(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
現在最も広く使われている細胞培養方法は、2次元的なウェルプレート(well plate)や培養皿で細胞を培養する方法である。しかし、最近、論文報告によると、2次元(monolayer)細胞培養の場合、3次元的細胞培養時よりも細胞の機能が落ち、形態(morphology)も著しく変わるという報告があった(Proc. Natl. Acad. Sci. USA,100: 1943-1948,2003; Cell,111: 923-925,2002; Cancer Cell 2: 205-216,2002)。このような短所を克服するために、最近になって3次元構造を有する支持体を利用した細胞培養方法が多く開発されており、このような構造を作る方法には、電界紡糸(electrospinning)、発泡成形、イオンの濃度を利用する方法、球形自己組立体を用いて逆転構造を作る方法が多く使われている。また、最近は、バイオメディカル分野で使用される微小電子機械システムであるDNAチップ、タンパク質チップ、一体型チップなどを称するバイオメムス(Bio−MEMS)分野の発展により、生体内の環境と類似するように作る細胞培養法の新しいパラダイムが試みられている(Proc. Natl. Acad. Sci. USA,96: 5545-5548,1999; Anal. Chem., 74: 1560-1564,2002; Biotechnol. Prog.,20: 338-345,2004; Biomed. Microdevices,4: 161-166,2002)。これと類似して、韓国登録特許第10-0733914号では、3次元ゲルの中に細胞が存在することを特徴とする3次元微細細胞培養システムに関して提示しているが、細胞培養後、細胞の継代培養または細胞を利用した分析時にゲル内部に存在する細胞を分離するのが困難であり、特に、細胞の付着及び増殖が難しい幹細胞または初代培養細胞の場合、細胞分離時に細胞が損傷するとの短所があった。
【0003】
幹細胞(stem cell)とは、未分化状態を維持しながら無限に増殖することができ、一定の環境と条件が与えられる場合、特定の機能と形態を有するように分化することができる細胞を言う。ヒト胚性幹細胞は、適当な体外培養条件で自己増殖(self-renewal)が持続的に可能であり、人体を成す全ての種類の細胞に分化することができる全分化能(pluripotency)により、人体の発生、分化及び成長に関する基礎知識を理解するためだけでなく、人体の損傷または多様な疾患の根本的な治療方法である細胞治療剤の開発及び多様な新薬候補物質の薬効検索、疾患の原因究明、治療法の開発など多様な側面でこれを対象とした研究結果の活用範囲が拡大している。
【0004】
一方、初代培養細胞(primary cell)は、動物組織や器官から直ちに一次培養した細胞であり、生きている生物組織から得た正常な細胞を言い、腫瘍細胞とは異なりインビトロ(in vitro)の継代培養において限界がある。初代培養細胞は、生物の実際反応と類似するという長所を有するため、生物医薬品の生産などに使われており、細胞治療剤としても開発されている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳しく説明する。但し、本発明は多様な形態に変更されて具現されることができ、ここで説明する具現例に限定されるものではない。
【0010】
一側面において、本発明は、
多孔性膜を細胞培養容器の内部に非接触的に位置させ;
上記多孔性膜の片側表面に生分解性合成バイオゲル溶液を塗布してゾルゲル相転移を通して生分解性合成バイオゲルをコーティングし;
上記コーティングされた生分解性合成バイオゲルの上に細胞を含んだ培地を入れて培養することを含む細胞培養方法に関する。
【0011】
一具現例で、上記多孔性膜は、透過性膜で構成された培養容器であり得る。
【0012】
一具現例で、上記多孔性膜を細胞培養容器の底に平行に非接触的に位置させることができる。上記多孔性膜に生分解性合成バイオゲルをコーティングすることと、細胞培養容器の内部に非接触的に位置させることとの順序は特に限定されず、上記の場合、多孔性膜を細胞培養容器の底に非接触的に配置した後に生分解性合成バイオゲルをコーティングすることもでき、予め多孔性膜に生分解性合成バイオゲルをコーティングした後に細胞容器の内部に非接触的に配置することもできる。
