(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも1枚の補完布と少なくとも1枚の相互作用織布とを備える三次元ファブリック製品であって、前記補完布は事前作成の、それ自体構造的に安定した布であり、前記相互作用織布は交絡した経糸と緯糸を備え、前記相互作用織布の経糸及び緯糸あるいは経糸または緯糸の少なくともいくつかは前記補完布を厚さ方向に貫通し、それにより前記補完布と前記相互作用織布は、三次元ファブリック製品を形成するそれらの交差する継ぎ目で互いに接続されており、
少なくとも1枚の補完布および少なくとも1枚の相互作用織布は相対的に異なる構造設計仕様を有し、
少なくとも1枚の相互作用織布の構造設計仕様は個々の一重織の層であり、
少なくとも1枚の補完布の構造設計仕様は、3D織布、編成、編組、いずれかの種類の不織、レース、刺繍、ノンクリンプファブリック(NCF)、単方向、ネット及びパイルのタイプのファブリックのうちの少なくとも1つである三次元ファブリック製品。
前記三次元ファブリック製品はその構成補完布がそのウェブまたはフランジのいずれかでありその構成相互作用織布が対応してそのフランジまたはウェブのいずれかであるプロファイル横断面のビームの形であることを特徴とする請求項1に記載の三次元ファブリック製品。
前記製品はプロファイル横断面のビーム以外の形であり、その構成補完布が前記三次元ファブリック製品の部材もしくは部分またはコンポーネントもしくはパーツの1つであり、かつその構成相互作用織布が他の部材もしくは部分またはコンポーネントもしくはパーツであることを特徴とする請求項1に記載の三次元ファブリック製品。
2枚以上の隣接して発生する補完布及び相互作用織布あるいは補完布または相互作用織布が追加留めにより互いに接続され、前記追加留めは少なくとも縫製、縫合、金具留め、接着、融着、ピン留めのうちの1つであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の三次元ファブリック製品。
前記ホルダまたはクランプ構成は製織中、補完布を軸周りに静止状態で保持する、または前記補完布を軸周りに断続的に静止状態で保持しかつ前記補完布が断続的に軸周りに回動されるよう構成されていることを特徴とする請求項22または23に記載の装置。
【背景技術】
【0002】
3D(三次元)ファブリック強化の複合材料を製造するために、直接的または間接的のいずれかで、T、L、Pi、H、I及びUなどのプロファイル横断面のビームを生産するための布形成方法が長年にわたり数多く開発されてきた。プロファイルビーム状プリフォームと呼ばれる、そのような3Dファブリック強化物は一次的な耐荷構造適用を目的とする。これらのプリフォーム及びここで述べる他の新しい種類のものはあわせてこれ以降「3Dファブリック製品」と呼ぶ。プロファイルビームに似た3Dファブリック製品は本質的には2つの部分から構成される:(i)『垂直』部分、これ以降「ウェブ」と呼ぶ;及び(ii)『水平』部分、これ以降「フランジ」と呼ぶ。最も単純なプロファイルビーム状3Dファブリック製品は各々が1つのウェブ及び1つのフランジを有するため「T」、「L」または「+」横断面で例示される。その他の3Dファブリック製品はプロファイルビームとは異なり、必ずしもウェブ及びフランジまたはウェブもしくはフランジ、あるいはさらに平面/線状なウェブ及びフランジだけを備えるわけではないほか、構造及び形においてより複雑であり得る。
【0003】
ここに開示されている発明の文脈において、背景を示すために引用するのに適切と考えられる従来技術のいくつかには例えば、異なる布を縫合/継合する、または適切に形成された布のある部分/一部を折曲/屈曲させることのいずれかによるプロファイルビーム状3Dファブリック製品の間接生産に関する、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、及び特許文献5が含まれ、また特別に開発されたプロセスによるプロファイルビーム状3Dファブリック製品の直接生産に関する、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12が含まれる。これら全ての既知の方法は、一組の興味深くも深刻な問題を解決するために長年にわたって費やされた努力を表すもので、この問題は既存の3Dファブリック製品の欠点を適切な視点から見直した例を通じて以下に述べる。
【0004】
これまで、例えば、糸/トウ/繊維/フィラメント/ロービング、繊維状テープ等、これ以降「糸」とのみ呼ぶ、を備える単純な単壁/層の「T」横断面ビーム状3Dファブリック製品を、例えば以下の性能及び機能に関連した特徴を組み合わせた方法で有して製造することは可能ではなかった:
・せん断/ねじり力に耐えるためビーム状3Dファブリックの縦方向に対し+/−θ°バイアス配向に糸を備える構造的に一体の単壁/層ウェブ;
・引っ張り/圧縮力に耐えるためビーム状3Dファブリックの縦方向に対し0°/90°配向に糸を備える構造的に一体の単壁/層フランジ;
・分離や剥離に抗するため互いに継ぎ目で交差及び一体化するウェブ及びフランジの各構成糸の相互の布厚方向の接続。
【0005】
換言すると、ウェブが例えば、
編組構造を持ち、フランジが例えば、織成構造を持ち、またウェブとフランジが相互にそれらの厚さ方向に互いに相互接続されている、すなわちウェブとフランジの平面がそれらの継ぎ目で互いに交差するプロファイルビーム状3Dファブリック製品を製造することは可能ではなかった。同様に、ウェブが織成構造を持ち、フランジが
編組構造を持ち、またウェブ−フランジが互いの厚さ方向を通過するそれぞれの構成糸によって互いに相互接続されているプロファイルビーム状3Dファブリック製品を製造することは可能ではなかった。
【0006】
相対的に高い機械的性能と向上した機能性の耐剥離性を有する複合材料、また重要なことには、実際的に使用可能な材料を現在可能であるよりもコスト効率良く生産できるようにするには、異なる織物設計仕様構成、すなわち交絡(すなわち、製織により織成される)及び絡合(すなわち、製組により
編組される)などの個々の布形成プロセスによって作られた繊維/糸の特徴的配置を組み合わせることが必須である。というのもこれらの布は構造的に一体の構成を持ちそれらのウェブやフランジとしての使用はそれらを安定かつ堅固にし、またそれにより3Dファブリック製品を自立させ優れた複合材料コンポーネントを満足のいくようさらに加工して得ることを可能にするからである。構造的一体化の無い/乏しい織物プリフォームはつぶれやすく、性能を減じる一因になる繊維の不整合、不適切な繊維分布、繊維破損等を招くほか、その取扱い及びマトリックス含浸を困難にする。
【0007】
さらに重要なことには、ウェブとフランジのそれぞれの糸を通じた相互の布厚方向の接続によってウェブとフランジの交差継ぎ目がよく一体化されていることが必須である。3Dファブリック製品のこのような相互の布厚方向に一体の継ぎ目は当然単一化され剥離/分離に耐え、またそれにより最終複合材料の機械的性能及び信頼性を向上させるであろう。
【0008】
上記の特徴的な織物設計仕様的/構造的構成を有する3Dファブリック製品を実用的、効率的、及び経済的に生産するために現在使用可能な方法は無さそうである。上で引用した従来技術は基本的にはほぼ規則的/均一/均質な設計仕様及び形を有する細長構造を生産するために考案されている。これら既存の方法はウェブやフランジの完全に異なる構造的設計仕様を有する3Dファブリック製品を生産する可能性を提供してはいない。さらに、これらの方法は異なる織物設計仕様の組み合わせを備えるウェブもしくはフランジも、またはウェブ及びフランジの両方も提供しない。また、それらは特定のまたは数種類の形/形状及び寸法のみを生産する能力において限定されている。その結果、これら既存の方法は広く深い性能及び機能的特徴を必要とする複雑な3Dファブリック製品を工夫して達成するのに多くの余地を与えない。これらの方法が非効果的であることはそれらが工業的に不満足かつ非魅力的であり続けているという事実により裏付けられる。
【0009】
間接的なまたは縫合の方法は異なる2Dシート布の重ね合わせ及び縫合ができ、またそれによりプロファイルビーム状製品の生産において異なる構造的に一体の布の設計仕様を可能にする。しかしながら、ウェブとフランジの相互の布厚方向の接続は無い。直接的または特別な3Dファブリック形成プロセスはウェブとフランジの相互の布厚方向の接続をもたらすが、構造的に一体のウェブ(またはフランジ)、及び相対的に異なる布の設計仕様のウェブとフランジ両方は提供しない。これら2つの手法はどちらも3Dファブリック製品で所要の性能及び機能的特徴を工夫して達成することができないため、以下において検討する。また、分かるとおりそれらは実用上複雑で非効率である。そのため当該の問題を解決するために適切な新しい解決方法が必要であり、それはここで開示される発明を通じて使用可能にされる。
【0010】
プロファイルビーム状3Dファブリック製品を生産するため(適切なプロセスを採用することにより、予め製造された、または事前作成された)異なる平面状布シートを縫合/継合/金具留めする方法は間接的で特許文献1、特許文献2、特許文献3及び特許文献4により例示される。この『縫合』手法によっては生じるプロファイルビームのウェブ/フランジの構成糸は交差せず、ウェブ−フランジ継ぎ目でそれぞれの相互厚さ方向に通る。異なる布シートは横断面の形状形成のために組み立て及び縫合を可能にするため湾曲/屈
曲/折曲/角度付けされるのでウェブとフランジの交差は無い。折曲/湾曲布シートの使用によりウェブ−フランジ継ぎ目に糸の相互の布厚方向の交差が無いことで、ウェブ−フランジの非継合部分間を橋架する他の布片が当てられた場合、継ぎ目に空隙/空の『三角形』空間が形成される。ウェブとフランジの相互厚さ方向間の糸の不連続性により、継ぎ目は弱くなる。このような3Dファブリック製品を備える複合材料は剥離する、すなわち亀裂や割れにより欠陥を生じる。その結果、縫合/継合材料は信頼性を欠くものになりがちで、ゆえに高性能用途には使用できない。
【0011】
縫合手法についての改良が特許文献5に反映されており、そこでは3Dファブリックは選択的内蔵の接続/非接続部分/部を有して生産される。非接続部分はその後最終形状を形成して得るため所要の方向に屈曲/折曲され得る。しかし、縫合/継合材料についていえば、この材料も相互の布厚方向に交差するウェブとフランジを形成しない。その結果、屈曲/折曲部分は力/荷重下での構造欠陥に抗するため他の織物材料の使用による追加的な接続及び橋架を必要とする。しかしながら、ウェブ−フランジ継ぎ目に形成される空隙/空の『三角形』空間のせいで反対に折曲された部分のこのような接続及び橋架は失敗し、これにより構造は弱くなり、剥離傾向になり、ゆえに信頼性を欠く。
【0012】
縫合方法に関係する他のいくつかの不都合な点には以下が含まれる。
(a)縫合に使用されたものと布を成すものとの間での繊維特性の不一致;(b)縫合に使用された繊維材料が複合材料を作るのに使われたマトリックスと合わない;(c)比較的緩い/不安定かつ弱い継ぎ目により構造が信頼性を欠いたものになり、扱いにくくまた性能挙動を予測しにくくなる;(d)取扱い及び縫合動作により起きる繊維破損による低い信頼性;(e)取扱い及び縫合動作により起きる繊維変位及び方向的不整合;(f)労働力を要しかつ時間がかかる;(g)糸のむだの発生を招き、これは環境に悪影響を及ぼす;(h)重要な利点を提供することなく高価である;及び(i)複雑な形状を有する3Dファブリック製品を創出するには不適である。
【0013】
そのうえ、縫合を可能にするためにはウェブやフランジの厚さを相対的に低く保たなければならず、それは今度は直接的に、得られたプロファイル材料の機械的性能を(相対的に低量の繊維のため)相対的に低くし、ゆえに重要な用途には不向きである。いずれにしても、2枚の布を縫合/継合することではウェブとフランジの間の相互の布厚方向の接続がそれらの継ぎ目に無いことにより起きる基本的な剥離の問題は克服されない。
【0014】
特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11及び特許文献12により例示される、直接的方法も満足のいくかつ信頼性のある3Dファブリック強化物を提供するものではない。なぜならばこれらのプロセスが以下の重要な欠点のうちの1つ以上を持つからである:
・ウェブが構造的に一体の糸の1以上の壁/層を+/−θ°配向に備えていない。
【0015】
・フランジが構造的に一体の糸の1以上の壁/層を0°/90°配向に備えていない。
・構造的に一体のフランジ及び構造的に一体のウェブの糸が互いの厚さ方向を通過しない。
【0016】
・フランジ壁/層が1層厚より大きい。
・フランジが複数の個々/別々の壁/層から構成されていない。
・フランジは糸で+/−θ°配向に作られていない。
【0017】
・ウェブが糸で0°/90°配向に作られていない。
・ウェブ及びフランジあるいはウェブまたはフランジが外の縦方向縁側に沿って先細りしていない。
【0018】
・ウェブ−フランジ継ぎ目の縦方向内角が隅肉/丸み付けされていない。
・ウェブは異なる設計仕様または糸の配向の組み合わせから構成されていない。
・フランジは異なる設計仕様または糸の配向の組み合わせから構成されていない。
【0019】
・ウェブ及びフランジあるいはウェブまたはフランジがさまざまな高さと幅、非平面的かつ非対称な構成を持たない。
・ウェブ及びフランジのない3Dファブリック製品は生産可能ではない。
【0020】
・湾曲形を有する3Dファブリック製品は生産可能でない。
・それらは既製または事前作成の布を適切な布にされる糸と共に加工したり、事前作成の布と作成直後の布を組み合わせたりして3Dファブリック製品を創出することができない。
【0021】
記述から明らかなように、これらの直接的プロセスは先に述べた間接的または縫合プロセスとは、それらが所要の3Dファブリック製品を生産するために構造的に一体化されるいかなる既製または事前作成の適切な布も使用しない点で異なる。これらのプロセスは、既定の設計仕様の適切な事前作成布、及びプロセスで使用した糸を一体化することで作成される相対的に異なる布の設計仕様を用いることにより構造的に一体化されたウェブ及びフランジの互いに交差する継ぎ目を形成することができない。これらの態様は当該従来技術の以下の提示において明らかになるであろう。
【0022】
特許文献6は、経糸結合糸(C)が示されたI−ビームプロファイルのウェブ部分の縦方向に対し2つのバイアス角(すなわち、+/−θ°バイアス角)配向に一体化されたプロファイルビーム状3Dファブリック製品を開示する。しかしながら、これら糸(C)はいかなる方法でも構造的に、例えば、
編組布で起こるように、絡合して、互いに繋がれてはおらず、ヘルド(第5欄、40〜44行及び
図9)を使用してクリールから引き出され、上下フランジ(A及びB)(第3欄、15〜17行)の間の平面(第4欄、27〜28行)内に所望の傾斜に捕捉される。さらに、プロファイル材料の縦方向に対し0°及び90°に配向された、フランジ部分の糸はいかなる方法でも、製織で起こるように、交絡されてはおらず(第5欄、18行)、それに記載されているように(第5欄、20〜22行)他の結合糸(C1及びC2)を用いて各フランジの厚さ方向に積重され結合される。
【0023】
ウェブ部分の+/−θ°バイアス糸(C)はいかなる方法でも互いに構造的に繋がれることなく起こる、すなわち糸(C)は交絡(すなわち、織成しない)も絡合(すなわち、
編組しない)もインターループ(すなわち、編成しない)もしない、なぜなら考案の方法にはこれらの糸(C)を互いに一体化するための用意がないからである。これら糸(C)間の相互的構造接続性/完全性の欠如のせいで、ウェブ部分は2枚の別々のシートのままで、ゆえに不安定で妨害や損傷を受けやすい傾向にある。さらに、作成されたウェブ部分は格子状の開放構造である。それは糸で充分に満たされて中実な/非分割の布平面を形成してはいない。糸の不足により、その
図8及び
図9で分かるとおり、ウェブはトラス構造に似ている。その結果、相対的に低量の糸を有しかついかなる構造的完全性もないウェブは性能を与えることも取扱い中/含浸など、さらなる加工中の歪み、また関連した結果的損傷に耐えることもできない。実際は、このような弱々しいウェブは自重で、また上フランジの重さのそれでもつぶれがちである。したがって、このような織物構造は寸法安定性及び強度/硬質性に不満の残るものであることが理解されるので、ホットメルト(すなわち、熱可塑性)繊維を含んで安定化のため繊維を継ぐ/結合することが提案されている(第4欄、4〜12行)。
【0024】
記載のプロセス及び材料のこれらの欠点は、プロファイル材料の横断面が図示のIの代
わりにTであると考えた時に極めて自明になる。フランジが無いから、ゆえに+/−θ°バイアス角方向糸を保持する支えが無く、それにより(
図8及び
図9に従う)ウェブの糸が直ぐにつぶれるので、ウェブの+/−θ°バイアス糸(C)の上曲がりはいかなる方法でも実現及び支持されない。明らかに、この方法の適用可能な範囲及び有用性は相当に限定されている。
【0025】
特許文献6で言及されたように、I−ビームプロファイルのフランジは交絡されていない(第5欄、18行)。その結果、またその関連の図に表されたように、フランジの各々が3組の糸(11a〜14a,15a〜18a,C1及び11b〜14b,15b〜18b,C2)から構成され、各組はそれぞれの方向(長さ、幅及び厚さ)に線状に走っている。このような非交絡構造は2組の交絡糸(経糸と緯糸)から構成される従来の織成材のそれとは技術的に異なる。糸(11a〜14a及び15a〜18a)では、また糸(11b〜14b及び15b〜18b)でも、交絡のせいで位置が固定されておらず、その構成糸が容易に変位可能なためフランジの構造が不安定/非硬質になる傾向にある。よってこのような構造はフランジに必要な構造的安定性/硬質性を提供しない。
【0026】
