特許第6475120号(P6475120)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6475120
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】食器洗浄機
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/42 20060101AFI20190218BHJP
【FI】
   A47L15/42 E
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-162535(P2015-162535)
(22)【出願日】2015年8月20日
(65)【公開番号】特開2017-38788(P2017-38788A)
(43)【公開日】2017年2月23日
【審査請求日】2017年12月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大橋 龍成
【審査官】 大宮 功次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−128513(JP,A)
【文献】 特開2013−123511(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0156259(US,A1)
【文献】 特開2009−022668(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 15/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食器類を収容する洗浄槽と、該洗浄槽内に設けられて洗浄水を噴射する洗浄ノズルと、前記洗浄槽の底部に貯留される洗浄水を吸引して前記洗浄ノズルに向けて送出するポンプと、前記洗浄槽内の排気を該洗浄槽の外部に導出する排気路とを備える食器洗浄機において、
前記排気路は、前記洗浄槽内部の前記洗浄ノズルよりも下方位置で開口する洗浄槽側開口と、該洗浄槽側開口よりも上方に位置して前記洗浄槽の外部に排気放出する排出口と、該排出口よりも下方位置且つ前記洗浄槽側開口よりも上方位置で前記洗浄槽の内部に連通する連通部とを備え、
前記連通部は、前記洗浄ノズルから噴出する洗浄水の一部が直接当たる位置に設けられていることを特徴とする食器洗浄機。
【請求項2】
食器類を収容する洗浄槽と、該洗浄槽内に設けられて洗浄水を噴射する洗浄ノズルと、前記洗浄槽の底部に貯留される洗浄水を吸引して前記洗浄ノズルに向けて送出するポンプと、前記洗浄槽内の排気を該洗浄槽の外部に導出する排気路とを備える食器洗浄機において、
前記排気路は、前記洗浄槽内部の前記洗浄ノズルよりも下方位置で開口する洗浄槽側開口と、該洗浄槽側開口よりも上方に位置して前記洗浄槽の外部に排気放出する排出口と、該排出口よりも下方位置且つ前記洗浄槽側開口よりも上方位置で前記洗浄槽の内部に連通する連通部とを備え、
前記連通部は、前記洗浄ノズルが噴射した洗浄水が付着して水膜を形成する水膜形成部を介して前記洗浄槽内に連通することを特徴とする食器洗浄機。
【請求項3】
請求項2記載の食器洗浄機において、
前記連通部は、前記洗浄ノズルから噴出する洗浄水の一部が直接当たる位置に設けられていることを特徴とする食器洗浄機。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項記載の食器洗浄機において、
前記排気路は、前記排出口と前記連通部との間に、該排気路内を開閉するダンパを備えることを特徴とする食器洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄槽内の排気を行う排気経路を備えた食器洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
