(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
選択的に操作可能な前記圧力アジャスタは、前記圧力アジャスタの作動の際に前記複数の制御点で前記膜支持部材に力をかけるために、前記膜支持部材と前記固定支持との間で作動するように配置され、よって、前記エンベロープ内の流体の圧力を調整するために、前記膜支持部材と前記固定支持との間に相対的な移動を起こさせるように構成され;
前記複数の制御点のうち一つの制御点は、前記球状の光学表面の、前記膨張可能な弾性膜の縁部と交差する前記膜支持部材の周囲の各位置に配置され、且つ2つの隣接する転換点または変曲点の間の前記膨張可能な弾性膜の膨張方向とは反対のz軸に平行な方向における転換点を有する;
請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の流体充填レンズまたは流体充填ミラーアセンブリ。
ひとつ以上の作動点が、前記一方の軸の一端の近傍に設けられ、少なくとも2つの中間ヒンジ点が、前記一方の軸の一端の前記ひとつ以上の作動点と前記弾性膜の中心との間の前記膜支持部材上に位置し、ひとつが前記膜支持部材の前記長辺のうちの一方の上にあり、もうひとつが他方の長辺上にある、
請求項11に記載の流体充填レンズまたは流体充填ミラーアセンブリ。
【発明の概要】
【0012】
本発明の目的は、膜および膜支持部材の変形が、変形または他の面外のゆがみの好ましくないモードに対抗して安定している、上で説明した種類の調節可能な流体充填レンズを提供することにある。
【0013】
したがって、本発明の一態様において、固定支持と、流体充填エンベロープであって、その少なくともひとつの壁部が可撓性膜支持部材によってその縁部の周りで張力がかけられて保持される弾性膜によって形成され、前記膜支持部材は、制御点における前記固定支持に対して相対的に膜縁部の位置を制御するために、それぞれの係合部材によって前記支持部材の周りの複数の個別の制御点で前記固定支持に結合され、前記部材は前記制御点の間で拘束されていない、流体充填エンベロープと、前記エンベロープ内の前記流体の圧力を調節し、それによって、前記膜の形状を調節するための選択的に操作可能な圧力アジャスタ(調節器)とを備え、前記支持部材全体の周囲でノード(節)を持たない前記膜の張力による負荷に応じて、前記支持部材の最も低い次数の面外曲げモードのエネルギーを増加するよう選択される、前記膜上の離間した位置で前記膜縁部の周囲に位置する少なくとも3つの制御点が設けられる、変形可能膜アセンブリが提供される。
【0014】
別の方向から見ると、少なくとも3つの制御点は、ひとつ以上の所望のモードに従って流体の圧力を調節するときに膜が変形することを許容するが、ひとつ以上の他の望ましくないモードに従う膜縁部の変位を抑制するよう選択される、膜の縁部の周囲の位置に配設されてもよい。上で説明したように、所望のモードは、純粋な、または実質的に純粋なゼルニケモードまたは他のモードであってもよいのに対して、望ましくないモードは、膜の実際の外形形状によって決定される。
【0015】
したがって、本発明の実施の形態によれば、制御点は、ひとつ以上の所望の膜の曲がりの低次モードを誘発する一方で、ひとつ以上の望ましくない高次モードを抑制するように位置してもよい。実施の形態によっては、n個の制御点(ここでnは、3以上の整数)が存在し、制御点は、n+1次の望ましくないモードを抑え、n−1次の所望のモードを誘発する。
【0016】
好ましくは、制御点は、膜の張力による負荷に応じて、いずれの制御点もない状態で存在する少なくとも最も低い次数の望ましくないモードを抑制するよう位置してもよい。高次の望ましくないモードは許容してもよいが、それらは、エネルギー的にそれ程有利ではなく、膜縁部のより小さな変位を伴うため、膜形状の忠実度を維持することに対して大きな問題ではない。制御点は、膜が少なくとも最も低い次数の所望曲げモードに従って変形することを許容するように位置決めされてもよい。制御点は、最も低い次数の所望曲げモードが支持部材と交差するノードを有する位置に位置決めされてもよい。制御点は、ひとつ以上の1次、2次、または3次(および/または高次の)望ましくないモードに従う膜の自然発生的な変形を抑えるよう位置決めされてもよい。適宜、制御点は、少なくとも1次の望ましくないモード、および、任意ではあるが、膜縁部にノードを有する少なくとも選択される2次または3次の望ましくないモードに従う膜の望ましくない変形をも防ぐよう位置決めされてもよい。
【0017】
以下でより詳細に説明するような実施の形態によっては、支持部材は、ひとつ以上の制御点で制御可能に変位されてもよく、かかる選択的な変位は、実施の形態によっては、膜が自然発生的に取らないように制御点によって妨げられるひとつ以上の同じ次数の曲げモードに従う膜の制御された変形を許容してもよい。言い換えれば、支持部材は、ひとつ以上の制御点において、ひとつ以上の所望の曲げモードに従って、抑制位置に選択的に動くことが可能であってもよい。その抑制位置では、それらのひとつ以上の対応する望ましくないモードが抑制される。そして、抑制位置から離間したひとつ以上の制御点における膜の変位がそれらひとつ以上の所望モードによる膜の曲がりを許容する。かかるひとつ以上の制御点は、以下で説明するような作動点であってもよい。
【0018】
光学的および特定の他の用途に対して、膜の変形の所望モードは、レンズ領域が基本単位円内に位置するひとつ以上のゼルニケ多項式によって説明されてもよい。本発明の実施の形態によって適宜、アリゾナフリンジ係数形態のゼルニケ多項式が用いられてもよい。したがって、制御点は、少なくとも球状(2次焦点はずれ、式(1)(以下式は後記の数1に示す。))変形、および、任意に球状および選択された2次、3次、および/または4次ゼルニケ多項式を許容して、非点収差、コマ収差、およびトレフォイルから選択される球状からのひとつ以上のずれを導入するよう位置決めされてもよい。
【0019】
膜は、円形または非円形であってもよい。制御点は、制御点において膜の縁部の位置を制御するよう配置される。制御点の間の膜縁部の外郭形状(プロファイル)は、ひとつ以上の所望モードの合計の交差とそれらの点の間の膜の外形形状によって画成され(定められ)てもよい。
【0020】
適宜、支持部材の曲げ剛性は、流体の圧力を調節するとき、支持部材が適切に曲がって制御点の間で支持部材の外郭形状を制御し、したがって、膜の形状を制御するように、支持部材の周辺で変化させて(周辺に沿って異なって)もよい。実施の形態によっては、支持部材周辺の曲げ剛性のかかる変化を達成するために、リングの寸法が、その範囲周辺で変化してもよい。支持部材は、実質的に均一で均質の材料でできていて、可変断面2次モーメントを有していてもよい。支持部材は、実質的に均一な深さと可変幅とを有し、リング周囲の断面2次モーメント、したがってリングの曲げ剛性を制御してもよい。実施の形態によっては、支持部材は、実質的に均一な厚さの、例えば、ステンレス鋼の金属シートから適切に切り取るか打ち抜くかして、シートの平面に可変幅の円形または非円形リングを得てもよい。
【0021】
支持部材周囲の曲げ剛性を、例えば、PCT/GB2012/051426に開示されているような有限要素解析法(FEA)によって都合よく決定してもよい。特に、FEAを利用して、膨張する場合に膜が所定形態を達成するか、できるよう、支持部材に接続される膜が、増加した(または減少した)流体圧によりひずむ際に、増加する負荷を受けた場合に支持部材の曲がりを制御するために必要な支持部材周囲の曲げ剛性の必要な変化を計算してもよい。
【0022】
実施の形態によっては、支持部材の剛性は、その範囲周辺で一定または実質的に一定であってもよい。
【0023】
適宜、支持部材は弾性的に曲げることができてもよい。
【0024】
上で明記した要件を条件として、各制御点は、膜の中心の周りで30〜120°の角度だけ、隣接する制御点から角度を成して離間してもよい。角度間隔は、40〜110°または50〜100°または60〜90°または90〜120°または100〜120°であってもよい。この文脈において、「中心」が意味するものは、膜の略中心に位置する点であり、ここでは幾何学上の中心(「ボックス中心」)であってもよく、光学的用途の場合、光学中心であってもよい。制御点をひとつ以上の望ましくないモードのノードに置くことは効果的ではないことが、正しく理解されよう。しかし、制御点は、ひとつ以上の所望モードと互換性のある膜縁部上の位置に位置すべきである。言い換えれば、それぞれの係合部材によって制御されるような各制御点における固定支持に対する相対的な膜縁部の位置は、膜の変形のひとつ以上の所望(望ましい)モードに対応すべきである。
【0025】
好ましくは、したがって、本発明の実施の形態によって、制御点は、膜の表面の張力の結果としての膜の変形(例えば、トーリック(円環状レンズの)モード)の自然発生的な望ましくないモードを抑えるよう、その範囲周辺の個別位置において膜の縁部上に位置決めされてもよい。制御点の適切な配置によって、特定の所望1次モードが許容される一方で、同じ次数の別のモードを含む他の望ましくないモードを抑えてもよいことは、正しく理解されよう。
【0026】
アジャスタは、エンベロープ内の流体の圧力を制御するため、エンベロープから流体を注入または除去(排出)するように選択的に操作可能であってもよい。したがって、エンベロープの容積は、(実際の容積にわずかな増加または減少を生じさせる膜またはエンベロープの他の部分の膨張以外に)実質的に一定のままであってよく、流体圧は、例えば、選択的に動作可能なポンプを用いて、エンベロープから流体を選択的に注入または除去することによって制御されてもよい(「注入モード」)。
【0027】
実施の形態によっては、各制御点は、膜支持部材がそれぞれの係合部材によって固定支持にヒンジ接続されるヒンジ点を備えてもよい。ヒンジ点において、支持部材は、支持に対する相対的な固定位置に保持されてもよいが、ある程度の面内移動が許容されてもよい。各ヒンジ点において、膜縁部は、前記ひとつ以上の所望モードに従う変形のための固定支持に対するゼロまたは実質的にゼロ変位の点である。さらに、ヒンジ点は、これらの点における膜縁部の移動を抑制するように、前記ひとつ以上の望ましくないモードに従う変形のための固定支持に対する非ゼロ変位の点である膜縁部上の位置に配設されるべきである。実施の形態によっては、支持部材上に少なくとも3つのヒンジ点が存在すべきである。適宜、3つを超えるヒンジ点、例えば、4、5、6個以上のヒンジ点を設けてもよい。
【0028】
膜の球状(焦点はずれ)変形は許容されるが、他のモードは望ましくないところの実施の形態において、ヒンジ点は、変形の中心、例えば、レンズまたは鏡の光学中心から等距離または実質的に等距離に適切に位置してもよい。かかる場合において、ヒンジ点はすべて、変形の中心と同心のゼロ変位の円形輪郭上に位置してもよい。
【0029】
例えば、2次非点収差等の追加のモードが望まれる実施の形態においては、ヒンジ点は依然として、固定支持に対して相対的にゼロまたは実質的にゼロ変位の輪郭上に配設されてもよいが、それらはその場合、中心から等距離にはない。言い換えれば、かかる場合、ゼロ変位の輪郭は非円形である。いずれの場合においても、ヒンジ点は、ゼロまたは実質的にゼロ変位の輪郭が膜縁部と交差する位置に位置決めされてもよい。
【0030】
代替として、前記アジャスタは、エンベロープの容量を調節して、それによって、エンベロープ内の流体の圧力を制御するように選択的に操作可能であってもよく、例えば、エンベロープ容量調節機構であってもよい。例えば、エンベロープは、圧縮性であり、前記固定支持に取り付けられてもよく、前記アジャスタは例えばベローズ方式であって、固定支持に抗してエンベロープを圧縮または膨張し、それによって固定量の流体によりエンベロープの容積を変化させる(「膨張モード」または「圧縮モード」)ように動作可能であってもよい。
【0031】
固定支持は、エンベロープ上の第1の位置においてエンベロープを保持するよう配置されてもよく、アジャスタは、エンベロープ上の第2の位置においてエンベロープに圧縮力または膨張力を与えるように配置してもよい。第1および第2の位置は、圧縮または膨張方向で離間しており、エンベロープは、第1と第2の位置の間に可撓性側壁を有して、エンベロープが圧縮または膨張することを可能にする。
【0032】
エンベロープは、第1の位置において固定支持によってその周囲の周りで保持されてもよく、固定支持は、エンベロープが取り付けられる剛体を備えていてもよい。例えば、エンベロープは膜と反対側の別の壁部をさらに備えていてもよく、前記他の壁部は、剛体に抗して隣接して配設されてもよい。