特許文献6に係る方法の上記の制限とは別に、その別の重要な短所とは、それが(プロファイルの横断面によっては)ウェブもしくはフランジまたはこれら両方の縦方向縁の表面に縁での応力の集中を防止するテーパのあるプロファイルビーム状3Dファブリック製品を生産しないことである。同様に、それは応力の集中を防止するため、隅肉または丸み付きの、ウェブ及びフランジの表面が接する、角のあるプロファイルビーム状3Dファブリック製品を生産しない。
【0027】
また、上述の方法はウェブ部分がその構成糸を0°/90°配向に有し、フランジ部分がその構成糸を+/−θ°バイアス配向に有するプロファイルビーム状3Dファブリック製品を生産しない。また、それは0°/90°配向と+/−θ°配向の糸の組み合わせのウェブも0°/90°配向と+/−θ°配向の糸の組み合わせのフランジも作成しない。さらに、この方法は複数の個々/別々であるが一体化した層のウェブ及びフランジあるいははウェブまたはフランジを作成しない。また、この方法はいかなる既製または事前作成の布もそのウェブまたはフランジのいずれかにおいて加工することができない。
【0028】
特許文献12はウェブ部とフランジ部を有するプロファイルビーム状プリフォームを提案する。その
図1を参照して、フランジ部(1)で平行連続繊維、またはフィラメント、(4A/4B及び10)を備える重なる少なくとも2層が、プリフォームの縦軸(3)に対し外側の層の繊維(4A)が90°配向されて、互いに直角配向で相対的に配置されている。ウェブ部(2)で平行連続繊維、またはフィラメント、(5A及び5B)の重なる少なくとも2層が、30°と80°の間の、互いに反対傾斜角配向(『対角的』)に相対的に配置されている。これらの傾斜糸はいかなる方法でも絡合及び一体化されておらず、それによりウェブの2層は分離されたままである。ウェブ(2)を成す傾斜または角度配向繊維(5A及び5B)はフランジ部(1)の外側層の90°配向繊維(4A)周りのみに屈曲/『ループ』する。
【0029】
明らかに、フランジ(1)を成す繊維の層(4A/4B及び10)のいずれもいかなる方法においても個々に一体化されてはいない。同様に、ウェブ(2)を成す層(5A及び5B)のいずれもいかなる方法においても個々に一体化されてはいない。フランジ(1)とウェブ(2)との間の唯一の構造的接続は外側の繊維(4A)周りに屈曲/『ループ』する繊維(5A及び5B)のものである。したがって、提案のプリフォームにおいて各個の層の全ての構成繊維がそれぞれの方向の配向に線状に走っている。関係する繊維を交絡、インターループ、または絡合させることによるどの構成層内での構造的完全性も無い。実際は、対応する関連のプロセス、すなわち製編、製織及び製組がそこで述べられ繊維の
軸方向の強度及び剛性を低下させ、それにより不適である。さらに興味深いことには、作成されたプリフォームは『織成』プリフォームと呼ばれている(第7頁)!プリフォーム自体には構造的完全性はないので、構成繊維は剥離し、失配向し、また繊維分布と線形性を失いがちである。このようなプリフォームは当然、例えば引き抜きプロセス中、複合材料にされる前でも、分解してつぶれやすい。
【0030】
これで理解されるとおり、特許文献12に係るプリフォームにも特許文献6に係る3Dファブリック製品に関して検討した欠点がある。いずれにしても、この方法もいかなる事前作成の布もそのウェブまたはフランジのいずれかにおいて加工することができない。
【0031】
特許文献7もその
図4及び
図5に示すようにウェブ(200)を成す糸(202及び203)を上下フランジ(101及び102)のそれとインターロックさせることにより生産されるプロファイルビーム状3Dファブリック材を明記する(第6欄、50〜53行)。この3Dファブリック製品の生産には上下フランジ間でウェブ糸(202及び203)を、(a)
図16aに示すように、2つのフランジを所要の距離まで拡開または離間させる、楔状成形具(30)を用いてウェブ糸(202及び203)を力を込めて引き出すこと(第9欄、11〜25行)、または(b)特定長のウェブ糸(202及び203)を引き出して、それを縦方向に空けた間隔で上フランジの皮の上方で高くなる一連のループに鉤曲して所要の高さでそれらを保持する、結局は所要の高さのウェブを作るのに役立つであろうこと(
図16b)のいずれかによって、係合させることを含む。その後、布生産が進むにつれ、2つのフランジ(101及び102)は鉤曲ウェブ糸(202及び203)の上方で滑り分かれる(第9欄、35〜59行)。同じものを直接的に(すなわち、フランジを離間させる必要なく)作成する代替法も示されており(第9欄、63行から第10欄、3行)、そこではいくつかのコンポーネントの再配置が提案されている。
【0032】
いずれにしても、上記の方法で生産された3Dファブリック製品は上下フランジ間で蛇行するウェブ(200)を成す糸(202及び203)を有する。それらはフランジの糸とインターロックされる。ウェブを成すこれらの糸はそれ自体、
編組物のもののような、絡合構造へと相互に一体化されておらず、それゆえにこの3Dファブリック製品は不安定で自立もできない。それはつぶれて、ゆえに歪みや損傷を受けやすい傾向にあるであろう。この3Dファブリック製品のフランジは、その
図4〜8で分かるとおり、縦の糸(103及び104)と横の糸(105及び106)が織成の定義に関係する特徴的な糸の交絡なくそれぞれの方向で線状に走るので、技術的に交絡/
織成されていない。(この構造は特許文献6のものと同一である。)もしフランジが本当にこの場合に織成されているならば、技術的にその織り目は平織または他のいずれかの織のものとは異なる。この方法によって作成可能なウェブは再び、十分な糸の欠如が直接的に性能を低下させるトラス構造に似た比較的格子状の開放構成である。なお、フランジ(101及び102)をウェブ糸(202及び203)の上方で滑動させ所要の距離まで離間させることで、当然に関係する糸の相互摩擦が生まれ、それが今度は関係する糸の損傷を招いて、ゆえに再び性能の低下に終わるであろう。このような動作は構造のゆがみを招きそれにより性能及び信頼性の対応した低下を招くであろう。
【0033】
さらに、特許文献6の3Dファブリック製品について検討したその他の欠点が特許文献7に係る3Dファブリック製品にも同様に上手く当てはまる。また再度、この方法もいかなる既製または事前作成の布もそのウェブまたはフランジのいずれかにおいて加工することができない。
【0034】
特許文献8もプロファイルビーム状3Dファブリック製品(3)を生産する方法を明記する。製織プロセスの最初の作業、すなわち開口が単純に存在しないのでこの方法も技術的に織成ではない。この方法で関係する糸(Y)は所望の壁厚を達成するため所望の様々
な配向で連続的かつ線状に、交絡され/織成されることなく積層または重合/積重して(すなわち、層毎に)いずれかの技術的に定着した織り目で繰り返し架けられる。関係する糸は、最後に取り除かれる事前配置の管状ガイドピン(G)間に架け渡され、その場所でループ形の選択糸(Y)が一体化されて最終所要製品を得るように架設の線状糸の結合を達成する。(これらの生産工程は製織の原則に技術的に適合しない。)生産された構造は先の試みについての改良ではあるが、依然ウェブ及びフランジ両方で均質構造であることに加え、先に示した他の欠点がある。いずれにしても、ウェブは+/−θ°配向の糸を備えていない。また再度、この方法もいかなる既製または事前作成の布もそのウェブまたはフランジのいずれかにおいて加工することができない。
【0035】
特許文献9もプロファイルビーム状3Dファブリックを生産する方法を提供するもので、その構造は上記特許文献8に示すものとほぼ同様であるが、生産中編み針が使用されるので単純に編成されると考えられる。互いに直交する2組の、それぞれの組で互いに平行に配置された編み針が所要部分で予め配設された組の糸(14)を通してそれぞれの方向に交互に糸を引いて架けてプロファイルビーム状3Dファブリックの横断面形状を形成する。形成された構造は依然としてウェブ及びフランジ両方で均質構造であることに加え、先に示した他の欠点がある。いずれにしても、ウェブは+/−θ°配向の糸を備えていない。また再度、この方法もいかなる既製または事前作成の布もそのウェブまたはフランジのいずれかにおいて加工することができない。
【0036】
特許文献10も芯布(2)に樹脂など(3)のような適切な作用剤を含浸または被覆し、既定の形状の保持を助ける、それを固化することによって生産されたプロファイルビーム状材料(1)を提供する。芯布(2)のウェブ及びフランジは示されるように複数群の糸(4〜6)を
編組することによって一体化され形成される(第5欄、15〜21行)。糸(6)は縦方向に延びるが、糸(4及び5)は斜めに延びて互いに60°で交わる(第5欄、22〜30行;
図2)。この糸(4〜6)の配置は
編組糸のボビンの移動用に2軌道を持つ「トーション」レース編み機を用いることにより達成される(第6欄、45〜51行;
図7〜8)。
編組糸(4及び5)は生産中のプロファイルビームの縁で湾曲または屈曲するので、それが含浸の前にほつれる可能性は無い。作成されたウェブとフランジは同じ均質な設計仕様を持つのに加え、先に述べた他の要件の多くを欠く。この方法もいかなる既製または事前作成の布もそのウェブまたはフランジのいずれかにおいて加工することができず、またそれらをそれらの相互厚さ方向に接続することもできない。
【0037】
特許文献11に係る方法は基部から外方に延びて強化パネルを形成する壁を作成するために考案されている。この方法も製織の原則に技術的に適合しない、なぜならその動作には示す通り互いに直交する3組の糸(10,12及び14)が必要だからである(第1欄、60行から第2欄、2行、及び第2欄、62行から第3欄、4行)。さらに、このプロセスを上手く働かせるには、それに指摘したように(第3欄、15〜17行)少なくとも2層の糸(10)を使用することが不可欠である。技術的に、このプロセスは2組のみの糸(経糸と緯糸)が必要で経糸は単層または多層タイプいずれかのものである製織プロセスとは異なる機能をする。さらに、このプロセスは技術的に織成ではないので、作成された布の設計仕様は既知のいずれの織り目(平織、綾織等)にも対応しない。
図3〜5で分かるように、示された糸(12)は線状に、すなわち、いかなる交絡もなく組み込まれる(特許文献6に示すものと同じ)。いずれにしても、ウェブは+/−θ°バイアス角の糸を備えておらず、ウェブとフランジのそれぞれの構造が構造的に均質かつ同一のままである。この方法も先に述べた他の性能要件を創出することを欠く。上で検討した種々の方法と同じく、この方法も、強化パネルを作成するためにいかなる既製または事前作成の布もそのウェブまたはフランジのいずれかにおいて加工することができない。
【0038】
これで見られるとおり、これらの既知の方法の別の実用上の制限とはそれらが、一般に
大抵の用途に要される比較的大きい横断面面積と繊維含有量を有するプロファイルビームなどの3Dファブリックビームを生産できないことである。さらに、これらの検討した方法は3Dファブリック製品のフランジ及びウェブにおいて異なる配向の組み合わせで糸/トウを組み込むことができない。さらにこれらの方法は、2つのフランジが糸の+/−θ°バイアス角配向を有しウェブがその糸を縦(90°)方向及び横(0°)方向に配向させて有する、I横断面ビームのような3Dファブリック製品を生産することができない。また、それらは、フランジ及びウェブ両方が所要の異なる順次堆積配置において糸を+/−θ°バイアス方向にも縦(90°)及び横(0°)方向にも備える、Iビームのような3Dファブリック製品を生産することができない。また、それらは、一方のフランジでの糸が他方のフランジでの糸の配置と比較して設計仕様において相対的に異なって配置されている、Iビームのような3Dファブリック製品を生産することができない。
【0039】
さらにこれら既知の方法のいずれも、またそれらの組み合わせも複合の曲線−直線部分、曲げ、収束/発散形状、円形物体、1以上の方向のさまざまな寸法、相対的に逆さの横断面、正弦曲線等を有するもののようなウェブ及びフランジを備える複雑な3Dファブリック製品を生産することができない。明らかに、プロファイルビームとは異なり、それゆえに平面/線状のウェブ及びフランジを必ずしも備えない3Dファブリック製品をこれら既存のプロセスで生産することはできない。
【0040】
さらに、これら全ての既知の方法が既製または事前作成の布をプロセス内で布を作成するために使用された糸と取り扱い一体化することができるわけではない。換言すると、それらは既定の設計仕様の適切な事前作成の布を用いることによって3Dファブリック製品を生産すること、それを、糸を用いて作成中の布に一体化させるように付加する、つまり組み合わせることができない。これら既知のプロセスによれば、継ぎ目で相互に交差し直接的に完全に一体化したプロファイルビーム状3Dファブリック製品になるウェブ及びフランジを形成するために事前作成の付加用布の作成直後の相互作用織布との一体化をそれらの相互の布厚方向で得ることは不可能である。
【0041】
上述の提示から、現在使用可能な方法は不十分であり非効率で、新しく生まれた高性能複合材料の高まる機械的性能及び信頼性の要求を実用的にかつコスト効率良く満たすため、真に進歩的で複雑な3Dファブリック製品を生産することはできないことを当業者は推測するであろう。
【0042】
したがって、3Dファブリック製品を生産する方法及び装置に関する、またこのような生産された3Dファブリック製品に関する改良の必要が依然としてある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0044】
したがって、本発明の目的は、3Dファブリック製品、及びこのような製品を生産する方法及び装置であって、従来技術において遭遇した上に述べた問題を少なくとも軽減するものを提供することである。
【0045】
この目的は、添付の請求の範囲に定めるような3Dファブリック製品、生産方法及び生産装置により達成される。
本発明の第1の態様によれば、少なくとも1枚の補完布と少なくとも1枚の相互作用織布とを備える三次元ファブリック製品であって、補完布は事前作成の、それ自体構造的に安定した布であり、相互作用織布は交絡した経糸と緯糸を備え、相互作用織布の経糸及び緯糸あるいは経糸または緯糸の少なくともいくつかは補完布を厚さ方向に貫通し、それにより補完布と相互作用織布は、三次元ファブリック製品を形成するそれらの交差する継ぎ目で互いに接続されるものが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0046】
前記製品は好ましくは、その構成補完布そのウェブまたはフランジのいずれかであり、その構成相互作用織布が対応してそのフランジまたはウェブのいずれかであるプロファイル横断面のビームの形である。しかしながら、前記製品はプロファイル横断面のビーム以外の形であってもよく、その構成補完布が三次元ファブリック体の部材もしくは部分またはコンポーネントもしくはパーツの1つであり、かつその構成相互作用織布が他の部材もしくは部分またはコンポーネントもしくはパーツである。
【0047】
前記三次元ファブリック製品は好ましくは、相対的に異なる構造設計仕様を有する少なくとも1枚の補完布と少なくとも1枚の相互作用織布を備える。
前記製品は少なくとも2枚の補完布の組み合わせをさらに備えてもよい。これらの2枚以上の補完布は同様または異なる構造設計仕様を有してもよい。さらに、これらの2枚以上の補完布は当該三次元ファブリック製品内で一緒にまたは別々に組み込まれていてもよい。それらが一緒に組み込まれている場合、それらは好ましくは互いに直接的に接触して配置されている。それらが別々に組み込まれている場合、離間距離を形成する空間は所要の箇所で接続されていてもよい。前記2枚以上の補完布はさらに、当該三次元ファブリック製品内で互いに平行または非平行な配置で組み込まれていてもよい。好ましい実施形態において、前記少なくとも2枚の補完布の両方とも、共通の相互作用織布の経糸及び緯糸あるいは経糸または緯糸により貫通されている。
【0048】
前記製品は少なくとも2枚の相互作用織布の組み合わせをさらに備えてもよい。これらの布は同様または異なる構造設計仕様のものであってもよい。さらに、これらの布は一緒にまたは別々に組み込まれていてもよい。それらが一緒に組み込まれている場合、それらは好ましくは互いに直接的に接触して配置されている。それらが別々に組み込まれている場合、離間距離を形成する空間は所要の箇所で接続されていてもよい。さらに、前記少なくとも2枚の相互作用織布は互いに平行または非平行な配置で組み込まれていてもよい。
【0049】
前記少なくとも1枚の相互作用織布は補完布の両面側から延びてもよい。またあるいはその代わりに、前記少なくとも1枚の相互作用織布は個々の離間した補完布の2枚の壁の間または単一の湾曲補完布の2枚の壁の間のいずれかで延びてもよい。
【0050】
前記補完布の構造設計仕様は好ましくは、少なくとも、織成、編成、
編組、いずれかの種類の不織、レース、刺繍、ノンクリンプファブリック(NCF)、単方向、ネット及びパイルのタイプの少なくとも1つである。
【0051】
前記補完布は好ましくは、2D、2.5D及び3Dファブリックの少なくとも1つである。
補完布の少なくとも1つは好ましくは、一軸、二軸、三軸、四軸、多軸のタイプのうちの少なくとも1つである。
【0052】
補完布の少なくとも1つは好ましくは、扁平もしくは平面形状または非平面形状の配置構成の少なくとも1つである、あるいはこれらの配置構成の組み合わせである。
補完布の少なくとも1つが中実体、外郭体、中空体、及び開口付き中実体のうちの少なくとも1つ、またはこれらのタイプの組み合わせを形成してもよい。
【0053】
さらに、2枚以上の隣接して発生する補完布及び織布あるいは補完布または織布が追加留めにより互いに接続されてもよく、当該追加留めは少なくとも縫製、縫合、金具留め、接着、融着、ピン留めのうちの1つである。
【0054】
本発明の別の態様によれば、相互の布厚方向に相互作用する少なくとも1枚の補完布と少なくとも1枚の相互作用織布とを備える三次元ファブリック製品を生産する方法が提供され、
事前作成の、それ自体構造的に安定した少なくとも1枚の補完布を提供する工程、及び
