(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面に基づいて本発明に係る電気コネクタの実施形態を説明する。
【0017】
図1(A)は、本発明の実施形態のプラグコネクタとレセプタクルコネクタの嵌合前の状態を示す斜視図であり、
図1(B)は、
図1(A)のプラグコネクタを上下反転させて示した斜視図である。
図2は、
図1(A)のプラグコネクタのプラグハウジングの一部およびレセプタクルコネクタのレセプタクルハウジングの一部を省略して示した斜視図である。
図3は、(A)は
図1(A)のプラグコネクタを下方から見た底面図(すなわち、
図1(B)のプラグコネクタを上方から見た図である)、(B)は
図1(A)のレセプタクルコネクタを上方から見た平面図である。
【0018】
本実施形態におけるプラグコネクタ1及びレセプタクルコネクタ2は、それぞれ異なる回路基板(図示せず)の実装面上に配される回路基板用コネクタであり、各回路基板の実装面に対して直角な方向(
図1(A)での上下方向)を挿抜方向とする電気コネクタ組立体を構成している。
【0019】
プラグコネクタ1は、
図1(A),(B)に見られるように、略直方体外形のプラグハウジング10と、該プラグハウジング10に保持される複数の端子20とを有している。該複数の端子20は、各端子20の接触部が回路基板の実装面に対して平行な一方向に配列されるようにして上記プラグハウジング10に一体成形により保持されている。該複数の端子20は、上記接触部の配列方向におけるプラグハウジング10の中央位置で保持される一対の信号端子30と、同方向でプラグハウジング10の端部側で保持され信号端子30とは形状の異なる一対の電源端子としての端部側端子40(以下、「電源端子40」という)から成っている。
【0020】
まず、主に
図1(A),(B)にもとづいて上記プラグハウジング10について説明する。該プラグハウジング10は、例えば樹脂等の電気絶縁材で作られており、上記端子20の接触部の配列方向を長手方向として延びている。該プラグハウジング10は、上記実装面に対して平行な底壁11(
図1(A)参照)と、
図1(B)に見られるように、該底壁11の周部から上方(
図1(A)では下方)へ向けて起立する枠状の周壁12とを有している。該周壁12は、コネクタ嵌合時に、後述するレセプタクルコネクタ2のレセプタクル側受入空間56内へ嵌入される嵌合部として形成されている。該周壁12は、上記配列方向に延びる一対の側壁13と、該配列方向に対して直角なコネクタ幅方向に延び上記一対の側壁13の端部同士を連結する一対の端壁14とを有している。
【0021】
図1(B)に見られるように、上記一対の側壁13のそれぞれの外側面には、上記配列方向にて信号端子30と一方の電源端子40との間の位置で上下方向に延びる被案内溝部13Aが形成されている。該被案内溝部13Aは、コネクタ嵌合の過程でレセプタクルコネクタ2の後述の案内突条部54Aを受け入れ、該案内突条部54Aによって上記配列方向およびコネクタ幅方向に案内される。また、上記一対の端壁14のそれぞれの外側面は、コネクタ幅方向での中間位置で没した没入部14Aが形成されており、該没入部14A内に後述の電源端子40のプラグ端板部44が位置している。また、該没入部14A内を形成する空間のうち上記配列方向で端壁14とプラグ端板部44との間に位置する空間14A−1(
図6(A),(B)をも参照)は、後述するようにコネクタ嵌合過程におけるプラグ端板部44の板厚方向での弾性変位を許容するための空間として形成されている。
【0022】
図1(B)にて周壁12に囲まれ上方へ開口する空間は、後述するレセプタクルコネクタ2の島状に設けられた突壁部52を受け入れるためのプラグ側受入空間15として形成されている。また、
図1(B)に見られるように、上記プラグハウジング10は、上記配列方向にて上記一方の電源端子40が設けられた端壁14に寄った位置、かつ、コネクタ幅方向での中央位置で、上記底壁11から上方へ向けてプラグ側受入空間15内で起立する被案内壁部16を有している(
図3(A),
