(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6475010
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】折り畳み装置、及び、食品用敷紙の集積体
(51)【国際特許分類】
B65H 45/28 20060101AFI20190218BHJP
B65H 45/24 20060101ALI20190218BHJP
B65H 45/16 20060101ALI20190218BHJP
【FI】
B65H45/28
B65H45/24
B65H45/16
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-263745(P2014-263745)
(22)【出願日】2014年12月26日
(65)【公開番号】特開2016-124621(P2016-124621A)
(43)【公開日】2016年7月11日
【審査請求日】2017年12月18日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成26年7月8日株式会社サンヨが吉川紙商事株式会社第三営業部営業グループに、石川久満が発明した食品用敷紙の集積体を卸した。
(73)【特許権者】
【識別番号】500275692
【氏名又は名称】株式会社サンヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100142217
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 宜紀
(74)【代理人】
【識別番号】100119367
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 理
(72)【発明者】
【氏名】石川 久満
【審査官】
佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭54−171817(JP,U)
【文献】
実開昭55−096859(JP,U)
【文献】
実開昭60−193365(JP,U)
【文献】
特許第5598881(JP,B1)
【文献】
特開平10−179444(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0231996(US,A1)
【文献】
特開2000−70172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 37/00−37/06
B65H 41/00
B65H 45/00−47/00
A47K 7/00
A47K 10/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対のウェブロールから繰り出され、繰り出し方向に垂直な幅方向に切断されてなる切断片をウェブの繰り出し方向に交互にずらして重ねながら、交互に折り返してウェブの切断片の集積体を形成する折り畳み装置であって、
ウェブを切断するためのカッターブレードが設けられた2つのカッターロールと、
前記カッターロールのそれぞれと対峙するとともに相互に対峙するよう設けられた左右一対の折りロールとを備え、
前記折りロールは、
前記カッターブレードと対になりウェブを介して剪断し合って切断片を形成するカッターアンビルと、
前記切断片に、前記カッターアンビルを押し込むことによって、前後の切断片を内包させながら折返部を形成するとともに、該折返部を把持するために、前記折りロールの周面に幅方向に延びた溝と、前記溝内において、前記切断片を折りながら挟めるよう幅方向に軸支され、前記切断片の繰り出し方向に揺動するように設けられた挟み板とを備える把持部と、
前記カッターアンビルと前記把持部との間に設けられた第一の吸引口と、
前記カッターアンビルの近傍に該カッターアンビルを挟むように設けられた第二の吸引口とを有し、
前記ウェブは、食品用敷紙の素材からなるウェブであり、前記ウェブロールから繰り出されて折り型を付けられることなく前記折りロールへ移送され、かつ、該折リロールと他のローラとで挟圧されることなく前記カッターブレードと前記カッターアンビルとによる切断位置へ移送されることを特徴とする折り畳み装置。
【請求項2】
請求項1に記載の折り畳み装置であって、
前記カッターアンビルは、
