(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態では、特定の薬の効果を示す指標として出力・表示する際に、医師による判断の際に必要な治療情報、過去の測定情報、被検者の属性等が同時に与えられるようにする。医師、オペレータ、患者、患者の家族に対して、光脳機能計測(例えば、光トポグラフィ法)の測定データ、薬の効果に関する指標、治療情報等を時系列的かつ効果的に出力もしくは表示する。さらに、医師による診断に有用な時系列的な情報を、治療情報に依存して、統合的かつ効果的に医師もしくはオペレータもしくは被検体に対して、再現性良く出力及び表示する。治療情報と脳活動情報の同時表示を行い、治療情報、過去情報の有無に応じた表示ROIを最適化する。また、過去複数回の脳機能指標と治療情報とを関連付けた表示方法を実現する。本発明の実施系による検査結果表示においては、振幅量の差分値が所定の閾値以上かどうか(振幅値と所定のしきい値との大小関係)を判定することにより、差分値の表示方法を変更する。表示方法には、差分値の背景色、差分値の数値を表示するフォント、文字色を含む。さらに、治療情報と使用する課題により、表示する計測位置を選択する。ここで、治療情報とは、薬の種類、量、頻度を含む服用情報、治療歴、脳活動測定を含む検査履歴である。特に、薬もしくは課題の選択により、表示する計測位置を変える。例えば、抑制課題(例えば、Go/No-Go課題)時には前頭前野(前額部)、注意課題(例えば、Oddball課題)時には前頭前野と頭頂葉を表示対象とする。もしくは、MPH(メチルフェニデート、)を服用している場合には前頭前野、ATX(アトモキセチン)を服用している場合には前頭前野と頭頂葉を表示対象としてもよい。条件に依存して表示対象とする脳部位は、これに限らず、今後の研究成果により変化しても良く、治療目的に応じて変化しても良い。左右利き手情報により表示する計測位置(特に、左右)を変える機能を有しても良い。過去にデータ取得履歴があるかを自動判定し、過去データが有る場合に最新の過去データを複数例同時に表示する。特に、注意欠陥/多動性障害(Attention Deficit / Hyperactivity Disorder: ADHD)における薬の効果の判断において、親および教師の行動観察によってスケーリングされたDSM−IV−TRの評価スケールの他、生体計測に基づく薬効判断の指標、例えば脳機能指標の時間的変化及び治療情報の時間的変化を同時に表示する。尚、ここでは脳機能指標を光脳機能計測(光トポグラフィ等)で取得する例について述べたが、これに限らず、脳波計、脳磁計等の電磁気的手段に基づく測定方法、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)に基づいて取得したものでも良い。
【0013】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。添付図面では、機能的に同じ要素は同じ番号で表示される場合もある。なお、添付図面は本発明の原理に則った具体的な実施形態と実装例を示しているが、これらは本発明の理解のためのものであり、決して本発明を限定的に解釈するために用いられるものではない。
【0014】
本実施形態では、当業者が本発明を実施するのに十分詳細にその説明がなされているが、他の実装・形態も可能で、本発明の技術的思想の範囲と精神を逸脱することなく構成・構造の変更や多様な要素の置き換えが可能であることを理解する必要がある。従って、以降の記述をこれに限定して解釈してはならない。
【0015】
更に、本発明の実施形態は、汎用コンピュータ上で稼動するソフトウェアで実装しても良いし専用ハードウェア又はソフトウェアとハードウェアの組み合わせで実装しても良い。
【0016】
なお、以後の説明では「テーブル」形式によって本発明の各情報について説明するが、これら情報は必ずしもテーブルによるデータ構造で表現されていなくても良く、リスト、DB(データベース)、キュー等のデータ構造やそれ以外で表現されていても良い。そのため、データ構造に依存しないことを示すために「テーブル」、「リスト」、「DB」、「キュー」等について単に「情報」と呼ぶことがある。
【0017】
また、各情報の内容を説明する際に、「識別情報」、「識別子」、「名」、「名前」、「ID」という表現を用いることが可能であり、これらについてはお互いに置換が可能である。
【0018】
<脳機能指標出力装置の構成>
図1は、本発明の実施形態による脳機能指標出力装置(診断補助装置、或いは診断補助システムとも言う)100及び周辺装置の概略構成を示す図である。
【0019】
脳機能指標出力装置100は、各種情報や各種データを入力したり、受信したりするための入力部101と、入力部101が取得した情報やデータ、及び演算部109による処理結果を格納する記憶部102と、各種データをプログラムに基づいて演算及び処理する演算部(CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサで構成される)109と、演算部109から演算結果やデータ等を受け取り、ディスプレイ等の表示部106に演算結果やデータ等を出力する出力部103と、を備えている。また、周辺装置として、被検者(患者)情報や被検者の治療情報等を保持するデータベース104、患者が実行する課題(例えば、attention task及びinhibition taskなど)を提供し、課題に対する被検者の反応時間や正答率をデータとして記憶部102に供給する課題部(タスクコントローラ)105、治療薬の投与前後の患者の脳の各部位における生体信号(例えば、ヘモグロビン濃度変化)を測定し、生体信号を入力部101に供給する測定部107、及び演算結果、被検者によるタスクの結果、検出結果や被検者の治療情報等を同時に並列表示する表示部106が用意されている。
【0020】
データベース104は、各被検者(患者)の情報、及び当該各被検者の治療情報等を格納する。被検者の情報としては、被検者を識別するための被検者ID、当該被検者が掛かっている病院を識別するための病院ID、被検者の姓名、被検者の誕生日、被検者が受診した日付、被検者の性別等の情報が含まれる。治療情報としては、処方薬の種類、今回処方された薬の種類と投薬量、投薬頻度、治療歴情報(一例として、過去に投与された薬の種類と投薬量)、及び過去の測定結果(過去に測定して得られた生体信号)等が含まれる。データベース104に格納された情報は、入力部101を介して演算部109に提供される。なお、データベース104は、脳機能指標出力装置100とネットワークを介して接続され、遠隔的に設置されるようにしても良い。
【0021】
測定部107は、例えば生体光計測装置(光脳機能計測装置、光トポグラフィ等)で構成される。生体光計測装置は、複数の光源、前記光源から照射される光を検出する複数の光検出器、及び複数のプローブを含む検査用ヘッドセットと、光検出器によって検出された光を信号化する本体部と、を有し、検出光量の変化を用いて生体内の血行動態変化(例えば、脳活動に伴う大脳皮質のヘモグロビン濃度変化)を測定・画像化する装置である。測定部107によって測定された生体信号は、入力部101を介して演算部109に提供される。
【0022】
