(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、
(I)植物油脂を含有する乳代替組成物において、
アスパラギン酸塩、アスパラギン酸、グリシン、グリシン塩、シトルリン及びシトルリン塩からなる群から選択される1種又は2種以上のアミノ酸又はその塩が添加され、かつ、
前記乳代替組成物における前記植物油脂の添加量(又は含有量)に対する、前記乳代替組成物における前記アミノ酸又はその塩の合計添加量の重量比率が、2〜30%の範囲内に調整されたことを特徴とする、
長期保存により発生する乳脂肪由来の劣化臭が抑制されつつ、牛乳様の自然な味覚及び風味に優れた乳代替組成物(以下、単に「本発明の乳代替組成物」とも表示する)、及びその製造方法:
(II)容器詰飲料であって、
(a)植物油脂、及び、(b)遊離アスパラギン酸、遊離グリシン及び遊離シトルリンからなる群から選択される1種又は2種以上の遊離アミノ酸を含有し、
前記飲料における前記植物油脂の含有量(又は添加量)が、前記飲料全量に対して0.35重量%以上であり、かつ、
前記飲料における前記植物油脂の含有量(又は添加量)に対する、前記飲料における前記遊離アミノ酸の合計含有量の重量比率が、1.5〜25%の範囲内であることを特徴とする、
長期保存による乳脂肪由来の劣化臭が抑制されつつ、牛乳様の自然な味覚及び風味に優れた容器詰飲料、及びその製造方法:及び、
(III)容器詰飲料において、
(a)植物油脂、及び、(b)アスパラギン酸塩、アスパラギン酸、グリシン、グリシン塩、シトルリン及びシトルリン塩からなる群から選択される1種又は2種以上のアミノ酸又はその塩が添加され、
前記飲料における前記植物油脂の添加量(又は含有量)が、前記飲料全量に対して0.35重量%以上であり、かつ、
前記飲料における前記植物油脂の添加量(又は含有量)に対する、前記飲料における前記アミノ酸又はその塩の合計添加量の重量比率が、2〜30%の範囲内に調整されたことを特徴とする、
長期保存による乳脂肪由来の劣化臭が抑制されつつ、牛乳様の自然な味覚及び風味に優れた容器詰飲料、及びその製造方法からなる。なお、本発明における特定の遊離アミノ酸には、特定の遊離アミノ酸のイオン(アミノ酸の塩に由来するものを含む)が含まれる。
【0017】
1.(本発明(I)の乳代替組成物)
長期保存により発生する乳脂肪由来の劣化臭が抑制されつつ、牛乳様の自然な味覚及び風味に優れた本発明の乳代替組成物は、植物油脂を含有する乳代替組成物において、アスパラギン酸塩、アスパラギン酸、グリシン、グリシン塩、シトルリン及びシトルリン塩からなる群から選択される1種又は2種以上のアミノ酸又はその塩が添加され、かつ、前記乳代替組成物における前記植物油脂の添加量(又は含有量)に対する、前記乳代替組成物における前記アミノ酸又はその塩の合計添加量の重量比率が、2〜30%の範囲内に調整されたものである限り特に制限されない。
【0018】
<本発明に用いる特定のアミノ酸等>
本発明に用いる特定のアミノ酸等としては、アスパラギン酸塩、アスパラギン酸、グリシン、グリシン塩、シトルリン及びシトルリン塩からなる群から選択される1種又は2種以上である限り特に制限されないが、牛乳様の自然な味覚及び風味により優れた乳代替組成物又は容器詰飲料を得る観点から、アスパラギン酸塩、アスパラギン酸、グリシン、シトルリンからなる群から選択される1種又は2種以上であることが好ましく、アスパラギン酸塩、グリシン、シトルリンからなる群から選択される1種又は2種以上であることがより好ましく、アスパラギン酸ナトリウム、グリシン、シトルリンからなる群から選択される1種又は2種以上であることがさらに好ましく、アスパラギン酸ナトリウムが特に好ましい。また、本発明において2種以上の特定のアミノ酸等を併用する場合、牛乳様の自然な味覚及び風味により優れた乳代替組成物又は容器詰飲料を得る観点から、特定のアミノ酸等のうち少なくとも1種は、アスパラギン酸塩又はアスパラギン酸であることが好ましく、アスパラギン酸塩であることがより好ましく、アスパラギン酸ナトリウムであることがさらに好ましい。本発明において2種以上の特定のアミノ酸等を併用する場合、牛乳様の自然な味覚及び風味により優れた乳代替組成物又は容器詰飲料を得る観点から、乳代替組成物又は容器詰飲料における、特定のアミノ酸等の添加量に対するアスパラギン酸ナトリウムの添加量の重量比率が好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上である態様を好適に挙げることができる。また、乳代替組成物又は容器詰飲料中の総アミノ酸(ただし単量体のアミノ酸に限る)の含有量に対する、特定のアミノ酸等の合計含有量の重量比率(%)は特に制限されないが、牛乳様の自然な味覚及び風味により優れた乳代替組成物又は容器詰飲料を得る観点から、30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。
【0019】
なお、本発明に用いる特定のアミノ酸等は、単量体(モノマー)のアミノ酸又はその塩を意味し、ペプチドやタンパク質等の多量体(ポリマー)のアミノ酸は含まない。なお、本発明に用いる特定のアミノ酸等としては、かかるアミノ酸等の精製品(例えば、かかるアミノ酸等の合計含有量が90重量%以上のもの)が好ましいが、本発明の効果が得られる限り、本発明に用いる特定のアミノ酸等の含有物であってもよい。かかる含有物としては、本発明に用いる特定のアミノ酸等の合計含有量が、1重量%以上、好ましくは3重量%以上、より好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%以上さらに好ましくは80重量%以上のものを好適に挙げることができる。
【0020】
