(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記変化量取得部は、前記回転保持部による基板の回転中に前記位置検出ユニットにより検出される基板の外周部の位置と前記位置検出ユニットにより検出される前記処理液ノズルの位置との差分の時間変化の振幅を第2の振幅として取得し、
前記位相制御部は、前記変化量取得部により取得される前記第2の振幅が予め定められたしきい値以下になるように前記位置調整部を制御することにより、前記処理液ノズルの位置の時間変化の位相と基板の外周部の位置の時間変化の位相との差を前記予め定められた値以下にする、請求項1記載の基板処理装置。
前記位置検出ユニットは、基板の外周部の位置を検出する第1の検出装置と、前記処理液ノズルの位置を検出する第2の検出装置とを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の基板処理装置。
前記位置検出ユニットは、基板の外周部および前記処理液ノズルの画像を示す画像データを生成し、生成した画像データに基づいて基板の外周部の位置および前記処理液ノズルの位置を検出し、
前記変化量取得部は、前記位置検出ユニットにより生成された画像データを処理することにより前記第1の振幅を取得する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(1)基板処理装置の構成
以下、本発明の一実施の形態に係る基板処理装置および基板処理方法について図面を用いて説明する。なお、以下の説明において、基板とは、半導体基板、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板またはフォトマスク用基板等をいう。また、本実施の形態で用いられる基板は、少なくとも一部が円形の外周部を有する。例えば、位置決め用のノッチを除く外周部が円形を有する。
【0033】
図1は、本発明の一実施の形態に係る基板処理装置の模式的平面図である。
図1および以降の所定の図には、位置関係を明確にするために互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を示す矢印を付している。X方向およびY方向は水平面内で互いに直交し、Z方向は鉛直方向に相当する。なお、各方向において矢印が向かう方向を+方向、その反対の方向を−方向とする。
【0034】
図1に示すように、基板処理装置100は、インデクサブロック11、第1の処理ブロック12、第2の処理ブロック13、洗浄乾燥処理ブロック14Aおよび搬入搬出ブロック14Bを備える。洗浄乾燥処理ブロック14Aおよび搬入搬出ブロック14Bにより、インターフェイスブロック14が構成される。搬入搬出ブロック14Bに隣接するように露光装置15が配置される。露光装置15においては、液浸法により基板Wに露光処理が行われる。
【0035】
図1に示すように、インデクサブロック11は、複数のキャリア載置部111および搬送部112を含む。各キャリア載置部111には、複数の基板Wを多段に収納するキャリア113が載置される。搬送部112には、メインコントローラ114および搬送機構115が設けられる。メインコントローラ114は、基板処理装置100の種々の構成要素を制御する。搬送機構115は、基板Wを保持しつつその基板Wを搬送する。
【0036】
第1の処理ブロック12は、塗布処理部121、搬送部122および熱処理部123を含む。塗布処理部121および熱処理部123は、搬送部122を挟んで対向する。搬送部122とインデクサブロック11との間には、基板Wが載置される基板載置部PASS1〜PASS4(
図14参照)が設けられる。搬送部122には、基板Wを搬送する搬送機構127,128(
図14参照)が設けられる。
【0037】
第2の処理ブロック13は、塗布現像処理部131、搬送部132および熱処理部133を含む。塗布現像処理部131および熱処理部133は、搬送部132を挟んで対向する。搬送部132と搬送部122との間には、基板Wが載置される基板載置部PASS5〜PASS8(
図14参照)が設けられる。搬送部132には、基板Wを搬送する搬送機構137,138(
図14参照)が設けられる。
【0038】
洗浄乾燥処理ブロック14Aは、洗浄乾燥処理部161,162および搬送部163を含む。洗浄乾燥処理部161,162は、搬送部163を挟んで対向する。搬送部163には、搬送機構141,142が設けられる。
【0039】
搬送部163と搬送部132との間には、載置兼バッファ部P−BF1,P−BF2(
図14参照)が設けられる。載置兼バッファ部P−BF1,P−BF2は、複数の基板Wを収容可能に構成される。
【0040】
また、搬送機構141,142の間において、搬入搬出ブロック14Bに隣接するように、基板載置部PASS9および後述の載置兼冷却部P−CP(
図14参照)が設けられる。載置兼冷却部P−CPは、基板Wを冷却する機能(例えば、クーリングプレート)を備える。載置兼冷却部P−CPにおいて、基板Wが露光処理に適した温度に冷却される。
【0041】
搬入搬出ブロック14Bには、搬送機構146が設けられる。搬送機構146は、露光装置15に対する基板Wの搬入および搬出を行う。露光装置15には、基板Wを搬入するための基板搬入部15aおよび基板Wを搬出するための基板搬出部15bが設けられる。
【0042】
(2)塗布処理部および
塗布現像処理部
図2は、
図1の塗布処理部121、塗布現像処理部131および洗浄乾燥処理部161の内部構成を示す模式的側面図である。
図2に示すように、塗布処理部121には、塗布処理室21,22,23,24が階層的に設けられる。各塗布処理室21〜24には、塗布処理ユニット129が設けられる。塗布現像処理部131には、現像処理室31,33および塗布処理室32,34が階層的に設けられる。各現像処理室31,33には、現像処理ユニット139が設けられ、各塗布処理室32,34には、塗布処理ユニット129が設けられる。
【0043】
図3は、塗布処理ユニット129の構成を示す平面図である。
図2および
図3に示すように、各塗布処理ユニット129は、待機部20、複数のスピンチャック25、複数のカップ27、複数の処理液ノズル28、ノズル搬送機構29、複数のノズル機構200および複数の位置検出ユニット300を備える。本実施の形態においては、スピンチャック25、カップ27、ノズル機構200および位置検出ユニット300は、各塗布処理ユニット129に2つずつ設けられる。
【0044】
ノズル機構200は、処理液ノズル210、リンス液供給系220、ノズル支持部230、ノズル固定部240およびノズル取付部250を含む。リンス液供給系220は、配管221およびバルブ222を含む。処理液ノズル210は、配管221により図示しないリンス液貯蔵タンクに接続される。バルブ222は配管221に介挿される。ノズル機構200の詳細については後述する。
【0045】