【0033】
さらに別の実施の形態において、エンベロープの前記他の反対側の壁部は剛性であってもよく、固定支持またはその一部として機能してもよい。
【0034】
適宜に、他の壁部は対象の波長の少なくとも一範囲に対して透明であってもよく、レンズ面を備えてもよい。
【0035】
流体充填圧縮可能または膨張可能なエンベロープはしかるべく、弾性的に圧縮可能または膨張可能であってもよい。圧縮(または膨張)時、エンベロープ内の圧力は、大気圧と比べて調節され、アセンブリの作動時にエンベロープを圧縮(または膨張)するよう作用する力を除去すると、エンベロープは、その非作動状態へ弾性的に戻って、膜にかかる圧力を釣り合わせてもよい。このように、流体充填エンベロープが流体充填クッションのように動作してもよい。
【0036】
アセンブリが圧縮(または膨張)モードで動作する実施の形態によっては、支持部材は、固定支持に対する固定位置に保持されてもよく、圧力アジャスタは、固定支持に対して相対的にエンベロープを圧縮または膨張させるために構成されてもよい。かかる実施の形態において、各制御点は上記のようなヒンジ点を備えてもよい。
【0037】
しかし、実施の形態によっては、支持部材は、エンベロープを圧縮または膨張させるために固定支持に対して相対的に可動であってもよい。適宜、支持部材は固定支持から間隔を空けられてもよく、2つの間の相対間隔は圧力アジャスタによって調節可能であってもよい。実施の形態によっては、エンベロープは、支持に対する膜支持部材の移動により、流体充填エンベロープが圧縮または膨張するように固定支持に取り付けられてもよい。
【0038】
適宜に、少なくともひとつの制御点は作動点を備えてもよく、アジャスタは、エンベロープの容積を調節するため、固定支持に対する支持部材の制御された変位のために、それぞれの係合部材によって作動点または各作動点で膜支持部材に接続される。係合部材は、前記ひとつ以上の所望モードに従って固定支持に対して相対的に膜支持部材を変位するように、作動点または各作動点において制御されるべきである。これは、膜形態の忠実度を維持するために重要である。
【0039】
上で説明したように、ひとつ以上の作動点の位置は、ひとつ以上の所望の曲げモード、特に低次モードに従って支持部材の変位を制御するよう選択されてもよい。したがって、支持部材は、ひとつ以上の作動点において、ひとつ以上の望ましくない曲げモードが抑制される抑制位置へ選択的に移動可能であってもよいが、抑制位置から離間する作動点における部材の動きはその場合、同じ次数のひとつ以上の所望モードによる曲がりを許容する。これは、ひとつ以上の2次モード(例えば、非点収差)に従う支持膜の曲がりを選択的に抑制するか、許容するために特に有用である。
【0040】
実施の形態によっては、すべての制御点は作動点を備えてもよい。代替として、少なくともひとつの他の制御点は、膜支持部材がそれぞれの係合部材によって固定支持にヒンジ接続されるヒンジ点を備えていてもよい。適宜、少なくともひとつの制御点および少なくとも2つのヒンジ点を設けてもよい。実施の形態によっては、少なくともひとつの制御点と3つ以上の、例えば、3、4、5、6個以上のヒンジ点があってもよい。
【0041】
適宜、制御点(ヒンジ点または作動点)は、支持部材の周辺の各位置に位置するか、その近傍に位置してもよく、ここで、膜の縁部の外形形状と膜の変形のひとつ以上の所望のモードとの交点が、支持部材の外郭形状が反対方向への変曲点または転換点を示す2つの隣接する点の間で、それぞれの係合部材によって支持部材に加えられる力または反応の方向の転換点(アンチノード)を示す。通常ではあるが、必ずしも必須ではなく、係合部材は、各制御点において同じ方向の力を支持部材に印加してもよい。
【0042】
実施の形態によっては、前記制御点はさらに、エンベロープ内の圧力が調節される際に、支持部材の外郭形状が実質的に静止したままである支持部材上の点に位置する少なくともひとつの追加のヒンジ点を備えてもよい。1つを超える追加ヒンジ点があってもよい。追加ヒンジ点は転換点に位置していないが、膜支持部材と交差するゼロ変位の輪郭上に都合よくあってもよい。普通、2、3、4、5個以上のかかる追加ヒンジ点を設けてもよい。
【0043】
膜支持部材は、その縁部の周囲で膜を保持する。適宜、支持部材は、膜を取り囲んでもよい。圧縮モードまたは膨張モードで動作するアセンブリの場合、支持部材は、上記のように、エンベロープ上の第2の位置において流体充填エンベロープを保持してもよい。支持部材は、膜を取り巻いて円周方向に離間する複数の個別部分を備えていてもよいが、支持部材は通常、閉ループで膜を連続して取り巻いて延在する。適宜、膜支持部材は、膜の縁部を保持する支持リングを備えていてもよい。「リング」が意味するものは、膜の縁部と同一の形状を有する閉ループであり、ここで用いるような用語「リング」は、必ずしも支持部材が円形であることを暗に意味するものではない。リングは、その全体に膜が配設される開口部を画成する内側と、制御点を除いて拘束されていない外側とを有してもよい。
【0044】
実施の形態によっては、前記膜は略細長くてもよく、一方の軸で直交軸よりも長く、両軸は、前記膜の中心(ボックス化中心または光学中心)を通り、前記直交軸を横切って延在する2つの対向する長辺を有する。制御点は、一方の軸の一端の近傍の支持部材上の少なくともひとつの作動点と、一方の軸の他端の近傍の少なくともひとつのヒンジ点と、一方の軸の一端と中心との中間の支持部材の一方の長辺上の少なくともひとつの中間ヒンジ点とを備えてもよい。言い換えれば、中間ヒンジ点は、一方の軸上への正投影が中心と作動点との間にある点に配設されてもよい。上で定義したような追加のヒンジ点であるひとつ以上の中間ヒンジ点を設けてもよい。
【0045】
膜は略楕円形または矩形であってもよい。実施の形態によっては、膜は適宜、一般的なメガネレンズ形状、例えば、楕円形、半楕円形、矩形、ウェイファーラー、アビエーター、ナビゲーター、ハーフアイ、キャッツアイ、セミキャッツアイ、八角形、六角形、五角形、半正方形等から選択される形状であってもよい。
【0046】
一方の軸の一端の近傍にひとつ以上の作動点があってもよい。実施の形態によっては、支持部材の周辺に作動点だけがあってもよい。好ましくは、少なくとも2つの中間ヒンジ点が、一方の軸の一端における前記ひとつ以上の作動点と膜の中心との間の支持部材上に位置してもよく、ひとつが支持部材の一方の長辺上にあり、もうひとつが他方の長辺上にある。適宜、少なくとも3つのヒンジ点を、前記ひとつ以上の作動点に加えて設けてもよい。
【0047】
膜形状は連続して調節可能であってもよく、各位置において、支持部材は、所望の曲げモードに従う作動点の変位と一致する距離だけ作動点または各作動点において変位されてもよい。
【0048】
流体は、流体密または容量不変のエンベロープ内に収容されてもよく、その一方の壁は弾性膜により形成される。流体は、気体を含め、適切などのような流体であってもよい。例えば、流体は水または空気であってもよい。流体の選択は、ある程度、変形可能膜アセンブリの意図する用途によって決まる。実施の形態によってはゲルを適切に用いてもよい。膜アセンブリが可変焦点透過レンズアセンブリである光学的使用においては、アセンブリの他の構成要素と屈折率が一致するシリコーンオイルなど(可視スペクトルに関係)の透明オイルが、対象波長で特に有利であることが見出された。適切には、前記流体は、例えば、分子量546.88である1,3,5−トリメチル−1,1,3,5,5−ペンタフェニルトリシロキサン(米国ミシガン州ミッドランドのDow Corningが商品名DC−705で入手可能)や、分子量484.81である1,3,3,5−テトラメチル−1,1,5,5−テトラフェニルトリシロキサン(Dow Corningが商品名DC−704で入手可能)等のシリコーンオイルを含んでいてもよい。当業者によって、これがダブレット(二重レンズ)(またはトリプレット(三重レンズ))の機能形態も備え、材料の適切な選択により特定の状況下で色収差矯正を向上し、したがって、適切に異なる屈折率および分散(アッベ数)を有するのが望ましいことが理解されるだろう。
【0049】
膜は、当業者にとって公知のいずれの適切な弾性材料からできていてもよい。光学的用途に対して、膜は反射性であってもよく、エンベロープの反対側の表面に反射コーティングを有するか、少なくとも対象波長、例えば、可視光の範囲に対して光学的に透明であってもよい。適宜、膜は、最大約100MPaの弾性率を備える実質的に均一な二軸応力/ひずみ関係を有しているべきである。1〜10または1〜20MPaの範囲の弾性率を有する膜が満足できることが見出された。例えば、一実施の形態では約5MPaの弾性率を備える膜を用いてもよい。実施の形態によっては、膜は不均一な応力/ひずみ関係を有する材料からできていてもよい。適切な膜の材料は、ポリエチレンテレフタレート(例えばMylar(登録商標))、ポリエステル、シリコンエラストマ(例えば、ポリ(ジメチルシロキサン)、熱可塑性ポリウレタン(例えば、Tuftane(登録商標))、塩化ビニリデン重合体(例えば、Saran(登録商標))、または適切な厚さのガラスを含んでいる。実施の形態によっては、膜は単一材料層を備えてもよいが、他の実施の形態において、膜は重ねられた複数の層を備えてもよい。
【0050】
膜は、膜支持部材上で予め張力がかけられているのが好ましい。複数の層を備える積層膜の場合、少なくともひとつの層が、膜が平坦か、最小限膨張されている場合に予張力がかけられているのが望ましい。膜は、張力の下で支持部材によって保持されてもよく、それによって張力は、膜全体の圧力差が最小である場合に、膜のたるみを減らす、または最小にするように働く。実施の形態によっては、膜は、ひずみが約30%に達するまでの予張力がかけられてもよい。0.5〜20%、1〜10%または1〜5%の間、例えば、2または3%の予ひずみが、実施の形態によっては適切である。適宜、膜は支持部材への取り付け前に径方向に均一に張られてもよいが、実施の形態によっては、特に、膜が不均一な応力/ひずみ関係を有している場合に、膜は不均一に張られてもよい。
【0051】
流体の圧力を調節することにより膜が膨張して、より湾曲する。作動時に、膜は張られ、膜のひずみが増す。実施の形態によっては、いくつかの用途に対し、作動時のひずみは約57%に達するが、より一般的には、増加する作動時のひずみは0.05%から10%、15%、20%、または25%の範囲であってもよい。例えば、アセンブリがレンズを備える実施の形態によっては、膜のひずみは、作動時に約1%まで増加する。適宜、作動時のひずみは、約0.1〜5%の範囲、例えば、約2%であってもよい。
【0052】
流体充填エンベロープは、膜から離間された曲がらない後壁と、膜と後壁との間の可撓性側壁とを備えていてもよい。望まれるときは、膜、後壁、および流体は、膜および後壁が調節可能な光学レンズを形成するように光学的に透明であってもよい。後壁はある度数を有するレンズ、例えば、固定レンズを備えるような形状であってもよい。膜アセンブリはさらに、膜を覆う透明な剛性前部カバーを備えてもよく、前部カバーは任意に、ある度数を有するレンズ、例えば、固定レンズを備えるような形状である。
【0053】
制御点に加えて、ひとつ以上の曲がり制御部材、または曲がり制御装置が、PCT/EP2012/07554で説明されているように、膜の表面の張力に応じて膜支持部材の曲がりまたは他の変形を制御してもよい。
【0054】
実施の形態によっては、前記ひとつ以上の曲げ制御部材は、膜の縁部と実質的に同じ形状の支持ディスクを備えてもよく、それらの間で力の伝達を可能にするように膜支持部材に堅固に固定されてもよい。PCT/EP2012/075549で説明されているように、支持ディスクは、支持部材の「面内」変形に抵抗する一方で、膜の形状を制御するために「面外」の曲がりを許容するよう構成されてもよい。
【0055】
本発明の実施の形態の膜アセンブリは、膜を徐々にしかも制御可能に変形させて所定の形態を有する表面を提供することが望まれる様々な用途で使用してもよい。膜アセンブリを、静的用途および動的用途の両方に使用してもよい。したがって、実施の形態によっては、膜が静的に変形するよう要求されてもよいが、例えば、音響分野等の他の用途に対して、膜は動的にその形状を調節するよう求められてもよい。例えば、アセンブリを用いて、音響的表面、例えばラウドスピーカや他の音響トランスデューサ用のダイヤフラムを提供してもよい。しかし、膜アセンブリの特定用途は光学分野であり、この分野では膜を用いてレンズもしくは鏡またはその両方を提供してもよい。
【0056】
