特許第6475265号(P6475265)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許64752651−インダノールおよび1−インダンアミンを製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6475265
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】1−インダノールおよび1−インダンアミンを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 67/297 20060101AFI20190218BHJP
   C07C 69/22 20060101ALI20190218BHJP
   C07F 7/18 20060101ALI20190218BHJP
   C07D 307/93 20060101ALI20190218BHJP
   C07D 209/48 20060101ALI20190218BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20190218BHJP
【FI】
   C07C67/297
   C07C69/22
   C07F7/18 D
   C07F7/18 G
   C07F7/18 E
   C07D307/93
   C07D209/48
   !C07B61/00 300
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-565561(P2016-565561)
(86)(22)【出願日】2015年1月23日
(65)【公表番号】特表2017-508783(P2017-508783A)
(43)【公表日】2017年3月30日
(86)【国際出願番号】EP2015051344
(87)【国際公開番号】WO2015113903
(87)【国際公開日】20150806
【審査請求日】2017年12月6日
(31)【優先権主張番号】14152790.3
(32)【優先日】2014年1月28日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507203353
【氏名又は名称】バイエル・クロップサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【弁理士】
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】フォード,マルク・ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】ヴォース,ジャン−ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ボードワン,オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】ジャノディー,シモン
【審査官】 伊佐地 公美
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0035830(US,A1)
【文献】 PINCOCK, J. A. et al.,The Journal of Organic Chemistry,1995年,Vol. 60,pp. 4067-4076
【文献】 FANG, H. et al.,The Journal of Organic Chemistry,2010年,Vol. 75,pp. 5619-5626
【文献】 PIERRE, C. et al.,Organic Letters,2011年,Vol. 13, No. 7,pp. 1816-1819
【文献】 MARTIN, N. et al.,Chemistry: A European Journal,2012年,Vol. 18,pp. 4480-4484
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C07D
C07F
C07B
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)の1−インダノールおよび1−インダンアミンを調製する方法であって、
1−(2−ハロフェニル)アルカン−1−オールまたは1−(2−ハロフェニル)アル
カン−1−アミン(II)を高温で、パラジウム触媒作用の下、ホスフィンリガンド、塩
基および溶媒の存在下で反応させることを含み、前記高温が、100℃超から当該溶媒の沸点までである、方法。
【化1】

[式中、ラジカル、記号および指数が次のように定義される:
Yは、NRまたはORであり、
は、水素もしくはCORであり、
は、CORであり、
またはRおよびRは、COCHCHCO基もしくはCO−フェニレン−CO基を
共に形成し、
は、Si(Rまたは2,2−ジメチルプロパノイルであり、
は、(C−C)−アルキルまたはフェニルであり、
は、(C−C)−アルキルまたはフェニルであり、
Halは、塩素、臭素またはヨウ素であり、
Rは、フッ素、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−アルコキシであり、
は、水素もしくは(C−C)−アルキルであり、
は、水素もしくは(C−C)−アルキルであり、
は、水素もしくは(C−C)−アルキルであり、
は、水素もしくは(C−C)−アルキルであり、
または
およびX、もしくは
およびX、もしくは
およびXは、それらが結合している炭素原子と共に、各々の場合に3員から7員の
飽和環を形成し、
または
YおよびXは、それらが結合している炭素原子と共に、5員から7員の飽和環を形成し

mは、0、1、2または3である。]
【請求項2】
