(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6475239
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】上流縁の近くでその下流側を通じてしっかりと接続されることが可能なターボ機械遠心圧縮機のカバー、およびこのカバーを備えるターボ機械
(51)【国際特許分類】
F04D 29/62 20060101AFI20190218BHJP
F04D 29/42 20060101ALI20190218BHJP
F04D 17/10 20060101ALI20190218BHJP
F01D 25/00 20060101ALI20190218BHJP
F01D 25/24 20060101ALI20190218BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20190218BHJP
【FI】
F04D29/62 C
F04D29/42 H
F04D17/10
F01D25/00 X
F01D25/24 D
F01D25/24 R
F02C7/00 E
F02C7/00 D
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-526683(P2016-526683)
(86)(22)【出願日】2014年7月17日
(65)【公表番号】特表2016-528428(P2016-528428A)
(43)【公表日】2016年9月15日
(86)【国際出願番号】FR2014051842
(87)【国際公開番号】WO2015008000
(87)【国際公開日】20150122
【審査請求日】2017年7月3日
(31)【優先権主張番号】1357109
(32)【優先日】2013年7月18日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516227272
【氏名又は名称】サフラン・エアクラフト・エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブロマン,アラン・マルク・リュシアン
(72)【発明者】
【氏名】バンデラジ,カメル
(72)【発明者】
【氏名】ライヒェルト,パメラ・ドミニク・ダニエル
【審査官】
岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第06585482(US,B1)
【文献】
特表2011−521172(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0002774(US,A1)
【文献】
米国特許第04687412(US,A)
【文献】
特開2010−151133(JP,A)
【文献】
特開2008−144758(JP,A)
【文献】
特開平03−260336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 17/10,29/42,29/62
F01D 25/00,25/24
F02C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機を横断する気体の流れ方向の上流縁(8)および下流縁(10)を備える、タービンエンジンのケーシング(13、15)に固定されるように意図される遠心圧縮機のカバーにして、前記カバー(1)は複数の開口(16)およびケーシングに固定するための手段を備える前記カバーであって、前記カバーは、上流固定手段(20)が開口(16)に対して上流に位置しており、該上流固定手段(20)は、前記カバー(1)の前記開口(16)のうちの少なくとも1つを通じて固定具(22)によってアクセス可能であることを特徴とする、カバー。
【請求項2】
前記開口(16)が、圧縮機内の空気取り込みを目的とする、請求項1に記載のカバー。
【請求項3】
前記上流固定手段が、上流フランジ(14)、および前記上流フランジを穿通する固定孔(20)を備え、前記上流固定手段が、固定具(22)によって作動可能な、ネジ(18)およびナット(19)タイプの締め付け手段(18、19)と協働するように意図されている、請求項1または2に記載のカバー。
【請求項4】
前記上流フランジ(14)が、前記カバー(1)を完全に包囲する壁を形成する、請求項3に記載のカバー。
【請求項5】
各固定孔(20)が、前記開口(16)のうちの少なくとも1つを通る1つの前記ネジ(18)を受けることができるように構成されている、請求項4に記載のカバー。
【請求項6】
前記上流フランジ(14)が、前記カバー(1)の上流縁(8)の付近に延在する、請求項3から5のいずれか一項に記載のカバー。
【請求項7】
タービンエンジンのケーシング(13)に対して保持するための下流フランジ(12)をさらに備え、前記下流フランジは、前記開口(16)と下流縁(10)との間で前記カバー(1)の外壁に締結されて封止手段を形成する、請求項3から6のいずれか一項に記載のカバー。
