領域を修正してマーク200を形成するために、レーザパルスのビームの特性(例えば、パルス波長、パルス持続時間、パルスエネルギー、スキャン速度、パルス繰り返し周波数、バイトサイズなど)を選択することができる。
【0061】
ある実施形態において、レーザシステム112は、レーザスポット32の空間的長軸の決定を容易にするために0.1から1の範囲の開口数を有するスキャンレンズを含んでいる。ある実施形態においては、この開口数は0.2から0.89の範囲にある。ある実施形態においては、開口数は0.3から0.8の範囲にある。ある実施形態においては、開口数は0.8以下である。ある実施形態においては、開口数は0.5以上である。ある実施形態においては、開口数は0.6以上である。ある実施形態においては、開口数は0.7以上である。ある実施形態においては、開口数は0.8以上である。
【0062】
非常に小さな集束スポット32は、焦点スポット80から離れるにつれ非常に急激にエネルギー密度が低下するという利点も有する。この急峻なエネルギー低下によって、レーザパルスにより誘起された損傷領域が特に陽極酸化層104の非常に薄い領域内に位置することとなるか、バルクサファイア又はガラス基板において個々の欠損又はスポット32が非常に密接することとなり、周りの領域に影響を与えない、非常に密接した高解像度画像又はマーク200が生成される。
【0063】
ある実施形態においては、スポット32の空間的長軸が約1ミクロンから約25ミクロンであるか、スポット32の空間的長軸が25ミクロンよりも短い。(約22ミクロンよりも短い空間的長軸は、6.25cmの距離で人間の目には見えない。一般的に、約30ミクロン以下のスポットサイズは、人間の目の解剖学的制約及び従来のアイウェアの光学的制約によって、いずれも距離においても多くの人間の目には見えない。)ある実施形態においては、スポット32の空間的長軸は、約1ミクロンから約10ミクロンであるか、スポット32の空間的長軸は10ミクロンよりも短い。ある実施形態においては、スポット32の空間的長軸は、約1ミクロンから約5ミクロンであるか、スポット32の空間的長軸は5ミクロンよりも短い。
【0064】
ある実施形態においては、レーザスポット32のサイズは、焦点スポット80におけるレーザスポット32により生じたレーザ誘起欠損の「ピクセル」サイズと密接に関係している。ある実施形態では、レーザスポット32のサイズは、焦点スポット80におけるレーザスポット32により生じたレーザ誘起欠損のピクセルサイズよりも小さい。ある実施形態においては、レーザスポット32のサイズは、焦点スポット80におけるレーザスポット32により生じたレーザ誘起欠損のピクセルサイズよりも大きい。ある実施形態において、レーザ誘起欠損のピクセルサイズは約25ミクロン以下である。ある実施形態において、レーザ誘起欠損のピクセルサイズは約15ミクロン以下である。ある実施形態において、レーザ誘起欠損のピクセルサイズは約10ミクロン以下である。ある実施形態において、レーザ誘起欠損のピクセルサイズは約5ミクロン以下である。ある実施形態において、レーザ誘起欠損のピクセルサイズは約2.5ミクロン以下である。ある実施形態において、レーザ誘起欠損のピクセルサイズは約1ミクロン以下である。ある実施形態において、レーザ誘起欠損のピクセルサイズは0.5ミクロン以上である。ある実施形態において、レーザ誘起欠損のピクセルサイズは約0.5ミクロン以上であり、2.5ミクロン以下である。
【0065】
ある実施形態においては、連続的に照射されるレーザパルスが約0.1μmから約25μmの範囲の距離だけ離間した位置で対象物に当たるようにスキャン速度とパルス繰り返し周波数を選択することができる。ある実施形態において、この離間距離は、約0.1μmから約10μmの範囲にある。ある実施形態において、離間距離は、約0.1μmから約5μmの範囲にある。ある実施形態において、離間距離は、約0.1μmから約2.5μmの範囲にある。
【0066】
ある実施形態においては、連続的に照射されるレーザパルスが約0.1μmから約25μmの範囲のバイトサイズで対象物に当たるようにスキャン速度とパルス繰り返し周波数を選択することができる。ある実施形態において、このバイトサイズは、約0.1μmから約10μmの範囲にある。ある実施形態において、バイトサイズは、約0.1μmから約5μmの範囲にある。ある実施形態において、バイトサイズは、約0.1μmから約2.5μmの範囲にある。
【0067】
