特許第6475392号(P6475392)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6475392支払アカウントに対するトランザクションを処理するシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6475392
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】支払アカウントに対するトランザクションを処理するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/22 20120101AFI20190218BHJP
【FI】
   G06Q20/22
【請求項の数】20
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-502726(P2018-502726)
(86)(22)【出願日】2016年6月8日
(65)【公表番号】特表2018-525733(P2018-525733A)
(43)【公表日】2018年9月6日
(86)【国際出願番号】US2016036364
(87)【国際公開番号】WO2017014845
(87)【国際公開日】20170126
【審査請求日】2018年2月6日
(31)【優先権主張番号】14/804,435
(32)【優先日】2015年7月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500557864
【氏名又は名称】マスターカード インターナシヨナル インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100192924
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 裕充
(72)【発明者】
【氏名】ケネス アンサー
(72)【発明者】
【氏名】エドワード リー
【審査官】 塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−157336(JP,A)
【文献】 特開2014−041489(JP,A)
【文献】 米国特許第06160874(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0164228(US,A1)
【文献】 米国特許第07784685(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0228615(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0191605(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F19/00
G06Q10/00−40/08
50/00−50/20
50/26−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支払アカウントに対するトランザクションを処理して当該支払アカウントへ資金を追加するコンピュータ実装方法において、
コンピューティング装置にて支払アカウントへのトランザクションのためのトランザクションリクエストを受信するステップであって、前記トランザクションリクエストは前記支払アカウントに関連付けられた預金識別子を含み、前記トランザクションリクエストは前記支払アカウントについての主要アカウント番号(PAN)を含まない、ステップと、
前記トランザクションリクエストが前記支払アカウントへ資金を追加するリクエストを含むときに前記トランザクションリクエストを処理させるステップと、
前記トランザクションリクエストが前記支払アカウントから資金を引き落とすリクエストを含むときに前記トランザクションリクエストを拒否させるステップと、を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記預金識別子は前記支払アカウントについての前記PANに基づいており、前記預金識別子はアルゴリズムを使用することによって前記PANへ変換可能であり、及び/又は、前記PANはアルゴリズムを使用することによって前記預金識別子へ変換可能である、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、
前記預金識別子を検出するステップと、
前記トランザクションリクエストを処理させる前に、前記アルゴリズムによって前記預金識別子を前記PANへ解釈するステップと、を更に含む方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法において、前記PAN及び前記預金識別子を前記支払アカウントへ割り当てるステップを更に含む方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、前記預金識別子は前記支払アカウントについての前記PANに基づかない方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、前記預金識別子に基づいて、複数の異なる支払アカウントから前記支払アカウントを識別するステップを更に含む方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、前記預金識別子のフォーマットは前記PANのフォーマットと異なる、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、前記トランザクションリクエストを処理させることは、前記資金を前記支払アカウントへ追加することを含む、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法において、前記トランザクションリクエストを処理させることは、前記トランザクションリクエストを前記支払アカウントに関連付けられた発行銀行へ送信することを含む、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、前記トランザクションリクエストを処理させることは、
前記支払アカウントへ追加される前記資金の出所を検証することと、
前記資金の前記出所にて前記トランザクションを清算することと、
前記支払アカウントの残高を変更して、前記トランザクションリクエストによって追加される前記資金を含むようにすることと、を含む方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、前記支払アカウントの前記残高が変更されて前記トランザクションリクエストによって追加される前記資金を含むとき、前記支払アカウントに関連付けられた消費者へ通知を送信するステップを更に含む、方法。
【請求項12】
