(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記手段は、大きな設備等を要することなく比較的安価に製作できる等の点で有利なものであるが、一方下記の如き、問題点を抱えている。
イ)使用されるレジンは主にアクリル系樹脂で、当初は泥状又はモチ状を維持しつつ、数分後には硬化するので扱い易いものであるが、一方で、硬化後に収縮を起こす性癖が避けられない。この収縮によって、塗付したレジンの厚みの違いから位置的に収縮率に差異が生じ、歯冠修復物の位置をズラしてしまい、精密な意味での位置付けが困難である。
ロ)石膏、リン酸塩、クリストバライト等で構成される埋没材は、塊状とされる状態では熱伝導率が悪く、ロウ付の際に高温に加熱されると、熱による膨張むらが起こり易い。上記従来法では、この加熱むらが避けられず、加熱による膨張率の差異によって、前記と同様正確な位置付けに悪影響を及ぼしてしまう。
ハ)又、その塊状の埋設材を使用する際には、対象物に多少でも水分が残っていると、ロウ付時の加熱で沸騰を起こし埋設材が破壊されてしまう恐れがある。そこで、これを防ぐため予め充分な乾燥工程を必要とするが、100℃に近い高温を5〜10分程度を要し、極めて荷厄介な作業である。
一方、上記電気仮着法にあっては、電気装置によって比較的簡潔に仮着できるが、設備が高価で経済的負担が大であると共に、ワイヤーの取り扱いが不適切であると、目的と異なる位置にスパークが発生し易く、正確な位置への仮着が難しい等の欠点があった。
【0004】
本発明は上記欠点を解消しようとしてなされたもので、レジン等による歪みを無くして正確な位置付けを可能とすると共に、埋設材のもつ脆さ等を克服して強固な固定を実現し、且つ、作業が簡潔で実施容易な新たなロウ付手段を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的達成のために、 本願金属製歯冠修復物のロウ付け方法は、
2以上の隣接する歯冠修復物を対象とし、
a)損傷し修復すべき歯を形取ったワックス製の歯冠を製作する工程と、
b)隣接する2つの歯冠修復物に接合可能で且つ該歯冠修復物を支持可能な強度を備えた片状のチップ体を、
該チップ体と雄雌関係をなす2つの嵌合孔を穿設し且つその嵌合孔相互の位置がチップ体の歯冠修復物への付設間隔と等しくなる位置としたガイドを用いて、少なくとも互いに1本以上前記ワックス歯冠修復物に付設する工程と、
c)該チップ体の付設されたワックス製の歯冠からチップ体の付設された金属製の歯冠を鋳造する工程と、
d)埋没材の膨張でも変形しない強度と埋没材の反応熱を放散可能な熱伝導性とを備え、埋没材を充填すべき間隙を残して前記チップ体の周囲を囲僥可能な枠体を少なくとも2個以上並設状態に連接させた連結枠体を形成し、該連結枠体にチップ体を固定可能な埋没材を充填し、前記チップ体と金属製歯冠修復物とを該連結枠体を介して連接状態に固着する工程と、
e)該連結枠体で固着された互いに隣接する歯冠修復物をロウ付する工程を備え、
f)上記チップ体を、
イ)歯冠修復物に対し少なくとも互いに1本以上の個数で、ロ)歯冠修復物が並ぶ方向に対して交差方向とし且つその中心線が互いに等間隔をなし、ハ)歯冠修復物の長さの1/3以上の長さを有し、ニ)基部から先端部に向かってやや先細とし、ホ)断面が凹凸を刻んで且つ点対称となる形状とし、
g)上記連結枠体を、
ヘ)2個以上の枠体を互いの中間点を基点に線対称となるよう配し、ト)チップ体と枠体内壁面との間隔は、埋没材がチップ体を支持可能で且つ可及的に狭いものとし、チ)縦方向にチップ体との間隔を一定とし、リ)断面方向には枠体内壁面の中心点を起点として内壁面が点対称となるよう形成した
