(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の第2開口部は、前記第1方向において隣り合う第2開口部同士の2つの長辺エッジを前記第2方向に沿って互いにずらして配置されており、当該ずらす量は前記2つの長辺エッジ間の長さより小さい、
請求項1に記載の液晶表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1は、一実施形態の液晶表示装置の基本構造を示す断面図である。この液晶表示装置は、対向配置された第1基板11および第2基板12と、第1基板11に設けられた第1電極13と、第2基板12に設けられた第2電極14と、第1基板11と第2基板12の間に配置された液晶層17を基本構成として備える。例えば、本実施形態の液晶表示装置は、電極同士の重なり合う領域が表示したい文字や図案を形作るように構成され、基本的に予め定めた文字等のみを表示可能であり、概ね、有効表示領域内における面積比で50%以下程度の領域が文字等の表示に寄与するものであるセグメント表示型の液晶表示装置である。なお、液晶表示装置は、複数の画素がマトリクス状に配列されたドットマトリクス表示型であってもよいし、セグメント表示型とドットマトリクス型が混合したものであってもよい。
【0015】
第1基板11および第2基板12は、それぞれ例えばガラス基板、プラスチック基板等の透明基板である。図示のように、第1基板11と第2基板12は、所定の間隙(例えば4μm程度)を設けて貼り合わされている。
【0016】
第1電極13は、第1基板11の一面側に設けられている。同様に、第2電極14は、第2基板12の一面側に設けられている。第1電極13および第2電極14は、それぞれ例えばインジウム錫酸化物(ITO)などの透明導電膜を適宜パターニングすることによって構成されている。また、第1電極13には複数の開口部18が設けられ、第2電極14には複数の開口部19が設けられている。
【0017】
第1配向膜15は、第1基板11の一面側に第1電極13を覆うようにして設けられている。第2配向膜16は、第2基板12の一面側に第2電極14を覆うようにして設けられている。これらの第1配向膜15、第2配向膜16としては、液晶層17の配向状態を垂直配向に規制する垂直配向膜が用いられている。各配向膜15、16にはラビング処理等の一軸配向処理は施されていない。
【0018】
液晶層17は、第1基板11と第2基板12の間に設けられている。本実施形態においては、誘電率異方性Δεが負の液晶材料を用いて液晶層17が構成される。液晶層17に図示された太線は、液晶層17における液晶分子の配向方向を模式的に示したものである。本実施形態の液晶層17は、電圧無印加時における液晶分子の配向方向が第1基板11および第2基板12の各基板面に対して垂直となる垂直配向に設定されている。
【0019】
第1偏光板21は、第1基板11の外側に配置されている。同様に、第2偏光板22は、第2基板12の外側に配置されている。第1偏光板21と第2偏光板22は、各々の吸収軸が互いに略直交するように配置されている。また、各偏光板と各基板との間には適宜Cプレート等の光学補償板が配置されてもよい。例えば本実施形態では、第1基板11と第1偏光板21の間、第2基板12と第2偏光板22の間のそれぞれに光学補償板23、24が配置されている。
【0020】
図2(A)〜
図2(D)、
図3(A)〜
図3(D)および
図4(A)〜
図4(E)は、各開口部18、19の構造例を示す平面図である。以下、各図を参照しながら各開口部18、19の平面視における構造について詳細に説明する。
【0021】
図2(A)に示す構造例における各開口部18は、それぞれ紙面の上下方向(第1方向)に沿った2つの長辺エッジと、これらの長辺エッジに対して斜交する(直交以外の角度で交わる)2つの短辺エッジとを有しており、上下方向に伸びた略平行四辺形の平面視形状を有する。この例では、各短辺エッジは、上下方向を基準として時計回りに45°回転した方向に向けて配置されて各長辺エッジと斜交しており、一方の短辺エッジが2つの長辺エッジの各一端側と結合し、他方の短辺エッジが2つの長辺エッジの各他端側と結合している。
【0022】
各開口部18は、各々の長手方向が上下方向に揃うようにして
、かつ隣り合う開口部18の短辺エッジ同士が上下方向において向かい合うようにして列をなして配置されている。ここで、開口部の長手方向とは、概ね、開口部の外形を画定する複数の辺のうちで最も長い辺の配置方向をいうものとする(以下においても同様)。また、各開口部19も各開口部18と同様の形状を有し、同様に配置されている。そして、各開口部18と各開口部19は、
