(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記通信方法において使用される煙および火災警報デバイスは、電源ボードと、IOボードと、CPUボードと、CANボードと、FSKボードと、DSボードと、DISPボードと、Enetボードと、液晶タッチスクリーンと、無線ボードとを備え、前記ボードは、バックプレーンバスを介して互いに通信することを特徴とする、請求項1又は2に記載の列車の煙および火災警報の通信方法。
前記CANボードおよび前記検出器FSDは全て、ポートCAN#0およびポートCAN#1を装備し、かつ前記ポートCAN#0および前記ポートCAN#1は共に、フレームアドレスを送受信する機能を有し、前記CANボードの前記ポートCAN#0は、第1の検出器FSD1の前記ポートCAN#1に接続され、前記第1の検出器FSD1の前記ポートCAN#0は、次の検出器FSDの前記ポートCAN#1に接続され、前記次の検出器FSDの前記ポートCAN#0は、n番目の検出器FSDnの前記ポートCAN#1に接続され、かつ前記n番目の検出器FSDnの前記ポートCAN#0は、前記CANボードの前記ポートCAN#1に接続され、前記CANボードとその近傍の検出器FSDとの間の接続、および隣接する検出器FSD間の接続は、独立したCANバスによって実現され、データ転送モジュールは、各検出器FSDの内部に設けられ、前記データ転送モジュールは、受信されるコマンド・フレーム・アドレスを修正して転送することを特徴とする、請求項1又は2に記載の列車の煙および火災警報の通信方法。
【背景技術】
【0002】
中国鉄路高速(CRH)列車は、高速移動状態にある極めて複雑な旅客車両として、異なる機能を備える電気機器を装備し、多くの配線およびケーブルが配備されている。輸送環境空間が狭く、人口密度が高く、避難および救助が困難であることが原因で、火災を早期に発見できず、かつ火災発生時に対応する措置を講じることができなければ、多くの死傷者および経済的損失が生じることになる。列車内には、監視すべき場所が多すぎ、かつ様々なタイプの列車で必要とされる検出器の数、位置および機能が多様化していることから、既存の煙・火災警報通信システムおよび方法は、既に、急速な列車開発の要件を満たすことができない。したがって、CRH列車に適しかつ様々なタイプのCRH列車の機能要件およびインタフェース要件を満たすことができる煙および火災警報のインテリジェントな通信方法を発明することが極めて必要である。
【0003】
機械的インタフェースに関して言えば、従来の煙および火災警報デバイスは、大部分が組込構造であり、よって、その単一機能および小さいサイズに起因して、概して列車上の狭い場所に設置される。さらに、機械的インタフェースは、様々な型式の列車用に様々なものが存在する。デバイスが壊れると、デバイス全体を分解して工場に戻す必要があり、よって、デバイスの点検および保全にも非常に不便である。
【0004】
電気的インタフェースに関して言えば、従来の煙および火災警報デバイスは、概して、RS485通信インタフェースまたはMVB(多機能車両バス)通信インタフェースまたはこの型式の列車に適用可能なハードワイヤード・インタフェースを有し、よって、列車内の様々なネットワークの特徴を、インタフェースの冗長性を実現してシステムの安全性を高めるためにより良く組み合わせることができない。
【0005】
機能に関して言えば、従来の煙および火災警報デバイスは、一旦設計されるとその機能が固定され、よって異なる列車の要件に応じて機能モジュールを柔軟に追加または取り消すことが極めて困難である。さらに、デバイス内でソフトウェア障害が発生すると、システム全体が「停止」状態となり、障害の原因を特定することは極めて困難である。
【0006】
警報の通信に関して言えば、CAN(制御エリアネットワーク)通信は、列車システム用の共通の通信モードであり、デバイスは、概してCANバス上でサスペンドされ、かつデバイスは、ソフトウェアまたはハードウェアを介してデバイスアドレスを設定することにより識別される。しかしながら、列車内の検出器の数は、必要に応じて変わる可能性があり、かつプローブの数も様々な型式の列車および異なる客車で変わることから、既存の煙および火災警報デバイスには、検出器の数および設定のフレキシブルさに関して多くの限定がある。
【0007】
既存の煙および火災警報方法において、特許文献1は、無線センサネットワークに基づく列車煙および火災警報システムおよび方法を開示している。各位置に関する情報は、列車本体内に分散される幾つかの煙および火災警報ノードによって取得され、この情報が無線ルーティング方式でゲートウェイノードに送信される。ゲートウェイノードは、煙および火災警報ノードによりアップロードされる情報データを収集して分類し、次に、この情報データを列車ネットワーク制御システムへ有線方式でアップロードする。列車ネットワーク制御システムは、情報を処理し、警報プロンプトを発する。この警報方法では、警報ノードとネットワークノードとの間に無線ルーティング方式が採用されることしか示されていない。複数の検出器は、共通する1つの通信バス上にサスペンドされる。列車内の検出器の数は、必要に応じて変わる可能性があり、かつプローブの数も様々な型式の列車および異なる客車で変わることから、単一のバスを介して複数のノード間で通信を行うとすれば、ソフトウェアまたはハードウェア上の検出器のアドレスを符号化する必要があり、即ち、対応する検出器を識別するために、バス上の検出器毎にアドレスを設定する必要がある。しかしながら、これは、検出器が多く存在しかつ検出器がフレキシブルに設定される必要がある事例に限られる。
【0008】
