特許第6475142号(P6475142)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6475142
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】半導体装置とその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20190218BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20190218BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20190218BHJP
【FI】
   H01L29/78 658F
   H01L29/78 652K
   H01L29/78 653A
   H01L29/78 652D
   H01L29/78 652M
   H01L21/302 105A
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-205759(P2015-205759)
(22)【出願日】2015年10月19日
(65)【公開番号】特開2017-79239(P2017-79239A)
(43)【公開日】2017年4月27日
【審査請求日】2018年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】熊澤 輝顕
(72)【発明者】
【氏名】宮原 真一朗
(72)【発明者】
【氏名】青井 佐智子
【審査官】 市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0224869(US,A1)
【文献】 特開平11−111983(JP,A)
【文献】 特開平07−263692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
H01L 21/3065
H01L 29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置の製造方法であって、
半導体基板の上面に、複数のトレンチを形成する工程と、
前記各トレンチ内に、ゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記各トレンチ内に、前記ゲート絶縁膜によって前記半導体基板から絶縁されているゲート電極を形成する工程と、
前記各ゲート電極の上面と前記半導体基板の上面を覆う第1絶縁層と、前記第1絶縁層上に配置されているとともに前記第1絶縁層よりも低い軟化点を有する第2絶縁層を備えており、隣接する2つの前記トレンチの間の位置にコンタクトホールが設けられている層間絶縁膜を形成する工程と、
前記第1絶縁層の軟化点より低いとともに前記第2絶縁層の軟化点より高い温度で前記層間絶縁膜を熱処理することによって、前記第2絶縁層の端部の表面が前記コンタクトホールから前記トレンチの中心に向かう従って上側に変位する向きに傾斜しているように前記第2絶縁層の表面を曲面化する工程と、
前記層間絶縁膜と前記コンタクトホールを覆うように上部電極層を形成する工程、
を有し
前記層間絶縁膜を形成する工程が、
前記各ゲート電極の前記上面と前記半導体基板の前記上面を覆うように前記第1絶縁層を形成する工程と、
前記第1絶縁層上に前記第2絶縁層を形成する工程と、
隣接する2つの前記トレンチの間の位置で前記第2絶縁層をエッチングする工程と、
前記第2絶縁層をエッチングした範囲よりも狭い範囲で前記第1絶縁層をエッチングすることによって前記コンタクトホールを形成する工程、
を有する製造方法。
【請求項2】
前記第2絶縁層をエッチングする工程では、マスクを介して前記第2絶縁層を等方性エッチングし、
前記第1絶縁層をエッチングする工程では、前記マスクを介して前記第1絶縁層を異方性エッチングする、
請求項1の製造方法。
【請求項3】
半導体装置であって、
半導体基板と、
半導体基板の上面に設けられている複数のトレンチと、
前記各トレンチ内に配置されているゲート絶縁膜と、
前記各トレンチ内に配置されており、前記ゲート絶縁膜によって前記半導体基板から絶縁されているゲート電極と、
前記各ゲート電極の上面と前記半導体基板の上面を覆う第1絶縁層と、前記第1絶縁層上に配置されているとともに前記第1絶縁層よりも低い軟化点を有する第2絶縁層を備えており、隣接する2つの前記トレンチの間の位置にコンタクトホールが設けられている層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜と前記コンタクトホールを覆っている上部電極層、
を有し、
前記第1絶縁層の上面が平坦であり、
前記第2絶縁層の表面が曲面であり、前記第2絶縁層の端部の表面が前記コンタクトホールから前記トレンチの中心に向かうに従って上側に変位する向きに傾斜しており、
前記第2絶縁層の中央部の表面が、凸状に湾曲する曲面であり、
