(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
未溶融の繊維強化複合フィラメントを供給する前記ステップが、前記マトリックス材料内にエアギャップを実質的に有さない、未溶融の空隙がないフィラメントを供給するステップを含み、前記繊維強化複合フィラメントを供給する前記ステップが、前記繊維強化複合フィラメントの座屈を防ぐ遊びはめ区域に沿って、未溶融の繊維強化複合材を供給するステップを含む、請求項1に記載の方法。
前記マトリックス材料が、約10〜100MPaの未溶融最大抗張力及び10MPa未満の溶融最大抗張力を有する熱可塑性樹脂を含み、前記少なくとも一つの軸方向ストランドが、約200〜100000MPaの最大抗張力を有するストランド材料を含む、請求項1に記載の方法。
前記繊維強化複合フィラメントを非接触区域内で加熱するステップと、主に前記フィラメントに沿って延在する前記少なくとも一つの軸方向繊維ストランド内の張力によって、前記しごき加工リップと前記部分との間で前記繊維強化複合フィラメントの前記中立から正の張力を維持するため、前記供給速度及び前記印刷速度の少なくとも一つを制御するステップとを更に含む、請求項3に記載の方法。
遊びはめ区域、前記非接触区域、前記横方向圧力区域内で、結合配列が前記工作物に取り付けられる際に、前記繊維強化複合フィラメントの実質的に一定の断面積を維持するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
マトリックス材料内にエアギャップを実質的に有さない、フィラメントの前記マトリックス材料内を延在する少なくとも一つの軸方向繊維ストランドを含む、未溶融の空隙がない繊維強化複合フィラメントを供給するステップと、
前記未溶融の繊維強化複合材を、前記繊維強化複合フィラメントの座屈を防ぐ遊びはめ区域に沿って、ある供給速度で供給するステップと、
前記繊維強化複合フィラメントを、横方向圧力区域で部分に接触するように挿通するステップと、
前記繊維強化複合フィラメントの端部を溶融位置に至らせるように、前記横方向圧力区域を前記部分に対してかつそれに隣接して印刷速度で並進させるステップと、
前記溶融位置で前記マトリックス材料を前記フィラメント内で介在的に溶融するステップとを含む、
部分を付加製造する方法であり、
前記溶融するステップが、前記繊維強化複合フィラメントが結合配列で前記部分に押圧される際に、前記マトリックス材料の前記溶融温度よりも高い温度まで加熱したしごき加工リップを用いて前記しごき加工リップの底部からその下の前記部分の頂部までの高さが前記繊維強化複合フィラメントの直径未満であることを確保することで前記繊維強化複合フィラメントを前記部分に堆積する方向に押圧して前記繊維強化複合フィラメントの前記溶融したマトリックス材料及び前記少なくとも一つの軸方向繊維ストランドにしごき力を加えることによって、前記繊維強化複合フィラメントの前記溶融したマトリックス材料及び前記少なくとも一つの軸方向繊維ストランドをしごき加工するステップを更に含み、
前記横方向圧力区域を並進させる前記ステップが、結合配列を前記部分から分離するのに必要な張力よりも低い中立から正の張力を、前記しごき加工リップと前記結合配列との間にある前記繊維強化複合フィラメント内で維持する印刷速度で、前記しごき加工リップを並進させる、方法。
前記マトリックス材料が、約0.1〜5GPaの未溶融弾性係数及び0.1GPa未満の溶融弾性係数を有する熱可塑性樹脂を含み、前記少なくとも一つの軸方向繊維ストランドが、約5〜1000GPaの弾性係数を有するストランド材料を含む、請求項10に記載の方法。
前記繊維強化複合材を前記しごき加工の直ぐ上流の非接触区域内で加熱するステップと、主に前記フィラメントに沿って延在する前記少なくとも一つの軸方向繊維ストランド内の軸方向圧縮力を介して、前記非接触区域内の前記フィラメントに沿って圧縮を誘発するように、前記供給速度及び前記印刷速度の少なくとも一方を制御するステップとを更に含む、請求項10に記載の方法。
前記繊維強化複合フィラメントを圧縮し、熱及び圧力を加えることによってしごき加工されるしごき加工リップの横方向下方で前記部分に当接する前記フィラメントの端部を並進させるように、前記供給速度及び前記印刷速度の少なくとも一方を制御するステップを更に含む、請求項13に記載の方法。
前記遊びはめ区域が、前記繊維強化複合フィラメントの周りに遊びはめを形成する少なくとも一つのチャネルを含み、前記繊維強化複合材が、前記少なくとも一つのチャネル全体を通して前記マトリックス材料のガラス遷移温度よりも低い温度で維持される、請求項14に記載の方法。
前記横方向圧力区域内の加熱されたしごき加工リップに前記フィラメントを触れさせて、前記フィラメントの前記マトリックス材料を溶融するステップを更に含む、請求項10に記載の方法。
前記溶融したマトリックス材料及び前記少なくとも一つの軸方向繊維ストランドを前記横方向圧力区域の前記部分内へと押圧して、横方向及び垂直方向の結合配列を形成するステップと、
前記しごき加工リップを用いて前記溶融したマトリックス材料及び前記少なくとも一つの軸方向繊維ストランドにしごき力を加え、前記部分自体からの垂直反力として、前記溶融したマトリックス材料及び前記少なくとも一つの軸方向繊維ストランドに反対方向の整形力を加えることによって、少なくとも二つの側面で前記結合配列を扁平にするステップとを更に含む、請求項10に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1A】連続芯強化フィラメントを使用する三次元印刷システムを示す概略図である。
【
図1B】連続芯強化フィラメントを使用する三次元印刷システムを示す概略図である。
【
図2】三次元印刷プロセスを示す代表的なフローチャートである。
【
図3A】連続芯強化フィラメント2の芯構成の様々な実施形態を示す概略図である。
【
図3B】連続芯強化フィラメント2の芯構成の様々な実施形態を示す概略図である。
【
図3C】連続芯強化フィラメント2の芯構成の様々な実施形態を示す概略図である。
【
図3D】連続芯強化フィラメント2の芯構成の様々な実施形態を示す概略図である。
【
図4】二次機能的ストランドを備えた連続芯強化フィラメントの芯構成を示す概略図である。
【
図5】仮想末細ノズル内における繊維の集群を示す概略図である。
【
図6A】印刷システムのいくつかの実施形態で利用されるノズレットを示す概略図である。
【
図6B】印刷システムのいくつかの実施形態で利用されるノズレットを示す概略図である。
【
図6C】印刷システムのいくつかの実施形態で利用されるノズレットを示す概略図である。
【
図8】カッターを含む三次元印刷システム及びオープンスペースを架橋する印刷プロセスを示す概略図である。
【
図9】閉鎖されたオープンスペースを含む三次元印刷システム及び/又はプロセスによって形成された部分を示す概略図である。
【
図10】ガイドチューブを含む三次元印刷システムを示す概略図である。
【
図11】ガイドチューブを含む三次元印刷システムを示す写真である。
【
図12A】第1及び第2の割出し位置それぞれにある剪断ヘッドを示す概略図である。
【
図12B】第1及び第2の割出し位置それぞれにある剪断ヘッドを示す概略図である。
【
図13】剪断を含む多重ノズレット印刷ヘッドを示す概略図である。
【
図14A】ノズル及び丸み付き出口ノズルそれぞれを示す概略図である。
【
図14B】ノズル及び丸み付き出口ノズルそれぞれを示す概略図である。
【
図14C】ノズル及び丸み付き出口ノズルそれぞれを示す概略図である。
【
図15A】ノズレット先端と統合されたカッターを示す概略断面図である。
【
図15B】90°回転させた
図14Aに示されるノズレット先端と統合されたカッターを示す概略断面図である。
【
図15C】ノズレット先端と統合されたカッターの一実施形態を示す下面図である。
【
図15D】ノズレット先端と統合されたカッターの一実施形態を示す下面図である。
【
図16】ノズレット先端と統合されたカッターを示す概略断面図である。
【
図17A】部分形成中に圧密圧力を加える三次元印刷システムを示す概略図である。
【
図17B】堆積に先立って印刷システムで利用される連続芯強化フィラメントを示す概略図である。
【
図17C】圧密圧力を使用する堆積後の連続芯強化フィラメント及びそれを取り囲む材料ビードを示す概略図である。
【
図18C】正方向送り洗浄サイクルで示される
図18Bの末広ノズレットを示す概略図である。
【
図19A】直線ノズルを用いて印刷されている連続芯フィラメントを示す概略図である。
【
図19B】直線ノズルを用いて印刷されているシラ地のトウプレグを示す概略図である。
【
図19C】末広ノズルを用いて挿通及び印刷されている連続芯フィラメントを示す概略図である。
【
図19D】末広ノズルを用いて挿通及び印刷されている連続芯フィラメントを示す概略図である。
【
図19E】末広ノズルを用いて挿通及び印刷されている連続芯フィラメントを示す概略図である。
【
図20A】低摩擦低温供給区域を有する多重材料ノズレットを示す概略図である。
【
図20B】低摩擦低温供給区域を含む僅かに末細のノズレットを示す概略図である。
【
図21B】ノズルの幾何学形状の様々な実施形態を示す図である。
【
図21C】ノズルの幾何学形状の様々な実施形態を示す図である。
【
図21D】ノズルの幾何学形状の様々な実施形態を示す図である。
【
図22】滴下防止ノズル及び減圧システムを示す概略図である。
【
図23A】ノズル内に位置付けられた半連続芯フィラメントを示す概略図である。
【
図23B】ノズル内に位置付けられた重なり合うストランドを含む半連続芯フィラメントを示す概略図である。
【
図23C】整列されたストランドを含むと共にノズル内に位置付けられた半連続芯フィラメントを示す概略図である。
【
図24A】マルチフィラメント連続芯を示す概略図である。
【
図24B】オフセットされたストランドを含む半連続芯フィラメントを示す概略図である。
【
図24C】整列されたストランドを含む半連続芯フィラメントを示す概略図である。
【
図24D】整列されたストランド及び一つ以上の連続ストランドを含む半連続芯フィラメントを示す概略図である。
【
図25】半連続芯フィラメントを使用する充填パターンを示す概略図である。
【
図26】異なる繊維方向を含む異なる層及び層の異なる部分を用いて三次元印刷システム及び/又はプロセスによって形成された複数の印刷層を示す概略図である。
【
図27】
図27Aは第1の配向で構成要素を形成する三次元印刷プロセスを示す概略図である。
図27Bは
図27Aの部分と共に使用する固定具を示す概略図である。
図27Cは第2の配向で
図27Aの部分上に構成要素を形成する三次元印刷プロセスを示す概略図である。
【
図28】
図28Aは第1の配向で多重軸システムを使用する三次元印刷プロセスを示す概略図である。
図28Bは
図28Aの部分上に別の配向で構成要素を形成することを示す概略図である。
【
図29】連続芯強化フィラメントを使用する三次元印刷システムを示す概略図である。
【
図30A】三次元印刷プロセスを使用して側面に適用されたシェルを含む部分を示す概略図である。
【
図30B】三次元印刷プロセスを使用して上面及び側面に適用されたシェルを含む部分を示す概略図である。
【
図30C】下にある支持表面からオフセットされているシェルを含む部分を示す概略図である。
【
図30D】充填材料を用いて形成された部分を示す概略図である。
【
図30E】角から内側に延在する複合材料及び内部のポリマー充填材を用いて形成される部分を示す概略図である。
【
図30F】角から内側に延在する複合材料及び内部のポリマー充填材を用いて形成される部分を示す概略図である。
【
図30G】角から内側に延在する複合材料及び内部のポリマー充填材を用いて形成される部分を示す概略図である。
【
図31A】同じ方向の繊維配向を含む離散的な部分区画を用いて形成されるエーロフォイルを示す概略図である。
【
図31B】異なる方向の繊維配向を含む離散的な部分区画を用いて形成されるエーロフォイルを示す概略図である。
【
図31C】離散的な部分区画及びその上に形成されたシェルを用いて形成されるエーロフォイルを示す概略図である。
【
図32】印刷アーム及び選択可能なプリンタヘッドを含む三次元印刷システムを示す概略図である。
【
図33】印刷システムで使用される多重要素プリンタヘッドを示す概略図である。
【
図34】堆積された強化繊維を含むステレオリソグラフィ三次元印刷プロセスを示す概略図である。
【
図35】堆積された強化繊維を含むステレオリソグラフィ三次元印刷プロセスを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
付加製造及び複合材レイアップの比較的最近の技術の両方において、造語が一般的になっている。例えば、「プリプレグ」は、樹脂マトリックス及び繊維アセンブリが前もって複合材原料として準備される、予備含浸複合材料である。「トウプレグ」は、「トウ」(非常に高い繊維率、例えば95%の数百から数千の繊維ストランドの束)と、(室温で)粘着性の樹脂との組み合わせから形成された「プリプレグ」であり、従来、含浸させたトウの繊維が優勢であり(例えば、75%の繊維ストランド)、粘着性樹脂は、フィラメントワインディングプロセスにおいてほぼ隣接した繊維ストランド間で剪断応力を移行させ、トウプレグを回転させた部材に粘着させる手段として含浸される。「プルトルージョン」は、トウプレグを作るプロセスの一つであり、トウが(全体的に伸張状態で行われるプロセスで)樹脂を通して引っ張られて、樹脂中に埋め込まれたトウを含む、細長く一般的には硬質の複合材が形成される。
