(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6474816
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】試験監視および修正のためのオフラインハイブリッドシステム査定の方法
(51)【国際特許分類】
G01M 17/04 20060101AFI20190218BHJP
【FI】
G01M17/04
【請求項の数】14
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-540924(P2016-540924)
(86)(22)【出願日】2014年9月9日
(65)【公表番号】特表2016-529526(P2016-529526A)
(43)【公表日】2016年9月23日
(86)【国際出願番号】US2014054789
(87)【国際公開番号】WO2015035385
(87)【国際公開日】20150312
【審査請求日】2017年7月12日
(31)【優先権主張番号】61/875,665
(32)【優先日】2013年9月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505383383
【氏名又は名称】エムティーエス システムズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】フリッケ, デイビッド エム.
【審査官】
萩田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−020930(JP,A)
【文献】
特開平06−187030(JP,A)
【文献】
特表2012−504765(JP,A)
【文献】
特表2009−536736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 17/00 − 17/10
G01M 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連結ハイブリッド動的システムのシミュレーションを制御するための配置であって、前記配置は、
物理的試験装置であって、前記物理的試験装置は、前記物理的試験装置上の前記システムの被試験物理的構成要素を駆動するように構成されている、物理的試験装置と、
記憶デバイスと、
前記被試験物理的構成要素を除いた前記システムの仮想モデルを記憶するように前記記憶デバイスとともに動作可能なプロセッサであって、前記物理的構成要素が前記仮想モデルとインターフェースするところにインターフェースが定義されており、前記プロセッサは、試験を行う前に、
前記物理的試験装置を駆動し、試験装置応答の第1の部分および前記試験装置応答の第2の部分を前記記憶デバイスに記憶することと、
前記試験装置応答の前記第1の部分を前記仮想モデルに適用し、前記試験装置応答の前記第1の部分に対する前記仮想モデルの応答を記憶し、前記試験装置応答の前記第1の部分に対する前記仮想モデルの前記応答を前記試験装置応答の前記第2の部分と比較することにより差を形成することであって、前記差が、前記プロセッサによって使用されることにより、システム動的応答モデルが形成され、前記システム動的応答モデルが前記記憶デバイスに記憶される、ことと、
前記システム動的応答モデルの逆関数を使用して第1の試験駆動信号を生成することと
を行うように構成されている、プロセッサと
を備え、
前記プロセッサは、さらに、前記試験の間に、
第1の期間にわたって前記第1の試験駆動信号で前記物理的試験装置を駆動することにより、前記物理的試験装置を制御し、前記試験の第1の試験装置応答を生成することと、
前記被試験物理的構成要素を除いた前記システムの前記仮想モデルの中への前記第1の試験装置応答の少なくとも一部分を受信することと、
受信された前記第1の試験装置応答の前記少なくとも一部分から生じる前記インターフェースにおける第1のモデル応答を取得することと、
前記物理的試験装置への前記第1の試験駆動信号の継続した印加に起因した前記インターフェースにおける前記第1の試験装置応答の別の部分を前記インターフェースにおける前記第1のモデル応答と比較することに基づいた前記試験を行う前記第1の期間の少なくとも一部分の間の前記被試験物理的構成要素の変化する状態を査定することと、
前記被試験物理的構成要素の変化した状態に対応する出力を記録またはレンダリングすることと、
前記第1の試験駆動信号および前記被試験物理的構成要素における前記査定された変化に対応するデータから新しい試験駆動信号を生成することと、
前記物理的試験装置への入力として前記新しい試験駆動信号を印加することによって前記第1の期間に続く第2の期間にわたって前記物理的試験装置を駆動することにより、第2の試験装置応答を生成することと
を行うように構成されている、配置。
【請求項2】
前記第1の試験装置応答は、前記第1の試験駆動信号を前記物理的試験装置に印加した結果として、第1の構成要素と第2の構成要素とを備え、
前記プロセッサは、前記第1の試験装置応答の前記第1の構成要素を受信し、前記試験を行う前記第1の期間の間の入力として前記第1の試験装置応答の前記第1の構成要素と仮想駆動とを使用することに基づいた前記インターフェースにおける前記第1のモデル応答を生成するように構成され、
前記第1の試験装置応答の前記少なくとも一部分は、前記第1の構成要素を備え、
前記第1の試験装置応答の前記別の部分は、前記第2の構成要素を備え、
前記プロセッサは、前記第1の試験装置応答の前記第2の構成要素を前記インターフェースにおける前記第1のモデル応答と比較することにより差を形成するように構成されており、
前記出力は、前記差に基づいている、請求項1に記載の配置。
【請求項3】
前記プロセッサが、前記試験を行う期間の間、断続的間隔で前記差を取得するように構成されているか、または、
前記プロセッサが、前記試験を行う前記期間の間、連続的に前記差を取得するように構成されている、請求項2に記載の配置。
【請求項4】
前記プロセッサが、前記差に基づくパラメータが選択された閾値に達すると、前記第1の試験駆動信号の代わりに、前記試験を行う前記期間の間に使用するための前記新しい試験駆動信号を生成するように構成されているか、または、
前記プロセッサが、前記差に基づくパラメータが選択された閾値に達すると、前記試験を行う前記期間の間に使用するための新しい試験駆動信号を繰り返し生成するように構成されているか、または、
