【実施例】
【0072】
1.測定方法
以下の測定方法を用いて、実施例および請求項に記載のパラメーターを評価した。
【0073】
材料のBET比表面積(SSA)
BET比表面積は、250℃で30分間加熱して試料を調整した後に窒素を用いたISO 9277に従うBET法により測定した。このような測定の前に、試料を濾過し、すすぎ、オーブン中110℃で少なくとも12時間乾燥した。
【0074】
粒状材料の粒度分布(<Xの直径を有する体積%の粒子)、d
50値(体積メジアン粒径)およびd
98値:
体積メジアン粒径d
50値は、Malvern Mastersizer 2000 Laser Diffraction Systemを用いて評価した。Malvern Mastersizer 2000 Laser Diffraction Systemを使用して測定したd
50値またはd
98値は、それぞれ、粒子の50体積%または98体積%がこの値より小さい直径を有するような直径値を示す。測定によって得られた生データを、粒子屈折率1.57、吸収指数0.005を使いMie理論を用いて分析する。
【0075】
重量メジアン粒径は沈降法によって決定され、これは、重力場における沈降挙動の分析である。測定はMicromeritics Instrument CorporationのSedigraph(商標) 5100で行う。この方法および装置は当業者に知られており、一般に使用され、充填剤および顔料の粒径を決定する。測定は0.1重量%Na
4P
2O
7の水溶液中で行う。高速攪拌機を用いて試料を分散し、超音速処理した。
【0076】
この方法および装置は当業者に知られており、一般に使用され、充填剤および顔料の粒径を決定する。
【0077】
多孔度/細孔容積
多孔度または細孔容積は、ラプラススロート直径0.004μm(~nm)に等しい水銀414MPa(60000psi)の最大印加圧力を有するMicromeritics Autopore IV 9500水銀ポロシメータを使用して測定する。 各加圧工程で使用される平衡時間は20秒である。分析のために、試料材料を5mlチャンバー粉末ペネトロメーターに密封する。 データは、ソフトウェアPore−Comp(Gane、PAC、Kettle、J.P.、Matthews、G.P.およびRidgway、C.J.、「Void Space Structure of Compressible Polymer Spheres and Consolidated Calcium Carbonate Paper−Coating Formulations」、Industrial and Engineering Chemistry Research、35(5)、1996、p1753−1764)を使用して、水銀圧縮、ペネトロメーター拡張、および試料材料の圧縮のために補正される。
【0078】
2.材料および装置
2.1.装置
−収着管(Sigma Aldrich、ステンレス鋼、1/4in×3 1/2in)
− Tenax(R) TA(Sigma Aldrich、ステンレス鋼、1/4in×3 1/2in)を有する熱脱着管
− ポケットポンプ210−1000シリーズ(SKC Inc.、84、ペンシルベニア州、米国)
− TD−GC−MS(昇温脱離ガスクロマトグラフィー質量分析計):
TD TurboMatrix Perkin Elmer
温度モード:管300℃、バルブ195℃、トランスファー200℃、トラップ低−20℃、トラップ高300℃
タイミング:脱着10分、パージ1.0分、トラップ保持5.0分
空気圧設定:カラム95kPa、出口スプリット50ml/分、入口スプリット40ml/分、脱着30mL/分
GC方法AutoSystem XL Perkin Elmer
カラム:Optima 5 Accent 1.0μm、60μm*0.32mm、Macherey−Nagel
オーブンの温度:110℃で15分間(アミン)
オーブンの温度:130℃で10分間(酸)
MSターボ質量Perkin Elmer
溶媒遅延0.0分
フルスキャン25から350m/z(質量/電荷)(EI+)
【0079】
2.2.材料
吸収剤
− Millicarb OG(オムヤAG;天然重質炭酸カルシウム;d
