【文献】
平野正則,外3名,分散処理による高度IN用サービス制御ノードのモジュール間結合方式,電子情報通信学会論文誌 (J81−B−I),日本,社団法人電子情報通信学会,1998年 8月25日,第8号,pp.519-530
【文献】
新家正総,外7名,Comet Network Processorを用いたPM/Cometの実装と評価,電子情報通信学会技術研究報告 CPSY2001−44〜50 コンピュータシステム,日本,社団法人電子情報通信学会,2001年 7月19日,第101巻,第217号,pp.45-52
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記使用量情報記憶手段に記憶されている使用量算出用情報は、受信したパケットの種類およびデータ量に応じて行われるソフトウェア処理のそれぞれに対して、前記メモリの使用量に換算するための係数を示す情報を含む
請求項2に記載の情報処理装置。
【背景技術】
【0002】
複数の通信ネットワークが互いにルータおよび通信回線を介して接続されている場合がある。そのような場合に、当該ルータや当該通信回線の障害発生に備えて、主回線と副回線とをそれぞれ用意することが考えられている。そして、主回線と副回線とによって並列で通信ネットワークが互いに接続されて、冗長性が高められている。
【0003】
図8は、冗長性が高められた通信ネットワーク間の接続例を示すブロック図である。
図8に示す例では、LAN(Local Area Network)10とインターネット等のWAN(Wide Area Network)20とが、主回線30aおよび副回線30bとによって接続されている。
したがって、主回線30aおよび副回線30bは、LAN10とWAN20とに並列で接続されている。
【0004】
主回線30aにはルータ31aが配置されている。ルータ31aは、主回線30aを通るデータを中継する機能を有する。副回線30bにはルータ31bが配置されている。ルータ31bは、副回線30bを通るデータを中継する機能を有する。通常運用中は、LAN10側とWAN20側との間の通信は主回線30aを介して行われる。そして、主回線30aに障害がある等の理由で通信不能になったときに、LAN10側とWAN20側との間の通信経路は副回線30bを介する通信経路に切り替えられる。
【0005】
具体的には、主回線30aのルータ31は、ルーティングパケットや監視パケットなどの所定のパケットを通信回線において隣接している他のルータと定期的に送受信して障害の有無を定期的に監視する。そして、それら所定のパケットの送受信ができなかった場合に、ルータ31は、主回線30aに障害が発生して通信不能になったと判断する。ルータ31は、主回線30aが通信不能になったと判断した場合に、LAN10側とWAN20側との間の通信経路を、副回線30bを介する通信経路に切り替える処理を行う。
【0006】
図9は、主回線30aが用いられる通常運用から、副回線30bが用いられる障害発生時運用への切り替えを示すタイミングチャートである。
図9に示すように、主回線30aにおいて障害が発生し、ルータ31aによる所定のパケットの送受信の異常に基づいて障害が検知されると、主回線30aから副回線30bへの切り替え処理が行われる。
【0007】
特許文献1には、現用系機器に所定時間間隔で診断信号を送信し、当該診断信号に対する応答信号を受信しなかった場合に、現用系機器から待機系機器に運用機器を切り替えるシステムが記載されている。
【0008】
特許文献2には、予めプロセッサの使用率と使用電力との関係が設定されたテーブルが用意され、それらの測定値の関係がテーブルに設定されている関係から乖離した場合に、障害が発生したと判定するシステムが記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0023】
実施形態1.