【0034】
本明細書で使用するとき、「押出し」はその従来の意味を有するものとし、例えば、在庫材料よりも断面積が小さい特定の形状を呈するように、在庫材料がダイを通して押圧されるプロセスである。溶解フィラメント製法(FFF)は押出しプロセスである。同様に、「ノズル」はその従来の意味を有するものとし、例えば、特に、流体フローが閉鎖チャンバを出る(若しくは入る)際の速度を増加させるため及び/又は断面積を制限するため、流体フローの方向又は特性を制御するように設計されたデバイスである。
【0035】
対照的に、本発明は、本発明による新規なプロセス全体について記載するのに「プッシュプルトルージョン」という造語を使用するものとし、そのプロセスでは、押出しとは異なり、繊維強化複合印刷材料の前進運動は、圧縮の開始、挿通、又は初期化段階、それに続く埋め込まれた繊維ストランドの伸張、並びに印刷材料がビルドテーブル上及び引き続いて部分内に結合配列を形成する際の、印刷ヘッド全体にわたるマトリックスの溶融/硬化及び未溶融/未硬化状態を含む。本発明はまた、本発明による終端印刷ヘッドについて記載するのに「ノズレット」という造語を使用するものとし、そこでは、FFFノズルとは異なり、著しい背圧、又は印刷材料中に作られる追加の速度がなく、マトリックス及び埋込み繊維を含む印刷材料の断面積は、(結合配列中で部分に堆積されるときであっても)プロセス全体を通して実質的に同様のままである。
【0036】
本発明はまた、プッシュプルトルージョンに有用な材料について記載するのに「プッシュプルプレグ(push-pulpreg)」という造語を使用するものとし、そこでは、従来のトウプレグとは対照的に、樹脂は好ましくは熱可塑性であって、(i)ローラ若しくは他の摩擦フィードによって供給される、十分な摩擦及び露出樹脂材料を提供し、(ii)未溶融「ガラス」状態で座屈することなく遊びはめチューブ若しくはチャネルを通して押されるのに十分に剛性(即ち、通常の未溶融弾性係数)であり、剛性が、埋め込まれた繊維ストランド及びより少量で未溶融マトリックス樹脂によって提供され、(iii)並びに/或いは、周囲条件で明らかな「タック」/分子拡散を有さず、即ち、周囲条件又は更には温暖条件で「ガラス」状態であり、それによってかかるチューブを通して粘着することなく容易に押すことができる。
【0037】
圧密は、一般的に、繊維に樹脂を含浸させるのに使用されてきたプロセス中に、樹脂が、繊維束、トウ、又は粗紡から空気を完全に移動させることができないことによって生じる、空隙を除去するのに有利である。プリプレグの個々に含浸させた粗紡糸、トウ、プライ、又は層は、通常、オートクレーブ内で圧縮することによる熱及び圧力によって合併される。合併ステップは、一般に、比較的長時間にわたって真空下で非常に高い圧力及び高い温度を加えることを必要としてきた。更に、オートクレーブ又はオーブンを使用する合併プロセスステップは、空気を除去するために真空を加えることを可能にし、オートクレーブ内で合併をもたらすのに必要な圧力差を提供するため、ツールの上の封止されたメンブレンとのレイアップを提供する「バギング」動作を必要とする。このプロセスステップは、複合材部分操作の総合的な生産性を更に低減する。したがって、熱可塑性複合材の場合、ATL/AFP機械を用いてテープを基材に積層しながら低空隙率複合材にイン-シトゥーで合併することが有利であろう。このプロセスは、一般的にイン-シトゥーATL/AFPと呼ばれ、そのプロセスで使用される材料はイン-シトゥー等級テープと呼ばれる。
【0038】
最後に、三次元印刷技術では、「フィラメント」は一般的に、スプールに巻かれたビルド材料の総断面積を指し、複合材の分野では、「フィラメント」は、例えば炭素繊維の個々の繊維を指す(例えば、「1Kのトウ」は1000の個々のストランドを有することになる)。本発明の目的のため、「フィラメント」は三次元印刷からの意味を保持するものとし、「ストランド」は、例えば、複合材「フィラメント」全体を共に形成するマトリックスに埋め込まれた個々の繊維を意味するものとする。
【0039】
付加製造方法は、多くの場合、従来の成形方法と比べて強度及び耐久性の低減をもたらす。例えば、溶解フィラメント製法は、堆積された材料(並びにエアポケット及び空隙)の隣接するストリップ(例えば、「結合配列」)間の結合が弱いことにより、同等の射出成形部分よりも低い強度を示す部分をもたらす。
【0040】
プリプレグシート複合材の構築方法は、時間が掛かって困難であり、それによって高価である。更に、曲線の周りでプリプレグシートを屈曲させることで、繊維の重なり合い、座屈、及び/又は歪みを引き起こし、それによって望ましくない軟点をもたらすことがある。
【0041】
プラスチック浴を通して市販の繊維「トウプレグ」を供給してマトリックス樹脂を追加し、次いで更に、特注の印刷ヘッドを通して供給することは、非常に柔軟で高摩擦(粘着性)の構造により、実行可能な付加プロセスをもたらさない。更に、このプロセスは、この複合材を製造する速度を、それを印刷する速度(印刷が実行可能な場合であっても)に束縛する。トウプレグは、一般的に適切な「粘着」(トウをツール又はレイアップ上に堆積させた後の位置を維持するのに十分な室温接着レベル)を要し、またそれを備えて販売される。更に、トウプレグ「シラ地」材料は、空気を閉じ込めると共に、高張力及び/又はそれに続く真空及び/又は加熱ステップによってのみ除去される、気泡を含む傾向がある。これらのステップも印刷プロセスを遅らせる。
【0042】
したがって、結合配列中に空気が閉じ込められるのを低減又は防止して、ほとんどの真空又は加熱後プロセスを回避し、複合材料を凹状形状で堆積させる、及び/又は表面又は複合材シェル上に離散的な特徴を構築する能力を提供する、レイアップ又はワインディングよりも高速の複合材付加製造が必要とされている。
【0043】
次に図面を参照して、開示する材料及び三次元印刷プロセスの特定の実施形態について記載する。
【0044】
図1Aは、繊維強化複合フィラメント2を加えて構造を構築する前の、三次元プリンタ3000の一実施形態を示している。繊維強化複合フィラメント2(本明細書では、連続芯強化フィラメントとも呼ばれる)は、実質的に空隙がなく、内部の連続する単一芯若しくはマルチストランド芯6をコーティングするか又はそれに含浸されるポリマー又は樹脂4を含む、プッシュプルプレグであってもよい。
【0045】
繊維強化複合フィラメント2は、所定の粘性、及び/又は結合配列の所定量の接着力、及び/又は表面仕上げを維持するようにマトリックス材料に対して選択される、制御されたプッシュプルトルージョン温度まで(例えば、バンドヒーター若しくはコイルヒーターによって)加熱された、ノズレット10によって供給される。プッシュプルトルージョンは、ポリマー4の溶融温度よりも高温、ポリマー4の分解温度よりも低温、及び芯6の溶融又は分解温度のどちらかよりも低温であってもよい。
【0046】
ノズレット10内で加熱され、マトリックス材料又はポリマー4を実質的に溶融させた後、連続芯強化フィラメント2は、連続層14を構築するビルドプラテン16上に適用されて三次元構造を形成する。(i)ビルドプラテン16の位置及び配向、又は(ii)ノズレット10の位置及び配向の一方若しくは両方は、連続芯強化フィラメント2を所望の位置及び方向で堆積させるように、コントローラ20によって制御される。位置及び配向制御メカニズムとしては、ガントリシステム、ロボットアーム、及び/又はH型フレームが挙げられ、これらのいずれも、ビルドプラテン16及び/又は構築されている部分の層14に対するノズレット10の相対位置又は速度を監視する、コントローラ10に対する位置及び/又は変位センサを装備している。コントローラ20は、ノズレット10又はプラテン16の後に続く動作を制御するため、感知されたX、Y、及び/又はZ位置、並びに/或いは変位又は速度ベクトルを使用してもよい。例えば、三次元プリンタ1000は、プラテン16までの距離を測定する距離計15、三つの並進軸及び/又は三つの回転軸のいずれかの変位変換器、距離積算器、並びに/或いはビルドプラテン16に対するノズレット10の位置又は移動を検出する加速度計を含んでもよい。
図1Aに示されるように、(例えば、レーザー)レンジセンサ15は、所望の堆積プロファイルと合致するようにノズレット10のZ高さを、即ち必要な充填体積を補正するために、ノズレット10の前方の区画を走査してもよい。この測定はまた、部分内で検出される空隙を充填するのに使用されてもよい。距離計15は、堆積された結合配列の深さ及び位置を確認するため、フィラメントが適用された後の部分を測定してもよい。
【0047】
三次元プリンタ1000は、(i)構造上に個別の特徴及び構成要素を形成するため、並びに(ii)複数の区画及び層中の堆積された材料及び/又は結合配列の指向性若しくは異方性を制御するために、堆積プロセス中に(例えば、テールを形成することなく)連続芯強化フィラメントを切断する、コントローラ20によって制御されるカッター8を含んでもよい。図示されるように、カッター8は、ノズレット出口に位置する受板12と関連付けられた切断刃である。他のカッターとしては、レーザー、高圧空気若しくは流体、又は剪断が挙げられる。
【0048】
図1Aはまた、例えば、100%樹脂FFF押出し、耐UV又は耐引っ掻き性コーティングを含む、部分上の保護コーティングを印刷するため、三次元プリンタ1000と共に任意に用いられる少なくとも一つの補助印刷ヘッド18を示している。
【0049】
図1Bは、繊維強化複合フィラメント2を適用して構造を構築する際の、三次元プリンタ3001の一実施形態を示している。同様の番号を付した特徴は、
図1Aに関して記載したものと類似している。
【0050】
図1Bに示されるように、被動ローラ42及びアイドルローラ40の上流側で、スプール(図示なし)は、緩やかな張力下で、未溶融の空隙がない繊維強化複合フィラメントを供給する。フィラメントは、マトリックス材料内に実質的にエアギャップを有さずに、フィラメントのマトリックス材料内を延在する少なくとも一つの軸方向繊維を含む。この例では、繊維強化複合フィラメント2は、数百又は数千の連続炭素繊維ストランド6Aを含浸させる、ナイロンマトリックス4Aを含むプッシュプルプレグである。
【0051】
「区域」は、本明細書で考察するとき、スプール(図示なし)から部分までのフィラメントの全軌道のセグメントである。被動ローラ42及びアイドルローラ40は、フィラメントの座屈を防ぐ遊びはめ区域3010、3020に沿って、(任意に、図示されないコントローラ20によって可変制御可能であり、また任意に印刷速度未満であって、これらの速度間のあらゆる差がスリップクラッチ若しくは一方向軸受によってフィラメントに沿って吸収される)ある供給速度で、未溶融フィラメントを供給するか又は押し出す。非接触キャビティ又は非接触区域714内で、複合フィラメントのマトリックス材料が加熱されてもよい。中の繊維6Aは、ローラ42、40の供給又は押出し力が未溶融マトリックスを通して遊びはめ区域3010、3020に沿って繊維に伝わるので、挿通段階又は印刷プロセスの開始時において軸方向圧縮下にあってもよい。
【0052】
「挿通」は、出口を通してプッシュプレグ又はプッシュプルプレグを押し出す方法であり、プッシュプレグ又はプッシュプルプレグの剛性は、スティッチング動作の時間スケールにわたって(プッシュプレグ若しくはプッシュプルプレグの座屈若しくはフレア/ジャミングを防ぐ)粘着/引きずり力よりも十分に高い。最初に、挿通段階で、フィラメント2の溶融マトリックス材料6A及び軸方向繊維ストランド4Aは、軸方向圧縮によって部分内へと押圧され、ビルドプラテン及び印刷ヘッドが相互に対して並進される際に、フィラメントの端部がしごき加工リップ726に接触し、それに続いて横方向圧力区域3040内で継続的にしごき加工されて、部分14内に結合配列が形成される。横方向圧力は、フィラメントの側面に対する圧力を意味し、本明細書では「しごき加工」としても考察される。矢印によって示されるように、この横方向圧力区域3040(及び印刷ヘッドの付属部分)は、ある印刷速度で部分14に隣接して並進させられてもよい(又は印刷速度は、プラテン16及び印刷ヘッドの両方若しくはどちらか一方の並進の結果であってもよい)。
【0053】
マトリックス材料は、この例では、引張り係数及び圧縮弾性係数に関して、約0.1〜5GPaの未溶融弾性係数及び0.1GPa未満の溶融弾性係数を有する熱可塑性樹脂であり、繊維ストランドは、約5〜1000GPaの弾性係数を有するストランド材料のものである。このように、繊維のストランドは、小さい遊びチャネル内の限定された摩擦によって、また更にはマトリックスが溶融したときに自由空間を通してフィラメント全体を「押す」ことが可能になるように、変形に対して十分に抵抗性である。最大抗張力に関して、マトリックス材料は、好ましくは、約10〜100MPaの未溶融最大抗張力及び10MPa未満の溶融最大抗張力を有する熱可塑性樹脂であり、少なくとも一つの軸方向ストランドは、約200〜100000MPaの最大抗張力を有するストランド材料を含む。このように、繊維の内部ストランドは、場合によってはマトリックスが完全に固化する前に、自由空間を通って結合配列から延在する有意な距離にわたって中立から正の(即ち、張力ゼロからより多量の張力までの)張力でフィラメント全体を維持することができるように、伸展又はスナップに対して十分に抵抗性である。大部分のフィラメントは、1x10-5(1x10E-5)インチ(2.54x10-5cm)超過及び2x10-3(2x10E-3)インチ(5.08x10-3cm)未満の断面積を有する。マルチストランド繊維の場合、フィラメントは、任意の断面積中に、(特に炭素繊維ストランドの場合に)100〜6000の重なり合う軸方向ストランド又は平行な連続軸方向ストランドを含んでもよい。