経糸と緯糸を交絡することで少なくとも1枚の相互作用織布を織成する工程で、経糸及び緯糸あるいは経糸または緯糸の少なくともいくつかは補完布を貫通し、それにより補完布と相互作用織布は、三次元ファブリック製品を形成するそれらの交差する継ぎ目で互いに接続される工程、を備える。
【0055】
好ましくは、2枚以上の設計仕様上同様なまたは異なる個々の補完布の組が提供される。
少なくとも1枚の提供された補完布は好ましくは、その面側の少なくとも一方を前記相互作用織布の経糸の方向に向けて保持される。
【0056】
前記提供された補完布は好ましくは、その面側を前記相互作用織布の緯入れ方向と直交にまたは角度を成して保持される。
前記提供された補完布は製織中、軸周りに静止状態で保持されても、または軸周りに断続的に静止状態で保持されかつ断続的に軸周りに回動されてもよい。
【0057】
前記製織工程は
経糸を作成中の相互作用織布の厚さ方向以外の方向に変位させて杼口を形成する工程、
緯糸を当該杼口に挿入し、前記補完布を貫通させる工程、及び
挿入した緯糸を、好ましくは開口用に変位させた経糸の少なくともいくつかを用いて織前位置で詰める工程、を備える。
【0058】
前記相互作用織布の製織は好ましくは、前記補完布を貫通するための緯糸の挿入を補完布の表面に対し直交にまたは角度を成して方向づけるために補完布の方向を向く杼口を形成することを備える。
【0059】
前記開口及び緯入れの工程は好ましくは、互いに一定の位置関係で行われてもよい。
前記相互作用織布の製織は好ましくは、前記補完布の両面側で延びる相互作用織布を形成するために当該補完布の2面側に同時に杼口を形成することを備える。
【0060】
前記製織工程は好ましくは、作成された相互作用織布の一定幅を維持する工程をさらに備える。
前記製織工程は経糸と緯糸を供給する工程をさらに備えてもよい。
【0061】
本発明のさらに別の態様によれば、少なくとも1枚の補完布と少なくとも1枚の相互作用織布とを備える三次元ファブリック製品を生産する装置であって、
事前作成の、それ自体構造的に安定した補完布を保持するホルダまたはクランプ構成、
経糸と緯糸を交絡することで1枚の相互作用織布を織成する製織システムで、経糸及び緯糸あるいは経糸または緯糸の少なくともいくつかは保持された補完布を厚さ方向に貫通し、それにより補完布と相互作用織布は、三次元ファブリック製品を形成するそれらの交差する継ぎ目で互いに接続される、製織システムを備える装置。
【0062】
前記ホルダまたはクランプ構成は好ましくは、製織中補完布を保持するためのクランプを備える。前記ホルダまたはクランプ構成は製織中、補完布を軸周りに静止状態で保持する、または補完布を軸周りに断続的に静止状態で保持しかつ補完布が断続的に軸周りに回動されるよう構成されていてもよい。
【0063】
前記製織システムは
供給された経糸を作成中の相互作用織布の厚さ方向以外の方向に変位させて杼口を形成する開口構成、
緯糸を当該杼口に挿入し、補完布を貫通させる緯入れ構成、
連続的な杼口の形成と連続的な緯入れを可能にする緯打ち構成、を備える。
【0064】
前記開口構成は好ましくは、複数の開口ユニットを備え、各開口ユニットは補完布と一体化するための各個の相互作用織布層を作成可能である。
前記開口構成における少なくとも1つの開口ユニットが対応する数の互いに相対的に平行または非平行でかつ補完布の縁に相対的に平行または非平行である個々の相互作用織布の作成を可能にするよう1以上の平面内で移動可能であってよい。
【0065】
前記開口ユニットにおける2つ以上の開口装置が同方向にまたは互いに角度を成してもしくは反対に向いていてもよい。
前記開口構成により形成された杼口の配向は、補完布への緯糸の挿通を対応して方向づけるため補完布の面に対し直交であるかまたは角度を成している。
【0066】
開口ユニットが、各個の経糸を当該経糸と補完布の間での製織を可能にするために変位させるための少なくとも1本のヘルドを備えてもよい。
前記開口構成は好ましくは、補完布をそのヘルド間に通すことができる。
【0067】
前記緯入れ構成は好ましくは、緯糸を単糸としてまたは双糸/合糸として杼口に挿通し、補完布の表面に対し直交にまたは角度を成して補完布を貫通させる。
前記開口構成及び緯入れ構成は一定の位置関係を有して移動可能であってもよい。
【0068】
前記緯打ち構成は好ましくは、開口ユニット及び緯入れユニットの横断を支持し線状、角状、湾曲状、円形、またはこれらの適切な組み合わせの経路でそれらを案内して必要な3Dファブリック製品の均一な/安定した生産を可能にするため連続的な杼口の形成と連続的な緯入れを容易にする。
【0069】
作成された相互作用織布の一定幅を維持するため、製織システムにはクランプ構成がさらに含まれてもよい。
さらに、経糸供給及び緯糸供給のための構成が製織システムに含まれてもよい。
【0070】
本発明のさらに別の態様によれば、上に述べた種類の三次元ファブリック製品で強化さ
れた複合材料が提供される。
周知のように、また慣例として、製織は糸、フィラメント、トウ、ロービング、繊維、テープ等の形の経糸と緯糸を用いて行われる。再度、これらの様々なフィラメント/繊維のアッセンブリはこれ以降、単に「糸」と呼ぶ。経糸と緯糸は互いに(平織、綾織等のようなある織り目で)交絡されて織布になる。
【0071】
本製織発明は既存の製織方法とは以下の点おいて特徴的に異なる、すなわち、互いに交絡する経糸及び緯糸に加えて、少なくとも1枚の適切な既製または事前作成の布、これ以降「補完布」または短縮形で「CF」と呼ぶ、が製織プロセスにアドオンされ、経糸及び緯糸あるいは経糸または緯糸はCFの厚さ方向に貫通しつつ、使用されるCFと同時に一体化する相互作用織布を作成し、またそれにより新規3Dファブリック製品の創出に至る。
【0072】
「相互作用織布」は以下においてしばしば単に「織布」と呼ぶ。
これで理解されるとおり、この新規アドオン製織方法により、採用されたCFと経糸と緯糸を用いて製織中の材料とが革新的なプロファイルビーム状3Dファブリック製品及び他の種類の3Dファブリック製品が直接的に得られる相互の布厚方向の接続において互いに一体化される。この新規アドオン製織方法によって生産可能な3Dファブリック製品はいかなる既知の方法によっても生産可能ではないと思われる。
【0073】
補完布(CF)は事前作成された、それ自身構造的に安定した布である。本出願の文脈において、これはCFがそれ自体、それが相互作用織布の製織より前に構造的に安定した布であろうという構造的完全性を持つことを意味する。それはたとえ相互作用織布がその後取り除かれようとCFは構造的に安定した布のままであろうということも意味する。よってこのような構造的に完全なCFは例えば、切除してCFを貫通するかCFと接続する相互作用織布の関連した糸を取り除くことにより3Dファブリック製品から抜出されまたは放出され得る。
【0074】
「厚さ方向」及び「厚さ方向の貫通」とは本出願の文脈において完全に厚さ方向、すなわち、補完布(CF)の表面に完全に直交する方向かもしれず、または補完布(CF)の表面に対して部分的に厚さ方向かつ部分的に別の方向、すなわち角度−非直交非平行−方向であるかもしれないと理解されることになる。
【0075】
本発明に係るアドオン製織方法はありとあらゆる種類またはタイプのCFを取扱い可能である。例えば、使用されるCFは織成、編成、
編組、いずれかの種類の不織、レース、ノンクリンプファブリック(NCF)、刺繍、単方向、ネット、パイル等のいずれかであり得る。CFは各個の布またはこれらの布タイプのいずれか2以上の組み合わせのいずれか及び等しいまたは相対的に異なる寸法のものであり得る。さらに、使用されるCFは一軸(すなわち、殆どの糸が1方向に配向されている)タイプ、二軸(2方向に配向された糸を有する)型、三軸(3方向に配向された糸を有する)タイプ、四軸(4方向に配向された糸を有する)タイプ、多軸(4方向以上に配向された糸を有する)タイプまたはこれらのタイプのうち少なくともいずれか2つの適切な組み合わせのいずれかの平面/シート状であり得る。CFはまたさらに、2Dファブリック(すなわち、一体化単層平面シート状または成形/非平面シート状構造;そこでは構成糸が1平面内に配設されることになっている)タイプ、2.5Dファブリック(すなわち、基布からの一体化突出糸ループのような構造;そこでは構成糸が相互に直交する2平面内に配設されることになっている)タイプ、及び3Dファブリック(すなわち、平面または成形配置構成の一体多層シート状構造;そこでは構成糸が相互に直交する3平面内に配設されることになっている)タイプのうちの1つまたはいかなる組み合わせのいずれかでもあり得る。CFはサンドイッチ、スペーサ等の布タイプのものでもあり得る。さらに、CFはドライまたはプリプレグもしくはこれら両タイプの適切な組み合わせのいずれかであり得る。さらにCFは単一の布タイプまたは1より多いいずれか同様または異なる個々の布タイプの組み合わせの組であり得る。1組のCFも相対的に異なる寸法の同様または異なる布で構成され得る。このような1組のCFを成す異なる寸法の布はいずれかの所要様態で配置され得る。例えば、いくつかの比較的小さなCFが個々に大きなCF上にいずれかの所望の位置に配置され得るか、またはいくつかの1寸法のCFが別の別寸法CF上に重合配置され得る。また、1組の組み合わせCFにおいて、使用されたCFは規則、不規則、ランダム、平面についてのミラー等のようないずれかの積重順で一緒にまたは別々に纏められ得る。2枚以上のCFを使用する場合、それらは平行または非平行のいずれかで配置され得る。また、2枚以上のCFを使用する場合、それらは隣接して一緒または互いに離間のいずれかで置かれ得る。CFを成す布はその構成繊維材料、構成設計仕様、色、面積重量、厚さ等においていずれか同様または異なり得る。また、CFとして使用される布は短繊維、長繊維及び連続フィラメント繊維またはそれらのうち少なくともいずれか2つの組み合わせを使用して作成され得る。さらに、CFとして使用される布は糸、トウ、パイル糸、飾り糸、縫い糸、撚糸、コード、扁平糸、テープ、単方向繊維材料等を用いて生産されたものであり得る。必要に応じて金属ワイヤ、熱可塑性ワイヤ、ケーブル等も使用できる。さらに、使用されるCFは扁平/平面シート状、円形/管状、または成形タイプのいずれかであり得る。成形タイプの布は直接的(例:ソックス形状)または間接的(例:縫合による傘または帽子形状)に作成されたもののように平面状または三次元であり得る。本発明に係る3Dファブリック製品であっても別の3Dファブリック製品を生産する第2工程でCFとして使用し得る。この製織方法で採用されたCFはプロファイルビームを生産する際、そのウェブまたはフランジのいずれかを成す。より複雑な3Dファブリック製品を生産する際、採用されたCFは生産された対象の形状または形の複雑度によって部材/部分/コンポーネント/パーツ等を成し得る。各個のCFは非切断、切断、または部分切断のいずれかの布片であり得る。再度、3Dファブリック製品性能及び加工要件によっては、シート状または他の形の適切な熱可塑性材料が複合材料を直接的に得るために、例えば溶融可能マトリクスとして機能するため、CFと併用または独立のいずれかで使用され得る。
【0076】
さらに、使用されるCFは線状もしくは湾曲状または線状及び湾曲状の両形のいずれかであり得、必ずしも扁平または平坦形である必要はない。また、CFの形状は必ずしも矩形状である必要はなく、CFは目的を達成するいかなる所望の形状及び寸法のものであり得る。さらに、経糸と緯糸を交絡して作成中の織布はCFに採用されたCFの表面に直交または他の所要角度を成してのいずれかで接続される。さらに、3Dファブリック製品を創出するのに使用されるCFの種類は正方形、矩形、三角形、多角形、円形、楕円形、ひし形、台形、不整形等のような所望の形状の中実または開口付きのいずれかであり得る。よってこの製織プロセスは、カスタマイズ強化材として機能するとともに耐剥離性を有し高性能な複合材料の製造を可能にするために数えきれない種類のプロファイルビーム状及び他の複雑な3Dファブリックプリフォームを生産するため多くの様々な種類のCFを、また様々な配向で、経糸と緯糸と併せて使用することを特異的に可能にする。
【0077】
さらに、このアドオン製織方法によって生産可能な3Dファブリック製品を構成する経糸、緯糸及びCFの繊維材料及び種類は、糸、トウ、フィラメント、ロービング、テープ、開繊維テープ、撚糸、素線、ひも、コード、金属ワイヤ、熱可塑性ワイヤ、ケーブル等のようであり得る。繊維材料は炭素、セラミック、玄武岩、ホウ素、金属、ガラス、熱可塑性物質(ポリエステル、ポリアミド、アクリル、アラミド、PEEK等)、綿、ジュート、亜麻、絹、ココナッツ、靱皮、羊毛、海藻系等のような無機、合成及び有機繊維にわたるいずれか同様または異なる種類のものであり得る。さらに、混合、混紡、ハイブリッド、化学組成付き、被覆、シース繊維束、コンジュゲート、同軸、ナノ等の種類の繊維も検討され得る。シート状または他の形状の形で熱可塑性材料を使用する際は、それは使用目的にかなう中実、有孔、スリット付、穴付等のようないずれか適切な種類のものであり
得る。
【0078】
新規のアドオン製織プロセスを実行するための装置もそれが少なくとも1枚の適切なCFを経糸及び緯糸と共に加工し、それらを相互厚さ方向に一体化して3Dファブリック製品を直接的に生産する点において特異的に特徴づけられる。新規のアドオン製織方法装置はよって、プロファイルビーム状3Dファブリック製品及び他の複雑な3Dファブリック製品を性能及び最終の形状または形及び寸法の他の要件に従って採用されたCFを経糸と緯糸を用いて製織中の布と一体化することにより生産する。
【0079】
革新的な3Dファブリック製品を生産するために考案された新規のアドオン製織方法装置は杼口を形成するため経糸を制御/変位しつつCFを通過させることのできる最初の製織作業を行うための新しい開口システムを備える。生産される必要のある3Dファブリック製品の横断面プロファイルまたは形状によっては、開口は採用されたCFの少なくとも一面側で行われる。
【0080】
開口ユニット/システムは、好ましくは既存の開口システムで使用されるものとは異なる、(以下に述べる)特殊なヘルドを備える。多数のこれらのヘルドは好ましくは単位あたり対の組で配置される。製織のための単位あたりの対のヘルドの最少数は1(すなわち、ヘルド2本)であり得る。しかしながら、ある状況ではこのアドオン製織プロセスでのCFの特異な存在ゆえヘルド1本のみの採用も可能である。さらに、1または複数単位のいずれかのヘルド対の組が開口システムにおいて使用できる。1より多い開口ユニットを使用する際、(何の生産が必要なのかによって)複数の杼口を形成するためにそれらは好ましくは直列に配置される。複数の杼口はある所定順で個別または同時のいずれかで形成される。複数の杼口の各々は採用されたCFと一体化される個々の布層を作成するために形成される。示したとおり、この開口システムは単一の経糸を操作しCFと共役して所要形状を発生させるために使用することができる。
【0081】
さらに、複数の杼口は(a)互いに相対的に異なる段状レベル、及び(b)3Dファブリック製品の製織方向に相対的に相互離間した点、に作成される。よって、経糸層及び緯糸層の数は1またはこの新規アドオン製織方法において対応する数の織成層を形成するための1より多い数のいずれかである。さらに、供給の経糸層の全てが互いに平行であり得る、もしくは互いに非平行またはいくつかが互いに平行である一方その他が相対的に非平行であり得ることのいずれかにより、対応する織布がCFに取り付けられて形成される。生産される3Dファブリック製品によっては、製織中いくつかの経糸は取り除かれるかまたはいくつかが余計に追加され得る。
【0082】
また、1より多い平行フランジを有する3Dファブリック製品の生産を迅速化するため、対応する連数の開口ユニットが平行に纏められ得る。再度、作成される横断面プロファイルによっては、ある一連の開口ユニットを別の一連の開口ユニットに対し相対的な角度配向に纏めることができる。いずれの場合も、各開口ユニットは1枚の織布層を作成するよう考案される。一連の開口ユニットはよって対応する数の織成層を、好ましくはプロセスの効率化のため同時に作成するであろう。例示のため、耐剥離性を有する補強シート/板を直接的に得るために複数のリブが同時またCFと一体化して作成され得る。
【0083】
さらに、この新規開口システムでは経糸は作成中の織布の平面に対し好ましくは約90°の角度を成して、また従来のように布平面に平行/一致または直線ではなく配向されるように好ましくは供給される。よって、開口動作中、経糸は従来の開口方法で起きるように作成中の布の厚さ方向に変位されることはないが、それらは作成中の布の長さ方向に変位される。経糸を作成中の織布の平面に対し角度を成して供給することにより、杼口形成中の布の長さ方向のそれらの変位が架設の緯糸を織前位置へ向けて詰め込むことを特異的
に助けまたそれによりリードを用いた筬打ちの作業を有利にもこの新規アドオン製織方法において余剰なものとする。製織プロセスはよって特異的に比較的単純、軽度、安全、静寂、迅速及び経済的なものになる。とはいえ、ある3Dファブリック製品を生産するためには、経糸を布の厚さ方向に変位可能な開口ユニットも使用できる。
【0084】
さらに、所要の開口ユニット全ては製織装置の主骨格の副骨格に組み込まれる。この副骨格は主骨格にその位置を主骨格に対して変更できるように含まれる。よって、開口ユニットの位置は主骨格に対して固定されておらず、移動可能でプロファイルビーム状や複雑な3Dファブリック製品の直接生産を可能にするために適切なプログラムによって制御可能な適切な構成を通じて所望のX、Y及びZ方向に変更できる。
【0085】
