(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6475100
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】インクジェットプリンター
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20190218BHJP
B41J 2/165 20060101ALI20190218BHJP
【FI】
B41J2/01 303
B41J2/01 401
B41J2/01 451
B41J2/01 307
B41J2/165 303
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-122242(P2015-122242)
(22)【出願日】2015年6月17日
(65)【公開番号】特開2017-7120(P2017-7120A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2017年8月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】591044164
【氏名又は名称】株式会社沖データ
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 孝紀
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 登志一
【審査官】
村田 顕一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2017−001365(JP,A)
【文献】
特開2012−091133(JP,A)
【文献】
特開2006−036424(JP,A)
【文献】
特開2006−305864(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0222446(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0116408(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01−2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズルが配置され、前記ノズルから記録媒体に向かってインクを吐出する記録ヘッドと、
前記記録媒体を支持するプラテンと、
前記記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記記録ヘッドを搭載し、前記記録媒体の搬送方向に対して直交する走査方向に移動するキャリッジと、
記録媒体検出センサーと、
前記記録媒体検出センサーの検出結果に基づいて、前記キャリッジ、前記記録ヘッド、前記搬送手段の動作を制御する制御手段と、を有し、前記プラテンに支持された前記記録媒体に画像を記録するインクジェットプリンターにおいて、
前記キャリッジの移動方向の側面であって前記プラテンから接離方向の所定の距離に配置され、前記記録媒体の接触により撓む可撓性の検出板を有するとともに、
前記記録媒体検出センサーは、前記検出板に固定され、前記キャリッジが記録エリアを移動中に検出板が記録媒体に接触したときに、検出板の撓みに応じて信号を出力する検知センサーから成り、
前記検出板は、前記プラテンと対向する側にスリットが設けられ、前記検出板の前記プラテンと対向する側のエッジが複数の部分に分割され、該分割された部分毎に前記検知センサーが配置されていることを特徴とするインクジェットプリンター。
【請求項2】
前記分割された前記部分毎に配置された前記検知センサーの何れか一つが前記検出板と前記記録媒体が接触したことを検出することで、前記制御手段を制御して前記キャリッジを停止させることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンター。
【請求項3】
前記分割された前記部分は前記記録媒体の搬送方向の上流側が下流側より前記搬送方向の幅が広いことを特徴とする請求項2に記載のインクジェットプリンター。
【請求項4】
前記検出板に当接させて配設され、前記検知センサーのテストをする検出突起と、
前記キャリッジまたは前記検出突起を接離方向に相対的に移動する接離手段と、
を有することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載のインクジェットプリンター。
【請求項5】
複数のノズルが配置され、前記ノズルから記録媒体に向かってインクを吐出する記録ヘッドと、
前記記録媒体を支持するプラテンと、
前記記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記記録ヘッドを搭載し、前記記録媒体の搬送方向に対して直交する走査方向に移動するキャリッジと、
