特許第6474979号(P6474979)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6474979化合物、着色剤、着色硬化性樹脂組成物、塗膜、カラーフィルタ及び表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6474979
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】化合物、着色剤、着色硬化性樹脂組成物、塗膜、カラーフィルタ及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   C09B 11/26 20060101AFI20190218BHJP
   C09B 67/20 20060101ALI20190218BHJP
   C09B 67/22 20060101ALI20190218BHJP
   C09B 67/46 20060101ALI20190218BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20190218BHJP
   C09D 7/40 20180101ALI20190218BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20190218BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20190218BHJP
【FI】
   C09B11/26 BCSP
   C09B67/20 F
   C09B67/22 Z
   C09B67/46 A
   C09D201/00
   C09D7/40
   G03F7/004 505
   G02B5/20 101
【請求項の数】9
【全頁数】60
(21)【出願番号】特願2014-177834(P2014-177834)
(22)【出願日】2014年9月2日
(65)【公開番号】特開2015-172174(P2015-172174A)
(43)【公開日】2015年10月1日
【審査請求日】2017年6月6日
(31)【優先権主張番号】特願2014-30330(P2014-30330)
(32)【優先日】2014年2月20日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE−CHEM CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】特許業務法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】芦田 徹
【審査官】 高橋 直子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第02955899(US,A)
【文献】 特表2010−520508(JP,A)
【文献】 特開2016−033201(JP,A)
【文献】 特開2016−027075(JP,A)
【文献】 特開2015−172178(JP,A)
【文献】 特開2015−227397(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 11/26
C09B 67/20
C09B 67/22
C09B 67/46
C09D 7/40
C09D 201/00
G02B 5/20
G03F 7/004
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A−II)で表される化合物。
【化1】
[式(A−II)中、Xは、酸素原子または硫黄原子を示す。
41〜R46は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基(該アルキル基を構成する炭素原子間に酸素原子が挿入されていてもよい)または置換基を有していてもよいアリール基を表す。ただし、R41〜R44のうちの少なくとも1つは、式(iia)で表される基である。
【化2】
[式(iia)中、L1は、炭素数1〜12のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれる−CH2−は、−O−、−CO−又は−NR111−に置き換わっていてもよい。
111は、水素原子又は炭素数1〜20の1価の飽和炭化水素基を表す。
144は、炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。複数のR144は、それぞれ同一であってもよいし異なっていてもよい。
*は、窒素原子との結合手を表す。]
47〜R54は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシ基、または炭素数1〜8のアルキル基(該アルキル基を構成する炭素原子間に酸素原子が挿入されていてもよい)を表す。
55は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または置換基を有していてもよいアリール基を表す。
g-は、対アニオンを表す。
gは、任意の自然数を表す。]
【請求項2】
式(A−II)で表される化合物が、式(A−I)で表される化合物である請求項に記載の化合物。
【化3】
[式(A−I)中、Xは、酸素原子または硫黄原子を示す。
41〜R46は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基(該アルキル基を構成する炭素原子間に酸素原子が挿入されていてもよい)または置換基を有していてもよいアリール基を表す。ただし、R41〜R44のうちの少なくとも1つは、式(ii)で表される基である。
【化4】
(式(ii)中、nは1〜8の整数を表し、R14は炭素数1〜4のアルコキシ基を表し、*は窒素原子との結合手を表す。複数のR14は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
47〜R54は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシ基、または炭素数1〜8のアルキル基(該アルキル基を構成する炭素原子間に酸素原子が挿入されていてもよい)を表す。
55は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または置換基を有していてもよいアリール基を表す。
g-は、対アニオンを表す。
gは、任意の自然数を表す。]
【請求項3】
請求項1または2に記載の化合物を含む着色剤。
【請求項4】
さらに、青色顔料を含む請求項に記載の着色剤。
【請求項5】
青色顔料が、C.I.ピグメントブルー15:6である請求項に記載の着色剤。
【請求項6】
請求項のいずれかに記載の着色剤と、樹脂と、重合性化合物と、重合開始剤とを含む着色硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項に記載の着色硬化性樹脂組成物を用いて形成される塗膜。
【請求項8】
請求項に記載の着色硬化性樹脂組成物を用いて形成されるカラーフィルタ。
【請求項9】
請求項に記載のカラーフィルタを含む表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物および着色硬化性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
トリアリールメタン染料は、例えば、カラーフィルタの分野で使用されている。このような染料としては、例えば、式(II−0)で表されるベーシックブルー20が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2010−520508号公報(請求項3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記式(II−0)で表される化合物は、有機溶媒への溶解性が十分ではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の発明を含む。
[1]式(A−VI)で表される化合物。
[式(A−VI)中、R1A〜R8Aは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシ基、または炭素数1〜20のアルキル基(該アルキル基を構成する炭素原子間に酸素原子が挿入されていてもよい)を表す。
9A〜R12Aは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基(該アルキル基を構成する炭素原子間に酸素原子が挿入されていてもよい)または置換基を有していてもよいアリール基を表す。ただし、R9A〜R12Aのうちの少なくとも1つは、ケイ素原子を含む。
g−は、対アニオンを表す。
gは、任意の自然数を表す。
Dは、置換基を有していてもよい芳香族基、または置換基を有していてもよいヘテロ芳香族基を表す。]
[2]R9A〜R12Aのうちの少なくとも1つは、ケイ素原子を含む基を置換基として有する基である請求項1に記載の化合物。
[3]R9A〜R12Aのうちの少なくとも1つが、式(iia)で表される基である[2]に記載の化合物。
[式(iia)中、Lは、炭素数1〜12のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれる−CH−は、−O−、−CO−又は−NR111−に置き換わっていてもよい。
111は、水素原子又は炭素数1〜20の1価の飽和炭化水素基を表す。
144は、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。複数のR144は、それぞれ同一であってもよいし異なっていてもよい。
*は、窒素原子との結合手を表す。]
[4] R9A〜R12Aのうちの少なくとも1つは、式(ii)で表される基である[3]に記載の化合物。
[式(ii)中、nは1〜8の整数を表し、R14は水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基を表し、*は窒素原子との結合手を表す。複数のR14は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。]
[5]式(A−VI)で表される化合物が、式(A−II)で表される化合物である[1]に記載の化合物。
[式(A−II)中、Xは、酸素原子または硫黄原子を示す。
41〜R46は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基(該アルキル基を構成する炭素原子間に酸素原子が挿入されていてもよい)または置換基を有していてもよいアリール基を表す。ただし、R41〜R44のうちの少なくとも1つは、式(iia)で表される基である。
[式(iia)中、Lは、炭素数1〜12のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれる−CH−は、−O−、−CO−又は−NR111−に置き換わっていてもよい。
111は、水素原子又は炭素数1〜20の1価の飽和炭化水素基を表す。