上記のアミノ酸の塩としては、薬理学的に許容されるものであれば特に制限されない。アミノ酸におけるカルボキシル基等の酸性基に対しては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属との塩、アンモニウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、トリエチルアミン、エタノールアミン、モルホリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ジシクロへキシルアミン等の有機アミンとの塩が挙げられ、中でも、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩や、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属との塩が好ましく挙げられ、中でも、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩がより好ましく挙げられ、中でもナトリウムとの塩がさらに好ましく挙げられる。また、アミノ酸における塩基性基に対しては、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、臭化水素酸などの無機酸との塩、酢酸、クエン酸、安息香酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、コハク酸、タンニン酸、酪酸、ヒベンズ酸、パモ酸、エナント酸、デカン酸、テオクル酸、サリチル酸、乳酸、シュウ酸、マンデル酸、リンゴ酸等の有機カルボン酸との塩、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸との塩が挙げられる。
【0021】
本発明に用いるアミノ酸等は、市販されているものを用いることができる。
【0022】
<植物油脂>
本発明に用いる植物油脂としては、特に制限されないが、JAS規格に規定されている食用植物油脂などの、食品に通常使用されるものを用いることができ、例えば、ヤシ油(ココナッツ油)、パーム核油、パーム油、ナタネ油、綿実油、コーン油、ヒマワリ油、大豆油、及び、それらを硬化又は分別したものからなる群から選択される1種又は2種以上の植物油脂が挙げられ、牛乳様の自然な味覚及び風味により優れた乳代替組成物又は容器詰飲料を得る観点から、ヤシ油、パーム油、及び、それらを硬化又は分別したものからなる群から選択される1種又は2種以上の植物油脂が好ましく挙げられる。中でも、常温、特に20〜30℃付近で液状の脂肪は、オイルオフ(脂肪分離)を起こし難い利点があるため、好適に使用される。なお、本発明に用いる植物油脂としては、植物油脂の精製品であることが好ましいが、本発明の効果が得られる限り、植物油脂の含有物であってもよい。かかる含有物としては、植物油脂を30重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは80重量%以上のものを好適に挙げることができる。
【0023】
本発明に用いる植物油脂は、市販のものを用いることができる。
【0024】
本発明の乳代替組成物における特定のアミノ酸等や植物油脂の使用量としては、特に制限されないが、乳代替組成物における植物油脂の添加量(又は含有量)に対する、乳代替組成物における特定のアミノ酸等の合計添加量の重量比率は2〜30%の範囲内に調整されている。好適な該重量比率としては、牛乳様のより自然な味覚及び風味を得る観点、及び、該乳代替組成物を飲料に添加した際の飲料における乳感と異味とのバランスの観点から、好ましくは2.3〜28%の範囲内、より好ましくは4〜22%の範囲内、さらに好ましくは4.7〜19%の範囲内を挙げることができる。
【0025】
本発明の乳代替組成物における植物油脂の使用量としては、前述したように特に制限されないが、乳代替組成物全量に対して例えば20〜95重量%の範囲内、好ましくは30〜80重量%の範囲内を挙げることができる。また、本発明の乳代替組成物における特定のアミノ酸等の使用量も特に制限されないが、乳代替組成物全量に対して例えば、0.4〜28.5重量%の範囲内、好ましくは、0.6〜24重量%の範囲内を挙げることができる。
【0026】
本発明の乳代替組成物においては、植物油脂及び特定のアミノ酸等の他に、乳代替組成物の製造に際して通常用いられている添加成分を、本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。かかる添加成分としては、水、糖類、甘味料、酸味料、ビタミン類、ミネラル類、香料、有機酸、有機塩基、乳化剤、増粘剤、酸化防止剤、pH調整剤等が挙げられる。
【0027】
本発明の乳代替組成物においては、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の添加成分として、乳原料を添加することができる。かかる乳原料としては、牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳、全粉乳、脱脂粉乳、ホエイ、カゼイン等が挙げられる。ただし、乳原料を添加する場合であっても、長期保存による乳脂肪由来の劣化臭をより抑制しつつ、牛乳様の自然な味覚及び風味がより優れた乳代替組成物を得る観点から、これら乳原料の添加量は、添加した乳原料に含まれる乳脂肪及び無脂乳固形分の合計重量(乾燥重量)が、添加した植物油脂及び特定のアミノ酸等の合計重量よりも少ないことが好ましく、前記乾燥重量が、植物油脂及び特定のアミノ酸等の合計重量に対して80重量%以下であることがより好ましく、60重量%以下であることがさらに好ましい。
【0028】
本発明の乳代替組成物は、その製造に際して、特定のアミノ酸等を添加すること、及び、乳代替組成物における植物油脂の添加量(又は含有量)に対する、乳代替組成物における特定のアミノ酸等の合計添加量の重量比率を2〜30%の範囲内に調整すること以外は、従来公知の乳代替組成物の製造方法にしたがって製造することができる。例えば、特定のアミノ酸等、植物油脂、及び、必要に応じて前述の添加成分を混合して攪拌する工程により製造することができる。上記重量比率の調整は、特定のアミノ酸等及び植物油脂の使用量を適宜調整することによって、行うことができる。
【0029】
本発明の乳代替組成物の使用方法としては特に制限されないが、例えば、容器詰飲料の製造の際に原料液に添加させ又は含有させて用いることができる。このように使用することにより、長期保存による乳脂肪由来の劣化臭が抑制されつつ、牛乳様の自然な味覚及び風味に優れた容器詰飲料(好ましくは、乳風味を有する容器詰飲料)を得ることができる。
【0030】
2.(本発明(II)の容器詰飲料)
長期保存による乳脂肪由来の劣化臭が抑制されつつ、牛乳様の自然な味覚及び風味に優れた本発明(II)の容器詰飲料は、容器詰飲料であって、
(a)植物油脂、及び、(b)遊離アスパラギン酸、遊離グリシン及び遊離シトルリンからなる群から選択される1種又は2種以上の遊離アミノ酸(以下、「特定の遊離アミノ酸」とも表示する。)を含有し、
前記飲料における前記植物油脂の含有量(又は添加量)が、前記飲料全量に対して0.35重量%以上であり、かつ、