【0013】
一具現例で、細胞培養容器の内部で非水平的に細胞を培養する場合は、多孔性膜の片側表面に生分解性合成バイオゲル溶液を塗布し、生分解性合成バイオゲルの上に細胞を付着した後、細胞培養容器の内部に非接触的に位置させて培養することもできる。
【0014】
一具現例で、上記多孔性膜と細胞培養容器との間に培地が流入して培地及び空気が細胞の付着部位にも提供されることができる。本発明の多孔性膜及び生分解性合成バイオゲルは、空気及び培地の透過を許容し、多孔性膜と細胞培養容器が非接触的に配置されることで生じた多孔性膜と細胞培養容器との間の空間に培地が流入して満たすため、生分解性合成バイオゲルの上に付着された細胞の付着部位にも培地及び空気が流入して細胞培養に必要な栄養分及び空気の提供が可能である。
【0015】
本発明の細胞培養容器は、一般的に細胞培養に使われる皿(dish)、ウェルプレートであり、細胞培養に使用され、多孔性膜を容器の底に非接触的に導入できる細胞培養容器ならば特に制限はない。また、Hyperflask(Corning Co.,USA)のように全方位的な空気透過性を有する細胞培養容器もこれに該当する。
【0016】
一具現例で、上記生分解性合成バイオゲル溶液(ヒドロゾル)の生分解性合成バイオゲルへのゾルゲル相転移は、37℃で1乃至2時間の間に行われることができる。
【0017】
一具現例で、上記生分解性合成バイオゲルは、1乃至40%生分解性合成バイオゲルであり得、40%以上では細胞の生長及び増殖の変化が有意でないため細胞培養には意味がなく、間葉系幹細胞の場合は5乃至10%がより望ましいが、これに限定されない。
【0018】
一具現例で、上記生分解性合成バイオゲルは、生分解性合成バイオゲル%によって37℃での粘度が1.E+00乃至1.E+06(10
0乃至10
6)mPa・sであり得、上記範囲以外の粘度を有する生分解性合成バイオゲルは、細胞の生長及び増殖がさらに増えず、細胞培養に意味がないか、むしろ細胞の付着、生長及び増殖が減少することもある。
【0019】
本発明に使われている生分解性合成バイオゲル以外に細胞の付着が可能な多孔性ゲルが使用でき、その例として、sigma-aldrich社製造のHydroMatrix
TM Peptide Cell Culture Scaffold,D.A. Narmoneva,et al. / Biomaterials 26(2005)4837-4846に開示されているオリゴペプチドからなるゲル、国際公開特許 WO2007/029003に開示されているヒドロゲル、米国特許US20070099840に開示されているヒドロゲル、M.Zhou et.,al.Biomaterials,2009,in pressに開示されている細胞付着用オリゴペプチドマトリックス、4 V. Jayawarna,et al.. Acta Biomaterialia,2009,in pressに開示されているペプチドゲルなどが使用でき、細胞を付着または支持しながら空気及び培地透過性であるゲルならば制限はない。
【0020】
一具現例で、上記生分解性合成バイオゲルは、ポリエステルポリマー、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸−グリコール酸共重合体、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシバレリアン酸及びポリヒドロキシ酪酸−バレリアン酸共重合体を1種以上含むことができる。
【0021】
一具現例で、上記多孔性膜は、空隙が0.1乃至8μmであり得るが、培地及び空気は通過でき生分解性合成バイオゲルは通過できない空隙サイズならば制限はない。
【0022】
一具現例で、上記細胞は、幹細胞または初代培養細胞であり得、上記幹細胞は、臍帯由来間葉系幹細胞(Umbilical cord mesenchymal stem cell,UCMSC)、脂肪由来間葉系幹細胞(Adipose derived mesenchymal stem cell,ADMSC)または骨髄由来間葉系幹細胞(Bone marrow-derived mesenchymal stem cell,BMMSC)であり得、上記初代培養細胞は、ヒト皮膚由来角質細胞(keratonocyte)であり得る。上記幹細胞は、哺乳動物由来であり得、本発明の一実施例ではヒト由来及びイヌ由来幹細胞を使った。