記録媒体検出センサーと、
前記記録媒体検出センサーの検出結果に基づいて、前記キャリッジ、前記記録ヘッド、前記搬送手段の動作を制御する制御手段と、を有し、前記プラテンに支持された前記記録媒体に画像を記録するインクジェットプリンターにおいて、
前記キャリッジの移動方向の側面であって前記プラテンから接離方向の所定の距離に配置され、前記記録媒体の接触により撓む可撓性の検出板を有するとともに、
前記記録媒体検出センサーは、前記検出板に固定され、前記キャリッジが記録エリアを移動中に検出板が記録媒体に接触したときに、検出板の撓みに応じて信号を出力する検知センサーから成り、
前記記録エリア外に、前記検出板に当接させて前記検知センサーのテストをするための検出突起が配設され、
前記キャリッジまたは前記検出突起は接離手段によって接離方向に相対的に移動させられることを特徴とするインクジェットプリンター。
【請求項6】
前記プラテンの側方に配置され、前記記録ヘッドの前記ノズルの配置された面をワイパーによってワイプするワイプユニットと、
前記ワイプユニットの前記ワイパーの配置された部分の外側であって、前記キャリッジに対向する位置に、前記検出板と当接させる前記検出突起を有し、
前記接離手段によって前記キャリッジと前記ワイプユニットを近づけ、前記キャリッジを前記走査方向に移動させて、前記検出板を前記検出突起に当接させることで、前記検知センサーの動作をテストすることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のインクジェットプリンター。
【請求項7】
前記接離手段は、前記キャリッジを上下に移動するキャリッジ上下機構であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のインクジェットプリンター。
【請求項8】
前記接離手段は、前記ワイプユニットを前記キャリッジに対して接離方向に移動させるワイプユニット昇降手段であることを特徴とする請求項6に記載のインクジェットプリンター。
【請求項9】
前記プラテンと前記検出板の前記プラテン側までの接離方向の距離が前記プラテンと前記記録ヘッドの前記プラテン側までの接離方向の距離と同じか短いことを特徴とする請求項1から請求項8の何れか1項に記載のインクジェットプリンター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に画像を記録するインクジェットプリンターに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット式の記録ヘッドから記録媒体にインクを吐出し、画像を記録するインクジェット式のプリンターが普及している。インクカートリッジに蓄えられたインクが、記録ヘッドに供給され、記録ヘッドのノズルからインクを吐出する。このような方式のプリンターは、A4やA3サイズの用紙に記録する家庭などで利用される小型のものだけでなく、1メートル幅を超えるような幅広の記録媒体への印刷が可能な大型のものまで幅広く利用されている。
【0003】
また、記録に使うインクは、様々なものがある。例えば、染料を水などの溶剤に溶解させたインクや、顔料を有機溶剤に分散させた溶剤インクや、紫外線で硬化する紫外線硬化型インクや、熱によって硬化する熱硬化型インクなどがある。
【0004】
また、インクジェット式のプリンターでは、記録媒体の幅方向、すなわち主走査方向に往復移動するキャリッジに記録ヘッドが搭載され、往路と復路とで記録媒体にインクを吐出し、画像を記録している。記録媒体は、キャリッジの移動方向に直行した方向、すなわち副走査方向に搬送される。記録ヘッドを複数等分、例えば4等分にブロックに分け、その幅に応じて記録媒体を搬送し、主走査方向にキャリッジを移動させながらインクを吐出し、同じエリアを異なるブロックにより、複数回の走査で記録するマルチパス方式などの方式で記録するものもある。キャリッジの位置はキャリッジの移動方向に沿って設けられたリニアスケールをキャリッジに搭載したセンサーによって読取り、キャリッジの位置を取得する。一般にリニアエンコーダーと呼ばれる装置を用いている。また、記録ヘッドのノズル列の長さ以上の幅の平板プラテンに記録媒体を吸着させて、記録媒体を平坦に保ち、そこへインクを吐出することで、画像を記録する。平坦に保つことで画質の乱れを抑制している。リニアエンコーダーで測定されたキャリッジの位置に基づき、平坦に保たれた記録媒体に対して、インクを吐出することで、安定した条件で画像を記録することができ、高画質の記録が可能となっている。
【0005】
しかし、プラテンに支持された記録媒体に皺が生じる場合があり、その皺によりインクが流れたり乾燥に差が出てしまい記録された画像の品質が悪くなったり、記録ヘッドが衝突した場合に破損したり、またはジャムの原因となっていた。
【0006】
