特許第6475415号(P6475415)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6475415ゲーミングマシン、ゲーミング方法およびコンピュータにより読み取り可能な記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6475415
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】ゲーミングマシン、ゲーミング方法およびコンピュータにより読み取り可能な記録媒体
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20190218BHJP
【FI】
   A63F5/04 540
   A63F5/04 620
   A63F5/04 511G
【請求項の数】12
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-41593(P2014-41593)
(22)【出願日】2014年3月4日
(65)【公開番号】特開2015-165871(P2015-165871A)
(43)【公開日】2015年9月24日
【審査請求日】2016年12月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】501405122
【氏名又は名称】コナミゲーミング インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】白石 一剛
【審査官】 山本 一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−131624(JP,A)
【文献】 特開2001−095971(JP,A)
【文献】 特開2006−141418(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0309492(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシンボルが並ぶリールストリップが外周に設けられた回転リールを備え、前記回転リールの前記リールストリップの内側に、前記リールストリップに対して調整された色の光を照射可能な光源を有するディスプレイ装置と、
前記光源が照射する光の色の順序を定めたカラーテーブルを複数格納するメモリ装置と、
前記メモリ装置が格納する複数のカラーテーブルの中から一つを選択し、選択した前記カラーテーブルに基づいて前記光源が照射する光の色を順次変化させ、前記シンボルおよび該シンボルに照射されている光の色に基づいて入賞を判定するコントローラとを備え
前記コントローラは、ゲームを提供している間に前記カラーテーブルを変更して前記光源が照射する光の色のパターンを変化させ、ゲームの当選種別、当選確率または配当率をゲーム中に変化させ、
前記回転リールを回転させるとともに、前記光源が照射する光の色を順次変化させ、前記回転リールの回転および前記光の色の変化を停止させたときに停止位置にある前記シンボルおよび該シンボルに照射されている光の色に基づいて入賞を判定するゲーミングマシン。
【請求項2】
前記光源は、前記リールストリップに沿って配置された複数の光源素子を有し、前記リールストリップの複数のシンボルに調整された色の光を照射可能である、請求項1に記載のゲーミングマシン。
【請求項3】
前記光源素子は、複数のLED素子を組み合わせてなる色調整機能を備えたLED素子である、請求項2に記載のゲーミングマシン。
【請求項4】
前記光源は、前記リールストリップに沿って配置された面光源であり、前記リールストリップの複数のシンボルに調整された色の光を照射可能である、請求項1に記載のゲーミングマシン。
【請求項5】
前記面光源は、カラー表示可能な液晶表示装置または有機EL表示装置である、請求項4に記載のゲーミングマシン。
【請求項6】
前記光源は、前記リールストリップの複数のシンボルに互いに異なる色の光を照射可能である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のゲーミングマシン。
【請求項7】
前記コントローラは、ゲーム状態に応じて前記カラーテーブルを変更する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のゲーミングマシン。
【請求項8】
前記コントローラは、前記回転リールが停止した時点で前記光源が照射する光の色の変化が停止するように制御する、請求項1〜7のいずれか一項に記載のゲーミングマシン。
