特許第6475145号(P6475145)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6475145
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】ガスセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/409 20060101AFI20190218BHJP
【FI】
   G01N27/409 100
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-218375(P2015-218375)
(22)【出願日】2015年11月6日
(65)【公開番号】特開2017-90150(P2017-90150A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2018年3月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】田渕 大輝
(72)【発明者】
【氏名】磯村 浩
【審査官】 黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−117521(JP,A)
【文献】 特開平11−190715(JP,A)
【文献】 特開2002−071625(JP,A)
【文献】 特開平05−188034(JP,A)
【文献】 特開2005−010137(JP,A)
【文献】 特開2003−222606(JP,A)
【文献】 特開2010−025731(JP,A)
【文献】 特表平09−500729(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/409
G01N 27/41
G01N 27/419
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向の先端側が閉塞された筒状の構造を有し、径方向外側に突出する鍔部を有すると共に、前記鍔部より先端側の外周面及び前記鍔部の先端側に面する先端向き面に亘って外側電極が形成された検出素子と、
前記検出素子が貫挿された貫通孔を有する筒状の構造であり、前記貫通孔の内周面に径方向内側に突出する段部を有する主体金具と、
前記検出素子の鍔部と前記主体金具の段部との間に配置された環状の金属パッキンと、
を備える、ガスセンサであって、
前記検出素子は、前記鍔部より先端側の外周面及び前記鍔部の先端向き面を覆う電気絶縁性を有する絶縁層を有しており、
更に、前記金属パッキンは、鉄45〜60%、クロム22〜30%、かつニッケルを含有するステンレス鋼からなり、前記鍔部の先端向き面に設けられた前記絶縁層と前記主体金具とに接触していることを特徴とするガスセンサ。
【請求項2】
前記絶縁層の前記金属パッキンに対向する表面と前記軸線方向に対して垂直の平面とのなす角度が、前記主体金具の前記段部の前記金属パッキンに対向する表面と前記軸線方向に対して垂直な平面とのなす角度より大であることを特徴とする請求項1に記載のガスセンサ。
【請求項3】
前記軸線方向からみた場合の前記鍔部の範囲内において、径方向内側に位置する前記絶縁層の厚みが径方向外側に位置する前記絶縁層の厚みよりも大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載のガスセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば内燃機関に用いられ、測定対象ガス(被測定ガス)中に含まれる特定ガスを検出することができるガスセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車などの排ガス中の特定成分を検出するセンサとして、酸素センサ、NOセンサ、HCセンサ等のガスセンサが知られている。
この種のガスセンサとして代表的な酸素センサは、ジルコニア等のセラミックスからなる固体電解質体を有底筒状に形成し、その表面上に、固体電解質体を挟むように一対の電極(検出電極と基準電極)を形成した検出素子を備えている。
【0003】
この酸素センサの使用時には、固体電解質体の外周面上に形成された検出電極は、排ガス中に晒され、内周面上に形成された基準電極は、基準となるガス(通常は大気)中に晒される。検出素子は、固体電解質体に隔てられた2つの雰囲気間、すなわち排ガスと基準ガスとの間における酸素分圧の差に応じて両電極間に生ずる起電力によって、排ガス中の酸素の検出を行う。
【0004】