コンピュータ実行可能な命令を含むコンピュータ読取り可能な記憶媒体において、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに前記少なくとも1つのプロセッサに、
支払アカウントへのトランザクションのためのトランザクションリクエストを受信するステップであって、前記支払アカウントは主要アカウント番号(PAN)と、前記PANとは異なる預金識別子とに関連付けられ、当該預金識別子は前記支払アカウントへ資金が追加されることだけを可能にする、ステップと、
前記トランザクションリクエストが前記支払アカウントへ資金を追加する指示と前記支払アカウントについての前記預金識別子との両方を含むとき、前記トランザクションを処理させるステップと、
前記トランザクションリクエストが前記支払アカウントから資金を引き出す指示と前記支払アカウントについての前記預金識別子との両方を含むとき、前記トランザクションを拒否させるステップと、
前記トランザクションリクエストが前記支払アカウントへ資金を追加する指示、及び/又は、前記支払アカウントから資金を引き出す指示を含み、更に前記支払アカウントについての前記PANを含むとき、前記トランザクションを処理させるステップと、を実行させる媒体。
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータ読取り可能な記憶媒体において、前記預金識別子は前記支払アカウントについての前記PANに基づかない、媒体。
【請求項14】
請求項12に記載のコンピュータ読取り可能な記憶媒体において、前記預金識別子は前記支払アカウントについての前記PANに基づいており、前記預金識別子はアルゴリズムを使用することによって前記PANへ変換可能であり、及び/又は、前記PANはアルゴリズムを使用することによって前記預金識別子へ変換可能である、媒体。
【請求項15】
請求項12に記載のコンピュータ読取り可能な記憶媒体において、前記預金識別子及び前記PANは異なるフォーマットを含む、媒体。
【請求項16】
請求項12に記載のコンピュータ読取り可能な記憶媒体において、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されたとき、前記コンピュータ実行可能な命令は更に、前記少なくとも1つのプロセッサに、前記PANと前記預金識別子とを前記支払アカウントへ割り当てさせる、媒体。
【請求項17】
請求項12に記載のコンピュータ読取り可能な記憶媒体において、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されたとき、前記コンピュータ実行可能な命令は更に、前記少なくとも1つのプロセッサに、前記トランザクションリクエストにおいて識別された資金が前記支払アカウントへ追加されたときに、前記支払アカウントに関連付けられた消費者へ通知を送信させる、媒体。
【請求項18】
支払アカウントに対するトランザクションを処理して資金を前記支払アカウントへ追加するコンピュータ実装方法において、
コンピューティング装置によって預金識別子を前記支払アカウントへ割り当てるステップ
前記支払アカウントへのトランザクションのためのトランザクションリクエストを前記コンピューティング装置によって受信するステップと、
前記トランザクションリクエストが前記支払アカウントへ資金を追加する指示と前記支払アカウントについての前記預金識別子との両方を含むとき、前記コンピューティング装置に前記トランザクションを処理させるステップと、
前記トランザクションリクエストが前記支払アカウントから資金を引き出す指示と前記支払アカウントについての前記預金識別子との両方を含むとき、前記コンピューティング装置に前記トランザクションを拒否させるステップと、
を含む方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、前記支払アカウントの主要アカウント番号(PAN)に基づいて前記預金識別子を前記支払アカウントへ割り当てるステップを更に含み、前記PANはその後、前記預金識別子に基づいて判定可能である、方法。
【請求項20】
請求項18に記載の方法において、前記支払アカウントの主要アカウント番号とは独立して、前記預金識別子を前記支払アカウントへ割り当てるステップを更に含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、米国特許出願第14/804,435号(2015年6月21日出願)の優先権を主張するものであり、当該出願の開示全体をここに参照のために取り込む。
【技術分野】
【0002】
本開示は概して、支払アカウントに対するトランザクションを処理するシステム及び方法に関する。より具体的には、本開示は支払アカウントに対する預金トランザクション(例えば支払アカウントへ資金を追加し支払を実行すること)を識別し処理するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
このセクションは、必ずしも先行技術ではない、本開示に関連する背景情報を提供する。
【0004】
消費者はトランザクションにおいて支払アカウントを使用し、販売者から様々な製品(例えば商品及び/又は役務等)を購入する。支払アカウントは典型的には発行者によって消費者へ提供される。また、支払アカウントに関するトランザクションは典型的には、支払ネットワーク(例えばMasterCard(登録商標)、Visa(登録商標)等)を介して処理される。支払アカウントは概して2つのタイプで発行される。すなわち、クレジットアカウント(これにより、トランザクションに資金を供給するために支払の約束が用いられる)とデビットアカウント(これにより、トランザクションに資金を供給するためにアカウント内に存在する貨幣が使用される)である。デビットアカウントに関して言えば、消費者は、後のトランザクションにおいて使用するために、典型的には貨幣をアカウントに預ける。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本開示の図面は選択された実施形態(可能な全ての実施形態ではない)の例示のみを目的としており、本開示の範囲を限定しない。
図1】支払アカウントへのトランザクション(例えば預金トランザクションを含む)を処理する際に使用するのに適した、本開示の例示的なシステムのブロック図である。
図2図1の例示的なシステム内で使用されるコンピューティング装置のブロック図である。
図3図1のシステムに関連して実装される例示的な方法(例えば消費者に関連付けられた支払アカウントへの預金トランザクションを識別及び処理すること)である。
【0006】
様々な図に亘って、対応する参照符号は対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
添付図面を参照して、例示的実施形態が一層十分に開示される。本開示に含まれる開示及び特定の例は、例示目的のみを意図しており、本開示の範囲を限定する意図はない。
