(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
分散型電源と、蓄電池と、分散型電源および/または蓄電池から出力される直流電力と商用の電力系統に連系する交流電力とを双方向に変換する、直流側に平滑コンデンサを有する双方向性インバータと、前記分散型電源と前記双方向性インバータとの間に設けられて当該分散型電源の直流電力を直流変換する一方向性コンバータと、前記蓄電池と前記双方向性インバータとの間に設けられて当該蓄電池の直流電力を双方向に直流変換する双方向性コンバータと、システム全体を制御する制御部とを備え、電力系統と連系して負荷へ交流電力を供給する、蓄電池付き分散型電源システムであって、
前記制御部は、
前記分散型電源および/または蓄電池から前記平滑コンデンサに供給された有効電力が負荷電力の有効電力以上に大きいとき、前記双方向性インバータから出力されるインバータ出力電流の力率を前記負荷に流れる負荷電流の力率と一致させるように制御するものであり、
前記平滑コンデンサで検出された前記分散型電源および/または蓄電池からの有効電力および前記双方向性インバータの出力電力に依存する直流電圧値と、電圧指令値との偏差を演算して、前記双方向性インバータから出力されるインバータ出力電流の有効電流の目標振幅を生成する目標振幅演算手段と、
前記インバータ出力電流の有効電流を前記目標振幅内で前記負荷に流れる負荷電流の有効電流に比例させるフィードバック制御を行うインバータ出力電流制御手段とを有する、蓄電池付き分散型電源システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば、複数の負荷のうち力率の悪い負荷と、例えば力率1のような良い負荷とが混在している状態で、前者のみを検出して制御したい場合がある。また、停電時に太陽電池や蓄電池から給電する必要がある負荷と、停電時に給電する必要のない負荷が混在している状態で、前者のみを検出して制御したい場合がある。しかし、これらの場合に、従来のように系統電流の力率を検出しただけでは、上記のような制御が必要な負荷について迅速かつ適切な制御を行うことができないことがある。
【0006】
また、特許文献2は、系統電流の力率の変化に応じて無効電力を補償しているが、負荷の電力が変化した直後ではインバータ出力電流が変化していないため、電力系統から無効電流が供給されて、系統電流の力率変化が発生し、この系統電流の力率と負荷電流の力率とでズレが生じて、負荷電流の力率の変化に適切に対応しないことから電力供給が不安定になる場合がある。
【0007】
本発明は、制御が必要な負荷について負荷電流の力率の変化に迅速かつ適切に対応して安定した電力を供給でき、かつ無効電力補償が可能な蓄電池付き分散型電源システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る蓄電池付き分散型電源システムは、分散型電源と、蓄電池と、分散型電源および/または蓄電池から出力される直流電力と商用の電力系統に連系する交流電力とを双方向に変換する、直流側に平滑コンデンサを有する双方向性インバータと、前記分散型電源と前記双方向性インバータとの間に設けられて当該分散型電源の直流電力を直流変換する一方向性コンバータと、前記蓄電池と前記双方向性インバータとの間に設けられて当該蓄電池の直流電力を双方向に直流変換する双方向性コンバータと、システム全体を制御する制御部とを備えて、電力系統と連系して負荷へ交流電力を供給する。
前記制御部は、前記分散型電源および/または蓄電池から前記平滑コンデンサに供給された有効電力が負荷電力の有効電力以上に大きいとき、前記双方向性インバータから出力されるインバータ出力電流の力率を前記負荷に流れる負荷電流の力率と一致させるように制御する。
【0009】
この構成によれば、分散型電源および/または蓄電池から平滑コンデンサに供給された有効電力が負荷電力の有効電力以上に大きいとき、双方向性インバータから出力されるインバータ出力電流の力率を負荷に流れる負荷電流の力率と一致させるように制御するので、制御が必要な負荷について、インバータ出力電流の力率を負荷電流の力率に一致させることにより、負荷電流の力率の変化に迅速かつ適切に対応して安定した電力を供給でき、かつ無効電流を補償することが可能となる。
【0010】