課題部105は、被検者が、医師もしくはオペレータによって選択されたタスク(例えば、注意課題(attention task)と抑制課題(inhibition task)のうち何れか一方)を実行し、タスクの種類と、タスクの実行の結果である反応時間及び正答率と、を記憶部102に格納する。
【0023】
入力部101は、データベース104から被検者情報や治療情報を、測定部107から生体信号を、課題部105から患者が実行したタスクの種類やタスクの実行結果をそれぞれ受信し、演算部109に受け渡したり、記憶部102に格納する。また、入力部101は、医師やオペレータが指示や情報を脳機能指標出力装置100に入力するための手段としても用いられる。入力部101は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、USB(Universal Serial Bus)ポートなどのメモリポート、LAN(Local Area Network)ポートなどの通信ポート等が該当する。
【0024】
記憶部102は、入力部101を介して取得された情報やデータ、及び演算部109による演算結果等を格納するためのメモリやHDD(Hard Disk Drive)等で構成される。
【0025】
演算部109は、図示しないメモリから検査結果表示生成及び出力に必要な各種プログラム(例えば、後述の
図5及び10のフローチャートに対応する処理を実行するためのプログラム)を読み込み、適宜実行し、実行結果を出力部103に提供する。
【0026】
出力部103は、演算部109による制御に基づいて、記憶部102に格納されている情報やデータを受け取り、表示部106に出力する。出力部103は、例えば、USBポートなどのメモリポート、D−Sub(D-subminiature)(VGA(Video Graphics Array))コネクタ、DVI(Digital Visual Interface)コネクタ等のディスプレイインタフェース、LANポートなどの通信ポート等が該当する。
【0027】
表示部106は、出力部103から出力されたデータや情報を画面に表示する。表示部106は、ディスプレイであっても良いし、プリンタであっても良い。
【0028】
なお、
図2に示されるように、脳機能指標出力装置100として、課題部105及び測定部107を内部に含める構成を採用しても良い。
【0029】
<処理シーケンス>
図3は、本発明の実施形態による脳機能指標出力装置100の各構成部と各周辺装置において実行される処理のシーケンスを示す図である。
【0030】
(i)シーケンス301
医師やオペレータが被検者を指定すると、入力部101はデータベース104から対応する被検者情報を受信し、当該被検者情報を演算部109に受け渡す。被検者情報には、例えば、対応する被検者の姓名、年齢、性別等の個人情報と、対応する被検者の治療履歴情報や今回の治療情報(治療薬や投与量等)等が含まれる。
【0031】
(ii)シーケンス302
医師やオペレータの指示に基づいて、入力部101は、測定部107に対して計測設定を入力する。ここで計測設定は、例えば、どの被検者の生体信号であり、また課題(タスク)や投薬の種類に応じてどの部位の生体信号を取得するかについての設定である。例えば、注意課題(例えばOddball課題)の場合には被検者の前頭前野と頭頂葉、被検者(患者)の服用薬がMPHの場合には前頭前野、被検者の服用薬がATXの場合には前頭前野と頭頂葉からの生体信号を取得するように設定される。このように課題の種類や投薬の種類に応じて取得すべき部位の生体信号が異なるため、どの部位の生体信号を取得するか予め設定される。なお、この計測設定は自動的に行っても良い。例えば、対象とする課題及び対象とする治療薬に対応する脳の部位との対応関係を示す情報(例えばテーブル形式の情報)を測定部107内のメモリや記憶部102等に予め保持しておく。そして、医師やオペレータが実行課題の種類や投薬の種類を指定すると、測定部107が測定部107内のメモリや記憶部102から指定内容に対応する適切な部位の情報を取得するようにしても良い。
【0032】
(iii)シーケンス303
測定部107は、例えば投薬を受けた被検者が与えられた課題(タスク)を実行している状態、及び実行していない状態の生体信号(例えば、光トポグラフィ信号)を計測し、入力部101を介して当該生体信号を提供する。なお、当該生体信号は、どの被検者のどの部位の信号であるか特定できるように演算部109に送られる。
【0033】
(iv)シーケンス304
医師やオペレータの指示に基づいて、入力部101は、演算部109に対して解析設定の情報を提供する。ここで解析設定は、どの被検者がどのような課題を実行するかについての情報、及び後述の光トポグラフィ検査報告書に何を表示するかについての情報を含んでいる。なお、本実施形態の場合、計測設定で課題に対応する関心領域(ROI)を指定しているが、解析設定に実行課題に対応する注目部位の情報を含めても良い。また、当該注目部位の情報は、設定された課題に対応して自動的に設定しても良い。
【0034】
(v)シーケンス305
被検者が課題部105から与えられる課題を実行すると、課題部105は、例えば課題に対する被検者の反応時間や正答率等をタスク実行結果として、入力部101を介して演算部109に提供する。
【0035】
(vi)シーケンス306
演算部109は、データベース104、測定部107、及び課題部105から送られてきた情報及びデータを受け取り、これらを統合して診断補助情報(統合情報:
図4参照)を生成し、記憶部102に保存する。データを記憶部102に保存する際、演算部109は、被検者(患者)情報に含まれる被検者(患者)IDに、生体信号、課題の実行結果、及び投薬情報を含む治療情報等の全てを関連付ける。このようにすることにより、検査報告表示(
図6や
図13等参照)をする際に必要な情報を正確かつ容易に取得することができるようになる。
【0036】
(vii)シーケンス307
医師やオペレータのデータ表示の指示に応答して、演算部109は、当該指示に基づいて診断補助情報を記憶部102から取得する。なお、データ表示の指示は、医師やオペレータが入力部101を操作することによって入力される。演算部109は、データ表示の指示に従って、当該指示に含まれる被検者(患者)の情報(例えば、被検者IDや名前)や課題の情報からそれに関連付けられた診断補助情報を記憶部102から取り出す。
【0037】
(viii)シーケンス308
演算部109は、シーケンス307で記憶部102から取り出した診断補助情報を出力データとして出力部103に提供する。
【0038】
(ix)シーケンス309
表示部106は、出力部103から表示すべき診断補助情報を受け取り、画面上に表示する。取得した診断補助情報をどのように画面上に表示するかは、解析設定に含まれている。
【0039】
<診断補助情報の構成>
図4は、本発明の実施形態による診断補助情報400の構成例を示す図である。上述のように、診断補助情報400は、演算部109がデータベース104、測定部107、及び課題部105から取得したそれぞれの情報やデータを統合することによって生成される。
【0040】
