(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
自動車両の加熱、換気及び/又は空調用の装置(2)であって、前記車両の車室が前記車両の進行方向において前方ゾーンと後方ゾーンとを備え、前記装置(2)はハウジング(4)を備え、
前記ハウジング(4)は、
‐空気流を前記車両の前記前方ゾーンにおける足元に分配するためのダクト(14)と、
‐第1空気流混合チャンバ(15)と、
‐第2空気流混合チャンバ(22)と、
‐前記第1混合チャンバ(15)と前記第2混合チャンバ(22)とを隔離又は連結するように移動可能に配設された分離フラップ(32)と、を含む装置(2)において、
‐前記ハウジング(4)は、
・前記第1混合チャンバ(15)に通じる第1開口(17)と、
・前記第2混合チャンバ(22)に通じる第2開口(27)と、
・前記ダクト(14)の付近の組付キャビティと、を有し、
前記第1開口(17)と前記第2開口(27)は、前記分離フラップ(32)の両側に配設されており、且つ、
‐前記装置(2)は、
・前記第1開口(17)又は前記第2開口(27)を、前記装置(2)の動作モードに応じて閉鎖可能なパーティション(C;320)と、
・前記ハウジング(4)の前記組付キャビティに配設される追加モジュール(200;300)と、を更に備え、
前記追加モジュール(200;300)は、前記ダクト(14)と、及び前記第2開口(27)が閉鎖している場合は前記第1開口(17)と、又は前記第1開口(17)が閉鎖している場合は前記第2開口(27)と、通気連通し、これにより、前記第1開口(17)と前記ダクト(14)との間に、又は前記第2開口(27)と前記ダクト(14)との間に、空気流のための通流チャネルを選択的に画定する、
ことを特徴とする装置(2)。
‐前記ハウジング(4)は、前記装置(2)が前記車両に装着された状態にあるときに前記車両の長手方向軸に一致する長手方向軸(X)において2つの端面(4a、4b)を備え、
‐前記追加モジュール(200;300)は、前記ハウジング(4)の長手方向端面(4b)に配設される、
請求項1に記載の装置(2)。
前記装置(2)の動作モードに応じて前記第1開口(17)又は前記第2開口(27)を閉鎖する前記パーティション(320)は、前記追加モジュール(300)に設けられる、
請求項1又は2の一項に記載の装置(2)。
3‐4ゾーンモード用の追加モジュール(300)は前記ハウジング(4)に装着されるとともに、第1に前記ハウジング(4)の前記第1開口(17)を前記ダクト(14)に連結する前記空気流通流チャネルを画定する外壁(302)と、第2に前記ハウジング(4)の前記第2開口(27)を閉鎖するパーティションを形成する内壁(320)とを備える、
請求項4に記載の装置(2)。
3‐4ゾーンモード用の前記追加モジュール(300)の前記外壁(302)の前記第1部分(304)は、略外方に湾曲状、又は、3‐4ゾーンモード用の前記追加モジュール(300)の外側に向かって配向される凸状部を有する凸状である、
請求項10に記載の装置(2)。
請求項5乃至7のいずれかに記載の加熱、換気及び/又は空調装置(2)用の追加モジュール(200)であって、当該装置(2)が前記車両に装着された状態であるとき、鉛直方向軸(Z)において前記分離フラップ(32)の下方にある前記装置(2)の前記ハウジング(4)の前記第2開口(27)と、前記ダクト(14)との間に、空気流のための通流チャネルを画定することが可能である、追加モジュール(200)において、
前記追加モジュール(200)は、当該追加モジュール(200)を受容するように前記ハウジング(4)に設けられた前記組付キャビティの入口を閉鎖することが可能な閉鎖壁(202)を備える、
ことを特徴とする追加モジュール(200)。
請求項8乃至12のいずれかに記載の加熱、換気及び/又は空調装置(2)用の追加モジュール(300)であって、当該装置(2)が前記車両に装着された状態であるとき、鉛直方向軸(Z)において前記分離フラップ(32)の上方にある前記装置(2)の前記ハウジング(4)の前記第1開口(17)と、前記ダクト(14)との間に、空気流のための通流チャネルを画定することが可能である、追加モジュール(300)において、
前記追加モジュール(300)は、
‐前記空気流通流チャネルを画定可能な外壁(302)と、
‐前記ハウジングの前記第1開口(17)と通気連通した状態で配設されることが意図された開口(307)と、
‐前記ハウジング(4)の前記第2開口(27)を閉鎖するパーティションを形成する内壁(320)と、を備える、
ことを特徴とする追加モジュール(300)。
【背景技術】
【0002】
自動車には、車室の内部に向かう空気流の空気熱力学的パラメータを制御するように、加熱、換気及び/又は空調装置を設けられることが多い。このような装置は、一般にHVAC(heating、 ventilation and air conditioning)として知られている。通常、この装置は、開口が設けられたパーティション(隔壁)により画定されたハウジングであって、少なくとも1つの吸気口と少なくとも1つの排気口とを有するハウジングを備える。
【0003】
公知の態様において、排気口の吸気口から空気流を通流させるようにパルサが使用される。これは、車両の外部からの新鮮な空気流か、又は車室からのリサイクルされた空気流か、又は外部の空気流とリサイクルされた空気流との混合であり得る。
ハウジングは、また、車室の内部に空気流を分配する前にこれを加熱及び/又は冷却するように熱交換器等の熱調整手段を有している。例えば、熱調整手段は、通過する空気流を冷却及び除湿することが意図されたエバポレータと、加熱要素、具体的にはラジエータであって、追加のラジエータと連結され得るとともに、通過する空気流を加熱することが意図された加熱要素と、を備え得る。
【0004】
これらの装置において、ハウジングに流入した空気流全体がエバポレータによって除湿されるように、エバポレータを、空気流の流れ方向において吸気口の下流に配設することが知られている。このようにして生成された冷たい空気は、暖かい空気流を得るように、主混合チャンバに導入される、及び/又は、加熱要素、具体的にはラジエータ、及び場合により追加のラジエータに向かって配向される。
主混合チャンバは、1以上の冷たい空気流及び/又は暖かい空気流を混合させて、混合により生じた所望の基準温度を有する空気流を自動車の車室の特定の領域に向かって分配する役割を果たす。主混合チャンバは、当該主混合チャンバに流入する冷たい空気流と暖かい空気流との割合を規定することを目的として、フラップ等の第1混合要素を設けられている。したがって、この混合要素により、車室の単数又は複数の専用領域、例えば、前方及び後方ゾーンに分配されることが意図された混合空気流の温度の調節が可能となっている。
【0005】
しかしながら、車両の異なる領域、特に車両の最上域用の独立した熱管理ができることも望まれている。これを達成するために、ハウジングは、車室の1以上の他のゾーンを換気する副空気流を生成することが意図された副混合チャンバも有している。
副混合チャンバも、加熱要素と通気連通しており、加熱、換気及び/又は空調装置のエバポレータを通過した空気流の全部又は一部を受容することができる。副混合チャンバは、車室の他のゾーンに分配される空気流の温度を調節するように、第2混合チャンバに流入する冷たい空気流と暖かい空気流との割合を規定するフラップ等の第2混合要素を設けられている。
この場合、主混合チャンバが加熱、換気及び/又は空調装置の上部に通常設けられ、副混合チャンバが加熱、換気及び/又は空調装置の下部に通常設けられる。3‐4ゾーンモードで機能する加熱、換気及び/又は空調装置において、主混合チャンバが、車室の前部における、前方足元に向かう出口ノズルを含む出口ノズルに空気を供給する一方、副混合チャンバが、車室の後方における出口ノズルに空気を供給する。
【0006】
また、上述のように、加熱、換気及び/又は空調装置は、車両の外部からの空気(外気とも称する)か、又はリサイクルされた空気、すなわち車室からの空気のいずれも供給され得る。動作条件に応じて、外部の空気を加熱、換気及び/又は空調装置により加熱した後で、窓ガラスの付近に設置されたデミストノズルを介して導入したり、逆にリサイクル空気を足元ノズルを介して車室へ戻したりすることが特に有益な場合があり得る。外部空気とリサイクル空気との分離状態を保証しつつ供給すべき空気の種類を最適に調節するために、いわゆる「ダブルレイヤー」設備が知られている。
外部空気は、寒いときはリサイクル空気に比較して湿度が低いが、特に冬季条件において比較的冷たいことがある。外気の湿度レベルが比較的低いため、窓ガラスにミストが付着するリスクも低い。
【0007】
