特許第6475140号(P6475140)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6475140
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】道路曲率計測装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20190218BHJP
【FI】
   G08G1/16 D
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-199651(P2015-199651)
(22)【出願日】2015年10月7日
(65)【公開番号】特開2017-72996(P2017-72996A)
(43)【公開日】2017年4月13日
【審査請求日】2018年1月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】立石 宏次朗
(72)【発明者】
【氏名】川嵜 直輝
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】水野 広
【審査官】 久保田 創
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−142235(JP,A)
【文献】 特開2007−223550(JP,A)
【文献】 特開2016−103221(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両が走行中の道路の曲率である道路曲率を計測する道路曲率計測装置(1)であって、
カーブ(100)の一部の区間を含む特別区間(120,121)を、地図データ(16)に基づき設定する部位であって、前記特別区間は、前記カーブにおける前記特別区間以外の他の区間に比べ、曲率の変化がより早期に計測結果に反映される状態で、前記道路曲率が計測される設定部(S210)と、
前記地図データに基づき、自車位置を検出する自車位置検出部(11,12,13)と、
前記地図データと前記自車位置とに基づき、自車両が前記特別区間を走行しているか否かを判定する区間判定部(S320)と、
予め定められた期間にわたり連続的に撮影された複数の自車両周辺の撮影画像に基づき前記道路曲率を計測する部位であって、自車両が前記特別区間を走行している場合には、前記他の区間を走行している場合に比べ、新しい前記撮影画像に基づく計測結果がより反映された状態で、前記道路曲率を計測する計測部(S325,S330)と、を備え、
前記設定部は、前記地図データに基づき、前記カーブの始点(101)を含む入口区間(103)と、前記カーブの終点(102)を含む出口区間(105)とを設定すると共に、前記入口区間を含む前記特別区間(120)と、前記出口区間を含む前記特別区間(121)とを設定し、
前記入口区間の長さと、該入口区間を含む前記特別区間の長さとの差分は、前記出口区間の長さと、該出口区間を含む前記特別区間の長さとの差分よりも大きい
道路曲率計測装置(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の道路曲率計測装置において、
前記カーブの一部であって、曲率が変化する度合いが予め定められた水準に達しており、その始点が該カーブの始点に位置する区間を入口クロソイド区間(103)とし
前記カーブの一部であって、曲率が変化する度合いが予め定められた水準に達しており、その終点が該カーブの終点に位置する区間を出口クロソイド区間(105)とし、
前記入口区間とは前記入口クロソイド区間であり、前記出口区間とは前記出口クロソイド区間である
道路曲率計測装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の道路曲率計測装置において、
前記自車位置の精度が、予め定められた水準に達しているか否かを判定する判定部(S205)をさらに備え、
前記設定部は、自車両が前記カーブに進入する時に前記判定部により肯定判定がなされた場合には、そうでない場合に比べ、前記入口区間に対する差分が小さい状態で、該入口区間を含む前記特別区間を設定する
道路曲率計測装置。
【請求項4】
自車両が走行中の道路の曲率である道路曲率を計測する道路曲率計測装置(1)であって、
カーブ(100)の一部の区間を含む特別区間(150)を、地図データ(16)に基づき設定する部位であって、前記特別区間は、前記カーブにおける前記特別区間以外の他の区間に比べ、曲率の変化がより早期に計測結果に反映される状態で、前記道路曲率が計測される設定部(S410,S415)と、
前記地図データに基づき、自車位置を検出する自車位置検出部(11,12,13)と、
前記地図データと前記自車位置とに基づき、自車両が前記特別区間を走行しているか否かを判定する区間判定部(S320)と、
予め定められた期間にわたり連続的に撮影された複数の自車両周辺の撮影画像に基づき前記道路曲率を計測する部位であって、自車両が前記特別区間を走行している場合には、前記他の区間を走行している場合に比べ、新しい前記撮影画像に基づく計測結果がより反映された状態で、前記道路曲率を計測する計測部(S325,S330)と、を備え、
前記設定部は、前記地図データに基づき、前記カーブの一部であって、その終点が該カーブの終点(102)に位置する出口区間(105)を特定し、該出口区間を前記特別区間として設定する
道路曲率計測装置(1)。
【請求項5】