前記折りロールの周面上に幅方向に延びた断面視略直角な角部を有し、前記ウェブを切断する際に、前記角部が、前記カッターブレードと剪断し合うよう構成したことを特徴とする折り畳み装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の折り畳み装置であって、
前記カッターアンビルは、
前記折りロールの周面上に幅方向に延びた緩衝面を有し、前記切断片を前記把持部に押し込む際に、前記緩衝面が、前記切断片に接するよう構成したことを特徴とする折り畳み装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一に記載の折り畳み装置であって、
前記溝は、内壁に緩衝材が被覆されており、
前記緩衝材を介して、前記挟み板と前記内壁とで前記切断片を折りながら把持することを特徴とする折り畳み装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一に記載の折り畳み装置であって、
前記ウェブロール、及び、前記カッターロール、並びに、前記折りロールは、それぞれ軸方向が設置面に対して垂直となるよう設置されていることを特徴とする折り畳み装置。
【請求項6】
請求項5に記載の折り畳み装置であって、
前記切断片を前記折りロールから剥離して集積する左右一対のフォールディングバーと、
前記フォールディングバーによって集積された集積体を下流に送り出す送出部と、
前記送出部の繰り出し方向に列をなして設けられ、前記集積体を搬送するための搬送ベルトと、
前記搬送ベルトの両サイドに設けられ、前記集積体の折返部を左右から一対の板で挟みながら、該板を左右に往復運動させる振動部とを備えることを特徴とする折り畳み装置。
【請求項7】
請求項6に記載の折り畳み装置であって、
前記送出部は、駆動部と左右一対のギアロールとを有し、該ギアロールの隣り合うギアの間に形成される凹部と前記フォールディングバーによって集積された集積体の折返部とを一定間隔で係合させて、前記駆動部によって、前記集積体を前記搬送ベルト上に送り出すことを特徴とする折り畳み装置。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか一に記載の折り畳み装置によって折り畳まれた食品用敷紙の集積体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄くて硬い紙や滑りやすい素材のウェブでも正確な折り位置で折り畳んで集積可能な折り畳み装置、及び、食品用敷紙の集積
体に関する
【背景技術】
【0002】
従来、例えば食品用敷紙に用いられる滑りやすい素材のウェブを折り畳んで集積構造を形成する場合、ティッシュペーパー等の滑りにくい素材のウェブに用いられる折り畳み装置の技術を用いても、積層位置ではウェブ同士が滑りやすく、これに起因して折り目がズレるという問題や、集積時に、挟み爪と切断片とが滑って切断片を掴み損ねることがあり、製品のロスを発生させるという問題があった。
【0003】
この問題を解決するために、特許文献1に開示された技術が知られている。このウェブのジグザグ折り畳み装置100は、
図8に示すように、ロール周面に突設されたカッターアンビル113を有し、一続きのウェブWを連続して送り込む一対の折り畳みロール110と、カッターアンビル113と鋏合して一続きのウェブWを切断するためのカッターブレード102と、ウェブWの切断片を2枚合わせで連続状にジグザグ折りするフォールディングバー103とからなる折り畳み装置であって、折り畳みロール110へウェブWを送る位置に設けられ、ウェブWの切断片P(図示しない。)とされる部分における切断方向に沿って、切断片Pの中心位置に折り型を付ける折り型付け機構101を備えている。
【0004】
ここで、折り型付け機構101は、型付けロール120及び型付けロール130からなり、それぞれに、ロールの軸方向に延びた棒状突起121,131及び溝122,132がロール周面において円周方向に交互に取り付けられている。
【0005】
このウェブのジグザグ折り畳み装置100によれば、型付けロール120,130によってウェブW上にウェブWの長手方向に交互に切り型や折り型の凹凸を予め型付けすることができ、この型付けされたウェブWを折り畳みロール110に送ることができる。
【0006】
このため、ウェブの硬さ、厚さ、通気度に関係なく、どのようなウェブであっても、切断片Pを所定の長さで切断できる。また、同一深さの掴み代を確保することができので、確実に切断片Pを掴むことができる。
【0007】
しかしながら、従来のウェブのジグザグ折り畳み装置100は、カッターブレード102が、固定刃であるため、摩擦により摩耗し、度々刃の交換が必要となり、製造コストがかかるという問題があった。