各スピンチャック25は、基板Wを保持した状態で、図示しない電動モータ等の駆動装置により回転駆動される。カップ27はスピンチャック25の周囲を取り囲むように設けられる。待機時には、各処理液ノズル28は待機部20に挿入される。各処理液ノズル28には、図示しない処理液貯留部から処理液配管を通して後述する種々の処理液が供給される。
【0046】
複数の処理液ノズル28のうちのいずれかの処理液ノズル28がノズル搬送機構29により基板Wの上方に移動される。スピンチャック25が回転しつつ処理液ノズル28から処理液が吐出されることにより、回転する基板W上に処理液が塗布される。
【0047】
また、ノズル機構200の処理液ノズル210が所定の待機位置から基板Wの周縁部の近傍に移動される。スピンチャック25が回転しつつ処理液ノズル210から回転する基板Wの周縁部に向けてリンス液が吐出されることにより、基板Wに塗布された処理液の周縁部が溶解される。それにより、基板Wの周縁部の処理液が除去される。
【0048】
本実施の形態においては、
図2の塗布処理室22,24の処理液ノズル28からは、反射防止膜用の処理液(反射防止液)が吐出される。塗布処理室21,23の処理液ノズル28からは、レジスト膜用の処理液(レジスト液)が吐出される。塗布処理室32,34の処理液ノズル28からは、レジストカバー膜用の処理液(レジストカバー液)が吐出される。
【0049】
図2に示すように、現像処理ユニット139は、塗布処理ユニット129と同様に、複数のスピンチャック35および複数のカップ37を備える。また、
図1に示すように、現像処理ユニット139は、現像液を吐出する2つのスリットノズル38およびそれらのスリットノズル38を移動させる移動機構39を備える。
【0050】
現像処理ユニット139においては、図示しない駆動装置によりスピンチャック35が回転される。それにより、基板Wが回転される。この状態で、スリットノズル38が移動しつつ各基板Wに現像液を供給する。これにより、基板W上のレジストカバー膜が除去されるとともに、基板Wの現像処理が行われる。
【0051】
洗浄乾燥処理部161には、複数(本例では4つ)の洗浄乾燥処理ユニットSD1が設けられる。洗浄乾燥処理ユニットSD1においては、露光処理前の基板Wの洗浄および乾燥処理が行われる。
【0052】
(3)基板周縁部処理の詳細
(a)ノズル機構
図4および
図5は、
図2の塗布処理ユニット129に設けられる一方の処理液ノズル210の固定手順を示す斜視図である。塗布処理ユニット129に設けられる他方の処理液ノズル210の固定手順は、
図4および
図5の処理液ノズル210の固定手順と同様である。
【0053】
図4に示すように、ノズル支持部230は、前面230A、背面230B、一側面230C、他側面230D、上面230Eおよび下面230Fを有する。
図4では、ノズル支持部230の前面230Aが向く方向をノズル支持部230の前方とし、ノズル支持部230の背面230Bが向く方向をノズル支持部230の後方とする。本例においては、ノズル支持部230は、後端部が下方に突出する断面L字型のブロックである。
【0054】
ノズル支持部230には、上面230Eから下面230Fまで貫通する円形状の貫通孔231が形成される。貫通孔231の径は、
図5の処理液ノズル210の径よりもわずかに大きい。また、ノズル支持部230には、貫通孔231と交差するように上面230Eから下面230Fまで貫通しかつ前端部を側方に分離する切欠232が形成される。
【0055】
ノズル支持部230の前端部には、一側面230Cから切欠232まで貫通する貫通孔233が形成される。また、ノズル支持部230の前端部には、他側面230Dから切欠232まで貫通し貫通孔233につながるねじ孔234が形成される。ノズル支持部230の後端部には、一側面230Cから他側面230Dまで貫通する貫通孔235が形成される。
【0056】
ノズル固定部240は、円盤形状の位置調整部241および略円柱形状の固定部材242,243を含む。位置調整部241は、例えばアクチュエータである。位置調整部241の分解能は50μm以下であることが好ましい。また、位置調整部241は、高い応答性を有することが好ましい。本例では、位置調整部241はピエゾ素子を含む。
【0057】
位置調整部241は、例えば接着剤により固定部材242,243間に固定される。これにより、一方向に延びる略円柱形状のノズル固定部240が形成される。
図4では、固定部材242が配置される方向をノズル固定部240の前方とし、固定部材243が配置される方向をノズル固定部240の後方とする。
【0058】
固定部材242には、前後方向に貫通するねじ孔242aが形成される。固定部材243の前後方向における略中央部には、フランジ部243aが形成される。固定部材243のフランジ部243aよりも後端部には、雄ねじ243bが形成される。
【0059】
ノズル取付部250は、平板形状を有する。ノズル取付部250は、
図2の各塗布処理室21〜24,32,34内に略垂直に設けられる。
図3のスピンチャック25の回転中心軸と当該スピンチャック25に対応するノズル取付部250との間の距離は一定である。ノズル取付部250には、円形の貫通孔251が形成される。貫通孔251の径は、ノズル固定部240の雄ねじ243bの径よりもわずかに大きい。
【0060】
ノズル支持部230の他側面230Dから一側面230Cに向かって固定ねじ244が貫通孔235に挿通される。この状態で、固定ねじ244の先端がノズル固定部240のねじ孔242aに嵌め込まれる。これにより、ノズル支持部230がノズル固定部240に固定される。
【0061】
ノズル固定部240の雄ねじ243bがノズル取付部250の貫通孔251に挿通される。この状態で、雄ねじ243bがナット245に嵌め込まれる。この場合、ノズル固定部240のフランジ部243aとナット245とによりノズル取付部250が挟み込まれる。これにより、ノズル固定部240がノズル取付部250に固定される。
【0062】
吐出口が下方を向くように、処理液ノズル210(
図5)がノズル支持部230の貫通孔231に挿通される。この状態で、ノズル支持部230の貫通孔233を通してねじ孔234に固定ねじ236が嵌め込まれる。この場合、ノズル支持部230の一側面230Cの貫通孔233に差し込まれた固定ねじ236は、切欠232を通ってノズル支持部230の他側面230Dのねじ孔234に固定される。
【0063】
ここで、固定ねじ236を締め付けることにより、ノズル支持部230の切欠232の間隔が小さくなり、貫通孔231に挿通された処理液ノズル210が一側面230Cおよび他側面230Dにより締め付けられる。これにより、
図5に示すように、処理液ノズル210がノズル支持部230に固定される。
【0064】