144は、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。複数のR144は、それぞれ同一であってもよいし異なっていてもよい。
*は、窒素原子との結合手を表す。]
55は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または置換基を有していてもよいアリール基を表す。
g−は、対アニオンを表す。
gは、任意の自然数を表す。]
[6]式(A−II)で表される化合物が、式(A−I)で表される化合物である[5]に記載の化合物。
[式(A−I)中、Xは、酸素原子または硫黄原子を示す。
41〜R46は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基(該アルキル基を構成する炭素原子間に酸素原子が挿入されていてもよい)または置換基を有していてもよいアリール基を表す。ただし、R41〜R44のうちの少なくとも1つは、式(ii)で表される基である。
(式(ii)中、nは1〜8の整数を表し、R14は水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基を表し、*は窒素原子との結合の手を表す。複数のR14は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
47〜R54は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシ基、または炭素数1〜8のアルキル基(該アルキル基を構成する炭素原子間に酸素原子が挿入されていてもよい)を表す。
55は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または置換基を有していてもよいアリール基を表す。
g−は、対アニオンを表す。
gは、任意の自然数を表す。]
[7][1]〜[6]のいずれかに記載の化合物を含む着色剤。
[8]さらに、青色顔料を含む[7]に記載の着色剤。
[9]青色顔料が、C.I.ピグメントブルー15:6である[8]に記載の着色剤。
[10][7]〜[9]のいずれかに記載の着色剤と、樹脂と、重合性化合物と、重合開始剤とを含む着色硬化性樹脂組成物。
[11][10]記載の着色硬化性樹脂を用いて形成される塗膜。
[12][10]記載の着色硬化性樹脂を用いて形成されるカラーフィルタ。
[13][12]記載のカラーフィルタを含む表示装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明の化合物は、有機溶媒への溶解性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の化合物は、式(A−VI)で表される化合物(以下「化合物(A−VI)」と記載することもある。)であり、化合物(A−VI)には、その互変異性体も含まれる。
【0008】
[式(A−VI)中、R1A〜R8Aは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシ基、または炭素数1〜20のアルキル基(該アルキル基を構成する炭素原子間に酸素原子が挿入されていてもよい)を表す。
9A〜R12Aは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基(該アルキル基を構成する炭素原子間に酸素原子が挿入されていてもよい)または置換基を有していてもよいアリール基を表す。ただし、R9A〜R12Aのうちの少なくとも1つは、ケイ素原子を含む。
g−は、対アニオンを表す。
gは、任意の自然数を表す。
Dは、置換基を有していてもよい芳香族基、または置換基を有していてもよいヘテロ芳香族基を表す。]
【0009】
9A、R10A、R11A及びR12Aのうちの少なくとも1つは、ケイ素原子を含む。
9A、R10A、R11A及びR12Aのうちの少なくとも1つは、ケイ素原子を含む基を置換基として有する基であることが好ましい。ケイ素原子を含むとは、基の構成要素としてケイ素原子を含むことを意味する。
9A〜R12Aのうちの少なくとも1つは、式(iia)で表される基であることが好ましく、R9A〜R12Aのうちの少なくとも1つは、式(ii)で表される基であることがより好ましい。
9A〜R12Aのうち2つが、式(iia)で表される基であることが好ましく、R9A及びR10Aから選ばれる1つと、R11A及びR12Aから選ばれる1つとが、式(iia)で表される基であることがより好ましい。
【0010】
[式(iia)中、Lは、炭素数1〜12のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれる−CH−は、−O−、−CO−又は−NR111−に置き換わっていてもよい。
111は、水素原子又は炭素数1〜20の1価の飽和炭化水素基を表す。
144は、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。複数のR144は、それぞれ同一であってもよいし異なっていてもよい。
*は、窒素原子との結合手を表す。]
【0011】
式(ii)中、nは1〜8の整数を表し、R14は水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基を表し、*は窒素原子との結合の手を表す。複数のR14は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
【0012】
さらに、式(A−VI)で表される化合物は、式(A−II)で表される化合物(以下「化合物(A−II)」と記載することもある。)であることが好ましく、式(A−I)で表される化合物であることがより好ましい。化合物(A−II)及び化合物(A−I)には、それらの互変異性体も含まれる。
[式(A−II)中、Xは、酸素原子または硫黄原子を示す。
41〜R46は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基(該アルキル基を構成する炭素原子間に酸素原子が挿入されていてもよい)または置換基を有していてもよいアリール基を表す。ただし、R41〜R44のうちの少なくとも1つは、式(iia)で表される基である。
[式(iia)中、Lは、炭素数1〜12のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれる−CH−は、−O−、−CO−又は−NR111−に置き換わっていてもよい。
111は、水素原子又は炭素数1〜20の1価の飽和炭化水素基を表す。
144は、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。複数のR144は、それぞれ同一であってもよいし異なっていてもよい。
*は、窒素原子との結合手を表す。]
55は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または置換基を有していてもよいアリール基を表す。
g−は、対アニオンを表す。
gは、任意の自然数を表す。]
【0013】
[式(A−I)中、Xは、酸素原子または硫黄原子を示す。
41〜R46は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基(該アルキル基を構成する炭素原子間に酸素原子が挿入されていてもよい)または置換基を有していてもよいアリール基を表す。ただし、R41〜R44のうちの少なくとも1つは、式(ii)で表される基である。
(式(ii)中、nは1〜8の整数を表し、R14は水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基を表し、*は窒素原子との結合の手を表す。複数のR14は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
47〜R54は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシ基、または炭素数1〜8のアルキル基(該アルキル基を構成する炭素原子間に酸素原子が挿入されていてもよい)を表す。
55は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または置換基を有していてもよいアリール基を表す。
g−は、対アニオンを表す。
gは、任意の自然数を表す。]
【0014】
で表される炭素数1〜12のアルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基、ドデカン−1,12−ジイル基、トリデカン−1,13−ジイル基、テトラデカン−1,14−ジイル基、ペンタデカン−1,15−ジイル基、ヘキサデカン−1,16−ジイル基及びヘプタデカン−1,17−ジイル基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基、ペンタン−2,4−ジイル基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,2−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、2−メチルブタン−1,4−ジイル基、シクロブタン−1,3−ジイル基、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロオクタン−1,5−ジイル基等のシクロアルカンジイル基、ノルボルナン−1,4−ジイル基、ノルボルナン−2,5−ジイル基、アダマンタン−1,5−ジイル基、アダマンタン−2,6−ジイル基等が挙げられる。
は、炭素数1〜8のアルカンジイル基であることが好ましい。
【0015】
111で表される炭素数1〜20の飽和炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、イコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基及び2−エチルヘキシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基及びトリシクロデシル基等が挙げられる。
144で表される炭素数1〜12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ヘキサデシル基が挙げられ、炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
144で表される炭素数1〜12のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプタオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基及びn−ドデシルオキシ基が挙げられ、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましい。
【0016】
式(A−VI)及び式(A−II)において、R1A〜R12A、R41〜R46及びR55で表される炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。下記式中、*は炭素原子または窒素原子との結合手を表す。なかでも、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。