ある実施形態においては、サファイヤウェハ又は陽極酸化層104の内部で焦点が合わされた、高開口数の対物レンズの焦点スポット80をラスタスキャンすることにより白いマーク200が生成される。スポット32のエネルギー密度を変化されることにより衝撃を受ける領域を調整することができる。単一のレーザパルスにより、人間の目には(あるいは機械の視野に対して)白く見えるように光を散乱させる、およその大きさに揃えられたピクセル、欠損、又はスポット32を生成することができる。均一に白く見えるマーク200を生成できるようにパルスごとの間隔を変化させることによりマーク200のフィルファクターを決定することができる。また、このフィルファクターを高めるためにスキャンパスの数を調整することができる。さらに、1以上のパスにおけるスポット配置を他のパスにおけるスポット配置に対してずらしてもよい。スポット配置をずらすのは、垂直方向でも、水平方向でも、あるいはその両方であってもよい。
【0068】
より小さな対象物100へのマーキングが望まれるようになるにつれ、視野が遮られることのないスクリーンとして機能する透明材料用、あるいは、真性商品と偽造商品とを見分けるといった種々の目的のために使用され得る極秘情報や秘密の製造者ラベル用などという、いくつかの用途においては「見えない」マーク200を用いることができることが有用である。本明細書に述べられた手法を用いて層104内に目に見えないレーザマークを生成することができる。目に見えないGS1 DataMatrixコードを提供する不可視マーキングが、本出願の譲受人に譲渡されたJustin D. Reddによる米国特許出願第14/194,455号に詳しく記載されている。この出願は参照により本明細書に組み込まれる。
【0069】
ある実施形態においては、レーザ出力114のビーム軸72は、垂直ではない入射角で対象物100に照射される。ある実施形態において、入射角は15度以上である。ある実施形態においては、入射角は30度以上である。ある実施形態においては、入射角は45度以上である。ある実施形態においては、入射角は60度以上である。ある実施形態においては、入射角は75度以上である。ビーム軸72を垂直ではない入射角で照射することの利点は、ビーム軸72に角度をつけることにより、ビーム軸に沿った層104内の距離を、垂直なビーム軸72に沿った層104内の距離よりも大きくできることにある。外表面108と内面110との間で角度のついたビーム軸72に沿った距離を大きくすることにより、層104内の焦点スポット80の配置に対する誤差のマージンを大きくすることができる。ビーム軸72の入射角は様々な方法で制御できる。ビーム軸の角度を制御する1つの方法が、本出願の譲受人に譲渡された、Haibin Zhangの米国特許出願第14/205,200号に開示されている。この出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0070】
図7は、白いマーク200を構成する複数のレーザ誘起亀裂を生成するのに好適な例示的レーザ微細加工システム112の一部の構成要素の部分簡略化模式的斜視図である。
図6を参照すると、対象物100の外表面108と基板表面106との間に亀裂を生じさせることができる例示的なレーザ加工システムは、ESI MM5330微細加工システム、ESI ML5900微細加工システム、及びESI 5955微細加工システムであり、これらはすべてオレゴン州97229ポートランドのElectro Scientific Industries社により製造されている。
【0071】
典型的には、これらのシステムは、5MHzまでのパルス繰り返し率で約366nm(UV)から約1320nm(IR)の波長を出射するように構成され得る固体ダイオード励起レーザを用いる。しかしながら、これらのシステムは、本明細書において述べられるような層104内に選択されたレーザ誘起亀裂を確実に繰り返し生成するために、適切なレーザ、レーザ光学系、部品取扱装置、及び制御ソフトウェアを入れ替えるか追加することにより改良可能である。これらの変更により、レーザ加工システムは、所望の速度及びレーザスポット32間又はパルス間のピッチで、適切な位置に保持された対象物100上の所望の位置に適切なレーザパラメータを有するレーザパルスを照射して、所望の色、コントラスト、及び/又は光学濃度を有する所望のレーザ誘起亀裂を生成することが可能となる。
【0072】
ある実施形態において、レーザ微細加工システム112は、ドイツ連邦共和国カイザースラウテルンのLumera Laser社により製造されるモデルRapidのような、1064nm波長で動作するダイオード励起Nd:YVO