上記の取り付け手順により、処理液ノズル210が各塗布処理室21〜24,32,34内に固定される。周縁部の基板処理(以下、基板周縁部処理と呼ぶ。)において、ノズル固定部240の位置調整部241が伸縮することにより、スピンチャック25に対する処理液ノズル210の相対的な位置が調整される。ここで、基板Wの周縁部とは、基板Wの外周部から所定の幅だけ内側の領域をいう。
【0065】
(b)位置検出ユニット
図6は、
図2の塗布処理ユニット129に設けられる一方の位置検出ユニット300の模式的側面図である。
図7は、
図6の位置検出ユニット300の模式的平面図である。塗布処理ユニット129に設けられる他方の位置検出ユニット300の構成は、
図6および
図7の位置検出ユニット300の構成と同様である。
【0066】
本実施の形態では、
図6および
図7に示すように、位置検出ユニット300は単一の撮像装置310により構成される。撮像装置310は、照明部311、反射ミラー312およびCCD(電荷結合素子)ラインセンサ313を備える。
【0067】
照明部311は基板Wの周縁部の上方に配置される。反射ミラー312は、処理液ノズル210を挟んで照明部311と対向するように基板Wの上方に配置される。反射ミラー312の上方にCCDラインセンサ313が配置される。CCDラインセンサ313は、画素が一列に並ぶように配置される。
【0068】
照明部311から帯状の光(以下、照明光と呼ぶ。)が発生される。照明光は、基板Wの周縁部に照射される。また、照明光の一部は、処理液ノズル210の先端に照射される。照射された照明光は、基板W上で反射され、さらに反射ミラー312上で反射され、CCDラインセンサ313に検出される。
【0069】
これにより、基板Wの周縁部近傍の領域が撮像されるとともに、処理液ノズル210の先端が撮像される。基板Wの周縁部近傍の領域および処理液ノズル210の先端の画像を示す画像データは、後述する
図8のローカルコントローラに与えられる。
【0070】
(c)ローカルコントローラ
図8は、ローカルコントローラの構成を示すブロック図である。ローカルコントローラ400は、
図1のメインコントローラ114からの指令に基づいてノズル機構200の動作を制御する。
【0071】
図8に示すように、ローカルコントローラ400は、記憶部410および制御部420を含む。記憶部410は、ランダムアクセスメモリ(RAM)またはハードディスクにより構成される。記憶部410には、ノズル機構200を含む第1の処理ブロック12(
図1)の動作を制御するためのプログラムが記憶されるとともに、種々のデータが記憶される。
【0072】
基板周縁部処理を行う基板Wの周縁部の領域の幅を周縁部処理幅と呼ぶ。本実施の形態においては、周縁部処理幅は、基板Wの周縁部において処理液が除去される領域の幅である。周縁部処理幅は予め設定され、記憶部410に記憶される。
【0073】
制御部420は、中央演算処理装置(CPU)により構成される。制御部420は、回転制御部421、変化量取得部422、位置設定部423、位置制御部424、位相制御部425および吐出制御部426を含む。制御部420が記憶部410に記憶されたプログラムを実行することにより、回転制御部421、変化量取得部422、位置設定部423、位置制御部424、位相制御部425および吐出制御部426の機能が実現される。
【0074】
回転制御部421は、スピンチャック25の動作を制御する。具体的には、回転制御部421は、スピンチャック25による基板Wの保持、回転および停止の指令ならびにスピンチャック25の回転速度の制御等を行う。変化量取得部422は、位置検出ユニット300から基板Wの周縁部近傍の領域および処理液ノズル210の先端の画像を示す画像データを取得する。また、変化量取得部422は、取得した画像データを画像処理することにより、基板Wの外周部の位置の時間変化を示すデータ等を取得する。
【0075】
位置設定部423は、変化量取得部422による画像処理の結果に基づいて、基板Wの外周部の位置および処理液ノズル210の先端の位置を取得する。また、位置設定部423は、基板Wの外周部と処理液ノズル210の先端との間の距離が周縁部処理幅になるように位置調整部241を制御する。
【0076】
位置制御部424は、回転制御部421によるスピンチャック25の回転速度(回転周波数)を取得するとともに、変化量取得部422により取得された振幅ΔAを取得する。また、位置制御部424は、処理液ノズル210(
図3)の先端の位置がスピンチャック25の回転中心に向かって周期的に変化するように位置調整部241を制御する。ここで、処理液ノズル210の位置の変化の周波数はスピンチャック25の回転周波数と等しく、処理液ノズル210の位置の変化の振幅は基板Wの外周部の位置の時間変化の振幅と等しい。
【0077】
位相制御部425は、変化量取得部422による画像処理の結果に基づいて、基板Wの外周部に対する処理液ノズル210の位置の時間変化の位相が基板Wの外周部の位置の変化の位相と略一致するように位置調整部241を制御する。吐出制御部426は、位相制御部425により位相が略一致した後、処理液ノズル210から処理液が吐出されるようにバルブ222を制御する。これにより、基板Wの周縁部における周縁部処理幅の領域の処理液が除去される。
【0078】
(d)位置調整部の制御
図8のローカルコントローラ400による位置調整部241の制御について説明する。
図9は、
図8の位置設定部423および位置制御部424による位置調整部241の制御を説明するための図である。
図10は、
図8の位相制御部425による位置調整部241の制御を説明するための図である。
【0079】
上述のように、変化量取得部422は、画像処理により基板Wの外周部の位置および処理液ノズル210の先端の位置を取得する。また、変化量取得部422は、回転する基板Wの外周部の位置の時間変化を示すデータを取得する。
図9(a)の例では、回転中において最も外方に位置する基板Wが実線で図示され、最も内方に位置する基板Wが点線で図示される。
図9(a)に示すように、取得した基板Wの外周部の位置の最大変化量、すなわち位置の時間変化の振幅はΔAである。
【0080】
位置設定部423は、基板Wの外周部と処理液ノズル210の先端との間の距離が周縁部処理幅ΔEになるように位置調整部241を制御する。
図9(b)の例では、最も外方の基板Wの外周部の位置から幅ΔEだけ内方の位置に処理液ノズル210の先端が配置されるように位置調整部241が制御される。
【0081】
図9(c)に示すように、位置制御部424は、処理液ノズル210の先端の位置が上記の位置から
図3のスピンチャック25の回転中心に向かって振幅ΔAで周期的に変化するように位置調整部241を制御する。処理液ノズル210の先端の位置の変化の周波数はスピンチャック25の回転周波数と等しい。
【0082】
変化量取得部422は、基板Wの外周部の位置の時間変化を示すデータに加えて、処理液ノズル210の先端の位置の時間変化を示すデータを取得する。また、変化量取得部422は、基板Wの外周部の位置に対する処理液ノズル210の先端の相対的な位置の時間変化を示すデータを取得する。