請求項4に記載の道路曲率計測装置において、
前記カーブの一部であって、曲率が変化する度合いが予め定められた水準に達しており、その終点が該カーブの終点に位置する区間を出口クロソイド区間(105)とし、
前記出口区間とは、前記出口クロソイド区間である
道路曲率計測装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の道路曲率計測装置において、
前記自車位置の精度が、予め定められた水準に達しているか否かを判定する判定部(S405)をさらに備え、
前記設定部は、自車両が前記カーブに進入する時に前記判定部により肯定判定がなされた場合には、前記地図データに基づき、該カーブの一部であって、その始点が該カーブの始点(101)に位置する入口区間(103)を特定し、該入口区間を前記特別区間(151)として設定する
道路曲率計測装置。
【請求項7】
請求項3又は請求項6に記載の道路曲率計測装置において、
前記判定部は、自車両が走行した道路の形状に基づき、前記精度について判定する
道路曲率計測装置。
【請求項8】
請求項3又は請求項6に記載の道路曲率計測装置において、
前記地図データには、地物に関する情報である地物情報が含まれており、
自車両周辺の前記地物を検出する地物検出部(14,15)をさらに備え、
前記判定部は、前記地物検出部により検出された前記地物と、前記地図データに含まれている前記地物情報とに基づき、前記精度について判定する
道路曲率計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が走行中の道路の曲率を計測する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の車線逸脱防止装置は、カメラの撮影画像と、ナビゲーション装置により検出された自車位置とに基づき自車両前方のカーブの形状を検出する。そして、検出したカーブの形状に基づき、車線からの自車両の逸脱度合を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−178675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ナビゲーション装置による自車位置の検出精度が低い場合には、カーブの形状の検出精度が低下する。
本発明は、道路の曲率を精度良く計測することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の道路曲率計測装置(1)は、自車両が走行中の道路の曲率である道路曲率の計測に際して、他の区間に比べ、曲率の変化がより早期に計測結果に反映される状態で、道路曲率を計測する特別区間(120,121)を、地図データ(16)に基づき設定する設定部(S210)と、地図データに基づき、自車位置を検出する自車位置検出部(11,12,13)と、地図データと自車位置とに基づき、自車両が特別区間を走行しているか否かを判定する区間判定部(S320)と、予め定められた期間にわたり連続的に撮影された複数の自車両周辺の撮影画像に基づき道路曲率を計測する部位であって、自車両が特別区間を走行している場合には、他の区間を走行している場合に比べ、新しい撮影画像に基づく計測結果がより反映された状態で、道路曲率を計測する計測部(S325,S330)と、を備え、設定部は、地図データに基づき、カーブ(100)の始点(101)を含む入口区間(103)と、カーブの終点(102)を含む出口区間(105)とを設定すると共に、入口区間を含む特別区間(120)と、出口区間を含む特別区間(121)とを設定し、入口区間の長さと、該入口区間を含む特別区間の長さとの差分は、出口区間の長さと、該出口区間を含む特別区間の長さとの差分よりも大きい。
【0006】
連続的に撮影された撮影画像に基づき道路曲率を計測する場合、新しい撮影画像に基づく計測結果を強く反映させると、曲率の変化が早期に計測結果に反映されるが計測結果が不安定になる。換言すれば、応答性を重視した状態となる。反対に、古い撮影画像に基づく計測結果を強く反映させると、曲率の変化が計測結果に反映されるのが遅くなるが計測結果が安定する。換言すれば、安定性を重視した状態となる。本発明では、道路曲率が変化するカーブの入口区間及び出口区間を、応答性を重視して道路曲率を計測する特別区間に設定する。
【0007】
ここで、マップマッチングにより自車位置を検出する場合、カーブを走行することで自車位置の精度が向上する場合がある。この場合、カーブの入口区間の通過時期の正確な把握は困難だが、出口区間の通過時期は正確に把握できる。
【0008】
そこで、本発明では、入口区間の長さと、入口区間を含む特別区間の長さとの差分を、出口区間の長さと、出口区間を含む特別区間の長さとの差分よりも大きくする。換言すれば、入口区間を含む特別区間は、出口区間を含む特別区間に比べ、余分な長さを多く持たせた状態で設定される。
【0009】
これにより、自車位置の精度が低いカーブの入口付近では、入口区間の走行中に確実に応答性を重視した状態で道路曲率を計測でき、計測精度が向上する。一方、自車位置の精度が高いカーブの出口付近では、出口区間の走行中に応答性を重視した状態にし、該状態が必要以上に継続するのを抑制できる。このため、道路曲率の計測結果が不安定になるのを抑制しつつ、計測精度を向上させることができる。
【0010】
したがって、道路の曲率を精度良く計測できる。
