特許第6475303号(P6475303)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6475303二酸化塩素ガスの発生方法、二酸化塩素ガス発生用キットおよびゲル状組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6475303
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】二酸化塩素ガスの発生方法、二酸化塩素ガス発生用キットおよびゲル状組成物
(51)【国際特許分類】
   C01B 11/02 20060101AFI20190218BHJP
【FI】
   C01B11/02 F
【請求項の数】7
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2017-190121(P2017-190121)
(22)【出願日】2017年9月29日
【審査請求日】2018年4月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】503214656
【氏名又は名称】株式会社アマテラ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 博正
(72)【発明者】
【氏名】藤田 哲悠
(72)【発明者】
【氏名】藤田 征士
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼富 廣志
【審査官】 西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−088797(JP,A)
【文献】 特開平09−202706(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 11/02
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
亜塩素酸塩水性液に、ガス発生剤、炭酸塩および過酸化水素を含むガス発生調整剤、セピオライト、モンモリロナイト、ケイソウ土、タルクおよびゼオライトからなる群から選ばれる少なくともいずれかであるガス発生調節剤、ならびに吸水性樹脂を含むゲル化活性剤を添加して得られるゲル状組成物から、二酸化塩素ガスを持続的に発生させる二酸化塩素ガスの発生方法であって、
前記ゲル化活性剤の添加から24時間経過するまでは、発生する前記二酸化塩素ガスの濃度を抑制する二酸化塩素ガスの発生方法
【請求項2】
前記ゲル状組成物は、前記二酸化塩素ガスが発生する表面が平坦であり前記表面の表面積を一定に維持する請求項1に記載の二酸化塩素ガスの発生方法。
【請求項3】
前記亜塩素酸塩水性液は、前記ゲル化活性剤が添加される前には、気密性容器に封入されている請求項1または請求項2に記載の二酸化塩素ガスの発生方法。
【請求項4】
前記ゲル化活性剤は、前記亜塩素酸塩水性液に添加する前には、気密性容器に封入されている請求項1または請求項2に記載の二酸化塩素ガスの発生方法。
【請求項5】
亜塩素酸塩水性液を含むA剤と、ガス発生剤、炭酸塩および過酸化水素を含むガス発生調整剤、セピオライト、モンモリロナイト、ケイソウ土、タルクおよびゼオライトからなる群から選ばれる少なくともいずれかであるガス発生調節剤、ならびに吸水性樹脂を含むゲル化活性剤を含むB剤と、で構成され、前記A剤に前記B剤を添加することにより得られるゲル状組成物から、二酸化塩素ガスを持続的に発生させる二酸化塩素ガス発生用キットであって、
前記ゲル化活性剤の添加から24時間経過するまでは、発生する前記二酸化塩素ガスの濃度を抑制する二酸化塩素ガス発生用キット
【請求項6】
亜塩素酸塩水性液と、ガス発生剤、炭酸塩および過酸化水素を含むガス発生調整剤、セピオライト、モンモリロナイト、ケイソウ土、タルクおよびゼオライトからなる群から選ばれる少なくともいずれかであるガス発生調節剤、ならびに吸水性樹脂を含むゲル化活性剤と、を含み、二酸化塩素ガスを持続的に発生させるゲル状組成物であって、
前記ゲル化活性剤の添加から24時間経過するまでは、発生する前記二酸化塩素ガスの濃度を抑制するゲル状組成物
【請求項7】
前記二酸化塩素ガスが発生する表面が平坦であり前記表面の表面積を一定に維持する請求項6に記載のゲル状組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境浄化、細菌またはウイルスなどの除菌または殺菌、屋内(室内外)、屋外または食品などの脱臭、防カビ、防腐などに使用される希薄な二酸化塩素ガスの発生方法、二酸化塩素ガス発生用キットおよびゲル状組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化塩素は強い酸化力を有し、環境浄化、細菌またはウイルスなどの除菌または殺菌、家庭、病院などの屋内もしくは屋外または食品などの脱臭、防カビ、防腐などの分野において、除菌剤、殺菌剤、脱臭剤、防カビ剤、防腐剤、または漂白剤などとして広く使用されている。
【0003】
上記の用途に向けて、たとえば、特開平11−278808号公報(特許文献1)は、溶存二酸化塩素ガス、亜塩素酸塩およびpH調整剤を構成成分に有する純粋二酸化塩素液剤、かかる純粋二酸化塩素液剤および高吸水性樹脂を含有するゲル状組成物、およびかかる純粋二酸化塩素液剤またはゲル状組成物を用いて二酸化塩素ガスを継続的に発生させることを開示する。
【0004】
また、特開2003−12424号公報(特許文献2)は、二酸化塩素ガスの放出量をコントロールするために、焼成骨材と、水と、溶存二酸化塩素とを含有してなる二酸化塩素組成物、かかる二酸化塩素組成物にさらにゲル化剤を含有してなる二酸化塩素組成物を開示する。
【0005】
また、特開2005−29430号公報(特許文献3)は、二酸化塩素ガスの発生持続時間をさらに延ばすために、亜塩素酸塩水溶液に有機酸または無機酸とセピオライトなどの粉状のガス発生調節剤またはかかるガス発生調節剤と吸水性樹脂とを添加し、ゲル化させて二酸化塩素ガスを持続的に発生させる二酸化塩素ガスの発生方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−278808号公報
【特許文献2】特開2003−12424号公報
【特許文献3】特開2005−29430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特開平11−278808号公報(特許文献1)に開示されるようなゲル状組成物は、二酸化塩素ガスを長時間継続して発生させることができるが、高吸水性樹脂の添加のみでは二酸化塩素ガスの蒸散速度の調節が難しく、たとえば温度の上昇によってその蒸散速度が大になるという問題点がある。