これに対し、リサイクル空気は、外気より高い湿度レベルを通常有するとともに、目標温度に近い温度、すなわち、例えば運転者や同乗者により規定された基準温度に近い温度にある。このように、冬季条件においても、このリサイクル空気を、これが車室に戻る前に基準温度までより迅速に加熱することができる。利用者の快適性は非常に向上し、窓ガラスにミストが付着するリスクは低い。なぜならば、このリサイクル空気は、窓ガラスから距離を以て出力されるからである。
この場合、主混合チャンバが外気をデミストノズルに供給するとともに、副混合チャンバが車室の前方足元及び後方足元用の出口ノズルに空気を提供することが知られている。
【0008】
加熱、換気及び/又は空調装置の動作モードによるが、出口ノズル‐及び、特に空気流を車両の前方足元に分配する出口ノズル‐は、必ずしも同一の混合チャンバにより供給を受ける必要はない。
したがって、選択された動作モードに応じた特定の加熱、換気及び/又は空調装置が必要とされている。
車両の前方又は後方ゾーンのいずれかにおける足元領域がデミストノズルに空気を供給するものとは異なる混合チャンバにより空気を供給される1‐2ゾーン又はダブルレイヤー熱調整動作と、車室の前方及び後方に2つの別箇の混合チャンバにより空気が別々に供給され得る3‐4ゾーン動作との両方を可能とする標準的な加熱、換気及び/又は空調装置は存在しない。実際に、加熱、換気及び/又は空調装置のハウジングの少なくとも一部を、車室の1以上のゾーンに向かって方向付けられる空気流を調整する必要があるかどうかに応じて異なった態様で設計しなければならない。
また、自動車の製造メーカーは、ある車両から他のものへ、特にある車両モデルから他のものへ、加熱、換気及び/又は空調装置を交換できることを望んでいる。
加えて、現在、自動車の製造メーカーは、このような加熱、換気及び/又は空調装置に必要なスペースを更に縮小することを望んでいる。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、車両の1以上のゾーンに対する熱調整に関する加熱、換気及び/又は空調装置であって、種々の動作モード、特に、1‐2ゾーン、ダブルレイヤー、又は3‐4ゾーンに容易に適合し得る加熱、換気及び/又は空調装置を提案することにより、従来技術のこのような問題を少なくとも部分的に改善することである。
【0010】
このために、本発明は、自動車両の加熱、換気及び/又は空調用の装置であって、前記車両の車室が前記車両の進行方向において前方ゾーンと後方ゾーンとを備え、前記装置はハウジングを備え、
前記ハウジングは、
‐空気流を前記車両の前記前方ゾーンにおける足元に分配するためのダクトと、
‐第1空気流混合チャンバと、
‐第2空気流混合チャンバと、
‐前記第1混合チャンバと前記第2混合チャンバとを隔離又は連結するように移動可能に配設された分離フラップと、を含む装置を、提案する。
本発明によれば、
‐前記ハウジングは、
・前記第1混合チャンバに通じる第1開口と、
・前記第2混合チャンバに通じる第2開口と、
・前記ダクトの付近の組付キャビティと、を有し、
前記第1開口と前記第2開口は、前記分離フラップの両側に配設されており、且つ、
‐前記装置は、
・前記第1開口又は前記第2開口を、前記装置の動作モードに応じて閉鎖可能なパーティションと、
・前記ハウジングの前記組付キャビティに配設される追加モジュールと、を更に備え、
前記追加モジュールは、前記ダクトと、及び前記第2開口が閉鎖している場合は前記第1開口と、又は前記第1開口が閉鎖している場合は前記第2開口と、通気連通し、これにより、前記第1開口と前記ダクトとの間に、又は前記第2開口と前記ダクトとの間に、空気流のための通流チャネルを選択的に画定する。
【0011】
したがって、加熱、及び/又は空調装置が1‐2ゾーン、ダブルレイヤー、又は3‐4ゾーンモードのいずれかで動作しているかに応じて、適切な追加モジュールが、ハウジングに、前方足元出口ダクトと称される、車両の前方ゾーンの足元領域に空気流を分配するためのダクトに配設され、これにより前方足元出口ダクトに、2つの混合チャンバが独立している場合には第1混合チャンバにより又は第2混合チャンバにより、或いはこれらが依存している場合に両方の混合チャンバにより、選択的に空気を供給する。これによって、装置を特に自動車両の製造メーカーの要望に適合させることが容易となる。
この場合、追加モジュールを受容するハウジングの面を少なくとも部分的に適合させるだけでよく、ハウジングの残りの部分は不変のままでよいため標準化することができる。
特に、追加モジュールを受容するハウジングの面は、一態様において、対応する混合チャンバに通じる開口のうちの一方又は他方を有し得るとともに、他の態様において、この開口は、パーティション、例えばハウジングや他の適切なモジュールのパーティションにより閉鎖される。
【0012】
前記装置は、以下の1以上の特徴を別箇に又は組み合わせて備え得る:
‐前記車両に装着された状態において、前記第1及び第2開口は、鉛直方向軸において前記分離フラップの両側に配設される;
‐前記追加モジュールは、前記組付キャビティの形状に対して相補的な形状を有する;
‐前記ハウジングは、前記装置が前記車両に装着された状態にあるときに前記車両の長手方向軸に一致する長手方向軸において2つの端面を備え、前記追加モジュールは、前記ハウジングの長手方向端面に配設される;
‐前記追加モジュールは、前記ハウジングの面に装着され、前記装置の動作モードに応じて前記第1開口又は前記第2開口を閉鎖する前記パーティションは、前記追加モジュールを受容することが意図された前記ハウジングの前記面のパーティションである;
‐前記装置の動作モードに応じて前記第1開口又は前記第2開口を閉鎖する前記パーティションは、前記追加モジュールに設けられる、
‐前記ハウジングは、前記第1開口を閉鎖するパーティションを有し、前記ダクトを前記第2開口を介して前記第2混合チャンバと連通するために、1‐2ゾーン又はダブルレイヤーモード用の追加モジュールは、前記第2開口と前記ダクトとの間に空気流のための通流チャネルを画定するように前記ハウジングに装着され、これによりそれが前記第2混合チャンバにより空気を供給され得るとともに空気流が前記分離フラップの下方を通流する;
‐1‐2ゾーン又はダブルレイヤーモード用の前記追加モジュールは、前記組付キャビティの入口を閉鎖する閉鎖壁を備える;
‐前記閉鎖壁は、前記組付キャビティの前記入口の形状に対して相補的な形状を有するとともに、少なくとも1つの略平坦部分を有する;
‐前記装置は、前記ハウジングに装着される3‐4ゾーンモード用の追加モジュールを備える;
‐3‐4ゾーン用の前記追加モジュールは、前記ダクトが、前記第1混合ゾーンにより提供され得るとともに空気流が前記分離フラップの上方を通流可能であるように、第1に前記ハウジングの前記第1開口を前記ダクトに連結する前記空気流通流チャネルを画定する外壁と、第2に前記ハウジングの前記第2開口を閉鎖するパーティションを形成する内壁とを備える;
‐前記空気流通流チャネルは、前記ハウジングの前記第1開口を前記組付キャビティを介して前記ダクトに連結する;
‐3‐4ゾーンモード用の前記追加モジュールは、前記ハウジングの前記第1開口と通気連通させることが意図された開口を備える;
‐3‐4ゾーンモード用の前記追加モジュールは、前記ハウジングの面に装着され、3‐4ゾーンモード用の前記追加モジュールの前記外壁は、湾曲に沿って延在する第1部分と、前記追加モジュールを支承する前記ハウジングの前記面に対して略平行に延在する第2部分と、を備える;
‐前記追加モジュールは、3‐4ゾーンモード用の前記追加モジュールの前記外壁の前記第1部分と前記第2部分との交差部において変曲点を有する;
‐3‐4ゾーンモード用の前記追加モジュールの前記外壁の前記第1部分は、略外方に湾曲状、又は、3‐4ゾーンモード用の前記追加モジュールの外側に向かって配向される凸状部を有する凸状である;
‐3‐4ゾーンモード用の前記追加モジュールは、前記空気流通流チャネルにおいて移動可能に配設されたフラップを備える;
‐前記装置は、空気流の流れ方向において分離フラップの上流に配設されたラジエータ等の少なくとも1つの熱交換器を備え、これにより各混合チャンバが、前記少なくとも1つの熱交換器を通過した空気流を受容可能である;
‐前記装置は、前記第1混合チャンバに開口する前記少なくとも1つの第1バイパス路と、前記第1バイパス路から距離を置いて配設されるとともに前記第2混合チャンバに開口する少なくとも1つの第2バイパス路とを備え、これにより、各混合チャンバは、前記少なくとも1つの熱交換器をバイパスした空気流を受容し得る。
【0013】
また、本発明は、このような装置用の追加モジュールに関する。
本発明の一態様によれば、これは、当該装置が前記車両に装着された状態であるとき、鉛直方向軸において前記分離フラップの下方にある前記装置の前記ハウジングの前記第2開口と、前記ダクトとの間に、空気流のための通流チャネルを画定することが可能である追加モジュールである。