4固体レーザ50を用いる。このレーザは、必要に応じて固体調波発生器を用いて波長を532nmに下げて二逓倍され、これにより可視(緑色)レーザパルスを生成することができ、あるいは、約355nmに三逓倍され、あるいは、266nmに四逓倍され、これにより紫外(UV)レーザパルスを生成することができる。このレーザ50は、6ワットの連続パワーを生成するとされており、1000KHzの最大パルス繰り返し率を有する。このレーザ50は、コントローラ54と連係して1ピコ秒から1,000ナノ秒の持続時間を有するレーザパルス52(
図8)を生成する。
【0073】
これらのレーザパルス52は、ガウス型であるか、あるいはレーザ光学系62、典型的には、光路60に沿って配置された1以上の光学構成要素を備えたレーザ光学系によって特別に整形され、レーザスポット32で所望の特性を実現する。例えば、対象物100の外表面108に当たるレーザスポット32の全領域にわたって均一な照射量のレーザパルス12を伝達する「トップハット」空間プロファイルを使用してもよい。回折光学素子や他の光学ビーム整形素子を用いてこのように特別に整形された空間プロファイルを生成してもよい。レーザスポット32の空間照射プロファイルを修正することについての詳細な説明は、本出願の譲受人に譲受されたCorey Dunsky等による米国特許第6,433,301号に開示されている。この米国特許は参照により本明細書に組み込まれる。
【0074】
レーザパルス52は、折り畳みミラー64、(音響光学デバイス又は電子光学デバイスのような)減衰器又はパルス選別器66、及び(エネルギー用、タイミング用、又は位置用などの)フィードバックセンサ68も含み得る光路60に沿って伝搬される。
【0075】
光路60に沿ったレーザ光学系62及び他の光学要素は、コントローラ54により方向付けされるレーザビーム位置決めシステム70と協働して、光路60に沿って伝搬するレーザパルス52のビーム軸72を方向付けてレーザスポット位置で層104の外表面108の下方にレーザ焦点スポット80を形成する。レーザビーム位置決めシステム70は、レーザ50をX軸などの移動軸に沿って移動可能なレーザステージ82と、ファーストポジショナステージ84とを含み得る。典型的なファーストポジショナは、対象物100の大きな領域にわたってビーム軸72の方向を高速で変えることができる1対のガルバノメータ制御ミラーを利用する。そのような領域は、典型的には、後述するように、ワークピースステージ86による移動の領域よりも小さい。ガルバノメータミラーよりビーム偏向範囲が小さい傾向があるものの、ファーストポジショナとして音響光学デバイス又は変形可能ミラーを用いてもよい。あるいは、ガルバノメータミラーに加えて音響光学デバイス又は変形可能ミラーを高速位置決めデバイスとして用いてもよい。
【0076】
加えて、対象物100は、ビーム軸72に対して基板102を位置決め可能な運動制御要素を有するワークピースステージ86により支持されていてもよい。ワークピースステージ86は、Y軸のような単一軸に沿って移動可能であってもよく、あるいは、ワークピースステージ86は、X軸及びY軸のような横断軸に沿って移動可能であってもよい。あるいは、ワークピースステージ86は、Z軸周りなどに対象物100を回転(回転だけ、あるいは対象物100をX軸及びY軸に沿って移動させるとともに)できるものであってもよい。
【0077】
コントローラ54は、レーザビーム位置決めシステム70及びワークピースステージ86の動作を協働させ、複合ビーム位置決め能力を提供することができる。これにより、対象物100をビーム軸72に対して連続的に相対的に移動させつつ、層104内でレーザスポット32をマーキングすることが容易になる。この能力は、層104にレーザ誘起亀裂をマーキングするためには必要ではないが、この能力は、スループットを上げるためには望ましい場合がある。この能力は、本件出願の譲受人に譲受されたDonald R. Cutler等の米国特許第5,751,585号に述べられている。この米国特許は参照により本明細書に組み込まれる。ビーム位置決めの付加的な方法又は代替的な方法を用いることができる。ビーム位置決めの付加的な方法又は代替的な方法がSpencer Barrett等の米国特許第6,706,999号及びJay Johnsonの米国特許第7,019,891号に述べられている。これらの米国特許のいずれも、本件出願の出願人に譲受されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0078】
対象物100上のレーザスポット32の所望の(x−y)位置から数ミクロン内にレーザスポットを位置決めするビーム位置決め精度を提供するように、本明細書において述べた様々なビーム位置決めシステムを制御することができる。しかしながら、より高い精度は、より高価な構成要素、より大きなフィードバック制御、及び/又はより遅いシステムスループットによって実現し得ることに留意されたい。しかしながら、非常に安価なレーザ微細加工システムでもより高い精度を実現することができる。