【0054】
印刷ヘッド若しくはノズレット708又はビルドプラットフォーム16のどちらか若しくは両方が並進させられてもよく、例えば、供給速度及び/又は印刷速度は、挿通段階ではフィラメント中の圧縮を維持し、印刷動作では中立から正の張力を維持するように制御される。フィラメント2のマトリックス材料4Aは、(特に、ノズレット708の壁に粘着する機会がより少ないように)非接触区域3030で加熱され溶融されてもよいが、しごき加工リップ若しくは先端726で溶融又は液化される。非接触区域のより大きい又は末広の直径は、任意に、フィラメントが非接触区域を画成するキャビティの加熱された壁714に触れるのを防ぐ。供給速度及び印刷速度は、不支持区域内で、並びに主にフィラメントに沿って延在する繊維ストランド内の軸方向圧縮力若しくは張力を介して、圧縮、中立の張力、若しくは正の張力を維持するように監視又は制御されてもよい。
【0055】
図1Bに示されるように、横方向圧力区域3040はフィラメント2を整形するしごき加工リップ726を含む。このしごき加工リップ726は、結合配列になるようにフィラメント2を部分内へと圧密又は押圧する部材であってもよい。しごき加工リップ726はまた、横方向圧力区域3040のフィラメント2のマトリックス材料4Aを溶融又は液化するために、加熱された壁714又は他の熱源から伝導される熱を受け入れてもよい。任意に、横方向圧力区域3040のしごき加工リップ726は、上面上で溶融フィラメント2を扁平化して、フィラメント2が結合配列内で堆積される際に、溶融マトリックス材料及び軸方向繊維ストランドにしごき力を加える。これは、しごき加工リップ726の底部からその下の層の頂部までの高さがフィラメントの直径未満であることを確保することによって容易にされてもよい。別の整形力は、しごき加工リップ726の反対側で離隔して、部分自体からの垂直反力として溶融マトリックス材料及び軸方向繊維ストランドに加えられる。これにより、溶融マトリックス材料4A及び軸方向繊維ストランド6Aが横方向圧力区域3040の部分14内へと押圧されて、横方向及び垂直方向の結合配列を形成する際に、少なくとも二つの側面上で結合配列が扁平化される(即ち、しごき加工はまた、結合配列を隣接する配列内へと押し込む)。
【0056】
したがって、しごき加工リップ726及び部分自体からの垂直反力は相互に対向し、溶融複合フィラメントをそれらの間で挟むか又は押圧して、部分14に結合配列を形成する。しごき加工によって加えられる圧力及び熱は、隣の配列内への拡散及び繊維浸透を改善する。
【0057】
図1Bに示されるように、この例では、未溶融繊維強化フィラメントは遊びはめ区域3010、3020で、又はそれに隣接して切断される。
図1Aに示されるように、ガイドチューブ72(遊びはめを有する)とノズレット708との間のギャップ62で切断されてもよく、又はノズレット708内で、例えば非接触区域3030の上流で切断されてもよい。その代わりに、又はそれに加えて、芯強化フィラメントは、遊びはめ区域3010、3020若しくはしごき加工リップ725のどちらか一方に、又はそれに隣接して位置付けられた、カッター8によって切断されてもよい。遊びはめ区域3010、3020は、繊維強化複合フィラメント2の周りに遊びはめを形成する任意に中断されたチャネルを含み、これは好ましくは、軸方向圧縮の場合であっても、粘着を有さず、また座屈を伴わずに、フィラメントをそれに沿って押しやることができる任意の一様で十分な遊びの中で、すきまばめ又はすきまロケーションフィット(clearance location fit)の一方である。
【0058】
軸方向に沿った押込み/供給、及び横方向圧力区域3040内でのしごき加工は、必ずしも結合配列を形成する唯一の力でなくてもよい。その代わりに、又はそれに加えて、横方向圧力区域3040及び/又はしごき加工リップ726は、しごき加工リップ726と部分14の結合配列との間にある繊維強化複合フィラメント2の中立から正の張力を維持する印刷速度で、それぞれ部分14に対して並進させられ、この張力は、結合配列を部分14から分離するのに必要な力よりも少ない。
【0059】
例えば、マトリックス材料6Aがしごき加工リップ又は先端726によって溶融した後、供給及び/又は印刷速度をコントローラ20によって制御して、主にフィラメント2に沿って延在する繊維ストランド4A内の張力を介して、しごき加工リップ726と部分14との間の複合フィラメント2の中立から正の張力を維持することができる。これは特に、結合配列の端部における場合、またしごき加工リップから部分14内への圧力が解放されるので、反対方向で新しい隣接した配列を始めるために向きを変える際の場合である。これはまた、例えば、横方向圧力区域3040内の繊維強化複合フィラメント2を部分14の第1の部分に対する接続から引き離し、次に自由空間を通して横方向圧力区域3040を並進させ、次に繊維強化複合フィラメント2を部分14の第2の部分に再接続するためにしごき加工することによって、オープンスペースを通してブリッジを形成するのに使用することができる。
【0060】
真の押出しプロセスと異なり、フィラメント2の断面積は常に実質的に維持され、ストランド、マトリックス、又はフィラメント2のいずれも目に見えるほど長くなったり短くなったりしない。スプールに巻かれたプッシュプルプレグの供給速度、及び結合配列の形成速度(印刷速度)は実質的に同じである(但し、運搬又は供給の部分の場合、スリップクラッチ又は一方向軸受が、たるみ、蓄積、又は差分の原因となることがある)。時には、供給速度及び圧縮率は、しごき加工リップ726の下流における十分な中立から正の軸方向張力を均衡させるように一時的かつ差分的に制御されてもよく、或いは供給速度又は印刷速度の一方が移動できるようにスリップクラッチが使用されてもよい。しかしながら、繊維強化複合フィラメントの実質的に一定の断面積は、遊びはめ区域、不支持区域、横方向圧力区域で、また、結合配列が工作物又は部分14に取り付けられる際に維持される。
【0061】
図2は、
図1A又は1Bに示されるシステム及びコントローラを使用する三次元印刷プロセスの概略フローチャートを示している。
図2では、個々に又は任意の組み合わせで
図2に開示される本発明のいくつかの変形を修正してもよい、本発明の任意のステップは、点線及び添え字「A」で示されているが、図示されるステップは、本質的に必要な場合を除いて、いずれも個々に重要ではなく又は図示される特定の順序ではない。最初に、ステップS103で、連続芯又はマルチストランド繊維強化フィラメント2が供給される(例えば、スプールから、プッシュプルプレグとして)。ステップS103Aに示されるように、プッシュプルプレグの製造プロセスと印刷プロセスとの完全な独立が可能になるので、カートリッジの形態で供給するのが重要な場合がある。即ち、プッシュプルプレグの製造又は印刷のどちらかは、速度制限因子である場合があり、交換可能なフィラメントの準備されたカートリッジ又はロールを使用することによって、それぞれが独立する。ステップS105で、フィラメント2は、供給部又はスプールから(例えば、ローラによって)引き出され、フィラメントが押し込まれ供給される際の座屈を防いでもよい遊びはめ、又は一連の遊びはめを通して、未溶融で比較的剛性の状態で供給される。任意に、ステップS105Aに示されるように、挿通又はスティッチングプロセスの間、フィラメントは、供給部の下流におけるフィラメント2の軸方向圧縮を保つような形で(これが、横方向押圧ステップS111後の任意のステップS113Aで軸方向の中立又は正の張力に変化してもよいことに留意)、加熱されたノズレット708内に供給される。
【0062】
ステップS107で、フィラメント(及びそれによりマトリックス材料)は、樹脂の溶融温度よりも高く、ステップS107における連続芯又はストランドの溶融温度よりも低い所望の温度まで加熱される。このステップのこの完了は
図2に示される順序とは異なる順序であってもよく、即ち、しごき加工先端726又は他の加熱区域の加熱はステップS107で開始されてもよいが、実際の溶融はステップS11Aでのみ起こってもよい。更に、任意のステップS107Aに示されるように、加熱区域は経路に沿った最終区域、即ちしごき加工先端又は非接触区域であってもよい。このステップによって、マトリックス材料が完全に溶融し、例えば、いずれにしても実質的に類似又は同一の断面積を保ちながら、部分内へと充填/押圧される際に円形断面又は楕円形断面から正方形又は長方形断面へと、フィラメントの形状が変化することが可能になる。任意のステップS107Aに示されるように、この加熱は、ノズレットの先端にあるしごき加工先端726の中若しくはそこで行われてもよい。更に、非接触区域714又は3030内で、ノズレット708の壁はフィラメント2から十分に離れているので、プラスチック、ガラス転移、又は粘着形態へと加熱したとしてもフィラメントが壁に接着しない。ステップS108で、三次元プリンタ1000、3001のコントローラ20は、(任意に、本明細書に記載のセンサを使用するステップS108Aで)、ビルドプラテン16又は部分に対するノズレット708の位置、速度、又は加速度を制御し、またそれらの間の距離、及び各区域若しくは各区域内における温度を監視してもよい。
【0063】
ステップS110で、加熱されたノズレット708の位置及び移動を制御しながら、コントローラ20は、供給速度、印刷速度、カッター8、及び/又は温度を制御して、締まりはめ区域3010又は3020(カッター8の上流及び下流)の軸方向圧縮と、挿通段階若しくは印刷段階の加熱及び/又は非接触区域714、3030とを維持し、並びに/或いは、区域3040内の押圧、圧縮、又は扁平化圧力若しくは力を制御し、並びに/或いは印刷段階では、部分14内の結合配列と横向き若しくは横方向の圧力区域3040及び/又はしごき加工リップ208、508、及び/又は726との間で、フィラメント内の軸方向の中立から正の張力を制御する。
【0064】
ステップS111で、コントローラ120制御下で、フィラメント(マトリックス及び繊維)2は部分14内へと押圧される。任意に、ステップS111Aに示されるように、これは、平滑であってもよいが、むしろ(アラミドなどの耐摩耗性繊維用の)ドクターブレードに近くてもよい、しごき加工リップ若しくは先端208、508、及び/又は726を用いて行われる。同時に、ステップS113で、押圧区域3040及び/又はビルドプラテン若しくはプラットフォーム16は相互に対して並進させられる(任意に三軸で、更に任意に三つの回転軸で回転させられる)。任意に、任意のステップS113Aによって示されるように、このステップS113で、先端208、508、及び/又は726と部分14との間のフィラメントにおける、中立又は正の張力が維持及び/又は増加される。
【0065】
ステップS115で、しごき加工(押圧及び加熱)並びに相対並進移動(又は多軸の実現例の場合は相対印刷運動)によって、フィラメント2内の溶融マトリックスの下面及び側面が接着して、部分14内の結合配列が形成される。本明細書で考察するように、またステップS115Aに示されるように、これらの配列は、任意に緊密な犂耕体配列であってもよく、円形、楕円形、若しくは扁平楕円形のループ(例えば、長い部分の場合のレーストラック形状)であってもよく、「ザンボーニ」パターンの小さい方向転換で進んでもよく、またこれらのパターン又は他のパターンのいずれかで、一つの層がその下の層と平行であるか重なり合うように、又はその下の層を(垂直に若しくは角度を付けて)横断するように、連続してレイアップされてもよい。
【0066】
ステップS117で、所望の終端点に達した後、連続芯強化フィラメントは切断されてもよい。ステップS117及びS117Aで考察したように、「切断」は、特にノズレット8の、及び特にマトリックス材料の未溶融のガラス状態にあるフィラメントの上流側にある、圧縮区域3010、3020内の位置での切断を含む。「切断」はまた、ノズレット708の下流又はそれに隣接した位置での切断を含んでもよい。それに加えて、「切断」は、連続ストランドがフィラメント内の離散的な分離されたセグメントに形成される実施形態の場合、ノズレット708及びビルドプラテン16を相互から引き離して、連続繊維の一つのセグメントが次のセグメントに隣接する位置で、マトリックス材料を分離することを含んでもよい。次に、コントローラ20は、三次元部分が完成しているかを判断してもよい。印刷プロセスが完了していない場合、コントローラは、連続芯強化フィラメントの次のピースを堆積するのに先立ってノズレットの現在の位置及び移動をステップの間に感知する、ステップS108に戻ってもよい。部分が完成している場合、最終部分はビルドプラテンから除去されてもよい。その代わりに、保護コーティングを提供、及び/又は最終部分に図形若しくは画像を適用するため、S121で補助印刷ヘッドを使用して、任意のコーティングが部分上に堆積されてもよい。
【0067】
図3A〜3Dは、本発明で有用な異なる可能なフィラメントの概略図であるが、これらは必ずしも縮尺通りではない。
図3A及び3Bは、固体連続芯6a(例えば、ガラス繊維)及びそれを取り囲む熱可塑性ポリマー4又は樹脂を有する断面を示しており、(それぞれ断面積で)樹脂が70%超過、及び樹脂が30%未満である。