本発明では、前記制御部は、前記平滑コンデンサで検出された前記分散型電源および/または蓄電池からの有効電力および前記双方向性インバータの出力電力に依存する直流電圧値と、電圧指令値との偏差を演算して、前記双方向性インバータから出力されるインバータ出力電流の有効電流の目標振幅を生成する目標振幅演算手段と、前記インバータ出力電流の有効電流を前記目標振幅内で前記負荷に流れる負荷電流の有効電流に比例させるフィードバック制御を行うインバータ出力電流制御手段とを有することが好ましい。
【0011】
この構成によれば、分散型電源および/または蓄電池からの有効電力の直流電圧に基づいてインバータ出力電流の有効電流の目標振幅を生成し、インバータ出力電流の有効電流を目標振幅以内で負荷電流の有効電流に比例させるので、制御が必要な負荷について、高調波電流を制限して無効電流を補償し、負荷電流の有効電流の変化に迅速かつ適切に対応して安定した電力を供給できる。
【0012】
また、本発明では、前記制御部は、前記分散型電源および/または蓄電池からの有効電力が前記負荷電力の有効電力よりも小さいとき、前記インバータ出力電流の有効電流を前記負荷電流の有効電流よりも小さく、当該インバータ出力電流の無効電流を当該負荷電流の無効電流と同一となるように制御することも好ましい。この場合、無効電流を補償しながら、双方向性インバータが出力可能な電力を供給することができる。
【0013】
本発明では、前記制御部は、前記インバータ出力電流の有効電流振幅の最大値を前記負荷電流の有効電流振幅の最大値と一致させることが可能で、かつ分散型電源の直流電力が負荷電力の有効電力より大きい余剰電力発生状態で、前記蓄電池に蓄電が可能な当該余剰電力を充電させるように前記双方向性コンバータの制御を行うことが好ましい。この場合、分散型電源で発生する余剰電力を蓄電池に充電して蓄電池を有効に活用できる。
【0014】
また、本発明では、前記制御部は、前記余剰電力発生状態で、電力系統へ逆潮流可能な直流電力を逆潮流させる制御を行ってもよい。この場合、蓄電池が蓄電限度で充電されたうえで、さらに分散型電源側に余剰電力があるとき、その余剰電力を逆潮流することができる。
【0015】
さらに、本発明では、前記分散型電源は単一または複数の電源であり、少なくとも太陽電池が含まれてもよい。この場合、太陽電池により比較的安定した直流電力を供給することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、太陽電池および/または蓄電池から平滑コンデンサに供給された有効電力が負荷電力の有効電力以上に大きいとき、双方向性インバータから出力されるインバータ出力電流の力率を負荷に流れる負荷電流の力率と一致させるように制御するので、制御が必要な負荷について、負荷電流の力率の変化に迅速かつ適切に対応して安定した電力を供給でき、かつ無効電流を補償することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係る蓄電池付き分散型電源システム1を示すブロック図である。この蓄電池付き分散型電源システム1は、蓄電池を有効活用して、太陽電池のような分散型電源の電力の有効利用を図るものであり、例えば、消費電力のピークが上限値を超えそうなときに蓄電池に蓄電した電力で補填してピークカットする場合等に使用される。
【0019】
図1の分散型電源システム1は、太陽電池2のような分散型電源と、その直流電力を直流変換する一方向性コンバータ(DC/DCコンバータ)3と、充放電を行う蓄電池4と、その直流電力を双方向に直流変換する双方向性コンバータ(DC/DCコンバータ)5と、太陽電池2および蓄電池4からの各コンバータ3、5を介した直流電力と商用の電力系統8に連系する商用の交流電力とを双方向に変換する、双方向性インバータ(DC/ACインバータ)7と、システム全体を制御する制御部10とを備え、電力系統8と連系して負荷9へ交流電力を供給する。
【0020】
双方向性インバータ7の直流側には平滑コンデンサ6が接続されている。双方向性インバータ7の交流側には例えばコイルとコンデンサからなるフィルタ回路13が接続されており(
図2)、インバータ出力電流の高調波ノイズが除去される。
【0021】