【0079】
図8は、焦点スポット80とそのビームウェスト90の図を示している。
図8を参照すると、レーザパルス52の焦点スポット80は、主としてレーザ光学系62によって決定されるビームウェスト90(断面)及びレーザエネルギー分布を有する。レーザスポット32の空間長軸dは、典型的には、ビームウェストの長軸の関数であり、これら2つは同じであるか又は類似のものであり得る。しかしながら、レーザスポット32の空間長軸dは、ビームウェストの長軸よりも長くてもよいし、短くてもよい。
【0080】
レーザ光学系62を用いてビームウェストの焦点の深さ、ひいては層104内のレーザスポット32の深さを制御することができる。焦点の深さを制御することにより、コントローラ54は、レーザスポット32を層104内に繰り返し高精度で位置決めするようにレーザ光学系62及びファーストポジショナZ軸ステージ84を方向付けることができる。層104の外表面108の下方に焦点スポットを位置決めすることでマーク200を生成することにより、外表面108で特定の量だけレーザビームの焦点を外すことができ、これによりレーザパルスにより照射される領域を増やし、外表面108でのレーザフルエンスを(その外表面108での層104の材料の損傷閾値よりも少ない量に)低減することができる。ビームウェストの幾何的配置が既知であるので、外表面108の下方でかつ層104の内部に焦点スポット80を正確に位置決めすることにより、空間長軸d及びフルエンスに対する付加的な精度制御が可能となる。
【0081】
ある実施形態では、サファイヤのような透明な材料にマーキングするためなどに、層104の外表面108上から層104内で正確な距離だけ離れた位置までレーザスポット32の位置を調整することにより層104の中心でレーザフルエンスを正確に制御することができる。再び
図8を参照すると、ビームウェスト90は、FWHM法により測定されるビーム軸72に沿ったレーザパルス52の空間的エネルギー分布88として表されている。長軸92は、レーザ微細加工システム112が外表面108の上方距離96でレーザパルス52を集束する場合における外表面108上のレーザパルスのスポットサイズを表している。長軸94は、レーザ微細加工システムが外表面108の下方距離98でレーザパルスを集束する場合における外表面108上のレーザパルスのスポットサイズを表している。レーザスポット32を用いた内部マーキングが好ましい実施形態の多くにおいては、焦点スポット80は、層104の外表面108の上方や下方ではなく、層104の内部に位置するように案内される。焦点スポット80を除く基板材料のアブレーション閾値よりも低い量のフルエンス又は放射照度を用いてもよい。焦点スポット80では、層の材料のアブレーション閾値を超えるほどフルエンス又は放射照度が高まる。
【0082】
ある実施形態において有利に利用し得るレーザパラメータとしては、IRからUVにわたる波長で、より詳細には約10.6ミクロンから約266nmまでの波長でレーザ50を使用することが挙げられる。レーザ50は、0.1Wから100Wの範囲にあり、より好ましくは0.1Wから10Wの範囲にある2Wで動作し得る。(例えば、半値全幅、すなわちFWHMに基づく)パルス持続時間は、0.1ピコ秒から1000ns、より好ましくは約0.1ピコ秒から200ns、より好ましくは約0.1ピコ秒から1nsの範囲にある。レーザ繰り返し率は、1KHzから100MHz、より好ましくは10KHzから1MHzの範囲にあり得る。レーザフルエンスは、約0.1×10
-6J/cm
2から100.0J/cm
2、より詳細には1.0J/cm
2から20.0J/cm
2の範囲にあり得る。マーキングされる対象物100に対してビーム軸72が移動する速度は、1mm/sから10m/s、より好ましくは100mm/sから1m/sの範囲にある。層104内のスポット32の隣接する列の間のピッチ又は間隔は、0.1ミクロンから1000ミクロン、より好ましくは0.1ミクロンから10ミクロンの範囲にあり得る。層104の外表面108で測定されるレーザパルス52の空間長軸は、0.5ミクロンから50ミクロン又は1ミクロンから25ミクロンの範囲にあり得る。
【0083】