本発明の第1の実施形態の障害検知ルータ(情報処理装置)300について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態の障害検知ルータ300の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本発明の第1の実施形態の障害検知ルータ300は、LAN10とWAN20とに接続されている。WAN20は、例えば、インターネットである。
【0024】
なお、LAN10とWAN20とは、主回線と副回線とによって互いに接続されている。そして、主回線には本発明の第1の実施形態の障害検知ルータ300が配置され、副回線には待機系ルータ(図示せず)が配置されている。したがって、LAN10とWAN20との間は、障害検知ルータ300と待機系ルータとで並列に接続されている。待機系ルータの構成は、一般的なルータと同様な構成であってもよいが、障害検知ルータ300と同様な構成であることが好ましい。待機系ルータを障害検知ルータ300における構成と同様な構成にした場合には、待機系ルータが運用されているときに、障害を迅速かつ確実に検知することが可能になるからである。
【0025】
図1に示すように、障害検知ルータ300は、LAN制御部301、LAN入力量監視部302、WAN制御部303、WAN入力量監視部304、負荷情報記憶部305、標準負荷算出部306、CPU負荷監視部307、自己診断部308、冗長機能制御部309、およびルーティング処理部310を含む。
【0026】
標準負荷算出部306、CPU負荷監視部307、および自己診断部308は、障害検知ルータ300に搭載されてソフトウェア制御に従って処理を実行するCPUによって実現される。なお、それらが他のプロセッサによって実現されてもよい。
【0027】
LAN制御部301は、LAN10に接続され、LAN10を介して通信端末(図示せず)とデータを送受信する。LAN入力量監視部302は、LAN制御部301がLAN10を介して受信したパケットのうち、ルーティング処理等のソフトウェア処理が必要なパケットを特定し、特定したパケットの種類とデータ量とを標準負荷算出部306に入力する。
【0028】
WAN制御部303は、WAN20に接続され、WAN20を介して通信端末(図示せず)とデータを送受信する。WAN入力量監視部304は、WAN制御部303がWAN20を介して受信したパケットのうち、ルーティング処理等のソフトウェア処理が必要なパケットを特定し、特定したパケットの種類とデータ量とを標準負荷算出部306に入力する。
【0029】
負荷情報記憶部305は、標準負荷算出部306におけるソフトウェア処理量の算出に用いられる負荷情報と障害検知ルータ300における通信プロトコル等の設定内容を示す設定情報とを記憶する。設定情報には、前述した通信プロトコルの他、通信記録の収集、保存、出力等や、障害検知ルータ300の内部温度、ファンの動作、および電源電圧等の監視、SNMP(Simple Network Management Protocol)に基づく処理の設定内容が示されている。
負荷情報は、標準負荷算出部306によるソフトウェア処理量の算出に用いられる数値を示す情報であるが、詳細には後述する。
【0030】
標準負荷算出部306は、LAN入力量監視部302が入力した情報と、WAN入力量監視部304が入力した情報と、負荷情報記憶部305に記憶されている設定情報および負荷情報とに基づいて、標準的なソフトウェア処理量を算出する。標準的なソフトウェア処理量とは、単位時間当たりにCPUで行われるソフトウェア処理の標準的な量である。
【0031】
CPU負荷監視部307は、CPUの動作状況を監視し、測定したCPUのソフトウェア処理量に基づいて算出した負荷率を定期的に自己診断部308に入力する。
【0032】
自己診断部308は、標準負荷算出部306が算出した標準的なソフトウェア処理量に基づいてCPUの負荷率の推測値を算出し、CPU負荷監視部307が入力したCPUの負荷率との差に応じて障害の有無を判断する。
【0033】
冗長機能制御部309は、障害があると自己診断部308が判断した場合に、例えば、VRRP(Virtual Router Redundancy Protocol)等のプロトコルに従って、待機系ルータの運用に切り替える処理を行う。
【0034】
ルーティング処理部310は、LAN制御部301が受信したパケットおよびWAN制御部303が受信したパケットの送信先に応じて、当該パケットの送信経路を選択する経路選択処理を行う。
【0035】
負荷情報について説明する。負荷情報とは、前述したように、標準負荷算出部306によるソフトウェア処理量の算出に用いられる数値を示す情報である。負荷情報によって示される数値には2つの種類がある。第1の種類の数値は、障害検知ルータ300が受信したパケットの種類およびデータ量に応じて行われるソフトウェア処理に応じた係数である。第2の種類の数値は、障害検知ルータ300が受信したパケットの種類やデータ量に関わらずに行われるソフトウェア処理に応じた加算値である。
