特許第6475164号(P6475164)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6475164
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】乗用車用車両ホイール
(51)【国際特許分類】
   B60B 3/04 20060101AFI20190218BHJP
   B60B 3/10 20060101ALI20190218BHJP
【FI】
   B60B3/04 B
   B60B3/10
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-540260(P2015-540260)
(86)(22)【出願日】2013年11月4日
(65)【公表番号】特表2015-533358(P2015-533358A)
(43)【公表日】2015年11月24日
(86)【国際出願番号】IB2013059879
(87)【国際公開番号】WO2014072896
(87)【国際公開日】20140515
【審査請求日】2016年10月18日
(31)【優先権主張番号】202012104260.6
(32)【優先日】2012年11月6日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515119790
【氏名又は名称】マクシオン ホール ジャーマニー ホールディングス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】カーメルク、 ヴェルナー
(72)【発明者】
【氏名】ローデ、 カール
(72)【発明者】
【氏名】ステルツァー、 ギュンター
【審査官】 小河 了一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−132279(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02495110(EP,A1)
【文献】 カナダ国特許出願公開第02591366(CA,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第00701911(EP,A1)
【文献】 特開2010−132277(JP,A)
【文献】 特開2009−113798(JP,A)
【文献】 特開昭60−124502(JP,A)
【文献】 中国実用新案第202283859(CN,U)
【文献】 中国実用新案第201856562(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 3/04
B60B 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤを保持するためのリム部と、
前記リム部に接合されたディスク部(20)と、
を備える車両ホイールであって、
前記ディスク部(20)は、成形加工と切削加工または打抜加工とによって一体の金属板の素材から形成され、かつ、ホイールボルト用のボルト穴(23)と車両ハブのための中央穴(45)とを持つ中央部(21)を有し、
前記ディスク部(20)は、前記車両ハブと前記リム部との間の力を伝達するための金属板成形加工によって形成された半径方向に延びる複数のスポーク部(30)を有し、
各スポーク部(30)には、半径方向に延びる中央ウエブ(31)が備えられ、前記中央ウエブ(31)は、前記中央ウエブ(31)の両側において、前記中央ウエブ(31)の表面から外方向に曲がった半径方向に延びる側部ウエブ(32)と、前記側部ウエブ(32)に対して再び折れ戻した端部ウエブ(33)とに合体し、
前記中央ウエブ(31)と前記側部ウエブ(32)とのそれぞれの半径方向外側端部は、全周を包囲する環状ディスク縁(22)に合体し、
前記環状ディスク縁(22)は、ホイール軸(A)に正確に平行又は前記ホイール軸(A)に平行に整列し、前記複数のスポーク部(30)のすべてを相互に接合し、前記金属板から一体的に形成されて前記リム部と前記ディスク部とを接合する接合部を形成し、かつ各場合において隣接するスポーク部(30)の前記端部ウエブ(33)と共に、前記端部ウエブ(33)と前記環状ディスク縁(22)との間の領域に延在する換気孔(40)を画定する、
車両ホイールにおいて、
前記スポーク部(30)の数と前記ボルト穴(23)の数とは等しくなく、前記スポーク部(30)の数を前記ボルト穴(23)の数で割った商は自然数とはならず、
前記中央部(21)には内側環状ビード(24)及び外側環状ビード(25)が形成され、