【0008】
特開2003−12424号公報(特許文献2)および特開2005−29430号公報(特許文献3)に開示されるようなゲル状組成物は、特開平11−278808号公報(特許文献1)に開示されるようなゲル状組成物に比べて、二酸化塩素ガスの発生持続時間をさらに延ばすことができるが、二酸化塩素ガスの発生量は初期が多く時間の経過とともに低減するため、環境浄化、細菌またはウイルスなどの除菌または殺菌、家庭、病院などの屋内もしくは屋外または食品などの脱臭、防カビ、防腐などの観点から、二酸化塩素ガスの発生持続時間をさらに延長させることが求められている。
【0009】
本発明は、初期の二酸化塩素ガスの急激な発生を抑制するとともに二酸化塩素ガスの発生を安定して極めて長時間持続させる二酸化塩素ガスの発生方法、二酸化塩素ガス発生用キットおよびゲル状組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、ある局面に従えば、亜塩素酸塩水性液に、ガス発生剤、炭酸塩および過酸化水素を含むガス発生調整剤、ガス発生調節剤、ならびに吸水性樹脂を含むゲル化活性剤を添加して得られるゲル状組成物から、二酸化塩素ガスを持続的に発生させる二酸化塩素ガスの発生方法である。
【0011】
本発明のかかる局面に従う二酸化塩素ガスの発生方法において、ゲル状組成物は、二酸化塩素ガスが発生する表面を平坦とすることができる。亜塩素酸塩水性液は、ゲル化活性剤が添加される前には、気密性容器に封入され得る。ゲル化活性剤は、亜塩素酸塩水性液に添加する前には、気密性容器に封入され得る。
【0012】
本発明は、別の局面に従えば、亜塩素酸塩水性液を含むA剤と、ガス発生剤、炭酸塩および過酸化水素を含むガス発生調整剤、ガス発生調節剤、ならびに吸水性樹脂を含むゲル化活性剤を含むB剤と、で構成され、A剤にB剤を添加することにより二酸化塩素ガスを持続的に発生させる二酸化塩素ガス発生用キットである。
【0013】
本発明は、さらに別の局面に従えば、亜塩素酸塩水性液と、ガス発生剤、炭酸塩および過酸化水素を含むガス発生調整剤、ガス発生調節剤、ならびに吸水性樹脂を含むゲル化活性剤と、を含み、二酸化塩素ガスを持続的に発生させるゲル状組成物である。
【0014】
本発明のかかる局面におけるゲル状組成物において、二酸化塩素ガスが発生する表面を平坦とすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、初期の二酸化塩素ガスの急激な発生を抑制するとともに二酸化塩素ガスの発生を安定して極めて長時間持続させる二酸化塩素ガスの発生方法、二酸化塩素ガス発生用キットおよびゲル状組成物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、ゲル状組成物が入った容器の一例を示す概略図である。
図2図2は、ゲル状組成物から発生した二酸化塩素ガスの濃度の測定方法を示す概略図である。
図3図3は、比較例1および実施例1における亜塩素酸塩水性液へのゲル化活性剤添加から240時間経過までに発生した二酸化塩素ガスの濃度の経時変化を示すグラフである。
図4図4は、比較例1および実施例1における亜塩素酸塩水性液へのゲル化活性剤添加から2600時間経過までに発生した二酸化塩素ガスの濃度の経時変化を示すグラフである。
図5図5は、比較例2および実施2における亜塩素酸塩水性液へのゲル化活性剤添加から240時間経過までに発生した二酸化塩素ガスの濃度の経時変化を示すグラフである。
図6図6は、比較例2および実施例2における亜塩素酸塩水性液へのゲル化活性剤添加から2600時間経過までに発生した二酸化塩素ガスの濃度の経時変化を示すグラフである。
図7図7は、比較例3および実施例3における亜塩素酸塩水性液へのゲル化活性剤添加から240時間経過までに発生した二酸化塩素ガスの濃度の経時変化を示すグラフである。
図8図8は、比較例3および実施例3における亜塩素酸塩水性液へのゲル化活性剤添加から2600時間経過までに発生した二酸化塩素ガスの濃度の経時変化を示すグラフである。
図9図9は、実施例4における亜塩素酸塩水性液へのゲル化活性剤添加から720時間経過までに発生した二酸化塩素ガスの濃度の経時変化を示すグラフである。
図10図10は、実施例5における亜塩素酸塩水性液へのゲル化活性剤添加から720時間経過までに発生した二酸化塩素ガスの濃度の経時変化を示すグラフである。
図11図11は、実施例6における亜塩素酸塩水性液へのゲル化活性剤添加から720時間経過までに発生した二酸化塩素ガスの濃度の経時変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[実施形態1:二酸化塩素ガスの発生方法]
本発明のある実施形態である二酸化塩素ガスの発生方法は、亜塩素酸塩水性液に、ガス発生剤、炭酸塩および過酸化水素を含むガス発生調整剤、ガス発生調節剤、ならびに吸水性樹脂を含むゲル化活性剤を添加して得られるゲル状組成物から、二酸化塩素ガスを持続的に発生させる方法である。本実施形態の二酸化塩素ガスの発生方法は、ガス発生調整剤およびガス発生調節剤により、初期の二酸化塩素ガスの急激な発生を抑制するとともに二酸化塩素ガスの発生を安定して極めて長時間持続させることができる。ここで、初期とは、たとえば、亜塩素酸塩水性液へのゲル化活性剤の添加から72時間経過(特に24時間経過)までの期間をいう。
【0018】
本実施形態の二酸化塩素ガスの発生方法において、「亜塩素酸塩水性液にゲル化活性剤を添加」と規定しているが、「ゲル化活性剤に亜塩素酸塩水性液を添加」しても本質的に同様の作用効果が得られる。すなわち、「ゲル化活性剤に亜塩素酸塩水性液を添加」する場合は、「亜塩素酸塩水性液にゲル化活性剤を添加する場合と均等である。
【0019】
本実施形態の二酸化塩素ガスの発生方法において、二酸化塩素ガスの発生を安定して極めて長時間持続させる観点から、ゲル状組成物の二酸化塩素ガスが発生する表面は平坦であることが好ましい。
【0020】
本実施形態の二酸化塩素ガスの発生方法において、ゲル化活性剤が添加される前の亜塩素酸塩水性液中の亜塩素酸塩の分解による二酸化塩素ガスの生成および発生を抑制して長期間安定に保存できるとともに、ゲル化活性剤が添加されることにより二酸化塩素ガスを安定して長時間持続的に発生させる観点から、亜塩素酸塩水性液は、ゲル化活性剤が添加される前には、気密性容器に封入されていることが好ましい。
【0021】
本実施形態の二酸化塩素ガスの発生方法において、亜塩素酸塩水性液に添加する前のゲル化活性剤の劣化を抑制して長時間安定に保存できるとともに、亜塩素酸塩水性液に添加することにより二酸化塩素ガスを安定して長時間持続的に発生させる観点から、ゲル化活性剤は、亜塩素酸塩水性液に添加する前には、気密性容器に封入されていることが好ましい。
【0022】