式中、ラジカル、記号および指数が以下の定義を有する、請求項1に記載の方法:
Yが、NRまたはORであり、
は、水素またはCORであり、
は、CORであり、
は、Si(Rまたは2,2−ジメチルプロパノイルであり、
は、tert−ブチルであり、
は、イソプロピルであり、
Halが、臭素またはヨウ素であり、
Rが、フッ素、メチルまたはメトキシであり、
が、水素もしくはメチルであり、
が、水素もしくはメチルであり、
が、水素もしくはメチルであり、
が、水素もしくはメチルであり、
または
およびX、もしくは
およびX、もしくは
およびXが、それらが結合している炭素原子と共に、各々の場合に3員から7員の
飽和環を形成し、
または
YおよびXが、それらが結合している炭素原子と共に、5員から7員の飽和環を形成し

mが、0、1、2または3である。
【請求項3】
用いられる前記パラジウム触媒が、Pd(OAc)、トリス(ジベンジリデンアセト
ン)ジパラジウム(0)、PdClおよびPdBrよりなる群からの化合物である、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
Pd(OAc)が用いられる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
トリフェニルホスフィンがリガンドとして用いられる、請求項1から4のいずれかに記
載の方法。
【請求項6】
テトラキス(トリフェニルホスフィニル)パラジウムが、組み合わされたパラジウム触
媒およびリガンドとして用いられる、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記パラジウム触媒およびリガンド、または、それらの前記組み合わせが、各々の場合
において、化合物(II)に基づき、0.1から10mol%の量で用いられる、請求項
1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記パラジウム触媒およびリガンド、または、それらの前記組み合わせが、各々の場合
において、化合物(II)に基づき、1から5mol%の量で用いられる、請求項7に記
載の方法。
【請求項9】
用いられる前記塩基が、アルカリ金属の炭酸塩およびアルカリ金属のピバリン酸塩の混
合物である、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記塩基が、化合物(II)に基づき、1から5モルの割合で用いられる、請求項1か
ら8のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
用いられる前記溶媒が芳香族化合物の群からのものである、請求項1から10のいずれ
かに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パラジウム触媒アリール化により1−インダノールおよび1−インダンアミンを調製する方法、ならびにファインケミカルおよび活性農薬成分の合成のための中間体としてのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
式中、Yがヒドロキシル基またはアミノ基で置換されている式(I)の1−インダノールおよび1−インダンアミンは、例えばWO2004/069814A1およびWO2007/112834A1中に開示されているように、数多くの農学的活性物質において重要な構造的要素を構成する。
【化1】
【0003】
J.A.Pincock et al.:“The Photochemistry of Conformationally Rigid Benzylic Esters:2,2−Dimethyl−1−indanyl Acetates and Pivalates”, The Journal of Organic Chemistry 1995,13,4067は、対応する1−インダノンの還元による1−インダノールの調製について記述する。
【0004】
Hui Fang et al.:“Rapid Catalyst Screening by a Continuous−Flow Microreactor lnterfaced with Ultra−High−Pressure Liquid Chromatography”, The Journal of Organic Chemistry 2010,16,5619は、対応する3−(3,4−ジメトキシフェニル)−2,2−ジメチルプロパンニトリルまたはアシルアミナール前駆体から出発するインダンアミンの合成について記述する。
【0005】
C.Pierre,O.Baudoin,Org.Lett.2011,13,1816およびN.Martin,C.Pierre,M.Davi,R.Jazzar,O.Baudoin,O.Chem.−Eur.J. 2012,18,4480から、2−ハロケトン(IIa)または2−ハロ化合物(IIb)のパラジウム(0)触媒アリール化は公知である。出発化合物(IIa)および(IIb)は、いずれの場合も、水素原子を有さない炭素原子(式IIa中のC=Oおよび式IIb中のCRY、ここでRおよびYは各々水素以外のものである)がフェニル環上のハロゲン原子に対して2位にある化合物である:
【化2】
【0006】
しかしながら、これらの文献中で特定されている1−インダノールおよび1−インダンアミンを調製する方法は、多数の不都合がありそれ故に工業生産に使用できないため、ラボスケールでの実施に限定されている。2−ハロ化合物のパラジウム触媒アリール化を介した公知の従来技術の調製方法のさらなる非常に顕著な不都合は、水素原子を有さない炭素原子がフェニル環上のハロゲン原子に対して2位にあり、そのためにRが水素でない1−インダノールおよび1−インダンアミン(Ia)の形成を導く出発化合物(IIa)および(IIb)についてしかこれまでに記載されていないことである。
