特許第6475139号(P6475139)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6475139電池間接続装置及び電池間接続装置組立体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6475139
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】電池間接続装置及び電池間接続装置組立体
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/20 20060101AFI20190218BHJP
   H01M 2/34 20060101ALI20190218BHJP
   H01M 2/30 20060101ALI20190218BHJP
   H01R 13/629 20060101ALI20190218BHJP
   H01R 31/08 20060101ALI20190218BHJP
   H01M 2/10 20060101ALN20190218BHJP
【FI】
   H01M2/20 A
   H01M2/34 B
   H01M2/30 B
   H01R13/629
   H01R31/08 A
   !H01M2/10 M
   !H01M2/10 S
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-197058(P2015-197058)
(22)【出願日】2015年10月2日
(65)【公開番号】特開2017-69168(P2017-69168A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2017年12月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(72)【発明者】
【氏名】山根 友和
(72)【発明者】
【氏名】近藤 弘紀
【審査官】 山内 達人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−003433(JP,A)
【文献】 特開2011−090812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/20
H01M 2/10
H01R 13/629
H01R 31/08
H01M 2/30
H01M 2/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに隣接する電池の電極端子の間を接続する電池間接続装置であって、
ハウジングと、該ハウジングに取り付けられるバスバーと、可動部材とを備え、
前記バスバーは、互いに隣接する前記電池の2つの前記電極端子の間を接続する導電性の金属製部材であるとともに、2つの前記電極端子のそれぞれに接触する2つのクリップ部と、該2つのクリップ部を連結する連結部とを備え、
前記可動部材は、前記ハウジングに仮係止位置と本係止位置との間を移動可能に取り付けられるとともに、前記仮係止位置で前記ハウジングに仮係止され、前記本係止位置で前記ハウジングに本係止されるものであり、
前記可動部材に、前記可動部材が仮係止位置にあるときに、前記クリップ部が前記電極端子に接触するのを回避するとともに、前記可動部材が仮係止位置から本係止位置へ向けて移動する途中で前記クリップ部を前記電極端子に接触させるクリップ部接触回避部を設け
2つの前記クリップ部の各々は、雄型のタブ端子で構成される前記電極端子を互いの間で受容して接触する一対の弾性接触アームを備え、
前記クリップ部接触回避部は、前記タブ端子の板厚よりも幅の大きい部分を有する突起で構成され、前記可動部材が前記仮係止位置にあるときに前記一対の弾性接触アーム間に入り込んで前記一対の弾性接触アーム間の間隔を広げて前記一対の弾性接触アームが前記電極端子に接触するのを回避するとともに、前記可動部材が前記仮係止位置から前記本係止位置へ向けて移動する途中で前記一対の弾性接触アーム間から抜け出て前記一対の弾性接触アーム間の間隔を狭めて前記一対の弾性接触アームを前記電極端子に接触させることを特徴とする電池間接続装置。
【請求項2】
前記可動部材は2つ備えられ、
2つの可動部材の各々が、前記ハウジングに仮係止位置と本係止位置との間を移動可能に取り付けられるとともに、仮係止位置で前記ハウジングに仮係止され、前記本係止位置で前記ハウジングに本係止されるものであり、