(亜塩素酸塩水性液)
本実施形態の二酸化塩素ガスの発生方法において用いられる亜塩素酸塩水性液は、亜塩素酸塩を含む、水を主成分(亜塩素酸塩などの溶質および/または分散質を除いた溶媒および/または分散媒中の水の含有量が50質量%以上であることをいう。以下同じ。)とする液体であって、ガス発生剤、ガス発生調整剤、ガス発生調節剤、および吸水性樹脂を含むゲル化活性剤を溶解および/または分散させることができる液体であって、ゲル化活性剤が添加されることにより、ゲル状組成物を形成し、形成されたゲル状組成物からその表面を経由して二酸化塩素ガスを持続的に発生させる液体である。亜塩素酸塩水性液は、ゲル化活性剤が添加されてゲル化して得られるゲル状組成物から二酸化塩素ガスを安全にかつ長時間安定して持続的に発生させる観点から、水溶液または水分散液であることが好ましい。
【0023】
亜塩素酸塩水性液に含まれる亜塩素酸塩は、後述するガス発生剤の存在により、二酸化塩素ガスを発生させる亜塩素酸塩であれば特に制限はなく、たとえば、亜塩素酸ナトリウム(NaClO2)、亜塩素酸カリウム(KClO2)、亜塩素酸リチウム(LiClO2)などの水素を除く第1族元素(アルカリ金属元素)の亜塩素酸塩、亜塩素酸カルシウム(Ca(ClO22)、亜塩素酸ストロンチウム(Sr(ClO22)、亜塩素酸バリウム(Ba(ClO22)、亜塩素酸マグネシウム(Mg(ClO22)などの第2族元素の亜塩素酸塩などが挙げられる。これらの中で、市販されている亜塩素酸ナトリウムが入手しやすく使用上も問題がない。
【0024】
亜塩素酸塩水性液は、上記の亜塩素酸塩を水性液に所定濃度を溶解させることにより得られる。亜塩素酸ナトリウムを水性液に溶解させる場合は、液体では漂白剤として使用させる市販の25質量%の亜塩素酸ナトリウム水溶液や、固体では市販の86質量%品、80質量%品、79質量%品または76質量%品が好適に用いられる。また、亜塩素酸塩水性液の濃度は、劇毒物および危険物に該当せず取り扱いが容易な観点から25質量%未満であることが好ましく、15質量%未満がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。
【0025】
亜塩素酸塩水性液は、アルカリ性であることが好ましく、そのpHが9以上13以下がより好ましく、10以上12.5以下がさらに好ましい。ゲル化活性剤の添加前の亜塩素酸塩水性液中の亜塩素酸塩の分解による二酸化塩素ガスの生成および発生を抑制して長期間安定に保存できるとともにゲル化活性剤の添加により二酸化塩素ガスを安定して長時間持続的に発生させることができる。
【0026】
亜塩素案塩水溶液は、アルカリ性とするために、アリカリ剤をさらに含むことが好ましい。アルカリ剤は、それが亜塩素酸塩水溶液中に溶解および/または分散することにより、亜塩素酸塩水溶液がアルカリ性を呈するものであれば特に制限はないが、ゲル化活性剤が添加されることにより酸性雰囲気下になっても、二酸化塩素ガスの発生を妨げない観点から、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)などが好ましい。水酸化カリウムは、水酸化ナトリウムのように大気中の二酸化炭素と反応して重炭酸ナトリウムなどの塩を形成しない点、水酸化ナトリウムよりも、水和において濡れやすく浸透しやすく、ゲル化活性剤と混ざり合いやすく、ゲル状組成物の形成がより促進される点から、特に好ましい。
【0027】
亜塩素酸塩水性液は、ゲル化活性剤が添加される前には、気密性容器に封入されていることが好ましい。亜塩素酸塩水性液を気密性容器に封入することで、ゲル化活性剤の添加前の亜塩素酸塩水性液中の亜塩素酸塩の分解による二酸化塩素ガスの発生を抑制して亜塩素酸塩水性液を長期間安定に保存できるとともに、ゲル化活性剤の添加により二酸化塩素ガスを安定して長時間持続的に発生させることができる。ここで、気密性容器とは、水蒸気などの気体、水分などの液体、および固体も透過しない容器をいい、具体的には、8.7質量%の亜塩素酸ナトリウム水溶液85gを封入して50℃の恒温槽内に2ヵ月(60日)間静置した前後の質量変化が0.7g以下の容器をいう。亜塩素酸塩水性液との反応性が低く、亜塩素酸塩水性液を長期間安定に保存する観点から、各種プラスチック製容器が好ましい。
【0028】
(ガス発生剤)
本実施形態の二酸化塩素ガスの発生方法において用いられるガス発生剤は、ゲル状組成物内のpH雰囲気を亜塩素酸塩から二酸化塩素ガスの発生に必要な弱アルカリから酸性に安定に保つことにより二酸化塩素を発生させる機能を有する。ガス発生剤はゲル化活性剤の構成要素であり、固体である。ここで、ゲル状組成物内のpH雰囲気は、特に制限はないが、二酸化塩素ガスを安定に長時間持続的に生成させる観点から、2以上9以下が好ましく、3以上7以下がより好ましい。
【0029】
ガス発生剤は、特に制限はないが、ゲル状組成物内のpH雰囲気を好ましくは2以上9以下に保ち二酸化塩素ガスを安定に長時間持続的に生成させる観点から、酸解離定数pKaが2.5以上の弱酸の塩、酸解離定数pKaが3.8以上の弱酸、酸性およびアルカリ性の両方の官能基を有する両性化合物、ピリミジン構造を有する複素環式化合物ならびにからなる群から選ばれる少なくとも1つの物質を含むことが好ましい。
【0030】
酸解離定数pKaが2.5以上の弱酸の塩としては、クエン酸(pKa1が2.90、pKa2が4.35、pKa3が5.69)の塩であるクエン酸ナトリウム、リンゴ酸(pKa1が3.23、pKa2が4.77)の塩であるリンゴ酸ナトリウムなどが挙げられる。ここで、クエン酸ナトリウムには、クエン酸一ナトリウム(クエン酸モノナトリウム)、クエン酸二ナトリウム(クエン酸ジナトリウム))およびクエン酸三ナトリウム(クエン酸トリナトリウム))の3種類があり、これらの中でクエン酸二ナトリウムおよびクエン酸三ナトリウムがより好ましい。また、リンゴ酸ナトリウムには、リンゴ酸一ナトリウム(リンゴ酸モノナトリウム)およびリンゴ酸二ナトリウム(リンゴ酸ジナトリウム)の2種類があり、これらの中でリンゴ酸二ナトリウムがより好ましい。ここで、弱酸の塩とは、無水塩であっても、有水塩であってもよい。
【0031】
酸解離定数pKaが3.8以上の弱酸としては、コハク酸(pKa1が3.99、pKa2が5.20)、ホウ酸(pKa1が9.23、pKa2が12.74、pKa3が13.52)などが挙げられる。
【0032】
両性化合物としては、酸性の官能基であるカルボキシル基(COOH基)とアルカリ性の官能基であるアミノ基(NH2基)とを有するアミノ酸などが挙げられる。アミノ酸と