50=3mm)
− カオリンクレー(Sigma−Aldrich;CAS 1332−58−7)
− 海砂(シリカ)(CAS 60676−86−0)
− バーミキュライト(BET比表面積:4.3m
2/g)
− 珪藻土(BET比表面積:5.6m
2/g)
− 活性炭(BET比表面積:1400m
2/g)
【0080】
− 表面反応炭酸カルシウム(SRCC)粉末1(d
50=4.3μm、d
98=8.6μm、SSA=51.6m
2g
−1)
粒子の90w/w%が沈降によって決定した2μmより微細である質量ベースの粒度分布を有するオムヤ Hustadmarmor ASからの、粉砕処理で添加されたポリアクリレート分散剤を含有する湿式粉砕大理石炭酸カルシウムの固形分を、水性懸濁液の総重量に基づいて20重量%の固形分が得られるように調整することによって、混合容器中で重質炭酸カルシウムの水性懸濁液8リットルを調製することによりSRCC1を得た。スラリーを混合しながら、30重量%のリン酸と0.4%の硫酸アルミニウムの16水和物とを含む水溶液1.22kgを70℃の温度で10分間かけて前記懸濁液に添加した。溶液の添加後、スラリーをさらに5分間撹拌した後、容器から取り出し、乾燥させた。
【0081】
表面反応炭酸カルシウム粉末1の粒子内侵入比細孔容積は、(0.004から0.26μmの細孔直径範囲に対し)0.644g/cm
3である。
【0082】
− 表面反応炭酸カルシウム(SRCC)粉末2(d
50=3.7μm、d
98=8.1μm、SSA=72.7m
2g
−1)
粒子の90w/w%が沈降によって決定した2μmより微細である質量ベースの粒度分布を有するオムヤ Hustadmarmor ASからの重質大理石炭酸カルシウムの固形分を、水性懸濁液の総重量に基づいて20重量%の固形分が得られるように調整することによって、混合容器中で、粉砕処理で添加されたポリアクリレート分散剤を含有する湿式粉砕炭酸カルシウムの水性懸濁液8リットルを調製することによりSRCC2を得た。
【0083】
スラリーを混合しながら、30重量%のリン酸を含む水溶液1.2kgを70℃の温度で10分間かけて前記懸濁液に添加した。リン酸溶液添加の開始と同時に、10重量%のケイ酸ナトリウムを含有する水溶液0.92kgを前記懸濁液に14分間かけて添加した。2つの溶液の添加後、スラリーをさらに5分間撹拌した後、容器から取り出し、乾燥させた。
【0084】
表面反応炭酸カルシウム粉末2の粒子内侵入比細孔容積は、(0.004から0.14μmの細孔直径範囲に対し)0.491g/cm
3である。
【0085】
− 表面反応炭酸カルシウム(SRCC)粉末3(d
50=3.5μm、d
98=7.6μm、SSA=92.3m
2g
−1)
粒子の90w/w%が沈降によって決定した2μmより微細である質量ベースの粒度分布を有するオムヤ Hustadmarmor ASからの、粉砕処理で添加されたポリアクリレート分散剤を含有する湿式粉砕大理石炭酸カルシウムの固形分を、水性懸濁液の総重量に基づいて20重量%の固形分が得られるように調整することによって、混合容器中で重質炭酸カルシウムの水性懸濁液8リットルを調製することによりSRCC3を得た。
【0086】
スラリーを混合しながら、30重量%のリン酸を含む水溶液1.2kgを70℃の温度で10分間かけて前記懸濁液に添加した。リン酸溶液添加開始2分後に、25重量%のクエン酸を含む水溶液0.37kgを前記懸濁液に0.5分間かけて添加した。2つの溶液の添加後、スラリーをさらに5分間撹拌した後、容器から取り出し、乾燥させた。
【0087】
表面反応炭酸カルシウム粉末3の粒子内侵入比細孔容積は、(0.004から0.09μmの細孔直径範囲に対し)0.258g/cm
3である。
【0088】
− 表面反応炭酸カルシウム(SRCC)粉末4(d
50=5.5μm、d
98=10.6μm、SSA=141.5m
2g
−1)
粒子の90w/w%が沈降によって決定した2μmより微細である質量ベースの粒度分布を有するオムヤ Hustadmarmor ASからの、粉砕処理で添加されたポリアクリレート分散剤を含有する湿式粉砕大理石炭酸カルシウムの固形分を、水性懸濁液の総重量に基づいて16重量%の固形分が得られるように調整することによって、混合容器中で重質炭酸カルシウムの水性懸濁液10リットルを調製することによりSRCC4を得た。