【0083】
これらのデータに基づく位置の変化を
図10(a)〜(d)に示す。
図10(a)〜(d)の横軸は時間を示し、縦軸は位置を示す。
図10(a)〜(d)においては、基板Wの外周部の位置の時間変化を点線で示し、処理液ノズル210の先端の位置の時間変化を一点鎖線で示す。また、基板Wの外周部の位置に対する処理液ノズル210の先端の相対的な位置の時間変化を実線で示す。実線の時間変化は、点線の時間変化と一点鎖線の時間変化との差に相当する。
【0084】
以下、
図10(a)〜(d)の点線の時間変化を基板変化と呼び、一点鎖線の時間変化をノズル変化と呼び、実線の時間変化を差分変化と呼ぶ。なお、
図10(a)〜(d)においては、理解を容易にするため、周縁部処理幅ΔEの位置ずれを無視して基板変化およびノズル変化を図示している。位相制御部425は、ノズル変化が遅延するように位置調整部241を制御することにより、
図10(a)〜(d)のノズル変化の位相を基板変化の位相と略一致させる。ここで、差分変化の振幅ΔBは、ノズル変化と基板変化との位相差に対応して変化する。
【0085】
図10(a)の例では、ノズル変化と基板変化との位相差はπである。この場合、差分変化の振幅ΔBは最大となる。
図10(b)の例では、ノズル変化と基板変化との位相差はπ/3である。この場合、差分変化の振幅ΔBは
図10(a)の振幅ΔBよりも小さくなる。
図10(c)の例では、ノズル変化と基板変化との位相差はπ/8である。この場合、差分変化の振幅ΔBは
図10(b)の振幅ΔBよりも小さくなる。
図10(d)の例では、ノズル変化と基板変化との位相差は0である。この場合、差分変化の振幅ΔBは最小となる。
【0086】
そこで、本実施の形態では、予め設定された所定のしきい値(例えば50μm)が
図8の記憶部410に記憶されている。位相制御部425は、差分変化の振幅ΔBがしきい値以下になるように位置調整部241を制御する。これにより、ノズル変化の位相を容易かつ高速に基板変化の位相と略一致させることができる。ノズル変化の位相が基板変化の位相に略一致した後、
図8の吐出制御部426は、処理液ノズル210からリンス液が吐出されるようにバルブ222を制御する。
【0087】
上記のローカルコントローラ400の制御によれば、基板Wの外周部の位置が
図9(a)〜(c)の実線と点線との間で変動しても、処理液ノズル210の先端が基板Wの外周部の位置を追従する。そのため、基板Wの位置合わせの不完全さにより基板Wの位置がわずかに変動する場合でも、基板の周縁部処理幅ΔEの処理を高い精度で行うことが可能になる。
【0088】
(e)基板周縁部処理
図11および
図12は、基板周縁部処理を示すフローチャートである。以下、
図3〜
図8を参照しながらローカルコントローラ400の制御部420による基板周縁部処理を説明する。基板周縁部処理は、後述する基板処理において基板Wに反射防止液、レジスト液またはレジストカバー液が吐出されたときに実行される。
【0089】
まず、制御部420は、処理対象の基板Wを保持するスピンチャック25を回転させる(ステップS1)。次に、制御部420は、位置検出ユニット300から画像データを取得する(ステップS2)。続いて、制御部420は、取得した画像データに基づいて基板変化を示すデータを取得する(ステップS3)。また、制御部420は、取得した画像データに基づいて処理液ノズル210の先端の位置を取得する(ステップS4)。ステップS3,S4の処理は、いずれが先に行われてもよい。
【0090】
次に、制御部420は、基板変化および処理液ノズル210の先端の位置に基づいて位置調整部241を制御することにより、基板Wの外周部と処理液ノズル210の先端との間の距離を周縁部処理幅ΔEに設定する(ステップS5)。続いて、制御部420は、位置調整部241を制御することにより、処理液ノズル210の先端の位置を時間変化させる(ステップS6)。ここで、ノズル変化の振幅および周波数は、基板変化の振幅ΔAおよび周波数にそれぞれ等しい。
【0091】
次に、制御部420は、位置検出ユニット300から画像データを取得する(ステップS7)。続いて、制御部420は、取得した画像データに基づいてノズル変化を示すデータを取得する(ステップS8)。また、制御部420は、取得した画像データに基づいて差分変化を示すデータを取得する(ステップS9)。
【0092】
ここで、制御部420は、差分変化の振幅が記憶部410に記憶されたしきい値以下であるか否かを判定する(ステップS10)。差分変化の振幅がしきい値以上である場合には、制御部420は、位置調整部241を制御することにより、ノズル変化の位相を遅延させる(ステップS11)。その後、制御部420は、ステップS7の処理に戻る。差分変化の振幅がしきい値以下になるまで、ステップS7〜S11の処理が繰り返される。
【0093】
ステップS10において差分変化の振幅がしきい値以下である場合には、制御部420は、バルブ222を制御することにより処理液ノズル210からリンス液を吐出させる。これにより、その後、
制御部420は基板周縁部処理を終了する。
【0094】
(4)熱処理部
図13は、
図1の熱処理部123,133および洗浄乾燥処理部162の内部構成を示す模式的側面図である。
図13に示すように、熱処理部123は、上方に設けられる上段熱処理部301および下方に設けられる下段熱処理部302を有する。上段熱処理部301および下段熱処理部302には、複数の熱処理ユニットPHP、複数の密着強化処理ユニットPAHPおよび複数の冷却ユニットCPが設けられる。
【0095】
熱処理部123の最上部には、図
8のローカルコントローラ400が設けられる。ローカルコントローラ400は、
図1のメインコントローラ114からの指令に基づいて、塗布処理部121、搬送部122および熱処理部123の動作を制御する。
【0096】
熱処理ユニットPHPにおいては、基板Wの加熱処理および冷却処理が行われる。密着強化処理ユニットPAHPにおいては、基板Wと反射防止膜との密着性を向上させるための密着強化処理が行われる。具体的には、密着強化処理ユニットPAHPにおいて、基板WにHMDS(ヘキサメチルジシラサン)等の密着強化剤が塗布されるとともに、基板Wに加熱処理が行われる。冷却ユニットCPにおいては、基板Wの冷却処理が行われる。
【0097】
熱処理部133は、上方に設けられる上段熱処理部303および下方に設けられる下段熱処理部304を有する。上段熱処理部303および下段熱処理部304には、冷却ユニットCP、複数の熱処理ユニットPHPおよびエッジ露光部EEWが設けられる。
【0098】
熱処理部133の最上部には、ローカルコントローラ500が設けられる。ローカルコントローラ500は、
図1のメインコントローラ114からの指令に基づいて、塗布現像処理部131、搬送部132および熱処理部133の動作を制御する。
【0099】