前記第2絶縁層の端部の表面が、凹状に湾曲する曲面である、
半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、半導体装置とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のトレンチ型のゲート電極を有する半導体装置が開示されている。各ゲート電極の上面は、層間絶縁膜(ここでは、BPSG膜(Boron Phospho Silicate Glass))によって覆われている。層間絶縁膜には、隣接する2つのトレンチの間の位置にコンタクトホールが設けられている。層間絶縁膜とコンタクトホールを覆うように、上部電極層が形成されている。上部電極層は、コンタクトホールの内部で半導体基板に接続されている。ゲート電極は、層間絶縁膜によって上部電極層から絶縁されている。
【0003】
この半導体装置の製造工程では、トレンチ型のゲート電極が形成された後に、各ゲート電極の上面と半導体基板の上面を覆うように層間絶縁膜が形成される。その後に、層間絶縁膜にコンタクトホールが形成される。コンタクトホールを形成すると、層間絶縁膜の上面とコンタクトホールの底面の間に段差が形成される。次に、層間絶縁膜を熱処理することで層間絶縁膜を軟化させる。層間絶縁膜(BPSG膜)の軟化点が低いので、熱処理によって容易に層間絶縁膜を軟化させることができる。これによって、層間絶縁膜の表面が曲面化し、層間絶縁膜の端部の表面(すなわち、コンタクトホールの側面)がコンタクトホールの開口部を拡げるように傾斜する。このように層間絶縁膜の表面が曲面化することで、熱処理前に比べて層間絶縁膜の上面とコンタクトホールの底面の間の段差を平滑化することができる。その後、層間絶縁膜とコンタクトホールを覆うように上部電極層が形成される。上部電極層の表面には、層間絶縁膜とコンタクトホールの形状に沿って凹凸が形成される。熱処理によって層間絶縁膜の上面とコンタクトホールの底面の間の段差が平滑化されているので、上部電極層の表面の凹凸も平滑化される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−235676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の半導体装置のように上部電極層の表面を平滑化することで、上部電極層に熱応力が生じ難くなる。その結果、上部電極層にクラック等が生じ難くなり、半導体装置の温度サイクルに対する耐久性が向上する。他方、特許文献1のように層間絶縁膜をBPSG膜により構成し、表面が曲面化するように層間絶縁膜を変形させると、層間絶縁膜の厚みがその端部で薄くなる。変形時に層間絶縁膜の形状を正確に制御することが難しいため、層間絶縁膜の端部で層間絶縁膜の厚みが極端に薄くなる場合がある。その結果、ゲート電極と上部電極層の間で十分な絶縁耐圧を確保することができない場合がある。したがって、本明細書では、表面が平滑化された上部電極層を得ることが可能であり、かつ、層間絶縁膜の厚みを十分に確保することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書が開示する半導体装置の製造方法は、トレンチ形成工程と、ゲート絶縁膜形成工程と、ゲート電極形成工程と、層間絶縁膜形成工程と、熱処理工程と、上部電極層形成工程を有する。前記トレンチ形成工程では、半導体基板の上面に複数のトレンチを形成する。前記ゲート絶縁膜形成工程では、前記各トレンチ内にゲート絶縁膜を形成する。前記ゲート電極形成工程では、前記各トレンチ内に、前記ゲート絶縁膜によって前記半導体基板から絶縁されているゲート電極を形成する。前記層間絶縁膜形成工程では、前記各ゲート電極の上面と前記半導体基板の上面を覆う第1絶縁層と、前記第1絶縁層上に配置されているとともに前記第1絶縁層よりも低い軟化点を有する第2絶縁層を備えており、隣接する2つの前記トレンチの間の位置にコンタクトホールが設けられている層間絶縁膜を形成する。前記熱処理工程では、前記第1絶縁層の軟化点より低いとともに前記第2絶縁層の軟化点より高い温度で前記層間絶縁膜を熱処理する。第2絶縁層は軟化して変形し、その表面が曲面化する。第2絶縁層端部の端部の表面が、コンタクトホールからトレンチの中心に向かうに従って上側に変位する向きに傾斜した状態が得られる。前記上部電極層形成工程では、前記層間絶縁膜と前記コンタクトホールを覆うように上部電極層を形成する。
【0007】
なお、層間絶縁膜の端部とは、層間絶縁膜のうちのコンタクトホールに隣接する部分を意味する。また、軟化点は、絶縁層が外力によらず自重と表面張力により変形できる程度に軟化する温度を意味する。軟化点が、融点であってもよい。また、トレンチの中心は、トレンチの幅方向(トレンチを上から見たときのトレンチの短手方向)における中心を意味する。
【0008】