別の例として、特許文献2が開示している列車煙および火災警報デバイスでは、煙および火災警報デバイスの煙および火災コントローラが、主コントローラと、故障検出モジュールと、ブザーと、インジケータと、ディスプレイ画面と、通信モジュールとを含み、主コントローラは、内部バスを介して各々、故障検出モジュール、ブザー、インジケータ、ディスプレイ画面および通信モジュールに接続される。しかしながら、警報デバイスに関して、内部バスの通信モードは開示されず、主コントローラとモジュールとの間のインタフェースおよび固有の接続モードも明示的に開示されていない。したがって、警報デバイスのインタフェースの汎用性および通信の信頼性は、掲示されていない。
【0009】
例えば、特許文献3が開示しているCRH列車用の煙および火災警報システムでは、この警報システムのマイクロプロセッサが、2つのCANバスインタフェースを有し、かつCANバスを介して直列に接続される煙検出器が幾つか存在する。データ伝送は、2経路伝送であって、異なるCANボックスが使用される。一方のデータ経路は、コントローラのCANバストランシーバに送信され、もう一方のデータ経路は、反対方向へコントローラの別のCANバストランシーバに送信される。一方のCANバスが切断された後も、他のCANバスが引き続き動作することができ、よってデータの正常な送信が保証される。換言すれば、この警報システムに関しては、複数の検出器が1つのCANバス上にサスペンドされることから、ソフトウェアまたはハードウェア上の検出器のアドレスを符号化する必要がある。すなわち、対応する検出器を識別するために、バス上の検出器毎にアドレスを設定する必要がある。しかしながら、これは、検出器が多く存在しかつ検出器がフレキシブルに設定される必要がある事例に限られる。
【0010】
別の例として、特許文献4が開示している高速列車用火災警報制御システムでは、この制御システムのCANバス・トランシーバ・モジュールが各検出器をコントローラに接続する。各接続は、独立したCANバスによって実現され、かつ各検出器およびコントローラは、2つのアドレスを有する。換言すれば、コントローラと検出器との間、および検出器と別の検出器との間の接続は、独立したCANバスによって実現されるが、対応する検出器を識別するためには、なおも検出器毎に独立したアドレスを設定する必要がある。その結果、設定のフレキシブルさが影響を受ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本出願の目的は、独立したモジュールの組合せおよび3Uシャーシ構造に基づく列車の煙および火災警報の通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本出願は、次のような技術的ソリューションを用いる。提供する独立したモジュールの組合せおよび3Uシャーシ構造に基づく列車の煙および火災警報の通信方法は、
【0014】
客車番号を識別するために、IO(入力および出力)ボードの客車番号コネクタX4をアドレスラインへ外的に接続し、かつ検出器設定を呼び出すステップと、
【0015】
検出器により、各検出器の周囲の環境における温度情報および煙濃度情報を取得し、かつ取得された温度情報および煙濃度情報を処理のためにCPU(中央処理装置)ボードへ送信するステップと、
【0016】
CPUボードにより、取得された温度情報および煙濃度情報を判定(決定)し、温度または煙濃度が設定された閾値を超えていれば、警報情報を出力し、かつ警報情報を、列車ネットワークを介して運転室内のHMI(ヒューマン・マシン・インタフェース)ディスプレイ画面に送信するステップと、
【0017】
警報後、IOボードと列車安全ループとの間で出力される信号を遮断し、警報情報を運転室内のHMIディスプレイ画面に送信し、かつ検出器による警報発生に対応してDISP(ディレクトリ情報複製プロトコル)ボード上の赤色警報インジケータを点灯するステップと、
【0018】
DS(データ記憶)ボードにより、温度情報、煙濃度情報および警報情報を収集して記憶し、Enet(イーサネット(登録商標))ボードにより、温度情報、煙濃度情報および警報情報ならびに各ボードの通信状態を収集しかつ状態を記憶し、かつ情報をイーサネット(登録商標)によりスイッチ上へ接続し、かつ無線ボードにより、情報をクラウドサーバにアップロードするステップと、を含む。
【0019】
ここで、検出器は、CANインタフェース検出器またはFSK(周波数シフトキーイング)インタフェース検出器を含み、かつCANインタフェース検出器またはFSKインタフェース検出器は、取得される温度情報および煙濃度情報を、処理のために各々CANボードまたはFSKボードを介してCPUボードに送信する。
【0020】
CANインタフェース検出器とCANボードとの通信、およびFSKインタフェース検出器とFSKボードとの通信は、同じ通信モードで実現される。通信機構は、グループ送信応答機構およびロール呼出し応答機構の2種類が存在する。
【0021】