前記プロセッサが、前の試験駆動信号に対する後で取得される試験駆動信号の調節の程度を制限するように構成されている、請求項2〜3のいずれか1項に記載の配置。
【請求項5】
前記パラメータが、前記第1の試験装置応答の前記第2の構成要素を前記第1のモデル応答と比較した前記差の結果であるか、または、
前記パラメータが、前記差の変化率に基づいている、請求項4に記載の配置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記第1の試験駆動信号を使用して前記新しい試験駆動信号を生成するように構成されている、請求項4に記載の配置。
【請求項7】
連結ハイブリッド動的システムのシミュレーションを制御する方法であって、前記システムは、物理的試験装置内の被試験物理的構成要素と、前記被試験物理的構成要素を除いた前記システムの仮想モデルとを備えており、前記方法は、
試験を行う前に、前記物理的試験装置を駆動し、前記仮想モデルからの応答および前記物理的試験装置からの応答を使用することにより、システム動的応答モデルを取得し、前記システム動的応答モデルを使用することにより、初期試験駆動信号入力を取得することと、
前記物理的構成要素の実際の試験の間の第1の期間の間に、まず、前記初期試験駆動信号入力を前記物理的試験装置に印加することによって前記物理的試験装置を駆動することにより、第1の試験装置応答を生成することと、
前記第1の期間の間に、プロセッサを介して、前記システムの前記仮想モデルの中に前記第1の試験装置応答の少なくとも一部分を入力し、前記システムの第1のモデル応答を取得することと、
前記初期試験駆動信号入力と、前記第1の試験装置応答の別の部分を前記第1のモデル応答と比較することの出力とに選択的に基づいて新しい試験装置駆動信号を生成することであって、前記比較の前記出力は、前記被試験物理的構成要素の状態の変化に対応する、ことと、
前記第1の期間に続く前記試験の第2の期間の間に、前記試験装置への入力として前記新しい試験装置駆動信号を印加することによって前記物理的試験装置を駆動することにより、前記試験の第2の試験装置応答を取得することと
を含む、方法。
【請求項8】
前記第1の試験装置応答の別の部分を前記第1のモデル応答と比較することは、差を生じる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
比較することが、前記物理的構成要素の前記実際の試験を行う期間にわたって断続的間隔で前記差を比較することを含んでいるか、または、
比較することが、前記物理的構成要素の前記実際の試験を行う前記期間にわたって連続的に前記差を比較することを含んでいる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
使用するための前記新しい試験駆動信号入力を生成することが、選択された閾値に達する前記差のパラメータに基づいているか、または、
使用するための前記新しい試験駆動信号入力を生成することが、前記差のパラメータが選択された閾値に達すると、新しい試験駆動信号入力を繰り返し生成することを含んでいる、請求項8〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記パラメータは、前記第1の試験装置応答の前記別の部分を前記第1のモデル応答と比較した前記差の結果である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記パラメータは、前記差の変化率に基づいている、請求項10〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記プロセッサは、前の試験駆動信号に対する前記新しい試験駆動信号の調節の程度を制限するように構成されている、請求項7〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記新しい試験駆動信号を生成することは、前記初期試験駆動信号入力を使用することを含む、請求項7〜12のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、米国仮特許出願第61/875,665号(2013年9月9日出願)の利益を主張し、上記出願は、その全体が参照により本明細書に引用される。
【背景技術】
【0002】
以下の議論は、一般的な背景情報のために提供されるにすぎず、請求される主題の範囲を決定することの補助として使用されるように意図されていない。
【0003】
本発明は、全てがその全体で参照することにより本明細書に組み込まれる、米国特許第8,135,556号(特許文献1)、米国特許出願公開第US2013/030444A1号(特許文献2)、および本書と同日付に出願された「Methods and Systems for Testing Coupled Hybrid Dynamic Systems」と題される米国特許出願に関連する。
【0004】
概して、前述の特許および出願は、連結ハイブリッド動的システムのシミュレーションを制御するための配置を提供する。1つの例示的な配置では、配置は、システムの物理的構造構成要素を駆動し、駆動信号入力を試験装置に印加した結果として試験装置応答を生成するように構成される、物理的試験装置を備えている。プロセッサは、物理的構成要素に対する補完システムの仮想モデル(また、本明細書では「仮想モデル」)を伴って構成される(すなわち、補完システムの仮想モデルと物理的構成要素とは、完全ハイブリッド動的システムを構成する)。プロセッサは、入力として試験装置応答のうちの第1の部分を受信し、入力として受信した試験装置応答のうちの第1の部分と仮想駆動とを使用して、補完システムのモデル応答を生成する。プロセッサはさらに、試験装置応答のうちの異なる第2の部分を、補完システムの仮想モデルからの対応する応答と比較して差を形成するように構成され、差は、試験装置駆動信号を生成するために使用されるであろう、システム動的応答モデルを形成するために使用される。
【0005】
実施形態では、プロセッサはさらに、試験駆動信号を生成し、試験装置応答を受信し、補完システムの仮想モデルからの応答を生成し、試験装置応答を補完システムの仮想モデルからの応答と比較して、ハイブリッドシミュレーションプロセス誤差を生成するように構成される。次いで、誤差は、補完システムの仮想モデルからの応答と試験装置応答との間の差が定義された閾値を下回るまで、反復様式でシステム動的応答モデルの逆関数を使用して低減させられる。
