特許第6475122号(P6475122)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6475122
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】インクジェットプリンター
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20190218BHJP
【FI】
   B41J2/165 101
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-167172(P2015-167172)
(22)【出願日】2015年8月26日
(65)【公開番号】特開2017-42997(P2017-42997A)
(43)【公開日】2017年3月2日
【審査請求日】2017年12月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】591044164
【氏名又は名称】株式会社沖データ
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 研治
【審査官】 中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−161803(JP,A)
【文献】 特開2007−190849(JP,A)
【文献】 特開2008−142653(JP,A)
【文献】 特開2013−188969(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/029983(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01−2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体にインクを吐出する複数のノズルを備える記録ヘッドと、
前記記録ヘッドが搭載されており、前記記録媒体の搬送方向に対して交差する方向に往復移動するキャリッジと、
前記キャリッジを駆動するキャリッジ駆動手段と、
前記記録ヘッドの夫々に対応して配置されており、前記記録ヘッドの前記ノズルの配置されているノズル面に先端が当接することで前記ノズル面を覆うキャップと、
前記キャップが搭載され、前記キャップを前記ノズル面方向へ付勢するバネを備えたキャップユニットと、
前記キャップユニットを前記ノズル面に対して接離方向に移動させる昇降手段と、を有するインクジェットプリンターにおいて、
前記キャップユニットは、前記キャップを固定するキャップ支持部と、前記キャップ支持部を支持する基台部を有しており、
記バネが前記基台部と前記キャップ支持部の間に配置されており、前記バネによって前記キャップ支持部が前記ノズル面の方向に付勢されており、
前記基台部に設けられた溝部に前記キャップ支持部に設けられた突起が係合されており、前記キャップ支持部は前記溝部に沿って移動することができ、該移動の方向が、前記キャップが前記ノズル面に対して接離する方向であり、
前記キャップは、前記キャップが前記記録ヘッドのノズル面に当接した場合に、前記複数のノズルの周囲を囲むリップ部と、前記リップ部を開口とするキャップ空間を形成する袋状部を有しており、
前記袋状部は前記キャップの長手方向の一方側に偏った位置に前記キャップ空間の内外を貫通するキャップ貫通孔を備えており、
前記キャップ支持部は、前記リップ部を露出した状態で前記袋状部を収納する凹状部を有し、該凹状部の底面であって、前記長手方向の前記一方側に対する他方側方向に偏った位置に、前記キャップ支持部の内外を貫通するキャップ支持部貫通孔と、前記底面の前記キャップに対向する位置であって、前記底面の前記長手方向の中央部に前記キャップ方向に突出して設けられた突出部と、を有しており、
前記キャップが前記ノズルを覆った場合には、前記キャップの前記リップ部に対応する裏面側と前記キャップ支持部が密着した状態となり、前記キャップ貫通孔と、前記キャップと前記キャップ支持部と前記突出部によって囲まれる空間と、前記キャップ支持部貫通孔と、を順に介して、前記キャップ空間から外気へ連通する大気開放経路を形成することを特徴とするインクジェットプリンター。
【請求項2】
前記突出部の前記キャップに対向する側に溝が形成されており、前記キャップと前記突出部が密着しており、前記溝が前記大気開放経路の一部であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンター。
【請求項3】
前記突出部の前記キャップに対向する側は平面状に形成されており、前記キャップと前記突出部と前記キャップ支持部によって囲まれた部分に隙間が形成されており、該隙間が前記大気開放経路の一部であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンター。