食器洗浄機は、一般に、食器類を洗浄するだけでなく洗浄後の食器類を乾燥させる機能を有しており、洗浄槽内に送り込んだ乾燥用空気を洗浄槽の外部に排出する排気路を備えている。
【0003】
排気路は、洗浄槽の内部から外部に向かって通気自在に設けられているが、洗浄運転中の洗浄水からは比較的多量の水蒸気が発生するため、洗浄運転中ずっと、洗浄水から発生した多量の水蒸気が排気路を伝って洗浄槽の外部に排出され続ける。このため、食器洗浄機の周囲に配置されているものが結露によって濡れてしまうことがある。
【0004】
そこで、洗浄運転中に洗浄水から発生する水蒸気を、できるだけ排気路に侵入させないようにするために、排気路の洗浄槽側の開口を洗浄ノズルよりも下方に位置させた食器洗浄機が知られている(下記特許文献1参照)。
【0005】
洗浄槽に設けられる洗浄ノズルの一部は、洗浄槽の底部近傍に設けられる。洗浄運転中に洗浄ノズルから噴射された洗浄水は、洗浄槽の底部に溜まった状態となり、洗浄槽の底部からポンプによって吸い上げられた洗浄水が再び洗浄ノズルに送られる。
【0006】
排気路の洗浄槽側の開口を洗浄ノズルよりも下方に位置させることで、洗浄運転中には洗浄槽の底部に溜まった洗浄水によって、排気路の洗浄槽側の開口が塞がれる機会が多くなる。従って、洗浄運転中に排気路への水蒸気の侵入を抑制することができ、排気路から洗浄槽外に排気される水蒸気を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−22668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、洗浄槽の底部に溜まった洗浄水は、排気路の洗浄槽側の開口から排気路の内部に入り込んで排気路の洗浄槽側の開口を塞ぐ。このとき、排気路の内部には、洗浄水だけでなく、洗浄した食器類から剥離した汚れ成分が入り込むことがある。そして、排気路の内部に入り込んだ汚れ成分が排気路の内面に付着すると、この汚れ成分が食器洗浄機の長期使用によって排気路の内面に付着した状態で堆積し、円滑な排気が阻害されて乾燥運転による乾燥性能が低下してしまうおそれがある。
【0009】
上記の点に鑑み、本発明は、排気路からの水蒸気の排出を低減しつつ、排気路の内面への汚れ成分の付着や堆積を防止して良好な乾燥性能を維持することができる食器洗浄機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明は、食器類を収容する洗浄槽と、該洗浄槽内に設けられて洗浄水を噴射する洗浄ノズルと、前記洗浄槽の底部に貯留される洗浄水を吸引して前記洗浄ノズルに向けて送出するポンプと、前記洗浄槽内の排気を該洗浄槽の外部に導出する排気路とを備える食器洗浄機において、前記排気路は、前記洗浄槽内部の前記洗浄ノズルよりも下方位置で開口する洗浄槽側開口と、該洗浄槽側開口よりも上方に位置して前記洗浄槽の外部に排気放出する排出口と、該排出口よりも下方位置且つ前記洗浄槽側開口よりも上方位置で前記洗浄槽の内部に連通する連通部とを備える。
【0011】
前記排気路の洗浄槽側開口は、洗浄ノズルよりも下方に位置する。これにより、洗浄槽の底部に溜まった洗浄水が排気路の洗浄槽側開口を塞ぐので、洗浄運転中に排気路から外部に水蒸気が排出されることを防止することができる。
【0012】
洗浄運転中(すすぎ中も含む)には、洗浄ノズルから噴射された洗浄水が洗浄槽の内部で激しく飛散した状態となる。排気路は、前記連通部により洗浄槽の内部に連通することにより、洗浄槽の内部で激しく飛散している洗浄水の一部が連通部を経て排気路に入る。連通部は、洗浄槽側開口よりも上方位置で洗浄槽の内部に連通するので、連通部から排気路の内部に入った洗浄水は、排気路の内部を流下し、洗浄槽側開口から洗浄槽の内部に戻る。
【0013】
洗浄運転中に洗浄槽内の洗浄水が連通部から排気路に入ることにより、排気路の内面に沿って洗浄水の流れが形成される。このような洗浄水の流れにより、汚れ成分が排気路の内面に付着し難く、また、排気路の内面に付着した汚れ成分も洗い流されるので、汚れ成分の堆積も防止することができる。