しては、アルキル鎖を有するグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシン、ヒドロキシ基(OH基)を有するセリンおよびトリオニン、アミド基(RCONH基)を有するアスパラギンおよびグルタミン、イミノ基(C=NH基またはCNHC基)を有するプロリン、フェニル基(C65基)を有するフェニルアラニン、チロシンおよびトリプトファン、2以上のカルボキシル基(COOH基)を有するアスパラギン酸およびグルタミン酸、2以上のアミノ基(NH2基)を有するリシンおよびアルギニンなどが挙げられる。
【0033】
ピリミジン構造を有する複素環式化合物としては、バルビツール酸、オロト酸などが挙げられる。
【0034】
ガス発生剤は、ゲル状組成物内のpH雰囲気を好ましくは2以上9以下に保ちながら二酸化塩素ガスの安定な長時間持続的な生成を促進させる観点から、酸解離定数pKaが2.5以上で第1酸解離定数pKa1が3.8未満の弱酸をさらに含むことが好ましい。かかる弱酸は、安全性が高い観点から、食品添加物として使用される有機酸が好ましい。酸解離定数pKaが2.5以上で第1酸解離定数pKa1が3.8未満の有機酸としては、クエン酸(pKa1が2.90、pKa2が4.35、pKa3が5.69)、リンゴ酸(pKa1が3.23、pKa2が4.77)、ギ酸(pKa1が3.54)、乳酸(pKa1が3.64)、酒石酸((+)体でpKa1が2.87、pKa2が3.97:メソ体でpKa1が2.95、pKa2が4.46)などのカルボン酸類などが挙げられる。
【0035】
ここで、酸解離定数pKaが2.5以上の弱酸の塩と酸解離定数pKaが2.5以上で第1酸解離定数pKa1が3.8未満の弱酸と、を用いる場合は、上記弱酸の塩と弱酸とは、ゲル状組成物内のpH雰囲気をより安定に保持する観点から、共役な塩および酸であることが好ましい。たとえば、上記弱酸の塩としてクエン酸塩を用いた場合は上記弱酸としてクエン酸を用いることが好ましく、上記弱酸の塩としてリンゴ酸塩を用いた場合は上記弱酸としてリンゴ酸を用いることが好ましい。
【0036】
(ガス発生調整剤)
本実施形態の二酸化塩素ガスの発生方法において用いられるガス発生調整剤は、上記ガス発生剤による亜塩素酸塩からの二酸化塩素の発生を化学的作用により調整する機能を有する。ガス発生調整剤は、ゲル化活性剤の構成要素であり、固体である。ガス発生調整剤は、炭酸塩および過酸化水素を含む。ガス発生調整剤に含まれる炭酸塩は、ゲル状組成物内のpH雰囲気を亜塩素酸塩から二酸化塩素ガスの発生に必要な弱アルカリから酸性に安定に保つためのガス発生剤と反応して炭酸ガスを発生する。このため、亜塩素酸塩水性液にゲル化活性剤を添加した初期のゲル状組成物形成における二酸化塩素ガスの急激な発生が抑制される。また、発生した炭酸ガスは、ゲル状組成物の表面から放出されるため、ゲル状組成物の表面は一定の平坦な面となる。このため、二酸化塩素ガスは、ゲル状組成物から表面を経由して安定に長時間持続して発生する。また、ガス発生調整剤に含まれる過酸化水素は、発生した二酸化塩素ガスを還元することにより低減させる。このため、亜塩素酸塩水性液にゲル化活性剤を添加した初期のゲル状組成物形成における二酸化塩素ガスの急激な発生が抑制される。
【0037】
炭酸塩および過酸化水素を含むガス発生調整剤は、特に制限はないが、亜塩素酸塩からの二酸化塩素の急激な発生を抑制することにより二酸化塩素の発生を安定して長時間持続させる観点から、炭酸ナトリウム過酸化水素化物(Na2CO3・1.5H22または2Na2CO3・3H22と表記される)、炭酸カリウム過酸化水素化物(K2CO3・1.5H22または2K2CO3・3H22と表記される)などが好ましく、さらに入手が容易な観点から、炭酸ナトリウム過酸化水素化物がより好ましい。ここで、炭酸ナトリウム過酸化水素化物は、炭酸ナトリウムと過酸化水素とが2:3のモル比で混合された付加化合物をいい、日本の法令上は炭酸ナトリウム過酸化水素付加物と呼ばれる。
【0038】
(ガス発生調節剤)
本実施形態の二酸化塩素ガスの発生方法において用いられるガス発生調節剤は、上記ガス発生剤による亜塩素酸塩からの二酸化塩素の発生を物理的作用により調節する機能を有する。すなわち、ガス発生調節剤は、亜塩素酸塩からの二酸化塩素ガスの発生量が多量のときはその二酸化塩素ガスの少なくとも一部を表面および/または内部に保持し、亜塩素酸塩からの二酸化塩素ガスの発生量が少量または無いときは保持していた二酸化塩素ガスを放出することにより、二酸化塩素ガスをゲル状組成物から持続的に発生させる機能を有する。ガス発生調節剤は、ゲル化活性剤の構成要素であり、固体である。
【0039】
ガス発生調節剤は、二酸化塩素ガスの発生を効率よく分散できるものであれば材質および形状に特に制限はないが、二酸化塩素ガスを多く保持できる観点から、表面積が大きい多孔質のものが好ましく、セピオライト、モンモリロナイト、ケイソウ土、タルクおよびゼオライトからなる群から選ばれる少なくともいずれかであることが好ましい。また、表面積を大きくする観点から、粉状、粒状および/または多孔質であることが好ましい。
【0040】
上記のガス発生調節剤のうちで、二酸化塩素ガスの保持および放出に優れている観点から、セピオライトが好ましい。ここで、セピオライトは、ケイ酸マグネシウム塩の天然鉱物であって化学組成式はMg8Si1230(OH)4(OH24・8H2Oで表され、その結晶構造は繊維状で表面に多数の溝を有すると共に、内部に筒型トンネル構造のクリアランスを多数有し、非常に表面積の大きい物質である。市販品としては商品名ミラクレー(近江鉱業社製)などが挙げられる。また粉状のケイソウ土としては商品名セライト(昭和ケミカル社製)などが挙げられる。
【0041】
(吸水性樹脂)
本実施形態の二酸化塩素ガスの発生方法において用いられる吸水性樹脂は、水分を吸収してゲル状組成物を形成する機能を有する。吸水性樹脂は、ゲル化活性剤の構成要素であり、固体であり、たとえば、デンプン系吸水性樹脂、セルロース系吸水性樹脂、合成ポリマー系吸水性樹脂などが好ましく用いられる。デンプン系吸水性樹脂としてはデンプン/ポリアクリル酸系樹脂(三洋化成社製、粉末)などがあり、合成ポリマー系吸水性樹脂としては架橋ポリアクリル酸系樹脂、イソブチレン/マレイン酸系樹脂、ポバール/ポリアクリル酸塩系樹脂、ポリアクリル酸塩系樹脂などがあり、具体的にはポリアクリル酸ナトリウムなどが用いられる。
【0042】
(ゲル化活性剤)
本実施形態の二酸化塩素ガスの発生方法において用いられるゲル化活性剤は、亜塩素酸塩水性液に添加することにより、ゲル状組成物を形成し、形成されたゲル状組成物から二酸化塩素ガスを安定して持続的に発生させる機能を有し、ガス発生剤、炭酸塩および過酸化水素を含むガス発生調整剤、ガス発生調節剤、ならびに吸水性樹脂を含む。ここで、均質なゲル状組成物を形成させる観点から、ゲル化活性剤は、亜塩素酸塩水性液に添加することにより、ゲル状組成物を形成し、形成されたゲル状組成物から二酸化塩素ガスを安定して持続的に発生させる機能を有し、ガス発生剤、炭酸塩および過酸化水素を含むガス発生調整剤、ガス発生調節剤、ならびに吸水性樹脂が十分に混合されたものを含むことが好ましい。
