【文献】
BARVE MINAL,INDUCTION OF IMMUNE RESPONSES AND CLINICAL EFFICACY IN A PHASE II TRIAL OF IDM-2101, A 以下備考,JOURNAL OF CLINICAL ONCOLOGY,米国,AMERICAN SOCIETY OF CLINICAL ONCOLOGY,2008年 9月20日,VOL:26, NR:27,,PAGE(S):4418 - 4425,10-EPITOPE CYTOTOXIC T-LYMPHOCYTE VACCINE, IN METASTATIC NON-SMALL-CELL LUNG CANCER,URL,http://dx.doi.org/10.1200/JCO.2008.16.6462
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記脳転移が:肺がん、メラノーマ、中皮腫、乳がん、原発性脳がん、卵巣、子宮癌、頭頸部、結腸、胃腸管、腎がん、肉腫、胚細胞腫瘍、白血病、リンパ腫、精巣がん並びに膀胱がんからなる群から選択されるがんに由来する、請求項1に記載の使用のための治療用ペプチドT細胞特異的免疫療法組成物。
【背景技術】
【0002】
全身性がんの多数の望ましくない影響の1つは、脳によって調節されている多数の必須の機能へ続く有害な影響を伴うこの器官への転移拡散である。脳転移(BM)は、重要な医療の課題である。脳転移の好発する発生源は肺、乳房、腎及び直腸結腸癌並びに悪性メラノーマであり、これらのがんを有するいくらかの患者はその疾患の経過において脳転移を発症する可能性があることが推定されている[Langley RR, Fidler IJ. International Journal of Cancer. 2011;128(11):2527-2535頁)]。卵巣癌由来の脳転移の発症率(7/335、2.1%)は、子宮体部癌(4/556、0.7%)、子宮頸部癌(7/1716、0.4%)由来及び他の女性生殖管悪性腫瘍の合計(膣、外陰部及び卵管癌)(0/122、0%)より高かった[Ogawa Kら、Neurologia Medico-Chirurgica. 2008;48(2):57-62頁]。脳転移の診断後の生存期間の中央値は、1から28カ月の範囲であり、6.4カ月の中央値であった。したがって全体として、卵巣癌由来の脳転移の診断後の患者の生存は不良である[Ettie Piura and Benjamin Piura : Oncol. 2011; 2011: 527453)。
【0003】
脳を冒す転移性腫瘍は、原発性脳新生物をたびたび目立たなくし、多数のがんの全体管理における重要な合併症である。多数の原発性悪性腫瘍の内、肺、乳房、メラノーマ、腎及び結腸がんは、脳転移の主な原因である(一方、前立腺、肝臓、膀胱、膵臓及び子宮などの他のがんは脳に播種する傾向は低い)。脳転移は、予後不良及び顕著な罹患率を伴い、処置は多くの場合緩和的である。脳転移の位置、由来及び臨床症状に関わらず、現在の治療努力は、3から6カ月の生存期間中央値をもたらす副腎皮質ステロイドでの対症療法、全脳放射線療法(WBRT)、定位放射線照射及び/又は手術からなる集学的アプローチに限定されたままである。今日までこの事象を確実に予防するために利用できる有効な対策はない。したがって関連症状に対する強い警戒及び脳転移の早期の検証は、治療介入を可能にし、神経系の不可逆的障害を最少化するために必須である。臨床又は生物学に基づく標的化治療の欠如は主に、概念上のフレームワークがほとんどなく、脳転移を研究するためのin vitro及びin vivoモデル系でさえほとんどないためである。
【0004】
脳は肺腺がん転移についての最好発部位の1つである[Sperduto PWら、J Clin Oncol 2012;30:419-25頁]。これらの患者は、不良な生存期間中央値を有し、更に有効な治療が緊急に必要である。伝統的化学療法が転移性脳腫瘍に対してあまり有効でないことから、放射線療法が手術不能な中枢神経系(CNS)疾患についての主な治療又は緩和的選択肢のままである。ステロイドが追加された放射線療法は、頭蓋内病変に50〜75%の応答率をもたらし、神経性症状の急速な減弱及び全身状態(performance status)の改善を提供する。しかし脳転移は、6カ月未満の生存期間中央値である予後不良をまだ宣告する。化学療法後に再発する進行型NSCLC(非小細胞肺癌)を有する患者、特に脳転移を有する患者の場合は一般に予後不良である。