検出器とCANボードまたはFSKボードとの間の通信機構は、グループ送信応答機構である。グループ送信応答機構は、2つのプロセス、即ちグループコマンド送信およびグループコマンド応答、を含む。グループコマンドをCANボードから検出器FSD(火災煙検出器)に送信するプロセスは、コマンド・フレーム・アドレス増分アルゴリズムを採用する。CANボードは、そのポートCAN#0を介してコマンドフレームを送信し、第1の検出器FSD1は、CANボードからコマンドフレームを受信して転送する。転送に際して、第1の検出器FSD1は、コマンド・フレーム・アドレスにアドレス増分処理を実行して新たなコマンド・フレーム・アドレスを算出し、この新たなコマンド・フレーム・アドレスを次の検出器FSDに送信する。グループコマンド応答プロセスにおいて、n番目の検出器FSDnは、このノードにおける検出器の応答スレーブ・コマンド・フレーム・アドレスをそのポートCAN#1を介して送信しかつ転送し、かつそのポートCAN#0を介して他の検出器から応答フレームIDを受信する。このノードにおける検出器の応答スレーブ・コマンド・フレーム・アドレスの転送に際して、n番目の検出器FSDnは、スレーブ・コマンド・フレーム・アドレスにアドレス増分処理を実行して新たなスレーブ・コマンド・フレーム・アドレスを算出し、かつこの新しいスレーブ・コマンド・フレーム・アドレスを先行の検出器FSDに送信する。
【0022】
検出器とCANボードまたはFSKボードとの間の通信機構は、ロール呼出し応答機構である。ロール呼出し応答機構は、2つのプロセス、即ちロール呼出しコマンド送信およびロール呼出しコマンド応答、を含む。コマンドをCANボードから検出器FSD、即ちスレーブノード、に送信するプロセスは、コマンド・フレーム・アドレス減分アルゴリズムを採用する。CANボードは、そのポートCAN#0を介してコマンドフレームを送信し、第1の検出器FSD1は、CANボードからコマンドフレームを受信して転送する。転送に際して、第1の検出器FSD1は、コマンド・フレーム・アドレスにアドレス減分処理を実行して新たなコマンド・フレーム・アドレスを算出し、この新たなコマンド・フレーム・アドレスを次の検出器FSDに送信する。ロール呼出しコマンド応答の間、n番目の検出器FSDnのポートCAN#1のコマンド・フレーム・アドレスは、ロール呼出しコマンドのコマンド・フレーム・アドレスに一致し、よってn番目の検出器FSDnのみがロール呼出しコマンドに応答する。このノードにおける応答スレーブ・コマンド・フレームの転送に際して、n番目の検出器FSDnは、スレーブ・コマンド・フレーム・アドレスにアドレス増分処理を実行して新たなスレーブ・コマンド・フレーム・アドレスを算出し、かつこの新しいスレーブ・コマンド・フレーム・アドレスを先行の検出器FSDにフィードバックする。
【0023】
この通信方法に使用される煙および火災警報デバイスは、電源ボードと、IOボードと、CPUボードと、CANボードと、FSKボードと、DSボードと、DISPボードと、Enetボードと、液晶タッチスクリーンと、無線ボードとを備える。これらのボードは、バックプレーンバスを介して互いに通信する。
【0024】
CANボードおよび検出器FSDは共に、ポートCAN#0およびポートCAN#1を装備し、ポートCAN#0およびポートCAN#1は共に、フレームアドレスを送受信する機能を有する。CANボードのポートCAN#0は、第1の検出器FSD1のポートCAN#1に接続され、第1の検出器FSD1のポートCAN#0は、次の検出器FSDのポートCAN#1に接続され、次の検出器FSDのポートCAN#0は、n番目の検出器FSDnのポートCAN#1に接続され、かつn番目の検出器FSDnのポートCAN#0は、CANボードのポートCAN#1に接続される。CANボードとその近傍の検出器FSDとの間の接続、および隣接する検出器FSD間の接続は、独立したCANバスによって実現される。データ転送モジュールは、各検出器FSDの内部に設けられる。データ転送モジュールは、受信されるコマンド・フレーム・アドレスを修正して転送する。
【0025】
先行技術と比較して、本出願は、以下のような有益な効果を有する:
1)列車の煙および火災警報デバイスは、モジュール化されてボードが3Uシャーシ内に独立して設置され、よって、配置がコンパクトであり、かつボードは、モジュールレベルの点検および保全を実現するようにフレキシブルに構成され得る、
2)この列車の煙および火災警報デバイスでは、ボードの電気的インタフェースに既存の列車ネットワークインタフェースとの互換性があり、よって、デバイスの継承が保証され、かつデバイスと複数型式の列車との互換性が向上する、
3)通信の間、CANボードは、検出器の転送機構により検出器のCANフレームアドレスに増分または減分アルゴリズムを実行して検出器のCANフレームアドレスを識別し、かつこの方法では、検出器が異なるアドレスを有するCANフレームを受信する際に、応答フレームのアドレスが異なり、よって、検出器のアドレスを符号化するプロセスが省略され、システムの設定可能性が改善される、かつ、
4)CANボードが検出器と通信する場合、2つのCAN通信経路がCANループの2方向に形成され、よって、冗長機能が実現され、かつ2つのCANバスを用いる既存の相互冗長モードに比べて配線数が減少する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本出願の実施形態の目的、技術的解法および利点をより明確にするために、本出願の実施形態における技術的解法を、本出願の実施形態における添付の図面を参照して明確かつ完全に説明する。
【0028】
実施形態1
本出願は、独立したモジュールの組合せおよび3Uシャーシ構造に基づく列車の煙および火災警報の通信方法を開示する。本通信方法で使用される煙および火災警報デバイスは、複数の独立したボードを備える。独立したボードは、別々に分解または組み立てられてもよく、これらの独立したボードの数は、実際の必要に応じて増減されてもよく、よって、これは、デバイスの保全およびアップグレードに効果的である。
【0029】