【0015】
本発明の第1の態様として、前記連通部は、前記洗浄ノズルから噴出する洗浄水の一部が直接当たる位置に設けられていることを特徴とする
【0016】
洗浄ノズルから噴出する洗浄水が連通部に直接当たることにより、排気路の内面に沿った流れを形成させるための洗浄水を確実に排気路に供給することができる。よって、汚れ成分の付着やその堆積を一層確実に防止することができる。
【0017】
また、本発明の第2の態様として、前記連通部は、前記洗浄ノズルが噴射した洗浄水が付着して水膜を形成する水膜形成部を介して前記洗浄槽内に連通することを特徴とする
なお、第2の態様において、前記連通部は、前記洗浄ノズルから噴出する洗浄水の一部が直接当たる位置に設けられていることが好ましい
【0018】
水膜形成部は、洗浄水により水膜が形成されるようになっており、水膜形成部に水膜が形成されることにより、洗浄槽内の水蒸気が排気路に抜けることが防止できる。このとき、水膜形成部に形成されている水膜は、洗浄槽内部から洗浄水が当たったときに、水膜の形成状態を維持しながら連通部における洗浄水の通過を許容するので、排気路の内面に沿った洗浄水の流れも支障なく形成される。更に、水膜によって連通部の通気が遮断されるので、洗浄槽内からの洗浄中の音漏れを軽減することができる。
【0019】
また、本発明において、前記排気路は、前記排出口と前記連通部との間に、該排気路内を開閉するダンパを備えることが好ましい。
【0020】
これによれば、洗浄運転中にダンパにより排気路の排出口と連通部との間を閉塞状態として、洗浄槽内の水蒸気が排気路の排出口から排出されることを防止することができ、食器洗浄機の周囲での結露の発生を一層低減することができる。ダンパは排気路の排出口と連通部との間を閉塞するので、連通部から排気路に入る洗浄水に影響はなく、洗浄水による排気路内部の洗い流し状態を良好に維持することができる。
【0021】
そして、乾燥運転中にダンパにより排気路の排出口と連通部との間を開放状態として、洗浄槽の内部の排気を円滑に行うことができるので、良好な乾燥性能を維持することができる。
【0022】
以上のように、本発明によれば、排気路からの水蒸気の排出を低減しつつ、排気路の内面への汚れ成分の付着や堆積を防止して良好な乾燥性能を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態の食器洗浄機の構成を模式的に示す図。
図2】本実施形態の水膜形成部の一例を洗浄槽内部から示す図。
図3】水膜形成部として採用可能な孔形状を例示する図であり、図3Aは円孔、図3Bは楕円孔、図3Cは長孔、図3Dは角丸四角孔、図3Eは八角孔を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、食器洗浄機1は、筐体2の内部に引き出し自在の洗浄槽3を備えている。筐体2の前面は、洗浄槽3に設けられた前面パネル4により閉塞される。
【0026】
洗浄槽3は、上部が開放された箱状に形成されており、内部に食器類5を収容する。食器類5は食器カゴ6に支持された状態で洗浄槽3に収容される。
【0027】
洗浄槽3の内部には、食器類5に洗浄水を当てる洗浄ノズル7が設けられている。洗浄ノズル7は、タワーノズル8と旋回ノズル9とで構成されており、タワーノズル8と旋回ノズル9との夫々に形成された噴射口10から洗浄水を噴射する。
【0028】
旋回ノズル9は、タワーノズル8の下端に連設され、洗浄水の水圧によって旋回する。旋回ノズル9の旋回によりタワーノズル8も回転する。
【0029】
タワーノズル8は上段ノズル8aと下段ノズル8bとで構成され、水圧により下段ノズル8bの内部から上段ノズル8aが上方に伸びるようになっている。図1においては、伸びた状態のタワーノズル8を示している。
【0030】