前記制御部10は、太陽電池2および蓄電池4から平滑コンデンサ6に供給された有効電力が負荷電力の有効電力以上に大きいとき、双方向性インバータ7から出力されるインバータ出力電流ibの力率を負荷9に流れる負荷電流iaの力率と一致させるように制御するもので、目標振幅演算手段11とインバータ出力電流制御手段12とを有する。
【0022】
前記目標振幅演算手段11は、平滑コンデンサ6で検出された太陽電池2および蓄電池4からの有効電力の直流電圧値(実際の直流電圧値)と、予め設けられた電力系統8および負荷9へ供給可能な交流電圧を生成するための電圧指令値との偏差を演算して、双方向性インバータ7から出力されるインバータ出力電流ibの目標振幅を生成する。
【0023】
前記インバータ出力電流制御手段12は、インバータ出力電流ibの有効電流ib1を目標振幅(最大値)以内で負荷電流iaの有効電流ia1に比例させるフィードバック制御を行う。インバータ出力電流ibの無効電流ib2は、負荷電流iaの無効電流ia2と同一電流を出力するように制御される。電力系統8から負荷9には系統電流icが流れる。
【0024】
ここで、負荷に流れる負荷電流iaの力率とインバータ出力電流ibの力率の一致とは、負荷電流iaの力率は、その有効電流をia1、無効電流をia2としたときCOS(ia1/ia)であり、インバータ出力電流ibの力率は、その有効電流をib1、無効電流ib2としたときCOS(ib1/ib)であり、これらの両力率を一致させることをいう。
【0025】
なお、ここでいう力率を一致させる制御は、太陽電池等の直流電力を電力系統に逆潮流させる際に、電力系統の電圧上昇を抑制するために、指定された力率に制御して無効電力を送り込む、いわゆる「力率一定制御」とは異なる。
【0026】
図3に示すように、太陽電池2の直流電力は電圧検出器41と電流検出器42で検出され、前記制御部10の制御により、太陽電池2と双方向性インバータ7間の一方向性コンバータ3が選択的に動作されて、太陽電池2の発生電力が最大となるように制御される(MTTP制御)。太陽電池2と一方向性コンバータ3との間に、これらを接続または非接続する太陽電池スイッチ43が設けられている。このコンバータ3は、制御部10の制御により、太陽電池2の発生電力を負荷9に供給可能または逆潮流可能な電圧レベルの直流電力に変換し、蓄電池4に貯蔵可能な電圧レベルの直流電力に変換する。
【0027】
蓄電池4の直流電力は電圧検出器45と電流検出器46で検出され、蓄電池4と双方向インバータ7間に蓄電池4の直流電力を双方向に直流変換する双方向性コンバータ5が設けられている。蓄電池4と双方向性コンバータ5との間に、これらを接続または非接続する蓄電池スイッチ47が設けられている。双方向性コンバータ5は、制御部10の制御により、放電に際して、蓄電池4に貯蔵された直流電力の直流電圧レベルを放電(負荷9に供給または逆潮流)可能な電圧レベルに変換して放電を行う。充電に際して、太陽電池2からの直流電力の直流電圧レベルを、蓄電池4に充電することが可能な電圧レベルに変換して充電を行う。
【0028】
図1において、系統電圧(負荷電圧)を検出する第1電圧検出器32と、平滑コンデンサ6に並列に接続されて、太陽電池2および蓄電池4から出力される直流電圧を検出する第2電圧検出器33と、負荷9に流れる負荷電流iaを検出する第1電流検出器34と、双方向性インバータ7の出力電流ibを検出する第2電流検出器35と、太陽電池2および蓄電池4からの出力電流を検出する第3電流検出器36と、が設けられている。
【0029】
負荷9の電力の有効電力、負荷電流iaの有効電流ia1および無効電流ia2は、第1電圧検出器32と第1電流検出器34とより検出できる。インバータ出力電力の有効電力、インバータ出力電流ibの有効電流ib1および無効電流ib2は、第1電圧検出器32と第2電流検出器35とより検出できる。太陽電池2から出力する直流電力(有効電力)および蓄電池4から放電する直流電力(有効電力)は、第2電圧検出器33と第3電流検出器36により検出できる。
【0030】
図2において、連系スイッチ30は、制御部10の制御により、電力系統8と負荷9との間を接続または切断することができる。電力系統8から系統電力を売電または買電をしない場合に切断される。例えば、電力系統8を切り離して太陽電池2等のみから負荷9に電力を供給する場合、スイッチオフとされる。インバータスイッチ31は、制御部10の制御により、双方向性インバータ7と負荷9との間を接続または切断することができる。例えば、双方向性インバータ7を切り離して電力系統8のみから負荷9に電力を供給する場合、スイッチオフとされる。