図1を参照すると、機能上、独立したボードには、電源ボード、IOボード、CPUボード、CANボード、FSKボード、DSボード、DISPボード、Enetボード、液晶タッチスクリーンおよび無線ボードが含まれる。これらのボードは、バックプレーンバスを介して電気的に接続される。電源ボードは、ボード、検出器および液晶タッチスクリーンに電力を供給する。IOボードには、デジタル量入出力モジュールが設けられる。CANボードおよびFSKボードは、各々、温度情報および煙濃度情報を取得しかつ温度情報および煙濃度情報を処理のためにCPUボードへ送信すべく検出器へ接続される。CPUボードは、温度情報および煙濃度情報を受信し、次に処理しかつ判定(決定)して警報情報を出力する。赤色警報インジケータ、黄色故障インジケータおよびリセットボタンは、DISPボードのパネル上に設けられる。赤色警報インジケータは、警報情報を受信して表示し、黄色故障インジケータは、故障情報を受信して表示する。赤色警報インジケータおよび黄色故障インジケータは、検出器と1対1で対応している。DSボードは、温度情報、煙濃度情報、警報情報および故障情報を受信して記憶する。Enetボードおよび無線ボードは、温度情報、煙濃度情報、警報情報、故障情報、ボード間の通信状態およびDSボードの記憶状態を受信し、これらの情報を列車イーサネット(登録商標)および列車運行端末にアップロードする。
【0030】
ボードの構成および機能は、次の通りである。
電源ボード内部には、DC110V/DC24Vの直流電流をDC24V/DC12V/DC5Vの直流電流に変換するための電圧変換モジュールが設けられる。電源ボードは、2つのコネクタ、即ち電源入力コネクタX1および電源出力コネクタX2を各々装備する。電源入力コネクタX1は、DC110V電源およびDC24V電源へ接続されてもよく、一般車両およびCRH列車の異なる電圧出力に適合する。電源出力コネクタX2は、DC24V、DC12VおよびDC5Vの電圧を出力し、ここで、DC24Vは、バックプレーンバスを介して外部検出器に接続されて外部検出器に電力を供給するために使用され、DC12Vは、バックプレーンバスを介して液晶タッチスクリーンに接続され、液晶タッチスクリーンに電力を供給するために使用され、かつDC5Vは、バックプレーンバスを介して各ボードに接続され、ボードに電力を供給するために使用される。
【0031】
電源入力コネクタX1は、3ピンコネクタである。入力電圧がDC110Vであれば、電源入力コネクタX1のピンは、表1のように規定される。
【表1】
【0032】
電源出力コネクタX2は、3ピンコネクタである。入力電圧がDC24Vであれば、電源出力コネクタX2のピンは、表2のように規定される。
【表2】
【0033】
システムのデジタル量を入出力するためのデジタル量入出力モジュールは、IOボードの内部に設けられる。IOボードは、2つのコネクタ、即ち安全ループコネクタX3および客車番号コネクタX4、を各々装備する。
【0034】
安全ループコネクタX3は、5ピンコネクタであり、これらのピンは、表3のように規定される。
【表3】
【0035】
ここで、安全ループコネクタX3のD01端子は、常開接点出力であり、D02端子は、常閉接点出力であり、COM端子は、共通端子であり、NC端子は、サスペンドされる。安全ループコネクタX3は、列車安全ループに接続される。IOボードがCPUボードにより決定される警報情報を受信すると、安全ループコネクタ3の常閉接点が切断され、よって、列車安全ループへの信号出力が切断される。列車安全ループの切断後、冗長情報としての警報情報が運転室内のHMIディスプレイ画面に送信され、運転室がプロンプトされる。
【0036】
客車番号コネクタX4は、7ピンコネクタであり、これらのピンは、表4のように規定される。
【表4】
【0037】
ここで、端子ADD0〜ADD4は、客車番号を識別するために使用され、GND端子は、接地端子である。客車番号コネクタX4は、客車アドレスラインに接続され、最大で32バイトの列車アドレスの符号化をサポートする。既存の全ての列車型式について、最大16バイトのマーシャリング要件が満たされる。
【0038】
列車アドレスを符号化する間、コネクタのループワイヤ接地モードに従って2進符号化が実行される。これは、客車番号コネクタX4の端子ADD0〜ADD4およびGND端子がループされると0であり、端子ADD0〜ADD4がサスペンドされると1である。端子ADD0〜ADD4が客車番号を識別する間、各アドレスプラグは、2つのループワイヤを使用しなければならず、そうでなければ、アドレスが誤って識別される。この設定により、アドレスの重複に起因するバス障害を防ぎ得る。客車番号は、表5における規定の通りである。
【表5】
【0039】
CANボードおよびFSKボードは共に、検出器と通信して温度情報および煙濃度情報を取得し、かつ取得された情報を処理のために、バックプレーンバスを介してCPUボードへ送信する。CANボードは、CANインタフェース検出器の状態情報を取得し、かつFSKボードは、FSKインタフェース検出器の状態情報を取得する。一方で、CANボードおよびFSKボードは、取得した検出器情報をDSボードに送信する。CANボードおよびFSKボードは共に、検出器とループ冗長方式で通信し、検出器の位置を自動的に識別しかつ検出器の状態を診断する。
【0040】
CANボードおよびFSKボードは、検出器コネクタX5を介して検出器と通信する。CANボードを例にとると、検出器コネクタX5は、ポートCAN#0およびポートCAN#1を含み、検出器は、第1の検出器FSD1、第2の検出器FSD1、...、およびn番目の検出器FSDnを含み、各検出器は、ポートCAN#0およびポートCAN#1を装備する。
【0041】