【0017】
【0018】
1A〜R12A及びR41〜R46で表される炭素数1〜20のアルキル基において、該アルキル基を構成する炭素原子間に酸素原子が挿入されている基としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。下記式中、*は炭素原子または窒素原子との結合手を表す。なかでも、炭素数1〜10のアルキル基において、該アルキル基を構成する炭素原子間に酸素原子が挿入されている基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基において、該アルキル基を構成する炭素原子間に酸素原子が挿入されている基がより好ましい。
【0019】
【0020】
9A〜R12A及びR41〜R46で表される炭素数1〜20のアルキル基が有する置換基としては、ケイ素原子を含む基、アミノ基及びハロゲン原子等が挙げられる。
ケイ素原子を含む基としては、トリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等のシロキシ基;式(iia)で表される基が挙げられる。アミノ基としては、アルキルアミノ基、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素が挙げられる。これらの置換基で置換された炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。下記式中、*は窒素原子との結合手を表す。
【0021】
【0022】
【0023】
9A〜R12A、R41〜R46及びR55で表される置換基を有していてもよいアリール基において、置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素等のハロゲン原子;クロロメチル基、トリフルオロメチル基等の炭素数1〜6のハロアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ヒドロキシ基;スルファモイル基;メチルスルホニル基等の炭素数1〜6のアルキルスルホニル基等が挙げられる。
該アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等があげられる。
置換基を有していてもよいアリール基の具体例としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。下記式中、*は窒素原子との結合手を表す。
【0024】
【0025】
1A〜R8A及びR47〜R54は、合成の容易さの点から、好ましくはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜8のアルキル基であり、より好ましくはそれぞれ独立して、水素原子、メチル基、フッ素原子又は塩素原子である。
【0026】
9A〜R12Aのうちの少なくとも1つはケイ素原子を含み、式(iia)で表される基であることが好ましく、式(ii)で表される基であることがより好ましい。
41〜R44のうちの少なくとも1つは、式(iia)で表される基であり、式(ii)で表される基であることが好ましい。
式(ii)において、R14で表される炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。
14で表される炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基が挙げられる。
14は、好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、メトキシ基、エトキシ基又はプロポキシ基であり、より好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基又はエトキシ基である。
3つのR14は、同一であることが好ましい。
nは、1〜6の整数が好ましく、1〜4の整数がより好ましい。
式(iia)で表される基としては、例えば、下記で示される基が挙げられる。*は、窒素原子又は炭素原子との結合手を表す。なかでも、式(ii-1)〜式(ii-6)で表される基が好ましい。
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
9AとR12Aとが、それぞれ独立して、式(iia)で表される基であることが好ましく、それぞれ独立して、式(ii)で表される基であることがより好ましい。
41とR44とが、それぞれ独立して、式(iia)で表される基であることが好ましく、それぞれ独立して、式(ii)で表される基であることが好ましい。
【0039】
式(iia)で表される基以外のR9A〜R12A及びR41〜R44は、好ましくは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20アルキル基または置換基を有していてもよいアリール基であり、より好ましくは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基または下記式で表されるアリール基である。
【0040】
【0041】
47〜R54で表される炭素数1〜8のアルキル基(該アルキル基を構成する炭素原子間に酸素原子が挿入されていてもよい)としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。下記式中、*は炭素原子との結合手を表す。
【0042】
【0043】
45、R46及びR55は、合成の容易さの点から、好ましくはそれぞれ独立して、炭素数1〜20アルキル基または置換基を有していてもよいアリール基であり、より好ましくはそれぞれ独立して、炭素数1〜8のアルキル基または下記式で表されるアリール基である。下記式中、*は窒素原子との結合手を表す。
【0044】
【0045】
Ggとしては、例えば、F、Cl、Br、I、式(y1)、式(y2)及び式(y3)で表されるアニオンが挙げられる。
【0046】
式(y1)において、RB1は、ハロゲン化炭化水素基を表す。ハロゲン化炭化水素基としては、フッ素原子で置換された基が好ましく、例えば−CF、−CFCF、−CFCFCF、−CF(CF、−CFCFCFCF、−CFCF(CF、−C(CFが挙げられる。
【0047】
式(y2)において、RB2及びRB3は、ハロゲン原子又はハロゲン化炭化水素基を表す。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子が好ましい。ハロゲン化炭化水素基としては、フッ素原子で置換された基が好ましく、例えば、−CF、−CFCF、−CFCFCF、−CF(CF、−CFCFCFCF、−CFCF(CF)が挙げられる。
B2及びRB3は、互いに結合して−SO−N−SO−を含む環を形成してもよい。
【0048】
式(y3)において、RB4及びRB5は、2価の芳香族基が好ましく、2価の芳香族基としては、例えば、下記の基が挙げられる。
Mは、アルミニウム原子又はホウ素原子を表す。
【0049】
式(A−VI)において、Dで表される置換基を有していてもよい芳香族基としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。*は、炭素原子との結合手を表す。
【0050】
【0051】
なかでも、式(A1−2)および式(A1−6)で表される基が好ましい。
【0052】
式(A−VI)において、Dで表される置換基を有していてもよいヘテロ芳香族基としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。*は、炭素原子との結合手を表す。
【0053】
なかでも、式(A1−12)および式(A1−13)で表される基が好ましい。
【0054】
化合物(A−VI)のカチオン部分としては、式(A−VI−1)〜(A−VI−28)で表されるカチオンが挙げられる。中でも式(A−VI−1)、式(A−VI−2)、式(A−VI−5)、式(A−VI−6)、式(A−VI−9)、式(A−VI−10)で表されるカチオンが好ましい。
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
化合物(A−VI)としては、式(A−VI−1a)〜(A−VI−28a)および式(A−VI−1b)〜(A−VI−28b)で表される化合物が挙げられる。中でも式(A−VI−1b)、式(A−VI−2b)、式(A−VI−5b)、式(A−VI−6b)、式(A−VI−9b)、式(A−VI−10b)で表される化合物が好ましい。
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
化合物(A−I)のカチオン部分としては、式(A−I−a1)〜(A−I−a24)で表されるカチオンが挙げられる。中でも式(A−I−a1)〜式(A−I−a6)で表されるカチオンが好ましい。
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
化合物(A−I)としては、式(A−I−a1a)〜(A−I−a24a)および式(A−I−a1b)〜(A−I−a24b)で表される化合物が挙げられる。中でも式(A−I−a1a)〜式(A−I−a6a)および式(A−I−a1b)〜式(A−I−a6b)で表される化合物が好ましい。
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
化合物(A−VI)は、例えば、化合物D−Hと、式(C−II)で表される化合物とを、反応させることにより製造することができる。かかる反応は、有機溶媒の存在下で行ってもよいし、無溶媒で行ってもよい。
【0089】
式(C−II)中、R1A〜R12Aは、それぞれ前記と同じ意味を表す。
【0090】
式(C−II)で表される化合物の使用量は、D−Hで表される化合物1モルに対して、それぞれ好ましくは0.5モル以上8モル以下であり、より好ましくは1モル以上3モル以下である。
【0091】
反応温度は、30℃〜180℃が好ましく、80℃〜130℃がより好ましい。反応時間は、1時間〜12時間が好ましく、3時間〜8時間がより好ましい。
【0092】
いずれの反応も、収率の点から、有機溶媒中でおこなうことが好ましい。有機溶媒としては、トルエン、キシレン等の炭化水素溶媒;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール溶媒;ニトロベンゼン等のニトロ炭化水素溶媒;メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒;1−メチル−2−ピロリドン等のアミド溶媒;等が挙げられる。有機溶媒の使用量は、D−Hで表される化合物1質量部に対して、好ましくは1質量部以上20質量部以下であり、より好ましくは2質量部以上10質量部以下である。
【0093】
上記反応は、収率の点から、縮合剤の存在下に実施することが好ましい。縮合剤としては、リン酸、ポリリン酸、オキシ塩化リン、硫酸、塩化チオニル等が挙げられる。
【0094】