【0031】
前記制御部10の目標振幅演算手段11は、コンデンサ電圧目標値(電圧指令値)部14、第1減算器15および比例積分要素部16を備えている。インバータ出力電流制御手段12は、乗算器21、制限器22、インバータ出力電流目標値部23、第2減算器24、電流補償器25、加算器26およびPWM信号発生器27を備えている。
【0032】
この例では、太陽電池2からの直流電力(有効電力)および蓄電池4が放電する直流電力(有効電力)を使用しているが、各直流電力の状態に応じて、太陽電池2の直流電力(有効電力)または蓄電池4の直流電力(有効電力)のいずれか一方の直流電力を使用してもよい。
【0033】
まず、目標振幅演算手段11において、第1減算器15は、平滑コンデンサ6の電圧目標値(電圧指令値)を、第2電圧検出器33で検出された双方向インバータ7による直流電圧制御、出力制御の結果として得られる、つまり双方向性インバータ7の出力電力に依存する太陽電池2および蓄電池4の実際の直流電圧値(以下、太陽電池等の直流電圧)から減算する。比例積分要素部16は、減算結果に基づいて、前記電圧目標値に、太陽電池2等の直流電圧を一致させるように、両電圧の偏差分を0に近づけるための演算結果を出力する。こうして、インバータ出力電流ibの有効電流ib1の目標振幅を生成するための、電力系統8および負荷9へ供給可能な交流電圧の基準となる負荷電流iaの有効電流ia1の倍数が生成される。比例積分要素部16には例えばPI制御器が使用される。
【0034】
つぎに、インバータ出力電流制御手段12において、比例積分要素部16の出力と、負荷電流iaとが乗算器21で乗算される。この例では、インバータ出力電流ibの有効電流ib1の振幅を、負荷電流iaの有効電流ia1と等倍に比例(同一)させ、インバータ出力電流ibの無効電流ib2を、負荷電流iaの無効電流ia2と同一にしている。制限器22は、乗算器21からの出力電流を電流制限レベル以下にする。この出力がインバータ出力有効電流目標値部23に入力されて、インバータ出力電流ibの有効電流目標値となる。
【0035】
第2減算器24は、インバータ出力電流目標値から第2電流検出器35で検出された実際に流れているインバータ出力電流ibを減算する。電流補償器25は、この減算出力に基づいて、インバータ出力電流ibを負荷電流iaに近づけるための補償電流を出力する。この電流出力と系統電圧(負荷電圧)が加算器26で加算され、この加算された電力に基づいて、PWM信号発生器27は、双方向性インバータ7を制御するPWM信号を発生させる。
【0036】
前記比例積分要素部16において、(a)(電圧目標値−実際の直流電圧値)が0であれば、太陽電池2および蓄電池3の出力電力(有効電力)と負荷電力の有効電力とが同一の大きさでつり合っている。この場合、インバータ出力電流制御部12のフィードバック制御により、双方向性インバータ7から、負荷電流iaの有効電流ia1と等倍に比例した(同一の)インバータ出力電流ibの有効電流ib1と、負荷電流iaの無効電流ia2と同一のインバータ出力電流ibの無効電流ib2とによる出力電力が供給される。
【0037】
比例積分要素部16において、(b)(電圧目標値−実際の直流電圧値)が正であれば、太陽電池2および蓄電池3の出力電力が負荷有効電力よりも小さいので、インバータ出力電流目標値が負荷電流iaの有効電流ia1よりも小さくされる(例えば0.9倍)。この場合、インバータ出力電流制御部12のフィードバック制御により、インバータ出力電流ibの有効電流ib1が負荷電流iaの有効電流ia1よりも小さく比例され、インバータ出力電流ibの無効電流ib2を負荷電流iaの無効電流ia2と同一となるように制御される。こうして、双方向性インバータ7が出力可能な電力を供給することができるとともに、制御部10の制御により、電力の不足分が電力系統8から負荷9に供給される。
【0038】
比例積分要素部16において、(c)(電圧目標値−実際の直流電圧値)が負であれば、この比例積分要素部16により実際の直流電圧値は電圧目標値に近づけられて、インバータ出力電流制御部12のフィードバック制御により、双方向性インバータ7から、負荷電流iaの有効電流ia1と等倍に比例した(同一の)インバータ出力電流ibの有効電流ib1と、負荷電流iaの無効電流ia2と同一のインバータ出力電流ibの無効電流ib2とによる出力電力が供給される。