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本願発明によれば、互いに隣接される歯冠修復物から延出される片状のチップ体が埋没材を介して連結固体枠によって連結状態に固着されるので、埋没材による可塑性と連結枠体による固定性とが組み合わされて強固な固着が可能となり、歯冠修復物及びチップ体に何らかの負荷が加えられた場合に、密に一体化された埋没材及び金属製等の強度を備えて周囲を囲繞する枠体がこれに抗し、全体としてチップ体及び歯冠修復物へ強い支持力をもたらす。
【0010】
チップ体(及び連結枠体)の配列を、歯冠修復物が並ぶ方向に対し交差方向、例えば、直交方向と
することで、チップ体(及び連結枠体)が歯冠修復物を効率良く支え、且つ、互いを等間隔とすることで、連結枠体との嵌め合いを簡潔化できる。
チップ体の本数を、必要に応じて計4本等とすると、2本のみでは支持力に偏りの生じる場合にも、これを均衡させて偏りのない強い支持力が得られる。
又、該埋没材の厚みを、その間隙は埋没材がチップ体を支持可能な厚みで可及的に狭い(薄い)値とすれば、埋没材の熱発生に伴う膨張は、殆どこれを無視することができる程度の低い値とすることができる。
又、該チップ体及び連結枠体の長さ(高さ)を、歯冠修復物の長さ(高さ)の1/3以上で1.5倍以下の長さとすれば、適切な支持力が得られると共に作業が簡潔となる。
又、チップ体の形態を基端部から先端部に向かってやや先細とし、且つ、枠体の内壁面と平行させて形成すれば、埋没材の装填された枠体内にチップ体を挿入する際に、埋没材が円滑に流動し、均一且つ緻密な充填が得られる。
又、チップ体を断面凹凸を刻んだ形状、例えば、十字形又は星形等とすれば、チップ体に捻り方向の負荷が加えられた場合に、該凹凸面が埋没材に対し杭の作用を発揮し、捻りに対して強い抗力が発揮できる。
【0011】
ガイドを、チップ体と雄雌関係をなす2つの嵌合孔を穿設し、且つ、その嵌合孔相互の位置がチップ体の歯冠修復物への付設間隔と等しくなる位置とすることで、チップ体が連結枠体に収められたとき、その収納位置を枠体の内壁面のほぼ中央位置とすることができる。
【0012】
2つの歯冠修復物に対しチップ体及び連結枠体を互いが中心点を挟んで線対称に配接
することで、チップ体及び連結枠体の組み合わせに発生する支持力(固定力)が均一化され、バランスの取れた支持力となる。
又、チップ体と連結枠体の内側との組み合わせを点対称とすると、チップ体を十文字等の凹凸のある形態として、埋没材の厚みに差異が生じて支持力が不均衡となるおそれがある場合でも、埋没材に加えられた外力が埋没材を伝って枠体内壁面に生じる反発力が点対称によって方向が逆で等距離間に作用し、互いの力が相殺され、支持力の不均衡を解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、大略、(a)ワックス歯冠製作工程、(b)チップ体付設工程、(c)鋳造工程、(d)連結枠体による連結工程、(e)ロウ付工程、とから成る。
【0015】
以下各工程を説明するが、その前に、本発明の対象となる歯冠修復物の配設態様について説明する。
本発明の対象となる歯冠修復物は、2以上の隣接する金属製歯冠修復物を有し、その隣接する修復物を当初は別々に分けて製作し、その後に隣接する修復物を連設状態にロウ付するロウ付方法にあって、そのロウ付対象となる金属製歯冠修復物をいう。金属製とは、全体が金属製である場合を原則とするが、一部にポーセレン処理が施された場合等をも含み、いずれもロウ付部分が金属製であれば対象となる。
その最も一般的な態様は、隣り合う1個の独立した歯冠修復物に1個の独立した歯冠修復物を連設状態にロウ付する場合である。
以下本説明においてもこの例を代表に説明するが、しかし、これに限定されず、下記の場合も含まれる。