革新的なアドオン製織装置には製織プロセスの決定的特徴を技術的に実現するための緯糸の経糸との交絡の達成を完了させるため新規の緯入れユニットも組み込まれている。形成中の杼口(またゆえに織布)の数、すなわち単数または複数のいずれかに応じて、対応する数の緯糸がしたがって緯入れユニットの緯糸搬送手段により挿入される。よって、1より多い数の個々の緯入れユニットがアドオン製織装置にあり得る。杼口がCFの一面または両面側のいずれに形成されようと、好ましくは緯糸を搬送する1つの手段を取り扱うための緯入れユニット/駆動ユニットの対の組が使用される。対の各ユニットはCFのいずれかの面側に位置する。複数の杼口が形成されれば、したがって対応する数の緯入れ用対ユニットが対応して様々なレベルの杼口で使用され、それらは緯糸を挿入するため互いに離間して位置決められる。換言すれば、複数の杼口が経糸の縦方向に相互に離間されるので、対応する数の緯入れ用対ユニットが様々なレベルで対応して離間して配置される。この新規緯入れシステムにより1より多い緯糸は好ましくは、相対的に異なるレベルで形成された、対応する相互に離間した杼口に同時に架けられて経糸と交絡しまたプロファイル横断面のビーム及び他の比較的複雑な物体を含む、3Dファブリック製品を直接的に生産するために使用されるCFと接続する。このアドオン製織方法においては双糸の/合糸の/ヘアピン状の緯糸が杼口に組み込まれることになる場合CFの一面側のみに位置決めされた単一の緯入れユニットを使用することも可能であり、ゆえに作成中であり採用されたCFと一体化されている織布において直接的に3Dファブリック製品を得ることも可能である。
【0086】
さらに、開口ユニットと同じく、緯入れユニットも製織装置の主骨格の同じ副骨格に組み込まれる。したがって、開口ユニット及び緯入れユニット各々の間の位置関係は一定であるかまたは固定されている。よって、副骨格が主骨格に対して移動されれば、開口ユニット及び緯入れユニットはプロファイルビーム状や複雑な3Dファブリック製品の直接生産を可能にするために適切なプログラムによって制御可能な適切な構成を通じて所望のX、Y及びZ方向に合体して移動するであろう。
【0087】
製織の満足のいく進行を可能にするため、アドオン製織装置には連続的な緯入れが行われるように適切な緯打ちユニットも組み込まれている。この緯打ちユニットは主骨格に接続されており好ましくは開口ユニット及び緯入れユニットを収容する副骨格を担持する。
【0088】
新規3Dファブリック製品のウェブ及びフランジまたはウェブもしくはフランジ、あるいはこれら両方は所望の性能及び機能要件を達成するため単壁型のCFまたは多壁型のCFのいずれでもあり得る。さらに、ある所要の壁厚を達成するために多壁CFで生産された3Dファブリック製品はこれらCFを分離/別体化、または接続/合体して、あるいは部分的に接続かつ部分的に別体化したいずれかの配置で有することができる。さらに、フランジまたはウェブのいずれかの少なくとも一方のCFを成す織布は3Dファブリック製品の同じフランジまたは他のフランジ及びウェブを成す他方のCFに対し設計仕様においていずれか同様または異なり得る。好ましくは、プロファイル材料の機械的性能の向上を
達成するためにフランジまたはウェブのいずれかを成す少なくとも一方のCFは他方に対し相対的に設計仕様上、構成において異なる。
【0089】
さらに、プロファイルビーム状3Dファブリック製品を生産する際、そのウェブ及びフランジはいずれか互いに90°または互いに他の所要/適切な角度であり得る。さらに、プロファイルビーム状及び他の3Dファブリック製品は線状型または湾曲型のいずれか、部分的に線形かつ部分的に湾曲状、または線状のフランジと湾曲状のウェブを有するI−ビームなどの線状及び湾曲状の両型の組み合わせのものであり得る。さらに、プロファイル材料の湾曲または屈曲方向は緯方向または経方向のいずれかである。さらに、このようなプロファイルビームにおいてウェブまたはフランジのいずれかが線状、それらの一方が線状で他方が湾曲状、または両方が湾曲状である。ビーム状ではない複雑な3Dファブリック製品を生産する場合、再度、事実上無制限の構成タイプを創出し得る。
【0090】
さらに、ビーム状プロファイル及び他の3Dファブリック製品の横断面は非管状または管状のいずれかのタイプであり得る。さらに、このような3Dファブリック製品は中実状、外郭状、中空状のいずれかまたは開口付またはこれらのタイプのうち少なくともいずれか2つの組み合わせのものであり得る。中空型の3Dファブリック製品は例えば、適切な糸/繊維で必要に応じて満たされ得る。さらに、3Dファブリック製品はその3主軸のうち少なくとも1本について対称または非対称形状/形のいずれかを有すことができる。さらに、3Dファブリック製品の長さ方向に沿う横断面寸法は一定または可変のいずれかであり得る。ウェブもしくはフランジのいずれか、または両方の各寸法は一定または可変のいずれかであり得る。さらに、3Dファブリック製品はそのウェブ及びフランジにおいて様々な寸法を、または異なる横断面形状をその2端に持つことができる。例えば、2端側に相対的に逆さの「T」横断面を有するビームを同じ3Dファブリック製品において直接的に形成できる。さらに、1より多いCFを用いまたフランジまたはウェブに1より多い織成層を有して、あるいは1より多いCFを用いるかまたはフランジもしくはウェブに1より多い織成層を有して3Dファブリック製品が生産される場合、個々の布のこのような異なる層は互いにそれぞれの厚さ方向において、所要の箇所で、縫製、縫合、金具留め、接着、融着、ピン留め等のような既知のいずれかの方法によって接続され得る。
【0091】
これで理解されるとおり、この新規アドオン製織方法はCF及び作成された相互作用織布がそれらの相互の布厚方向においてウェブとフランジが交差する継ぎ目で一体化されるようにCFを使用し経糸と緯糸を用いて製織中の布と一体化させることにより新規高性能3Dファブリック製品を直接的、迅速にまたコスト効率良く創出するために考案された。
【0092】
この革新的アドオン製織方法は平織、綾織、その他のような所要の織り目で経糸と緯糸が交絡され得るので製織の原則に技術的に完全に適合する。製織は採用されたCFのいずれか一方もしくは両方の面側または表面にて行われる。新規のアドオン製織方法はさらに特異的には緯糸を経糸に90°で、または経糸に対し他のいずれかの角度で、交絡しつつCFと一体化することができる。また、この方法はCFに接続される単一の各個の織成層と複数の個々の織成層とを等しく織成することができる。作成された相互作用織布部分の平面は好ましくは採用されたCFの表面の少なくとも1つから角度を成して突出しつつCFに取り付けられ、直接的に新規の完全に相互に布厚方向に一体化された3Dファブリック製品になる。
【0093】
新規のアドオン製織方法により生産可能な革新的な3Dファブリックタイプは概して剛性材料の強化に向けられるが、医療、軍事、避難、輸送、傷害軽減、保護等のような他の技術的な織物分野においても同様に用途が見つかるであろう。これらの新しい3Dファブリック製品は、適切なマトリックスが含浸された場合、合成材料の性能及び機能的潜在能力を比較的迅速に低コストで真に実現するため以前にはなかった高性能かつ信頼性のある
合成材料の実現を可能にする。発明のこれら及び他の特徴は図面及び次に続く好適な実施形態の説明から明らかになるであろう。
【0094】
CF、経糸及び緯糸を用いて3Dファブリック製品を生産するためのアドオン製織方法及び装置、ならびにその前記3Dファブリック製品で、複合材料を強化及び製造するのに特に役立つものに関する本発明は、例として以下の図面において図示される。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【
図1】3Dファブリック製品を製造するためのアドオン製織方法を例示する図。
【
図2】アドオン製織を実際的に行うために必要な3つの主要ユニット/構成及び3Dファブリック製品を生産するためのアドオン製織装置におけるそれらの相対的配置を例示する図。
【
図3a】開口ユニット/構成の主要な構成部品及び開口ユニット/構成におけるそれらの相対的まとまりを例示する図。
【
図3b】開口ユニット/構成の主要な構成部品及び開口ユニット/構成におけるそれらの相対的まとまりを例示する図。
【
図4a】開口ユニット/構成を構成するある構成部品の代わりの配置を例示する図。
【
図4b】開口ユニット/構成を構成するある構成部品の代わりの配置を例示する図。
【
図6】緯入れユニット/構成の主要な構成部品及び緯入れユニット/構成におけるそれらの相対的まとまりを例示する図。
【
図7a】X、Y及びZ配向の1つにおいて3Dファブリック製品を生産するのに適切な緯打ちユニット/構成の主要な構成部品及び緯打ちユニット/構成におけるそれらの相対的まとまりを例示する図。
【
図7b】X、Y及びZ配向の1つにおいて3Dファブリック製品を生産するのに適切な緯打ちユニット/構成の主要な構成部品及び緯打ちユニット/構成におけるそれらの相対的まとまりを例示する図。
【
図7c】X、Y及びZ配向の1つにおいて3Dファブリック製品を生産するのに適切な緯打ちユニット/構成の主要な構成部品及び緯打ちユニット/構成におけるそれらの相対的まとまりを例示する図。
【
図7d】X、Y及びZ配向の1つにおいて3Dファブリック製品を生産するのに適切な緯打ちユニット/構成の主要な構成部品及び緯打ちユニット/構成におけるそれらの相対的まとまりを例示する図。
【
図8a】アドオン製織プロセスの生産サイクルを例示する図。
【
図8b】アドオン製織プロセスの生産サイクルを例示する図。
【
図8c】アドオン製織プロセスの生産サイクルを例示する図。
【
図8d】アドオン製織プロセスの生産サイクルを例示する図。
【
図9a】開口ユニット/構成に対応して様々な3Dファブリック製品を生産するための開口ユニット/構成の様々なまとまりを例示する図。
【
図9b】開口ユニット/構成に対応して様々な3Dファブリック製品を生産するための開口ユニット/構成の様々なまとまりを例示する図。
【
図9c】開口ユニット/構成に対応して様々な3Dファブリック製品を生産するための開口ユニット/構成の様々なまとまりを例示する図。
【
図9d】開口ユニット/構成に対応して様々な3Dファブリック製品を生産するための開口ユニット/構成の様々なまとまりを例示する図。
【
図9e】開口ユニット/構成に対応して様々な3Dファブリック製品を生産するための開口ユニット/構成の様々なまとまりを例示する図。
【
図9f】開口ユニット/構成に対応して様々な3Dファブリック製品を生産するための開口ユニット/構成の様々なまとまりを例示する図。
【
図10a】バイアス構造を作成するためのアドオン製織プロセスにおける開口ユニット/構成の相対的まとまりを例示する図。
【
図10b】バイアス構造を作成するためのアドオン製織プロセスにおける開口ユニット/構成の相対的まとまりを例示する図。
【
図11a】開口ユニット/構成の異なるまとまりにより生産可能な3Dファブリック製品を例示する図。
【
図11b】開口ユニット/構成の異なるまとまりにより生産可能な3Dファブリック製品を例示する図。
【
図11c】開口ユニット/構成の異なるまとまりにより生産可能な3Dファブリック製品を例示する図。
【
図11d】開口ユニット/構成の異なるまとまりにより生産可能な3Dファブリック製品を例示する図。
【
図12a】アドオン製織プロセスにより生産可能な3Dファブリック製品の隅肉付きでテーパ状の構成を例示する図。
【
図12b】アドオン製織プロセスにより生産可能な3Dファブリック製品の隅肉付きでテーパ状の構成を例示する図。
【
図13a】織布の一定幅の狭まりを防止または一定幅を維持するのに必要なクランプユニットの相対位置を例示する図。
【
図13b】織布の一定幅の狭まりを防止または一定幅を維持するのに必要なクランプユニットの相対位置を例示する図。
【
図14a】アドオン製織プロセスにより生産可能な様々な3Dファブリック製品を例示する図。
【
図14b】アドオン製織プロセスにより生産可能な様々な3Dファブリック製品を例示する図。
【
図14c】アドオン製織プロセスにより生産可能な様々な3Dファブリック製品を例示する図。
【
図14d】アドオン製織プロセスにより生産可能な様々な3Dファブリック製品を例示する図。
【
図14e】アドオン製織プロセスにより生産可能な様々な3Dファブリック製品を例示する図。
【
図14f】アドオン製織プロセスにより生産可能な様々な3Dファブリック製品を例示する図。
【
図14g】アドオン製織プロセスにより生産可能な様々な3Dファブリック製品を例示する図。
【
図14h】アドオン製織プロセスにより生産可能な様々な3Dファブリック製品を例示する図。
【
図14i】アドオン製織プロセスにより生産可能な様々な3Dファブリック製品を例示する図。
【
図14j】アドオン製織プロセスにより生産可能な様々な3Dファブリック製品を例示する図。
【
図14k】アドオン製織プロセスにより生産可能な様々な3Dファブリック製品を例示する図。
【
図14l】アドオン製織プロセスにより生産可能な様々な3Dファブリック製品を例示する図。
【
図14m】アドオン製織プロセスにより生産可能な様々な3Dファブリック製品を例示する図。
【
図14n】アドオン製織プロセスにより生産可能な様々な3Dファブリック製品を例示する図。
【
図14o】アドオン製織プロセスにより生産可能な様々な3Dファブリック製品を例示する図。
【
図14p】アドオン製織プロセスにより生産可能な様々な3Dファブリック製品を例示する図。
【
図14q】アドオン製織プロセスにより生産可能な様々な3Dファブリック製品を例示する図。
【
図14r】アドオン製織プロセスにより生産可能な様々な3Dファブリック製品を例示する図。
【
図14s】アドオン製織プロセスにより生産可能な様々な3Dファブリック製品を例示する図。
【
図14t】アドオン製織プロセスにより生産可能な様々な3Dファブリック製品を例示する図。
【
図14u】アドオン製織プロセスにより生産可能な様々な3Dファブリック製品を例示する図。
【
図14v】アドオン製織プロセスにより生産可能な様々な3Dファブリック製品を例示する図。
【
図14w】アドオン製織プロセスにより生産可能な様々な3Dファブリック製品を例示する図。
【
図14x】アドオン製織プロセスにより生産可能な様々な3Dファブリック製品を例示する図。
【
図14y】アドオン製織プロセスにより生産可能な様々な3Dファブリック製品を例示する図。
【
図14z】アドオン製織プロセスにより生産可能な様々な3Dファブリック製品を例示する図。
【
図15a】他の種類の3Dファブリック製品を創出するアドオン製織方法の更なる採用を例示する図。
【
図15b】他の種類の3Dファブリック製品を創出するアドオン製織方法の更なる採用を例示する図。
【
図15c】他の種類の3Dファブリック製品を創出するアドオン製織方法の更なる採用を例示する図。
【
図15d】他の種類の3Dファブリック製品を創出するアドオン製織方法の更なる採用を例示する図。
【
図15e】他の種類の3Dファブリック製品を創出するアドオン製織方法の更なる採用を例示する図。
【
図15f】他の種類の3Dファブリック製品を創出するアドオン製織方法の更なる採用を例示する図。
【
図15g】他の種類の3Dファブリック製品を創出するアドオン製織方法の更なる採用を例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0096】
本発明に係るアドオン製織方法は補完布(CF)、経糸及び緯糸を含んだ3Dファブリック製品を生産する。所望の構成及び形によっては、3Dファブリック製品は経糸と緯糸を、相互の布厚方向の接続においてCFと同時に一体化する相互作用織布へと織成することで生産される。新規製織方法には以下の3つの基本作業を伴う:開口;緯入れ,及び緯打ち。
【0097】
発明の精神の説明を容易にするため、「+」横断面ビーム状プロファイル3Dファブリ
ック製品を生産する基本原則は、それが相互厚さ方向で交差する1つのウェブと1つのフランジの構成物を代表するものと考えられる。その方法は
図1に表される。適切な材料、設計仕様、形状及び寸法の補完布(CF)は「+」プロファイルのウェブであることが求められ、これは所要の方位及び位置に適切に支持され、好ましくは静止状態で保持される。所要の幅と厚さの織成フランジ(A)を作るための、適切な材料及びテックス番手の所要数の経糸(P)は適切な供給源より供給されCFの両面側に配置される。経糸(P)は好ましくは
図1に示すように製織中の布(A)の平面/表面に適切な角度配向で供給される。これらの経糸(P)には製織中の布(A)の長さ方向に経糸(P)が変位されかつ杼口がCFの両面側で対になって形成されるように開口が施される。
【0098】
形成された対の杼口(L及びN)の新規な態様は、それらが個々にCFの両面側で発生し、同じ緯糸を受けることである。対の杼口(L及びN)の別の新規な態様は、それらが従来とは異なり製織中の布(A)の平面に対し角度を成してCFの面側で配向されていることである。その結果、経糸(P)は製織中の布(A)の長さ方向に変位され、従来の製織プロセスで起こるように、布(A)の厚さ方向に変位されることはない。杼口(L及びN)は織布(A)の平面に対して角度を有して配向されている。それらは織布(A)の平面に沿わない。杼口のこのような角度を有した配向は2つの重要な利点を可能にする。第一に、杼口に挿入された緯糸(G)をいくつかの経糸を用いて、かつ従来の製織に伴うような、筬打ちリードの使用を伴うことなく詰めることが可能になる。第二に、後で明らかになるように、平行または非平行かつ同時的な複数の織布層の作成が可能になり3Dファブリック製品の所望の様々な構成及び形を効率的に実現する。これらはこの新規開口方法の顕著な長所である。したがって、この新規開口構成の使用により筬打ち作業を不要にしてゆえに省き、この革新的なアドオン製織方法を効率化する。
【0099】
図1に示すように、経糸(P)に開口作業が施され、これにより対の杼口(L及びN)が好ましくは同時に支持されたCFの両面側に形成される。開口は支持されたCFの上(または下)縁を基準に所定の位置で行われて所望の「+」横断面のプロファイルビーム状3Dファブリック製品を直接得るためまさに作成中の相互作用織布(A)をCFと一体化する。
【0100】
次に、緯糸(G)が形成された対の杼口(L及びN)へと緯入れ作業中に挿入される。
図1に示す製織のサイクルにおいて、緯糸(G)はまずCFに向かって杼口(L)に進入し、次いでCFを貫通/通過し、CFの他方側で隣接する杼口(N)に進入し、最後に杼口(N)から出る。
【0101】