【0005】
脳転移は、転移性NSCLCを有する患者において好発する問題である。NSCLC患者の約7%〜10%が、初診時に脳転移を有しており、かなりの数の患者がその疾患の際のある時点で脳転移を発症する。
【0006】
脳に播種したがん細胞に方向付けられた医療処置は無効である。化学的療法の失敗は、常に無処置血液脳関門(BBB)及びがん細胞による薬物耐性の獲得によるものであった。
【0007】
NSCLC脳転移の標準処置は全脳照射(WBRT)である。この処置(30Gyの処置スケジュール)では、生存中央値は、病巣の数、それらの放射線感受性及び全身性疾患の状態に応じて3〜6カ月である(Tse V, Brain Metastasis Treatment & Management- Medscape Updated:2014年4月16日)。
【0008】
手術又は定位放射線治療での更に積極的な処置は、患者のサブセットにおいてだけ可能である(これらの様式は腫瘍の位置及び特徴に依存する多数の制限を有する)。この状況での全身性処置の役割は、議論の余地があるままである。脳転移疾患の存在が大抵は除外基準になると考えられ、通常脳転移についてのデータは別には分析されないことから、多数の患者シリーズ(例えばゲフィチニブでの処置、下を参照されたい)からのデータは無い。
【0009】
脳内に播種したがん細胞に方向付けられた古典的医療処置は大部分は、無効である。化学療法の失敗は、常に無処置血液脳関門(BBB)及びがん細胞による薬物耐性の獲得によるものであった。脳に転移する大部分の腫瘍は、化学療法感受性ではない。種々の化学療法剤は、肺、乳房及びメラノーマ由来の脳転移を処置するために使用されており、シスプラチン、シクロホスファミド、エトポシド、テニポシド、マイトマイシン、イリノテカン、ビノレルビン、エトポシド、イホスファミド、テモゾロミド、フルオロウラシル(5FU)及びプレドニゾンを含む。多くの場合これらの薬剤の2〜3種がWBRTと組み合わせて、併せて使用される。不運なことにこれらのアプローチの結果は、有望ではない。
【0010】
小分子チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)の出現は、脳転移の管理の変換を促した。ゲフィチニブ及びエルロチニブ、上皮増殖因子受容体(EGFR)TKIは、脳に転移するNSCLCの処置において有望な結果を示した。しかしこれらの処置は、EGFR変異を有する患者において主に有効である(Ceresoli GLら、(2004) Am Oncol. 15(7): 1042-7頁)。
【0011】
トラスツズマブなどのモノクローナル抗体は、転移性乳がんを処置することに使用されている。しかし後者は、BBBを超えて有効ではなく、中枢神経系内に再発を生じる。
【0012】
したがって脳転移を処置し、通常の3から6カ月より長い生存期間を提供するための治療に強い必要性がまだある。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、OSE-2101マルチエピトープT特異的がん免疫治療に基づく脳転移の新規療法に関する。驚くべきことに本発明者らは、ペプチドマルチエピトープの組合せが脳転移処置において予想外の生存期間結果をもたらすことを実証した。それまでは、BBB及び脳転移疾患の重篤度のために、脳における免疫応答の産生は無効である又は、少なくともいくつかの並外れた発見がなされなければ、免疫に基づく治療はがん生物学の重要な局面を標的化する他の様式と組み合わされなければ効果的でないと考えられていた(Lishenge Geら、Clinical and developmental Immunology, 2010 : 296453)。しかし本発明者らは、マルチエピトープT特異的がん免疫治療が脳転移に有効であり得ることだけでなく、ペプチドT特異的がん免疫治療としてのOSE-2101が、それ自体で、周知の処置より優れた結果を生じることを発見した。OSE-2101マルチエピトープT特異的がん免疫治療は、CTL活性及び、驚くべきことにHTL応答にも基づく作用の興味深い免疫機構に他に関連する。
【0025】
定義