また、本発明の道路曲率計測装置(1)は、自車両が走行中の道路の曲率である道路曲率の計測に際して、他の区間に比べ、曲率の変化がより早期に計測結果に反映される状態で、道路曲率を計測する特別区間(150)を、地図データ(16)に基づき設定する設定部(S410,S415)と、地図データに基づき、自車位置を検出する自車位置検出部(11,12,13)と、地図データと自車位置とに基づき、自車両が特別区間を走行しているか否かを判定する区間判定部(S320)と、予め定められた期間にわたり連続的に撮影された複数の自車両周辺の撮影画像に基づき道路曲率を計測する部位であって、自車両が特別区間を走行している場合には、他の区間を走行している場合に比べ、新しい撮影画像に基づく計測結果がより反映された状態で、道路曲率を計測する計測部(S325,S330)と、を備え、設定部は、地図データに基づき、カーブ(100)の一部であって、その終点が該カーブの終点(102)に位置する出口区間(105)を特定し、該出口区間を特別区間として設定する。
【0011】
このような構成によれば、カーブの終端部分をなす出口区間が特別区間に設定される。このため、自車位置の精度が高いカーブの出口付近では、出口区間の走行中に応答性を重視した状態にし、該状態が必要以上に継続するのを抑制できる。このため、道路曲率の計測結果が不安定になるのを抑制しつつ、計測精度を向上させることができる。したがって、道路の曲率を精度良く計測できる。
【0012】
なお、この欄及び特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態の車載システムの構成を示すブロック図である。
図2】道路曲率の計測結果の一例を示す説明図である。
図3】道路曲率の計測結果の一例を示す説明図である。
図4】第1実施形態におけるカーブでの特別区間と通常区間との設定状況を示す説明図である。
図5】第1実施形態の区間設定処理のフローチャートである。
図6】第1実施形態の曲率計測処理のフローチャートである。
図7】道路曲率の計測結果の一例を示す説明図である。
図8】第1実施形態の車載システムによる道路曲率の計測結果を示す説明図である。
図9】第2実施形態におけるカーブでの特別区間と通常区間との設定状況を示す説明図である。
図10】第2実施形態の区間設定処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、発明を実施するための形態を説明する。
[1.第1実施形態]
[1−1.構成]
図1に示す車載システム1は、ナビゲーション装置10,白線認識装置20,カメラ30等を有する。ナビゲーション装置10と白線認識装置20は、車内LAN40(例えばCAN)を介して通信可能となっている。
【0015】
ナビゲーション装置10は、運転支援に用いられる自車位置を認識する。運転支援の一例としては、自車両が車線に沿って走行するよう、ドライバのステアリング操作を補助するレーンキーピングアシストが考えられる。また、この他にも、運転支援の一例として、自車両を目的地まで自動的に走行させる自動運転が考えられる。ナビゲーション装置10は、制御部11,地図データ入力部12,位置検出部13,通信部14,センサ部15等を有する。
【0016】
制御部11は、CPU,ROM,RAM,I/O等からなるマイクロコンピュータを中心に構成される。制御部11は、ROMに記憶されているプログラムや、RAMにロードされたプログラムに従いナビゲーション装置10の各部位を制御する。なお、制御部11が実行する各種処理を、論理回路やアナログ回路等により実現しても良い。
【0017】
地図データ入力部12は、地図データ15等の各種データを入力するための部位である。地図データ16等の記憶媒体は、例えば、DVD−ROMやHDD等である。地図データ16は、運転支援等のために使用される。地図データ16は、道路の形状を示すリンクと、リンクの両端であるノードの位置情報とを含んでいる。ノードの位置情報に基づき各リンクを結合すると、道路網が形成される。また、地図データ16は、リンク等により形成される道路の種別,道幅,車線数等を示す情報を含んでいる。また、地図データ16は、建築物や地形等に関する地物情報を含んでいる。
【0018】
位置検出部13は、GPS受信器,ジャイロセンサ,加速度センサ等を有する。GPS受信器は、図示しないGPSアンテナを介してGPS用の人工衛星から信号を受信する。そして、該信号に基づき、自車両の位置,方位,速度等を検出する。ジャイロセンサは、自車両の回転運動の大きさを検出する。加速度センサは、自車両の前後方向の加速度を検出する。そして、これらの部位による検出結果に基づき、地図データ16が示す地図上の自車両の位置である自車位置が検出される。
【0019】
通信部14は、車内LAN40を介して自車両に搭載された他の装置と通信を行う。
センサ部15は、例えば、レーダ,カメラ等といった自車両周辺に存在する物体を検出するセンサである。
【0020】
また、カメラ30は、自車両の前方や周辺を予め定められた周期で撮影する。そして、撮影した各画像の映像信号を、白線認識装置20に出力する。
また、白線認識装置20は、カメラ30からの映像信号に基づき、各周期で撮影された自車両周辺の道路の路面の画像(以後、路面画像)を生成する。そして、路面画像に基づき、道路に描かれた区画線を認識する。なお、白線認識装置20は、白色の区画線に限らず、橙色等、様々な色の区画線を認識しても良い。白線認識装置20は、制御部21,通信部22等を有する。
【0021】