前記追加モジュールは、当該追加モジュールを受容するように前記ハウジングに設けられた組付キャビティの入口を閉鎖可能な閉鎖壁を備え、前記組付キャビティの前記入口は、例えば前記装置の鉛直方向軸において分離フラップの下方に配置される。
【0014】
本発明の他の態様によれば、これは、3‐4ゾーンモード用の追加モジュールであって、当該装置が前記車両に装着された状態であるとき、鉛直方向軸において前記分離フラップの上方にある前記装置の前記ハウジングの前記第1開口と、前記ダクトとの間に、空気流のための通流チャネルを画定することが可能である追加モジュールである。
前記追加モジュールは、
‐前記空気流通流チャネルを画定可能な外壁と、
‐前記ハウジングの前記第1開口と通気連通した状態で配設されることが意図された開口と、
‐前記ハウジングの前記第2開口を閉鎖するパーティションを形成する内壁と、を備える。
3‐4ゾーンモード用の前記追加モジュールの前記開口は、前記車両に装着された状態において前記装置の長手方向軸において分離フラップの上方に配設されることが意図されている。
【0015】
3‐4ゾーンモード用の前記追加モジュールは、前記分離フラップのシャフトに対して相補的な形状を少なくとも部分的に有する。
【0016】
いずれの実施形態による追加モジュールも、前記ハウジングの少なくとも1つのダクト、例えば空気流を前記車両の前方足元に分配するためのダクトのサブダクトを定める形状の所定数の側壁を備え得る。
【0017】
いずれの実施形態による追加モジュールも、前記ハウジングの少なくとも1つのダクト、例えば前記車両の前方足元への空気流の分配ダクトのシャフトに配設された少なくとも1つのフラップのシャフトに対する支持部を形成し得る。
【0018】
また、本発明は、自動車両用の上記加熱、換気及び/又は空調装置の組立方法であって、前記車両の車室が前記車両の進行方向において前方ゾーンと後方ゾーンとを備える組立方法に関する。
本発明によれば、前記方法は、以下の工程を備える。すなわち、前記方法は、
‐空気流を前記車両の前方足元ゾーンに分配するためのダクトと、第1空気流混合チャンバと、第2空気流混合チャンバと、前記第1混合チャンバに通じる第1開口と、前記第2混合チャンバに通じる第2開口と、前記ダクトの付近の組付キャビティと、を画成するハウジングを組立てる工程と、
‐可動分離フラップを、前記ハウジングにおいて前記第1混合チャンバと前記第2混合チャンバとの間に配設し、これにより、前記分離フラップの位置に応じて前記第1混合チャンバと前記第2混合チャンバとを隔離又は連結可能にする工程と、更に、
‐3‐4ゾーンモード用の追加モジュールを、前記ハウジングの前記組付キャビティに、前記ダクト及び前記第1開口と通気連通した状態で挿入して装着し、これにより、前記第1開口と前記ダクトとの間に空気流のための通流チャネルを画定する工程と、又は
‐1‐2ゾーン又はダブルレイヤーモード用の追加モジュールを、前記ハウジングの前記組付キャビティに、前記ダクト及び前記第2開口と通気連通した状態で挿入して装着し、これにより、前記第2開口と前記ダクトとの間に空気流のための通流チャネルを画定する工程と、及び前記第1開口を閉鎖するパーティションを装着する工程と、
を備える。
【0019】
本発明の更なる特徴及び利点は、添付図面を参照してなされる以下の説明を読むことにより明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面において、同一の要素には同じ符号が付されている。
【0022】
以下の実施形態は、本発明の主題の説明のために挙げる例である。本発明はこれらの実施形態に限定されない。詳細な説明において1以上の実施形態が言及されるが、各言及が同一の実施形態に関する、又は複数の特性が単独の実施形態のみに適用される、ということを必ずしも意味するものではない。異なる実施形態の単独の特性が組み合されて更なる実施形態が提供され得る。
【0023】
詳細な説明において、いくつかの要素にインデックスが付され得る。換言すれば、例えば第1要素又は第2要素に関して説明がなされ得る。この場合、インデックスは、単に区別としてのものであり、類似しているが同一ではない要素の呼称である。このインデックスは、ある要素の他の物に対する優先度を意味するものではない。このような呼称は、本発明の範囲を逸脱することなく容易に交換され得る。
【0024】
図1は、吸気ハウジング1と、吸気ハウジング1から来る空気流を熱調整可能な加熱、換気及び/又は空調装置2と、を備える加熱、換気及び/又は空調設備100の一部分を示す。
加熱、換気及び/又は空調装置2は、公知の構造体、すなわち、セントラル、又はセミセントラル構造体に適合可能である。セントラル構造体は、吸気ハウジング1(パルサを備えるハウジングの一部)と、特に熱交換手段を備える加熱、換気及び/又は空調装置2とが、同一の長手方向平面に配設されている加熱、換気及び/又は空調設備100に対応する。セミセントラル構造体は、吸気ハウジング1と、加熱、換気及び/又は空調装置2の主ハウジングとが、同一の長手方向平面に配設されておらず、吸気ハウジングは主ハウジングの側方に配設されている加熱、換気及び/又は空調設備100に対応する。
【0025】
加熱、換気及び/又は空調装置2
本発明は、
図2aに最も良く示される、ハウジング4によって画成された空気流のための流路3を備えた加熱、換気及び/又は空調装置2に関する。
図2aは、水平方向軸である、車両の長手方向前後軸に対応する加熱、換気及び/又は空調装置2の長手方向軸Xと、軸Xに対して垂直であって車両の鉛直方向上下軸に対応するZ軸とを示す。本例において、「上(上方、上部)」及び「下(下方、下部)」、又は「前(前方、前部)」及び「後(後方、後部)」という用語は、図面の要素の配置について言及するものであり、これは、車両に取付けられた状態のこれら要素の配置及び車両の進行方向に対応する。
【0026】
ここで、ハウジング4は、軸Xに沿った2つの対向する長手方向端面4a、4bと、軸Zに沿った上面4c及び下面4dである2つの対向する面と、を有する。上面4c及び下面4dは、2つの対向する側面4eを平面XZに対して垂直な横手方向軸Yに沿って連結している。
説明中の本実施形態において、加熱、換気及び/又は空調装置2のハウジング4は、ハウジング4を、有利には同一の2つの半体に分割するように配設された内部分離パーティション5を更に備え得る。
図2aを参照すると、内部分離パーティション5は、平面XZに対して平行な正中面において延在している。したがって、加熱、換気及び/又は空調装置2が車両に設置されると、内部分離平面5は、略鉛直位置及び車両の長手方向軸において配置される。
内部分離パーティション5により、車室の左側部に対して意図された空気流と、車両の右側部に対して意図された空気流とが区別され得る。
内部分離パーティション5は、ハウジング4に収容された、加熱、換気及び/又は空調装置2の2部分部品に分かれる。
【0027】
加熱、換気及び/又は空調装置2は、ハウジング2に配置された、本例ではハウジング4の長手方向端面4bに配置された、1‐2ゾーン又はダブルレイヤーモード用の追加モジュール200、又は3‐4ゾーンモード用の追加モジュール300を更に備える。読解を容易にすべく、以下により詳細に説明されるこれらの追加モジュール200及び300を、第1追加モジュール200及び第2追加モジュール300としてそれぞれ理解する。
ハウジング4は、装着されたときに第1追加モジュール200又は第2追加モジュール300を選択的に受容するように構成された組付キャビティ(図示せず)を有している。
図2a、2bは、
図3a乃至3cに最も明瞭に示される第1追加モジュール200を受容するとともに、1‐2ゾーンモードにおいて熱調整を実行可能な加熱、換気及び/又は空調装置2を示す。
図4は、第1追加モジュール200を受容するとともに、ダブルレイヤーモードにおいて熱調整を実行可能な加熱、換気及び/又は空調装置2を示す。
最後に、
図5a及び5bは、
図5c及び
図5dに最も明瞭に示される第2追加モジュール300を受容する加熱、換気及び/又は空調装置2を示す。
【0028】
車室において空気流を熱調整及び分配するための手段
再びまた
図1及び
図2aを参照すると、車室に分配されることが意図された空気流のための1以上の熱調整手段6、7、8が、加熱、換気及び/又は空調装置2に配置されている。
図示の実施形態によれば、熱調整手段は、加熱、換気及び/又は空調装置2内を通流する空気流の少なくとも一部を加熱することが意図された第1熱交換器6、例えばラジエータを備えている。
図示例において、第1熱交換器6は、全体として略平行六面体形状を有している。また、第1熱交換器6は、その高さが鉛直方向軸Zに対してかなり傾いた方向に延在するようにして、例えば空気流の流路3に配設されている。
【0029】
本例において、第1熱交換器6は、流路3の全高に亘って延在していない。