【0006】
連結ハイブリッド動的システムは、物理的構成要素の数が最小化されないにしても削減されるため、試験のために極めて有利である。しかしながら、本システムのさらなる改良が、常に所望される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第8,135,556号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2013/030444号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書の本概要および要約は、発明を実施するための形態において以下でさらに説明される、簡略化された形態の概念の選択を紹介するために提供される。本概要および要約は、請求される主題の主要な特徴または不可欠な特徴を識別するように意図されておらず、請求される主題の範囲を決定することの補助として使用されるようにも意図されていない。請求される主題は、背景技術で記述される、いずれかまたは全ての不利点を解決する実装に限定されない。
【0009】
概して、本明細書で開示される本発明のいくつかの側面は、観察された応答変化が実際に劣化した被試験構成要素に無効であるかどうかを決定する能力を用いて、物理的試験システムの応答を連続的に監視することを含む。被試験構成要素が物理的構成要素である、1つの特に有利な実施形態では、定義されたハイブリッドシステムの物理的/仮想的相互作用点場所における被試験物理的構成要素運動および/または力が、監視および/または記録される。試験シーケンスが試験を行う期間の間継続するとき、一式の力および/または運動が、ハイブリッドシステムの仮想要素(構成要素および定義された試験環境)の制約条件に対して評価される。一例として、仮想試験事象(例えば、車両構成要素を試験する場合において、車両駆動シーケンス、または他の模擬車両環境)を実行する間、被試験物理的構成要素からの相互作用点の運動時間履歴が、ハイブリッドシステムの隣接仮想構成要素のための制御運動として使用される。概して、仮想システムと物理的システムとの間の結果として生じる相互作用点において、比較が行われる。比較は、任意の好適な領域(例えば、時間履歴、周波数)またはその部分においてであり得、仮想システムが物理的システムからの対応する測定量(例えば、力時間履歴)またはその部分と比較される。比較からの偏差が所定の閾値に達する(例えば、閾値より大きい)場合、現在の物理的試験応答は、定義されたハイブリッドシステムの一部としてのその予期される挙動に対して無効であると決定されることができ、出力を記録またはレンダリングすることができる。所望であれば、新しい駆動が計算され、試験を行う期間の全体を通して使用されることができる。
【0010】
本明細書で使用される場合、「試験を行う期間」は、被試験物理的構成要素、またはそれに接続された他の構成要素、要素、もしくは構造を査定するために、試験装置(test rig)を使用している。本期間は、その全体で参照することにより本明細書に組み込まれる、米国特許第8,135,556号で説明されるような既知の技法を使用して得ることができる、初期試験駆動信号を生成するための被試験物理的構成要素の可能な使用に続く。
【0011】
したがって、本発明は、例えば、以前に行われていない様式で、構成要素の寿命の50%または80%において、ハイブリッド動的システム内の被試験物理的構成要素の査定が行われることを可能にする。システム(配置(arrangement))または方法として具現化され、被試験物理的構成要素の実際の環境の研究室内のより良好な複製も提供されることができる。換言すると、被試験物理的構成要素の研究室試験は、実際の場合のような被試験物理的構成要素の変化する特性を考慮することができる。過去においては、研究室試験は、試験中、装置への駆動を変更しなかったか、または試験が最初に始まったときに得られた同一の応答を被試験物理的構成要素から得るように駆動が調節されたかのいずれかであったが、これらの実践のいずれも実際の試験を複製しない。しかしながら、劣化した部品のための正しい(例えば、同一の)試験条件は、部品が新しく、試験されていなかった、および/または最初に試験されたときにハイブリッド相互作用点において発現されたものと異なる負荷および/または運動であり得る(おそらくそうであろう)ことを理解されたい。本発明の前には、これは可能ではなかった。
【0012】
本発明の側面は、被試験物理的構成要素と、被試験物理的構成要素を除いた仮想モデルとを備えている連結ハイブリッド動的システムのシミュレーションを制御する方法および配置を含む。本システムの被試験物理的構成要素は、初期試験駆動信号入力を試験装置に印加することによって、試験を行う期間にわたって試験装置上で駆動され、試験装置応答を生成する。試験装置応答のうちの少なくとも一部分が、システムの仮想モデルに入力され、システムのモデル応答を得るように、プロセッサとともに動作可能である。試験を行う期間の少なくとも一部分の間、被試験物理的構成要素の状態がプロセッサを用いて、査定され、プロセッサは、試験装置応答のうちの別の部分をモデル応答と比較し、査定に関する出力が、メモリの中等に記録されるか、またはディスプレイを用いる等してレンダリングされる。
【0013】
本発明の別の側面として、被試験物理的構成要素と、仮想モデルとを備えている連結ハイブリッド動的システムのシミュレーションを制御する方法または配置は、初期試験駆動信号入力を試験装置に印加することによって、試験装置上のシステムの被試験物理的構成要素を駆動し、試験装置応答を生成することを含む。試験装置応答のうちの少なくとも一部分が、システムの仮想モデルに入力され、システムのモデル応答を得る。新しい試験装置駆動信号が、選択的に試験装置応答のうちの別の部分をモデル応答と比較することに基づいて生成される。試験装置駆動信号は、初期試験駆動信号入力の代わりである。
【0014】
以下の特徴のうちの1つ以上のものは、さらなる実施形態では、方法および/または配置と組み合わせられることができる。
【0015】
試験装置応答は、初期試験駆動信号入力を試験装置に印加した結果として、第1の構成要素と第2の構成要素とを備えていることができる。プロセッサは、試験装置応答の第1の構成要素を受信し、試験を行う期間の間の入力として、受信した試験装置応答の第1の構成要素と仮想駆動とを使用することに基づいて、システムのモデル応答を生成するように構成される。試験装置応答のうちの別の部分は、第2の構成要素を備えていることができる。プロセッサは、試験装置応答の第2の構成要素をモデル応答と比較して差を形成するように構成され、出力は、差に基づく。