図5,6をも参照)。該被案内壁部16は、コネクタ幅方向を壁厚方向とし、上記配列方向で一方の端壁14に連結されている。該被案内壁部16は、コネクタ嵌合時にて、後述するレセプタクルコネクタ2の案内溝部52B内へ上方から進入し、該案内溝部52Bによって上記配列方向およびコネクタ方向に案内されるようになっている。
【0023】
次に、複数の端子20のうち、まず、上記信号端子30について、主に
図1(A)および
図4(A),(B)にもとづいて説明する。
図4は、
図1(A)のプラグコネクタ1およびレセプタクルコネクタ2について、端子20の接触部の配列方向における信号端子30の位置で、該配列方向に対して直角な面での断面を示した断面図であり、(A)はコネクタ嵌合前の状態、(B)はコネクタ嵌合後の状態を示している。
【0024】
図1(A)に見られるように、上記信号端子30は、上記配列方向でのプラグハウジング10の中央位置にて該プラグハウジング10のそれぞれの側壁13で一体成形により保持されている。該信号端子30は、金属板を打ち抜いて得られた帯状片を板厚方向に屈曲して作られており、
図4(A),(B)に見られるように、プラグハウジング10の底壁11とほぼ同じ高さ位置で側壁13からコネクタ幅方向(
図4(A),(B)での左右方向)外方へ延出する直状の接続部31と、該接続部31に連続して
図4(A),(B)での下方へ向けて屈曲されるとともにU字状に折り返され上記側壁13に埋没保持されるU字状部分とを有している。該U字状部分は、上記側壁13に沿って延びていて、U字状の板面が該側壁13と同一レベル面を形成するようにして露呈している。
【0025】
上記接続部31は、対応する回路基板(図示せず)の信号回路部と半田接続されるようになっている。また、上記信号端子30のU字状部分の二つの脚部のうち、側壁13の内側面側(プラグ側受入空間15側)に位置する一方の脚部は、後述するレセプタクルコネクタ2の相手信号端子70と接触するための接触部32として形成されている。該信号接触部32には、上記側壁13の内側面側に露呈する平坦な板面で上記相手信号端子70の対応接触部71Aと接触するようになっている。また、側壁13の外側面側に位置する他方の脚部は、上記相手信号端子70の被ロック突部74Aと係止するためのロック部33として形成されている。該ロック部33には、上記被ロック突部74Aを受け入れるためのロック凹部33Aが板面から没して、例えばプレス加工により形成されている。
【0026】
次に、
図1ないし
図3にもとづいて電源端子40について説明する。電源端子40は、金属板を一部材として屈曲して作られており、
図1(A)に見られるように、上記配列方向でのプラグハウジング10の周壁12の端部側部分にて側壁13および端壁14で一体成形により保持されている。
図1(B)に見られるように、該電源端子40は、プラグハウジング10の端部側部分の上面(
図1(A)では下面)に沿って延びる基部41(
図2をも参照)と、該基部41から屈曲されプラグハウジング10の両側壁13のそれぞれの外側面に沿って延びるプラグ側板部42と、該プラグ側板部42の下端で屈曲されコネクタ幅方向外方へ延びる接続部43と、上記基部41から屈曲され該プラグハウジング10の端壁14の外端面に沿って延びるプラグ端板部44とを有している。
【0027】
図1(B)に見られるように、上記電源端子40の基部41は、該基部41の平坦な上面が、プラグハウジング10の端部側部分の角部を除く領域で側壁13および端壁14の上面と同一レベル面を形成するように露呈している。一方、上記プラグ側板部42は、該プラグ側板部42の平坦な板面が、上記側壁13の外側面と同一レベル面を形成するように露呈しており、レセプタクルコネクタ2に設けられた後述の相手電源端子80の対応接触部81Aと接触するための接触部として機能する。次に、上記電源端子40の接続部43は、プラグハウジング10の底壁11(
図1(A)、
図2参照)とほぼ同じ高さに位置し、対応する回路基板(図示せず)の電源回路部に半田接続されるようになっている。また、上記プラグ側板部42と上記接続部43とが連結されている屈曲部分は、