そこで、例えば、特開2012−228778号公報に記載の技術は、記録媒体の搬送方向に対して直行する主走査方向に移動するインクヘッドに、回動可能に固定された回動手段と、その回動手段の回動を検出する検知手段を備えている。回動手段が記録媒体と接触した場合に、回動手段の回動を検知手段で検知することで、インクヘッドと記録媒体の距離が近づいたことを検出できる。検知手段で回動を検知した場合にインクヘッドの移動を停止させることで、インクヘッドの損傷などを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012−228778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし従来の装置は、回動手段の回動を検知することで、記録媒体との距離がある一定以下となったことを検知し、停止等の処理を行っていた。
しかし、回動手段は、インクヘッドの近傍に固定されているので、回動する部分にインクが飛び散り付着したり、インクのミスト等が付着したりすることがある。インクが付着した場合に、回動するためにより大きい力が必要となることや、最悪の場合にインクが固化して回動手段が動かなくなってしまう恐れがあった。このような場合に、誤検出や、検出不能になる恐れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明のインクジェットプリンターは、複数のノズルが配置され、前記ノズルから記録媒体に向かってインクを吐出する記録ヘッドと、前記記録媒体を支持するプラテンと、前記記録媒体を搬送する搬送手段と、前記記録ヘッドを搭載し、前記記録媒体の搬送方向に対して直交する走査方向に移動するキャリッジと、記録媒体検出センサーと、前記記録媒体検出センサーの検出結果に基づいて、前記キャリッジ、前記記録ヘッド、前記搬送手段の動作を制御する制御手段と、を有し、前記プラテンに支持された前記記録媒体に画像を記録するようになっている。
そして、前記キャリッジの移動方向の側面であって前記プラテンから接離方向の所定の距離に配置され、前記記録媒体の接触により撓む可撓性の検出板を有する。
また、前記記録媒体検出センサーは、前記検出板に固定され、前記キャリッジが記録エリアを移動中に検出板が記録媒体に接触したときに、検出板の撓みに応じて信号を出力する検知センサーから成る。
そして、前記検出板は、前記プラテンと対向する側にスリットが設けられ、前記検出板の前記プラテンと対向する側のエッジが複数の部分に分割され、該分割された部分毎に前記検知センサーが配置されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、記録媒体が、記録ヘッドを搭載したキャリッジに対して近づき過ぎる場合に、キャリッジの動作を変え、記録ヘッドの損傷を防止し、またジャムの防止をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、キャリッジの側面方向からの図である。
【
図3】
図3は、記録ヘッドのメンテナンスユニットの例を説明する図である。
【
図4】
図4は、センサーのテスト機構を説明する図である。
【
図5】
図5は、プリンターの全体の概要を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施形態を、以下に図面を用いて説明する。
図1はキャリッジの側面方向からの図である。キャリッジ1は、プラテン15に沿って配置されたレールに移動可能に固定されている。この図では、レールは図示していないが、キャリッジ1は紙面の奥行き方向に移動する。また、レールはインクジェットプリンターの長手方向に沿って配置され、キャリッジ1はレールに沿って移動できる。検出板3は、キャリッジ1の側面に固定されている。ここでは片側だけ説明するが、両側に設けられている。この検出板3が、記録媒体に当接すると、撓みや歪みが生じ、この変形を検出板3に固定されている検知センサーである第1センサー9、第2センサー10、第3センサー11が検出する。例えばが、これらのセンサーは、圧電素子を備え、変形することで発電し、信号を出力する。プラテン15の上を搬送する記録媒体の搬送方向の下流側にはペーパーガイド16がある。
【0013】
キャリッジ1には、キャリッジ1をレールに対して、プラテン15方向に上下させる上下機構2が備えられている。ここでは、プラテン15に近づく方向を下方向、遠ざかる方向を上方向として説明する。上下機構2により、キャリッジ1とプラテン15あるいはプラテン15の上に支持された記録媒体までの上下方向の距離が変更できる。また、プラテン15までの距離を計測するために、距離センサー12が備えられている。この距離センサー12を基準位置から上下させてその移動した長さを計測し、キャリッジ1とプラテン15、あるいは記録媒体までの距離を取得することができる。例えば、第1基準として、検出板3のプラテン15に対向する側のエッジ13の位置とする。検出板3は、記録媒体の皺や撚れで生じる凹凸の有無を検出するために備えられている。このエッジ13からプラテン15あるいは歪みが無い状態の記録媒体までの上下方向の距離を最初に計測しておく。キャリッジ1を走査し、検出板3の出力を取得する。また、基準位置からプラテン15までの距離と記録媒体までの距離の差から、記録媒体の厚みが取得できる。