【0089】
スラリーを混合しながら、30重量%のリン酸を含む水溶液3kgを70℃の温度で10分間かけて前記懸濁液に添加した。リン酸溶液添加開始2分後に、25重量%のクエン酸を含む水溶液0.36kgを前記懸濁液に0.5分間かけて添加した。2つの溶液の添加後、スラリーをさらに5分間撹拌した後、容器から取り出し、乾燥させた。
【0090】
表面反応炭酸カルシウム粉末4の粒子内侵入比細孔容積は、(0.004から0.33μmの細孔直径範囲に対し)1.025g/cm
3である。
【0091】
− 表面反応炭酸カルシウム(SRCC)粉末5(d
50=5.1μm、d
98=9.8μm、SSA=51.4m
2g
−1)
粒子の90w/w%が沈降によって決定した2μmより微細である質量ベースの粒度分布を有するオムヤ Hustadmarmor ASからの、粉砕処理で添加されたポリアクリレート分散剤を含有する湿式粉砕大理石炭酸カルシウムの固形分を、水性懸濁液の総重量に基づいて15重量%の固形分が得られるように調整することによって、混合容器中で重質炭酸カルシウムの水性懸濁液10リットルを調製することによりSRCC5を得た。
【0092】
スラリーを混合しながら、30重量%のリン酸を含む水溶液1.7kgを70℃の温度で10分間かけて前記懸濁液に添加した。溶液の添加後、スラリーをさらに5分間撹拌した後、容器から取り出し、乾燥させた。
【0093】
表面反応炭酸カルシウム粉末5の粒子内侵入比細孔容積は、(0.004から0.51μmの細孔直径範囲に対し)1.154g/cm
3である。
【0094】
− 表面反応炭酸カルシウム(SRCC)粉末6(d
50=5.0μm、d
98=9.6μm、SSA=62.2m
2g
−1)
粒子の90w/w%が沈降によって決定した2μmより微細である質量ベースの粒度分布を有するオムヤ Hustadmarmor ASからの、粉砕処理で添加されたポリアクリレート分散剤を含有する湿式粉砕大理石炭酸カルシウムの固形分を、水性懸濁液の総重量に基づいて15重量%の固形分が得られるように調整することによって、混合容器中で重質炭酸カルシウムの水性懸濁液10リットルを調製することによりSRCC6を得た。
【0095】
スラリーを混合しながら、30重量%のリン酸を含む水溶液1.7kgを70℃の温度で10分間かけて前記懸濁液に添加した。リン酸溶液添加開始4分後に、クエン酸三ナトリウムを含む水溶液41gを別の流れでスラリーに0.5分間かけて添加した。溶液の添加後、スラリーをさらに5分間撹拌した後、容器から取り出し、乾燥させた。
【0096】
表面反応炭酸カルシウム粉末6の粒子内侵入比細孔容積は、(0.004から0.41μmの細孔直径範囲に対し)1.086g/cm
3である。
【0097】
− 表面反応炭酸カルシウム(SRCC)粉末7(d
50=5.1μm、d
98=9.8μm、SSA=77.1m
2g
−1)
粒子の90w/w%が沈降によって決定した2μmより微細である質量ベースの粒度分布を有するオムヤ Hustadmarmor ASからの、粉砕処理で添加されたポリアクリレート分散剤を含有する湿式粉砕大理石炭酸カルシウムの固形分を、水性懸濁液の総重量に基づいて15重量%の固形分が得られるように調整することによって、混合容器中で重質炭酸カルシウムの水性懸濁液10リットルを調製することによりSRCC7を得た。
【0098】
スラリーを混合しながら、30重量%のリン酸を含む水溶液1.7kgを70℃の温度で10分間かけて前記懸濁液に添加した。リン酸溶液添加の開始と同時に、7.5重量%ケイ酸ナトリウムを含有する水溶液0.88kgを前記懸濁液に10分間かけて添加した。2つの溶液の添加後、スラリーをさらに5分間撹拌した後、容器から取り出し、乾燥させた。
【0099】
表面反応炭酸カルシウム粉末7の粒子内侵入比細孔容積は、(0.004から0.41μmの細孔直径範囲に対し)1.108g/cm
3である。
【0100】
− 表面反応炭酸カルシウム(SRCC)粉末8(d
50=4.4μm、d
98=8.6μm、SSA=39.9m
2g
−1)