「エピトープ」は、免疫グロブリン、T細胞受容体又はHLA分子によって認識される部位を一緒に形成する一次、二次及び三次ペプチド構造並びに電荷などの分子の集合的特性である。代替的にエピトープは、具体的な免疫グロブリンによる認識に関与するアミノ酸残基のセット、或いはT細胞の内容ではT細胞受容体タンパク質及び/又は主要組織適合性複合体(MHC)受容体による認識のために必要な残基として定義され得る。エピトープは、天然に存在し、ヒトによって単離、精製又は他に調製若しくは誘導されてよい。例えばエピトープは、天然源からの単離によって調製されてよい、又はそれらは当技術分野における標準的プロトコールに従って合成されてよい。本開示を通じてエピトープは、場合によりペプチド又はペプチドエピトープと称される場合がある。
【0026】
「ヒト白血球抗原」又は「HLA」は、ヒトクラスI又はクラスII主要組織適合性複合体(MHC)タンパク質である(例えばStitesら、IMMUNOLOGY, 8
th ED., Lange Publishing, Los Altos, CA (1994)を参照されたい)。HLA分子は、共有されるペプチド結合特異性に基づいて分類される。例えばHLA-A2は、ある種のアミノ酸モチーフを保持しているペプチドに対して同様の結合親和性を共有するHLA分子の特定の種類である。患者におけるHLA-A2状態を決定するための方法は、十分周知であり、当業者によって容易に得ることができる(すなわち、血清試料)。
【0027】
「ペプチドエピトープ」は、対立遺伝子特異的モチーフ又はスーパーモチーフを含むペプチドであり、ペプチドはHLA分子に結合し、CTL及び/又はHTL応答を誘導する。それにより本発明のペプチドエピトープは、好適なHLA-A2分子に結合でき、それによりペプチドへの細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答又はヘルパーTリンパ球(HTL)応答を誘導する。
【0028】
「PanDRペプチド」又は「PADRE(登録商標)」ペプチドは、1個より多いHLAクラスII分子に結合する分子のファミリーのメンバーである。分子のPADRE(登録商標)ファミリーを定義するパターンは、HLAクラスIIスーパーモチーフと称される場合がある。PADRE(登録商標)分子は、HLAクラスII分子に結合しin vitro及びin vivoヒトHTL応答を刺激する。PADREペプチドは特許EP735893に記載されている。
【0029】
「CTL及び/又はHTL応答」は、病原性抗原(例えば感染病原体又は腫瘍抗原由来の抗原)に由来する抗原への防御又は治療免疫応答であり、疾患症状、副作用又は進行を何らかの方法で予防する又は少なくとも部分的に抑止する。免疫応答は、ヘルパーT細胞の刺激によって促進された抗体応答も含む場合がある。
【0030】
がんのステージ分類は、元の(原発性)腫瘍のサイズ及び/又は程度(範囲)並びにがんが身体に広がっているかどうか(転移)に基づいてヒトのがんの重症度を記載する。NSCLCステージは、0からIVに番号付けられる。ステージIllb及びIVは最も進行したステージである。
【0031】
「ECOG(米国東海岸癌臨床試験グループ)全身状態」は、患者の疾患がどの程度進行しているかを評価し、疾患が患者の日常生活能力にどの様に影響を及ぼしているかを評価するために医師及び研究者によって使用される。ECOG全身状態は、0から5で番号を付けられる。全身状態0は、完全に活発で疾患前の全ての能力を制限無く行うことができる患者に該当する。全身状態1は、身体的に激しい活動では制限されるが、通院で、軽い又は座位の作業、例えば軽い家事、事務作業を行うことができる患者に該当する。
【0032】
用語「全生存期間」(OS)は、処置の開始日からの患者が生存している期間の長さを指す。臨床治験では、全生存期間を測定することは、新規処置がどの程度良好に作用しているかを見る1つの方法である。
【0033】
マルチエピトープT特異的がん免疫治療
マルチエピトープT特異的がん免疫治療は、長期にわたる腫瘍特異的効果を有し得る免疫メモリーを発達させるように免疫系を促すことができる。ペプチドエピトープは、多数の臨床研究においてがんを有する患者における細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答の誘導のために、有望な総合的結果を伴って使用されている。しかし生存期間に具体的な結果は、脳転移において報告されていない。実際に、脳は主にBBBにより全身性の循環からの比較的離されていることから、脳における増殖性免疫応答の開始は、他の種類のがんよりもかなり限定的であると考えられている。局所マクログリア細胞が腫瘍関連抗原をプロセスし、Tリンパ球に提示できても、通常わずかなナイーブT細胞だけが脳に通過する。