平面視において互いに重ならないようにして左右方向(第2方向)に沿って交互に配置されている。ある1つの開口部18に着目すると、この開口部18は左右方向にそれぞれ配置される2つの開口部19に挟まれている。同様に、ある1つの開口部19に着目すると、この開口部19は、左右方向にそれぞれ配置される2つの開口部18に挟まれている。別の観点からは、各開口部18および各開口部19は、それぞれ、上下方向において周期的に配置される電極接続部を挟んで分断されているともいえる(以下においても同様)。
【0023】
図2(B)に示す構造例における各開口部18は、上記した
図2(A)の場合と同様の形状を有し、同様に配置されている。また、各開口部19も同様に配置されているが、形状が異なっている。具体的には、各開口部19は、各短辺エッジが上下方向を基準として反時計回りに45°回転した方向に向けて配置されて各長辺エッジと斜交しており、一方の短辺エッジが2つの長辺エッジの各一端側と結合し、他方の短辺エッジが2つの長辺エッジの各他端側と結合している。そして、各開口部19は、上下方向に伸びた略平行四辺形の平面視形状を有している。
【0024】
図2(C)に示す構造例の各開口部18は、それぞれ上下方向に沿った2つの長辺エッジと、これらの長辺エッジに対して斜交する2つの短辺エッジとを有しており、上下方向に伸びた略台形の平面視形状を有する。この例では、各短辺エッジのうち、一方の短辺エッジは上下方向を基準として時計回りに45°回転した方向に向けて配置されて各長辺エッジと斜交しており、2つの長辺エッジの各一端側と結合している。また、各短辺エッジのうち、他方の短辺エッジは上下方向を基準として反時計回りに45°回転した方向に向けて配置されて各長辺エッジと斜交しており、2つの長辺エッジの各他端側と結合している。なお、各開口部19についても同様の形状を有し、同様に配置されている。
【0025】
また、各開口部18は、長手方向において隣り合う開口部同士の向きが左右方向に反転しており、各々の長手方向が上下方向に揃うようにして列をなして配置されている。ここで、各開口部18は、長手方向において隣り合う開口部同士の2つの長辺エッジの位置(別言すれば長辺エッジ間の中心線aの位置)が左右方向にずれて配置されている。これは、長手方向に隣り合う開口部同士の結合をより確実に防ぐための構造である。ずらす量としては、各開口部18の幅(長辺エッジ間の長さ)未満であることが好ましい。また、長手方向において隣接する開口部同士の隣接する各短辺エッジは平行であり、長手方向に対して45°回転した方向に一方の開口部18を平行移動させると他方の開口部18と短辺エッジ同士が重なるように設定されている。なお、各開口部19も各開口部18と同様の形状を有し、同様に配置されている。
【0026】
また、各開口部18と各開口部19は、左右方向に沿って交互に配置されている。1つの開口部18に着目すると、この開口部18は左右方向にそれぞれ配置される2つの開口部19に挟まれている。このときの1つの開口部18とこれを挟む2つの開口部19とは同じ向きに配置されている。同様に、1つの開口部19に着目すると、この開口部19は、左右方向にそれぞれ配置される2つの開口部18に挟まれている。このときの1つの開口部19とこれを挟む2つの開口部18とは同じ向きに配置されている。
【0027】
なお、
図2(C)に示す各開口部18、各開口部19においては、長手方向に隣り合う開口部同士の2つの長辺エッジの位置(長辺エッジ間の中心線aの位置)を左右方向にずらさなくてもよい。
【0028】
図2(D)に示す構造例の各開口部18、各開口部19は、上記した
図2(A)の場合と各開口部の形状は同じであり、各開口部の配置が異なっている。具体的には、各開口部18および各開口部19は、それぞれ、
図2(C)に示した構造例と同様に、長手方向において隣り合う開口部同士の2つの長辺エッジの位置が左右方向にずれて配置されている。また、長手方向において隣接する開口部同士の隣接する各短辺エッジは平行であり、長手方向に対して45°回転した方向に一方の開口部18(又は19)を平行移動させると他方の開口部18(又は19)と短辺エッジ同士が重なるように設定されている。また、各開口部18と各開口部19は、それぞれの短辺エッジに平行な方向で隣り合う開口部同士が列をなすように交互に配置されており、全体としては、図示の例では右上がり方向へ複数の列をなすように配置されている。
【0029】
図3(A)に示す構造例の各開口部18、各開口部19は、上記した
図2(A)の場合と各開口部の形状は同じであり、各開口部の配置が異なっている。具体的には、左右方向において隣り合う開口部18と開口部19の配置ピッチを上下方向について半ピッチずらしたものである。別の観点からは、上下方向に隣り合う2つの開口部18の間を分断する領域である各電極接続部と上下方向に隣り合う2つの開口部19の間を分断する領域である各電極接続部とは、上下方向において互いに半ピッチずらして配置されている。なお、ずらす量は半ピッチに限定されず任意である。