前記内側環状ビード(24)及び前記外側環状ビード(25)は、互いにかつ前記環状ディスク縁(22)に対して同心となっており、
前記内側環状ビード(24)及び前記外側環状ビード(25)の間には、前記ボルト穴(23)を備えた盛り上がった環状帯(26)が形成され、
前記環状ディスク縁(22)は、前記ホイール軸(A)に、軸方向に延長する部分の全体にわたって、平行に整列し且つ斜めの先端(27)を持つ包囲するリングを形成することを特徴とする車両ホイール。
【請求項2】
前記内側環状ビード(24)及び前記外側環状ビード(25)は裏面(24’、25’)を有し、前記内側環状ビード(24)及び前記外側環状ビード(25)の前記裏面(24’、25’)は、前記車両ホイールが前記車両ハブに当接するための、前記中央部(21)およびホイールディスクの唯一の当接面を形成することを特徴とする、請求項1に記載の車両ホイール。
【請求項3】
前記外側環状ビード(25)の前記裏面(125’)と前記内側環状ビード(24)の前記裏面(24’)の少なくとも1つは、前記ボルト穴(23)の領域において部分的に盛り上がっていることを特徴とする、請求項2に記載の車両ホイール。
【請求項4】
前記内側環状ビード(24)の最外周と前記外側環状ビード(25)の最内周との間隔は、前記ボルト穴(23)の直径の2倍より小さいことを特徴とする、請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の車両ホイール。
【請求項5】
隣接する前記スポーク部(30)の前記側部ウエブ(32)はそれぞれ前記中央部(21)に1つの共通の始点(35)を有し、前記始点(35)は前記外側環状ビード(25)の中にあるかまたは前記外側環状ビード(25)へ直接合体していることを特徴とする、請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の車両ホイール。
【請求項6】
前記ボルト穴(23、223)の内のただ1つと、前記隣接するスポーク部(30)の1つの始点(35、235)とが、低い位置の前記ボルト穴の中央と前記ホイール軸とを通る仮想半径線の上に配置されていることを特徴とする、請求項5に記載の車両ホイール。
【請求項7】
前記スポーク部(30)の数と前記ボルト穴(23)の数の比は、3/4、5/4、7/4、4/5、6/5、7/5又は8/5であることを特徴とする、請求項6に記載の車両ホイール。
【請求項8】
2つの前記ボルト穴(123)と隣接する前記スポーク部(130)の2つの始点(135)が、低い位置の前記ボルト穴の中央と前記ホイール軸とを通る1本の仮想半径線の上に配置されていて、前記車両ホイール(110)は4つの前記ボルト穴(123)と6本の前記スポーク部(130)を有していることを特徴とする、請求項5に記載の車両ホイール。
【請求項9】
前記車両ホイール(10、110)は、前記仮想半径線の上に配置されたバルブ穴(8、108)を有することを特徴とする、請求項6〜請求項8の何れか一項に記載の車両ホイール。
【請求項10】
すべての前記スポーク部(30)の前記中央ウエブ(31)は、前記ホイール軸(A)に直交する面内で半径方向に一部の長さで延在することを特徴とする、請求項1〜請求項9の何れか一項に記載の車両ホイール。
【請求項11】
すべての前記スポーク部(30)の前記側部ウエブ(32)は、関連する前記端部ウエブ(33)への遷移部において半径方向に一部の長さで前記中央ウエブ(31)と部分的に平行になっていることを特徴とする、請求項1〜請求項10の何れか一項に記載の車両ホイール。
【請求項12】
1本の前記スポーク部(30)の前記側部ウエブ(32)同士の間の間隔は、最初は前記中央部(21)を起点として前記中央部(21)から前記スポーク部(30)の外側端部の方向に連続的に先細りとなり、それから再び広がることを特徴とする、請求項1〜請求項9の何れか一項に記載の車両ホイール。
【請求項13】
前記中央ウエブ(31)と、前記側部ウエブ(32)から前記端部ウエブ(33)への遷移部との間の最大の相対的変形深さは、前記換気孔(40)が広がる領域において10mm〜30mmであることを特徴とする、請求項1〜請求項12の何れか一項に記載の車両ホイール。
【請求項14】
前記中央ウエブ(31)の外側側部と、前記側部ウエブ(32)から前記端部ウエブ(33)への遷移部との間の最小の相対的変形深さは、半径方向の一部の長さ領域において10mmより大きいことを特徴とする、請求項13に記載の車両ホイール。
【請求項15】