【請求項8】
請求項3から7のいずれか一項に記載の前記カバー(1)を有する遠心圧縮機を備えるタービンエンジンであって、該タービンエンジンのケーシング(15)が、締め付け手段(18、19)が締め付けられたときに、前記カバー(1)の上流フランジ(14)との封止接続を形成するように配置されている、タービンエンジン。
【請求項9】
タービンエンジンのケーシング(13、15)が、前記カバー(1)とともに、前記カバーの開口(16)を通る空気を回収する少なくとも1つの閉鎖空間(17)を形成するように配置されている、請求項8に記載のタービンエンジン。
【請求項10】
前記カバー(1)の開口(16)のうちの少なくともいくつか、および前記閉鎖空間(17)が、空気取り込みシステムに加わるように設計されている、請求項9に記載のタービンエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タービンエンジン内の遠心圧縮機のカバーの設計に関する。より具体的には、取り込まれる気体のための、ならびに圧縮機の外周にタービンエンジンのケーシングとともに前記カバーによって画定される、空間の封止を維持するための、タービンエンジン内のその組み立ての技術に関する。
【背景技術】
【0002】
タービンエンジン内の遠心圧縮機の機能は、高圧空気供給を燃焼室内に注入する機能である。この目的のため、ロータはフレア型の形状を有しており、燃焼室まで続く回収ダクトの中へ径方向に空気を配向するために、軸流圧縮機の出力から前記空気を取り込む。カバーは、ロータの周りの空気の流れのためのダクトの外壁である、ステータを形成する。
【0003】
タービンエンジンまたは航空機器の動力源として高圧空気を使用するために、遠心圧縮機において空気を取り込むことが知られている。カバーに形成された開口は、空気を使用する機器までこれを分配させることになる回路内に搬送するため、圧縮機のダクト内で前記空気を取り込むことを可能にする。この取り込みの恩恵を漏らさず受けるために、回路は封止されることが重要である。これを実現するために、カバーは、高圧空気を分配する回路の入力に回収空間を作成するため、取り込み開口の周りのケーシングの部品と封止接触させられる。
【0004】
しかしながら、この種の圧縮機のカバーは、実装するのが難しい部品である。これは、圧縮機の効率を最適化するためにロータのブレードからの間隙が可能な限り小さくなることを、前記カバーが保証しなければならないからである。これはまた、上流および下流のダクトの連続性も保証しなければならない。逆に、タービンの動作に関わる機械的および熱的応力は、カバーが位置する領域内のすべての部品、特にロータブレードの、著しい変形を引き起こす。
【0005】
最も大きい半径を有する領域内で、前記カバー上の下流に位置する環状フランジによってケーシングにカバーを固定することは、かなり一般的である。しかしながら取り込み開口は一般的に、カバー上のさらに上流の、中間半径を有する領域内に位置している。この場合、前記フランジをケーシングにボルト留めすることで、取り込み開口の下流の、回収空間の封止を容易に保証することができるようにする。したがって問題は、取り込み開口の上流の回収空間を閉鎖する、カバーとケーシングの別の部品との間の接合部における封止を保証する問題である。この結果を実現するために、封止は、米国特許第7824151号明細書に記載されるような、部品とカバーとの間の接合部によって、または欧州特許第2206882号明細書で提案されるような、単純な中心合わせによって、保証されることが可能である。これらの解決策は漏れを制限するが、特にタービンエンジンの異なる動作速度間での部品の変形のため、完全な封止を保証するものではない。これは圧縮機および高圧空気を取り込むシステムの両方について、圧力の損失を招き、したがって性能の低下も招く。
【0006】
米国特許出願公開第2011/0002774号明細書および仏国特許第2931521号明細書に記載されるものなど、圧縮機カバーのいくつかの設計は、前記カバーを固定するために、圧縮機のカバー上の上流に位置して、タービンエンジンのケーシングにボルト留めされた、フランジを使用する。この場合、フランジのボルト留めは、カバーの上流の空間の封止を保証する。仏国特許第2931521号明細書に記載されるように、圧縮機のカバーを包囲する空間を下流で閉鎖する構造を構築することさえ、可能である。
【0007】
しかしながら、フランジが、特にこの領域における封止を保証するために、カバーの上流部分にボルト留めされているとき、これは組み立て中の固定手段へのアクセス可能性の問題を引き起こす。これは、カバーがアセンブリ用に配置されているときにフランジの構造の一部あるいはフランジが前記手段へのアクセスを遮断するため、またはせいぜい、固定孔のすぐ後に位置する空間がカバー自体の形状によって制限されているため、のいずれかである。この場合、カバーのフランジの固定ネジが、遠心圧縮機の前に位置する軸流圧縮機の下流の空洞からアクセス可能となるように、タービンエンジンの構造を設計する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第7824151号明細書