【0008】
また、折り型付け機構101は、折り畳みロール110の溝に押し込んでウェブWを折り畳んでいるが、折り型付け機構101を構成する型付けロール130及び型付けロール130にそなえられている棒状突起131は、先端が尖っているため、薄くて硬いウェブを傷つけて紙切れの原因となっていた。
【0009】
また、折り型付け機構101を設けているため、全体の作業工程が多く、ウェブの移送距離が長くなるので、折り畳んだウェブの両端の重ね合わせ部分にズレが生ずる場合があった。
【0010】
このため、カッターブレードの摩耗を防ぐ技術が提案されている。例えば、特許文献2のウェブのジグザグ折り畳み装置200は、
図9に示すように、左右一対のウェブロールから繰り出された一続きのウェブWWを、それぞれ連続してカットして切断片PP(図示しない)とする左右一対のカットユニット201を、折り畳みロール240に同調して回転自在に設けている。
【0011】
ここで、カットユニット201は、型付溝211と重なり合ってウェブWWに型付けしうる型付突起221と、ロールの軸方向に延びたカッター222とが、回転方向に沿って交互にロール周面上に設けられたトランスファーロール220と、該トランスファーロール220に同調して回転自在に設けられ、カッター222とせん断し合ってウェブWWを切断しうるブレード231を、回転方向に沿って間隔をもってロール周面上に設けられたブレードロール230とからなる。
【0012】
このウェブのジグザグ折り畳み装置200によれば、ブレードロール230のブレード231と、トランスファーロール220のカッター222とが、回転しながら接触することで切断するので、刃が固定されている場合と比べて、刃にかかる衝撃が和らぎ、破損や摩耗を防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許2796078号公報
【特許文献2】特開2000−351526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、特許文献2に開示された従来のウェブのジグザグ折り畳み装置200では、切断、型付及び折り畳みという3つの工程を行うという点では、特許文献1と同様で、全体の作業工程が多く、ウェブの移送距離が長くなるので、折り畳んだウェブの両端の重ね合わせ部分にズレが生じ、収納容器に収まらないという問題が解決されていなかった。
【0015】
また、薄くて硬い素材は、確実に折り畳むことが困難であり、集積した際に嵩高になるという問題があった。
【0016】
特に、食品用敷紙は、水や油を通さないよう防漏性を有し、滑りやすく、且つ、薄くて硬いという性質があり、折り畳んだウェブの両端の重ね合わせ部分にズレが生じたり、確実に折り畳めないことがあり、ティッシュペーパー等の柔らかい素材の場合と異なり、収納容器に収めることができないため、より高精度に折り畳む技術が求められる。
【0017】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、薄くて硬い素材や滑りやすい素材のウェブを正確な折り位置で、確実に折り畳んで集積することができる折り畳み装置、食品用敷紙の集積体、並びに、集積体の製造方法を提供することにある。
【0018】
本発明の第1の側面に係る折り畳み装置によれば、左右一対のウェブロールから繰り出され、繰り出し方向に垂直な幅方向に切断されてなる切断片をウェブの繰り出し方向に交互にずらして重ねながら、交互に折り返してウェブの
切断片の集積体を形成する折り畳み装置であって、ウェブを切断するためのカッターブレードが設けられた2つのカッターロールと、前記カッターロールのそれぞれと対峙するとともに相互に対峙するよう設けられ
た左右一対の折りロールとを備え、
前記折りロールは、前記カッターブレードと
対になりウェブを介して剪断し合って切断片を形成するカッターアンビルと、前記切断片に、
前記カッターアンビルを押し込むことによって、前後の切断片を内包させながら折返部を形成するとともに、該折返部を把持する
ために、前記折りロールの周面に幅方向に延びた溝と、前記溝内において、前記切断片を折りながら挟めるよう幅方向に軸支され、前記切断片の繰り出し方向に揺動するように設けられた挟み板とを備える把持部と、