【0008】
消費者はしばしばトランザクションにおいて支払アカウントを使用し、販売者から製品(例えば商品及び/又は役務等)を購入するために資金を供給し、また、他の個人又は他のエンティティから預金を受け取る。典型的には、支払アカウントは主要アカウント番号に関連付けられる。これは、支払アカウントへの(例えば預金等として)及び支払アカウントからの(例えば購入に資金を供給するために等)両方の資金移転を容易にするために使用可能である。主要アカウント番号はアカウントから資金を引き落とす(debit)ために使用されるので、それらはしばしば消費者に対し隠匿され又は秘密にされ、トランザクションを完了するためだけに公開される。これにより支払アカウントに対して未承認のトランザクションがなされるリスクを低減することができる。本開示のシステム及び方法は、一意のアカウント識別子を実装するために使用可能である。これは、支払アカウントに資金を追加するためだけに使用可能な、支払アカウントの主要アカウント番号とは異なる。したがって、消費者は識別子を個人(又は他のエンティティ)に提供して、預金トランザクションを容易にする。このとき、識別子が支払アカウントへの未承認購入トランザクション(又は支払アカウントからの引き出し)を容易にするために使用されることの懸念はない。したがって本開示のシステム及び方法は、預金トランザクションに限定される識別子を主要アカウント番号に代わって提供することによって、一定のセキュリティレベルを、(個人(又はエンティティ)へ、支払アカウントへの預金アクセスを提供することを希望する)消費者へ提供する。
【0009】
図1は、例示的なシステム100を示し、ここでは本開示の1以上の態様が実装可能である。システム100のコンポーネントは1つの配置で提示される。しかし、例えばトランザクションを処理するとき等の様々なコンポーネント間での相互作用及び/又は関係によって、他の例示的実施形態がそれと同一又は異なるコンポーネント配置を含むことを理解されたい。
【0010】
開示されるシステム100は、概して、消費者102、販売者104、販売者104と関連付けられたアクワイアラ106、支払ネットワーク108及びイシュア110を含み、それぞれはネットワーク112に接続される。ネットワーク112は有線及び/又は無線ネットワーク、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)(例えばインターネット等)、モバイルネットワーク、及び/又は、システム100の2以上の開示コンポーネント間での通信を支援可能な他の適切な公衆の及び/又は私的なネットワーク、並びにそれらの組合せを含んでよいが、それに限られない。一実施形態では、ネットワーク112は複数のネットワークを含む。ここでは複数のネットワークのうち異なるものが、図1の開示コンポーネントのうち異なるものへアクセス可能である。
【0011】
システム100において典型的には、イシュア110は消費者102へ支払アカウントを提供し又は発行する。当該支払アカウントは、(例えば販売者104等との)購入トランザクション及び(例えば個人114又は他のエンティティ等との)預金トランザクションの両方において消費者102によって使用可能である。イシュア110はまた、ユーザプロファイルを、発行された(又は発行後の)支払アカウントと関連付け、消費者102によって要求されると、支払アカウントからの支払又は支払アカウントへの預金を容易にするための一般的な設定(例えば、支払アカウントへ預金がなされるときに消費者102へEメールを送信することを要求する通知設定等)を提供する。
【0012】
支払アカウントをシステム100において消費者102へ発行することに関して、イシュア110は主要アカウント番号(PAN)と預金識別子(例えば受信者識別子等)との両方を支払アカウントへ割り当てる。PAN及び預金識別子は次いで、消費者の支払アカウントと関連してイシュア110によってデータ構造116に(例えば預金識別子をインターバンクカードアソシエーション(ICA)番号へ関連付けることによる銀行マッピングによって、又は、預金識別子を直接PANに関連付けることによる支払アカウントマッピングによって、等)格納される。他の例示的実施形態では、イシュア110はPANだけを他のエンティティへ割り当ててよい。当該他のエンティティは、当該PANに基づいて(又はそれとは独立して)預金識別子を割り当てて、当該預金識別子をイシュア110へ共有してよい。そのような一実施形態では、イシュア110はPANを支払アカウントに割り当てる。支払ネットワーク108は預金識別子を割り当てる。支払ネットワーク108は次いで、ネットワーク112を介してイシュア110と調整及び通信する。このため、預金識別子はイシュア110にとって利用可能である。いくつかの実施形態では、これは、預金識別子をイシュア110へ直接通信する支払ネットワーク108を含んでよい。これによりイシュア110はそれを、(データ構造116内で)支払アカウントについてのPANと関連付けることができる。他の実施形態では、イシュア110はPANを支払ネットワーク108へ通信してよい。これにより支払ネットワーク108は次いで、預金識別子を、支払アカウントについてのPANと関連付けることができる。
【0013】
一例としてイシュア110は、一定範囲の銀行識別番号(BIN)又はBIN範囲を有してよい(これは例えば支払ネットワーク108によって提供等される)。それは、PANのブロックをイシュア110へ割り当て、そのうち1つは次いでイシュア110によって消費者の支払アカウントへ割り当てられる。類似的にイシュア110は、(例えばイシュア110に起因し、又は支払ネットワーク108に起因する、等の)一定範囲の一意の預金識別子を有してよい。そのうち1つは、次いで、消費者の支払アカウントへ割り当てられる。あるいは、預金識別子は、イシュア110又は他のエンティティによって独立して生成される識別子リストからの識別子であってよい。更に預金識別子は、イシュア110に利用可能な預金識別子とPANとの対(ペア)の順序に基づいて、又は、アルゴリズム等に基づいて、(例えばPAN等に基づいて)PANへ対応付けられ又は解釈されてよい。このため、イシュア110(又は他のエンティティ)は、後に、PANを預金識別子から復号(又は変換)することできる(その逆も又然り)。あるいは、イシュア110は、所定の範囲又はそうでない範囲から、ランダムな預金識別子をPANに割り当ててよい。このため、預金識別子とPANとの間には論理関係はない(例えば預金識別子は概してPANに基づかない等)(ただし、データ構造116内に格納された預金識別子からPANへの相互関係テーブル等は除く)。
【0014】