CANボードのポートCAN#0は、第1の検出器FSD1のポートCAN#1に接続され、第1の検出器FSD1のポートCAN#0は、次の検出器FSDのポートCAN#1に接続され、次の検出器FSDのポートCAN#0は、n番目の検出器FSDnのポートCAN#1に接続され、かつn番目の検出器FSDnのポートCAN#0は、CANボードのポートCAN#1に接続される。CANボードとその近傍の検出器FSDとの間の接続、および隣接する検出器FSD間の接続は、独立したCANバスによって実現される。データ転送モジュールは、各検出器FSDの内部に設けられる。データ転送モジュールは、受信されるコマンド・フレーム・アドレスを修正して転送する。
【0042】
CPUボードは、バックプレーンバスを介してCANボードおよびDSボードと通信する。CPUボードは、取得される検出器情報を処理して判定し、温度または煙濃度が設定された閾値を超えていれば、警報情報を出力する。CPUボードは、MVBインタフェース、電流ループおよびRS485インタフェースを装備する。CPUボードは、MVBインタフェースを介して列車監視システムTCMS(列車制御および管理システム)に接続され、電流ループを介して列車通信ネットワーク(TCN)に接続され、かつRS485インタフェースを介して列車ネットワークに接続される。CPUボードは、上述のインタフェースを介して、警報情報をアップロードし、かつ列車設定情報(例えば、速度、客車番号、時間、他)をダウンロードする。列車ネットワークは、運転室内のHMIディスプレイ画面に警報情報を送信して運転室をプロンプトする。
【0043】
DSボードは、バックプレーンバスを介してCANボード、FSKボードおよびCPUボードと通信する。DSボードは、検出器により取得される温度情報および煙濃度情報を受信し、CPUボードにより送信される警報情報を受信し、かつこれらの情報を記憶する。DCボードは、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)インタフェースおよびSPI(シリアル周辺機器インタフェース)インタフェースを装備する。DCボードは、記憶された情報をUSBインタフェースを介してUSBフラッシュディスク等の記憶デバイスにダウンロードし、かつ後続の火災後情報分析のために、記憶された情報をSPIインタフェースを介してSD(セキュアデジタル)カードにダウンロードする。
【0044】
DISPボードは、バックプレーンバスを介してCANボード、FSKボードおよびCPUボードと通信する。赤色警報インジケータ、黄色故障インジケータおよびリセットボタンは、DISPボードのパネル上に設けられる。ここで、赤色警報インジケータは、検出器と1対1で対応している。検出器が、温度または煙濃度が設定された閾値を超えていることを検出すると、この検出器に対応する赤色警報インジケータが点灯されて警報情報を表示し、かつ検出器に故障が発生すると、この検出器に対応する黄色故障インジケータが点灯される。リセットボタンを押すと、全ての赤色警報インジケータおよび黄色故障インジケータが消え、火災警報または故障が再び発生すると、赤色警報インジケータおよび黄色故障インジケータが再び点灯する。
【0045】
Enetボードは、バックプレーンバスを介して上述のボードと通信する。Enetボードは、温度情報、煙濃度情報、火災警報状態および故障状態、ボード間の通信状態およびDSボードの記憶状態情報の全てを取得する。一方で、Enetボードは、列車イーサネット(登録商標)ネットワークを介してスイッチと通信する。全体的な保全の間、ユーザは、単一のPCを任意のスイッチに接続するだけで、列車全体における全ての煙および火災警報デバイスにアクセスして故障の有無を調べることができ、かつDSボード内に記録されたあらゆる煙および火災警報デバイスの情報をダウンロードして煙および火災警報デバイスのソフトウェアを任意にリフレッシュすることもできる。
【0046】
無線ボードは、バックプレーンバスを介して上述のボードと通信する。無線ボードは、温度、煙濃度、火災警報状態、故障状態、通信状態および記憶状態情報に関する全ての情報を取得する。無線ボードは、無線データ取得システムGPRSに外的に接続され、このGPRSにより、無線ボードは、上述の情報をクラウドサーバにアップロードし、よって、運行端末は、情報を包括的に監視することができるようになり、かつユーザが情報を遠隔から見るのに便利である。
【0047】
液晶タッチスクリーンは、バックプレーンバスを介して上述のボードと通信する。液晶タッチスクリーンは、ボードから情報を収集し、次に、煙および火災警報デバイスの状態をリアルタイムで表示する。液晶タッチスクリーンにより、煙および火災警報デバイスの時間等のパラメータが設定されてもよく、リセットおよび消音動作が実行されてもよく、履歴記録が閲覧されてもよい。
【0048】
煙および火災警報の通信方法は、以下のステップを含む。
IOボードの客車番号コネクタX4は、客車番号を識別するためにアドレスラインへ外的に接続され、検出器設定が客車番号に従って呼び出される。設定には、検出器の数、検出器の分配位置、検出器の警報温度閾値、他が含まれる。
【0049】
各検出器の周囲の環境における温度情報および煙濃度情報は、CANインタフェース検出器またはFSKインタフェース検出器によって取得され、取得された情報は、処理のために、バックプレーンバスを介してCPUボードに送信される。
【0050】
CPUボードは、取得される情報に従って判定を行ない、温度または煙濃度が設定された閾値を超えていれば、警報情報を出力する。CPUボードは、警報情報を、MVBインタフェース、電流ループおよびRS485インタフェースを介して列車ネットワークにも送信する。次に、警報情報は、列車ネットワークを介して運転室内のHMIディスプレイ画面に送信され、運転室がプロンプトされる。
【0051】