前記カッターアンビルと前記把持部との間に設けられた第一の吸引口と、前記カッターアンビルの近傍に該カッターアンビルを挟むように設けられた第二の吸引口とを有し、前記ウェブは、食品用敷紙の素材からなるウェブであり、前記ウェブロールから繰り出されて折り型を付けられることなく前記折りロールへ移送され、かつ、当該折リロールと他のローラとで挟圧されることなく前記カッターブレードと前記カッターアンビルとによる切断位置へ移送されるよう構成できる。従来、ウェブを切断するカッターロールと、カッターロールからの切断されたウェブの切断片を折りロールへ送り出すトランスファーロールと、ウェブの切断片を折り返す折りロールとで構成されていたところ、前記構成により、
ウェブが、滑りやすく、且つ、薄くて硬いという性質を有する食品用敷紙の素材からなるものであっても、折りロールに設けられたカッターアンビルがウェブの切断とウェブの切断片の折り返しとを行うため、トランスファーロールが不要となり、設備費用が抑えられるとともに、ウェブの移送距離が短縮され、折り畳んだウェブの切断片の両端の重ね合わせ部分にズレが生じることがなく、ウェブの切断片を正確な折り位置で、確実に折り畳むことができる。
【0019】
また、従来、固定刃を使用していたところ、前記構成により、ロールに切断機能を有するカッターアンビルを設けたため、回転しながら接触することで切断するので、刃が固定されている場合と比べて、刃にかかる衝撃が和らぎ、刃の破損や摩耗を防ぐことができる。
【0020】
また、本発明の第2の側面に係る折り畳み装置によれば、前記カッターアンビルは、前記折りロールの周面上に幅方向に延びた断面視略直角な角部を有し、前記ウェブを切断する際に、前記角部が、前記カッターブレードと剪断し合うよう構成できる。前記構成により、鋭利な角部とカッターブレードとが剪断し合うので、ウェブを鋭く切断できる。
【0021】
さらにまた、本発明の第3の側面に係る折り畳み装置によれば、前記カッターアンビルは、前記折りロールの周面上に幅方向に延びた緩衝面を有し、前記切断片を前記把持部に押し込む際に、前記緩衝面が、前記切断片に接するよう構成できる。前記構成により、カッターアンビルがウェブの切断片を押し込む際には、カッターアンビルの緩衝面がウェブの切断片と接するため、ウェブの切断片を切ることなく折り返すことができる。
【0022】
さらにまた、本発明の第4の側面に係る折り畳み装置によれ
ば、前記溝は、内壁に緩衝材が被覆されており、前記緩衝材を介して、前記挟み板と前記内壁とで前記切断片を折りながら把持するよう構成できる。前記構成により、溝の内壁に緩衝材が被覆されているので、挟み板でウェブの切断片を挟んだ際に、ウェブの切断片を傷つけることがない。
【0023】
また、前記構成により、溝の内壁に緩衝材が被覆されているので、ウェブの切断片を、緩衝材を介して挟み板で溝の内壁に強く押し付けることができ、例えば、型付けロールを設けて事前に折り型を付けなくても、鋭く折り返すことができる。
【0024】
さらにまた、本発明の第5の側面に係る折り畳み装置によれば、前記ウェブロール、及び、前記カッターロール、並びに、前記折りロールは、それぞれ軸方向が設置面に対して垂直となるよう構成できる。前記構成により、各ロールの軸方向が設置面に対して垂直に設置されているので、ユーザは、原反を高い位置に持ち上げて取り付ける必要が無く、楽な姿勢で作業することができ、作業効率が向上する。
【0025】
さらにまた、本発明の第6の側面に係る折り畳み装置によれば、前記切断片を前記折りロールから剥離して集積する左右一対のフォールディングバーと、前記フォールディングバーによって集積された集積体を下流に送り出す送出部と、前記送出部の繰り出し方向に列をなして設けられ、前記集積体を搬送するための搬送ベルトと、前記搬送ベルトの両サイドに設けられ、前記集積体の折返部を左右から一対の板で挟みながら、該板を左右に往復運動させる振動部とを備えるよう構成できる。前記構成により、集積体が幅方向を上下にして搬送されるので、集積体の幅方向を前後又は左右にして搬送される場合に比べて、搬送ベルトの幅を狭く、又は、搬送ベルトの長さを短くすることができるので、場所を取らず、設備をコンパクトにできる。
【0026】
また、前記構成により、振動部が備えられているので、折り目及び切れ目が揃った集積体を提供することができる。
【0027】
さらにまた、本発明の第7の側面に係る折り畳み装置によれば、前記送出部は、駆動部と左右一対のギアロールとを有し、該ギアロールの隣り合うギアの間に形成される凹部と前記フォールディングバーによって集積された集積体の折返部とを一定間隔で係合させて、前記駆動部によって、前記集積体を前記搬送ベルト上に送り出すよう構成できる。前記構成により、ギアロールの凹部で確実に集積体の折返部を挾持することができるので、移送時の振動に対してズレることなく集積体を送り出すことができる。