一旦イシュア110によって消費者の支払アカウントへ割り当てられると、PANは、(例えば販売者104等での)購入トランザクション(このとき資金が支払アカウントから引き出される)と預金トランザクション(例えば個人114から消費者102への支払等であり、このとき資金は支払アカウントへ追加される)との両方に関して使用可能である。反対に、支払アカウントに割り当てられた預金識別子は、預金トランザクション(購入トランザクションではない)を容易にするためだけに使用可能であり(例えば預金トランザクションの基礎として役に立つだけである等)、資金を支払アカウントへ追加する。したがって、預金識別子は資金が支払アカウントへと一方向のみに(すなわち、支払アカウントへの追加として)移転されることを可能にする。このことは、PANが資金を双方向に移転すること(すなわち、支払アカウントへの追加と支払アカウントからの引き出し)を可能にするのと反対である。
【0015】
システム100において消費者102、販売者104、アクワイアラ106、支払ネットワーク108、イシュア110及び個人114のそれぞれは、コンピューティング装置と関連付けられ又はコンピューティング装置において実装される。例示のために、システム100は、図2に示す例示的なコンピューティング装置200を参照して説明される。消費者102、販売者104、アクワイアラ106、支払ネットワーク108、イシュア110及び個人114のそれぞれはそのコンピューティング装置200に関連付けられる。しかし、システム100及びそのコンポーネントは、図2のコンピューティング装置200に限定されるように解釈されてはならない。というのも、異なるコンピューティング装置及び/又はコンピューティング装置の配置が使用可能だからである。更に異なるコンポーネント及び/又はコンポーネント配置が他のコンピューティング装置内で使用可能である。更に様々な例示的実施形態において、コンピューティング装置200は、近接配置された、又は地理的位置にまたがって分散された複数のコンピューティング装置を含んでよい(これにより、システム100内の各コンピューティング装置200は複数のコンピューティング装置等を示してよい)。更に、システム100内に示される各コンピューティング装置200は、ネットワーク(例えばインターネット、イントラネット、私的な又は公衆のLAN、WAN、モバイルネットワーク、電話通信網、それらの組合せ、又は他の適切なネットワーク等)に接続されてよい。当該ネットワークはネットワーク112の一部であり、又はそこから分離する。
【0016】
(非限定の)例示として、システム100に含まれる各コンピューティング装置200は、適切に、1以上のサーバ、ワークステーション、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、タブレット、PDA、電話(例えば携帯電話、スマートフォン、他の電話等)、販売時点(POS)端末、それらの組合せ等を含んでよい。
【0017】
図2に示すように、例示的なコンピューティング装置200は概してプロセッサ202、及びプロセッサ202に接続されたメモリ204を含む。プロセッサ202は1以上の処理部を(例えばマルチコア構成等にて)含んでよいが、これに限られない。当該処理部は、中央処理装置(CPU)、マイクロコントローラ、縮小命令セットコンピュータ(RISC)プロセッサ、特定用途集積回路(ASIC)、論理回路(PLC)、ゲートアレイ、及び/又は、本開示の機能を実行可能な任意の他の回路若しくはプロセッサを含む。プロセッサ202は単一のコアプロセッサ、マルチコアプロセッサ、及び/又はコンピューティング装置200内に分散した複数のプロセッサであってよい。上記の例は例示に過ぎず、プロセッサの定義及び/又は意味をいかなる方法でも限定するものではない。
【0018】
本開示のメモリ204は、情報(例えば実行可能命令)及び/又は他のデータの格納及び検索を可能にする1以上の装置である。メモリ204は1以上コンピュータ読み取り可能な媒体(例えば動的ランダムアクセスメモリ(DRAM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、ソリッドステート装置、CD-ROM、USBメモリ、テープ、フラッシュドライブ、ハードディスク、及び/又は任意の他のタイプの揮発性若しくは不揮発性の物理的若しくは有形のコンピュータ読取り可能な媒体等)を含んでよいがこれに限られない。メモリ204は、PAN及び預金識別子を含む支払アカウント関連データ、支払アカウントについてのPANと対応する預金識別子との関係(例えば相関テーブル等)、預金識別子を特定のPANへ関連付けるアルゴリズム、ユーザプロファイル、支払アカウントに対して処理されるトランザクションデータ、及び/又は、本開示での使用のために適した任意の他のタイプのデータ等を格納するよう構成されてよいがこれに限られない。
【0019】
更に様々な実施形態では、コンピュータ実行可能な命令は、プロセッサ202による実行のためのメモリ204に格納されてよく、これはプロセッサ202に、本開示の1以上の機能を実行させる。このため、メモリ204は物理的、有形的且つ非一時的なコンピュータ読取り可能な媒体である。メモリ204は様々な異なるメモリを含んでよいことを理解されたい。そのそれぞれは本開示の1以上の機能又は処理で実装される。
【0020】
開示されるコンピューティング装置200はまた、プロセッサ202に接続される提示部206を含む。提示部206はユーザ(例えばシステム100内の消費者102、1以上の販売者104に関連付けられた個人、アクワイアラ106、支払ネットワーク108及びイシュア110)に対し、データを例えば表示し、オーディブルをかけ、及び/又は出力することによって、出力又は提示を行う。当該データは、支払アカウントに関連するデータと、ユーザプロファイルに関連するデータと、支払アカウントについてのPANと対応する預金識別子との間の関係に関連するデータと、支払アカウントに対して処理されるトランザクションについてのデータと、及び/又は任意の他のデータとを含むが、これに限られない。いくつかの実施形態では、提示部206は表示装置を含んでよいことを理解されたい。これにより様々なインタフェース(例えばアプリケーション、ウェブページ等)がコンピューティング装置200にて表示可能(特に表示装置にて表示可能)であり、情報及びデータ等を表示する。いくつかの実施形態では、コンピューティング装置200によってインタフェースは、他のコンピューティング装置(例えば複数のウェブページを有するウェブサイトをホストするサーバ等)にて表示可能であってよい。上記のことにより、提示部206は液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、有機LED(OLED)ディスプレイ、「電子インク」ディスプレイ、スピーカ、それらの組合せ等を含んでよいがこれに限られない。いくつかの実施形態では、提示部206は複数のユニットを含む。
【0021】