【請求項4】
前記キャップ支持部に凹部がリング状に形成されており、該凹部に前記キャップの縁が全周に亘って嵌っていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載のインクジェットプリンター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンターに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット式の記録ヘッドを搭載したプリンターは広く知られている。インクジェット式の記録ヘッドは、ノズルに異物や増粘したインクが詰まることで吐出不良を起こす場合がある。このような問題を生じさせないため、記録ヘッドは定期的なノズル面およびノズル内の清掃を行っている。例えば、記録ヘッドのノズル面に付着した異物の除去をするため、ノズル面をワイパーによって払拭する。また、ノズル面にキャップを密着させ、密閉することでノズル内のインクが増粘しないようにしている。また、インク滴を受けるトレーに記録ヘッドからインクを吐出し、増粘したインクを排出することでノズルの詰まりを防止する。このような清掃や保湿をすることで、吐出不良が防止されている。
【0003】
しかし、キャップによってノズル面を密閉する場合に、キャップによって、インクの揮発成分の蒸発が抑制されるが、ノズルのインクのメニスカスを壊してしまう場合がある。例えば、ノズル面にキャップを近づけて当接した後に、密閉状態を確保するために、キャップを更にノズル面方向に移動させ、強く密着させている。このキャップの先端の変形により、密閉空間の体積が減少する。そのため、体積が減少した分だけキャップ内の圧力が増すことになる。逆に、キャップを外す場合も、キャップがノズル面から離れるまで、密閉空間の体積が増えることにより圧力が減り、さらに、離れた瞬間、外気の圧力と同等になるように、キャップ内の圧力が急に変化をする。また、密閉状態で気温が変化した場合にも、キャップ内の圧力が変化する。
【0004】
この様なキャップ内の圧力の変化が、ある値を超えると、ノズル内のメニスカスを壊してしまう。そうなると、キャップを外した後に、ノズルへのインクの再充填、ノズル面の清掃、予備吐出動作などをさせ、メニスカスを形成する必要が生じ、記録動作まで余分な処理、時間がかかってしまう問題がある。
【0005】
例えば、特開平10−193626号公報には、ノズル面を密閉するキャップを備えるが、そのキャップの一部に変形しやすい構造を備えることで、圧力変動を抑制する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−193626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来の技術では、キャップによって密閉空間を作っているので、キャップ内には必ず圧力変動があり、これをキャップの変形によって抑制している。しかし、低温下では、ゴムなどでつくられているキャップの柔軟性が損なわれることがあり、十分に変形ができず、メニスカスに悪影響を与える問題があった。また、変形する部分を、変形しやすいように特殊な構造にしているため、キャップの構造が複雑となってしまう問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、記録ヘッドのノズルのメニスカスを破壊せずにキャップできると共にインクの乾燥を防止できるキャップを備えるインクジェットプリンターを提供する。
【0009】
本発明のインクジェットプリンターは、記録媒体にインクを吐出する複数のノズルを備える記録ヘッドと、前記記録ヘッドが搭載されており、前記記録媒体の搬送方向に対して交差する方向に往復移動するキャリッジと、前記キャリッジを駆動するキャリッジ駆動手段と、前記記録ヘッドの夫々に対応して配置されており、前記記録ヘッドの前記ノズルの配置されているノズル面に先端が当接することで前記ノズル面を覆うキャップと、前記キャップが搭載され、前記キャップを前記ノズル面の方向へ付勢するバネを備えたキャップユニットと、前記キャップユニットを前記ノズル面に対して接離方向に移動させる昇降手段と、を有するインクジェットプリンターにおいて、前記キャップユニットは、前記キャップを固定するキャップ支持部と、前記キャップ支持部を支持する基台部を有しており、前記バネが前記基台部と前記キャップ支持部の間に配置されており、前記バネによって前記キャップ支持部が前記ノズル面の方向に付勢されており、前記基台部に設けられた溝部に前記キャップ支持部に設けられた突起が係合されており、前記キャップ支持部は前記溝部に沿って移動することができ、該移動の方向が、前記キャップが前記ノズル面に対して接離する