【0036】
まず、第1の種類の数値である係数について説明する。当該係数は、障害検知ルータ300が受信したパケットの種類およびデータ量に応じて行われるソフトウェア処理に対応付けられている。障害検知ルータ300が受信したパケットの種類およびデータ量に応じて行われるソフトウェア処理とは、例えば、受信したポートとは別のポートへルーティング転送するバケットを受信した場合等に行われるソフトウェア処理である。
【0037】
受信したパケットを別のポートへルーティング転送する場合には、設定情報によって示される通信プロトコルに応じて、まず、当該パケット内の宛先アドレスと予め記憶されているアドレス表とを照合するソフトウェア処理(照合処理)が行われる。そして、次に、当該宛先アドレスを書き換えるというソフトウェア処理(書き換え処理)が行われる。負荷情報には、それらのソフトウェア処理を含め、様々なソフトウェア処理のそれぞれに対応する係数が設定情報によって示される通信プロトコル等に応じてそれぞれ示されている。そして、パケットの種類に基づいて実行させる各ソフトウェア処理に応じたそれらの係数は、単位時間当たりのパケットの数またはデータ量に乗算され、乗算結果が当該ソフトウェア処理のそれぞれに応じたソフトウェア処理量として算出される。
【0038】
次に、第2の種類の数値である加算値について説明する。当該加算値は、設定情報に基づいて、障害検知ルータ300が受信したパケットの種類およびデータ量に関わらずに行われるソフトウェア処理に対応付けられている。具体的には、加算値は、例えば、設定情報で示される、通信記録の収集、保存、出力等の実行や、障害検知ルータ300の内部温度、ファンの動作、および電源電圧等の監視、SNMPに基づく処理等の設定内容に応じたソフトウェア処理に対応付けられている。
これらは、障害検知ルータ300が受信したパケットの種類およびデータ量に関わらずに、設定情報に基づいて行われるソフトウェア処理であることが明らかである。そこで、それらのソフトウェア処理の量の単位時間当たりの平均値が第2の種類の数値である加算値とする。そして、当該加算値は、第1の種類の数値である係数がパケットの数等に乗算されて算出された結果の値に加算されて、標準的なソフトウェア処理量が算出される。
【0039】
よって、前述した受信したパケットを別のポートへルーティング転送する例では、標準負荷算出部306は、以下に示す処理で標準的なソフトウェア処理量を算出する。すなわち、標準負荷算出部306は、照合処理に応じた係数に単位時間当たりの受信パケット数を乗算した積と、書き換え処理に応じた係数に単位時間当たりの受信パケット数を乗算した積と、第2の種類の数値である加算値とが足し合わせる。そして、標準負荷算出部306は、足し合わせた和を、CPUの標準的なソフトウェア処理量であるとする。
【0040】
なお、負荷情報記憶部305に記憶されている負荷情報によって示される係数や加算値は、例えば、CPUの処理能力を表した値に対して、標準負荷算出部306が算出する標準的なソフトウェア処理量の値の割合を算出可能なように設定された値である。CPUの処理能力を表した値は、例えば、FLOPS(Floating−point Operations Per Second)やMIPS(Million Instructions Per Second)であるとする。CPUの処理能力を表した値がFLOPSやMIPSである場合には、負荷情報によって示される係数や加算値を、ソフトウェア処理の量をFLOPSやMIPSの単位に換算可能に予め設定する。負荷情報によって示される係数や加算値をそのように設定することによって、CPUの処理能力に対する標準的なソフトウェア処理量の割合である標準的なCPUの負荷率を算出可能になる。
したがって、標準的なCPUの負荷率とは、ソフトウェア処理の量に基づいて推定されるCPUの負荷率である。
【0041】
次に、本発明の第1の実施形態の障害検知ルータ300の動作について説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態の障害検知ルータ300の動作を示すフローチャートである。
【0042】
本発明の第1の実施形態の障害検知ルータ300において、LAN入力量監視部302は、以下の処理を行う。すなわち、LAN入力量監視部302は、LAN制御部301がLAN10を介して受信したパケットのうち、ルーティング処理等のソフトウェア処理が必要なパケットの種類とデータ量とを標準負荷算出部306に入力する(ステップS101)。なお、ステップS101の処理は、例えば、所定の単位時間ごとにまとめて行われる。
【0043】