例えば、ブリッジと言われる1個の歯冠修復物に2個の連設された歯冠修復物をロウ付けする場合には、この1個:2個の他、1個:3個、2個:2個、2個:3個等別々にまとめられて隣り合う2以上の歯冠修復物を連設状態にロウ付する場合があり、いずれの態様も本発明の対象に含まれる。
又、上記状態が生じるものは通常の歯冠修復物のほか、ワンピースキャストと呼ばれるワックスパターンを一塊として埋没、鋳造する方法があるが、この方法において適合に失敗することも多い。この場合に、ワンピースをあきらめて、別々に分断することもあり、この分断されたものは独立の歯冠修復物となり、本発明の対象となる。
【0016】
(a)<ワックス歯冠製作工程>
損傷した歯例えば歯の表面を対象とし、これを損傷前の正常な歯の形態に戻すことを想定し、この正常な状態の歯(歯冠)をワックスで復元する工程をいう。ワックスの柔軟性及び形態維持性、取扱い易さ等に着目して行われるもので、本発明においても通常のワックスを用いる方法と同様の扱いで行われる。
具体的には、前準備として支台歯を形成する作業用模型を製作し、バーナーでナイフ形又はスプーン形のインスツルメントを加熱し、その熱でワックスを溶かして支台歯に盛り上げ、その後該インスツルメントで削る工程を繰り返して復元すべき形態(ワックスパターン)を形成していく(図示省略)。
【0017】
(b)<チップ体付設工程>
上記ワックス歯冠にチップ体10を付設する工程をいう。
チップ体10とは、
図1に示す如くで、歯冠修復物の外側に接合させて延出される片状のもので、後述する連結枠体30等との組み合わせにより、歯冠修復物を支持する役割を担うものである。
その形態は、
図2及び
図3に示す如く、歯冠修復物を支持する役割から、歯冠修復物に対し少なくとも互いに1本以上の個数を備える。又、歯冠修復物が並ぶ方向に対して交差方向とし、例えば、直交方向とするが、直交以外にも斜め交差方向であっても良い。且つ、そのチップ体10の中心線は互いに等間隔なるよう、つまり平行をなすのが望ましい。
その長さ(高さ)h1は歯冠修復物Kの長さの1/3以上とし、具体的には、9.0〜11.0mm程度とするのが望ましい。
断面形状は、口径0.5〜3.0mm程度とし、丸形、角形を問わないが、1本とする場合には後述する周囲を覆う埋没材との堅固な接合を促すため、断面凹凸を刻んで且つ点対称となる形状、例えば正十字形又は星形等とするのが望ましい。そして、固着される歯冠修復物の基端部10a側で太く、先端部10bに向かって若干先細となるよう形成するのが望ましい。
その素材はプラスチック樹脂又はワックスとし、又は、それと同等の柔軟性及び形態維持性を備えた材料であれば良い。
片状の形は、多くは直線状のものをいうが、多少の屈曲や、根本部から分岐させて枝別れ状に2本、3本とする形態も含む。
【0018】
その付設の本数は、少なくとも互いに1本ずつ(
図4(a))を必要とするが、状況に応じて増加させることもできる。例えば、歯冠修復物Kの頬舌側方向に2本ずつ配して、計4本とする態様(
図4(b)、歯冠修復物Kの頬舌側方向に4本ずつ配して、計8本とする態様(
図4(c))、等の態様で付設することができる。
【0019】
次に、ワックス歯冠への当該チップ体10の付設にあって、その方法及び位置、更にその付設にあって便宜なガイド20について説明する。
上記ワックス歯冠及びチップ体10は、共にワックス又はこれと同等の性能を備えた材料を素材とするもので、接合にあってはワックスの一部を熱溶融して付設部へ流し込めば両者は容易に溶着する。
その付設位置及びその位置への簡潔な位置決めに基づく付設方法については、先ず付設位置と隣り合う歯冠修復物の連結枠体30との相対的関係によって決定される。
即ち、チップ体10は、上述の如く連結枠体30等との組み合わせにより歯冠修復物を支持する役割を担うものであるから、その取り付け位置は、互いが隣り合う歯冠修復物に付設された場合、両者を連結枠体30内に収めることのできる位置関係とする必要があるが、望ましくは一方と他方間の距離は可及的に短いものが、連結枠体30の横方向への長さ(幅)を短くできる点で好ましい。