【0043】
ゲル化活性剤は、亜塩素酸塩水性液に添加する前には、気密性容器内に封入されていることが好ましい。亜塩素酸塩水性液への添加前においては、ゲル化活性剤は、気密性容器内に封入されていることにより、大気中からの水分の混入が防止されることから、劣化が防止されるため、長期間安定して保存することができる。ここで、気密性容器とは、水蒸気などの気体、水分などの液体、および固体も透過しない容器をいい、具体的には8.7質量%の亜塩素酸ナトリウム水溶液85gを封入して50℃の恒温槽内に2ヵ月(60日)間静置した前後の質量変化が0.7g以下の容器をいう。たとえば、各種プラスチック製容器などが挙げられる。
【0044】
(ゲル状組成物の二酸化塩素ガスが発生する表面の平坦性)
本実施形態の二酸化塩素ガスの発生方法において、二酸化塩素ガスが発生する表面の表面積を一定に維持することにより、二酸化塩素ガスの発生を安定して極めて長時間持続させる観点から、ゲル状組成物の二酸化塩素ガスが発生する表面は平坦であることが好ましい。ここで、ゲル状組成物の二酸化塩素ガスが発生する表面が平坦とは、亜塩素酸塩水性液へのゲル化活性剤の添加による表面の局所的な盛り上がりがなく、目視上平坦であることを意味する。さらに、二酸化塩素ガスが発生する表面の表面積を一定に維持することにより、二酸化塩素ガスの発生を安定して極めて長時間持続させる観点から、ゲル状組成物の二酸化塩素ガスが発生する表面は平坦であるとともに割れが発生しないことがより好ましい。
【0045】
[実施形態2:二酸化塩素ガス発生用キット]
本発明の別の実施形態である二酸化塩素ガス発生用キットは、亜塩素酸塩水性液を含むA剤と、ガス発生剤、炭酸塩および過酸化水素を含むガス発生調整剤、ガス発生調節剤、ならびに吸水性樹脂を含むゲル化活性剤を含むB剤と、で構成され、A剤にB剤を添加することにより二酸化塩素ガス持続的に発生させるキットである。本実施形態の二酸化塩素ガス発生用キットは、B剤に含まれるガス発生調整剤およびガス発生調節剤により、初期の二酸化塩素ガスの急激な発生を抑制するとともに二酸化塩素ガスの発生を安定して極めて長時間持続させることができる。
【0046】
本実施形態の二酸化塩素ガス発生用キットにおいて、「A剤にB剤を添加」と規定しているが、「B剤にA剤を添加」しても本質的に同様の作用効果が得られる。すなわち、「B剤にA剤を添加」する場合は、「A剤にB剤を添加」する場合と均等である。
【0047】
本実施形態の二酸化塩素ガス発生用キットにおいて、B剤の添加前のA剤中の亜塩素酸塩水性液中の亜塩素酸塩の分解による二酸化塩素ガスの発生を抑制して長期間安定に保存できるとともにB剤の添加により、初期の二酸化塩素ガスの急激な発生を抑制するとともに二酸化塩素ガスを安定して長時間持続的に発生させる観点から、A剤に含まれる亜塩素酸塩水性液は、アルカリ性であることが好ましく、そのpHが9以上13以下がより好ましく、10以上12.5以下がさらに好ましい。
【0048】
本実施形態の二酸化塩素ガス発生用キットを構成する一要素であるA剤は、B剤の添加前には、気密性容器に封入されていることが好ましい。B剤の添加前のA剤中の亜塩素酸塩水性液中の亜塩素酸塩の分解による二酸化塩素ガスの生成および発生を抑制して亜塩素酸塩水性液を含むA剤を長期間安定に保存できるとともにB剤の添加により二酸化塩素ガスを安定して長時間持続的に発生させることができる。ここで、気密性容器とは、水蒸気などの気体、水分などの液体、および固体も透過しない容器をいい、亜塩素酸塩水性液との反応性が低く、亜塩素酸塩水性液を長期間安定に保存する観点から、各種プラスチック製容器が好ましい。
【0049】
本実施形態の二酸化塩素ガス発生用キットを構成する別の要素であるB剤は、A剤に添加する前には、気密性容器内に封入されていることが好ましい。B剤中のゲル化活性剤は、気密性容器内に封入されていることにより、大気中からの水分の混入が防止されることから、劣化が防止されるため、ゲル化活性剤を含むB剤を長期間安定して保存することができる。ここで、気密性容器とは、水蒸気などの気体、水分などの液体、および固体も透過しない容器をいい、たとえば、各種プラスチック製容器などが挙げられる。
【0050】
また、B剤は、均質なゲル状組成物を形成させて、二酸化塩素ガスを極めて長い時間に亘って持続的に発生させる観点から、ガス発生剤、炭酸塩および過酸化水素を含むガス発生調整剤、ガス発生調節剤、ならびに吸水性樹脂が十分に混合されたゲル化活性剤を含むことが好ましい。
【0051】
なお、本実施形態の二酸化塩素ガス発生用キットにおける亜塩素酸塩水性液、ガス発生剤、炭酸塩および過酸化水素を含むガス発生調整剤、ガス発生調節剤、吸水性樹脂ならびにゲル化活性剤は、実施形態1の二酸化塩素ガスの発生方法における亜塩素酸塩水性液、ガス発生剤、炭酸塩および過酸化水素を含むガス発生調整剤、ガス発生調節剤、吸水性樹脂ならびにゲル化活性剤と同様であるため、ここでは繰り返さない。
【0052】
本実施形態の二酸化塩素ガス発生用キットは、初期の二酸化塩素ガスの急激な発生を抑制するとともに二酸化塩素ガスの発生を安定して極めて長時間持続させる観点から、キット全体に対して、A剤は60質量%〜90質量%およびB剤は10質量%〜40質量%が好ましい。また、A剤の全体に対して、亜塩素酸水性液中の亜塩素酸塩成分は純分換算で2質量%〜20質量%および亜塩素酸塩水性液中の水性液成分は80質量%〜98質量%が好ましい。また、B剤の全体に対して、ゲル活性剤中のガス発生剤は10質量%〜60質量%、ゲル活性剤中のガス発生調整剤は0.1質量%〜15質量%、ゲル活性剤中のガス発生調節剤は5質量%〜60質量%、ゲル活性剤中の吸水性樹脂は15質量%〜90質量%であることが好ましい。
【0053】
本実施形態の二酸化塩素ガス発生用キットの具体的な形態は、特に制限はなく、A剤(たとえば亜塩素酸塩水溶液)を封入した気密性容器と、B剤(たとえば、ガス発生剤、炭酸塩および過酸化水素を含むガス発生調整剤、ガス発生調節剤、吸水性樹脂を含むゲル化活性剤)を封入した気密性容器とが一緒に梱包された形態、あるいは、A剤(たとえば亜塩素酸塩水溶液)を封入した容器を梱包したものと、B剤(たとえば、ガス発生剤、炭酸塩および過酸化水素を含むガス発生調整剤、ガス発生調節剤、吸水性樹脂を含むゲル化活性剤)を封入した容器を梱包したものとを組み合わせた形態、などが挙げられる。
【0054】
[実施形態3:ゲル状組成物]
本発明のさらに別の実施形態であるゲル状組成物は、亜塩素酸塩水性液と、ガス発生剤、炭酸塩および過酸化水素を含むガス発生調整剤、ガス発生調節剤、ならびに吸水性樹脂を含むゲル化活性剤と、を含み、二酸化塩素ガスを持続的に発生させるゲル状の組成物である。本実施形態のゲル状組成物は、ゲル状組成物に含まれるガス発生調整剤およびガス発生調節剤により、初期の二酸化塩素ガスの急激な発生を抑制するとともに二酸化塩素ガスの発生を安定して極めて長時間持続させることができる。