場合により、第1熱交換器6は、特に車両の起動時に空気流をより迅速に加熱することが意図された追加の電気ラジエータ7に連結され得る。電気ラジエータ7は、有利には、第1熱交換器6に対して略平行に延在している。ここで、電気ラジエータ7は、第1熱交換器6と略同一の高さを有し、したがって、流路3の全高に亘って延在するものではない。
熱調整手段は、また、空気流方向において第1熱交換器6の上流に配設された、第2熱交換器8、例えばエバポレータを備え得る。第2熱交換器8は、加熱、換気及び/又は空調装置2内を通流する空気流全体を冷却及び除湿するように配設される。
図示例において、第2熱交換器8は、全体として略平行六面体形状を有している。更に、第2熱交換器8は、その高さが鉛直方向軸Zに対して略平行な方向において延在するように配設されている。
第1及び第2熱交換器6、8は、略平行な態様において配設され得る。変形例として、熱交換器6、8は、
図2aに示すように、V字形状をなすように互いに対してわずかに傾斜していてもよい。このような配置は、加熱、換気及び/又は空調装置2のコンパクト性に貢献する。
【0030】
車室における調整空気流の分配
空気流は、少なくとも1つの熱交換器によって、ここではエバポレータ8、及び場合によりラジエータ6及び7(
図2a)により熱調整された後、ハウジング4に導入され、その後直ちに空気流は1以上の出口に向かって方向付けられる。
【0031】
各出口は、車室に開口しているノズルに向かって空気流を分配する1以上のダクトを備える。
図面に示す例において、加熱、換気及び/又は空調装置2は、特に、
‐窓ガラスのミストを取り除くことが可能なデミストノズル用の空気流分配ダクト10と、
‐車両の前部に乗っている人を冷やす/温めるための1以上の側方/中央換気ノズルに向かう空気流分配ダクト12と、
‐車両の前部に乗っている人の足を温めるための、車両の前部足元部における出口ノズルに向かう空気流分配ダクト14と、を備える。明瞭性を期して、このダクト14を、以下において、前方足元出口ダクト14と称する。
これらのダクト10、12、14は、調整された空気を車室の前方ゾーンに供給する。
図示の実施形態によれば、加熱、換気及び/又は空調装置2は、調整空気を車室の後方ゾーンに供給する、例えば空気流を、車両の後方に乗っている人の足元を暖めるように車室の後方足元部における出口ノズルに向けて、及び/又は車両の後方における1以上の換気ノズルに向けて方向付けることが意図された1以上のダクト24も備えている。
これらのダクト10、12、14、24のぞれぞれは、
図1に示すように、特に車室の適切なゾーンの右側及び左側部に空気を供給するように、更にサブダクトに分割され得る。
【0032】
更に、本発明による加熱、換気及び/又は空調装置2は、ダクト10、12、14にそれぞれ配設されたフラップ9、11、13(
図2a参照)であって、車室の前方ゾーンに開口している種々のノズルへの空気流のアクセスを制御/ブロックし得るフラップ9、11、13を備え得る。
また、1以上のフラップ23が、車室の後方ゾーンに開口している種々のノズルへの空気流のアクセスを制御/ブロックするように、各ダクト24に設けられ得る。
【0033】
ハウジング4の構造
加熱、換気及び/又は空調装置2のハウジング4の上部
空気流を出口ノズルに所望の温度で分配することができるように、加熱、換気及び/又は空調装置2は、第1空気流混合チャンバ15を備えている。熱交換器6及び8それぞれからの暖かい空気流と冷たい空気流とが、第1混合チャンバ15において様々な割合で混合され、そして車室に開口した出口ノズルに向かって方向付けされ得る。
本実施形態による第1混合チャンバ15は、鉛直方向軸Zにおいてハウジング4の上方ゾーン又は頂部ゾーンにある。
【0034】
本例においてエバポレータである第2熱交換器8からの冷たい空気流が、本例においてラジエータである第1熱交換器6によって熱的に影響を被らないことを保証するように、加熱、換気及び/又は空調装置2は、有利には、第1熱交換器6の第1バイパス路16を備えている。したがって、この第2熱交換器8を通過した冷たい空気流は、加熱されるべく第1熱交換器6を通流し得るか、又はその熱を維持すべく第1バイパス路16を経由して第1熱交換器6をバイパスし得る。
暖かい空気流及び冷たい空気流の2つの空気流は、第1混合チャンバ15の方向においてそこで混合されるように配向され、出口ノズルに向かって基準温度で分配される。
図2bを参照すると、第2熱交換器8を通過した冷たい空気流は、図において実線の矢印で示されるように第1熱交換器6を通流し得る、及び/又は点線の矢印で示されるように第1バイパス路16を経由して第1熱交換器6をバイパスし得る。
【0035】
また、ハウジング4の面において、ここでは長手方向端面4bにおいて、ハウジング4は第1混合チャンバ15に通じる第1開口17を有している。したがって、この第1開口17は、空気流の流れ方向において第1混合チャンバ15及び(設けられていれば)第1バイパス路16の下流に配設されている。この第1開口17は、加熱、換気及び/又は空調装置2の選択された動作モードに応じて、閉鎖又は開放されることが意図されている。
第1開口17は、
図1の左側部及び
図2a乃至4の実施形態において閉鎖している。この第1開口17は、ハウジング4のパーティション
Cにより、ここでは第1追加モジュール200を受容するハウジング4の長手方向端面4bのパーティション
Cにより閉鎖され得る。このパーティション
Cは、長手方向端面4bと一体的に製造され得る。
これに対し、この第1開口17は、
図5a及び5bの実施形態において開放しており、これにより第1混合チャンバ15が前方足元出口ダクト14に連結され得る。したがって、第1混合チャンバ15から来る空気流は、第1開口17及び以下に説明する第2追加モジュール300によって画成される空気通流チャネルを通過しつつ前方足元出口ダクト14に向かって通流し得る。
【0036】
また、
図2aを参照すると、加熱、換気及び/又は空調装置2は、第1熱交換器6を通過する冷たい空気流の割合と、第1バイパス路16を通過する冷たい空気流の割合とを調整し得る第1フラップ18も備え得る。
図2aに示すように、第1フラップ18は、空気流の流れ方向において第1熱交換器6の上流、且つ第2熱交換器8の下流に配設される。図示しない実施形態によれば、第1フラップ18を空気流の流れ方向において第1熱交換器6の下流に配設することも可能である。
第1フラップ18は、2つの端位置、すなわち、
‐空気流、本例においてエバポレータ8を出て第1バイパス路16に向かう冷たい空気流のアクセスをブロックする位置と、
‐エバポレータ8を出て第1熱交換器6に向かう冷たい空気流のアクセスをブロックする位置、
との間で移動可能であるように装着される。
当然ながら、第1フラップ18は、あらゆる中間位置をとり得る。
したがって、第1フラップ18の位置に応じて、第2熱交換器8からの冷たい空気流は、種々の割合において第1熱交換器6に向かって、及び/又は第1混合チャンバ15に直接向かって、次いでダクト10、12、14に向かって配向される。
第1フラップ18は、例えば摺動フラップである。より具体的には、有利には、平坦摺動フラップである。
図2aを参照すると、第1フラップ18は、軸Zに沿って長手方向に延在するように配設されている。より正確には、第1フラップ18は軸Zに沿って摺動する。図示の実施形態によれば、第1フラップ18は、ラックが設けられたゲート21を備えている。第1フラップ18を動作させるように、ラックに対して相補的なギア20が、アクチュエータ(図示せず)によって、平面XZに対して略垂直な横手方向であって
図1において示される軸Yに対して略平行な横手方向軸を中心として回転するように設定される。
ギア20の回転により、第1フラップ18の2つの端位置の間においてゲート21の並進移動が引き起こされる。
【0037】
冷たい空気流の第1熱交換器6へのアクセスは、例えば、後述する分離要素30と第1熱交換器6との間に設置された空気流チャネル3の一部に対応する第1導管19を経由して達成される。
【0038】
このようなハウジング4は、車両の様々なゾーンが同一の温度で換気される均一な熱調整に適した加熱、換気及び/又は空調装置2に対して使用され得る。これを、単一ゾーン又は単独ゾーン加熱、換気及び/又は空調装置と称する。
【0039】
このようなハウジング4は、車室の左側及び右側部の間で温度に差を付けることを可能にする加熱、換気及び/又は空調装置2に対しても使用され得る。この機能を、車室の右側及び左側のシートに向かって方向付けられる空気流を別箇に制御し得る双ゾーン又は両ゾーンと称する。この場合、加熱、換気及び/又は空調装置2の右側及び左側部のそれぞれに、独立して制御されるフラップが設けられ得る。この場合のハウジング4には、上述の内部分離パーティション5が必要である。
【0040】
加熱、換気及び/又は空調装置2のハウジング4の下部
また、車室の前方及び後方ゾーンの間で温度差を設けることも有利であろう。次に、前方及び後方での温度差、及び前方ゾーンの右方及び左方部での温度差、及び/又は後方ゾーンの右方及び左方部で温度差を付けることを可能とする3‐4ゾーンモードとしての動作モードを説明する。
