(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記入力機器においては、表示器による表示の高精細化や、入力機器に含まれる、液晶装置などの表示器や静電容量式タッチパネルの薄型化が求められている。
【0006】
高精細化については、高精細化した表示をにじませないように、表示器の表示面を、平坦で、硬度が高く、反射防止処理のないハードコートで覆うとともに、このハードコートの表面と静電容量式タッチパネルを一定の間隔を持って離間させている。薄型化については、静電容量式タッチパネルを構成する各層を薄くするほか、静電容量式タッチパネルと表示器との間隔が小さくなることが求められている。
【0007】
しかし、静電容量式タッチパネルと表示器との間隔が狭くなった場合、使用者がタッチパネルを押したときの圧力によっては、タッチパネルの下面と表示器のハードコートの表面が互いに接触してしまうおそれがある。タッチパネルの下面と表示器の表面が接触したままの状態を保持した場合、表示器からの出射光の屈折などによって、その箇所の表示器の表示がにじんで見えてしまうおそれがある。
【0008】
これに対して、例えば、特許文献1に記載のようなドットスペーサを、タッチパネルの下面に設けたとしても、上部導電膜を下部導電膜に確実に接触させるような、深い凹みをドット間に有する形状・パターンであるため、タッチパネルの下面と表示器の表面の接触による表示のにじみを抑えることは難しい。
【0009】
そこで本発明は、タッチパネル操作時の表示のにじみを抑えることができ、かつ、薄型化及び表示の高精細化を図ることのできる入力機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の入力機器は、静電容量式タッチパネルと、表示面が、静電容量式タッチパネルの下面と対向するように配置された表示器とを備え、静電容量式タッチパネルの下面には、透光性を有し端面形状が平坦な形状の複数の突起からなるドットスペーサ群が表示器側へ突出するように形成されており、突起は、静電容量式タッチパネルの下面の面方向における最大幅Lと、突出方向における厚さHが以下の式(1)を満足することを特徴としている。
0.02≦H/L≦0.1 (1)
【0011】
ここで最大幅Lは、突起の端面形状が円形の場合は直径であり、楕円の場合は長軸、矩形の場合は最長の対角線である。
【0012】
これにより、複数の突起が静電容量式タッチパネルの下面の面方向に広がった形状となるため、隣り合う突起間の凹みが浅くなる。したがって、使用者によって静電容量式タッチパネルが押されたときに、複数の突起が表示器の表面に接触したとしても、隣り合う突起間に表示器の表面の層が入り込みにくくなっているため、静電容量式タッチパネルと表示器が直ちに離間しやすい。このため、使用者の操作による表示器の表示のにじみの発生を抑えることができ、高精細な表示を実現できる。
【0013】
本発明の入力機器において、表示器の表示面は、平坦であって反射防止処理を施されていないことが好ましい。
【0014】
これにより、表示器からの出射光を拡散させたり、乱反射させたりすることがないことから、表示のにじみの発生を抑えることができる。
【0015】
本発明の入力機器
は、さらに、複数の突起は、0.1mm以上0.4mm以下の間隔で配置されていること
を特徴としている。
【0016】
これにより、静電容量式タッチパネルと表示器が直ちに離間しやすくなり、これにより、使用者の操作による表示器の表示のにじみの発生を抑えることができる。
【0019】
本発明の入力機器
は、さらに、静電容量式タッチパネルに形成された突起の下面と表示器の表示面との間隔は、0.1mm以上0.3mm以下であること
を特徴としている。
【0020】
これにより、入力機器の薄型化と、静電容量式タッチパネルとオーバーコート層32の離れやすさと、を両立することができる。
【0021】
本発明の入力機器において、静電容量式タッチパネルは、使用者が静電容量式タッチパネルの上面に近接したことを検知する近接センサとして機能することが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、タッチパネル操作時の表示のにじみを抑えることができ、かつ、薄型化及び表示の高精細化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態に係る入力機器について図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1は、本実施形態における入力機器100(タッチパネル)を構成する透明基材層14の表面に形成された透明電極131、132及び配線部133を示す平面図である。