また、WAN入力量監視部304は、WAN制御部303がWAN20を介して受信したパケットのうち、ルーティング処理等のソフトウェア処理が必要なパケットの種類とデータ量とを標準負荷算出部306に入力する(ステップS102)。なお、ステップS102の処理は、例えば、所定の単位時間ごとにまとめて行われる。また、ステップS102の処理は、ステップS101の処理よりも先に行われてもよいし、同時に行われてもよい。
【0044】
標準負荷算出部306は、ステップS101,102の処理で入力されたパケットの種類およびデータ量と、負荷情報記憶部305に記憶されている設定情報および負荷情報とに基づいて、標準的なソフトウェア処理量を算出する(ステップS103)。
【0045】
さらに、標準負荷算出部306は、ステップS103の処理で算出した標準的なソフトウェア処理量に基づいて、標準的なCPUの負荷率を算出する(ステップS104)。具体的には、標準負荷算出部306は、例えば、障害検知ルータ300に搭載されているCPUのFLOPSの値やMIPSの値に対して、ステップS103の処理で算出した標準的なソフトウェア処理量の割合を算出する。算出された値が、標準的なCPUの負荷率である。標準負荷算出部306は、算出した標準的なCPUの負荷率を自己診断部308に入力する。
【0046】
CPU負荷監視部307は、CPUの動作状況を測定してCPUの負荷率を算出し、自己診断部308に入力する(ステップS105)。ここで、CPU負荷監視部307が算出して自己診断部308に入力するCPUの負荷率は、例えば、障害検知ルータ300に搭載されているCPUのFLOPSの値やMIPSの値に対して、測定したFLOPSの値やMIPSの値の割合であるとする。したがって、CPU負荷監視部307が自己診断部308に入力するCPUの負荷率は、測定結果に基づいて算出した負荷率である。
【0047】
そして、自己診断部308は、ステップS104の処理で算出された負荷率とステップS105の処理で算出された負荷率とに基づいて、障害の有無を判断する(ステップS106)。具体的には、例えば、ステップS104の処理で算出された負荷率とステップS105の処理で算出された負荷率とに20%以上の差異があった場合に、障害があると判断する。なお、自己診断部308は、それら負荷率の互いの差異が、例えば、10%以上や、30%以上、50%以上であった場合に、障害があると判断するように構成されていてもよい。自己診断部308が障害の有無の判断に用いる負荷率の互いの差異の基準は、障害検知ルータ300の製造時に予め決定され、障害検知ルータ300の管理者によってその後変更可能なように構成されていてもよい。さらに、自己診断部308が障害の有無の判断に用いる負荷率の互いの差異が基準の差異以上である状態が1分間や10分間等の所定の時間以上継続した場合に、障害があると判断するように構成されていてもよい。
【0048】
障害検知ルータ300は、自己診断部308がステップS106の処理で障害がないと判断すると(ステップS106のN)、ステップS101の処理に移行する。また、障害検知ルータ300は、自己診断部308がステップS106の処理で障害があると判断すると(ステップS106のY)、ステップS107の処理で、冗長機能制御部309に障害があることを通知する(ステップS107)。
【0049】
ステップS107の処理で障害があることを通知された冗長機能制御部309は、待機系ルータの運用に切り替える処理を行う(ステップS108)。
【0050】
本実施形態によれば、標準的なCPUの負荷率と、測定に基づくCPUの負荷率とを算出する。そして、算出したそれら負荷率の互いの差異に基づいて障害の有無を判断する。
図3は、本実施形態の障害検知ルータ300が配置されている主回線が用いられる通常運用から、副回線が用いられる障害発生時運用への切り替えを示すタイミングチャートである。
図3に示すように、主回線において障害が発生すると、自己診断部308が迅速に障害を検知する。そして冗長機能制御部309によって副回線に配置された待機系ルータの運用に切り替えられる。したがって、障害の影響が通信に及ぶ前に迅速に障害を検知することができる。そして、冗長機能制御部309によって副回線に配置された待機系ルータの運用に切り替えることができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、算出したCPUの負荷率に基づいて障害の有無を判断するので、通信に影響が及ばない障害の有無を判断することができる。したがって、通信に影響が及ばない障害であっても、当該障害があることを確実に検知することができる。
【0052】
本実施形態によれば、障害検知用のパケットの送受信をすることなく、CPUの負荷率に基づいて障害を検知可能なように構成されている。
したがって、障害検知のためのトラフィック量の増加および当該トラフィック量の増加による障害検知ルータ300の処理負荷の増大を防ぐことができる。
実施形態2.