縮合剤の使用量は、D−Hで表される化合物1質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上20質量部以下であり、より好ましくは0.2質量部以上5質量部以下である。
【0095】
反応混合物から目的化合物である化合物(A−VI)を取得する方法は特に限定されず、公知の種々の手法が採用できる。例えば、反応混合物をアルコール(例えば、メタノール等)と共に混合し、析出した結晶を濾取する方法を挙げることができる。反応混合物は前記アルコールに添加することが好ましい。反応混合物を添加するときの温度は、好ましくは−100℃以上50℃以下、より好ましくは−80℃以上0℃以下である。また、この後、同温度で0.5〜2時間程度攪拌することが好ましい。濾取した結晶は、水などで洗浄し、次いで乾燥することが好ましい。また必要に応じて、再結晶などの公知の手法によってさらに精製してもよい。
【0096】
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、化合物(A−VI)及び化合物(A−I)を含む着色剤(A)と、樹脂(B)と、重合性化合物(C)と、重合開始剤(D)とを含む。さらに、溶剤(E)を含んでもよい。
本明細書において、各成分として例示する化合物は、特に断りのない限り、単独で又は複数種を組合せて使用することができる。
【0097】
<着色剤(A)>
着色剤(A)は、本発明の化合物のほかに、調色のため、即ち分光特性を調整するために、さらに他の染料(A2)、顔料(P)、又はこれらの混合物を含んでいてもよい。
染料(A2)としては、油溶性染料、酸性染料、酸性染料のアミン塩や酸性染料のスルホンアミド誘導体などの染料が挙げられ、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)で染料に分類されている化合物や、染色ノート(色染社)に記載されている公知の染料が挙げられる。また、化学構造によれば、クマリン染料、含金アゾ染料、ピリドンアゾ染料、バルビツールアゾ染料、キノフタロン染料、メチン染料、シアニン染料、アントラキノン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、及びフタロシアニン染料等が挙げられる。これらの染料は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0098】
具体的には、C.I.ソルベントイエロー4(以下、C.I.ソルベントイエローの記載を省略し、番号のみの記載とする。)、14、15、23、24、38、62、63、68、82、94、98、99、162;
C.I.ソルベントオレンジ2、7、11、15、26、56;等のC.I.ソルベント染料、
C.I.アシッドイエロー1、3、7、9、11、17、23、25、29、34、36、38、40、42、54、65、72、73、76、79、98、99、111、112、113、114、116、119、123、128、134、135、138、139、140、144、150、155、157、160、161、163、168、169、172、177、178、179、184、190、193、196、197、199、202、203、204、205、207、212、214、220、221、228、230、232、235、238、240、242、243、251;
C.I.アシッドオレンジ6、7、8、10、12、26、50、51、52、56、62、63、64、74、75、94、95、107、108、169、173;
C.I.アシッドレッド52等のC.I.アシッド染料、
【0099】
C.I.ダイレクトイエロー2、33、34、35、38、39、43、47、50、54、58、68、69、70、71、86、93、94、95、98、102、108、109、129、136、138、141;
C.I.ダイレクトオレンジ34、39、41、46、50、52、56、57、61、64、65、68、70、96、97、106、107;等のC.I.ダイレクト染料、 C.I.モーダントイエロー5、8、10、16、20、26、30、31、33、42、43、45、56、61、62、65;
C.I.モーダントオレンジ3、4、5、8、12、13、14、20、21、23、24、28、29、32、34、35、36、37、42、43、47、48;等のC.I.モーダント染料等が挙げられる。
【0100】
染料(A2)としては、クマリン染料、含金アゾ染料、ピリドンアゾ染料、バルビツールアゾ染料、キノフタロン染料、メチン染料、シアニン染料等の黄色染料が好ましい。
【0101】
化合物(A−VI)及び化合物(A−II)の含有量は、着色剤の総量に対して、好ましくは3〜99.9質量%であり、より好ましくは4〜80質量%であり、さらに好ましくは5〜30質量%である。化合物(A−VI)及び化合物(A−II)の含有量が前記の範囲内にあると、カラーフィルタとしたときの明度が高く、好ましい。
【0102】
顔料(P)としては、特に限定されず公知の顔料を使用することができ、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)でピグメントに分類されている顔料が挙げられる。
例えば、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、83、86、93、94、109、110、117、125、128、137、138、139、147、148、150、153、154、166、173、194、214などの黄色顔料;
C.I.ピグメントオレンジ13、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65、71、73などのオレンジ色の顔料;
C.I.ピグメントグリーン7、36、58などの緑色顔料;
C.I.ピグメントレッド9、97、105、122、123、144、149、166、168、176、177、180、192、209、215、216、224、242、254、255、264、265などの赤色顔料;
C.I.ピグメントブルー15、15:3、15:4、15:6、60などの青色顔料;C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、29、32、36、38などのバイオレット色顔料が挙げられる。
【0103】
顔料(P)としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、83、86、93、94、109、110、117、125、128、137、138、139、147、148、150、153、154、166、173、194、214などの黄色顔料;C.I.ピグメントグリーン7、36、58などの緑色顔料;C.I.ピグメントブルー15、15:3、15:4、15:6などの青色顔料が好ましく、C.I.ピグメントイエロー150、185、C.I.ピグメントグリーン58及びC.I.ピグメントブルー15:6がより好ましく、C.I.ピグメントブルー15:6が特に好ましい。前記の顔料を含むことで、透過スペクトルの最適化が容易であり、カラーフィルタの耐熱性及び耐薬品性が良好になる。
【0104】
着色剤(A)の含有量は、固形分の総量に対して、好ましくは5〜60質量%であり、より好ましくは8〜55質量%であり、さらに好ましくは10〜50質量%である。着色剤(A)の含有量が前記の範囲内にあると、カラーフィルタとしたときの色濃度が十分であり、かつ組成物中に樹脂(B)や重合性化合物(C)を必要量含有させることができるので、機械的強度が十分なパターンを形成することができる。ここで、本明細書における「固形分の総量」とは、着色硬化性樹脂組成物の総量から溶剤の含有量を除いた量のことをいう。固形分の総量及びこれに対する各成分の含有量は、例えば、液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィーなどの公知の分析手段で測定することができる。
【0105】
<樹脂(B)>
樹脂(B)は、特に限定されないが、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。樹脂(B)としては、以下の樹脂[K1]〜[K6]等が挙げられる。
樹脂[K1];不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種(Ba)(以下「(Ba)」という場合がある)と、炭素数2〜4の環状エーテル構造とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(Bb)(以下「(Bb)」という場合がある)との共重合体;
樹脂[K2];(Ba)と(Bb)と、(Ba)と共重合可能な単量体(Bc)(ただし、(Ba)及び(Bb)とは異なる。)(以下「(Bc)」という場合がある)との共重合体;
樹脂[K3];(Ba)と(Bc)との共重合体;
樹脂[K4];(Ba)と(Bc)との共重合体に(Bb)を反応させた樹脂;
樹脂[K5];(Bb)と(Bc)との共重合体に(Ba)を反応させた樹脂;
樹脂[K6];(Bb)と(Bc)との共重合体に(Ba)を反応させ、さらにカルボン酸無水物を反応させた樹脂。
【0106】
(Ba)としては、具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸等の不飽和モノカルボン酸類;
マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、3−ビニルフタル酸、4−ビニルフタル酸、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、ジメチルテトラヒドロフタル酸、1、4−シクロヘキセンジカルボン酸等の不飽和ジカルボン酸類;
メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、5−カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−6−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−6−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のカルボキシ基を含有するビシクロ不飽和化合物類;
無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3−ビニルフタル酸無水物、4−ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン無水物等の不飽和ジカルボン酸類無水物;
こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等の2価以上の多価カルボン酸の不飽和モノ〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕エステル類;
α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸のような、同一分子中にヒドロキシ基及びカルボキシ基を含有する不飽和アクリレート類等が挙げられる。