前記飲料における前記植物油脂の含有量(又は添加量)に対する、前記飲料における前記遊離アミノ酸の合計含有量の重量比率が、1.5〜25%の範囲内であるものである限り特に制限されない。
【0031】
本発明(II)の容器詰飲料が含有する特定の遊離アミノ酸としては、遊離アスパラギン酸、遊離グリシン及び遊離シトルリンからなる群から選択される1種又は2種以上の遊離アミノ酸である限り特に制限されないが、牛乳様の自然な味覚及び風味により優れた乳代替組成物又は容器詰飲料を得る観点から、遊離アスパラギン酸が好ましい。また、本発明において2種以上の特定の遊離アミノ酸を併用する場合、牛乳様の自然な味覚及び風味により優れた乳代替組成物又は容器詰飲料を得る観点から、特定の遊離アミノ酸のうち少なくとも1種は、遊離アスパラギン酸であることが好ましい。本発明において2種以上の特定の遊離アミノ酸を併用する場合、牛乳様の自然な味覚及び風味により優れた容器詰飲料を得る観点から、容器詰飲料における、特定の遊離アミノ酸の含有量に対する遊離アスパラギン酸の含有量の重量比率が好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上である態様を好適に挙げることができる。また、本発明(II)の容器詰飲料中の総遊離アミノ酸含有量に対する、特定の遊離アミノ酸の合計含有量の重量比率(%)は特に制限されないが、牛乳様の自然な味覚及び風味により優れた乳代替組成物又は容器詰飲料を得る観点から、30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。
【0032】
本発明(II)の容器詰飲料における植物油脂の含有量(又は添加量)としては、前記飲料全量に対して0.35重量%以上である限り特に制限されないが、より優れた乳感を得る観点から、好ましくは0.358重量%以上、より好ましくは0.53重量%以上、さらに好ましくは0.537重量%以上、より好ましくは0.7重量%以上、特に好ましくは0.716重量%以上とすることが好適である。また、かかる植物油脂の含有量(又は添加量)の上限としては、異味である脂っぽさが過度とならないような観点から、前記飲料全量に対して好ましくは2.5重量%以下、より好ましくは2.3重量%以下、さらに好ましくは2.2重量%以下、より好ましくは2.15重量%以下、さらに好ましくは2重量%以下、特に好ましくは1.79重量%以下とすることが好適である。なお、列挙されている下限値と上限値のすべての組合せがこの記載に含まれているものとするが、より優れた乳感を得つつ、異味である脂っぽさが過度とならないような観点から、本発明(II)の容器詰飲料における植物油脂の含有量(又は添加量)が前記飲料全量に対して好ましくは0.35〜2.5重量%の範囲内、より好ましくは約0.358〜2.5重量%の範囲内、さらに好ましくは0.53〜2.3重量%の範囲内、より好ましくは0.7〜2.2重量%(より好ましくは0.716〜2.15重量%)の範囲内、さらに好ましくは0.7〜2重量%(特に好ましくは0.716〜1.79重量%)の範囲内とすることが好適である。
【0033】
本発明(II)の容器詰飲料における植物油脂の含有量は、公知の方法により測定することができる。かかる方法としては、エーテル抽出法、クロロホルム・メタノール混液抽出法、ゲルベル法、酸分解法、レーゼゴットリーブ法などを挙げることができる。
【0034】
本発明(II)の容器詰飲料において、飲料における植物油脂の含有量(又は添加量)に対する、飲料における特定の遊離アミノ酸の合計含有量の重量比率は、1.5〜25%の範囲内である限り特に制限されないが、より優れた乳感を得つつ、異味である塩味が過度とならないような観点から、好ましくは1.7〜23%の範囲内、より好ましくは1.7〜21.1%の範囲内、さらに好ましくは約3〜16%の範囲内、より好ましくは3.5〜14.1%の範囲内、さらに好ましくは7〜14.1%の範囲内、より好ましくは9〜14.1%の範囲内、特に好ましくは9.6〜14.1%の範囲内とすることが好適である。
【0035】
飲料における特定の遊離アミノ酸の含有量(重量%)の測定方法としては、ポストカラム法や、プレカラム法などの公知の方法を適用することができる。上記のポストカラム法とは、イオン交換クロマトグラフィーで遊離アミノ酸を分離した後に、ニンヒドリン又はo−フタルアルデヒド(OPA)で誘導体化して検出、測定する方法である。また、上記のプレカラム法とは、遊離アミノ酸を以下の化合物1〜6のいずれかで誘導体化した後に、逆相液体クロマトグラフィーで分離して検出、測定する方法である。
化合物1:o−フタルアルデヒド(OPA)
化合物2:フェニルイソチオシアネート(PITC)
化合物3:6−アミノキノリル−N−ヒドロキシスクシンイミジルカルバメイト(AQC)
化合物4:(ジメチルアミノ)アゾベンゼンスルホニルクロリド(DABS−Cl)
化合物5:9−フルオレニルメチルクロロギ酸(FMOC−Cl)
化合物6:7−フルオロ−4−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾール(NBD−F)
なお、飲料における特定の遊離アミノ酸の含有量(重量%)の測定は、一般財団法人 日本食品分析センター等の外部機関に委託して行うこともできる。
【0036】
本発明(II)や後述の本発明(III)の容器詰飲料においては、植物油脂及び特定のアミノ酸等及び水の他に、容器詰飲料の製造に際して通常用いられている添加成分を、本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。かかる添加成分としては、糖類、甘味料、酸味料、ビタミン類、ミネラル類、香料、有機酸、有機塩基、乳化剤、増粘剤、酸化防止剤、pH調整剤の他、コーヒー、ココア、紅茶、緑茶、果汁、野菜汁などの食品素材、植物等の天然物やその抽出物、精製物、濃縮物、加工物等が挙げられる。なお、本発明の容器詰飲料に用いるアミノ酸等がナトリウムを含んでいる場合は、塩味を抑制する観点から、本発明の容器詰飲料におけるナトリウムイオン濃度を、0.05重量%以下とすることが好ましい。また、本発明の乳代替組成物に用いるアミノ酸等がナトリウムを含んでいる場合、該乳代替組成物におけるナトリウムイオン濃度は、該乳代替組成物が飲食される際の状態(例えば希釈されて容器詰飲料に用いられる場合はその容器詰飲料)において塩味を抑制する観点から、該乳代替組成物が飲食される際の状態おけるナトリウムイオン濃度が0.05重量%以下となるような濃度とすることが好ましい。
【0037】