図3C及び3Dは、熱可塑性樹脂に取り囲まれ、それによって吸上げ/湿潤されているマルチストランド繊維を有する断面を示しており、それぞれ、樹脂が60%超過で全ての繊維が周囲から1/4以上の直径、及び樹脂が30%未満で繊維がフィラメント全体に分配され周囲から突出している。
図4は、
図3Dに類似しているが、一つ以上の別個の補助機能性ストランド6c及び6d(電力、信号、熱、及び/又は流体を伝導する、並びに構造的健康管理及び他の所望の機能性のための、電気、光学、熱、又は流体伝導特性を備える)を含む断面を示している。炭素繊維の場合、プッシュプルプレグ方式で印刷するための樹脂量は、30-90%(即ち、断面積で繊維10〜70%)である。
【0068】
本発明の一つの変形によれば、ポリマー材料は、プッシュプルプレグとして予備含浸されるので、融解したポリマー又は樹脂が、材料の初期生産中に強化繊維に、任意にマルチフィラメントの断面全体に吸い上げられる。任意に、本発明のこの態様によって、繊維のストランドは、空隙がないマルチフィラメント芯の断面へのポリマー又は樹脂の吸上げを助けるため、可塑剤などのコーティング若しくは作用剤、放射、温度、圧力、又は超音波印加によるエネルギー印加によって前処理されてもよい。区域3030における印刷プロセスの加熱温度は、空隙を充填するための低粘性での湿潤、吸上げ、粘着、又は介在的浸透を遂行するのに必要な温度若しくはエネルギーよりも、溶融材料の低温及び/又は高粘性であってもよい。プッシュプルプレグを空隙がないプリプレグとして準備することによって、フィラメント幅及び他の性質(例えば、剛性、平滑性)を予め定めて、(同じタイプ若しくは異なるタイプの)異なるフィラメントに対する複雑な測定及び可変の制御の必要性を低減することが可能になる。
【0069】
本発明の一つの変形によれば、マトリックス材料が溶融した状態で、ノズレット708の加熱された区画714内で真空が提供されて空気(空隙を含む)が除去される。この構造は、真空下で中実芯又はマルチフィラメント芯を含む、気泡を中に有することがあるフィラメント(例えば、「シラ地材料」)の場合にも使用されてもよい。本発明の空隙の真空除去の代わりに、又はそれに加えて、フィラメントは、閉じ込められた空気を機械的に追い出す、オフセットローラ又は他の構成によって提供されてもよい遠回りの経路を通して押し出されてもよい。
【0070】
図5は、トウプレグ又は他の埋め込まれた繊維複合フィラメントと共に既知の末細ノズルを使用できるか否か本発明者によって想起された、従来技術では知られていない仮説上及び理論上の課題を示している。ポリマーとしてのマトリックス材料は、(アラミドなどのポリマー繊維の場合でも)より大きい熱膨張係数を有する。マトリックス材料は、加熱される際に、末細ノズルの閉じ込められた空間内にあるマトリックス材料がより大きく膨張することにより、線維に対して加速するであろうと考えられている。マトリックス材料流量Vmatrixはノズル入口付近の繊維材料流量Vfiberよりも少ないが、出口におけるマトリックス材料流量Vmatrix'は繊維材料流量Vfiberに等しい。
図5に示されるように、末細ノズル内におけるマトリックス材料及び繊維の速度が合致しないことによって、堆積プロセス中にノズル内で繊維が集合して、少なくとも目詰まり、及び堆積の低い均一性に結び付くことがある。本発明者は末細ノズルが最適な解決策であるとは考えていないが、いずれにしてもこれは本発明の実施形態の範囲内である。
【0071】
ノズレット全体を通して繊維材料のストランド6b及びポリマーマトリックス4の速度の一致を維持する(少なくともそれによってマトリックスが中で蓄積しない)、直線及び末広のノズレット群が
図6A〜6Cに示されている。
図6Aは、マトリックス材料の熱膨張と一致するノズレットの喉部直径の増加を有する、末広ノズレット200を示しており、ノズレット200は、直径D1の入口202と、直径が増加する区画204と、直径D1よりも大きい直径D2の出口206とを含む。或いは、マトリックス材料及び繊維ストランドの両方が比較的低い熱膨張係数を有する場合(炭素繊維及び液晶ポリマーなど)、ノズレット200は、実質的に同じ直径D3を有する入口202及び出口206を含んでもよい(
図6B参照)。
図6Cに示されるように、ノズレット200又は708はまた、丸み付けられた出口208又は726を含んでもよい。例えば、丸み付けられた出口208は、断裂を回避する助けとなり得る出口からの滑らかな移行を提供し、印刷される際にフィラメントに応力を加え、及び/又はフィラメントを掻き取る、外側に延在するリップ、食付き部、フィレレース、円弧、又は他の任意の適切な幾何学形状によって具体化されてもよい。
【0072】
図7は、印刷ヘッド300が部分302を形成して、材料層304の最後の区画を堆積させている、従来技術では知られていない仮説上及び理論上の課題を示している。印刷ヘッド300は、カッターのための余地を残さずに、押し出されたプラスチックの頂部に触れている。この印刷ヘッドが、本明細書で考察したプッシュプルトルージョンプリンタであるが、本明細書で考察した任意のカッター8、8Aを有さなかった場合、印刷ヘッドは、後に続く切断プロセスで埋め込まれたストランド(及びマトリックス)を切断し、印刷プロセスを終了させることができるようにするために、部分内のモデル化されていない(即ち、後で除去される)最後尾のオーバーラン(tag-end over-run)306を印刷するであろう。場合によっては、これが望ましいことがある(例えば、導電性繊維の場合)。他の場合では、これは、例えば
図7に示されるように、望ましくない最後尾のオーバーランを作り出し、多くの硬質取付けボス308それぞれが全て、ボス内の各層に最後尾のオーバーラン306を有するであろう。
【0073】
図8は、三次元プリンタと共に使用されるカッターの二つの実施形態を示している。例えば
図1A又は1Bを参照して記載した同様の要素は、実質的に類似している。図示されるように、フィラメント2又は2aは、スプール38から供給され、フィラメント2aに対して下流方向に向けられた力を加える、駆動ローラ40及び遊び車42によって引き出され供給される。非加熱で、又は周囲温度若しくは室温で、或いはいずれの場合もガラス転移温度未満で、この区域(3010若しくは3020)では、この力が加えられたとき、フィラメント2aのマトリックスは固体又は「ガラス」状態である。加えられる下流方向の力は、本明細書で考察するとき、ガラス状態のマトリックス4Aを介して繊維ストランド6Aに伝達され、それによってフィラメント全体が加熱されたノズレット10から押し出されて、マトリックスが次に溶融されるにもかかわらず三次元部分を構築する。カッター8、8a、8bの位置は、最終部分における最後尾のオーバーランの存在を低減若しくは排除してもよく、又は有利な場合はそれらを柔軟に作成できるようにしてもよい。
【0074】
カッター8a(例えば、ブレード)をノズレット10の出口に位置付けることで、内部の繊維ストランドを切断することによって堆積されたストリップ又は結合配列を完全に切断するようにカッター8aを作動させることができ、及び/又はノズレット出口を物理的に遮断することによって更なる前進及び/又は滴下を防止してもよい。カッター8a又は8bは、コントローラ20によって制御されるような精密に制御された長さでフィラメント(繊維強化又は非強化)の堆積を可能にする。代替例では、ノズレット10よりも上流で、ノズレット10の出口と供給メカニズム40との間にカッター8bを位置付けることで、ノズレット10の出口と部分との間のギャップをより小さくすることが可能になる。その代わりに、又はそれに加えて、カッター8bは、マトリックス温度が溶融、軟化、又はガラス転移温度未満の状態で、フィラメントを切断して、機械のジャミングを低減することができる、ブレードに対する樹脂の粘着傾向を低減し、及び/又は堆積された材料のより精密な計量を可能にしてもよい。
【0075】
フィラメント2と
図10に示されるガイドチューブとの間で比較的ぴったりした(但しいかなる場合においても結合しない)適合が維持される場合(遊びはめ3010又はより大きいガイドであってもよい)、切断されたストランドの下流部分2bは、当接する上流部分2aが駆動ローラ40によって駆動されることによって押し出される。既に結合された配列(冷却済み)は接着され、張力下で、ノズレット10及びビルドプラテン16が相互に対して移動するにつれて、フィラメント2bをノズレット10から「引き離す」。供給メカニズムからの上流方向の力と、フィラメントの未溶融又はガラス部分及びフィラメントのストランドを介して伝達される下流方向の力との組み合わせは、結合配列を堆積するのに使用される。
【0076】
上述のように、カッター8、8a、8bは任意であるが、また、均一な堆積を確保し機械の詰まりを防ぐ助けとするため、材料の座屈を防いでもよい。更に、小径(例えば、30ミル未満)の連続フィラメントは座屈の影響をより受けやすい。この場合、ぴったり適合したガイドチューブ10、或いは供給メカニズム42、40に隣接した、及び/又はノズレット708の出口付近の(区域3010、3020の)ぴったり適合したガイド内部64、712は、材料の座屈を防ぐ助けとなってもよい。したがって、一実施形態では、供給メカニズム42、40は、ガイドチューブ又は入口からノズルまでの約3〜8未満の直径内に位置してもよい。特定の一実施形態では、ガイドチューブは円形の皮下チューブである。しかしながら、フィラメントが円形以外(例えば、楕円形、正方形、若しくはテープ)で形作られた場合、ガイドチューブは合致するようにサイズ決めされ形作られる。任意に、フィラメント2は、繊維がフィラメント2の周囲を通って突出しない(ガイドチューブ内の摩擦若しくは抵抗が低減される)、平滑な外側コーティング及び/又は表面を含んでもよい。
【0077】
いくつかの実施形態では、三次元印刷システムはガイドチューブを含まない。代わりに、供給メカニズムからノズレットの入口までの連続芯フィラメント2の長さが座屈を防ぐのに十分に短いように、供給メカニズムは、受入れチューブ64など、ノズルの入口に十分近接して位置してもよい。かかる実施形態では、供給メカニズムによって加えられる力を、連続芯フィラメント又は他のノズルに供給される材料の予期される座屈力若しくは圧力よりも低い閾値に制限するのが望ましいことがある。
【0078】
いくつかの実施形態では、堆積された強化繊維に加えられる最大張力又は引きずり力は、印刷された部分が対応する構築面から引っ張り上げられるのを防ぐか、又は連続芯の所望量の中立から正の張力を提供するように制限される。例えば、引きずり力を制限するため、(例えば、供給ローラの速度を印刷速度よりも低く設定し、但し一方向軸受によってローラが駆動されるよりも高速でローラを通してフィラメントが引っ張られるようにして)一方向ロック軸受(one-way locking bearing)が使用されてもよい。かかる実施形態では、駆動モータ42は、モータを回転させることによって駆動輪が駆動され材料が前進するように、一方向ロック軸受を通して駆動輪を回転させてもよい。材料の引きずりが駆動輪の被動速度を超えた場合、一方向軸受がスリップして、供給メカニズム及びノズルから追加の材料を引き出すことができ、供給速度が有効に増加して印刷速度又はヘッド移動速度に合致すると共に、予め選択した限界以下であるように駆動力が制限される。引きずり力(中立から正の張力)はまた、釣り合った内蔵スリップを備えたクラッチを使用して制限されてもよい。或いは、別の実施形態では、駆動輪及び遊び車の垂直力並びに摩擦係数は、特定の引きずり力よりも上で供給メカニズムから連続材料を引き出すことができるように選択されてもよい。その代わりに、又はそれに加えて、モータ抵抗に対抗してフィラメントをプリンタから引き出すことを可能にするため、AC誘導モータ、又は「オフ」位置に切り替えられた(例えば、モータ端子若しくは開いているモータ端子に小さい抵抗が加えられる)DCモータが使用されてもよい。かかる実施形態では、モータは、所望の力の閾値を超える引きずり力が加えられると自在に回転して、フィラメントがプリンタから引き出されることを可能にしてもよい。上記を考慮して、供給メカニズムは、フィラメントに加えられる引きずり力が所望の力の閾値よりも大きいとき、フィラメントをプリンタノズレットから引き出すことができるような、何らかの形態又は形式で構成される。更に、いくつかの実施形態では、供給メカニズムは、フィラメントの張力に基づいて、堆積速度、プリンタヘッド速度、及び/又は他の適切な制御パラメータのいずれかのフィードバック制御を提供する、センサ及びコントローラのループを組み込んでもよい。
【0079】
本明細書で考察する本発明の変形によれば、印刷プロセスは、全ての段階で類似しているか、又は異なる印刷段階(例えば、挿通段階対印刷段階、及び/又は直線段階対曲線段階)で、プリンタ、フィラメント、及び部分内における異なる力のバランスを作り出してもよい。例えば、本発明の一つの変形では、プリンタは、主要な連続印刷段階において主に横方向押圧及び軸方向張力を介して、またフィラメントの端部が最初にプラテン又は部分に当接し、次に溶融されるしごき加工先端の下で並進される挿通段階において、主に横方向押圧及び軸方向圧縮を介して、結合配列を適用してもよい。
【0080】