前記換気孔(40)を定める、前記端部ウエブ(33)の先端は、前記ホイール軸(A)に対して斜交していることを特徴とする、請求項1〜請求項14の何れか一項に記載の車両ホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両ホイール、特に乗用車用の車両ホイールに関する。この車両ホイールは、タイヤを保持するためのリム部と、リム部に接合され、成形加工と切削加工または打抜加工によって一体の金属板素材から形成され、ホイールボルト用のボルト穴と車両ハブのための中央穴とを有する中央部と、金属板成形加工によって形成され、車両ハブとリム部との間で力を伝達する、複数の半径方向に延びるスポーク部とを有するディスク部と、を備える。ここで、各スポーク部には、半径方向に延びる中央ウエブであって、その両側部で中央ウエブの表面から外方向に曲がって、半径方向に延びる側部ウエブに合体する中央ウエブと、その側部ウエブに対して再び折れ戻る端部ウエブとが備えられている。中央ウエブと側部ウエブの半径方向外端は、全周を包囲する環状ディスク縁に合体し、この環状ディスク縁は、軸に正確に平行またはホイール軸に実質的に平行に整列してすべてのスポーク部を相互接合し、金属板から一体的に形成されてリム部とディスク部とを接合する接合部を形成し、かつそれぞれの場合において隣接するスポーク部の端部ウエブと共に、端部ウエブとディスク縁との間の領域に延在する換気孔を画定する。
【背景技術】
【0002】
乗用車用のこのような種類の車両ホイールは、本出願の請求項1の前提部の基本となっているものであるが、本出願人による欧州特許出願公開第1262333(A2)号明細書において周知であり、本出願人により‘Versastyle(登録商標)’として市販されて、市場では一般的に‘構造ホイール’と呼ばれている。鋼板から成形加工によって製造されて比較的大面積の換気孔をもつ車両ホイールのデザインにより、この車両ホイールはホイール重量の観点でアルミホイールと経済的に競合できるばかりでなく、デザインの観点からも競合可能である。それは一方ではこの車両ホイールが、数倍大きく作られたスポーク部と大面積換気孔との相互作用に基づく人目を引くデザインを有しており、また他方では、ハブキャップを入れた車両ホイールの全体重量が比較可能な鋳造アルミ車両ホイールに対してなんら不利とはならずに、異なるハブキャップをこの車両ホイールに対して使用可能であるからである。
【0003】
欧州特許出願公開第1262333(A1)号明細書で周知のこの車両ホイールは、乗用車用の新しい種類のスチール製成形車両ホイールを構成し、これまでに5つのボルト穴と、このボルト穴に対して対称的に配置された5本のスポーク部のみで製造されてきた。他の製造者からも例えば米国特許第7104611(B2)号明細書または欧州特許出願公開第1790499(A1)号明細書が示すような、この種類の車両ホイールに関する技術革新が提案されてきており、そこでは上記の車両ホイールに対する最小限の変更が記述されているが、それらのすべては上記の車両ホイールを直近の先行技術として説明を始めている。
【0004】
乗用車、特に小型車、コンパクト車および中型車に分類されるものは、4穴締結の車両ホイールを必要とすることが多い。そのとき、欧州特許出願公開第1262333(A2)号明細書によるホイール構造が4本スポーク部のスチール車両ホイールを先導している。それは欧州特許出願公開第1262333(A2)号明細書によるホイール構造ではボルト穴とスポーク部とが対応する数であることが要求されるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1262333(A2)号明細書
【特許文献2】米国特許第7104611(B2)号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第1790499(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、欧州特許出願公開第1262333(A2)号明細書に記載されたような構造ホイールの重要な利点を失うことなしに、ボルト穴とスポーク部とが異なる数となることのできるスチール車両ホイールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によればこの目的は、スポーク部の数とボルト穴の数とが等しくなく、スポーク部の数をボルト穴の数で割った商は自然数とはならず、また、中央部には内側環状ビードと外側環状ビードが形成されて、これらのビードは互いに、またディスク縁に対して同心であり、両者の間にはボルト穴を備えた盛り上がった環状帯がある、という事実によって達成される。鋼板素材を金属板成形加工して製造される本発明による車両ホイールの場合、一般的な従来技術に比べて中央部を基本的に再設計することで、一方のボルト穴と他方のスポーク部との数を等しくなくすることできる。それは中央部に内側環状ビードと外側環状ビードとが与えられ、両者の間にボルト穴が配置される盛り上がった環状帯が形成されるからである。2つの隣接するスポーク部の位置に対するボルト穴の位置は、選択される商によって1つのボルト穴から次のボルト穴に対して必然的に変化するが、一方のボルト穴と他方のスポーク部との不等比にも拘らず、外側環状ビードによって中央部をスポーク部が配置される領域から分割することで、すべてのホイール荷重をリム部からハブへ伝達することが可能となる。2つの環状ビードは、中央部の適切な強化と、スポーク部から中央部への荷重のより均一な移動とを確保する。