【特許文献2】欧州特許第2206882号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2011/0002774号明細書
【特許文献4】仏国特許第2931521号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、締め付け手段を使用してカバーを上流縁でタービンエンジンのケーシングに容易に固定するための、そして大きな変更を伴わずに、タービンエンジンのケーシングが組み立て中にカバーのこの部分へのアクセスを許容しない設計に適応することが可能な、単純な解決策を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、タービンエンジンのケーシングに固定されるように意図される遠心圧縮機のカバーに関し、該カバーは、圧縮機を横断する気体の流れ方向の上流縁および下流縁を備え、前記カバーは複数の開口および固定手段を備える。このカバーは、上流固定手段が開口に対して上流に位置しており、該上流固定手段は、カバー内の前記開口のうちの少なくとも1つを通じて固定具によってアクセス可能であることを、特徴とする。
【0011】
カバーの組み立てを容易にする目的は、カバーが所定位置に置かれたときに固定手段への下流からのアクセスを許容することにより、本発明によって達成される。締め付け手段は固定手段上に事前配置されいてもよく、ひいては、締め付けによってケーシングに対してカバーを固定するために、前記手段へのアクセスを提供する開口に固定具を通すだけでよい。
【0012】
有利なことに、この配置は、空気取り込みを目的とする開口に対応する。このためカバーは初めに、圧縮機の領域内に空気を取り込むことによって、高圧空気分配システムに加わるように意図されている。この場合、前記開口は、圧縮機の動作を中断しないように正確に位置決めおよび寸法決めされるという確実性があり、この領域内でカバーの設計を変更する必要はない。
【0013】
好ましくは、遠心圧縮機のカバー用の前記上流固定手段は、外フランジ、および前記フランジを穿通する固定孔を備え、ユニットは、固定具によって作動可能な、ネジおよびナットタイプの締め付け手段と協働するように意図されている。フランジの孔は、加工しやすく、フランジ上に位置決めしやすい。広く使用されているネジおよびナットシステムは、ケーシングに対して前記カバーを締め付けることによって、カバーを容易に固定することができるようにする。たとえば、各上流固定手段はその締め付けのための可動締め付け手段の回転に対応する軸を画定するので、前記軸は、カバーの前記開口のうちの少なくとも1つを通る。具体的には、固定がボルト留めによって達成されるとき、これは複雑な機構を伴わずにスピンドルレンチを使用できるようにする。
【0014】
有利なことに、前記外フランジは、前記カバーを完全に包囲する壁を形成する。固定手段が締め付けられたときに、前記開口の上流でケーシングの部品と封止された周方向接続を保証するように配置された前記フランジは、カバーの開口を通る圧縮機からの空気がタービンエンジンの動作中に前方から逃げるのを防止することができるようにする。まず、これは、カバーの開口を通じて逃げる空気を受ける空間が、タービンエンジンの上流段と連絡してその動作を中断するのを、防止する。加えて、上記で引用された文献にすでに記載されている装置は、前記開口の下流で、その半径が最も大きい領域で、カバーとケーシングとの間の接続の封止を保証できるようにする。このため、タービンエンジンの動作中、圧縮機内の流れが、固定具を通すために使用される孔を介してカバーの外側と連絡させられるという事実は、圧力が均等化するので、圧縮機の効率に対して悪影響を及ぼさない。同様に、別の機器で使用するための空気の取り込みを考慮して、この領域内の漏れの欠如は、空気分配回路内の上昇圧力を維持するのに貢献する。
【0015】
有利なことに、フランジの各固定孔は、カバーの前記開口のうちの少なくとも1つに通すことで、締め付けネジを受けることができる。これはたとえば、ケーシング上にカバーを実装した後に、ネジを通すことができるようにする。変形例において、フランジの孔がケーシングに接続されたスタッド上に位置する場合、開口は、ナットを通ってスタッド上に前記ナットを実装することができるようにする。
【0016】
好ましくは、前記フランジは、カバーの上流縁の付近に延在する。
【0017】