制御部21は、CPU,ROM,RAM,I/O等からなるマイクロコンピュータを中心に構成される。制御部21は、ROMに記憶されているプログラムや、RAMにロードされたプログラムに従い白線認識装置20の各部位を制御する。なお、制御部21が実行する各種処理を、論理回路やアナログ回路等により実現しても良い。
【0022】
通信部22は、車内LAN40を介して自車両に搭載された他の装置と通信を行う。
[1−2.処理]
(1)概要について
車載システム1における白線認識装置20は、路面画像に基づき、自車両が走行中の道路の曲率(以後、道路曲率)を計測する。そして、道路曲率に基づき各種運転支援が行われる。具体的には、白線認識装置20は、例えば、道路曲率に基づき、道路形状や、自車両のヨー角や、走行中の車線における自車両の横位置等を認識しても良い。また、これらに基づき、自車両が車線から逸脱しているか否かを判定しても良い。そして、判定結果に基づき、警告や車両の挙動の制御等を行っても良い。無論、これに限定されることなく、白線認識装置20は、道路曲率に基づき様々な運転支援を行っても良い。また、白線認識装置20は、車内LAN40を介して道路曲率を他の装置に提供しても良い。そして、他の装置にて、道路曲率に基づき様々な運転支援を行っても良い。
【0023】
白線認識装置20は、周期的なタイミングでカメラ30により撮影された路面画像を取得する。また、各路面画像に映っている区画線の曲率を計測する。そして、白線認識装置20は、予め定められた計測期間に連続的に撮影された各路面画像からの区画線の曲率の計測結果に基づき、道路曲率を算出する。
【0024】
ここで、各路面画像からの区画線の曲率の計測結果は、不安定になり易い。このため、各路面画像からの区画線の計測結果に対しフィルタ処理が行われる。すなわち、各計測結果に重み付けがなされる。そして、重み付けされた各計測結果に基づき、道路曲率が算出される。一例として、各路面画像からの曲率の計測結果の加重平均を、道路曲率としても良い。
【0025】
この時、各計測結果の重みによって、道路曲率の計測結果の性質は異なるものとなる。例えば、計測期間における路面画像のうち、古いものに基づく区画線の曲率の計測結果の重みをより大きくし、新しいものに基づく区画線の曲率の計測結果の重みをより小さくしたとする。換言すれば、古い路面画像に基づく計測結果がより強く反映される重み付けにしたとする。以後、このような重み付けを、安定性重視の重み付けと記載する。図2は、安定性重視の重み付けを行った状態でカーブを走行する際の、道路曲率の計測結果の一例を示している。
【0026】
なお、カーブは、入口区間と出口区間とを少なくとも有している。入口区間とは、カーブの始点を含む区間である。入口区間では、カーブの始点から終点側に向かうにつれ、曲率が徐々に大きくなる。また、出口区間とは、カーブの終点を含む区間である。出口区間では、カーブの始点側から終点に向かうにつれ、曲率が徐々に小さくなる。また、カーブには、入口区間と出口区間との間に位置する中間区間が存在する場合もある。中間区間では、曲率が一定、或いは、略一定となっても良い。
【0027】
図2が示すように、安定性重視の重み付けを行った場合、道路曲率の計測結果のふらつきが抑えられる。換言すれば、道路曲率の計測結果は安定する。しかし、実際の道路曲率と道路曲率の計測結果との間に誤差が生じる。特に、曲率が変化する入口区間や出口区間では、誤差が大きくなる。また、入口区間,中間区間,出口区間に進入した時や、出口区間を通過した時等、曲率の変化の傾向が異なる区間に進入した直後は、誤差が大きくなる。
【0028】
これに対し、例えば、計測期間における路面画像のうち、古いものに基づく区画線の曲率の計測結果の重みをより小さくし、新しいものに基づく区画線の曲率の計測結果の重みをより大きくしたとする。換言すれば、新しい路面画像に基づく計測結果がより強く反映される重み付けにしたとする。以後、このような重み付けを、応答性重視の重み付けと記載する。図3は、応答性重視の重み付けを行った状態でカーブを走行する際の、道路曲率の計測結果の一例を示している。
【0029】
図3が示すように、応答性重視の重み付けを行った場合、実際の道路曲率と道路曲率の計測結果との間の誤差が抑えられる。しかし、道路曲率の計測結果がふらついてしまう。
カーブの入口区間や出口区間等のように、曲率が一定ではない区間では、応答性重視の重み付けにより道路曲率の計測を行うのが好適と考えられる。一方、直進区間やカーブの中間区間等、曲率が一定又は略一定である区間では、安定性重視の重み付けにより道路曲率の計測を行うのが好適と考えられる。そこで、車載システム1は、カーブの入口区間及び出口区間を、応答性重視の重み付けがなされる特別区間に設定する。一方、他の区間を、安定性重視の重み付けがなされる通常区間に設定する。特別区間では、通常区間に比べ、当該区間における曲率の変化がより早期に計測結果に反映される状態で、道路曲率が計測される。
【0030】
ここで、自車両がカーブの入口区間,出口区間を走行しているか否かは、ナビゲーション装置10にて、自車位置と地図データ16とに基づき判定される。しかし、自車位置の精度が低い場合がある。
【0031】
すなわち、ナビゲーション装置10は、位置検出部13によりGPS用の衛星からのGPS信号に基づき自車位置を検出する。しかし、GPS信号に基づき検出される自車位置の精度は低い。このため、ナビゲーション装置10は、さらにマップマッチングや地物マッチング等を行い、GPS信号に基づき検出された自車位置を補正する。
【0032】