コンピューティング装置200は更に、ユーザから入力を受信する入力装置208を含む。入力装置208はプロセッサ202に接続され、例えば、キーボード、ポインティング装置、マウス、スタイラス、接触感知パネル(例えばタッチパッド又はタッチスクリーン等)、他のコンピューティング装置、及び/又は音声入力装置を含んでよいがこれに限られない。更にいくつかの実施形態では、例えばタブレット、スマートフォン又は類似の装置に含まれるタッチスクリーンは、提示部及び入力装置の両方として動作する。少なくとも一実施形態では、提示部及び/又は入力部はコンピューティング装置から省略されてよい。
【0022】
更に例示されるコンピューティング装置200は、プロセッサ202に(また、いくつかの実施形態ではメモリ204に)接続されるネットワークインタフェース210を含む。ネットワークインタフェース210は、有線ネットワークアダプタ、無線ネットワークアダプタ、携帯電話通信アダプタ、又は、1以上の異なるネットワークへ通信可能な他の装置を含むがこれに限られず、ネットワーク112を含んでよい。いくつかの実施形態では、コンピューティング装置200は、プロセッサ202と、プロセッサ202に含まれる1以上のネットワークインタフェースとを含む。
【0023】
図1を参照すると、システム100の一態様において、消費者102は販売者104にて、所望の製品につき、消費者の支払アカウントについてのPANを販売者104へ提示することによって(例えば支払装置118(例えばクレジットカード、デビットカード等)又は他の装置等を介して)購入トランザクションを開始する。それに応答して、販売者104、アクワイアラ106、支払ネットワーク108及びイシュア110は協働し、(例えばMasterCard(登録商標)インターチェンジ等を用いて等)購入トランザクションを認証して空(clear)にする。例えば販売者104は、アクワイアラ106を介して、イシュア110と共に、支払ネットワーク108を介して(例えばMasterCard(登録商標)インターチェンジ等を用いて)、購入トランザクションのためのオーソリゼーションを通信する。もしイシュア110が購入トランザクションを受け付ければ、オーソリゼーションレスポンスが支払ネットワーク108(及びアクワイアラ106)を介して販売者104へ返信される。オーソリゼーションに応じて、購入トランザクションは一般に完了する。消費者102によって購入トランザクションにおいて使用される支払アカウントの残高(又はクレジット)は、購入トランザクションの金額によって変更される(例えば減少等される)。トランザクションは、消費者の支払アカウントへポストされる。購入トランザクションはその後、アクワイアラ106とイシュア110との間で、直接又は支払ネットワーク108を介して、清算され空にされる。
【0024】
システム100の他の態様では、消費者102は支払アカウントへの資金(すなわち、預金トランザクション等としての資金)を、例えば個人114から、PAN又は預金識別子の一方を使用することで受け付けることができる。預金トランザクションはイシュア110、支払ネットワーク108、アクワイアラ106及び販売者104のいずれか1つへ(例えばウェブページを介して、又は実在する位置等にて直接的に)向けられてよい。一般に、支払ネットワーク108及びイシュア110は次いで、個人114又は個人114と関連付けられた銀行(又は他のイシュア)と協働して、預金トランザクションを認証し空にする。オーソリゼーションに応じて、預金トランザクションは一般に完了する。消費者102によってトランザクションにおいて使用される支払アカウントの残高(又はクレジット)は、預金トランザクション(これより少ない手数料)の金額によって変更される(例えば増加等される)。トランザクションは、消費者の支払アカウントへポストされる。預金トランザクションはその後、イシュア110と個人114(例えば個人114と関連付けられた銀行(又は他のイシュア)、関係する販売者104、アクワイアラ106等)との間で、直接又は支払ネットワーク108を介して、清算され空にされる。
【0025】
上記の預金トランザクションは、個人114から、インタフェースを介して、ウェブインタフェース(例えば請求−支払インタフェース等)を介して、又は他のアプリケーション(例えば個人のコンピューティング装置200上で個人114に利用可能なモバイルアプリケーション等)を介して、開始してよい。当該他のアプリケーションは、個人114に関連付けられたコンピューティング装置200を介して個人114によってアクセス可能であり、イシュア110、支払ネットワーク108、販売者104又は他のエンティティ(例えば銀行又は個人114に関連付けられた他のイシュア等)によって提供される。そこでは、トランザクションは次いで支払ネットワーク108を介して処理される。代替的に預金トランザクションは、販売者104(又は他の販売者)によって提供されるPOS端末を介してアクセス可能なインタフェースから、コールセンタ若しくはメールセンタから、実在する位置にて直接的に(例えば、預金トランザクションがイシュア110によって直接的に処理可能なようにイシュア110にて直接的に等)、開始してよい。更に預金トランザクションは、個人114から消費者102へ移転される(及び消費者の支払アカウントへ追加される)任意の適切な資金を含んで又は識別してよく、現金、小切手、銀行アカウント又はクレジット/デビットアカウントからの電子移転、プリペイドカードからの支払、ギフトカードからの支払、販売者104(又は他の販売者)からのクレジットインセンティブ(例えば次回の購入で10ドル割引等)、報酬ポイント(例えば支払アカウントへのマイル報酬の移転等)等を含んでよい。
【0026】
更に上記購入トランザクション及び預金トランザクションの両方において、トランザクションデータは、関係する消費者102、イシュア110、支払ネットワーク108、アクワイアラ106、販売者104及び個人114の間での様々な相互作用(インタラクション)の一部として生成される。トランザクションデータはシステム100の1以上の異なるコンポーネントに(例えば支払ネットワーク108に関連付けられたコンピューティング装置のメモリ内等に)格納されてよい。更にトランザクションデータは、所望なように、システム100の様々なエンティティの間で、ネットワーク112を介して送信可能である。
【0027】