【請求項9】
前記コントローラは、前記回転リールが停止する前に前記光源が照射する光の色の変化が停止するように制御する、請求項1〜7のいずれか一項に記載のゲーミングマシン。
【請求項10】
前記コントローラは、前記回転リールが停止した後に前記光源が照射する光の色の変化を停止するように制御する、請求項1〜7のいずれか一項に記載のゲーミングマシン。
【請求項11】
複数のシンボルが並ぶリールストリップが外周に設けられた回転リールを備え、前記回転リールの前記リールストリップの内側に、前記リールストリップに対して調整された色の光を照射可能な光源を有するディスプレイ装置を用いたゲームを提供するゲーミング方法において、
コントローラが、メモリ装置に格納された、前記光源が照射する光の色の順序を定めた複数のカラーテーブルの中から一つを選択し、かつ、選択した前記カラーテーブルに基づいて前記光源が照射する光の色を順次変化させ、前記シンボルおよび該シンボルに照射されている光の色に基づいて入賞を判定し、
前記コントローラは、ゲームを提供している間に前記カラーテーブルを変更して前記光源が照射する光の色のパターンを変化させ、ゲームの当選種別、当選確率または配当率をゲーム中に変化させ、
前記回転リールを回転させるとともに、前記光源が照射する光の色を順次変化させ、前記回転リールの回転および前記光の色の変化を停止させたときに停止位置にある前記シンボルおよび該シンボルに照射されている光の色に基づいて入賞を判定するゲーミング方法。
【請求項12】
複数のシンボルが並ぶリールストリップが外周に設けられた回転リールを備え、前記回転リールの前記リールストリップの内側に、前記リールストリップに対して調整された色の光を照射可能な光源を有するディスプレイ装置を用いたゲームを提供することを、1又は複数のコンピュータに機能として実現させるためのプログラムを記録したコンピュータにより読み取り可能な記録媒体であって、
前記プログラムは、前記1又は複数のコンピュータを、メモリ装置に格納された、前記光源が照射する光の色の順序を定めた複数のカラーテーブルの中から一つを選択し、選択した前記カラーテーブルに基づいて前記光源が照射する光の色を順次変化させ、前記シンボルおよび該シンボルに照射されている光の色に基づいて入賞を判定するコントローラとして機能させ
前記コントローラは、ゲームを提供している間に前記カラーテーブルを変更して前記光源が照射する光の色のパターンを変化させ、ゲームの当選種別、当選確率または配当率をゲーム中に変化させ、
前記回転リールを回転させるとともに、前記光源が照射する光の色を順次変化させ、前記回転リールの回転および前記光の色の変化を停止させたときに停止位置にある前記シンボルおよび該シンボルに照射されている光の色に基づいて入賞を判定するコンピュータにより読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーミングマシン、ゲーミング方法およびコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゲーミングマシンの一種であるスロットマシンとして、回転リールを備え、その回転リールの外周に、複数のシンボルが並ぶリールストリップが設けられたものが知られている。
【0003】
下記特許文献1には、透明シンボルを含むリールストリップが外周に設けられた外側リールと、外周に複数の彩色領域が並んだ内側リールと、内側リールの内側に配置された光源とを備えたゲーミングマシンが開示されている。本文献のゲーミングマシンでは、外側リールのリールストリップの透明シンボルを介して、内側リールの彩色領域の色が透けて見えるため、外側リールの透明シンボルに対応する内側リールの彩色領域の色が変わると透明シンボルの色が変わる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5752881号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したゲーミングマシンにおいては、内側リールの彩色領域の色の並び方をゲーム中に変更することができず、透明シンボルが色を変えるパターンはゲームを通じて一様である。このため、ゲームの進行状況に応じて透明シンボルが色を変えるパターンを変化させて、出現する色彩の種類、頻度または順番を変化させることができず、これにより、当選種別、当選確率または配当率を変化させて多様性の高いゲームを提供することはできなかった。