これらのうち、共重合反応性の点や得られる樹脂のアルカリ水溶液への溶解性の点から、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等が好ましい。
【0107】
(Bb)は、例えば、炭素数2〜4の環状エーテル構造(例えば、オキシラン環、オキセタン環及びテトラヒドロフラン環からなる群から選ばれる少なくとも1種)とエチレン性不飽和結合とを有する重合性化合物をいう。(Bb)は、炭素数2〜4の環状エーテルと(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体が好ましい。
尚、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。「(メタ)アクリロイル」及び「(メタ)アクリレート」等の表記も、同様の意味を有する。
【0108】
(Bb)としては、例えば、オキシラニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体、オキセタニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体、テトラヒドロフリル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体等が挙げられる。
【0109】
(Bb)としては、得られるカラーフィルタの耐熱性、耐薬品性等の信頼性をより高くすることができる点で、オキシラニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体であることが好ましい。
【0110】
(Bc)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として「ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート」といわれている。また、「トリシクロデシル(メタ)アクリレート」という場合がある。)、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン−8−イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として「ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート」といわれている。)、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、プロパルギル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等のジカルボン酸ジエステル;
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2’−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(2’−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジエトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチル−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−tert−ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(tert−ブトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(シクロヘキシルオキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のビシクロ不飽和化合物類;
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−スクシンイミジル−3−マレイミドベンゾエート、N−スクシンイミジル−4−マレイミドブチレート、N−スクシンイミジル−6−マレイミドカプロエート、N−スクシンイミジル−3−マレイミドプロピオネート、N−(9−アクリジニル)マレイミド等のジカルボニルイミド誘導体類;
スチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メトキシスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられる。
これらのうち、共重合反応性及び耐熱性の点から、スチレン、ビニルトルエン、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等が好ましい。
【0111】
樹脂(B)としては、具体的に、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体等の樹脂[K1];グリシジル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、グリシジル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/N−シクロヘキシルマレイミド共重合体、3−メチル−3−(メタ)アクリルロイルオキシメチルオキセタン/(メタ)アクリル酸/スチレン共重合体等の樹脂[K2];ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体等の樹脂[K3];ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂等の樹脂[K4];トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂等の樹脂[K5];トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂にさらにテトラヒドロフタル酸無水物を反応させた樹脂等の樹脂[K6]等が挙げられる。
中でも、樹脂(B)としては、樹脂[K1]及び樹脂[K2]が好ましい。
【0112】
例えば、樹脂[K1]は、文献「高分子合成の実験法」(大津隆行著 発行所(株)化学同人 第1版第1刷 1972年3月1日発行)に記載された方法及び当該文献に記載された引用文献を参考にして製造することができる。
【0113】
なお、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。特に、この重合の際に溶剤として、本発明の着色硬化性樹脂組成物に含まれる溶剤を使用することにより、反応後の溶液をそのまま本発明の着色硬化性樹脂組成物の調製に使用することができるため、本発明の着色硬化性樹脂組成物の製造工程を簡略化することができる。
【0114】
樹脂(B)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは3,000〜100,000であり、より好ましくは5,000〜50,000であり、さらに好ましくは5,000〜30,000である。分子量が前記の範囲内にあると、カラーフィルタの硬度が向上し、残膜率が高く、未露光部の現像液に対する溶解性が良好で、着色パターンの解像度が向上する傾向がある。
樹脂(B)の分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、好ましくは1.1〜6であり、より好ましくは1.2〜4である。
【0115】
樹脂(B)の酸価は、好ましくは50〜170mg−KOH/gであり、より好ましくは60〜150mg−KOH/g、さらに好ましくは70〜135mg−KOH/gである。ここで酸価は樹脂(B)1gを中和するに必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、例えば水酸化カリウム水溶液を用いて滴定することにより求めることができる。
【0116】
樹脂(B)の含有量は、固形分の総量に対して、好ましくは7〜65質量%であり、より好ましくは13〜60質量%であり、さらに好ましくは17〜55質量%である。樹脂(B)の含有量が、前記の範囲内にあると、着色パターンが形成でき、また着色パターンの解像度及び残膜率が向上する傾向がある。
【0117】
<重合性化合物(C)>
重合性化合物(C)は、重合開始剤(D)から発生した活性ラジカル及び/又は酸によって重合しうる化合物であり、例えば、重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物等が挙げられ、好ましくは(メタ)アクリル酸エステル化合物である。
【0118】
中でも、重合性化合物(C)は、エチレン性不飽和結合を3つ以上有する重合性化合物であることが好ましい。このような重合性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールノナ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコール変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコール変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
中でも、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0119】
重合性化合物(C)の重量平均分子量は、好ましくは150〜2,900、より好ましくは250〜1,500である。
【0120】
重合性化合物(C)の含有量は、固形分の総量に対して、7〜65質量%であることが好ましく、より好ましくは13〜60質量%であり、さらに好ましくは17〜55質量%である。重合性化合物(C)の含有量が、前記の範囲内にあると、着色パターン形成時の残膜率及びカラーフィルタの耐薬品性が向上する傾向がある。
<重合開始剤(D)>
重合開始剤(D)は、光や熱の作用により活性ラジカル、酸等を発生し、重合を開始しうる化合物であれば特に限定されることなく、公知の重合開始剤を用いることができる。
活性ラジカルを発生する重合開始剤としては、例えば、O−アシルオキシム化合物、アルキルフェノン化合物、トリアジン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物及びビイミダゾール化合物が挙げられる。
【0121】
