【実施例】
【0015】
〔実施例1の構成〕
実施例1の排水桝1の構成を、図面を用いて説明する。
排水桝1は、例えば、高速道路や橋梁などの路面から雨水等を排水するため、道路側溝などに配置され、
図1に示すように、アスファルト層(図示せず)の下側のコンクリート層2に埋設されている。また、排水桝1には、剥離隙間3を流れた水を集める樋空間4、および、樋空間4に集めた水を排水桝1の内周に導く穴5を具備している。
以下、排水桝1の構成について詳述する。
【0016】
排水桝1は、排水が流入する上部開口7と、流入した排水が流出する下部開口8とを有し、上部開口7が空中に開放されるようにコンクリート層2に埋設される。
また、排水桝1は、次のような、上部筒体10、下部筒体11、および、締結具12を備える。以下、
図1〜
図14を用いて上部筒体10、下部筒体11、および、締結具12を詳述する。
【0017】
まず、上部筒体10は、上部開口7、および、上部開口7の下側で開く別の開口を有する矩形の扁平な筒体であり(以下、上部開口7を開口7uu、別の開口を開口7udと呼ぶことがある。)、開口7uu、7udも矩形である(
図8〜
図10等参照。)。また、上部筒体10は、ガラス繊維などの繊維をプラスチックの中に分散させた繊維強化プラスチック(FRP)を材料とする樹脂成形品であり、コンクリート層2に埋設される(
図1等参照。)。
【0018】
また、上部筒体10の上側には、グレーチング14を受けるためのグレーチング受け15が嵌まっている(
図2、
図3等参照。)。ここで、グレーチング受け15は、SS400等の鉄鋼材料を素材として開口7uuに嵌まるように矩形に設けられ、グレーチング14が載る載置部16、および、排水を通す開口17を有する(
図5〜
図7等参照。)。
【0019】
なお、グレーチング受け15は、下部筒体11に装着されたボルト22により下側から支持されている(
図3参照。)。また、グレーチング14は、鋼材を格子状に組み立てた周知の形状である。また、グレーチング受け15と上部筒体10との間には、合成繊維からなる網状管18が装着され、水の滞留が抑制されている(
図2、
図3等参照。)。
【0020】
次に、下部筒体11は、下部開口8、および、下部開口8の上側で開く別の開口を有し、上部筒体10とは別体に設けられてコンクリート層2に埋設される(
図1〜
図4、
図11〜
図13等参照:以下、下部開口8を開口8dd、別の開口を開口8duと呼ぶことがある。)。なお、下部筒体11も、上部筒体10と同様のFRPを材料とする樹脂成形品である。
【0021】
また、下部筒体11は、次のような上部11a、中部11bおよび下部11cを有する(
図11〜
図13等参照。)。
まず、上部11aは、開口8duを有し、開口8duに上部筒体10の下側端部10dが嵌まって上部筒体10との間に環状の空間を形成する部分であり、締結具12により上部筒体10と締結される(
図1〜
図4等参照。)。
【0022】
また、上部11aは、上部筒体10の下側端部10dが嵌まることができるように矩形筒状に設けられている。そして、上部11aの内周と上部筒体10の外周との間に形成される環状の空間は、上記の樋空間4として機能する。また、樋空間には、例えば、ポリエステル繊維の不織布からなるパッキン19が装着されている(
図1〜
図4、
図14等参照。)。そして、排水桝1をコンクリート層2に埋設した状態では、樋空間4は、上側でコンクリート層2に開放されている(
図1等参照。)。
【0023】
ここで、締結具12は、例えば、ボルト12aおよびナット12bである(
図1、
図14等参照。)。そして、上部筒体10、下部筒体11の上部11aそれぞれに設けた孔にボルト12aの軸部を通して、ボルト12aの頭部およびナット12bにより上部筒体10、パッキン19および上部11aを挟み込んで上部筒体10と下部筒体11とを締結し、上部筒体10と下部筒体11との相対位置を固定する。
【0024】
次に、中部11bは、上部筒体10の下側端部10dと上下方向に向かい合うことで、上記の穴5を形成する部分であり、上側から視たときに矩形状に視える(
図1、
図4、
図11〜
図13等参照)。なお、下側端部10dは開口7udを形成する部分である。
そして、矩形の長辺、短辺それぞれに平行な方向を長手方向、短手方向と定義すると、中部11bの内周には、短手方向の両端に、長手方向と平行な面を有する台部21が設けられ(
図3、
図11等参照)、台部21には、ボルト22が螺合するネジ穴23が設けられている。
【0025】
そして、ネジ穴23に螺合したボルト22によってグレーチング受け15が支持されている。なお、ボルト22のネジ穴23への螺合を調整することグレーチング14の上下方向の位置を調節することができる。
また、台部21の間には、長手方向の一端側ほど下側に位置する矩形状のテーパ面24が設けられ、テーパ面24の長手方向一端には平面25が連続している。そして、平面25に、下部11cの内周が開口している。なお、台部21の上面は、わずかに傾斜しており、テーパ面24および平面25に近いほど下側に存在する。