エッジ露光部EEWにおいては、基板Wの周縁部の露光処理(エッジ露光処理)が行われる。基板Wにエッジ露光処理が行われることにより、後の現像処理時に、基板Wの周縁部上のレジスト膜が除去される。それにより、現像処理後において、基板Wの周縁部が他の部分と接触した場合に、基板Wの周縁部上のレジスト膜が剥離してパーティクルとなることが防止される。
【0100】
洗浄乾燥処理部162には、複数(本例では5つ)の洗浄乾燥処理ユニットSD2が設けられる。洗浄乾燥処理ユニットSD2においては、露光処理後の基板Wの洗浄および乾燥処理が行われる。
【0101】
(5)搬送部
図14は、搬送部122,132,163の内部構成を示す模式的側面図である。
図14に示すように、搬送部122は、上段搬送室125および下段搬送室126を有する。搬送部132は、上段搬送室135および下段搬送室136を有する。上段搬送室125には搬送機構127が設けられ、下段搬送室126には搬送機構128が設けられる。また、上段搬送室135には搬送機構137が設けられ、下段搬送室136には搬送機構138が設けられる。
【0102】
塗布処理室21,22(
図2)と上段熱処理部301(
図13)とは上段搬送室125を挟んで対向し、塗布処理室23,24(
図2)と下段熱処理部302(
図13)とは下段搬送室126を挟んで対向する。現像処理室31および塗布処理室32(
図2)と上段熱処理部303(
図13)とは上段搬送室135を挟んで対向し、現像処理室33および塗布処理室34(
図2)と下段熱処理部304(
図13)とは下段搬送室136を挟んで対向する。
【0103】
図14に示すように、搬送部112と上段搬送室125との間には、基板載置部PASS1,PASS2が設けられ、搬送部112と下段搬送室126との間には、基板載置部PASS3,PASS4が設けられる。上段搬送室125と上段搬送室135との間には、基板載置部PASS5,PASS6が設けられ、下段搬送室126と下段搬送室136との間には、基板載置部PASS7,PASS8が設けられる。
【0104】
上段搬送室135と搬送部163との間には、載置兼バッファ部P−BF1が設けられ、下段搬送室136と搬送部163との間には載置兼バッファ部P−BF2が設けられる。搬送部163において搬入搬出ブロック14Bと隣接するように、基板載置部PASS9および複数の載置兼冷却部P−CPが設けられる。
【0105】
載置兼バッファ部P−BF1は、搬送機構137および搬送機構141,142(
図1)による基板Wの搬入および搬出が可能に構成される。載置兼バッファ部P−BF2は、搬送機構138および搬送機構141,142(
図1)による基板Wの搬入および搬出が可能に構成される。また、基板載置部PASS9および載置兼冷却部P−CPは、搬送機構141,142(
図1)および搬送機構146による基板Wの搬入および搬出が可能に構成される。
【0106】
基板載置部PASS1および基板載置部PASS3には、インデクサブロック11から第1の処理ブロック12へ搬送される基板Wが載置される。基板載置部PASS2および基板載置部PASS4には、第1の処理ブロック12からインデクサブロック11へ搬送される基板Wが載置される。
【0107】
基板載置部PASS5および基板載置部PASS7には、第1の処理ブロック12から第2の処理ブロック13へ搬送される基板Wが載置される。基板載置部PASS6および基板載置部PASS8には、第2の処理ブロック13から第1の処理ブロック12へ搬送される基板Wが載置される。
【0108】
載置兼バッファ部P−BF1,P−BF2には、第2の処理ブロック13から洗浄乾燥処理ブロック14Aへ搬送される基板Wが載置される。載置兼冷却部P−CPには、洗浄乾燥処理ブロック14Aから搬入搬出ブロック14Bへ搬送される基板Wが載置される。基板載置部PASS9には、搬入搬出ブロック14Bから洗浄乾燥処理ブロック14Aへ搬送される基板Wが載置される。
【0109】
搬送機構127は、塗布処理室21,22(
図2)、基板載置部PASS1,PASS2,PASS5,PASS6(
図14)および上段熱処理部301(
図13)に対して基板Wの受け渡しを行う。搬送機構
128は、塗布処理室23,24(
図2)、基板載置部PASS3,PASS4,PASS7,PASS8(
図14)および下段熱処理部302(
図13)に対して基板Wの受け渡しを行う。
【0110】
搬送機構137は、現像処理室31(
図2)、塗布処理室32(
図2)、基板載置部PASS5,PASS6(
図14)、載置兼バッファ部P−BF1(
図14)および上段熱処理部303(
図13)に対して基板Wの受け渡しを行う。搬送機構138は、現像処理室33(
図2)、塗布処理室34(
図2)、基板載置部PASS7,PASS8(
図14)、載置兼バッファ部P−BF2(
図14)および下段熱処理部304(
図13)に対して基板Wの受け渡しを行う。
【0111】
(6)基板処理
図1、
図2、
図13および
図14を参照しながら基板処理を説明する。インデクサブロック11のキャリア載置部111(
図1)には、未処理の基板Wが収容されたキャリア113が載置される。搬送機構115は、キャリア113から基板載置部PASS1,PASS3(
図14)に未処理の基板Wを搬送する。また、搬送機構115は、基板載置部PASS2,PASS4(
図14)に載置された処理済みの基板Wをキャリア113に搬送する。
【0112】
第1の処理ブロック12において、搬送機構127(
図14)は、基板載置部PASS1に載置された未処理の基板Wを密着強化処理ユニットPAHP(
図13)、冷却ユニットCP(
図13)および塗布処理室22(
図2)に順に搬送する。次に、搬送機構127は、塗布処理室22の基板Wを、熱処理ユニットPHP(
図13)、冷却ユニットCP(
図13)、塗布処理室21(
図2)、熱処理ユニットPHP(
図13)および基板載置部PASS5(
図14)に順に搬送する。
【0113】
この場合、密着強化処理ユニットPAHPにおいて、基板Wに密着強化処理が行われた後、冷却ユニットCPにおいて、反射防止膜の形成に適した温度に基板Wが冷却される。次に、塗布処理室22において、塗布処理ユニット129(
図2)により基板W上に反射防止膜が形成される。続いて、熱処理ユニットPHPにおいて、基板Wの熱処理が行われた後、冷却ユニットCPにおいて、レジスト膜の形成に適した温度に基板Wが冷却される。次に、塗布処理室21において、塗布処理ユニット129(
図2)により、基板W上にレジスト膜が形成される。その後、熱処理ユニットPHPにおいて、基板Wの熱処理が行われ、その基板Wが基板載置部PASS5に載置される。
【0114】
また、搬送機構127は、基板載置部PASS6(
図14)に載置された現像処理後の基板Wを基板載置部PASS2(
図14)に搬送する。
【0115】
搬送機構128(
図14)は、基板載置部PASS3に載置された未処理の基板Wを密着強化処理ユニットPAHP(