マップマッチングでは、ナビゲーション装置10の制御部11は、位置検出部13におけるジャイロセンサや加速度センサ等による検出結果に基づき、自車両の走行軌跡や進行方向等を計測する。また、地図データ16から、GPS信号等に基づき検出された自車位置周辺の道路の形状を特定する。そして、走行軌跡の形状と道路の形状とが一致する地点を、自車位置とする。
【0033】
一方、地物マッチングでは、制御部11は、GPS信号に基づき検出された複数の自車位置の候補の各々について、地図データ16に含まれる地物情報に基づき、該自車位置の候補と、該自車位置の候補の周辺の地物との位置関係を把握する。
【0034】
また、制御部11は、センサ部15を用いて自車両と自車両周辺の地物との位置関係を検出する。この他にも、例えば、制御部11は、他の装置から該位置関係を示す情報を取得しても良い。なお、該情報は、通信部14により車内LAN40を介して取得されても良い。
【0035】
そして、制御部11は、各自車位置の候補と地物との位置関係と、センサ部15等により把握された自車両と地物との位置関係が一致するか否かを判定する。制御部11は、地物マッチングに成功し、位置関係が一致した自車位置の候補を、自車位置とみなす。
【0036】
高架道路に沿って地上に道路が設けられている場合がある。自車両がこれらの道路を走行している場合、マップマッチングを行っても、自車位置がいずれの道路上にあるかを判別できない場合がある。しかしながら、地物マッチングを行うことで、自車位置がどちらの道路上にあるかを精度良く判別できる。
【0037】
また、マップマッチングを行うことで、例えば、カーブを走行した場合や交差点で右左折を行った場合等には、自車位置の精度が向上する。しかし、自車両が長期にわたり直進区間を走行している場合等には、マップマッチングを行っても自車位置の精度が十分に向上しない。つまり、カーブの出口付近を走行する際には、自車位置の精度がケースが多いと考えられる。一方、カーブの入口付近を走行する際には、自車位置の精度が低いケースがある。
【0038】
そこで、車載システム1は、地図データ16から入口区間と出口区間とを特定する。そして、入口区間に余分な長さ(以後、付加区間)を加えた区間を、特別区間とする。これにより、自車位置の精度が低く、カーブへの進入タイミングを正確に把握できなくても、自車両が入口区間を走行中は、確実に応答性重視の重み付けとなる。一方、カーブの出口側では、車載システム1は、出口区間を特別区間とする。なお、出口区間に対し、入口区間への付加区間よりも短い付加区間を加えた区間を、特別区間としても良い。
【0039】
図4は、カーブ100と直進区間110,111とからなる道路における特別区間の設定状況の一例を示している。なお、自車両140は、図中の上方に向かって走行する。
カーブ100は、リンク103〜105により構成されている。リンク103のノード101がカーブ100の始点に相当する。また、リンク105のノード102がカーブ100の終点に相当する。また、リンク103は、入口側のクロソイド区間(以後、入口クロソイド区間)に相当する。なお、クロソイド区間とは、曲率の変化の度合いが高い区間である。換言すれば、クロソイド区間は、曲率が一定又は略一定ではない。また、クロソイド区間は、曲率の変化の度合いが予め定められた水準に達する。一方、リンク105は、出口側のクロソイド区間(以後、出口クロソイド区間)に相当する。また、リンク104は、中間区間に相当する。
【0040】
図4の例では、入口クロソイド区間であるリンク103が、入口区間となる。そして、入口区間を含む特別区間120が設定される。この特別区間120は、入口区間の始点側に付加区間が加えられている。また、出口クロソイド区間に相当するリンク105は、出口区間として設定される。そして、出口区間が特別区間121に設定される。なお、他の区間は通常区間130に設定される。
【0041】
以下では、車載システム1にて実行される処理について詳しく説明する。
(2)区間設定処理について
まず、カーブの入口側と出口側とに特別区間を設定する区間設定処理について説明する(図5)。なお、本処理は、ナビゲーション装置10にて周期的なタイミングで実行される。
【0042】
S200では、ナビゲーション装置10の制御部11は、自車位置と地図データ16とに基づき、自車両がカーブの手前を走行しているか否かを判定する。具体的には、例えば、自車位置と、自車両の進路上に存在するカーブの始点との間の距離が、予め定められた閾値以下になった場合に、カーブの手前を走行していると判定しても良い。そして、制御部11は、肯定判定の場合には(S200:Yes)、S205に移行する。一方、否定判定の場合には(S200:No)、S215に移行する。
【0043】
S205では、制御部11は、自車位置の精度が高いか否かを判定する。換言すれば、自車位置の精度が、予め定められた水準に達しているか否かを判定する。
具体的には、例えば、制御部11は、自車両の走行軌跡や自車両が走行した道路の形状に基づき、自車位置の精度を判定しても良い。すなわち、自車両が、S200での判定に係るカーブ(以後、進入予定のカーブ)の手前に位置する別のカーブを走行している場合には、自車位置の精度が高いとみなしても良い。また、例えば、進入予定のカーブの手前で自車両が交差点で右左折を行った場合には、自車位置の精度が高いとみなしても良い。一方、例えば、制御部11は、一定期間にわたり直進区間を走行している場合等には、自車位置の精度が低いとみなしても良い。
【0044】
また、例えば、制御部11は、自車位置が地物マッチングの成功により検出されたものである場合には、自車位置の精度が高いとみなしても良い。