図1(B)によく見られるように、プラグハウジング10の一部に覆われている。さらに、上記電源端子40のプラグ端板部44は、プラグハウジング10の端壁14の没入部14A内にて、上下方向に延びる両側縁部がプラグハウジング10との一体成形により保持されている。また、該プラグ端板部44の板面には、上記配列方向外方へ向けて突出し段状をなすロック段部44Aが例えばプレス加工により形成されている。該ロック段部44Aは、上記相手電源端子80の被ロック段部82B−1とコネクタ抜出方向に係止可能となっている。
【0028】
次に、レセプタクルコネクタ2について説明する。該レセプタクルコネクタ2は、
図1(A)に見られるように、略直方体外形のレセプタクルハウジング50と、該レセプタクルハウジング50に保持される複数の相手端子60とを有している。該複数の相手端子60は、各相手端子60の対応接触部が回路基板の実装面に対して平行な一方向に配列されるようにして上記レセプタクルハウジング50に一体成形により保持されている。該複数の相手端子60は、上記対応接触部の配列方向におけるレセプタクルハウジング50の中央位置で保持される一対の相手信号端子70と、同方向でレセプタクルハウジング50の端部側で保持され該相手信号端子70とは形状の異なる一対の電源端子としての端部側相手端子80(以下、「相手電源端子80」という)から成っている。
【0029】
上記レセプタクルハウジング2は、例えば樹脂等の電気絶縁材で作られており、上記相手端子60の対応接触部の配列方向を長手方向としている。該レセプタクルハウジング50は、上記実装面に対して平行な底壁51(
図2参照)と、該底壁51から上方へ向けて起立するとともに上記配列方向に延びる突壁部52と、上記底壁51の周部から上方へ向けて起立するとともに上記突壁部52を囲む枠状の周壁53とを有している。該周壁53は、上記配列方向に延びる一対の側壁54と、該配列方向に対して直角なコネクタ幅方向に延び上記一対の側壁54の端部同士を連結する一対の端壁55とを有している。上記突壁部52と周壁53との間で上方へ向け開口する環状空間は、プラグコネクタ1の嵌合部としての周壁12を受け入れるためのレセプタクル側受入空間56として形成されている。
【0030】
上記底壁51は、
図3(B)によく見られるように、四隅位置に、該底壁51を貫通する孔部51Aが形成されている(
図5(A),(B)をも参照)。該孔部51Aは、
図3(B)に見られるように、紙面に対して直角な方向に見て、後述の相手電源端子80のレセプタクル側板部81を含む範囲に形成されている。該孔部51Aは、レセプタクルハウジング50と相手電源端子80との一体成形の際に金型の挿入を可能とするための孔部である。具体的には、
図3(B)に示される上記レセプタクル側板部81を三方から囲うような形状の金型(図示せず)が該孔部51Aを経て挿入された状態で一体成形を行うことにより、該レセプタクル側板部81がコネクタ幅方向(
図3(B)にて上下方向)で弾性変位を許容する空間が形成される。
【0031】
また、上記底壁51は、
図3(B)によく見られるように、コネクタ幅方向(
図3(B)にて上下方向)での中央位置に、上記配列方向(
図3(B)にて左右方向)で端壁55に隣接して、紙面に対して直角な方向に上記底壁51を貫通する孔部51Bが形成されている(
図6(A),(B)をも参照)。該孔部51Bは、
図3(B)に見られるように、紙面に対して直角な方向から見て、後述の相手電源端子80の被ロック板部82Bを含む範囲に形成されている。該孔部51Bも、上述の孔部51Aと同様に、レセプタクルハウジング50と相手電源端子80との一体成形の際に金型の挿入を可能とするための孔部である。具体的には、上記被ロック板部82Bの被ロック段部82B−1(
図6(A),(B)参照)を
図6(A),(B)での下方から塞ぐような形状の金型(図示せず)が上記孔部51Bを経て下方から挿入された状態で一体成形を行うことにより、該被ロック段部82B−1の下方に空間を形成して、上記配列方向で該被ロック段部82B−1を端壁55から突出させることができる。
【0032】
図1(A)、
図2および
図4(A),(B)に見られるように、上記底壁51上に島状に設けられた上記突壁部52は、上記配列方向における中央位置での両側面(コネクタ幅方向に対して直角な面)に、後述する相手信号端子70の弾性腕部71の弾性変位を許容するための空間を提供する弾性変位許容溝部52Aが、上記両側面から没するとともに上下方向に延びて形成されている。また、