【0034】
有効なペプチドT特異的がん免疫治療は、幅広いCTL特異性の誘導を必要とする。これは、エピトープの組合せに基づいて少なくとも5個の腫瘍抗原を標的化するマルチエピトープの組合せとして複数の腫瘍関連抗原(TAA)を標的化する最適化されたエピトープで最良に達成され得る。本明細書で使用される独自の組合せ(OSE-2101)は、野生型エピトープ及び修飾エピトープ(不規則変化及び固定アンカーエピトープ)によって作られている。不規則変化及び固定アンカーエピトープについての更に詳細な情報は、例えば特許EP1620456に見出すことができる。
【0035】
OSE-2101は、10個の合成ペプチドからなるマルチエピトープT特異的がん免疫治療である。ペプチドの内の9個はTAAに対するCTL応答を誘導するために設計された。より具体的にはT特異的免疫療法は、癌胎児性抗原(CEA)、p53、ヒト上皮受容体-2/神経性(HER-2/neu)並びにメラノーマ抗原2及び3(MAGE-2/3)に対して方向付けられたCTLの誘導のための患者への投与のために設計される。これらのTAAは、それらが結腸がん、卵巣がん、乳がん及びNSCLCなどの種々の進行がんにおいてしばしば過発現されていることから疫学に基づいて選ばれた。各CTLエピトープは、主要組織適合性複合体クラスI分子のHLA-A2スーパーファミリーによって限定されており、それにより一般集団のおよそ45%の適用範囲を提供する。10番目の合成ペプチドは、CTL応答の大きさを増加させるためだけに含まれるpan-DRエピトープ(PADRE)、論理的に設計されたヘルパーTリンパ球(HTL)エピトープである。
【0036】
OSE-2101組成物は、次のペプチドを含む又はこれらからなる:
RLLQETELV 配列番号1
YLQLVFGIEV 配列番号2
LLTFWNPPV 配列番号3
KVFGSLAF 配列番号4
KLBPVQLWV 配列番号5、Bはαアミノイソ酪酸を示す
SMPPPGTRV 配列番号6
IMIGHLVGV 配列番号7
KVAEIVHFL 配列番号8
YLSGADLNL 配列番号9
aKXVAAWTLKAAa 配列番号10、X及びaは、シクロヘキシルアラニン及びd-アラニンをそれぞれ示す。
【0037】
ペプチドは、好適なレジンで出発する固相ペプチド合成のための標準的Boc又はFmoc化学を使用して合成され、標準的方法によって精製されてよい。代替的にペプチドは、組換え細胞での遺伝子操作によって又はRNAによって、例えばin vitro翻訳系によって産生されてよい。
【0038】
OSE-2101組成物は、薬学的に許容される担体又は賦形剤を含んでよい。より好ましくは薬学的に許容される担体は、水性担体、特に緩衝液である。具体的にはそれは、1つ又は複数のアジュバントを含んでよい。例えばアジュバントは、フロイント不完全アジュバント、ミネラルオイルアジュバント、水酸化アルミニウム又はミョウバン、GM-CSFであってよい。他の好適なアジュバントは当技術分野において十分周知である。
【0039】
一実施形態ではOSE-2101 T特異的がん免疫治療は、樹状細胞などのペプチドパルスした抗原提示細胞を含んでよい。
【0040】
好ましくはOSE-2101組成物中でペプチドは、フロイント不完全アジュバントなどに乳化されている。好ましい実施形態ではアジュバントは、フロイント不完全アジュバントに類似するミネラルオイルアジュバントであり、Seppic SA社、Paris、フランスによって製造及び供給される。最も好ましい実施形態ではアジュバントはMontanide(登録商標)ISA 51である。
【0041】
組成物の各ペプチドは、0.1mg/mlから1mg/ml、好ましくは0.5mg/mlの濃度で存在してよい。好ましくはすべてのペプチドが組成物中で同じ濃度で存在する。
【0042】
好ましくはOSE-2101組成物は、Montanide(登録商標)ISA 51アジュバントに1:1(w:w)の比で配合された濃度各0.5mg/mlでのペプチド10種の滅菌、保存剤不含有乳液であり、ゴム栓付きガラスバイアルに充填され、2から8℃に冷却されている。