図2(A)は、本実施形態における、静電容量式タッチパネル10と表示器30の層構成の概略を示す図である。
図2(A)においては、透明電極131、132及び配線部133を、電極層13として概略的に示し、回路部19は一部を示している。なお、「透明」、「透光性」とは可視光線透過率が50%以上(好ましくは80%以上)の状態を指し、ヘイズ値が6以下であることが好適である。また、上面は、Z1方向の上側の面であり、下面はZ2方向の下側の面である。
【0027】
図2(A)に示すように、入力機器100は、静電容量式タッチパネル10と、表示器30とを備える。表示器30は、表示面31a及び表示面31a上に形成されたオーバーコート層32が、静電容量式タッチパネル10の最下層のシールド層17の下面17bと対向するように配置されている。
【0028】
静電容量式タッチパネル10は、Z1方向上側から下側へ、カバー層11と、光学透明粘着層12と、電極層13と、透明基材層14と、光学透明粘着層15と、透明基材層16と、シールド層17(導電層)とが順に配置されている。さらに、シールド層17の下面17bには、ドットスペーサ群18と回路部19が形成されている。表示器30は、例えば液晶表示器や有機EL素子表示器であって、表示器本体31のZ1方向上面の表示面31a上には、オーバーコート層32が形成されている。静電容量式タッチパネル10と表示器30は、X1−X2方向の外縁部に形成された、絶縁性の接着層20によって、互いに固定されている。なお、静電容量式タッチパネル10は、光学透明粘着層15と透明基材層16を省略して、透明基材層14の下面14bにシールド層17を形成した構成でもよい。
【0029】
カバー層11は、例えば、ガラスの板材やプラスチック基材で形成されている。プラスチック基材としてはアクリル樹脂(PMMA)やポリカーボネート樹脂(PC)を用いることができる。カバー層11は、
図1に示すように、外縁が額縁状の加飾領域120(非表示領域)となっており、加飾領域120の内側は表示領域110(指などの操作体により操作を行うことができる、表示器30の表示画面に対応する領域)となっている。表示領域110は透明・透光性の材料で形成され、加飾領域120は、不透明・非透光性な材料(例えば、PETに不透明な粒子を溶解させて不透明にした材料)で形成されている。
【0030】
光学透明粘着層12、15(OCA;Optical Clear Adhesive)は、例えば、アクリル系粘着剤である。光学透明粘着層12は、透明基材層14の上面14a及び透明基材層14上に形成した電極層13の上面13aを覆うように配置され、カバー層11は、電極層13及び透明基材層14に対して、光学透明粘着層12を介して接合される。
【0031】
透明基材層14、16は、例えば、透光性を有する、PET等のフィルム状基材やガラス基材等で形成される。透明基材層16は、透明基材層14の下面14bを覆うように配置された光学透明粘着層15を介して、透明基材層14に対して接合される。
【0032】
次に、電極層13について説明する。
図1に示すように、透明基材層14の上面14a上であって、カバー層11の表示領域110内に対応する範囲に、複数の第1の透明電極131と複数の第2の透明電極132とが形成されている。各透明電極131、132は、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電材料のスパッタリングにより成膜される。
【0033】
第1の透明電極131は、細長い連結部131aを介してY1−Y2方向に互いに連結されている。さらに、Y1−Y2方向に連結された複数の第1の透明電極131は、X1−X2方向に間隔を空けて複数列が配列されている。
【0034】
第2の透明電極132は、細長いブリッジ配線132aを介してX1−X2方向に互いに連結されている。そして、X1−X2方向に連結された複数の第2の透明電極132は、Y1−Y2方向に間隔を空けて複数列が配列されている。