【0030】
図3(B)に示す構造例の各開口部18、各開口部19は、上記した
図2(A)の場合と各開口部の配置は同じであり、各開口部の形状が異なっている。具体的には、各開口部18および各開口部19は、平面視で、それぞれの長手方向において中間部が内側へ凹んだ形状を有する。これにより、各開口部18、各開口部19の面積がより小さくなるので、液晶表示装置の透過率(すなわち開口率)を向上させる効果が得られる。配向均一性についても確保できる。
【0031】
図3(C)に示す構造例の各開口部18、各開口部19は、上記した
図3(B)の場合と各開口部の形状が同じであり、かつ、上記した
図3(A)の場合と各開口部の配置が同じである。この構造をとると、各開口部18および各開口部19は、短辺エッジ方向に隣り合う開口部の幅の異なる部分が短辺エッジ方向に対して交互に配置されることから、長手方向において内側への凹みがあったとしても幅方向に隣り合う開口部同士の距離が比較的に均等になる。それにより、各開口部18および各開口部19の配置効率が高くなることから単位面積当たりの開口部の配置面積を小さくすることができる。
【0032】
図3(D)に示す構造例の各開口部18、各開口部19は、上記した
図3(C)の場合と各開口部の配置が同じであり、各開口部18と各開口部19の形状が異なっている。具体的には、各開口部18は、各短辺エッジが上下方向を基準として反時計回りに45°回転した方向に向けて配置されて各長辺エッジと斜交しており、各開口部19は、各短辺エッジが上下方向を基準として時計回りに45°回転した方向に向けて配置されて各長辺エッジと斜交している。また、各開口部18および各開口部19は、平面視で、それぞれの長手方向において中間部が内側へ凹んだ形状を有する。
【0033】
図4(A)に示す構造例の各開口部18、各開口部19は、上記した
図2(C)の場合と各開口部の配置が同じであり、各開口部の形状が異なる。具体的には、各開口部18および各開口部19は、それぞれ、長手方向において一方側に内側への凹みを有する。各開口部18は、上下方向に隣り合う開口部同士で上記した凹みの位置が右側、左側と交互に配置されている。同様に、各開口部19は、上下方向に隣り合う開口部同士で上記した凹みの位置が右側、左側と交互に配置されている。また、左右方向において隣り合う開口部18と開口部19は、それぞれの凹みの位置が同じ側に配置されている。なお、各開口部18、各開口部19において、凹み部分は左右両側に設けられていてもよい。
【0034】
図4(B)に示す構造例の各開口部18、各開口部19は、上記した
図4(A)の場合と各開口部の形状が同じであり、上記した
図3(A)の場合と各開口部の配置が同じである。すなわち、
図4(A)に示した構造例において、ある列の開口部18の位置とそれに隣り合う列の開口部19の位置とが所定のピッチ(図示の例では半ピッチ)ずらされている。
【0035】
図4(C)に示す構造例の各開口部18、各開口部19は、上記した
図3(C)に示す構造例を変形したものであり、各開口部の位置は同じであるが形状が異なる。具体的には、ここでの各開口部18、各開口部19は、それぞれの長手方向において一端側と他端側の幅が異なっている。これにより、透過率のさらなる向上が実現できる。
【0036】
図4(D)に示す構造例の各開口部18、各開口部19は、上記した
図4(C)に示す構造例を変形したものであり、各開口部18、各開口部19の配置が
図2(A)等と同じになっている。
【0037】
図4(E)に示す構造例の各開口部18、各開口部19は、上記した
図4(C)に示す構造例を変形したものであり、各開口部18、各開口部19の位置は同じであるが形状が異なる。具体的には、各開口部18および各開口部19は、一端側と他端側の幅が異なっており、かつ左右のいずれか一方のエッジが直線状で他方のエッジが折れ線状となっている。これにより、透過率のさらなる向上が実現できる。
【0038】
(実施例)
次に、上記した構造例のいくつかに関する実施例を説明する。
【0039】
図5(A)は、上記した
図2(A)に示した構造例の各開口部を有する第1基板と第2基板と貼り合わせた状態であって液晶層をまだ形成していない状態(いわゆる空セル)の実施例の顕微鏡観察像である。各開口部の形状パラメータの定義を