特定の実施形態において、遠心圧縮機のカバーは、タービンエンジンのケーシングに対して保持するための下流フランジをさらに備え、このフランジは、前記開口と下流縁との間でカバーの外壁に締結されて、封止手段を形成する。ケーシングに対して封止された周方向接続を保証するように配置された下流の保持フランジを使用することで、取り込まれた気体を受けるための空間の完全な封止を保証するためにカバーに容易に適応し、その容易な組み立てを許容することができるようにする。有利なことに、このフランジはタービンエンジンのケーシング上にボルト留めされている。
【0018】
本発明はまた、先に記載されたようなカバーを有する遠心圧縮機を備えるタービンエンジンにも関し、そのケーシングは、締め付け手段が締め付けられたときに、カバーの上流フランジとの封止接続を形成するように配置されている。
【0019】
有利なことに、タービンエンジンのケーシングは、前記カバーとともに、カバーの開口を通る空気を回収する少なくとも1つの閉鎖空間を形成するように配置されている。
【0020】
有利なことに、カバーの開口のうちの少なくともいくつか、および前記空気回収空間は、空気取り込みシステムに加わるように設計されている。
【0021】
以下の添付図面を参照して下記の説明を読むことで、本発明はより良く理解され、本発明のその他の詳細、特徴、および利点はより明確になるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明によるカバーを備えるタービンエンジン圧縮機の第1の実施形態の軸方向断面図である。
【
図2】ネジおよびナットの分解図を示す、カバーの上流固定領域における、
図1の拡大図である。
【
図3】組み立て段階における、
図1のカバーを示す、タービンエンジンの軸方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1を参照すると、本発明は、その中でロータホイール3のブレード2が回転するダクトの径方向外壁を形成する、遠心圧縮機のカバー1に関する。ユニットは、図示されないが
図1に対して水平となり、図示される部品の下方にある、軸の周りの回転対称である。この軸の周りを回転することにより、径方向に配向されたその出力5を通じて高圧で空気を放出するために、ロータは、軸方向に配向されたその入力4を通じて前記空気を吸引する。一般的には、前記圧縮機は、図示されないが
図1を参照して右手側に位置し、軸流圧縮機7によって上流で供給される、燃焼室に供給するよう意図された径方向の回収ダクト6の中に、その圧縮空気を排出する。
【0024】
カバー1は、圧縮機の対称軸の周りを回転する部品であり、その形状は、最小限の間隙を伴って、ブレード2の径方向末端によって掃引される表面を辿る。加えて、カバー1は、その上流の前縁8が軸流圧縮機7のダクトの径方向外壁9との形状の連続性を保証するように、およびその下流の後縁10が回収ダクト6の壁11との形状の連続性を保証するように、配置される。
【0025】
タービンエンジンのケーシング上にカバーを固定することで、上述の応力を考慮に入れるために十分に正確なやり方で前記カバーを位置決めすること、ならびに最適な間隙を維持しながらブレード2の変形に従うために、タービンエンジンの動作に従ってカバーを動かすことも、可能にするはずである。
【0026】
具体的にはすでに上記で引用された、米国特許出願公開第2011/0002774号および欧州特許第2206882号明細書など、2つのフランジによってカバーを固定するなど、従来技術において多くのタイプの解決策が提案されている。カバーの保持に関して、2つのフランジによるこのアセンブリは、行われる接続のタイプにおいて考慮されなければならない、カバーの固定点を過剰に決定する。しかしながら、従来技術において引用された文献に示されるように、この種のアセンブリを実現することは、全く可能である。これらが提供する接続の弾性を調整することによって、フランジ間のその他の組み合わせを使用することは、本発明の範囲に含まれる。
【0027】
本発明による第1の実施形態は、2つのフランジを備えるこの種の固定を使用する。回転軸に対して最大半径を有するカバー1の部分で下流に締結された環状フランジ12は、ケーシングの周縁部分13の縁にボルト留めされている。加えて、カバーもまた、その全周にわたって、その上流部分でフランジ14によってケーシングの別の部品15に固定されている。前記フランジ14は、カバー1の外側で半径方向に延在し、カバーの全周にわたって上流縁8を下流縁10から分離させる、円錐台形の部品である。前記フランジは、カバー1の上流縁8の非常に近くでカバー1に固定されており、小さい径方向伸長部を有する。したがって、カバーとケーシングの部品15との間の接続は、上流縁8の非常に近くで行われる。前記フランジ14は、その位置により、以下に挙げられる付加的な恩恵を提供する。
【0028】
いくつかのタービンエンジンにおいて、カバーはまた、航空機の中の様々な機器に向かう分配回路の中に前記空気を導入するために、圧縮機の領域内の高圧空気の取り込みの機能に加わる。
【0029】
図示される例において、カバー1には複数の開口16が穿通しており、そのうちの1つは