この製造方法では、軟化点が高い第1絶縁層上に軟化点が低い第2絶縁層が積層されることで層間絶縁膜が形成される。熱処理工程では、温度が第1絶縁層の軟化点よりも低いので、第1絶縁層はほとんど変形しない。また、熱処理工程では、温度が第2絶縁層の軟化点よりも高いので、第2絶縁層が軟化する。その結果、第2絶縁層が変形して、第2絶縁層の端部の表面がコンタクトホールからトレンチの中心に向かうに従って上側に変位する向き(すなわち、コンタクトホールからトレンチの中心に向かうに従って第1絶縁層から離れる向き)に傾斜するとともに第2絶縁層の表面が曲面化する。これによって、層間絶縁膜の上面とコンタクトホールの底面の間の段差が、熱処理前に比べて平滑化される。このため、その後に上部電極層を形成すると、上部電極層の表面も平滑化される。また、上述したように、熱処理工程では、第1絶縁層がほとんど変形しないので、第1絶縁層の厚みはほとんど変化しない。このため、第2絶縁層が変形して部分的に厚みが薄くなったとしても、第1絶縁層によって層間絶縁膜全体としての厚みを十分に確保することができる。このため、この方法によれば、ゲート電極と上部電極層の間で高い絶縁耐圧を確保することができる。
【0009】
また、本明細書は、新たな半導体装置を提供する。この半導体装置は、半導体基板と、複数のトレンチと、ゲート絶縁膜と、ゲート電極と、層間絶縁膜と、上部電極層を有している。前記複数のトレンチは、半導体基板の上面に設けられている。前記ゲート絶縁膜は、前記各トレンチ内に配置されている。前記ゲート電極は、前記各トレンチ内に配置されており、前記ゲート絶縁膜によって前記半導体基板から絶縁されている。前記層間絶縁膜は、前記各ゲート電極の上面と前記半導体基板の上面を覆う第1絶縁層と、前記第1絶縁層上に配置されているとともに前記第1絶縁層よりも低い軟化点を有する第2絶縁層を備えている。前記層間絶縁膜には、隣接する2つの前記トレンチの間の位置にコンタクトホールが設けられている。前記上部電極層は、前記層間絶縁膜と前記コンタクトホールを覆っている。前記第1絶縁層の上面が平坦である。前記第2絶縁層の表面が曲面であり、前記第2絶縁層の端部の表面が前記コンタクトホールから前記トレンチの中心に向かうに従って上側に変位する向きに傾斜している。
【0010】
この半導体装置によると、表面が平滑化された上部電極層を得ることができるとともに層間絶縁膜の厚みを確保することができる。第2絶縁層の表面を曲面化する方法は特に限定されないが、第2絶縁層を軟化させて変形させる方法が好適である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1のMOSFET10の縦断面図。
図2】実施例1のMOSFET10の製造方法の説明図。
図3】実施例1のMOSFET10の製造方法の説明図。
図4】実施例1のMOSFET10の製造方法の説明図。
図5】実施例1のMOSFET10の製造方法の説明図。
図6】実施例1のMOSFET10の製造方法の説明図。
図7】実施例1のMOSFET10の製造方法の説明図。
図8】実施例1のMOSFET10の製造方法の説明図。
図9】実施例1のMOSFET10の製造方法の説明図。
図10】実施例1のMOSFET10の製造方法の説明図。
図11】実施例1のMOSFET10の製造方法の説明図。
図12】実施例1のMOSFET10の製造方法の説明図。
図13】第2絶縁層52の曲面化処理をしない場合の製造方法の説明図。
図14】実施例1のMOSFET10の製造方法の説明図。
図15】実施例1の変形例のMOSFETの縦断面図。
図16】実施例2のMOSFETの縦断面図。
図17】実施例2のMOSFETの層間絶縁膜80の拡大断面図。
図18】実施例2のMOSFETの製造方法の説明図。
図19】実施例2のMOSFETの製造方法の説明図。
図20】実施例2のMOSFETの製造方法の説明図。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0012】
図1に示す実施例1のMOSFET10は、SiC基板12(炭化シリコン基板)を有している。SiC基板12の上面12aには、ソース電極80が形成されている。SiC基板12の下面12bには、ドレイン電極84が形成されている。
【0013】
SiC基板12の上面12aには、複数のトレンチ34が形成されている。各トレンチ34は、図1の紙面に対して垂直な方向に長く伸びている。なお、図1において、参照符号C1は、トレンチ34の幅方向(図1の左右方向)における中心を示している。各トレンチ34内には、ゲート絶縁膜38と、ゲート電極40が形成されている。ゲート絶縁膜38は、トレンチ34の内面を覆っている。ゲート電極40は、トレンチ34内に配置されている。ゲート電極40は、ゲート絶縁膜38によってSiC基板12から絶縁されている。
【0014】
ゲート電極40の上面とSiC基板12の上面12aは、層間絶縁膜50によって覆われている。但し、隣接する2つのトレンチ34の間の位置の層間絶縁膜50にはコンタクトホール54が形成されている。コンタクトホール54内では、SiC基板12が層間絶縁膜50に覆われていない。
【0015】