方向であり、前記キャップは、前記キャップが前記記録ヘッドのノズル面に当接した場合に、前記複数のノズルの周囲を囲むリップ部と、前記リップ部を開口とするキャップ空間を形成する袋状部を有しており、前記袋状部は前記キャップの長手方向の一方側に偏った位置に前記キャップ空間の内外を貫通するキャップ貫通孔を備えており、前記キャップ支持部は、前記リップ部を露出した状態で前記袋状部を収納する凹状部を有し、該凹状部の底面であって、前記長手方向の前記一方側に対する他方側方向に偏った位置に、前記キャップ支持部の内外を貫通するキャップ支持部貫通孔と、前記底面の前記キャップに対向する位置であって、前記底面の前記長手方向の中央部に前記キャップ方向に突出して設けられた突出部と、を有しており、前記キャップが前記ノズルを覆った場合には、前記キャップの前記リップ部に対応する裏面側と前記キャップ支持部が密着した状態となり、前記キャップ貫通孔と、前記キャップと前記キャップ支持部と前記突出部によって囲まれる空間と、前記キャップ支持部貫通孔と、を順に介して、前記キャップ空間から外気へ連通する大気開放経路を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
記録ヘッドのノズルのメニスカスを破壊せずにキャップできると共にインクの乾燥を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、キャップユニットの例を説明する断面図である。
図2図2は、キャップユニットの例を説明する斜視図である。
図3図3は、キャップユニットの例を説明する開口方向の上方から見た図である。
図4図4は、キャップを固定するキャップ固定部を説明する図である。
図5図5は、大気開放経路の例を説明する概念図である。
図6図6は、記録ヘッドとキャップを説明する図である。
図7図7は、キャップユニットの昇降装置を説明する図である。
図8図8は、インクジェットプリンターの概略図である。
図9図9は、キャップユニットの別の例を説明する断面図である。
図10図10は、キャップユニットの別の例の大気開放路を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、実施形態を、図面を用いて説明する。まず、キャップユニット1について、図1から図5を用いて説明する。図1は、キャップユニットの例を説明する断面図である。図2は、キャップユニットの例を説明する斜視図である。図3は、キャップユニットの例を説明する開口方向の上方から見た図である。図4は、キャップを固定するキャップ固定部を説明する図である。図5は、大気開放経路の例を説明する図である。
【0013】
キャップユニット1は、主な構成要素として、記録ヘッドに当接するキャップ25と、キャップ25を支持するキャップ支持部26と、キャップ支持部26を支持する基台部8と、キャップ支持部26と基台部8の間に設けられ、キャップ支持部26を基台部8から離れる方向に付勢するバネ9と、キャップ支持部26のバネ9による移動を規制する規制プレート7とを備える。バネ9を配置するために、キャップ25の一部を、開口部からの距離を短くしている。そのため、キャップ25は、浅い部分と深い部分ができ、この深い部分をつくることで、キャップ空間を大きくすることができる。大気開放経路を、細く、長く、曲げ部分があるので、流路の抵抗が大きくなる。そため、キャップ内の圧力が急激に変化した時にでも、キャップ空間の容量を大きくしているので、メニスカスへの影響を抑えることができる。バネ9をキャップ支持部26の下部の両端に配置し、そこを避ける形状に構成することで、空間の有効活用が可能となる。袋状部4の側面に貫通孔を設けることも可能となる。また、キャップ空間を広くすることもできる。キャップ25とキャップ支持部26との間の大気開放経路のための隙間を確保するのが容易となる。
【0014】
キャップ25の構成は、記録ヘッドのノズル面に当接するリップ部2と、キャップ支持部26に嵌め込む凸部3と、リップ部2によって囲まれる部分が開口となり、空間を作り出す袋状部4とに分けられる。
【0015】
キャップ支持部26は、キャップ25を固定するために、凹部5が開口部の縁に全周に亘って設けられている。凹部5に、キャップ25の凸部3を嵌めることで固定する。また、固定を十分にするために、凹部5の外側の側面に固定孔19が複数設けられている。この固定孔19に凸部3の側面に設けられた突起部18を嵌めることで、キャップ支持部26にキャップ25をしっかりと固定している。また、リップ部2に対応する部分の下方には、キャップ支持部26の凹部5の一方側の突出している部分があり、リップ部2がノズル面に当接した時に、リップ部2がこの突出している部分とノズル面に挟まれて変形し、密着する。またこのとき、リップ部2の下方の裏面はキャップ支持部26方向に力が加わるので、リップ部2の裏面とキャップ支持部26が密着する。