3‐4ゾーン動作のために、ハウジング4には内部分離パーティション5が必要である。
【0041】
他の例によれば、外気流及び車室から得たリサイクル空気流を区別することが有利であろう。実際に、外気流はリサイクル空気流より低い湿度を有し、例えば加熱、換気及び/又は空調装置2により加熱された後に、窓ガラスの付近に設置されたデミストノズルにおいて車室に送り込まれ得る。これに対し、特により迅速に加熱され得る車室からのリサイクル空気流は、窓ガラスから距離を置いた足元ノズルを介して、車室の前方足元又は後方足元領域のいずれかに送り込まれ得る。
外気流の湿度レベルは比較的低いので、窓ガラスにミストが生成されるリスクも低い。逆に、リサイクル空気流は基準温度までより迅速に加熱され得るため、ユーザの快適性は大幅に向上する。
これが、ダブルレイヤー動作モードとして知られている。
【0042】
したがって、特に3‐4ゾーン又はダブルレイヤーモードにおける加熱、換気及び/又は空調装置の動作を可能とするために、加熱、換気及び/又は空調装置2は、第2混合チャンバ22を備えている。
説明中の実施形態によれば、第2混合チャンバ22は、鉛直方向軸Zにおいてハウジング2の下部又は底部に設置され、鉛直方向Zにおいてハウジング4の上部又は頂部に設置された第1混合チャンバ15に対向する。
【0043】
第1混合チャンバ15と同様に、第2混合チャンバ22により、熱交換器6及び8それぞれからの暖かい空気流及び冷たい空気流が種々の割合で混合されて、次いで少なくとも1つのダクト24を介して、車室の適当なゾーンに開口している少なくとも1つのノズルに方向付けられ得る。
【0044】
第1混合チャンバ15と同様に、第2熱交換器8からの冷たい空気流が第1熱交換器6により熱的に影響を被らないように、加熱、換気及び/又は空調装置2は、有利には、第1熱交換器6の第2バイパス路26を備える。ここで、第2バイパス路26は、第1バイパス路16から離間して配設されている。図示例において、2つのバイパス路16、26は。鉛直方向軸Zにおいて第1熱交換器6の両側に配設されている。
したがって、第2熱交換器8を通過した冷たい空気流は、加熱されるべく第1熱交換器6を通流するか、又はその熱を維持すべく第2バイパス路26を経由して第1熱交換器をバイパスする。暖かい空気流及び冷たい空気流の両方が、第2混合チャンバ22に向かってそこで混合されるように方向付けられ、そして車両の適切なゾーンの出口ノズルに基準温度で分配される。
【0045】
また、ハウジング4は、その長手方向端面4bにおいて、第2開口27を有している。これは、第1混合チャンバ15に通じる第1開口17を有する、ハウジング4の長手方向端面4bと同一のものである。
第2開口27は、第2混合チャンバ22に通じている。したがって、この第2開口27は、空気流の流れ方向において、第2混合チャンバ22及び(設けられていれば)第2バイパス路26の下流に配設されている。
【0046】
本例において、第2開口27は、前方足元出口ダクト14と通気連通している組付キャビティに通じるようにハウジング4に配設される。
第2開口27は、
図2a乃至4の実施形態において開放しており、第2混合チャンバ22の前方足元出口ダクト14への連結が可能となっている。これに対して、
図5a及び5bの実施形態において、第2開口27は閉鎖している。この第2開口27は、3‐4ゾーンモード用の第2追加モジュール300に設けられた後述のパーティションにより閉鎖され得る。
【0047】
加熱、換気及び/又は空調装置2の選択された動作モードに応じて、第1開口17又は第2開口27のいずれかが閉鎖される一方、前方足元出口ダクト14の対応する混合チャンバ15又は22の一方又は他方への連結を可能とするように他方は開放し続ける。
【0048】
また、種々の割合での混合を達成するように、加熱、換気及び/又は空調装置2は、第1熱交換器6を通過する冷たい空気流の割合と、第2バイパス路26を通過する冷たい空気流の割合との調整を可能とする第2フラップ28を備え得る。
第2フラップ28は、有利には、第1熱交換器6の第1フラップ18と同じ側に配設される。
図2aに示すように、第2フラップ28は、空気流の流れ方向において第1熱交換器6の上流且つ第2熱交換器8の下流に配設される。図示しない実施形態によれば、第2フラップ28を空気流の流れ方向において第1熱交換器6の上流に配設することが可能である。
第2フラップ28は、2つの端位置、すなわち、冷たい空気流の第2バイパス路26へのアクセスをブロックする位置と、冷たい空気流の第1熱交換器6へのアクセスをブロックする位置、との間で移動可能である。当然ながら、第2フラップ28は、あらゆる中間位置を取り得る。
第1実施形態によれば、第2フラップ28は、第1フラップ18とは異なるタイプのものであってもよい。
例えば、これはドラムフラップであり得る。当然ながら、カーテンフラップやバタフライフラップ等の他のタイプのフラップも好適である。この場合、第2フラップ28を動作させるように、アクチュエータ(図示せず)が、第2フラップ28を、
図1において示す軸Yに対して略平行な横手方向を中心として第2フラップ28の2つの端位置の間で回転させるように設定できる。
変形例(図示せず)によれば、第2フラップ28は、第2フラップ18と同じタイプ、例えば平坦摺動フラップであってもよい。
当然ながら、この場合、第1フラップ18と同様に、第2摺動フラップ28は、ラックが設けられたゲート(図示せず)を備え得る。第2フラップ28を動作させるように、ラックに対して相補的なギア(図示せず)が、アクチュエータ(図示せず)によって、平面XZに対して略垂直な横手方向であって
図1において示される軸Yに対して略平行な横手方向軸を中心として回転するように設定され得る。ギアの回転により、2つの端位置の間においてゲートの並進移動が引き起こされる。2つのフラップ18、28は摺動タイプであるため、場所を取らない。これらは、鉛直軸方向Zに対して略平行に配設されてもよいし、加熱、換気及び/又は空調装置2をその長手方向軸Xに沿ってよりコンパクトなものとするように当該軸Zに対してわずかに傾斜していてもよい。
第2フラップ28の実施形態がどのようなものであっても、その位置に応じて、第2熱交換器8からの冷たい空気は、種々の割合で第1熱交換器6に向かって、及び/又は第2混合チャンバ22に直接向かって、そしてダクト24に向かって方向付けられる。
【0049】
ハウジング4の上部と同様の態様で、冷たい空気流の第1熱交換器6へのアクセスは、例えば、分離要素30(後述)と第1熱交換器6との間に設置された空気流チャネル3の別の部分に対応する第2導管29を経由して達成される。
【0050】
上記から理解されるように、本発明による加熱、換気及び/又は空調装置2は、第1熱交換器6を通過した空気流をそれぞれ受容可能な2つの混合チャンバ15、22を備えている。
【0051】
加熱、換気及び/又は空調装置2からのハウジング4の上部及び下部の分離
・混合チャンバ15、22に向かって方向付けられる空気流の分離
各混合チャンバ15、22が適切な量の暖かい空気流を受容することを保証するために、加熱、換気及び/又は空調装置2は、第2熱交換器8からの空気流を、特定の混合チャンバ15、22に向かって方向付けられることがそれぞれ意図された2つの別箇の空気流に分割することを可能とする分離要素30を備えている。各空気流は、それぞれの基準温度を保証するのに十分な割合においてそれぞれの混合チャンバ15、22に到達するように、導管19、29及び/又はバイパス路16、26を経由して第1熱交換器6の一部を通過することができる。
分離要素30は、例えば、第1熱交換器6の付近に配設される。第1及び第2フラップ18、28が第1熱交換器6の上流において相補的な態様で配設される説明中の実施形態では、分離要素30も第1熱交換器6の上流に配設される。
本例において、分離要素30は、第1熱交換器6の付近であってその端部間において、換言すれば第1熱交換器6の端部の仮想延長線同士の間に設置される。図示例において、分離要素30は、第2熱交換器の長手方向端部に対して配設されている。分離要素30は、例えば、第1導管19の断面が第2導管29のものと等しくなるような態様において、第1熱交換器6の高さの略中央に設置され得る。また、分離要素30は、第1導管19の断面が第2導管29のものより大きくなるような態様において、又はこの逆の態様において配置され得る。
図2a、2b、4及び5に示すように、分離要素30は、互いに連結されて中空の多角形を形成する一連の壁に相当する。しかしながら、この機能を果たすためには単独の壁でも足りるであろう。
分離要素30は、有利には、第1及び第2フラップ18、28を受容することが可能な支持部等の受容手段を備える。