具体的には、
図3に示す如く、チップ体10の中心から相互に4.0〜10.0mmの間隔とする。
【0020】
<ガイド>
次に、上記位置決めに基いた付設方法については、何らかの手段で付設されれば良いが、下記の如き、ガイド20を用いることで正確且つ容易に付設が可能となる。
即ち、ガイド20とは、チップ体10が後述する連結枠体30に収められたとき、その収納位置を可及的に連結枠体30内の望ましい位置に誘導しようとするもので、その形態は、チップ体10と雄雌関係をなす2つの嵌合孔20aを穿設し、且つ、その嵌合孔20a相互の位置がチップ体10の歯冠修復物への付設間隔と等しくなる位置としたものである。
例えば
図5に示す如く、プラスチック製の立方体を用い、互いが2つの孔を有する連結枠体30の中心位置となるようチップ体10と雄雌関係となる2つの嵌合孔20aを穿設し、チップ体10と同様基端部20b側で幅広で、先端部20cに向かって若干幅狭となるよう形成するのが望ましい。その高さh2は、
図6に示す如く、チップ体10と嵌合孔20aとが嵌め合わされたときチップ体10が僅かに頭出しされるようチップ体10の長さ(高さ)h1より若干短いものする。
具体的には、その幅及び高さを、幅は10.0〜16.0mmとし、高さh2を8.0〜10.0mm前後とする。
【0021】
上記ガイド20に2本のチップ体10を嵌合させる一方で、支台歯に固定された歯冠修復物にこれを近づけワックスの一部をバーナー等で融かし、これを接合させた両者間に流し込んで融着を図る。プラスチック樹脂とした場合には、融着部にワックスを用いれば良い。
【0022】
(c)<鋳造工程>
次いで上記チップ体10の付設されたワックス製の歯冠修復物を金属製の歯冠修復物に転換すべく鋳造工程に移す。鋳造工程は一般的鋳造と同様で歯冠修復物に湯道をつけ、ゴム台に固定した後金枠に挿し込み石膏を流し込み、電気炉で焼成し、次いで焼成した空洞部に金属を流し込んで、最後に鋳型から取り出し、金属製の歯冠修復物を得る。
【0023】
(d)<連結枠体による連結工程>
<連結枠体>
連結枠体30は、上述の如く、チップ体10及び埋没体との組み合わせにより歯冠修復物を支持する役割を担うもので、埋没材の膨張でも変形しない強度と埋没材の反応熱を放散可能な熱伝導性とを備え、埋没材を充填すべき間隙を残して上記チップ体10の周囲を囲僥可能な枠体30aを少なくとも2個以上並設状態に連接させて形成される。
上記要件を満たすことで連結枠体30は形成され得るが、より望ましくは、以下の要件を備えたものとする。
a)2個以上の枠体30aを、互いの中間点を基点に線対称となるよう配し、
b)チップ体10と枠体内壁面30bとの間隔は、埋没材40がチップ体10を支持可能で且つ可及的に狭いものとし、
c)縦方向にチップ体10との間隔を一定とし、
d)断面方向には枠体内壁面30bの中心点を起点として内壁面30bが点対称となるよう形成したものとする。
具体的には、
図7〜
図11に示すごとくで、主に
図10,
図11に示す如く、枠体30aの形状を左右逆方向に同一な形状とし、相互を中心位置から4.0〜10.0mm、外枠で10.0〜16.0mm離れたものとして、中間点を基点に線対称とする。枠体30aの内壁面30bとチップ体10との間隙は、最も狭いところで0.2〜0.5mm程度とし、埋没材がチップ体10を支持可能で且つ可及的に狭いものとする。縦方向には、チップ体取り付け側となる基端部30cで4.0〜6.0mmと太く、先端部30d側で3.0〜5.0mmと細くし、且つ、上記チップを収納した際に該チップ体10との間隙が一定になるものとする。枠体30aの内面の断面形状は、断面正十字形のチップを収納する場合には、例えば八角形とし、中心点を基点として点対称とする。高さh3は9.0〜11.0mmとし、上記チップ体とほぼ等しい長さとする。