【0016】
袋状部4には空気を通過させるキャップ貫通孔11が備わり、大気開放経路の一部となっている。大気開放経路の一部となるキャップ貫通孔11の位置は袋状部4の側面が好ましいが、袋状部4の底でも良い。キャップ支持部26の開口部の底面14には、プレート15が配置されている。このプレート15は、底面14から突出した部分の上面が平面状の突出部である。すなわち、このプレート15は、底面14に設けられた突出部である。プレート15はキャップ支持部26と一体成型したものでも、接着して固定したものでもよい。キャップ支持部26にキャップ25を入れて固定した場合に、キャップ25の底の裏面側が、プレート15の上面に密着する。プレート15の幅は、キャップ支持部26の底面14の幅に等しくなっている。プレート15には、表面に通気用の溝27が設けられている。この通気用の溝27は経路が長くなるように曲がって配置されている。例えば、通気用の溝27はジグザグに経路が曲がっている。プレート15にキャップ25の底の裏面が接し、通気用の溝27が管の様になり、大気開放経路の一部となる。経路を長くすることで、圧力変化の無い場合に大気の移動が極めて少なくなり、キャップ空間の乾燥を防止できる。
【0017】
キャップ支持部26の底面14には、支持部貫通孔12が備わる。キャップ貫通孔11と支持部貫通孔12は、キャップユニット1の長手方向の異なる端方に分かれて配置されている。例では、キャップ貫通孔11と支持部貫通孔12は、間にプレート15を挟み、プレート15とキャップ25の底の裏面と通気用の溝27によって作られる大気開放経路によって繋がれる。
【0018】
基台部8には、キャップ支持部26の移動方向を規制する第1の溝10と第2の溝21が設けられている。これらの溝は、基台部8の短手方向の壁の中央に対向するように2つ、長手方向の壁の中央に対向するように設けられている。第1の溝10にはキャップ支持部26の第1の突起6が、第2の溝21にはキャップ支持部26の第2の突起20が係合する。基台部8には、バネ9が固定され、キャップ支持部26に付勢している。また、規制プレート7は、第1の溝10と第2の溝21に係合されてキャップ支持部26の第1の突起6と第2の突起20が外れないように被せられ、ネジ16によって固定されている。キャップ支持部26は、第1の溝10と第2の溝21に沿って移動できる。この4つの溝とそれに対応する4つの突起によってノズル面に対して平行に、接離方向に移動する。すなわち傾かないように移動できる。例えば、ノズル面に対する垂線方向、すなわち直角方向にキャップ支持部26が移動する。またこの移動の方向は、バネ9の付勢方向か、あるいは付勢方向に逆らう方向である。基台部8には、基台部貫通孔13が設けられ、内外が連通している。また、基台部8は、ネジ17によって、後述する昇降装置の固定されている。
【0019】
図6は、記録ヘッドとキャップを説明する図である。記録ヘッド22にはノズル23が複数設けられ、インクを吐出する。ノズル23が設けられているノズル面にキャップ25のリップ部2が当接することで、キャップ内に空間ができ、外気を遮断する。しかし、完全に遮断するのではなく、キャップ貫通孔11を介して内外を連通している。これにより、内外の圧力差を無くしている。キャップ25は矢印24の方向に移動する。この移動によっても、キャップ空間は内外が連通しているので、内外の圧力差を無くしている。
【0020】
図7は、キャップユニットの昇降装置を説明する図である。記録ヘッドをキャップするキャップユニット1を、昇降装置30によって昇降し、キャップ25のリップ部2を記録ヘッドに当接させることができる。
【0021】
キャップユニット1はベース32に取り付けられている。ベース32に基台部8をネジ17によって固定している。ベース32には7つのキャップユニット1が備わる。キャップユニット1は記録ヘッドの数分備わる。昇降モーター31の回転を、カムを介して上下運動に変換し、ベース32を昇降させる。これにより記録ヘッドにキャップユニット1のリップ部2を接離させることができる。
【0022】
図8は、インクジェットプリンターの概略図である。インクジェットプリンター40は、プラテン43を備える。プラテン43は、インクジェットプリンター40の長手方向に多数配置された搬送ローラー44によって搬送される記録媒体を、平面に支持する平板である。図示はしていないが、表面に多数の孔があり、吸引することで記録媒体をプラテン43表面に吸着する。プラテン43に沿ってキャリッジ47が往復走査する。キャリッジ47にはインクジェット式の記録ヘッドが搭載され、プラテン43に支持された記録媒体にインクを吐出する。記録媒体は、紙、塩化ビニル製などの樹脂フィルムなどである。記録ユニット41は、キャリッジ47、キャリッジ47に搭載された記録ヘッドを含む。記録媒体の搬送方向に対してキャリッジ47は交差する方向に往復移動する。例えば直交する方向である。