2つの可動部材の各々に、前記クリップ部接触回避部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の電池間接続装置。
【請求項3】
前記一対の弾性接触アームのそれぞれの側縁に一対の係合突起を設け、前記クリップ部接触回避部は、前記可動部材が前記仮係止位置にあるときに前記一対の係合突起間に入り込んで前記一対の弾性接触アーム間の間隔を広げて前記一対の弾性接触アームが前記電極端子に接触するのを回避するとともに、前記可動部材が前記仮係止位置から前記本係止位置へ向けて移動する途中で前記係合突起間から抜け出て前記一対の弾性接触アーム間の間隔を狭めて前記一対の弾性接触アームを前記電極端子に接触させることを特徴とする請求項1又は2に記載の電池間接続装置。
【請求項4】
請求項1乃至のうちいずれか一項に記載の電池間接続装置を複数備え、複数の電池間接続装置について隣接する電池間接続装置のハウジング同士を連結してなることを特徴とする電池間接続装置組立体。
【請求項5】
前記複数の電池間接続装置における複数のハウジングが一体に形成されていることを特徴とする請求項に記載の電池間接続装置組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに隣接する電池の電極端子間を接続する電池間接続装置及び電池間接続装置組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リチウムイオン電池などを用いた薄板状の電池が開発されている。この種類の電池は、複数枚を厚み方向に隣接配置することで、比較的大容量の電池パックをコンパクトに構成することができる。その場合、電池パックの複数枚の電池は、互いに直列及び/又は並列に電気的に接続される。この電池パックは、例えば、EV(電気自動車)やHV(ハイブリッド車)などの駆動用バッテリーとして使用される。
【0003】
従来、電池を複数並行に配置して接続する電池間接続装置として、例えば、特許文献1に示すものが知られている。
特許文献1に示す電池間接続装置は、電池本体から突出する電極端子を有する電池を複数並行に配置して接続する電池間接続装置である。この電池間接続装置は、各電極端子にそれぞれ接続する複数のコネクタと、複数のコネクタを搭載保持し電極端子間を所望の接続方式で電気接続する出力用配線を有する回路基板とからなっている。そして、各コネクタは、コンタクトと、コンタクトを保持するハウジングと、スライダとからなっている。コンタクトは、ハウジングの一側から突出する弾性接触片と、ハウジングの他側から突出する実装部とを備え、ハウジングは、電極端子を弾性接触片に沿うようにして挿入案内するスリットを有する。また、回路基板は、電極端子に対応する箇所に貫通孔を有し、貫通孔にコネクタのハウジング部分が装着され、実装部が出力用配線に接続されている。
【0004】
そして、スライダをコンタクトの弾性接触片に沿わせるようにして被せることで弾性接触片を電極端子側に押圧駆動し電極端子に接触させる。これにより、隣接する電池の電極端子間をコネクタと回路基板とにより接続するようにしている。
これにより、電極端子間の接続作業時に大きな操作力を要することなく電極端子間を接続することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−90812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この従来の特許文献1に示した電池間接続装置にあっては、以下の問題点があった。
即ち、各コンタクトの弾性接触片を押圧駆動するスライダは、コネクタのハウジングに対して取り付けられていない。このため、電極端子間の接続作業時にスライダを紛失するおそれがあり、その場合、電極端子間の接続を行うことができない。
【0007】
従って、本発明はこの従来の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、電池の電極端子間の接続作業時に使用する操作部品を紛失することなく確実に電極端子間の接続を小さな操作力で達成できる、互いに隣接する電池の電極端子間を接続する電池間接続装置及び電池間接続装置組立体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る電池間接続装置は、互いに隣接する電池の電極端子の間を接続する電池間接続装置であって、ハウジングと、該ハウジングに取り付けられるバスバーと、可動部材とを備え、前記バスバーは、互いに隣接する前記電池の2つの前記電極端子の間を接続する導電性の金属製部材であるとともに、2つの前記電極端子のそれぞれに接触する2つのクリップ部と