本発明(II)や後述の本発明(III)の容器詰飲料においては、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の添加成分として、乳原料を添加することができる。かかる乳原料としては、牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳、全粉乳、脱脂粉乳、ホエイ、カゼイン等が挙げられる。ただし、乳原料を添加する場合であっても、長期保存による乳脂肪由来の劣化臭をより抑制しつつ、牛乳様の自然な味覚及び風味がより優れた容器詰飲料を得る観点から、これら乳原料の添加量は、添加した乳原料に含まれる乳脂肪及び無脂乳固形分の合計重量(乾燥重量)が、添加した植物油脂及び特定のアミノ酸等(又は特定の遊離アミノ酸)の合計重量よりも少ないことが好ましく、前記乾燥重量が、植物油脂及び特定のアミノ酸等(又は特定の遊離アミノ酸)の合計重量に対して80重量%以下であることがより好ましく、60重量%以下であることがさらに好ましい。
【0038】
本発明(II)の容器詰飲料は、その製造に際して、
(a)植物油脂、及び、(b)遊離アスパラギン酸、遊離グリシン及び遊離シトルリンからなる群から選択される1種又は2種以上の遊離アミノ酸を含有させ、
飲料における植物油脂の含有量(又は添加量)を、飲料全量に対して0.35重量%以上とし、かつ、
飲料における植物油脂の含有量(又は添加量)に対する、飲料における前記遊離アミノ酸の合計含有量の重量比率を、1.5〜25%の範囲内とすること以外は、従来公知の、乳風味を有する容器詰飲料等の容器詰飲料の製造方法にしたがって製造することができる。例えば、水に、植物油脂、特定のアミノ酸等、及び、必要に応じて前述の添加成分を添加して攪拌し、飲料原液を調製する。そして、必要に応じて、飲料原液についてpHの調整及び/又は加熱殺菌をしてから冷却した後、容器に充填して、殺菌する工程により製造することができる。なお、添加した特定のアミノ酸等の全部又は一部は、飲料中において特定の遊離アミノ酸として存在する。
【0039】
本発明(II)の容器詰飲料の製造に際して、上記重量比率を所定の範囲内にする方法としては、特に制限されないが、特定のアミノ酸等及び植物油脂の使用量を適宜調整することによって、行うことができる。
【0040】
3.(本発明(III)の容器詰飲料)
長期保存による乳脂肪由来の劣化臭が抑制されつつ、牛乳様の自然な味覚及び風味に優れた本発明(III)の容器詰飲料は、容器詰飲料において、
(a)植物油脂、及び、(b)アスパラギン酸塩、アスパラギン酸、グリシン、グリシン塩、シトルリン及びシトルリン塩からなる群から選択される1種又は2種以上のアミノ酸又はその塩が添加され、
前記飲料における前記植物油脂の添加量(又は含有量)が、前記飲料全量に対して0.35重量%以上であり、かつ、
前記飲料における前記植物油脂の添加量(又は含有量)に対する、前記飲料における前記アミノ酸又はその塩の合計添加量の重量比率が、2〜30%の範囲内に調整されたものである限り特に制限されない。
【0041】
本発明(III)の容器詰飲料における植物油脂の添加量(又は含有量)としては、前記飲料全量に対して0.35重量%以上である限り特に制限されないが、より優れた乳感を得る観点から、好ましくは0.358重量%以上、より好ましくは0.53重量%以上、さらに好ましくは0.537重量%以上、より好ましくは0.7重量%以上、特に好ましくは0.716重量%以上とすることが好適である。また、かかる植物油脂の添加量(又は含有量)の上限としては、異味である脂っぽさが過度とならないような観点から、前記飲料全量に対して好ましくは2.5重量%以下、より好ましくは2.3重量%以下、さらに好ましくは2.2重量%以下、より好ましくは2.15重量%以下、さらに好ましくは2重量%以下、特に好ましくは1.79重量%以下とすることが好適である。なお、列挙されている下限値と上限値のすべての組合せがこの記載に含まれているものとするが、より優れた乳感を得つつ、異味である脂っぽさが過度とならないような観点から、本発明(III)の容器詰飲料における植物油脂の添加量(又は含有量)が前記飲料全量に対して好ましくは0.35〜2.5重量%の範囲内、より好ましくは約0.358〜2.5重量%の範囲内、さらに好ましくは0.53〜2.3重量%の範囲内、より好ましくは0.7〜2.2重量%(より好ましくは0.716〜2.15重量%)の範囲内、さらに好ましくは0.7〜2重量%(特に好ましくは0.716〜1.79重量%)の範囲内とすることが好適である。
【0042】
本発明(III)の容器詰飲料において、飲料における植物油脂の添加量(又は含有量)に対する、飲料における特定のアミノ酸等の合計添加量の重量比率は、2〜30%の範囲内である限り特に制限されないが、より優れた乳感を得つつ、異味である塩味が過度とならないような観点から、好ましくは2.3〜28%の範囲内、より好ましくは約4〜22%の範囲内、さらに好ましくは4.7〜19%の範囲内、より好ましくは9.4〜19%の範囲内、さらに好ましくは10〜19%の範囲内、より好ましくは10.7〜19%の範囲内、さらに好ましくは11.5〜19%の範囲内、特に好ましくは12.7〜18.7%の範囲内とすることが好適である。
【0043】
本発明(III)の容器詰飲料は、その製造に際して、
(a)植物油脂、及び、(b)アスパラギン酸塩、アスパラギン酸、グリシン、グリシン塩、シトルリン及びシトルリン塩からなる群から選択される1種又は2種以上のアミノ酸又はその塩を添加し、
飲料における植物油脂の添加量(又は含有量)を、飲料全量に対して0.35重量%以上とし、かつ、
飲料における植物油脂の添加量(又は含有量)に対する、飲料における前記アミノ酸又はその塩の合計添加量の重量比率を、2〜30%の範囲内に調整すること以外は、従来公知の、乳風味を有する容器詰飲料等の容器詰飲料の製造方法にしたがって製造することができる。例えば、水に、植物油脂、特定のアミノ酸等、及び、必要に応じて前述の添加成分を添加して攪拌し、飲料原液を調製する。そして、必要に応じて、飲料原液についてpHの調整及び/又は加熱殺菌をしてから冷却した後、容器に充填して、殺菌する工程により製造することができる。
【0044】
本発明(III)の容器詰飲料の製造に際して、上記重量比率を所定の範囲内に調整する方法としては、特に制限されないが、特定のアミノ酸等及び植物油脂の使用量を適宜調整することによって、行うことができる。
【0045】