診断補助情報400は、例えば、被検者(患者)を一意に特定・識別するための被検者ID401と、当該被検者が掛かっている病院を一意に特定・識別するための病院ID402と、当該被検者の測定結果を一意に特定・識別するための測定ID403と、課題及び治療を実行した日付を特定するための日付404と、当該被検者の氏名405と、当該被検者の性別406と、当該被検者の誕生日407と、当該被検者についての治療履歴情報408と、今回の治療の際に用いる治療薬を示す処方箋情報409と、今回投薬する治療薬の投与量410と、今回被検者が実行した課題(タスク)411と、今回測定して得られた生体信号412(対応する治療薬を投与して対応する課題を行っている間及び休憩している間の生体信号:Extracted trial signal)と、課題に対する被検者の反応時間413と、課題に対する被検者の正答率414と、別途医師やオペレータによって入力される、行動観察結果のスケール値415と、診断結果416と、今後の治療に関する処置417と、を構成情報として有している。さらに、過去の測定結果(生体信号)が含まれていても良い。
【0041】
被検者(患者)は、被検者IDは1つしか持てないが、複数回の測定を行う場合もあるので、異なる測定IDを持つことが可能である。
【0042】
診断補助情報400のうち、被検者ID401、病院ID402、日付404、氏名405、性別406、誕生日407、治療履歴408、処方箋情報409、及び投与量410はデータベース104から取得された情報である。また、測定ID403、及び生体信号412は測定部107から取得された情報である。さらに、課題411、反応時間413、及び正答率414は、課題部105から取得された情報である。
【0043】
行動観察結果のスケール値(Rating scale)415は、親や医師の主観に基づく観察結果をスコアとして表したものである。また、診断結果416及び今後の治療に関する処置417は、医師が表示された検査結果表示(光トポグラフィ検査報告書:
図6や
図13参照)を見て入力した情報である。従って、検査結果表示(光トポグラフィ検査報告書)が医師に提供される前の段階では当該欄はブランクとなっている。なお、今後の治療に関する処置417に対しては、例えば医師がプルダウンメニュー418により選択して入力することも可能である。
【0044】
<検査結果の表示処理>
図5は、本発明の実施形態による脳機能指標出力装置100によって実行される、検査結果報告を表示するまでの処理を説明するためのフローチャートである。
【0045】
(i)ステップ501
演算部109は、データベース104から取得した被検者情報及び治療情報を診断補助情報400に設定する。具体的には、演算部109は、データベース104から、被検者のID、氏名、及び性別等の被検者情報、並びに被検者の治療履歴、今回用いた治療薬や投薬量等の治療情報を取得し、被検者ID401、病院ID402、日付404、氏名405、性別406、誕生日407、治療履歴408、処方箋情報409、及び投与量410のそれぞれの欄に入力する。テーブル形式で情報を保持しない場合には、これらの情報が互いに関連付けられて(例えば、被検者ID401から治療履歴等の情報が直ちに取得できるように)記憶部102内に格納されることになる。
【0046】
(ii)ステップ502
演算部109は、医師或いはオペレータが入力した解析設定を取得し、取得する生体信号の解析方法を設定する。解析設定には、被検者が実行する課題の情報、注目すべき部位もしくは関心領域(ROI)、及び検査結果表示のための条件(例えば、表示解像度、ノイズ除去の有無、過去のデータを同時表示するか否か、検査結果の表示態様を示す表示設定情報等)等が含まれる。上述したように、演算部109は、課題の情報に基づいて、それに対応する注目すべき部位を特定しても良い。
【0047】
(iii)ステップ503
演算部109は、被検者が行った課題の結果を課題部105から取得する。課題の結果(課題実行結果)には、課題の種類、被検者の課題に対する反応時間、及び被検者の課題に対する正答率等が含まれる。
【0048】
(iv)ステップ504
演算部109は、測定部107から被検者の生体信号を取得し、診断補助情報400に設定する。より具体的には、演算部109は、測定部107から被検者情報(例えば、被検者ID)とともにそれに関連付けられた測定結果である生体信号や測定日の情報を取得する。そして、演算部109は、同じ被検者IDや日付に対応する生体信号412の欄に生体信号を入力する。テーブル形式で情報を保持しない場合には、被検者IDと生体信号が互いに関連付けられて(例えば、被検者IDから生体信号が直ちに取得できるように)記憶部102内に格納されることになる。
【0049】
(v)ステップ505
演算部109は、取得した生体信号を解析する。例えば、生体信号にフィルタを掛けてノイズを除去したり、被検者が課題を実行している時間、及び実行していない時間における生体信号を用いた統計解析を行ったりする。統計解析に関し、より具体的には、演算部109は、例えば、複数回実行される課題の結果に対し、対象の被検者の特定の時間におけるデータの平均値を算出する。また、演算部109は、例えば、被検者が課題を実行している時間帯と安静にしている時間帯における生体信号の差分値もしくは比を算出する。さらに、演算部109は、治療薬投与前後の生体信号の差分値もしくは比を算出しても良い。解析結果は、診断補助情報400の1つとして登録しても良い。
【0050】
(vi)ステップ506
演算部109は、被検者が課題を実行し、得られた生体信号を解析した後、データベース104における被検者情報及び治療情報を更新する。対象となる被検者が初めて投薬され、課題を実行した場合には、以前当該被検者の情報及び治療情報はデータベース104に登録されていない。また、対象となる被検者が以前投薬され、課題を実行したことがある場合であっても、今回の測定結果や治療情報はまだデータベース104には登録されていない。そこで、演算部109は、新たに得られた情報やデータをデータベース104に登録し、被検者情報及び治療情報を更新する。
【0051】
(vii)ステップ507
演算部109は、対象の被検者に関し、今回の生体信号(光脳機能計測信号)の測定が初回か否か判断する。初回か否かは被検者情報がデータベース104に登録されておらず、新たに作成したか否かによって判定することができる。初回の場合(ステップ507でYesの場合)には、処理はステップ510に移行する。以前にも測定したことがある場合(ステップ507でNoの場合)には、処理はステップ508に移行する。
【0052】
(viii)ステップ508
演算部109は、入力された解析設定に含まれる複数データ(過去の測定データ)同時表示設定の有無の情報に基づいて、今回の表示が複数データを同時に表示するものか否か判断する。複数データ同時表示設定である場合(ステップ508でYesの場合)、処理はステップ509に移行する。複数データ同時表示設定ではない場合(ステップ508でNoの場合)、処理はステップ510に移行する。
【0053】
(ix)ステップ509
演算部109は、当該被検者の過去のデータ(例えば、以前測定された生体信号やそのときの治療情報等)をデータベース104、或いは診断補助情報400から取得する。
【0054】
(x)ステップ510
演算部109は、今回測定された生体信号、解析結果(例えば、算出した平均値や差分値)、被検者情報、必要に応じて過去の測定された生体信号等、及び医師やオペレータによって入力された表示設定情報を、出力部103を介して表示部106に提供する。表示部106は、当該表示設定情報に基づいて、生体信号、解析結果、被検者情報等を画面にレイアウトし、表示する。
【0055】
<検査結果表示(デフォルト)の構成例>