非制限的な例として、このような受容手段は、内方湾曲壁、平坦壁、又は平坦壁に成形された突起から選択される、第1フラップ18又は第2フラップ28が当接する少なくとも1つの支持部を備える。
また、第1熱交換器6の付近に、本例において空気流の流れ方向において下流に配設された追加の電気ラジエータ7を有する図示の実施形態において、第1熱交換器6と追加の電気ラジエータ7との間に配設されて分離要素30の延長部を形成する分離壁30’が設けられ得る。したがって、分離壁30’は、分離要素30と略同一の第1熱交換器6の高さレベルに配設される。
【0052】
・混合チャンバ15、22の分離
上述のように、このような装置2は、複数ゾーンの熱調整に好適であり、すなわち、車両の異なるゾーンが異なる温度で換気され得る。車に乗っている或る人が、第1混合チャンバ15からの空気流に対する基準温度を設定できるとともに、車に乗っている別の人が第2混合チャンバ22からの空気流に対する別の基準温度を設定できる。
典型的には、3‐4ゾーン又はダブルレイヤーモードで作動する加熱、換気及び/又は空調装置は、2つの独立した混合チャンバ15、22を有することが有利である。しかしながら、1‐2ゾーンモードに関しては、依存する混合チャンバ15、22を有することがより有利である。
2つの混合チャンバ15、22の依存性や独立性を保証するために、分離フラップ32が、2つの混合チャンバ15、22の間に配設され、これにより、これらを連結したり、一方から他方を隔離したりすることができる。
当然ながら、分離フラップ32は、
図2a及び2bに示す端の「開放」位置を取ることにより2つの混合チャンバ15、22連結し、且つ
図4及び5aに示す端の「閉鎖」位置を取ることにより2つの混合チャンバ15、22を隔離して、分離フラップ32の両側にある、第1混合チャンバ15を含むハウジング4の上部、及び第2混合チャンバ22を含むハウジング4の下部を規定する。
ここで、分離フラップ32は、分離要素30と、及び該当する場合に分離壁30’とに整列している。このように整列させることにより、ハウジング4を二つの部品に分割することができる。
【0053】
また、ハウジング4の長手方向端面4bに設けられた第1混合チャンバ15に通じる第1開口17と、ハウジング4の第2混合チャンバ22に通じる第2開口27は、鉛直方向軸Zにおいて分離フラップ32の両側に配設される。より正確には、第1開口17が分離フラップ32の上方に設置され、第2開口27が分離フラップ32の下方に設置される。
【0054】
加熱、換気及び/又は空調装置2の動作モードに応じた適合
加熱、換気及び/又は空調装置2に対して選択された動作モードに応じて、1‐2ゾーン又はダブルレイヤーモードに適した第1追加モジュール200か、3‐4ゾーンモードに適した第2追加モジュール300のいずれかがハウジング4に、ここではその長手方向端面4bに装着される。
より正確には、追加モジュール200又は300は、ハウジング4の組付キャビティに装着されて、車両の前方足元領域に向かって方向付けられる空気流通流チャネルを画定することが意図されている。
この目的のために、組付キャビティ(図示せず)は、前方足元出口ダクト14が当該組付キャビティ内に開口するようにしてハウジング4に配設される。結果として、組付キャビティは、ハウジング4の壁により、具体的には前方足元出口ダクト14を画定するハウジング4の壁により画定される。
また、説明中の具体例において、ハウジング4の第2開口27は、第2混合チャンバ22と組付キャビティとを連結するように組付キャビティに開口している。第2開口27が開放しているときに、このことが可能であることは明らかである。
当然ながら、追加モジュール200又は300は、組付キャビティの形状に対して相補的な形状を有する。具体的には、追加モジュール200又は300の周縁部が、組付キャビティを画定するハウジング4の壁の形状に厳密に従うように成形され得る。
追加モジュール200又は300は、何らかの適切な手段によってハウジング4に固定され得る。
【0055】
1‐2ゾーン又はダブルレイヤー動作用の追加モジュール200
図2a乃至4を参照すると、1‐2ゾーン又はダブルレイヤーモード用の第1追加モジュール200が、ハウジング4に配設されている。
第1追加モジュール200は、第2混合チャンバ22に通じるハウジング4の第2開口27と前方足元出口ダクト14との間に空気流通流チャネルを画定するように配設される。このようにして、前方足元出口ダクト14は第2混合チャンバ22に第2開口27を介して連結されて、第2混合チャンバにより空気を供給され得る。
この場合、第1混合チャンバ15に通じる第1開口17は閉鎖されている。
図2a、2b、3a及び4に示す例において、当該第1開口17は、ハウジング4のパーティション
Cによって、より正確には、ハウジング4の長手方向端面4bのパーティション
Cによって閉鎖されている。
【0056】
更に、
図3a乃至3cに最も明瞭に示される第1追加モジュール200は、ハウジング4に設けられた組付キャビティの入口を閉鎖する閉鎖壁202を備える。「キャビティの入口」という用語は、ハウジング4の外部からアクセス可能なキャビティのゾーンであって、第1追加モジュール200又は第2追加モジュール300のハウジング4に対する装着を可能にするゾーンを意味する。図示の実施形態において、キャビティの入口は、鉛直方向軸Zにおいて分離フラップ32の下方に位置する平面に配設される。
閉鎖壁202は、こうして、ハウジング4の外部からの組付キャビティへのアクセスを閉鎖する。これを達成するように、閉鎖壁202は、ハウジング4に設けられた組付キャビティの入口の形状に対して相補的な形状を有している。
【0057】
閉鎖壁202は、少なくとも1つの略平坦部分204を有し得る。図示例において、閉鎖壁202は、略平坦中央部分204を有する。
また、閉鎖壁202は、平坦部分204に対して隆起した例えば1つ以上の部分206、208を有する。「隆起した」という用語は、加熱、換気及び/又は空調装置2が車両に装着された際に、隆起したと記載される部分206、208が、軸Zにおいて平坦部分204を鉛直方向に越えて盛り上がっていることを意味する。
隆起部分206、208は、第1追加モジュール200を受容可能な組付キャビティを画定するハウジング4の壁の縁部の形状に厳密に従うように成形される。
より正確には、図示例において、閉鎖壁202は、平坦部分204に対して隆起した2つの側方部分206を有する。この2つの側方部分206は、
図1及び3bにおいて示される軸Yにおいて平坦部分204の両側に、互いに対向するようにして配設される。
隆起した側方部分206のそれぞれは、組付キャビティを画定するハウジング4の壁の形状と協働するように形成される。前方足元出口ダクト14が組付キャビティに開口している説明中の実施形態において、隆起した側方部分206は、前方足元出口ダクト14を画定するハウジング4の壁と協働するように成形される。より正確には、本例において、2つの隆起した側方部分206は、ハウジング4の内部分離パーティション5の両側において、前方足元出口ダクト14を画定するハウジング4の壁と協働することが可能である。
更に、本例において、閉鎖壁202は、平坦部分204及び2つの隆起した側方部分206に結合された隆起した前方部分208であって、分離フラップ32の下方で組付キャビティを画定するハウジング4の壁と協働可能であるように成形された前方部分208を有する。
本例において、閉鎖壁202は、また、平坦部分204に対して引き下げられた部分210、すなわち車両に装着された場合に軸Zにおいて平坦部分204の下方に位置する部分210、ここでは組付キャビティを画定するハウジング4の壁と協働するように成形された後方引下げ部分210を備える。この引下げ部分210は、平坦中央部分204及び2つの隆起した側方部分206に連結されるとともに、軸Xにおいて前方隆起部分208に対向するように配設される。
【0058】
第1追加モジュール200は、平面YZに対して平行に延在する後壁212も備え得る。ここで、後壁212は、ハウジング4の組付キャビティの内部に挿入されることが意図されている。この後壁212は、第1追加モジュール200がハウジング4の組付キャビティに装着された状態において、ハウジング4の内壁に当接することが可能である。
【0059】
最後に、第1追加モジュール200は、有利には少なくとも2つの側壁214、ここでは3つの側壁214を備え得る。本例において、側壁214は後壁212によって連結されている。
側壁214は平面XZに対して平行に延在するとともに、前方足元出口ダクト14のサブダクトを画定して、これらが第1に車両の左側部に空気を供給し、第2に車両の右側部に空気を供給することを可能とする。また、側壁214は、車室の後方ゾーンに、具体的には、後方足元に向けて及び1つ以上の後方換気出口に向けて空気を供給することが意図された、ダクト24のサブダクトを画定することができる。
側壁24は、少なくとも1つのフラップシャフトに対する支持機能をも果たし得る。
【0060】