本発明(II)や本発明(III)の容器詰飲料に用いる容器としては特に制限されないが、ペットボトル、ポリプロピレンボトル、ポリ塩化ビニルボトル等の樹脂ボトル容器;ビン容器;缶容器;紙パック容器;ラミネートパック容器;等の容器が挙げられる。
【0046】
本発明において「長期保存による乳脂肪由来の劣化臭が抑制された乳代替組成物又は容器詰飲料」とは、含有する油脂分のすべて又は90重量%以上が乳脂肪である乳代替組成物又は容器詰飲料と比較して、長期保存による乳脂肪由来の劣化臭が抑制された乳代替組成物又は容器詰飲料を意味し、好ましい態様としては、添加した乳原料に含まれる乳脂肪及び無脂乳固形分の合計重量(乾燥重量)が、添加した植物油脂及び特定のアミノ酸等(又は特定の遊離アミノ酸)の合計重量よりも多い乳代替組成物又は容器詰飲料と比較して、長期保存による乳脂肪由来の劣化臭が抑制された乳代替組成物又は容器詰飲料を含む。上記の「長期保存」における「長期」とは例えば3日間以上、好ましくは1週間以上、より好ましくは3週間以上の期間を意味し、期間の上限としては1年間以内を好ましく挙げることができる。保存温度は例えば常温あるいは60℃など、1〜70℃の範囲内の温度を挙げることができる。
【0047】
本発明において「牛乳様の自然な味覚及び風味に優れた乳代替組成物又は容器詰飲料」とは、植物油脂と無脂乳固形分(特に脱脂粉乳)からなる従来の乳代替物、又は、該乳代替物を含む容器詰飲料と比較して、新鮮な牛乳本来の自然な味覚及び風味(自然な乳感)に改善された乳代替組成物又は容器詰飲料、すなわち、牛乳様の味覚及び風味(乳感)の自然さが改善された乳代替組成物又は容器詰飲料を意味する。より具体的には、本発明における「牛乳様の自然な味覚及び風味に優れた乳代替組成物又は容器詰飲料」には、アミノ酸等に代えて無脂乳固形分(好ましくは脱脂粉乳)を用いたこと以外は同種、同量の原料(該原料には、同種、同量の植物油脂が必ず含まれる)を用いて同量の乳代替組成物又は容器詰飲料を同じ製法で製造した場合と比較して、新鮮な牛乳本来の自然な味覚及び風味(自然な乳感)に改善された乳代替組成物又は容器詰飲料、すなわち、牛乳様の味覚及び風味(乳感)の自然さが改善された乳代替組成物又は容器詰飲料が含まれる。比較対象となる、無脂乳固形分(好ましくは脱脂粉乳)を用いた乳代替組成物又は容器詰飲料(好ましくは脱脂粉乳)における無脂乳固形分の含量(重量%)としては、植物油脂の含有量(重量%)の0.5倍〜1.5倍の範囲内である乳代替組成物又は容器詰飲料を好適に挙げることができる。なお、乳感の自然さは、後述の実施例1に記載されているように、専門的なパネリストによる官能評価試験などにより評価することができる。その評価基準としては、後述の表7に記載されているように、牛乳の乳感と比較した基準を用いることができ、特に、粉臭や、加熱乳原料に由来する異質な乳感があまり感じられず、牛乳本来の乳感に近いかどうかに着目することができ、好ましくはさらに、飲んだ後に残る乳感の余韻の持続性に着目することができる。
【0048】
本発明における容器詰飲料の具体例としては、乳風味を有する容器詰飲料を挙げることができ、中でも、コーヒー飲料、紅茶飲料、ココア飲料、果汁入り乳風味飲料、野菜汁入り乳風味飲料等を好ましく挙げることができ、中でも、コーヒー飲料、紅茶飲料、ココア飲料をより好ましく挙げることができる。
【0049】
以下に、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0050】
[(1)アミノ酸又はその塩の添加による、容器詰乳入りコーヒー飲料の牛乳様の味覚及び風味への影響]
アミノ酸又はその塩(アミノ酸等)を添加することによって、容器詰乳入りコーヒー飲料における牛乳様の味覚及び風味にどのような影響が生じるかを、以下の方法で検討した。
【0051】
(1.コーヒー抽出液の調製)
コーヒー豆(L値18、アラビカ種、中細挽き)の10倍量の熱水(98℃)で抽出した後に、冷却してコーヒー抽出液を得た。なお、前述のL値は、色差計(日本電色工業社製)を用いて測定した。
【0052】
(2.植物油脂及びアミノ酸等を添加した容器詰乳入りコーヒー飲料の調製)
植物油脂及びアミノ酸等を添加したコーヒー飲料(植物油脂及びアミノ酸等添加コーヒー飲料)については、下記表1に示す配合にて、上記のコーヒー抽出液、砂糖(グラニュー糖)、乳代替組成物(植物性油脂及びアミノ酸等)、及び水を容器に添加して混合し、植物油脂及びアミノ酸等添加コーヒー飲料用の調合液を調製した。かかるアミノ酸等としては、アスパラギン酸ナトリウム(実施例飲料1)、グリシン(実施例飲料2)、シトルリン(実施例飲料3)、グルタミン酸ナトリウム(比較例飲料1)、又は、アルギニン(比較例飲料2)を用い、合計5種類の調合液を調製した。
【0053】
【表1】
【0054】
また、本発明の乳代替組成物(植物油脂及びアミノ酸等)ではなく、特許文献4等の従来の乳代替物(植物油脂+無脂乳固形分)を含む容器詰乳入りコーヒー飲料として、比較例飲料3(植物油脂及び無脂乳固形分添加コーヒー飲料)を設定した。かかる比較例飲料3については、下記表2に示す配合にて、上記のコーヒー抽出液、砂糖(グラニュー糖)、従来の乳代替物(植物性油脂及び無脂乳固形分)、及び水を容器に添加して混合し、比較例飲料3用の調合液を調製した。
【0055】
【表2】
【0056】
上記表1の植物油脂及びアミノ酸等添加コーヒー飲料の配合において、アミノ酸等のみを含まない比較例として、比較例飲料4(植物油脂添加・アミノ酸等不添加コーヒー飲料)を設定した。比較例飲料4(配合は下記表3)については、アミノ酸等を添加しないこと以外は、植物油脂及びアミノ酸等添加コーヒー飲料の場合と同様の方法により、比較例飲料4用の調合液を調製した。
【0057】
【表3】
【0058】
また、陽性対照である比較例として、比較例飲料5(牛乳添加コーヒー飲料)を設定した。比較例飲料5については、下記表4に示す配合にて、上記のコーヒー抽出液、砂糖(グラニュー糖)、牛乳、及び水を容器に添加して混合し、比較例飲料5用の調合液を調製した。
【0059】
【表4】
【0060】
また、牛乳も乳代替組成物も添加しない、陰性対照の比較例として、比較例飲料6(牛乳及び乳代替組成物無添加コーヒー飲料)を設定した。比較例飲料6(配合は下記表5)については、牛乳を添加しないこと以外は、比較例飲料5の場合と同様の方法により、比較例飲料6用の調合液を調製した。
【0061】
【表5】
【0062】