本技術分野では、多様性の高いゲームを提供するゲーミングマシン、ゲーミング方法、または、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係るゲーミングマシンは、複数のシンボルが並ぶリールストリップが外周に設けられた回転リールを備え、回転リールのリールストリップの内側に、リールストリップに対して調整された色の光を照射可能な光源を有するディスプレイ装置と、光源が照射する光の色の順序を定めたカラーテーブルを複数格納するメモリ装置と、メモリ装置が格納する複数のカラーテーブルの中から一つを選択し、選択したカラーテーブルに基づいて光源が照射する光の色を順次変化させるコントローラとを備える。
【0007】
このようなゲーミングマシンにおいては、メモリ装置に複数のカラーテーブルが格納されており、その中から選択された一つのカラーテーブルに基づいて、コントローラが、光源からリールストリップに対して照射される光の色を順次変化させる。つまり、選択されるカラーテーブルが変わることで、光源から照射される光の色の順次変化の態様も変わる。そのため、このようなゲーミングマシンによれば、多様なシンボルの色の変化を実現することができる。
【0008】
一実施形態では、光源は、リールストリップに沿って配置された複数の光源素子を有し、リールストリップの複数のシンボルに調整された色の光を照射可能である。たとえば、連続する複数のシンボルの色を順次に変化させることができる。
【0009】
一実施形態では、光源素子は、複数のLED素子を組み合わせてなる色調整機能を備えたLED素子である。この場合、一つのLED素子で複数の色を再現できるため、単色LED素子を複数用いる場合に比べて、省スペース化や部品点数の減少が図られる。
【0010】
一実施形態では、光源は、リールストリップに沿って配置された面光源であり、リールストリップの複数のシンボルに調整された色の光を照射可能である。この場合、シンボルが形成された領域全体に、均一な光を照射することができる。
【0011】
一実施形態では、面光源は、カラー表示可能な液晶表示装置または有機EL表示装置である。この場合、面光源に画像および/または動画等を表示することができ、シンボルの表示をより多様化することができる。
【0012】
一実施形態では、光源は、リールストリップの複数のシンボルに互いに異なる色の光を照射可能である。複数のシンボルが同一形状である場合でも、互いの色を異ならせることで、異なるシンボルとして表示することができる。
【0013】
一実施形態では、コントローラは、ゲーム状態に応じてカラーテーブルを変更する。この場合、リールストリップに照射する光の色から、ゲーム状態をプレイヤーに認識させることができる。
【0014】
一実施形態では、コントローラは、回転リールが停止した時点で光源が照射する光の色の変化が停止するように制御する。この場合、回転リールが停止した時点で、シンボルとその色をプレイヤーが同時に判別できる。
【0015】
一実施形態では、コントローラは、回転リールが停止する前に光源が照射する光の色の変化が停止するように制御する。この場合、回転リールが停止してシンボルを認識できる状態になる前に、プレイヤーはそのシンボルの色だけを事前に認識することができる。
【0016】
一実施形態では、コントローラは、回転リールが停止した後に光源が照射する光の色の変化を停止するように制御する。この場合、回転リールが停止してシンボルのみが認識できる状態になり、その後、光源が照射する光の色の変化が停止して初めてプレイヤーはそのシンボルの色を認識することができる。
【0017】
本発明の一側面に係るゲーミング方法は、複数のシンボルが並ぶリールストリップが外周に設けられた回転リールを備え、回転リールのリールストリップの内側に、リールストリップに対して調整された色の光を照射可能な光源を有するディスプレイ装置を用いたゲームを提供するゲーミング方法において、コントローラが、メモリ装置に格納された、光源が照射する光の色の順序を定めた複数のカラーテーブルの中から一つを選択し、かつ、選択したカラーテーブルに基づいて光源が照射する光の色を順次変化させる。
【0018】
このようなゲーミング方法においては、コントローラは、メモリ装置に格納された複数のカラーテーブルの中から一つを選択し、その選択したカラーテーブルに基づいて、光源からリールストリップに対して照射される光の色を順次変化させ、これにより、リールストリップ上に設けられたシンボルの色彩を変化させる。したがって、カラーテーブルを変更することにより、光源から照射される光の色のパターン(種類、頻度または順番)の態様を変化させ、シンボルの色彩を多彩な態様で変化させることが可能となる。