図13)、冷却ユニットCP(
図13)および塗布処理室24(
図2)に順に搬送する。次に、搬送機構128は、塗布処理室24の基板Wを、熱処理ユニットPHP(
図13)、冷却ユニットCP(
図13)、塗布処理室23(
図2)、熱処理ユニットPHP(
図13)および基板載置部PASS7(
図14)に順に搬送する。
【0116】
また、搬送機構128(
図14)は、基板載置部PASS8(
図14)に載置された現像処理後の基板Wを基板載置部PASS4(
図14)に搬送する。塗布処理室23,24(
図2)および下段熱処理部302(
図13)における基板Wの処理内容は、上記の塗布処理室21,22(
図2)および上段熱処理部301(
図13)における基板Wの処理内容とそれぞれ同様である。
【0117】
第2の処理ブロック13において、搬送機構137(
図14)は、基板載置部PASS5に載置されたレジスト膜形成後の基板Wをエッジ露光部EEW(
図13)および載置兼バッファ部P−BF1(
図14)に順に搬送する。この場合、エッジ露光部EEWにおいて、基板Wにエッジ露光処理が行われる。エッジ露光処理後の基板Wが載置兼バッファ部P−BF1に載置される。
【0118】
また、搬送機構137(
図14)は、洗浄乾燥処理ブロック14Aに隣接する熱処理ユニットPHP(
図13)から露光処理後でかつ熱処理後の基板Wを取り出す。搬送機構137は、その基板Wを冷却ユニットCP(
図13)、現像処理室3
1(図2)
、熱処理ユニットPHP(
図13)および基板載置部PASS6(
図14)に順に搬送する。
【0119】
この場合、冷却ユニットCPにおいて、現像処理に適した温度に基板Wが冷却された後、現像処理室
31において、現像処理ユニット139により基板Wの現像処理が行われる。その後、熱処理ユニットPHPにおいて、基板Wの熱処理が行われ、その基板Wが基板載置部PASS6に載置される。
【0120】
搬送機構138(
図14)は、基板載置部PASS7に載置されたレジスト膜形成後の基板Wをエッジ露光部EEW(
図13)および載置兼バッファ部P−BF2(
図14)に順に搬送する。
【0121】
また、搬送機構138(
図14)は、インターフェイスブロック14に隣接する熱処理ユニットPHP(
図13)から露光処理後でかつ熱処理後の基板Wを取り出す。搬送機構138は、その基板Wを冷却ユニットCP(
図13)、現像処理室3
3(図2)、熱処理ユニットPHP(
図13)および基板載置部PASS8(
図14)に順に搬送する。現像処理室
33および下段熱処理部304における基板Wの処理内容は、上記の現像処理室
31および上段熱処理部303における基板Wの処理内容とそれぞれ同様である。
【0122】
洗浄乾燥処理ブロック14Aにおいて、搬送機構141(
図1)は、載置兼バッファ部P−BF1,P−BF2(
図14)に載置された基板Wを洗浄乾燥処理ユニットSD1(
図2)および載置兼冷却部P−CP(
図14)に順に搬送する。この場合、洗浄乾燥処理ユニットSD1において基板Wの洗浄および乾燥処理が行われた後、載置兼冷却部P−CPにおいて露光装置15(
図1)による露光処理に適した温度に基板Wが冷却される。
【0123】
搬送機構142(
図1)は、基板載置部PASS9(
図14)に載置された露光処理後の基板Wを洗浄乾燥処理ユニットSD2(
図13)および上段熱処理部303または下段熱処理部304の熱処理ユニットPHP(
図13)に順に搬送する。この場合、洗浄乾燥処理ユニットSD2において基板Wの洗浄および乾燥処理が行われた後、熱処理ユニットPHPにおいて露光後ベーク(PEB)処理が行われる。
【0124】
搬入搬出ブロック14Bにおいて、搬送機構146(
図1)は、載置兼冷却部P−CP(
図14)に載置された露光処理前の基板Wを露光装置15の基板搬入部15a(
図1)に搬送する。また、搬送機構146(
図1)は、露光装置15の基板搬出部15b(
図1)から露光処理後の基板Wを取り出し、その基板Wを基板載置部PASS9(
図14)に搬送する。
【0125】
本実施の形態においては、上段に設けられた塗布処理室21,22
,32、現像処理室
31および上段熱処理部301,303における基板Wの処理と、下段に設けられた塗布処理室23,24
,34、現像処理室3
3および下段熱処理部302,304における基板Wの処理とを並行して行うことができる。それにより、フットプリントを増加させることなく、スループットを向上させることができる。
【0126】
(7)効果
本実施の形態に係る基板処理装置100においては、回転する基板Wの外周部の位置および処理液ノズル210の位置が位置検出ユニット300により検出される。スピンチャック25に対する処理液ノズル210の相対的な位置は、位置調整部241によりスピンチャック25の回転中心を通りかつ回転する基板Wに平行な方向において調整可能である。基板Wの回転中に検出される基板Wの外周部の位置の時間変化(基板変化)の振幅ΔAが変化量取得部422により取得される。
【0127】
スピンチャック25に対する処理液ノズル210の相対的な位置が位置調整部241によりスピンチャック25の回転周波数と等しい周波数でかつ振幅ΔAで周期的に変化される。その後、ノズル変化と基板変化との位相差が位置調整部241により記憶部410に記憶されたしきい値以下にされる。位相差がしきい値以下になると、処理液ノズル210は、基板Wの外周部の位置の変化に追従するように移動する。この状態で、回転する基板Wの周縁部に処理液ノズル210から処理液が吐出される。
【0128】
この構成によれば、スピンチャック25に対する処理液ノズル210の相対的な位置の変化を基板Wの外周部の位置の変化に正確に同期させることができる。それにより、処理液ノズル210を基板Wの周縁部の所望の位置に高い精度で配置することができる。その結果、基板Wの周縁部の処理を高い精度で行うことができる。
【0129】
(8)他の実施の形態
(a)上記実施の形態においては、
図9(b)の周縁部処理幅ΔEを設定する処理で、処理液ノズル210の先端が最も外方の基板Wの外周部の位置を基準として位置決めされるが、本発明はこれに限定されない。処理液ノズル210の先端が基板Wの外周部の位置を追従し、所望の周縁部処理幅ΔEで基板Wの周縁部を処理可能である限り、処理液ノズル210の先端は、任意の時点における基板Wの外周部の位置を基準として位置決めされてもよい。
【0130】
例えば、処理液ノズル210の先端は、最も内方の基板Wの外周部の位置を基準として位置決めされてもよい。あるいは、回転する基板Wの外周部の平均の位置を基準として位置決めされてもよい。
【0131】
(b)上記実施の形態においては、周縁部処理幅ΔEを設定する処理(ステップS5)が処理液ノズル210の先端の位置を時間変化させる処理(ステップS6)より先に行われるが、本発明はこれに限定されない。周縁部処理幅ΔEを設定する処理は、処理液ノズル210からリンス液を吐出する処理(ステップS12)よりも先であれば、いずれの時点で行われてもよい。