【0016】
プロセッサは、試験を行う期間中に断続的間隔で、または連続的に、差を得るように構成されることができる。
【0017】
所望であれば、実際の応答を監視し、仮想モデルからの補完応答と比較を行うことに加えて、本発明の別の側面は、所望であれば、劣化した被試験構成要素に適切である新しい試験システム応答を生じるように、試験シーケンス中に試験装置駆動を調節すること、一実施形態では、自動的に調節することを含む。
【0018】
一実施形態では、プロセッサは、差に基づくパラメータが、1つ以上の基準または評価尺度を含むことができる、選択された閾値に達すると、初期試験駆動信号入力の代わりに、試験を行う期間の間に使用するための新しい駆動信号入力を生成するように構成されることができる。さらに所望であれば、プロセッサは、差に基づくパラメータが選択された閾値に達すると、試験を行う期間の間に使用するための新しい駆動信号入力を繰り返し生成するように構成される。
【0019】
パラメータは、試験装置応答の第2の構成要素をモデル応答と比較した差の結果であり得る。別の実施形態では、パラメータは、試験を行う期間の全体または部分にわたって測定されることができる、差の変化率に基づく。
【0020】
プロセッサは、前の駆動信号に対する新しい駆動信号の調節の程度を制限するように構成されることができる。制限は、駆動を比較すること、関連差を比較すること、または差の関連パラメータを比較することに基づき得る。前の駆動信号は、初期試験駆動信号を含む、試験装置によって使用される任意の前の駆動信号であり得る。
【0021】
さらに、本発明の側面はまた、「Methods and Systems for Testing Coupled Hybrid Dynamic Systems」で説明されるように、被試験物理的構成要素から得られる応答に適正に応答することによって、他の仮想要素とともに移動するように見えるはずである仮想慣性要素を伴う連結ハイブリッド動的システムに関して、上記で説明される様式において試験構成要素を査定し、駆動ファイルを調節することとともに使用されることができることに留意されたい。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
連結ハイブリッド動的システムのシミュレーションを制御するための配置であって、
初期試験駆動信号入力を試験装置に印加することによって、試験を行う期間にわたって前記試験装置上の前記システムの被試験構成要素を駆動し、試験装置応答を生成するように構成されている物理的試験装置と、
前記システムの仮想モデルで構成されているプロセッサと
を備え、
前記プロセッサは、前記システムの前記仮想モデルの中への前記試験装置応答のうちの少なくとも一部分を受信することであって、前記システムの前記仮想モデルは、前記被試験物理的構成要素が除かれている、ことと、前記システムのモデル応答を得ることとを行うように構成され、
前記プロセッサは、前記試験装置応答のうちの別の部分を前記モデル応答と比較することに基づいて、前記試験を行う前記期間のうちの少なくとも一部分の間の前記被試験物理的構成要素の状態を査定し、出力を記録またはレンダリングするようにさらに構成されている、
配置。
(項目2)
前記試験装置応答は、前記初期試験駆動信号入力を前記試験装置に印加した結果として、第1の構成要素と第2の構成要素とを備え、前記プロセッサは、前記試験装置応答のうちの前記第1の構成要素を受信し、前記試験を行う前記期間の間の入力として前記受信した試験装置応答の前記第1の構成要素と仮想駆動とを使用することに基づいて、前記システムの前記モデル応答を生成するように構成され、前記試験装置応答のうちの前記別の部分は、前記第2の構成要素を備え、前記プロセッサは、前記試験装置応答のうちの前記第2の構成要素を前記モデル応答と比較して差を形成するように構成され、前記出力は、前記差に基づく、項目1に記載の配置。
(項目3)
前記プロセッサは、前記試験を行う前記期間の間、断続的間隔で前記差を得るように構成されている、項目2に記載の配置。
(項目4)
前記プロセッサは、前記試験を行う前記期間の間、連続的に前記差を得るように構成されている、項目2に記載の配置。
(項目5)
前記プロセッサは、前記差に基づくパラメータが選択された閾値に達すると、前記初期試験駆動信号入力の代わりに、前記試験を行う前記期間の間に使用するための新しい駆動信号入力を生成するように構成されている、項目2〜4のいずれか1項に記載の配置。
(項目6)
前記プロセッサは、前記差に基づくパラメータが選択された閾値に達すると、前記試験を行う前記期間の間に使用するための新しい駆動信号入力を繰り返し生成するように構成されている、項目2〜5のいずれか1項に記載の配置。
(項目7)
前記パラメータは、前記試験装置応答のうちの前記第2の構成要素を前記モデル応答と比較した前記差の結果である、項目5〜6のいずれか1項に記載の配置。
(項目8)
前記パラメータは、前記差の変化率に基づく、項目5〜6のいずれか1項に記載の配置。
(項目9)
前記プロセッサは、前の駆動信号に対する新しい駆動信号の調節の程度を制限するように構成されている、項目5〜8のいずれか1項に記載の配置。
(項目10)
前記前の駆動信号は、前記初期試験駆動信号である、項目9に記載の配置。
(項目11)
被試験構成要素と仮想モデルとを備えている連結ハイブリッド動的システムのシミュレーションを制御する方法であって、前記方法は、
初期試験駆動信号入力を試験装置に印加することによって、前記試験装置上の前記システムの前記被試験物理的構成要素を駆動し、試験装置応答を生成することと、
前記システムの前記仮想モデルの中に前記試験装置応答のうちの少なくとも一部分を入力し、前記システムのモデル応答を得ることと、
前記試験装置応答のうちの別の部分を前記モデル応答と比較することに選択的に基づいて、新しい試験装置駆動信号を生成することと、
前記初期試験駆動信号入力の代わりに前記新しい試験装置駆動信号を使用することと
を含む、方法。
(項目12)
前記試験装置応答のうちの別の部分を前記モデル応答と比較することは、差を生じる、項目11に記載の方法。
(項目13)
比較することは、試験を行う期間にわたって断続的間隔で前記差を比較することを含む、項目12に記載の方法。