本明細書で考察する本発明の変形によれば、印刷システムは、軸方向の中立から正の張力下で、直線の印刷済み区画に沿ってフィラメント2をプリンタノズレット708から引き出してもよい(また、この張力は、ノズレット708を越えて、ある供給速度で制御されるがスリップ若しくはクラッチメカニズムを有してもよい、供給メカニズム42、40まで延在する)。かかる動作の間、プリンタヘッドは、コントローラ20によって所望の速度で変位又は並進させられてもよく、また、先行層又は印刷表面に接着される堆積材料及び/又は結合配列は、印刷ノズル内のフィラメントに引きずり力を加える。フィラメントは印刷システムから引き出され、部分14上に堆積される。対照的に、それに加えて、又はその代わりに、本明細書で考察する本発明の変形によれば、曲線及び/又は角に沿って印刷するとき、供給メカニズム42、40の供給速度、及び印刷システムの印刷速度は、堆積されたフィラメントを部分又はビルド表面16上へと押し出すように、コントローラ20によって制御されてもよい。しかしながら、直線動作中にフィラメントが印刷システムから押し出される、並びに/或いは曲線及び/又は角を印刷するときにフィラメントがプリンタヘッドから引き出される本発明の変形、及び実施形態、並びにフィラメントが実質的に常に引き出されるか又は実質的に常に押し出される本発明の変形も想起される。
【0081】
非融解ストランドを含む伸張させた内部ストランド強化フィラメントを堆積させることで、堆積材料を印刷ヘッドによって押し出し、(遠位)端部にある印刷積み部分に接着させることができる。印刷ヘッドは、材料を撓ませずに張力下で開放ギャップを横切ってフィラメントを吊り下げることができ、それによって(可溶性の支持材料を使用するか又は使用しないで)中空コアの構成要素を構築することが可能になる。
【0082】
図8は、連続芯強化フィラメントによって可能になる自由空間印刷を示している。連続芯強化フィラメント2bを地点44で部分に取り付け、地点46で印刷ヘッドによって保持することで、ギャップ48を架橋することができる。伸張した内部繊維ストランドが存在しないので、融解マトリックス材料は撓み、ギャップ48に落ち込む。一例では、
図9に示される閉じた区画の箱は、ギャップ48を架橋し、対向する区画52及び54に固着される区画50によって形成される。かかる自由空間印刷はまた、一般的な不支持材料では印刷することができない、カンチレバービームを作成するのに使用することができる。かかる場合では、任意に、冷却空気の分流などの冷却メカニズムが、ギャップの橋渡し中に構築範囲の全体若しくはほとんどにわたって継続的に冷却されるか、又はギャップの橋渡し中の材料の前進時点で冷却されて、芯を取り囲むポリマー材料を固化することによって撓みを更に防いでもよい。材料がギャップの上にある間のみ選択的に冷却することで、高温を維持することによって隣接層間の拡散接合が向上するので、残りの部分の接着をより良好にすることができる。
【0083】
上述の実施形態では、プリンタによって要求されたときに連続芯を選択的に切断するため、切断刃はノズレットの上流に位置する。その方法が有効であるが、カッターとノズルとの間でトウプレグが正確に「ギャップを飛び越え」ない可能性がある。したがって、少なくともいくつかの実施形態では、切断ステップ後に芯材料を再び挿通する際の信頼性を向上することが望ましい。カッターは、切断動作後の不支持ギャップを低減又は排除するように、例えば、フィラメントを案内する二つの当接する同軸のチューブが、フィラメントを剪断するために相互に対して一時的に変位されるチューブ状の剪断機が設計されてもよい。
【0084】
図10は、
図1A及び1Bと同様に、プリンタメカニズムを示している。同様の参照番号及び外観が同様の部分は、類似の特徴について記載している。フィラメント2は張力下で供給ローラ40、42に引き込まれ、またフィラメント2の案内、及びローラ40、42との整列の維持を容易にするため、フィラメント2はローラ40、42の上流のガイドチューブ74を通り抜ける。ローラ40、42を通り抜けた後、連続芯フィラメント2は(少なくとも、任意のガイドチューブ又は要素を介した摩擦を克服するのに十分な)軸方向圧縮の状態である。圧縮下の材料の長さ並びに作用力の大きさに応じて、連続芯フィラメント2は座屈する傾向があることがある。したがって、連続芯フィラメント2は、ローラ40、42の下流及びノズレット68の上流に位置付けられた、ぴったり適合するガイドチューブ72(例えば、遊びはめ)を通り抜ける。ガイドチューブ72は、フィラメント2を案内すると共に、連続芯フィラメント2の座屈を防ぐ。ギャップ62は、プリンタヘッド70とカッター8との間に存在する。
【0085】
フィラメント2が切断されると、フィラメント2は、ギャップ62の片側から受入れガイドチューブ64まで「再挿通」される。受入れチューブ64自体は、任意に、材料のガラス遷移温度未満である。任意に、受入れチューブ64とノズレット68の加熱部分との間の熱スペーサ66によって、受入れチューブ64から熱いノズレット68への伝熱が低減される。
図11は、ローラ40、42、ぴったり適合したチューブ72、及びフィラメント2(それぞれ、10〜50ミルの非常に小径のものである)を示す、上述の構成要素を含むシステムの写真である。
【0086】
図10では、フィラメントが、挿通された後で両端が完全に支持されており、一次屈曲モードで拘束されているときよりも柔軟であって、その端部が支持されていないときに屈曲又は座屈する傾向があるため、再挿通の際に(即ち、システム全体を通して、印刷を開始する印刷ヘッドの末端を通る挿通若しくはスティッチングプロセスの間と比べて)困難に直面することがある。フィラメントが挿通された後、下流部分が後に続くフィラメントを全て案内する。特に鈍い又は厚いブレードでフィラメントを切断することによっても、フィラメントの端部が変形して、フィラメント2及び受入れチューブ64の整列不良が増大する傾向になることがある。
【0087】
カッター8、8a、又は8bを通るフィラメントの挿通の信頼性を改善するため、使用していないとき、カッター8はギャップ62から除去され、再挿通の間はガイドチューブ72は(下方に)変位され、及び/又は受入れチューブ64に向かって入れ子状にされる。ガイドチューブ72と受入れチューブ64との間の遊び(ギャップ)は低減されてもよく、又はチューブ64、72は当接してもよい。或いは、空気などの加圧流体も、ガイドチューブ72の下へ軸方向で方向付けられてもよく、それによって、軸方向の流体フローで材料を心出しして材料を受入れ端部16と整列させる(また、高速印刷及び/又は高い印刷温度のためにガイドチューブ72を冷却し、並びに/或いはガイドチューブを通る材料の摩擦を低減してもよい)。
【0088】
図12A、12B、及び13は、それぞれギャップ62を排除して挿通の信頼性を向上している、剪断機の実施形態を示している。剪断機は、任意に、印刷ヘッド内又は印刷ヘッドの上流に位置してもよく、また、剪断ブロックが移動する場合よりも、その相対移動が重要である。
図12Aでは、連続フィラメント400は駆動輪408によって圧縮状態で駆動され、ぴったり適合したガイドチューブ420によって受け入れられる。フィラメント2は、上側剪断ブロックガイド406、下側剪断ヘッド402、及び加熱された印刷ヘッド404を通して圧縮状態で駆動される。上側剪断ブロック406及び下側剪断ヘッド402は、フィラメントを切断するのにそれに対して剪断力を加えるため、相互に対して変位される。
図12Bは、上側剪断ブロック406が剪断ヘッド402に対して並進されて、フィラメントセグメント422を挟み切っていることを示している。単純な切断が望ましい場合、剪断ヘッド402は上側切断ブロック406に対する元の位置に戻ることができる。剪断及び復帰の後、フィラメント400の端部はガイドチューブ内で完全に捕捉されている。飛び越えるギャップはない。
【0089】
複数の種類の材料及び/又は動作を含む印刷能力を提供するのが望ましいことがある。
図12Aは、任意の割出しステーション414及び416を含むシステムの一実施形態を示している。一実施形態では、ステーション416は洗浄ステーションであり、印刷ヘッド404を通して供給してノズレットを洗浄し、ノズレットを加熱できるようにし、フィラメント2よりも高い溶融温度を有する材料でパージすることができる、任意の金属洗浄材料410(例えば、真鍮、銅、ステンレス鋼、アルミニウム)を含む。一つのプロセスは、印刷ヘッド404を後部角又は他の適切な位置にある印刷洗浄ステーションへと移動させ、次に加熱してステーション416へと割り出し、次に、ノズレットを通して洗浄材料410を供給して障害物があればそれを洗浄するものであってもよい。次に、上側剪断ブロック406及び下側剪断ヘッド402は、汚染物質がノズルに戻るのを防ぐため、犠牲洗浄片を切断することができる。或いは、洗浄剤を周期的に押し込み、ノズルを通して再び引き上げてもよい。別の実施形態では、洗浄ステーション416は、ノズルを通して、高圧液体、ガス、溶剤などの洗浄剤を押し込むのに使用される。
【0090】
いくつかの実施形態では、三次元印刷システムは、銅などの導電材料、光ファイバーなどの光学伝導材料、第2の芯強化フィラメント、プラスチック、セラミックス、金属、流体処理剤、はんだ、はんだペースト、又はエポキシ樹脂などであってもよい、第2のフィラメント412に対応するステーション414を含んでもよい。印刷ノズル又はノズレット404は、他のステーションのうち一つからステーション414へと割り出されて、第2の材料412を堆積させ、完了すると元に戻る。
【0091】
図13は、剪断ブロック内に形成された複数のノズル404及び424を含む剪断ブロック402を示している。一実施形態では、ノズレット404は、大径のプッシュプルプレグ及び/又は純ポリマー材料をより迅速な量で堆積させることを可能にする、ノズレット424よりも大きい印刷オリフィスを有する。別の実施形態では、第2のノズレット424は実質的にノズレット404と同じである。したがって、第2のノズレット424は、ノズレット404が詰まった場合に使用されるように自動的に切り替えることができる、交換用ノズレットとして使用されてもよい。追加のノズレットを有することで、特に無人印刷(例えば、終夜)において、機械の停止時間が減少するであろう。上述のものと同様に、第1及び第2のノズル404及び424は異なるステーション間で割り出されてもよい。
【0092】
図14A〜14Cは、異なる出口を有するノズレット群を示している。
図14Aは、入口502及び出口504を含むノズレット500を示しており、出口は、アラミドなどの一部のフィラメント2に適しているが、ガラス繊維、カーボン、金属芯上のめっき、光ファイバーケーブルに対する処理など、耐摩耗性でない繊維に対する損傷に結び付くことがある尖った出口角を含んでいる。
図14Bは、繊維の剪断を低減する、滑らかに遷移する複数面取りされた(例えば、二回面取りされた、若しくは45°の)ノズレット出口506を示しており、
図14Cは、非融解ストランドの剪断及び切断を低減する、滑らかに丸み付けられたノズレット出口又はしごき加工先端508を示している。
【0093】
代替例では、例えば、矢印510によって示されるように、鋭い縁部のノズレットを垂直なZ方向で押し下げることによって、フィラメント2を切断するのが望ましいことがある。
図14Cに示されるように、ノズレット508の角は、(任意に、供給メカニズムの駆動及び/又は印刷ヘッドの移動、或いはビルドテーブルの移動のいずれか若しくは全てによって任意に提供される、張力下で)フィラメント2に押し付けられると連続部分を切断するように、尖鋭化されZ方向で配向されてもよい。
図15A〜15Dに示されるように、ノズレットの一部分は、任意に、尖鋭化されノズレット出口の内部に向かって方向付けられて、ノズレットを通る材料出力を切断する助けとなる。図示されるように、滑らかに面取りされたノズレット600は、食付き部ノズレット600、及びノズレットの遠位側出口に位置するリング602から出る、フィラメント2を含む。リング602の第1の部分は角ばっておらず、フィラメント2との干渉を回避するように形作られ配置され、リング602の第2の部分は、
図15B〜15Dに示されるように、尖鋭化されノズレット600内に含まれるフィラメント2経路に向かって内側に配向され、ノズレット出口面積の1/10未満を占める、切断部分又はブレード602a(任意に、鋼、カーバイド、若しくはセラミック)を含む。切断部分602aは、恒久的に取り付けられる、印刷中は選択的に撤回され、切断のために配備される、ノズレット出口の周囲内へと引っ込められる、
図15Bに示されるようにノズレット出口の周囲の一部を形成する、ノズレット出口と一体的に形成される、及び/又はノズレット出口に取り付けられる、のいずれかであってもよい。
【0094】
図15A〜15Dに示されるような動作の際、ノズレット600は、フィラメント2が静止しており、及び/又は適所で保持されている状態で、表面上に構築されている部分に対して方向Dで並進させられて、芯材料6の伸張がもたらされる。増加する張力が連続芯フィラメント2に加えられると、芯6は切断部分602aによって切断される。或いは、表面及び/又は部分は、ノズレット又は供給メカニズムを使用して伸張されたフィラメントに対して並進させられて、切断作業を行う。
図16は、図示される実施形態におけるノズル先端ベースのカッターの別の実施形態を提示しており、切断リング604は、既に堆積したフィラメント2に向かって配向された鋭い縁部を有し、ノズレット600及び部分に対して作動して、鋭い縁部を露出させてフィラメントを切断要素604と接触させ、芯材料6を切断する。
【0095】