DSボードは、CANボードおよびFSKボードにより取得される温度情報および煙濃度情報を収集し、かつCPUボードから警報情報を取得して、これに続く情報のダウンロードおよび分析のために情報を保存するように起動される。
【0052】
IOボードがCPUボードにより決定された警報情報を受信すると、安全ループコネクタ3の常閉接点が切断され、よって、列車安全ループへの信号出力が切断される。列車安全ループが切断された後、冗長情報としての警報情報が運転室内のHMIディスプレイ画面に送信され、運転室がプロンプトされる。
【0053】
DISPボードが警報情報を受信した後、検出器による警報発生に対応するDISPボードパネル上の赤色警報インジケータが点灯される。同様に、検出器内に故障が発生すると、故障した検出器に対応する黄色故障インジケータが点灯され、故障情報がプロンプトされる。警報および故障情報が解除されると、リセットボタンが押され、赤色警報インジケータおよび黄色故障インジケータが消える。
【0054】
Enetボードは、システムの温度、煙濃度、火災警報状態、故障状態、通信状態および記憶状態に関する全ての情報を取得し、かつこれらの情報を、照会を容易にするために列車イーサネット(登録商標)ネットワークによりスイッチ上にサスペンドする。
無線ボードは、遠隔からの情報閲覧に便利であるように、無線データ取得システムGPRSを介してクラウドサーバに情報をアップロードする。バックプレーンバスを介して取得されるシステム情報は、液晶タッチスクリーン上に表示され、システム状態がリアルタイムで表示される。
【0055】
本出願において、CANボードは、CAN通信ネットワークを介して検出器と通信し、CANボードは、CAN通信ネットワークにおけるマスタ・ネットワーク・ノードとして機能し、検出器は、CAN通信ネットワークにおけるスレーブ・ネットワーク・ノードとして機能する。
【0056】
本出願の煙および火災警報デバイスにおいて、CANボードと複数の検出器との接続は、CANバスによって実現される。換言すれば、CANボードとその近傍の検出器との接続、および隣接する検出器間の接続は、独立したCANバスによって実現される。複数の検出器間のデータ伝送およびフィードバックは、データ転送機構によって実現される。
図2〜
図5に示すように、CANボードは、火災コントローラFSDCU(火災煙検出器制御ユニット)として機能し、複数の検出器は、各々、第1の検出器FSD1、第2の検出器FSD2、...およびn番目の検出器FSDnである。火災コントローラFSDCUおよび検出器FSDは各々、2つのポート、即ちポートCAN#0およびポートCAN#1、を装備する。ポートCAN#0およびポートCAN#1は共に、データを送受信するために使用されてもよい。各検出器の内部には、データ転送モジュールが設けられ、データ転送モジュールは、受信されるコマンド・フレーム・アドレスに対してデータ論理演算を実行し、かつコマンド・フレーム・アドレスを転送することができる。
【0057】
火災コントローラFSDCUと検出器FSDとの接続は、具体的には、次のように実現され、即ち、火災コントローラFSDCUのポートCAN#0は、第1の検出器FSD1のポートCAN#1に接続され、第1の検出器FSD1のポートCAN#0は、第2の検出器FSD2のポートCAN#1に接続され、第2の検出器FSD2のポートCAN#0は、...に接続され、同様にして、(n−1)番目の検出器FSD(n−1)のポートCAN#0は、n番目の検出器FSDnのポートCAN#1に接続され、かつn番目の検出器FSDnのポートCAN#0は、火災コントローラFSDCUのポートCAN#1に接続される。
【0058】
本通信方法においては、火災コントローラFSDCUとして機能するCANボードから各検出器へのコマンド用に2つの通信機構、即ち、グループ送信応答機構およびロール呼出し応答機構、が存在する。
【0059】
グループ送信応答機構は、2つのプロセス、即ちグループコマンド送信およびグループコマンド応答、を含む。グループコマンド送信およびグループコマンド応答は、1対多コマンドである。火災コントローラFSDCUとして機能するCANボードがコマンドを送信した後、全ての検出器FSDは、火災コントローラFSDCUからのコマンドに応答し、かつ一方で、他の検出器FSDから応答コマンドフレームを受信しかつ転送する。
【0060】
グループ送信応答機構の具体的な作業プロセスは、次の通りである。
(1)グループコマンド送信の作業プロセスは、次の通りである。
図2を参照すると、CANネットワークのマスタデバイスとしての火災コントローラFSDCUは、そのポートCAN#0を介してコマンドフレームID=COM_Frame_IDを送信し、かつ第1の検出器FSD1のポートCAN#1が火災コントローラFSDCUからコマンドフレームID=COM_Frame_IDを受信した後、コマンド・フレーム・アドレスは、第1の検出器FSD1内のデータ転送モジュールにより、次式(1)に従って処理される:
TX_COM_Frame_ID=COM_Frame_ID+1......式(1)
【0061】
ここで、COM_Frame_IDは、火災コントローラFSDCUにより送信されるコマンド・フレーム・アドレスを示し、TX_COM_Frame_IDは、第1の検出器FSD1により転送されるコマンド・フレーム・アドレスを示す。
【0062】