【0007】
一方、上述の農学的活性物質を調製するため、中間体として興味深いのは、式(I)の1−インダノールおよび1−インダンアミン、すなわちラジカルYにより置換されている炭素原子がなお水素原子を有するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO2004/069814A1
【特許文献2】WO2007/112834A1
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】J.A.Pincock et al.:“The Photochemistry of Conformationally Rigid Benzylic Esters:2,2−Dimethyl−1−indanyl Acetates and Pivalates”, The Journal of Organic Chemistry 1995,13,4067
【非特許文献2】Hui Fang et al.:“Rapid Catalyst Screening by a Continuous−Flow Microreactor lnterfaced with Ultra−High−Pressure Liquid Chromatography”, The Journal of Organic Chemistry 2010,16,5619
【非特許文献3】C.Pierre,O.Baudoin,Org.Lett.2011,13,1816
【非特許文献4】N.Martin,C.Pierre,M.Davi,R.Jazzar,O.Baudoin,O.Chem.−Eur.J. 2012,18,4480
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、従来技術から公知の調製方法の不都合を克服する、1−インダノールおよび1−インダンアミンを調製する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
1−インダノールおよび1−インダンアミンは1−(2−ハロフェニル)アルカン−1−オールまたは1−(2−ハロフェニル)アルカン−1−アミンのパラジウム触媒アリール化により高収率で調製できることが見出された。
【0012】
本発明は、したがって、一般式(I)の1−インダノールおよび1−インダンアミンを調製する方法であって、1−(2−ハロフェニル)アルカン−1−オールまたは1−(2−ハロフェニル)アルカン−1−アミン(II)を高温で、パラジウム触媒作用の下、ホスフィンリガンド、塩基および溶媒の存在下で反応させることを含む方法を提供するものであり、
【化3】
【0013】
式中、ラジカル、記号および指数は次のように定義される:
Yは、NRまたはORであり、
は、水素もしくはCORであり、
は、CORであり、
またはRおよびRは、COCHCHCO基もしくはCO−フェニレン−CO基を共に形成し、
は、Si(Rまたはピバロイル(2,2−ジメチルプロパノイル)であり、
は、(C−C)−アルキルまたはフェニルであり、
は、(C−C)−アルキルまたはフェニルであり、
Halは、塩素、臭素またはヨウ素であり、
Rは、フッ素、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−アルコキシであり、
は、水素もしくは(C−C)−アルキルであり、
は、水素もしくは(C−C)−アルキルであり、
は、水素もしくは(C−C)−アルキルであり、
は、水素もしくは(C−C)−アルキルであり、
または
およびX、もしくは
およびX、もしくは
およびXは、それらが結合している炭素原子と共に、各々の場合に3員から7員の飽和環を形成し、
または
YおよびXは、それらが結合している炭素原子と共に、5員から7員の飽和環を形成し、
mは、0、1、2または3である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
好適なパラジウム触媒は、例えば、Pd(OAc)2、Pd2dba3(トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0))、PdCl2およびPdBr2であり、Pd(OAc)2が好ましい。パラジウム触媒は、化合物(II)に基づき、0.1から10mol%、好ましくは1から10mol%、より好ましくは1から5mol%の量で慣例的に用いられる。
【0015】
好適なホスフィンリガンドは、例えば、トリアルキルホスフィン、トリシクロアルキルホスフィン、例えばトリシクロヘキシルホスフィンなど、トリアリールホスフィン、例えばトリフェニルホスフィン、トリ−オルト−トリルホスフィン、トリ(4−ジメチルアミノフェニル)ホスフィンなど、およびアルキルジアリールホスフィン、例えばブチルジフェニルホスフィンなどであり、トリフェニルホスフィンがとりわけ好ましい。ホスフィンはまた、例えばHBF4との塩の形態で用いられ得る。ホスフィンリガンドは、化合物(II)に基づき、0.1から10mol%、好ましくは1から10mol%、より好ましくは1から5mol%の量で慣例的に用いられる。
【0016】
パラジウム触媒およびホスフィンリガンドは、別々の化合物として用いることができるが、予め形成させた錯体の形態で−例えばテトラキス(トリフェニルホスフィニル)パラジウムとして有用に用いることもでき、これがとりわけ好ましい。
【0017】
好適な塩基は、例えば、アルカリ金属の炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、アルコキシドおよびカルボン酸塩であり、例えばLiCO、NaCO、KCO、NaHCO、KHCO、KPO、KHPO、NaOMe、NaOEt、NaOiPr、NaOtBu、KOMe、KOEt、KOiPr、KOtBu、NaOAc、KOAc、NaOPiv(ピバリン酸ナトリウム)、KOPiv、NaOCOPhおよびKOCOPhなど、またはかかる塩基の混合物である。炭酸塩およびカルボン酸塩の混合物が好ましい。KCOおよびKOPivの混合物がとりわけ好ましい。塩基は、化合物(II)に基づき、1から5モルの割合で慣例的に用いられる。