【0008】
環状ビードは裏面を有し、内側及び外側環状ビードの裏面は好ましくは車両ホイールが車両ハブに当接するための、中央部およびホイールディスクの唯一の当接面を形成する。環状ビードは同一深さとなるように設計することが可能である。ただし、外側環状ビードの裏面と内側環状ビードの裏面の少なくとも1つはボルト穴領域で部分的に盛り上がっていて、ボルト穴の領域における環状ビードの変形能力によって締結されたホイールボルトをセルフロックするための追加バネ行程を提供してもよい。
【0009】
内側環状ビードと外側環状ビードの間隔は、好ましくはボルト穴直径の2倍より小さく、かつ好ましくはボルト穴直径の1.5倍より大きい。そのような設計とすることで、スポーク部に対する相対的に大きな配置領域が得られ、その結果大面積の換気孔が可能となる。
【0010】
隣接するスポーク部の側部ウエブは好ましくはそれぞれが共通の始点を有し、特にその始点が外側環状ビード内にあるかまたは外側環状ビードに直接合体していることが有利となる可能性が高い。ボルト穴の数に対するスポーク部の数の比により、大部分の変形例において、1つのボルト穴と隣接するスポーク部の1つの始点を正確に半径線上に対称的に配置することが有利である。スポーク部の数とボルトの数の比は具体的に、4つのボルト穴を持つ車両ホイールの場合には3/4、5/4、7/4であり、あるいは5つのボルト穴を持つ車両ホイールの場合には4/5、6/5、7/5又は8/5とすることができる。別の実施形態において、特に4つのボルト穴と6本のスポーク部を持つ車両ホイールの場合には、2つのボルト穴と隣接するスポーク部の2つの始点とを1本の半径線上に対称的に配置することができる。この時この2つの半径線は好ましくは整列していて、結果として車両ホイールの分割面を形成する。これらの実施形態において、リム部に配置される車両ホイール用のバルブ穴を、好ましくは同様に1つのボルト穴と1つの隣接するスポーク部の始点が既に載っている半径線上に対称的に配置することができる。
【0011】
別の好適な選択肢としては、本発明による車両ホイールのすべてのスポーク部の中央ウエブは、少なくとも一部分がホイール軸に対して直交する面内にあってもよい。このことにより車両ホイールにおいては、中央部と全周包囲のディスク縁との間の半径方向の一部の長さにわたって、全スポーク部の少なくとも中央ウエブが共通面を画定することになる。これによって、全てのスポーク部の側部ウエブもまた関連する端部ウエブへの遷移部において半径方向の一部の長さにわたって中央ウエブと部分的に平行となり、結果として第1の面よりもさらに外側にある第2の面を画定すれば、特に有利である。
【0012】
別の好適な選択肢として、スポーク部の側部ウエブ同士の間の間隔、すなわち同一スポーク部の2つの側部ウエブの間の間隙が、最初は中央部からスポーク外端部の方向に連続的に細くなり、その後再び広がることができる。一方で、中央ウエブと、側部ウエブから端部ウエブへの遷移部との間の最大の深さは好ましくは、特に換気孔が広がる領域すなわち換気孔が形成されている領域において10mm〜30mmであり、その時、ディスク縁を一方とし、スポーク部が中央部の外側環状ビードへ接合される領域を他方とする両者の間の曲げ剛性をそのスポーク深さによって十分大きくするためには、半径方向の一部の長さ領域において最小深さが10mmより大きければ特に有利である。
【0013】
先端が換気孔に直接接する端部ウエブと中央ウエブの先端は、ホイール軸に対して斜交することができる。これは後ろ側から換気孔を打抜加工することによって実現できる。隣接するスポーク部の収束部は始点において、中央部が形成する領域の外に向かって特に大きな変形を受けることがある。そこでこれらのスポークの始点は好ましくはV字型の襞と同じように金属板素材の外に向かって折り曲げられている。
【0014】
本発明による車両ホイールの更なる利点および実施形態は、以下における図に示した例示的実施形態の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明による車両ホイールの第1の実施形態の斜視図である。