【0023】
本発明で、用語“3次元的培養”は、細胞が付着された下部部分にも空気及び培地が供給されて細胞の全方位的に空気及び栄養成分が供給される培養方法を言う。本発明の一実施例では、多孔性膜で生分解性合成バイオゲルと細胞培養皿の底を物理的に分離することで細胞の付着、生長及び増殖が向上した。
【0024】
本発明で、用語“多孔性膜”、“透過性膜”または“高分子膜(polymer membrane)”は、培地及び空気は通過でき生分解性合成バイオゲルは通過できない多孔性膜またはフィルム形態の物質を言う。細胞培養培地及び空気透過性である多孔性構造物ならば特に制限はない。
【0025】
本発明で、用語“ヒドロゲル(hydrogel)”は、ゾルゲル相転移を通して水を分散媒とする液体が固まって流動性を喪失し多孔性構造を成す物質を言い、細胞の付着及び培養に適したヒドロゲルならば特に制限はなく、本発明の一実施例では生分解性合成バイオゲルを使った。本発明の生分解性合成バイオゲルは、Polyoxyethylen-(POE)及びPolyoxypropylene-(POP-)からなる共重合体を用い、これは、細胞培養温度である36乃至37℃では粘度が1.E+00乃至1.E+06(10
0乃至10
6)mPa・sであるゲル状態であるため細胞付着が容易であり、培養温度未満ではゾル状態に変わるため細胞増殖後の継代培養または細胞分離後の分析が容易である。
【0026】
本発明で、用語“幹細胞”は、自己複製能及び分化増殖能を有する未分化細胞を意味する。幹細胞には、分化能力によって、全分化能幹細胞(pluripotent stem cell)、多分化能幹細胞(multipotent stem cell)、単分化能幹細胞(unipotent stem cell)などの亜集団が含まれる。上記全分化能幹細胞は、生体を構成する全ての組織や細胞に分化することができる能力を有する細胞を意味し、多分化能幹細胞は、全ての種類ではないが、複数種の組織や細胞に分化することができる能力を有する細胞を意味する。単分化能幹細胞は、特定の組織や細胞に分化することができる能力を有する細胞を意味する。全分化能幹細胞としては、胚性幹細胞(ES Cell)、胚性生殖細胞(EG Cell)、人工多能性幹細胞(iPS cell)などを挙げることができ、多分化能幹細胞としては、間葉系幹細胞(脂肪由来、骨髄由来、臍帯血または臍帯由来など)、造血幹細胞(骨髄または末梢血液などから由来)、神経幹細胞、生殖幹細胞などの成体幹細胞などを挙げることができ、単分化能幹細胞としては、平常は分裂能の低い状態で存在するが活性化以後に旺盛な分裂で単に肝細胞のみを作る前駆細胞(Committed stem cell)などを挙げることができる。本発明の一実施例では、代表として、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞、ヒト脂肪由来幹細胞、ヒト臍帯由来幹細胞及びイヌ脂肪由来間葉系幹細胞を用いて本発明の3次元細胞培養方法で付着、生長及び増殖が促進されることを確認した。
【0027】
本発明で、用語“初代培養細胞(Primary cell)”は、個体から抽出した組織から遺伝子などの操作なしに分離した細胞で、生体臓器/組織の機能を示す細胞である。皮膚や血管内皮、骨髄、脂肪、軟骨などから初代培養細胞が分離されて、該当組織及び細胞の機能を研究するのに利用されたり、失った組織を復旧するための細胞治療剤として利用されている。本発明の一実施例では、代表としてヒト皮膚由来角質細胞を使った。
【0028】
上記幹細胞または初代培養細胞は、本発明の細胞培養方法及び細胞培養器によって培養可能な細胞ならば特にその由来に制限はなく、その例として、ヒト、サル、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、マウス、ウサギ由来の細胞がある。上記幹細胞または初代培養細胞は、望ましくはヒト由来の幹細胞または初代培養細胞であるが、これに制限されない。
【0029】
一側面において、本発明は、
細胞培養容器;
上記細胞培養容器の底の上部に非接触的に配置される多孔性膜;及び、
上記多孔性膜の上部でゾルゲル相転移を通して多孔性膜の上部表面に付着される生分解性合成バイオゲルを含む細胞培養システムに関する。
【0030】