光学的用途、特にはアセンブリが光を透過させたいレンズまたはその他の装置を備えている場合、実施の形態によっては、視野内にあるアセンブリの全部品は意図するスペクトル範囲にわたり、屈折率に関して一致することが望ましい。
【0057】
本発明のさらに別の態様において、本発明の実施の形態による変形可能膜アセンブリを備えるメガネ類の製品が提供される。メガネ類の製品は、リム部とひとつまたは2つのテンプルを有するフレームを備え、変形可能膜アセンブリはリム部に取り付けることができる。
【0058】
以下は、単に例示の目的で、添付図面を参照する本発明の実施の形態の説明である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
図1に示すように、1組のメガネ90は、2つのリム部93を有するフレーム92と、2つのテンプル94とを備える。リム部93同士は、ブリッジ95により接合され、各リム部93は、本発明の実施の形態に従って、それぞれのレンズアセンブリ1を担持するような形状および寸法になっている。レンズアセンブリの一方1はメガネの左側に対して使用され、他方1’は右側に対して使用される。
図2bに示すように、リム部93は、レンズアセンブリ1、1’のそれぞれを収容する凹部101をもって後側に形成されている。各レンズアセンブリ1、1’は、それらの各凹部101、101’にスナップ嵌合している。
【0075】
図2bに示すように、各レンズアセンブリ1、1’の鼻側の上側角部の領域には、突出部98、98’が形成されている。(「上側」とは、メガネ類を着用した場合の最も上側を意味する。)フレームには、突出部98、98’が嵌合する対応凹部100、100’が形成されている(図においてブリッジ95の右側の凹部100’は見えない)。
【0076】
また、
図2aおよび2bから明らかであるが、リム部93はそれぞれ後方に延びて切頭テンプル96、96’を形成する。切頭テンプルはその内部面に形成された凹部102、102’を有し、凹部にはレンズアセンブリ1、1’のアジャスタ(調整器)104、104’が収容される。アジャスタ104、104’のそれぞれが、手動で操作可能なアジャスタホイール(調整器回転輪)106、106’を備え、各アジャスタホイールが中央アパーチャ(開口)108、108’を含む。支柱110、110’が、フレーム93に結合することを目的に端部で各テンプル94から突出し、そのそれぞれのアパーチャ108、108’に押込嵌めするような寸法になっている。また、テンプル94の各端部からは、各支柱110、110’のわずかに内側から(ブリッジ95へ向かって)突出するねじ112、112’(以下「内部ねじ」と称する)が突出している。ロケータ支柱113、113’は、支柱110、110’のわずかに下側(「下側」とは、メガネを着用した場合の下側を意味する)から突出している。ねじ112、112’およびロケータ(位置決め)支柱113、113’が、支柱110、110’と平行に突出し、それらはアジャスタ104、104’および切頭テンプル96、96’にも嵌合する。特に、各アジャスタ104、104’には、内部ねじ112、112’と整列させるために位置決めされるそれぞれのねじ山212、212’が形成されている。各切頭テンプル96、96’には、対応して整列されるねじ山312、312’が形成されている。同様に、各アジャスタ104、104’には、内部ねじロケータ支柱113、113’と整列するために位置決めされるそれぞれの凹部213、213’が形成されている。各切頭テンプル96、96’には、対応して整列される凹部313、313’が形成されている。
【0077】
したがって、フレーム93をテンプル94に嵌合して、両者間でレンズアセンブリ1、1’を挟持するために、テンプル94上の支柱110、110’を、各アジャスタホイール106、106’のアパーチャ108、108’と整列させる。また、内部ねじ112、112’を、アジャスタ104、104’のねじ山212、212’および切頭テンプル96、96’のねじ山312、312’と整列させる。さらに、ロケータ支柱113、113’を、アジャスタ104、104’の凹部213、213’および切頭テンプル96、96’の凹部313、313’と整列させる。したがって、内部ねじ112、112’は、アジャスタ104、104’のねじ山212、212’および切頭テンプル96、96’のねじ山312、312’に螺合することができる。その場合、結果として支柱110、110’とアパーチャ108、108’との間、またアジャスタ104、104’の凹部212、212’と共にロケータ支柱113、113’と切頭テンプル96、96’の凹部313との間の押込嵌めを生じる。
【0078】
図2aにはアジャスタ104が示されていないことに留意されたい。そのため、カムプレート122の外面およびそのラチェット124が見える。カムプレート122を、より詳細に以下説明する。
【0079】
図1および
図2bから見て取れるように、左右のレンズアセンブリ1、1’は、互いに鏡像同士であり、それらの構造は鏡面関係にあることを除いて同一である。左側のレンズアセンブリ1だけを以下詳細に説明するが、右側アセンブリ1’の構造および作動が実質的に同じであることは正しく理解されよう。
【0080】
図3および
図9で最も良く分かるように、この実施の形態において、左側レンズアセンブリ1は、上記のように2つの対向する長辺3、5と2つの短辺7、9とを有する略矩形であり、フレーム92の凹部102に嵌合するように設計されている。図示のレンズアセンブリの形状は適切な形状の一例にすぎず、本発明の実施の形態によるレンズアセンブリ等の変形可能膜アセンブリは、各種の異なる形状であってもよいことは正しく理解されよう。本発明の実施の形態は特に、
図3および
図9に示すような非円形に特に適しているが、本発明の実施の形態の教示は、変形可能膜を含む円形レンズや他の装置にも適用して所定形態を有する表面を提供する。
【0081】
図8に示すように、第1の実施の形態のレンズアセンブリ1は、透明な前部カバープレート4と、透明な後部カバープレート16と、レンズアセンブリ1の部品を共に保持する保持リング6a、6bの形態の2部品のハウジングとを備え、前後カバープレート4、16は、前後軸(
図8に示すようなz軸)上で離間している。保持リング6は、前部シェル6aと後部シェル6bとを備えている。
【0082】
前部カバープレート4は、ガラスまたは適切な透明高分子材料からできていてもよい。この実施の形態のレンズアセンブリ1において、前部カバープレートの厚さは1.5mmであるが、これは変えてもよい。実施の形態によっては、前部カバープレート4は、例えば、単焦点(単一度数)、多重焦点(2つ以上の度数)、累進(傾斜度数)の固定集光力またはさらには調節可能要素のレンズを備えている。
図4に示すように、例えば、この実施の形態において、前部カバープレート4は平凸である。
【0083】
後部カバープレート16は、前面17と後面14とを有し、ガラスまたは透明ポリマーからできていてもよい。この実施の形態において、後部カバープレート16の厚さは1.5mmであるが、これは要望に応じて変えてもよい。前部カバープレート4と同様に、実施の形態によっては、後部カバープレート16は、固定集光力のレンズを形成していてもよい。この実施の形態において、例えば、
図4から最も良くわかるように、後部カバープレート16は、メニスカスレンズ(片面が凸で、他の片面が凹である1枚のレンズ)である。
【0084】
図8に示すように、保持リング6の前部シェル6aは、前部シェル6aの外側範囲から後方に延びる後方延在側壁38を形成している。その前側での前部シェル6aの幅は前部リム40によって画成され(定められ)、より詳細に以下説明するように、それに対して、レンズアセンブリ1の他の部分が嵌合する。側壁38の内面には複数の凹部39が形成されており、
図8にそのうちの2つを示す。前部シェル6aの周囲の凹部の位置は、より詳細に以下検討する。前部シェル6aはアジャスタ104も担持している。
図2b、
図3、および
図8から分かるように、アジャスタ104はレンズアセンブリの短辺7に配設されている。
【0085】
図8から最も良くわかるように、保持リングの後部シェル6bには、後部シェル6bの外側範囲から前方に延びる前方延在側壁37が形成されている。その後側での後部シェル6bの幅は、後部リム33によって画成され、より詳細に以下説明するように、それに対して、レンズアセンブリ1の他の部分が嵌合する。側壁37の内面18aには、凹部39に対応する位置に置かれた、対応する複数の支持フィンガまたは支柱36が形成されている。支持フィンガは、側壁37から前方に突出している。後部シェル6bには、また、後部シェル6bの一部として(必須ではないが)一体成形されたアジャスタカバー部23が形成され、カバー部23は後方に延びている。このカバー部23は、アジャスタ104のシャフト105の上に嵌合する形状と寸法になっていることは、
図8から正しく理解されよう。シャフト105は、前部シェル61の前側から後方に突出しており、アジャスタホイール106は、その後端でシャフト105上に保持されている。
【0086】
レンズアセンブリ1を組み立てるために、前部シェル6aおよび後部シェル6bは、その間にあるレンズアセンブリ1の他の構成要素(これらの構成要素には、前部カバープレート4と後部カバープレート16とは含まれなない)と共に、一緒に押圧される。後部シェル6bは前部シェル6aに隣接して、これに嵌合する寸法を有し、支持フィンガ36は凹部39にぴったりと嵌合する。支柱36は、共に嵌合される場合、側壁37から前方に突出するという事実に鑑みて、前部6aおよび後部6bシェルが一緒に嵌合できる一方で、レンズアセンブリ1の他の構成要素が両シェル間に挟持されるための空間が与えられることが正しく理解されよう。2つを共に接着してもよい。
【0087】
図8で見て取れるように、レンズアセンブリ1がフレーム93に嵌合するときに凹部100に嵌合する上記突出部98は後部シェル6b上に形成される。
【0088】
上で指摘したように、
図8において、後部カバープレート16は後部シェル6bの外側にあるとして示されており、前部カバープレート4は、前部シェル6aの外側にあるとして示されている。前部シェル6aの後方延在壁部38の外面は傾斜している。前部カバープレート4は、レンズアセンブリ1がフレーム93に嵌合する場合に、傾斜面とフレーム93の凹部101との間で堅固に嵌合できるように、それに対応する形状になっている。それにもかかわらず、前部カバープレート4は後方延在壁部38に接着されてシールを形成する。同様に、後部カバープレート16は後部シェル6bに接着されている。また、より詳細に以下検討するように、レンズアセンブリの流体充填バッグ12にも接着される。後部カバープレート16および前部カバープレート4が保持リング6a、6bのいずれか一方の側の所定位置に置かれ、保持リング6a、6bの2つの部品が上記のようにして一緒に嵌合されると、レンズアセンブリ1は、内部空隙を画成する封止ユニットを構成する。
【0089】
図2bで最も良くわかるように、保持リング6a、6bは、レンズアセンブリ1が、
図2bを参照して上で説明したように保持される場合、それが動くことなく安定的に保持されるように、フレーム93内にぴったり受け入れられる形状および寸法になされている。したがって、保持リング6は、以下説明するようなレンズアセンブリ1の可動部を安定的に固定支持する。
【0090】
レンズアセンブリ1は、空隙内に、可撓性側壁18と、後壁19と、前方封止フランジ20とを有する皿形部品12を収容している。この実施の形態において、皿形部品12は、透明なDuPont(登録商標)boPET(二軸延伸ポリエチレンテレフタレート)からできており、厚さは約6ミクロンであるが、皿形部品に他の適切な材料を用いて厚さを適宜に調節してもよい。皿形部品12の後壁19は、後部カバープレート16の前面17に隣接させて接合される。そのために、例えば、3M(登録商標)8211接着剤等の透明な感圧接着剤(PSA)を採用してもよい。この実施の形態では、厚さ約25ミクロンのPSA層が用いられるが、これは必要に応じて変えてもよい。
【0091】
皿形部品12の側壁18は、後部シェル6bの内面18aに隣接して、保持リング6a、6b内に浮動状態で収容される。この浮動配置により、皿形部品は、作動時に一方の短辺7の領域で圧縮されることが可能になり、レンズアセンブリ1の他の可動部は、より詳細に以下説明するように、保持リング6a、6bによって妨げられずに作動することが可能になる。
【0092】