【0018】
好適な溶媒は、例えば、芳香族化合物、例えばトルエン、キシレン、クロロベンゼンおよびアニソールなど;エーテル、例えばジブチルエーテル、ジフェニルエーテルおよびポリグリコールエーテルなど;エステル、例えば酢酸ブチルおよび酢酸イソプロピルなど;アミド、例えばジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドおよびジブチルホルムアミドなど、またはそれらの混合物である。とりわけ好ましいのは、芳香族化合物の溶媒、例えばキシレンなどである。
【0019】
本発明の調製方法は、100℃超から当該溶媒の沸点までの高温で慣例的に実施される。120から150℃の範囲が好ましい。当該溶媒の沸点がこれを下回るなら、過圧下で操作するのが有用である。
【0020】
調製方法は、好ましくは、上で特定した式の化合物であって、式中、ラジカル、記号および指数が次のように定義される化合物のために実施される:
Yは、NRまたはORであり、
は、水素またはCORであり、
は、CORであり、
は、Si(Rまたは2,2−ジメチルプロパノイルであり、
は、tert−ブチルであり、
は、イソプロピルであり、
Halは、臭素またはヨウ素であり、
Rは、フッ素、メチルまたはメトキシであり、
は、水素もしくはメチルであり、
は、水素もしくはメチルであり、
は、水素もしくはメチルであり、
は、水素もしくはメチルであり、
または
およびX、もしくは
およびX、もしくは
およびXは、それらが結合している炭素原子と共に、各々の場合に3員から7員の飽和環を形成し、
または
YおよびXは、それらが結合している炭素原子と共に、5員から7員の飽和環を形成し、
mは、0、1、2または3である。
【0021】
式(I)および以下の全ての式において、炭素原子を2個より多く持つアルキルラジカルは、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。アルキルラジカルは、例えば、メチル、エチル、n−またはイソプロピル、n−、iso−、tert−または2−ブチル、ペンチルおよびヘキシル、例えばn−ヘキシル、イソヘキシルおよび1,3−ジメチルブチルなどである。
【0022】
以下の実施例は本発明を説明するものである。
【実施例】
【0023】
ここで用いられる略語は:
Ac アセテート Cy シクロヘキシル Cyp シクロペンチル
Me メチル Ph フェニル Piv ピバレート
TiPs トリイソプロピルシリル
である。
【0024】
全般的説明:
不活性ガス下、パラジウム触媒(0.015mmol、5mol%)、任意選択でホスフィンリガンド(0.03mmol、10mol%)、および塩基、例としてピバリン酸カリウム(0.030mmol、10mol%)およびKCO(0.3mmol、1.0当量)を導入し、溶媒(3mlのキシレン)および式(II)の化合物(0.3mmol、1.0当量)を加える。混合物を次いで室温で10分間撹拌し、続いて140℃まで加熱し、この温度で16時間撹拌する。反応混合物を室温まで冷却した後にろ過し、溶媒を取り去り、残渣をクロマトグラフィーにより精製する。
【0025】
実施例1:[1−(2−ブロモフェニル)−2,2−ジメチルプロポキシ](トリイソプロピル)シランからの2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)オキシ)トリイソプロピルシランの調製
【化4】
【0026】
反応は、全般的説明に沿って、5mol%のPd(PPhを使用して行われ、89%の収率を与えた。
【0027】
H NMR(300MHz,CDCl,293K) δ1.01(s,3H),1.06−1.25(m,24H),2.60(d,J=15.2Hz,1H),2.75(d,J=15.2Hz,1H),4.93(s,1H),7.11−7.22(m,3H),7.29−7.38(m,1H).
実施例2:[1−(2−ブロモフェニル)−シクロプロピルエトキシ](トリイソプロピル)シランからの((2’,3’−ジヒドロスピロ[シクロプロパン−1,1’−インデン]−3’−イル)オキシ)トリイソプロピルシランの調製
【化5】
【0028】
反応は、全般的説明に沿って、5mol%のPd(PPhを使用して行われ、69%の収率を与えた。
【0029】
H NMR(300MHz,CDCl,293K) δ0.70−0.82(m,1H),0.85−0.96(m,1H),1.00−1.27(m,23H),2.31(d,J=7.2Hz,2H),5.60(t,J=7.2Hz,1H),6.67−6.76(m,1H),7.17−7.27(m,2H),7.39−7.46(m,1H).
実施例3:[1−(2−ブロモ−4,5−ジメトキシフェニル)−2,2−ジメチルプロポキシ](トリ−tert−ブチル)シランからの((5,6−ジメトキシ−2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)オキシ)トリイソプロピルシランの調製
【化6】
【0030】
反応は、全般的説明に沿って、5mol%のPd(PPhを使用して行われ、84%の収率を与えた。
【0031】
H NMR(300MHz,CDCl,293K) δ1.02(s,3H),1.06−1.25(m,24H),2.53(d,J=15.0Hz,1H),2.69(d,J=15.0Hz,1H),3.85(s,6H),4.86(s,1H),6.69(s,1H),6.89(s,1H).
