【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するために、本発明は、基板と、反射性を有する第1の電極と、半透過半反射性を有する第2の電極と、前記第2の電極の上に位置する光出力結合層と、第1の電極と第2の電極との間に位置する有機層とを含む有機発光表示装置を提供する。
ここで、前記有機層は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層及び電子輸送層を含むとともに、前記正孔注入層は、前記第1の電極に近接しかつ前記第1の電極の上に位置し、前記発光層は、それぞれ赤色、緑色及び青色画素領域に位置する赤色発光層、緑色発光層及び青色発光層を含むことを特徴とする。
また、本発明の有機発光表示装置では、緑色及び赤色画素領域において、前記正孔注入層と正孔輸送層との間に位置する光学補償層をさらに含み、前記光学補償層が少なくとも二層構造であることを特徴とする。
【0010】
上記有機発光表示装置では、緑色画素領域における前記光学補償層は第1の光学補償層及び第2の光学補償層を含み、前記第1の光学補償層の最高占有分子軌道エネルギ準位から第2の光学補償層の最低非占有分子軌道エネルギ準位を引いた値が≧−0.2eVである。また、赤色画素領域における前記光学補償層は第1の光学補償層及び第2の光学補償層を含み、前記第1の光学補償層の最高占有分子軌道エネルギ準位から第2の光学補償層の最低非占有分子軌道エネルギ準位を引いた値が≧−0.2eVであることを特徴とする。
また、上記有機発光表示装置では、緑色画素領域の前記光学補償層は第1の光学補償層及び第2の光学補償層を含み、前記第1の光学補償層の最高占有分子軌道エネルギ準位から第2の光学補償層の最低非占有分子軌道エネルギ準位を引いた値が≧−0.2eVである。また、赤色画素領域の前記光学補償層は第1の光学補償層、第2の光学補償層、第3の光学補償層及び第4の光学補償層を含む。前記第1の光学補償層の最高占有分子軌道エネルギ準位から第2の光学補償層の最低非占有分子軌道エネルギ準位を引いた値が≧−0.2eVであり、前記第3の光学補償層に用いられる材料が前記第1の光学補償層の材料と同じであり、前記第4の光学補償層に用いられる材料及び厚さが前記第2の光学補償層と同じであることを特徴とする。
【0011】
上記有機発光表示装置は、前記緑色画素領域及び赤色画素領域の第1の光学補償層の材料の一般化学式が、
【化1】
又は
【化2】
であることを特徴とする。
上記有機発光表示装置は、前記緑色画素領域及び赤色画素領域の第2の光学補償層の材料の一般化学式が、
【化3】
であることを特徴とする。
上記有機発光表示装置は、前記緑色画素領域及び赤色画素領域の第2の光学補償層の材料がHAT(CN)であり、その分子構造が、
【化4】
であることを特徴とする。
【0012】
上記有機発光表示装置において、前記緑色画素領域及び赤色画素領域の第2の光学補償層の厚さが5〜15nmである。
上記有機発光表示装置において、前記正孔注入層は二層構造であり、第1の電極の上に位置する第1の正孔注入層と該第1の正孔注入層の上に位置する第2の正孔注入層とを含み、該第1の正孔注入層の材料は前記第1の光学補償層に用いられる材料と同じであり、該第2の正孔注入層の材料は前記第2の光学補償層に用いられる材料と同じである。
上記有機発光表示装置において、前記第1の正孔注入層と第1の電極との間に第3の正孔注入層が設けられ、該第3の正孔注入層に用いられる材料は第2の正孔注入層と同じである。
【0013】
上記有機発光表示装置において、前記第1の光学補償層の材料は
【化5】
及び
【化6】
とのドーピング構造であり、そのドーピング比が100:1〜5:1であり、或いは、前記第1の光学補償層の材料は、
【化7】
及び、
【化8】
とのドーピング構造であり、そのドーピング比が100:1〜5:1である。
本発明において、赤色及び緑色光装置の光学補償層の厚さは異なり、それぞれのスペクトル共振周期の光路長要件を満たす。同時に、本発明の有機発光表示装置の構造を採用すると、装置の各項の光学的及び電気的性能を効果的に改善し、かつ広い材料選択範囲を得ることができる。
【0014】
本発明が解決しようとする他の技術課題は、トップエミッション型OLED装置において、視野角のシフトにつれて輝度及び色度の偏差が生じるという現象を改善するために、視野角特性を改善したトップエミッション型OLED装置を提供することである。
上記技術課題を解決するために、本発明は以下の技術手段を採用する。
本発明は、基板と、基板に積層して設けられた第1の電極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、第2の電極、光出力結合層とを含み、前記第2の電極の光透過率が25%以上であり、前記正孔注入層の屈折率が1.8以上である視野角特性を改善したトップエミッション型OLED装置を提供する。
上記視野角特性を改善したトップエミッション型OLED装置において、前記第2の電極は酸化インジウムスズ又は酸化インジウム亜鉛又は金属銀である。
上記視野角特性を改善したトップエミッション型OLED装置において、前記第2の電極は第1の金属層及び第2の金属層を含み、第1の金属層がアルカリ金属又はその合金、アルカリ土類金属又はその合金であり、第2の金属層が金属銀である。
上記視野角特性を改善したトップエミッション型OLED装置において、前記第2の電極の厚さは10nm〜30nmである。
【0015】