次に、本発明の第2の実施形態の障害検知ルータ(情報処理装置)320について、図面を参照して説明する。前述した第1の実施形態の障害検知ルータ300は、CPUの負荷率に基づいて障害の有無を判断した。それに対して、本実施形態の障害検知ルータ320は、CPUの負荷率、およびメモリ(図示せず)の使用率に基づいて障害の有無を判断する。
【0053】
図4は、本発明の第2の実施形態の障害検知ルータ320の構成を示すブロック図である。
図4に示すように本発明の第2の実施形態の障害検知ルータ320は、
図1に示す第1の実施形態の障害検知ルータ300の構成に加えて、標準的なメモリ使用量を算出するメモリ使用量算出部323とメモリ使用量を監視するメモリ使用量監視部325とを含む。
【0054】
メモリ使用量算出部323は、LAN入力量監視部321、負荷情報記憶部322、WAN入力量監視部324、および自己診断部326に接続されている。本実施形態の負荷情報記憶部322は、
図1に示す第1の実施形態における負荷情報記憶部305の記憶内容に加えて、メモリ使用量算出部323における標準的なメモリ使用量の算出に用いられるメモリ使用量情報を記憶する。なお、メモリ使用量情報は、受信したパケットに応じて、または受信したパケットに依存せずに、必要とされる各ソフトウェア処理にそれぞれ必要とされるメモリ使用量を算出するために用いられる情報である。
【0055】
また、本実施形態のLAN入力監視部321は、LAN制御部301がLAN10を介して受信したパケットのうち、ルーティング処理等のソフトウェア処理が必要なパケットを特定する。そして、LAN入力監視部321は、特定したパケットの種類とデータ量とをメモリ使用量算出部323に入力する。本実施形態のWAN入力監視部324は、WAN制御部301がWAN20を介して受信したパケットのうち、ルーティング処理等のソフトウェア処理が必要なパケットを特定し、特定したパケットの種類とデータ量とをメモリ使用量算出部323に入力する。
【0056】
そして、メモリ使用量算出部323は、LAN入力量監視部321が入力した情報と、WAN入力量監視部324が入力した情報と、負荷情報記憶部322に記憶されている設定情報およびメモリ使用量情報とに基づいて、標準的なメモリ使用量を算出する。
【0057】
メモリ使用量監視部325は、メモリ使用量を測定し、測定したメモリ使用量を定期的に自己診断部326に入力する。
【0058】
自己診断部326は、第1の実施形態におけるCPUの負荷率に基づく障害の有無の判断に加えて、メモリ使用量算出部323が算出した標準的なメモリ使用量とメモリ使用量監視部325が測定したメモリ使用量とに基づく障害の有無の判断を行う。
【0059】
図4に示す第2の実施形態の障害検知ルータ320の構成において、
図1に示す第1の実施形態の障害検知ルータ300における構成と同様な構成については、
図1を同じ符号を付し、説明を省略する。
【0060】
なお、自己診断部326は、メモリ使用量算出部323が算出した標準的なメモリ使用量とメモリ使用量監視部325が測定したメモリ使用量との差異が、例えば、当該標準的なメモリ使用量の20%以上であった場合に、障害があると判断する。なお、自己診断部326は、それらメモリ使用量の互いの差異が、例えば、当該標準的なメモリ使用量の10%以上や、30%以上、50%以上であった場合に、障害があると判断するように構成されていてもよい。
【0061】
自己診断部326は、第1の実施形態における判断と同様に行うCPUの負荷率に基づく障害の有無の判断、および標準的なメモリ使用量と測定したメモリ使用量とに基づく障害の有無の判断とのいずれかで障害があると判断した場合に、以下の処理を行う。すなわち、自己診断部326は、冗長機能制御部309に障害があることを通知する。
【0062】
そうすると、障害があることを通知された冗長機能制御部309が、待機系ルータの運用に切り替える処理を行う。
【0063】
本実施形態によれば、測定に基づくメモリ使用量と、標準的なメモリ使用量との差異に基づいて障害の有無を判断することができる。したがって、障害の影響が通信に及ぶ前に迅速に障害を検知することができる。
【0064】
また、本実施形態によれば、メモリ使用量に基づいて障害の有無を判断することができるので、通信に影響が及ばない障害の有無を判断することができる。したがって、通信に影響が及ばない障害であっても、当該障害があることをより確実に検知することができる。
【0065】
本実施形態によれば、障害検知用のパケットの送受信をすることなく、メモリ使用量に基づいて障害を検知可能なように構成されている。
したがって、障害検知のためのトラフィック量の増加および当該トラフィック量の増加による障害検知ルータ320の処理負荷の増大を防ぐことができる。
【0066】
なお、メモリ使用量算出部323が標準負荷算出部306に代えて設けられ、メモリ使用量監視部325がCPU負荷監視部307に代えて設けられてもよい。つまり、障害検知ルータが、LAN制御部301、LAN入力量監視部321、負荷情報記憶部322、WAN制御部303、WAN入力量監視部324、負荷情報記憶部322、メモリ使用量算出部323、メモリ使用量監視部325、自己診断部326、冗長機能制御部309、およびルーティング処理部310から構成されていてもよい。
【0067】
そのような構成によれば、メモリ使用量のみに基づいて障害の発生を簡便に検知する障害検知ルータを構成することができる。
実施形態3.