粒子の90w/w%が沈降によって決定した2μmより微細である質量ベースの粒度分布を有するオムヤ Hustadmarmor ASからの、粉砕処理で添加されたポリアクリレート分散剤を含有する湿式粉砕大理石炭酸カルシウムの固形分を、水性懸濁液の総重量に基づいて15重量%の固形分が得られるように調整することによって、混合容器中で重質炭酸カルシウムの水性懸濁液10リットルを調製することによりSRCC8を得た。
【0101】
スラリーを混合しながら、30重量%のリン酸を含む水溶液0.83kgを70℃の温度で10分間かけて前記懸濁液に添加した。溶液の添加後、スラリーをさらに5分間撹拌した後、容器から取り出し、乾燥させた。
【0102】
表面反応炭酸カルシウム粉末8の粒子内侵入比細孔容積は、(0.004から0.17μmの細孔直径範囲に対し)0.412g/cm
3である。
【0103】
− 表面反応炭酸カルシウム顆粒1
造粒のための出発材料として、以下の表面反応炭酸カルシウム粉末SRCC9(d
50=6.6μm、d
98=13.7μm、SSA=59.9m
2g
−1)を調製した:
【0104】
沈降によって決定した1.3μmの質量ベースのメジアン粒径を有するオムヤ SAS Orgonからの、粉砕処理で添加された分散剤を含有する湿式粉砕石灰石炭酸カルシウムの固形分を、水性懸濁液の総重量に基づいて10重量%の固形分が得られるように調整することによって、混合容器中で重質炭酸カルシウムの水性懸濁液350リットルを調製した。
【0105】
スラリーを6.2m/秒の速度で混合しながら、11.2kgのリン酸を、30重量%のリン酸を含む水溶液の形態で、70℃の温度で20分間かけて前記懸濁液に添加した。リン酸を添加した後、スラリーをさらに5分間撹拌した後、容器から取り出し、ジェット乾燥機を用いて乾燥させた。
【0106】
この表面反応炭酸カルシウムの粒子内侵入比細孔容積は、(0.004から0.51μmの細孔直径範囲に対し)0.939g/cm
3である。
【0107】
この表面反応炭酸カルシウム400gをレディゲミキサー(Model L5、5リットル、Gebr. Lodige Maschinenbau GmbH、パーダーボルン、ドイツ)に添加した。続いて、3重量%のカルボキシメチルセルロースナトリウム(Sigma Aldrich(平均モル質量90000g/モル;CAS No. 9004−32−4)を含む水溶液400gを、スプレーボトルを用いて、混合要素(速度は500rpmから最高速度(999rpm)との間、主に700から999rpmの間で変化した)およびカッターの両方で、材料が少し塊状に見えるようになるまで粉末を混合しながら添加した。この時点で試料はペーストに変わった。乾燥した表面反応炭酸カルシウム100gを添加してこれを再び精留した。個々の顆粒が形成されるまで数分間試料を混合した。その後、試料を取り出し、90℃で12時間乾燥させた。
【0108】
− 表面反応炭酸カルシウム顆粒2および3
530gのSRCC9粉末を水で飽和させて固形分61重量%とし、レディゲミキサーに加えた。続いて、26gのカルボキシメチルセルロースナトリウム(Sigma Aldrich(平均モル質量90000g/モル;CAS No. 9004−32−4)を添加し、乾燥させ、その組み合わせを数分間混合して適切な混合を確実にした。続いて、混合要素(500rpmから最大速度(999rpm)の間、主に700から999rpmの間で変化した)およびカッターの両方で材料が少し塊状に見えるようになるまで粉末を混合しながら、時間をかけて水道水を添加した。この時点で、もう少し水を加えると、試料はペーストに変わった。乾燥した表面反応炭酸カルシウム100gを添加してこれを再び精留した。個々の顆粒が形成されるまで数分間試料を混合した。この試料の最終固形分は65重量%であった。その後、試料を取り出し、90℃で12時間乾燥させた。
【0109】
乾燥した試料をレッチェふるい上で別々のサイズ分画、即ち、<0.3mm、0.3から0.6mmの間、0.6mmから1mmの間、および1mmから2mmの間にふるい分けた。
【0110】
さらなる試験のために、以下の画分を使用した。ここで、xは顆粒の粒径である。
表面反応炭酸カルシウム顆粒2:0.6mm<x<1mm