層間絶縁膜50は、第1絶縁層51と第2絶縁層52を有している。第1絶縁層51がSiC基板12側に配置されており、第2絶縁層52が第1絶縁層51上に積層されている。
【0016】
第1絶縁層51は、ゲート電極40の上面とトレンチ34に隣接する位置のSiC基板12の上面12aを覆っている。第1絶縁層51は、NSG(Non-doped Silicate glass)によって構成されている。第1絶縁層51は、位置によらず略一定の厚みを有している。第1絶縁層51の上面は平坦な平面である。
【0017】
第2絶縁層52は、第1絶縁層51上に配置されている。第2絶縁層52は、TEOS(Tetraethyl Orthosilicate)、PSG(Phospho Silicate Glass)、BPSG(Boron Phospho Silicate Glass)等によって構成されている。第2絶縁層52の軟化点は、第1絶縁層51の軟化点よりも低い温度である。第2絶縁層52の厚みは、トレンチ34の幅方向の中心C1の上部で厚く、コンタクトホール54に近づくほど薄くなっている。第2絶縁層52の上面は、上に凸となる曲面である。
【0018】
上述したソース電極80は、層間絶縁膜50とコンタクトホール54を覆っている。層間絶縁膜50によって、ソース電極80はゲート電極40から絶縁されている。ソース電極80は、コンタクトホール54内でSiC基板12の上面12aと接している。ソース電極80は、SiC基板12に接触するコンタクト層80a、コンタクト層80a上に形成されている中間層80b、及び、中間層80b上に形成されている表面層80cを有している。コンタクト層80aは、NiSi層(ニッケルシリサイド層)によって構成されている。中間層80bは、主にAlSi層(アルミニウムシリサイド層)によって構成されている。より詳細には、中間層80bは、ごく薄いTi層(チタン層)と、厚いAlSi層の積層構造を有している。Ti層は、層間絶縁膜50とコンタクト層80aに接している。AlSi層は、Ti層の表面の略全域を覆っている。表面層80cは、主にNi層(ニッケル層)によって構成されている。より詳細には、表面層80cは、厚いNi層と、ごく薄いAu層(金層)の積層構造を有している。Ni層は、中間層80bの表面の略全域を覆っている。Au層は、Ni層の表面の略全域を覆っている。
【0019】
SiC基板12内には、ソース領域22、ボディ領域26、ドリフト領域28及びドレイン領域30が形成されている。
【0020】
ソース領域22は、SiC基板12中に複数個形成されている。各ソース領域22は、n型領域である。各ソース領域22は、SiC基板12の上面12aに露出する範囲に形成されている。各ソース領域22は、ソース電極80(すなわち、コンタクト層80a)に対してオーミック接触している。各ソース領域22は、ゲート絶縁膜38に接している。
【0021】
ボディ領域26は、ソース領域22の側方及び下側に形成されており、ソース領域22に接している。ボディ領域26は、p型領域であり、複数のコンタクト領域26aと、低濃度ボディ領域26bを有している。各コンタクト領域26aのp型不純物濃度は、低濃度ボディ領域26bのp型不純物濃度よりも高い。各コンタクト領域26aは、ソース領域22の側方に形成されており、SiC基板12の上面12aに露出している。各コンタクト領域26aは、ソース電極80(すなわち、コンタクト層80a)に対してオーミック接触している。低濃度ボディ領域26bは、ソース領域22及びコンタクト領域26aの下側に形成されている。低濃度ボディ領域26bは、ソース領域22の下側でゲート絶縁膜38に接している。
【0022】
ドリフト領域28は、低濃度にn型不純物を含むn型領域である。ドリフト領域28のn型不純物濃度は、ソース領域22のn型不純物濃度よりも低い。ドリフト領域28は、低濃度ボディ領域26bの下側に形成されている。ドリフト領域28は、低濃度ボディ領域26bの下端の位置から、トレンチ34の底面よりも下側まで広がっている。ドリフト領域28は、ボディ領域26によってソース領域22から分離されている。ドリフト領域28は、低濃度ボディ領域26bの下側でゲート絶縁膜38に接している。
【0023】
ドレイン領域30は、ドリフト領域28よりも高濃度にn型不純物を含むn型領域である。ドレイン領域30は、ドリフト領域28の下側に形成されており、ドリフト領域28に接している。ドレイン領域30は、SiC基板12の下面12bに露出する範囲に形成されている。ドレイン領域30は、ドレイン電極84に対してオーミック接触している。
【0024】
MOSFET10の使用時には、ドレイン電極84に、ソース電極80よりも高い電位が印加される。ゲート電極40の電位は、制御回路によって制御される。ゲート電極40に閾値以上の電位が印加されると、ゲート絶縁膜38に隣接する範囲の低濃度ボディ領域26bがn型に反転し、そこにチャネルが形成される。すると、ソース電極80から、ソース領域22、チャネル、ドリフト領域28及びドレイン領域30を経由して、ドレイン電極84に向かって電子が流れる。すなわち、MOSFET10がオンする。ゲート電極40の電位が閾値未満の電位に制御されると、チャネルが消失し、MOSFET10がオフする。