光ファイバーケーブルなどの脆性材料の場合、切断部分602a又は604は小さいスコアを形成してもよく、ノズレット及び部分の追加の相対並進によって切断が完了してもよい。合成繊維などの他の材料の場合、ノズレットの丸み付けられた幾何学形状によって、芯6が張力下で切断部分602a又は604に向かって方向付けられ、結果として生じる切断部分に向かう合併(例えば、圧密)によって、比較的小さい切開ブレードで大きい切断を切断することができる。金属繊維又は延性材料の場合、切断部分602a又は604は、芯の十分な伸張によって芯がノズレット出口で壊れる、材料中の弱点を十分に作成してもよい。
【0096】
切断部分602a又は604は、溶融温度、炭化温度、又は十分な伸張で破断してもよい芯の抗張力が十分に低い温度まで、繊維を直接又は間接的に加熱してもよい、ホットナイフと呼ばれる高温発熱体であってもよい。発熱体は、印刷済み部分を傷つけることなく迅速に加熱され迅速に冷却される高帯域加熱器、或いは繊維に対する加熱を隔離する誘導発熱体であってもよい。
【0097】
本明細書で考察する本発明の変形によれば、溶融マトリックスフィラメント2を軸方向圧縮及び/又は横方向押圧して結合配列にすることによって、最終部品の性質が向上してもよい。例えば、
図17Aは、圧密力、軸方向圧縮、又は側圧62が適用された複合繊維強化フィラメント2を示している。軸方向圧縮による圧密圧力、及び区域3040内のしごき加工リップ508、726、208による扁平化によって、実質的に円形断面のフィラメント2a(
図17B参照)が、下方の先行層へ、また第2の実質的に長方形断面の小型化形状(
図17C参照)へと圧縮又は再整形される。フィラメント全体は、それが整形されるときに結合配列を形成する(即ち、下の層、及び同じ層上の先行配列に結合される)。フィラメント2bが拡張すると共に、内部ストランドが同じ層上の隣接した結合配列2c内へと侵入し、下にある材料2dの整形フィラメント又は結合配列へと圧縮される。整形フィラメント又は結合配列のこの押圧、圧密、又は拡散によって、強化繊維間の距離が低減され、結果として得られる部分の強度が増加する(また、圧力プレート又は真空バギングを用いた後処理を使用して複合材レイアップで達成される従来技術に取って代わる)。したがって、本明細書で考察する本発明のいくつかの変形では、フィラメント2の軸方向圧縮、及び/又は特に区域3040内のプリンタヘッド70、ノズレット、若しくはしごき加工リップ508、726、208による物理的押圧は、堆積された材料又は結合配列に対して圧縮圧力を直接加えて、それらを横及び/又は下の配列へと拡張若しくは圧密若しくは扁平化するのに使用されてもよい。断面積は実質的に又は同一に維持される。その代わりに、又はそれに加えて、本発明の変形では、圧力は、印刷ヘッド後方の後縁圧力プレート、層全体に一度に圧密圧力を加える、部分全体に及ぶ全幅圧力プレートを通して加えられてもよく、並びに/或いは、熱、圧力、若しくは真空が、印刷中に各層の後で、又は部分全体に対して加えられて、樹脂を層内で再流させ、最終部分内の所望量の圧密(壁を共に押し込み、また空隙を排除する)を達成してもよい。
【0098】
上述したように、また
図18Aを参照すると、溶解フィラメント製法(FFF)の三次元プリンタで使用されるノズル700は、一般的にノズル700の先端に狭窄を用いるので、最終的に印刷ヘッド(ノズル)の目詰まり及びジャミングがもたらされる。ほとんどのFFF三次元プリンタ上のノズルは、一定間隔で交換される磨耗品と見なされる。
【0099】
本発明のいくつかの変形による末広ノズレットでは、供給区域から加熱溶融区域へと移行する際に材料が膨張して、供給区域に入った粒子状物質があればそれをより大きい加熱区域から排出させることができる。末広ノズレットは、洗浄が簡単であると共に、それにより、正方向送り方式で材料を除去することが可能になる。
【0100】
以下の考察で使用するとき、「流体接続された」は、連続接続許容フローの文脈で使用され、特段の指示がない限り、任意の特定の段階でフィラメント2が流体であるか又はそうでないかは示唆しない。
図18Bは、低温供給区域712に接続され、次いで加熱区域714に流体接続された材料入口710を含むノズレット708を示している。加熱区域714及び/又は出口716におけるキャビティ若しくはチャネルの断面積(フロー方向に垂直)は、低温供給区域712及び/又は入口710に位置するキャビティ若しくはチャネルの断面積(フロー方向に垂直)よりも大きい。低温供給区域712は、加熱区域714よりも熱伝導性が低い材料で構築されてもよく、それによってフィラメント2が軟化することなく低温供給712を通って加熱区域714に入ることができる。
【0101】
特定の一実施形態では、末広ノズレット708は、ポリテトラフルオロエチレンなどの低摩擦供給チューブを使用することによって形成され、加熱区域の一部分がチューブの下流で露出するようにして、ノズレット内に位置するより大径の加熱区域に供給される。それに加えて、又はその代わりに、加熱区域は、ポリテトラフルオロエチレンなどの低摩擦材料から構築されるか、又はそれでコーティングされてもよく、低温供給区域712から加熱区域714への移行部は、階段状、面取り状、曲線状、又は平滑であってもよい。
【0102】
図18Cは、末広ノズレット708が、加熱区域714内での使用中に形成されたプラグ718によって妨害されており、次に除去されている場合を示している。末広ノズレット708は、例えば、プラスチックの一部分を印刷ベッド上に適用し接着するか、又は印刷ベッドに隣接した範囲を洗浄することによって開始される、正方向送り洗浄サイクルを使用して洗浄することができ、その後、接着されたプラスチックはその溶融温度未満に冷却され(冷却したままにされ)、その際、印刷ベッド及びノズレットを相互に対して移動させて、プラグ718をノズレット708から抽出する(任意に、供給メカニズムの上流のフィラメントからの未溶融圧縮力を助けとする)。任意の適切な材料を末広ノズルと共に使用してもよいが、ナイロンの熱膨張係数によって冷却中はナイロンがノズレットから僅かに引き離され、またナイロンが低い摩擦係数を示すので、ナイロン及びナイロン相対物が特に有利である。低温供給区域及び加熱区域のどちらか又は両方の中のポリテトラフルオロエチレン壁は、プラグ除去を助けてもよい。洗浄サイクルはまた、プラスチックの区画を自由空気中へと押し出し、次に手動で又は自動化ツールを使用して除去されることによって、接着ステップを伴わずに行われてもよい。
【0103】
直線ノズレットの場合、特に、
図19Aに示されるような約0.001インチ〜0.2インチ(0.025mm〜5.08mm)程度の小径フィラメントの場合、ノズレット720は、ノズレット出口722と実質的に同じサイズである入口724を含んでもよい。ストランド強化複合フィラメント2などの材料は、低温供給区域712を通り抜け、加熱区域714に入る(例えば、どちらか若しくは両方の区域は低摩擦及び/又はポリテトラフルオロエチレン壁付きである)。加熱区域714は熱伝導性であり、例えば、銅、ステンレス鋼、真鍮などから作られる。フィラメント2は、ビルドプラテン16又は洗浄範囲に取り付けられ、
図18B及び18Cに関して記載したプロセスが実施される。低い熱質量によって迅速な加熱が可能になり、印刷ヘッドに供給されるのと実質的に同じサイズで(FFFの場合)押し出されるので、小径フィラメントがこれに適している。
図19Bは、従来のシラ地トウプレグが直線ノズレット内でばらばらになることがある仮説の方法を示している。
【0104】
図19C〜19Eは、目詰まりが低減又は排除されるように、末広ノズレット708を通して供給される剛性のプッシュプルプレグストランドフィラメントを使用する、本発明の変形による挿通の方法を示している。「挿通」とは、この文脈では、結合配列の連続的な堆積(直線の区画及び列)の印刷における第1のステップであり、フィラメント2が切断されるか、使い果たされるか、分離されるか、又は別の形で再び開始しなければならなくなった後にのみ再開される。
図19Cは、加熱区域714から5インチ(12.7cm)以上のところから始まってもよい、低温供給区域712内にある連続芯フィラメント2を示している。フィラメント2がより高い熱容量及び/又は剛性を有する場合、スティッチングに先立って材料の予熱を提供するため、低温供給区域は加熱区域714により近いところから始まってもよい。低温供給区域712(マトリックスの溶融温度未満)内では、フィラメント2は実質的に固体で剛性のままであり、印刷の直前までこの位置で維持される。
【0105】
印刷が開始されると、フィラメント2はノズレットを通して迅速に供給及び挿通される(
図19D参照)。低温供給区域712はより大きいキャビティの加熱区域714内へと供給し、フィラメント2は、低温供給区域712にまだ位置している上流のフィラメントの剛性により、加熱区域714の壁に触れないように拘束される(
図19D参照)。材料が出口まで挿通されるまで、剛性を維持すると共に溶融及び壁への接触を防ぐことによって、繊維の剥離、湾曲、及び/又はノズレット内での目詰まりが防止されて、フィラメント2を加熱溶融区域714により簡単に押し込み、そこを通すことが可能になる。いくつかの実施形態では、ノズレットを冷却してノズレットの側面に粘着する可能性を低減するため、挿通の前及び/又は最中に、圧縮空気のブラストがノズレットを通して発射されてもよい。更に、ノズルの側面に粘着する可能性を更に低減するため、スティッチングプロセス中におけるノズレットの加熱区域714の加熱が低減又は排除されてもよい。
【0106】
連続芯フィラメント2の供給が継続している間、連続芯フィラメント2はビルドプラテン16又は先行層に接触する。次に、フィラメント2は、ビルドプラテン16に対するノズレットの運動によって、表面に沿って配置又は押圧される。短距離内では、
図19Eに示されるように、フィラメント2は加熱区域714の隣の丸み付け若しくは面取りされたリップ726の壁に接触するか、又は加熱区域714の壁にほぼ接触する。或いは、プリンタヘッドを並進させる代わりに、フィラメント2をノズレットの長さよりも長い長さまで駆動することができ、先行層又は印刷ヘッドによって出口が遮断されていると、フィラメントが同じように座屈する。丸み付け若しくは面取りされたしごき加工リップ726、加熱区域714の壁に接触した(又はそれにほぼ接触した)後、連続芯フィラメント2は、堆積される材料をビルドプラテン及び/又は先行層に融合するため、堆積温度(例えば、マトリックスの溶融温度)まで加熱される。挿通速度は約2500mm/分〜5000mm/分であってもよい。
【0107】
ノズレット出口716の遠位端に位置する丸み付け又は面取りされたリップ726は、連続芯の断裂を回避する助けとなり得る、ノズレット出口における漸進的な遷移を提供してもよく、また、連続芯フィラメント2が堆積されるにつれて、それに対して下向き、圧密、圧縮、又はしごき力を加える。即ち、「しごき加工」は、(i)フィラメントの側面(例えば、フィラメントが水平に置かれている場合は下側)に対して実質的に横向き又は横方向の力が、(ii)(ビルドプラテンに対して部分的に平行であるか、若しくはビルドプラテンに平行なその接平面で丸み付けられた)平滑な表面によって加えられ、(iii)その表面が、溶融フィラメント上に押圧されて結合配列になる際に印刷方向で並進させられる行為を指す。丸み付け又は面取りされたリップは下向きの力を提供し、その下側にあってビルドプラテンに平行である平滑な表面を並進させて、連続芯フィラメントを先行層上にしごき加工する。しごき加工は、連続芯フィラメント2の直径未満である堆積表面に対する距離でリップ726を位置付けることによって、並びに/或いは、結合配列の高さをフィラメント2の直径未満に設定することによって実施されてもよいが、この行為を伴わずに(例えば、十分に剛性な材料を用いて、軸方向圧縮力のみを使用して、フィラメント2の直径を超える距離でリップを位置付けて)、適切な圧密力が達成されてもよい。リップ726から先行層若しくはビルドプラテンまでのこの距離、又は結合配列の高さは、適切なセンサを使用して確認されてもよい。
【0108】
本明細書で考察するしごき加工及び/又は軸方向圧縮圧密は、末広ノズレットを要しない。例えば、しごき加工リップ又は先端726は、実質的に直線のノズレット720又は僅かに末細のノズレットに組み込まれてもよい(
図20A参照)。その代わりに、又はそれに加えて、末細ノズレットはまた、例えば、加熱区域714及び次に末細ノズレット出口732と流体連通している低温供給区域712に供給するノズレット入口730を含む末細ノズレット728を示している、
図20Bに示されるように、個別の低温供給区域及び加熱区域を使用してもよい。
【0109】
図21A〜21Dは、本発明にしたがって本明細書に記載する二次的なコーティング又はシェル印刷ヘッドと共に用いることができる、FFFノズルを示している。
図21Aは、入口806を含むノズル800が、末細区画804まで延在し、次に入口806の面積よりも小さい面積のノズル出口808まで延在する内壁802と整列されていることを示している。
図21B〜21Dは、ノズル内で発生する背圧を低減する滑らかな移行部を含む、様々な幾何学形状を示している。
図21Bは、入口806と、第1の直径を有し、最初は垂直である第1の直径を有するが、接線方向内向きの曲率814に向かって移行し、約45°の曲率の後、反曲点816が曲率を反転させ、内壁812が再び垂直になるまで湾曲している内壁812と、入口810と再び整列されると共に低減された第2の直径を有する、結果として得られる出口818とを含む、ノズル810を示している。