表面反応炭酸カルシウム顆粒3:0.3mm<x<0.6mm
【0111】
臭気物質
− ジエチルアミン(Sigma Aldrich、CAS 109−89−7)
− トリエチルアミン(Sigma Aldrich、CAS 121−44−8)
− ブタン酸(Sigma Aldrich、CAS 107−92−6)
− 3−メチルブタン酸(Sigma Aldrich、CAS 503−74−25)
− ヘキサン酸(Sigma Aldrich、CAS 142−62−1)
【0112】
3.吸収/吸着試験
3.1.表面反応炭酸カルシウム粉末
1500mg/lのトリエチルアミンの保存水溶液を調製した。
【0113】
吸収/吸着試験を実施するために、吸収/吸着管を以下のもので充填した:
実施例1:吸収/吸着剤なし
実施例2:海砂1gおよびMillicarb OG 0.5gの混合物0.4g
実施例3から6:それぞれ、海砂1gおよびSRCC粉末1から4 0.5gの混合物0.4g
【0114】
吸収/吸着管の前に、調製したトリエチルアミンベースの原液10μlで満たしたバイアルを取り付け、吸収/吸着管の後にTenax TAを有する熱脱着管を取り付けた。
【0115】
5分間、室温(23℃)で80ml/分の速度でポケットポンプ(SKC)を用いて、両方の管を介して臭気物質充填バイアルから空気を吸引した。続いて、TD−GC−MSによってTenax TA管内の臭気物質含有率を分析した。
【0116】
検出されたピークの下の面積は、臭気物質濃度に比例する。従って、異なる材料による臭気物質の吸収/吸着は、ピーク面積を用いて比較することができる。
【0117】
試験を数回繰り返した。それぞれの試料の結果として得られる相対的な吸収/吸着容量を反映させて得られた平均値を
図1に要約する。ここで、100%はブランクの試料(実施例1)について決定された最大値を指す。
【0118】
これらの結果から明らかにわかるように、従来の天然重質炭酸カルシウム(Millicarb OG)ではトリエチルアミンの非常に乏しい吸収/吸着しかない。しかし、この結果は、表面反応炭酸カルシウムの粉末を用いるとかなり異なって見え、吸収/吸着のレベルがはるかに高いことを示している。
【0119】
これらの知見に基づいて、さらなる臭気物質および表面反応炭酸カルシウム顆粒を用いてさらなる実験を行った。
【0120】
3.2.表面反応炭酸カルシウム顆粒
それぞれ所定の濃度を有する以下の保存水溶液を調製した:
ジエチルアミン:3000mg/l
トリエチルアミン:1500mg/l
ブタン酸:1000mg/l
3−メチルブタン酸:1000mg/l
ヘキサン酸:1600mg/l
【0121】
吸収/吸着試験を実施するために、吸収/吸着管を以下のもので充填した:
実施例7:吸収/吸着剤なし
実施例8:海砂1gおよびMillicarb OG 0.5gの混合物0.4g
実施例9:海砂1gおよびカオリンクレー0.5gの混合物0.4g
実施例10:0.4gの表面反応炭酸カルシウム顆粒1
【0122】
吸収/吸着管の前に、10μlのそれぞれの保存水溶液で満たされたバイアルを取り付けし、吸収/吸着管の後ろにTenax TAを有する熱脱着管を取り付けた。
【0123】
5分間、室温(23℃)で80ml/分の速度でポケットポンプ(SKC)を用いて、両方の管を介して臭気物質充填バイアルから空気を吸引した。続いて、TD−GC−MSを用いてTenax TA管内の臭気物質含有率を分析した。
【0124】
検出されたピークの下の面積は、臭気物質濃度に比例する。従って、異なる材料による臭気物質の吸収/吸着は、ピーク面積を用いて比較することができる。
【0125】
試験を数回繰り返した。それぞれの試料の結果として得られる相対的な吸収容量を反映させて得られた平均値を
図2および3に要約する。100%はブランクの試料(実施例7)について決定された最大値を指す。
【0126】
これらの結果から明らかに観察できるように、従来の天然重質炭酸カルシウム(Millicarb OG)ではジエチルアミンおよびトリエチルアミンの非常に乏しい吸収/吸着しかない。これに反して、これらの臭気物質は表面反応炭酸カルシウム顆粒により基本的に完全に吸収/吸着される。
