(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
工場や倉庫、体育館などの屋根には、鋼板を樋状(断面略U型)に折曲させた長尺の折板屋根材が広く使用されており、この折板屋根材を屋根の骨組み(梁部材上のタイトフレーム)上に順次左右に並設することで屋根を被覆している。
【0003】
ところで、この種の折板屋根材は、屋根の骨組み(梁部材上のタイトフレーム)上に搬入させるのに、送り出し機で1体(1本)ずつ軒下側から棟側に向けて押し出すことで行われるが、そのとき折板屋根材をスムーズに移動(搬入)させるための搬入補助具を使用して行っている。
【0004】
この種の一般的な搬入補助具としては、支持脚の上部に取付台を設け、該取付台の上面部に案内ローラ(回転ローラ)を設けたものが使用されている。そして、この搬入補助具は、折板屋根材の搬入位置において搬入方向に所定間隔(例えば6〜8m間隔)をもって複数個を一列状態で配置するが、該各搬入補助具はそれぞれ不動姿勢で固定しておく必要がある。
【0005】
ところで、従来では、上記搬入補助具を固定するのに、屋根の骨組みの直下位置に足場台を設置して該足場台上に支持脚を立設したり、あるいは足場台を設けない場合は支持脚を屋根の骨組みに番線で縛り付ける、などの方法で行っていたが、いずれの固定方法を採用しても、搬入補助具の設置作業が非常に面倒で且つ該搬入補助具の設置状態での安定性に不安が残るものであった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本願発明は、折板屋根材を用いる屋根構造に必須の部材として用いられるタイトフレームを利用して、簡単に且つ安定姿勢で設置できるようにした折板屋根材の搬入補助具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。尚、本願発明は、折板屋根材を屋根の骨組み上に搬入するための搬入補助具を対象としたものである。又、本願の発明の名称は「折板屋根材の搬入補助具」であるが、以下の説明では、これを単に「搬入補助具」ということがある。
【0008】
[本願請求項1の発明]
本願請求項1の発明の搬入補助具は、添付の図面に例示するように、次の構成を有している。尚、この搬入補助具に取付対象となるタイトフレーム7は、使用する折板屋根材8の折曲形状に対応した凹部71の両側にそれぞれ凸部(山部)72,72を連続させた形状である。
【0009】
そして、本願請求項1の搬入補助具は、所定面積の基台1を有し、該基台1の上面部に折板屋根材8を長手方向に案内する案内ローラ2を設けている一方、上記基台1の下面に屋根の梁部材6上に固定されたタイトフレーム7を前後から挟持し得る前後一対の挟持板3,3を取付けている。
【0010】
又、上記各挟持板3,3は、それらの一側縁3aを基台1の下面にヒンジ31で枢支して、基台1の下面に沿って格納される水平姿勢とタイトフレーム7を前後から挟持し得る垂下姿勢との間で揺動自在に取付けている。そして、両挟持板3,3を上記垂下姿勢とした状態では、該各挟持板3,3の対向面がそれぞれタイトフレーム7の前後各面に接触し得るようになっている。
【0011】
さらに、この搬入補助具には、両挟持板3,3でタイトフレーム7を挟持した状態で、該両挟持板3,3を開放不能にロックするロック手段4を有している。このロック手段4としては、両挟持板3,3を開放不能にロックし得るものであれば適宜のものでよく、例えば両挟持板3,3をビスで固定するようにしてもよい。
【0012】
本願請求項1の搬入補助具は、折板屋根材8を搬入すべき屋根の骨組み上に、該折板屋根材8の搬入方向(前後方向)に所定間隔(例えば6〜8m間隔)をもって複数個設置するが、その各設置箇所への取付作業は、次のように行う。即ち、基台1下面の両挟持板3,3が梁部材6上のタイトフレーム7を前後に跨ぐ状態で基台1をタイトフレーム7上に載せ、各挟持板3,3をそれぞれ垂下姿勢にして該両挟持板3,3でタイトフレーム7を前後から挟み、その状態で両挟持板3,3をロック手段4で開放不能にロックすることで、この搬入補助具の取付作業は完了する。尚、各搬入補助具は、同様に、前後に所定間隔をもって必要個数だけ一列に並ぶように取付けられる。