図6は、本実施形態による検査結果表示(光トポグラフィ検査報告書)の初期設定(デフォルト)構成(例)600を示す図である。
【0056】
検査結果表示の初期設定構成600は、被検者情報表示領域601と、プローブ配置表示領域602と、波形表示領域603と、統計データ表示領域604と、コメント記載欄605と、参考情報表示領域606と、関係者等情報表示領域607と、を構成項目として含んでいる。検査結果表示をこのような構成にすることにより、課題及び治療情報に応じた領域表示を設定することができ、医師の診断を補助することができるようになる。
【0057】
被検者情報表示領域601は、被検者ID、被検者氏名、被検者の年齢、被検者の性別、被検者の利き手、被検者の生年月日、検査日、被検者が実行した検査課題、検査コメント等を表示するための領域である。さらに、被検者情報表示領域601は、ファイルから被検者の情報を読み込むためのファイル選択ボタンを備えている。
図7を用いて後述するように、被検者情報表示領域601に表示する項目については適宜変更可能となっている。
【0058】
プローブ配置表示領域602は、検査をする人の臓器や器官(例えば、脳)のイラスト上に配置される、複数のチャンネル表示6021と、複数の光源プローブ6022と、複数の光検出プローブ6023と、を表示するための領域である。検査臓器が脳の場合、
図6に示されるように、左右の脳の部分にプローブ群が配置される。複数のチャンネル表示6021は、生体信号(例えば、検出光の増減を示す信号)を取得する部位(領域:チャンネル)を示しており、医師やオペレータによって注目領域として適宜選択可能(例えば、課題の種類や投与した治療薬の種類によって選択する)なようになっている。本実施形態では、22チャンネルが設定されており、前頭前野及び頭頂葉を対象とする場合には注目すべきチャンネルが予め決められているようにしても良い。光源プローブ6022は、大脳皮質の活性状態を計測するために近赤外光を照射する。光検出プローブ6023は、頭皮上に照射された近赤外光が再び頭皮上に戻る際の反射光を検出する。この検出光の増減でヘモグロビン濃度がわかるため、大脳皮質の血液量がわかり、脳の活性状態が計測できるようになっている。なお、イラスト(顔部分の表示方法)をMRI構造画像の上に重ねることによって3D表示にしたり、側頭部のプローブ装着の様子が分かりやすい専用の画像にしても良い。また、初期設定では光源数や検出器数、及びそれらの配置は予め決められたものとなっているが、医師やオペレータが、当該プローブ配置表示領域602に表示される光源数、及び検出器数を任意に設定することができるようにしても良い。
【0059】
波形表示領域603は、選択された領域における、生体信号の平均値の波形、或いは差分平均値の波形を表示する領域である。初期設定(デフォルト)では、領域1の生体信号の差分平均値の波形が示される。波形表示領域603に表示される波形についても医師或いはオペレータによって適宜選択可能になっている。ここでは生体信号の平均値の波形について述べたが、これに限らず、生体信号の所定期間の積分値、重心値、傾き、所定波形や複数の所定期間における波形間相関値、等を表示しても良い。
【0060】
統計データ表示領域604は、選択された領域(チャンネル)における、算出された統計データを示す領域である。被検者は、1回の検査において同じ課題を複数回実行する。そのため、1回の検査において取得された複数の生体信号の平均値を算出し、それを対応する検査の測定結果としている。統計データ表示領域604においてS(Stimulation)の値が課題実行中に計測された生体信号の平均値を示し、B(Base line)の値が課題を実行していない休憩中に計測された生体信号の平均値を示している。Sがある1日の検査における投薬後の計測(Bの計測後に服薬し、少なくとも1.5h以上経過後)を表し、Bが投薬前の計測を表すとして、Sの値がある1日における投薬後の課題実行中に計測された生体信号の平均値を示し、Bの値が投薬前の課題実行中に計測された生体信号の平均値を示すようにしても良い。また、B1及びS1が1回目の検査に対応し、B2及びS2が2回目の検査に対応する。差分平均値は、1回の検査における、課題実行前後の生体信号の差分の平均値、或いは治療薬を投与する前後の生体信号の差分の平均値を示している。ここでは生体信号の差分の平均値について述べたが、これに限らず、複数の生体信号間の相関値や比の平均値、生体信号の積分値の差分値、重心値の差分値、傾きの差分値であっても良い。
【0061】
コメント記載欄605は、医師或いはオペレータが検査結果を見て気づいた点等に関するコメントを入力するための領域であり、最初はブランク状態となっている。
【0062】
参考情報表示領域606は、計測実施日の参考情報を入力するための領域である。例えば、被検者による治療薬やその投薬量等の服用情報が入力される。また、読み込んだ被検者のデータを計測した日時が自動的に入力される。なお、例えば、「計測実施日の参考情報」の選択肢にADHD治療薬である MPHやATXを予め登録しておき、これらの項目を選択するときに「MPH服用時に注目する領域」及び「ATX服用時に注目する領域」が自動で設定されるような機能を設けても良い。
【0063】
関係者等情報表示領域607は、担当する医師名、評価者名、検査者名、及び検査報告日等を表示するための領域である。また、この領域に、「保存」、「印刷」、及び「閉じる」のアイコンが表示される。
【0064】
<被検者情報の表示設定>
図7は、本実施形態による、被検者表示領域に表示する被検者の項目を選択するための表示項目選択画面の構成例を示す図である。当該表示項目選択画面700は、例えば、
図6の初期設定の画面で「編集」を押下するとポップアップで表示される。
【0065】
表示項目選択画面700においては、表示項目として、例えば、検査結果報告書のタイトル、被検者ID、姓、名、検査コメント、年齢、性別、生年月日、検査課題、検査医師、評価者、検査者、報告日、及び病院情報が選択可能になっている。これらの項目は一例であり、増減可能である。
【0066】
また、表示項目選択画面700には、「初期値に戻す」ボタン、「OK」ボタン、及び「キャンセル」ボタンが表示される。「初期値に戻す」ボタンを押下すれば、初期状態の表示項目に設定が戻る。「OK」ボタンを押下することにより選択された表示項目が有効になる。さらに、「キャンセル」ボタンを押下すれば一旦選択した表示項目が全て非選択の状態になる、もしくは設定内容を保存せずに表示項目選択画面700を終了する。
【0067】
<検査結果表示のレイアウト設定>
図8は、本実施形態による、検査結果表示のレイアウト設定画面の構成例を示す図である。当該レイアウト設定画面800は、例えば、
図6の初期設定の画面で「レポート画面レイアウト」を押下するとポップアップ表示される。
レイアウト設定画面800は、レイアウト編集可能領域表示部801と、表示内容設定部802と、カットオフ設定部803と、を構成項目として含んでいる。
【0068】
レイアウト編集可能領域表示部801は、被検者情報表示領域から関係者等情報表示領域までの領域が画面上でどのようにレイアウトされるかを示している。
図8の例では、被検者情報表示領域と関係者等情報表示領域について固定領域として表示内容を変更できないようになっており、その他の領域については任意の内容に設定可能になっている。また、「大」領域は、被検者情報表示領域の下に設けられる。「大」領域と関係者等情報表示領域の間に、画面1から画面4までの4つの領域が配置されるようになっている。