実施例4:[1−(2−ブロモ−5−メトキシフェニル)−2,2−ジメチルプロポキシ](トリ−tert−ブチル)シランからの((6−メトキシ−2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)オキシ)トリイソプロピルシランの調製
【化7】
【0032】
反応は、全般的説明に沿って、5mol%のPd(PPhを使用して行われ、81%の収率を与えた。
【0033】
H NMR(300MHz,CDCl,293K) δ0.98(s,3H),1.05−1.28(m,24H),2.54(d,J=14.8Hz,1H),2.65(d,J=14.8Hz,1H),3.79(s,3H),4.90(s,1H),6.73(dd,J=2.5,8.1Hz,1H),6.89(d,J=2.5Hz,1H),7.04(d,J=8.1Hz,1H).
実施例5:[1−(2−ブロモ−5−フルオロフェニル)−2,2−ジメチルプロポキシ](トリ−tert−ブチル)シランからの((6−フルオロ−2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)オキシ)トリイソプロピルシランの調製
【化8】
【0034】
反応は、全般的説明に沿って、5mol%のPd(PPhを使用して行われ、84%の収率を与えた。
【0035】
H NMR(300MHz,CDCl,293K) δ1.00(s,3H),1.06−1.26(m,24H),2.55(d,J=15.0Hz,1H),2.68(d,J=15.0Hz,1H),4.90(s,1H),6.87(ddd,J=2.5,8.1,9.2Hz,1H),7.00(dd,J=2.5,8.7Hz,1H),7.07(dd,J=5.2,8.1Hz,1H).
実施例6:1−(2−ブロモフェニル)−2,2−ジメチルプロピル 2,2−ジメチルプロパノエートからの2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル 2,2−ジメチルプロパノエートの調製
【化9】
【0036】
反応は、全般的説明に沿って、5mol%のPd(PPhを使用して行われ、95%の収率を与えた。
【0037】
H NMR(300MHz,CDCl,293K) δ1.09(s,3H),1.16(s,3H),1.21(s,9H),2.69(d,J=15.3Hz,1H),2.87(d,J=15.3Hz,1H),5.81(s,1H),7.09−7.29(m,4H).
実施例7:1−(2−ブロモ−5−メトキシフェニル)−2,2−ジメチルプロピル 2,2−ジメチルプロパノエートからの6−メトキシ−2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル 2,2−ジメチルプロパノエートの調製
【化10】
【0038】
反応は、全般的説明に沿って、5mol%のPd(PPhを使用して行われ、88%の収率を与えた。
【0039】
H NMR(300MHz,CDCl,293K) δ1.09(s,3H),1.16(s,3H),1.22(s,9H),2.63(d,J=15.3Hz,1H),2.80(d,J=15.3Hz,1H),3.77(s,3H),5.79(s,1H),6.77−6.84(m,2H),7.05−7.12(m,1H).
実施例8:1−(2−ブロモ−5−フルオロフェニル)−2,2−ジメチルプロピル 2,2−ジメチルプロパノエートからの6−フルオロ−2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル 2,2−ジメチルプロパノエートの調製
【化11】
【0040】
反応は、全般的説明に沿って、5mol%のPd(PPhを使用して行われ、76%の収率を与えた。
【0041】
H NMR(300MHz,CDCl,293K) δ1.08(s,3H),1.16(s,3H),1.22(s,9H),2.65(d,J=15.4Hz,1H),2.81(d,J=15.4Hz,1H),5.76(s,1H),6.87−6.99(m,2H),7.08−7.15(m,1H).
実施例9:5−(2−ブロモフェニル)−4,4−ジメチルジヒドロフラン−2(3H)−オンからの(3aR*,8bS*)−3a−メチル−3,3a,4,8b−テトラヒドロ−2H−インデノ[1,2−b]フラン−2−オンの調製
【化12】
【0042】
反応は、全般的説明に沿って、5mol%のPd(PPhを使用して行われ、88%の収率を与えた。
【0043】
H NMR(300MHz,CDCl,293K) δ1.34(s,3H),2.45(d,J=17.8Hz,1H),2.51(d,J=17.8Hz,1H),2.87(d,J=16.4Hz,1H),3.00(d,J=16.4Hz,1H),5.32(s,1H),7.13−7.29(m,3H),7.36(d,J=7.2Hz,1H).