【0132】
例えば、周縁部処理幅ΔEを設定する処理は、ノズル変化の位相を遅延させる処理(ステップS11)より後に行われてもよい。あるいは、周縁部処理幅ΔEを設定する処理は、処理液ノズル210の先端の位置を時間変化させる処理より先に行われた後、ノズル変化の位相を遅延させる処理より後に再び行われてもよい。
【0133】
(c)上記実施の形態においては、差分変化の振幅ΔBがしきい値以下になったときにノズル変化の位相が基板変化の位相と略一致したとみなされるが、本発明はこれに限定されない。差分変化の振幅ΔBが最小値になったときにノズル変化の位相が基板変化の位相と一致したとみなされてもよい。
【0134】
(d)上記実施の形態においては、差分変化の振幅ΔBに基づいてノズル変化の位相が基板変化の位相と略一致したか否かが判定されるが、本発明はこれに限定されない。ノズル変化の位相と基板変化の位相とが取得され、これらの位相が比較されることによりノズル変化の位相が基板変化の位相と略一致したか否かが判定されてもよい。
【0135】
(e)上記実施の形態においては、位置調整部241はピエゾ素子を含むが、本発明はこれに限定されない。位置調整部241は、例えばボイスモータコイルを含んでもよいし、他の種類のアクチュエータを含んでもよい。
【0136】
(f)上記実施の形態においては、処理液ノズル210の先端の位置を調整可能にノズル支持部230に位置調整部241が取り付けられる。この場合、小型の位置調整部241を用いることができる。そのため、基板処理装置100をコンパクト化することができる。また、処理液ノズル210は軽量であるため、位置調整部241を駆動するための電力を低減することができる。
【0137】
このように、位置調整部241は処理液ノズル210の先端の位置を調整可能に設けられることが好ましいが、本発明はこれに限定されない。位置調整部241は、基板Wの外周部の位置を調整可能にスピンチャック25に設けられてもよい。
【0138】
(g)上記実施の形態においては、位置検出ユニット300は基板Wの外周部の位置および処理液ノズル210の先端の位置を検出する共通の撮像装置310により構成される。この場合、基板処理装置100に複数の撮像装置310を設ける必要がない。そのため、基板処理装置100が大型化することを防止することができる。
【0139】
このように、位置検出ユニット300は基板Wの外周部の位置および処理液ノズル210の先端の位置を検出する共通の撮像装置310により構成されることが好ましいが、本発明はこれに限定されない。位置検出ユニット300は、基板Wの外周部の位置および処理液ノズル210の先端の位置をそれぞれ検出する2つの撮像装置310により構成されてもよい。この場合、基板Wの外周部と処理液ノズル210との位置関係の制約なしに処理液ノズル210の配置の自由度を向上させることができる。
【0140】
(h)上記実施の形態においては、位置検出ユニット300が撮像装置310により構成される。この場合、画像処理により振幅ΔAを容易かつ正確に取得することができる。このように、位置検出ユニット300が撮像装置310により構成されることが好ましいが、本発明はこれに限定されない。位置検出ユニット300は、撮像装置310とは異なる検出装置により構成されてもよい。検出装置は、例えば基板Wの外周部を挟んで対向するように配置される投光部および受光部を含んでもよい。
【0141】
(i)上記実施の形態においては、撮像装置310は反射ミラー312を含むが、本発明はこれに限定されない。撮像装置310は反射ミラー312を含まなくてもよい。この場合、CCDラインセンサ313は基板W上で反射された光を直接検出するように配置される。
【0142】
(j)上記実施の形態においては、基板周縁部処理として基板Wの周縁部に塗布された反射防止液、レジスト液またはレジストカバー液を除去する処理が行われるが、本発明はこれに限定されない。基板周縁部処理として基板Wの周縁部に処理液の膜を形成する処理が行われてもよい。
【0143】
例えば、基板Wの周縁部の表面が粗いために基板Wの周縁部に異物が付着しやすくなることがある。このような場合、基板Wの周縁部に処理液の膜を形成することにより、基板Wの周縁部が被覆される。これにより、基板Wの周縁部に異物が付着することを防止することができる。
【0144】
(9)請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0145】
上記の実施の形態では、基板Wが基板の例であり、基板処理装置100が基板処理装置の例であり、スピンチャック25が回転保持部の例であり、処理液ノズル210が処理液ノズルの例である。ノズル機構200がノズル機構の例であり、位置調整部241が位置調整部の例であり、位置検出ユニット300が位置検出ユニットの例であり、変化量取得部422が変化量取得部の例であり、位置制御部424が位置制御部の例である。位相制御部425が位相制御部の例であり、吐出制御部426が吐出制御部の例であり、ノズル支持部230がノズル支持部の例であり、撮像装置310が検出装置または第1および第2の検出装置の例である。
【0146】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
(9)参考形態
(9−1)第1の参考形態に係る基板処理装置は、少なくとも一部が円形の外周部を有する基板に処理を行う基板処理装置であって、基板を保持して回転させるように構成された回転保持部と、回転保持部により回転される基板の周縁部に処理液を吐出する処理液ノズルを含むノズル機構と、回転保持部の回転中心を通りかつ回転保持部により回転される基板に平行な方向において回転保持部に対する処理液ノズルの相対的な位置を調整可能に設けられた位置調整部と、回転保持部により保持された基板の外周部の位置および処理液ノズルの位置を検出するように配置された位置検出ユニットと、回転保持部による基板の回転中に位置検出ユニットにより検出される基板の外周部の位置の時間変化の振幅を第1の振幅として取得する変化量取得部と、回転保持部に対する処理液ノズルの相対的な位置が回転保持部の回転周波数と等しい周波数でかつ変化量取得部により取得された第1の振幅で周期的に変化するように位置調整部を制御する位置制御部と、位置検出ユニットにより検出される処理液ノズルの位置の時間変化の位相と位置検出ユニットにより検出される基板の外周部の位置の時間変化の位相との差が予め定められた値以下になるように位置調整部を制御する位相制御部と、位相制御部による位置調整部の制御後、処理液ノズルから処理液が吐出されるようにノズル機構を制御する吐出制御部とを備える。