【0013】
そして、折板屋根材8を屋根の骨組み上に搬入するには、送り出し機10から送り出される折板屋根材8の先端側を最手前位置に設置している搬入補助具の基台上面(案内ローラ2)に載せて押し込んでいくと、該折板屋根材8の先端側が2番目以降の各搬入補助具の基台上面(案内ローラ2)に順次乗り移っていき、該折板屋根材8の全長さが最終位置まで搬入された後、その折板屋根材8を各搬入補助具上からその近傍の各タイトフレーム7上に載せ変える。尚、折板屋根材8を各搬入補助具上からタイトフレーム7上に載せ変えるには、専用の載せ変え機を使用したり、あるいは複数の作業員の人力でも行える。
【0014】
[本願請求項2の発明]
本願請求項2の発明は、上記請求項1の搬入補助具において、各挟持板3,3を基台1の下面に沿って格納した状態で、各挟持板3,3を基台1の下面に磁石32で磁気吸着させるようにしていることを特徴としている。
【0015】
この請求項2の搬入補助具では、各挟持板3,3を基台1の下面に沿って格納させた状態で磁石32により磁気吸着させておくと、この搬入補助具の持ち運び時や保管時等に基台下面に各挟持板3,3が垂下しない。
【0016】
[本願請求項3の発明]
本願請求項3の発明は、上記請求項2の搬入補助具において、基台1の下面側における左右各側縁付近に、予めタイトフレーム7上に設置された折板屋根材8の左右側縁の各突起部82,82に係止させる係止部14,14をそれぞれ設けていることを特徴としている。
【0017】
この請求項3の搬入補助具では、使用形態として、上記請求項1のように屋根の骨組み(タイトフレーム)上にセットする場合のほかに、予め屋根の骨組み(タイトフレーム)上に設置された既設の折板屋根材8の上に載せてセットすることができる。即ち、この請求項3の搬入補助具では、予め屋根の骨組み上に設置された折板屋根材8の左右各突起部82,82に、本願の搬入補助具の左右各係止部14,14をそれぞれ上方から嵌合させることで、この搬入補助具を折板屋根材8上に静止状態でセットできる。そして、同様に複数個の搬入補助具を単一の折板屋根材8の長さ方向に所定間隔(例えば6〜8m間隔)をもって配置することで、各搬入補助具を既設の折板屋根材8上に一列状態でセットできる。
【0018】
この請求項3の搬入補助具を用いた使用形態でも、請求項1の場合と同様に、送り出し機から送り出される折板屋根材8の先端側を最手前位置に設置している搬入補助具の基台上面(案内ローラ2)に載せて押し込んでいくと、該折板屋根材8の先端側が2番目以降の搬入補助具の基台上面(案内ローラ2)に順次乗り移っていき、その新設(上側)の折板屋根材8の全長さが既設(下側)の折板屋根材8上の最終位置まで搬入された後、その新設(上側)の折板屋根材8をその近傍の各タイトフレーム7上に載せ変える。
【発明の効果】
【0019】
[本願請求項1の発明の効果]
本願請求項1の発明の搬入補助具は、上面部に折板屋根材8を長手方向に案内する案内ローラ2を設けた基台1の下面に、屋根の梁部材6上に固定されたタイトフレーム7を前後から挟持し得る前後一対の挟持板3,3を取付けているとともに、両挟持板3,3でタイトフレーム7を挟持した状態で該両挟持板3,3を開放不能にロックするロック手段4を有して構成されている。
【0020】
そして、この請求項1の搬入補助具では、基台1をタイトフレーム7上に載せ、各挟持板3,3をそれぞれ垂下姿勢にして該両挟持板3,3でタイトフレーム7を前後から挟み、その状態で両挟持板3,3をロック手段4でロックすることで、搬入補助具の取付けが完了するので、該搬入補助具をタイトフレーム7に対して簡単に取付けることができるという効果がある。
【0021】
さらに、この搬入補助具では、両挟持板3,3でタイトフレーム7を前後から挟持し且つ両挟持板3,3をロック手段4で開放不能にロックできるので、搬入補助具をタイトフレーム7に対して安定姿勢で且つ強固に固定することができるという効果がある。
【0022】
[本願請求項2の発明の効果]
本願請求項2の発明は、上記請求項1の搬入補助具において、各挟持板3,3を基台1の下面に沿って格納した状態で、各挟持板3,3を基台1の下面に磁石32で磁気吸着させるようにしている。
【0023】