火災コントローラFSDCUのコマンド・フレーム・アドレスに対しては、式(1)に従ってアドレスの増分が実行されて新たなコマンド・フレーム・アドレスTX_COM_Frame_IDが算出され、かつ新たなコマンド・フレーム・アドレスTX_COM_Frame_IDは、第1の検出器FSD1のポートCAN#0を介して第2の検出器FSD2のポートCAN#1に送信される。同様に、第2の検出器FSD2内のデータ転送モジュールは、コマンド・フレーム・アドレスに対し式(1)に従ってアドレスの増分を実行して新たなコマンド・フレーム・アドレスを算出し、次に、この新たなコマンド・フレーム・アドレスを次の検出器に送信し、同様にして、最終的にn番目の検出器FSDnのポートCAN#0が、対応するコマンド・フレーム・アドレスを火災コントローラFSDCUのポートCAN#1に送信する。火災コントローラFSDCUは、COM_Frame_IDの異なる値に従って、対応するコマンド・フレーム・アドレスに応答するか否かを選択する。
【0063】
図2を参照すると、グループコマンド送信の間、CANボードから検出器FSDにグループコマンドを送信するプロセスは、コマンド・フレーム・アドレスの増分アルゴリズムを採用する。CANボードは、そのポートCAN#0を介してコマンドフレームを送信し、第1の検出器FSD1は、CANボードからコマンドフレームを受信し、次に転送する。転送の間、第1の検出器FSD1は、コマンド・フレーム・アドレスに対しアドレス増分を実行して新たなコマンド・フレーム・アドレスを算出し、次に、この新たなコマンド・フレーム・アドレスを次の検出器FSDに送信する。
【0064】
(2)グループコマンド応答の作業プロセスは、次の通りである。
図3を参照すると、第1の検出器FSD1のポートCAN#1が火災コントローラFSDCUのポートCAN#0により送信されるコマンドフレームID=COM_Frame_IDを受信した後等に、グループコマンドのコマンド・フレーム・アドレスを転送するプロセスでは、一方で、このコマンドフレームが、第1の検出器FSD1のポートCAN#0を介してこのノードに接続される第2の検出器FSD2へ転送される必要があり、即ち、上述のグループコマンド送信プロセスを必要とし、一方で、コマンドフレームID=COM_Frame_IDに応答して、このノードにおけるスレーブ・コマンド・フレーム・アドレスが第1の検出器FSD1のポートCAN#1を介して送信され、かつ同時に、第2の検出器FSD2のポートCAN#1からの応答フレームID=REP_Frame_IDが、第1の検出器FSD1のポートCAN#0を介して受信される。ここで、スレーブ・コマンド・フレームIDは、次式(2)によって算出される:
TX_REP_Frame_ID=REP_Frame_ID+1......式(2)
【0065】
ここで、REP_Frame_IDは、マスタノードに応答して第1の検出器FSD1により他のスレーブノードから受信される応答フレームIDを示し、TX_REP_Frame_IDは、第1の検出器FSD1によりポートCAN#1を介して火災コントローラFSDCUへ送信または転送される応答スレーブ・コマンド・フレーム・アドレスを示す。
【0066】
同様に、上述の原理に従って、n番目の検出器FSDnは、このノードにおける応答スレーブ・コマンド・フレーム・アドレスをそのポートCAN#1を介して送信しかつ転送し、かつそのポートCAN#0を介して他のスレーブノードから応答フレームIDを受信する。
【0067】
受信される応答フレームIDは、火災コントローラFSDCUのポートCAN#1からの応答フレームも含む。
【0068】
図3を参照すると、グループコマンド応答プロセスにおいて、n番目の検出器FSDnは、このノードにおける検出器からの応答スレーブ・コマンド・フレーム・アドレスをそのポートCAN#1を介して送信しかつ転送し、かつそのCAN#0を介して他の検出器から応答フレームIDを受信し、かつこのノードにおける検出器からの応答スレーブ・コマンド・フレーム・アドレスを転送する場合、n番目の検出器FSDnは、スレーブ・フレーム・アドレスに対しアドレスの増分を実行して新たなスレーブ・コマンド・フレーム・アドレスを算出し、次に、この新たなスレーブ・コマンド・フレーム・アドレスを先行する検出器FSDに送信する。
【0069】
CANボードと検出器の間の第2のコマンド送信方法は、ロール呼出し応答機構である。ロール呼出し応答機構は、2つのプロセス、即ちロール呼出しコマンド送信およびロール呼出し応答、を含む。ロール呼出しコマンド送信およびロール呼出し応答は、1対1のコマンドである。火災コントローラFSDCUとして機能するCANボードは、検出器FSDのアドレス情報を含む。火災コントローラFSDCUとして機能するCANボードがロール呼出しコマンドを送信した後は、このノードのアドレスに一致するロール呼出しコマンドを有する検出器FSDのみが、このロール呼出しコマンドに応答し、かつ応答するノードに関する情報をCANボードにフィードバックする。
【0070】
ロール呼出し応答機構の具体的な作業プロセスは、次の通りである。
(1)ロール呼出しコマンド送信の作業プロセスは、次の通りである。
図4を参照すると、マスタCANネットワークデバイスとして機能する火災コントローラFSDCUは、そのポートCAN#0を介してコマンドフレームID=COM_Frame_IDを送信し、かつ第1の検出器FSD1のポートCAN#1が火災コントローラFSDCUからコマンドフレームID=COM_Frame_IDを受信した後、コマンド・フレーム・アドレスは、第1の検出器FSD1内のデータ転送モジュールにより、次式(3)に従って処理される:
TX_COM_Frame_ID=COM_Frame_ID−1......式(3)
【0071】
ここで、COM_Frame_IDは、火災コントローラFSDCUにより送信されるコマンド・フレーム・アドレスを示し、TX_COM_Frame_IDは、第1の検出器FSD1により転送されるコマンド・フレーム・アドレスを示す。