【0055】
本実施形態のゲル状組成物は、実施形態1の二酸化塩素ガス発生方法に従い、亜塩素酸塩水性液に、ガス発生剤、炭酸塩および過酸化水素を含むガス発生調整剤、ガス発生調節剤、ならびに吸水性樹脂を含むゲル化活性剤を添加することにより、ゲル化したものである。より具体的には、本実施形態のゲル状組成物は、実施形態2の二酸化塩素ガス発生用キットを用いて、亜塩素酸塩水性液を含むA剤に、ガス発生剤、炭酸塩および過酸化水素を含むガス発生調整剤、ガス発生調節剤、ならびに吸水性樹脂を含むゲル化活性剤を含むB剤を添加することによりゲル化したものである。
【0056】
本実施形態のゲル状組成物において、二酸化塩素ガスが発生する表面の表面積を一定に維持することにより、二酸化塩素ガスの発生を安定して極めて長時間持続させる観点から、ゲル状組成物の二酸化塩素ガスが発生する表面は平坦であることが好ましい。ここで、ゲル状組成物の二酸化塩素ガスが発生する表面が平坦とは、亜塩素酸塩水性液へのゲル化活性剤の添加による表面の局所的な盛り上がりがなく、目視上平坦であることを意味する。さらに、二酸化塩素ガスが発生する表面の表面積を一定に維持することにより、二酸化塩素ガスの発生を安定して極めて長時間持続させる観点から、ゲル状組成物の二酸化塩素ガスが発生する表面は平坦であるとともに割れが発生しないことがより好ましい。
【0057】
なお、本実施形態のゲル状組成物における亜塩素酸塩水性液、ガス発生剤、炭酸塩および過酸化水素を含むガス発生調整剤、ガス発生調節剤、吸水性樹脂ならびにゲル化活性剤は、実施形態1の二酸化塩素ガスの発生方法における亜塩素酸塩水性液、ガス発生剤、炭酸塩および過酸化水素を含むガス発生調整剤、ガス発生調節剤、吸水性樹脂ならびにゲル化活性剤と同様であるため、ここでは繰り返さない。
【0058】
本実施形態のゲル状組成物は、初期の二酸化塩素ガスの急激な発生を抑制するとともに二酸化塩素ガスの発生を安定して極めて長時間持続させる観点から、亜塩素酸塩水性液中の亜塩素酸塩成分が純分換算で2.5質量%〜10質量%、亜塩素酸塩水性液中の水性液成分が50質量%〜95質量%、ガス発生剤が2質量%〜15質量%、ガス発生調整剤が0.03質量%〜3質量%、ガス発生調節剤が1.5質量%〜15質量%、吸水性樹脂が2.5質量%〜20質量%であることが好ましい。
【実施例】
【0059】
(二酸化塩素ガス発生用容器の準備)
図1に示すように、プラスチック製本体10とプラスチック製蓋を20とで構成される二酸化塩素ガス発生用容器1を準備した。プラスチック製本体10は、開口部を有する略円柱状の容器であり、底部の外径E1が64mmおよび内径I1が60mm、頂部の開口部の内径I2が37mm、円柱筒状胴部の高さH1が64mm、円錐台筒状肩部の高さH2が11mm、円柱筒状首部の高さH3が15mmであり、円柱筒状胴部の容積が174mlであった。プラスチック製蓋20は、開口部22wを有する内蓋22と開口部24wを有する外蓋24とで構成され、内蓋22と外蓋24とは中央部の回りに摺動回転可能なように配置され、内蓋22の開口部22wと外蓋24の開口部24wの重複部分が二酸化塩素ガス発生用容器1の開口部1wを構成する構造を有していた。
【0060】
(亜塩素酸塩水性液の調製)
亜塩素酸塩水性液として、25質量%の亜塩素酸ナトリウム水溶液(ダイソー社製25%亜塩素酸ナトリウム水溶液)を純水で希釈することにより、8.7質量%の亜塩素酸ナトリウム水溶液を調製した。
【0061】
(ゲル化活性剤の調製)
実施例用のゲル化活性剤として、ガス発生剤としてのクエン酸三ナトリウム・二水和物3195gおよび無水クエン酸1755gと、吸水性樹脂としてのポリアクリル酸系吸水性樹脂(三洋化成社製サンフレッシュST−500D)5040gと、ガス発生調節剤としてのセピオライト粉末(近江工業社製ミラクレーP−150D)1800gと、ガス発生調整剤としての炭酸ナトリウム過酸化水素化物180gと、均一に混合した混合粉末を調製した。また、比較例用のゲル化活性剤として、上記の実施例用のゲル化活性剤からガス発生調整剤である炭酸ナトリウム過酸化水素化物を除いたものを均一に混合した混合粉末を調製した。
【0062】
(実施例1)
温度20.3℃および湿度(相対湿度をいう、以下同じ)69%の恒温室内で、図1に示す二酸化塩素ガス発生用容器1のプラスチック製本体10に、上記の亜塩素酸塩水性液(8.8質量%の亜塩素酸ナトリウム水溶液)117.25gを入れ、次いで、上記の実施例用ゲル化活性剤33.25g(各成分の組成は、クエン酸三ナトリウム・二水和物8.875g、無水クエン酸4.875g、ポリアクリル酸系吸水性樹脂14g、セピオライト粉末5g、炭酸ナトリウム過酸化水素化物0.5g)を添加した。
後、プラスチック製本体10の開口部10wをプラスチック製蓋20で覆い、内蓋22の開口部22wと外蓋24の開口部24wの重複部の開口部1wが最大になるように内蓋22および外蓋24を配置した。二酸化塩素ガス発生用容器1の上記最大の開口部1wは、上底7mm、下底10mmおよび高さ5mmの略台形状であり、その面積は42.5mm2であった。上記の亜塩素酸塩水性液に上記のゲル化活性剤を添加してから4分後にゲル化してゲル状組成物30が得られた。ゲル時間は4分であった。得られたゲル状組成物30の表面30sは、平坦(亜塩素酸塩水性液への実施例用ゲル化活性剤の添加による表面の局所的な盛り上がりがなく、目視上平坦)であった。また、ゲル状組成物30の表面30sには、割れは発生しなかった。
【0063】
次いで、上記の亜塩素酸塩水性液および実施例用ゲル化活性剤を入れた二酸化塩素ガス発生用容器1を、容量1リットルのビーカ2に入れて、ビーカの注ぎ口部分を残してプラスチック製フィルム3で覆った後、温度19.7℃〜20.7℃および相対湿度36%〜88%の恒温室内に、内部に上記ゲル状組成物が形成された上記二酸化塩素ガス発生用容器が入ったビーカを静置して、上記の亜塩素酸塩水性液への上記の実施例用ゲル化活性剤の添加から所定時間経過後に、ビーカの注ぎ口から北川式検知管4を挿入して、発生する二酸化塩素ガスの濃度を測定して、その経時変化を調べた。結果を表1、表2、図3および図4に示した。
【0064】
(比較例1)
上記の実施例用ゲル化活性剤33.25gに替えて、上記の比較例用ゲル化活性剤32.75g(各成分の組成は、クエン酸三ナトリウム・二水和物8.875g、無水クエン酸4.875g、ポリアクリル酸系吸水性樹脂14g、セピオライト粉末5g)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ゲル状組成物を形成した。ゲル時間は4分であった。得られたゲル状組成物の表面は、亜塩酸塩水性液への比較例用ゲル化活性剤の添加による局所的な盛り上がりが形成された。また、ゲル状組成物の表面には割れが発生した。