皿形部品12の前方封止フランジ20は、以下でより詳細に説明するような、曲げ制御部材として働くディスク24を備える透明なダイヤフラムの後面に接合される。ディスク24は、厚さが約0.1〜1.0mm、好ましくは0.3〜0.7mm、例えば約0.5mmであってもよく、レンズアセンブリの場合にはポリカーボネート、ナイロン、またはガラスでできていてもよく、音響または非透過膜アセンブリの場合には種々のプラスチック、金属、またはセラミック部材または複合材でできていてもよい。この実施の形態において、
図8で最も良く示すように、ディスク24は、厚さ約0.5mmのポリカーボネートの平板を備えているが、以下で説明する要求特性を備える適切な代替材料を代わりに用いてもよい。本発明の実施の形態のレンズアセンブリにおいては、ディスク24は透明であるが、これは、例えば、非光学的な実施の形態等の他の実施の形態では必須でなくてもよい。
図8で最も良くわかるように、透明ディスク24は、略環状である、大きい中央アパーチャ232を備えている。大きい中央アパーチャ232の効果は、XY方向の透明ディスク24の曲がりを分断して、以下説明するような、アセンブリ1の作動中にz軸上の透明ディスク24の実質的に均一な面外の曲げ剛性を維持することにある。
【0093】
透明ディスク24の目的を以下に説明する。ディスク24の種々の代替設計は、同時係属中のPCT/EP2012/075549に詳細に説明されている。その出願で説明されているように、透明ディスク24内のアパーチャの正確な数、大きさ、および配置は、要望に応じて変えてもよく、例えば、ディスク24を横断して離間する複数のさらに小さなアパーチャを設けてもよい。この実施の形態において、皿形部品12は、接着剤Loctite(登録商標)3555を用いてディスク24の後面へ封止するように接着されるが、適切な代替は当業者に知られているとおりである。
【0094】
透明ディスク24の前面は、前部リング2および後部リング10を備える一対の弾性的に曲げることのできる膜支持リング間に挟持される透明な非多孔性弾性膜8を備える膜サブアセンブリに対して封止されている。前記支持リング2、10は、その弾性率が、膜アセンブリの全体的寸法(例えば厚さ約0.05から約0.5mm)に対して相対的に薄く作成するのに十分なほどに高く、隣接する構成要素に接合可能であり、(複数の使用にわたって機能を持続するよう)低いクリープを呈する、または呈するような状態であり、および弾性変形可能である、任意の材料から作成してもよい。したがって、支持リング2、10を、例えばステンレス鋼やチタンといった金属で作成してもよく、他の可能性として、ガラスおよびサファイアで作成してもよい。「接合可能」とは、接着、圧着、レーザー溶接または超音波溶接、または、当業者にとって明らかであって、利用可能ないずれか他の手段により接合できることを意味する。前部リング2の厚さは、0.2〜0.75mmの範囲、適切には0.3または0.4mmから0.5mmの範囲であってもよい。後部リング10の厚さは、0.01〜0.25mmの範囲、適切には0.025〜0.1mmの範囲、例えば約0.05mmであってもよい。
【0095】
図6および7に示すように、リング2、10は、互いに実質的に同一の全体的寸法形状であり、前部リング2が保持リングの前部シェル6aに隣接して着座するように、保持リングの内部空隙内に収容される寸法となっている。しかし、前部リング2と前部シェル6aとの間には、レンズの使用中にリング2、10が形状を変え、動けるような空間がある。前後のリング2、10は一緒になって、弾性膜のための支持部材を形成する。この実施の形態においては、リング2、10はステンレス鋼のシートから切り抜かれ、前部リング2は厚さが約0.3mmである一方、後部リング10は厚さが約0.05mmである。他の材料を用いて、所望の剛性が得られるように厚さを適宜に調節してもよい。
【0096】
この実施の形態において、膜8は架橋ポリウレタンからできていて、厚さは約0.5mmであるが、適切な弾性率を持つ代替材料を要望に応じて用いてもよい。例えば、膜8の代替材料を、ポリエステル類、例えばポリエチレンテレフタレート(例えばMylar(登録商標))、シリコンエラストマ(例えばポリ(ジメチルシロキサン)、他の熱可塑性ポリウレタン、塩化ビニリデン重合体(例えばSaran(登録商標))、または適切な厚さのガラスとしてもよい。
【0097】
膜8は、
図4〜7、9、および10に示すようにその縁部周りで安定して支持されるように、最大約20%のひずみが得られるように予張力(プリテンション)がかけられて、リング2、10に接合されている。この実施の形態において、膜8は、接着剤Loctite(登録商標)3555を用いて前後リング2、10に接着されている。膜8は、少なくとも後部リング10との間で流体密シールを形成するのがよい。
【0098】
図9に、前部リング2の形状をより詳細に示す。前部リング2は、その範囲周辺に、前部リング2の全体形状から外向きに、すなわち、その中央の囲まれた領域から離れる方向に、リング2の中央の囲まれた領域を有する平面内で突出する多数のタブ120を備えている。厚さはさておき、後部リング10(
図9では見えない)は、前部リング2および何らのタブも有していない点を除いて、形状と寸法が同様である。
【0099】
xy平面における前後リング2、10の幅は、それらの範囲周辺で所定の方法で変化する曲げ剛性を有するように、アセンブリ1の周囲で変化する。これにより、アセンブリ1が作動して可撓性膜8の変形を制御することによりレンズの度数を制御する場合に、以下さらに詳細に説明するように、支持リング2、10の曲げがもたらされる。また、後部リング10は、膜8をディスク24からスペースをあけるように働く。
【0100】
同時係属中のPCT/GB2012/051426で説明されているように、膜8に張力がかけられる場合、前後支持リング2、10は、選択的に透明ディスク24と一緒に作用してリング2、10にかかるねじり力を釣り合わせるのがよい。
【0101】
前部リング2上のタブ120の形状は実質的に方形であるが、それは必須ではない。
【0102】
再び
図9を参照すると、前部リング2は8つのタブ120を有している。符号120a〜cで示す3つのタブは、レンズアセンブリ1の短辺7に沿って離れて配置され、ここにアジャスタ104が置かれる。これら3つのタブ120a〜cを、レンズを作動させるための作動点として用いてレンズを調節し、それらはアジャスタ104へ機械的に接続される。
図13を参照して調節機構の詳細を以下説明する。他の5つのタブ120d〜hは、レンズアセンブリ1の他方の短辺9および2つの長辺3と5の周りで離れて配置されている。
図9に点線で描いた円から見て取れるように、これら5つの突出部はすべて、レンズの中心としての光学中心OCを有する仮想円上に実質的に位置している。人間工学的な理由のため、OCは図の中で寸法形状中心の左側、すなわち、テンプル94よりもブリッジ95に近い方にある。OCは、レンズ使用中の場合の弾性膜8の変形した形状の最大膨張点に対応する。タブのうちの2つ、120dおよび120hは、アセンブリ1のOCと一方の短辺7との中間に位置している。一方のタブ120hは、支持部材の上側の長辺3上に配設され、他方のタブ120dは下側の長辺5上に配設される。第3のタブ120gは、上側の長辺3上で図の左上角部の方に位置している。第4のタブ120eは、下側の長辺上で図の左下角部の方に位置している。第5のタブ120fは、他方の短辺9上で、OCと中央作動タブ120bとを通る線(点線で示す)よりも僅か下に位置している。
【0103】
図8に戻ると、タブ120は、保持リングの前部シェル6aの凹部39に嵌合する寸法になっている。タブ120は、後部シェル6bの支持フィンガ36上に着座している。後部シェル6bおよび前部シェル6aが一緒に組み立てられる際に、支持フィンガ36はタブ120に接合し、タブ120および支持フィンガ36の両方は、保持リング6の前部シェル6aの凹部39内に嵌合する。支持フィンガ36および凹部39は、レンズアセンブリ1が間に収容されずに前後シェル6a、6bが一緒になるように嵌合されたとしたときに、支持フィンガの端部と前部シェル6aとの間に小さな隙間が存在するような寸法になっている。したがって、この隙間はタブ120のための空間を残す。したがって、タブ120は、レンズアセンブリ1の可動部を固定して保持リング6a、6b内に保持するように保持リングの前後シェル6a、6bの間にクランプされることができる。ある程度のヒンジ運動および面内摺動がタブ120で生じることができる。
【0104】
したがって、一方の短辺7上に位置していない(したがって、作動点として機能しない)5つのタブ120d〜hは、膜サブアセンブリを、他方の短辺9と並置する保持リング6へヒンジ接続するように働く。これら5つの点のすべては、リング2、10および膜が、保持リング6によって提供される固定支持に対して相対的に保持されるヒンジ点である、と考えることができる。作動点120a〜cにおいてz軸上で膜サブアセンブリを変位させて流体圧を増加することにより、アセンブリ1の一方の短辺7に並置された膜サブアセンブリの部分を、保持リング6によって安定保持される皿形部品12の後壁19に向けて、またはそこから離れるように移動させる一方、サブアセンブリは、ヒンジ点として働く残りのヒンジ点120d〜hにおいて後壁19に対して相対的に不動に保持される。さもなければ、制御点120a〜h間のリング2、10の各部分は、後部カバー16と前部カバー4との間の空隙を自在に「浮動」してしまう。
【0105】
図4〜7に示すような、前後リング2、10と膜8とがxy平面内で実質的に平面である非作動位置と、
図11および12に示すような完全な作動位置との間で、保持リング6に対し相対的に、作動点120a〜cにおいて膜サブアセンブリを選択的に変位させるために、当業者にとって公知ないずれか適切な作動装置を用いてもよい。作動装置は手動または自動で操作可能であり、作動点において前後方向に膜サブアセンブリを駆動するために作動装置を膜サブアセンブリに接続する適切なリング係合機構を備えるのがよい。作動装置は、膜サブアセンブリを連続して変位させてもよく、または、相互に間を空けた複数の所定位置のみに膜サブアセンブリを移動させるようにしてもよい。作動装置を、メガネ90のブリッジ95またはテンプル94の一方もしくは両方へ便利に収容してもよい。各レンズアセンブリ1、1’用の別々の作動装置をそれぞれのテンプル94に設けてもよく、作動装置を任意に連結して2つのアセンブリ1、1’を同時に作動させてもよい。この実施の形態においては、
図2を参照して先に説明したように、別々のアクチュエータが各テンプル94に備えられる。作動装置が与える力は膜サブアセンブリに作用するとともに、ヒンジ点120を介して保持リング6に対して反対に作用し、保持リング6は、膜支持およびアセンブリを保持リング6に対して相対的に選択的に移動するよう、メガネ90のフレーム92内に固定して取り付けられることは、正しく理解されよう。作動装置は、ここで説明しないが、一般論として、機械的、電気的、または磁気的に操作されてもよく、および/または、例えば、形状記憶合金(SMA)、ワックス、もしくは電気活性ポリマー等の相変化材料を利用するようにしてもよい。
【0106】
この実施の形態においては、各作動装置は、
図2aを参照して上で述べたように、カムプレート122を利用する手動で作動可能な装置である。アジャスタ104は、
図2a、
図3、および
図13を参照して最も良く理解できる。先に述べたように、アクチュエータ104はアジャスタホイール106を備え、この実施の形態においては、アジャスタホイール106は手動で回転可能であり、レンズアセンブリ1が一対のメガネ1に嵌合すると、テンプル94上へ配置される。そのように嵌合する場合、アクチュエータ104はレンズアセンブリから後方に突出する。先に説明したように、アジャスタホイール106はシャフト105を介して接続され、シャフト105の後端に位置する。アジャスタホイール106から離間し、前部保持リング6aの前側近傍にある、シャフトの反対側の前端は、第1のギヤ116を担持する。第1のギヤ116は、第1のギヤ116の上、すなわち、レンズアセンブリ1の上側の長辺3に向かう方向に配設される第2の大きいギヤ118と係合するように配置される。この第2のギヤ118は、前部保持リング6a上で回転自在に担持されており、カムプレート122の上端に配設されるラチェット124と係合するように配置されている。カムプレート122は全体的に細長く、弓形であり、3つの作動点120a〜cのすべてにおいてサブ膜アセンブリが移動するように、レンズアセンブリの短辺7に対応する前部シェル6aの一方の側の少なくとも一部に沿って延びている。したがって、シャフト105の長さは、着用者の耳に向かうテンプルに沿ってアジャスタホイール106がどれだけ離れて位置するかによって選択される。
【0107】