、該2つのクリップ部を連結する連結部とを備え、前記可動部材は、前記ハウジングに仮係止位置と本係止位置との間を移動可能に取り付けられるとともに、前記仮係止位置で前記ハウジングに仮係止され、前記本係止位置で前記ハウジングに本係止されるものであり、前記可動部材に、前記可動部材が仮係止位置にあるときに、前記クリップ部が前記電極端子に接触するのを回避するとともに、前記可動部材が仮係止位置から本係止位置へ向けて移動する途中で前記クリップ部を前記電極端子に接触させるクリップ部接触回避部を設け、2つの前記クリップ部の各々は、雄型のタブ端子で構成される前記電極端子を互いの間で受容して接触する一対の弾性接触アームを備え、前記クリップ部接触回避部は、前記タブ端子の板厚よりも幅の大きい部分を有する突起で構成され、前記可動部材が前記仮係止位置にあるときに前記一対の弾性接触アーム間に入り込んで前記一対の弾性接触アーム間の間隔を広げて前記一対の弾性接触アームが前記電極端子に接触するのを回避するとともに、前記可動部材が前記仮係止位置から前記本係止位置へ向けて移動する途中で前記一対の弾性接触アーム間から抜け出て前記一対の弾性接触アーム間の間隔を狭めて前記一対の弾性接触アームを前記電極端子に接触させることを要旨とする。
また、本発明の別の態様に係る電池間接続装置組立体は、前述の電池間接続装置を複数備え、複数の電池間接続装置について隣接する電池間接続装置のハウジング同士を連結してなることを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る電池間接続装置及び電池間接続装置組立体によれば、可動部材は、ハウジングに仮係止位置と本係止位置との間を移動可能に取り付けられるとともに、仮係止位置でハウジングに仮係止され、本係止位置でハウジングに本係止されるものであるので、電池の電極端子間の接続作業時に使用する操作部品としての可動部材を紛失することはない。また、可動部材に、可動部材が仮係止位置にあるときに、クリップ部が電極端子に接触するのを回避するとともに、可動部材が仮係止位置から本係止位置へ向けて移動する途中でクリップ部を電極端子に接触させるクリップ部接触回避部を設けた。このため、電極端子間の接続を小さな操作力で達成できる。従って、電池の電極端子間の接続作業時に使用する操作部品を紛失することなく確実に電極端子間の接続を小さな操作力で達成できる、互いに隣接する電池の電極端子間を接続する電池間接続装置及び電池間接続装置組立体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る電池間接続装置を複数備えた電池間接続装置組立体を用いて複数個の電池を互いに直列に電気的に接続する様子を示す斜視図である。
図2】電池の斜視図である。
図3図1に示す各電池間接続装置を表面側から見た斜視図である。
図4図1に示す各電池間接続装置を裏面側から見た斜視図である。
図5図1に示す各電池間接続装置を裏面側から見た分解斜視図である。
図6図1に示す各電池間接続装置のハウジングを表面側から見た斜視図である。
図7図1に示す各電池間接続装置のハウジングを裏面側から見た斜視図である。
図8図1に示す各電池間接続装置のバスバーの斜視図である。
図9図1に示す各電池間接続装置のムービングプレートの斜視図である。
図10図9における10−10線に沿う断面図である。
図11図9における11−11線に沿う断面図である。
図12図1に示す各電池間接続装置において各ムービングプレートが仮係止位置にある状態を示す断面斜視図である。
図13図1に示す各電池間接続装置において各ムービングプレートが仮係止位置にある状態を示す正面図である。
図14図1に示す各電池間接続装置において各ムービングプレートが仮係止位置にある状態を示す断面斜視図である。
図15図1に示す各電池間接続装置において各ムービングプレートが仮係止位置にある状態を示す正面図である。
図16】隣接する2つの電池間接続装置を連結する方法を説明するための斜視図である。
図17】複数の電池間接続装置を連結した電池間接続装置組立体の斜視図である。
図18】電池間接続装置組立体を用いて複数個の電池を互いに直列に電気的に接続する方法を説明するための図であり、各クリップ部に各電極端子が挿入される直前の状態を示している。
図19】電池間接続装置組立体を用いて複数個の電池を互いに直列に電気的に接続する方法を説明するための図であり、ムービングプレートが仮係止位置にあって各クリップ部に各電極端子が挿入された状態を示している。
図20図19における矢印20で示す部分の拡大図である。