【0014】
検出板3が記録媒体に当接した場合に、検出板3から信号が出力される。この場合は、記録媒体の突出した部分があることが分る。検出板3から信号が出力されなければ、検出板3には記録媒体が当接していない。この場合は、当初計測した記録媒体までの上下方向の距離よりも小さい凹凸しかないことが分る。
【0015】
また、キャリッジ1の高さは、画質にも影響する。記録ヘッドのノズル面と記録媒体までの距離が遠すぎても近すぎても良くなく、好適な距離にしておく必要がある。第1基準に合わせて、キャリッジ1を上下させ、好適な距離に設定する必要がある。さらに、ノズル面が記録媒体に当接しないように、エッジ13とノズル面とがプラテン15から上下方向の距離を同じにしておくことが好ましい。ノズル面がエッジ13より突出している状態はあまり好ましくない。
【0016】
ガード14は、ジャムが生じたときに、キャリッジ1を守るための補強した部分である。検出板3によって、検出できない部分を強化している。検出板3は、少なくとも記録ヘッドに対応する幅、好ましくはプラテン15に対応する幅が必要である。また配線18は、第1センサー9、第2センサー10、第3センサー11と制御手段を接続する電気配線である。キャリッジ1の内部に配線が入り、制御手段に接続される。
キャリッジ1のプラテン15に対向する側に記録ヘッドおよびノズル面が備えられている。図では、検出板3の陰になっているので図示はしていない。
【0017】
第1スリット4、第2スリット5により、検出板3のエッジ13側が第1板片6、第2板片7、第3板片8の3つに分かれている。第1板片6には第1センサー9が、第2板片7には第2センサー10が、第3板片8には第3センサー11が夫々配置されている。夫々の板片が歪むと夫々のセンサーが反応する。検出板3を分けるスリットの端部付近に固定板17があり、検出板3及びセンサーをキャリッジ1に固定している。これにより、板片ごとに検出が可能となる。また、各板片の幅を同一にしても良いが、好ましくは、各板片の幅を異なる幅とする。例えば、記録媒体の搬送方向下流側の板片の幅を小さく、上流側を広くする。このようにすることで、凹凸の発生する頻度が場所により変わるので、場所による頻度に応じて板片の幅を変えることが好ましい。記録媒体の搬送方向の上流側は、搬送ローラーが近いので、ジャムの原因となる凹凸が発生し難い。
【0018】
検出板3はインクに耐性があり、加工性、耐久性の高いPET樹脂が好ましい。また、検出板3に第1センサー9、第2センサー10、第3センサー11を固定する場合に、交換を考えた場合は、検出板3に凹部を作り、そこへ各センサーを挿入することが考えられる。また検出板3に第1センサー9、第2センサー10、第3センサー11を接着することもできる。
【0019】
ここでは、3つのセンサーの例を説明したが、検出板3に対して一つのセンサーを配置することも可能である。複数、例えば3つのセンサーを用いることで、どれか一つでも反応すれば、キャリッジ1を停止させるなどの制御をすることができる。検出板3に対して、センサーを配置する位置によっては、タイムラグが発生することが考えられ、反応を早めるために複数配置している。
【0020】
図2は、プリンターのブロック図である。制御手段20は、演算、制御、判別、設定などの処理動作を実行するCPUを備える制御手段である。制御手段20はROM29に格納されている制御プログラムに従って動作する。RAM19は、記録データのバッファや制御手段20による処理のワークエリア等として用いられる。キャリッジ移動モーター駆動回路26は制御手段20の制御によって動作し、キャリッジ1を移動させるモーターを駆動する。キャリッジ位置検出センサー27は、キャリッジ1の位置を検出するセンサーである。キャリッジ1が移動可能に固定されているレールに沿って配置されたリニアスケールの目盛をリニアセンサーで検出する。このセンサー出力に基づいてキャリッジ1の位置を演算して取得できる。この位置に基づいて、キャリッジ1を移動制御できる。
【0021】
ヘッド駆動回路28は制御手段20によって制御される。ヘッド駆動回路28を介して、記録ヘッドを動作させる。記録ヘッドが複数搭載されている場合、制御部20及びヘッド駆動回路28は、各々の記録ヘッドを個別に駆動させることができる。ヘッド駆動回路28は制御手段20から入力された情報に基づいて、各記録ヘッドのインク吐出もしくは不吐出のタイミングを生成し、記録ヘッドを駆動させる。このタイミングはキャリッジ位置検出センサー27によって取得したキャリッジ1の位置に基づいて演算される。インク吐出をさせる場合は、オン波形を生成し、不吐出させる場合には、オフ波形を生成し、各記録ヘッドへ転送する。吐出のタイミングはキャリッジ1の位置に応じて決められる。