【0019】
本発明の一側面に係るコンピュータにより読み取り可能な記録媒体は、複数のシンボルが並ぶリールストリップが外周に設けられた回転リールを備え、回転リールのリールストリップの内側に、リールストリップに対して調整された色の光を照射可能な光源を有するディスプレイ装置を用いたゲームを提供することを、1又は複数のコンピュータに機能として実現させるためのプログラムを記録したコンピュータにより読み取り可能な記録媒体であって、プログラムは、1又は複数のコンピュータを、メモリ装置に格納された、光源が照射する光の色の順序を定めた複数のカラーテーブルの中から一つを選択し、選択したカラーテーブルに基づいて光源が照射する光の色を順次変化させるコントローラとして機能させる。
【0020】
このようなコンピュータにより読み取り可能な記録媒体においては、記録したプログラムが、1又は複数のコンピュータを、メモリ装置に格納された複数のカラーテーブルの中から一つを選択し、その選択したカラーテーブルに基づいて、光源からリールストリップに対して照射される光の色を順次変化させ、これにより、リールストリップ上に設けられたシンボルの色彩を変化させるコントローラとして機能させる。したがって、カラーテーブルを変更することにより、光源から照射される光の色のパターン(種類、頻度または順番)の態様を変化させ、シンボルの色彩を多彩な態様で変化させることが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一側面及び種々の実施形態によれば、シンボルの色彩を多彩な態様で変化させることが可能な多様性の高いゲームを提供するゲーミングマシン、ゲーミング方法およびコンピュータにより読み取り可能な記録媒体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態に係るゲーミングマシンの斜視図である。
図2図1のゲーミングマシンの下部ディスプレイ装置の斜視図である。
図3図2の下部ディスプレイ装置の縦断面図である。
図4図2の下部ディスプレイ装置のリールユニットの斜視図である。
図5図2の下部ディスプレイ装置のリールストリップの一例を示した図である。
図6図1のゲーミングマシンにおける制御系のブロック図である。
図7図6のメモリ装置に格納されるカラーテーブルの一例を示した図である。
図8図6のメモリ装置に格納されるカラーテーブルの一例を示した図である。
図9図6のメモリ装置に格納されるカラーテーブルの一例を示した図である。
図10】ゲーム画面の一例である。
図11図1のゲーミングマシンの動作を説明するフローチャートの一例である。
図12図1のゲーミングマシンの動作を説明するフローチャートの一例である。
図13図1のゲーミングマシンの動作を説明するフローチャートの一例である。
図14図1のゲーミングマシンの動作を説明するフローチャートの一例の前半部分である。
図15図13のフローチャートの後半部分である。
図16】異なる態様の光源を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、各図において同一または相当部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0024】
本実施形態に係るゲーミングマシン1は、カジノでプレイヤーにゲームを提供するスロットマシン、ポーカーマシン、キノマシン、ビンゴマシン、パチンコ機、パチスロ機等のように、遊戯価値の消費と引き換えにゲームを提供するマシンとして採用され得る。遊戯価値とは、硬貨、紙幣、コイン、メダル、チケット等の有体物、又はこれらと同等の価値を有する電子データを含む概念である。このような遊戯価値は、ゲーミングマシン1に投入されると消費単位であるクレジットの数に換算されて蓄積され、蓄積されたクレジットを消費することでプレイヤーにゲームを提供するという態様で利用され得る。
【0025】
以下では、ゲーミングマシン1が、複数のシンボルを有するリールを備え、リールを回転させたのちに停止させて、リール停止時に表示された複数のシンボルに応じて入賞の有無を判定するスロットマシンである場合を例に説明する。
【0026】
図1は実施形態に係るゲーミングマシン1の斜視図である。図1に示すように、ゲーミングマシン1は上下方向(z方向)に延びる縦型の筐体19を有する。筐体19は、複数の回転可能な機械的なリール2(回転リール)をその内部に収容した含む下部ディスプレイ装置12、及び、下部ディスプレイ装置12の上側に設けられた上部ディスプレイ装置13を備えている。