また、このような酸素センサでは、検出素子の外周面には環状の鍔部が設けられており、この検出素子が、セラミック製の筒状の支持部材と金属製の筒状のハウジングとを挿通するように同軸に配置されている。詳しくは、ハウジングの内周面に設けられた環状の段部に、筒状の支持部材が係止され、この支持部材の内周面に設けられた凸部に検出素子の鍔部が係止されている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
更に、支持部材の凸部と検出素子の鍔部との間には、検出素子をハウジング内に押し込むようにして固定する際に、その押圧力を緩和するためや、排ガスが酸素センサの先端側から後端側に漏出しないように(即ちガスシールのために)、バネ性を有する環状の金属パッキンが配置されている。
【0006】
また、近年では、図8に例示するように、酸素センサに使用する部材を少なくする等の目的で、支持部材を省略して、検出素子(P1)を、直接、ハウジング(P2)で支持した酸素センサも開発されている。
【0007】
このような構造の酸素センサでは、検出電極(P3)を排ガス中の被毒物質から保護するためや、鍔部(P4)に設けられた検出電極とハウジングとの間を電気的に絶縁するために、鍔部よりも先端側の外周面(P5)及び鍔部の先端向き面(P6)に、例えばアルミナ等の絶縁材料を溶射して形成した多孔質の絶縁層(P7)が、同じ厚みで形成されている。そして、この場合においても、絶縁層とハウジングの段部(P8)との間に、検出素子をハウジング内にて固定する際の押圧力を緩和する等の目的で、金属パッキン(P9)が配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2013−117521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述のように絶縁層とハウジングの段部との間に金属パッキンを配置する場合には、不具合が生じることがある。
具体的には、本発明者等の研究よれば、例えばSUS430のようなステンレス鋼からなる金属パッキンを使用する場合には、下記のような問題があった。
【0010】
酸素センサによって内燃機関の排ガス中の酸素濃度を検出する場合には、通常、酸素センサの先端側は例えば800℃以上の高い温度に晒されるので、金属パッキン中から鉄(Fe)が絶縁層内に溶出することがある。つまり、高温の排ガスが多孔質の絶縁層内に滞留し、長期間にわたって金属パッキンに接触することによって、金属パッキンの鉄が絶縁層中に析出することがある。そのため、鉄の析出状態によっては、金属パッキン(従って金属製のハウジング)と検出電極との間でショートが発生し、センサ出力にノイズが乗ることがある。
【0011】
このようにセンサ出力にノイズが乗ると、酸素センサの検出精度が低下してしまう。
そこで、本発明は、金属パッキンと検出素子との間の高い電気絶縁性を保つことができるガスセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)本発明の第1局面におけるガスセンサは、検出素子と金属パッキンと主体金具を備えている。
検出素子は、軸線方向の先端側が閉塞された筒状の構造を有し、径方向外側に突出する鍔部を有すると共に、鍔部より先端側の外周面及び鍔部の先端向き面に亘って外側電極が形成されている。また、検出素子は、鍔部より先端側の外周面及び鍔部の先端向き面を覆う電気絶縁性を有する絶縁層を有する。つまり、絶縁層は、少なくとも検出素子の先端向き面より先端側の範囲を覆うように形成されている。
【0013】
なお、先端向き面とは、鍔部の表面のうち、先端側に向いている表面、即ち軸線方向の先端側から見た場合に見える表面である。
主体金具は、検出素子が貫挿された貫通孔を有する筒状の構造であり、貫通孔の内周面に径方向内側に突出する段部を有する。
【0014】
金属パッキンは、検出素子の鍔部と主体金具の段部との間に配置された環状の金属パッキンであり、検出素子の鍔部と主体金具の段部との間に挟まれている。
そして、このガスセンサでは、金属パッキンは、鉄45〜60%、クロム22〜30%、かつニッケルを含有するステンレス鋼からなり、鍔部の先端向き面に設けられた絶縁層と主体金具とに接触している。なお、特に好ましくは、鉄は48.3〜53.3%、クロムは24〜26%の範囲である。
【0015】
従って、例えば内燃機関の排ガス中等のように、ガスセンサが高い温度(例えば800℃以上)で用いられた場合でも、金属パッキン中の鉄が絶縁層に溶出しにくい(即ち絶縁層中に鉄が析出しにくい)という効果がある。
【0016】
つまり、このガスセンサでは、金属パッキン中には鉄の成分が少ないので、金属パッキン中の鉄が絶縁層中に析出しにくい。そのため、金属パッキン(従って主体金具)と検出素子(詳しくは外側電極)との間でショートが発生しにくく、よって、センサ出力にノイズが乗りにくいという効果がある。従って、このガスセンサにおいては、長期間に渡り高い測定精度を得ることができるという効果がある。