【0069】
内容表示設定部802は、検査結果表示を構成する各領域において表示すべき内容を医師やオペレータが選択するためのツールである。医師やオペレータは、内容表示設定部802を用いて、レポートの種類を入力すると共に、「大」領域、及び画面1乃至画面4の表示内容を入力することができる。
図8では、プルダウンメニューによって入力内容を選択できるように構成されているが、医師等が直接入力できるようにしても良い。
【0070】
カットオフ設定部803は、例えば、治療薬が被検者に効果があったか否かを示すための閾値を設定するためのツールである。生体信号(平均値や差分平均値)の振幅値が閾値以上であれば治療薬が被検者に効果的であったことを意味し、閾値未満の場合には効果が小さかったことを意味する。このようにすることにより、検査結果報告表示おける統計データ表示領域604において、生体信号(平均値や差分平均値)が設定された閾値以上の場合にはその旨が分かるようなデータ表示形態(例えば、該当する欄の背景を赤く表示する)とすることが可能となる。また、カットオフ設定部803は治療薬の効果に限らず、測定結果をあらかじめ設定された分類(例えば,分類A,分類B)に分けるための境界値(閾値)として設定するためのツールとして用いることも可能である。
【0071】
<ファイル選択画面の構成>
図9は、本実施形態によるファイル選択画面の構成例を示す図である。ファイル選択画面900は、例えば、初期起動画面(
図6)において「ファイル選択」のアイコンを押下することにより表示される。このファイル選択画面900を用いることにより、検査結果表示する対象データを選択することができる。例えば、被検者ID、姓、名、性別、生年月日、IDコメントの何れか1つ以上の項目に検索したい情報を入力すると、入力された項目に対応するデータが表示され、医師やオペレータは、そのうち1つを選択することができる。
【0072】
想定される使用方法としては、例えば、1日目(初診時)の計測データに対し検査結果表示(検査報告書)を作成した後、同被検者の2日目(投薬後2週間経過)の計測データを1日目データに追加して検査報告書を作成する、といった使用形態である。従って、2日目の計測データに関する検査報告書を作成する際に、ファイル選択画面を用いて1日目のデータを取得することができる。このようにすることにより、過去データの参照を自動化することができ、医師やオペレータの手間を削減できる等の効果が期待できる。また、複数日の計測データを容易に比較できるという効果が期待できる。
【0073】
<関心領域(ROI)の設定処理>
図10は、本実施形態による関心領域(ROI)の設定処理を説明するためのフローチャート例である。
【0074】
(i)ステップ1001
医師或いはオペレータが入力部101を用いて初期設定画面(
図6)の「表示」を押下すると、演算部109が「表示」の押下を検知し、
図11に示されるパラメータ設定画面1100を表示する。
【0075】
パラメータ設定画面1100は、表示パラメータ設定部1101と、解析パラメータ設定部1102と、関心領域設定ボタン1103と、再解析ボタン1104と、を備えている。表示パラメータ設定部1101は、表示すべき生体信号の波形のレンジを設定するためのツールである。
図11においては、ヘモグロビンの濃度変化の最大値を0.5、最小値を−0.5とするように設定されている。
【0076】
解析パラメータ設定部1102は、生体信号のどの時間区間を解析対象とするか設定するためのツールである。解析においては、例えば課題が複数回繰り返して呈示される場合、時系列データを各課題区間(ブロック)に分割し加算平均化処理することで、課題に同期した信号を抽出することが行われる。その上で、例えば、「課題区間」が選択されると、上記ブロックにおける時間範囲(解析区間)が、あらかじめ測定部107で測定時に設定された課題区間に自動で設定される。ここでは、例えば測定ブロック開始後17秒から38秒までの生体信号を解析対象とするように設定される。つまり、「課題区間」の場合、解析区間は固定区間として設定される。また、図示されてはいないが、「全区間」を選択すると全ブロック区間が解析区間として自動で設定され、「任意区間」を選択すると、医師やオペレータは解析区間を数値入力して自由に設定することができるようになっている。
【0077】
関心領域設定ボタン1103は、当該ボタンを押下して関心領域設定画面(
図12)に移行するためのボタンである。関心領域設定画面を用いて解析対象のチャンネル(領域)を設定することができるようになる。
【0078】
再解析ボタン1104は、例えば、パラメータを変更した場合に押下し、変更したパラメータで再度解析の実行を指示するためのボタンである。
【0079】
(ii)ステップ1002
演算部109は、医師やオペレータが
図11のパラメータ設定画面を用いて設定された、生体信号波形を表示するグラフのレンジの設定、及び解析対象区間の設定を取得(受信)し、検査結果表示に反映する。
【0080】
(iii)ステップ1003
演算部109は、医師やオペレータによって別途設定入力されたプローブの光源数及び検出器数、もしくはプローブ配置の情報に基づいて、光源及び検出器をイラスト上に表示する。例えば、設定された光源及び検出器はなるべく等間隔になるように配置される。
【0081】
(iv)ステップ1004
演算部109は、医師やオペレータによって関心領域設定ボタン1103が押下されたことを検知すると、例えば、
図12に示される関心領域設定画面1200をポップアップ表示する。
【0082】
関心領域設定画面1200は、関心領域(チャンネル)選択部1201と、関心領域登録部1202と、を備えている。関心領域選択部1201では、3つの領域を選択できるように示されているが、3つ以上であっても良い。関心領域設定部1201は、プローブ配置領域602において、解析対象チャンネルとして設定する領域を選択するためのツールである。関心領域登録部1202は、解析対象チャンネルとして選択された領域1乃至3の組み合わせに名称を付けて登録するためのツールである。解析対象チャンネルとして登録される領域の数は治療薬や課題の種類によって変動してもよく、常に3つの領域がセットで登録されるわけではなく、1つの場合もあれば2つの場合もある。
【0083】
(v)ステップ1005
医師やオペレータが関心領域設定画面1200上で解析対象チャンネルとして設定する領域1乃至3の何れかの領域ボタンを選択すると、演算部109は、プローブ配置領域602の複数のプローブ及びチャンネルが配置された臓器(脳)もしくはその表面のイラストを表示する。そして、医師やオペレータが当該イラスト上で上述の選択された領域(領域1乃至3の何れか1つの領域)として登録すべきチャンネルを例えばマウス(入力部101に相当)操作で設定すると、演算部109はその設定を検知し、選択された領域として登録すべきチャンネルの位置の情報を図示しないメモリに一旦格納する。このような動作が繰り返され、必要とされる全ての領域が解析対象チャンネルとして設定されると、処理はステップ1006に移行する。
【0084】