図1(A)および
図3(B)に見られるように、上記突壁部52は、一方の端壁55に対向する端面(上記配列方向に対して直角な面)に、プラグコネクタ1の被案内壁部16を案内するための案内溝部52Bが、上記端面から没するとともに上下方向に延びて形成されている(
図6(A),(B)をも参照)。
【0033】
また、
図1(A)および
図3(A),(B)に見られるように、レセプタクルハウジング50の上記側壁54の内側面(レセプタクル側受入空間56側の面)には、プラグコネクタ1の側壁13の被案内溝部13Aと対応する位置に、レセプタクル側受入空間56へ向けて突出するとともに上下方向に延びる案内突条部54Aが形成されている。
【0034】
このように、本実施形態では、プラグハウジング10に被案内部16および被案内溝部13Aが、そしてレセプタクルハウジング50に案内溝部52Bおよび案内突条部54Aが、上記配列方向での一方の側にのみ形成されている。したがって、上記配列方向においてコネクタ同士の正規の向きとは反対の向きのままコネクタ同士を嵌合させてしまう、いわゆる逆差しを防止することができる。
【0035】
次に、複数の相手端子60のうち、まず、主に
図1(A)および
図4(A),(B)にもとづいて上記相手信号端子70について説明する。上記相手信号端子70は、金属板を打ち抜いて得られた帯状片を板厚方向に屈曲して作られており、
図4(A),(B)に見られるように、上記配列方向から見て全体が略横S字状をなしている。該相手信号端子70は、レセプタクルハウジング50の側壁54に一体成形により埋設保持される逆U字状部分と、突壁部52に沿って上下方向に延びる弾性腕部71と、底壁51に一体成形により埋設保持され上記逆U字状部部分の後述の内側脚部74および上記弾性腕部71の下端同士を連結する下側連結部72と、上記逆U字状部分の後述の外側脚部75の下端からハウジング外方へ延出する信号接続部73とを有している。
【0036】
上記逆U字状部分は、上下方向に延びる二つの脚部、すなわちコネクタ幅方向での内側に位置する内側脚部74と、同方向での外側に位置する外側脚部75と、内側脚部74および外側脚部75の上端同士を連結する上側連結部76とを有している。上記内側脚部74は、上記側壁54の内側面に沿って上下方向に延びるとともに、レセプタクル側受入空間56側の板面が該側壁54の内側面と同一レベル面を形成するようにして露呈している。また、該内側脚部74の上端寄り位置には、上記レセプタクル側受入空間56へ向けて突出する被ロック突部74Aが例えばプレス加工により形成されている。一方、上記外側脚部75は、側壁54の内部を上下方向に延びている。また、上記上側連結部76は、その上面が側壁54の上面と同一レベル面を形成するようにして露呈している。
【0037】
上記弾性腕部71は、コネクタ幅方向(
図4(A),(B)での左右方向)で弾性変位可能となっており、自由端たる上端にレセプタクル側受入空間側へ突出するように湾曲した対応接触部71Aが形成されている。上記下側連結部72は、上記底壁51に沿ってコネクタ幅方向に延びており、該下側連結部72の上面が底壁51の上面と同一面を形成するように露呈している。上記信号接続部73は、レセプタクルハウジング50の底面とほぼ同じ高さに位置しており、対応する回路基板(図示せず)の信号回路部と半田接続される。
【0038】
次に、主に
図1ないし
図3にもとづいて相手電源端子80について説明する。該相手電源端子80は、金属板を一部材として屈曲して作られており、
図1(A)に見られるように、上記配列方向でのレセプタクルハウジング50の端部側部分にて端壁55で一体成形により保持されている。
図2および
図3をも参照すると判るように、相手電源端子80は、上記レセプタクルハウジング50の両側壁54のそれぞれに沿って延びるレセプタクル側板部81と、該レセプタクルハウジング50の端壁55に沿って延び二つの上記レセプタクル側板部81同士を連結するレセプタクル端板部82と、コネクタ幅方向に延び上記レセプタクル端板部82の下端に連結された接続部83とを有している。
【0039】