上記視野角特性を改善したトップエミッション型OLED装置において、前記発光層の発光波長が青色波長帯にある場合、前記正孔注入層の屈折率N≧2.0である。 上記視野角特性を改善したトップエミッション型OLED装置において、前記発光層の発光波長が緑色波長帯にある場合、前記正孔注入層の屈折率N≧1.9である。
上記視野角特性を改善したトップエミッション型OLED装置において、前記発光層の発光波長が赤色波長帯にある場合、前記正孔注入層の屈折率N≧1.8である。
【0016】
上記視野角特性を改善したトップエミッション型OLED装置において、前記正孔注入層の材料は三級アミン系化合物であり、その分子一般式は、
【化9】
である。
ここで、R
2、R
3、R
4、R
5はそれぞれ水素原子、アルキル基、アリール基から選択され、
R
1は
【化10】
又は
【化11】
又は
【化12】
であり、L1とL2はアセン化合物であり、その分子式はそれぞれ
【化13】
及び
【化14】
である。
【0017】
上記視野角特性を改善したトップエミッション型OLED装置において、前記正孔注入層の材料の構造式は、
【化15】
又は
【化16】
又は
【化17】
又は
【化18】
又は
【化19】
又は
【化20】
又は
【化21】
である。
【0018】
上記視野角特性を改善したトップエミッション型OLED装置において、前記光出力結合層は、バソクプロイン材料層である。
前記視野角特性を改善したトップエミッション型OLED装置では、緑色及び赤色画素領域において前記正孔注入層と正孔輸送層との間に位置する光学補償層をさらに含み、前記光学補償層は少なくとも二層構造であることを特徴とする。
前記視野角特性を改善したトップエミッション型OLED装置では、緑色画素領域における前記光学補償層は第1の光学補償層及び第2の光学補償層を含み、前記第1の光学補償層の最高占有分子軌道エネルギ準位から第2の光学補償層の最低非占有分子軌道エネルギ準位を引いた値が≧−0.2eVであり、赤色画素領域における前記光学補償層は第1の光学補償層及び第2の光学補償層を含み、前記第1の光学補償層の最高占有分子軌道エネルギ準位から第2の光学補償層の最低非占有分子軌道エネルギ準位を引いた値が≧−0.2eVであることを特徴とする。
前記視野角特性を改善したトップエミッション型OLED装置では、緑色画素領域における前記光学補償層は第1の光学補償層及び第2の光学補償層を含み、前記第1の光学補償層の最高占有分子軌道エネルギ準位から第2の光学補償層の最低非占有分子軌道エネルギ準位を引いた値が≧−0.2eVである。また、赤色画素領域における前記光学補償層は第1の光学補償層、第2の光学補償層、第3の光学補償層及び第4の光学補償層を含み、前記第1の光学補償層の最高占有分子軌道エネルギ準位から第2の光学補償層の最低非占有分子軌道エネルギ準位を引いた値が≧−0.2eVであり、前記第3の光学補償層に用いられる材料が前記第1の光学補償層の材料と同じであり、前記第4の光学補償層に用いられる材料及び厚さが前記第2の光学補償層と同じであることを特徴とする。
【0019】
上記視野角特性を改善したトップエミッション型OLED装置では、前記緑色画素領域及び赤色画素領域における第1の光学補償層の材料の一般化学式は、
【化22】
又は
【化23】
であることを特徴とする。
上記視野角特性を改善したトップエミッション型OLED装置では、前記緑色画素領域及び赤色画素領域における第2の光学補償層の材料の一般化学式は、
【化24】
であることを特徴とする。
上記視野角特性を改善したトップエミッション型OLED装置は、前記緑色画素領域及び赤色画素領域における第2の光学補償層の材料はHAT(CN)であり、その分子構造は、
【化25】
であることを特徴とする。
【0020】
上記視野角特性を改善したトップエミッション型OLED装置において、前記緑色画素領域及び赤色画素領域の第2の光学補償層の厚さは5〜15nmである。
上記視野角特性を改善したトップエミッション型OLED装置において、前記正孔注入層は二層構造であり、第1の電極の上に位置する第1の正孔注入層と該第1の正孔注入層の上に位置する第2の正孔注入層とを含み、該第1の正孔注入層の材料は前記第1の光学補償層に用いられる材料と同じであり、該第2の正孔注入層の材料は前記第2の光学補償層に用いられる材料と同じである。
上記視野角特性を改善したトップエミッション型OLED装置において、前記第1の正孔注入層と第1の電極との間に第3の正孔注入層が設けられ、該第3の正孔注入層に用いられる材料は第2の正孔注入層と同じである。
【0021】
上記視野角特性を改善したトップエミッション型OLED装置であって、前記第1の光学補償層の材料は、
【化26】
及び、
【化27】
とのドーピング構造であり、そのドーピング比が100:1〜5:1であり、
或いは、前記第1の光学補償層の材料は、
【化28】
及び、
【化29】
とのドーピング構造であり、そのドーピング比が100:1〜5:1である。
【0022】
上記視野角特性を改善したトップエミッション型OLED装置では、前記第1の光学補償層の材料は三級アミン系化合物であり、その分子一般式は
【化30】
である。
ここで、R
2、R
3、R
4、R
5がそれぞれ水素原子、アルキル基、アリール基から選択され、
R1が
【化31】
又は
【化32】
又は
【化33】
であり、L1とL2がアセン化合物であり、それらの分子式はそれぞれ、
【化34】
及び、
【化35】
であることを特徴とする。
【0023】
上記視野角特性を改善したトップエミッション型OLED装置は、前記緑色画素領域及び赤色画素領域の第1の光学補償層の材料の構造式が、
【化36】
又は
【化37】
又は
【化38】
又は
【化39】
又は
【化40】
又は
【化41】
又は
【化42】
であることを特徴とする。