【0028】
さらにまた、本発明の第8の側面に係る食品用敷紙の集積体は、本発明に係る折り畳み装置によって折り畳まれていることを特徴としている。
【0029】
さらにまた、本発明の第9の側面に係る集積体の製造方法によれば、左右一対のウェブロールから繰り出され、繰り出し方向に垂直な幅方向に切断されてなる切断片をウェブの繰り出し方向に交互にずらして重ねながら、交互に折り返してウェブの集積体を製造する集積体の製造方法であって、2つのカッターロールと、前記カッターロールのそれぞれと対峙するとともに相互に対峙するよう設けられた2つの折りロールとに左右のウェブを供給するウェブ供給工程と、前記ウェブ供給工程によって供給されたウェブを前記カッターロールと前記折りロールとで切断する切断工程と、前記切断工程によって切断された切断片を前記折りロールによって折り返す折返工程とを含むよう構成できる。
【0030】
さらにまた、本発明の第10の側面に係る集積体の製造方法によれば、前記折返工程によって折り返された積層体を前記折りロールから剥離して集積する集積工程と、前記集積工程によって集積された集積体を搬送ベルト上に送り出す送出工程と、前記送出工程によって送り出された集積体を振動させる振動工程とを含むよう構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】折り畳み装置の一実施形態を模式的に示した平面図である。
【
図2】カッターアンビルの一実施形態を模式的に示した斜視図である。
【
図3】カッターアンビルとカッターブレードとの剪断状態の説明図であって、
図1におけるA断面図である。
【
図4】カッターアンビルと把持部とで折返部を形成する説明図であって、
図1におけるB断面図である。
【
図6】送出部及び振動部の一実施形態を模式的に示した斜視図である。
【
図7】集積体の製造方法を示すフローチャートである。
【
図8】従来の折り畳み装置の一実施形態を示す図である。
【
図9】従来の折り畳み装置の他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は以下のものに特定されない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
【0033】
(折り畳み装置)
本発明の一実施形態に係る折り畳み装置1の全体構成を示す模式図を、
図1に示す。
図1に示すように、折り畳み装置1は、左右一対のウェブロール2,2'と、左右一対のカッターロール3,3'と、左右一対の折りロール4,4'と、左右一対のフォールディングバー5,5'と、送出部6と、搬送ベルト7と、振動部8とを主要部として備えている。ここで、このウェブロール2,2'、カッターロール3,3'、折りロール4,4'は、左右対称形であるので、
図1中の右側のウェブロール2、カッターロール3、折りロール4のみ説明する。
【0034】
ウェブロール2は、軸方向が設置面に対して垂直、且つ、2つのウェブロール2,2'が離間して対峙するように設置されており、カッターロール3と折りロール4との間へウェブW(カッターロール3'においては、ウェブW')を繰り出す。
【0035】
カッターロール3は、軸方向が設置面に対して垂直に、折りロール4と対峙するよう設けられており、カッターブレード31を備えている。
【0036】
カッターブレード31は、カッターロール3の周面上に幅方向に延びた刃であり、例えば、カッターロール3の周面上の3箇所に設けられている。なお、カッターブレード31は、少なくとも1箇所以上に設けられていればよく、切断間隔に応じて適宜増減してもよい。
【0037】
折りロール4は、軸方向が設置面に対して垂直に、カッターロール3と対峙するとともに相互に対峙するよう設けられており、カッターアンビル411と、把持部412とを交互に備え、カッターアンビル411と、把持部412とが係合することで折返部41を形成する。
【0038】
また、折りロール4は、カッターアンビル411と把持部412との間のそれぞれにバキューム装置(図示しない。)が連結された吸引口43aを備えている。また、カッターアンビル411の近傍には、該カッターアンビル411を挟むようにバキューム装置(図示しない。)が連結された吸引口43bが設けられている。したがって、カッターアンビル411と把持部412との間には、吸引口43a及び吸引口43bの2つの吸引口が存在し、カッターアンビル411と把持部412とがそれぞれ3つずつあるので、吸引口は合わせて9つ存在する。
【0039】