【0023】
レール46は、インクジェットプリンター40の長手方向に沿って配置される直線状のレールである。キャリッジ47はこのレール46に沿って移動する。キャリッジ47は、ベルト45に固定されている。ベルト45は駆動モーター42によって駆動される。また、ベルト45は、レール46の両脇側に配置されたプーリーに掛け回された無端ベルトであり、駆動モーター42によって駆動され、レール46に沿ってキャリッジ47を移動させる。不図示のリニアスケールがレール46に沿って配置され、キャリッジ47にそのスケールの目盛を検出するセンサーが搭載されている。センサーによって目盛が検出され、キャリッジ47の位置を検出することができる。移動するキャリッジ47の位置が検出できるので、その位置に応じてインクを吐出し、所望の画像を記録媒体に記録できる。
【0024】
ワイプユニット48は、キャリッジ47に搭載されている記録ヘッドのノズル面を、ワイパーによって払拭する装置である。プラテン43の側方に配置してある。キャリッジ47をワイプユニット48上に移動させ、記録ヘッドの長手方向に沿って、ワイパーを移動させて、ノズル面を払拭する。この例では、記録ヘッドの数分のワイパーを備えている。ワイパーによって、ノズル面を清掃することができる。インクの吐出後またはノズル面の清掃後にキャップすることで、増粘したインクなどを取り除いた後にキャップすることができるので、キャップ時の乾燥防止の効果が高まる。そのため、片方でもよいが、インク吐出後であり、さらにノズル面の清掃後にキャップすることが好ましい。更に、定期的に清掃やインク吐出するのが好ましい。
【0025】
キャップユニット1を取り付けた昇降装置30が、プラテン43の側方に配置してある。ワイプユニット48とは異なる側である。キャリッジ47を夫々の記録ヘッドの直下にキャップユニット1が位置するように移動し、昇降装置30によって、上昇させることで、キャップできる。
【0026】
次に、キャップユニットの別の例を、図9図10を用いて説明する。図9は、キャップユニットの別の例を説明する断面図である。図10は、キャップユニットの別の例の大気開放路を説明する図である。
【0027】
キャップ25の袋状部4の側面にキャップ貫通孔51が設けられている。このキャップ貫通孔51の袋状部4の内側の縁の全周には側面から突出した部分が設けられている。かりにノズルからインクがキャップ貫通孔51に垂れても、この突出した部分があるため、突出した部分に沿ってインクが流れ、インクによってキャップ貫通孔51が埋まらないようにしている。
【0028】
また、キャップ支持部26の開口部の底面14にはプレート50が配置されている。すなわちこのプレート50は、底面14に設けられた突出部である。このプレート50の幅は底面14の幅と同じである。キャップ支持部26とプレート50が一体であっても良い。キャップ25の袋状部4の底面の裏面とプレート50が接する。しかし、キャップ支持部26とプレート50によってできる形状とキャップ25が一致しなければ、隙間51が生じる。そこで、その隙間51を利用して、大気開放経路の一部とする。プレート50に溝を設ける必要が無い。また、プレート50の長手方向の長さを長くすることで、溝の代りとしている。
【0029】
キャップ25のリップ部2の裏側は、キャップ支持部26の凹部5の突出している部分52に対応した位置にある。開口部の縁に全周に亘ってリップ部2が設けられている。またこれに対応して凹部5もキャップ支持部26の開口に沿って全周に設けられている。リップ部2がノズル面に当接した時に、リップ部2がこの突出している部分52とノズル面に挟まれて変形し、密着する。またこのとき、リップ部2の下方の裏面はキャップ支持部26方向に力が加わるので、突出している部分52に密着する。この部分から内外には空気が漏れにくくなっている。また、プレート50に溝を設けなくとも、大気開放経路を狭く、長くでき、構成が単純である。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、インクジェットプリンターに利用できる。
【符号の説明】
【0031】
1 キャップユニット
2 リップ部
3 凸部
4 袋状部
5 凹部
6 第1の突起
7 規制プレート
8 基台部
9 バネ
11 キャップ貫通孔
14 底面
15 プレート
17 ネジ
18 突起部
19 固定孔
20 第2の突起
22 記録ヘッド22
23 ノズル
25 キャップ
26 キャップ支持部
27 通気用の溝
30 昇降装置
31 昇降モーター
32 ベース
40 インクジェットプリンター
47 キャリッジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10