【0017】
なお、本発明において、金属パッキンの組成を示す%とは、重量%のことである。
(2)本発明の第2局面におけるガスセンサでは、絶縁層の金属パッキンに対向する表面と軸線方向に対して垂直の平面とのなす角度(例えば第1角度θ1)が、主体金具の段部の金属パッキンに対向する表面と軸線方向に対して垂直な平面とのなす角度(例えば第2角度θ2)より大である。
【0018】
上述のように、検出素子には、先端側の外周面から鍔部の先端向き面にかけて絶縁層が形成されているが、金属パッキンが曲がり易い場合には、前記図8に示すように、金属パッキンをガスセンサ内に固定する際に、金属パッキンが全面にわたって絶縁層に密着することがある。
【0019】
その場合に、金属パッキンのうち、密着部分の径方向外側の端部に力が加わることとなる。すると、その一部がずり応力(例えば図8のZ参照)となって、例えば径方向外側における絶縁層の先端部分にクラック等が生じやすい(例えば図8のP10参照)。このようなクラックが発生すると、使用状況によっては徐々にクラックが大きくなる。その結果、絶縁層に剥離等が発生し、電気絶縁性が低下するおそれがある。
【0020】
これに対して、第2局面のガスセンサでは、以下に詳述するように、前記クラックが生じにくいという効果がある。
このガスセンサで用いられる金属パッキンは、鉄60%以下、クロム22%以上のステンレス鋼からなるので、例えばクロムが22%未満のステンレス鋼(例えばSUS304)と比べて硬く、曲がり難い(即ち曲げ強度が大きい)。
【0021】
従って、検出素子の鍔部と主体金具の段部との間に金属パッキンを挟んで押圧して固定する際には、金属パッキンが曲がり難いので、後述する図4に例示するように、主として金属パッキンの径方向内側の端部が、絶縁層に当接する。すると、金属パッキンのうち、径方向内側の端部に力が加わることになる。また、金属パッキンの全表面にて絶縁層に接触する場合でも、径方向内側により大きな力(応力)が加わることとなる。
【0022】
つまり、このガスセンサでは、従来より曲がり難い金属パッキンを使用するので、金属パッキンを軸線方向の両側から押圧した場合、即ち傾斜した主体金具の段部と絶縁層とで挟んで押圧した場合には、軸線方向から見て、金属パッキンは径方向外側よりも径方向内側に大きな力が加わることとなる。
【0023】
そのため、径方向外側に力が加わる場合に比べて径方向内側に力が加わる場合には、ずり応力が小さくなり(絶縁層と金属パッキンとが接触する領域が径方向外側に比べて径方向内側の場合には増加するため)、鍔部の径方向外側にて絶縁層にクラックが生じ難いという効果がある。よって、ガスセンサの電気絶縁性が低下しにくく、耐久性が高いという顕著な効果がある。
【0024】
(3)本発明の第3局面におけるガスセンサでは、軸線方向からみた場合の鍔部の範囲内において、径方向内側に位置する絶縁層の厚みが径方向外側に位置する絶縁層の厚みよりも大きい。
【0025】
このガスセンサでは、径方向内側に位置する絶縁層の厚み(即ち絶縁層における軸線側の厚み)が径方向外側に位置する絶縁層の厚みよりも大きいので、絶縁層の軸線側に大きな力が加わっても、絶縁層が破損し難いという効果がある。
【0026】
また、絶縁層の軸線側の厚みを絶縁層の径方向外側の厚みよりも大きくすることにより、前記第2局面のガスセンサのように、各角度(例えばθ1、θ2)の差を容易に設けることができる。
【0027】
なお、本発明において、ガスセンサとは、測定対象ガス中に含まれる特定ガスを検出することができるセンサである。検出素子とは、特定ガスの量等の状態によって出力が変化する素子である。主体金具は、検出素子が貫通孔に挿通された状態で保持する筒状の金属製の部材である。金属パッキンは、金属パッキンに接する部材間をガスシールする(気密性を高める)金属製の部材である。
【発明の効果】
【0028】
本発明のガスセンサによれば、金属パッキン(従って主体金具)と外側電極との間でショートが発生しにくいので、センサ出力にノイズが乗りにくい。従って、長期間に渡り高い測定精度を得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】実施形態の酸素センサを軸線方向に沿って破断した状態を示す断面図である。
図2】検出素子を軸線方向に沿って破断した状態を示す断面図である。
図3】(a)は検出素子に検出電極を形成した状態を示す斜視図、(b)は検出素子に絶縁層を形成した状態を示す斜視図である。
図4】酸素センサの主体金具と検出素子との係合部分を拡大し、軸線方向に沿って破断した状態を示す断面図である。