【0025】
次に、MOSFET10の製造方法について説明する。MOSFET10は、全体が低濃度(ドリフト領域28と略同じ濃度)のn型半導体によって構成されているSiC基板12(加工前のSiC基板12)から製造される。まず、イオン注入やエピタキシャル成長等によって、図2に示すように、ソース領域22、コンタクト領域26a及び低濃度ボディ領域26bが形成される。
【0026】
次に、図3に示すように、SiC基板12の上面12aに、複数のトレンチ34が形成される。各トレンチ34は、ソース領域22と低濃度ボディ領域26bを貫通してドリフト領域28に達するように形成される。
【0027】
次に、図4に示すように、トレンチ34の内面を覆うようにゲート絶縁膜38が形成される。次に、図4に示すように、内面がゲート絶縁膜38に覆われたトレンチ34の内部に、ゲート電極40が形成される。
【0028】
次に、図5に示すように、SiC基板12の上面12aとゲート電極40の上面を覆うように第1絶縁層51が形成される。第1絶縁層51は、常圧CVDによってNSGをSiC基板12上とゲート電極40上に成長させることによって形成される。第1絶縁層51の厚みは略一定であり、第1絶縁層51の上面は平坦な平面である。
【0029】
次に、図6に示すように、第1絶縁層51の上面に第2絶縁層52が形成される。第2絶縁層52は、常圧CVDによってBPSGを第1絶縁層51上に成長させることによって形成される。この段階では、第2絶縁層52の厚みは略一定であり、第2絶縁層52の上面は平坦な平面である。
【0030】
次に、図7に示すように、第2絶縁層52上に、パターニングされたレジスト60が形成される。レジスト60は、第2絶縁層52の上面全体にレジスト膜を形成し、露光処理等によってレジスト膜をパターニングすることで形成される。レジスト60は、層間絶縁膜50のうちのコンタクトホール54を形成すべきでない範囲を覆い、コンタクトホール54を形成すべき範囲を覆わないようにパターニングされる。すなわち、レジスト60は、トレンチ34の上部とその周辺を覆い、隣接する2つのトレンチ34の間の範囲の中央部近傍を覆わないようにパターニングされる。
【0031】
次に、図8に示すように、レジスト60をマスクとして層間絶縁膜50をエッチングすることによって、コンタクトホール54が形成される。ここでは、RIE等の異方性エッチングによって層間絶縁膜50がエッチングされる。このため、この段階では、コンタクトホール54の側面(すなわち、第1絶縁層51の側面と第2絶縁層52の側面)は、SiC基板12の上面12aに対して略垂直に伸びている。つまり、層間絶縁膜50の上面とコンタクトホール54の底面の間に、断面形状が折れ線状である段差が形成される。コンタクトホール54が形成されたら、アッシング等によってレジスト60が除去される。
【0032】
次に、N雰囲気中でSiC基板12が熱処理される。ここでは、第1絶縁層51の軟化点よりも低いとともに第2絶縁層52の軟化点よりも高い温度にSiC基板12が加熱される。SiC基板12と共に、第1絶縁層51と第2絶縁層52が加熱される。熱処理温度が第1絶縁層51の軟化点よりも低いので、ここでは第1絶縁層51は軟化せず、第1絶縁層51の形状はほとんど変化しない。他方、熱処理温度が第2絶縁層52の軟化点よりも高いので、ここでは第2絶縁層52が軟化する。図9に示すように、軟化した第2絶縁層52は、コンタクトホール54側に流れ出ることなく、第1絶縁層51上にとどまる。また、軟化した第2絶縁層52の表面は、表面張力によって曲面化する。第2絶縁層52の表面が曲面化すると、第2絶縁層52の端部(コンタクトホール54に最も近い部分)の表面が、コンタクトホール54からトレンチ34の中心に向かうに従って上側に変位する向き(すなわち、コンタクトホール54からトレンチ34の中心に向かうに従って第1絶縁層51から離れる向き)に傾斜する。すなわち、第2絶縁層52の端部の表面の傾斜角度θ1(より詳細には、SiC基板12の上面12aの垂線と第2絶縁層52の端部の表面の間の角度)が増大する。つまり、熱処理前においては、第2絶縁層52の端部の表面(つまり、側面)がSiC基板12の上面12aの垂線に対して略平行であったので、その傾斜角度θ1は略0度であった。熱処理を行うことで、第2絶縁層52の端部の表面が傾斜して、傾斜角度θ1が増大する。このように傾斜角度θ1が増大しながら第2絶縁層52が曲面化することで、層間絶縁膜50の上面とコンタクトホール54の底面の間の段差が平滑化される。その後、温度を低下させると、第2絶縁層52が曲面化した状態で硬化する。これによって、図9に示すように曲面化した第2絶縁層52が得られる。
【0033】