吸引口43a,43bは、バキューム装置の吸引力によって、ウェブWをカッターアンビル411に吸引することで掴み代を確保し、把持部412の掴み外れを少なくする。
【0040】
さらに、吸引口43aは、カッターアンビル411と把持部412との間に設けられているので、切断片42の把持位置がズレることがない。
【0041】
また、吸引口43bは、カッターアンビル411の近傍にカッターアンビル411を挟むように設けられている。すなわち、吸引口43bは、ウェブWの切断片42の切断端部近傍に位置することとなり、ウェブWが剪断された後に切断端部から剥離するのを防止することができる。
【0042】
カッターアンビル411は、例えば、超硬剛からなり、
図1に示すように、折りロール4の周面上に設けられ、折りロール4の周面上に幅方向に延びた断面視略直角の角部4111と、折りロール4の周面上に幅方向に延びた緩衝面4112とを有し、例えば、折りロール4の周面上の3箇所に設けられ、
図2に示すように、例えば、断面視N字状に形成され、折りロール4の周面に対して回動方向に45°傾いた状態で設置されている。なお、カッターアンビル411は、少なくとも1箇所以上に設けられていればよく、前記数に限定されない。また、カッターアンビル411は、角部4111と、緩衝面4112とを有する構成であればよく、少なくとも1箇所以上に設けられていればよく、切断間隔に応じて適宜増減してもよい。さらに、カッターアンビル411は、剪断機能を有していればよく、前記素材に限定されない。
【0043】
角部4111は、
図3に示すように、カッターブレード31と剪断し合って、一続きのウェブWを切断して切断片42を形成する、例えば、90°の剪断機能を有する角である。
【0044】
緩衝面4112は、折りロール4の周面上に幅方向に延び、且つ、折りロール4の回動方向に延びた0.5mmの長さを有し、
図4に示すように、切断片42を把持部412に押し込む際に、切断片42に接するカッターアンビル411の平面であって、把持部412と係合して切断片42を把持部412に押し込む際に、緩衝面4112が、切断片42に接することで、ウェブWの切断片42を切断することなく折り返す。なお、
図2に示すカッターアンビル411は、角部4111と緩衝面4112とが上面と下面とにそれぞれ設けられており、片方が摩耗した場合には、反転させて取り付けることで、交換時の便宜を図っている。
【0045】
把持部412は、折りロール4の周面上に設けられ、折りロール4の周面に幅方向に延びた溝4121と、折りロール4の幅方向に軸支された挟み板4124とを有し、例えば、折りロール4の周面上の3箇所に設けられている。なお、把持部412は、少なくとも1箇所以上に設けられていればよく、前記数に限定されない。
【0046】
溝4121は、
図4に示すように、内壁4122を備え、挟み板4124を収容し、挟み板4124が揺動可能な深さ及び幅を有し、
図5に示すように、内壁4122の挟み板4124との接触位置を含む近傍が、例えば、0.3mmの厚さのポリウレタンシートからなる緩衝材4123で被覆されている。なお、緩衝材4123は、挟み板4124で切断片42を挟んだ際に、切断片42を傷つけることを防ぐことができればよく前記素材及び厚みに限定されない。
【0047】
挟み板4124は、折りロール4の幅方向に延びる板であり、折りロール4の周面より突出しない高さ、且つ、溝4121内で揺動可能な厚さに形成されており、内壁4122とで切断片42を把持する。
【0048】
フォールディングバー5,5'は、公知のものであり、折りロールの繰り出し方向の下流に設けられ、切断片42を折りロール4,4'から左右交互に剥離して集積する。
【0049】
送出部6は、
図1に示すように、駆動部61と左右一対のギアロール62,62'とを有し、集積体9を搬送ベルト7上に送り出す。
【0050】
駆動部61は、ギアロール62,62'を下流方向に回転させる。
【0051】
ギアロール62,62'は、複数のギア621,621'と、複数の凹部622,622'とを有し、集積体9の折返部41とを一定間隔で係合させて、駆動部61によって、集積体9を搬送ベルト7上に送り出す。
【0052】
搬送ベルト7は、例えば、3本のベルトであって、1本は集積体9の底を支え、2本は、集積体9の両側面を支えながら送出部6から送られた集積体9を振動部8へ搬送する。
【0053】
振動部8は、
図6に示すように、左右一対の板81,81'を有し、集積体9を左右から一対の板81,81'で挟みながら、板81,81'を左右に往復運動させて集積体9の折り目及び切れ目を揃える。