カムプレート122は、カムフォロア(カム追随体)126と係合するような形状および構成になっている。カムフォロア126は、全体的に細長く、レンズアセンブリの短辺7に沿って延びている。それは、作動に用いられる3つのタブ120a〜cへ固定して取り付けられている。カムプレート122は、ギヤ118に対して相対的にカムプレート(カム板)の反対側の面(すなわち、レンズアセンブリ1に面する内面)に位置する3つのスロット122a〜cの形態でカムプロフィル(カム形状)を備えている。カムフォロア126は3つのノジュール(こぶ状部)126a〜cを備えており、これらのノジュールは、レンズが調節の一方の末端にある場合に、ノジュール126a〜cが各スロット122a〜cの上端に着座するように、それぞれスロット122a〜cに突出して配置し、構成する。カムプレートは、3つのノジュール126a〜cすべてを収容し、レンズアセンブリ1の作動中にカムプレート122の並進移動を許容するスロットを備えるのに十分な長さであるように、大まかにレンズアセンブリの短辺7と同様の長さであるような寸法になっている。
図13から見て取れるように、それは前部シェル6a内に保持される。カムプレート122およびカムフォロア126は、レンズアセンブリの短辺7の形状と略一致するように、そして互いに略一致するように、凸曲面を成している。スロット122a〜cは伸長され、カムプレート122の幅をほぼ横断している。各スロットが沿って通るカムプレート122の面上の角度により、レンズアセンブリ1の作動中にリング2、10および膜8の所望の大きさの変位が生じる。3つの作動点120a〜cのそれぞれにおけるリング2、10の相対的な変位について、
図10を参照してより完全に以下説明する。
【0108】
図4、
図5、
図11、および
図12に示すように、保持リング6の前部シェル6aおよび後部シェル6bは、組立時にカバープレート4が、前部膜支持リング2の前方に離間するように寸法取りされており、その結果、膜8は、前部カバープレート4に当たることなく、以下説明するように、作動時に前方へ膨張することができる。
【0109】
皿形部品12、膜8、後部支持リング10、およびダイヤフラム24は、透明な流体で満たされる封止された内部キャビティ22を画成している。この実施の形態において、キャビティ22は透明オイル11で満たされる。この実施の形態で使用するのは、Dow Corning(登録商標)DC705シリコーンオイル(分子量546.88の1,3,5−トリメチル−1,1,3,5,5−ペンタフェニルトリシロキサン)であるが、他の適切な無色オイル、特には、多くのメーカーがある、高屈折率のシロキサンオイル類の中から利用できる。オイル11は、洩れても着用者の眼に有害とならないように選択すべきである。この点は非光学的用途ではあまり懸念されない。
【0110】
上記のように膜8は非作動位置において平坦のままとなるように、キャビティ22は常時には過充填しないようにして、膜に対して
図10に示すような基準面Dを画成するようにするのがよい。膜18の予張力(プリテンション)により膜が張り、アセンブリ1が動かされるときのオイル11の温度変化、重力効果、または慣性効果に起因する望ましくない皺やたるみのリスクが低減する。上記のように、透明ダイヤフラム24は、充填中および以下で説明するような操作中に、透明ダイヤフラム24の前後間で流体が流れることを許容する中央アパーチャ232を有している。
【0111】
この実施の形態では、膜8は非作動位置において平面であるが、他の実施の形態における膜は非作動時に凸状(または凹状)であってもよく、作動時に平面構成を取ってもよい。このような場合、作動時の膜の面をうまく利用して基準参照面Dを画成することにより、リング2、10またはz軸上のひとつ以上の他の支持部材の変位を測定するようにしてもよい。さらに別の代替において、アセンブリを実際には決して平面とならないように構成してもよく、さらに、作動または作動停止方向のいずれかにおけるその許容された移動の外挿である理論上の平面構成を有していてもよい。当業者は、たとえ実際の非作動状態において膜が既にある程度に湾曲している場合であっても、かかる理論上の平面状態が膜のための基準面を画成するよう用いられてもよいことを理解するであろう。
【0112】
オイル11は、皿形部品12を内部から支持するように働き、特に、可撓性側壁18を補強してその自重またはアセンブリ内の慣性効果の下での潰れを防ぐ。このようにして、流体充填キャビティ22はクッション様の弾性的に圧縮性のあるエンベロープを形成する。
【0113】
この実施の形態において、透明なオイル11、ならびに、後部カバープレート16、皿形部品12、皿形部品12の後壁19を後部カバープレート16の前面17に接合するための感圧接着剤、透明なダイヤフラム24、ならびに膜8を作成するために用いられる材料はすべて、互いに可能な限り近似する屈折率を有するよう選択される。透明オイル11で満たされた内部キャビティ22と共に、膜8および後部カバープレート16の後面14は、調節可能レンズの反対側の光学面を形成する。前記のように、この実施の形態における後部カバープレート16はメニスカスレンズである。
【0114】
非作動状態において膜は平面であるので、膜8から加算される値はゼロであり、レンズは後部カバープレート16により与えられる度数を有する。非光学的用途については、流体がアセンブリの他の部品と共に透明である必要はなく、要望に応じて不透明または半透明であってもよいことは言うまでもない。
【0115】
本発明は、この実施の形態に用いる特定の材料および寸法に限定されるものではなく、例示に過ぎないことは正しく理解されよう。異なる種類の材料を、光学的に透明で、支持リング2、10と比べて全体剛性が低く、ダイヤフラム24に接合可能な皿形部品12に適切に用いてもよい。アセンブリの部品を永続的に結合でき、クリープ耐性があり、粘度が実用的で、流体11が存在する場合に不活性のままである、異なる接着剤を選択してもよい。種々の部品に対して選択される材料に応じて、特定の接着剤を選択してもよい。
【0116】
アジャスタホイール106を手動で回転させることによって作動装置を操作する場合、シャフト105が回転することにより第1のギヤ116が回転する。第2のギヤ118との係合によって、第2のギヤ118も回転し、その際、ラチェット124を駆動し、それによってカムプレート122をレンズアセンブリ1の短辺7に沿って上方に並進移動させる力がかかる。カムフォロア126のノジュール126a〜cはスロット122a〜cと協働し、この動きにより、カムフォロア126は後方に並進させられ、それによりノジュール126a〜cがそれぞれのカムプレート凹部122a〜c内を通る。タブ120a〜cがそれぞれのノジュール126a〜cに固定されて取り付けられているので、アセンブリ1の一方の短辺7における膜サブアセンブリは、保持リング6に対して相対的に非作動位置から後方へ動かされ、それによってキャビティ22が圧縮されてキャビティ22内の流体圧が増加する。皿形部品12の側壁18は可撓性があるのでこの動きが可能になる。増加した流体圧は弾性膜8を膨張させ、
図11および12に示すように前方へ凸状形態に突出させ、それによって膜の曲率および膜8と後部カバープレート16の後面14との間のレンズの光学的厚さを増し、後部カバープレート16の固定メニスカスレンズに正の度数を加える。
【0117】
レンズアセンブリ1を上記の操作前の状態に戻すことが望ましい場合、アジャスタホイール106を反対方向に回転してカムプレート122を反対方向に並進させ、それによってレンズアセンブリ1の一方の短辺7を初期位置まで前方に戻してもよい。そのようにして流体圧は減少し、弾性膜8はその初期形状に戻る。
【0118】
他の実施の形態において、作動装置は、サブアセンブリを非作動位置から前方へ動くように設定でき、それによりキャビティ22内の流体圧を減少させることができ、後部カバープレート16の後面14と組み合わせて複合レンズが両凹となるように、膜8を内側へ凹状形態に膨張させることが正しく理解されよう。この実施の形態において、後方向における最大曲率は、膜8と透明ダイヤフラム24との間の隙間によって制限される。膜8の曲率が大きくなるほど、膜8によって与えられる追加の度数(正または負)は大きくなる。かかる実施の形態において、皿形部品12の可撓性側壁18は、非作動位置において圧縮され、作動時に伸びることになる。
【0119】
レンズアセンブリとして用いるには、作動時に膜8が球状または以下説明するような別の所定形態に変形する必要がある。本発明の実施の形態による変形可能膜アセンブリの異なる光学的または非光学的用途にとって、その他の所定の形態が望まれるかもしれない。膜8が非円形であるので、所定形態に膨張する場合に膜8の形状を制御するために、膜支持リング2、10は、アセンブリの作動中に、平面基準に垂直なz軸上で撓むように曲がらねばならない。特に、膜支持リング2、10は、膜8が所定形態を有する場合、膜8の縁部の外郭形状と一致するように曲がらねばならない。膜支持リング2、10の可撓性が不十分であったとすると、または正しく曲がらないとすると、アセンブリ1の作動時に、膜8の縁部は膜8の所定形態と一致せず、膜8の全体形状は、結果として、ゆがんでしまうことになる。本発明の実施の形態によれば、膜8は、ひとつ以上の曲げモードに従って変形するよう求められてもよく、したがって膜8の縁部の外郭形状は、膜8の外形縁部の形状とのひとつ以上の所望の曲げモードの交差によって画成される。
【0120】
図10は、レンズアセンブリ1が操作されて膜8に実質的にゆがみの無い球状形態を与える場合に要求される、この実施の形態の膜8の縁部の外郭形状を示す。
図9および10に、一点鎖線で球状形態の輪郭および頂点にあるその光学中心OCを示す。
図10の上半分は、xy平面視、すなわち、レンズアセンブリ1の前部を見た図を示す。
図10の下半分において、短い破線で示す概念上の球体に投影した膜8および支持リング2、10を実線で示す。
図10の下半分は、レンズアセンブリ1の下から、すなわち、U−U方向に見た図を示す。したがって、長辺5と短辺9および7の一部が見えている。特に、タブ120fとタブ120bの間のリング2、10の作動形状を示し、符号2、10で示す。タブ120fと120bとの間の膜8の外郭形状も見えている。この線は、半径Rの球体の輪郭に追従し、最大膨張点においてOCを通る。図の下半分に、比較のために、その平面非作動状態における膜も一点鎖線で示す。その非作動状態における膜の面は、この実施の形態のアセンブリ1の作動を説明するための基準面Dを表している。膜8が円形であり、膜8の球状変形が作動時に必要である場合は、膜8の縁部は、非作動位置と完全に作動した位置との間のすべての位置において円形で平面のままであるので、支持リング2、10は剛体であってもよい。しかし、この実施の形態のレンズアセンブリ1の膜8の球状変形のためには、支持リング2、10は、
図10に示すような作動時に、膜形状のゆがみを回避するよう曲がらねばならない。求められる曲がりは、特に、長辺3、5に沿って顕著である。
【0121】
支持リング2、10の所望の曲がりを達成するため、リングはそれらが所望の外郭形状を取れるように可撓性でなければならず、それらの曲げ剛性はそれらの範囲周辺で変化し、その結果、膜アセンブリ1の作動時に膜8の増加した表面の張力の影響下で、リング2、10が、それらの範囲周辺で不均一に応答し、それらを所定の方法で曲げる、または曲がることを可能にしている。
図9を参照して先に説明したように、この実施の形態において、曲げ剛性の変化は、それらの範囲周辺でリング2、10の幅を変化させることによって達成される。
【0122】
先に説明したようなリング周囲の曲げ剛性の所定変化を得るのに必要な支持リング2、10の幅の実際の変化は、PCT/GB2012/051426に記載されているような有限要素解析法(FEA)によって計算してもよい。準静的または低周波光学用途およびその他用途に対して、静的FEAを適切に採用してもよい。しかし、他の実施の形態においては、表面が例えば音響用途を目的とする場合、動的FEAが適切であるかもしれない。当業者が認識するように、FEAは、それが静的または動的のいずれであっても、実際には
図10に示すような3つの作動点120a〜cに与えられる増加力Fを伴う結果となる膜形状を計算するよう選択したパラメータの入力と共にコンピュータを用いて実行される多数の反復(計算)を伴う。要素形状は、実行される計算に適合するように選択されてもよい。この実施の形態のリング2、10の設計に対して、四面体要素形状が適切であることが見出された。入力する選択パラメータには、支持リング2、10の寸法形状、膜8の寸法形状、膜8の係数、リングの係数がリング周りでどのように変化するか(実験的に、または適切な数式を用いて定義されてもよい)を含む、リング2、10の係数、ディスク24の係数、いずれかの部品における予張力量、温度、および他の環境的要因が含まれる。FEAプログラムは、負荷が作動点においてリングに印加される際に、膜8にかかる圧力がどのように増加するかを定義する。