図1の断面図に示されている。これらの開口16は、上流縁8上ではカバーの最小半径とほぼ等しく、下流縁10上では最大半径との差の1/4だけ増加する半径を有する、対称軸の周りのリング上に位置している。別の見方をすると、前記開口はまた、カバー1の軸方向プロファイルの最大曲率の領域内に位置している。このように、前記開口は、カバーが圧縮機の内部に流れを閉じ込めるための小さな役割を果たす領域内に位置している。このため前記開口は、圧縮機の動作において著しい劣化を生じることなく、ロータ内を循環している空気のほんの一部をカバーの外側まで通過させるのに十分な断面を有するように、配置されることが可能である。
【0030】
取り込まれた空気は回収空間17内で回収され、これ自体が分配回路(図示せず)と連絡させられる。
図1に示される例において、前記空間17は、
・下流方向では、下流フランジ12そしてケーシングの環状部品13によって、
・上流方向では、上流フランジ14そしてケーシングの環状部品15によって、
カバーの付近でカバー1の一部と接する。
【0031】
このため、
図2に示されるように、上流フランジは、孔20および21、フランジ14、および部品15を通るネジ18およびナット19からなるシステムによって、部品15に固定される。前記孔は当然ながら、カバーの組み立ての間に、互いに向かい合うように位置決めされる。前記孔、特にフランジ14に形成された孔20は、周方向に分布している。フランジ14を穿通する孔20はこのように、これらを包囲するフランジ14の部分とともに、カバー1に締結された同数の固定手段を形成する。前記固定手段20は、部品15に対してフランジ14を加圧するために、環状部分15の縁に配置された孔21ならびにボルト留め手段18、19と協働する。フランジおよび部品15と接触している部分は、ボルト留め手段が締め付けられたときに前記手段によって印加される圧力により、高圧空気に対して接続が封止されることを保証するように、選択的に介在調整シム23とともに、配置される。同様に、下流フランジ12はケーシングの部品13の縁にボルト留めされ、取り出された空気を受けるための空間17がカバー1の下流側で封止されることを保証する。
【0032】
フランジ12は一般的にカバーの外側で径方向に延在し、これにより、カバーを組み立てまたは分解するときに、前記フランジの下流から、ケーシングにボルト留めされたその末端にアクセスできるようにする。
【0033】
この構成の組み立てにおける困難は、カバーの上流の封止を保証するために、ケーシングの部品15が、その半径が最も小さいカバー1の上流縁8に接近する、という事実に存する。タービンエンジン内の組み立ての間、カバーは、
図3に示されるように、すでに組み立てられたケーシングおよび圧縮機の部品の下流に実装される。カバー1は下流フランジ12と同様に、こうして固定手段20およびボルト留め手段18、19へのアクセスを遮断する。本発明によるカバーにおいて、空気の取り込みのために提供されたカバー1の開口16は、前記ケーシングをナット19上にネジ留めするために、たとえばレンチ22などの固定具がフランジ14の孔20およびケーシングの部品15の孔21を通すことによってネジ18(
図3には示されず)のヘッドを把持できるように、フランジ14の固定孔20の反対側に配置されている。
【0034】
図示される例において、ナット19は、その上流側でケーシングの部品15の孔21の反対側に固定され、回転しないようになっている。このため、フランジの孔20およびケーシングの部品15の孔21を通じてナット19の中にネジ18をネジ留めするために、ケーシングの後方からカバーを実装することが可能であり、これらの孔は事前に位置合わせされている。取り込み開口16は、固定孔20の軸に揃えられたレンチ22のスピンドルを通すようになっており、これにより、ネジ18をネジ留めするために前記レンチを回すことができるようにする。また、圧縮機の動作基準に適合したままでありながら、この開口16は、ネジ18のヘッドと協働するレンチ22のヘッドだけでなく、孔20および21を通じてナット19の中に前記ネジを導入するように、ネジ18も通過させられるほど十分に大きい。
【0035】
変形例において、前記レンチヘッドがネジのヘッドの中空パターンと協働する場合には、
図3に示されるものとは反対に、レンチ22のヘッドはネジ18のヘッドよりも小さくてもよい。このようにして、ネジ18は、前記カバーがケーシング上の所定位置に置かれる前に、カバーの上流フランジ14の固定孔20上に事前に位置決めされることが可能である。この場合、取り込み開口16の断面は、比較的小さいレンチ22を通すだけでよい。
【0036】
別の変形例において、ネジ18またはナット19の配置方向が逆転している。このためケーシングの部品15上で回転しないようになっているネジ18は、ナット19がネジ留めされる前に、フランジ14の孔20がその上で所定位置に来るようになっているスタッドを形成する。