図5】(a)は金属パッキンの酸素センサへの組み付け前の状態を示す斜視図、(b)は金属パッキンの酸素センサへの組み付け後の状態を示す正面図である。
図6】検出素子に絶縁層を形成する方法を示す説明図(検出素子はその先端側軸線方向に破断して示してある)。
図7】(a)は比較例No.2の金属パッキンの縦断面のSEM写真であり、(b)は比較例No.2の金属パッキンの縦断面のEDSによる元素マッピングを示す図である。
図8】従来技術の酸素センサの主体金具と検出素子との係合部分を拡大し、軸線方向に沿って破断した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明が適用されたガスセンサの実施形態について、図面を用いて説明する。
ここでは、ガスセンサとして、自動車等の内燃機関から排出される排ガス中の酸素濃度を検出する酸素センサを例に挙げて説明する。
【0031】
[1.実施形態]
[1−1.酸素センサの全体構成]
まず、実施形態の酸素センサの全体の構成について、図1図3に基づいて説明する。
【0032】
図1に示すように、実施形態の酸素センサ1は、自動車のエンジンの排気管(図示外)に対して、軸線O方向(酸素センサ1の長手方向:図1の上下方向)の下側が排気管内に突出するように取り付けられて使用される。なお、以下では、軸線O方向において、図1の下方を酸素センサ1の先端側とし、図1の上方を酸素センサ1の後端側として説明する。
【0033】
酸素センサ1は、主として、細長で先端側が閉じられた筒状の検出素子3と、検出素子3の外周側を取り囲んで保持する主体金具5(即ち検出素子3が貫挿された貫通孔7を有する主体金具)5と、検出素子3の後端側を覆う外筒9と、検出素子の先端側を覆うプロテクタ11等を有する。
【0034】
以下、各構成について説明する。
図2に示すように、検出素子3は、ジルコニアを主成分とし、軸線O方向に延びる有底筒状に形成した固体電解質体13を有する。
【0035】
固体電解質体13の軸線O方向における略中央の位置には、軸線O方向と垂直の径方向外側に向かって突出する環状(フランジ形状)の鍔部15が設けられている。
この鍔部15は、その断面(軸線O方向に沿って破断した断面)の形状が台形である。詳しくは、鍔部15は、径方向の最も外側部分であり軸線O方向と平行な頂面17と、頂面17の先端側から固体電解質体13に向かって所定角度で先端側に傾斜する先端向き面19と、頂面17の後端側から固体電解質体13に向かって所定角度で後端側に傾斜する後端向き面21とを有している。
【0036】
固体電解質体13の鍔部15よりも先端側の先端部23は、先端へ向けて徐々に縮径し、先端部分が球面状に閉じている。従って、検出素子3の内部には、中空部としての筒孔(即ち先端側が閉塞し後端側が開放された筒孔)25が形成されている。
【0037】
先端部23の外表面(外周面)には、PtまたはPt合金からなる多孔質状の検出電極27が形成されている。また、図3(a)に示すように、検出電極27から後端側に、帯状にリード部29が形成され、リード部29の後端側には周方向に延びる周状部31が形成されている。なお、リード部29及び周状部31は、例えばPt又はPt合金からなる導電性を有する部分である。検出電極27、リード部29、周状部31を合わせて、特許請求の範囲における外側電極に相当する。
【0038】
一方、図2に示すように、固体電解質体13の筒孔25の内表面(内周面)にも、PtまたはPt合金からなる多孔質状の基準電極(内側電極)33が形成されている。
従って、検出電極27と基準電極33とは、先端部23において固体電解質体13を挟んで対向しており、この部分が検出素子3において、酸素濃度の検出を行う検出部37として機能する。なお、酸素センサ1が排気管に取り付けられたとき、検出部37の外周面は排気管内を流通する排ガス中に晒される。
【0039】
また、検出電極27の外周面は、後に詳述するように、マグネシアアルミナスピネル等からなる多孔質状の絶縁層(即ち電気絶縁性を有する絶縁層)35に覆われている。
さらに、リード部29と後述する金属パッキン61との絶縁性を図るために、図3(b)に示すように、絶縁層35は、検出素子3の鍔部15の一部、詳しくは鍔部15の頂面17及び先端向き面19を覆っている。つまり、絶縁層35によって、検出素子3の鍔部15の頂面17より先端側が、全面に渡って覆われている。
【0040】
図1に戻り、検出素子3の後端部39(詳しくは検出電極27に接続された周状部31:図3参照)は、後端部39に外嵌めされた接続端子41を介しリード線43に接続されている。なお、リード線43は、図示外の外部回路(例えば自動車の電子制御装置(ECU))に、電気的な接続されている。