【0127】
カオリンクレーに非常によく吸着されているブタン酸、3−メチルブタン酸およびヘキサン酸に関しては、これらの結果は表面反応炭酸カルシウム顆粒を使用することによってさらに改善することができる。
【0128】
さらに、例えば、 天然重質炭酸カルシウムまたはカオリンクレーに反して、表面反応炭酸カルシウム顆粒1は、異なる化学種の臭気物質を同様に良好に吸収/吸着することができる。
【0129】
これらの定量結果とは別に、嗅覚試験を行ったところ、ブタン酸、3−メチルブタン酸、ヘキサン酸を吸収または吸着した表面反応炭酸カルシウム顆粒の試料は全く匂いがないのに対し、カオリンクレーの試料は不快な臭気を有していたことが判明した。
【0130】
この知見は、さらに以下に記載されるさらなる嗅覚試験に至った。
【0131】
3.3.さらなるブタン酸の吸収/吸着試験
ブタン酸は食品分野で最も不快な臭気の1つであるため、この臭気物質についてさらに評価を行った。
【0132】
5重量%ブタン酸の保存水溶液を調製した。
【0133】
吸収/吸着試験を実施するために、吸収/吸着管を以下で充填した:
実施例11:吸収/吸着剤なし
実施例12:シリカゲル
実施例13:バーミキュライト
実施例14:珪藻土
実施例15:活性炭
実施例16:カオリンクレー
実施例17:Millicarb OG
実施例18から21:それぞれSRCC粉末5から8
実施例22+23:それぞれ表面反応炭酸カルシウム(SRCC)顆粒2および3
【0134】
0.2000gのガラス詰め物および0.8000gのそれぞれの吸収/吸着剤(顆粒を除く。顆粒は単独で使用した)を秤量してビーカーに入れた。均一な混合物が得られるまで、はさみで混合物を切断した。60mgの吸収剤/ガラス詰め物混合物、または48mgのSRCC顆粒2または3をそれぞれ吸収/吸着管に充填した。吸収/吸着管の前に、10μlのブタン酸保存水溶液を満たしたバイアルを取り付け、吸収/吸着管の後ろにTenax TAを有する熱脱着管を取り付けた。溶液を保存水溶液で満たした後、それを40℃の水浴中で加熱した。続いて、5分間、40℃で80ml/分の速度でポケットポンプ(SKC)を用いて、両方の管を介して臭気物質充填バイアルから空気を吸引した。続いて、TD−GC−MSによってTenax TA管内の臭気物質含有率を分析した。
【0135】
検出されたピークの下の面積は、臭気物質濃度に比例する。従って、異なる材料による臭気物質の吸収/吸着は、ピーク面積を用いて比較することができる。
【0136】
試験を数回繰り返した。それぞれの試料の結果として得られる相対的な吸収/吸着容量を反映させて得られた平均値を
図4に要約する。ここで、100%はブランクの試料(実施例11)について決定された最大値を指す。
【0137】
図4からわかるように、SRCC粉末および顆粒のいずれか1つの吸収/吸着能力は、従来の天然重質炭酸カルシウムならびにバーミキュライト、珪藻土およびカオリンクレーよりも著しく良好である。
【0138】
シリカゲルおよび活性炭に関しては、表面反応炭酸カルシウム粉末は少なくとも同等の値を提供し、シリカゲルおよび活性炭はかなり高い比表面積を有し、表面積当たりの吸収/吸着能力はシリカゲルおよび活性炭のそれよりも著しく高い(
図5参照)ことに留意しなければならない。
【0139】
4.嗅覚試験
以下の試験では、失禁製品における尿の匂いの比較によるヒトの感覚測定を行った。 この目的のために、本発明による表面反応炭酸カルシウムを含むおよび含まない製品を、臭い強度(強い臭気/無臭)および快不快評価(快適/不快)のパラメーターに関して比較した。
【0140】
4.1.測定方法
匂いは、いくつかの匂いのパラメーターによって記述することができる。これらのパラメーターの決定は、異なるガイドラインに記載されており、以下のものを使用した。
− 強度(VDI 3882;嗅覚;臭気強度の決定;技術的規則、出版日:1992−10;Beuth Verlag)
− 快不快の匂いの印象(VDI 3882およびISO 16000−28)
【0141】
匂いの測定は、12人の試験者および1人の監督者によって行われた。試験チームは、DIN EN 13725:2003[1]に従って訓練され、選択された。