前述の実施例飲料1〜3用の調合液や、比較例飲料1〜6用の調合液をそれぞれ60℃〜70℃に昇温後、ホモジナイズ処理に供してから、食品衛生法に従い、120℃4分間同等以上の条件(発育しうる微生物を死滅されるのに十分な効力を有する条件)でUHT殺菌を行い、各調合液を無菌環境下でPETボトルにそれぞれ充填した。このようにして、容器詰乳入りコーヒー飲料である実施例飲料1〜3及び比較例飲料1〜6を調製した。
【0063】
(3.官能評価試験)
各容器詰乳入りコーヒー飲料について、それぞれ官能評価試験を行った。訓練を受けたパネリストを4人選定し、これらのパネリストに実施例飲料1〜3及び比較例飲料1〜6を提示して、これらの各容器詰乳入りコーヒー飲料における牛乳様の味覚及び風味の程度(乳感)、及び、乳感の自然感(牛乳本来の乳感への近さ)をそれぞれ以下の表6及び表7の評価基準により評価した。
【0064】
【表6】
【0065】
【表7】
【0066】
かかる官能評価試験の結果を以下の表8に示す。
【0067】
【表8】
【0068】
表8の結果から分かるように、植物油脂(硬化ヤシ油)に加えてさらに特定のアミノ酸等(アスパラギン酸ナトリウム、グリシン、シトルリン)を添加すると、乳感に優れ、しかも、自然な乳感を備えた飲料が得られることが分かった。また、グリシンやシトルリンを添加した場合(それぞれ実施例2、実施例3)でも、飲んだ後に残る乳感の余韻が持続したが、アスパラギン酸ナトリウムを添加した場合(実施例1)は、グリシンやシトルリンを添加した場合(それぞれ実施例2、実施例3)と比較して、飲んだ後に残る乳感の余韻がより長く持続する点で、牛乳を用いた陽性対照(比較例5)に最も近く、乳感の自然感が特に優れていることも分かった。一方、従来技術のように植物油脂と脱脂粉乳を用いた場合(比較例3)では、乳感は感じられるものの、粉臭や、加熱乳原料に由来する異質な乳感が感じられるなど、牛乳本来の乳感とはやや異質で、乳感の自然感の評価は低かった。
なお、グルタミン酸ナトリウムを添加した場合(比較例1)は、乳感は感じられるものの、実施例1〜3と比較して、うま味、塩味といった異味が強めに感じられ、牛乳本来の乳感とはやや異質であったため、乳感の自然感の評価は低かった。また、アルギニンを添加した場合(比較例2)も、乳感は感じられるものの、実施例1〜3と比較して、強めの苦味、しかもやや金属様の苦味が感じられ、牛乳本来の乳感とはやや異質であったため、乳感の自然感の評価は低かった。
【実施例2】
【0069】
[(2)アスパラギン酸ナトリウムの添加量等の違いによる、牛乳様の味覚・風味や、異味への影響]
飲料におけるアスパラギン酸ナトリウムの添加量、又は、飲料におけるアスパラギン酸の含有量の違いによって、容器詰乳入りコーヒー飲料における牛乳様の味覚・風味や、異味にどのような影響が生じるかを以下の方法で検討した。
【0070】
(2−1)アスパラギン酸ナトリウムの添加量(重量%)の違いによる、牛乳様の味覚・風味や、異味への影響
上記の表1に示す「植物油脂及びアミノ酸等添加コーヒー飲料」の配合において、アミノ酸等としてアスパラギン酸ナトリウムを用い、及び、アミノ酸等の添加量(重量%)を、0.0125〜0.5重量%まで変化させた容器詰乳入りコーヒー飲料(後述の表11参照)を、実施例1に記載の方法でそれぞれ調製した。これらの各飲料について、牛乳様の味覚及び風味(乳感)の程度を以下の表9の評価基準で評価した。さらに、各飲料について、異味(塩味、及び、脂っぽさ)の有無及び程度を以下の表10の評価基準で評価した。
【0071】
【表9】
【0072】
【表10】
【0073】
かかる官能評価試験の結果を以下の表11に示す。
【0074】
【表11】
【0075】
表11の結果から、アスパラギン酸ナトリウムの添加量が高くなるにしたがって、容器詰乳入りコーヒー飲料の乳感が上昇する傾向が明確に示された。また、飲料における硬化ヤシ油添加量(重量%)に対するアスパラギン酸ナトリウムの添加量(重量%)の比率(%)(以下、「植物油脂の添加量に対する、特定のアミノ酸等添加量の重量比率(%)」とも表示する。)が一定程度以上となると、異味である塩味が次第に強くなる傾向も示された。乳感と異味(塩味)の評価結果のバランスの観点から、「植物油脂の添加量に対する、特定のアミノ酸等添加量の重量比率(%)」が約2〜30%の範囲内、好ましくは2.3〜28%の範囲内、より好ましくは約4〜22%の範囲内、さらに好ましくは4.7〜19%の範囲内、より好ましくは9.4〜19%の範囲内、より好ましくは9.4〜18.7%の範囲内が好ましいことが分かった。
【0076】
なお、この官能評価試験において用いたコーヒー飲料では、硬化ヤシ油添加量(重量%)は、硬化ヤシ油含有量(重量%)と同視できる。したがって、表11の結果から「植物油脂の添加量に対する、特定のアミノ酸等添加量の重量比率(%)」に関して先に述べたことや好ましい数値範囲は、「植物油脂の含有量に対する、特定のアミノ酸等添加量の重量比率(%)」に関しても当てはまる。
【0077】
(2−2)アスパラギン酸の含有量の違いによる、牛乳様の味覚・風味や、異味への影響
添加したアスパラギン酸ナトリウム以外に、コーヒー豆や牛乳などにも遊離アスパラギン酸等の遊離アミノ酸がごく微量含まれているとされる。そこで、上記(2−1)において官能評価試験に用いた各飲料における遊離アスパラギン酸(アスパラギン酸の単量体)の含有量(重量%)を測定し、その含有量(重量%)の数値を用いて、乳感や異味との関係を再評価した。具体的には、上記(2−1)の表11におけるアスパラギン酸ナトリウムの添加量(重量%)の数値を、遊離アスパラギン酸の含有量(重量%)の数値で置き換えた。その結果を表12に示す。なお、飲料における遊離アスパラギン酸の含有量の測定は、一般財団法人 日本食品分析センターに委託して行った。
【0078】
【表12】
【0079】
表12の結果から、遊離アスパラギン酸の含有量が高くなるにしたがって、容器詰乳入りコーヒー飲料の乳感が上昇する傾向が明確に示された。また、飲料における硬化ヤシ油添加量(重量%)に対する、飲料における遊離アスパラギン酸の含有量(重量%)の重量比率(%)(以下、「植物油脂の添加量に対する、特定の遊離アミノ酸含有量の重量比率(%)」とも表示する。)が一定程度以上となると、異味である塩味が次第に強くなる傾向も示された。乳感と異味(塩味)の評価結果のバランスの観点から、「植物油脂の添加量に対する、特定の遊離アミノ酸含有量の重量比率(%)」が約1.5〜25%の範囲内、好ましくは1.7〜21.1%の範囲内、より好ましくは約3〜16%の範囲内、さらに好ましくは3.5〜14.1%の範囲内、より好ましくは7〜14.1%の範囲内が好適であることが分かった。