S210では、制御部11は、進入予定のカーブの入口側と出口側とに特別区間を設定する。
【0045】
具体的には、制御部11は、まず、地図データ16から、進入予定のカーブを構成するリンク及びノードを特定する。また、これらに基づき、進入予定のカーブの始点及び終点を特定する。そして、進入予定のカーブの入口区間及び出口区間を設定する。
【0046】
この時、制御部11は、進入予定のカーブの入口クロソイド区間を入口区間、出口クロソイド区間を出口区間としても良い。
ここで、地図データ16に、入口クロソイド区間の始点及び終点をなすノードが設けられている場合が想定される。このような場合、制御部11は、該始点及び終点の間の1又は複数のリンクにより構成される区間を、入口区間としても良い。また、同様にして、地図データ16に、出口クロソイド区間の始点及び終点をなすノードが設けられている場合が想定される。このような場合、制御部11は、該始点及び終点の間の1又は複数のリンクにより構成される区間を、出口区間としても良い。
【0047】
また、地図データ16に、入口,出口クロソイド区間の始点又は終点をなすノードが存在しない場合が想定される。このような場合、制御部11は、進入予定のカーブを構成するリンクの曲率に基づき、入口,出口クロソイド区間を特定しても良い。そして、入口クロソイド区間を入口区間とし、出口クロソイド区間を出口区間としても良い。
【0048】
この他にも、制御部11は、進入予定のカーブの始点から終点側に延びる予め定められた長さの区間を、入口区間としても良い。また、該カーブの終点の手前から終点まで延びる予め定められた長さの区間を、出口区間としても良い。また、制御部11は、進入予定のカーブの始点周辺の予め定められた長さの区間を、入口区間としても良い。この時、入口区間は、該カーブの始点の手前に位置する区間を含んでいても良い。また、制御部11は、該カーブの終点周辺の予め定められた長さの区間を、出口区間としても良い。この時、出口区間は、該カーブの終点の先に位置する区間を含んでいても良い。
【0049】
そして、制御部11は、入口区間を含む入口側の特別区間と、出口区間を含む出口側の特別区間とを設定する。入口側の特別区間は、入口区間に付加区間を加えたものである。一方、出口側に関しては、出口区間を特別区間としても良い。また、入口側の付加区間よりも短い付加区間を出口区間に加えたものを、出口側の特別区間としても良い。なお、入口側の特別区間は、入口区間の終点側に比べ、始点側により多くの付加区間を付すのが好適である。しかし、これに限定されることは無く、入口区間又は出口区間の始点側と終点側の双方又は一方に、付加区間を加えることができる。
【0050】
ただし、S205にて自車位置の精度が高いと判定された場合、制御部11は、入口側の特別区間の付加区間を短くする。具体的には、制御部11は、例えば、入口側の特別区間の付加区間を、出口側の特別区間の付加区間と同程度の長さとしても良い。また、入口区間を入口側の特別区間としても良い。
【0051】
続くS215では、制御部11は、自車位置に基づき、自車両が特別区間と通常区間のどちらを走行しているかを判定する。そして、判定結果を白線認識装置20に通知する。その後、制御部11は、本処理を終了する。
【0052】
(3)道路曲率計測処理について
次に、走行中の道路の曲率を計測する道路曲率計測処理について説明する(図6)。なお、本処理は、白線認識装置20にて周期的なタイミングで実行される。
【0053】
S300では、白線認識装置20の制御部21は、カメラ30から路面画像を取得する。
S305では、制御部21は、路面画像からエッジ点を抽出する。エッジ点とは、周辺の画素に対する色のパラメータの値(例えば、輝度値)の相違の度合いが大きい画素である。具体的には、例えば、キャニー法や微分エッジ検出法等の方法により、路面画像からエッジ点を抽出しても良い。
【0054】
S310では、制御部21は、エッジ点に基づき区画線の候補を抽出する。そして、区画線候補について、区画線らしさの確信度である尤度を算出する。なお、尤度は、例えば、区画線候補とその周囲の領域とのコントラストや、区画線候補の周辺の道路の特徴や、区画線候補の模様や平均輝度や、区画線候補のエッジ点の量等に基づき算出されても良い。そして、制御部21は、尤度が予め定められた閾値に達している区画線候補を、区画線とする。
【0055】
S315では、制御部21は、路面画像から抽出された区画線のうち、自車両の進行方向に延びるものを特定する。そして、特定した区画線の曲率を計測する。
S320では、制御部21は、ナビゲーション装置10からの通知に基づき、自車両が特別区間を走行しているか否かを判定する。そして、肯定判定の場合には(S320:Yes)、S325に移行する。一方、否定判定の場合には(S320:No)、S330に移行する。
【0056】
S325では、制御部21は、現時点を含む計測期間に撮影された各路面画像に基づく区画線の曲率の計測結果に対し、応答性重視の重み付けを行う。そして、これらの計測結果から走行中の道路の曲率を算出する。その後、本処理を終了する。
【0057】
一方、S330では、制御部21は、現時点を含む計測期間に撮影された各路面画像に基づく区画線の曲率の計測結果に対し、安定性重視の重み付けを行う。そして、これらの計測結果から走行中の道路の曲率を算出する。その後、本処理を終了する。
【0058】
[1−3.効果]