次に、本発明の第3の実施形態の障害検知ルータ(情報処理装置)330について、図面を参照して説明する。本実施形態の障害検知ルータ330は、障害があると判断した場合に、障害があることを自障害検知ルータ330の外部に通知したりする。
【0068】
図5は、本発明の第3の実施形態の障害検知ルータ330の構成を示すブロック図である。
図5に示すように本発明の第3の実施形態の障害検知ルータ330は、
図1に示す第1の実施形態の障害検知ルータ300の構成に加えて、ログ記録部332、優先制御部333、およびアラーム通知部334を含む。
【0069】
本実施形態の自己診断部331は、
図1に示す自己診断部308の処理に加え、障害があると判断したときに、そのときの状況を示す障害状況情報を生成してログ記録部332に入力する。ログ記録部332は、自己診断部331が入力した障害状況情報を記憶手段(図示せず)に記憶させる。なお、障害状況情報は、例えば、障害があると判断したときの測定に基づくCPUの負荷率や、標準的なCPUの負荷率、実行されたソフトウェア処理、受信したパケット、送信したパケット等を示す情報である。
【0070】
また、自己診断部331は、障害があると判断したときに、アラーム通知部334に障害があることを通知する。アラーム通知部334は、障害があることを通知されたことに基づいて、所定の通信端末に障害があることを示す情報を障害通知手段として送信したり、障害検知ルータ330に接続されている表示手段に障害報知手段としてその旨を表示させたり、障害報知手段としてスピーカに警報音を出力させたりする。
【0071】
自己診断部331は、障害があると判断したときに、優先制御部333に障害があることを通知する。優先制御部333は、障害があることを通知されたことに基づいて、予め各処理に設定された優先度に応じて処理を実行するようにCPUを制御する。具体的には、優先制御部333は、例えば、特定のパケット転送処理に予め高い優先度が設定されている場合に、当該処理のみを実行するようにCPUを制御する。
【0072】
本実施形態によれば、自己診断部331によって障害があると判断された場合に、障害があることをアラーム通知部334が自障害検知ルータ330の外部に通知して、管理者に保守作業を促すことができる。
【0073】
また、本実施形態によれば、障害があると判断したときの状況を示す障害状況情報をログ記録部332が記憶手段に記憶させる。したがって、記憶手段に記憶された障害状況情報が、障害の発生に至った原因の分析や事後対応に用いられて、それらの処理の迅速化を図ることができる。
【0074】
本実施形態によれば、自己診断部331によって障害があると判断された場合であっても優先制御部333によって優先度に応じた処理をCPUに実行させることができる。
【0075】
なお、本実施形態において
図1に示す第1の実施形態の障害検知ルータ300の構成に追加された、ログ記録部332、優先制御部333、およびアラーム通知部334が、
図4に示す第2の実施形態の障害検知ルータ320の構成に追加されてもよい。そのような構成によれば、第2の実施形態の障害検知ルータ320においても、本実施形態と同様な効果を奏することができる。
実施形態4.