【0080】
なお、この官能評価試験において用いたコーヒー飲料では、硬化ヤシ油添加量(重量%)は、硬化ヤシ油含有量(重量%)と同視できる。したがって、表12の結果から「植物油脂の添加量に対する、特定の遊離アミノ酸含有量の重量比率(%)」に関して先に述べたことや好ましい数値範囲は、「植物油脂の含有量に対する、特定の遊離アミノ酸含有量の重量比率(%)」に関しても当てはまる。
【実施例3】
【0081】
[(3)植物油脂添加量の違いによる、牛乳様の味覚・風味や、異味への影響]
飲料中への植物油脂の添加量の違いによって、容器詰乳入りコーヒー飲料における牛乳様の味覚・風味や、異味にどのような影響が生じるかを以下の方法で検討した。
【0082】
(3−1)植物油脂添加量の違いによる、牛乳様の味覚・風味や、異味への影響1
上記の表1に示す「植物油脂及びアミノ酸等添加コーヒー飲料」の配合において、アミノ酸等としてアスパラギン酸ナトリウムを用い、及び、アスパラギン酸ナトリウムの添加量を0.15重量%とした上で、植物油脂(硬化ヤシ油)の添加量(重量%)を0〜1.396重量%まで変化させた容器詰乳入りコーヒー飲料(後述の表13参照)を、実施例1に記載の方法でそれぞれ調製した。これらの各飲料について、前述の表9の評価基準で牛乳様の味覚及び風味(乳感)の程度を評価し、さらに、前述の表10の評価基準で異味(塩味、及び、脂っぽさ)の有無及び程度を評価した。かかる官能評価試験の結果を以下の表13に示す。
【0083】
【表13】
【0084】
表13の結果から、植物油脂の添加量が不十分な量から増加していくにつれて、「植物油脂の添加量に対する、特定のアミノ酸等添加量の重量比率(%)」が低下していき、該重量比率が一定程度以下となると、異味である塩味がなくなると共に、乳感が上昇する傾向が示された。ただし、前述の重量比率が一定程度以下となると、乳感は十分であるものの、異味である脂っぽさが生じる傾向も示された。このような乳感と異味(塩味、脂っぽさ)の評価結果のバランスの観点から、「植物油脂の添加量に対する、特定のアミノ酸等添加量の重量比率(%)」が約10〜30%の範囲内、好ましくは10.7〜28%の範囲内、より好ましくは約11.5〜28%の範囲内、さらに好ましくは12.7〜28%の範囲内が好ましいことが分かった。また、植物油脂である硬化ヤシ油の添加量は、乳感との関係で、約0.35重量%以上であることが好ましく、0.537重量%以上であることがより好ましいことも示された。
【0085】
なお、この官能評価試験において用いたコーヒー飲料では、硬化ヤシ油添加量(重量%)は、硬化ヤシ油含有量(重量%)と同視できる。したがって、表13の結果から「植物油脂の添加量に対する、特定のアミノ酸等添加量の重量比率(%)」に関して先に述べたことや好ましい数値範囲は、「植物油脂の含有量に対する、特定のアミノ酸等添加量の重量比率(%)」に関しても当てはまる。
【0086】
(3−2)植物油脂添加量の違いによる、牛乳様の味覚・風味や、異味への影響2
上記(3−1)において官能評価試験に用いた各飲料における遊離アスパラギン酸の含有量(重量%)を測定し、その含有量(重量%)の数値を用いて、乳感や異味(塩味、脂っぽさ)との関係を再評価した。具体的には、上記(3−1)の表13におけるアスパラギン酸ナトリウムの添加量(重量%)の数値を、遊離アスパラギン酸の含有量(重量%)の数値で置き換えた。その結果を表14に示す。なお、飲料における遊離アスパラギン酸の含有量の測定は、一般財団法人 日本食品分析センターに委託して行った。
【0087】
【表14】
【0088】
表14の結果から、植物油脂の添加量が不十分な量から増加していくにつれて、「植物油脂の添加量に対する、特定の遊離アミノ酸含有量の重量比率(%)」が低下していき、該重量比率が一定程度以下となると、異味である塩味がなくなると共に、乳感が上昇する傾向が示された。ただし、前述の重量比率が一定程度以下となると、乳感は十分であるものの、異味である脂っぽさが生じる傾向も示された。このような乳感と異味(塩味、脂っぽさ)の評価結果のバランスの観点から、「植物油脂の添加量に対する、特定の遊離アミノ酸含有量の重量比率(%)」が約7〜23%の範囲内、好ましくは8〜23%の範囲内、より好ましくは約9〜21%の範囲内、さらに好ましくは9.6〜21%の範囲内が好ましいことが分かった。
【0089】
なお、この官能評価試験において用いたコーヒー飲料では、硬化ヤシ油添加量(重量%)は、硬化ヤシ油含有量(重量%)と同視できる。したがって、表14の結果から「植物油脂の添加量に対する、特定の遊離アミノ酸含有量の重量比率(%)」に関して先に述べたことや好ましい数値範囲は、「植物油脂の含有量に対する、特定の遊離アミノ酸含有量の重量比率(%)」に関しても当てはまる。
【実施例4】
【0090】
[(4)植物油脂の添加量に対するアミノ酸等添加量等の重量比率(%)は同じ値を維持したまま、植物油脂の添加量及びアミノ酸等添加量等を変化させたことによる、牛乳様の味覚・風味や、異味への影響]
植物油脂添加量に対する特定のアミノ酸等添加量(又は特定の遊離アミノ酸含有量)の重量比率(%)は同じ値を維持したまま、植物油脂の添加量及び特定のアミノ酸等添加量(又は特定の遊離アミノ酸等含有量)を変化させることによって、容器詰乳入りコーヒー飲料における牛乳様の味覚・風味や、異味にどのような影響が生じるかを以下の方法で検討した。
【0091】
(4−1)植物油脂の添加量に対する特定のアミノ酸等添加量の重量比率(%)は同じ値を維持したまま、植物油脂の添加量及び特定のアミノ酸等添加量を変化させたことによる、牛乳様の味覚・風味や、異味への影響
上記の表1に示す「植物油脂及びアミノ酸等添加コーヒー飲料」の配合において、アミノ酸等としてアスパラギン酸ナトリウムを用い、及び、アスパラギン酸ナトリウムの添加量と、硬化ヤシ油の添加量を後述の表15のようにした容器詰乳入りコーヒー飲料を、実施例1に記載の方法でそれぞれ調製した。これらの各飲料においては、上記重量比率(%)はいずれも14%である。これらの各飲料について、前述の表9の評価基準で牛乳様の味覚及び風味(乳感)の程度を評価し、さらに、前述の表10の評価基準で異味(塩味、及び、脂っぽさ)の有無及び程度を評価した。かかる官能評価試験の結果を以下の表15に示す。
【0092】
【表15】
【0093】