以上詳述した第1実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)第1実施形態では、カーブの入口側の特別区間における付加区間は、出口側の特別区間における付加区間より短い。換言すれば、入口側の特別区間は、出口側の特別区間に比べ、余分な長さを多く持っている。
【0059】
これにより、自車位置の精度が低いカーブの入口付近では、入口区間の走行中に確実に応答性を重視した状態で道路曲率を計測でき、計測精度が向上する。一方、自車位置の精度が高いカーブの出口付近では、出口区間の走行中に応答性を重視した状態になり、他の区間では安定性を重視した状態になる。このため、応答性を重視した状態が必要以上に継続するのを抑制できる。したがって、道路曲率の計測結果が不安定になるのを抑制しつつ、計測精度を向上させることができる。
【0060】
図7は、カーブの入口側の特別区間と出口側の特別区間とに同程度の長さの付加区間を設けた場合の、道路曲率の計測結果の一例を示している。このような場合、カーブの終点を通過した直後に道路曲率の計測結果の誤差が大きくなると共に、計測結果がふらつく。
【0061】
一方、図8は、第1実施形態のように、出口側の特別区間における付加区間を、入口側の特別区間における付加区間よりも短くした場合の、道路曲率の計測結果の一例を示している。このような場合には、カーブの終点を通過した直後の道路曲率の計測結果の誤差が小さくなると共に、計測結果のふらつきを抑えることができる。
【0062】
したがって、第1実施形態によれば、道路曲率を精度良く計測できる。
(1b)また、カーブにおける入口クロソイド区間が入口区間に、出口クロソイド区間が出口区間に設定される。このため、曲率が一定ではない区間において、確実に応答性重視の重み付けがなされる。したがって、道路曲率を精度良く計測できる。
【0063】
(1c)また、カーブの入口を通過する際に自車位置の精度が高い場合には、カーブの入口側の特別区間における付加区間が短くなる。これにより、カーブの入口付近では、入口区間の走行中に応答性を重視した状態になり、他の区間では安定性を重視した状態になる。このため、道路曲率の計測結果が不安定になるのを抑制しつつ、計測精度を向上させることができる。
【0064】
(1d)また、進入予定のカーブの手前では、別のカーブを走行しているか否かや、交差点で右左折を行ったか否かにより、自車位置の精度が高いか否かが判定される。換言すれば、マップマッチングによる補正がなされているか否かにより、自車位置の精度が判定される。このため、進入予定のカーブの手前で自車位置の精度を適切に判定できる。
【0065】
(1e)また、進入予定のカーブの手前では、自車位置が地物マッチングの成功により検出されたものである場合には、自車位置の精度が高いと判定される。このため、自車位置の精度を適切に判定できる。
【0066】
[2.第2実施形態]
[2−1.第1実施形態との相違点]
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様である。このため、共通する構成については説明を省略し、相違点を中心に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであるため、説明を省略する。
【0067】
第2実施形態の車載システム1においても、第1実施形態と同様、カーブに特別区間が設定される。しかし、特別区間の設定方法が異なっている。
すなわち、第2実施形態では、進入予定のカーブの出口側に特別区間が設定される。そして、進入予定のカーブの手前で自車位置の精度が高い場合には、該カーブの入口側にも特別区間が設定される。
【0068】
具体的に説明すると、第2実施形態では、進入予定のカーブの始点をその始点とする区間が、入口区間として設定される。また、該カーブの終点をその終点とする区間が、出口区間として設定される。
【0069】
なお、第1実施形態と同様、進入予定のカーブの入口クロソイド区間を入口区間としても良い。また、該カーブの出口クロソイド区間を出口区間としても良い。この他にも、第1実施形態と同様にして、該カーブの始点から終点側に延びる予め定められた長さの区間を、入口区間としても良い。また、該カーブの終点の手前から終点まで延びる予め定められた長さの区間を、出口区間としても良い。
【0070】
そして、進入予定のカーブの出口区間が、出口側の特別区間に設定される。さらに、進入予定のカーブの手前で自車位置の精度が高い場合には、該カーブの入口区間が特別区間に設定される。なお、入口側及び出口側の特別区間には、付加区間は含まれない。
【0071】
図9は、図4と同様のカーブ100と直進区間110,111とからなる道路における特別区間の設定状況の一例を示している。図9の例では、入口クロソイド区間であるリンク103が、入口区間となる。また、出口クロソイド区間であるリンク105が、出口区間となる。そして、出口区間が特別区間150に設定される。さらに、カーブ100の手前で自車位置の精度が高いと判定された場合は、入口区間が特別区間151に設定される。なお、他の区間は通常区間160に設定される。
【0072】
[2−2.処理]
第2実施形態においても、区間設定処理と道路曲率計測処理とが行われる。第2実施形態の道路曲率計測処理は、第1実施形態の道路曲率計測処理と同一である。しかし、第2実施形態の区間設定処理は、第1実施形態の区間設定処理と相違している。以下では、第2実施形態の区間設定処理について説明する(図10)。なお、本処理は、ナビゲーション装置10にて周期的なタイミングで実行される。
【0073】