(項目14)
比較することは、試験を行う期間にわたって連続的に前記差を比較することを含む、項目12〜13のいずれか1項に記載の方法。
(項目15)
使用するための前記新しい駆動信号入力を生成することは、選択された閾値に達する前記差のパラメータに基づく、項目12〜14のいずれか1項に記載の方法。
(項目16)
使用するための新しい駆動信号入力を生成することは、前記差のパラメータが選択された閾値に達すると、新しい駆動信号入力を繰り返し生成することを含む、項目12〜15のいずれか1項に記載の方法。
(項目17)
前記パラメータは、前記試験装置応答のうちの前記第2の構成要素を前記モデル応答と比較した前記差の結果である、項目12〜16のいずれか1項に記載の方法。
(項目18)
前記パラメータは、前記差の変化率に基づく、項目15〜17のいずれか1項に記載の方法。
(項目19)
前記プロセッサは、前の駆動信号に対する前記新しい駆動信号の調節の程度を制限するように構成されている、項目11〜18のいずれか1項に記載の方法。
(項目20)
前記前の駆動信号は、前記初期試験駆動信号である、項目11〜18のいずれか1項に記載の方法。
(項目21)
被試験構成要素と、前記被試験物理的構成要素を除いた仮想モデルとを備えている連結ハイブリッド動的システムのシミュレーションを制御する方法であって、前記方法は、
初期試験駆動信号入力を試験装置に印加することによって、試験を行う期間にわたって前記試験装置上の前記システムの前記被試験物理的構成要素を駆動し、試験装置応答を生成することと、
前記システムの前記仮想モデルの中に前記試験装置応答のうちの少なくとも一部分を入力し、前記システムのモデル応答を得ることと、
前記試験装置応答のうちの別の部分を前記モデル応答と比較することに基づいて、前記試験を行う前記期間の少なくとも一部分の間、前記被試験物理的構成要素の状態を査定し、出力を記録またはレンダリングすることと
を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、従来技術の連結ハイブリッド動的システムに対するシミュレーションを制御するための例示的な配置を図示する。
【
図2】
図2は、従来技術の連結ハイブリッド動的システムに対する初期運動を得るためのオフライン反復プロセスの概略的ブロック図である。
【
図3】
図3は、初期駆動を得た後の試験構成要素の試験の概略ブロック図である。
【
図4】
図4は、試験構成要素の状態を査定し、新しい試験装置駆動信号を生成するように、連結ハイブリッド動的システムのシミュレーションを制御することを図示する、フローチャートである。
【
図5】
図5は、好適なコンピューティング環境の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、連結ハイブリッド動的システムためのシミュレーションを制御するための例示的な配置を描写し、本発明の側面は、本明細書で説明される例示的な配置に限定されず、むしろ上記で識別された特許および特許出願における他の配置のうちのいずれかにも適用されることができることを理解されたい。
【0024】
例示的な配置では、補完車両モデル70が、典型的には、コンピュータのメモリまたはハードディスク等の好適な非一過性のコンピュータ読み取り可能な媒体において提供され、プロセッサによってアクセス可能である。しかしながら、他のシステムが本開示から逸脱することなくモデル化され得るため、車両のモデルは、例示的にすぎない。さらに、説明の目的で、被試験物理的構成要素は、車両サスペンションシステムで採用される支柱である。上記で識別される特許出願で説明されるように、支柱は、被試験物理的構成要素の例にすぎないため、実際のタイヤおよびホイールを差し引いた完全な車両の試験を含むがそれに限定されない他の構成要素が試験され得る。駆動を受け入れ、応答を提供する試験装置72も提供される。本実施例では、試験装置72は、試験装置72内に搭載されている物理的支柱を試験するように構成される。しかしながら、試験装置72は、他の構造構成要素を試験するように構成され得る。試験装置72は、装置コントローラ74を有する。
【0025】
配置は、試験装置72を駆動するために使用される駆動信号を生成するために採用されることができるシステム動的応答モデルを形成または究明する。システム動的応答モデル76は、一実施例として、周波数応答関数(FRF)であり得る。システム動的応答モデル76はまた、補完システムのモデル70が実行される同一のプロセッサによって、決定または計算され得る。しかしながら、システム動的応答モデル76はまた、別個のプロセッサ上で決定および計算され得る。
【0026】
図1はまた、システム動的応答モデル76を形成する配置およびステップも描写する。これは、システム応答モデリングステップと称されることができる。このシステム動的応答モデル76は、以降で説明される、
図2の反復プロセスで採用されることができる。
図1では、ランダム試験装置駆動78が、設置された被試験構成要素80(支柱等)を有する試験装置72に再生される。ランダム試験装置駆動78は、ランダム振幅、広帯域周波数の駆動等の一般的駆動であり得る。2つの応答が開示された実施形態で測定されるが、配置は、2つの応答に限定されない。ランダム試験装置力信号82等のこれらの応答のうちの1つは、補完システムの車両モデル70に適用されるものである。ランダム装置変位84等の他方の応答は、補完システムの仮想モデル70の応答と比較される応答である。
図1の開示された実施形態では、第1の応答82が、支柱によって試験装置72に及ぼされる力である一方で、第2の応答84は、支柱80の変位であり、それは、入力として装置コントローラ74に提供されることもできる。他の応答信号が試験装置72から提供され得るため、力および変位信号は例示的にすぎないことに留意されたい。
【0027】
ランダム装置力82等の試験装置72からの応答は、補完システムの仮想車両モデル70にランダムモデル駆動86を形成するための入力として供給される。補完システムの仮想車両モデル70は、被試験物理的構成要素(この場合は、支柱80)を除く。補完システムの仮想車両モデル70は、ランダムモデル応答信号88、この場合は、変位でランダムモデル駆動入力信号86に応答する。
【0028】
プロセスの第3のステップでは、補完システムの仮想モデル70のランダム応答88が、関連試験装置ランダム応答84と比較される。比較90が、ランダム応答差92(本明細書では例として変位)を形成するために行われる。ランダム応答差92とランダム装置駆動78との間の関係は、システム動的応答モデル76を確立する。システム動的応答モデル76は、逆にされ、