【0024】
<埋没材>
埋没材40は、挿入されたチップ体10と連結枠体30との隙間を埋めるもので、通常の埋没材と略同等の機能を備えるものとし、当初泥状で連結枠体30内に流し込み可能で、且つ硬化後には一定の強度をもってチップ体10を連結枠体30に固着できるものとする。具体的には耐火性の石膏、クリストバライト等を主成分としたものを用いることができる。
【0025】
互いの操作は、先ず金属修復物を支台歯に固定し、連結枠体30の枠内に所定量の埋没材を流し込み、そこに歯冠修復物Kから延出したチップ体10を挿入し(
図7)、チップ体10先端が連結枠体30と略並ぶ位置で停止させ、隙間に満たされた埋没材が硬化するのを待つ(
図8)。
2本の場合は、上記の如くであるが、4本、8本の場合も同様とする。
斯して、隣り合う2以上の歯冠修復物が連結枠体30を介して少なくとも2本、必要に応じて4本、8本に連結状態に固定される。その連結状態における断面を示したのが、
図9(a)、(b)、及び
図10である。尚、
図11には、連結枠体の正面、側面、平面、及び底面を示し、(a)が平面図、(b)が正面図、(c)が右側面図、(d)が底面図である。又、
図12には、連結枠体の内壁面にチップ体が挿入された状態の平面図を示す。
【0026】
(e)<ロウ付工程>
上記支台歯上で埋没材が硬化した後には、歯冠修復物及び連結枠体30を該支台歯から取り外し、歯冠修復物のロウ付を行う。
即ち、上記工程によって連結枠体30には埋没材を介して隣接し合う歯冠修復物がロウ付されるべき正常な状態に維持されるので、斯かる接点部周辺にフラックスを塗布した後、バーナー又は電気炉等の加熱手段によって、ロウを融解させて接点部をロウ付する。
ロウ付け後には、付設したチップ体10を歯冠修復物から切断し、その周辺を研磨して作業を終了する。
【0027】
< 作用・効果>
以上の工程に基づく本発明によれば、互いに隣接される歯冠修復物から延出される片状のチップ体10が埋没材を介して連結固体枠によって連結状態に固着されるので、埋没材による可塑性と連結枠体30による固定性とが組み合わされて強固な固着が可能となる。
即ち、鋳造工程にて金属製に転換された片状のチップ体10が埋没材の充填された連結枠体30に挿入されると、該埋没材の可塑性によってチップ体10と埋没材及び連結枠体30とが密に一体化される。そして、歯冠修復物を通じてチップ体10に何らかの負荷が加えられた場合には、先ず、密に一体化された埋没材がこれに抗してチップ体10を支持し、更に、その負荷に対し金属製等の強度を備えて周囲を囲繞する枠体30aがこれに抗し、最終的に一体化された埋没材及び枠体30aが強い抗力を発揮して、全体としてチップ体10へ強い支持力をもたらす。
【0028】
その際、チップ体10(及び連結枠体30)の配列を、歯冠修復物が並ぶ方向に対し交差方向、例えば、直交方向とすれば、チップ体10(及び連結枠体30)が歯冠修復物を効率良く支え、且つ、互いを等間隔とすることで、連結枠体30との嵌め合いを簡潔化できる。
チップ体10の本数は、例えば各1本ずつの2本とするが、必要に応じて真向かいに2本ずつを加えて計4本、120度ずらして3本ずつの計6本、及び十文字に4本ずつの計8本等とすると、2本のみでは支持力に偏りの生じる場合にも、これを均衡させて偏りのない強い支持力が得られる。
該埋没材の厚みは、チップ体10と枠体30aとの間隙によって決定され、その間隙は埋没材がチップ体10を支持可能な厚みとするが、望ましくは可及的に狭い(薄い)値とし、具体的には、0.2mm〜0.5mm程度とする。従って、埋没材の熱発生に伴う膨張は、殆どこれを無視することができる程度の低い値となる。
【0029】