開口ユニット及び緯入れユニットの位置を、支持された静止状態のCFに関して、好ましくは合体して前進させることでなされる、緯打ちまたは巻き取り作業を行った後に続く新しい杼口が形成される時、対の杼口(L及びN)に挿入された緯糸(G)は経糸(P)間に取り込まれる。その結果として、CFと交絡直後かまたは交絡中の織成材(A)とが相互の布厚方向に直接一体化され、「+」横断面のプロファイルビーム状3Dファブリック製品の生産が完了する。3Dファブリック製品の生産をさらに続けるため、開口ユニット及び緯入れユニットを好ましくは合体して静止状態のCFに対して前進させることによって後続の杼口の相対平面が架設直後の緯糸に対して変更される。
【0102】
このアドオン製織方法における緯打ちまたは巻き取り作業は作成中の3Dファブリック製品の形状の複雑性を考慮して行われる。したがって、それはいずれか線状もしくは角状/円形、またはこれら両種類の組み合わせであり得る。線状の緯打ちシステムにおいて、開口作業及び緯入れ作業を行う手段のいずれも好ましくは合体して、静止状態のCFに対して所要の巻き取り距離だけ最後に架けられた緯糸から離れ線状に前進され、または代わりに、開口ユニット及び緯入れユニットが好ましくは合体して静止状態に維持され、CF
が所要の巻き取り距離だけ相対的に前進される。さらに、線状緯打ちシステムは1平面内または、例えば、互いに平行でない2平面内のいずれかで行われ得る。前者の緯打ちシステムは、+、T、I、Pi、L等のような概して線状のビーム状プロファイル横断面の3Dファブリック製品を生産する際に適している。後者のシステムは、例えば、段状、正弦曲線状及び枠状の3Dファブリック製品を生産するのに適している。
【0103】
ビーム状3Dファブリック製品を生産する際に必要になるような、線状には延びていないCFを用いる場合には緯打ち作業は角状/円形のタイプでもあり得る。この場合のCFは(平円盤、管状等のような)規則的形状または不規則な形状のいずれかを有する。このようなCFは各緯入れ後、後続の杼口の形成と緯入れのための空間を形成するため好ましくは固定軸周りに所要角度だけ回動される。この場合、開口ユニット及び緯入れユニットはプロセスを比較的単純に保ちかつ作業容易性を与えるため回動するCFに対するそれらの位置において好ましくは合体して静止状態に維持される。このタイプの角状/円形の緯打ちシステムは、例えば、帽子状、湾曲ビーム状プロファイル横断面、縁付き円盤等である3Dファブリック製品の生産に適している。
【0104】
代わりに、線状−角状/円形組み合わせタイプの緯打ちシステムも採用し得る。この場合、CFは各緯入れ後、固定軸周りに断続的に所要角度だけ回転されて、開口ユニット及び緯入れユニットは線状に前進される。このような緯打ちシステムは管状シャフトでその表面に付けられた放射状の螺旋縁を有するものなどの3Dファブリック製品を生産するために必要とされる。代わりに、所要長の線状の織布が作成されるまでCFは静止状態に維持されてから、CFは所要角度だけ回動される。このようなシステムは管状シャフトでその表面に付けられた縦方向の線状フィンを有するもののような3Dファブリック製品を生産するのに必要とされる。
【0105】
当然ながら、この新規アドオン製織方法によって比較的極小から極大の範囲にわたる寸法の、かつ複雑な形及び形状の、多様な高性能かつ機能的な3Dファブリック製品を直接的にかつ比較的容易に、迅速に、コスト効率良く製造できることを当業者は理解するであろう。
【0106】
新規のアドオン製織方法は
図2に示す革新的なアドオン製織装置(V)により実際的に実現される。この装置は基本作業を行うため、以下に示す3つの基本的なユニット/システム/構成/手段等を備える。これらユニットの各々は独自に考案されており、それらの動作は以下に述べられる:開口ユニット(1);緯入れユニット(2);及び緯打ちユニット(3)。
【0107】
基本ユニット、すなわち
図2に示すアドオン製織機(V)を成す、開口ユニット(1)、緯入れユニット(2)及び緯打ちユニット(3)の好ましい動作と相対位置は、新規3Dファブリック製品(K)を生産するため具体的に工夫かつ調整される。製織機の主骨格(図示略)は上に経糸(P)を供給するための所要数の経糸ビーム及びスプールあるいは経糸ビームまたはスプール(図示略)、開口ユニット(1)ならびに好ましい対の緯入れユニット(2)が装着され支持される可動式副骨格(図示略)を支持する。この可動式副骨格は開口用(1)と緯入れ用(2)のユニットを支持するものであって、主フレームに固定された緯打ちユニット(3)により支持かつ移動される。CFを所要の配向及び位置で静止状態に維持するために、好ましくは適切なホルダまたはクランプユニット(図示略)が主フレーム上で使用かつ装着される。よって、副骨格は主骨格に対して移動可能である。
【0108】
このアドオン製織装置では、開口ユニット(1)と好ましくは対の緯入れユニット(2)とが必要に応じて所望の上下左右方向に合体して移動され得るように可動式副骨格で互
いに一定の位置関係に維持される一方で、それらの所定の位置からの前後方向の共同移動が緯打ちユニット(3)によって自身のクランプ支え(図示略)で保持された静止状態の製作途中の3Dファブリック製品(K)に関して変更されることが好ましい。よって、開口ユニット(1)と対の緯入れユニット(2)は緯打ちユニット(3)に取り付けられた共通の可動式副骨格(図示略)上に好ましくは支持される。加えて、副骨格での開口ユニット(1)の装着は好ましくは開口ユニット(1)と緯入れユニット(2)とが独立して必要に応じて、静止状態のCFに対し副骨格内で変位、位置変え、角度配向され得るようなものである。
【0109】
開口ユニット(1)、緯入れユニット(2)及び緯打ちユニット(3)の関連する詳細を次に個別に記載する。所要の目的は多くの様々な方法で実際に達成され得るのでこれらユニットの各々の最も基本的な動作態様をここで記載する。
開口ユニット:
先に示したように、
図2に示す開口ユニット(1)の重要な新規態様はそれが一対の杼口(L及びN)でそれぞれがCFの両面側で発生するもの、またはCFの一面側のみに発生する無対/単一の杼口のいずれかを形成できることである。例えば、ウェブの片側のみでフランジを有するL型のビーム状プロファイルを作成する際には無対の杼口が採用可能である。
【0110】
3Dファブリック製品を生産するため、経糸(P)は、それらが製織中の布(A)の表面/平面に対し、好ましくは約90°の角度を成して配向されるように、好ましくは作成中の布の上方から供給される。その結果、開口作業中経糸の変位は作成中の布の長さ方向に起こる。CFのほか、この開口のための経糸の供給と変位のし方も、作成された布に沿って経糸が実質上供給され、また開口作業中の経糸の変位が製織中の布の厚さ方向である既知の製織プロセスのものとは異なる。経糸及び緯糸と併せた、CFの使用は伝統的製織プロセスにおいては知られていない。
【0111】
ここで開示される新規のアドオン製織方法において、開口ユニット(1)の指示方位及びそれによる開口形成は特異的に、(i)CFがその特別な配置のヘルド(すぐに後述する)の間を通過すること、(ii)CFの両面側での対の杼口(L及びN)の形成、及び(iii)その動作(すぐに後述する)が3つの基本的な製織作業のうちの2つ、すなわち挿入した経糸の開口と織前での整経を同時に成し遂げることを有利に可能にする、すなわちそれは「筬打ち」作業も行う。
【0112】
図3aにおいて、本発明に係る開口作業の作業原則を本質的に説明するため開口ユニット(1)の一例を示す。例示の開口ユニット(1)は主に一対のシャフト(11a及び11b)から構成され、これらのシャフト(11)の各々は1組のヘルド(12)を担持する。この示された配置は平織を作るためのものである。シャフト(11a及び11b)各々でのヘルド(12)の数はシャフトあたり少なくとも1本のヘルドから可変の数であるが、開口ユニット(1)の動作を記載する目的でシャフト(11a及び11b)各々でのそれぞれ2組のヘルド(12a,12c及び12b,12d)のみが
図3aに示されている。開口ユニット(1)の代替的な構成配置において、ヘルド(12)の動きは機械的またはデジタルプログラムのいずれかに繋がったカム、空気圧シリンダ、電磁石等のような適切な手段の使用により個別的または所要の群のいずれかで、例えば、完全に機械的または電気機械的のいずれかで制御できる。
【0113】
シャフト(11)は好ましくは、円筒形/他の適切な形状の棒を用いて、または多数の機能的な形状の適切なサブパーツを合体することのいずれかにより構成される。開口ユニット(1)の構成の説明を容易にするため、ここではシャフト(11)は円筒棒として、ヘルド(12)は円形パイプとして表されるが、これら構成部品は後述するように多くの
様々な形及び構成で使用され得る。製織機の幅仕様によっては、シャフト(11)は織成材の所要幅を実現するために所要数のパイプ(12)を収容する適切な長さになるよう選ばれる。
【0114】
多様な好ましくは等間隔の穴、または選ばれた他の適切な取合せのものはシャフト(11a及び11b)の長さに沿って配置されパイプ(12)を受ける。生産される必要のある3Dファブリック製品によっては、シャフト(11)の穴のいくつかはパイプ(12)を受けることなく空にされ得る。原則を説明するため、
図3aではシャフト(11)は穴の各々にパイプ(12)を有した状態で示される。設けられた穴においてパイプ(12)は互いに略平行に確実に保持されており、シャフト(11)の適切な追加構成によりそれらの軸方向の調節が可能であり、例えば、パイプ(12)のいずれかを容易にかつ素早く適宜取り除いて生産される3Dファブリック製品の横断面形状に応じてCFを収容するための空間をその間に作ることに柔軟に対応できるように、所望のパイプを穴から取り除くこともできる。
【0115】
シャフト(11)及びパイプ(12)各々のアッセンブリはシャフト端側で適切に支持される。シャフト−パイプの各アッセンブリは適切なリンク(図示略)に接続され、これによりアッセンブリ各々をT1方向及びT2方向に各シャフト(11a及び11b)の軸周りに回動させることができ、また
図3aに示すようにU1方向及びU2方向に上下に移動させることもできる。
【0116】
各シャフト(11a及び11b)の等間隔の穴は好ましくは組のシャフト(11a及び11b)のパイプ(12)がその間を容易にかつ互いに近接して相互に通ることができ、また少なくとも一方のシャフト(例:11a)が他方のシャフト(11b)に向けて回動された時に交差して杼口を形成できる程度に近接している。したがって、
図3aのDの方向から見た時、パイプ(12a,12b,12c,12d)はシャフト(11a及び11b)において交互にあって、それらは
図3aに示すように順に並んだ位置W、X、Y、Zをそれぞれ占めているように見える。開口ユニット(1)における示された互い違いの位置付けのパイプ(12a,12b,12c,12d)は平織を作成するためのものである。パイプ(12)互い違いの位置はいずれかシャフト(11a及び11b)の適切な相対的軸位置により、または適切に予配置された穴を備えたシャフトを使用して達成できる。
図3bは2本のシャフト(11a及び11b)にそれぞれ固定されて
図3aに示すDの方向から見た時に交互になるようなパイプ(12a−12c及び12b−12d)を示す。シャフト(11a及び11b)は(
図3aでU1−U2で示す)鉛直方向に相対変位されるように示される。明瞭な描写のためパイプ(12a〜12d)は
図3bでは相対的に広間隔をあけて示されるが、実際上それらは互いに近接しているであろう。
【0117】
図3aと
図3bではパイプ(12a〜12d)は長さと水準が互いに同じになるよう示されている。しかしながら、同等でない長さのパイプも同様に使用し得る、あるいは代わりに、CFの表面を基準に傾斜した織成材を備える3Dファブリック製品の生産を可能にするため、同じ長さのパイプを異なる作用長または高さ(すなわち、シャフト11から延びるパイプの長さ)に
図4aと
図4bに示すように配置し得る。
図4bは
図4aに示すDの方向からの図であり、これで分かるとおり、パイプ(12aから12d)の相対的な作用長はCFの面に対し傾斜した杼口を直接的に形成するように付ける角度に応じて減少する。このようなさまざまな長さのパイプの配置によって、扁平か曲面のいずれかであり得るCFの面に対して所要角度で直接傾斜させる必要のある織成材の作成が可能になる。等しい作用長のパイプを備える開口ユニット(1)全体を傾斜させるか傾けることでは傾斜した織成材は満足には作成されないであろう。CFに対して、述べたようなさまざまな長さのパイプの使用により直接所要の傾斜で材料を織ることはCFに関して織成材のその後の再配置を無くし、またそれにより繊維の不要な失配向と繊維内での応力発生を無くすこ
とに役立つ。その結果として、このような3Dファブリック製品によりもたらされる性能及び信頼性は高まる。
【0118】
開口ユニット(1)の基本的な動作を、動作の側面図であり一動作サイクルを示す、
図5a〜
図5dを参照して述べる。ただしここで述べる開口ユニット(1)の動作は平織についてとする。なお、各シャフト(11a及び11b)の上の組のヘルドパイプは、簡潔に表すため、見える前側の2本のヘルドパイプ(12a及び12b)のみを示して残りのヘルドパイプはその背後にあるものとして表される。
【0119】
図5aにおいて、両シャフト(11a及び11b)が水準位置(H)で構成要素である組のパイプ(12a及び12b)が鉛直配向の開口ユニット(1)を示す。次に、
図5bに示すように、シャフト(11a及び11b)は水準位置(H)に対してシャフト(11a)を下に移動しシャフト(11b)を上に移動して鉛直方向に変位されており2本のシャフト(11a及び11b)はそれぞれ反時計回り及び時計回り方向に回動される。その結果、2組のパイプ(12a及び12b)は互いに交差する。シャフト(11a及び11b)は次に
図5cに示すように組のパイプ(12a及び12b)を鉛直配向において位置変えするよう、それらの水準位置(H)へ戻され反対方向に回動される。次に最後に、
図5dに示すように、シャフト(11a及び11b)は水準位置(H)に対してシャフト(11a)を上に移動しシャフト(11b)を下に移動して鉛直方向に変位される。シャフト(11a及び11b)は回動されず組のヘルドパイプ(12a及び12b)はそれらの鉛直配向のままである。杼口を形成するために経糸の交差を発生させるこの位置でのシャフト(11a及び11b)の無回動は後で製織サイクル全体を述べる時に明らかになるであろう。
【0120】
ここでアドオン製織方法の核心を成す新規開口システムのある実用的態様を考えるのが適当である。例えば、加工される経糸の番手、経糸間隔、作成された布の層間隔、ならびに加工される経糸の剛性、脆性、緻密度及び表面特性、CFの表面に対する作成される織布の角度、CFに対する織布に組み込まれる緯糸の角度など、製織要件によっては、開口ユニット(1)及びそのヘルド(12)は適切に設計され構成され得る。
【0121】
例えば、ヘルドは線状で硬質タイプまたは膝状の屈曲構成の使用による線状で屈曲可能なタイプのいずれかであり得る。それらは造りにおいて管状、ワイヤ状、もしくは平型のいずれか、または部分的にこれらのタイプの造りの組み合わせのものであり得る。管状ヘルドは好ましくは、とりわけ円形、楕円形、矩形、または正方形のいずれかの横断面を有し得る。ワイヤ状のヘルドは好ましくは、とりわけ直線状、湾曲状、(圧縮バネや引張バネのような)コイル状、またはこれらの形のうちのいくつかの組み合わせのいずれかであり得る。平型のヘルドの本体は好ましくは、とりわけ矩形状、台形状、凸状、凹状、またはこれらの形状のうちのいくつかの部分的組み合わせのいずれかであり得る。さらに、本体は中実または重量低減のため適切な形状の開口を有したもののいずれかであり得る。
【0122】
作業空間要件によっては、ヘルドは個別的、または線状もしくは角状のいずれかの往復運動にて群でまたは集合的に、あるいは両方の適切な組み合わせにて操作され得る。したがって、ヘルドの往復動作はそれらの縦軸、(振り子の揺動のように)横軸方向、またはこれら両方の軸方向の組み合わせのいずれかに沿ったもの、すなわち線状、環状、線状−環状の組み合わせタイプのいずれかの往復動作であり得る。さらに、ヘルドの往復動作はポジティブタイプまたはネガティブタイプのいずれかであり得る。また、それらの往復動作は機械的または適切なプログラムの採用により電気機械的のいずれかで行われ得る。ヘルドはプログラム可能な駆動ユニットから直接的または適切な接続部材を介して間接的のいずれかで往復運動され得る。
【0123】
さらに、ヘルドは剛性/硬質、可撓、または準硬質/可撓タイプの構成のいずれかであり得る。各ヘルドは1または1より多いかのいずれかの開口を備え得るもので、このような開口の各々は経糸を安全に通すため滑らかな/研磨された縁を有する。さらに、ヘルドは適切なガイドワイヤまたはガイドバーのいずれかをセラミックアイレットなどの耐摩耗性の被覆や部材付きまたは無しに備え得る。
緯入れ装置:
3Dファブリック製品を製造するための、
図2に示したような、経糸(P)と緯糸(G)と併せたCFの加工によりこのアドオン製織プロセスは新規なものとなる。緯糸(G)は対の杼口(L/N)を通過しまたCFを貫通する必要がありCFと、緯糸(G)と経糸(P)を交絡して作成された相互作用織成材(A)との間の相互の布厚方向の接続を達成する。作られた3Dファブリック製品はよってCFと織物(A)をそれぞれの厚さ方向においてそれらが交差する継ぎ目で互いに一体化した状態で有する。緯入れ作業は
図6に示す典型的な装置(2)により行われる。ここで緯入れを行う手段の特別な詳細は本発明の範囲に関係しないと考えられると述べておく。それはここでは新規のアドオン製織プロセスの実用妥当性を証明するという目的であると考えられる。
【0124】
先に示したように、緯入れユニット(2)は開口ユニット(1)と一定の位置関係を持つ。これら両ユニット(1及び2)は生産中の3Dファブリック製品の種類(すなわち、線状、角状/円形、組み合わせタイプ)によって緯打ちユニット(3)により移動可能な副骨格(図示略)に装着される。作業上必要な緯入れユニット(2)の数は活動的に採用されている開口ユニット(1)の数に対応する。よって、各開口ユニット(1)について緯入れユニット(2)が設けられている。