【0035】
複数の第1の透明電極131及びこれらを連結する連結部131aと、複数の第2の透明電極132及びこれらを連結するブリッジ配線132aは、不図示の絶縁材によって互いに絶縁されている。また、連結部131a、ブリッジ配線132a、及び絶縁材はいずれも表示領域110内に位置するものであり、透明電極131、132と同様に透明、透光性の材料で構成される。
【0036】
複数の配線部133は、透明基材層14の上面14a上において連結部131a及びブリッジ配線132aのそれぞれから引き出され、例えば、Cu、Cu合金、CuNi合金、Ni、Ag、Au等の金属材料を有して形成される。複数の配線部133は、透明基材層14、光学透明粘着層15、透明基材層16、及びシールド層17を通じて、シールド層17の下面17bに形成された回路部19に電気的に接続されている。複数の配線部133と回路部19は、加飾領域120に対応する範囲に設けられているため、入力機器100の表面(カバー層11の上面11a)から見ることはできない。
【0037】
シールド層17は、ITO等の透明導電材料のスパッタリングによって透明基材層16の下面16bの全面に形成され、電気的に接地されている。これにより、表示器30から発せられる電磁波を遮って、13による検出を高い精度で確保することができる。
【0038】
シールド層17の下面17bには、回路部19を収納したICとドットスペーサ群18が形成されている。
【0039】
回路部19を収納したICは、例えば絶縁性の接着剤を介して接合することにより、シールド層17に対して絶縁された状態で設けられる。回路部19は、連結部131a、ブリッジ配線132a、及び配線部133を介して入力される、透明電極131、132からの信号に基づいて、使用者の指等がカバー層11の上面11a(静電容量式タッチパネル10の上面)のどの位置に近接又は接触したかを算出する。本実施形態の入力機器100では、使用者が指等をカバー層11の上面11aに近接又は接触させると、指と、指に近い第1の透明電極131との間、及び、第2の透明電極132との間で静電容量が生じる。このときの静電容量変化に基づいて、カバー層11の上面11aにおける指の接触位置を算出することが可能である。指の位置は、第1の透明電極131との間の静電容量変化に基づいてX座標を検知し、第2の透明電極132との間の静電容量変化に基づいてY座標を検知する(自己容量検出型)。なお、第1の透明電極131の電極列と132の電極列のうちの一方に駆動電圧を印加し、他方の電極列により指との間の静電容量の変化を検知して132によりY位置を検知し、第1の透明電極131によりX位置を検知する相互容量検出型であってもよい。入力機器100は、回路部19による算出結果と、表示器30における表示内容とに基づいて予め定めた処理を実行する。
【0040】
ドットスペーサ群18は、シールド層17の下面17bから表示器30側へ突出するように形成された、複数の突起18a、18b、18c、18d、18e、18f、18g、18h、18i、18j、18kを備える。
図2(A)においては、X1−X2方向に配置された突起18a〜18kのみを示しているが、ドットスペーサ群18の複数の突起は、Y1−Y2方向においても配置されており、少なくとも表示領域110に対応する範囲に配置されている。以下、シールド層17の下面17b上に設けられた複数の突起のうち、
図2(A)に示す突起18a〜18kについて説明するが、突起18a〜18k以外の突起についても同様である。
【0041】
図2(B)に示すように、これらの突起18a〜18kは、それぞれ、Z2方向に向く下面である端面181が平坦な形状を有しており、透光性で透明であって硬性を有する材料、例えばアクリルやシリコーンなどの樹脂を用いてフォトリソグラフィによって形成されている。
図2(A)(B)では、概略形状を示しているが、これらの突起18a〜18kのそれぞれは、シールド層17の下面17bの面方向(X1、X2方向を含む面の方向)における最大幅Lと、シールド層17の下面17bから突出する方向(Y2方向)における厚さHが以下の式(1)を満足するように形成されている。
0.02≦H/L≦0.1 (1)
【0042】