洗浄ノズル7の下方に位置する洗浄槽3の底部は、洗浄運転の際に一時的に洗浄水が溜まった状態となる洗浄水溜部11とされている。即ち、洗浄水溜部11には、洗浄運転に先立って給水管12から給水された水(水道水等)が溜まる。この水が洗浄水として用いられる。また、洗浄槽3の底部には、洗浄水溜部11に溜まった洗浄水を加熱するためのヒータ13が設けられている。
【0031】
洗浄水溜部11の下方には、残菜フィルタ14を介して下方に凹入する吸込凹部15が設けられている。吸込凹部15の洗浄水は、ポンプ16により洗浄ノズル7に送られる。ポンプ16は、正転して洗浄ノズル7に洗浄水溜部11の洗浄水を送り、逆転することにより洗浄水溜部11の洗浄水を排水する。洗浄水は、洗浄運転が終了すると、排水管17を介して機外に排出される。
【0032】
洗浄槽3の上方には、蓋板18が設けられている。蓋板18は、図示しない昇降機構によって開閉動作が行われ、筐体2内部に洗浄槽3が収容されたときに降下して洗浄槽3を閉塞し、洗浄槽3が筐体2から引き出されると上昇して洗浄槽3の上方を開放する。
【0033】
洗浄槽3の後方には、乾燥ファン19が配置されている。乾燥ファン19は、洗浄運転(すすぎを含む)の終了後に行われる乾燥運転の際に、吸気路20を介して乾燥用空気を洗浄槽3の内部に送り、食器類5を乾燥させる。
【0034】
洗浄槽3と前面パネル4との間には、乾燥ファン19から洗浄槽3の内部に送られた乾燥用空気を機外に導出する排気路21が設けられている。排気路21は、洗浄槽3の前壁外側に沿って上下方向に延びている。排気路21の一方端は、洗浄槽3で開口する洗浄槽側開口22となっており、排気路21の他方端は、前面パネル4で開口する排出口23となっている。
【0035】
排気路21の洗浄槽側開口22は、洗浄水溜部11で開口している。これにより、排気路21の洗浄槽側開口22は、洗浄運転時に洗浄水溜部11の洗浄水により閉塞される機会が多くなり、洗浄運転中に洗浄槽3内から発生する水蒸気が排気路21を通って機外に放出されることが抑制できる。乾燥運転に際して洗浄水溜部11の洗浄水が排出されると、洗浄槽側開口22が通気自在となり、乾燥用空気が排出可能な状態となる。
【0036】
ところで、洗浄水溜部11の洗浄水は、洗浄運転により食器類5から剥離した汚れ成分の混入量が増加する。そして、汚れ成分を多く含む洗浄水に排気路21の洗浄槽側開口22が浸漬されると、汚れ成分が排気路21の内面に付着する。特に、洗浄水溜部11の水面Sの高さ位置に対応する排気路21の内面に汚れ成分が付着し堆積し易い。このような排気路21の内面への汚れ成分の付着及び堆積を防止するために、本実施形態の食器洗浄機1の排気路21には、図1に示すように、連通部24が設けられている。
【0037】
連通部24は、排気路21を洗浄槽3の内部に連通させるものであり、排出口23よりも下方位置且つ前記洗浄槽側開口22よりも上方位置に設けられている。連通部24を設けることにより、洗浄運転中に洗浄水の一部を排気路21に取り込み、この洗浄水の流れによって排気路21の内面を洗い流す。排気路21の内面に沿って洗浄水の流れが形成されることにより、排気路21の内面に付着している汚れ成分を剥がし取ることができるだけでなく、汚れ成分が排気路21の内面に付着し難くすることができる。
【0038】
また、連通部24は、水膜形成部25を介して洗浄槽3内部に連通する。水膜形成部25は、洗浄水が接することにより洗浄水による水膜を形成する。水膜形成部25に水の表面張力により水膜が形成されることにより洗浄槽3内部の水蒸気が連通部24を介して排気路21に流れるのを防止することができる。よって、洗浄運転中に洗浄水から生じる水蒸気が機外に流れ出て周囲に結露することが防止できる。
【0039】
水膜形成部25の具体的な例としては、図2に示すように、洗浄槽3の側壁3aを貫通するようにして形成された円形の小孔25aを複数設けることが挙げられる。各小孔25aは同一形状であり、口径4mmに形成されている。
【0040】
なお、各小孔25aの口径は、水膜が形成される大きさであって、且つ、洗浄水が当たることで一部の洗浄水を通過させると同時に水膜形成状態を維持する大きさに設定されていればよく、本発明者の知見によれば、円形の小孔25aの場合、口径を2mm〜8mmの範囲で形成するのが好ましい。