【0065】
次いで、実施例1と同様にして、上記の亜塩素酸塩水性液への上記の比較例用ゲル化活性剤の添加から所定時間経過後に、発生する二酸化塩素ガスの濃度を測定して、その経時変化を調べた。結果を表1、表2、図3および図4にまとめた。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
表1および図3を参照して、比較例1においては、上記の亜塩素酸塩水性液への上記の比較例用ゲル化活性剤の添加から72時間経過まで(特に24時間経過まで)の初期に発生した二酸化塩素の濃度が高くなったが、実施例1においては、上記の亜塩素酸塩水性液への上記の比較例用ゲル化活性剤の添加から72時間経過まで(特に24時間経過まで)の初期に発生した二酸化塩素の濃度が低くなった。すなわち、実施例1は、ガス発生調節剤に加えて炭酸塩および過酸化水素を含むガス発生調整剤を添加することにより、亜塩素酸塩水性液へのゲル化活性剤の添加後の初期の二酸化塩素ガスの急激な発生を、比較例1に比べて抑制することができた。
【0069】
表1、表2および図4を参照して、上記の亜塩素酸塩水性液への上記のゲル化活性剤の添加から2600時間経過までに亘って、実施例1は、比較例1に比べて、二酸化塩素ガスの濃度の変動が少なかった。また、40ppm程度以上の二酸化塩素ガスの濃度の保持期間は、比較例1が1918時間経過程度までであったのに対し、実施例1は2490時間経過程度までに長期化できた。すなわち、実施例1は、ガス発生調節剤に加えて炭酸塩および過酸化水素を含むガス発生調整剤を添加することにより、二酸化塩素ガスを極めて長時間持続してかつ安定に発生させることができた。したがって、実施例1によれば、少なくとも2160時間(90日)の長期間持続してかつ安定して二酸化塩素ガスの発生が可能な二酸化塩素ガスの発生方法、二酸化塩素ガス発生用キットおよびゲル状組成物が得られた。
【0070】
(実施例2)
上記の亜塩素酸塩水性液(8.8質量%の亜塩素酸ナトリウム水溶液)70.32gに、上記の実施例用ゲル化活性剤19.95g(各成分の組成は、クエン酸三ナトリウム5.325g、無水クエン酸2.925g、ポリアクリル酸系吸水性樹脂8.4g、セピオライト粉末3g、炭酸ナトリウム過酸化水素化物0.3g)を添加したこと以外は、実施例1と同様にして、ゲル状組成物を形成した。ゲル時間は3分であった。得られたゲル状組成物の表面は、平坦(亜塩素酸塩水性液への実施例用ゲル化活性剤の添加による表面の局所的な盛り上がりがなく、目視上平坦)であった。また、ゲル状組成物の表面には、割れは発生しなかった。
【0071】
次いで、実施例1と同様にして、上記の亜塩素酸塩水性液への上記の実施例用ゲル化活性剤の添加から所定時間経過後に、発生する二酸化塩素ガスの濃度を測定して、その経時変化を調べた。結果を表3、表4、図5および図6にまとめた。
【0072】
(比較例2)
上記の実施例用ゲル化活性剤19.95gに替えて、上記の比較例用ゲル化活性剤19.65g(各成分の組成は、クエン酸三ナトリウム・二水和物5.325g、無水クエン酸2.925g、ポリアクリル酸系吸水性樹脂8.4g、セピオライト粉末3g)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、ゲル状組成物を形成した。ゲル時間は3分であった。得られたゲル状組成物の表面は、得られたゲル状組成物の表面は、亜塩酸塩水性液への比較例用ゲル化活性剤の添加による局所的な盛り上がりが形成された。また、ゲル状組成物の表面には割れが発生した。
【0073】
次いで、実施例1と同様にして、上記の亜塩素酸塩水性液への上記の比較例用ゲル化活性剤の添加から所定時間経過後に、発生する二酸化塩素ガスの濃度を測定して、その経時変化を調べた。結果を表3、表4、図5および図6にまとめた。
【0074】
【表3】
【0075】
【表4】
【0076】
表3および図5を参照して、比較例2においては、上記の亜塩素酸塩水性液への上記の比較例用ゲル化活性剤の添加から56時間経過まで(特に24時間経過まで)の初期に発生した二酸化塩素の濃度が高くなったが、実施例2においては、上記の亜塩素酸塩水性液への上記の比較例用ゲル化活性剤の添加から56時間経過まで(特に24時間経過まで)の初期に発生した二酸化塩素の濃度が低くなった。すなわち、実施例2は、ガス発生調節剤に加えて炭酸塩および過酸化水素を含むガス発生調整剤を添加することにより、亜塩素酸塩水性液へのゲル化活性剤の添加後の初期の二酸化塩素ガスの急激な発生を、比較例2に比べて抑制することができた。
【0077】
表3、表4および図6を参照して、上記の亜塩素酸塩水性液への上記のゲル化活性剤の添加から2600時間経過までに亘って、実施例2は、比較例2に比べて、二酸化塩素ガスの濃度の変動が少なかった。また、40ppm程度以上の二酸化塩素ガスの濃度の保持期間は、比較例2が1257時間経過程度までであったのに対し、実施例2は1616時間経過程度までに長期化できた。すなわち、実施例2は、ガス発生調節剤に加えて炭酸塩および過酸化水素を含むガス発生調整剤を添加することにより、二酸化塩素ガスを極めて長時間持続してかつ安定に発生させることができた。したがって、実施例2によれば、少なくとも1440時間(60日)の長期間持続してかつ安定して二酸化塩素ガスの発生が可能な二酸化塩素ガスの発生方法、二酸化塩素ガス発生用キットおよびゲル状組成物が得られた。
【0078】
(実施例3)
上記の亜塩素酸塩水性液(8.8質量%の亜塩素酸ナトリウム水溶液)46.88gに、上記の実施例用ゲル化活性剤13.30g(各成分の組成は、クエン酸三ナトリウム・二水和物3.55g、無水クエン酸1.95g、ポリアクリル酸系吸水性樹脂5.6g、セピオライト粉末2g、炭酸ナトリウム過酸化水素化物0.2g)を添加したこと以外は、実施例1と同様にして、ゲル状組成物を形成した。ゲル時間は2分であった。得られたゲル状組成物の表面は、平坦(亜塩素酸塩水性液への実施例用ゲル化活性剤の添加による表面の局所的な盛り上がりがなく、目視上平坦)であった。また、ゲル状組成物の表面には、割れは発生しなかった。
【0079】
次いで、実施例1と同様にして、上記の亜塩素酸塩水性液への上記の実施例用ゲル化活性剤の添加から所定時間経過後に、発生する二酸化塩素ガスの濃度を測定して、その経時変化を調べた。結果を表5、表6、図7および図8にまとめた。
【0080】
(比較例3)