【0123】
光学的な使用に向けてリング2、10を正確に設計するために、FEA解析の出力は、膜の実際の境界の外側に位置する単位円に基づいて、ひとつ以上のゼルニケモード式(2)によって定義されるように膜の所望形状に近似される。この実施の形態では、球面2次ゼルニケモード式(1)を使用しているが、高次球関数も、望ましければ、多数のゼルニケ様式の合計である形状を作成することによって用いることができる。実施の形態によっては、膜は、複数の異なる所望の曲げモードの次数、例えば、ゼルニケモードの2以上の次数の合計に従って変形するよう要求されてもよい。例えば、眼の特定の光学収差を矯正できる光学レンズを作成するために、膜は、同じ次数または高次の、ひとつ以上の選択された他のゼルニケモード、例えば、式(3)(非点収差)および/または式(4)(トレフォイル)と組み合わせた球面2次ゼルニケモード式(1)(焦点はずれ)の合計を備える関数に従って変形するよう要求されてもよい。
【数1】
【0124】
FEA出力は、FEA出力が選択した関数によって定義されるような所望形状にどのように良好に近似しているかを見るよう膜8全体の選択したゼルニケ関数と相関される。FEA出力および選択した関数が互いにどのように良好に相関しているかによって、レンズの関連パラメータが調節されて、次の反復への良好な適合を達成できる。FEAにより計算した、膜8のシミュレートされた変形が、選択したゼルニケ多項式関数によって記述されるような所望の表面形状にどのように良好に近似しているかを見ることによって、当業者は、選択した支持リング2、10のパラメータがどのように良好に働くかを見ることができる。支持リング2、10のどの領域が、FEA出力および所定形態に近似する選択した関数の相関関係を向上するよう調整される必要があるのか(または、他のどのパラメータを調節すべきなのか)を判定することができる。
【0125】
上記の反復プロセスは、支持リング2、10の変形(および作動点120a〜cに与えられる力F)により度数が連続変化するレンズを設計できるように、多くの異なるレンズ度数にわたって実行される。支持リング2、10は、それらの範囲周辺のz軸上の撓みによって、および、要求されるレンズ度数における調節に関して、可変的に曲がるように設計されている。それらの範囲を取り巻くアセンブリ1のz軸に垂直なxy平面における支持リング2、10の幅の変化も、所望の光学中心OCに対する相対的なヒンジ点120d〜hおよび作動点120a〜cの位置を考慮に入れ、異なるレンズ形状に対して調節できる。
【0126】
一旦、膜8の形状を、上で説明したFEAによって計算すると、光学レンズ面としての膜8の光学的特性を、計算された膜形状を用いて適切な光線追跡ソフトウェア(例えば、ワシントン州レッドモンドのRadiant Zemaxから入手可能なZemax(商標)光学ソフトウェア)により決定してもよい。
【0127】
作動時の膜支持リング2、10の外郭形状は、所定形態において膜8の縁部の外郭形状に合致しなければならないため、支持リング2、10が固定されて保持されるヒンジ点120d〜hは、リング2、10がアセンブリ1の作動時に平面基準Dに対して相対的に変位しない点に対応するよう選択される。作動時の球体膜形状のゆがみを回避するため、ヒンジ点120d〜hは、理想的には、
図10に示すような光学中心OCに対して相対的に単一の円形輪郭上に位置決めされるべきであるが、実際には、ヒンジ点120d〜hの位置は、最終的な膜形態の必要以上のゆがみ無しに同じ輪郭から僅かに離れてもよい。膜がひとつ以上の非球形モードに従って変形するよう要求される他の実施の形態においては、ヒンジ点は依然として、膜が変形する場合に変位しない支持リング2、10の周囲の点に位置すべきであるが、そのような場合、ゼロ変位の輪郭は非円形であってもよい。
【0128】
この実施の形態には5つのヒンジ点120d〜hがあるが、他の実施の形態では、すべてが光学中心に対して相対的に同じ輪郭上またはその近傍に設置されるのであれば、より多くの、または、より少ないヒンジ点であってもよい。さらに、輪郭は、膜8の変形中に膜8の必要な外郭形状を達成するために、リング2、10の外郭形状が静止したままであることを要する輪郭である。したがって、さらに、膜8は、その縁部において、リング2、10によって保持されるため、これらの点は、膜8が変形中に静止したままの点でもある。
【0129】
同様に、リング2、10が作動装置によりz軸上で能動的に変位してキャビティ22を圧縮する作動点120a〜cは、非作動位置と完全に作動された位置との間の各位置の作動点120a〜cにおけるリング2、10の実際の変位が、所定形態の膜8の縁部と同じ外郭形状を有するよう膜8の縁部にとって必要な作動点におけるリング2、10の変位と等しいか、実質的に等しいように選択される。
図10から、作動点120bおよび120cの変位は基準面Dから大きく下にあることが見て取れる。一方で、
図10の下半分におけるヒンジ点120eの投影は、リング2、10の外郭形状が基準面Dで静止したままである位置にヒンジ点120eが位置することを示している。この実施の形態では、設けた作動点は3つであるが、他の実施の形態では、所望の所定形態を達成するために必要な膜縁部外郭形状の複雑さに応じて、より多くの、または、より少ない作動点があってもよい。
【0130】
力がリング2、10にかけられる制御点(すなわち、作動点およびヒンジ点)の位置に関する設計ルールは、同時係属出願PCT/GB2012/051426に開示されている。しかし、一般に、膜8の面を画成するには少なくとも3つの制御点が存在すべきであり、さらに、リング2、10上の各点に、またはその近傍に、ひとつの制御点が存在し、その各点で、膜8の変形時に所定の形態を生じるのに必要なリング2、10の外郭形状が、2つの隣接点間の制御点にかけられる力Fの方向の転換点を示しており、ここで、リングの外郭形状は、反対方向への変曲点または転換点を示している。
【0131】
この実施の形態において、リング2、10の一方の短辺7は、膜8の円形輪郭に実質的に追従するので、その長さに沿って曲がる必要はほとんどない。それにもかかわらず、レンズが円形ではないので、差は最小であるが、外側の2つの作動点120aおよび120cは依然として、中心点120bよりも僅かに多く変位して、支持リングの正しい外郭形状を維持する必要があり、そのため、短辺7は、レンズアセンブリ1の作動中にある程度の曲がりを示す。これは、この実施の形態の膜8の変形の所望の球形モードを示す概念上の球体に投影される際に、リングの外郭形状を再度考慮することにより理解できる。このように、球体の外郭形状に追従するために、外側の点120aおよび120cを中心点120bよりもz軸の下方にすることが想定できる。これらの必要な異なる変位は、上記で説明し、
図13で明らかなように、カムプレート122の凹部122a〜cの僅かに異なる角度によって達成される。カムプレート122の同じ並進移動に対して相対的に、凹部122a〜cと前部リング2のそれぞれのタブ120a〜cとの間の、結果として生じる移動の程度は、凹部の角度によって左右される。
図13を参照すると、カムプレート122の幅に対する凹部122の角度が小さければ小さいほど(すなわち、凹部がカムプレート122の幅を横切って通るのが近ければ近いほど)、カムプレートのy方向並進によって与えられる合力のより大きな比率が、z方向に向けられる。したがって、保持リングの前部シェル6aに向かうか、それから離れる方向のリング2、10のz方向の動きは、より狭い(浅い)角度の点において大きくなる。この場合、凹部122aおよび122cは、凹部122bよりも狭い角度で配設され、したがって、リング2、10は、タブ120bよりもタブ120aおよび122cにおいてより大きく保持リングの前部シェル6aに対して動かされる。したがって、単一のアクチュエータが、短辺7に沿った異なる程度の移動を提供するよう用いられる。その結果、レンズアセンブリ1は、その側に沿った支持部材の外郭形状の良好な制御をもたらすように、3つの点120a〜cにおいて都合よく作動する。
【0132】
制御点120a〜h(すなわち、作動点120a〜cおよびヒンジ点120d〜f)は、以下で説明するような、望ましくないモードによる自然発生的な変形に対しても膜支持リング2、10を安定させるように位置決めされる。したがって、ヒンジ点120d〜hは、リング2、10のゼロ(または、実質的にゼロ)変位の輪郭上に置かれる一方で、それらのうちの少なくとも3つが、そのような望ましくないモードの下で膜8の変形を抑えるよう選択された点、すなわち、望ましくないモードに従って変位されるが、ヒンジ点120d〜hによってそうならないように制限される膜8の縁部に沿った点に置かれるのが望ましい。作動点120a〜cは同様に、膜8の縁部の制御されていない変形を抑えるが、上記のように膜8の変形の所望のモードに従って制御可能に選択的に変位できることは、正しく理解されよう。
【0133】
以上、説明したように、膜支持リング2、10は、レンズアセンブリ1の作動時にz軸で曲がらねばならない。支持リング2、10は、アセンブリが作動する場合に、膜8で増加する表面の張力に応じて、かかる曲がりを可能にするよう十分に可撓性を有するが、作動時に膜8の形状を制御する所定の方法での所望の曲がりと同様に、可撓性支持リング2、10は、膜形状の忠実度を維持するためには避けるべき、制御されない曲がりも受けやすい。特に、支持リングが作動時に平面基準Dに対して相対的に曲がるように構成されている一方、それらは、自然発生的な制御されない変形も受けやすい。これは、面内潰れまたは面外の曲がりの形態を取るであろう。かかる面外の曲がりは、望ましくないもののエネルギー的に有利なひとつ以上のモードの変形、例えば、膜8のトーリック(鞍形状)変形を含む。これは、この望ましくない曲がりも、レンズが作動した後に生じるが、先で説明したように、膜8に予め張力がかけられているからである。したがって、一般に、これは膜の表面の張力によって生じる。この望ましくない曲がりは、膜8の張力が膜サブアセンブリに含まれるエネルギーの一形態であり、膜サブアセンブリが自然にそれ自体を低いエネルギー状態に置くことを望むために生じる。エネルギー的に有利なモード、特に、低次モードに従って変形することによって膜の張力は減少し、したがってエネルギーが失われる。この望ましくない曲がりは本発明の実施の形態によって制御される。所望の曲げモードは、先に説明したような単位円に基づく純粋なゼルニケモードであってもよいが、本発明の実施の形態による制御点によって抑制されるべき望ましくない曲げモードは、膜の実際の形状によって制御されることは、正しく理解されよう。
【0134】
上で説明したように、この実施の形態の膜8は、膜のたるみや皺を減らすか無くすように、ひずみが最大で約5%になるように非作動状態の支持リング2、10に予め張力がかけられている。実施の形態によっては、必要であれば、例えば、最大10%またはさらに最大15%または最大20%のさらに大きな予張力を用いてもよい。この予張力は、支持リング2、10にある程度のひずみを与えるよう作用し、支持がなければ、リングは、制御されない面内曲げを受けやすい。さらに、アセンブリ1の作動時に、キャビティ22内の流体11の圧力が変化して膜8を膨張させる。したがって膜8における表面の張力は増加し、追加の応力が支持リング2、10にかかり、支持リング2、10の所望形状における望ましくないゆがみのリスクが高まる。
【0135】
ここで説明するレンズアセンブリにおいて、透明ディスク24は、面内の曲がりを受けて内側へ折れ曲がることに抗して膜サブアセンブリを支持するように働く。アセンブリ1の作動時、支持ディスク24は、基準平面Dに対して相対的にz軸上で膜支持リング2、10と共に曲がるように可撓性は十分であるが、x軸 またはy軸上の望ましくない面内の曲がりに抗してリング2、10を補強するように働く。ディスク24は、xy平面において支持リング2、10の剛性を高めるが、z軸上のリングの面外剛性を著しく増加することはなく、それによって、リングが基準平面に対して相対的にz軸上で撓んで、作動時に膜8の所定形態を生じるのに必要な所望の外郭形状を取ることを可能にしている。xy平面において支持リング2、10の剛性を高めることによって、リング2、10は、非作動時および作動時にリングに作用する膜8内の表面の張力の影響の下で、xy平面における曲がりや他の変形に抗して補強される。
【0136】