購入トランザクションについては、当該トランザクションデータは、消費者の支払アカウントについてのPAN、トランザクションに関係する製品の支払金額、トランザクションに関係する製品の識別子、トランザクションに関係する製品の説明、トランザクションに関係する販売者104の販売者名、トランザクションに関係する販売者104の販売者識別番号(MID)、(支払ネットワーク108又は他のネットワークによる、製品タイプに基づく)トランザクションに関係する販売者104に割り当てられた販売者分類コード(MCC)、トランザクションの日付及び/又は時刻、トランザクションの場所等を含んでよいがこれに限られない。預金トランザクションについては、当該トランザクションデータは、消費者の支払アカウントについてのPAN、消費者の支払アカウントについての預金識別子(この場合、PANは含まれなくてよい)、トランザクションが消費者の支払アカウントへ資金を追加するものであることの指示子、消費者の支払アカウントに追加される預金金額、消費者の支払アカウントに追加される資金のタイプ(例えば通貨タイプ等)、消費者の支払アカウントに追加される資金に関連付けられた制限(例えば資金は販売者104のみにて使用可能等)、資金を提供する個人114又はエンティティのアイデンティティ、トランザクションの日付及び/又は時刻、トランザクションの場所等を含んでよいが、これに限られない。
【0028】
上記のように、システム100内の他のトランザクションが類似の方法で処理される。1つの消費者102、1つの販売者104、1つのアクワイアラ106、1つの支払ネットワーク108、1つのイシュア110、及び1つの個人114が図1のシステム100に示される。しかし他の実施形態では、これらの1以上のエンティティが異なる数だけ含まれてよいことを理解されたい。更に上記購入トランザクション及び預金トランザクションは、システム100を通る特定のデータルーティングを参照して示される。しかし、販売者104、アクワイアラ106、支払ネットワーク108及びイシュア110が異なる1以上の機能を実行してよく、また、互いに又は他のエンティティと直接又は間接に通信してよいことを理解されたい。これによりトランザクション(又は1以上の他のトランザクション)は認証され及び/又は空にされる。
【0029】
様々な例示的実施形態では、本開示の異なるトランザクションに関係する消費者(例えば消費者102等)は、例えば自身のアカウントに登録されている間、自身の支払アカウントに関連付けられた法的な条件に合意する。そうすることで、消費者は例えば、販売者(例えば販売者104等)、支払アカウントの発行者、支払ネットワーク等が登録中に収集されたデータ及び/又はトランザクション処理に関して収集されたデータを、後に本開示の異なる1以上の目的(例えば支払アカウントの承認等)のために使用することが可能である。
【0030】
図3は、消費者102に関連付けられた支払アカウントへトランザクションを処理する際に使用される例示的な方法300を示す。例示的な方法300はシステム100のイシュア110において実装されるものとしてここに開示される。このとき、イシュア110は方法300の1以上の様々な動作を実行可能であることを理解されたい。更に、システム100の消費者102、販売者104、アクワイアラ106、支払ネットワーク108、及び個人114が参照される。しかし、方法300は1以上の他のエンティティ(他の実施形態では例えば支払ネットワーク108等)において実装されて(又は関連して)よいことを理解されたい。
【0031】
例示目的で、例示的な方法300はコンピューティング装置200を参照して説明される。方法300又は本開示の他の方法が例示的なシステム100又は例示的なコンピューティング装置200に限定されるものと理解してはならないのと同様に、本開示のシステム及びコンピューティング装置が、例示的な方法300に限定されるものと理解してはならない。
【0032】
方法300にて、トランザクションが消費者102に関連して生じ、特に、消費者の支払アカウントに関して生じるとき、(システム100に関して上記した通り)トランザクションを処理するエンティティによってトランザクションリクエストが生成され、支払ネットワーク108へ送信される。支払ネットワーク108は次いで、トランザクションリクエストから(例えばトランザクションリクエスト内のPAN又は預金指示子から、含まれるものに応じて、等)イシュア110を識別し、当該リクエストをイシュア110へ送信する。
【0033】
図3に示すように、今度はイシュア110がトランザクションリクエストを302にて受信する。開示されるように、トランザクションリクエストは購入トランザクション又は預金トランザクションの一方に関連してよい。トランザクションリクエストが販売者104での購入トランザクションに関連するとき(及び販売者104から生じるとき)、イシュア110は販売者104から、アクワイアラ106及び支払ネットワーク108を介してトランザクションリクエストを受信する。代替的に、トランザクションリクエストが預金トランザクションに関連するとき、イシュア110は、例えば個人114に関連付けられた銀行によって提供されるウェブインタフェースを介して支払ネットワーク108を通って個人114から、トランザクションリクエストを受信してよい。上記によって、トランザクションリクエストが他の個人又は他のエンティティから受信されてよいことを理解されたい。あるいは、本開示の範囲内にある他の方法(例えば電話、SMSメッセージ等)でトランザクションリクエストが受信されてもよい。
【0034】
トランザクションリクエストは、(システム100に関して開示される通り、)特定のトランザクションデータに関連する様々なデータ(例えばトランザクションデータ等)を含む。更に方法300において、預金トランザクションに関連する場合には、トランザクションリクエストはまた、消費者の支払アカウントへ預けられる資金に関連付けられた様々な制限を含んでよい。そのような制限は、例えば、特定の販売者で又は特定の製品等について、資金を消費する能力を含んでよい。
【0035】
トランザクションリクエストを受信すると、イシュア110は、304にて、消費者の支払アカウントについてのPANが存在するか否かを判定し(例えばPANを検出する等)、又は、消費者の支払アカウントについての預金識別子が存在するか否かを判定する(例えば預金識別子を検出する等)。もしどちらも存在しない場合、又はもしトランザクションリクエスト内のアカウント識別番号(若しくは指示子)がPANでも預金識別子でもない場合には、トランザクションリクエストは(販売者104、支払ネットワーク108、イシュア110等での有効/無効アカウント番号を検出する既知の処理(トランザクションリクエストにおけるチェックディジットに対する初期検索/判定)によって等)、適切な支払アカウント識別子を含まないという理由で概して失敗する。
【0036】
上記によって、特に304にて、イシュア110は、トランザクションリクエスト内のトランザクションデータが消費者の支払アカウントについてのPANを含むか否かを判定する。このことは例えば、トランザクションデータがPANを含むか否かの第1の判定(例えばトランザクションデータに含まれる任意のアカウント識別番号(指示子)がPANか否かを判定すること等)を含み、もし含まれなければ、次いで、トランザクションデータが預金識別子を含むか否かを判定すること(例えばトランザクションデータに含まれる任意のアカウント番号(又は指示子)が預金識別子か否かを判定すること等)を含む(逆も又然り)。しかし、方法のいくつかの実施形態では、もしトランザクションデータがPANを含まなければ(例えばもしトランザクションデータに含まれる任意のアカウント識別番号(又は指示子)がPANでなければ)、イシュア110は単に、預金識別子が存在する(例えばトランザクションデータに含まれる任意のアカウント識別番号(又は指示子)が預金識別子である等)と想定してよい(逆も又然り)。