該チップ体10及び連結枠体30の長さ(高さ)h1、h3は、これが歯冠修復物を支持するに充分な長さとするが、具体的には歯冠修復物の長さ(高さ)の1/3以上で1.5倍以下の長さとすることで、適切な支持力が得られると共に作業が簡潔となる。
【0030】
チップ体10の形態を基端部10aから先端部10bに向かってやや先細とし、且つ、枠体30aの内壁面30bをこれと平行させて傾斜面に形成すれば、埋没材の装填された枠体30a内にチップ体10を挿入する際に、埋没材が円滑に流動し、均一且つ緻密な充填が得られる。
【0031】
上記ガイド20に2本のチップ体10を嵌合させる一方で、支台歯に固定された歯冠修復物にこれを近づけワックスの一部をバーナー等で融かし、これを接合させた両者間に流し込んで融着を図る。プラスチック樹脂とした場合には、融着部に用いたワックスで融着を図る。
【0032】
又、チップ体10を断面凹凸を刻んだ形状、例えば、十字形又は星形等とすれば、チップ体10に捻り方向の負荷が加えられた場合に、該凹凸面が埋没材に対し杭の作用を発揮し、捻りに対して強い抗力を発揮できる。
【0033】
隣接する2つの歯冠修復物に対しチップ体10及び連結枠体30を配設するが、互いが中心点を挟んで線対称とすることが望ましく、そうすることで、チップ体10及び連結枠体30の組み合わせに発生する支持力(固定力)が、均一化され、バランスの取れた支持力となる。
一方、チップ体10を十文字等の凹凸のある形態とすると、チップ体10と連結枠体30の内側との間隙に差異が生じ、即ち、埋没材の厚みに差異が生じ、支持力が不均衡となるおそれがある。しかし、このチップ体10と連結枠体30の内側との組み合わせを点対称となるよう構成すると、埋没材に外力が加えられた際、埋没材を伝って枠体内壁面30bを基に反発力が生じ、その反発力が互いに対立し、且つ、その対立が点対称によって方向が逆で等距離間に作用するので、互いの力が相殺され、支持力の不均衡を解消することができる。
【0034】
連結枠体30は、ニッケル・クロム合金等の埋没材に比して熱伝導性に優れた金属又はプラスチックで形成するので、埋没材に反応による熱が発生した場合に、その熱を枠体30a内側から外側へと放散させることができ、埋没材が反応した際の熱によるムラで歪みが発生するという問題を解消することができる。
【0035】
本発明の工程には、棒体をレジンで固定させるという従来の工程が一切含まれないので、このレジンから生じていた、硬化後の収縮率の違いによって歯冠修復物の位置をズラしてしまい精密な意味での位置付けが困難であるという問題を解消することができる。
【0036】
ワックス製の歯冠修復物にワックス製又は同性能の樹脂のチップ体10を接合する際に、上述のガイド20を用いれば、チップ体10相互が平行状態で且つ正確な距離関係を保って位置付けすることができ、チップ体10が連結枠体30に収められたときの収納位置をより望ましい位置に誘導することができ、且つ、その作業が容易となる。
【0037】
又、該ガイド20の形態を、チップ体10と雄雌関係をなす2つの嵌合孔20aを穿設し、且つ、その嵌合孔20a相互の位置がチップ体10の歯冠修復物への付設間隔と等しくなる位置とすれば、チップ体10が連結枠体30に収められたとき、その収納位置を連結枠体の枠体30aの内壁面30bのほぼ中央位置とすることができ、上記チップ体10と連結枠体30の内側との組み合わせを点対称とすることが容易となる。
【0038】
本発明の工程において、上記ガイド20の使用に加えて、連結枠体30に一定のパターンを想定し、その幾つかのパターンに基づいて予め連結枠体30を製作しておき、その既成の連結枠体30を用いて工程を進めれば、比較的簡潔な作業で各工程を進めることができる。例えば、従来の電気仮着法のような高価な設備を要せず、経済的に安価な製法を具現できる。