図21】電池間接続装置組立体を用いて複数個の電池を互いに直列に電気的に接続する方法を説明するための図であり、ムービングプレートが本係止位置にあって各クリップ部が各電極端子に接触した状態を示している。
図22図21における矢印22で示す部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る電池間接続装置1を複数備えた電池間接続装置組立体70を用いて複数個の電池50を互いに直列に電気的に接続する様子が示されている。ここで、複数個の電池50は、互いに直列に電気的に接続されて電池パックを構成し、例えば、EV(電気自動車)やHV(ハイブリッド車)の高電圧バッテリーに用いられる。互いに直列に電気的に接続された複数の電池50の一方端(図1において左端)の電池50の第1電極端子(正極)52(図2参照)はコネクタ60を介して別個の電池(図示せず)の第2電極端子(負極、図示せず)に接続される。また、互いに直列に電気的に接続された複数の電池50の他方端(図2における右方端)の電池50の第2電極端子(負極)53は制御装置(図示せず)に接続される。各電池50は、図2に示すように、矩形平板状の電池本体51と、電池本体51の上面の一側から突出する第1電極端子(正極)52と、電池本体51の上面の他側から突出する第2電極端子(負極)53とを備えている。第1電極端子52及び第2電極端子53は、雄型のタブ端子で構成される。
【0012】
ここで、各電池間接続装置1は、図1に示すように、互いに隣接する電池50の第1電極端子52及び第2電極端子53間を接続するものである。各電池間接続装置1は、図3乃至図5に示すように、ハウジング10と、ハウジング10に取り付けられるバスバー20と、2つのムービングプレート(可動部材)30とを備えている。
ハウジング10は、図6及び図7に示すように、ハウジング本体11を備えている。ハウジング10は、絶縁性の合成樹脂を成形することによって形成される。ハウジング本体11は、図6及び図7に示すように、矢印ABで示す前後方向、前後方向に直交する矢印CDで示す左右方向、及び前後方向及び左右方向に直交する矢印EFで示す上下方向に延びる略直方体形状に構成される。ここで、矢印Aは前方向、矢印Bは後方向、矢印Cは左方向、矢印Dは右方向、矢印Eは上方向、及び矢印Fは下方向を示し、以下、本明細書において方向はこれを基準として説明する。
【0013】
ハウジング本体11の前側には、図6及び図7に示すように、左右一対のクリップ部収容部12が設けられている。各クリップ部収容部12は、前壁12a、後壁12b、及びこれら前壁12a及び後壁12bを連結する左右一対の側壁12cを備える上下方向に貫通する角筒状に形成される。各クリップ部収容部12には、バスバー20の後述する各クリップ部21が収容される。
【0014】
また、各クリップ部収容部12の前壁12aの上下方向略中央部には、図6及び図7に示すように、係止突起13が設けられている。また、各クリップ部収容部12の側壁12cの各々には、図7に示すように、各側壁12cの下縁から上方に延びる切欠14が形成されている。各切欠14の上端は、図15に示すように、ムービングプレート30の後述する仮係止アーム31の仮係止突起31aの上方への移動を規制する移動規制端14aとなる。
【0015】
更に、ハウジング本体11の上面の前後方向略中央右縁近傍には、図6に示すように、連結ポスト15が立設され、ハウジング本体11の上面の前後方向略中央左縁近傍には、連結ポスト受容部16が立設されている。そして、連結ポスト15の前面上部には、係合突起15aが設けられている。この連結ポスト15は、隣接する電池間接続装置1を連結する際に、図16に示すように、隣接する電池間接続装置1の連結ポスト受容部16に下方から入り込む。そして、係合突起15aが連結ポスト受容部16に係合する。これにより、電池間接続装置1と、これに隣接する電池間接続装置1とが連結される。
また、ハウジング本体11の前後方向及び左右方向の略中央部には、図6及び図7に示すように、バスバー取付部17が設けられている。このバスバー取付部17には、雌ねじ部17aが形成されている。バスバー取付部17には、図4及び図5に示すように、バスバー20の後述する取付板部24が取付ねじ18により取り付けられる。
【0016】
次に、バスバー20は、互いに隣接する電池50の第1電極端子52及び第2電極端子53間を接続する導電性の金属製部材であり、導電性金属板を打ち抜き及び曲げ加工することによって形成される。