【0037】
304にて、多くの方法で、イシュア110はPANをトランザクションリクエストにおける預金識別子から判別してよい(又は単に、トランザクションリクエスト内のPAN及び/又は預金識別子を識別してよい)。例えばイシュア110はPANと預金識別子とを、フォーマットに基づいて判別してよい(又はフォーマットを使用してPAN及び/又は預金識別子を識別してよい)。ここでは、PAN及び預金識別子は、異なるフォーマット(例えばPANについては16ケタのフォーマットであるのに対し預金識別子については19ケタのフォーマットである、又は、PANについては数値のフォーマットであるのに対し預金識別子についてはアルファベットと数値とのフォーマットである等)を有してよい。あるいはイシュア110は、トランザクションリクエスト内(例えばトランザクションリクエストに関連するISOメッセージ内)の特定の指示子を識別して、当該リクエストを購入トランザクション又は預金トランザクションの一方に関連するものとして分類し、当該リクエストに含まれる任意の対応番号がPAN又は預金識別子の一方であることを示す。このことは例えば、PANと預金識別子とが同一のフォーマットを含む場合に実装されてよい。更に、イシュア110はトランザクションリクエストに含まれるアカウント番号(又は識別子)を、イシュア110に関連付けられたコンピューティング装置200のメモリ204内のPANディレクトリにて(又はメモリ204内の預金識別子ディレクトリにて)検索(ルックアップ)して、それがPANなのか預金識別子なのかを判定する。様々な他のメカニズム及び/又はPANと預金識別子との間の相違点は、イシュア110(又は他のエンティティ)がトランザクションリクエスト内のそれら2つを判別(又は単に識別)することを許可するために使用されてよい。
【0038】
図3を引き続き参照すると、304にてトランザクションリクエストがPANを含むとき、イシュア110は対応する支払アカウントを識別し、306にて、(トランザクションリクエストが購入トランザクションと預金トランザクションとのどちらに関連するかにはかかわらず)従来通りのトランザクションリクエストとしてトランザクションを処理する。単に、トランザクションリクエストはPANを含むので、トランザクションがデビットトランザクションか預金トランザクションかを更に判定する必要はない。というのも、PANはいずれのタイプのトランザクションにも使用可能だからである。
【0039】
代替的に、304にてトランザクションリクエストがPANを含まないとき(すなわち、それが代わりに預金識別子を含むとき)、イシュア110は308にて、トランザクションリクエストが資金を消費者の支払アカウントに追加しようとするものか否かを判定し、特に、イシュア110は、トランザクションリクエストが、消費者の支払アカウントへ資金を預ける指示、命令又は他の指示若しくはリクエストを含むか否かを判定する。もしイシュア110が308にて更に、トランザクションリクエストは他の何らかの目的(例えば購入トランザクション(又は他のデビットトランザクション))であると判定すれば、イシュア110は310にて当該トランザクションを終了する(例えばトランザクションリクエストを拒否し、又はトランザクションリクエストを拒否させる等)。上記の通り、預金識別子は、資金が一方向のみに送信される(すなわち、消費者の支払アカウントへ預金される)ことを可能にする。このことは、PANが資金を双方向に(すなわち、消費者の支払アカウントへ又は当該支払アカウントから)送信されることを可能にするのと反対である。したがって、預金識別子(PANとは反対)を個人114へ提供する場合、方法300の動作によって、一定レベルのセキュリティが消費者102へもたらされる。というのも、個人114は消費者の支払アカウントへ預金することだけに限定される(資金を引き出せない)からである。
【0040】
308にてイシュア110が、トランザクションリクエストは消費者の支払アカウントへ資金を追加するためのものであると判定すると、イシュア110は預金識別子を使用して、312にて(例えばトランザクションリクエストの処理の一部として等)消費者の支払アカウントを識別する。一例としてイシュア110は、預金識別子をPANへ関連付けるアルゴリズム又は他のリレーションベースの数式を用いて、預金識別子をPANへ解釈する。この結果、消費者の支払アカウントは識別可能である。あるいはイシュア110は、例えばデータ構造116に格納される相関テーブルを用いて、単にPAN又は支払アカウントを検索してよい。
【0041】
概して方法300において、イシュアはPAN及び預金識別子の両方を、消費者の支払アカウントへ割り当てる。したがって、312にて預金識別子に基づいて消費者の支払アカウントを識別することは、典型的には、イシュア110によって内部的に又は例えばシステム100内の他のエンティティによって独立して実行される。
【0042】
しかし、他の実施形態では(例えばシステム100内又は外等の)他のエンティティ(ただしイシュア110以外)は、1以上のPAN及び預金識別子の1以上を、消費者の支払アカウントへ割り当ててよい。例えばそのような一実施形態では、イシュア110はPANを消費者の支払アカウントに割り当てる。支払ネットワーク108は預金識別子を割り当てる。本実施形態ではイシュア110及び支払ネットワーク108は次いで協働し、PANと預金識別子とを相互に関連付ける。このため、イシュア110が動作して消費者の支払アカウントを識別するときに、イシュア110はその相互関係を利用可能である。例えば割り当ての後、支払アカウントは預金識別子をイシュア110へ送信してよい。このため、イシュア110は、消費者支払アカウントに関して、預金識別子をデータ構造116内に格納可能である。あるいは、312にて、トランザクションリクエスト内の預金識別子を識別することに関して、イシュア110は預金識別子を支払ネットワーク108へ送信して、対応するPANを識別して、したがって、対応する支払アカウントを識別してよい。いずれの場合でも、PAN及び預金識別子が異なるエンティティによって割り当てられる場合、異なるエンティティはいくつかの方法で通信して、PANと預金識別子とを、本開示で使用するために、消費者の支払アカウントと相互に関連付ける。
【0043】