【0039】
なお、平滑コンデンサ6の電圧目標値を、電力系統8の交流電圧に比例して変化させてもよい。これは逆潮流において、インバータ出力電圧が電力系統8に電流を流すのに必要な電圧以上でできるだけ低くし、インバータ効率を向上させるときに有効となる。
【0040】
上述したとおり、上記(a)、(c)について太陽電池2および蓄電池4からの有効電力が負荷電力の有効電力以上に大きいとき、インバータ出力電流ibの有効電流ib1の振幅を、負荷電流iaの有効電流ia1の振幅に等倍に比例(同一)させ、インバータ出力電流ibの無効電流ia2を、負荷電流iaの無効電流ia2と同一にしているので、両電流における有効電流および無効電流の比は互いに同一であり、負荷電流iaの力率とインバータ出力電流ibの力率は一致している。また、インバータ出力電流ibの有効電流ib1は、平滑コンデンサ6の目標振幅(負荷供給電圧および系統電圧に相当)以内で負荷電流iaの有効電流ia1と比例されているので、双方向インバータ7からの高調波電流が制限される。さらに、(a)〜(c)のいずれの場合も、インバータ出力電流ibの無効電流ib2は、負荷電流iaの無効電流ia2と同一のものである。
【0041】
この場合、複数の負荷9のうち力率の悪い負荷と良い負荷が混在している状態で、力率の悪い負荷のみを検出して制御したい場合や、停電時に太陽電池や蓄電池から給電する必要がある負荷と、停電時に給電する必要のない負荷が混在している状態で、停電時に給電する必要がある負荷のみを検出して制御したい場合でも、上記制御が必要な負荷9についての負荷電流iaの力率とインバータ出力電流ibの力率は一致しているので、当該負荷電流iaの力率の変化に迅速かつ適切に対応して安定した電力を供給できる。また、双方向インバータ7からの高調波電流が制限されるとともに、インバータ出力電流ibと負荷電流iaの無効電流ib2、ia2は同一であるので電力系統8から負荷9に無効電流が流れ込まないように制御されるから、高調波電流の発生を抑制しながら無効電力を補償することができる。
【0042】
インバータ出力電流制御手段12の動作を
図4に基づいて説明する。
図4(a)において、系統電圧αを破線で示し、インバータ出力電流ibが0のとき、電力系統8から負荷9に流れる系統電流ic(図示β)を太線で示し、その有効電流ic1(図示β1)および無効電流ic2(図示β2)を細線で示す。
図4(b)は、双方向インバータ7から負荷9に流すインバータ出力電流ib(図示γ)を太線で示し、その有効電流ib1(図示γ1)および無効電流ib2(図示γ2)を細線で示す。この例では、双方向インバータ7からのインバータ出力電流ibの有効電流ib1は負荷電流iaの有効電流ia1と等倍に比例して同一で、かつインバータ出力電流ibの無効電流ib2は負荷電流iaの無効電流ia2と同一で、両者は全く同一波形となるので、負荷電流iaの力率とインバータ出力電流ibの力率は一致している。
【0043】
図4(c)は、双方向インバータ7が負荷電流iaのすべてを流す場合を示し、このとき系統電流ic(図示ε)は0となる。
図4(d)は、双方向インバータ7が負荷電流iaの無効電流ia2のすべて、および有効電流ia1の一部を流す場合を示し、このとき系統電流ic(図示εa)は、負荷電流iaの有効電流ia1の一部となり、無効電流ia2は含まれない。すなわち、
図2において、ia=ib+icであり、ia2=ib2のとき、無効電力補償されて、系統電流icの無効電流が流れないこととなる。
図4(e)は、本発明の射程範囲外を示すもので、双方向インバータ7が負荷電流iaの一部を流す場合で両電流の力率は一致しておらず、このとき系統電流ic(図示εb)は、負荷電流iaの有効電流ia1の一部となり、無効電流ia2が含まれてしまう。
【0044】
図2の比例積分要素部16において、(電圧目標値−実際の直流電圧値)が負のとき、双方向インバータ7が出力できる有効電力である、太陽電池2および蓄電池4の出力電力が負荷電力の有効電力よりも大きく、さらに太陽電池2単独で余剰電力が発生する場合、制御部10の制御により、この余剰電力が蓄電池4に充電される。すなわち、蓄電池4の充電については、インバータ出力電流ibの有効電流振幅の最大値を負荷電流iaの有効電流振幅の最大値と一致させることが可能で、かつ太陽電池2の直流電力が負荷9の有効電力より大きい余剰電力発生状態で、制御部10による双方向性コンバータ5の制御により、蓄電池4に蓄電が可能な状態で当該余剰電力が充電される。