この実施の形態では、支持ディスク24がポリカーボネートからできているが、他の実施の形態では、ダイヤフラムは、xy平面で適切な剛性を有するものの、ファイバの配向に起因してz方向の剛性が低いファイバ材料から適切に作成してもよい。
【0137】
この実施の形態のディスク24の面内剛性は実質的に均一であるが、実施の形態によっては、NS方向の剛性がEW方向の剛性よりも高いダイヤフラムを用いてもよく、この方向性のある剛性を用いて、作動時の膜8の差ひずみをさらに補償してもよい。
【0138】
膜8の満足な変形を達成するために、膜8内の実質的に均一な表面の張力を維持するのが望ましい。この実施の形態のレンズアセンブリ1等の光学的用途に対して、これは、レンズの良好な光学的品質を保証する要因となる。この実施の形態の略矩形のレンズアセンブリ1の場合など、膜がxy平面の一方向において他の方向よりも長いアセンブリである場合、支持リング2、10は通常、作動時の所望の膜形態を生じるために、短軸よりも長軸に沿ってより曲がる必要がある。
図9で示すように、この実施の形態において、支持リング2、10は、作動時にNS軸よりもEW軸に沿ってより大きくz軸上で撓む。支持リング2、10のこの差曲がりは、膜8がNS方向よりもEW方向によりひずんでいるため、膜8内の表面の張力にわずかな程度の異方性を導入してもよい。しかし、支持ディスク24は、一つの軸(EW方向)に沿って主にz方向に曲がり、これは、他のNS軸に沿う支持リング2、10の面外剛性を増加させる傾向がある。EW方向に沿う支持リング2、10の曲がりは、支持リング2、10の短辺7、9を互いに近づける効果がある一方で、NS方向の同様の内側への曲がりに抗して支持リング2、10の剛性を高める。これには、NS方向における膜8上のひずみを維持する間、EW方向における膜8上のひずみを弱める効果があり、それによって、EWおよびNS方向における膜8の表面の張力を再度釣り合わせる傾向がある。しかし、予張力ひずみは増分作動ひずみよりも著しく大きいため、この効果はわずかであり、実施の形態によっては、EWおよびNS方向における支持ディスクの均一な面外剛性を維持することがより望ましい場合もある。
【0139】
可撓性側壁18を備える流体充填皿形部品12および膜サブアセンブリ2、8、10は、弾性クッション様エンベロープを形成している。キャビティ22を圧縮する際、キャビティ22内の流体11の圧力は大気圧に対して相対的に徐々に増加し、弾性膜8を膨張させる。同様に、他の実施の形態において、キャビティ22を膨張させて流体圧を大気圧に対して減少させてもよい。作動点120a〜cで作動装置によってかけられている力を解放すると、アセンブリはその非作動状態へ自動的にかつ弾性的に戻る。透明ディスク24は、この作動中および作動停止中のサブアセンブリの制御を維持することを補助する。
【0140】
支持ディスク24を用いることにより、支持リング2、10と弾性膜8とがそれら自体で折れ曲がること(面内の曲がり)の可能性を低減したり、それを阻止する一方で、本発明の実施の形態はさらに、膜の張力による負荷に応じた望ましくない曲げモードによる好ましくない面外の曲がりの問題に対処する。これは、支持ディスク24によってもたらされる追加の面内剛性にもかかわらず生じる。この問題は特に、例えば非作動状態で膜が平面にある場合に明らかである。このときは、平坦からのいかなるズレも一部の表面の張力を解放し、それ故有利に働く。しかし、前に説明したように、座屈は、例えば、作動時に膜が平面形態にある実施の形態において、アセンブリが作動する場合に生じ、膜が徐々に膨張するにつれて、その効果は減少する傾向にある。
【0141】
図14は、エネルギー的に有利な低次の望ましくない曲げモードによって望ましくないトーリック曲げを受けて鞍形状を形成する膜サブアセンブリを示す。前後リング2、10、膜8、およびダイヤフラム24を示す。サブアセンブリは、xy平面で定義されるように略平面で開始し、中央のxおよびy軸が交差する中心点Cを有すると考えられる。x軸はサブアセンブリの長い長さに沿っており、y軸は短い長さに沿っている。中心点から遠いx軸周りの範囲において、膜8は、z軸方向で面外の下向きの曲がり、または、湾曲を有し、中心点から遠いy軸周りの範囲において、z軸方向で面外の上向きの曲がり、または、湾曲を有する。したがって、これら2つの範囲で、曲がりが反対方向に生じて鞍形状を形成している。一旦これが生じると、サブアセンブリがもはや正しい基準平面形状を有しないため、レンズは正しく機能できないことが、正しく理解されよう。
【0142】
本発明の実施の形態は、
図14に示す自然発生的な望ましくない変形を受けるサブアセンブリのリスクを制御点120a〜hにより軽減する。
【0143】
同時係属中のPCT/GB2012/051426でより詳細に説明されているように、少なくとも3つの制御点120により、支持リング2、10の平面を定義する必要がある。例えば、この実施の形態等の圧縮作動する膜アセンブリにおいて、これら3つの最低限の制御点120のうちの少なくともひとつは、作動点120a〜cでなければならない。ひとつまたは2つは、ヒンジ点120e〜gであってもよい。好ましくない面外の曲がりの問題は、制御点120(ここで、保持リング6に対する相対的な膜8の位置が制御される)を膜の中心の周りで注意深く位置決めすることによって望ましくない低次曲げモードを抑制する一方で、所望の曲げモードを誘導することにより対処できることが分かってきている。レンズアセンブリが予張力で負荷をかけられ、膜が平面または平面に近い場合に、これは特に有用であるが、一般的に、膜8の望ましくない曲げモードを抑制して、その作動状態にかかわらず膜形態の忠実度を確実にすることが重要である。
【0144】
実施の形態によっては、最低3つの制御点120が、正しく位置している場合、膜境界全体の周辺にノード(節)を持たない少なくとも最も低い次数の望ましくない曲げモードを抑制するのに、十分であるだろう。しかし他の実施の形態において、特に、アセンブリを作動させ、先に説明したような転換点において支持リング2、10の外郭形状を制御するのに必要な制御点120が、望ましくない曲げモードを抑制するよう適切に位置決めされていない場合、追加の制御点120d、120hを用いて、不可欠な安定度を提供する必要がある。
【0145】
低次の望ましくない曲げモードを抑制するために、制御点120は、膜8全体の縁部の周りにノードを持たない膜8の張力による負荷に応じてリング2、10の望ましくない第1の面外の曲げモードのエネルギーを増加するように、適切に位置すべきである。言い換えれば、制御点120は、膜の縁部が膜8の張力による負荷に応じて望ましくない曲げモードに従って移動することを望む点に位置すべきであり、その結果、膜縁部の位置がそれらの点で制御される。
【0146】
より実用的なレベルでは、上記を条件として、光学中心OCの周りの制御点の角度間隔は約30〜120°であるのがよい。説明しているこの実施の形態では、基準点としてOCを用いるが、使用する中心点は、幾何学的な中心(ボックス化の中心)またはその2つの範囲の別の点のような代替点であってもよい。
【0147】
この実施の形態において、5つのヒンジ点120d〜hを用いて望ましくない曲げモードを抑制することによりリング2、10および膜8に対する制御を与える。
図9において、ヒンジ点120d〜hはすべて、光学中心OCから実質的に等距離にあることは、一点鎖線に示す円から見て取れる。この実施の形態において、ヒンジ点120d〜hは、z軸上の作動点120a〜cでリング2、10を選択的に変位する一方で、1次および他の望ましくない2次(略非点収差)モードを抑制して
図14に示す種類の鞍状を防ぐことによって、アセンブリ1が作動する場合に、所望の2次ゼルニケモード式(1)による球状変形に必要とされるような膜8の縁部のゼロまたは最小変位の点として選択される。言い換えれば、キャビティ22内の流体11を圧縮し、それによって上記のように膜8の形態を調節するように保持リング6に対して相対的にリング2、10を動かす時に、リング2、10をヒンジ点120d〜hにおいて変位させない、または最小限に変位させるのがよい(しかし、それらは、所定位置にありながら摺動、回転、または曲がってもよく、したがって、リング2、10がレンズアセンブリ1の使用中に正しい外郭形状を取ることを可能にしている)。したがって、ヒンジ点120d〜hは、保持リング6に対して固定関係で保持される適切な点である。
【0148】
膜8が2次非点収差モード式(3)または3次トレフォイルモード式(4)等の高次曲げモードに従って曲がるよう望まれる他の実施の形態において、ヒンジ点は依然として、所望のモードに対するゼロ変位の点に位置決めされるが、膜の中心の周りのゼロ変位輪郭は非円形である。
【0149】
この実施の形態の2つのヒンジ点120d、120hは、光学中心と作動点120a〜cの中間に配設される。すなわち、
図9に示すEW軸上へのそれらの正投影は、中心OCと作動点120a〜cとの間に配設される。これにより、制御点の間に実用的な間隔がもたらされる。
【0150】
望まれるときは、追加のヒンジ点120を設けてもよいことは正しく理解されよう。例えば、
図9に示すようなレンズアセンブリの左下角部(すなわち、短辺9と長辺5との間の角部)に同じゼロ変位輪郭上の更なる点が存在する。
【0151】
当業者は、作動点が、それらが望ましくない曲げモードのエネルギーを増加するように位置決めされていれば、望ましくない曲げモードを抑制する働きをしてもよいことを認識するであろう。代替として、作動点は(ヒンジ点とは異なり)、作動状態によっては(または非作動時に)、それらが特定の望ましくない曲げモードを抑制するよう作用するが、他の作動状態によっては(または、作動時に)、同じ次数の少なくともひとつの所望の曲げモードを許容するように位置決めされてもよい。したがって、例として、ひとつ以上の作動点は、アセンブリが作動していない場合、例えば、それによって膜が平面である場合、2次および/または高次の望ましくない曲げモードを抑制するように、支持リング2、10の周辺に位置してもよいが、アセンブリの作動時に少なくともひとつの非点収差式(3)または高次の所望の曲げモードに従って変位して、かかるモードを引き起こす。
【0152】
先に説明した膜アセンブリは、レンズアセンブリ等の光学的用途および非光学的用途に用いられてもよい。用語「前部」、「後部」等は、本発明の実施の形態同士の間を明確にし、それらの間の一貫性を保つために、アセンブリ1、1’の部品の説明に用いられる。これらの用語は、レンズアセンブリに適しており、
図1および2に示す種類のメガネの文脈において部品を説明する。メガネ用のレンズアセンブリ以外の用途(光学的または非光学的)に対して、「前部」または「後部」として説明される部品は、必ずしも関連するアセンブリの前部または後部において、またはそれに向かって配設される必要はない。例えば、用途によっては、膜は上方に面して配設されてもよく、その結果、「前部膜支持リング」が実際には「後部膜支持リング」の上に配設され、類似の用語はそれに応じて解釈すべきである。実際には、本明細書から明らかなように、本発明の実施の形態の膜アセンブリは、多種多様の異なる用途に用いられてもよく、ここで、用語「前部」および「後部」は、用いられているそれぞれの部品の実際の位置を説明していなくてもよいが、それにもかかわらず、これらの用語は、異なる実施の形態のアセンブリ内の部品同士の空間的相関関係を説明するためには有用である。
【0153】
したがって、本発明の実施の形態は、ひとつ以上の曲げることのできる周囲膜支持リング2、10による張力の下で保持される弾性膜8が少なくとも一方の側の境界となっている流体充填エンベロープを備える膜アセンブリ1を提供する。エンベロープ内の流体圧を、例えばエンベロープを圧縮することによって増加させて、または、例えばエンベロープを膨張させることによって減少させて、膜を横切る圧力差を変化させることによって、膜を凸状または凹状にそれぞれ膨張させてもよい。本発明の実施の形態によれば、リング2、10の位置は、膜の張力による負荷に応じる望ましくない曲げモードに従って膜8が自然発生的に曲がることを防ぐよう選択される制御点120で制御される。制御点は、リング2、10全体の周辺にノードを持たない少なくとも最も低い次数の望ましくない曲げモードのエネルギーを増加するように位置決めされる少なくとも3つの作動点またはヒンジ点を備える。制御点はまた、要望通りにリング2、10の外郭形状を制御するために、キャビティ22内の圧力の結果として膜8にかかる力に抗するリングにかけられる力の方向のリング2、10の所望の外郭形状の各転換点に置かれるのがよい。したがって、この目的に対する制御点120の配置は、膜8の境界形状およびその所望の作動形態による。したがって、必要があれば、追加のヒンジ点120d〜hを、望ましくない曲げモードを抑えるために、望ましくないモードのエネルギーを増加することに役立つ所望の曲げモードに従う作動中のリングのゼロ変位の点に用いてもよい。