次に、図10に示すように、層間絶縁膜50とコンタクトホール54を覆うようにNi層81aが形成される。なお、Ni層81aに代えて、Al、TiまたはMo等の金属層を形成してもよい。次に、SiC基板12を熱処理することによって、Ni層81aとSiC基板12の界面において、Ni層81aとSiC基板12を反応させる。これによって、図11に示すように、この界面においてNi層81aがシリサイド化し、コンタクト層80a(ニッケルシリサイド層)が形成される。なお、Ni層81aに代えて他の金属層(Al、Ti、Mo等)を形成した場合には、その金属層がシリサイド化したコンタクト層80aが形成される。コンタクト層80aが形成されたら、図11に示すように、エッチングによって、コンタクトホール54以外の箇所を覆っているNi層81a(またはAl、Ti、Mo等の金属層)を除去し、その後、アニールする。
【0034】
次に、スパッタリングによって、層間絶縁膜50とコンタクト層80aを覆うようにTi層とAlSi層を順に成長させる。これによって、図12に示すように中間層80bが形成される。ここでは、表面温度が500度以下となるように温度を調整しながらスパッタリングが実施される。なお、スパッタリングターゲットからSiC基板12に向かって飛ぶ電極材料の粒子は、SiC基板12の上面12aに対して垂直な軌道で飛ぶ粒子だけでなく、SiC基板12の上面12aに対して斜めに飛ぶ粒子を多く含んでいる。本実施例では、第2絶縁層52の端部の表面がコンタクトホールの開口の幅を広げるように傾斜しているため、上面12aに対して斜めに飛ぶ粒子もコンタクトホール54内に進入し易い。このため、コンタクトホール54内に効率的に中間層80b(すなわち、Au層及びAlSi層)が成長する。このため、層間絶縁膜50上とコンタクトホール54内とに略均一な膜厚で中間層80bが形成される。また、中間層80bの表面には、層間絶縁膜50とコンタクトホール54の形状にならって凹凸が形成される。本実施例では、中間層80bが形成される前に、層間絶縁膜50の上面とコンタクトホール54の底面の間の段差が平滑化されている。このため、中間層80bの表面の凹凸も平滑化される。
【0035】
なお、熱処理による第2絶縁層52の曲面化(すなわち、層間絶縁膜50の上面とコンタクトホール54の底面の間の段差の平滑化)を行わずに中間層80bを形成する場合には、図13に示すように、中間層80bの表面に大きい凹凸が形成される。特に、この場合には、コンタクトホール54の開口の幅が狭いためにコンタクトホール54内に中間層80bが成長し難い。このため、コンタクトホール54内では層間絶縁膜50上よりも中間層80bの厚みが薄くなる。その結果、図13に示すように、中間層80bの表面に大きい凹凸が形成される。図12、13を比較することで明らかなように、実施例1の方法によれば、中間層80bの表面を平滑化することができる。
【0036】
次に、無電解メッキによって、中間層80b上にNi層とAu層を成長させる。これによって、図14に示すように、表面層80cが形成される。中間層80bの表面が平滑化されているので、表面層80cの表面も平滑化される。その後、従来公知の方法によって下面12b側の構造(すなわち、ドレイン領域30とドレイン電極84)を形成することで、図1に示すMOSFET10が完成する。
【0037】
以上に説明したように、実施例1の方法によれば、表面が平滑化された中間層80b及び表面層80cを得ることができる。このため、中間層80b及び表面層80c内に熱応力が発生し難く、ソース電極80にクラックが生じ難い。したがって、MOSFET10の温度サイクルに対する耐久性を向上させることができる。また、実施例1の方法では、熱処理によって第2絶縁層52を変形させるときに、第1絶縁層51がほとんど変形しない。このため、ゲート電極40の上部とその周辺に略一定の厚みを有する第1絶縁層51が存在する。したがって、ゲート電極40の近傍で層間絶縁膜50が極端に薄くなることが無い。したがって、ゲート電極40とソース電極80の間で十分な絶縁耐圧を確保することができる。
【0038】
また、実施例1の方法では、軟化した第2絶縁層52が第1絶縁層51の上面の縁よりも外側に流れ出ないので、軟化した第2絶縁層52がコンタクトホール54側に流入することが抑制される。軟化した第2絶縁層52がコンタクトホール54内に流入すると、コンタクトホール54の幅が狭くなり、コンタクトホール54で意図した導通特性が得られなくなる場合がある。これに対し、実施例1の方法では、軟化した第2絶縁層52が第1絶縁層51上にとどまるので、コンタクトホール54の幅が狭くなることを抑制することができる。
【0039】
なお、上述した実施例1では、第1絶縁層51上の第2絶縁層52の表面全体が曲面化された。しかしながら、図15に示すように、第2絶縁層52の表面に平坦な領域が残っていてもよい。軟化したときの第2絶縁層52の粘度が高い場合には、図15のように、第2絶縁層52の端部の表面が曲面化する一方で、第2絶縁層52の中央部の表面が平坦なまま残る場合がある。このような場合でも、熱処理後に第2絶縁層52の端部の表面が傾斜する。したがって、第2絶縁層52の軟化処理を行わない場合(例えば、図13の場合)に比べて、中間層80b及び表面層80cの表面を平滑化することができる。