図2(B)に示すように、突起18a〜18kの形状は、例えば、Z2方向下側へ向かうほど外径が小さくなる略円錐形状であって、厚さHは1〜3μmである。さらに、端面181の平面形状は、半径Rが25〜40μmの略円形をなしていることが好ましい。また、複数の突起18a〜18kは、X1、X2方向を含む面内において、間隔Wが0.1mm以上0.4mm以下となるように配置されている。ドットスペーサ群18の複数の突起は、シールド層17の下面17b(静電容量式タッチパネル10の下面)のうち、表示領域110に対応する範囲の0.07%以上5.0%以下を占めることが好ましい。
【0043】
以上のような突起18a〜18kの微細な形状は、フォトリソグラフィによって形成することによって容易に実現でき、スクリーン印刷等ではこのような形状の突起18a〜18kを形成するのは困難である。
【0044】
接着層20は、シールド層17の下面17bであって、加飾領域120に対応する範囲において、ドットスペーサ群18を構成する複数の突起よりも厚くなるように、印刷によって形成されている。接着層20のZ1−Z2方向における厚みは、ドットスペーサ群18の突起の厚みよりも、所定量(例えば0.1mm以上0.3mm以下)だけ厚く形成している。
【0045】
表示器30は、表示器本体31のZ1方向の上面である表示面31aの全面にオーバーコート層32を形成した構成を備える。ここで、表示面31aは表面が平坦であって、ノングレア処理のような反射防止処理は施されていない。このため、表示面31aは表示がにじむことがなく、高精細の画像等を表示することができる。
【0046】
オーバーコート層32は、透光性で透明であり、硬性を有する材料、例えば、アクリルやシリコーンなどの樹脂の印刷等によって形成される。このような硬性を有する材料でオーバーコート層32を形成することにより、オーバーコート層32が変形しづらくなることから、表示器本体31に表示された画像が歪んでにじんだようになることを抑えることができる。さらに、使用者がカバー層11の上面11aを押したことによってドットスペーサ群18がオーバーコート層32に接触した場合にも、オーバーコート層32の硬性により変形しづらいため、表示器本体31による高精度の表示を維持することができる。
【0047】
静電容量式タッチパネル10と表示器30は、接着層20によって互いに接合され、接着層20の厚みによって、ドットスペーサ群18の突起の端面181と表示器30の表示面31aとの間隔(例えば0.1mm以上0.3mm以下)が定まる。
【0048】
ここで、突起18a〜18kとオーバーコート層32を構成する材料は、使用者が近接センサとしての静電容量式タッチパネル10を通常の力(例えば100g/mm
2)で操作したことによって互いに接触したときの形状変化が所定範囲以下となるような硬度・剛性を備えたものであることが好ましく、このような性質を備えていればアクリルやシリコーン以外の材料を用いてもよい。
【0049】
次に、
図3を参照して、入力機器100の製造工程について説明する。
図3は、入力機器100の製造工程を示す図であって、
図2(A)と同様に静電容量式タッチパネル10と表示器30の層構成の概略を示す図である。
【0050】
本実施形態の入力機器100は、(1)表示器30を製造する工程と、(2)静電容量式タッチパネル10を製造する工程と、(3)ドットスペーサ群18を形成する工程と、(4)表示器30と静電容量式タッチパネル10を互いに接合する工程とにより製造される。
【0051】
表示器30を製造する工程においては、表示器本体31として、例えば液晶表示器や有機EL素子表示器を既存の製法を製造した後に、表示器本体31の表示面31aの全面にオーバーコート層32を印刷等によって形成する。
【0052】
静電容量式タッチパネル10を製造する工程としては、例えば、(a)透明基材層14の上面14aに、スパッタリングによって電極層13を形成した後に、(b)電極層13の上面13a及び透明基材層14の上面14aの全体を覆うように光学透明粘着層12を形成し、この光学透明粘着層12の粘着力によって、光学透明粘着層12の上面全体にカバー層11を固定させる。その後、(c)透明基材層14の下面14bの全面に光学透明粘着層15を形成し、光学透明粘着層15の粘着力によって、光学透明粘着層15の下面全体に透明基材層16を固定させる。最後に、(d)透明基材層16の下面16bの全体に、スパッタリングによってシールド層17を形成する。以上の工程(a)〜(d)によって静電容量式タッチパネル10が形成される(