図6に示すように、それは本質的には緯糸搬送素子(2a)、好ましくは素子(2a)の線状の横断のための緯糸案内素子(2b)、及び搬送素子(2a)を駆動する手段(2c)を備える。CFの両側の案内素子(2b)は一般にプラットフォーム(2d)上に支持される。
【0125】
よって、緯糸搬送素子(2a)は好ましくは手縫い/縫製に一般に使用されるもののような針または編み機で通常使用されるもののようなかぎ針のいずれかである。状況によっては、例えば比較的複雑な3Dファブリック製品を製造する際、テーパ状の端を有する細い小径パイプまたはヘアピン状に折曲した適切なワイヤの、いずれか独立したまたは併用での、あるいは他の言及した搬送素子と連動での使用も考慮され得る。選ばれた緯糸搬送素子(2a)の種類は緯糸を案内する手段(2b)及び緯糸を駆動する手段(2c)の種類の選択に影響する。それらは対のタイプまたは単一タイプのいずれかであり得る。
【0126】
図6で緯糸を搬送する手段(2a)は杼口内に架けられる緯糸(G)を受けるための目穴を一端側に有する適切な長さの一般的な縫い針により表される。搬送素子(2a)がCFの一端から他端へと横断しなければならずCFを貫通することも必要なので緯糸案内素子(2b)は本質的には搬送素子(2a)の対の杼口間の線状の横断を確実にする支えである。緯糸案内素子(2b)は緯糸搬送素子(2a)が一杼口から他杼口へ明確に通りながら対の杼口間に在るCFを通過することもできるよう形成された杼口へと所要の高さで横断することも確実にする。これは例えば、対の案内素子(2b)を共通のプラットフォーム(2d)上に装着することで達成され、プラットフォーム(2d)はそれ自身副骨格(図示略)の一部である。緯糸搬送素子(2a)は代わりに、生産される3Dファブリック製品の相対的複雑性だけでなく作成される量によっても様々な可能性の中から選べる手段(2c)により駆動される。例えば、試しに比較的複雑な製品を生産するため、緯糸(G)の杼口への挿入そしてCFへの挿通を可能にするために
図6に示すように手(2c)で素子(2a)を駆動するのも適当であろう。対の駆動素子(2c)は緯糸搬送素子(2a)の与え手及び受け手の両方として機能する。通常生産のため、ロボット、空気圧シリンダ、接線駆動輪、スパイク駆動輪、磁気駆動、クランプ駆動、これらのいくつかの組み合わせ等のような駆動素子(2c)の可能性が検討され得る。緯糸搬送素子がかぎ針タイ
プのものである場合、かぎ針素子が単一または対の杼口に往復線状に出入りできかつCFを杼口の一端側から貫通することができるようそれはその駆動素子にも同様に直接的または間接的のいずれかで接続され得る。当然かぎ針も杼口への進入のための所要の高さに適切に配置され、緯双糸を架ける。
【0127】
使用される緯入れ素子(2a)の種類に従って、緯糸(G)は単糸としてまたは双糸/合糸のいずれかとして架けられる。当分野では周知のように、緯単糸では、関係のシステムの処理容量により加工可能な長さが制限され、緯双糸では、加工可能な長さが比較的に十分大きい。緯入れ素子(2a)タイプの選択はとりわけ、検討中の3Dファブリック製品の作成長、複雑性、性能要件及び仕上がり特性によるであろう。
【0128】
尖端が1つかまたは両端が尖っていて目穴が間にあるかのいずれかであり得る、縫合針/縫い針の形の素子(2a)の使用では、緯糸は単糸として架けられるであろう。このような針は好ましくは円筒形及び平型であり得る。平型の針を使用する際、それらは中実状または適切な駆動素子(2c)によって駆動されるために一連の穿孔を有するもののいずれかであり得る。かぎ針または編み針の使用では、緯糸は双糸/合糸として架けられる。さらに、
図6に示す設定で可能になるように、緯糸(G)が単糸として架けられる場合、一対の緯糸案内素子(2b)と一対の駆動素子(2c)は杼口両端(またはCFの両面側)に位置づけられ、その2つの側から交互に緯糸(G)の挿入を行うために使用される。緯双糸(G)が架けられる場合、一杼口端(CFの一面側)から単一の緯糸案内素子(2b)と単一の駆動素子(2c)が使用されるであろう。ここでこの場合、仮に緯糸搬送針(2a)が接続される駆動素子(2c)の位置が固定されたままであり作成される織成材の幅が比較的小さければ緯糸案内素子(2b)の使用は必要ではないかもしれないと述べておく。
【0129】
先に述べたように、緯入れユニット(2)と開口ユニット(1)はアドオン製織機の副骨格に装着される。これはそれらの間に一定の位置関係を維持するためになされる。したがって、開口ユニット(1)がCFに対して上昇/下降されれば、緯入れユニット(2)も採用された構成次第で直接的または間接的のいずれかで同様に対応して設定される。同様に、開口ユニット(1)の配向角度がCFの表面に対して変更されれば、緯入れユニット(1)も対応して変更される。後で明らかになるように、緯糸(G)をCFの表面に対してバイアス配位で組み込むには開口ユニット及び緯入れユニット(1及び2)の配向角度の変更も必要になる。CFの表面に対して角度のある織布を備えた3Dファブリック製品の生産を希望する場合、ヘルド(12)が様々な作用長である開口ユニット(1)と併用で、
図4bに示すように、対の緯糸案内素子及び駆動素子(2b及び2c)は、それらの角度が様々な作用長のヘルドパイプ(12)により形成された杼口の角度に合うよう回動されるほか、対応して一方側が上昇され他方側が下降されるであろう。このようにして緯糸搬送素子(2a)の横断経路は確実にその方向において線状のままになる。
【0130】
緯入れユニット(2)の基本的な動作を
図6を参照して述べることができる。開口ユニット(1)及び緯入れユニット(2)がCFに対してかつ生産される3Dファブリック製品に従って所望の位置に設定された後、それらの位置関係は一定になる。緯糸(G)は、搬送素子(2a)である針(2a)の目穴に通され、適切な長さの緯糸(G)がその源から引き出された後切断される。開口ユニット(1)により杼口が形成された後、
図6では図示されないが、針(2a)がCFの一側(
図6において右側)に位置する案内素子(2b)内へと入れられる。針(2a)は次に駆動素子(2c)によってCFの方向で前方へ押される。針(2a)はCFを貫通または突き抜けてCFの他側(
図6において左側)から出てCFの対応する側に位置する案内素子(2b)に進入する。使用される針(2a)の長さによっては、2つの対向位置の案内素子(2b)間に亘り得る。それはまだ左側に位置する案内素子(2b)上にあるうちにCFから線状に引き出される。それから針(2
a)は左側に位置するその案内素子(2b)から取り除かれ、緯糸(G)はある長さの緯糸を対の杼口内に架けながら、対の杼口とCFを通して引かれる。次に、後続の杼口が形成された後、上述のように、針(2a)の横断がなされるが、これは反対方向、すなわち
図6において左側から右側である。挿入された緯糸(G)は引かれて経糸(
図6では図示略)と結合し自然に結合された織耳を反対側に形成し、緯入れサイクルが完了する。
【0131】
上記で概説した動作に従えば、緯糸搬送針(2a)の取り回しと横断はロボット、空気圧シリンダ、接線駆動輪、スパイク駆動輪、磁気駆動、クランプ駆動等のような適切な手段の使用により自動化して行われ得ることを当業者は理解するであろう。
【0132】
双緯糸を用いて3Dファブリック製品を作成することを希望する場合、2つの選択肢が検討される。第一の可能性では1本のかぎ針を使用しCFの一面側から通常されるように操作し得るのであるが、他の可能性では対向配置された2本のかぎ針を使用してCFの両面側から交互に操作し得る。採用する手法の選択には加工されている糸材料の種類、必要とされる仕上がり水準、及び当然、縦縁(すなわち、織耳)に形成されるインターループ結合の出来栄えへの効果などの要因が影響するであろう。緯糸をCFの一方側から挿入する場合、ループ結合は一方側に在り、「係止ループ」は通常通り他方側に在るが、これによって双緯糸がCFの両側から交互に挿入される場合と比べて不均衡な構造が形成されるであろう。
緯打ちユニット:
この革新的アドオン製織プロセスによってCFを経糸と緯糸と併せて加工するには満足のいく連続的な緯入れを可能にするための新規緯打ちシステムが必要とされる。製織プロセスにCFが存在するのは以前にはなかった完全に新しい状況である。もしこのプロセスで使用されるCFが生産される必要のある3Dファブリック製品に従って様々な形状かつ制限寸法のものであり得るならば、アドオン製織は従来のロール型の布巻き取りシステムまたは緯打ちシステムを用いては行われない。すぐに明らかになるように、アドオン製織を可能にするため新しい手法が必要になる。
【0133】
CF、経糸及び緯糸を加工する際に満足のいく連続的な緯入れを実際的に可能にするため、ある状況においてはCFが静止状態または一定の位置にあり続けることを可能にしつつ、開口ユニット及び緯入れユニットをCFに対して合体して位置変更させることのできるシステムを有するのが好ましい。他の状況では、例えばCFの形状が円形の場合、ユニットを1つの位置に保ちつつCFを軸周りに回動させることが望ましいであろう。また他の状況では、開口ユニット及び緯入れユニットは合体して回動/移動されまたは静止状態に維持される一方、CFをある位置で静止状態に維持しかつ他の位置で軸方向に回動または線状に移動させることが必要なことがある。また、さらに他の状況では、例えばある相互作用織成材を使用中のCFの縁に対して対角配向に作成することを希望する場合、CFを回動/移動させることが必要で、開口ユニット及び緯入れユニットも合体して移動させることが必要なことがある。
【0134】
以下に述べる緯打ちユニット(3)は、それが開口ユニット及び緯入れユニットを収容する副骨格を担持するかまたはCFにその軸周りの回動/回転を許すように支持することのいずれかによって無端型の3Dファブリック製品を直接的に創出するため上述の種々の可能性をもたらす点において新規である。この緯打ちユニット(3)の使用により作成可能な3Dファブリック製品のいくつかの例をその基本的動作を述べてから
図14を参照して後述する。
【0135】
図7aに緯打ちユニット(3)とそのいずれも副骨格(図示略)に収容された開口ユニット(1)及び緯入れユニット(2)に対する相対位置を例示する。緯打ちユニット(3)は本質的にはフレーム(3a)、駆動部材(3b)及び支え(3c)を備える。フレー
ム(3a)は好ましくはアドオン製織装置の主骨格の一部であり、それゆえに固定部材である。フレーム(3a)は
図7aに示すように線状型、もしくは非線状/曲線型または所望の3Dファブリック製品を生産するのに適した特定の型(例:円形、正方状、異形状等)のいずれかであり得る。駆動部材(3b)は好ましくは適切な支えとリンクを介してフレーム(3a)により支持される。駆動部材(3b)はねじ棒、タイミングベルト、ラックアンドピニオン歯車、ウォーム歯車、スプロケットチェーン、ケーブル、これらの組み合わせのいくつか等のような様々なタイプのものであり得る。使用される駆動部材の選択は、使用されたフレーム(3a)のタイプにまた生産の必要のある3Dファブリック製品の形状によるであろう。それは移動される開口ユニット及び緯入れユニットと併せた副骨格の荷重、使用中のCFの寸法と形状、CFの支持のされ方などのような機械の構成のその他の要因にもよるであろう。支え(3c)は駆動部材(3b)にもまた開口ユニット(1)及び緯入れユニット(2)を担持する副骨格(図示略)にも接続されている。よって、支え(3c)は駆動部材(3b)によって駆動されて、副骨格を横断させるようまたそれにより開口ユニット及び緯入れユニットを合体してCFに関して横断させるよう機能する。さらに、支え(3c)は好ましくは、副骨格の断続的な動きが円滑でかつそれが3Dファブリック製品の生産中に精度良く位置決めされるように主骨格に固定された適切な軸受け(図示略)上に案内され支持される。この上述の配置は線状、円形、管状、異なる形状、それらの組み合わせのいくつか等の形状の3Dファブリック製品を生産するのに適している。
図7aでは「+」の横断面を有しCF及び織布(A)から構成される線状型のプロファイル3Dファブリック製品の生産を示す。主骨格上で線状にCFを保持するための支えは示す必要がなく、ゆえに図示しない。
【0136】
円形、管状等のタイプの3Dファブリック製品を生産する必要がある場合、支え(3c)は円形、管状等のタイプのCFが軸周りに回動または回転され得るやり方でCFを適切な手段によって追加的に支持するよう適切に改造され得る。支持されたCFを回動/回転するための駆動は駆動部材(3b)またはモータなどの独立した駆動源のいずれかより受け取られ得る。
図7b〜
図7dは円形、管状、正方状のCFをそれぞれ用いたアドオン製織方法による3Dファブリック製品の生産を例示する。当業者はどのようにCFをアドオン製織機の様々なユニットに対して位置付けることができるかまたそれらの軸のX、Y、またはZのいずれかの方向への配向の様々な可能性を理解するであろう。
図7bの3Dファブリック製品は平円形のCFで、作成された曲面織布(A)がCFの一表面側または一面側から突出するようそのX軸周りに回動するよう位置決めされたものを示す。
図7cの3Dファブリック製品は管状のCFで、管状CFの外表面から突出する線状の織布(A)を作成するためそのY軸周りに回動するよう位置決めされたもの示す。
図7dの3Dファブリック製品は正方管状のCFで、作成された線状織布(A)が正方管状CFの基側と外表面とで突出するようそのZ軸周りに回動するよう位置決めされたものを示す。
【0137】
ただし、線状、円形、管状等のいずれであれCFの空間的位置は主骨格に関して固定されたままであるが、それらはいずれか1位置で静止状態に保持されるかまたは1位置で軸周りに移動/回動/回転され得る。例えば、
図7aのCFの相対位置は1位置に固定されている。
図7b〜
図7dに示すCFは主骨格に対しては同じ位置のままであるが、状況の実際の要求によっては単緯糸または双緯糸のいずれかを用いて対応する3Dファブリック製品を生産することを可能にするため軸周りに回動される。連続的な緯入れは、開口ユニット及び緯入れユニット(1及び2)を収容する副骨格をCFに対して前進させるかもしくはCFを副骨格に対して軸周りに回動させるか、または副骨格の前進及びCFの回動の両方を規則的または断続的のいずれかで行うことより可能になる。
【0138】
先に述べたように、記載の緯打ちユニット(3)は示された部分(3a,3b,3c)の形に限定されるべきではない。適切なエンジニアリングにより非線状または曲線状のフレーム(例えば、対応する駆動部材と副骨格を支持するためのベース支えのある円形、楕
円形、及び矩形)が例えば、線状ではなく湾曲した「+」横断面ビーム状プロファイル材料を作成するために使用され得る。生産される3Dファブリック製品の複雑性によっては、副骨格は曲線フレーム上で支持ベースによって適切に支持され、必要に応じて外部から追加的に支持され得る。例えば、副骨格が曲線フレーム上方で支持されながら自由に移動でき3Dファブリック製品を生産するのに満足のいくよう、連続的な緯入れを可能にするためCFに対して位置を変えるように、副骨格はロボットまたは静止カラムのいずれかにその径方向に接続された延長アームからの追加的支えを受け得る。緯打ちユニット(3)のさらなる機能的柔軟性のため、主フレームに固定された交差部材が長さ方向及び横方向においても緯打ちユニット(3)の移動も追加的に可能にするためにフレーム(3a)を支えるため使用され得る。
【0139】
製織装置の開口ユニット(1)、緯入れユニット(2)、緯打ちユニット(3)の必要な態様について述べてきたが、それらの実用上の相互作用について以下で「+」及び他の関連の横断面のプロファイル3Dファブリック製品の生産を例示して検討する。以下の種々の製織ユニットの基本的動作の説明により、当業者にはこの新規アドオン製織プロセスによって無端型の3Dファブリック製品を直接的に生産することができることが明らかになるであろう。
種々のユニットの動作
アドオン製織プロセスのサイクルを
図8a〜
図8dを参照して以下に述べる。生産されるプロファイルビーム状3Dファブリック製品の横断面形状と寸法に従って、予備作業には補完布(CF)を間に収容するため開口ユニット(1)内の選択パイプ(12)のそれぞれのシャフト(11)からの除去が含まれる。本例では、「+」のプロファイルビーム状3Dファブリック製品を生産するため、CFが対の杼口(L/N)(
図8a〜
図8dではプロセスの側面図のみ示すためCFの背後の杼口(L)は見えない)の間に在る。しかしながら、ウェブを成すCFの一面側のみに発生するフランジを有する、例えば「L」横断面のような、横断面形状を作成する際、CFの所要の面側のパイプ(12)のみが開口ユニット(1)内に残されてその他のパイプは好ましくは取り除かれるかまたは様々な方法で非動作的にされる。このような状況ではCFはどのパイプ(12)の間にも収容されないが、組み立てたパイプ(12)の端側のうちの一側に在る。次に、開口ユニット(1)及び緯入れユニット(2)は、織成フランジ部分を織成してCFに所要の位置で接続するため緯打ちユニット(3)上に支持された可動式副骨格内の特定の高さに合体して位置決めされる。現状で織成部分(A)はCFの幅中間部分にあり「+」の横断面を得ることになる。
【0140】
供給スプール(図示略)から引き出され、それぞれの張力装置(図示略)を通して案内された経糸(P)は個々に所要へルドパイプ(12)の各々を通して引き出される。経糸(P)の発生した前端は主骨格に固定されたクランプ(図示略)内に固持される。所要の形状かつ長さ、幅寸法の所望のCFが所要へルドパイプ(12)の中間に収容され、ヘルドパイプ(12)から出ている挟持された経糸(P)も同様である。CFの前後端は主骨格で適切に支持され扁平に挟持される。代わりに、CFがまず位置を固定されてから経糸(P)がヘルドパイプ(12)に通され得る。
【0141】