【0045】
蓄電池4に蓄電が可能とは、蓄電池4の残存容量、最大容量、充電状態などに基づいて、太陽電池2からの直流電力および電力系統8から供給された直流電力が蓄電池4に蓄電することが可能な状態をいう。例えば深夜時のように太陽電池2の出力電力が負荷有効電力よりも小さいとき、電力系統8から買電して、蓄電池4に充電される。
【0046】
蓄電池4の放電については、例えば深夜時のように太陽電池2の出力電力が負荷電力の有効電力よりも小さく、太陽電池2の直流電力が不足する場合には、蓄電池4が放電可能の状態のとき、制御部10による双方向性コンバータ5の制御により、蓄電池4に蓄電された直流電力が放電されて負荷9へ電力が供給される。
【0047】
また、逆潮流については、制御部10の制御により、太陽電池2および蓄電池4の出力電力が負荷電力の有効電力よりも大きい上記余剰電力発生状態で、電力系統8へ逆潮流可能な場合に、太陽電池2および蓄電池4から出力される直流電力が電力系統8の交流電力と同期のとれた交流電力に変換されて電力系統8に供給される。この例では、太陽電池2の直流電力は、蓄電池4が蓄電限度になると、蓄電池4への充電が停止されて、電力系統8へ逆潮流される。
【0048】
図5は、第2実施形態を示す。この第2実施形態では、
図2の乗算器21に代えて、乗算器41および加算器42を備えている。また、負荷電流有効分検出器28および負荷電流無効分検出器29が設けられており、第1電圧検出器32および第1電流検出器34で検出された負荷電流iaの有効電流ia1の振幅、負荷電流iaの無効電流ia2がそれぞれ検出される。なお、負荷電流有効分検出器28は負荷電流iaの実効値検出器であってもよい。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0049】
図5において、インバータ出力電流制御手段12では、比例積分要素16の出力と、負荷電流有効分検出器28からの負荷電流iaの有効電流ia1とが乗算器41で乗算される。この出力と負荷電流無効分検出器29からの負荷電流iaの無効電流ia2そのものとが加算器42で加算される。第2実施形態では、負荷電流iaを有効分と無効分に分けているので、負荷電流iaについてより正確な検出が可能であるものの、負荷電流ia自体を乗算器21で乗算させる第1実施形態の方がより迅速な制御が可能となる。
【0050】
こうして、本発明では、太陽電池および/または蓄電池から平滑コンデンサに供給された有効電力が負荷電力の有効電力以上に大きいとき、双方向性インバータから出力されるインバータ出力電流の力率を負荷に流れる負荷電流の力率と一致させるように制御するので、制御が必要な負荷について、インバータ出力電流の力率を負荷電流の力率に一致させることにより、負荷電流の力率の変化に迅速かつ適切に対応して安定した電力を供給でき、かつ無効電流を補償することが可能となる。
【0051】
なお、上記各実施形態では、分散型電源として単一の太陽電池を使用しているが、複数の太陽電池を使用してもよく、太陽電池のほかに燃料電池やエンジン駆動交流発電機などが複数使用されてもよい。
【0052】
この場合、燃料電池と、一方向性DC/DCコンバータ(燃料電池用)が使用され、エンジン駆動交流発電機と、一方向性AC/DCコンバータ(エンジン駆動交流発電機用)が使用される。いずれの発生電力も逆潮流されない。燃料電池の場合、一方向性DC/DCコンバータの一方の直流側は燃料電池に、他方の直流側は、双方向性インバータ7の直流側に接続された平滑コンデンサに接続される。エンジン駆動交流発電機の場合、一方向性AC/DCコンバータの交流側はエンジン駆動交流発電機に、直流側は双方向性インバータ7の直流側に接続された平滑コンデンサに接続される。
【0053】
なお、上記各実施形態では、分散型電源の余剰電力を逆潮流させているが、システム上で逆潮流を省略してもよい。
【0054】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。