図3(A))。
【0053】
なお、静電容量式タッチパネル10の製造工程としては、上記の順序以外に、例えば、透明基材層16の下面16bにシールド層17を形成した後に、透明基材層16の上面上に光学透明粘着層15、透明基材層14、電極層13、光学透明粘着層12、カバー層11を順に形成してもよい。また、透明基材層14の下面に光学透明粘着層15を介して透明基材層16を形成し、さらにシールド層17を形成した後に、透明基材層14上に電極層13、光学透明粘着層12、カバー層11を順に形成してもよい。
【0054】
ドットスペーサ群18を形成する工程(
図3(B))においては、シールド層17の下面17bに、フォトリソグラフィによってドットスペーサ群18を形成する。また、シールド層17の下面17bのうち、ドットスペーサ群18を形成していない所定範囲に回路部19を形成する。回路部19を収納したICは、シールド層17の下面17bに印刷された絶縁性接着剤によってシールド層17に固定される。なお、ドットスペーサ群18と回路部19の形成順序はどちらが先でも良いし、同時に形成してもよい。
【0055】
表示器30と静電容量式タッチパネル10を互いに接合する工程においては、まず、印刷によってシールド層17上に接着層20を形成する(
図3(C))。接着層20は、ドットスペーサ群18と重ならない範囲に形成される。接着層20は、
図2(A)や
図3(C)では回路部19を覆う位置に配置されているが、これに限定されず、回路部19を覆っていなくても良い。次に、シールド層17とオーバーコート層32が互いに対向するように、接着層20をオーバーコート層32に接合させ、これによって表示器30と静電容量式タッチパネル10を互いに接合させる。
【0056】
次に本実施形態の実施例について説明する。
<実施例1>
静電容量式タッチパネル10の各層及びオーバーコート層32を次のように構成した。
・カバー層11:ガラス、厚さ550μm
・光学透明粘着層12:アクリル系接着剤、厚さ100μm
・電極層13:ITO、厚さ0.05μm
・透明基材層14:PET、厚さ50μm
・光学透明粘着層15:アクリル系接着剤、厚さ100μm
・透明基材層16:PET、厚さ50μm
・シールド層17:ITO、厚さ0.05μm
・ドットスペーサ群18を構成する突起:アクリルで形成し、高さ1.5μm、端面181(
図2(B))は直径(2・R)が30μmの円である円錐形状とした。
【0057】
この形状によれば、突起の厚さHと突起の最大幅Lの比は、1.5/30=0.05となる。
・接着層20:厚さ0.3mm
・オーバーコート層32:アクリル、厚さ3μm
・シールド層17の下面17bにおける突起の間隔(ピッチ):0.1〜0.7mm
【0058】
この構成において、複数の突起がシールド層17の下面17bを占める占有率は次のとおりである。
【0059】
突起の間隔(単位mm) :占有率(単位%)
0.1 :7.065
0.2 :1.76625
0.3 :0.78500
0.4 :0.44156
0.5 :0.28260
0.6 :0.19625
0.7 :0.14418
0.8 :0.11039
0.9 :0.08722
1.0 :0.07065
【0060】
カバー層11の上面11aを押し下げて突起をオーバーコート層32に接触させたところで押し下げ力を解除した場合に、突起がオーバーコート層32から離れるまでの時間を測定した。結果は次のとおりであって、
○は、カバー層11の押し下げ解除から0.1秒未満で突起がオーバーコート層32から離れたことを示し、
△はカバー層11の押し下げをやめてから0.1秒以上1秒未満で突起がオーバーコート層32から離れたことを示し、
×は押し下げを解除してから1秒以上突起がオーバーコート層32に接触した状態を保っていたことを示している。
【0061】
突起の間隔(単位mm) :評価
0.1、0.2、0.3、0.4 :○
0.5 :△
0.6、0.7、0.8、0.9、1.0 :×
【0062】
以上の結果から、突起の間隔が0.1〜0.4mmの範囲であれば、突起はオーバーコート層32から直ちに離れるため、表示器30の表示がにじんでしまうことを抑えることができる。
【0063】
<実施例2>
実施例2では、ドットスペーサ群18を構成する突起をアクリルで形成し、高さ1.5μm、端面181(