一具現例で、上記多孔性膜及び生分解性合成バイオゲルは、培地及び空気の透過が可能なものであり得、細胞培養培地の透過が可能なことから細胞培養に必要な栄養分及び空気の提供が可能である。
【0031】
本発明に使われている用語“細胞培養システム”は、細胞を培養する容器、装置または機器を言う。
【0032】
下記実施例を通して本発明をより詳しく説明する。しかし、下記実施例は、本発明の内容を具体化するためのものであるだけで、これにより本発明が限定されるわけではない。
【実施例】
【0033】
実施例.3次元状態での幹細胞培養方法
生分解性合成バイオゲル(BASF,Germany)を滅菌された3次蒸留水に5%から30%まで5%間隔の濃度に溶かして多様な%のゲルを製造した後、250μl/cm
2で0.4μm乃至1μmの高分子膜(Corning,USA)上に塗布して1時間30分の間37℃で固めて細胞培養容器を製作した。その後、既存の培養方法により培養皿で培養したヒト脂肪由来間葉系幹細胞、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞、ヒト臍帯由来間葉系幹細胞、ヒト皮膚由来角質細胞(Keratonocyte)またはイヌ脂肪由来間葉系幹細胞(Canine ADMSC)を上記細胞培養容器の生分解性合成バイオゲルの上に接種し、下記の各細胞に最適化された培養液で37℃、CO
2培養器にて3日乃至4日間培養した。ヒト脂肪由来間葉系幹細胞はCEFOgro ADMSC培地(CB-ADMSC-GM,CEFO,Korea)、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞はCEFOgro BMMSC培地(CB-BMMSC-GM,CEFO,Korea)、ヒト臍帯由来間葉系幹細胞はCEFOgro UCMSC培地(CB-UCMSC-GM,CEFO,Korea)、ヒト皮膚由来角質細胞(Keratonocyte)はCEFOgro HK培地(CB-HK-GM,CEFO,Korea)及びイヌ脂肪由来間葉系幹細胞(Canine ADMSC)はCEFOgro MSGM培地(CB-MS-GM,CEFO,Korea)で培養した(
図1)。
【0034】
比較例1.2次元状態での幹細胞培養方法
従来の幹細胞培養方法である2次元的培養方法で幹細胞を培養した。具体的に、細胞培養容器(皿)に上記実施例のように幹細胞を接種し幹細胞を培養した(
図2)。
【0035】
比較例2.高分子膜なしに3次元状態での幹細胞培養方法
上記実施例で高分子膜なしに生分解性合成バイオゲルを細胞培養皿の底に塗布した後、この上に上記実施例と同様に幹細胞を接種し培養した(
図3)。
【0036】
図2(2次元方法)及び
図3(生分解性合成バイオゲルのみを使った3次元方法)と比較して、本発明の3次元細胞培養方法(
図1)は、細胞の全方位に空気及び培地が提供される特徴がある。
【0037】
実験例1.ヒト骨髄由来間葉系幹細胞の3次元培養確認
ヒト骨髄由来間葉系幹細胞の培養後の細胞培養程度を確認するために、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞を比較例1の2次元培養方法、比較例3の培養方法及び上記実施例の培養方法(5%、10%または15%生分解性合成バイオゲル)で培養した。細胞培養後、位相差顕微鏡で細胞を観察した結果、比較例2の方法では幹細胞がよく付着できておらず、実施例の方法を用いて培養した場合は従来の2次元培養方法(比較例1)よりも細胞がよく生長することが確認できた(
図4)。また、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞の生存を確認するために、細胞死滅が発生した場合は赤色に染色され、生存細胞は緑色に染色されるLive/Dead分析を行うために、上記のように細胞を培養した後、培地を除去し、洗浄過程なしにLive/Dead assay(Invitrogen,USA)溶液を150μl/12well添加して20分間常温で反応させた。反応後、洗浄過程なしに直ちに蛍光顕微鏡(LEICA,Germany)上でイメージを分析し、この全ての試験過程は製造社提供プロトコルに従った。その結果、上記位相差顕微鏡による観察結果と同様に、実施例の方法で培養した場合は、比較例方法よりも細胞がよく付着され生長することが分かった(