【0022】
記録媒体搬送手段21は、制御手段20の制御によって動作する。記録媒体搬送手段21は、搬送ローラー、搬送ローラーを駆動するモーターを含む。搬送ローラーを動作させて記録媒体を搬送する。
【0023】
ワイプユニット昇降手段25は制御手段20の制御によって動作する。後述するワイプユニット30を記録ヘッドに近づける方向と遠ざける方向に移動させることができる。例えば、カムの回転により上下させ、このカムを駆動するモーターを制御する。
【0024】
記録媒体検出センサー22は、第1センサー9、第2センサー10、第3センサー11を含む検出板3に固定され、歪みに応じて信号を出力するセンサーである。記録媒体検出センサー22は制御手段20の制御によって動作する。記録媒体検出センサー22はキャリッジ1に固定されているので、キャリッジ1の移動範囲の記録媒体の凹凸を検出できる。
【0025】
距離センサー12は、キャリッジ1に固定され、伸縮する端子の先端にプラテン15が当接するまでの移動距離を測定できる。これにより、基準位置から対象物までの距離を測定できる。距離センサー12は制御手段20の制御によって動作する。
【0026】
操作パネル23は、制御手段20の制御によって動作する。操作パネル23はLCDパネルを備え、様々な表示を行うことができ、またキーボードを備え、入力することができる。
【0027】
キャリッジ昇降手段24は、キャリッジ1をプラテン15に対して接離方向に移動させることができる。キャリッジ昇降手段24は制御手段20の制御によって動作する。制御手段20は、距離センサー12によって取得した対象物までの距離に基づいて、キャリッジ昇降手段24を制御し、キャリッジ1を昇降させ、キャリッジ1とプラテン15の間隔を好適な間隔にすることができる。このキャリッジ昇降手段24を用いることで、記録媒体検出センサー22をテストする場合に、記録媒体検出センサー22に当接させる突起に当接可能な高さにキャリッジ1を移動させることができる。
制御手段20の制御によってインクジェットプリンターの各機能が制御される。
【0028】
図3は、記録ヘッドのメンテナンスユニットの例を説明する図である。記録ヘッドのノズル面は、インクミストなどによって汚れる。ノズル面の汚れにより、ノズルが詰まり、不吐出、飛翔曲りなどの不具合が生じる。また、ノズル近傍のインクが増粘し、インクが吐出されずに染み出てしまうと、同様に不具合を生じる。そこで、定期的にノズル面をワイパー35によってワイプし、ノズル面を清掃する必要がある。ワイプユニット30は記録ヘッドのノズル面を清掃するワイパー35が備えられたユニットである。ワイパー35は、記録ヘッド毎に配置されている。ワイパー35は、ベルトに固定され、ベルトを回転させることで、移動し、ノズル面をワイプする。ワイパー35の下方には、ワイパー35の汚れを落とすクリーニング液の入った槽が配置されている。ワイパー35が、ベルトの回転に伴い移動し、このクリーニング液で汚れを落とし、ノズル面との当接時には汚れのない状態とすることができる。
【0029】
ワイプユニット30は、ワイプユニット昇降手段25によって、昇降する。ワイプユニット30はプラテン15の側方の記録エリアではない位置に配置されている。ワイプユニット30は、通常は、記録ヘッドのワイパー35が当接することはない位置に降下させてある。ワイプをするときは、キャリッジ1がワイプユニット30の上方に移動する。次にワイプユニット昇降手段25を制御してワイプユニット30をキャリッジ1方向に移動させる。次にベルトを回転させ、ワイパー35によってノズル面をワイプする。ワイプが終了したら、ベルトの回転を停止し、ワイプユニット30を下げる。
【0030】
ワイプユニット30には、ワイパー35の他に、検出突起31が備えられている。検出突起31はワイプユニット30のキャリッジ1の移動方向の側壁の先端に備えられている。検出突起31は、検出板3を当接させることで、検出板3の動作テストをすることができる。ワイプユニット30は上下に昇降できるので、検出突起31の高さ方向の位置を変えることができる。さまざまな位置でのテストが可能となる。また、検出突起31は第1突起32、第2突起33、第3突起34に分かれている。これは、第1突起32は第1板片6に備わる第1センサー9を、第2突起33は第2板片7に備わる第2センサー10を、第3突起34は第3板片8に備わる第3センサー11をテストできるように分けてある。また、検出突起31の先端を、センサーに対応して分けた場合を例にしたが、検出突起31の先端を分けない方法も考えられる。
【0031】
検出突起31はワイパー35の配置されている部分を挟み両側に配置されているが、検出板3と検出突起31を高さ方向に相対的に近づけることが可能ならば、1方側だけの配置でも良く、テストは可能である。
【0032】