図2の反復シミュレーション制御プロセスにおける試験装置駆動予測のために使用されるであろう。
【0029】
システム動的応答モデル76の決定は、高出力および高速の計算能力が必要とされないようにオフラインプロセスで行われ得る。さらに、データを取得する必要がないため、仮想モデル内で、または物理的環境において、その構成要素がどのように応答するであろうかという予備知識がなくても、任意の構成要素を試験することができる。システム動的応答モデル76のオフライン測定は、補完システムの仮想モデルの応答88と、構成要素80が物理的システムの中にあるときの装置入力に対する装置応答84との間の差の感度を測定する。装置駆動78とシステム応答差92との間の関係がモデル化されると、
図2で見られるように、オフライン反復プロセスが行われる。これは、試験駆動開発ステップと見なされ得る。
【0030】
オフライン反復である、
図2の反復プロセスでは、被試験物理的構成要素80を除く補完システムの仮想モデル70が動作させられる。例示的実施形態では、仮想モデル70は、仮想車両の補完システムであり、除外される被試験物理的構成要素は、支柱80である。仮想車両は、試験道路上で駆動され、補完システムの仮想モデル70の応答100を生成する。実施例として、応答100は、支柱80の変位を表し得るが、支柱80が実際には存在しないため、これは実際には、応答100によって測定される、支柱80によって占有されるであろう空間の変位である。仮想試験道路入力に加えて、補完システムの仮想モデル70への追加の入力が、参照数字98として示されている。補完システムの車両モデル70への追加のモデル入力98は、試験装置72からの試験装置応答94に基づく。試験装置72において測定される力等の追加のモデル入力98は、試験中に車両モデル70に同時に適用される。最初の反復(N=0)については、補完システムの仮想モデル70への入力98は、典型的には、ゼロであろう。
【0031】
補完システムの仮想モデル70の応答100は、試験装置72からの試験装置応答96と比較される。補完システムの仮想モデル70の応答100が変位である場合、試験装置応答96も変位でなければならない。102の比較が、試験装置応答96と補完システムの仮想モデル70の応答100との間で行われ、応答差103を形成する。
【0032】
応答差103、この場合、変位差は、所望の差104と比較される。典型的には、所望の差104は、反復制御プロセスのためにゼロに設定されるであろう。しかしながら、さらなる実施形態では、本開示の範囲から逸脱することなく、他の所望の差が採用され得る。
【0033】
応答差103と所望の差104との間の比較106は、シミュレーション誤差107を生じ、それは、
図1に示されるステップにおいて以前に決定されたシステム動的応答モデル76の逆関数(FRF−1)によって使用される。システム動的応答モデル76の逆関数は、
図2で参照数字108として描写されている。駆動補正109が、次の試験装置駆動信号114を生成するために、112において前の試験装置駆動信号110に追加される。典型的には、シミュレーション誤差107は、緩和利得係数によって低減させられる。緩和利得係数(または反復利得)は、反復プロセスを安定させ、反復オーバーシュートに対して収束率をトレードオフする。さらに、反復利得は、物理的システムに存在する非線形性に起因して、反復プロセス中に被試験物理的構成要素がオーバーロードされるであろう可能性を最小化する。当業者によって理解されるように、そのように所望される場合、反復利得は、駆動補正109に適用されることができる。
【0034】
次の試験装置駆動信号114が試験装置72に印加され、第1および第2の応答94、96が測定される。車両モデル70に適用される応答94(入力98によって図示される)は、プロセッサおよび補完システムの仮想モデル70を介して、試験装置応答96と比較される応答100を生成する。本プロセスは、結果として生じるシミュレーション誤差107が所望の許容差値に低減されるまで、反復して繰り返される(矢印97および99によって表される)。
【0035】
車両モデル70の処理および最終反復試験装置駆動信号114の決定は、単一のプロセッサ内で行われることが可能である。しかしながら、ある実施形態では、複数のプロセッサが採用され得る。さらに、シミュレーション誤差107を決定するためのプロセス、および試験装置駆動信号114の決定が、オフラインで行われ得ることも理解されたい。
【0036】
試験装置駆動信号114の決定に続いて、最終試験装置駆動信号114(本明細書では「初期試験駆動信号」と称される)は、
図3で概略的に見られるように、被試験物理的構成要素80の試験で使用される。試験装置駆動信号114は、装置72を駆動する試験装置コントローラ74への入力である。試験装置駆動信号114の一般的な使用は、多くのサイクルにわたって反復連続でそれらを印加することである。したがって、物理的な車両が以前に測定および試験されている必要なく、性能試験、耐久性試験、および他のタイプの試験が、支柱等の被試験物理的構成要素80に対して行われ得る。
【0037】
上記で示されるように、補償制御を使用する物理的試験システムの1つの特性は、制御信号が試験された構成要素の初期挙動に合わせられることである。構成要素が試験を受けて老朽化、磨耗、または劣化するにつれて、装置72への試験装置駆動信号114の印加は、もはや同一の力および運動が被試験構成要素に印加れることができなくなることをもたらすであろう。この状況は、産業の実践で認識されるが、元の力または運動を再確立するための制御信号の後続の再補償は、典型的には行われない。これは、従来の査定方法を使用して、新しい力およびモーメントが、劣化したシステムに無効であることを実際に把握されることができないためである。
【0038】
概して、本明細書で開示される本発明のいくつかの側面は、観察された応答変化が実際に劣化した被試験構成要素に無効であるかどうかを決定する能力を用いて、物理的試験システムの応答を連続的に監視することを含む。被試験物理的構成要素が物理的構成要素である、1つの特に有利な実施形態では、定義されたハイブリッドシステムの物理的/仮想相互作用点場所における被試験物理的構成要素運動および/または力が、監視および/または記録される。試験シーケンスが試験を行う期間の間継続するとき、一式の力および/または運動は、ハイブリッドシステムの仮想要素(構成要素および定義された試験環境)の制約条件に対して評価される。一例として、仮想試験事象(例えば、車両駆動シーケンス等)を実行する間、被試験物理的構成要素からの相互作用点の運動時間履歴が、ハイブリッドシステムの隣接仮想構成要素のための制御運動として使用される。