即ち、検出器からのコマンド・フレーム・アドレスに対しアドレスの減分が実行されて新たなコマンド・フレーム・アドレスTX_COM_Frame_IDが算出され、かつ新たなコマンド・フレーム・アドレスTX_COM_Frame_IDは、第1の検出器FSD1のポートCAN#0を介して第2の検出器FSD2のポートCAN#1に送信される。
【0072】
同様に、第2の検出器FSD2内のデータ転送モジュールは、コマンド・フレーム・アドレスに対し式(3)に従ってアドレスの減分を実行して新たなコマンド・フレーム・アドレスを算出し、次に、この新たなコマンド・フレーム・アドレスを次の検出器に送信し、同様にして、最終的にn番目の検出器FSDnのポートCAN#0が、対応するコマンド・フレーム・アドレスを火災コントローラFSDCUのポートCAN#1に送信する。火災コントローラFSDCUは、COM_Frame_IDの異なる値に従って、対応するコマンド・フレーム・アドレスに応答するか否かを選択する。
【0073】
図4を参照すると、ロール呼出しコマンド送信の間、CANボードによって検出器FSDのスレーブノードにコマンドを送信するプロセスは、コマンド・フレーム・アドレスの減分アルゴリズムを採用する。CANボードは、そのポートCAN#0を介してコマンドフレームを送信し、第1の検出器FSD1は、CANボードからコマンドフレームを受信して転送する。転送の間、第1の検出器FSD1は、コマンド・フレーム・アドレスに対しアドレスの減分を実行して新たなコマンド・フレーム・アドレスを算出し、次に、この新たなコマンド・フレーム・アドレスを次の検出器FSDに送信する。
【0074】
(2)ロール呼出しコマンド応答の作業プロセスは、次の通りである。
図5を参照すると、ロール呼出しコマンドのコマンド・フレーム・アドレスを転送するプロセスにおいて、n番目の検出器FSDnのポートCAN#1からのコマンド・フレーム・アドレスがマスタノードからのロール呼び出しコマンドのコマンド・フレーム・アドレスに一致すれば、n番目の検出器FSDnは、ロール呼出しコマンドに応答し、かつコマンドフレームIDに応答して次式(4)によりスレーブ・コマンド・フレーム・アドレスをフィードバックし、ここで、スレーブ・コマンド・フレームIDは、式(4)によって算出される。
TX_REP_Frame_ID=REP_Frame_ID+1.....式(4)
【0075】
ここで、REP_Frame_IDは、マスタノードに応答するn番目の検出器FSDnのポートCAN#0の応答フレームIDを示し、TX_REP_Frame_IDは、n番目の検出器FSDnからそのポートCAN#1を介して火災コントローラFSDCUへ送信または転送される応答スレーブ・コマンド・フレーム・アドレスを示す。ロール呼出しコマンド応答プロセスにおいて、マスタノードのロール呼出しコマンドのコマンド・フレーム・アドレスに適合しない、スレーブノードのコマンド・フレーム・アドレスは、ロール呼出しコマンドに応答しない。
【0076】
図5を参照すると、ロール呼出しコマンドに応答する間、n番目の検出器FSDnのポートCAN#1からのコマンド・フレーム・アドレスは、ロール呼出しコマンドのコマンド・フレーム・アドレスに一致し、よって、n番目の検出器FSDnのみがロール呼出しコマンドに応答し、スレーブ・コマンド・フレーム・アドレスに対しアドレスの増分を実行し、一方でこのノードの応答スレーブ・コマンド・フレームを転送して新たなスレーブ・コマンド・フレーム・アドレスを算出し、かつこの新たなスレーブ・コマンド・フレーム・アドレスを先行する検出器FSDにフィードバックする。
【0077】
FSKボードの構成およびFSKボードと検出器との間の通信は、CANボードと同じである。2つのボードにおいて、グループコマンドの送信および応答、およびロール呼出しコマンドの送信および応答は、各々、CAN通信ループを形成する。データの受信および転送は、2つのループの2方向で実行可能である。2つのループは、互いに冗長である2つのCANバスと等価であり、よって通信の精度および信頼性が向上する。
【0078】
一方で、本出願では、火災コントローラとその近傍の検出器とのCANバス接続および隣接する検出器間のCANバス接続が独立して設定され、各検出器内部には、データ転送モジュールが設けられ、かつ受信されるコマンド・フレーム・アドレスは、データ転送モジュールにより修正されて転送される。コマンド・フレーム・アドレスの修正は、データ論理演算を採用し、データ論理演算は、受信されるコマンド・フレーム・アドレスを増分または減分する。各検出器のフレームアドレスは、コマンド・フレーム・アドレスを増分または減分されるスレーブノードのフレームアドレスによって区別される。応答フレームアドレスのフィードバックにより、マスタノードは、各プローブのアドレスを別々に符号化することなく、幾つかの火災検出器を自動的に識別する。
本出願は、独立したモジュールの組合せおよび3Uシャーシ構造に基づく列車の煙および火災警報の通信方法に関する。本方法は、客車番号を識別するために、IOボードの客車番号コネクタX4をアドレスラインへ外的に接続し、かつ検出器設定を呼び出し、検出器により、温度情報および煙濃度情報を取得し、かつこれらを処理のためにCPUボードへ送信し、CPUボードにより、取得された情報を判定し、警報情報を出力し、かつ警報情報を運転室内のHMIディスプレイ画面に送信し、IOボードと列車安全ループとの間で出力される信号を遮断し、かつ警報情報を運転室内のHMIディスプレイ画面に送信し、かつDISPボード上の赤色警報インジケータを点灯し、かつDSボード、Enetボードおよび無線ボードにより、情報を収集し、記憶しかつアップロードすることを含む。