【0142】
4.1.1.匂い強度
強度の評価は、VDI 3882に従って「知覚できない」(0)から「極端に強い」(6)までのカテゴリー尺度によって実行される。
【0143】
匂いの強度を評価するために、試験者は匂いの印象を表1に示す以下の用語に割り当てた。
【0144】
【表1】
【0145】
この点で、レベル1は、臭気検出閾値を超えた場合に割り当てられ、それが特定の匂いの質に明確に割り当てられていなくても、匂いが確認されたことを試験者が確信したことをそのことは意味する。
【0146】
続いて、試験者群のそれぞれの個々の評価の算術平均を計算した。
【0147】
4.1.2.快不快の匂いの印象
快不快評価は、匂いの印象が心地良いか不快な感覚かを説明する。快不快の匂いの印象を評価するために、以下の匂いの尺度を使用した。
【0148】
【表2】
【0149】
続いて、試験者群のそれぞれの個々の評価の算術平均を計算した。
【0150】
4.2.実験手順
4.2.1材料
以下の材料を使用した。
− 布オムツ2枚(100%綿;Alana;dm−drogerie markt GmbH + Co. KGから入手可能)
− Nalophan PET臭気試料バッグ(Odournet GmbHから入手可能)
− PureSniff装置(Odournet GmbHから入手可能)
− 20gの表面反応炭酸カルシウム(SRCC)粉末10(d
50=6.1μm、d
98=14.2μm、SSA=144.0m
2g
−1)
【0151】
粒子の90w/w%が沈降によって決定した2μmより微細である質量ベースの粒度分布を有するオムヤ Avenza SPAからの、粉砕処理で添加された分散剤を含有する湿式粉砕大理石炭酸カルシウムの固形分を、水性懸濁液の総重量に基づいて16重量%の固形分が得られるように調整することによって、混合容器中で重質炭酸カルシウムの水性懸濁液350リットルを調製することによりSRCC10を得た。スラリーを混合しながら、30重量%のリン酸を含む水溶液104kgを70℃の温度で10分間かけて前記懸濁液に添加した。リン酸溶液の添加の開始2分後に、25重量%のクエン酸を含む水溶液12.5kgを前記懸濁液に0.5分間かけて添加した。
【0152】
2つの溶液の添加後、スラリーをさらに5分間撹拌した後、容器から取り出し、乾燥させた。
【0153】
表面反応炭酸カルシウム粉末10の粒子内侵入比細孔容積は、(0.004から0.33μmの細孔直径範囲に対し)0.856g/cm
3である。
【0154】
− 3人の発端者の尿(最初の朝の尿を含む)の混合物
【0155】
4.2.2試料の準備
おむつを1回折り畳み、20gの表面反応炭酸カルシウムをその上に注いだ。おむつを再び折り畳んで、表面反応炭酸カルシウムを覆った。第2のおむつを、同様に表面反応炭酸カルシウムを含まずに折り畳んだ。
【0156】
排尿をシミュレートするために、おむつをそれぞれ60Lの容積を有するNalophanバッグに入れ、10mlの尿をおむつのそれぞれに出した。2時間(10ml)後および4時間(5ml)後にさらにシミュレーションされた排尿を行った。バッグを空気で満たし、36℃の気候室に貯蔵した。1分、1時間、2時間、3時間、4時間、6時間および8時間後に匂いの試料を採取した。
【0157】
4.2.3試料評価
試料を採取した後、試料をPureSniff装置に移して、装置の出口(ノーズマスク)で一定で高度に反復可能な臭気試料の体積流量を生成した。このようにして、各嗅覚試験者は、一定の提示時間にわたって標準化された体積流量を有する同一の試料を受け取り、臭気評価のための反復可能な条件を保証する。任意の時点で、各試験者によって各試料が無作為な順序で2回評価された。このように、合計で各試料を、試料採取の任意の時点で(N=)24回評価した。
【0158】
4.3.結果
強度評価の全平均値を表2に要約し、
図6に示す。
【0159】
【表3】
【0160】
快不快評価の全平均値を表3に要約し、
図7に示す。
【0161】
【表4】
【0162】
これらの結果は、尿を含むおむつにおいて表面反応炭酸カルシウムを使用することにより、匂いの強度の低下をもたらすだけでなく、快不快の印象の改善をもたらすことを非常に明確に示す。