なお、ここでは臓器のイラスト上に表示されたプローブ及びチャンネル配置から1つのチャンネルを選択することにより解析対象チャンネルを設定するようにしているが、この形態には限られない。例えば、設定された全てのチャンネルの波形を描画する画面を表示し、波形を医師やオペレータに選択させることによって解析対象チャンネルを設定しても良い。
【0085】
(vi)ステップ1006
医師やオペレータが関心領域登録部1202に解析対象チャンネルとして設定する領域1乃至3の組み合わせの登録名称を入力し、「保存」ボタンを押下すると、演算部109は、当該領域の組み合わせを例えば記憶部102に登録する。このように解析対象チャンネルの組み合わせを登録しておくことにより、同様な検査を行う場合や別のレポート作成をするような場合に、解析対象チャンネルを再度設定する必要がなくなると共に容易に同一領域を設定することができるので、利用者にとっては非常に便利である。
【0086】
<カスタマイズされた検査結果表示の構成例>
図13は、医師やオペレータによって初期設定検査結果表示(
図6参照)がカスタマイズでされた検査結果表示の構成例を示す図である。検査結果表示は、初期設定検査結果表示(
図6)が表示された後に、
図7乃至12で説明した動作が実行されることによってカスタマイズされる。
図13は一例であり、医師やオペレータによる選択が異なればレイアウトや各領域に表示される情報は異なってくるものである。
図13に示される検査結果表示では、被検者情報、表示パラメータ(ヘモグロビン変化の軸範囲)、及び関心領域設定がカスタマイズされている。
【0087】
図13において、カスタマイズされた検査結果表示1300は、例えば、被検者情報表示領域601と、プローブ配置表示領域602と、波形表示領域603と、統計データ表示領域604と、コメント記載欄605と、参考情報表示領域606と、関係者等情報表示領域607と、を構成項目として含んでいる。
図13に示されるように、被検者情報表示領域601においては、被検者の姓名を表示しないように設定変更されている。
【0088】
プローブ配置表示領域602では、チャンネル10が領域1として設定され、領域1を示す印(1301)が表示され、チャンネル6が領域2として設定され、領域2を示す印(1302)が表示されている。ここでは、課題として注意課題(オドボール検査)が実施されているため、前頭前野及び頭頂葉に対する2つの領域が解析対象チャンネルとして設定されている。なお、プローブ配置表示領域602においては、脳表(MNI座標系もしくはTalairach座標系)でのチャンネル(測定位置)表示としてもよい。この場合、被検者の利き手情報に基づいて、表示する計測部位を左右で切り替えても良い。例えば、右利きの場合、右側部位を表示し、左利きの場合、左側部位を表示する。これにより、利き手により左右脳部位において異なる活動及び反応が期待される場合に、医師及びオペレータにとって有用な情報を効率的に表示できるという効果がある。
【0089】
波形表示領域603では、ヘモグロビン変化の軸範囲が−0.10から0.10に設定され、領域1の差分平均値波形(酸素化ヘモグロビン濃度及び脱酸素化ヘモグロビン濃度の差分波形)が表示されている。ここでは差分波形を表示しているが、医師やオペレータの選択により、ベースライン期間、課題実行期間の平均値の比の値及び比の波形を表示しても良い。さらに、波形の時間的積分値、平均値、所定期間で算出された波形の重心値、波形における所定期間の傾き、所定波形(例えば,Hemodynamic response function: HRF)との相関値、等の情報を表示しても良い。
【0090】
統計データ表示領域604では、領域1及び2におけるベースライン期間、課題実行期間の平均値、及びそれらの差である差分平均値が表示されている。また、これらの値が
図8で入力されたカットオフ値803以上である場合には、対応する値の背景色が変化するように表示される。ここでは、波形の時間的積分値、平均値、所定期間で算出された波形の重心値、波形における所定期間の傾き、所定波形(例えば,Hemodynamic response function: HRF)との相関値、等の情報を表示しても良い。
【0091】
参考情報表示領域606には、測定部107によって測定されたデータの測定日時が自動で入力される。そして、医師やオペレータは、測定日時に対応させて治療薬及びその投与量の情報や実行課題の情報を入力(選択入力)することができるようになっている。なお、参考情報として治療薬や実行課題の情報を入力すると、その入力に対応して解析対象チャンネルが自動的に登録されるようにしても良い。
【0092】
<検査結果表示のレイアウト設定の変形例>
図14は、本実施形態の変形例による、検査結果表示のレイアウト設定画面の構成例を示す図である。当該レイアウト設定画面1400は、レイアウト設定画面800と同様、例えば、
図6の初期設定の画面で「レポート画面レイアウト」を押下するとポップアップ表示される。
【0093】
レイアウト設定画面1400は、レイアウト編集可能領域表示部1401_1及び1401_2と、表示内容設定部1402と、パラメータ設定部1403と、を構成項目として含んでいる。
【0094】
レイアウト編集可能領域表示部1401_1及び1401_2は、被検者情報表示領域から関係者等情報表示領域までの領域が画面上でどのようにレイアウトされるかを示している。
図14の例では、被検者情報表示領域と関係者等情報表示領域について固定領域として表示内容を変更できないようになっており、その他の領域については任意の内容に設定可能になっている。また、「大」領域は、被検者情報表示領域の下に設けられる。「大」領域と関係者等情報表示領域の間に、画面1から画面10までの10個の領域が配置されるようになっている。
【0095】
内容表示設定部1402は、検査結果表示を構成する各領域において表示すべき内容を医師やオペレータが選択するためのツールである。医師やオペレータは、内容表示設定部1402を用いて、レポートの種類を入力すると共に、「大」領域、及び画面1乃至画面10の表示内容を入力することができる。
図14では、プルダウンメニューによって入力内容を選択できるように構成されているが、医師等が直接入力できるようにしても良い。画面の種類としては、例えば、領域1波形(差分)、解析範囲の平均値表、コメント、計測実施日の参考情報、服用情報等の治療情報、特徴量マップ、評価スケール(例えば、Rating Scale)、領域2波形(差分)、領域1波形(オリジナル)、前記波形等の積分値、前記波形等の重心値、前記波形等の傾き、前記波形と他の所定の波形との相関値、等が挙げられる。
図14では、コメント欄として2つ設定されているが、例えば、画面3に入力されたコメントは、診断補助情報400(
図4参照)の診断結果416に自動的に反映され、画面8に入力されたコメントは、今後の治療に関する処置417に自動的に反映されるようにしても良い。
【0096】
パラメータ設定部1403は、例えば、治療薬が被検者に効果があったか否かを示すための閾値や特徴量マップの横軸及び縦軸を設定するためのツールである。生体信号(平均値や差分平均値)の振幅値が閾値以上であれば治療薬が被検者に効果的であったことを意味し、閾値未満の場合には効果が小さかったことを意味する。このようにすることにより、検査結果報告表示おける統計データ表示領域604において、生体信号(平均値や差分平均値)が設定された閾値以上の場合にはその旨が分かるようなデータ表示形態(例えば、該当する欄の背景を赤く表示する)とすることが可能となる。
【0097】