従って、この請求項2の搬入補助具では、上記請求項1の効果に加えて、各挟持板3,3を基台1の下面に格納させた状態で磁石32により磁気吸着させておくと、基台下面に各挟持板3,3が垂下しないので持ち運び時や保管時等に搬入補助具をコンパクトにできるとともに、該各挟持板3,3がグラつかないので搬入補助具の取り扱いが容易となるという効果がある。
【0024】
[本願請求項3の発明の効果]
本願請求項3の発明は、上記請求項2の搬入補助具において、基台1の下面側における左右各側縁付近に、予めタイトフレーム7上に設置された折板屋根材8の左右側縁の各突起部82,82に係止させる係止部14,14をそれぞれ設けている。
【0025】
従って、この請求項3の搬入補助具では、上記請求項1及び2の効果に加えて、請求項1のように屋根の骨組み(タイトフレーム)上にセットする場合のほかに、予め屋根の骨組み上に設置された既設の折板屋根材8の上に載せてセットするという使用形態を採用できるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1〜
図7を参照して本願実施例の折板屋根材の搬入補助具を説明すると、この実施例の搬入補助具Zは、折板屋根材8を屋根の骨組み(梁部材6上のタイトフレーム7)上に搬入するのに用いられるものである。尚、以下の実施例の説明においても、屋根の骨組みにおける、梁部材6上に取付けられるタイトフレーム7の長さ方向(屋根の左右方向と一致する)を左右方向といい、該タイトフレーム7の長さ方向とは直交する方向(屋根の傾斜方向)を前後方向をいうことがある。
【0028】
この実施例で対象としている折板屋根材8は、
図1〜
図4に示すように、中央部の凹溝部81の左右両側部にそれぞれカシメ部となる突起部82,82を設けたものである。この各突起部82,82は、屋根の骨組み上に隣接される別の折板屋根材8の側部(突起部)とカシメ結合されるものである(
図7参照)。
【0029】
又、この実施例で採用される折板屋根材8は、左右突起部82,82間の間隔が500mm程度のものを対象にしている。尚、この種の折板屋根材8は、長いものでは70m超のものがある。
【0030】
折板屋根材8の各突起部82,82のそれぞれ内側には、短い棚部83が設けられており、後述するように(
図6、
図7参照)、この搬入補助具Zを折板屋根材8の上に載せて設置する場合には、各突起部内側の両棚部83,83が搬入補助具Zの載せ台となる。
【0031】
この折板屋根材8が葺設される屋根の骨組みとしては、
図5又は
図6に示すように、屋根の傾斜方向(前後方向)に所定間隔(例えば3.5m間隔)をもって多数の梁部材6,6・・を配置している。そして、各梁部材6,6・・の上部には、それぞれタイトフレーム7,7・・が順次連続する状態で溶接固定されている。
【0032】
タイトフレーム7は、
図1〜
図4に示すように、適用される折板屋根材8の凹溝部81に対応する形状の凹部71の両側にそれぞれ山部72,72を一体に連続させたものである。このタイトフレーム7における2つの山部72,72間の間隔は、折板屋根材8の左右幅と同じ500mmである。又、タイトフレーム7の各山部72,72の高さは180mm程度であり、タイトフレーム7の前後幅は、45mm程度である。
【0033】
図1〜
図4に示す搬入補助具Zは、上記折板屋根材8及び上記タイトフレーム7に適用されるものである。そして、この搬入補助具Zは、所定面積を有した矩形の基台1の上面部に折板屋根材8を長手方向に案内する案内ローラ2を設けているとともに、上記基台1の下面に屋根の梁部材6上に固定されたタイトフレーム7を前後から挟持し得る前後一対の挟持板3,3を取付けて構成されている。
【0034】
基台1は、金属板(例えば亜鉛鉄板や鋼板)製で、所定面積の矩形に形成されている。この実施例では、基台1の大きさとして、前後幅が450mmで左右幅が550mm程度のものを採用している。尚、この基台1の左右幅(550mm)は、搬入対象となる折板屋根材8の左右側縁の各突起部82,82間の間隔(500mm)よりやや(50mm程度)広くなるように設定している。
【0035】
基台1の前後各側縁には、それぞれ所定小高さ(例えば40mm程度)の垂下片11,11を設け、該垂下片11,11の下端を内向きに横曲げ(符号11a)しているとともに、該横曲げ片11a(