【0054】
(食品用敷紙の集積体)
集積体9は、水や油を通さないよう防漏性を有し、滑りやすく、且つ、薄くて硬い食品用敷紙を折り畳み装置1によって折り畳まれた折り畳み構造をなしている。本発明の一実施形態における食品用敷紙の紙質を表1に示す。
【表1】
【0055】
(集積体の製造方法)
次に、本発明の実施形態に係る集積体の製造方法について、
図1の折り畳み装置1の全体構成を示す模式図及び
図7のフローチャートを参照しながら説明する。
【0056】
集積体の製造方法は、
図7に示すように、カッターロール3,3'と折りロール4,4'とに左右のウェブW、W'を供給するステップST1(請求項9のウェブ供給工程に対応する。)と、左右のウェブW,W'をカッターロール3,3'と折りロール4,4'とで切断するステップST2(請求項9の切断工程に対応する。)と、切断片42を相互に対峙する折りロール4,4'によって折り返すステップST3(請求項9の折返工程に対応する。)と、折り返された積層体44(図示しない。)を折りロール4,4'から剥離して集積するステップST4(請求項10の集積工程に対応する。)と、集積された集積体9を搬送ベルト7上に送り出すステップST5(請求項10の送出工程に対応する。)と、集積体9を振動させるステップST6(請求項10の振動工程に対応する。)とを実行する。
【0057】
ステップST1では、
図7に示すように、先ず、ウェブW,W'をロール状に巻き取ったウェブロール2,2'が、それぞれ巻き軸方向を垂直にしてセットされている。駆動部61(図示しない。)が、ウェブ繰出ベルト(図示しない。)を介して、ウェブロール2,2'の周面に接触してそれぞれ回転して、ウェブW,W'を折りロール4,4'と、折りロール4,4'に同調して回転するカッターロール3,3'との間に供給する。
【0058】
なお、ウェブW,W'は、ウェブロール2,2'からカッターロール3,3'に至る過程で、ウェブW,W'の繰り出し方向のテンションが変動しないよう制御がなされる。
【0059】
ステップST2では、
図1及び
図3に示すように、カッターロール3,3'と折りロール4,4'とが、相互に同調して回転し、左右から供給された左右一対のウェブW,W'をカッターロール3,3'のカッターブレード31,31'と折りロール4,4'のカッターアンビル411,411'の角部4111,4111'とで剪断し合って交互に切断位置をズラして、切断片42,42'を形成する。
【0060】
ここで、角部4111とカッターブレード31とを接触させて切断片42を形成する過程を詳述する。なお、他方の角部4111'とカッターブレード31'とが接触して切断片42'を形成する過程については、切断片42を形成する過程と同様であるため省略する。
【0061】
先ず、
図1に示すように、カッターロール3と折りロール4とが、相互に同調して回転し、カッターブレード31とカッターアンビル411との間にウェブWを移送する。
【0062】
次に、折りロール4が、バキューム装置によって、吸引口43aを介して、ウェブWを吸引保持しながらカッターロール3に同調して回転する。
【0063】
また、カッターロール3はカッターロール3'に対して、また、折りロール4は折りロール4'に対して、ウェブWの切断位置とウェブW'の切断位置とが後述のステップST3のカッターアンビル411と把持部412との間で一定間隔でズレるように回転する。
【0064】
さらに、カッターロール3と折りロール4とが相互に同調して回転することによって、角部4111とカッターブレード31とが近づき、角部4111とカッターブレード31とが接触し、ウェブWを剪断し始め、角部4111とカッターブレード31とがスライドしながらウェブWを剪断し、完全に切断することによって切断片42を形成する。
【0065】
そして、カッターロール3と折りロール4とが相互に同調して回転することによって、角部4111とカッターブレード31とが離れる。
【0066】
最後に、折りロール4が、切断片42を吸引口43a及び吸引口43bに吸引保持しながら切断片42をステップST3の折返工程に移送する。
【0067】
ここで、折りロール4'とカッターロール3'とが切断片42'を前記同様の過程で形成し、折りロール4,4'が、切断片42と切断片42'とを交互にステップST3の折返工程に移送する。
【0068】
ステップST3では、
図4に示すように、カッターアンビル411'の緩衝面4112'が、ステップST2で形成された切断片42'を切断片42に接するよう把持部412に押し込むことによって、切断片42を切断することなく、切断片42'を内包させながら折り返して折返部41を形成する。