この基板処理装置においては、基板が回転保持部により保持して回転される。回転保持部により保持された基板の外周部の位置および処理液ノズルの位置が位置検出ユニットにより検出される。ここで、回転保持部に対する処理液ノズルの相対的な位置は、位置調整部により回転保持部の回転中心を通りかつ回転保持部により回転される基板に平行な方向において調整可能である。回転保持部による基板の回転中に位置検出ユニットにより検出される基板の外周部の位置の時間変化の振幅が第1の振幅として取得される。
回転保持部に対する処理液ノズルの相対的な位置が位置調整部により回転保持部の回転周波数と等しい周波数でかつ第1の振幅で周期的に変化される。その後、位置検出ユニットにより検出される処理液ノズルの位置の時間変化の位相と位置検出ユニットにより検出される基板の外周部の位置の時間変化の位相との差(以下、単に位相差と呼ぶ。)が位置調整部により予め定められた値以下にされる。位相差が予め定められた値以下になると、処理液ノズルは、基板の外周部の位置の変化に追従するように移動する。この状態で、回転する基板の周縁部に処理液ノズルから処理液が吐出される。
この構成によれば、回転保持部に対する処理液ノズルの相対的な位置の変化を基板の外周部の位置の変化に正確に同期させることができる。それにより、処理液ノズルを基板の周縁部の所望の位置に高い精度で配置することができる。その結果、基板の周縁部の処理を高い精度で行うことができる。
(9−2)変化量取得部は、回転保持部による基板の回転中に位置検出ユニットにより検出される基板の外周部の位置と位置検出ユニットにより検出される処理液ノズルの位置との差分の時間変化の振幅を第2の振幅として取得し、位相制御部は、変化量取得部により取得される第2の振幅が予め定められたしきい値以下になるように位置調整部を制御してもよい。
この場合、位相差が小さくなるほど第2の振幅は小さくなるので、第2の振幅を用いて位相差が予め定められた値以下であるか否かを容易かつ高速に判定することができる。これにより、基板の周縁部の処理を効率よく行うことができる。
(9−3)しきい値は50μmであってもよい。この場合、基板の周縁部の処理を十分に高い精度で行うことができる。
(9−4)位相制御部は、変化量取得部により取得される第2の振幅が最小になるように位置調整部を制御してもよい。この場合、基板の周縁部の処理をより十分に高い精度で行うことができる。
(9−5)位置調整部の位置調整の分解能は50μm以下であってもよい。この場合、処理液ノズルを高い精度で移動させることができる。そのため、基板の周縁部の処理を高い精度で行うことが容易になる。
(9−6)位置調整部は、ピエゾ素子またはボイスモータコイルを含んでもよい。この場合、処理液ノズルを高い精度でかつ高い応答性で移動させることができる。そのため、基板の周縁部の処理を高い精度で行うことがより容易になる。
(9−7)ノズル機構は、処理液ノズルを支持するノズル支持部を含み、位置調整部は、ノズル支持部に設けられてもよい。この場合、ノズル支持部に大型の位置調整部を用いる必要がない。そのため、基板処理装置をコンパクト化することができる。また、処理液ノズルは軽量であるため、位置調整部を駆動するためのエネルギーを低減することができる。
(9−8)位置検出ユニットは、基板の外周部の位置および処理液ノズルの位置を検出する共通の検出装置を含んでもよい。この場合、基板処理装置に複数の検出装置を設ける必要がない。そのため、基板処理装置が大型化することを防止することができる。
(9−9)位置検出ユニットは、基板の外周部の位置を検出する第1の検出装置と、処理液ノズルの位置を検出する第2の検出装置とを含んでもよい。この場合、基板の外周部の位置および処理液ノズルの位置が別個の検出装置により検出される。そのため、基板の外周部と処理液ノズルとの位置関係の制約なしに処理液ノズルの配置の自由度を向上させることができる。
(9−10)位置検出ユニットは、基板の外周部および処理液ノズルの画像を示す画像データを生成し、生成した画像データに基づいて基板の外周部の位置および処理液ノズルの位置を検出し、変化量取得部は、位置検出ユニットにより生成された画像データを処理することにより第1の振幅を取得してもよい。この場合、画像処理を用いて第1の振幅を容易かつ正確に取得することができる。
(9−11)処理液ノズルは、基板の周縁部に塗布された液を除去する除去液を処理液として吐出してもよい。この場合、基板処理装置は基板の周縁部に塗布された液を除去する基板処理を行うことができる。
(9−12)処理液ノズルは、基板の周縁部に処理膜を形成するための処理液を吐出してもよい。この場合、基板処理装置は基板の周縁部に処理膜を形成する基板処理を行うことができる。
(9−13)第2の参考形態に係る基板処理方法は、少なくとも一部が円形の外周部を有する基板に処理を行う基板処理方法であって、基板を回転保持部により保持して回転させるステップと、回転保持部により保持された基板の外周部の位置および処理液ノズルの位置を位置検出ユニットにより検出するステップと、回転保持部による基板の回転中に位置検出ユニットにより検出される基板の外周部の位置の時間変化の振幅を第1の振幅として取得するステップと、回転保持部の回転中心を通りかつ回転保持部により回転される基板に平行な方向において、回転保持部に対する処理液ノズルの相対的な位置を位置調整部により回転保持部の回転周波数と等しい周波数でかつ第1の振幅で周期的に変化させるステップと、位置検出ユニットにより検出される処理液ノズルの位置の時間変化の位相と位置検出ユニットにより検出される基板の外周部の位置の時間変化の位相との差を位置調整部により予め定められた値以下にするステップと、位相の差が予め定められた値以下になった後、回転する基板の周縁部に処理液ノズルから処理液を吐出するステップとを含む。
この基板処理方法によれば、基板が回転保持部により保持して回転される。回転保持部により保持された基板の外周部の位置および処理液ノズルの位置が位置検出ユニットにより検出される。ここで、回転保持部に対する処理液ノズルの相対的な位置は、位置調整部により回転保持部の回転中心を通りかつ回転保持部により回転される基板に平行な方向において調整可能である。回転保持部による基板の回転中に位置検出ユニットにより検出される基板の外周部の位置の時間変化の振幅が第1の振幅として取得される。
回転保持部に対する処理液ノズルの相対的な位置が位置調整部により回転保持部の回転周波数と等しい周波数でかつ第1の振幅で周期的に変化される。その後、位置検出ユニットにより検出される処理液ノズルの位置の時間変化の位相と位置検出ユニットにより検出される基板の外周部の位置の時間変化の位相との差が位置調整部により予め定められた値以下にされる。位相差が予め定められた値以下になると、処理液ノズルは、基板の外周部の位置の変化に追従するように移動する。この状態で、回転する基板の周縁部に処理液ノズルから処理液が吐出される。
この方法によれば、回転保持部に対する処理液ノズルの相対的な位置の変化を基板の外周部の位置の変化に正確に同期させることができる。それにより、処理液ノズルを基板の周縁部の所望の位置に高い精度で配置することができる。その結果、基板の周縁部の処理を高い精度で行うことができる。