図2図1の車両ホイールの外側の平面図である。
図3図2の線III−IIIに沿った断面図である。
図4】小修正した構造をもつ車両ホイールの、図3と同様の断面図である。
図5】第3の例示的実施形態による車両ホイールの斜視図である。
図6図5の車両ホイールの正面側平面図である。
図7】第4の例示的実施形態による車両ホイールを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
4穴締結の車両ハブを有する乗用車用の車両ホイールは、図1〜3においてその全体を参照符号10で表すが、周知のようにリム部1を備え、これは一体回転するためにディスク部20に接合、具体的には溶接されている。リム部1は成形された帯鋼板から成り、成形加工工程中の溶接によって閉じたリングに変形され、複数の輪郭加工操作によって、図3から明らかなように車両のタイヤを保持するのに好適なように輪郭が形成されて、ここでは形状の異なるウエル側部3、4をもつリムウエル2と、タイヤ(図示せず)の各タイヤビードと直接接触するためのリムショルダ6とリムフランジ7、7Aが与えられている。車両ホイールが取り付けられた状態で、図3の左側のウエル側部4は外側を向き、取り付けられたタイヤに所要の空気圧を充填するための車両バルブを収容するためのバルブ穴8が与えられている。従って、リムフランジ7Aは車両の外側のリムフランジとなっている。遷移領域9の引き伸ばし量を変えることにより、リム部1に特定の車両の使用に対応する開放幅が与えられる。
【0017】
ディスク部20は同じように鋼板の金属シート成形加工、好ましくは適切な初期厚さを有する円形鋼板素材のシート成形加工により製造される。車両ホイール10上のディスク部20の1つの特徴が、スポーク部30によって形成される。スポーク部は車両ホイール10の円周に合計5本が分散され、ディスク部20の中央部21をディスク縁22へ接合する。ディスク縁はホイールの全周を取り囲み、ディスク部20をリム部1のリムウエル2の裏面に接合する役目を持つ。中央部21とスポーク部30と全周を囲むディスク縁22とはディスク部20の一体部品であり、一枚の金属板素材から成形加工と打抜加工とによって製造される。
【0018】
ディスク部20の中央部21を用いて、車両ホイール10が4穴締結車両の車両ハブに接合される。従って、中央部21には4つのボルト穴23があり、それぞれが互いに90度離れて配置されている。4つのボルト穴23はすべて環状帯26の上に形成され、これは図3で最もよく分かるように、ホイール軸A方向の内側を全周を包囲する形状の内側環状ビード24で区切られ、ディスク縁22に向かう外方向は外側環状ビード25によって区切られている。この2つの環状ビード24、25を形成することにより、環状帯26は環状ビード24、25の裏面24’、25’に対して持ち上げられる。そして裏面24’、25’が形成する、車両ホイール10のディスク部20の車両ハブへの当接面に対して同じ高さだけ環状幅が少し持ち上げられている。
【0019】
各スポーク部30には、中央で半径方向外側に延びる中央ウエブ31があり、これは外方向に折れ曲がった側部ウエブ32で両側を囲まれ、その側部ウエブに隣接して、中央ウエブ31と側部ウエブ32の間の折れ曲がりとは反対に折れ戻している端部ウエブ33がある。こうして各スポーク部30に、端または端の突出部が折れ曲がった、少なくとも部分的に近似的なU字型の断面形状が与えられる。側部ウエブ32と中央ウエブ31と、また少なくとも部分的に端部ウエブ33とはディスク縁22に一様に合体し、図3から明らかなように、図に示した例示的実施形態では全周を包囲するリングを形成する。このリングはホイール軸Aに正確に平行となっていて、リムウエル2の裏面に収まって、スポーク部30の中央ウエブの延長領域でそこに溶接される。それぞれの場合において隣接する2つのスポーク部30の間に比較的大面積の換気孔40が打抜かれ、ディスク縁22は各換気孔40に接する領域において斜めの先端27を持つ。これは好ましくは換気孔用の打抜工程によって斜めに押し出される。ただし少なくともこの領域において、ディスク縁22は1回以上内側に折れ曲がった強化用の襞を持つことを必要とせず、もっぱら軸に平行となっている。換気孔40の領域において軸に対してほぼ正確に平行となっているディスク縁22のこの輪郭は、各換気孔40の比較的長い弧の長さに沿って周方向に続き、各スポーク部30の端部ウエブ33または側部ウエブ32がディスク縁22に合体して換気孔が周方向で終わりとなる領域まで続く。
【0020】