【実施例2】
【0040】
図16に示す実施例2の半導体装置では、第2絶縁層52の形状が実施例1とは異なる。図17は、実施例2の層間絶縁膜50の拡大断面図を示している。実施例2では、第2絶縁層52の中央部55aの表面が凸状に湾曲した曲面形状を有している一方で、第2絶縁層52の端部55b(すなわち、コンタクトホール54に隣接する部分)の表面が凹状に湾曲した曲面形状を有している。このため、端部55bの表面の傾斜角度θ1が、実施例1(図9参照)よりも大きい。このため、実施例2の半導体装置では、コンタクトホール54内に中間層80bが厚く形成され易く、中間層80bの表面が実施例1の半導体装置(図1参照)よりもさらに平滑化されている。このため、実施例2の半導体装置では、表面層80cの表面が実施例1の半導体装置よりもさらに平滑化されている。実施例2のMOSFETのその他の構成は、実施例1のMOSFET10と等しい。
【0041】
実施例2のMOSFET10の製造方法について説明する。実施例2のMOSFET10の製造方法では、図7に示す工程まで実施例1の製造方法と同様に実施される。次に、図18に示すように、等方性エッチング(例えば、CDE(Chemical Dry Etching)など)によって、レジスト60の開口部内の第2絶縁層52がエッチングされる。ここでは、レジスト60の開口内で第1絶縁層51が露出するまでエッチングを行う。等方性エッチングであるので、レジスト60の裏側までエッチングが進行する。このため、第2絶縁層52の側面がテーパ状に傾斜した形状となる。したがって、第2絶縁層52の表層部の幅が、レジスト60の幅よりも狭くなる。
【0042】
次に、図19に示すように、レジスト60をマスクとして第1絶縁層51がエッチングされる。これによって、コンタクトホール54が形成される。ここでは、RIE等の異方性エッチングによって第1絶縁層51がエッチングされる。このエッチングは、SiC基板12の上面12aに対して略垂直方向に進行する。このため、ここでは、図18で説明した等方性エッチングの範囲よりも狭い範囲で層間絶縁膜50がエッチングされる。図19に示すように、第1絶縁層51の側面はSiC基板12の上面12aに対して略垂直となる。他方、上述したように、第2絶縁層52の側面はテーパ状に傾斜した形状(すなわち、コンタクトホール54からトレンチ34の中心C1に向かうに従って上側に変位する向きに傾斜した形状)となっている。コンタクトホール54が形成されたら、アッシング等によってレジスト60が除去される。
【0043】
次に、N雰囲気中でSiC基板12が熱処理される。ここでは、第1絶縁層51の軟化点よりも低いとともに第2絶縁層52の軟化点よりも高い温度にSiC基板12が加熱される。図20に示すように、第1絶縁層51は軟化しないので、第1絶縁層51の形状はほとんど変化しない。第2絶縁層52は軟化するので、第2絶縁層52の表面が曲面化する。軟化前の第2絶縁層52の側面がテーパ状に傾斜しているので、軟化後の第2絶縁層52の端部の表面の傾斜角度(図17の角度θ1)が極めて大きくなる。その結果、図17に示すように、第2絶縁層52の中央部55aの表面が凸状の曲面形状となる一方で、第2絶縁層52の端部55bの表面が凹状の曲面形状となる。その後、温度を低下させると、第2絶縁層52が曲面化した状態で硬化する。
【0044】
次に、ソース電極80(すなわち、コンタクト層80a、中間層80b及び表面層80c)が形成される。第2絶縁層52の端部の表面の傾斜角度θ1が大きいので、コンタクトホール54内に中間層80bが成長しやすい。また、第2絶縁層52の表面の曲面化によって、第2絶縁層52の表面とコンタクトホール54の底面の間の段差が平滑化されている。このため、中間層80bも平滑化され、表面層80cの表面も平滑化される。実施例2の方法によれば、中間層80bの表面及び表面層80cの表面を、実施例1よりもさらに平滑化することができる。また、この方法でも、第1絶縁層51によって絶縁耐圧に必要な厚みを確実に確保することができる。
【0045】
また、中間層80bのAlSi層を成長させる際には、SiC基板12の上面12aに成長するAlSi層の結晶方位と第2絶縁層52の表面に成長するAlSi層の結晶方位が略等しい一方で、第1絶縁層51の側面に成長するAlSi層の結晶方位が上述した2つの結晶方位とは異なる。このため、中間層80b中にAlSi層の結晶界面が形成される。実施例2のようにSiC基板12の上面12aにAlSi層が成長し易くなると、第1絶縁層51の側面に成長するAlSi層が少なくなり、その結果、中間層80b中に形成される結晶界面が少なくなる。このため、第2実施例では、第1実施例に比べて、中間層80bの強度が向上する。
【0046】
ソース電極80を形成したら、従来公知の方法によって下面12b側の構造(すなわち、ドレイン領域30とドレイン電極84)を形成することで、図16に示す実施例2のMOSFETが完成する。
【0047】