図2によく見られるように、上記レセプタクル側板部81は、上記配列方向にて内方(相手信号端子70側)へ向けて延びる片持ち梁状をなしている。
図3(B)によく見られるように、該レセプタクル側板部81は、レセプタクルハウジング50の側壁54の内側面との間にコネクタ幅方向(
図3(B)にて上下方向)で隙間をもって幅方向で対向する二位置に設けられており、この隙間の範囲内でコネクタ幅方向外方(側壁54側)へ向けて板厚方向に弾性変位可能となっている。該レセプタクル側板部81は、
図3(B)に見られるように、自由端側の部分が他部よりもコネクタ幅方向で内方に位置するように、上方から見て略クランク状に屈曲されている。上記自由端側の部分は、レセプタクル側受入空間56内に位置しており、該部分が、プラグコネクタ1の電源端子40の接触部としてのプラグ側板部42と板面で接触する対応接触部81Aとして形成されている。
図1(A)および
図2によく見られるように、該対応接触部81Aの上端は、コネクタ幅方向外方へ向けて若干傾斜しており、この傾斜した部分が、プラグコネクタ1の電源端子40を上記対応接触部81Aとの接触位置に誘い込むための傾斜部81Bとして形成されている(
図5(A),(B)をも参照)。
【0040】
本実施形態では、既述したように、対応接触部81Aが設けられているレセプタクル側板部81がコネクタ幅方向に弾性変位可能となっている。したがって、コネクタ嵌合状態にて、上記電源端子40の接触部としてのプラグ側板部42と相手電源端子80の対応接触部81Aとがその板厚方向(コネクタ幅方向)で十分な接圧をもって弾性接触するので、上記プラグ側板部42と対応接触部81Aとの接触状態をより確実に安定させることができる。また、上記プラグ側板部42と上記対応接触部81Aとは、互いの平坦な板面で広い面積にて面接触するので、良好な接触状態を確保できる。
【0041】
上述のように、本実施形態では、上記プラグ側板部42と上記対応接触部81Aと平坦な板面同士で面接触することとしたが、十分な接触面積を確保できるのであれば、プラグ側板部および対応接触部の板面が平坦面であることは必須ではない。例えば、プラグ側板部および対応接触部のうちの一方に、コネクタ幅方向に突出するように板厚方向で湾曲させた接触突部を形成し、プラグ側板部および対応接触部のうちの他方の平坦な板面に上記接触突部が接触するようにしてもよい。
【0042】
また、本実施形態では、レセプタクルコネクタの相手電源端子に弾性変位可能な部分を設けて、この部分に対応接触部を形成したが、これに代えてあるいはこれとともに、プラグコネクタの電源端子に弾性変位可能な部分を設けて、この部分に接触部を形成してもよい。
【0043】
図2に見られるように、上記レセプタクル端板部82は、コネクタ幅方向に延び二つの上記レセプタクル側板部81同士を連結する本体板部82Aと、該本体板部82Aの上縁で下方へ向けて折り返されるようにして延びる被ロック板部82Bとを有している(
図6(A),(B)をも参照)。該レセプタクル端板部82は、上記被ロック板部82Bの板面がレセプタクル側受入空間56へ向けて露呈する状態で、レセプタクルハウジング50の端壁55内に埋設されている(
図6(A),(B)をも参照)。
【0044】
上記被ロック板部82Bは、上記板面に、コネクタ幅方向の全域にわたって上下方向で段状をなす被ロック段部82B−1が例えばプレス加工により形成されており、該被ロック段部82B−1でプラグコネクタ1の電源端子40のロック段部44Aとコネクタ抜出方向で係止可能となっている。また、上記接続部83は、上記配列方向での端部位置で、レセプタクルハウジング50の底面とほぼ同じ高さでコネクタ幅方向に延びており、対応する回路基板(図示せず)の電源回路部に半田接続されるようになっている。
【0045】
次に、
図1(A)および
図4,5,6にもとづいてコネクタ嵌合動作を説明する。
図5は、
図1(A)のプラグコネクタ1およびレセプタクルコネクタ2について、端子20の接触部の配列方向における電源端子の接触部の位置で、該配列方向に対して直角な面での断面を示した断面図であり、(A)はコネクタ嵌合前の状態、(B)はコネクタ嵌合後の状態を示している。
図6は、