内部マーキングの多くの実施形態について、焦点スポット80は、層104の外表面108の下方(層104の内面110と外表面108との間)に位置決めされる。層104の中央に対するレーザパルス52の焦点スポット80の上下位置は、−20μmから+20μmの範囲になり得る。ある実施形態においては、層104の中央に対するレーザパルス52の焦点スポット80の上下位置は、−10μmから+10μmの範囲になり得る。ある実施形態においては、層104の中央に対するレーザパルス52の焦点スポット80の上下位置は、−5μmから+5μmの範囲になり得る。ある実施形態においては、層104の中央に対するレーザパルス52の焦点スポット80の上下位置は、−2μmから+2μmの範囲になり得る。
【0084】
内部マーキングの多くの実施形態について、焦点スポット80は、層104の外表面108の少なくとも3ミクロン下方に位置している。内部マーキングの実施形態について、焦点スポット80は、層104の外表面108の少なくとも5ミクロン下方に位置している。内部マーキングの実施形態について、焦点スポット80は、層104の外表面108の少なくとも10ミクロン下方に位置している。
【0085】
内部マーキングの実施形態について、焦点スポット80は、基板表面106の少なくとも3ミクロン上方に位置している。内部マーキングの実施形態について、焦点スポット80は、基板表面106の少なくとも5ミクロン上方に位置している。内部マーキングの実施形態について、焦点スポット80は、基板表面106の少なくとも10ミクロン上方に位置している。
【0086】
ある実施形態において、焦点スポットは、内面及び外表面の双方から2ミクロンよりも大きな距離だけ離れた位置にある。ある実施形態において、焦点スポットは、内面及び外表面の双方から5ミクロンよりも大きな距離だけ離れた位置にある。
【0087】
ある実施形態において、焦点スポット80は、層104内で高さに関する正確性が5ミクロン以内となるように制御される。ある実施形態において、焦点スポット80は、層104内で高さに関する正確性が2ミクロン以内となるように制御される。ある実施形態において、焦点スポット80は、層104内で高さに関する正確性が1ミクロン以内となるように制御される。ある実施形態において、焦点スポット80は、層104内で高さに関する正確性が0.5ミクロン以内となるように制御される。
【0088】
ある実施形態において、ビームウェストの空間長軸は、焦点スポット80からビーム軸72に沿った距離に対して1ミクロンあたり110%の因数よりも長い。例えば、空間長軸が1ミクロンの焦点スポット80を有するビームは、焦点スポット80から1ミクロンの上下位置では1.1ミクロンよりも大きなビームウェストを有し、焦点スポット80から2ミクロンの上下位置では2.2ミクロンよりも大きなビームウェストを有し、焦点スポット80から3ミクロンの上下位置では3.3ミクロンよりも大きなビームウェストを有する。
【0089】
ある実施形態では、ビームウェストの空間長軸は、焦点スポット80からビーム軸72に沿った距離に対して1ミクロンあたり115%の因数よりも長い。例えば、空間長軸が1ミクロンの焦点スポット80を有するビームは、焦点スポット80から1ミクロンの上下位置では1.15ミクロンよりも大きなビームウェストを有し、焦点スポット80から2ミクロンの上下位置では2.3ミクロンよりも大きなビームウェストを有し、焦点スポット80から3ミクロンの上下位置では3.45ミクロンよりも大きなビームウェストを有する。
【0090】
ある実施形態では、ビームウェストの空間長軸は、焦点スポット80からビーム軸72に沿った距離に対して1ミクロンあたり120%の因数よりも長い。例えば、空間長軸が1ミクロンの焦点スポット80を有するビームは、焦点スポット80から1ミクロンの上下位置では1.2ミクロンよりも大きなビームウェストを有し、焦点スポット80から2ミクロンの上下位置では2.4ミクロンよりも大きなビームウェストを有し、焦点スポット80から3ミクロンの上下位置では3.6ミクロンよりも大きなビームウェストを有する。
【0091】
ビームウェストの空間長軸は、焦点スポット80から離れるにつれ、急速に広がり、外表面108及び内面110でのエネルギー密度が焦点スポット80でのエネルギー密度よりも十分に小さくなり、外表面108及び内面110でのエネルギー密度が外表面108及び内面110を永続的に変化させるのには不十分となる。
【0092】
一例は、1064nmの波長では、30ミクロンの厚さの陽極酸化層104の中央に位置する焦点スポット80での空間長軸が1.5ミクロンである場合には、ガウス型ビーム伝搬理論により、ビームウェストの空間長軸の広がりが陽極酸化層104の外面及び内面(いずれも焦点スポット80から15ミクロン離れている)で16ミクロンになると計算できる。同様に、同一のビームは、焦点スポット80から7.5ミクロンの距離だけ離れた位置では約8ミクロンのビーム軸を有する。
【0093】