図示例において、側壁214は、空気流のアクセスを制御又はブロックするように前方足元出口ダクト14に配設されたフラップ13(
図2a参照)に対するシャフト支持部を形成する。この目的のために、ノッチ216等の支持手段が、側壁214に設けられる(
図3b及び3c参照)。ノッチ216は、フラップ13のシャフトに対して相補的な形状を有し、ここでは略半円形状である。また、本例において、ノッチ216は、側壁214に軸Zにおいて、例えば各側壁214の周縁において配設されている。
図示例において、側壁214は、空気流のアクセスを制御又はブロックするように、車室の後方ゾーンに空気を提供するためのダクト24に配設されたフラップ23(
図2a参照)のシャフト支持体も形成する。この目的のために、ノッチ218等の支持手段が、側壁214に設けられる。ノッチ218は、フラップ23のシャフトに対して相補的な形状を有し、ここでは略半円形状である。更に、本例において、ノッチ218は、側壁214に軸Zにおいて、例えば各側壁214の周縁において配設されている。
【0061】
当然ながら、上述の第1追加モジュール200の形状は一例である。第1追加モジュール200の形状は、第1追加モジュール200を受容するハウジング4の組付キャビティの形状に応じて適合され得る。
【0062】
3‐4ゾーン動作用の追加モジュール300
図5a乃至5dを参照すると、3‐4ゾーンモード用の第2追加モジュール300が、
図2a乃至4を参照して説明した第1追加モジュール200に代わって、ハウジング4に配設されている。
第2追加モジュール300は、第1混合チャンバ15に通じるハウジング4の第1開口17と前方足元出口ダクト14との間に空気流のための通流チャネルを画定するように配設される。このようにして、前方足元出口ダクト14は、第1混合チャンバ15に第1開口17を介して連結されて、当該第1混合チャンバ15により空気を供給され得る。
このために、第2追加モジュール300は、ハウジング4の第1開口17を前方足元出口ダクト14に連結する空気流通流チャネルを画定する外壁302を備えている。「外」壁という用語は、第2追加モジュール300がハウジング4に装着された際に、当該外壁302にハウジング4の外部からアクセス可能であるということを意味する。
ここで、第1混合チャンバ15は、組付キャビティを介して前方足元出口ダクト14に通気連通している。換言すれば、第2追加モジュール300は、組付キャビティの入口を閉鎖することなく組付キャビティに配設されている。したって、第1混合チャンバ15から来る空気流は、組付キャビティの入口を通過することによって前方足元出口ダクト14に向かって通流し得る。
第2追加モジュール300の外壁302により画定された空気流通流チャネルは、加熱、換気及び/又は空調装置2の1‐2ゾーン又はダブルレイヤー動作モードにおける、
図3a乃至3cを参照して記述した第1追加モジュール200により画成される空気流通流チャネルに対して、空気流転換チャネルを形成する。
【0063】
また、図示された実施形態において、第2追加モジュール300の外壁302は、
‐湾曲に沿って延在する第1部分304と、
‐ハウジング4の面、ここでは端面4bに対して略平行に延在するとともに、第2追加モジュール300を支承する第2部分306と、
を備える。
第1部分304は、略外方に湾曲状又は凸状であり、凸状部は第2追加モジュール300の外側に向かって配向されている。
図5a及び5bに示す実施形態において、外壁302の第1部分304は、軸Zにおいて組付キャビティの入口の上方に、これから距離を置いて配設されている。第1部分304は、ハウジング4の第1開口17を画定するハウジング4の壁の縁部の形状に厳密に従うように形成される。これは、特にハウジング4の面4b、ここでは長手方向端面4bに対面することが意図された外壁302の第1部分304の面であって、組付けられている間、第1開口17を画定する壁と協働するように成形された面である。
この場合、
図5a乃至5dを参照すると、第2追加モジュール300は、有利には、ハウジング4に設けられた第1開口17に対面するように配設されることが意図されたオリフィス307を備える。具体的には、このオリフィス307は、ハウジング4に対面する外壁302の第1部分304の面に配設される。したがって、オリフィス307は、組立てられると分離フラップ32の上方に配設されることが意図されている。当該オリフィス307は、第2追加モジュール300を貫通する空気流通流チャネルの入口を画成し、そして第2追加モジュール300がハウジング4に装着された場合に、第1混合チャンバ15からの空気流が第2追加モジュール300を通過することを可能にする。
更に、第2追加モジュール300の2つの部分304と306との交差部308において変曲点が設けられ得る。
【0064】
また、第2追加モジュール300は、ハウジング4に少なくとも一部が‐ここでは第1略湾曲部分304‐が分離フラップ32の上方になるように装着されることが意図されているため、分離フラップ32に対面する第2追加モジュール300の面は、分離フラップ32のシャフトと協働するように、
図1及び5cにおいて示される軸Yにおいて略円形の凹部309を有している。
【0065】
また、第2追加モジュール300は、第2部分306の周縁において、組付キャビティを画定するハウジング4の壁と協働するように成形された後方部分310を備え得る。
【0066】
また、第2追加モジュール300は、有利には、当該第2追加モジュール300によって、第1開口17と前方足元出口ダクト14との間に形成された空気流転換チャネルに移動可能に配設されることが意図された追加フラップ34用の通路311を、(本例においては第1部分304の高さにおいて)備えている。この追加フラップ34は、空気流のアクセスの制御又はブロック機能を有する。
【0067】
また、第2追加モジュール300は、有利には、平面YZに対して平行に延在する後壁312も備える。ここで、後壁312は、ハウジング4の組付キャビティの内部に挿入されることが意図されている。当該後壁312は、第2追加モジュール300がハウジング4の組付キャビティに装着された状態において、ハウジング4の内壁に当接することが可能である。
【0068】
更に、
図5c及び
図5dに図示された実施形態によれば、第2追加モジュール300は、1つ以上の側壁314、例えば2つの側壁314を有し得る。本例において、側壁314は後壁312により連結されている。
側壁314は、平面XZに対して平行に延在するとともに、前方足元ダクト14のサブダクトを画定して、これらが第1に車両の左側部に空気を供給し、第2に車両の右側部に空気をすることを可能とする。また、側壁314は、車室の後方ゾーンに、具体的には、後方足元に向けて及び1つ以上の後方換気出口に向けて空気を供給することが意図された、ダクト24のサブダクトを画定することができる。
【0069】
第1追加モジュール200と同様の態様において、第2追加モジュール300の側壁314も、少なくとも1つのフラップシャフトに対する支持機能を果たし得る。
図示例において、側壁314は、空気流のアクセスを制御又はブロックするように、前方足元出口ダクト14に配設されたフラップ13のシャフト支持体を形成する(
図5a及び5b参照)。この目的のために、ノッチ316等の支持手段が側壁314に設けられる(
図5c‐5df参照)。ノッチ316はフラップ13のシャフトに対して相補的な形状を有し、
ここでは略半円形状である。本例においても、ノッチ316は、側壁314に軸Zにおいて、例えば各側壁314の周縁において配設されている。
図示例において、側壁314は、空気流のアクセスの制御又はブロックのために、車室の後方ゾーンに空気を供給するようにダクト24に配設されたフラップ23のためのシャフト支持体も形成している(
図5a‐5b参照)。この目的のために、ノッチ318等の支持手段が側壁314に設けられている。ノッチ318は、フラップ23のシャフトに対して相補的な形状を有し、ここでは略半円形状である。更に本例において、ノッチ318は、側壁314に軸Xにおいて、例えば各側壁314の周縁において配設されている。
【0070】
また、前方足元出口ダクト14を第1混合チャンバに連結するように第2追加モジュール300をハウジング4に配設する場合、第2混合チャンバ22に通じる第2開口27は閉鎖される。
図示の実施例において、この目的のために、第2追加モジュール300は、ハウジング4の第2開口27を閉鎖するためのパーティションを形成する内壁320を有している。「内」壁という用語は、第2追加モジュール300がハウジング4に装着された際に、この内壁320が加熱、換気及び/又は空調装置2の内側に位置する、ということを意味する。
ここで、前方内壁320は、軸Zにおいて延在する少なくとも1つの部分を有している。図示例において、内壁320は、軸Xにおいて延在する部分も有している。