【0039】
概して、仮想システムと物理的システムとの間の結果として生じる相互作用点において、比較が行われる。比較は、任意の好適な領域(例えば、時間履歴)またはその部分においてであり、仮想システムは、物理的システムからの対応する測定量(例えば、力時間履歴)またはその部分と比較され得る。比較からの偏差が所定の閾値に達する(例えば、閾値より大きい)場合、現在の物理的試験応答は、定義されたハイブリッドシステムの一部としてのその予期される挙動に対して無効であると決定されることができ、出力を記録またはレンダリングされることができる。所望であれば、新しい駆動を計算し、試験を行う期間の全体を通して使用されることができる。
【0040】
図2を再び参照して、最終試験駆動114が上記で説明されるように決定されており、現在、最終試験駆動114が、
図3で試験サイクルを次々に行うために試験シーケンスで繰り返し使用されていることを仮定する。上記で示されるように、一側面は、応答94および96を監視することと、より重要なこととして、試験を行う期間にわたって被試験物理的構成要素80を査定するために仮想モデル70を使用して比較を行うこととを含み、それは、所望であればオフラインで行われることができる。具体的には、応答94および96は、記録されることができる。
【0041】
上記のように、本明細書では、「試験を行う期間」は、被試験物理的構成要素80、またはそれに接続された他の構成要素、要素、もしくは構造を査定するために、試験装置を使用している。本期間は、
図2に関して上で議論されるように、初期試験駆動信号を生成するための被試験物理的構成要素80の使用に続く。むしろ、「期間」は、
図3の様式での試験装置の動作に対応する。動作の方法は、150において
図4で図示されている。152で図示されるように、被試験物理的構成要素は、試験装置応答94、96を生成するように初期試験駆動信号入力を試験装置に印加することによって、試験を行う期間にわたって試験装置72上で駆動される。ステップ154では、
図2で図示されるものに類似する様式において、応答94が入力98として仮想モデル70に提供される。
【0042】
156では、試験装置応答の一部分をモデル応答と比較することに基づいて、試験を行う期間の少なくとも一部分の間の被試験物理的構成要素の状態が査定され、その時、対応する出力が記録またはレンダリングされる。仮想モデル70の応答100は、試験装置72からの試験装置応答96と比較される。102の比較が、試験装置応答96と補完システムの仮想モデル70の応答100との間で行われ、応答差103を形成する。応答差103に基づく出力が監視され、それは、記録することおよび/またはユーザへレンダリングすることを含むことができ、レンダリングは、試験装置に近接しているか、または試験装置から遠隔にあるかのいずれかである、プリンタまたはモニタデバイスを使用してレンダリングすることを含むが、それに限定されない。
【0043】
応答を監視し、比較を行うことは、連続的に行うことができるが、断続的に、例えば、試験を行う期間の周期的間隔等、試験シーケンスにおいて間隔を置いて応答96および100を比較することが十分であり得る。物理的システムの連続した応答(サイクル)間の差が極めて小さくあり得る一方で、ある期間またはサイクルにわたる差がより有意であり得るので、断続的比較が十分であり得る。
【0044】
実際の応答を監視し、仮想モデル70からの補完応答と比較を行うことに加えて、本発明の別の側面は、所望であれば、劣化した被試験構成要素に対して適切である新しい試験システム応答を生じるように、試験シーケンス中に試験装置駆動114を調節すること、一実施形態では、自動的に調節することを含む。
【0045】
図2を再度参照すると、応答差103が選択された閾値に達した場合、試験装置からの所望の(例えば、試験シーケンスの開始時に存在したものに類似する)応答94および96を得るために駆動114を調節するよう、別の駆動補正109が究明され、使用されている現在の駆動114に適用されることができる。目標は、94および96を元の状態と同一にすることではなく、目標は、構成要素がその応答を変化させたことが評価されているとするならば達成可能ではないであろうことに留意されたい。監視中に偏差が目撃された場合、94および96の両方は、ハイブリッドシステムの新しい動作状態に適応しなければならないであろう。
【0046】
概して、
図4の158で示されるように、新しい試験装置駆動信号が、試験装置応答の一部分をモデル応答と比較することに選択的に基づいて生成される一方で、新しい試験装置駆動は、160において初期試験駆動信号の代わりに使用される。特に、駆動114の調節が必要とされる場合、応答差103と所望の差104との間の比較106がシミュレーション誤差107を生じ、これは、
図1に示されるステップで以前に決定されたシステム動的応答モデル76の逆関数(FRF−1)に適用されると、駆動補正109が得られる。上で示されるように、駆動補正109は、110で示される現在の試験装置駆動信号に112で追加され、新しい試験装置駆動信号114を生成する。応答差103によって測定されるような相互作用点動的誤差が、周期的ではなくても、少なくとも時折、または連続的にさえも評価されているため、通常の被試験構成要素の劣化による駆動114の補償調節が、(概して、前の駆動の代わりに新しい駆動の使用を図示する)ループ矢印162によって示されるように、繰り返し起こることができ、それは、典型的には、小さく段階的であろう。多くの場合において、駆動補正109は、ように小さく、所望の応答(すなわち、ハイブリッドシステム適合応答)は、新しい調節された試験駆動114を伴う次の試験サイクルにおいて、94および96において得られる。しかしながら、調節された駆動114を伴う応答96の適用が、応答96と比較されたときに選択された差または所望の差以内である応答100を生じない場合、新しい駆動補正109が再度生成され、現在の駆動110に再度追加されることができる。これは、シミュレーション誤差107(または駆動補正109)が緩和利得係数だけ低減させられる場合であり得るが、試験期間中の緩和利得係数の使用は随意的である。