図21Cは、ノズル出口824に向かって方向付けられた下向きの配向の曲率822へと移行する内壁を備えた、ノズル820を示している。
図21Dは、ノズル出口834を画成するのに下向きの配向の曲率832へと移行する点830まで延在する、面取りされたノズル区画828へと移行するノズル826を示している。
【0110】
図22は、本明細書に記載するFFFノズルのための滴下防止機構を示している。図示される実施形態では、押出しノズル900は、一つ以上のガスケット910を越えて、ノズル出口908を出るのに先立って低温供給区域914及び加熱区域912内へと供給される、材料902を有する。空気チャネル904は、低温供給区域914に接続され、空気圧シリンダ906と流体連通している。動作中、印刷が停止されると、第1の中立位置から、空気チャネル904に対して吸引を選択的に加える第2の位置へと空気圧シリンダ906が作動する。空気チャネル904は、低温供給区域914、並びに加熱区域912内の材料と流体連通しているので、吸引は、加熱区域内にあるポリマー溶融物の滴下を実質的に防止してもよい。一旦印刷が再開すると、空気圧シリンダ906は中立位置に戻されてもよい。
【0111】
本明細書で考察するように、「半連続」ストランド複合材は、その長さに沿って複数の離散的なストランドへとセグメント化されている芯を有する。これらの離散的なストランドは、単一のセグメント化ストランドであるか、又は共に束ねられているがいずれにしてもそれらの長さに沿ってセグメント化されている、複数の個々のフィラメントストランドであってもよい。離散的なセグメントは、重なり合わないようにして配置されてもよい。本明細書に記載するように、材料は、切断される代わりに、ほとんどの場合マトリックスが溶融又は軟化された状態で、最も有益には印刷サイクルの終了時に、材料に張力を加えることによって切断されてもよい。張力は、プリンタの供給メカニズムをバックドライブすること、及び/又は材料をノズルから押し出すことなく、プリンタヘッドを印刷された部分に対して並進させることのいずれかによって加えられてもよい。
【0112】
図23A〜24Dは、
図24Aに示される連続ストランド芯フィラメント2とは対照的に、ノズルから堆積されている半連続ストランド芯フィラメントの様々な実施形態を示している。
【0113】
対応するマトリックス材料に埋め込まれた半連続ストランドは、離散的であって割り出されたストランド長さを有してもよく、半連続芯はフィラメントの長さに沿った規定の間隔で終端する(また、ストランド長さは関連するノズレットの溶融区域の長さよりも長くてもよい)。半連続ストランド芯は、個々のストランド、又は一つの束の繊維が次の束の繊維に当接するが、次の束の中までは延在しないようにして明確に分離された、3インチ(7.62cm)(例えば、2〜5インチ(5.08〜12.7cm))長さで配置されたストランド束を含んでもよい。コントローラ20によって制御される経路探索アルゴリズムは、ストランドの切れ目を、端部、角、縁部、及び印刷の他の停止点と整列させてもよい。プリンタがカッターを含まず、割り出されたストランドを使用することで、半連続ストランドの割り出された切れ目がノズル出口と整列されるまで、印刷プロセスを終了させることができないことを所与として、コントローラ20は、任意に、最小の特徴長さ未満の範囲を樹脂で充填する。例えば、多くの幾何学形状では、断面の外側部分は芯よりも高い強さを提供する。かかる場合では、最後の完全体のストランドが印刷パターンに適合しなくなるまで、外側部分が半連続ストランドから印刷されてもよく、その時点で、残りの部分は空にされてもよく、又は純粋な樹脂で充填されてもよい。
【0114】
図23Aに示されるように、半連続芯フィラメント1000は、マトリックス1006内に位置する第1のストランド1002及び第2のストランド1004を含む。フィラメント1000は、マトリックスのガラス遷移温度よりも低温で、ノズレットの低温供給区域712に入る。フィラメント1000は続いて、加熱又は溶融区域714を通って流れる。フィラメント1000中のマトリックス1006は、堆積に先立って加熱区域714内で溶融される。ノズルから出る際に、フィラメント1000は、固定点1005で部分又はビルドプラテン16に取り付けられる。半連続芯フィラメント1000を前進させずに、印刷ヘッドを固定点1005に対して前方へ移動させることによって、切断が行われてもよく、或いは、印刷ヘッドは静止したままであってもよく、上流の半連続芯フィラメント1000を撤回して所望の張力が加えられる。固定点1005によって提供される張力により、ノズレット内に位置する第2のストランド1004の残りの部分が、埋め込まれたストランドの残余を加熱されたノズルから引き離すことが可能になる。
【0115】
図23C及び24Cは、芯材料の終端が各区画で実質的に完了しており、それによって完全体の距離で明確な切断が可能になっている、割り出された半連続芯フィラメント1012を示している。芯材料の個々の区画は、予め割り出された位置1016で、芯材料の隣接した区画から分離される。材料は、図面に示される予め割り出された位置1016に対応する境界位置で、(例えば、埋め込まれた繊維を含む結合配列と比較して)強度の低減を示すであろう。
図25は、かかる半連続芯フィラメントの使用を示している。図面に示されるように、複数のストランド1100が部分又はビルドプラテン上に堆積される。ストランド1100は、上述したように、印刷ヘッドが最終パスに到達し、材料を1104で切断するまで、方向転換1102並びに他の特徴を形成するように堆積される。個々のストランドは部分上における残りの距離よりも長いので、残りの距離1106は空隙として残されるか、又はポリマーなどの別の材料で充填されてもよい。
【0116】
図23Aは二つの個々のストランドを示していたが、
図23B及び24Bは、マトリックス1006に埋め込まれた同様にサイズ決めされたストランド1010の分布を含む半連続芯フィラメント1008を示している。三つのストランドが互い違いの線で示されているが、これは不規則な、即ち互い違いにしたストランドの分布の単純化した表現である。例えば、材料は、炭素繊維の約1,000本のストランド(「1kのトウ」と呼ばれる繊維束であるが、本考察では、このトウは適切には、空隙がなく、本明細書で考察するような熱可塑性マトリックスに埋め込まれていなければならない)を含んでもよい。ストランド214は、実質的に類似した長さの多くの重なり合うストランドが存在するように、サイズ決めされ分配されてもよい。そのため、半連続ストランドフィラメントは、個々のストランドをノズレットの出口から引き出すことができるようにして、プリンタノズレットの溶融区域に対してサイズ決めされたセグメントを含んでもよい。溶解区域は、プリプレグ繊維束中の個々の繊維のストランド長さと少なくとも同程度の長さ、又はプリプレグ繊維束中の個々の繊維のストランド長さの半分の長さであることができる。材料を伸張してフィラメントを分離している間、部分に埋め込まれるか又は印刷表面に接着されたストランドは、ノズル内に残っているストランドの部分を引っ張り出す固定力を提供する。長いストランドの場合、一部のストランドはノズル内で保持されてもよく、その結果、任意に印刷ヘッドによって押し倒される、垂直に配向されたストランドか、又は任意にその後、材料層内で垂直に配向されたストランドとして戦略的に置かれた堆積層がもたらされてもよい。
【0117】
材料は、割り出された重なり合うストランドを組み合わせてもよい。例えば、ノズレット内の溶融区域が、溶融区域内にある重なり合ったストランドを引きずり出すのに十分な長さを含むようにして、より長いストランド間の遷移点に位置するより短い長さの束と平行して、割り出された連続ストランドが使用されてもよい。この方策の利点は、より長い完全体の連続ストランド間の境界における脆弱点を低減することである。所与の芯及びマトリックス材料の切断の間、切断力は、部分の歪み、上昇、上流側の繊維の破損、又は他の悪影響を防ぐのに十分に低いことが望ましい。場合によっては、ストランドが抽出中に破損することがあるが、それは終端点においては許容可能である。ストランド長さは用途に基づいて変動し得るが、一般的なストランド長さは、大規模印刷の場合、約0.2インチ(0.5cm)から36インチ(91.4cm)まで及んでもよい。
【0118】
図24Dは、半連続芯フィラメント及び連続芯フィラメントを混成した方策の一例を示している。図示される実施形態では、材料1018は、
図24C及び25Cに関して上述した実施形態と同様に、予め割り出された位置にあるマトリックス1006に埋め込まれた一つ以上の芯セグメント1014を含む複数の離散的な区画を含む。材料はまた、材料の長さに沿って延在するマトリックス1006に埋め込まれた連続芯1020を含む。連続芯1020は、単に十分な張力を加えることによって、予め割り出された位置で材料を切断することを可能にするため、十分な張力によって切断することができるようにサイズ決めされてもよい。或いは、上述した様々な切断方法のいずれかも使用されてもよい。
【0119】
複合材の連続層は、従来のレイアップのように、複数の方向で部分強度を提供するため、また強度重量比を増大するため、0°、45°、90°、及び他の所望の角度で配置されてもよい。コントローラ20は、一つ以上の特定の方向及び位置で軸方向に整列して強化繊維を堆積する機能性に合わせて制御されてもよい。強化繊維の軸方向整列は、層内の一つ以上の個々の区画に対して選択されてもよく、また個々の層に対して選択されてもよい。例えば、
図26に示されるように、第1の層1200は第1の強化繊維配向を有してもよく、第2の層1202は第2の強化繊維配向を有してもよい。それに加えて、第1の層1200又は他の任意の所望の層内の第1の区画1204は、同じ層内で、第2の区画1206又は他の任意の数の区画とは異なる繊維配向を有してもよい。
【0120】
図27A〜27Cは、プリンタヘッド1310を用いて異方性オブジェクトを付加製造する方法を示している。部分1300は、面Aを第1の配向でXY印刷面と整列させて配向された部分と共に印刷される、垂直に配向されたサブコンポーネント1302を有する。印刷されたサブコンポーネント1302は、Z方向で巻き付けられたモータの導電性巻きコイルを形成する。別のコイルを部分1300上に形成するために、
図27Bに示される固定具1304が、印刷面1306又はその下に位置付けられた印刷範囲に追加される。固定具1304は、次のサブコンポーネント1308を部分1300に追加できるように面Aを面A'へと回転させて、部分1300を第2の配向で保つ。サブコンポーネント1308はやはりZ方向で堆積されるが、
図27Cに示されるように、サブコンポーネント1302の面外にある。
【0121】
図28Aは、
図27A〜27Cと同じ異方性部分を示しているが、固定具を使用する代わりに、プリンタは、一つ以上の軸を中心にして部分1300及びプリンタヘッド1300を回転させる。部分1300は、面Aの配向を設定し制御する回転軸1312によって適所で保持される。
図28Bでは、回転軸1312が90°回転して、サブコンポーネント1302に対して垂直な方向でサブコンポーネント1308を形成している。反対に、同様の結果を達成するため、XT及び/又はYT軸を中心にしてプリンタヘッド510を枢動させることができる。追加の自由度を付加することができ、例えば自動車用途では、回転軸1312がロティセリーに対応してもよく、それによってYT軸を中心にして車両フレームを回転させて、X-Y面、Z-Y面、又はその間の任意の面内に連続繊維を配置できるようにすることができる。或いは、車両を回転させると材料を車両上に連続して堆積させるため、車両ボディの外形に追随する流体回転が使用されてもよい。かかる三次元プリンタは、任意に、完全な外形への追随、並びに凸状及び凹状両方の単体構造の生産を可能にするため、XT軸をプリンタヘッドに追加してもよい。部分1300及びプリンタヘッド1310を回転させることに加えて、又はその代わりに、部分1300を支持するテーブル1314を、ZT軸を中心にして回転させて、所与の繊維方向の構成要素を紡糸するのを可能にすることができる。
【0122】
三次元プリンタは、二次元層のスタックの外形の上に三次元シェルを形成してもよい。これにより、部分の離層を防ぐと共にそのねじり剛性を増大してもよい。
【0123】
図29は、三次元印刷されたシェルを含む部分を形成するのに使用される、
図28A及び28Bに関して記載した能力を有する三次元プリンタヘッド1310を示している。プリンタヘッド1310は、最初に(繊維強化樹脂若しくは純粋な樹脂、又は任意の組み合わせであってもよい)一連の層1320を堆積させて、部分を構築する。プリンタヘッド1310は、従来のXYZ方向での関節運動、並びにXT、YT、及びZT方向での枢動が可能である。
【0124】
図30A〜30Cは、
図29に示されるプリンタヘッドを使用して形成される様々な部分を示している。
図30Aは、XY面内で二次元層として堆積された複数の区画1322を含む部分を示している。区画1324及び1326は、Z方向における強度の増加を部分に与えるため、ZY面内で続いて堆積される。
図30Bは、層1328及び1330がXY面内で形成され、その上にXY面内及びZY面内の両方で延在するシェル1332及び1334が被せられる、関連するシェル印刷方法を示している。図面に示されるように、シェル1332及び1334は、層1328及び1330から形成される下にある芯に完全に重なる(部分1336を参照)か、又はシェルの一つ以上が下にある芯の一部分のみの上に重なってもよい。例えば、部分1338では、シェル1332は層1328及び1330の両方の上に重なっている。しかしながら、シェル1334は、層1328に完全には重なっておらず、図面に示される階段状の構造を作り出している。