【0043】
OSE-2101は、無菌状態で製造される。ペプチドは、3種の異なる溶媒に溶解され、滅菌ろ過され、プールされ、次いで管理された条件下での均質化を介してアジュバントに乳化される。産生物出荷検査は、外観、内毒素、無菌性、粘度、粒径、各ペプチドのペプチド濃度、量、pH及び作用強度を含んだ。OSE-2101組成物の調製はその開示が参照により本明細書に組み込まれるWO2004/094454、
図3A及び105〜106頁に詳述されている。
【0044】
任意選択でOSE-2101のペプチド10種に加えて本発明のペプチド組成物は、追加的ペプチド、具体的には細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答を誘導し、TAAを標的化するために使用されるペプチドエピトープを更に含んでよい。
【0045】
脳転移:
脳転移は、頭蓋内新生物の好発型である。多数の原発性悪性腫瘍の内、肺、乳房、メラノーマ、腎及び結腸がんは脳転移の主な発生源である。転移性脳腫瘍の約半分は、肺がん由来である。脳転移は、卵巣、頭頸部、中皮腫、胃腸、肉腫、胚細胞腫瘍、腎臓がん、子宮癌、特に子宮体部及び/又は子宮頸部癌、白血病、リンパ腫、乳がん並びに膀胱がんの後にも生じる場合がある。原発性脳腫瘍は、脳の別の部分へ広がる場合がある(転移又は脊椎へ)。
【0046】
本発明の好ましい態様によりOSE-2101組成物での処置の対象は、脳転移を有し、HLA-A2陽性である患者である。好ましい実施形態では患者の脳転移は、次のがんの1つが原因である:肺、乳房、メラノーマ、腎、結腸、卵巣、子宮癌、特に子宮体部及び/又は子宮頸部癌、頭頸部、膀胱、中皮腫、胃腸管、肉腫、胚細胞腫瘍、白血病、リンパ腫並びに脳がん。好ましくは患者は、肺がん、具体的にはNSCLCを有する。任意選択で患者は、ワクチン接種の前にいくつかのラインの処置を既に受けている。具体的な実施形態では患者は、陽性HTL応答を有する。
【0047】
ヒト白血球抗原クラスI抗原(HLA-A2)プロセシング機構(APM)成分発現における欠損は、腫瘍の臨床経過及びT細胞に基づく免疫治療への応答に否定的な影響を有する場合がある。原発性がん50例と脳転移33例の独立比較は、脳病変でのβ2マイクログロブリン、抗原プロセシング及び免疫反応に関連するトランスポーターの発現の低下を示した[Liu Yら、Cancer Immunol Immunother. 2012 Jun;61(6):789-801頁]。β2マイクログロブリンは、HLA-A2としてMHCクラスI分子の重要な成分であり、MHCクラスIの細胞表面発現及びペプチド結合溝の安定のために必要である。
したがって本発明者らによって観察されたとおりHLA A2機構の欠損が十分記載される場合に、そのような進行型脳転移患者の症例でT細胞応答及び臨床応答を達成することは驚くべきことである。
それは、OSE-2101 T特異的免疫療法の治療有効量の投与を含む、HLA-A2陽性患者において脳転移を処置するための方法に更に関する。方法は、患者のHLA状態を決定する、HLA-A2陽性患者を選択する及びOSE-2101治療用ペプチドの治療有効量をHLA-A2陽性患者に投与する予備ステップを更に含んでよい。
【0048】
投与量及びレジメン
本発明の内容において、用語「処置」又は「処置する」は、治癒的、対症的及び予防的処置を記す。本発明の医薬組成物及び調製物は、既にがん又は腫瘍を有するヒトにおいて、好ましくはがんの進行の後期で使用され得る。本発明の医薬組成物及び調製物は、がんを有する患者を必ずしも治癒しないが、疾患の進行を遅延若しくは遅くする又はさらなる進行を予防し、それにより患者の状態を回復させる。具体的には本発明の医薬組成物及び調製物は、腫瘍の発達を低減する、並びに/又は転移の発生若しくは発達及びがん再発を予防する。がんを処置することにおいて本発明の医薬組成物は、治療有効量で投与される。
【0049】
「有効量」によって、脳転移の有害効果を予防、除去又は低減する本発明の医薬組成物の量が意味される。投与される用量が、患者、病態、投与のやり方などに応じて当業者によって適合され得ることは理解される。投与量及びレジメンは、処置される疾患のステージ及び重症度、患者の体重及び健康の概況並びに処方医の判断によって変化する。より具体的には「OSE-2101ペプチド又は組成物の治療有効量」によって、脳転移を有する患者の全生存期間を増加させるために十分である量が意図される。