図7に示す(以下において同様)。ここではセル厚を4μm、スリット長さLを100μm、スリット幅W1(1つの開口部の長辺エッジ間長さ)を20μm、短辺エッジ長さW2を28μm、開口部同士の長辺エッジ間距離W3を30μm、開口部同士の短辺エッジ間距離Sを10μmとした。なお、スリット長さLについては両長辺エッジの平均と定義した(本例では両長辺エッジが等しい)。各開口部の分断部分のエッジを観察すると、2つの長辺エッジとそれぞれに斜交する短辺エッジとの接続箇所は鈍角と鋭角をなしているが、エッチング精度の影響により角が丸まって曲線状となっている。ただし、短辺エッジの曲線部分の接線および直線部分の平均方位は明らかに各開口部の長手方向に対して斜交していることがわかる。
図5(B)は、液晶層を形成した状態での実施例の明表示時の配向組織像である。左右方向に隣り合う開口部同士の相互間における配向は、斜め電界の発生により均一である。また、上下方向において隣り合う開口部同士の相互間における配向は、規則的なクロス状の暗領域が観察されており、この暗領域は全ての領域で均一であることがわかる。この実施例の液晶表示装置は外観観察において良好な表示を確認できた。
【0040】
図5(C)は、上記した
図2(B)に示した構造例の各開口部を有する第1基板と第2基板と貼り合わせた状態であって液晶層をまだ形成していない状態(いわゆる空セル)の実施例の顕微鏡観察像である。各開口部の形状パラメータの数値は上記と同様である。各開口部の分断部分のエッジを観察すると、エッチング精度の影響により角が丸まって曲線状となっているが、短辺エッジの曲線部分の接線および直線部分の平均方位は明らかに各開口部の長手方向に対して斜交していることがわかる。また、短辺エッジの方向が左右方向で交互に入れ替わっていることがわかる。
図5(D)は、液晶層を形成した状態での実施例の明表示時の配向組織像である。左右方向に隣り合う開口部同士の相互間における配向は、斜め電界の発生により均一である。また、上下方向において隣り合う開口部同士の相互間における配向は、規則的なクロス状の暗領域が観察されており、この暗領域は全ての領域で均一であることがわかる。この実施例の液晶表示装置も外観観察において良好な表示を確認できた。
【0041】
図6(A)は、上記した
図2(C)に示した構造例の各開口部を有する第1基板と第2基板と貼り合わせた状態であって液晶層をまだ形成していない状態(いわゆる空セル)の実施例の顕微鏡観察像である。各開口部の形状パラメータの数値は上記と同様である。各開口部の分断部分のエッジを観察すると、上記各実施例と同様に、エッチング精度の影響により角が丸まり曲線状となっているが、短辺エッジの曲線部分の接線および直線部分の平均方位は明らかに各開口部の長手方向に対して斜交していることがわかる。また、短辺エッジの方向が上下方向で交互に入れ替わっていることがわかる。
図6(B)は、液晶層を形成した状態での実施例の明表示時の配向組織像である。左右方向に隣り合う開口部同士の相互間における配向は、斜め電界の発生により均一である。また、上下方向において隣り合う開口部同士の相互間における配向は、規則的なクロス状の暗領域が観察されており、この暗領域は全ての領域で均一であることがわかる。この実施例の液晶表示装置も外観観察において良好な表示を確認できた。
【0042】
図6(C)は、上記した
図2(D)に示した構造例の各開口部を有する第1基板と第2基板と貼り合わせた状態であって液晶層をまだ形成していない状態(いわゆる空セル)の実施例の顕微鏡観察像である。各開口部の形状パラメータの数値は上記と同様である。各開口部の分断部分のエッジを観察すると、上記各実施例と同様に、エッチング精度の影響により角が丸まり曲線状となっているが、短辺エッジの曲線部分の接線および直線部分の平均方位は明らかに各開口部の長手方向に対して斜交していることがわかる。また、各開口部は、上下方向に進むにしたがって長辺エッジ間の中心がずれていく様子が観察される。
図6(D)は、液晶層を形成した状態での実施例の明表示時の配向組織像である。左右方向に隣り合う開口部同士の相互間における配向は、斜め電界の発生により均一である。また、上下方向において隣り合う開口部同士の相互間における配向は、規則的なクロス状の暗領域が観察されており、この暗領域は全ての領域で均一であることがわかる。この実施例の液晶表示装置も外観観察において良好な表示を確認できた。
【0043】
以上のような実施形態並びに実施例によれば、開口率を上昇させるために各開口部の幅を狭めた場合にも、各開口部の長手方向に対して斜交するように各短辺エッジを構成していることから、各短辺エッジを各開口部の長手方向に対して直交させる場合に比較して各短辺エッジをより長くすることができる。したがって、長手方向に隣り合う開口部同士の相互間距離をより広くとることができるようになり、開口部同士の結合による電極の断線を防ぐことができる。
【0044】
なお、本発明は上記した内容に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々に変形して実施をすることが可能である。