S400では、ナビゲーション装置10の制御部11は、第1実施形態の区間設定処理のS200と同様にして、自車両がカーブの手前を走行しているか否かを判定する。そして、肯定判定の場合には(S400:Yes)、制御部11は、S405に移行する。一方、否定判定の場合には(S400:No)、S420に移行する。
【0074】
S405では、制御部11は、第1実施形態の区間設定処理のS205と同様にして、自車位置の精度が高いか否かを判定する。そして、自車位置の精度が高い場合には(S405:Yes)、制御部11は、S410に移行する。一方、自車位置の精度が低い場合には(S405:No)、S415に移行する。
【0075】
S410では、制御部11は、進入予定のカーブの入口区間を、特別区間に設定する。具体的には、制御部11は、第1実施形態の区間設定処理のS210と同様にして入口区間を設定する。そして、入口区間を特別区間に設定する。
【0076】
S415では、制御部11は、進入予定のカーブの出口区間を、特別区間に設定する。具体的には、制御部11は、第1実施形態の区間設定処理のS210と同様にして出口区間を設定する。そして、出口区間を特別区間に設定する。
【0077】
S420では、制御部11は、第1実施形態の区間設定処理のS215と同様の処理を行う。そして、制御部11は、本処理を終了する。
[2−3.効果]
以上詳述した第2実施形態によれば、以下の効果が得られる。
【0078】
(2a)第2実施形態によれば、カーブの終端部分をなす出口区間が特別区間に設定される。このため、自車位置の精度が高いカーブの出口付近では、出口区間の走行中に応答性を重視した状態になり、他の区間では安定性を重視した状態になる。その結果、応答性を重視した状態が必要以上に継続するのを抑制できる。これにより、道路曲率の計測結果が不安定になるのを抑制しつつ、計測精度を向上させることができる。したがって、道路曲率を精度良く計測できる。
【0079】
(2b)また、カーブの入口を通過する際に自車位置の精度が高い場合には、カーブの始端部分をなす入口区間が特別区間に設定される。このため、カーブの入口付近では、入口区間の走行中に応答性を重視した状態になり、他の区間では安定性を重視した状態になる。その結果、応答性を重視した状態が必要以上に継続するのを抑制できる。これにより、道路曲率の計測結果が不安定になるのを抑制しつつ、計測精度を向上させることができる。
【0080】
(2c)さらに、第1実施形態の(1b),(1d),(1e)と同様の効果が得られる。
[3.他の実施形態]
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0081】
(1)第1,第2実施形態では、白線認識装置20は、路面画像に映っている区間線の曲率に基づき、道路曲率を計測する。しかしながら、これに限らず、白線認識装置20は、例えば、路面画像に映っている道路の縁部の曲率等に基づき道路曲率を計測しても良い。
【0082】
(2)第1,第2実施形態の車載システム1は、ナビゲーション装置10と白線認識装置20とを含んでいる。しかし、ナビゲーション装置10及び白線認識装置20は、1つの装置として構成されていても良い。
【0083】
また、第1,第2実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合させたりしてもよい。また、第1,第2実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、第1,第2実施形態の構成の少なくとも一部を、他の第1,第2実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。
【0084】
(3)上述した車載システム1の他、当該車載システム1としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した半導体メモリ等の非遷移的実態的記録媒体、区間設定処理,道路曲率計測処理に相当する方法など、種々の形態で本発明を実現することもできる。
【0085】
[4.特許請求の範囲との対応]
第1,第2実施形態の説明で用いた用語と、特許請求の範囲の記載に用いた用語との対応を示す。
【0086】
第1,第2実施形態の車載システム1が道路曲率計測装置の一例に、ナビゲーション装置10の制御部11,地図データ入力部12,位置検出部13が自車位置検出部の一例に、通信部14,センサ部15が地物検出部の一例に相当する。
【0087】
また、第1,第2実施形態における付加区間が、入口区間の長さと、該入口区間を含む特別区間の長さとの差分、及び、出口区間の長さと、該出口区間を含む特別区間の長さとの差分の一例に相当する。また、路面画像が撮影画像の一例に相当する。
【0088】
また、第1,第2実施形態における道路曲率計測処理のS320が区間判定部の一例に、S325,S330が計測部の一例に相当する。
また、第1実施形態における区間設定処理のS205が判定部の一例に、S210が設定部の一例に相当する。
【0089】
また、第2実施形態における区間設定処理のS405が判定部の一例に、S410,S415が設定部の一例に相当する。
【符号の説明】
【0090】
1…車載システム、10…ナビゲーション装置、11…制御部、12…地図データ入力部、13…位置検出部、14…通信部、15…センサ部、16…地図データ、20…白線認識装置、21…制御部、22…通信部、30…カメラ。
図1
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