前記O−アシルオキシム化合物としては、例えば、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)ブタン−1−オン−2−イミン、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)−3−シクロペンチルプロパン−1−オン−2−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−{2−メチル−4−(3,3−ジメチル−2,4−ジオキサシクロペンタニルメチルオキシ)ベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−シクロペンチルプロパン−1−イミン、N−ベンゾイルオキシ−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−シクロペンチルプロパン−1−オン−2−イミン等が挙げられる。イルガキュア(登録商標)OXE01、OXE02(以上、BASF社製)、N−1919(ADEKA社製)等の市販品を用いてもよい。中でも、O−アシルオキシム化合物は、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)ブタン−1−オン−2−イミン、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン及びN−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)−3−シクロペンチルプロパン−1−オン−2−イミンからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミンがより好ましい。これらのO−アシルオキシム化合物であると、高明度なカラーフィルタが得られる傾向にある。
【0122】
前記アルキルフェノン化合物としては、例えば、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルスルファニルフェニル)プロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−2−ベンジルブタン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−イソプロペニルフェニル)プロパン−1−オンのオリゴマー、α,α−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。イルガキュア(登録商標)369、907、379(以上、BASF社製)等の市販品を用いてもよい。
【0123】
前記トリアジン化合物としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
【0124】
前記アシルホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。イルガキュア(登録商標)819(BASF社製)等の市販品を用いてもよい。
【0125】
前記ビイミダゾール化合物としては、例えば、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,3−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール(例えば、特開平6−75372号公報、特開平6−75373号公報等参照。)、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(アルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(ジアルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(トリアルコキシフェニル)ビイミダゾール(例えば、特公昭48−38403号公報、特開昭62−174204号公報等参照。)、4,4’,5,5’−位のフェニル基がカルボアルコキシ基により置換されているイミダゾール化合物(例えば、特開平7−10913号公報等参照)等が挙げられる。
【0126】
さらに重合開始剤(D)としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;9,10−フェナンスレンキノン、2−エチルアントラキノン、カンファーキノン等のキノン化合物;10−ブチル−2−クロロアクリドン、ベンジル、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物等が挙げられる。
【0127】
酸を発生する重合開始剤としては、例えば、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムp−トルエンスルホナート、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウムp−トルエンスルホナート、4−アセトキシフェニルメチルベンジルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホナート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホナート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等のオニウム塩類や、ニトロベンジルトシレート類、ベンゾイントシレート類等が挙げられる。
【0128】
重合開始剤(D)としては、O−アシルオキシム化合物、アルキルフェノン化合物、トリアジン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、及びビイミダゾール化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む重合開始剤が好ましく、O−アシルオキシム化合物を含む重合開始剤がより好ましい。
【0129】
重合開始剤(D)の含有量は、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部であり、より好ましくは1〜20質量部である。重合開始剤(D)の含有量が、前記の範囲内にあると、高感度化して露光時間が短縮される傾向があるためカラーフィルタの生産性が向上する。
<溶剤(E)>
溶剤(E)は、特に限定されず、当該分野で通常使用される溶剤を用いることができる。例えば、エステル溶剤(分子内に−COO−を含み、−O−を含まない溶剤)、エーテル溶剤(分子内に−O−を含み、−COO−を含まない溶剤)、エーテルエステル溶剤(分子内に−COO−と−O−とを含む溶剤)、ケトン溶剤(分子内に−CO−を含み、−COO−を含まない溶剤)、アルコール溶剤(分子内にOHを含み、−O−、−CO−及び−COO−を含まない溶剤)、芳香族炭化水素溶剤、アミド溶剤、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0130】
エステル溶剤としては、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2−ヒドロキシイソブタン酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、シクロヘキサノールアセテート及びγ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
【0131】
エーテル溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アニソール、フェネトール及びメチルアニソールなどが挙げられる。
【0132】
エーテルエステル溶剤としては、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート及びジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
【0133】
ケトン溶剤としては、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、アセトン、2−ブタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン及びイソホロンなどが挙げられる。
【0134】
アルコール溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリンなどが挙げられる。
【0135】
芳香族炭化水素溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン及びメシチレンなどが挙げられる。
【0136】
アミド溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドンなどが挙げられる。
【0137】
上記の溶剤のうち、塗布性、乾燥性の点から、1atmにおける沸点が120℃以上210℃以下である有機溶剤が好ましい。溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン及びN,N−ジメチルホルムアミドが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、及び3−エトキシプロピオン酸エチルがより好ましい。
【0138】
溶剤(E)の含有量は、本発明の着色硬化性樹脂組成物の総量に対して、好ましくは70〜95質量%であり、より好ましくは75〜92質量%である。言い換えると、着色硬化性樹脂組成物の固形分の総量は、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは8〜25質量%である。溶剤(E)の含有量が前記の範囲内にあると、塗布時の平坦性が良好になり、またカラーフィルタを形成した際に色濃度が不足しないために表示特性が良好となる傾向がある。
【0139】
<その他の成分>
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、重合開始助剤、レベリング剤、充填剤、他の高分子化合物、密着促進剤、酸化防止剤、光安定剤、連鎖移動剤等、当該技術分野で公知の添加剤を含んでもよい。
【0140】
<着色硬化性樹脂組成物の製造方法>
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、例えば、着色剤(A)、樹脂(B)、重合性化合物(C)、重合開始剤(D)、溶剤(E)、並びに必要に応じて用いられるレベリング剤、重合開始助剤及びその他の成分を混合することにより調製できる。
顔料(P)は、予め溶剤(E)の一部又は全部と混合し、顔料の平均粒子径が0.2μm以下程度となるまで、ビーズミルなどを用いて分散させることが好ましい。この際、必要に応じて前記顔料分散剤、樹脂(B)の一部又は全部を配合してもよい。このようにして得られた顔料分散液に、残りの成分を、所定の濃度となるように混合することにより、目的の着色硬化性樹脂組成物を調製できる。
染料は、予め溶剤(E)の一部又は全部にそれぞれ溶解させて溶液を調製してもよい。
該溶液を、孔径0.01〜1μm程度のフィルタでろ過することが好ましい。
混合後の着色硬化性樹脂組成物を、孔径0.1〜10μm程度のフィルタでろ過することが好ましい。
【0141】
<カラーフィルタの製造方法>
本発明の着色硬化性樹脂組成物から着色パターンを製造する方法としては、フォトリソグラフ法、インクジェット法、印刷法等が挙げられる。中でも、フォトリソグラフ法が好ましい。フォトリソグラフ法は、前記着色硬化性樹脂組成物を基板に塗布し、乾燥させて着色組成物層を形成し、フォトマスクを介して該着色組成物層を露光して、現像する方法である。フォトリソグラフ法において、露光の際にフォトマスクを用いないこと、及び/又は現像しないことにより、上記着色組成物層の硬化物である着色塗膜を形成することができる。このように形成した着色パターンや着色塗膜が本発明のカラーフィルタである。