バスバー20は、図5及び図8に示すように、第1電極端子52及び第2電極端子53のそれぞれに接触する2つのクリップ部21と、これらクリップ部21を連結する連結部22とを備えている。各クリップ部21は、一対の弾性接触アーム21aと、これら一対の弾性接触アーム21aを連結する頂板部21bとを備えている。頂板部21bは、各弾性接触アーム21aに弾性を付与する。一対の弾性接触アーム21aは、互いの間で雄型のタブ端子で構成される一方の第1電極端子52あるいは第2電極端子53を受容して接触する。また、連結部22は、2つのクリップ部21における内側の弾性接触アーム21a同士を連結する。そして、連結部22の中央部下縁には、取付板部24が折り曲げ形成される。この取付板部24には、図5に示すように、取付ねじ18のねじ軸が挿通される貫通孔24aが形成される。
【0017】
また、バスバー20の各クリップ部21には、図8に示すように、各クリップ部21の外周を覆うように補強板ばね23が装着される。
更に、一対の弾性接触アーム21aのそれぞれの前側の側縁には、図8に示すように、前方に突出する一対の第1係合突起25が設けられている。これら第1係合突起25の間には、後述するように図12及び図13に示すように、ムービングプレート30が仮係止位置にあるときに、クリップ部接触回避部34が入り込む。これにより、一対の弾性接触アーム21a間の間隔を広げて、図20に示すように、一対の弾性接触アーム21aが第1電極端子52あるいは第2電極端子53に接触するのを回避する。
【0018】
また、一対の弾性接触アーム21aのうち外側の弾性接触アーム21aの後側の側縁には、図15に示すように、後方に突出する第2係合突起26が設けられている。ムービングプレート30が仮係止位置にあるときに、図15に示すように、クリップ部接触回避部34が第2係合突起26を内側から外側に押圧する。これにより、外側の弾性接触アーム21aを外側に変位させ、一対の弾性接触アーム21a間の間隔を広げるのを補助する。
【0019】
そして、バスバー20は、図4及び図5に示すように、各クリップ部21がハウジング10の各クリップ部収容部12内に収容されるようにハウジング10に取付ねじ18により取り付けられる。
次に、各ムービングプレート30は、ハウジング10の各クリップ部収容部12内に仮係止位置(図3図12乃至図15及び図20参照)と本係止位置(図22参照)との間を移動可能に取り付けられる。各ムービングプレート30は、仮係止位置でハウジング10の各クリップ部収容部12に仮係止され、本係止位置でハウジング10の各クリップ部収容部12に本係止される。
【0020】
各ムービングプレート30の構成及び仮係止と本係止とについて具体的に説明する。
各ムービングプレート30は、図9乃至図11に示すように、前壁30a、後壁30b、一対の側壁30c及び頂壁30dを有する略直方体形状に形成される。そして、前壁30a、後壁30b、及び一対の側壁30cの部分が、図3に示すように、クリップ部収容部12内に上下方向に移動可能に収容される。そして、頂壁30dの前壁30aから前方に突出する部分がクリップ部収容部12の前壁12aの上縁に当接し、頂壁30dから後方に突出する突出部33がクリップ部収容部12の後壁12bの上縁に当接することにより、ムービングプレート30の下方向への移動が規制される。なお、この際に、クリップ部収容部12の前壁12a、後壁12b及び両側壁12cの上面とムービングプレート30の上面とが面一になるように、クリップ部収容部12の前壁12a、後壁12b及び両側壁12cの高さと、ムービングプレート30の頂壁30d及び突出部33の厚さとが設定される。
【0021】
そして、ムービングプレート30の両側壁30cのそれぞれには、上端を固定端として左右方向に変位可能な片持ち梁状の一対の仮係止アーム31が設けられている。各仮係止アーム31の下端には、外方に突出する仮係止突起31aが設けられている。また、ムービングプレート30の前壁30aから前方に突出する部分には、下方に延びる本係止アーム32が設けられている。この本係止アーム32には、上下方向に延びる本係止用孔32aが形成されている。各ムービングプレート30は、合成樹脂を成形することにより形成される。
【0022】
そして、ムービングプレート30がクリップ部収容部12に収容され、仮係止位置にあるときには、図3に示すように、本係止アーム32の下縁がクリップ部収容部12の係止突起13に当接する。これにより、ムービングプレート30の下方向への移動が規制される。また、ムービングプレート30が仮係止位置にあるときには、図14図15及び図20に示すように、各仮係止アーム31の仮係止突起31aがクリップ部収容部12の各側壁12cに形成された切欠14の移動規制端14aに係合する。これにより、ムービングプレート30の上方向への移動が規制され、ムービングプレート30は、仮係止位置でクリップ部収容部12に仮係止されることになる。