図2、
図3参照)の下面にゴム製の緩衝材12を取付けている。他方、基台1の左右各側縁には、それぞれ小高さ(例えば15mm程度)の下曲げ部13,13を設けている。
【0036】
基台1の下面側における左右各側縁付近には、折板屋根材8の左右側縁の各突起部82,82に係止させる係止部14,14をそれぞれ設けている。この各係止部14,14は、下向きに開放する凹溝状のものであって、後述する(
図6及び
図7)ように、タイトフレーム7上に固定した既設の折板屋根材8の左右側縁の各突起部(かしめ部)82,82にそれぞれ嵌合して、基台1を左右に位置決めするものである。具体的には、各係止部14,14は、
図7に示すように、前後の各垂下片11,11が既設の折板屋根材8の左右両突起部(かしめ部)82,82間に入り込んで該係止部14の一部となる垂下片11の左右各端部14a,14a(
図7参照)が左右の各突起部(かしめ部)82,82で位置決めされるようになっている。
【0037】
基台1の上面部に設けた案内ローラ2は、折板屋根材8の底面を載せる前後2つの底部ローラ21,21と、折板屋根材8の左右側面をガイドする各側部ローラ22,22とを有している。尚、この案内ローラ2(底部ローラ21と側部ローラ22)は、基台1上に載せた折板屋根材8が長手方向にスムーズに移動できるとともに左右に脱落しないようにガイドするものであれば、適宜の構成のものを採用できる。
【0038】
基台1の下面には、前後一対の挟持板3,3が取付けられている。この各挟持板3,3は、亜鉛鉄板又は鋼板製の矩形形状であって、左右幅が470mm程度で上下幅が140mm程度の大きさのものが採用されている。尚、この挟持板3の大きさは、特に限定するものではない。
【0039】
この各挟持板3,3は、左右に長い姿勢状態で、その長辺側の一側縁3a,3aを基台1の下面にヒンジ31,31で枢支して、基台1の下面に沿って格納される水平姿勢(
図2の符号3)とタイトフレーム7を前後から挟持し得る垂下姿勢(
図2の符号3′)との間で上下に揺動自在に取付けている。尚、この各ヒンジ31は、1枚の挟持板3につき左右に離間した2箇所に設けられている。
【0040】
又、この各挟持板3,3のヒンジ連結部(長辺側の側縁3aの位置)は、両挟持板3,3がそれぞれ垂下姿勢(
図3の状態)のときに、該各挟持板3,3の内面がそれぞれタイトフレーム7の前後各側面に対して平行に接触するような条件で位置決めされている。
【0041】
各挟持板3,3には、
図3及び
図4に示すように、両挟持板3,3でタイトフレーム7を前後から挟持した状態で、両挟持板3,3を開放不能にロックするロック手段4を有している。この実施例のロック手段4は、各挟持板3,3の短辺側の左右各側縁3b,3bに取付けた揺動自在な揺動板41,41を
図3及び
図4に示すように合体させた状態で、両揺動板41,41を止着具(例えばビス)42で開放不能に固定し得るようにしたものを採用している。尚、止着具42としてビスを使用するものでは、一方の揺動板41にビス挿通穴を形成する一方、他方の揺動板41にネジ穴を形成することで、両挟持板3,3を重合させた状態で両穴にビス42を通して該両挟持板3,3を結着(ロック)することができる。尚、上記各揺動板41,41は、挟持板3の格納時には該挟持板3の上面側(基台下面との間)に折り畳んでおくと邪魔にならない。
【0042】
基台1の下面には、
図1及び
図2に示すように、各挟持板3,3を基台下面に沿って水平姿勢に格納した状態で、該各挟持板3,3をそれぞれ磁気吸着させる磁石32,32を取付けている。
【0043】
この実施例の搬入補助具Zは、持ち運び時又は保管時には、
図1及び
図2に示すように前後の両挟持板3,3を基台1の下面に沿って水平姿勢で格納しておけば、基台1の下面に両挟持板3,3を有していても、該両挟持板3,3が邪魔にならない。又、各挟持板3,3は、上記格納姿勢でそれぞれ磁石32,32によって基台1の下面に磁気吸着されているので、挟持板3,3の格納姿勢では該各挟持板3,3がそれぞれ基台1の下面から不用意に離脱して垂下することがない。従って、この搬入補助具Zの取り扱いが容易となる。