なお、上述した実施例2では、等方性エッチング工程において第1絶縁層51が露出するまで第2絶縁層52をエッチングした。しかしながら、第1絶縁層51が露出しない段階で等方性エッチングを停止してもよい。例えば、等方性エッチングによって第2絶縁層の厚み方向中間部までエッチングし、その後に、異方性エッチングによって第2絶縁層と第1絶縁層を貫通するようにエッチングを行ってもよい。
【0048】
また、上述した実施例では、レジスト60をマスクとして第2絶縁層52の等方性エッチング工程を行い、その後に同じレジスト60をマスクとして第1絶縁層51の異方性エッチング工程を行った。しかしながら、先のエッチング工程で広い範囲をエッチングし、後のエッチング工程で狭い範囲をエッチングすることができれば、その後に第2絶縁層52を軟化させることで実施例2のように曲率が変化する曲面を有する第2絶縁層52を形成することが可能である。したがって、各エッチング工程は自由に変更することができる。例えば、先のエッチング工程と後のエッチング工程で別のマスクを使用してもよい。また、先のエッチング工程と後のエッチング工程のそれぞれで、等方性エッチングを行うか異方性エッチングを行うかを適宜変更することができる。但し、実施例2の方法によれば、同一のレジスト60をマスクとして用いることが可能であるので、効率的にMOSFETを製造することができる。
【0049】
また、上述した実施例1、2では、MOSFETについて説明したが、トレンチ型のゲート電極を有する他の半導体装置(例えば、IGBT等)に本明細書に開示の技術を適用してもよい。
【0050】
また、上述した実施例1、2では、SiC基板12を有する半導体装置について説明したが、シリコン基板等の他の半導体基板を用いる半導体装置に本明細書に開示の技術を適用してもよい。但し、SiC基板を有するパワー半導体装置では、SiC基板のワイドバンドギャップによる高い耐電圧特性を利用して微細化が進められている。このため、SiC基板を有する半導体装置では、層間絶縁膜に高い電界が加わり易い。このため、本明細書に開示の技術をSiC基板を有する半導体装置に適用するとより効果的である。
【0051】
以下に、上述した実施例1、2の構成要素と請求項の構成要素との関係について説明する。実施例1、2の中間層80bは、請求項の上部電極層の一例である。また、実施例1、2のソース電極80全体を、請求項の上部電極層の一例と見ることもできる。
【0052】
以上に説明した実施例の好適な構成を以下に列記する。なお、以下に列記する構成は、いずれも独立して有用なものである。
【0053】
本明細書が開示する一例の製造方法では、層間絶縁膜を形成する工程が、第1絶縁層形成工程、第2絶縁層形成工程、エッチング工程及びコンタクトホール形成工程を有している。第1絶縁層形成工程では、各ゲート電極の上面と半導体基板の上面を覆うように第1絶縁層を形成する。第2絶縁層形成工程では、第1絶縁層上に第2絶縁層を形成する。エッチング工程では、隣接する2つのトレンチの間の位置で第2絶縁層をエッチングする。コンタクトホール形成工程では、前記エッチング工程で第2絶縁層をエッチングした範囲よりも狭い範囲で第1絶縁層をエッチングすることによってコンタクトホールを形成する。
【0054】
この構成によれば、コンタクトホール形成工程の実施後に、コンタクトホールの開口部がコンタクトホールの底面よりも広くなる。この状態で熱処理工程を実施すると、第2絶縁層の端部の表面の傾斜角度が極めて大きくなる。その結果、第2絶縁層の端部の表面が、凹状に湾曲する曲面となる。第2絶縁層の中央部の表面は、凸状に湾曲する曲面となる。第2絶縁層がこのような形状であると、上部電極層を形成する際に、上部電極層の表面がより平滑化される。
【0055】
本明細書が開示する一例の製造方法では、第2絶縁層をエッチングする工程では、マスクを介して第2絶縁層を等方性エッチングし、第1絶縁層をエッチングする工程では、前記マスクと同じマスクを介して第1絶縁層を異方性エッチングする。
【0056】
このような構成によれば、同一のマスクを用いて2つのエッチング工程を実施できるので、効率的に半導体装置を製造することができる。
【0057】
本明細書が開示する一例の半導体装置では、第2絶縁層の中央部の表面が凸状に湾曲する曲面であり、第2絶縁層の端部の表面が凹状に湾曲する曲面である。
【0058】
この構成によれば、上部電極層の表面がより平滑化され易い。
【0059】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0060】
10 :MOSFET
12 :SiC基板
22 :ソース領域
26 :ボディ領域
28 :ドリフト領域
30 :ドレイン領域
34 :トレンチ
38 :ゲート絶縁膜
40 :ゲート電極
50 :層間絶縁膜
51 :第1絶縁層
52 :第2絶縁層
54 :コンタクトホール
80 :ソース電極
80a :コンタクト層
80b :中間層
80c :表面層
84 :ドレイン電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20