【0023】
また、ムービングプレート30が本係止位置にあるときには、本係止アーム32の本係止用孔32aにクリップ部収容部12の係止突起13が入り込み、ムービングプレート30の上方向への移動が規制される。また、前述したように、ムービングプレート30の頂壁30dの前壁30aから前方に突出する部分がクリップ部収容部12の前壁12aの上縁に当接する。また、頂壁30dから後方に突出する突出部33がクリップ部収容部12の後壁12bの上縁に当接する。これにより、ムービングプレート30の下方向への移動が規制され、ムービングプレート30は、本係止位置でクリップ部収容部12に本係止されることになる。なお、ムービングプレート30が本係止位置にあるときには、図22に示すように、クリップ部収容部12の前壁12a、後壁12b及び両側壁12cの上面とムービングプレート30の上面とが面一になる。
【0024】
そして、各ムービングプレート30の前壁30a及び後壁30bのそれぞれの内面には、図10及び図11に示すように、互いに対向する一対のクリップ部接触回避部34が設けられている。各クリップ部接触回避部34は、前壁30a及び後壁30bの内面のそれぞれから内方に突出する上下方向に延びる突起で形成される。各クリップ部接触回避部34は、前壁30a及び後壁30bの内面のそれぞれの下側に位置する略矩形形状の第1回避部34aと、第1回避部34aから上方に先細の形で延びる山形形状の第2回避部34bとを備える。第1回避部34aの幅は、タブ端子で構成される第1電極端子52及び第2電極端子53の板厚よりも大きい。
【0025】
そして、前壁30aに設けられたクリップ部接触回避部34の第1回避部34aは、ムービングプレート30が仮係止位置にあるときには、図12及び図13に示すように、第1係合突起25間に入り込む。これにより、一対の弾性接触アーム21a間の間隔を広げて、図20に示すように、一対の弾性接触アーム21aが第1電極端子52あるいは第2電極端子53に接触するのを回避する。
【0026】
また、前壁30aに設けられたクリップ部接触回避部34の第1回避部34aは、ムービングプレート30が仮係止位置から本係止位置へ向けて移動する途中で第1係合突起25間から抜け出る。これにより、一対の弾性接触アーム21a間の間隔が狭められ、一対の弾性接触アーム21aが第1電極端子52あるいは第2電極端子53に接触する。
一方、後壁30bに設けられたクリップ部接触回避部34の第1回避部34aは、ムービングプレート30が仮係止位置にあるときには、図15に示すように、第2係合突起26を内側から外側に押圧する。これにより、外側の弾性接触アーム21aを外側に変位させ、一対の弾性接触アーム21a間の間隔を広げるのを補助する。そして、当該クリップ部接触回避部34の第1回避部34aは、ムービングプレート30が仮係止位置から本係止位置へ向けて移動する途中で第2係合突起26に対する押圧を解除する。これにより、一対の弾性接触アーム21a間の間隔が狭められるのを補助する。
【0027】
次に、以上のように構成された電池間接続装置1を複数備えた電池間接続装置組立体70を用いて複数個の電池50を互いに直列に電気的に接続する方法について説明する。
先ず、各電池間接続装置1のムービングプレート30を仮係止位置に仮係止した状態で、図16及び図17に示すように、複数の電池間接続装置1について隣接する電池間接続装置1のハウジング10同士を連結する。これにより、電池間接続装置組立体70が完成する。本実施形態の場合、図1に示すように、この電池間接続装置組立体70を2組用意する。隣接する電池間接続装置1のハウジング10同士を連結する際に、電池間接続装置1の連結ポスト15を、隣接する電池間接続装置1の連結ポスト受容部16に下方から入り込ませ、係合突起15aを連結ポスト受容部16に係合させる。
【0028】
次いで、図18及び図19に示すように、各電池間接続装置組立体70について、各電池間接続装置1の一対の弾性接触アーム21a間に第1電極端子52あるいは第2電極端子53が入り込むように、複数の電池50上に載置する。ここで、一側の電池間接続装置組立体70(図1における手前側の電池間接続装置組立体)について説明する。この電池間接続装置70については、最左端の電池間接続装置1の一方側の一対の弾性接触アーム21a間に最左端にある電池50の第2電極端子53が入り込み、当該電池間接続装置1の他方側の一対の弾性接触アーム21a間に左側から2番目にある電池50の第1電極端子52が入り込む。また、左から2番目の電池間接続装置1の一方側の一対の弾性接触アーム21a間に左側から3番目にある電池50の第2電極端子53が入り込み、当該電池間接続装置1の他方側の一対の弾性接触アーム21a間に左側から4番目にある電池50の第1電極端子52が入り込む。これを繰り返して、最後に、左から7番目の電池間接続装置1の一方側の一対の弾性接触アーム21a間に左側から13番目にある電池50の第2電極端子53が入り込み、当該電池間接続装置1の他方側の一対の弾性接触アーム21a間に左側から14番目にある電池50の第1電極端子52が入り込む。