図1(A)のプラグコネクタ1およびレセプタクルコネクタ2について、コネクタ幅方向における電源端子のロック部の位置で、該コネクタ幅方向に対して直角な面での断面を示した断面図であり、(A)はコネクタ嵌合前の状態、(B)はコネクタ嵌合後の状態を示している。
【0046】
まず、プラグコネクタ1及びレセプタクルコネクタ2をそれぞれ対応する回路基板(図示せず)に半田接続して取り付ける。次に、
図1(A)、
図4(A)、
図5(A)および
図6(A)に見られるように、コネクタ嵌合直前の状態で、レセプタクルコネクタ2をレセプタクル側受入空間56が上方へ向いた姿勢とするとともに、該レセプタクルコネクタ2の上方で、プラグコネクタ1のプラグ側受入空間15が下方へ向いた姿勢とする。
【0047】
次に、
図1(A)、
図4(A)、
図5(A)および
図6(A)の姿勢を維持したままプラグコネクタ1を下方へ移動させて(
図1(A)、
図2、
図4(A)、
図5(A)および
図6(A)の矢印を参照)プラグコネクタ1の周壁12をレセプタクルコネクタ2のレセプタクル側受入空間56内へ上方から進入させるとともに、レセプタクルコネクタ2の突壁部52を相対的にプラグコネクタ1のプラグ側受入空間15内へ下方から進入させる。このとき、プラグハウジング10の被案内壁部16がレセプタクルハウジング50の案内溝部52B内に上方から進入するとともに、プラグハウジングの被案内溝部13A内にレセプタクルハウジング50の案内突条部54Aが相対的に下方から進入することにより、上記プラグコネクタ1がコネクタ幅方向および端子20の接触部の配列方向で案内される。
【0048】
この結果、
図4(B)に見られるように、プラグコネクタ1の信号端子30のU字状部分がレセプタクルコネクタ2の相手信号端子70の対応接触部71Aと被ロック突部74Aとの間を押し広げるようにして進入する。そして、コネクタ嵌合状態において、上記相手信号端子70の弾性腕部71は突壁部52の弾性変位許容溝部52A内へ向けて弾性変位し、上記対応接触部71Aが上記信号端子30の接触部32と接圧をもって面接触する。また、上記相手信号端子70の被ロック突部74Aは、上記信号端子30のロック凹部33A内に進入して、コネクタ抜出方向(上方)に係止可能に位置する。このようにして、信号端子同士の電気的な接触及びコネクタ抜出方向(上方)へのロックがなされる。
【0049】
また、
図5(B)に見られるように、プラグコネクタ1の電源端子40のプラグ側板部42がレセプタクルコネクタ2の相手電源端子80の二つのレセプタクル側板部81同士間を押し広げるようにして進入する。そして、コネクタ嵌合状態において、上記レセプタクル側板部81は、レセプタクルハウジング50の側壁54へ向けて弾性変位し、該レセプタクル側板部81の対応接触部81Aが上記プラグ側板部42と接圧をもって接触する。したがって、上記電源端子40は、上記プラグ側板部42の位置にて、上記相手電源端子80の二つの対応接触部81Aによって挟圧された状態となる。この結果、上記プラグ側板部42と対応接触部81Aとの接圧が高まるので、接触状態を安定させることができる。
【0050】
また、上記電源端子40のプラグ端板部44は、ロック段部44Aが相手電源端子80の被ロック板部82に当接すると、プラグハウジング10の端壁14の空間14A−1側へ向けて弾性変位し、ロック段部44Aが被ロック板部82Bの被ロック段部82B−1を乗り越えると自由状態に戻る。そして、コネクタ嵌合状態にて、
図6(B)に見られるように、ロック段部44Aが被ロック段部82B−1の下方に位置する。この結果、ロック段部44Aと被ロック段部82B−1とがコネクタ抜出方向に係止可能に位置し、同方向でのロックがなされる。
【0051】
本実施形態では、プラグコネクタ1の電源端子40そしてレセプタクルコネクタ2の相手電源端子80において、ロック段部44Aおよび被ロック段部82B−1は、それぞれプラグ端板部44およびレセプタクル端板部82に設けられている。つまり、ロック段部44Aは、接触部としてのプラグ側板部42とは別個に、そして被ロック段部82B−1は、対応接触部81Aが形成されたレセプタクル側板部81とは別個に設けられている。
【0052】