【0050】
以前のがん治験は、注射用量あたりペプチド0.1から10mgの範囲で、フロイント不完全アジュバント中に乳化したペプチドの用量を上昇させて検査した。検査したすべての用量で、ペプチド/フロイント不完全アジュバント処置は、重度の用量関連全身性毒性が報告されることなく安全で十分許容されたと見なされた。
【0051】
OSE-2101は、任意の好適な経路によって、具体的には皮下、皮内若しくは筋肉内経路などの非経口経路によって又はエアロゾル、経粘膜、胸膜内若しくはくも膜下腔内経路によって投与されてよい。最も好ましい実施形態ではペプチド組成物は、皮下に投与される。好ましくはOSE-2101は皮下注射用に設計される。
【0052】
好ましい実施形態では各注射又は投与のための総ペプチド用量は、5.0mg(各ペプチド0.5mgを含有する薬物産生物1mL)である。
【0053】
好ましくはペプチド組成物は、初回投薬に続いて確定された間隔での追加投薬によって投与される。例えばペプチドの組合せは、2〜8週間ごとに少なくとも4から6回の注射で、より好ましくは3〜4週間ごとに少なくとも4から6回の注射で投与されてよい。
【0054】
好ましくはペプチドの組合せは、3週間ごとに少なくとも6回の注射で投与される。別の実施形態ではT特異的免疫療法は、最初の15週間について3週間ごと、次いで1年間2カ月ごと、次いで2年間四半期ごとに、合計13用量投与される。
【0055】
任意選択でOSE-2101 T特異的免疫療法での処置は、別のがん処置と併用されてよい。好ましい実施形態ではそれは、脳転移を有する患者を処置するために一般に使用されるがん処置と組み合わせて使用される。例えば化学療法は、シスプラチン、シクロホスファミド、エトポシド、テニポシド、マイトマイシン、イリノテカン、ビノレルビン、エトポシド、イホスファミド、テモゾロミド、フルオロウラシル(5FU)、プレドニゾン、ゲフィチニブ、エルロチニブ及びクリゾチニブなどのチロシンキナーゼ阻害剤並びにこれらの組合せの中から選択されてよい。
【0056】
HTL状態
本発明は、予後マーカーとしてのHTL状態、すなわち陽性又は陰性の使用に更に関する。実際に本発明者らは、HTL陽性である患者はより長い全生存期間を示すことを驚くべきことに観察した。したがってHTL陽性状態は良好な全生存期間の予後マーカー、及び/又はがんに対する治療用マルチエピトープへの応答、具体的にはOSE-2101ペプチドワクチンへの応答の改善のマーカーである。
【0057】
本発明のさらなる態様及び有利点は、例示として見なされ、本出願の範囲を限定しない次の実験セクションにおいて開示される。
【実施例】
【0058】
HLA-A2陽性進行型NSCLCを有する患者におけるOSE-2101ワクチン接種の以前の研究
HLA-A2陽性進行型NSCLCを有する患者においてOSE-2101のフェーズII、非盲検、多施設、単回投与群、反復投与試験を実施した(NCT00104780)。CTL免疫応答及び生存期間についての結果をJournal of Clinical Oncology (Barve Mら、/ Clin Oncol. 2008年9月20日;26(27):4418-25頁)に発表した。
【0059】
方法及び患者:
研究は、HLA-A2陽性であった進行型NSCLCを有する患者におけるOSE-2101の安全性、効能(応答及び生存期間)並びに免疫原性を評価するために設計した。マルチエピトープの組合せを皮下に5mgの用量で最初の15週間について3週間ごと、次いで1年間2カ月ごと、次いで2年間四半期ごとに、合計13用量投与した。
【0060】
患者を最後の注射後に3カ月間追跡した。次いで生存状況を3年間3カ月ごとに次いで5年間まで毎年確認した。腫瘍ステージ分類をベースラインで、9及び18週間で並びに6、9及び12カ月での再評価を伴って実施した。白血球アフェレーシスをワクチン接種前(スクリーニング時)並びに9及び18週間で免疫原性アッセイを実施するために十分な細胞を得るために実施した。血液学、電解質、肝臓、他の臓器機能、検尿及び抗核抗体力価を評価した。毒性をモニターし、National Cancer Institute Common Toxicity Criteriaに従って等級付けした。すべての患者は、プロトコール特異的地域治験審査委員会承認インフォームドコンセント用紙に署名した。固形癌効果判定基準を応答を評価するために使用した。