<各画面に表示される情報の例>
図15乃至18は、検査結果表示のレイアウト設定画面1400のレイアウト編集可能領域表示部1401_1及び1401_2に表示することが可能な情報の例を説明するための図である。以下に挙げる各情報(ツール)は、演算部109が表示に必要な情報を用いて生成するものである。
【0098】
(i)ADHD評価スケール(Rating Scale)
図15は、検査結果表示の画面に表示することができる、ADHD評価スケールグラフ1501、及びADHD評価スケール表1502の表示例を示す図である。検査結果表示には両方を表示しても良いし、何れか一方であっても良い。
【0099】
ADHD評価スケールは、被検者の親や学校の担当教師(先生)が被検者を観察し、質問事項に主観的な観点で回答することにより得られるスコア値である。ADHD評価は、例えば不注意、多動・衝動、及びトータル(不注意及び多動・衝動を含めたトータルの行動)について行われる。このようにして得られるADHD評価スケールを被検者に関連付けてデータベース104に格納し、必要に応じて演算部109が取得しても良いし、入力部101から別途入力しても良い。
【0100】
B1(Base line 1)、S2(Stimulation 2)、S3(Stimulation 3)それぞれの記録は、次のような方法で行われる。例えば、B1計測時(計測前後の近い日)にRating Scale(1回目)を実施し、それを表の「B1」項目に記録する。また、S2計測時(前後の近い日)にRating Scale(2回目)を実施し、それを表の「S2」項目に記録する。さらに、S3計測時(前後の近い日)にRating Scale(3回目)を実施し、それを表の「S3」項目に記録する。
【0101】
その他の画面領域には前述のように脳機能計測信号(生体信号の平均値等)が表示されるため、このような生体信号と評価スケール(例えば、Rating Scale)の時系列情報とを同時に表示することにより、医師の病状等に関する総合的判断を補助することができる。
【0102】
(ii)特徴量マップ
図16は、検査結果表示の画面に表示することができる特徴量マップ1600の表示例を示す図である。
【0103】
ADHD検査(go / no-go(抑制課題:Inhibition task)・オドボール(注意課題:Attention task))においては、Rating Scale図・表(
図15)の他、Rating Scaleと計測した光トポグラフィ計測における平均値との関連を散布図で表示する特徴量マップを表示する場合がある。この特徴量マップ1600は、主観的な評価スコア値(Rating Scale)と客観的な生体信号(解析区間におけるヘモグロビン濃度の測定値の平均値)との相関性を判断するためのツールである。ここでは評価スコア値と解析区間におけるヘモグロビン濃度の測定値の平均値の相関を示す特徴量マップを生成しているが、客観的指標としては他の値、例えば、生体信号のピーク値、分散値、積分値、重心値、傾き、相関値等に設定してもよい。
【0104】
このような特徴量マップ1600を提示することにより、評価スケールのスコア値と生体信号との比較を容易に行うことができ、評価者(医師やオペレータ)は両者の相関関係を把握しやすくなる。
【0105】
(iii)レーダチャート
図17は、検査結果表示の画面に表示することができるレーダチャート1700の表示例を示す図である。
図17においては、治療薬を服用し、与えられた課題を実施すると共に評価者(親や医師)によるRating Scale(スコア評価)を行うことを1セットとして、これを3回繰り返した場合の検査結果が示されている。
【0106】
レーダチャート1700は、薬効に関連する複数のパラメータを表示し、現在使用している治療薬が被検者にとって効果があるか否かについての評価者の判断を補助するためのツールである。レーダチャート1700においては、例えば、チャートの外側に行くほど改善したことを示すように軸が配置される。なお、各計測回に対応する多角形の面積を指標とし表示することも可能である。
【0107】
レーダチャート1700において表示されるパラメータとしては、例えば、へモグロビン変化信号差分値(治療薬服用前後の差分)1701と、ブロック間の相関係数1702と、反応時間の逆数1703、正答率1704と、Rating Scale(逆数)1705を挙げることができる。もちろんこれ以外のパラメータを含めても良い。
【0108】
へモグロビン変化信号差分値1701は、治療薬服用前に測定したヘモグロビン濃度値(生体信号)と治療薬服用前に測定したヘモグロビン濃度値(生体信号)との差分値を示しており、差分値が大きいほど改善が見られたことを意味している。
【0109】
ブロック間の相関係数1702は、1回の検査の際には被検者が複数回の課題を実施する(例えば、同じ課題(注意課題)を6回実施する)が、各回を1ブロックとしたときに各ブロック間に相関があるか否かを示す情報である。各ブロックにおいて類似した生体信号の波形が測定されれば相関が高いと判定され、非類似であると相関は小さくなる。薬効があった場合には相関はより高くなる。なお、相関の値は、一例として、生体信号を時間軸上で比較して差分をとり、当該差分の2乗の総和を算出することによって求めることができる。または、6回分の測定波形の任意の2回分の波形間の相関係数を、取り得る全組み合わせで算出し、平均化したものを相関の値としても良い。
【0110】
反応時間の逆数1703は、被検者が課題を実行した場合に得られる反応時間の逆数を取った値である。反応時間は小さいほど課題に対して好成績と判断されるため、ここでは逆数を取ることにしている。
正答率1704は、被検者が課題を実行した場合に得られる正答率の値である。正答率は高い方が好成績と判断される。
【0111】
Rating Scale(逆数)1705は、評価者(医師やオペレータ)による主観的な評価のスコア値の逆数を取った値である。スコア値は高いほどADHDの傾向が強い(症状改善が見られない)ことを意味し、小さいほど症状改善が見られることを意味するため、逆数を取ることにしている。
【0112】
このようなレーダチャート1700を提示することにより、各回の検査時における被検者の状態を容易に把握でき、医師やオペレータに総合的な薬効判断を促すことができる。
【0113】
(iv)課題正答率の変化と平均反応時間との関係
図18は、被検者が課題を実行した際に得られた課題正答率の変化(増加)と課題を回答する際に費やした反応時間との関係(例)を示す図(グラフ)である。
【0114】
図18のグラフでは、検査を重ねることにより、課題正答率は増加し、平均反応時間が短くなっている。従って、このグラフから治療薬による改善が見られる場合には、正答率が増加すると共に平均反応時間が短くなることが分かるようになる。
【0115】
このように、複数回の測定における課題正答率の増加及び平均反応時間を表示することにより、行動評価から治療効果を可視化することができる、また、これらを治療情報と同時に表示することにより、さらに効果的な情報提示を実現することができる。
【0116】
<まとめ>