【0027】
上部ディスプレイ装置13は、ゲームの内容に関連した画像又は映像を表示し得る液晶装置15を備えている。下部ディスプレイ装置12は、前面12aに設けられ、リール2の動作を視認可能なウィンドウ17、及び、ウィンドウ17の下側に設けられ、ゲームの内容に関連した画像又は映像を表示し得る液晶装置9を備えている。このような液晶装置9、15およびウィンドウ17が、ゲームの内容を表示する表示部18として機能する。
【0028】
表示部18の下方には、コントロールパネル3が設けられている。より詳しくは、コントロールパネル3は、下部ディスプレイ装置12の下側に設けられた底部キャビネット10に設けられている。コントロールパネル3の表面3aには、挿入口4、出力口5および操作部30が設けられている。挿入口4には、ゲームを実行する対価としての遊戯価値がプレイヤーによって投入される。遊戯価値は、ここでは一例としてコイン又は紙幣が用いられる。出力口5からは、例えば後述するペイアウトボタンが操作されることに応じて、ゲーミングマシン1内に蓄積されたクレジットの情報が印刷された媒体であるチケットが出力される。挿入口4または出力口5は、さらにチケットに印刷されたクレジット情報を読み取ってゲーミングマシン1内に蓄積可能な構成としてもよい。この場合、読み取られたクレジット情報に基づいて、ゲーミングマシン1にクレジットを蓄積可能な構成とすることができる。
【0029】
操作部30は、ゲーミングマシン1に対するプレイヤーの各種の指示を受け付ける。操作部30は、例えば、スピンボタン7及び複数のボタン6を有する。スピンボタン7は、ゲームの開始(リールの回転開始)の指示を受け付ける。複数のボタン6は、例えば、ベットボタン群、ライン指定ボタン群、マックスベットボタン、又は、ペイアウトボタン等を含む。ベットボタン群は、プレイヤーがベットする遊戯価値を所定の単位量ずつ指示する操作を受け付ける。ライン指定ボタン群は、入賞判定の対象とされるべきライン(以下、有効ラインと呼ぶ。)を指定する操作を受け付ける。マックスベットボタンは、一度にベットすることができる最大の遊戯価値をベットすることを指示する操作を受け付ける。ペイアウトボタンは、払い出しを指示する操作を受け付ける。コントロールパネル3の下方には、遊戯価値を払い出すための払い出しトレイ24が設けられている。払い出しトレイ24は、底部キャビネット10に設けられている。ペイアウトボタンが操作された場合に、ゲーミングマシン1は蓄積されたクレジットの情報を出力口5から出力しても良いし、遊戯価値として払い出しトレイ24から払い出しても良く、これらはゲーミングマシン1の設定により何れかが選択される。プレイヤーの指定に応じて何れかを選択する構成としても良い。
【0030】
下部ディスプレイ装置12と底部キャビネット10との間には、下部ボックス11が配置されている。下部ボックス11の前面には、複数のスピーカ8が設けられている。複数のスピーカ8は、例えばゲームの進行に応じて音を出力してもよい。また、複数のスピーカ8は、ゲーミングマシン1がゲームを提供していない場合であっても、音を出力してもよい。
【0031】
次に、下部ディスプレイ装置12について、図2〜5を参照しつつより詳しく説明する。
【0032】
図2に示すように、下部ディスプレイ装置12は、リール収容部121及びドア122を備える。ドア122は、リール収容部121に開閉可能に取り付けられており、下部ディスプレイ装置12の前面12a(図1参照)を構成する。なお、図2は、ドア122を開けた状態を示している。図3は、下部ディスプレイ装置12の縦断面図(xz平面に沿った断面図)である。
【0033】
下部ディスプレイ装置12の内部空間Sには、リール2を独立して回転駆動させる複数のリールユニット35が収容されている。本実施形態では、下部ディスプレイ装置12は、y軸方向に沿って並ぶ5つのリールユニット35A〜35Eを収容している。リールユニット35の数は、ゲーミングマシン1が提供するゲームに応じて、適宜増減することができる。
【0034】
ドア122には、ウィンドウ17及び液晶装置9が設けられている。ウィンドウ17は、プレイヤーが5つのリール2のそれぞれの一部(各リールユニット35の一部)を、下部ディスプレイ装置12の外部から視認可能なように表示する。
【0035】