【0154】
説明した実施の形態のいくつかのパラメータおよび構成要素のいくつかの変形例は、既に説明した。当業者は、説明した特定の実施の形態のさらに多くの変形例が可能であることを正しく理解するであろう。例えば、図示の実施の形態において、支持リング2、10の幅は、膜8の所望の形態を達成するために、リング2、10およびしたがって膜8の縁部の正確な曲げを容易にするようそれらの範囲周辺で変えてよい。これは、好ましくない変形から膜サブアセンブリを安定させる目的には必須ではない。
【0155】
さらに、この実施の形態において、前後支持リング2、10の厚さは異なるが、他の実施の形態では同じ厚さであってもよく、繰り返しになるが、厚さは、リング2、10を望ましくない曲げモードに抗して安定させることにおける決定的なパラメータではない。実施の形態によっては、ディスク24の曲げ剛性は、ねじり力と十分に釣り合う程度であればよく、この場合、後部リング10を、前部リング2よりも薄く作成してもよく、また除いてしまってもよい。後者の場合、透明ディスク24に、その前面で周方向段差等を設けて、膜8からディスク24を離すようにしてもよく、言い換えれば、後部リング10および透明ディスク24は、ひとつの構成要素として効果的に一体化されてもよい。
【0156】
膜サブアセンブリの必要な安定性を達成する限り、他の変形例も可能である。説明した実施の形態では、5つのヒンジ点120d〜hが用いられるが、代替として、4つのヒンジ点のみを用いてもよい。4つの適切な点の一例は、点120d、120e、120g、および120hであってもよい。代替としては、点120d、120f、120g、120hであってもよい。更なる代替としては、点120e、120f、120g、120hであってもよい。4つのヒンジ点の場合、ひとつまたは2つが、光学中心OCと、上で説明したような一方の短辺7上のひとつ以上の作動点120a〜cとの中間に位置してもよい。
【0157】
上記の実施の形態に由来する別の可能性のある変形例は、作動点の数にある。先に説明した例では3つの作動点120a〜cを用いた。3つの作動点よりも多く、またはそれよりも少なく用いてもよい。すべての作動点を通って延びる単一のカムプレートではなく、各作動点に対して別個のカム面支持部を設けてもよい。ギヤおよびカム配置の設計は、依然として所望の結果を達成している限り、図示のものを変更してもよい。ホイール106と類似の調節ホイールを選択的に有する作動機構は、テンプル94の代わりにブリッジ95に設けてもよい。手動調節以外の手段を採用してもよい。
【0158】
説明したレンズアセンブリの他の特徴は、本発明の実施の形態の適用範囲内で変えてもよい。例えば、透明ディスク24の環状形状は異なっていてもよい。保持リング6は、前後プレート16、4が前後シェル6a、6bの制限内で保持されるような形状であってもよい。本実施の形態において、保持リング6は前部リング2を保持しているが、いくつかの他の固定支持を採用してもよい。例えば、個別の位置における複数の固定支持を用いてもよい。両リング2、10は、それらがクランプされ得る特徴を有していてもよい。保持リング6および支持リング2、10の形状は様々であってもよく、それらを互いに固定して保持するための相互に協働する特徴を備える構成であってもよい。
【0159】
上記のように、本発明の実施の形態を、レンズアセンブリ、特に、メガネに使用するためのレンズアセンブリを特に参照してここで説明した。しかし、本発明の実施の形態のレンズアセンブリは、ゴーグル、ヘルメット、および様々な種類の科学機器および光学機器等の他のレンズ用途に等しく良好に適用可能である。レンズアセンブリにおいて、光学部品は以下説明するように透明であるが、本発明の実施の形態はまた、制御可能に調節可能な表面を提供するよう同様の方法で構成され、作動する他の種類の変形可能膜アセンブリも包含する。例えば、光学分野において、本発明の実施の形態を用いて、制御可能に調節できる鏡面を提供してもよく、本発明の実施の形態の膜アセンブリは、選択的および制御可能に調節可能な動的形状を持つ表面が必要とされるであろう音響等の非光学分野にその用途を見出してもよい。
【0160】
本発明の実施の形態のレンズアセンブリは、老眼の矯正に対して特に適している。使用において、レンズアセンブリ1;1’は、遠距離から近距離までの距離範囲における物体に焦点を合わせるために、アセンブリを作動することによって調節できる。
以下に、本願発明の局面の例を列挙する。
[第1の局面]
固定支持と;
流体充填エンベロープであって、その少なくともひとつの壁部が可撓性膜支持部材によって、縁部の周りで張力がかけられて保持される弾性膜によって形成され、前記膜支持部材は、制御点における前記固定支持に対して相対的に膜縁部の位置を制御するために、それぞれの係合部材によって前記支持部材の周りの複数の個別の制御点で前記固定支持に結合され、前記支持部材は前記制御点の間で拘束されていない、流体充填エンベロープと;
前記エンベロープ内の前記流体の圧力を調節し、それによって、前記膜の形状を調節するための選択的に操作可能な圧力アジャスタとを備え;
前記支持部材全体の周囲でノードを持たない前記膜の張力による負荷に応じて、前記支持部材の最も低い次数の面外曲げモードのエネルギーを増加するよう選択される、前記支持部材上の離間した位置で前記膜縁部の周囲に位置する少なくとも3つの制御点が設けられた、
変形可能膜アセンブリ。
[第2の局面]
固定支持と;
流体充填エンベロープであって、その少なくともひとつの壁部が可撓性膜支持部材によって、縁部の周りで張力がかけられて保持される弾性膜によって形成され、前記膜支持部材は、制御点における前記固定支持に対して相対的に膜縁部の位置を制御するために、それぞれの係合部材によって前記支持部材の周りの複数の個別の制御点で前記固定支持に結合され、前記部材は前記制御点の間で拘束されていない、流体充填エンベロープと;
前記エンベロープ内の前記流体の圧力を調節し、それによって、前記膜の形状を調節するための選択的に操作可能な圧力アジャスタとを備え;
ひとつ以上の所望のモードに従って前記流体の圧力を調節するときに前記膜が変形することを許容するが、ひとつ以上の他の望ましくないモードに従う前記膜縁部の変位を抑制するよう選択される、前記膜の前記縁部の周囲の位置に配設される少なくとも3つの制御点が設けられた、
変形可能膜アセンブリ。
[第3の局面]
固定支持と;
流体充填エンベロープであって、その少なくともひとつの壁部が可撓性膜支持部材によって、縁部の周りで張力がかけられて保持される弾性膜によって形成され、前記膜支持部材は、制御点における前記固定支持に対して相対的に膜縁部の位置を制御するために、それぞれの係合部材によって前記支持部材の周りの複数の個別の制御点で前記固定支持に結合され、前記部材は前記制御点の間で拘束されていない、流体充填エンベロープと;
前記エンベロープ内の前記流体の圧力を調節し、それによって、前記膜の形状を調節するための選択的に操作可能な圧力アジャスタとを備え;
ひとつ以上の所望の膜の曲がりの低次モードを誘発する一方で、ひとつ以上の望ましくない高次モードを抑制するように選択される、前記膜の前記縁部の周囲の位置に位置する少なくとも3つの制御点が設けられた、
変形可能膜アセンブリ。
[第4の局面]
前記制御点は、少なくとも最も低い次数の望ましくないモードを抑制するよう位置する、
第1、第2、または第3の局面に記載の変形可能膜アセンブリ。
[第5の局面]
前記制御点は、前記膜が少なくとも2次の所望曲げモードおよび任意にひとつ以上の選択された他のモードに従って変形することを許容するように位置決めされた、
第1乃至第4の局面のいずれか1の局面に記載の変形可能膜アセンブリ。
[第6の局面]
前記膜の変形の所望のモードは、ひとつ以上のゼルニケ多項式、好ましくは、アリゾナフリンジ係数形態のゼルニケ多項式による、
第1乃至第5の局面のいずれか1の局面に記載の変形可能膜アセンブリ。
[第7の局面]
前記制御点は、少なくとも球状変形、および、任意に球状および選択された2次、3次、および/または4次ゼルニケ多項式を許容して、非点収差、コマ収差、およびトレフォイルから選択される球状からのひとつ以上のずれを導入するよう位置決めされた、
第1乃至第6の局面のいずれか1の局面に記載の変形可能膜アセンブリ。
[第8の局面]
前記膜は非円形である、
第1乃至第7の局面のいずれか1の局面に記載の変形可能膜アセンブリ。
[第9の局面]
前記支持部材の曲げ剛性は前記支持部材の周辺に沿って変化する、
第1乃至第8の局面のいずれか1の局面に記載の変形可能膜アセンブリ。
[第10の局面]
各制御点は、前記膜の中心の周りで30〜120°の角度だけ隣接する制御点から角度を成して離間する、
第1乃至第9の局面のいずれか1の局面に記載の変形可能膜アセンブリ。
[第11の局面]
前記アジャスタは、前記エンベロープ内の流体の圧力を制御するため、流体を前記エンベロープに注入または前記エンベロープから除去するように選択的に操作可能である、
第1乃至第10の局面のいずれか1の局面に記載の変形可能膜アセンブリ。
[第12の局面]
前記各制御点は、前記膜支持部材がそれぞれの係合部材によって前記固定支持にヒンジ接続されるヒンジ点を備える、
第11の局面に記載の変形可能膜アセンブリ。
[第13の局面]
前記アジャスタは、前記エンベロープの容量を調節して、それによって、前記エンベロープ内の流体の圧力を制御するように選択的に操作可能である、
第1乃至第10の局面のいずれか1の局面に記載の変形可能膜アセンブリ。
[第14の局面]
前記制御点のうち少なくともひとつは作動点を備え、前記アジャスタは、前記エンベロープの容積を調節するため、前記固定支持に対する前記支持部材の制御された変位のために、それぞれの前記係合部材によって前記作動点または各作動点で前記膜支持部材に接続された、
第13の局面に記載の変形可能膜アセンブリ。
[第15の局面]
ひとつ以上の作動点の前記位置は、ひとつ以上の所望の曲げモード、特に低次モードに従って前記支持部材の変位を制御するよう選択された、
第14の局面に記載の変形可能膜アセンブリ。
[第16の局面]
前記制御点のうち少なくともひとつの他の制御点は、前記膜支持部材がそれぞれの前記係合部材によって前記固定支持にヒンジ接続されるヒンジ点を備える、
第14または第15の局面に記載の変形可能膜アセンブリ。
[第17の局面]
制御点が、前記支持部材の周辺の各位置に位置するか、その近傍に位置し、ここで、前記膜の縁部の外形形状と前記膜の変形のひとつ以上の所望のモードとの交点が、前記支持部材の外郭形状が反対方向への変曲点または転換点を示す2つの隣接する点の間で、それぞれの前記係合部材によって前記支持部材に加えられる力または反応の方向の転換点を示す、
第1乃至第16の局面のいずれか1の局面に記載の変形可能膜アセンブリ。
[第18の局面]
前記制御点はさらに、前記エンベロープ内の圧力が調節される際に、前記支持部材の外郭形状が実質的に静止したままである前記支持部材上の点に位置する少なくともひとつの追加のヒンジ点を備える、
第17の局面に記載の変形可能膜アセンブリ。
[第19の局面]
前記膜は略細長く、一方の軸で直交軸よりも長く、両軸は、前記膜の中心を通り、前記直交軸を横切って延在する2つの対向する長辺を有し、
前記制御点は、前記一方の軸の一端の近傍の前記支持部材上の少なくともひとつの作動点と、前記一方の軸の他端の近傍の少なくともひとつのヒンジ点と、前記一方の軸の一端と前記中心との中間の前記支持部材の長辺のうちの一方の上にある少なくともひとつの中間ヒンジ点とを備える、
第1乃至第18の局面のいずれか1の局面に記載の変形可能膜アセンブリ。
[第20の局面]
ひとつ以上の作動点が、前記一方の軸の一端の近傍に設けられ、少なくとも2つの中間ヒンジ点が、前記一方の軸の一端の前記ひとつ以上の作動点と前記膜の中心との間の前記支持部材上に位置し、ひとつが前記支持部材の前記長辺のうちの一方の上にあり、もうひとつが他方の長辺上にある、
第19の局面に記載の変形可能膜アセンブリ。
[第21の局面]
前記膜は、前記膜支持部材上で予め張力がかけられた、
第1乃至第20の局面のいずれか1の局面に記載の変形可能膜アセンブリ。
[第22の局面]
ひとつ以上の曲がり制御装置が、前記膜の表面の張力に応じて前記膜支持部材の曲がりまたは他の変形を制御するよう設けられた、
第1乃至第21の局面のいずれか1の局面に記載の変形可能膜アセンブリ。
[第23の局面]
第1乃至第22の局面のいずれか1の局面に記載の変形可能膜アセンブリを備えるメガネ類の製品。