上記の実施例用ゲル化活性剤13.30gに替えて、上記の比較例用ゲル化活性剤13.10g(各成分の組成は、クエン酸三ナトリウム・二水和物3.55g、無水クエン酸1.95g、ポリアクリル酸系吸水性樹脂5.6g、セピオライト粉末2g)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、ゲル状組成物を形成した。ゲル時間は2分であった。得られたゲル状組成物の表面は、得られたゲル状組成物の表面は、亜塩酸塩水性液への比較例用ゲル化活性剤の添加による局所的な盛り上がりが形成された。また、ゲル状組成物の表面には割れが発生した。
【0081】
次いで、実施例1と同様にして、上記の亜塩素酸塩水性液への上記の比較例用ゲル化活性剤の添加から所定時間経過後に、発生する二酸化塩素ガスの濃度を測定して、その経時変化を調べた。結果を表5、表6、図7および図8にまとめた。
【0082】
【表5】
【0083】
【表6】
【0084】
表5および図7を参照して、比較例3においては、上記の亜塩素酸塩水性液への上記の比較例用ゲル化活性剤の添加から56時間経過まで(特に24時間経過まで)の初期に発生した二酸化塩素の濃度が高くなったが、実施例3においては、上記の亜塩素酸塩水性液への上記の比較例用ゲル化活性剤の添加から56時間経過まで(特に24時間経過まで)の初期に発生した二酸化塩素の濃度が低くなった。すなわち、実施例3は、ガス発生調節剤に加えて炭酸塩および過酸化水素を含むガス発生調整剤を添加することにより、亜塩素酸塩水性液へのゲル化活性剤の添加後の初期の二酸化塩素ガスの急激な発生を、比較例3に比べて抑制することができた。
【0085】
表5、表6および図8を参照して、上記の亜塩素酸塩水性液への上記のゲル化活性剤の添加から2600時間経過までに亘って、実施例3は、比較例3に比べて、二酸化塩素ガスの濃度の変動が少なかった。また、40ppm程度以上の二酸化塩素ガスの濃度の保持期間は、比較例3が836時間経過程度までであったのに対し、実施例3は1149時間経過程度までに長期化できた。すなわち、実施例3は、ガス発生調節剤に加えて炭酸塩および過酸化水素を含むガス発生調整剤を添加することにより、二酸化塩素ガスを極めて長時間持続してかつ安定に発生させることができた。したがって、実施例3によれば、少なくとも1080時間(45日)の長期間持続してかつ安定して二酸化塩素ガスの発生が可能な二酸化塩素ガスの発生方法、二酸化塩素ガス発生用キットおよびゲル状組成物が得られた。
【0086】
(実施例4)
亜塩素酸塩水性液として9.0質量%の亜塩素酸ナトリウム水溶液117.25gを用い、実施例用ゲル化活性剤としてクエン酸三ナトリウム・二水和物8.125g、無水クエン酸4.875g、ポリアクリル酸系吸水性樹脂14.5g、セピオライト粉末5.25g、および炭酸ナトリウム過酸化水素化物0.8gからなる混合粉末33.55gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ゲル状組成物を形成した。ゲル時間は4分であった。得られたゲル状組成物の表面は、平坦(亜塩素酸塩水性液への実施例用ゲル化活性剤の添加による表面の局所的な盛り上がりがなく、目視上平坦)であった。また、ゲル状組成物の表面には、割れは発生しなかった。
【0087】
次いで、実施例1と同様にして、上記の亜塩素酸塩水性液への上記の実施例用ゲル化活性剤の添加から所定時間経過後に、発生する二酸化塩素ガスの濃度を測定して、その経時変化を調べた。結果を表7および図9にまとめた。
【0088】
【表7】
【0089】
(実施例5)
実施例用ゲル化活性剤としてクエン酸三ナトリウム・二水和物8.125g、無水クエン酸4.875g、ポリアクリル酸系吸水性樹脂14.5g、セピオライト粉末5.25g、および炭酸ナトリウム過酸化水素化物0.6gからなる混合粉末33.35gを用いたこと以外は、実施例4と同様にして、ゲル状組成物を形成した。ゲル時間は4分であった。得られたゲル状組成物の表面は、平坦(亜塩素酸塩水性液への実施例用ゲル化活性剤の添加による表面の局所的な盛り上がりがなく、目視上平坦)であった。また、ゲル状組成物の表面には、割れは発生しなかった。
【0090】
次いで、実施例1と同様にして、上記の亜塩素酸塩水性液への上記の実施例用ゲル化活性剤の添加から所定時間経過後に、発生する二酸化塩素ガスの濃度を測定して、その経時変化を調べた。結果を表8および図10にまとめた。
【0091】
【表8】
【0092】
(実施例6)
実施例用ゲル化活性剤としてクエン酸三ナトリウム・二水和物8.125g、無水クエン酸4.875g、ポリアクリル酸系吸水性樹脂14.5g、セピオライト粉末5.25g、および炭酸ナトリウム過酸化水素化物0.3gからなる混合粉末33.05gを用いたこと以外は、実施例4と同様にして、ゲル状組成物を形成した。ゲル時間は4分であった。得られたゲル状組成物の表面は、平坦(亜塩素酸塩水性液への実施例用ゲル化活性剤の添加による表面の局所的な盛り上がりがなく、目視上平坦)であった。また、ゲル状組成物の表面には、割れは発生しなかった。
【0093】
次いで、実施例1と同様にして、上記の亜塩素酸塩水性液への上記の実施例用ゲル化活性剤の添加から所定時間経過後に、発生する二酸化塩素ガスの濃度を測定して、その経時変化を調べた。結果を表9および図11にまとめた。
【0094】
【表9】
【0095】
表7〜表9および図9図11を参照して、実施例4〜実施例6のいずれにおいても、亜塩素酸塩水性液への実施例用ゲル化活性剤の添加後の72時間経過(特に24時間経過)までの初期の二酸化塩素ガスの急激な発生が抑制され、少なくとも720時間(30日)の長期間持続してかつ安定して二酸化塩素ガスの発生が可能な二酸化塩素ガスの発生方法、二酸化塩素ガス発生用キットおよびゲル状組成物が得られた。
【0096】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態および実施例ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0097】
1 二酸化塩素ガス発生用容器、1w,10w,22w,24w 開口部、2 ビーカ、3 プラスチック製フィルム、4 北川式検知管、10 プラスチック製本体、20 プラスチック製蓋、22 内蓋、24 外蓋、30 ゲル状組成物、30s 表面。
【要約】
【課題】初期の二酸化塩素ガスの急激な発生を抑制するとともに二酸化塩素ガスの発生を安定して極めて長時間持続させる二酸化塩素ガスの発生方法、二酸化塩素ガス発生用キットおよびゲル状組成物を提供する。
【解決手段】二酸化塩素ガスの発生方法は、亜塩素酸塩水性液に、ガス発生剤、炭酸塩および過酸化水素を含むガス発生調整剤、ガス発生調節剤、ならびに吸水性樹脂を含むゲル化活性剤を添加して得られるゲル状組成物30から、二酸化塩素ガスを持続的に発生させる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11