また、第1突起32、第2突起33、第3突起34はキャリッジ1の移動方向に夫々が異なる位置に配置され、キャリッジ1の移動に伴い、対応するセンサーを個別にテストできるようになっている。
【0033】
ここでは、検出突起31と検出板3を相対的に接離させる接離手段などについて、ワイプユニット30に検出突起31を備えた場合を例にして説明した。別の例として、キャリッジ1の移動範囲の両端側に検出突起31を配置する。テスト時だけ、検出突起31に当接する位置まで移動し、非テスト時は検出突起31に当接する位置まで移動しないように制御する方法がある。この場合に、検出突起31に昇降機能が付かないことが考えられるが、少なくともセンサーが動作するか否かについてはテストが可能である。また、別の例として、ワイプユニット30の検出突起31の先端がプラテン15の記録媒体を支持する面と同一の高さになるように配置をする。このようにすることで、キャリッジ1が移動する場合に、検出突起31と検出板3あるいは記録ヘッドは当接しない。そして、テストする場合に、検出突起31に検出板3が当接する高さにキャリッジ1を、キャリッジ昇降手段24を用いて下げる。そして、キャリッジ1をレールに沿って移動させ、当接させて記録媒体検出センサー22によって検出できるかをテストする。キャリッジ昇降手段24を用いることで、ワイプユニット30の昇降を不要とすることができる。
【0034】
図4は、センサーのテスト機構を説明する図である。ワイプユニット30は、カム37を回転させることで、昇降できる。カム軸38はカム37の回転軸である。回転軸をモーターなどで駆動することで、昇降できる。このとき、回転角を制御する事で、検出板3と検出突起31の上下方向すなわち高さ方向の位置を所望の位置に停止させることができる。キャリッジ1に搭載されている記録ヘッド36と検出板3とは離れて配置してある。このため、キャリッジ1の正確な位置に基づいて移動させることで、記録ヘッド36と検出突起31が衝突しないように移動制御し、テストができる。キャリッジ1の両側に配置されている検出板3を片側毎にテストする。6カ所ある検出突起に、異なるタイミングで、検出板3が当接することが、正確なテストができ好ましい。
【0035】
また、ここではワイプユニット30の昇降させる方法を説明したが、ワイプユニット30とキャリッジ1を相対的に接離方向に移動させることで検出突起31と検出板3が当接可能な位置にすればよい。例えば、ワイプユニット30の位置は固定し、キャリッジ昇降手段24を用いてキャリッジ1をワイプユニット30の方向へ移動させても同様にテストが可能となる。また、検出突起31を昇降させることが可能な位置に配置するか、キャリッジ1を降下させることのできる下方空間が確保された場所に配置することができる。プラテン15の部分は記録媒体を搬送するために平坦性を保つ必要があるので、好ましくは、プラテン15を含まない、すなわち記録エリア以外の場所に検出突起31を設ける。
【0036】
図5は、プリンターの全体の概要を説明する図である。インクジェットプリンター100は、キャリッジ1をプラテン15の上空を往復移動しながら、プラテン15に吸着させた記録媒体にインクを吐出し画像を記録する。プラテン15は平板であり、その板に細孔が開けられ、裏側に吸引室が配置され、空気を引き込み、その力で記録媒体を支持する。プラテン15の記録媒体の搬送方向には、ペーパーガイド16が配置され、排出された記録媒体を加熱し、インク定着を促進させる。また、ペーパーガイド16に対向した位置に上空ヒーター101が備わり、記録媒体を加熱し、更にインクの定着を促進する。
【0037】
プラテン15の側方には、キャリッジ1に搭載された記録ヘッドの清掃をするワイプユニット30が備えられている。キャリッジ1をワイプユニット30の位置に移動し、ワイプユニット30をキャリッジ1の方向に移動させる。ワイプユニット30の目標の位置に停止できるように昇降制御がされる。備えられたワイパー35が記録ヘッドのノズル面に当接する位置に、ワイプユニット30が上方に移動する。ワイパー35を移動させることで、ノズル面をワイプし、清掃することができる。また、このワイプユニット30に備えられた検出突起31によって、検出センサーの状態を検査し、操作パネル23にその結果を表示することができる。
【0038】
プラテン15、ペーパーガイド16に支持され、記録媒体が搬送される。この記録媒体の歪みや曲りなどで生じた凹凸を検出し、キャリッジ1に搭載された記録ヘッドが当接しないように停止、移動の制御ができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、インクジェットプリンターに適用できる。
【符号の説明】
【0040】
1 キャリッジ
2 上下機構
3 検出板
4 第1スリット
5 第2スリット
12 距離センサー
13 エッジ
15 プラテン
16 ペーパーガイド
22 記録媒体検出センサー
30 ワイプユニット
31 検出突起
35 ワイパー
100 インクジェットプリンター