したがって、本実施形態では、接触部としてのプラグ側板部42と対応接触部81Aに、コネクタ挿抜方向で係止させるための段部を設ける必要がなくなる。よって、嵌合状態にてコネクタ組立体がコネクタ抜出方向で不用意な外力を受けても、上記接触部と対応接触部81Aとが係止することがない。この結果、上記接触部としてのプラグ側板部42とレセプタクルコネクタ2の対応接触部81Aは上記外力に対抗する係止力を受けないので、接触状態が不安定になることがない。このように、本実施形態によれば、上記ロック部および被ロック部で十分な係止力をもって互いにロックさせることができる一方で、上記プラグ側板部42と上記対応接触部81Aとの安定した接触状態を確保できる。
【0053】
また、本実施形態では、電源端子40のロック段部44Aおよび相手電源端子80の被ロック段部82B−1は、それぞれプラグハウジング1およびレセプタクルハウジング2の側壁側ではなく、端壁側に設けられている。仮に、該ロック段部および被ロック段部を上記側壁側に設けようとすると、該ロック段部および被ロック段部をそれぞれ各電源端子の側板部に設ける必要があるが、該側板部は接触部として機能する関係上、その幅寸法(上記配列方向での寸法)について設計上の制約を受けやすく、該幅寸法を大きくできない場合がある。そこで、本実施形態のように、上記ロック段部および被ロック段部を電気的な機能とは無関係な端板部に設けることにより、コネクタ幅方向に大きくロック段部および被ロック段部を形成できる。この結果、大きな係止力をもってコネクタ同士をロックさせることができる。
【0054】
本実施形態では、ロック段部44Aが形成されている電源端子40のプラグ端板部44は、コネクタ嵌合過程にて、プラグハウジング10の端壁55に形成された空間14A−1へ向けて板厚方向に弾性変位可能となっている。したがって、コネクタ嵌合状態にて、プラグ端板部44とレセプタクルコネクタ2の被ロック板部82とが板厚方向で十分な接圧をもって弾性接触する。この結果、ロック段部44Aと被ロック段部82B−1とが十分な干渉量をもってコネクタ抜出方向で係止し合うので、該ロック段部44Aと被ロック段部82B−1とをより確実にロックさせることができる。
【0055】
また、本実施形態では、プラグ端板部44が弾性変位可能であり、レセプタクコネクタ2の被ロック板部82は弾性変位しないこととしたが、これに代えて、レセプタクコネクタ2の被ロック板部82も弾性変位可能となっていてもよいことは言うまでもない。この場合、レセプタクルハウジング50の端壁55に被ロック板部82の弾性変位を許容するための空間を形成する必要がある。また、ロック段部44Aと被ロック段部82B−1との十分な干渉量が確保できるのであれば、プラグ端板部44および被ロック板部82が弾性変位可能であることは必須ではない。
【0056】
本実施形態では、プラグハウジング1は、レセプタクルハウジング2の島状の突壁部52を受け入れるためのプラグ側受入空間15が形成されているが、これに代えて、レセプタクルハウジングに突壁部を有していない場合には、プラグハウジングに受入空間を形成する必要はない。
【0057】
本実施形態では、プラグコネクタ1の各端子20およびレセプタクルコネクタ2の各相手端子60は、それぞれプラグハウジング10あるいはレセプタクルハウジング50との一体成形により保持されていることとしたが、端子および相手端子の保持の形態はこれに限られない。例えば、端子あるいは相手端子は、プラグハウジングおよびレセプタクルハウジングにそれぞれ形成された圧入保持溝に圧入されて保持されることとしてもよい。
【0058】
本実施形態では、各コネクタの端部側端子を電源端子として使用することとしたが、該端部側端子が電源端子であることは必須ではなく、例えば、グランド端子として使用することも可能である。また、本実施形態では、各コネクタの信号端子は一対だけ設けられていることとしたが、信号端子の数はこれに限られず、複数対設けられていてもよい。さらに、本実施形態では、各コネクタに端部側端子(本実施形態では電源端子)以外に信号端子を設けることとしたが、該信号端子は必須の構成ではない。例えば、信号端子を設けずに端部側端子のみを設けることとしてもよい。また、端部側端子および信号端子の両方を設ける場合であっても、信号端子を使用せずに端部側端子のみを使用することとしてもよい。