【0069】
ここで、カッターアンビル411'の緩衝面4112'が、切断片42に接するよう把持部412に押し込んで折返部41を形成し、後述する積層体44を形成する過程を詳述する。なお、他方のカッターアンビル411の緩衝面4112が、切断片42'に接するよう把持部412'に押し込んで折返部41'を形成し、積層体44'を形成する過程については、積層体44を形成する過程と同様であるため省略する。
【0070】
先ず、折りロール4が、ステップST2からの流れで、切断片42を吸引口43a及び吸引口43bに吸引保持しながら、切断片42が連続した2枚の切断片42'の境に切断片42の中心が位置するよう移送する。
【0071】
次に、カッターアンビル411'の緩衝面4112'が、連続した2枚の切断片42'の境を切断片42に内包させるように把持部412に押し込むとともに、開いた状態で待機している挟み板4124が、溝4121の内壁4122方向に閉じるように作用して、連続した2枚の切断片42'と切断片42とを挾持することで折返部41を形成する。
【0072】
したがって、折り返された切断片42は、2枚の切断片42'を間に挟んで四層に積層された積層体44となる。ここで、把持部412の内壁4122には、緩衝材4123が被覆されているので、ウェブWの切断片42を、緩衝材4123を介して挟み板4124で溝4121の内壁4122に強く押し付けることができ、鋭く折り返すことができる。
【0073】
その後、折りロール4と折りロール4'とが回転することによって、カッターアンビル411'と把持部412とが積層体44を吸引口43a及び吸引口43bに吸引保持しながら離れ、積層体44をステップST4の集積工程に移送する。ここで、折りロール4と折りロール4'が積層体44'を前記同様の過程で形成し、折りロール4,4'が、積層体44と積層体44'とを交互にステップST4の集積工程に移送する。
【0074】
ステップST4では、
図1に示すように、フォールディングバー5,5'がステップST3で折り返して形成された折返部41,41'を有する積層体44,44'を折りロール4,4'から交互に剥離させ集積する。
【0075】
ステップST5では、
図1に示すように、駆動部61によって駆動される左右一対のギアロール62,62'が、隣り合うギア621,621'の間に形成される凹部622,622'で集積体9を一定間隔で係合させて、集積体9を左右から一対のギアロール62,62'で挟みながら、搬送ベルト7上に送り出す。
【0076】
ステップST6では、
図6に示すように、搬送ベルト7の両サイドに設けられた一対の板81,81'が、集積体9を左右から挟みながら、板81,81'を左右に往復運動させ振動を与え、集積体9の折り目及び切れ目を揃える。
【0077】
以上の通り、本発明によれば、薄くて硬い素材や滑りやすい素材のウェブを正確な折り位置で、確実に折り畳んで集積することができる折り畳み装置、及び、食品用敷紙の集積体、並びに、集積体の製造方法を提供することができる。
【0078】
なお、本発明は前述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0079】
1…折り畳み装置、2,2'…ウェブロール、3,3'…カッターロール、31,31'…カッターブレード、4,4'…折りロール、41,41'…折返部、411,411'…カッターアンビル、4111,4111'…角部、4112,4112'…緩衝面、412,412'…把持部、4121…溝、4122…内壁、4123…緩衝材、4124…挟み板、42,42'…切断片、43a,43b…吸引口、44,44'…積層体、5,5'…フォールディングバー、6…送出部、61…駆動部、62,62'…ギアロール、621,621'…ギア、622,622'…凹部、7…搬送ベルト、8…振動部、81,81'…板、9…集積体、W,W'…ウェブ、100…ジグザグ折り畳み装置、101…折り型付け機構、102…カッターブレード、103…フォールディングバー、110…折り畳みロール、113…カッターアンビル、120…型付けロール、121…棒状突起、122…溝、130…型付けロール、131…棒状突起、132…溝、P…切断片、W…ウェブ、200…ジグザグ折り畳み装置、201…カットユニット、211…型付溝、220…トランスファーロール、221…型付突起、222…カッター、230…ブレードロール、231…ブレード、240…折り畳みロール、WW…ウェブ、PP…切断片