本出願人は、1から1,000ピコ秒の範囲のレーザパルス幅を生成するピコ秒レーザの使用と組み合わせて準表面焦点スポット80を用いることが、透明層104又はサファイヤなどの透明半導体基板内にマーク200を確実かつ繰り返し生成する良好な方法であることを発見した。ある実施形態においては、0.1から1000psの範囲のパルス幅を用いることができる。ある実施形態においては、1から100psの範囲のパルス幅を用いることができる。ある実施形態においては、5から75psの範囲のパルス幅を用いることができる。ある実施形態においては、10から50psの範囲のパルス幅を用いることができる。あるいは、10から1000フェムト秒の波長を生成するフェムト秒レーザがよい結果を提供する。しかしながら、ピコ秒レーザを用いる利点は、既存のフェムト秒レーザによりも非常に安価であり、メンテナンスを必要とすることも非常に少なく、典型的には、動作寿命もずっと長いことにある。
【0094】
上述したように、様々な波長でマーキングを実現することができるが、本出願人は、可視光レーザ、特にピコ秒の範囲で動作する緑色レーザが特に反復性のある良好な結果を提供することを見い出した。532nm又はその近傍の波長は特に有利であったが、1064nmを利用することができた。例示のレーザ50は、Lumera6Wレーザであった。ファイバレーザ又は他の種類のレーザを用いることができることは理解できよう。
【0095】
陽極酸化アルミニウム対象物100に対するマーキングを調整する他の手法を用いることもできる。そのような手法のうちいくつかが米国特許第8,379,679号、米国特許第8,451,873号、及び米国特許出願公開第2013-0208074号に詳細に説明されている。これらすべては、Haibin Zhang等によるものであり、本出願の譲受人に譲渡されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0096】
上述したように、層104内に焦点を選択的に方向付けることによって薄層材料の内部にマーキングを施すことができる。層104の内部マーキングは、耐水性や汚れ耐性といった外表面108の完全性を維持することができる。また、内部マーキングは、表面マーキングにより生じる亀裂の伝搬や他の悪影響を低減することができる。
【0097】
一実施形態において、可視光領域(例えば緑色領域)のような他の電磁スペクトル領域において、あるいは、紫外領域においてレーザパルスのビームの他の特性が適切に補償される場合には、パルス波長が電磁スペクトルの赤外領域(例えば、1064nm又はそのあたり)にあってもよい。(例えば、半値全幅、すなわちFWHMに基づく)レーザパルスのパルス持続時間は、0.1ピコ秒から1000ピコ秒の範囲であってもよい。レーザパルスのビームのパルスエネルギーは、0.01μJから10μJの範囲であってもよい。レーザパルスのビームのスキャン速度は、50mm/sから500mm/sの範囲であってもよい。パルス繰り返し周波数は、100kHzから1MHzの範囲であってもよい。一実施形態において、連続的に照射されるレーザパルスが、約0.2μmから約2.5μmの範囲内のバイトサイズで対象物に当たるようにスキャン速度及びパルス繰り返し周波数を選択することができる。しかしながら、例えば、層104の材料、層104の厚さtなど、又はこれらの組み合わせに応じて、上述したレーザパルスの特性のいずれかを上述した範囲外に変化させてもよいことは理解できよう。
【0098】
一実施形態において、レーザシステム112は、0.3から0.8の範囲の開口数を有するスキャンレンズを含んでいる。スキャンレンズは、得られるビームウェストが、外表面108と内面110との間の層104の内部に位置するようにレーザパルスビームの焦点を合わせるために用いられる。一実施形態においては、レーザシステム112は、必要に応じて、白色マーキングプロセス中に対象物100を保持するように、あるいは、白色マーキングプロセス中に対象物100を移動(例えば、回転、平行移動など、又はこれらの組み合わせ)するように、あるいはこれと似たように構成された支持システムを含んでいる。
【0099】