【0061】
この研究に適格な患者は、ステージIIIB若しくはIV又は再発性NSCLCの組織学的確認を有する18歳以上であった。患者は、0又は1のECOG全身状態、顆粒球絶対数≧1,500/μL、血小板数≧100,000/μL、ヘモグロビン≧10g/dL、総ビリルビン≦2mg/dL、AST(アスパラギン酸トランスアミナーゼ)及びALT(アラニントランスアミナーゼ)≦正常の上限の2.5倍、並びに血清クレアチニン≦正常の上限の2倍を有する必要があった。BMを有する患者は、研究への登録の前に少なくとも2カ月間疾患が臨床的に安定である場合に適格であった。
【0062】
OS(全生存期間)をKaplan-Meier法を使用して推定した。非進行性の生存期間を患者の登録時から進行した、死亡した又は腫瘍応答の最後の評価の日までから決定した。CTL応答を測定するために、抹消血単核細胞2*10
6個(PBMC)/ウエル(エピトープ当たり3から4ウエル)を各ワクチンペプチド(10μg/mL)でin vitroで刺激した。rIL-2の10U/mLを24時間後に加えた。10日間培養後、in vitro増殖PBMCを18時間インターフェロンガンマELISPOTアッセイによって測定してエピトープ特異的(ワクチンCTLエピトープ及びワクチン類似物の野生型エピトープ)CTL応答について検査した。
【0063】
免疫T細胞傷害性応答と生存期間との関連は、測定可能な酵素結合免疫吸着スポットアッセイ(ELISPOT)応答を有するエピトープの数を生存期間との関連でログランク統計を使用して比較することによって行った。
【0064】
HTL応答は、in vitro増殖ステップを伴わずにPBMCから測定した。PBMCを解凍し、培地中で一晩静置し、PBMC 2*10
5個/ウエルをインターフェロンガンマELISPOTアッセイにおいて10μg/mL PADRE又は無関係のマラリアペプチドで刺激した。
【0065】
患者合計135名を登録し、患者64名はHLA-A2について陽性であり、患者72名はHLA-A2陰性であった。HLA-A2陰性群は、陰性HLA型の決定後は前向きには観察せず、情報は生存期間についてだけ提供された。HLA-A2陽性患者64名は、OSE-2101の1回又は複数回の用量で処置され、ITT(治療企図)集団及び安全集団を表す。
【0066】
HLA-A2陽性患者64名の特徴は以下のとおりであった:
* 年齢中央値:64歳(26〜87歳)、
* 男性:55%、女性:45%、
* コーカサス人種:83%、アフリカ系アメリカ人:9%、アジア人:8%。
【0067】
患者の大部分(43/64、67%)は、組み入れ時にステージIV NSCLCを有した。最初の診断からの日数の中央値は416日(74から1921日の範囲)であった。
【0068】
OSE-2101処置患者についての前の処置ラインは、大部分の患者はプラチナコンボでの第1のラインを含めて以前に2ラインを受けていた(65.5%):
* 以前に1ライン:患者の31%、
* 以前に2ライン:28%、
* 以前に3ライン以上(6ラインまで):37.5%。
【0069】
処置集団の92%はプラチナに基づく化学療法、34%はTKI(ゲフィチニブ又はエルロチニブ)を以前に受けていた。
【0070】
患者6名(9.4%)は、脳転移に対する以前の放射線療法を受けていた。
【0071】
患者18名は、登録時に進行性疾患と見なされ、本処置OSE-2101集団の28%に相当する。
【0072】
HLA-A2陰性未処置集団人口動態は、HLA-A2陽性処置集団のものに類似していた:患者72名、年齢中央値65歳(33〜91歳)、男性51%及び女性49%、79%コーカサス人種。患者72名の内1名は追跡不能であった。
【0073】
結果:
上に記載の以前の研究では脳転移を有する患者は、研究への登録の前に少なくとも2カ月間疾患が臨床的に安定である場合に適格であった。患者6名(臨床研究のNSCLC集団の9.4%)は、脳転移に対する以前の放射線療法を受けていた。患者6名全員がステージIV脳転移を有し、1の全身状態に入っていた(Table1(表1)を参照されたい)。
【0074】
本発明者らは、OSE-2101治療がんワクチンの効果を脳転移を呈するこれらの患者6名において初めて調査した。
【0075】