【0041】
また、水膜形成部25の小孔25aの形状は図3Aに示す円形に限るものではなく、それ以外に、図3Bに示す楕円孔25b(上下の各辺の曲率半径1mm〜4mm、左右の各辺の曲率半径5mm〜20mm)、図3Cに示す長孔25c(縦寸法L:2mm〜20mm、上下の各辺の曲率半径1mm〜4mm)、図3Dに示す角丸四角孔25d(縦寸法L:2mm〜20mm、横寸法W:2mm〜20mm)、及び、図3Eに示す八角孔25e(縦寸法L:2mm〜20mm、横寸法W:2mm〜20mm)を小孔として採用することができる。なお、水膜形成部25の小孔の形状を多角形とする場合には角部を所定の曲率半径(具体的には曲率半径1mm〜4mmの範囲であればよく、最も好ましい曲率半径としては2mm)で湾曲させることにより水膜の破れを防止することができて好ましい。また、水膜形成部25は、洗浄水が通過可能で水膜が形成されるように構成されていればよく、細目の格子、上下幅が狭い横長のスリット、或いは、網等を採用することも可能である。また、本実施形態における水膜形成部25は、洗浄槽3の側壁3aに一体に形成されているが、図示しないが、別部材として形成した水膜形成部を連通部24と洗浄槽3との境界位置に嵌め込んで設けてもよい。本発明の水膜形成部においては、小孔を複数設ける場合に、異なる形状や大きさのものを混在させて複数設けてもよい。
【0042】
また、本実施形態では、水膜形成部25を設けることにより、洗浄槽3からの洗浄水を連通部24に送りながら水蒸気が連通部24に侵入することを阻止しているが、水膜形成部25に替えて、図示しないが、連通部24に洗浄槽3内部から洗浄水が当たることにより連通部24を開放するシャッター部を設けてもよい。シャッター部は、上端をヒンジとして連通部24の洗浄槽3側端部に搖動自在に設ける。これにより、洗浄槽3内部から洗浄水がシャッター部に当たった時に、洗浄水の水圧により搖動して連通部24に洗浄水を送ることができ、洗浄水がシャッター部に当たらない時には連通部24を閉じて水蒸気の連通部24への侵入を防止することができる。
【0043】
更に、本実施形態においては、図1中矢印Nで示すように、旋回ノズル9の噴射口10から噴射した洗浄水が直接当たる位置に連通部24を設けることが好ましい。こうすることで、洗浄水が確実に排気路21に供給され、汚れ成分の付着やその堆積を一層確実に防止することができる。
【0044】
また、図1に示すように、排気路21の排出口23と連通部24との間にダンパ26を設けてもよい。洗浄運転中にダンパ26を閉じることで、連通部24を介して排気路21に侵入した水蒸気が排出口23から機外に放出されることを防止できる。なお、連通部24は、洗浄槽3との境界位置に水膜形成部25を備えている。このため、排気路21の排出口23と連通部24との間にダンパ26を設けなくても、洗浄槽3から排気路21への不用意な水蒸気の流出を十分に防ぐことができ、構造簡単となる。しかし、排気路21の排出口23と連通部24との間にダンパ26を設けて、洗浄運転中にダンパ26を閉じるようにすれば、水膜形成部25の水膜が万一敗れても、水蒸気が排出口23から機外に放出されることを確実に防止できる。
【0045】
また、図1に示すように、排気路21の下端部の所定領域に、洗浄槽側開口22に向かって次第に拡径する拡径部27を設けてもよい。拡径部27を設けることによって、その内面の傾斜に沿った水流が円滑に形成され、連通部24から排気路21に入った洗浄水や、洗浄槽側開口22を介して排気路21内に入った洗浄水を、速やかに洗浄槽3内に戻すことができる。これにより、排気路21内面への汚れ成分の付着や汚れ成分の堆積を抑制することができる。
【符号の説明】
【0046】
1…食器洗浄機、3…洗浄槽、5…食器類、7…洗浄ノズル、16…ポンプ、21…排気路、22…洗浄槽側開口、23…排出口、24…連通部、25…水膜形成部、26…ダンパ、27…拡径部。
図1
図2
図3