図4は、リールユニット35の斜視図である。図3、4に示すように、各リールユニット35は、リール2を備えており、リール2は、リールストリップ36と、リールストリップ36を環状に保持するリール枠37とを有している。各リール2は、y軸方向に延びる回転軸Yrをそれぞれ有し、それぞれの回転軸が一致しており、そのため全てのリール2が同軸で回転する。リールストリップ36には、図2では省略されているが、複数のシンボル36aが設けられている。
【0036】
図5に示すように、リールストリップ36には、上下一列に並んだ複数のシンボル36aが設けられている。リールストリップ36は、上端部と下端部とが互いに貼り合わされて環状にされる。シンボル36aには、数字、文字又は図形等の各種の図柄が適宜に採用され得る。リールストリップ36は、後述する光源42の光の少なくとも一部が透過する程度の透光性を有している。たとえば、リールストリップ36は、透光性を有する樹脂で構成することができる。
【0037】
リールユニット35は、さらに、リールストリップ36の内側に配置され、リールストリップ36に対して光を照射する光照射ユニット40を備えている。光照射ユニット40は、複数の光源42と、光源42を背面側から支持する支持基板44と、支持基板44から前面側に延びる壁部46と、各光源42から照射される光を制御する光照射コントローラ48とを備える。
【0038】
本実施形態では、光源42は光源素子の一種であるLED素子である。より具体的には、光源42は、異なる色の光を発光する複数のLED素子が組み合わされてなるLED素子であり、照射する光の色を調整する機能(色調整機能)を備える。たとえば、光源42は、赤、緑、青の3色のLED素子が組み合わされてなるフルカラーLED素子である。光源42がフルカラーLED素子の場合には、照射する光の色を任意の色に調整することができる。
【0039】
支持基板44は、リールストリップ36の内側において、リールストリップ36に沿うように光源42を配置するための基板である。本実施形態では、支持基板44上には30個の光源42が配置されている。具体的には、30個の光源42は6段に分けられて、規則的に並べられている。30個の光源42は、上側2段、中央2段、下側2段がそれぞれ区分けされるように、壁部46で区切られている。上側2段の光源42は、後述するシンボル領域61の上段に回転表示または停止表示されるシンボル36aに対して光を照射する。中央2段の光源42は、シンボル領域61の中段に回転表示または停止表示されるシンボル36aに対して光を照射する。下側2段の光源42は、シンボル領域61の下段に回転表示または停止表示されるシンボル36aに対して光を照射する。
【0040】
光照射コントローラ48は、各光源42が照射する光を制御する。具体的には、光照射コントローラ48は、光源42が照射する光の色を調整する制御を行う。このとき、壁部46で区分けされた光源42の組(本実施形態ではそれぞれ10個の光源42からなる上側2段、中央2段、下側2段の各組)は、それぞれ同じ色に調整された光を照射する。壁部46は、各組の光源42が照射する光が隣の組の光源42が照射する光と混ざり合い、シンボル36aに意図しない色の光が照射される事態を抑制する。また、光照射コントローラ48は、光源42が照射する光の強度や照射タイミング等の制御も行う。
【0041】
図6はゲーミングマシン1における制御系の概略を示している。
【0042】
ゲーミングマシン1は、コントローラとして、中央処理装置(以下、CPUと略称する。)21を備える。また、ゲーミングマシン1は、CPU21が参照可能なメモリ22を備える。
【0043】
メモリ22は、磁気的又は光学的記憶媒体、EEPROMといった不揮発性の記憶媒体を含み得る。メモリ22には、ゲームを実行するために必要なゲームプログラム及びそのゲームプログラムで参照されるべきデータが記録されている。
【0044】
CPU21は、ゲームプログラムを読み込んで実行することにより、ゲームの内容を決定し、所定の手順でスロットゲームを進行させる。ここでゲーム内容とは、ゲームの過程および結果においてゲーミングマシン1の各部を制御する内容をいう。
【0045】
CPU21には、I/Oポート(入出力ポート)23を介して操作部30、識別部31およびメモリ装置32が接続されている。操作部30は、プレイヤーの指示を受け付けて、プレイヤーの指示に応じた信号をCPU21へ出力する。識別部31は、挿入口4から挿入された遊戯価値(コイン、紙幣又はチケット)を識別し、識別した額に応じた信号をCPU21へ出力する。
【0046】