図2(B))は直径(2・R)が50μmの円である円錐形状とした。
【0064】
この形状によれば、突起の厚さHと突起の最大長さLの比は、1.5/50=0.03となる。
【0065】
静電容量式タッチパネル10のドットスペーサ群18以外の各層及びオーバーコート層32の構成は実施例1と同様である。
【0066】
この構成において、複数の突起がシールド層17の下面17bを占める占有率は次のとおりである。
【0067】
突起の間隔(単位mm) :占有率(単位%)
0.1 :19.625
0.2 :4.90625
0.3 :2.18056
0.4 :1.22656
0.5 :0.78500
0.6 :0.54514
0.7 :0.40051
0.8 :0.30664
0.9 :0.24228
1.0 :0.19625
【0068】
実施例1と同様の評価を行ったところ、次のような結果であった。
突起の間隔(単位mm) :評価
0.1、0.2、0.3、0.4 :○
0.5 :△
0.6、0.7、0.8、0.9、1.0 :×
【0069】
以上の結果から、突起の間隔が0.1〜0.4mmの範囲であれば、突起はオーバーコート層32から直ちに離れるため、表示器30の表示がにじんでしまうことを抑えることができる。
【0070】
以上のように構成されたことから、上記実施形態によれば、次の効果を奏する。
(1)ドットスペーサ群18を構成する突起18a〜18kについて、X1−X2方向(静電容量式タッチパネル10の下面の面方向)における最大幅Lと、Z2方向(突出方向)における厚さHが以下の式(1)を満足するように構成している。
0.02≦H/L≦0.1 (1)
【0071】
この構成によれば、複数の突起18a〜18kがX1−X2方向に広がった形状となるため、隣り合う突起間の凹みが浅くなっている。したがって、使用者によってカバー層11が押されたときに、複数の突起18a〜18kがオーバーコート層32に接触したとしても、隣り合う突起間にオーバーコート層32が入り込みにくくなっているため、オーバーコート層32が突起18a〜18k及びシールド層17から直ちに離間しやすい。このため、使用者の操作による表示器30の表示のにじみの発生を抑えることができ、高精細な表示を実現できる。
【0072】
(2)表示器30の表示面31aは、平坦であって反射防止処理を施されていないため、表示器本体31からの出射光を拡散させたり、乱反射させたりすることがないことから、表示のにじみの発生を抑えることができる。
【0073】
(3)複数の突起18a〜18kが0.1mm以上0.4mm以下の間隔(ピッチ)で配置されているため、突起18a〜18kがオーバーコート層32に接触したとしても、隣り合う突起間にオーバーコート層32が入り込みにくくなる。このため、オーバーコート層32が突起18a〜18k及びシールド層17から直ちに離間しやすくなり、これにより、使用者の操作による表示器30の表示のにじみの発生を抑えることができる。
【0074】
(4)複数の突起18a〜18kは、静電容量式タッチパネル10の下面のうち、表示領域110に対応する範囲の0.07%以上5.0%以下を占めている。このように、複数の突起18a〜18kの占める割合が十分小さいため、シールド層17とオーバーコート層32が接触したとしても直ちに離間しやすい。
【0075】
(5)複数の突起18a〜18kの下面と表示器30の表示面31aとの間隔を0.1mm以上0.3mm以下にしているため、入力機器100の薄型化と、静電容量式タッチパネル10とオーバーコート層32の離れやすさと、を両立することができる。
【0076】
(6)複数の突起18a〜18kをフォトリソグラフィによって形成することにより、直径が小さく、かつ、平坦な形状の端面を形成することができ、これにより、オーバーコート層32と接触しても直ちに離間させることが可能となる。また、平坦な端面にすることにより、表示器30からの入射光の乱反射を抑えることが可能となるため、表示器30による表示をにじませたり、乱れさせることを防ぐことができ、高精細な表示を実現することが可能となる。
【0077】
本発明について上記実施形態を参照しつつ説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、改良の目的または本発明の思想の範囲内において改良または変更が可能である。