【0041】
同様に、検出素子3の基準電極33は、検出素子3の筒孔25内に挿入された接続端子45を介し、他のリード線44に接続されている。
また、検出素子3の筒孔25内には、固体電解質体13を加熱して活性化させるための棒状のヒータ47が挿入されている。このヒータ47は、内部に発熱抵抗体(図示外)を有しており、発熱抵抗体は、一対の電極端子49(図1では一方の電極端子49のみを示す)を介して、外部回路と電気的な接続を行う一対のリード線51(図1では一方のリード線51のみを示す)に接続されている。
【0042】
主体金具5は、その軸中心に軸線O方向に延びる貫通孔7を有する、例えばステンレス製(例えばSUS430)の筒状部材である。
貫通孔7は、先端側ほど小径で後端側ほど大径の孔であり、その内周面の軸線O方向における中央部分には、後に詳述するように、検出素子3を係止するために、径方向内側に環状に突出する段部53が形成されている。
【0043】
この主体金具5は、段部53と、後端に設けた加締部55との間に、滑石粉末からなる充填部材57、アルミナ製のスリーブ59を、ステンレス製の下側の金属パッキン61及び上側の加締めパッキン63を介して支持している。
【0044】
そして、検出素子3の鍔部15を、充填部材57と金属パッキン61との間に挟むことによって、貫通孔7内に検出素子3を保持するとともに、充填部材57等によって、貫通孔7内の気密性を確保している。
【0045】
また、主体金具5は、外周に、酸素センサ1を排気管に取り付けるためのねじ山が形成された雄ねじ部65を有する。雄ねじ部65の先端側には、プロテクタ11を取り付ける先端取付部67が形成されている。雄ねじ部65の後端側には、排気管への取り付けの際に使用される工具が係合される工具係合部69が設けられている。
【0046】
工具係合部69と雄ねじ部65との間には、排気管の取付部を介したガス抜けを防止するための環状のガスケット71が嵌挿されている。工具係合部69の後端側には、外筒9を取り付ける後端取付部73が形成され、後端取付部73の後端側に、前記加締部55が設けられている。
【0047】
さらに、検出素子3の後端部39は、主体金具5の後端の加締部55から突出され、後端取付部73に溶接された外筒9に覆われている。この外筒9は、軸線O方向に沿って延びる筒状のSUS304等のステンレス鋼からなる部材である。
【0048】
検出素子3の後端部39よりも後端側には、絶縁性セラミックスからなる筒状のセパレータ75が配置されている。セパレータ75は、検出素子3の接続端子41、45、ヒータ47の電極端子49が、互いに接触しないように、独立に内部に収容している。また、セパレータ75の先端側と後端側との間で大気連通が可能となっている。
【0049】
なお、外筒9は、セパレータ75が配置された部分の外周が加締められており、セパレータ75は、保持金具77を介して外筒9内に保持されている。
セパレータ75の後端側には、フッ素系ゴムからなるグロメット79が配置されている。グロメット79は、外筒9の後端側の開口に嵌められて、開口付近の外周が加締められることにより、外筒9に保持されている。
【0050】
グロメット79には、外筒9内に大気を導入するための連通孔81が形成されている。連通孔81内には、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂から形成された薄膜状のフィルタ部材83およびその留め金具85が挿入されており、水滴等の進入が防止されている。
【0051】
一方、検出素子3の先端側の検出部37は、主体金具5の先端取付部67から突出しており、先端取付部67に溶接されるプロテクタ11に覆われている。プロテクタ11は、排気管内に突き出される検出素子3の検出部37を、排ガス中に含まれる水滴や異物等の衝突から保護する。このプロテクタ11は開口部を有する一重構造から成る。
【0052】
[1−2.検出素子と主体金具との係止構造]
次に、検出素子3と主体金具5とが係止する部分の構成(係止構造)について、図4図5に基づいて説明する。なお、図4では検出素子3の先端側を上側としている。
【0053】
図4に示すように、主体金具5の段部53と検出素子3の鍔部15(詳しくは絶縁層35)との間に、金属パッキン61が配置されている。
主体金具5の段部53は、径方向内側に突出しているので、その後端側の表面、即ち金属パッキン61に対向する表面(以下段部表面91と記す)は図4の下方に向いている。
【0054】
詳しくは、段部表面91は、軸線O方向に垂直な平面(以下垂直面Hと記す)に対して所定角度(第2角度θ2)で、径方向内側が先端側に傾斜するように、テーパ形状(従って円錐形状)となっている。なお、軸線O方向から見た場合、段部53は環状であり、後端側に向いた段部表面91も環状である。