図4)。また、幹細胞能を間接的に確認するために、1個の細胞から細胞が分裂してコロニーを形成することを確認するCFU分析を行った。具体的に、実施例、比較例1及び比較例2の方法で6ウェルプレート(Corning,USA)にヒト骨髄由来間葉系幹細胞を1ウェル当たり200個ずつ接種し、約8日間培養した後、ホルマリンで固定して1%クリスタルバイオレット溶液で染色した。染色後、3次蒸留水またはリン酸緩衝食塩水(PBS,Phosphate buffer saline)で洗浄し、倒立顕微鏡(LEICA,Germany)上でイメージ分析を行った結果、上記の他の実験結果と類似の結果を示し、本発明の実施例の方法で培養された幹細胞の細胞分裂(増殖)能力は、1乃至20%生分解性合成バイオゲルで可能であり、特に、5%生分解性合成バイオゲル及び10%生分解性合成バイオゲルで優れていることが分かった(
図4)。これを通して、培養皿に生分解性合成バイオゲルを直接コーティングして細胞を培養する場合(比較例2)は、細胞が付着されず細胞培養方法としては適していないものと判断され、これは空気透過及び培地提供に問題があるためと類推される。
【0038】
実験例2.ヒト脂肪由来間葉系幹細胞の3次元培養確認
ヒト脂肪由来間葉系幹細胞の培養後の細胞培養程度を確認するために、ヒト脂肪由来間葉系幹細胞を実施例(5%、10%、15%、20%、25%または30%生分解性合成バイオゲル)、比較例1及び比較例2の方法で培養した。細胞培養後、位相差顕微鏡で細胞を観察した結果、上記の骨髄由来間葉系幹細胞と同様に、比較例2の方法では細胞がよく付着できておらず、実施例の方法で(1乃至30%生分解性合成バイオゲル)幹細胞を培養した場合、大部分の細胞がよく育った。また、培養されたヒト脂肪由来間葉系幹細胞を計数するために、各々の方法で培養した後、PBSで2回洗浄し、トリプシン(Invitrogen,USA)を処理して37℃、CO
2培養器で7分間反応させ細胞を収集した後、培養液で2回洗浄し、自動細胞計数器(ADAM;Nano&Tech,Korea)で細胞を計数した結果、上記顕微鏡観察と同一であり、特に、実施例の方法で培養した幹細胞のうち5乃至15%の生分解性合成バイオゲルにおいて細胞成長が優れていた(
図5)。
【0039】
実験例3.ヒト臍帯由来間葉系幹細胞の3次元培養確認
他の幹細胞であるヒト臍帯由来間葉系幹細胞を実施例(10%生分解性合成バイオゲル)、比較例1の方法で培養した後、位相差顕微鏡で細胞を観察した結果、臍帯由来間葉系幹細胞も、本発明の高分子膜及び生分解性合成バイオゲルを用いた実施例の方法で培養したとき、生長が促進されることが確認できた(
図6)。
【0040】
実験例4.ヒト由来初代培養細胞の3次元培養確認
ヒト由来の初代培養細胞であるヒト皮膚由来角質細胞を実施例(5%、10%、15%、20%、25%または30%生分解性合成バイオゲル)、比較例1及び比較例2の方法で培養し、細胞培養程度を確認した。具体的に、ヒト皮膚由来角質細胞を実施例(5%、10%、15%、20%、25%または30%生分解性合成バイオゲル)、比較例1及び比較例2の方法でそれぞれ培養した後、位相差顕微鏡で確認し、細胞を収集して計数した。その結果、高分子膜上に1乃至30%の生分解性合成バイオゲルを固めた実施例の方法で培養した皮膚角質細胞が大体よく育ち、生分解性合成バイオゲル%が高いほど細胞産出量が多くなり、20乃至30%生分解性合成バイオゲルでは生分解性合成バイオゲル含有%による差がほとんどないことと現れた。特に、15乃至30%生分解性合成バイオゲルを含む細胞培養容器では、一般の培養皿で培養する方法よりも細胞産出量がより多かった(
図7)。
【0041】
実験例5.イヌ由来間葉系幹細胞の3次元培養確認
他種由来間葉系幹細胞であるイヌ脂肪由来間葉系幹細胞を実施例(10%生分解性合成バイオゲル)、比較例1の方法で培養し、顕微鏡を用いて確認した結果、2次元培養方法よりも細胞がよく培養されることが確認できた(
図8)。
【0042】
上記の結果を通して、細胞培養皿に非接触的に高分子膜を設け、その上に生分解性合成バイオゲルを形成し、その上に細胞を培養すれば、培養及び細胞の付着が容易であり、生長及び増殖が増大することが分かった。従って、本発明の細胞培養方法及び細胞培養システムを用いれば、一般的に細胞の付着、生長及び増殖が難しい幹細胞及び初代培養細胞の培養が容易であり、室温でヒドロゲルがゾル状態に変わるため、培養後、継代培養または分析のための細胞分離が容易であるとの長所がある。