次に、本発明の第4の実施形態の障害検知ルータについて説明する。
図6は、本実施形態の障害検知ルータ(情報処理装置)340の構成を示すブロック図である。
図6に示すように、本実施形態の障害検知ルータ340は、負荷率測定手段341、情報記憶手段342、負荷率算出手段343、および障害判断手段344を備える。
【0076】
負荷率測定手段341は、
図1に示すCPU負荷監視部307に相当し、CPUの負荷率を測定する。情報記憶手段342は、
図1に示す負荷情報記憶部305に相当し、CPUで行われるソフトウェア処理に応じて、CPUのソフトウェア処理量を算出するための数値を示す数値情報(負荷情報、設定情報)を記憶する。
【0077】
負荷率算出手段343は、
図1に示す標準負荷算出部306に相当し、受信したパケットと、情報記憶手段342に記憶されている数値情報とに基づいてソフトウェア処理量を算出する。そして、負荷率算出手段343は、算出したソフトウェア処理量とCPUのソフトウェア処理能力とに基づいて、CPUの標準的な負荷率を算出する。障害判断手段344は、
図1に示す自己診断部308に相当し、負荷率測定手段341の測定結果と、負荷率算出手段343の算出結果とに基づいて、障害があるか否かを判断する。
【0078】
本実施形態によれば、障害を迅速かつ確実に検知することができる。
実施形態5.
次に、本発明の第5の実施形態の障害検知ルータについて説明する。
図7は、本実施形態の障害検知ルータ(情報処理装置)350の構成を示すブロック図である。
図7に示すように、本実施形態の障害検知ルータ350は、使用量測定手段351、使用量情報記憶手段352、使用量算出手段353、および障害判断手段354を備える。
【0079】
使用量測定手段351は、
図4に示すメモリ使用量監視部325に相当し、メモリの使用量を測定する。使用量情報記憶手段352は、
図4に示す負荷情報記憶部322に相当し、CPUで行われるソフトウェア処理に応じて、メモリの使用量を算出するための数値を示す使用量算出用情報(設定情報、メモリ使用量情報)を記憶する。
【0080】
使用量算出手段353は、
図4に示すメモリ使用量算出部323に相当し、受信したパケットと、使用量情報記憶手段352に記憶されている使用量算出用情報とに基づいてメモリの使用量を算出する。障害判断手段354は、
図4に示す自己診断部326に相当し、使用量測定手段351の測定結果と、使用量算出手段353の算出結果とに基づいて、障害があるか否かを判断する。
【0081】
本実施形態によれば、障害を迅速かつ確実に検知することができる。
【0082】
なお、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0083】
(付記1)CPUの負荷率を測定する負荷率測定手段と、前記CPUで行われるソフトウェア処理に応じて、前記CPUのソフトウェア処理量を算出するための数値を示す数値情報を記憶する情報記憶手段と、受信したパケットと、前記情報記憶手段に記憶されている数値情報とに基づいてソフトウェア処理量を算出し、算出したソフトウェア処理量と前記CPUのソフトウェア処理能力とに基づいて、前記CPUの標準的な負荷率を算出する負荷率算出手段と、前記負荷率測定手段の測定結果と、前記負荷率算出手段の算出結果とに基づいて、障害があるか否かを判断する障害判断手段とを備えたことを特徴とする情報処理装置。
【0084】
(付記2)前記情報記憶手段に記憶されている数値情報は、受信したパケットに応じて行われるソフトウェア処理のそれぞれに対して、前記CPUのソフトウェア処理量に換算するための係数を示す情報を含む付記1に記載の情報処理装置。
【0085】
(付記3)前記情報記憶手段に記憶されている数値情報は、受信したパケットに依存せずに行われるソフトウェア処理のそれぞれに対して、前記CPUのソフトウェア処理量に換算するための加算値を示す情報を含む付記1または付記2に記載の情報処理装置。
【0086】
(付記4)メモリの使用量を測定する使用量測定手段と、前記CPUで行われるソフトウェア処理に応じて、前記メモリの使用量を算出するための数値を示す使用量算出用情報を記憶する使用量情報記憶手段と、受信したパケットと、前記使用量情報記憶手段に記憶されている使用量算出用情報とに基づいて前記メモリの使用量を算出する使用量算出手段とを含み、前記障害判断手段は、前記使用量測定手段の測定結果と、前記使用量算出手段の算出結果とに基づいて、障害があるか否かを判断する付記1から付記3のうちいずれかに記載の情報処理装置。