数多くの方法のうち任意の方法で外表面108又は基板表面106のZ軸高さを測定することができる。そのような方法の1つは、外表面108又は基板表面106上の反射ターゲットを照射するレーザスポットの画像を取得することを含んでいる。このシステムは、Z方向高さにおけるいくつかのステップを通して段階的に進めることができ、各ステップでターゲットの縁部を横断してビームをスキャンする。ターゲットの縁部を横断するスキャン中の反射の変化の鋭さを各ステップで測定し、Z方向高さのステップに関連付けられた鋭さの値をプロットする。鋭さが最大の点、ひいては外表面108又は基板表面106の本当のZ方向高さが、鋭さの曲線において潜在的に補完されたピークに対応するZ方向高さとなる。同様に、コントラスト値を得るためにレーザ照射下で十分な表面の詳細を含む対象物100の任意の部分を結像することができる。システムのZ方向高さが上記プロットされた複数の値及びコントラスト値を通して段階的に進められる場合、最大コントラスト点からZ方向高さを推定することができる。レーザ三角測量法や干渉法をはじめとする数多くの方法のうち任意の方法でZ方向高さを直接測定することもできる。Z方向高さ制御の特定の例示的な方法は、米国特許第6,483,071号、第7,363,180号、及び第8,515,701号に見ることができる。これらは、本出願の譲受人に譲渡され、参照により本明細書に組み込まれる。
【0100】
一般的に、正確なZ方向測定の1つのアプローチは、陽極酸化層104の外面又は内面108,110又は金属基板102の基板表面106に対してレーザの焦点位置を正確に測定することである。この測定は、(レンズ輝度又はスペクトルモニタリングを通した)レーザ材料相互作用からのフィードバックの検知を介して実現することができる。また、この測定は、レンズシステムを介して反射した低い(レーザ)パワーパルスの強度を測定することを介して実現することもできる。
【0101】
また、制御を拡大するために付加的な表面モニタリングを利用することもできる。そのような表面モニタリングは、タッチプローブモニタイング、容量検知、誘導検知、レーザ変位(三角測量)検知、干渉モニタリングのうちの1つ以上を含み得る。
【0102】
一般的に、レーザシステム112は、マーク200を形成するための、レーザ源、ビーム修正システム、ビームステアリングシステム、及び支持システムのうちの少なくとも1つに連結されたコントローラ(図示せず)をさらに含み得る。このコントローラは、例えば、メモリと通信可能に連結されたプロセッサを含み得る。一般的に、このプロセッサは、様々な制御機能を規定する動作ロジック(図示せず)を含んでいてもよく、ハードワイヤード状態機械(hardwired state machine)のような専用ハードウェアの形態、プログラミング命令を実行するプロセッサの形態、及び/又は当業者が思いつくであろう異なる形態であってもよい。動作ロジックは、デジタル回路、アナログ回路、ソフトウェア、又はこれらの種類のハイブリッド結合を含み得る。一実施形態においては、プロセッサは、動作ロジックに従ってメモリに格納された命令を実行するように構成された1以上の演算処理装置を含み得るプログラマブルマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、又は他のプロセッサを含んでいる。メモリは、半導体、磁気、及び/又は光学の種類のうち1以上のタイプを含んでいてもよく、加えて/あるいは、揮発性及び/又は不揮発性のものであってもよい。一実施形態においては、メモリは、動作ロジックにより実行可能な命令を格納する。これに代えて、あるいはこれに加えて、メモリは、動作ロジックにより操作されるデータを格納し得る。ある構成においては、動作ロジック及びメモリは、
図1に関して述べられた装置の構成要素の動作的な側面を管理及び制御するロジックを行うコントローラ/プロセッサの形態に含まれている。他の構成においては、これらは分離され得る。
【0103】
マーク200を生成する際に有用なプロセスパラメータを含んで白色マーキングプロセスのいくつかの実施形態について例示的に述べてきたが、プロセスパラメータの特定の組み合わせ及び得られるマーク200を実証する特定の実施形態について以下に述べる。
【実施例1】
【0104】
スキャンレンズ(Thorlabs LMH-20×-1064、NA=0.4)を用いて30μmのピッチサイズでラスタスキャンして、サファイアウェアに準表面白色マーク200を形成した。例示のプロセスの一部のプロセスパラメータを下記表1に列挙する。
図3は、この例に関して述べられた白色マーキングプロセスによりマーキングされた(すなわち、Electro Scientific Industries社に関連づけられた商標ロゴが付されている)サファイヤウェハを示している。
図4Aから
図4C(まとめて
図4とする)は、
図3に示される加工済サファイヤウェハの上面、準表面マーク200、及び底面の顕微鏡画像をそれぞれ示している。
図4A及び
図4Cは、上面及び底面に傷が付いていない(すなわち、マーク200に関連した亀裂や裂け目がない)ことを示している。
図4Bは、サファイヤウェハの内部の顕微鏡画像を示しており、白色マーキングプロセスの結果として亀裂又は裂け目が形成されたスキャンラインを示している。