【0044】
そして、この実施例の搬入補助具Zは、
図5に示す第1使用例と
図6〜
図7に示す第2使用例との2通りの使用方法を採用できるが、以下それぞれの使用例について説明する。
【0045】
図5に示す第1使用例では、この実施例の搬入補助具Zを、屋根の骨組み(梁部材6)上に取付けているタイトフレーム7に固定するものである。尚、
図5の使用例では、各梁部材6,6・・は前後方向に所定間隔(例えば3.5m間隔)をもって設置されているとともに、各梁部材6,6・・の上面にはそれぞれ
図1及び
図4に示すようなタイトフレーム7が左右方向に連続する状態で多数固定(溶接)されている。
【0046】
そして、
図5の第1使用例では、複数の搬入補助具Zを、1つ置き(約7m間隔になる)の梁部材6,6・・上の各タイトフレーム7,7・・に前後方向に一列状態で取付けるが、その搬入補助具Zの取付けは次のようにして行う。
【0047】
まず、
図2に示すように、1つ目の搬入補助具Zを、案内ローラ2が折板屋根材8を前後方向にガイドし得る姿勢で且つ前後の各挟持板3,3を基台下面に沿って格納した状態で、基台1の下面の前後中央部をタイトフレーム7上に載せるが、そのとき前後方向から見て各挟持板3の左右各端部をタイトフレーム7の左右の各山部72,72(
図4参照)に一部に被せ得るように位置決めするとよい。
【0048】
次に、格納状態にある各挟持板3,3の自由端側を強く下方に引き下げて各挟持板3,3を磁石32による磁気吸着から剥がすと、該各挟持板3,3が自重でそれぞれ下方に回動し、各挟持板3,3が
図3に示すようにタイトフレーム7の前後各側面に当接するようになる。この状態では、
図4に示すように各挟持板3,3の左右各端部寄り部分がタイトフレーム7の左右の各山部72,72に跨がっている。
【0049】
次に、両挟持板3,3の左右各側縁3b,3bにあるそれぞれ一対の揺動板41,41を
図3及び
図4に示すように合体(重合)させた状態で、その左右2箇所の重合揺動板41,41をそれぞれ止着具(ビス)42で結着させることで、タイトフレーム7を前後かに挟持した状態で両挟持板3,3を開放不能にロックできる。
【0050】
このように搬入補助具Zをタイトフレーム7上に設置した状態では、両挟持板3,3でタイトフレーム7を前後から挟持し、且つ両挟持板3,3がロック手段4,4で開放不能にロックされているので、搬入補助具Zが位置ずれしたりグラついたりすることがなくなり、安定姿勢で固定されることになる。
【0051】
そして、2つ目以降の各搬入補助具Z,Z・・を、先に設置した搬入補助具Zと前後方向同位置で且つ1つ置きの位置にある各梁部材6のタイトフレーム7上に、上記と同様の作業で順次取付けていき、
図5に示すように搬入補助具Zを必要個数だけ前後一列に並べて設置する。
【0052】
この各搬入補助具Z,Z・・を用いて折板屋根材を屋根の骨組み上に搬入するには、
図5に示すように、送り出し機10から送り出される折板屋根材8の先端側を最手前位置に設置している搬入補助具Zの基台上面(案内ローラ2)に載せて押し込んでいくと、該折板屋根材8の先端側が2番目以降の各搬入補助具Zの基台上面(案内ローラ2)に順次乗り移っていく。そして、折板屋根材8の全長さが符号8′で示すように最終位置まで搬入されると当該折板屋根材8′の搬入作業が終了し、その後、各搬入補助具Z,Z・・上に載せられている折板屋根材8′を各搬入補助具上から符号8″で示すようにその左右近傍位置の前後方向に並んでいる各タイトフレーム7,7・・上に載せ変える。尚、折板屋根材8を各搬入補助具上からタイトフレーム7上に載せ変えるには、専用の載せ変え機を使用したり、あるいは複数の作業員の人力でも行える。
【0053】
その後、空になった各搬入補助具Z,Z・・の設置レーン上に、送り出し機10から次の折板屋根材8を送り出し、上記と同様にその折板屋根材8の先端側を各搬入補助具Zの基台1上に順次乗り移して、折板屋根材の全長が最終位置(符号8′の状態)まで搬入された後、その左右近傍位置の前後方向に並んでいる各タイトフレーム7,7・・上に載せ変える。このような操作を同位置で数回(5〜10回)繰り返して、搬入補助具Zの設置レーン付近への複数の折板屋根材の搬入が完了すると、各タイトフレーム7,7・・上に設置していた各搬入補助具Z,Z・・をそれぞれ次の作業位置に移設して、そこで同様の折板屋根材搬入作業を行う。