【0087】
(付記5)メモリの使用量を測定する使用量測定手段と、CPUで行われるソフトウェア処理に応じて、前記メモリの使用量を算出するための数値を示す使用量算出用情報を記憶する使用量情報記憶手段と、受信したパケットと、前記使用量情報記憶手段に記憶されている使用量算出用情報とに基づいて前記メモリの使用量を算出する使用量算出手段と、前記使用量測定手段の測定結果と、前記使用量算出手段の算出結果とに基づいて、障害があるか否かを判断する障害判断手段とを備えたことを特徴とする情報処理装置。
【0088】
(付記6)前記使用量情報記憶手段に記憶されている使用量算出用情報は、受信したパケットに応じて行われるソフトウェア処理のそれぞれに対して、前記メモリの使用量に換算するための係数を示す情報を含む付記4または付記5に記載の情報処理装置。
【0089】
(付記7)前記使用量情報記憶手段に記憶されている使用量算出用情報は、受信したパケットに依存せずに行われるソフトウェア処理のそれぞれに対して、前記メモリの使用量に換算するための加算値を示す情報を含む付記4から付記6のうちいずれかに記載の情報処理装置。
【0090】
(付記8)前記障害判断手段が障害があると判断した場合に、予め設定された優先度に応じて処理を実行する優先制御手段を含む付記1から付記7のうちいずれかに記載の情報処理装置。
【0091】
(付記9)前記障害判断手段が障害があると判断した場合に、障害があることを所定の通信端末に通知する処理を実行する障害通知手段を含む付記1から付記8のうちいずれかに記載の情報処理装置。
【0092】
(付記10)前記障害判断手段が障害があると判断した場合に、障害があることを報知する処理を実行する障害報知手段を含む付記1から付記9のうちいずれかに記載の情報処理装置。
【0093】
(付記11)CPUの負荷率を測定する負荷率測定ステップと、受信したパケットと、前記CPUで行われるソフトウェア処理に応じて、前記CPUのソフトウェア処理量を算出するための数値を示す数値情報とに基づいてソフトウェア処理量を算出し、算出したソフトウェア処理量と前記CPUのソフトウェア処理能力とに基づいて、前記CPUの標準的な負荷率を算出する負荷率算出ステップと、前記負荷率測定ステップにおける測定結果と、前記負荷率算出ステップにおける算出結果とに基づいて、障害があるか否かを判断する障害判断ステップとを含むことを特徴とする情報処理装置における障害検知方法。
【0094】
(付記12)メモリの使用量を測定する使用量測定ステップと、受信したパケットと、CPUで行われるソフトウェア処理に応じて、前記メモリの使用量を算出するための数値を示す使用量算出用情報とに基づいて前記メモリの使用量を算出する使用量算出ステップと、前記使用量測定ステップにおける測定結果と、前記使用量算出ステップにおける算出結果とに基づいて、障害があるか否かを判断する障害判断ステップとを含むことを特徴とする情報処理装置における障害検知方法。
【0095】
(付記13)コンピュータに、CPUの負荷率を測定する負荷率測定処理と、受信したパケットと、前記CPUで行われるソフトウェア処理に応じて、前記CPUのソフトウェア処理量を算出するための数値を示す数値情報とに基づいてソフトウェア処理量を算出し、算出したソフトウェア処理量と前記CPUのソフトウェア処理能力とに基づいて、前記CPUの標準的な負荷率を算出する負荷率算出処理と、前記負荷率測定処理における測定結果と、前記負荷率算出処理における算出結果とに基づいて、障害があるか否かを判断する障害判断処理とを実行させるための情報処理装置における障害検知プログラム。
【0096】
(付記14)コンピュータに、メモリの使用量を測定する使用量測定処理と、受信したパケットと、CPUで行われるソフトウェア処理に応じて、前記メモリの使用量を算出するための数値を示す使用量算出用情報とに基づいて前記メモリの使用量を算出する使用量算出処理と、前記使用量測定処理における測定結果と、前記使用量算出処理における算出結果とに基づいて、障害があるか否かを判断する障害判断処理とを実行させるための情報処理装置における障害検知プログラム。