また、ノッチ316に対して相補的な態様で、この内壁320は、フラップ13のシャフトの形状に対して相補的であってフラップ13のシャフトの通過を許容する略円形部分322を有し得る。
【0071】
当然ながら、第2追加モジュール300の形状についての上記の記載は例示としてのものである。第2追加モジュール300の形状は、第2追加モジュール300を受容するハウジング4の組付キャビティの形状に応じて適合され得る。
また、第2追加モジュール300を受容するハウジング4に必要なスペースは、第1追加モジュール200を受容するハウジング4に必要なスペースと実質的に同じである。
【0072】
加熱、換気及び/又は空調装置2の組立
上記の加熱、換気及び/又は空調装置2を組立てる方法は、ハウジング4が以下を画成するようにしてこれを組立てる工程を備える。すなわち、ハウジング4は、
‐前記車両の少なくとも前方足元ダクト14と、
‐第1空気流混合チャンバ15と、
‐第2空気流混合チャンバ22と、
‐第1混合チャンバ15に通じる第1開口17と、
‐第2混合チャンバ22に通じる第2開口27と、
‐追加モジュール200又は300の一方又は他方を受容可能な組付キャビティと、
を画成し、ここで、ハウジング4は、窓ガラスのミストを取り除くためのダクト10と、車室の前方の側方/中央換気のためのダクト12と、車室の後方及び後方足元の換気のためのダクト24と、を更に画成する。
更に、ハウジング4を分割する内部分離パーティション5を装着する工程が設けられ得る。
当然ながら、この組立工程は、ハウジング内に、熱調整手段等の部品を、本例において、第1熱交換器6、追加ラジエータ7、第2熱交換器8、フラップ18、28、及び、該当する場合にはダクト10、12、14及び24それぞれの内部のフラップ9、11、13及び23を、配設するサブ工程を備え得る。
また、組立方法は、分離フラップ32をハウジング4において第1混合チャンバ15と第2混合チャンバ22との間で移動可能に配設し、これにより第1混合チャンバ15と第2混合チャンバ22とを分離フラップ32の位置に応じて隔離又は連結可能とする工程を備える。
【0073】
最後に、本発明の方法は、また、1‐2ゾーンモード用の第1追加モジュール200を、前記ダクト14及び第2開口27と通気連通しているハウジング4の組付キャビティに挿入して装着し、第2開口27と前記ダクト14との間に空気流通流チャネルを画定する工程を備える。この場合、本発明は、ハウジング4の第1開口17を閉鎖するパーティション
Cを装着する工程も備える。
こうして、加熱、換気及び/又は空調装置2は、内部分離パーティション5により、ダブルレイヤーモードにおいても、車室の右側部と左側部とで熱的な差を付けることを可能とするモードにおいても、車室の均一な熱調整の使用に適したものとなる。
【0074】
或いは、本方法は、3‐4ゾーンモード用の追加モジュール300を、前記ダクト14及び第1開口17と通気連通しているハウジング4の組付キャビティに挿入して装着し、第1開口17と前記ダクト14との間に空気通流チャネルを画定する工程を備える。この場合、第2追加モジュールの内壁320が、ハウジングの他方の開口を閉鎖し、追加のパーティションを設ける必要はない。
こうして、加熱、換気及び/又は空調装置2は、内部分離パーティション5により、車室の右側部と左側部で熱的な差を付けしつつ、前方と後方との間で熱的な差を付ける、及び場合により前方及び/又は後方ゾーン用の熱調整の使用に適したものとなる。
【0075】
当然ながら、上述の工程の順序は、本発明の範囲を逸脱せずに逆にしてもよい。
【0076】
加熱、換気及び/又は空調装置2の機能
【0077】
1‐2ゾーンモード
単一ゾーン又は双ゾーン機能のために、
図2a及び2bに示すように、2つの混合チャンバ15、22を分離するフラップ32が、2つの混合チャンバ15、22を連結する「開放」位置に配設される。この場合、第1混合チャンバ15及び第2混合チャンバは、互いに依存している、すなわち、換言すれば互いに通気連通している。
第2混合チャンバ22と前方足元出口ダクト14との間に、ハウジング4の第2開口27を介して空気流通流チャネルを画定するように、第1追加モジュール200がハウジング4の組付キャビティにおいてハウジング4に配設される。
更に、ハウジング4は、その端面4bにおいて、第1開口17を閉鎖するパーティション
Cを有している。
このようにして、前方足元出口ダクト14は、第2混合チャンバ22によってハウジング4の第2開口27を介して、更には第1混合チャンバ15によって、空気を供給される。
【0078】
したがって、均質な熱調整が実施され、これにより車両の異なるゾーンが同一の温度で、すなわち単一又は単独ゾーン動作モードにおいて、換気され得る。
【0079】
変形例として、内部分離パーティション5を配設することにより、及び加熱、換気及び/又は空調装置2の左側部及び右側部のそれぞれにおけるフラップを独立して制御することで、車室の左側部と右側部との間で温度差を付けた熱調整が実施され得る。このような動作は双ゾーン又は2ゾーンモードと称され、車室の左側及び右側のシートそれぞれへの出口における空気流を別箇に制御することを可能とする。
【0080】
ダブルレイヤーモード
これに対し、より高い温度の車室の空気が足元ノズルを通じて送り込まれるともに、より低い湿度レベルの外気がデミストノズルを通じて送り込まれるダブルレイヤーモードにおいて加熱、換気及び/又は空調装置2を機能させたい場合、分離フラップ32は「閉鎖」位置に配設されて、
図4に示すように2つの混合チャンバ15、22を隔離する。
したがって、第1追加モジュール200は、1‐2ゾーン動作モードの場合、第2混合チャンバ22と前方足元出口ダクト14との間にハウジング4の第2開口27を介して空気流通流チャネルを画定するように、ハウジング4に配設される。
ダブルレイヤーモードにおいて、ハウジング4はその端面4bにおいて、第1開口17を閉鎖するパーティション
Cを更に有する。
したがって、前方足元出口ダクト14は、単独の混合チャンバによって、ここでは第2混合チャンバ22にのみによって空気を供給される。
【0081】
3‐4ゾーンモード
別の変形例において、加熱、換気及び/又は空調装置2を3‐4ゾーンモードで機能させて、前方及び後方ゾーン及び/又は左方及び右方ゾーン間で異なる温度での熱調整をしたい場合、
‐分離フラップ32が「閉鎖」位置に配設されて、第1混合チャンバ15と第2混合チャンバ22とを隔離し、
‐第1混合チャンバ15と前方足元出口ダクト14との間にハウジング4の第1開口17を介して空気流通流チャネルを画定するように、第2追加モジュール300をハウジング4の組付キャビティにおいてハウジング4に配設する。
このようにして、空気流は分離フラップ32に対してハウジング4の上部にある第1混合チャンバ15から、第2追加モジュール300により形成される空気流通流チャネルへと通流することができる。この空気流は、上述の1‐2ゾーン又はダブルレイヤーモードに従って画成された空気流通流チャネルに対して迂回している。
更に、ハウジング4の第2開口27は、有利には第2追加モジュール300により閉鎖される。
したがって、前方足元出口ダクト14は、単独の混合チャンバより、ここでは第1混合チャンバ15により空気を供給される。
【0082】
加熱、換気及び/又は空調装置2を1‐2又はダブルレイヤーモードにおいて機能させることが意図されている場合、第1追加モジュール200をハウジング4に配設し、パーティション
Cをハウジング4の面4bに設けて第1開口17を閉鎖するだけでよいということを理解されたい。前方足元出口ダクト4は、こうして第2混合チャンバ22と通気連通する。分離フラップ32の位置に応じて、前方足元出口ダクト14は当該第2混合チャンバ22のみによって、又は更に第1混合チャンバ15によって空気を供給され得る。
これに対し、3‐4ゾーンモードにおける熱調整について、今度は、第2追加モジュール300をハウジング4に配設するだけでよい。前方足元出口ダクト14は、こうして第1混合チャンバ15によって空気を供給される。
製造メーカーのニーズへの適合は、追加モジュール200又は300の一方又は他方をハウジング4の面4bに配設すること、及び、場合により、この面4bに例えば第1開口17を閉鎖するためのパーティション
Cを設けることにより適合させることからなる。このような適合は、最小限のコストでなされ得る。
面4a、4c、4dにより形成されるハウジング4の本体は標準化され得るとともに、全ての動作モードについて不変のままである。加熱、換気及び/又は空調装置2の内部部品、具体的には熱交換器6、7、8、フラップ18、28及び分離フラップ32、並びにハウジング4内におけるそれらの配置は同一のままであり得る。ハウジング4により画成される空気流チャネル3に追加のフラップ等の追加の要素を設ける必要もない。
最後に、第1追加モジュール200又は第2追加モジュール300を含む加熱、換気及び/又は空調装置2の寸法は、比較的コンパクトである。