【0054】
図6及び
図7に示す第2使用例では、この実施例の搬入補助具Zを、予め屋根の骨組み上に設置した既設の折板屋根材8を利用して設置するようにしている。
【0055】
即ち、屋根の骨組み上に設置される折板屋根材8は、その隣接する各端縁同士がタイトフレーム7上の吊り子部分でかしめ結合(符号82)されるが、その各かしめ部は、上向きの突起部82,82となっている。
【0056】
他方、基台1の下面側における左右各側縁付近には、上記したように折板屋根材8の左右側縁の各突起部(かしめ部)82,82に係止させる係止部14,14をそれぞれ設けている。具体的には、この各係止部14,14は、
図7に示すように、基台1の前後の各垂下片11,11が既設の折板屋根材8の左右両突起部(かしめ部)82,82間に入り込んで、係止部14の一部となる垂下片11の左右各端部14a,14aが左右の各突起部(かしめ部)82,82で位置決めされるようになっている。
【0057】
そして、
図6及び
図7に示す第2使用例では、予め屋根の骨組み(タイトフレーム7)上に設置された既設の折板屋根材8の左右各突起部82,82に、搬入補助具Zの左右各係止部14,14をそれぞれ上方から嵌合させることで、この搬入補助具Zを折板屋根材8上に静止状態でセットできる。具体的には、
図7に示すように、基台1の前後各垂下片11部分を折板屋根材8の上方から該折板屋根材8の左右両突起部(かしめ部)82,82間に落とし込むと、垂下片11下面の緩衝材12の左右各端部が折板屋根材8の左右各棚部83,83上に載るとともに、垂下片11の左右各端部14a,14aがそれぞれ各突起部82,82に近接していることで、搬入補助具Zが既設の折板屋根材8上で静止状態で位置決めされるようになる。
【0058】
同様に、
図6に示すように所定個数の搬入補助具Z,Z・・を共通の折板屋根材8上に前後所定間隔(1つ置きの梁部材6上で約7m間隔)をもって配置することで、各搬入補助具を一列状態でセットできる。
【0059】
そして、この第2使用例では、
図6に示すように、送り出し機10から送り出される折板屋根材8の先端側を最手前位置に設置している搬入補助具Zの基台上面(案内ローラ2)に載せて押し込んでいくと、該折板屋根材8の先端側が2番目以降の搬入補助具Zの基台上面(案内ローラ2)に順次乗り移っていくき、その新設(上側)の折板屋根材8の全長さが既設(下側)の折板屋根材8上の最終位置まで搬入された後、その新設(上側)の折板屋根材8を複数の作業員の人力により各搬入補助具上からその近傍の各タイトフレーム7上に載せ変える。その後、空になった各搬入補助具Z,Z・・上に送り出し機10から次の折板屋根材8を送り込むことによって、単一箇所で複数の折板屋根材8を搬入させることができる。
【0060】
上記実施例の搬入補助具Zには、次のような各機能がある。
【0061】
基台1をタイトフレーム7上に載せ、各挟持板3,3をそれぞれ垂下姿勢にして該両挟持板3,3でタイトフレーム7を前後から挟み、その状態で両挟持板3,3をロック手段4でロックすることで、搬入補助具Zの取付けが完了するので、該搬入補助具Zをタイトフレーム7に対して簡単に取付けることができるとともに、両挟持板3,3をロック手段4で開放不能にロックできるので、搬入補助具Zをタイトフレーム7に対して安定姿勢で且つ強固に固定することができる。
【0062】
又、各挟持板3,3は、基台1の下面に沿って格納した状態で、基台1の下面に磁石32で磁気吸着させ得るようにしているので、この搬入補助具の持ち運び時や保管時等にコンパクトにできるとともに、該各挟持板3,3がグラつかないので搬入補助具Zの取り扱いが容易となる。
【0063】
さらに、基台1の下面側における左右各側縁付近に、予めタイトフレーム7上に設置された折板屋根材8の左右側縁の各突起部82,82に係止させる係止部14,14をそれぞれ設けているので、この搬入補助具Zを
図5に示すように屋根の骨組み(タイトフレーム7)上にセットする場合のほかに、予め屋根の骨組み上に設置された既設の折板屋根材8の上に載せてセットするという使用形態も採用できる。