メモリ装置32には、複数のカラーテーブル50が格納されている。カラーテーブル50は、上述した各光源42から照射される光の色の順序を定めたものである。カラーテーブル50の例として、カラーテーブル50A、50B、50Cを図7〜9に示す。図7には、青(B)、緑(G)、赤(R)の順に繰り返されるカラーテーブル50Aが示されている。図8には、3つの連続する青(B)、3つの連続する緑(G)、及び、3つの連続する赤(R)が繰り返されるカラーテーブル50Bが示されている。図9には、赤(R)のみからなるカラーテーブル50Cが示されている。
【0047】
CPU21は、プレイヤーの指示及びベットされた遊戯価値等に基づいて、ゲームの内容を決定する。さらに、CPU21には、液晶装置9、15、リール2、光照射コントローラ48及び払出部25が、I/Oポート23を介して接続されている。
【0048】
CPU21は、決定したゲームの内容に応じて、表示領域にゲームの内容を表示させる。ここで、表示領域とは、表示部18が液晶装置の場合には液晶パネルの領域であり、表示部18がウィンドウ17の場合には、ウィンドウ17によってリール2が視認可能となっている領域である。CPU21は、決定したゲームの内容に応じてリール2の回転制御を行う。
【0049】
また、CPU21は、光照射コントローラ48を介して各光源42を制御する。より詳しくは、CPU21は、メモリ装置32が格納するカラーテーブル50の中から一つを選択するとともに、選択したカラーテーブル50に基づき、光照射コントローラ48を介して各光源42が照射する光の色を順次変化させる。図7に示したカラーテーブル50Aを例に説明すると、CPU21は、壁部46で区分けされた光源42の組の光の色を、青(B)、緑(G)、赤(R)の順に繰り返されるように、順次変化させる。このとき、たとえば、下側に区分けされた光源42の組の光の色が青(B)から緑(G)に変わるタイミングで、中央に区分けされた光源42の組の光の色を緑(G)から赤(R)に変え、かつ、上側に区分けされた光源42の組の光の色を赤(R)から青(B)に変える。同様に、下側に区分けされた光源42の組の光の色が、緑(G)から赤(R)に変わるタイミングで、中央に区分けされた光源42の組の光の色を赤(R)から青(B)に変え、かつ、上側に区分けされた光源42の組の光の色を青(B)から緑(G)に変える。このように光源42の各組の光の色を同じタイミングに変えていくことで、カラーテーブル50Aの順に色が並んだ仮想的なカラーリールが、図7の下向きに回転しているかのように視認される。そのため、以下の説明では、カラーテーブル50をカラーリール50とも称し、また、カラーテーブル50に基づく光源42の光の色の順次変化をカラーリール50の回転とも称す。
【0050】
CPU21は、上述した仮想的なカラーリール50を、リール2毎に選択する。すなわち、本実施形態では、CPU21は、5つのリール2に対応する5つのカラーリール50をそれぞれ、メモリ装置32に格納されたカラーリール50の中から選択する。CPU21は、5つのリール2のうちの複数リールにおいて同じカラーリール50を選択することができる。また、メモリ装置32に格納されたカラーリール50の数がリール2の数以上である場合には、全てのリール2で異なるカラーリール50を選択することもできる。
【0051】
さらに、CPU21は、払い出しトレイ24への遊戯価値の払い出しを払出部25に管理させ、蓄積されたクレジット数の情報を媒体に印刷して出力することを出力口5に管理させる。その他にも、コントローラ20には、スロットゲームを実行するために必要な装置が適宜に接続されるが、それらの図示は省略している。
【0052】
図10は、CPU21の制御に従って表示部18に表示されるゲーム画面の一例を示す。図10に示すように、ウィンドウ17(表示領域)内にゲーム画面60が表示される。ゲーム画面60には、リール2のリールストリップ36のシンボル36aを表示するためのシンボル領域61が設けられている。ここでは、シンボル領域61には、シンボル停止位置としての複数のセル62が縦方向に3行、横方向に5列のマトリクスを形成するように画定されている。なお、以下においては、ゲーム画面60の横方向を行方向と、縦方向を列方向と呼ぶことがある。セル62の境界線は、プレイヤーが視覚を通じて把握できる態様で表示部18上に表示されてもよいし、表示が省略されてもよい。すなわち、セル62はシンボル停止位置としてゲーミングマシン1の内部で論理的に、あるいは観念的に画定されていれば足り、それらの境界が視認できることは必ずしも必要とされない。
【0053】
シンボル領域61には、セル62ごとにシンボル36aが表示されている。これらのシンボル36aは、複数のリール2のそれぞれに配置されている。それらのリール2が所定の配列で並べられることにより、シンボル領域61には、シンボル36aが縦横にマトリクス状に並んだ状態で表示される。