【0055】
一方、検出素子3の鍔部15は、径方向外側に突出しているので、先端向き面19は、軸線O方向から見た場合、環状となっている。
この先端向き面19は、垂直面Hに対して所定角度(第3角度θ3)で、径方向内側が先端側に傾斜するようにテーパ形状となっている。なお、本実施形態では、第3角度θ3は、第2角度θ2よりも大きい角度としている。
【0056】
また、上述したように、鍔部15の頂面17及び先端向き面19と、鍔部15より先端側は、絶縁層35により覆われている。つまり、先端向き面19より先端側(先端向き面19を含む)は、絶縁層35により全体が覆われている。この絶縁層35の厚みは、ほぼ均一であるが、鍔部15の先端向き面19を覆う部分ではその厚みが位置によって異なっている。
【0057】
つまり、絶縁層35の厚みは、先端向き面19の表面において、径方向外側よりも径方向内側(軸線O側:図4の左側)の方が徐々に大きくなるように構成されている。
詳しくは、絶縁層35の表面、即ち金属パッキン61と対向する表面(以下絶縁層表面93と記す)は、垂直面Hに対して所定角度(第1角度θ1)で、径方向内側が先端側に傾斜するようにテーパ形状となっている。
【0058】
しかも、この絶縁層表面93の第1角度θ1は、段部表面91の第2角度θ2よりも大きく設定されている。なお、各角度θ1、θ2、θ3の関係は、第1角度θ1>第3角度θ3>第2角度θ2である(但し、θ1、θ2、θ3は90°未満)。なお、この第1角度θ1>第2角度θ2の角度の関係は、金属パッキン61の全周で成立していることが望ましいが、全周において平均してその関係があればよい。
【0059】
ここで、金属パッキン61をその厚み方向に絶縁層35に対して投影した場合、金属パッキン61の径方向内側の端部に位置する絶縁層35の厚みをt1、径方向外側の端部に位置する絶縁層35の厚みをt2とすると、t1>t2の関係がある。なお、このt1>t2の厚みの関係は、金属パッキン61の全周で成立していることが望ましいが、平均してその関係があればよい。
【0060】
前記金属パッキン61は、主体金具5の段部53と絶縁層35との間に挟まれる前は、図5(a)に示すように、同じ厚みの円環状の平板(弾性を有する板パッキン)であり、主体金具5の段部53と絶縁層35との間に挟まれて軸線O方向に押圧されることによって、図5(b)に示すように円錐形状に変形する。なお、図5(b)の上方が先端側である。
【0061】
この金属パッキン61は、鉄60%、クロム22%のステンレス鋼(例えばSUS310S)からなる。なお、加締めパッキン63は、例えばSUS430からなる。
そして、図4に示すように、前記金属パッキン61の一方の表面(図4の上方の先端面95)は、主体金具5の段部53の段部表面91に、全面に渡って接触している。
【0062】
一方、金属パッキン61の他方の表面(図4の下方の後端面97)は、前記第1角度θ1と第2角度θ2との角度差に対応して、絶縁層表面93のうちの一部に接触している。詳しくは、金属パッキン61の後端面97のうち、径方向内側部分が(軸線O方向から見た場合に)環状に絶縁層35に接触している。
【0063】
[1−3.酸素センサの製造方法]
次に、本実施形態の酸素センサ1の製造方法について、図6を用いて簡単に説明する。
本実施形態では、酸素センサ1の製造方法のうち、検出素子3の製造方法に特徴があるので、主として検出素子3の製造方法について説明する。
【0064】
従来と同様に、固体電解質体13の表面に検出電極27及び基準電極33を形成した後に、図6に示すように、プラズマ溶射によって、固体電解質体13の鍔部15より先端側(但し鍔部15の頂面17及び先端向き面19を含む)を覆うように溶射層である絶縁層35を形成する。
【0065】
詳しくは、検出電極27及び基準電極33を備えた固体電解質体13を、先端側が上方となるように配置する。また、周知のプラズマ溶射装置101(詳しくはトーチが形成される噴射部103)を、固体電解質体13に向けて斜め下方となるように配置する。
【0066】
そして、固体電解質体13を軸線Oの周りに回転させながら、トーチに絶縁層35の材料であるマグネシアアルミナスピネルの粉末を供給するとともに、噴射部103を上下方向に移動させて、溶射によって絶縁層35を形成する。
【0067】
この溶射をする際には、鍔部15の先端向き面19のうち根元側(即ち軸線O側)における絶縁層35の厚みが径方向外側の厚みより大きくなるように、根元側を溶射している時間を径方向外側を溶射している時間よりも長くする。つまり、根本側と径方向外側とにおける溶射時間を比べた場合、径方向外側から根本側にゆくほど溶射時間を徐々に長くする。なお、どの程度長くするかは、実験により求めることができる。