表15の結果から、「植物油脂の添加量に対する、特定のアミノ酸等添加量の重量比率(%)」で同じ値(14%)を維持したまま、植物油脂の添加量及び特定のアミノ酸等添加量を不十分な量から増加させていくと、それにつれて乳感が上昇する傾向が示された。ただし、植物油脂の添加量が一定程度以上となると、異味である脂っぽさが生じて増加していく傾向も示された。表15の結果から、植物油脂である硬化ヤシ油の添加量は、乳感及び異味(脂っぽさ)との関係で、約0.35〜2.5重量%(好ましくは約0.358〜2.5重量%)の範囲内であることが好ましく、約0.53〜2.3重量%の範囲内であることがより好ましく、約0.7〜2.2重量%(好ましくは約0.716〜2.15重量%)の範囲内であることがさらに好ましく、約0.7〜2重量%(好ましくは約0.716〜1.79重量%)の範囲内であることがさらにより好ましいことが示された。
【0094】
なお、この官能評価試験において用いたコーヒー飲料では、硬化ヤシ油添加量(重量%)は、硬化ヤシ油含有量(重量%)と同視できる。したがって、表15の結果から「植物油脂の添加量に対する、特定のアミノ酸等添加量の重量比率(%)」に関して先に述べたことや、好ましい数値範囲は、「植物油脂の含有量に対する、特定のアミノ酸等添加量の重量比率(%)」に関しても当てはまる。
【0095】
(4−2)植物油脂の添加量に対する特定の遊離アミノ酸含有量の重量比率(%)は同じ値を維持したまま、植物油脂の添加量及び特定の遊離アミノ酸含有量を変化させたことによる、牛乳様の味覚・風味や、異味への影響
上記(4−1)において官能評価試験に用いた各飲料における遊離アスパラギン酸の含有量(重量%)を測定し、その含有量(重量%)の数値を用いて、乳感や異味(塩味、脂っぽさ)との関係を再評価した。具体的には、上記(4−1)の表15におけるアスパラギン酸ナトリウムの添加量(重量%)の数値を、遊離アスパラギン酸の含有量(重量%)の数値で置き換えた。その結果を表16に示す。なお、飲料における遊離アスパラギン酸の含有量の測定は、一般財団法人 日本食品分析センターに委託して行った。
【0096】
【表16】
【0097】
表16の結果から、「植物油脂の添加量に対する、特定の遊離アミノ酸含有量の重量比率(%)」で同じ値(10.5%)を維持したまま、植物油脂の添加量及び特定のアミノ酸含有量を不十分な量から増加させていくと、それにつれて乳感が上昇する傾向が示された。ただし、表15の結果と同様に、植物油脂の添加量が一定程度以上となると、異味である脂っぽさが生じて増加していく傾向も示された。
【0098】
なお、この官能評価試験において用いたコーヒー飲料では、硬化ヤシ油添加量(重量%)は、硬化ヤシ油含有量(重量%)と同視できる。したがって、表16の結果から「植物油脂の添加量に対する、特定の遊離アミノ酸含有量の重量比率(%)」に関して先に述べたことや好ましい数値範囲は、「植物油脂の含有量に対する、特定の遊離アミノ酸含有量の重量比率(%)」に関しても当てはまる。
【0099】
ところで、「アスパラギン酸ナトリウム」に代えて「アスパラギン酸」を添加した場合や、「アスパラギン酸ナトリウム」に代えて「遊離アスパラギン酸」を含有させた場合も、アスパラギン酸ナトリウムを添加し又は含有させた本願実施例の表11〜表16とほぼ同様の結果が得られると考えられる。アスパラギン酸や遊離アスパラギン酸は、塩味に寄与しているナトリウムを含んでおらず、アスパラギン酸ナトリウムを添加し又は含有させた場合に異味である塩味が生じる濃度に達しても、かかる異味である塩味は生じない蓋然性がきわめて高いからである。したがって、表11〜表16の結果から「植物油脂の添加量に対する、特定のアミノ酸等添加量の重量比率(%)」又は「植物油脂の添加量に対する、特定の遊離アミノ酸含有量の重量比率(%)」に関して先に述べたことや好ましい数値範囲は、「アスパラギン酸ナトリウム」に代えて「アスパラギン酸」を添加した場合や、「アスパラギン酸ナトリウム」に代えて「遊離アスパラギン酸」を含有させた場合にも当てはまる蓋然性がきわめて高い。
【0100】
「アスパラギン酸ナトリウム」に代えて「グリシン又はシトルリン」を添加した場合や、「アスパラギン酸ナトリウム」に代えて「遊離グリシン又は遊離シトルリン」を含有させた場合も、アスパラギン酸ナトリウムを添加し又は含有させた本願実施例の表11〜表16とほぼ同様の結果が得られた。これは、グリシンやシトルリンが、乳感の程度に関してアスパラギン酸ナトリウムと同等の評価(◎)を得たこと(表8)、及び、グリシンやシトルリンや遊離グリシンや遊離シトルリンは塩味に寄与しているナトリウムを含んでおらず、アスパラギン酸ナトリウムを添加し又は含有させた場合に異味である塩味が生じる濃度に達しても、かかる異味である塩味は生じないことを考慮すると、ごく自然な結果といえる。したがって、表11〜表16の結果から「植物油脂の添加量に対する、特定のアミノ酸等添加量の重量比率(%)」又は「植物油脂の添加量に対する、特定の遊離アミノ酸含有量の重量比率(%)」に関して先に述べたことや好ましい数値範囲は、「アスパラギン酸ナトリウム」に代えて「グリシン又はシトルリン」を添加した場合や、「アスパラギン酸ナトリウム」に代えて「遊離グリシン又は遊離シトルリン」を含有させた場合にも当てはまる。
【0101】
なお、「アスパラギン酸ナトリウム」に代えて「アスパラギン酸、グリシン及びシトルリンから選択される2種又は3種」を添加した場合や、「アスパラギン酸ナトリウム」に代えて「遊離アスパラギン酸、遊離グリシン及び遊離シトルリンから選択される2種又は3種」を含有させた場合も、アスパラギン酸ナトリウムを添加し又は含有させた本願実施例の表11〜表16とほぼ同様の結果が得られると考えられる。アスパラギン酸、グリシン、シトルリン、遊離アスパラギン酸、遊離グリシン及び遊離シトルリンはいずれも、塩味に寄与しているナトリウムを含んでおらず、これらの合計濃度が、アスパラギン酸ナトリウムを添加し又は含有させた場合に異味である塩味が生じる濃度に達しても、かかる異味である塩味は生じない蓋然性がきわめて高いからである。したがって、表11〜表16の結果から「植物油脂の添加量に対する、特定のアミノ酸等添加量の重量比率(%)」又は「植物油脂の添加量に対する、特定の遊離アミノ酸含有量の重量比率(%)」に関して先に述べたことや好ましい数値範囲は、「アスパラギン酸ナトリウム」に代えて「アスパラギン酸、グリシン及びシトルリンから選択される2種又は3種」を併用して添加した場合や、「アスパラギン酸ナトリウム」に代えて「遊離アスパラギン酸、遊離グリシン及び遊離シトルリンから選択される2種又は3種」を含有させた場合にも当てはまる蓋然性がきわめて高いと考えられる。