さらに、図1、2から明らかなように、隣接するスポーク部30の側部ウエブ32同士が、そして関係する場合には端部ウエブ33同士が、半径方向の内側端部で互いに合体もしくは一点に収束する。そこで隣接するスポーク部30の2つの側部ウエブ32は共通の始点35を持ち、これは中央部21の全周を取り巻く外側環状ビード25よりも少し外側から始まっているか、正確に環状ビード25から始まっているかのいずれかである。2つの収束する側部ウエブはホイールの外側に向かってはっきりと変形されたリッジや襞を形成し、それと同時に横方向にV字型に広がって、それにより換気孔の内側に向かう半径方向にディスク部を大きく強化する。外側環状ビード25は、スポーク部30への遷移領域とその大きな変形部への遷移領域において、中央部21における全円周の強化襞を提供する。
【0021】
第1の例示的実施形態による車両ホイール10の場合には、中央部に4つのボルト穴23があり、同時にディスク部20には5本のスポーク部30がある。スポーク部30の数をボルト穴23の数で割った商は従って5/4、すなわち1.25である。スポーク部が5本であるので、隣接するスポーク部30に対して起点となる始点35も5つある。5つの始点35の1つは、ボルト穴23の1つと同じ半径上にある。リム部1のバルブ穴8もまた同じ半径上に配置されている。他の始点35は互いに72度だけ離れており、そのために各始点35と隣接するボルト穴23の間は、異なる角度間隔となっている。それにも拘らず、外側環状ビード25は、個別のスポーク部30のスポーク構造と共に、車両ホイール10が十分な曲げ剛性とねじり剛性を確保する。
【0022】
環状ビード24、25の裏面24’、25’が画定する、車両ホイール10の当接面に対する個々のスポーク部30の曲率の程度と、ディスク部20がリム部1内へプレスされる深さとは、外方向に湾曲した側部ウエブ32または端部ウエブ33の、軸方向外側に向かって最遠すなわちホイールの外側に向かって最も遠くへ突き出ている領域が、外側リムフランジ7Aの前側よりも突き出ないように選択される。中央ウエブ31と側部ウエブ32の間の成形加工は、端部ウエブ33または側部ウエブ32の外側側部が、少なくとも10mmだけ、かつディスク部20の金属板の初期厚さの2倍より大きく、好ましくは3倍より大きく、中央ウエブ31に対して変形されるように選択される。個々のスポーク部30の変形はさらに、図3から明確にわかるように、すべてのスポーク部30のそれぞれの中央ウエブ31が、半径方向の一部の長さにわたってホイール軸Aに対して直交し、その結果としてすべての中央ウエブ31が共通面を画定するように実行される。端部ウエブ33または側部ウエブ32の外側境界面もまた半径方向の一部の長さにわたって中央ウエブ32に平行となり、したがってすべてがホイール軸Aに対して直交する。これにより、少なくとも1つの第2仮想平面が画定され、これら2つの仮想平面は半径方向の一部の長さにわたって相互に同じ変形量となり、かつこの領域でスポーク深さが一定となる。
【0023】
ディスク部20の中央に中央穴45が形成され、これは例示的実施形態に示すように、内側環状ビード24に対して半径方向に延びる、中央穴縁46によって囲まれている。車両ホイール10の構成において中央穴縁は外側に突き出ていない。環状ビードの底端部24’、25’は全周を包囲する設計となっているが、そのままであれば環状ビード24、25の裏面が形成する当接面に対して、ボルト穴23の領域で少しだけ持ち上げられていてもよい。その結果車両ホイール10を車両ハブに固定するためにボルトを締結するときに、車両ホイール10の中央部21にある程度の更なる変形を導入可能であり、個別のホイールボルトに対して動的振動に関する自動ロック効果を実現できる。
【0024】
個別のスポーク部30は、中央部21からディスク縁22に向かう半径の長さ方向で幅が変化する。あらゆる場合においてスポーク部30は、換気孔40に接する領域で2つの隣接するスポーク部30が遷移する点(図2のに参照符号36で示す)におけるよりも、ディスク縁22への遷移部における周方向の幅が小さい。このため、個別の換気孔40に直接接する領域にある端部ウエブ33が半径に対して斜行しているばかりでなく、各スポーク部30の中央ウエブ31の幅が中央部21からディスク縁22への半径方向で変化する。図2の平面図からはっきりとわかるように、先ず中央部21の近くでの比較的大きな幅から明瞭かつ連続的に先細りとなり、次にほとんど細くならずにほぼ一定を保ってから、ディスク縁22に接する領域の直前で再び広くなる。
【0025】