【0105】
【表1】
【実施例2】
【0106】
厚さ約30μmの陽極酸化アルミニウム層に準表面白色マーク200を形成した。陽極酸化アルミニウム層は、陽極酸化アルミニウム対象物の一部であった。長距離作動スキャンレンズ(Mitutoyo 50×Plan Apo NIR HR無限補正)を用いて5μmのピッチサイズでラスタスキャンして、準表面白色マーク200を形成した。例示のプロセスの一部のプロセスパラメータを下記表2に列挙する。
図5A及び
図5B(まとめて
図5とする)は、この例に関して述べられた白色マーキングプロセスによりマーキングされた陽極酸化アルミニウム対象物の陽極酸化アルミニウム層(厚さ約30μm)を示している。
図6Aから
図6Cは、
図5A及び
図5Bに示される加工済み陽極酸化アルミニウム対象物100の外表面108、準表面マーク200、及び底面110の顕微鏡画像をそれぞれ示している。
図6A及び
図6Cは、外面及び内面108,110に傷が付いていない(すなわち、マーク200に関連した亀裂や裂け目がない)ことを示している。
図6Bは、陽極酸化アルミニウム層104の内部の顕微鏡画像を示しており、白色マーキングプロセスの結果として亀裂又は裂け目が形成されたスキャンラインを示している。
【0107】
【表2】
【0108】
図9は、陽極酸化アルミニウム対象物100の陽極酸化層104内でレーザ50とは異なるZ方向高さ位置で、かつ、レーザ50とは異なるパワー設定でのマーク200の配列を示している。負のZ方向位置では、レーザ焦点スポット80がアルミニウム基板102と相互作用し、マークが陽極酸化層104とアルミニウム基板102との界面で外表面108の下方に位置しているにもかかわらず、黒い焦げた外観を生成する。この効果は、米国特許第8,379,679号において先に述べられている。正のZ方向高さでは、レーザ焦点スポット80が陽極酸化層104の外表面108に当たり表面マークを生成する。低いパワーでは、欠陥のサイズがコントラストの低いマークにおいて100%のフィルファクターに達しない。高いパワーでは、傷がつかないままでいるために陽極酸化層104は過度のダメージに耐えることとなる。
【0109】
図10A及び
図10B(まとめて
図10とする)は、それぞれ、陽極酸化層104の外表面108と内面110との間に完全かつ明確に位置するマーク200であって、陽極酸化層104が致命的なダメージを受けないような正しいフィルファクターとなるように選択されたレーザパワーで作成されたマーク200の例を示す断面図及び平面図を示している。
【0110】
図10Aに関して、白色マーク200の断面は、陽極酸化層104内に含まれる白く見えるレーザ誘起欠陥領域を示している。陽極酸化層104の衝撃が与えられた領域は、外面及び内面108,110が影響を受けないままであるように陽極酸化層104の外表面108及び内面110の双方から十分に離れており、可視マーク200を生成する散乱光が陽極酸化層104の中に位置する容量となっている。
【0111】
図10Bに関して、包括的な光学顕微鏡画像は同一のレーザ(白色)マーク200を示している。しかしながら、マーク200は、画像をキャプチャするのに用いた撮像手法のためにこの画像では暗く見える。
【0112】
図11A及び
図11Bは、それぞれ、陽極酸化アルミニウム対象物100の陽極酸化層104内のうまく調整した準表面白色マーク200のカメラ画像を示している。
図11Aに関して、マーク200は、拡散した入射光で白く見える。
図11Bに関して、マーク200は、強く鏡面反射した入射光から離れた角度で見ると暗く見える。
【0113】
上記は、本発明の実施形態を説明したものであって、これに限定するものとして解釈されるものではない。いくつかの特定の実施形態例が述べられたが、当業者は、本発明の新規な教示や利点から大きく逸脱することなく、開示された実施形態例及び他の実施形態に対して多くの改良が可能であることを容易に認識するであろう。
【0114】
したがって、そのような改良はすべて、以下の特許請求の範囲において規定される発明の範囲に含まれることを意図している。例えば、当業者は、そのような組み合わせが互いに排他的になる場合を除いて、いずれかの文や段落の主題を他の文や段落の一部又は全部の主題と組み合わせることができることを理解するであろう。
【0115】
本発明の根底にある原理を逸脱することなく上述の実施形態の詳細に対して多くの変更をなすことが可能であることは当業者にとって自明なことであろう。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲とこれに含まれるべき請求項の均等物とによって決定されるべきである。