【0068】
このようにして、絶縁層35を備えた検出素子3が作製される。
この検出素子3を用いて酸素センサ1を組み付ける工程は、基本的に従来と同様である。
【0069】
つまり、通常の手順で、酸素センサ1の各構成要素を組み付ける。例えば、主体金具5に、プロテクタ11を取り付け、更に、主体金具5に、金属パッキン61、検出素子3、充填部材57、スリーブ59、加締めパッキン63、外筒9等を配置する。
【0070】
その後、主体金具5の後端を加締めて、主体金具5内の各構成要素を固定した後に、酸素センサ1の後端側の各種の構成を組み付けて、酸素センサ1を完成する。
なお、主体金具5を加締める際に、検出素子3が先端側に押圧され、その際に金属パッキン61が円錐形状に変形する。
【0071】
[1−4.効果]
(1)実施形態の酸素センサ1は、検出素子3と金属パッキン61と主体金具5を備えている。この検出素子3は、鍔部15、検出電極27、基準電極33を有するとともに、鍔部15より先端側の外周面及び鍔部15の先端向き面19を覆う絶縁層35を有する。主体金具5は、段部53を有しており、金属パッキン61は、検出素子3の鍔部15と主体金具5の段部53との間に挟まれている。
【0072】
前記金属パッキン61は、鉄60%以下、クロム22%以上のステンレス鋼からなり、鍔部15の先端向き面19に設けられた絶縁層35と主体金具5とに接触しているので、例えば内燃機関等のように高い温度(例えば800℃以上)で用いられた場合でも、金属パッキン61中から溶出した鉄が絶縁層35中に析出しにくい。
【0073】
つまり、金属パッキン61中には鉄の成分が少ないので、金属パッキン61中から鉄が絶縁層35中に析出しにくい。そのため、金属パッキン61(従って主体金具5)と検出電極27との間でショートが発生しにくく、よって、センサ出力にノイズが乗りにくいという効果がある。従って、酸素センサ1は、長期間に渡り高い測定精度を得ることができるという効果がある。
【0074】
(2)また、この酸素センサ1は、絶縁層35の先端向き面19と垂直面Hとのなす第1角度θ1が、主体金具5の段部表面91と垂直面Hとのなす第2角度θ2より大である。
【0075】
また、金属パッキン61は、鉄60%以下、クロム22%以上のステンレス鋼からなるので、硬く曲がり難い(即ち曲げ強度が大きい)。
従って、金属パッキン61を主体金具5の段部53と絶縁層35の絶縁層表面93とで挟んで押圧することにより、前記図4に示すように金属パッキン61が変形した際には、上述した第1角度θ1と第2角度θ2との角度差により、軸線0方向から見て、金属パッキン61の径方向内側が環状に絶縁層35に接触し、その接触部分に力が加わることとなる。
【0076】
そのため、ずり応力が小さくなり、鍔部15の径方向外側において絶縁層35にクラックが生じ難いという効果がある。よって、検出素子3における絶縁性が低下しにくく、耐久性が高いという顕著な効果がある。
【0077】
(3)さらに、この酸素センサ1では、軸線方向からみた場合の鍔部15の範囲内において、径方向内側に位置する絶縁層35の厚みが径方向外側に位置する絶縁層35の厚みよりも大きい。
【0078】
従って、絶縁層35の径方向内側に大きな力が加わっても、絶縁層35が破損し難いという効果がある。
また、絶縁層35の径方向内側の厚みを絶縁層35の径方向外側の厚みよりも大きくすることにより、上述した第1、第2角度θ1、θ2の差を容易に設けることができる。
【0079】
[1−5.特許請求の範囲との対応関係]
ここで、特許請求の範囲と本実施形態とにおける文言の対応関係について説明する。
本実施形態の、酸素センサ1、鍔部15、先端向き面19、検出素子3、貫通孔7、段部53、主体金具5、金属パッキン61、絶縁層35が、それぞれ、特許請求の範囲の、酸素センサ、鍔部、先端向き面、検出素子、貫通孔、段部、主体金具、金属パッキン、絶縁層の一例に相当する。
【0080】
[2.実験例]
次に、発明の効果を確認するために行った実験例について説明する。
a)この実験では、本発明例(試料No.1)及び比較例(試料No.2、3)の複数本の酸素センサを用いて耐久試験を行った。
【0081】
本発明例の酸素センサとして、前記実施形態の構成の酸素センサ、即ちSUS310Sからなる金属パッキンを備えた酸素センサ(試料No.1)を作製した。
比較例として、前記実施形態と同様な構成の酸素センサであるが、金属パッキンの材料として、SUS430を用いた酸素センサ(試料No.2)とSUS304を用いた酸素センサ(試料No.3)を作製した。
【0082】