図8aに示すように、製織サイクルはシャフト(11a及び11b)を中立位置(H−H)から上向方向及び下向方向へそれぞれ変位させ、それらをそれぞれの軸周りに回動させることにより対のパイプ状ヘルド(12)が互いに交差することなく杼口(L/N)を形成することで始まる。張設された経糸(P)と一緒に、ヘルドパイプ(12a)が回動し上方変位することで、以前に架けられた緯糸を織前に向かって押してそれに揃える。新たな緯糸(G)が形成された杼口(L/N)に緯入れのための適切な手段(図示略)を用いて挿入される。
【0142】
図8aに示すように、製織サイクルはシャフト(11a及び11b)を中立位置(H−H)から上向方向及び下向方向へそれぞれ変位させ、それらをそれぞれの軸周りに回動させることにより対のパイプ状ヘルド(12)が互いに交差することなく杼口(L/N)を形成することで始まる。張設された経糸(P)と一緒に、ヘルドパイプ(12a)が回動し上方変位することで、以前に架けられた緯糸を織前に向かって押してそれに揃える。新たな緯糸(G)が形成された杼口(L/N)に緯入れのための適切な手段(図示略)を用いて挿入される。
【0143】
次に、
図8bに示すように、シャフト(11a及び11b)の各々が中立位置(H−H)に移されることで対のパイプ状ヘルド(12a及び12b)も対応した水準位置をとる。ヘルド(12a及び12b)の中立位置(H−H)への変位は好ましくは、所要長の経糸(P)の放出を可能にするため行われるもので、この経糸(P)は開口ユニット(1)と緯入れユニット(2)を(それらが一緒に副骨格に収容されるよう)所要の距離まで矢印(D)で示す方向に合体して前進させることによって、L型の経路を相互作用織布(A)とヘルドパイプ(12)との間にとる。緯打ちユニット(3)の作動により副骨格の共動が起き、ゆえに一定の位置関係の開口ユニット(1)及び緯入れユニット(2)が挿入直後の緯糸(G)から離れることで後続の杼口(L/N)が形成できて連続する緯糸を形成された杼口に挿入することができる。
【0144】
次に、
図8cに示すように、シャフト(11a及び11b)は下向方向及び上向方向へそれぞれ変位され各々の軸周りに互いに向けて回動される。その結果、パイプ状ヘルド(12a及び12b)は後続の新しい杼口(L/N)を形成しながら互いに交差する。再度、張設された経糸(P)と一緒に、ヘルドパイプ(12a)が回動し上方変位することで、以前に架けられた緯糸を織前に向かって押してそれに揃える。新たな緯糸(G)が形成された杼口(L/N)に緯入れのための適切な手段(図示略)を用いて挿入される。
【0145】
もう一度、
図8dに示すように、シャフト(11a及び11b)が中立位置(H−H)に変位されてそれによって対のパイプ状ヘルド(12a及び12b)も対応した水準位置をとる。上に示したとおり、ヘルド(12a及び12b)の中立位置(H−H)への変位は好ましくは、所要長の経糸(P)の放出を可能にするため行われるもので、この経糸(P)は開口ユニット(1)と緯入れユニット(2)を所要の距離まで矢印(D)で示す方向に合体して前進させることによって、L型の経路を相互作用織布(A)とヘルド(12)との間にとる。これは挿入直後の緯糸(G)から開口ユニット(1)及び緯入れユニット(2)を合体して移動させる緯打ちユニット(3)の作動によって後続の杼口(L/N)が形成できて連続する緯糸を形成された杼口に挿入することができることで達成される。
【0146】
上に示したようにまた
図8a〜
図8dから観察されるとおり、経糸(P)は開口するヘルドパイプ(12a及び12b)からこれらの経糸(P)を備える相互作用織布(A)までL型の経路をとる。また、経糸(P)は作成中の織成材の製織または長さ方向に変位されている。作成された杼口(L/N)はしたがって作成された織布(A)の平面に対し角度を成して配向され、それは布(A)の平面に沿わない。
【0147】
経糸(P)のL型の経路は特異的にリードを用いた筬打ち作業を行うことを不要にする。これは開口中架設直後の緯糸により近接している張設された経糸が架設直後の緯糸を織前に向かって直接押して揃えるため起きる。その結果、アドオン製織のプロセスは著しく単純化され効率化される。
【0148】
アドオン製織プロセスの動作サイクルを述べてきたが、ここでこの新規アドオン製織プロセスの柔軟性及び多用途性を提案するための他の関連した態様を提示するのが適当であ
る。
【0149】
上記記載は単層織布(A)であるフランジを作成するための開口ユニット(1)の採用に言及するものであるが、
図9aには3つの一連の開口ユニット(1a,1b,1c)が例えば、3層の織布(A1,A2,A3)から構成されるフランジ付きの「T」横断面ビーム状プロファイル3Dファブリック製品を作成するために使用される配置が示される。フランジで必要な織布層の数はプロファイルビーム状3Dファブリック製品の性能要求に対応する。これらの開口ユニット(1a,1b,1c)は全ての杼口を同時に形成してそれにより比較的に速い製織を達成するため好ましくは同時に操作される。
【0150】
ここで対応する3つの杼口は(a)互いに製織の長さ方向に沿って離間している、また(b)3つの杼口はフランジの独立した3枚の織布層の作成を可能にするため異なる垂直段状の水準/平面にあることが指摘され得る。開口ユニット(1a,1b,1c)の長さ方向の離間は、異なる織成層(A1,A2,A3)の捲縮糸の形成された山と谷がいずれか
図9aに示すように向き合って、または
図9bに示すように逆に向いて、すなわち1つ布の山が隣接する布の谷に向くように、起こるようなものである。後者の構成はより良い繊維の分布及び比較的緻密または高密度のフランジを得るために布層をより良く入れ子にするのに好適である。なお、
図9aと
図9bに示すこれら両例において、3つの開口ユニット(1a,1b,1c)は同方向に配向されている。
【0151】
図9cは例えば、「I」横断面を有するもののような、プロファイルビーム状3Dファブリック製品の2つのフランジを作る際の2組の開口ユニット(1a,1b,1c及び1d,1e,1f)の採用を示す。
図9cの2組の開口ユニットは「I」ビーム状プロファイルの上下フランジとして対応する布層(A1,A2,A3及びA4,A5,A6)を作成するためCFの同じ縁側(
図9cでは上)に配置されている。繰り返すが、全ての開口ユニットは同方向に配向されている。この配置も変更されることができ、
図9dに示すように2組の開口ユニット(1a,1b,1c及び1d,1e,1f)を逆に向き合って有すことができる、すなわちCFの上下縁側に位置し、反対方向に(すなわち、向き合って)配向され得る。
【0152】
図9cに示す2組の開口ユニット(1a,1b,1c及び1d,1e,1f)は平行に配置されるよう示される。しかしながら、それらは
図9eに示されるように例えば、一端から逆端へ狭まるか先細るプロファイルビーム状3Dファブリック製品を生産するための互いに角度をつけた配置構成においても設けられ得る。アドオン製織プロセス中開口ユニットを徐々に傾斜するよう適切に変位させながら他の開口ユニットと平行に維持することによって、
図9fに示すように非平行な織成材も直接的に作成しCFに接続できる。
図9fに示すように、織布(A1)はCFの端に対し平行に作成される一方で織布(A2)は布(A1)に対して角度を成して作成される、またはCFの縁について斜めになっている。
【0153】
さらに、上に提示した開口ユニット(1)の構成及び配向はその基本的動作原則を説明するためのものであるが、これはCFの表面に対し90°配向された杼口を形成するために配置されるよう示されたものである。しかしながら、CFの表面に対し90°以外の角度に配向された杼口を形成することも可能である。適切な設計及び構造的エンジニアリングにより、開口ユニット(1)またそれによってヘルド(12)を、
図10aに示すようにCFの表面に対して角度、例えば30°、45°、60°、75°等に配向された杼口を形成するように配置できる。
【0154】
その考えを容易に表すため、
図10aはCFの上方に置かれた2つの開口ユニット(1g及び1h)の上面図を示す。これらの開口ユニット(1g及び1h)はCFの表面に対
し90°以外の角度に配向された杼口を形成するためCFの表面を基準に互いに反対の角度+θ°及びθに配向されている。開口ユニット(1g及び1h)は相対的に異なる水準の対応する布(A1,A2)の作成を可能にする。開口ユニット(1g及び1h)のこのような配向は
図10bに示すようにCFの面を基準にして織布(A1及びA2)でバイアス方位+/−θ°に配向された緯糸を備えるフランジ(またはウェブ)を有する3Dファブリック製品の製織に有利である。必要であれば、3Dファブリック製品のフランジにおいて対応する数の布層をバイアス配向の緯糸で織成するため1対より多い互いに反対配向の(1g及び1h)のような開口ユニットを配置し使用し得る。互いに反対のバイアス+/−θ°方位に配向された糸を備える3Dファブリック製品のフランジは相対的に増加した裁断変形耐性を当然発揮するであろう。
【0155】
ここで開口ユニット(1)はその構成及び装着配置に関して多くの様々な方法で変更され得ることを示すのが適当である。さらに、開口ユニット(1)の構成及び装着配置は、直接対応する織成材を作成するためユニットが互いに角度をつけた、水平や垂直といった2平面において配設され得るようにもできる。
図11aに示すように、段状織布(A1及びA2)が作成されCFに繋がれる。このような水平及び垂直な段状織成材(A1及びA2)は
図11aに示すように、CFのいずれか一面側または
図11bに示すようにCFの両面側に作成され得る。段状織成材(A)は
図11cに示すように2枚のCFの対向面間においても作成可能である。
【0156】
ジグザグ状織成構造(A)は
図11dに示すように段状で、これらも開口ユニット(1)及び緯入れユニット(2)を対角的に、製織がCFの一端から逆端へ進む所定の順序配列で合体して適切に徐々に移動させることによって代わりに作成し得る。このようなジグザグ状相互作用織布(A1及びA2)はCFの一面または両面のいずれかに作成し得る。さらに、これらのジグザグ状織布(A1及びA2)は同位相または互いにある距離だけオフセットした状態または逆位相のいずれかで作成し得るもので、この最後に挙げた構造は
図11dに示されている。同様に、また強調するまでもないが、当業者は
図11eに示す正弦曲線状の構造(A1及びA2)としてもジグザグ状織布を作成し得ることを理解するであろう。これら一体的な段状、ジグザグ状、及び正弦曲線状の織成構造はCFにとって補強用リブとして機能する。ただし、ジグザグ状織布は必ずしも
図11dに示すようにCFの上下の縁にわたる必要はない。また、ジグザグ状や正弦曲線状の織布の山はCFの縁に対して異なる高さでもよく、
図11d及び
図11eに示すように必ずしも同じ高さである必要はない。
【0157】
図11d及び
図11eに示すジグザグ付きの3Dファブリック製品は1対の開口ユニットを用いて作成できるのに対し、
図11a〜
図11cに示す段状の3Dファブリック製品は互いに角度をつけた平面で動作する2組の開口ユニットを用いて作成できる。3Dファブリック製品の生産のこれら様々な態様を新規のアドオン製織方法の多用途性を提案するためにここで強調する。
【0158】
各開口ユニットにおいて漸増(または漸減)数の選択ヘルドを使うことで、幅が比較的広がった(見方によっては、または狭くなった)相互作用織成材が形成される多様な3Dファブリック製品を作成できることを当業者は理解するであろう。そのような様々な幅の織布は、ウェブとフランジの角に作られた場合、
図12aに示すように隅肉付きのまたは『丸みのある』角(Af)を形成する。このようなさまざまな幅の織成材をウェブ−フランジ角に含むことで、ウェブ−フランジ交差継ぎ目が強化されるだけでなく、角での力/荷重の集中も防止されることによりこのような3Dファブリック製品の性能も向上する。同様にして、各開口ユニットにおいて漸増(または漸減)数の選択ヘルドを使うことで、様々な幅の織成材をウェブ及びフランジまたはウェブまたはフランジの縦縁に形成できてフランジの縦縁の構成を
図12bに示すようにテーパ状(At)にする。このようなさま
ざまな幅の織成材を含むことによって縦縁にテーパ表面を作成することはまた縁での力/荷重の集中を防止するのに役立ち、これによりこのような3Dファブリック製品の性能が向上する。
追加態様
上記においては、新規のアドオン製織方法の重要な態様を述べた。アドオン製織を良好に実際的に行うため、いくつかの追加態様を以下で検討する。したがって、これらの態様はアドオン製織プロセスの重要な構成要素である。
(a)織布の幅を維持する構成
経糸の(作成された相互作用織布の表面に関する)角度付の供給は布の緯打ち作業及び緯糸の張設作業中、経糸に張力の発生を招き得る。その結果、作成中の織布は幅狭または不均等幅のいずれかとなり得る。この問題を克服するため、伝統的製織でのテンプルの使用に似た、作成された織布の幅を一貫して維持するためのクランプシステムの使用が必要とされる。織布の幅を維持するクランプ構成はそれゆえにこのアドオン製織プロセスを構成するものである。
【0159】
図13aに布クランプユニット(4)及びその相対的動作位置を示す。クランプユニット(4)のあご(4a及び4b)の少なくとも1つは2つのあご(4a及び4b)を互いに対して押すことによってあご間の布を堅固に保持できるように変位可能である。同様にして、あご(4a及び4b)を互いに離すことで布は放される。作成された織布の狭化を招くことなく経糸を対応して引き出すように織布は矢印(D)の方向への副骨格の緯打ちまたは前進動作中、織前位置の近傍であご(4a及び4b)間で押された状態に保たれる。緯打ち作業の完了後、クランプあご(4a及び4b)は互いに離されて布が放される。その後、クランプあごは次のサイクル中のクランプ作業用に織前位置の近傍に戻される。クランプあご(4a及び4b)の側面は杼口が形成される面に向いており、これは好ましくは製織中の布の各々の織前位置の近傍にある。当然、当該の目的にかなう適切な寸法のクランプあご(4a及び4b)が副骨格内に支持されており、それらは様々な方法で装着でき、空気圧的、機械的、磁気的、電気機械的等で操作できる。当業者は作成中の各織布層について対応する数のクランプユニット(4)の使用が望ましいであろうことを理解するであろう。それらの相対位置は布層を独立的にまた集合的に挟持するため対のクランプ4a−4aa、4b−4bb及び4c−4ccが使用された
図13bに示すとおりであろう。
(b)杼口から緯糸を抜き出す構成
他の態様は杼口から抜脱された針に追従する緯糸の抜き出しに関する。(単緯糸または双緯糸を挿入するため)選ばれた緯入れ方法と併用して、緯糸挟持兼引き構成が組み込まれ、それはこのアドオン製織プロセスの構成要素である。この構成も空気圧的、機械的、磁気的、電気機械的等の手段で操作できる。
【0160】
緯単糸と使用する緯糸挟持兼引き構成の一例(図示略)は本質的には、適所に置かれ針が杼口から出た後に緯糸がそれらの中間で押さえられるように互いに押し付けられる一対の適切なローラを備える。これらのローラは次いで所要方向に駆動されることにより緯糸は作成中の布に緯糸として正しく組み込まれるまで接線方向に駆動される。(緯糸用の糸の長さが各緯入れ後に短くなるので)適切なセンサがローラに対し織布に組み込まれた緯糸の長さが常に正確で等しくなるように正確な位置で停止するよう命令する。
【0161】
他の種類の緯糸挟持兼引き構成は好ましくは杼口から出る緯糸を挟持する対のあごまたは磁石を利用する。これらのあごまたは磁石は、例えば、それを適切な長さのタイミングベルトに取り付けることによって好ましくは線状に移動される。ベルトはセンサ制御の下で運転されどの緯糸が織布に組み込まれた後も緯糸用の糸長が減り続けるので各緯入れ後に正確な位置で停止する。
【0162】
ここで緯双糸を挿入するためにかぎ針を使用する場合は、好ましくは空気圧シリンダまたはカム制御式の往復動棒に接続されたクランプ構成に緯糸を通すことができることが指摘され得る。これら両種類の作業棒とも、織布とその供給源との間を走る連続的な緯双糸を引くため、既定の一定ストローク長をもたらす。
(c)緯糸通し及び切断
相対的に小さい長さの緯単糸で作業するにはその搬送針に対しある回数同じ緯糸の挿入が行われた後に新たな長さの緯糸が通される必要がある。これには時間がかかり得る。この状況を克服するため、緯糸搬送針は好ましくは手に入りやすい自己糸通式のものである。予め切断した長さの緯糸の一端側が、糸が針にある程度の圧力をかけるように針の経路に位置決めされる。緯糸は針の目穴上を通過するにつれ、目穴の特殊な切目に滑り込み、自動的に目穴に通される。このような自己糸通針の使用はアドオン製織プロセスの構成要素である。緯糸が針の目穴に通されてから、緯糸切断のための適切に位置決めされた手段が作動され所要長の緯糸を切断する。この状況は緯双糸で作業する場合には発生しない。(d)閉杼口への緯入れ
ここで上記のユニット(4)による織布の挟持と併せて、作成された織布の一定幅を一貫して達成しかつ緯打ち作業中経糸をより上手く制御するための状況においては、後続の新しい杼口が形成されるまで針を杼口に入れたままにすることが有益であることを示すのが妥当である。経糸にかかった針を引き出すことで緯糸は閉杼口に架けられそれにより構造はある程度の堅固性を得る。緯糸を閉杼口から引き出すことは以前にはなかった全く新しい手法である。
(e)製織のためCFを挟持及び支持する手段
所要位置にCFを保持または挟持することは好ましくは1以上の機械的、磁気的、空気圧手段により達成される。製織が行われるCF上の部分には支持部材から発生し得るようないかなる障害もなく、支持部材は予め慎重に用意される。クランプ支えは単数または複数のいずれかのCFを平坦/扁平、湾曲、屈曲、及びこのような組み合わせ構成に保持できるようにするものである。それはまた規則的もしくは不規則的のいずれかの形、または管状で開口付きもしくは無し等のCFを挟持及び支持することも可能にする。さらに、それは同等径または同等でない径のいずれか、同様または異なる形状のいずれか、及び相対的に平行もしくは非平行のいずれかまたは組み合わせの構成の複数のCFを保持できる。さらに、このような手段はCFを静止状態であるいは線状に移動または角状に回動もしくは回転するように挟持及び支持できる。例えば複数のCFを加工する際、スペーサバーやリングのような追加支えの使用が異なるCFを所要の距離及び配置構成に維持するために検討され得る。CFを保持または挟持及び支持する手段はアドオン製織プロセスの構成要素である。