作製するカラーフィルタの膜厚は、特に限定されず、目的や用途等に応じて適宜調整することができ、例えば、0.1〜30μm、好ましくは0.1〜20μm、さらに好ましくは0.5〜6μmである。
【0142】
基板としては、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミナケイ酸塩ガラス、表面をシリカコートしたソーダライムガラスなどのガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板、シリコン、前記基板上にアルミニウム、銀、銀/銅/パラジウム合金薄膜などを形成したものが用いられる。これらの基板上には、別のカラーフィルタ層、樹脂層、トランジスタ、回路等が形成されていてもよい。
【0143】
フォトリソグラフ法による各色画素の形成は、公知又は慣用の装置や条件で行うことができる。例えば、下記のようにして作製することができる。
まず、着色硬化性樹脂組成物を基板上に塗布し、加熱乾燥(プリベーク)及び/又は減圧乾燥することにより溶剤等の揮発成分を除去して乾燥させ、平滑な着色組成物層を得る。
塗布方法としては、スピンコート法、スリットコート法、スリット アンド スピンコート法等が挙げられる。
加熱乾燥を行う場合の温度は、30〜120℃が好ましく、50〜110℃がより好ましい。また加熱時間としては、10秒間〜60分間であることが好ましく、30秒間〜30分間であることがより好ましい。
減圧乾燥を行う場合は、50〜150Paの圧力下、20〜25℃の温度範囲で行うことが好ましい。
着色組成物層の膜厚は、特に限定されず、目的とするカラーフィルタの膜厚に応じて適宜選択すればよい。
【0144】
次に、着色組成物層は、目的の着色パターンを形成するためのフォトマスクを介して露光される。該フォトマスク上のパターンは特に限定されず、目的とする用途に応じたパターンが用いられる。
露光に用いられる光源としては、250〜450nmの波長の光を発生する光源が好ましい。例えば、350nm未満の光を、この波長域をカットするフィルタを用いてカットしたり、436nm付近、408nm付近、365nm付近の光を、これらの波長域を取り出すバンドパスフィルタを用いて選択的に取り出したりしてもよい。具体的には、水銀灯、発光ダイオード、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ等が挙げられる。
露光面全体に均一に平行光線を照射したり、フォトマスクと着色組成物層が形成された基板との正確な位置合わせを行うことができるため、マスクアライナ及びステッパ等の露光装置を使用することが好ましい。
【0145】
露光後の着色組成物層を現像液に接触させて現像することにより、基板上に着色パターンが形成される。現像により、着色組成物層の未露光部が現像液に溶解して除去される。
現像液としては、例えば、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム等のアルカリ性化合物の水溶液が好ましい。これらのアルカリ性化合物の水溶液中の濃度は、好ましくは0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.03〜5質量%である。さらに、現像液は、界面活性剤を含んでいてもよい。
現像方法は、パドル法、ディッピング法及びスプレー法等のいずれでもよい。さらに現像時に基板を任意の角度に傾けてもよい。
現像後は、水洗することが好ましい。
【0146】
さらに、得られた着色パターンに、ポストベークを行うことが好ましい。ポストベーク温度は、150〜250℃が好ましく、160〜235℃がより好ましい。ポストベーク時間は、1〜120分間が好ましく、10〜60分間がより好ましい。
【実施例】
【0147】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%および部は、特に断らないかぎり質量基準である。
以下の合成例において、化合物の構造は質量分析(LC;Agilent製1200型、MASS;Agilent製LC/MSD型)で確認した。
【0148】
合成例1:式(A−I−a6a)で表される化合物の合成
【0149】
チオシアン酸カリウム36.3部およびアセトン160部を投入した後、室温下で30分攪拌した。次いで、安息香酸クロリド(東京化成(株)社製)50部を10分かけて滴下した。滴下終了後、さらに室温下で2時間攪拌した。次いで、反応混合物を氷冷した後、N−エチル−o−トルイジン(東京化成(株)社製)45.7部を滴下した。滴下終了後、さらに室温下で30分攪拌した。次いで、反応混合物を氷冷した後、30%水酸化ナトリウム水溶液34.2部を滴下した。滴下終了後、さらに室温下で30分攪拌した。次いで、室温下クロロ酢酸35.3部を滴下した。滴下終了後、加熱還流下で7時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温まで放冷した後、反応溶液を水道水120部の中に注いだ後、トルエン200部を加えて30分攪拌した。ついで攪拌を停止し、30分静置したところ、有機層と水層に分離した。水層を分液操作で廃棄した後、有機層を1規定塩酸200部で洗浄し、次いで水道水200部で洗浄し、最後に飽和食塩水200部で洗浄した。
有機層へ適当量のボウショウを加えて30分攪拌した後、ろ過して水分が除去された有機層を得た。得られた有機層をエバポレーターで溶媒留去して、淡黄色液体を得た。得られた淡黄色液体をカラムクロマトグラフィーで精製した。精製した淡黄色液体を減圧乾燥し、式(B−I−1)で表される化合物を52部得た。
【0150】
4,4−ジアミノベンゾフェノン(東京化成工業(株)製)21.2部、トリエトキシシラン(東京化成工業(株)製)38.6部および酢酸10部を、テトラヒドロフラン200部中で、8時間還流した。反応終了後、テトラヒドロフランを留去し、下式(A−I−a6−1)で表される化合物60部を得た。
【0151】
上記で得られた式(A−I−a6−1)で表される化合物29.6部、式(B−I−1)で表される化合物14.7部、およびトルエン20部を投入した後、次いで、オキシ塩化リン23部を加えて95〜100℃で3時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却した後、イソプロパノール170部で希釈した。次いで、希釈した反応溶液を飽和食塩水300部の中に注いだ後、トルエン100部を加えて30分攪拌した。ついで攪拌を停止し、30分静置したところ、有機層と水層に分離した。水層を分液操作で廃棄した後、有機層を飽和食塩水300部で洗浄した。有機層へ適当量の硫酸ナトリウムを加えて30分攪拌した後、ろ過して水分が除去された有機層を得た。得られた有機層をエバポレーターで溶媒留去して、青紫色固体を得た。さらに青紫色固体を減圧乾燥し、式(A−I−a6a)で表される化合物を42.1部得た。
【0152】
式(A−I−a6a)で表される化合物の同定
(質量分析)イオン化モード=ESI+: m/z= 855.4[M−Cl]+
Exact Mass: 890.4
【0153】
合成例2:式(A−I−a6b)で表される化合物の合成
式(A−I−a6−2)で表される化合物4.2部、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(東京化成(株)社製)2.8部、およびN,N−ジメチルホルムアミド30部を投入した後、40℃で3時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却した後、水道水500部へ1時間攪拌しながら滴下すると、暗青色懸濁液が得られた。得られた懸濁液をろ過すると、青緑色固体を得られた。さらに青緑色固体を減圧乾燥し、式(A−I−a6b)で表される化合物を11.2部得た。
【0154】
式(A−I−a6a)および式(A−I−a6b)で表される化合物0.35部をクロロホルムに溶解して体積を250cmとし、そのうちの2cmをイオン交換水で希釈して体積を100cmとして(濃度:0.028g/L)、分光光度計(石英セル、光路長;1cm)を用いて吸収スペクトルを測定した。この化合物の極大吸収波長:λmaxは、それぞれ638nmおよび639nmであった。
【0155】
合成例3:式(A−VI−2a)で表される化合物の合成
合成例1において、式(B−I−1)の代わりに、N−1−エチル-ナフチルアミン(東京化成(株)社製)を用いた以外は、合成例1と同様に合成して、式(A−VI−2a)で表される化合物を得た。
【0156】
式(A−VI−2a)で表される化合物の同定
(質量分析)イオン化モード=ESI+: m/z= 719.0[M−Cl]+
Exact Mass: 754.5
【0157】
合成例4:式(A−VI−2b)で表される化合物の合成
合成例2において、式(A−I−a6a)の代わりに、:式(A−VI−2a)を用いた以外は、合成例2と同様に合成して、式(A−VI−2b)で表される化合物を得た。
【0158】
式(A−VI−2a)および式(A−VI−2b)で表される化合物0.35部をクロロホルムに溶解して体積を250cmとし、そのうちの2cmをイオン交換水で希釈して体積を100cmとして(濃度:0.028g/L)、分光光度計(石英セル、光路長;1cm)を用いて吸収スペクトルを測定した。この化合物の極大吸収波長:λmaxは、それぞれ615nmおよび617nmであった。
【0159】
〈溶解度の測定〉
合成例1〜4で得られた化合物と式(II-0)で表される化合物のプロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、PGMEと略す)、エチルラクテート(以下、ELと略す)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAと略す)への溶解度を、以下のようにして求めた。
50mLサンプル管中、下記の割合で化合物と上記溶媒とを混合し、その後、サンプル管を密栓し、30℃で3分間超音波振動機にて振動させた。ついで室温で30分間放置後、吸引濾過し、その残渣を目視で観察した。不溶物が確認できなかった場合、溶解性は良好であると判断して○とし、不溶物が確認できた場合は、溶解性は不良であると判断して×とした。結果を表1に示す。
7% 化合物0.07g、溶媒1g
3% 化合物0.03g、溶媒1g
1% 化合物0.01g、溶媒1g
【0160】
【表1】
【0161】
〔樹脂の合成〕
還流冷却器、滴下ロート及び撹拌機を備えたフラスコ内に窒素を適量流して窒素雰囲気とし、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部を入れ、撹拌しながら85℃まで加熱した。次いで、該フラスコ内に、メタクリル酸19部、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルアクリレート及び3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イルアクリレートの混合物(含有比はモル比で50:50)(商品名「E−DCPA」、株式会社ダイセル製)171部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40部に溶解した溶液を滴下ポンプを用いて約5時間かけて滴下した。一方、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)26部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート120部に溶解した溶液を別の滴下ポンプを用いて約5時間かけてフラスコ内に滴下した。重合開始剤の滴下が終了した後、約3時間同温度に保持し、その後室温まで冷却して、固形分43.5%の共重合体(樹脂(B−1)の溶液を得た。得られた樹脂(B−1の重量平均分子量は8000、分子量分布は1.98、固形分換算の酸価は53mg−KOH/gであった。