そして、エンジン実機にて、各酸素センサをエンジンの排気管に取り付け、最高排ガス温750〜900℃での運転状態とアイドル状態(100〜400℃)とを繰り返した環境下での耐久試験を行った。
【0083】
最高排ガス温の状態とアイドル状態とを繰り返す1サイクルは1時間であり、最高排ガス温の状態を約50分、アイドル状態を約10分とした。
なお、エンジンの条件は、排気量:4000cc、気筒:6気筒、燃料:ガソリンである。また、最高排ガス温及びアイドル状態の温度の測定は、酸素センサ近傍に取り付けた温度センサにて測定した。
【0084】
耐久試験を行った時間(耐久時間)は、500時間、1000時間、2000時間とした。そして、耐久時間が経過した各試料の複数本の酸素センサについて、主体金具と検出素子の検出電極との間の絶縁性を調べた。
【0085】
具体的には、直流電源下で500Vを印加した条件で、主体金具と検出素子の検出電極間の絶縁抵抗を求め、その絶縁抵抗が絶縁抵抗閾値の500kΩを下回ったものを、不良(×)とした。この結果を、下記表1に記す。なお、表1の各試料において、上段は「不良発生数/耐久本数」を示し、下段は「判定結果」、つまり、「良(○)、不良(×)」を示したものである。
【0086】
【表1】
【0087】
この表1から明らかなように、本発明例の試料No.1では、500時間、1000時間、2000時間の各耐久後でも、36本中不良は0本であり、高い耐久性を備えていることが分かる。
【0088】
それに対して、比較例の試料No.2は、500時間の耐久後にて12本中に4本、1000時間の耐久後にて12本中に10本の不良があり、2000時間の耐久後では12本全てが不良であった。
【0089】
また、比較例の試料No.3は、500時間の耐久後では4本中1本、1000時間の耐久後では4本中全てが不良であった。
b)また、比較例の試料No.2の1000時間の耐久後の金属パッキンを厚み方向に破断し、その破断面を観察した。
【0090】
具体的には、その破断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。その結果、図7(a)に示すように、金属パッキン側より絶縁層中に金属パッキンの成分が浸透している箇所(同図の中央部分にて上側から下側に延出する部分)が見られた。
【0091】
なお、図7の上層が金属パッキンであり、下層が固体電解質体の層(ジルコニア層)であり、中間が絶縁層である。
また、前記同じ破断面において、EDS(エネルギー分散型X線分光分析)により、鉄(Fe)の元素マッピングを行った。その結果、図7(b)に示すように、前記浸透部分に鉄(浸透部分等にてドットで示す箇所)が含まれていることが確認できた。
【0092】
ここで、金属パッキンの材料であるSUS310S、SUS304の組成(%)は、下記表2示す通りである。
【0093】
【表2】
【0094】
つまり、本発明例の試料No.1で用いられるSUS310Sにおける鉄の組成の範囲は、本発明の範囲内の48.3〜53.3%であり、クロムの組成の範囲も、本発明の範囲内の24〜26%である。一方、比較例の試料No.3で用いられるSUS304における鉄の組成の範囲は、本発明の範囲外の66.3〜70.8%であり、クロムの組成の範囲も、本発明の範囲外の18〜20%である。
【0095】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
【0096】
(1)例えば、絶縁層は、鍔部の表面全体を覆っていてもよい。或いは、絶縁層は、鍔部の頂面を覆わずに、先端向き面のみを覆っていてもよい。さらに、絶縁層は、頂面の先端側の一部と先端向き面を覆うようにしてもよい。
【0097】
(2)また、金属パッキンの後端面が、絶縁層表面に、全面にわたって接触していてもよい。この場合も、従来の曲がり易い金属パッキンに比べて、径方向外側には大きな力がかかりにくい。
【0098】
(3)さらに、第1角度θ1と第2角度θ2の角度については、金属パッキンに対向する絶縁層表面や段部表面において、それぞれ平均の角度を採用できる。
つまり、絶縁層表面や段部表面の傾斜は、各表面の全ての箇所においてそれぞれ同じ傾斜であることが望ましいが、部分的に傾斜が変化していてもよい。すなわち、絶縁層表面や段部表面の傾斜の角度は、軸線方向に沿った任意の断面において、全体として(即ち平均して)上述した角度の関係があればよい。
【符号の説明】
【0099】
1…ガスセンサ、3…検出素子、5…主体金具、7…貫通孔、15…鍔部、19…先端向き面、27…検出電極、33…基準電極、35…絶縁層、53…段部、61…金属パッキン、O…軸線、H…垂直面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8