図30Cは、三次元プリンタの枢動ヘッドが部分と支持表面との間に遊びを有して、部分芯の下にある層1344上にシェル1342を堆積することが可能になるように、部分をビルドプラテン又は他の支持表面に対して持ち上げるための支持材料1340が追加されている、代替実施形態を示している。
【0125】
上述のプリンタヘッドはまた、連続芯強化フィラメントの異なる配向を含む、離散的な部分区画を備えた部分を形成するのに使用されてもよい。ある部分区画内における連続芯強化フィラメントの配向は実質的にXY方向であってもよく、別の部分区画内における方向はXZ又はYZ方向であってもよい。
【0126】
本発明の印刷プロセスは、選択範囲では高強度複合材料を使用し、他の位置では充填材料(例えば、低強度の複合材、又はナイロンなどの純粋な樹脂)を使用する、充填パターンを利用してもよい(層のスタックを断面で示している
図30D〜30G参照)。充填材料1350のみから形成された部分が
図30Dに示されている。
図30Eでは、複合材料1352は、部分の径方向で最も外側の部分で堆積され、剛性及び強度の所望の増加を提供するため、所望の距離で内側に延在している。部分の残りの部分は充填材料1350で形成されている。ユーザは、一連の
図30D〜30Gによって示されるように、部分の様々な角からより長く又はより短く、複合材対充填材の使用を拡張してもよい。例えば、コントローラ20によって制御される制御アルゴリズムは、同心の充填パスの指定数分、部分の外角及び壁区画をトレースする同心の充填パターンを使用してもよく、その結果、部分の残りは所望の充填材料を使用して充填されてもよい。
【0127】
図31A〜31Cは、様々な部分区画内の異なる繊維配向で形成されてもよい単に一つの形状として、例示的なエーロフォイルの様々な実施形態の断面を示している。「エーロフォイル」は、本明細書では、「異なる方向で異なる表面に沿った可変の強度を有する3D形状」と交換可能である。
【0128】
図31Aは、同じ面内でプラスチックを堆積して三次元部分の各区画を構築する方法を示している。具体的には、区画1350、1352、及び1354は全て同じXY面配向で構築されている。図示される区画は、例証目的で境界を誇張している、隣接した境界面で取り付けられる。
【0129】
図31Bでは、部分は別個の区画1362、1364、及び1366で構築されており、区画1362及び1366の繊維配向1368及び1372は、区画1364の繊維配向1370に対して直交している。区画1364の繊維を他の区画に対して直交させて配向することによって、結果として得られる部分は、Z方向ではるかに高い曲げ強度を有する。更に、部分をこのように構築することによって、設計者は、各方向に沿った強度を規定するように各区画の相対厚さを決定することができる。
【0130】
図31Cは、異なる繊維配向を含む部分区画と組み合わされたシェルを示している。この実施形態では、区画1374、1376、及び1378は、同じ方向で堆積されて芯を形成し、その後、シェル1386が直交方向で印刷される。シェル1386は単層又は複数層であってもよい。更に、シェル1386の複数の層は、設計要件に応じて、芯の下にある部分区画に対して直交以外の様々な配向角度を含んでもよい。この実施形態は、全て同じ方向1380、1382、及び1384の繊維配向を有する内側区画を示しているが、部分区画1374、1376、及び1378は、
図31Bに類似した異なる繊維配向を備えてもよいことが明白であろう。
【0131】
図32は、選択可能なプリンタヘッドを備えた三次元プリンタの任意の実施形態を示している。図示される実施形態では、印刷アーム1400は、自在接続部1404でプリンタヘッド1402に取り付けることができる。連続芯強化フィラメントなどの適切な消費可能材料1406は、プリンタヘッド1402に既に供給されていてもよく、又はヘッドがプリンタ1400に取り付けられた後でプリンタに供給されてもよい。別の印刷材料が望ましい場合、印刷アーム1400はプリンタヘッド1402を関連するホルダに戻す。続いて、プリンタ1400は、異なる提供のために、サイズが異なる、及び/又は異なる材料を含む消費可能材料を印刷することができる、プリンタヘッド1408又は1410を取り上げてもよい。
【0132】
本発明の一つの変形は熱可塑性マトリックスを使用するが、混成システムが可能である。強化フィラメントは、例えば熱、光、レーザー、及び/又は放射を使用して、硬化サイクルによって仕上げられるマトリックスを用いてもよい。例えば、連続炭素繊維が部分硬化されたエポキシ樹脂に埋め込まれ、それにより、押し出された成分は共に粘着するが、完全に固まるには後硬化を要する。同様に、本発明の一つの変形は予め形成された連続芯強化フィラメントを使用するが、いくつかの実施形態では、連続芯強化フィラメントは、加熱押出しノズル内で樹脂マトリックス及び固体連続芯を組み合わせることによって形成されてもよい。樹脂マトリックス及び固体連続芯は、マルチフィラメント芯の複数の境界面と比較して、固体芯の連続する周囲を樹脂で湿潤させることが簡単であるため、境界面に沿って空隙が形成されることなく組み合わせることができる。したがって、かかる実施形態は、堆積される材料の性質を変更することが望ましい場合に特に有用であってもよい。
【0133】
図33は、材料供給の選択肢である繊維又はワイヤ1502、第1のマトリックス1504、及び第2のマトリックス1506を選択的に押し出すことができる混成多重要素プリンタヘッド1500、並びに任意のカッター8を示している。より具体的には、多重要素プリンタヘッド1500は、材料供給の選択肢1502、1504、及び1506のいずれかを、単一要素として又は組み合わせて、選択的に堆積させることができる。例えば、材料1502は、中央のチャネルを通して供給される連続的な銅ワイヤであり、材料1504は、ナイロンプラスチックなどの結合樹脂であり、材料1506は、溶解性又は可溶性の支持材料などの別の結合樹脂である。プリンタヘッド1500は全ての要素を一度に押し出し、その場合、例えば、銅ワイヤ1502は、下面のナイロン結合剤1504及び上面の溶解性支持材料1506によって取り囲まれる(区画1508参照)。プリンタヘッド1500はまた、ナイロン結合剤1504又は可溶性支持材料1506で別個にコーティングされた銅ワイヤ1502を堆積させてもよい(区画1510及び1514参照)。或いは、多重要素プリンタヘッド1500は、あらゆる目的のため、上述の材料の選択肢を単独で堆積させてもよい(セクション1512の露出した銅ワイヤを参照)。
【0134】
プリンタヘッド1500は、任意に、印刷範囲の予熱及び/又は押し出された材料の迅速な冷却を可能にする、空気ノズレット1508を含む(
図33参照)。空気ノズレット1508は、フライングリード、ギャップ架橋、及び不支持機構などの構造の形成を可能にしてもよい。例えば、印刷部分にトレースを形成するため、共押出し絶縁プラスチックと共に、多重要素プリンタヘッド1500によって、導電性芯材料が押し出されてもよい。次に、トレースの端部はフライングリード又はピグテールとして終端されてもよい。これを達成するため、導電性芯及び絶縁ジャケットを釣り合わせて押し出しながら、多重要素プリンタヘッドは持ち上がるであろう。多重要素プリンタヘッドはまた、任意に、空気ノズレット1508を用いて絶縁ジャケットを冷却してもよい。その結果、導電性芯が絶縁ジャケットを伴わずに押し出される場合、ワイヤの端部を「裸ワイヤ」として印刷することができる。次に、カッター8が導電性芯を終端してもよい。上述の方法によるフライングリードの形成は、組立て中のストリップする逓減ストリーム(stripping step down stream)を排除するのに使用されてもよい。
【0135】
図34は、埋め込まれた繊維の周りにマトリックスを提供するステレオリソグラフィ(及び/又は選択的レーザー焼結)、即ち、所望の層構成で集束された放射硬化ビーム(レーザー、UV)を掃引することによって、液状又は粉末状の連続する樹脂が層毎に固化されるプロセスを用いる、別の混成システムを示している。固体材料及びマルチフィラメント材料の両方を含む異なるタイプの連続芯フィラメントと関連付けられる強度並びに機能性を増加させるために、各層の堆積と関連付けられるステレオリソグラフィプロセスを、所望の位置及び方向の連続芯フィラメントを含む複合構成要素の構築を可能にする、二段階プロセスに修正することができる。連続芯又は繊維は、樹脂に完全に又は部分的に沈めて、印刷される層内に所望の位置及び方向で堆積されてもよい。連続繊維が所望の位置及び方向で堆積された後、隣接した樹脂が硬化されて繊維の周りで固まる。これは、連続繊維が堆積される際に行われてもよく、或いは連続繊維が堆積された後で行われてもよい。一実施形態では、連続繊維を切断する必要なく、層全体が単一の連続繊維で印刷される。他の実施形態では、強化繊維は、印刷される層の異なる区画に異なる配向で提供されてもよい。複数の位置及び方向で連続繊維を堆積させるのを容易にするために、連続繊維は、本明細書に記載するようなカッターを使用して、又は樹脂を固めるのに使用されるレーザーによって終端されてもよい。
【0136】
図34は、ステレオリソグラフィを使用してプラテン1602上に構築されている部分1600を示している。部分1600は、トレー1606に収容された液体樹脂(フォトポリマー)材料1604に浸漬されている。部分1600の形成中、プラテン1602は、各層の形成後に層厚さの分連続して下に下げられて、部分1600が沈んだまま保たれる。各層の形成中、連続芯フィラメント1608がノズレット1610を通して供給され、部分1600上に堆積される。ノズレット1610は、形成されている層内で所望の位置並びに所望の方向で連続芯フィラメント1608を堆積するように制御される。連続芯フィラメント1608の供給速度は、既に堆積された連続芯フィラメントの邪魔になるのを回避するため、ノズレット1610の速度に等しくてもよい。連続芯フィラメント1608が堆積されるにつれて、ノズレット1610の移動経路の後方の位置1614で、適切な電磁放射(例えば、レーザー1612)が連続芯フィラメント1608を取り囲む樹脂を硬化させる。位置1614とノズレット1610との間の距離は、硬化に先立って連続芯フィラメントを液体樹脂に完全に沈めることができるように選択されてもよい。レーザーは、ソース1616によって発生し、制御可能なミラー1618によって方向付けられる。三次元プリンタはまた、上述したような連続芯フィラメントの終端を可能にするカッター1620を含む。
【0137】
任意に、堆積されたフィラメントは、連続芯フィラメントを適切な位置で保持しながら追加の芯材料を堆積させる、十分な量の固まった樹脂材料である一つ以上の「粘着部」によって適所で保持される。
図35に示されるように、連続芯フィラメント1608は、連続芯フィラメントが図示されないノズルによって堆積される際に、レーザー1612によって複数の離散的な点1622において適所で粘着される。連続芯フィラメント1608の一部分又は全体を堆積した後、レーザー1612は、液体樹脂材料1604を硬化し現在の層を形成するため、所定のパターンに沿って方向付けられる。上述のシステムと同様に、適切な電磁放射(例えば、レーザー1612)は、ソース1616によって発生し、制御可能なミラー1618によって方向付けられる。材料の残余を硬化させて、隣接したストランド間の架橋を最大限にすることができ、例えば、十分な数のストランドが層上に堆積され、適所で粘着されている場合、樹脂は、連続芯フィラメントの堆積されたストランドの方向に対して垂直に、ビード状で硬化させてもよい。堆積されたストランドに垂直な方向で樹脂を硬化させることによって、隣接したストランド間の結合が増大されて、連続芯フィラメントの堆積されたストランドの方向に垂直な方向における部分の強度が改善されてもよい。層の個別の部分が異なる方向で配向された連続芯フィラメントのストランドを含む場合、硬化パターンは、層の各部分内の連続繊維芯材料のストランドの方向に対して垂直又は平行な線を含んでもよい。
【0138】
ステレオリソグラフィプロセスの間に連続芯フィラメントと樹脂マトリックスとの間の境界面に沿って空隙が形成されるのを回避するため、湿潤又は吸上げを容易にするのが望ましいことがある。連続繊維の湿潤、及び連続マルチフィラメント芯の断面への樹脂の吸上げは、特定の時間量の間、液体樹脂材料を高温で維持するか、連続繊維に対して湿潤剤を使用するか、システムに真空を適用するか、又は他の任意の適切な方法によって容易にすることができる。
【0139】
連続芯強化フィラメントを使用して、繊維配向を使用して所望の方向の性質を備えた様々な複合構造を形成することに加えて、いくつかの実施形態では、繊維方向以外の方向で追加の強度を提供することが望ましい。例えば、連続芯強化フィラメントは、材料の全体強度、又は繊維芯の方向以外の方向の材料強度を向上する、追加の複合材料を含んでもよい。例えば、炭素繊維芯材料は、実質的に垂直に装填されたカーボンナノチューブを含んでもよい。芯上の小さい繊維部材に実質的に垂直に装填することにより、複合材の剪断強度が増大し、有利には、繊維方向に対して実質的に垂直な方向で、結果として得られる部分の強度が増大する。かかる実施形態は、部分が所与の層に沿って離層する傾向を低減する助けとなってもよい。