次いで314にて、方法300においてイシュア110は、資金を消費者の支払アカウントへ追加し、消費者の支払アカウントの残高(又はクレジット)を(例えばトランザクションリクエストの処理の一部として等)適宜調整する。方法300のいくつかの態様では、資金を消費者の支払アカウントへ追加するより前に、イシュア110は最初に、支払アカウントへ追加される資金の出所(source)を(例えば個人114に関連付けられた発行銀行にて支払ネットワーク108を介して等)検証して、当該資金の出所についてトランザクションリクエストを清算する。316にてイシュア110は消費者102へ、(例えばユーザプロファイル内の消費者の通知設定等に応じて)資金の追加が実行されたことを通知する。
【0044】
システム100及び方法300は個人114から消費者102への(すなわち、消費者の支払アカウントへの)預金に関連して説明されるが、システム100及び方法300は他のエンティティ(例えば調査を行うために消費者102へ現金を提供するオンライン調査会社、消費者102へ割引又は他の取引を提供するレストラン、消費者102へ贈り物一覧を提供する販売者、雇用主等)から消費者102への預金を容易にしてよい。
【0045】
本開示のシステム及び方法の一実施形態では、サリーは、チケットが売り切れてしまったカリフォルニアでの演奏会を見るために、ニューヨークにいるビリーが売り出したチケットを探す。しかし、ビリーは、支払を受けるまでサリーへチケットを送付しない。伝統的な支払オプションはサリー又はビリーにとって利用不可能であり又は好ましくない(例えばサリーとビリーは現金を交換するには非常に距離的に離れている、銀行小切手又は為替のための時間は十分でない、ビリーは自身の銀行アカウントのPANをサリーに提供したくない、ビリーはPayPal(登録商標)又は他の類似サービスに登録したくない、ビリーはWestern Unionの支店を訪れたくない等)。解決策として、本開示のシステム及び方法によって、ビリーは自身の銀行アカウントの預金識別子をサリーに提供して、チケットの支払を容易にすることを選択する。それに応じて、サリーは、自身の銀行によって提供される請求―支払インタフェースに(直接的に又はビリーの銀行へのアプリケーションプログラムのインタフェースコールによって)アクセスする。これによりサリーは、預金識別子を入力して、チケットのための支払を実行することができる。サリーの銀行は次いで、支払詳細を支払ネットワーク108へ送信し、これにより今度は、預金識別子がビリーの銀行によって発行されたアカウントに属することを識別する。支払ネットワーク108は支払詳細をビリーの銀行へ送信する。当該銀行は次いで、ビリーのアカウント情報を検証して(方法300に示される動作に応じて等)トランザクションを承認する。支払ネットワーク108はトランザクションを空にする/清算する。資金はビリーの支払アカウントへ移転される。ビリーは、資金が移転されたことを検証すると、サリーへチケットを送付する。
【0046】
再び、上記の通り、本開示の機能はいくつかの実施形態ではコンピュータ読取り可能な媒体に格納され1以上のプロセッサによって実行可能なコンピュータ実行可能な命令にて記述されてよいことを理解されたい。コンピュータ読取り可能な媒体は非一時的なコンピュータ読取り可能な記憶媒体である。非制限的な一例として、そのようなコンピュータ読取り可能な媒体はRAM、ROM、EEPROM、CD-ROM若しくは他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージ若しくは他の磁気ストレージ装置、又は、命令又はデータ構造の形式で所望のプログラムコードを伝送又は格納するために使用可能で且つコンピュータによってアクセス可能な任意の他の媒体を含んでよい。上記の組合せはまた、コンピュータ読取り可能な媒体の範囲に含まれる。
【0047】
本開示の1以上の態様は、本開示(例えば請求項等)の機能、方法及び/又は処理を実行するよう構成されると、汎用目的コンピューティング装置を特定用途コンピューティング装置へ転換することを理解されたい。
【0048】
上記の仕様に基づいて理解されるように、本開示の上記の実施形態は、コンピュータプログラミング又はエンジニアリング技術(これは、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア又はそれらの組合せ若しくはサブセットを含む)を用いて実装されてよい。その技術的効果は、本開示の少なくとも1以上の方法ステップを実行することによって実現されてよい。
【0049】
上記の通り、例示的実施形態は、当業者にとって本開示が徹底的であり且つ範囲を十分に伝えるものであるように提供される。多くの特定の詳細(例えば特定のコンポーネント、装置、及び方法)が規定され、本開示の実施形態について徹底的な理解を与える。特定の詳細は必ずしも実装される必要がないこと、例示的実施形態は多くの異なる形式で実現されてよいこと、及び、何らの内容が本開示の範囲を限定するものとして解釈されてはならないことは、当業者にとって自明である。いくつかの例示的実施形態では、周知の処理、周知の装置構造及び周知の技術は詳細には開示されない。
【0050】
本開示で使用される用語は、特定の例示的実施形態を記述するだけの目的であり、それを制限することを意図しない。本開示で使用されるように、単数形の「1(一)」、「前記」、「当該」は、文脈にて別段の明示がない限り、複数形をも含むことを意図する。「含む(含み)」、「含んで」、「有する(有し)」、「有して」との用語は包含することを示し、記載される特徴、対象物、ステップ、動作、要素及び/又はコンポーネントが存在することを明示する。しかし当該用語は、1以上の他の特徴、対象物、ステップ、動作、要素及び/又はコンポーネントが存在すること又は追加されることを排除しない。本開示の方法ステップ、処理及び動作は、実行の順番が明示的に特定された場合を除き、開示され又は図示される特定の順番で実行されることを必ずしも要求するものとして解釈されてはならない。追加の又は代替的なステップが実装されてよいことを理解されたい。
【0051】
要素又は層が、他の要素又は層の「上」に、「関係」し、「接続」し、「連結」し、「関連」し又は「含まれる」とき、それは、他の要素又は層の上に、関係し、接続し、連結し、又は関連付けられてよい。また、それらの間に要素又は層が存在してよい。本開示で使用される通り、「及び/又は」との用語は、関連付けられ列挙された1以上の項目についての任意の及び全ての組合せを含む。
【0052】
例示的実施形態についての上記の開示は、例示及び説明目的で提供される。当該開示は徹底的なものではなく、本開示を制限することを意図しない。特定の実施形態での個別の要素又は特徴は、概して、その特定の実施形態に限定されない。このため当該個別の要素又は特徴は、仮に明示的に図示され説明されたとしても、適用可能であれば相互に交換可能であり、選択された実施形態にて使用可能である。同一の内容が、多くの方法で変形されてよい。そのような変形例は本開示から逸脱するものとはみなされない。そのような全ての修正は、本開示の範囲に含まれることが意図される。
図1
図2
図3