【0047】
また、各駆動補正109のための調節の程度、もしくは一連の調節に関する限度、および/または試験シーケンスの開始時に使用される初期駆動からの調節の全程度に関する限度を制御または制限するために、別の選択された閾値も使用されることができることにも留意されたい。これらの限度のうちのいずれかまたは全ては、試験期間中に評価され、試験システム挙動の有意な変化(例えば、構成要素または試験システム故障)の場合に起こり得る大きな試験制御修正を防止することができる。
【0048】
ここで同様に監視されることができる別のパラメータは、差の変化率であり、これは、試験システムに対する駆動の調節の変化率によって測定することもできる。本パラメータは、被試験物理的構成要素の応答を査定する際に、試験者に役立ち得る。また、差または調節の変化率が、選択された閾値に達すること等の選択された特性を有するか、または構成要素もしくは試験システム故障を示すパターンのタイプを有する場合、アラームまたは他の指標が提供されることができ、または所望であれば、試験装置が動作停止されることができる。
【0049】
試験シーケンス中に駆動114に調節を行うことによって、摩耗を受けた被試験物理的構成要素が、磨耗されなかったときに試験を最初に受けたときに受けたものと同一の試験条件(例えば、ハイブリッドシステムが車両であり、車両が同一の道路上で駆動される場合)を受ける目的で、摩耗を受けた被試験構成要素が適切な駆動を有するであろうことを確実にすることが現在可能である。しかしながら、劣化した部品に対する正しい(例えば、同一の)試験条件は、部品が新しく、試験されていなかった、および/または最初に試験されたときにハイブリッド相互作用点において発現されたものと異なる負荷および/または運動であり得る(おそらくそうであろう)ことを理解されたい。本発明の前には、これが可能ではなかった。
【0050】
したがって、その実際の環境における構成要素の実際の試験を研究室内でより良好に複製するように、システムおよび方法が提供されている。換言すると、提供される実施例に対して、支柱80の研究室試験は、現在、支柱が試験車両上に搭載され、試験トラック上で繰り返し駆動される試験をより良好に複製している。過去には、研究室試験が決して試験中に装置への駆動を変更しなかったか、または試験が最初に始まったときに得られた同一の応答を得るように駆動が調節されたかのいずれかであったが、これらの実践のいずれも実際の試験を複製しない。したがって、本発明は、被試験物理的構成要素の新しい査定が、その寿命の間に、例えば、その寿命の50%または80%において、行われることを可能にする。
【0051】
図5および関連議論は、本発明が実装され得る、好適なコンピューティング環境の簡潔な一般説明を提供する。必要とはされないが、装置コントローラならびに本明細書のモデルの処理および記憶を行うコンピュータは、コンピュータ30によって実行されているプログラムモジュール等のコンピュータ実行可能命令の一般的文脈において、少なくとも部分的に説明された。概して、プログラムモジュールは、特定のタスクを行うか、または特定の抽象データ型を実装する、ルーチンプログラム、オブジェクト、構成要素、データ構造等を含む。プログラムモジュールは、データ処理を示す略図で概略的に図示される。当業者であれば、非一過性のメモリまたはコンピュータ読み取り可能な媒体上に記憶されたコンピュータ実行可能命令への略図およびデータ処理を実装することができる。また、当業者であれば、本発明が、マルチプロセッサシステム、ネットワークパーソナルコンピュータ、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ等を含む、他のコンピュータシステム構成を用いて実践され得ることを理解するであろう。本発明はまた、タスクが通信ネットワークを通してリンクされる遠隔処理デバイスによって行われる、分散型コンピューティング環境において実践され得る。分散型コンピュータ環境では、プログラムモジュールは、ローカルおよび遠隔メモリ記憶デバイスの両方の中に位置し得る。
【0052】
図5で図示されるコンピュータ30は、中央処理装置(CPU)32、メモリ34、およびメモリ34とCPU32とを含む種々のシステム構成要素を連結するシステムバス36を有する、従来のコンピュータを備えている。システムバス36は、メモリバスまたはメモリコントローラ、周辺機器用バス、および種々のバスアーキテクチャのうちのいずれかを使用するローカルバスを含む、いくつかのタイプのバス構造のうちのいずれかであり得る。メモリ34は、読み取り専用メモリ(ROM)およびランダムアクセスメモリ(RAM)を含む。起動中等にコンピュータ30内の要素間で情報を転送することに役立つ基本ルーチンを含む、基本入出力(BIOS)が、ROMに記憶される。ハードディスク、光ディスクドライブ、ROM、RAM、フラッシュメモリカード、デジタルビデオディスク等の非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶デバイス38が、システムバス36に連結され、プログラムおよびデータの記憶に使用される。一般的に、プログラムは、付随データを伴って、または伴わずに、記憶デバイス38のうちの少なくとも1つからメモリ34にロードされる。
【0053】
キーボード、ポインティングデバイス(マウス)等の入力デバイス40は、ユーザがコマンドをコンピュータ30に提供することを可能にする。モニタ42または他のタイプの出力デバイスがさらに、好適なインターフェースを介してシステムバス36に接続され、フィードバックをユーザに提供する。所望の応答22は、モデム等の通信リンクを通して、または記憶デバイス38のリムーバブル媒体を通して、入力としてコンピュータ30に提供することができる。駆動信号は、コンピュータ30によって実行されるプログラムモジュールに基づいて、かつコンピュータ30を試験システム装置に連結する好適なインターフェース44を通して、試験システムに提供される。インターフェース44はまた、応答も受信する。
【0054】
本主題は、構造特徴および/または方法論的行為に特有の用語で説明されているが、添付の請求項で定義される主題は、裁判所によって判断されているように、必ずしも上記で説明される具体的特徴または行為に限定されないことを理解されたい。むしろ、上記で説明される具体的特徴および行為は、請求項を実装する例示的形態として開示される。