図4は車両ホイール60の第2の例示的実施形態を示す。これは上記の車両ホイールと同様に、4つのボルト穴73と5本のスポーク部80のあるディスク部70を有することができる。スポーク部は、中央ウエブ81と側部ウエブ82と端部ウエブとを有し、換気孔90を画定する。前の例示的実施形態のように、ディスク縁72はホイール軸Aに正確に平行となっており、すべてのボルト穴73は、内側環状ビード74と外側環状ビード75の裏面に対して相対的に持ち上がっている環状帯76の領域にある。隣接するスポーク部80の側部ウエブ82の変形の起点すなわち始点85は、それぞれの場合において外側環状ビード75の領域内にある。ただし前の例示的実施形態とは違って、この場合の内側環状ビード74は全円弧にわたって同一深さをもつ。このために環状ビード74の裏面74’はすべての場所で仮想平面内にあって車両ハブへの全円周当接面を形成する。その一方で、外側環状ビード75の裏面75’は、前の例示的実施形態のように、ボルト穴73の領域でわずかに持ち上がっている。さらには、中央穴95はホイール軸Aと平行に外側に向かって折れ曲がった環状ウエブ96で囲まれている。
【0026】
図5と6による車両ホイール110の場合には、前の例示的実施形態とほとんど同一のリム部101を使用することが可能であり、そのためにリム部101に関する詳細は省略する。前の例示的実施形態とおなじように、ディスク部120には環状帯126の円周上に分散されて配置された4つのボルト穴123を持つ中央部121がある。環状帯126は中央穴145に向かう内側は内側環状ビード124で、そして外側方向には外側環状ビード125で区切られている。前の例示的実施形態との違いは、スポーク部130の数と配置である。車両ホイール110ではディスク部120には6本のスポーク部130と、中央部121に4つのボルト穴123がある。前の例示的実施形態のように、各スポーク部130には中央ウエブ131があり、これがその両側で外方向に折り曲げられた側部ウエブ132につながり、次にそれが折り戻された端部ウエブ133につながっている。端部ウエブは、斜めに切断された境界端部を持っていて、軸に対してほとんど正確に平行に延びた全周を取り囲むディスク縁122と共に、ここでは6つの大面積換気孔140を画定している。それぞれの場合2つの隣接するスポーク部130は、共通の起点すなわち始点135を中央部121に持ち、これはこの例でも好ましくは外側環状ビード125に一体的に合体する。ボルト穴123の位置に対する各始点135の配置は、それぞれの場合2つの始点135が1つのボルト穴123と同一の半径上にあり、その他の4つの始点135はその半径線に対してそれぞれ60度ずれている。リム部101のバルブ穴108は、1つのボルト穴123と1つの始点135が載っている半径線上に配置されている。換気孔140はディスク縁部122まで広がっていて、したがってリム部101のリムウエルまでの距離からディスク縁部22の金属シートの厚さを差し引いたところまで実際上は広がっている。スポーク構造130の数をボルト穴123の数で割った商は6/4、すなわち1.5である。
【0027】
車両ホイール210の第4の例示的実施形態では、ディスク部220とリム部201の両方がここでも成形された鋼板でできている。リム部201は前の例示的実施形態と同じ構造であるのでその部分の説明を参照されたい。ここで前の例示的実施形態との違いは、ディスク部220には合計で7本のスポーク部230があることであり、それらがホイール軸に平行に整列して全周を取り囲むディスク縁222とホイール軸に直交する中央部221との間にある。ここで、それぞれに隣接するスポーク部230が1つの共通の始点235に収束し、同時にその側部ウエブ232又は端部ウエブ233と共にディスク縁222まで延びる換気孔240の境界を画定する。中央部121には、内側方向が内側環状ビード224で、外側方向が外側環状ビード225で区切られた、盛り上がった環状帯226に、4つのボルト穴223が備えられている。ここで、スポーク部230の数をボルト穴223の数で割った商は7/4、すなわち1.75である。
【0028】
当業者にとって、これまでの説明によって多くの修正が暗示されるであろう。それらは添付の特許請求の範囲の保護範囲内にあるものと見なされる。一方のボルト穴と他方のスポーク部とが等しくない割合である類似の構成は、5穴締結によっても達成し得るものであり、その場合には、4本、6本、7本または8本のスポーク部を対応して提供することが可能である。中央ウエブを一方として、側部ウエブまたは端部ウエブの最外部の領域との間の選択される変形深さは、上記の例示的実施形態よりも大きくてもよく、使用される鋼板によっては最大で30mmであってもよい。また、内側環状ビードと外側環状ビードとの間の距離は、ボルト穴直径の2倍より大きくてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7