【0162】
〔着色硬化性樹脂組成物の調製〕
実施例5
着色剤(A):染料(A1):式(A−I−a6a)で表される染料 2.5部;
アルカリ可溶性樹脂(B):樹脂(B−1)(固形分換算) 50部;
重合性化合物(C):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD(登録商標) DPHA;日本化薬(株)製) 16部;
重合開始剤(D):N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン(イルガキュア(登録商標)OXE−01;BASF社製;O−アシルオキシム化合物) 4.1部;
溶剤(E):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 120部;
溶剤(E):4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン 380部;
レベリング剤(H):ポリエーテル変性シリコーンオイル
(トーレシリコーンSH8400;東レダウコーニング(株)製) 0.12部;
を混合して着色硬化性樹脂組成物を得た。
【0163】
実施例6
着色剤(A):染料(A1):式(A−I−a6b)で表される染料 2.5部;
アルカリ可溶性樹脂(B):樹脂(B−1)(固形分換算) 50部;
重合性化合物(C):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD(登録商標) DPHA;日本化薬(株)製) 16部;
重合開始剤(D):N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン(イルガキュア(登録商標)OXE−01;BASF社製;O−アシルオキシム化合物) 4.1部;
溶剤(E):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 120部;
溶剤(E):4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン 380部;
レベリング剤(H):ポリエーテル変性シリコーンオイル
(トーレシリコーンSH8400;東レダウコーニング(株)製) 0.12部;
を混合して着色硬化性樹脂組成物を得た。
【0164】
実施例7
着色剤(A):染料(A1):式(A−VI−2a)で表される染料 2.5部;
アルカリ可溶性樹脂(B):樹脂(B−1)(固形分換算) 50部;
重合性化合物(C):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD(登録商標) DPHA;日本化薬(株)製) 16部;
重合開始剤(D):N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン(イルガキュア(登録商標)OXE−01;BASF社製;O−アシルオキシム化合物) 4.1部;
溶剤(E):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 120部;
溶剤(E):4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン 380部;
レベリング剤(H):ポリエーテル変性シリコーンオイル
(トーレシリコーンSH8400;東レダウコーニング(株)製) 0.12部;
を混合して着色硬化性樹脂組成物を得た。
【0165】
実施例8
着色剤(A):染料(A1):式(A−VI−2b)で表される染料 2.5部;
アルカリ可溶性樹脂(B):樹脂(B−1)(固形分換算) 50部;
重合性化合物(C):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD(登録商標) DPHA;日本化薬(株)製) 16部;
重合開始剤(D):N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン(イルガキュア(登録商標)OXE−01;BASF社製;O−アシルオキシム化合物) 4.1部;
溶剤(E):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 120部;
溶剤(E):4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン 380部;
レベリング剤(H):ポリエーテル変性シリコーンオイル
(トーレシリコーンSH8400;東レダウコーニング(株)製) 0.12部;
を混合して着色硬化性樹脂組成物を得た。
【0166】
実施例9
(A)着色剤:C.I.ピグメントブルー15:6(顔料) 4.48部
アクリル系顔料分散剤 1.76部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 29.8部
を混合し、ビーズミルを用いて顔料を十分に分散させ、ついで、
着色剤(A):染料(A1):式(A−I−a6a)で表される染料 2.5部;
アルカリ可溶性樹脂(B):樹脂(B−1)(固形分換算) 50部;
重合性化合物(C):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD(登録商標) DPHA;日本化薬(株)製) 16部;
重合開始剤(D):N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン(イルガキュア(登録商標)OXE−01;BASF社製;O−アシルオキシム化合物) 4.1部;
溶剤(E):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 100部;
溶剤(E):4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン 450部;
レベリング剤(H):ポリエーテル変性シリコーンオイル
(トーレシリコーンSH8400;東レダウコーニング(株)製) 0.12部;
を混合して着色硬化性樹脂組成物を得た。
【0167】
実施例10
(A)着色剤:C.I.ピグメントブルー15:6(顔料) 2.2部
アクリル系顔料分散剤 1.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 14.1部
を混合し、ビーズミルを用いて顔料を十分に分散させ、ついで、
着色剤(A):染料(A1):式(A−I−a6a)で表される染料 8.4部;
着色剤(A):C.I.アシッドレッド52 0.1部;
アルカリ可溶性樹脂(B):樹脂(B−1)(固形分換算) 50部;
重合性化合物(C):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD(登録商標) DPHA;日本化薬(株)製) 16部;
重合開始剤(D):N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン(イルガキュア(登録商標)OXE−01;BASF社製;O−アシルオキシム化合物) 4.1部;
溶剤(E):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 100部;
溶剤(E):4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン 50部;
レベリング剤(H):ポリエーテル変性シリコーンオイル
(トーレシリコーンSH8400;東レダウコーニング(株)製) 0.12部;
を混合して着色硬化性樹脂組成物を得た。
【0168】
比較例1
着色剤(A):染料(A1):式(II−0)で表される染料 2.5部;
アルカリ可溶性樹脂(B):樹脂(B−1)(固形分換算) 50部;
重合性化合物(C):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD(登録商標) DPHA;日本化薬(株)製) 16部;
重合開始剤(D):N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン(イルガキュア(登録商標)OXE−01;BASF社製;O−アシルオキシム化合物) 4.1部;
溶剤(E):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 100部;
溶剤(E):4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン 450部;
レベリング剤(H):ポリエーテル変性シリコーンオイル
(トーレシリコーンSH8400;東レダウコーニング(株)製) 0.12部;
を混合して着色硬化性樹脂組成物を得た。
【0169】
〔パターンの形成〕
2インチ角のガラス基板(イーグルXG;コーニング社製)上に、着色感光性組成物をスピンコート法で塗布したのち、100℃で3分間プリベークして組成物層を得た。冷却後、組成物層が形成されたガラス基板と石英ガラス製フォトマスクとの間隔を100μmとして、露光機(TME−150RSK;トプコン(株)製)を用いて、大気雰囲気下、150mJ/cm2の露光量(365nm基準)で光照射する。フォトマスクとしては、100μmラインアンドスペースパターンが形成されたものを使用する。光照射後、上記塗膜を、非イオン系界面活性剤0.12%と水酸化カリウム0.04%を含む水系現像液に23℃で80秒間浸漬現像し、水洗後、オーブン中、220℃で20分間ポストベークを行いパターンを得た。
【0170】
〔耐熱性評価〕
着色感光性樹脂組成物の塗布膜を200℃で20分加熱し、塗布膜の加熱前後の色差(ΔEab*)を測色機(OSP−SP−200;OLYMPUS社製)を用いて測定した。実施例5〜10で得られた塗布膜について、それぞれ以上の耐熱性評価を実施した結果、色差(ΔEab*)は10.0、10.1、11.2、12.0、7.3、8.5であった。また、比較例1についても同様に耐熱性評価を実施した結果、色差(ΔEab*)は40.1であった。
【0171】
本願化合物を含む着色硬化性樹脂組成物は、良好な耐熱性を有するカラーフィルタを製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0172】
本発明の化合物(A-VI)は、有機溶媒への溶解性に優れる。そのため、化合物(A-VI)を含む着色剤を含む着色硬化性樹脂組成物を用いれば、異物の発生が少なく、高品質なカラーフィルタを作成することが可能である。