(f)CFを供給する構成
機械がその寸法内で直接作成できるものよりも実質的に長い長さの線状のタイプの3Dファブリック製品を作成しなくてはならない状況では、
図13cに示すように好ましくは所要の仕様の1以上のロール(5)のCFが使用でき、
図13cはアドオン製織プロセス及び異なるユニットのうちのいくつかの相対配置の上図を示す。このようなCFのロール(5)は
図13cに示すように比較的長いCFの供給物を連続長で得るため適切なスピンドル/ホルダなどに装着される。連続生産のためCFの先端はその供給源から引かれて主骨格上でその支えに挟持されると同時に巻き終わり側のCFも案内かつ挟持される。それから経糸と緯糸を用いて製織が行われて相互作用織布(A)が作成され、相互作用織布(A)はCFと一体化されて3Dファブリック製品を得る。第1長の3Dファブリック製品が作成された後、CFはそのクランプから解放され、ある長さの新たなCFがそれを切断せず供給ロール(5)から引き出される。第1の作成長の3Dファブリック製品は対応して副骨格から引き出され主骨格に接続された適切な容器/支え(
図13cでは図示略)に入れられる。そして新しく解放された長さのCFはその支えクランプ内に固定され、開口ユニット及び緯入れユニットを他のシステムと併せて収容する副骨格は開始位置へ戻され、生産直後の3Dファブリック製品において製織が中断された位置から再開される。連続
的アドオン製織プロセスを可能にするためのCFを供給する構成はアドオン製織プロセスの構成要素である。
(g)経糸を供給する構成
経糸/トウの供給物はボビンやスプールなどの個々の供給源より好ましくは得られる。それらは好ましくは開口するヘルド用に直接かつ一定の供給点を常に持つよう副骨格によって支持される。代わりに、経糸の供給物は副骨格の外側から支持され得る。各組のヘルド用の経糸は手に入りやすい張力装置により個別的または集合的のいずれかで張られる。例えば、様々な横断面を作成する必要がある場合に経糸/トウが切断されることがあれば、それらの解放端を保持するためにクランプを所望の配向に設けることができ、糸のむだを最小限にするためスプールに残る糸はさらに使用できる。副骨格に支持された経糸を供給する構成はアドオン製織プロセスの構成要素である。
(h)CFを保護する手段
CFがある状況で開口作業中にその表面に当たるヘルドにより傷つくのを防止するため、金属、プラスチック、布、紙等の適切な薄いシートのような保護体を折曲、湾曲、または平坦形のいずれかで使用し得る。このようなシート材料はCFの表面とそれに隣接するヘルドとの間に適切に置かれ保持される。さらに、このような保護シート材料は静止状態でまたは移動可能のいすれかで持たれ得る。CFを保護する手段はアドオン製織プロセスの構成要素である。
(i)アドオン製織プロセスを動作させるプログラム
アドオン製織プロセスを実行するために示された種々の構成及び手段は適切なプログラムにより所要の逐次段階での動作のため互いに適切に繋がっている。このようなプログラムは生産中の3Dファブリック製品の要求に従って様々な動作工程の良好な遂行のための時間要求も考慮する。このプログラムはデジタル/電子的もしくは機械的のいずれか、またはこれら両方の組み合わせの種類のものであり得る。このような動作プログラムはアドオン製織プロセスの構成要素である。
アドオン製織プロセスの製品
アドオン製織プロセスの必要な態様を十分に説明したが、その多用途性を提案するのが適当である。したがって、
図14a〜
図14zにこの新規アドオン製織プロセスがCF、経糸及び緯糸を使用して生産できる3Dファブリック製品のいくつかの例を提示する。これらの例も既に
図11a〜
図11eを参照して先に提示したものを補完する。これら全ての3Dファブリック製品の例により当業者は以下のことに即座に気づくであろう、すなわち、1または複数のいずれかのCF及び経糸と緯糸を用いて織成されCFへ相互に布厚方向にかつ交差するよう所要箇所で同時に一体化された、1または複数のいずれかの相互作用織成材(A)を備える無数の3Dファブリック製品を直接作成するための適切な配向、操作及び配置構成を通じて、アドオン製織機は本質的にその開口ユニット、緯入れユニット及び緯打ちユニットが様々に採用できるので非常に多用途なものになる。
図14に図示する3Dファブリック製品の例の重要な態様/特徴をここで強調する。また、このような3Dファブッリック強化製品に樹脂、エポキシ、熱可塑性物質、金属、セラミック、炭素、セメント、コンクリート、琥珀、粘土、スラリー等のような、合成であれ天然であれまたはそれらの組み合わせのいずれであれ、所要のマトリックス材を含浸させることで以前には実現されなかった高性能で耐剥離性を有する単体の複合材料が特異的に創出されるであろうことが当業者には明らかであろう。
【0163】
図14aは2つのウェブCF1及びCF2と2つの織成フランジ(A1,A2)で構成された『二重十字』横断面のプロファイル3Dファブリック製品を例示する。
図14bはウェブが互いに離間された2枚のCF(CF1,CF2)を備えかつフランジ(A)が織成された「Pi」横断面のプロファイル3Dファブリック製品を示す。ただしフランジの2つのCFウェブ間の部分も織成されている。
図14cにはウェブCFが湾曲し、上フランジ(A1)がウェブCFの左側まで湾曲形に織成され、また下フランジ(A2)がウェブCFの右側で湾曲形に織成された「Z」(または「S」)横断面の湾曲プロファイルを
示す。
【0164】
図14dには左右のウェブが互いに平行でないCF1及びCF2で構成されまた上下底のフランジ(A1,A2)が互いに平行に織成された台形横断面の中空3Dファブリック製品を示す。
図14eは上下フランジを連続するように形成し、それらを間の線状の織成ウェブ(A)によって互いに接続させるための湾曲/屈曲するまたは単曲率のCFを示す。同様に、
図14fには左右のウェブを連続するように形成し、それらを間の線状の湾曲織成フランジ(A)によって互いに接続させるための二重曲率を有したCFを示す。
【0165】
図14gは中心に円形開口を有する円形で扁平なウェブCF及び円形ウェブの右側及びその円形開口の周囲に突出する織成円形フランジ(A)を示す。
図14hには所望の半径距離で織成フランジ(A)により接続された2枚の隔たった平行な平円形ウェブCF1、CF2を備える3Dファブリック製品を示す。これら両例において織成材は始−終継ぎ目を有することになる。しかしながら、必要に応じて織成フランジ(A)は開始位置に到達後、相対的に低い平面にある事前に作成された織成フランジ(A)との重なりを達成するよう前よりも高い平面で製織がもう少し継続されるようにして作成し得る。このようにしてフランジ及びフランジ−ウェブ継ぎ目の強化の向上が達成される。
【0166】
図14i及び
図14jに示す3Dファブリック製品において、『ウェブ』CFは縫い目無しまたは縫い目有りのいずれかのタイプの管状である。フィン(A)の形の『フランジ』が織成され管状のウェブCFに接続されている。
図14iの織成フィン(A)は管状CFの内側の壁から半径方向に延出するが、
図14jではフィン(A)は管状CFの外壁から半径方向に延出する。
【0167】
図14kは一端に「T」横断面を他端に「Pi」横断面を持つ屈曲プロファイル3Dファブリック製品を示す。そのウェブは一端側で継合されて「T」横断面を形成し他端側で分離されて「Pi」横断面を形成する2枚の屈曲CFから構成される。フランジ(A)は対応して湾曲するように織成されることで対応する湾曲配向の経糸の組み込みが応力の蓄積を排除する。
図14mにはウェブがCFから構成されたI横断面のプロファイル3Dファブリック製品を示す。ウェブの上縁は線状であるが、その下縁は線状縁及び湾曲状縁の組み合わせである。上下底のフランジ(A1及びA2)は対応して上では線状に下では線状−湾曲状に織成される。
【0168】
図14nには屈曲「+」横断面のプロファイル3Dファブリック製品を示す。そのフランジはCFから構成され、織成ウェブ(A)はCFの前後側に作成される。比較して、
図14pに示す屈曲した「+」横断面のプロファイル3Dファブリック製品はCFから構成されたウェブを有し、織成フランジ(A)はCFの左右側に作成される。
【0169】
図14qは成形CFフランジ及びCFフランジの上表面から突出する複数のウェブ(A)から構成される3Dファブリック製品を示す。織成ウェブ(A)は適切な様々な長さのものである。また、最外側2つの織成ウェブ(A)の形状はテーパ状でそれらの間のものとは異なる。
図14rにはCFフランジ及びCFの長さより大きい長さを有する2つの平行織成ウェブ(A1及びA2)を備える3Dファブリック製品を示す。
【0170】
図14sには2端側に相対的に逆さの「T」横断面を有する3Dファブリック製品を示す。ウェブはCF及びCFの下縁側からその上縁側まで連続した織成フランジ(A)から構成される。織成フランジ(A)の上下フランジをつないだ部位はいずれか図示のように勾配付きで/傾斜してまたは垂直に設けられている。
図14tは正方形状のCFフランジ及びCFの上表面からの正方状の突出である複数のウェブから構成された3Dファブリック製品を示す。
図14uに示す3Dファブリック製品はフランジCF及びフランジの上表
面から外へ突出する織成螺旋ウェブ(A)を備える。
【0171】
図14vはウェブCF及びCFの一表面から外へ突出する複数の織成フランジ(Al,A2及びA3)を備える3Dファブリック製品を示す。これらのフランジは幅と長さが同等でないものである。
図14wには逆角錐状のCFウェブ及びその上縁の外側の織成フランジ(A)を示す。同様に、
図14xには円錐状のCFウェブ及びその縁の内側の織成フランジ(A)を示す。
図14w及び
図14xに示す織成フランジ各々の始端及び終端は適切な箇所で互いに重なっていてもいなくてもよい。
【0172】
図14yには縫い目有りまたは無しの管状のCFでその外表面にその端側の一方から所要の距離で織成されたフランジ(A)を有するものを示す。
図14zは縫い目有りまたは無しの管状のCFでその外表面に所要の長さとピッチの螺旋状の織成フランジ(A)を有するものを示す。
【0173】
3Dファブリック製品はアドオン製織プロセスによって生産された3Dファブリックを変形または変更することによっても得られることが当業者には明らかであろう。例えば、
図14−lに示すように、2枚のCFから構成されたH横断面プロファイルの下ウェブ部分は外方に曲げられてH横断面を、基部に織成部分(A)を有しつつ各方向に垂直面から水平面まで連続的に湾曲する2枚のCFを依然繋いでいるPi横断面に変形し得る。同様にして、
図14−oに示すように、織成材(A)から構成されるI横断面プロファイルの上フランジはウェブCFに対して角度を成して上方に回動されてそれを水平基部付き「Y」形状の横断面へと変形し得る。一横断面形状の他形状への変形は3Dファブリック製品のある部分を切除することよっても達成し得る。例えば、「I」横断面のプロファイル3Dファブリック製品のウェブを縦方向に中間で切断して2つの「T」横断面のプロファイル3Dファブリック製品を得ることができる。同様にして、「+」横断面のプロファイル3Dファブリック製品のフランジの表面上方に突出するウェブの部位を切除して「T」横断面のプロファイル3Dファブリック製品を得ることができる。アドオン製織プロセスによって作成された3Dファブリック製品のフランジもしくはウェブのいずれかまたはこれら両方のこのような選択的切断は、形成された新しい3Dファブリック製品の構造を、またゆえに性能を損なうものではない、なぜなら交差したウェブとフランジの布厚方向の完全性は依然として維持されるためである。
【0174】
同様に、適用要件によっては、記載の新規のアドオン製織プロセスによって生産された3Dファブリック製品を備える複合材料は機械切断されて製品のある形を別の形の製品へと変換し得る。交差するウェブ−フランジの布厚方向の完全性による耐剥離性は複合材料製品を既存の織物強化材を用いることで可能であるよりも信頼性あるものにするであろう。
変更の可能性
CF、経糸及び緯糸を用いて3Dファブリック製品を生産するために考案された記載のアドオン製織プロセスはその精神から逸脱することなく多くの様々な方法で変更できる。例えば、1層のみの相互作用織成層を作成する必要がある状況では開口用に経糸を変位するため伝統的ヘルドは一面または両面側で採用できた。この場合杼口は製織中の布の平面に沿って形成される。また、伝統的ヘルドの使用に併せ、筬打ちリードは適切に変更され使用され得る。
【0175】
様々な杼口を形成する、様々な種類の針を緯入れに使用する、布または合体の開口ユニットと緯入れユニットのいずれかの副骨格内での可変的な前進により異なる織成層間の比較的不揃いな間隔に緯入れをする手順など、先に述べた動作工程のいくつかは変更され得る。1台のみの合体開口緯入れユニットを用いて3Dファブリック製品を層毎に作り上げることも、非効率で時間がかかり非経済であろうが、可能である。しかしながら、螺旋状
の製織構造を製造する際には、1台の合体開口緯入れユニットの使用が有利には必要であろう。
【0176】
開口ユニット内のヘルドは、経糸が線状には組み込まれていないが、例えば、正弦曲線状である織布を形成するために、制限内で伸縮可能で製織中経糸を拡開し引き寄せるシャフトに装着され得る。相対的に異なる織り目、異なる繊維、及び異なる繊維配向で様々な織布の層が形成されることも可能である。
【0177】
記載のアドオン製織プロセスはその、緯糸のみによって作成中の相互作用織成材をCFに接続する能力に限定して検討されるべきでない。
図15aに示すように特定長の経糸(P)をまず適切に挟持されたCFに確実な接続のため好ましくはループ形に通し、そして記載のパイプ状ヘルド(12)を通過させ得る。パイプ状ヘルド(12)の上から出るこれらの経糸の端は、経糸が解放されるか製織が進行するよう送出されるように適切な構成によって保持され得る。経糸の一端がCFに接続されるこのような経糸設定により、
図15bに示すようにこれらの経糸(P)を緯糸(G)と織って織布(A)を作成することによって新規3Dファブリック製品が生産される。ここで1枚または複数枚のいずれかの経糸が使用され得ると述べておく。複数枚の経糸を使用する際、このような各枚は互いに平行もしくは直交または適切な角度のいずれかを成し得る。緯糸は各枚の経糸と織成することができる。
図15cはCFに取り付けられた2枚の平行な織布(A1及びA2)を示す。
【0178】
緯糸は、
図15dに示すように90°屈曲した同じCFまたは
図15eに示すような別のCFのいずれかに接続できる。
図15fに示すように、囲い状の変則形状の3Dファブリック製品を生産する際、CFと一端で接続された経糸(P)は適切な工程/手順で選択的に活動/作動状態にされまた取り外し/非動作化/切断されて経糸(P)及び緯糸(G)両方が交絡して相互作用織布(A)を形成し、これらの糸が製織中の所望の形状に応じて角度を成して屈曲した、または湾曲した同じCFに接続されてもいる成形3Dファブリック製品を作り出す。ただし、この場合経糸はCFの、経糸がループ形に通されてまず接続されたCFの部位に対し屈曲/湾曲した部位は直接通過しないであろう。生産される3Dファブリック製品の形状及びその他の要件によっては、関係する経糸は順次にパイプ状ヘルドから引き出され、所望の位置でCFの屈曲/湾曲部位に通され、パイプ状ヘルドに再度通され、そしてさらに製織を再開/継続されなければならないであろう。
【0179】
経糸と緯糸をCFに接続する記載の方法は本発明に応じて事前に作成された3Dファブリック製品を第二段階でCFとして用いて3Dファブリック製品を生産するために拡大解釈され得る。例えば、
図15gに示すように、I横断面ビームの形の事前に作成された3Dファブリック製品(K)も同様に新しいCFとして使用し得る。上述のように経糸をそのウェブに通してそれらをフランジを通る緯糸と交絡することによって、示すように新しい相互作用織布(A)がI−ビームのウェブとフランジに接続されて作成されて新しい3Dファブリック製品となる。このような構造は複合材料I−ビームの性能及び信頼性をさらに向上させるであろう。
【0180】
さらに、副骨格をロボットまたは静止カラム上に支持するおかげで、開口ユニット及び緯入れユニットは副骨格の部分であるため様々な配向で製織を行うことが可能になる。各々が1つの共通のまたは個々のカラムのいずれかにより適切に支持されかつ不干渉的に配置された1より多い副骨格を使用することで製織を行うことも可能になる。このようにして適切な設計、配置構成及び工学的構成の1または複数のいずれかの開口ユニットが様々な組み合わせ及びCFに対する様々な配向で採用され生産速度を上げることができる。
【0181】
互いに平行な配置構成や直列に配置された1より多い開口ユニットを採用するほかに、
それらは対応する配向の様々な杼口を形成できる互いに直交の配置構成においても採用し得る。これらの杼口への緯入れが同じく互いに相互に直交の独立した織布の作成になるであろう。例えば、L型のCFの両壁を堅硬にするためにリブを織成することである。当然ながら、1より多い開口ユニットを対応する3Dファブリック製品を作成するためいかなる所望の相互角度でも配置し得る。各々が独立してそれぞれの開口ユニット及び緯入れユニットを備える1より多い副骨格は1つの支えにより共通して支持または異なる支えにより個々に支持されるかのいずれかで、適切な駆動装置により旋回配置構成で動かされ得るもので、これにより複雑な輪郭の3Dファブリック製品も作成され得ることを当業者は理解するであろう。
【0182】
新規のアドオン製織方法及び装置、その3Dファブリック製品、ならびにアドオン製織プロセスにより生産可能な3Dファブリック製品を組み込んだ複合材料に関する発明の基本的態様及び実施形態の開示した詳細な説明から、これらを多くの様々な方法で変更または適用できることが当業者には明らかであろう。かかる変更は以下の請求の範囲に挙げるこれらの発明の精神及び範囲を変えたり制限したりするものではない。