【0029】
また、他側の電池間接続装置組立体70(図1における奥側の電池間接続装置組立体)について説明する。この電池間接続装置70については、最左端の電池間接続装置1の一方側の一対の弾性接触アーム21a間に左側から2番目にある電池50の第2電極端子53が入り込み、当該電池間接続装置1の他方側の一対の弾性接触アーム21a間に左側から3番目にある電池50の第1電極端子52が入り込む。また、左から2番目の電池間接続装置1の一方側の一対の弾性接触アーム21a間に左側から4番目にある電池50の第2電極端子53が入り込み、当該電池間接続装置1の他方側の一対の弾性接触アーム21a間に左側から5番目にある電池50の第1電極端子52が入り込む。これを繰り返して、最後に、左から6番目の電池間接続装置1の一方側の一対の弾性接触アーム21a間に左側から12番目にある電池50の第2電極端子53が入り込み、当該電池間接続装置1の他方側の一対の弾性接触アーム21a間に左側から13番目にある電池50の第1電極端子52が入り込む。
【0030】
そして、各電池間接続装置1の一対の弾性接触アーム21a間に第1電極端子52あるいは第2電極端子53が入り込む際に、各電池間接続装置1のムービングプレート30は仮係止位置にある。このため、クリップ部接触回避部34の第1回避部34aが第1係合突起25間に入り込んでおり、一対の弾性接触アーム21a間の間隔は広げられている。このため、図20に示すように、第1電極端子52あるいは第2電極端子53が一対の弾性接触アーム21a間にそれら弾性接触アーム21aに接触することなく挿入される。
【0031】
その後、図21に示すように、各ムービングプレート30を下方に移動させて仮係止位置から本係止位置に移動させる。この際に、各ムービングプレート30の本係止アーム32がハウジング10の係止突起13を乗り越え、本係止アーム32の本係止用孔32aに係止突起13が入り込む。ここで、各ムービングプレート30が仮係止位置から本係止位置へ向けて移動する途中で、クリップ部接触回避部34の第1回避部34aが第1係合突起25間から抜け出る。これにより、一対の弾性接触アーム21a間の間隔が狭められ、図22に示すように、一対の弾性接触アーム21aが第1電極端子52あるいは第2電極端子53に接触する。これにより、隣接する電池50の一方側の電池50の第1電極端子52と他方側の電池50の第2電極端子53とがバスバー20を介して電気的に接続される。
【0032】
このように、各ムービングプレート30が仮係止位置にあるときに、クリップ部接触回避部34によってクリップ部21の一対の弾性接触アーム21aが第1電極端子52あるいは第2電極端子53に接触するのを回避する。そして、各ムービングプレート30が仮係止位置から本係止位置へ向けて移動する途中でクリップ部接触回避部34によってクリップ部21の一対の弾性接触アーム21aを第1電極端子52あるいは第2電極端子53に接触させる。このため、隣接する電池50第1電極端子52及び第2電極端子53間の接続を小さな操作力で達成できる。
【0033】
一方、各ムービングプレート30は、ハウジング10に仮係止位置と本係止位置との間を移動可能に取り付けられるとともに、仮係止位置でハウジング10に仮係止され、本係止位置でハウジング10に本係止される。このため、電池50の第1電極端子52及び第2電極端子53間の接続作業時に使用する操作部品としてのムービングプレート30を紛失することはない。
【0034】
従って、隣接する電池50の第1電極端子52及び第2電極端子53間の接続作業時に使用する操作部品を紛失することなく確実に第1電極端子52及び第2電極端子53間の接続を小さな操作力で達成できる。
また、クリップ部21の一対の弾性接触アーム21aが第1電極端子52あるいは第2電極端子53に対して摺動することなく接触するので、クリップ部21及び第1電極端子52、第2電極端子53が摺動によって損傷してしまうことはない。
【0035】