実施例10:2−[1−(2−ブロモフェニル)−2−メチルプロピル]−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオンからの2−(2−メチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)イソインドリン−1,3−ジオンの調製
【化13】
【0044】
反応は、全般的説明に沿って、5mol%のPd(PPhを使用して行われ、54%のトランス異性体収率を与えた。
【0045】
H NMR(300MHz,CDCl,293K) δ1.27(d,J=6.8Hz,3H),2.65(dd,J=8.6,15.6Hz,1H),3.00−3.18(m,1H),3.37(dd,J=8.2,15.6Hz,1H),5.43(d,J=8.2Hz,1H),7.01(d,J=7.6Hz,1H),7.11−7.19(m,1H),7.20−7.30(m,2H),7.70−7.79(m,2H),7.82−7.91(m,2H).
実施例11:2−[1−(2−ブロモフェニル)−2,2−ジメチルプロピル]−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオンからの2−(2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)イソインドリン−1,3−ジオンの調製
【化14】
【0046】
反応は、全般的説明に沿って、5mol%のPd(PPhを使用して行われ、86%の収率を与えた。
【0047】
H NMR(300MHz,CDCl,293K) δ0.64(s,3H),0.83(s,3H),2.34(d,J=15.6Hz,1H),2.87(d,J=15.6Hz,1H),4.9(s,1H),6.66−6.77(m,2H),6.80−6.89(m,2H),7.16−7.33(m,3H),7.42−7.49(m,1H).
実施例12:2−[1−(2−ブロモ−5−メチルフェニル)−2−メチルプロピル]−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオンからの2−[(1R,2S)−2,6−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル]−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオンを介した(1R,2S)−2,6−ジメチルインダン−1−アミンの調製
【化15】
【0048】
反応は、最初に全般的説明に沿って、5mol%のPd(PPhを使用して行われ、55%の一次生成物収率を与えた。
【0049】
H NMR(300MHz,CDCl,293K) δ1.24(d,J=7.0Hz,3H),2.25(s,3H),2.58(dd,J=8.0,15.7Hz,1H),2.97−3.15(m,1H),3.32(dd,J=8.2,15.7Hz,1H),5.37(d,J=8.2Hz,1H),6.80(s,1H),7.03(d,J=7.5Hz,1H),7.14(d,J=7.5Hz,1H),7.70−7.78(m,2H),7.80−7.90(m,2H).
次いで、1mlのメタノールおよび1mlのTHF中0.17mmolの2−(2,6−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)イソインドリン−1,3−ジオンの溶液を、0℃で、1.7mmolのヒドラジン水和物と混ぜた。混合物を次いで室温で12時間撹拌した。混合物をろ過し、濃縮した。残渣をDCMと水との間で分画し、有機相を分離し、飽和NaHCOで洗浄した。MgSOでの乾燥および濃縮後、生成物を固形物として98%の収率で得た。
【0050】
H NMR(300MHz,CDCl,293K) δ1.25(d,J=6.7Hz,3H),1.68(s,2H),1.90−2.08(m,1H),2.35(s,3H),2.44(dd,J=9.5,15.3Hz,1H),2.99(dd,J=7.7,15.3Hz,1H),3.76(d,J=8.3Hz,1H),7.01(d,J=7.5Hz,1H),7.08(d,J=7.5Hz,1H),7.13(s,1H).
実施例13:[1−(2−ブロモフェニル)−2−メチルプロポキシ](トリイソプロピル)シランからのトリイソプロピル((2−メチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)オキシ)シランの調製
【化16】
【0051】
本反応は、異なるパラジウム触媒、ホスフィンリガンドおよび塩基量を使用して実行した。様々な条件下で達成されたこれらの実験の結果を、表形式で提示する:
【表1】
【0052】
シス異性体:H NMR(300MHz,CDCl,293K) δ0.99(d,J=6.9Hz,3H),1.08−1.25(m,21H),2.56−2.68(m,2H),2.92(dd,J=7.1,15.7Hz,1H),5.29(d,J=5.8Hz,1H),7.17−7.25(m,3H),7.35−7.43(m,1H).
トランス異性体:H NMR(300MHz,CDCl,293K) δ1.05−1.31(m,24H),2.34−2.57(m,2H),3.10−3.33(m,1H),4.98(d,J=5.0Hz,1H),7.19−7.28(m,3H),7.37−7.46(m,1H).