【0026】
ここで、上部筒体10の下側端部10dも矩形状であり、長手方向に平行な2つの長手部分10L、短手方向に平行な2つの短手部分10Sが存在する(
図8〜
図10参照。)。また、短手部分10Sには、3つの半円の切欠き26が等間隔で設けられ、長手部分10Lには、4つの半円の切欠き26が等間隔で設けられている(
図9、
図10参照。)。そして、上部筒体10と下部筒体11とが締結された状態において、2つの長手部分10Lは、それぞれ短手方向の一端側、他端側の台部21に載っており(
図14参照)、2つの短手部分10Sは、それぞれテーパ面24、平面25と離間している。
【0027】
これにより、台部21と下側端部10dとの間には、上下方向に開く半円形の隙間が形成され、この隙間が穴5として機能する(
図1、
図14参照。)。また、テーパ面24、平面25と下側端部10dとの間には短手方向に伸び、かつ、上下方向に開く矩形状の隙間が形成され、この隙間も穴5として機能する(
図1参照。)。そして、これらの穴5により、樋空間4は下部筒体11の内周に開放されている。また、下側端部10dの矩形の角は、テーパ面24および平面25と上下方向に離れて向かい合っており穴5を形成している。
【0028】
なお、中部11bとグレーチング受け15との間には脱落防止用のチェーン27が架け渡されている。
また、下部11cは、円筒形状であり、下部11cの内周の上側は平面25で開口している。また、下部11cの内周の下側は開口8ddを形成する。そして、下部11cの周囲には型枠管29が配置されている(
図1〜
図4、
図11〜
図13参照。)。
【0029】
〔実施例の効果〕
実施例の排水桝1は、次のような、上部筒体10、下部筒体11、および、締結具12を備える。
すなわち、上部、下部筒体10、11は、両方とも樹脂製であって互いに別体として設けられてコンクリート層2に埋設されている。また、上部筒体10は、上下それぞれの開口7uu、7udを有し、下部筒体11は、上下それぞれの開口8du、8ddを有する。また、締結具12は、上部筒体10と下部筒体11とを締結して上部筒体10と下部筒体11との相対位置を固定する。
【0030】
そして、上部筒体10の内、開口7udを具備する下側端部10dが下部筒体11の開口8duに嵌まることで環状の樋空間4が形成され、樋空間4は、上側でコンクリート層2に開放される。さらに、下側端部10dと下部筒体11の中部11bとの間に穴5が形成されており、樋空間4は、穴5により下部筒体11の内周に開放されている。
【0031】
これにより、上部筒体10の外周壁とコンクリート層2との間に剥離隙間3が形成されても、剥離隙間3を通った水を樋空間4に集めて穴5から排水桝1の内部に導くことができる。また、上部筒体10と下部筒体11との相対位置を変更したり、上部筒体10の下側端部10dや下部筒体11の中部11bの内壁の形状を変更したりすることで、穴5の形状、位置および大きさ等を自在に変更することができる。このため、穴5の形状、位置および大きさ等の変更に関して自由度を高めることができる。
【0032】
また、下部筒体11の中部11bには、内周側ほど下側に傾斜するテーパ面24が存在し、上部筒体10の下側端部10dは、テーパ面24と上下方向に向かい合うことで穴5を形成している。
これにより、樋空間4に集まった水は内周側に流れやすくなるので、水を排水桝1の内周に導きやすくなる。
【0033】
さらに、下部筒体11の開口8du、および、上部筒体10の下側端部10dは矩形であり、矩形の角に穴5が存在する。
これにより、矩形の角、つまり、樋空間4の角に水が溜まって排水されない事態を、未然に防ぐことができる。
【0034】
〔変形例〕
本願発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形例を考えることができる。
例えば、実施例の排水桝1によれば、下部筒体11は樹脂製であったが、下部筒体11を金属製にしてもよい。
また、実施例の排水桝1によれば、開口7uu、7ud、8duの形状は矩形状であり、開口8ddの形状は円形であったが、開口7uu、7ud、8du、8ddの形状は、実施例に限定されず、様々な態様に変更することができる。例えば、開口7ud、8duを円形にして樋空間4を円筒状にしてもよい。
【0035】
また、実施例の排水桝1によれば、テーパ面24は、長手方向の他端側にのみ設けられていたが、例えば、長手方向の一端側にもテーパ面24を設けてもよく、短手方向の一端側、他端側にテーパ面24を設けてもよい。
また、実施例の排水桝1によれば、台部21は短手方向の両端に設けられていたが、台部21を長手方向の両端に設けてもよい。
さらに、実施例の排水桝1によれば、グレーチング受け15と上部筒体10とが別体として設けられていたが、グレーチング受け15と上部筒体10とを一体物として設けてもよい。