(i)本発明の実施形態において、脳機能指標出力装置(診断補助システム)は、データベースから被検体(被検者)に関する情報(ID、姓名、利き手、生年月日等)と、被検体に対する治療情報(治療薬とその投与量、投与日時等)を取得する。また、脳機能指標出力装置は、測定部によって測定された被検者の被検体の所定の部位(脳)における生体信号(脳の血管中のヘモグロビン濃度変化を示す光トポグラフィデータ)を取得する。そして、脳機能指標出力装置は、被検体に関する情報と、治療情報と、生体信号と、を統合して統合情報(診断補助情報)を生成し、当該統合情報に含まれる複数種類の情報を検査結果表示として表示装置の画面に同時に表示するための表示処理を実行する。このように、生体信号と被検者の治療情報を並列表示して提示することにより、医師やオペレータはわざわざ治療情報を別途取得して表示された生体信号と突き合わせる必要がなくなり、投薬などの治療による症状改善効果をより効果的に、定量的に評価することが可能となる。また、これにより、総合的な診断を補助することができるようになる。
【0117】
脳機能指標出力装置は、さらに、課題部から所定の課題(注意課題や抑制課題)に対する被検体の実行結果(反応時間や課題の正答率)を取得し、当該実行結果を統合情報(診断補助情報)に含めて検査結果表示を生成する。このように課題に対する被検者の反応を表示情報として含めることにより、投薬などの治療による症状改善効果をより客観的に評価することができるようになる。
【0118】
被検者の過去の検査結果がある場合、過去の検査において取得された生体信号と過去の課題の実行結果とを取得し、当該過去の生体信号及び課題の実行結果を統合情報に含めてもよい。これにより、過去と現在のデータを容易に比較することができるようになる。また、今回の検査において取得された課題の実行結果と、過去の検査において取得された課題の実行結果との比較を可能とする情報を生成して検査結果表示(
図18)に含めても良い。さらに、被検者の過去の検査において取得された生体信号と過去の課題の実行結果とを取得すると共に、今回の検査及び過去の検査時における被検者に対する行動観察の評価結果の入力を受け付け、今回の検査において取得された生体信号及び過去の検査において取得された生体信号と、今回及び過去の検査時における評価結果との相関を示す情報(
図16)を生成し、検査結果表示に含めてもよい。このように様々な情報を提供することにより、より客観的で効果的な診断ができるように補助することが可能となる。
【0119】
検査結果表示を生成する際には、医師やオペレータは、表示レイアウト及び表示内容について指示することができる。このように、カスタマイズされた検査結果表示を生成することにより、医師等にとって診断しやすい表示形態で情報を提供することができるようなる。
【0120】
また、生体信号を提供する場合には、測定データそのものを提供するのではなく、生体信号を統計処理(平均や差分平均を算出)して生成した統計データを提供する。生データを提供した場合にはデータのばらつきが誤診につながる可能性があるが、統計処理することにより、医師等による、より妥当な診断を促すことが可能となる。
【0121】
検査結果表示において、統計データを数値表示する場合には、医師等により設定入力された閾値に基づいて統計データの表示形態を変化させるようにしても良い。これにより、治療効果があったか否か容易に判断することができるようになる。
【0122】
従来、医師やオペレータは、被検者が実行する課題や服用する治療薬の種類に応じて、脳のどの部位から生体信号を取得するか決定しなければならなかったが、本実施形態では、課題や治療薬の種類に応じて自動的に脳の部位を選択して解析対象チャンネル(領域)を設定し、そのチャンネルから生体信号を取得するようにしても良い。このようにすることにより、課題や治療薬の種類に応じて適切な部位の生体信号を確実に取得することができる。よって、経験が比較的浅い医師等にとっても効果的な診断補助を提供することが可能となる。
【0123】
(ii)本実施形態では、ADHDのような精神疾患を例に診断補助システムについて説明しているが、本発明の思想の適用は精神疾患に限定されるものではなく、様々な疾患の診断に対して適用可能である。
【0124】
(iii)本発明は、実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードによっても実現できる。この場合、プログラムコードを記録した記憶媒体をシステム或は装置に提供し、そのシステム或は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、及びそれを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。このようなプログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどが用いられる。
【0125】
また、プログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現されるようにしてもよい。さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータ上のメモリに書きこまれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータのCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現されるようにしてもよい。
【0126】
さらに、実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを、ネットワークを介して配信することにより、それをシステム又は装置のハードディスクやメモリ等の記憶手段又はCD−RW、CD−R等の記憶媒体に格納し、使用時にそのシステム又は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が当該記憶手段や当該記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行するようにしても良い。
【0127】
最後に、ここで述べたプロセス及び技術は本質的に如何なる特定の装置に関連することはなく、コンポーネントの如何なる相応しい組み合わせによってでも実装できることを理解する必要がある。更に、汎用目的の多様なタイプのデバイスがここで記述した教示に従って使用可能である。ここで述べた方法のステップを実行するのに、専用の装置を構築するのが有益であることが判るかもしれない。また、実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。本発明は、具体例に関連して記述したが、これらは、すべての観点に於いて限定の為ではなく説明の為である。本分野にスキルのある者には、本発明を実施するのに相応しいハードウェア、ソフトウェア、及びファームウエアの多数の組み合わせがあることが解るであろう。例えば、記述したソフトウェアは、アセンブラ、C/C++、perl、Shell、PHP、Java(登録商標)等の広範囲のプログラム又はスクリプト言語で実装できる。
【0128】
さらに、上述の実施形態において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。全ての構成が相互に接続されていても良い。
【0129】
加えて、本技術分野の通常の知識を有する者には、本発明のその他の実装がここに開示された本発明の明細書及び実施形態の考察から明らかになる。明細書と具体例は典型的なものに過ぎず、本発明の範囲と精神は後続する請求範囲で示される。