文献により脳転移を有するこれらの患者は、より悪い生存期間を有すると考えられ、それにより研究において短期で最初に死亡すると考えられた。
【0076】
驚くべきことにこれらの患者は、予測されるより大きく長い期間の生存期間を、特に以前に高度に処置され、脳転移の進行したステージを罹患しているこれらの患者について立証された予後不良を考慮した場合に達成した(Table1(表1)を参照されたい)。
【0077】
これらの脳転移を有する患者6名は、OSE-2101がんワクチンを受けた後に、非常に長期の生存期間及び長く進行しない期間も達成した(Table2(表2)を参照されたい)。全身状態1の脳転移を有する患者についてのOS中央値は、4カ月と文献に記載されている。本研究において本発明者らは、7カ月から41カ月の範囲のOSを観察した。
【0078】
本研究以前で未解決の問題は、マルチエピトープ免疫療法がT細胞傷害性細胞の誘導を通じてBBBを迂回できるかどうかを知ることであった。6名の患者の内5名でのCTL応答の評価は、各患者がOSE-2101ワクチンのペプチドエピトープへのCTL応答を有したことを示している。CTL範囲は、1から5個の間のCTLエピトープ陽性応答であった(Table2(表2)を参照されたい)。それにより、OSE-2101治療用ペプチドワクチンはBBBを迂回できる。
【0079】
驚くべきことにHTL応答の研究は有意義であった。HTL応答は、パンDRエピトープ(PADRE)、論理的に設計されたヘルパーTリンパ球エピトープによって引き起こされる。このエピトープは、それがCTL応答の規模をわずかに改善すると考えられることから、マルチエピトープがんワクチンに伝統的に含まれている。
【0080】
この研究では陽性HTL患者は、陰性HTL患者(9.6及び11カ月のOS)と比較した場合に最も長いOS(16.6カ月、24.4カ月及び41カ月)を達成する。更に疾患進行は、HTL陽性患者と比較してHTL陰性患者においてより急速である(Table2(表2)を参照されたい)。
【0081】
陽性HTL応答の臨床的有利点は、臨床治験の患者のサブセットで確認された。本発明者らは、18名の陽性HTL応答患者対15名の陰性HTL応答患者のOSを比較した。HTL陽性群におけるOS中央値は744日間(24.3カ月)[448から980]である一方でHTL陰性群におけるOS中央値は520日間(17カ月)[214から943]である。それにより7.4カ月の差異が観察される。
【0082】
結論:
脳転移は、BBBの存在及びこのステージでの疾患の重篤度にも関わらず治療用がんワクチンOSE-2101の利益を驚くべきことに受ける。OSの重要な増加が、特に高度に以前処置された予後不良集団について観察された。
【0083】
陽性HTL応答は、OSの有意義な臨床的有利点を驚くべきことにもたらす。HTLエピトープは、OSの影響のために強度アッセイとして使用でき、ペプチドによるいかなるin vitro増幅も伴うことなく大きな有利点を表すことができる。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
6名の脳転移性患者の分析は、重度に以前処置されたこれらの患者の進行ステージ及び予後不良を考慮すると非常に興味深い生存期間を理解できるようにする。
【0087】
1名(150番)を除く脳転移(BM)患者(108番、169番、132番、133番及び135番)は、脳転移及び放射線療法にも関わらずがん進行の数週間後に治験に登録した。
【0088】
すべてのBM患者は、以前に全身療法の処置を少なくとも1ライン受けていた。
【0089】
患者5名を少なくとも2ラインの以前の化学療法(第1のラインのプラチナコンボを含む)の後に登録し、患者2名はT特異的免疫治療前に既に3ラインを受けていた。
【0090】
OSE 2101処置を1名(150番は注射2回だけを受けた)を除くすべてのBM患者について最初の注射6回(誘導フェーズの際)を皮下に3週間ごとに投与した。患者2名は、2/3カ月ごとに注射1回の維持フェーズに入った(108番〜150番は両者とも注射8回を受けた)。
【0091】
WBRTとしての放射線療法の後、文献に記載されているNSCLCの生存期間中央値は、3〜6カ月であり、生存期間への効果は限定的であった。BM患者のサブグループにおけるOSE-2101処置後の中央値の評価は、13カ月(7から41の範囲)である。