ここで、各クリップ部21は、雄型のタブ端子で構成される第1電極端子52あるいは第2電極端子53を互いの間で受容して接触する一対の弾性接触アーム21aを備えている。そして、クリップ部接触回避部34は、タブ端子の板厚よりも幅の大きい突起で構成される第1回避部34aを備える。そして、この第1回避部34aがムービングプレート30が仮係止位置にあるときに一対の弾性接触アーム21a間に入り込んで一対の弾性接触アーム21a間の間隔を広げて一対の弾性接触アーム21aが第1電極端子52あるいは第2電極端子53に接触するのを回避する。また、第1回避部34aは、ムービングプレート30が仮係止位置から本係止位置へ向けて移動する途中で一対の弾性接触アーム21a間から抜け出る。この結果、第1回避部34aは、一対の弾性接触アーム21a間の間隔を狭めて一対の弾性接触アーム21aを第1電極端子52あるいは第2電極端子53に接触させる。このようにすることで、クリップ部21及びクリップ部接触回避部34を簡単な構成で、クリップ部接触回避部34の機能を実現できる。
【0036】
また、一対の弾性接触アーム21aのそれぞれの前側の側縁に第1係合突起25を設け、ムービングプレート30が仮係止位置にあるときには、クリップ部接触回避部34の第1回避部34aが、一対の第1係合突起25間に入り込む。これにより、一対の弾性接触アーム21a間の間隔を広げて、一対の弾性接触アーム21aが第1電極端子52あるいは第2電極端子53に接触するのを回避する。また、前壁30aに設けられたクリップ部接触回避部34の第1回避部34aが、ムービングプレート30が仮係止位置から本係止位置へ向けて移動する途中で第1係合突起25間から抜け出る。これにより、一対の弾性接触アーム21a間の間隔が狭められ、一対の弾性接触アーム21aが第1電極端子52あるいは第2電極端子53に接触する。このように、クリップ部接触回避部34が、一対の弾性接触アーム21aのそれぞれの側縁に設けられた第1係合突起25間に出入りする。このため、クリップ部接触回避部34の動きが上下方向において第1電極端子52あるいは第2電極端子53と重ならないので、クリップ部21を低背化することができる。
【0037】
更に、ムービングプレート30が本係止位置になるときには、図22に示すように、クリップ部収容部12の前壁12a、後壁12b及び両側壁12cの上面とムービングプレート30の上面とが面一になる。このため、ムービングプレート30が本係止位置になったことを作業者が容易に認識することができる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに種々の変更、改良を行うことができる。
【0038】
例えば、バスバー20の各クリップ部21は、第1電極端子52あるいは第2電極端子53に接触するものであれば、一対の弾性接触アーム21aで構成される必要は必ずしもない。
また、クリップ部接触回避部34は、ムービングプレート30が仮係止位置にあるときに、クリップ部21が第1電極端子52あるいは第2電極端子53に接触するのを回避する。そして、クリップ部接触回避部34は、ムービングプレート30が仮係止位置から本係止位置へ向けて移動する途中でクリップ部21を第1電極端子52あるいは第2電極端子53に接触させる。この要件を満たすものであれば、クリップ部接触回避部34の形状は図示したものに限定されない。
【0039】
更に、クリップ部接触回避部34は、一対の第1係合突起25間に出入りする場合のみならず、一対の弾性接触アーム21a間に出入りするようにしてもよい。また、一対の弾性接触アーム21aの後側の側縁に一対の係合突起を形成し、それら係合突起間にクリップ部接触回避部34が出入りするようにしてもよい。
また、各電池間接続装置1において、2つのムービングプレート30は一体で構成してもよい。
更に、各電池間接続装置組立体70において、複数の電池間接続装置1における複数のハウジング10が一体に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 電池間接続装置
10 ハウジング
20 バスバー
21 クリップ部
21a 弾性接触アーム
25 第1係合突起(係合突起)
22 連結部
30 ムービングプレート(可動部材)
34 クリップ部接触回避部
50 電池
52 第1電極端子(電極端子)
53 第2電極端子(電極端子)
70 電池間接続装置組立体
図1
図2
図3
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図5
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