【0054】
有効ラインは、スロットゲームにて入賞判定の対象となるべき複数のセル62を指定するラインであって、複数のリール2に跨るように設定される。プレイヤーが操作部30のライン指定ボタン群を操作することにより有効ラインが適宜に設定される構成としてもよいし、ベットボタンを操作することにより有効ラインが適宜に設定される構成としてもよい。一例として、シンボル領域61の上下方向の中央に位置する全てのセル62を結ぶ水平ラインAが有効ラインとして設定可能である。その他にも、有効ラインとしては、シンボル領域61の対角線方向に延びるライン、シンボル領域61内でV字型又は逆V字型を描くライン等が設定可能である。プレイヤーがベットボタン群を操作して一回のスロットゲームにベットする単位の数を指定し、ライン指定ボタン群により有効ラインを選択すると、それらの選択内容をCPU21が認識する。その後、プレイヤーがスピンボタン7を操作すると、CPU21は、シンボル領域61にて各シンボル36aを列方向に移動(スクロール)させ、所定の停止時期にて、一つのセル62に一つのシンボル36aが出現するようにしてシンボル36aのスクロールを停止させる。シンボル36aが停止したとき、有効ライン上のセル62に表示されたシンボル36aの図柄が一致、あるいは所定の関係を形成すると入賞パターンが形成されたことになる。このような有効ラインを用いた入賞判定をライン判定という。
【0055】
なお、上記ライン判定以外の判定方法を採用してもよい。例えば、シンボル領域61の一部又は全部を判定領域とし、判定領域内に所定数の特定シンボルが存在する場合に入賞したと判定してもよい。また、シンボル領域61の左右両端のリールから連続して所定数のリールに特定シンボルが続けて表示されている場合に入賞したと判定してもよい。このような入賞判定をスキャッタ判定という。
【0056】
本実施形態のように、リール2が機械的に構成されている場合、シンボル36aは各リール2の表面に配されており、リールを回転させることによりシンボル36aはスクロールし、リールを停止させることによりシンボル36aは停止する。
【0057】
また、各シンボル36aは、リール回転時及びリール停止時に、リールストリップ36の内側から、上述した光源42の調整された色の光が照射されることで彩色される。光の色は、メモリ装置32に格納されたカラーリール50のうちの、CPU21によって選択されたカラーリールに基づく。たとえば、図7に示したカラーリール50Aに基づく場合には、上側、中央および下側に区分けされた光源42の組はそれぞれ、青(B)、G(緑)、赤(R)の色の順に順次変化し、リール2の回転時及びリール停止時に、シンボル領域61の上段、中段、下段のシンボル36aの彩色を行う。
【0058】
図11は、スロットゲームの通常ゲームの実行時において、CPU21がゲーム画面60の表示を制御するために適宜の周期で実行するルーチンを示すフローチャートである。
【0059】
図11のルーチンを開始すると、CPU21がゲーム開始を決定する(S10)。ゲームを実行する対価としての遊戯価値が挿入口4に投入されると、識別部31がCPU21へ信号を出力する。CPU21は、識別部31の信号に基づいてゲーム開始を決定する。ゲーム開始が指示されていなければ判断が繰り返され、ゲーム開始が指示されるとS12へと処理が進められる。
【0060】
S12の処理では、CPU21がゲームの設定を決定する。操作部30(複数のボタン6)が、プレイヤーの指示を受け付けて、プレイヤーの指示に応じた信号をCPU21へ出力する。CPU21は、操作部30の信号に基づいてゲームの設定を決定する。ゲームの設定が指示されていなければ判断が繰り返され、ゲームの設定が指示されると、ゲームの設定が決定され、S14へと処理が進められる。
【0061】
S14の処理では、CPU21がスピンボタン7の信号を受信する。スピンボタン7の信号が入力されていなければ判断が繰り返され、スピンボタン7の信号が入力されるとS16へと処理が進められる。なお、S12の処理でプレイヤーがベットボタンを操作したことに応じてCPU21がゲームの設定を決定するとともにS16へと処理を進めてもよく、その場合にはS14の処理は省略される。
【0062】
S16の処理では、CPU21が、リール2のそれぞれについて、カラーリール50を決定する。すなわち、CPU21は、メモリ装置32に格納された複数のカラーリール50の中から一つを選択する。カラーリール50の選択は、乱数の取得によりランダムに選択したり、ゲーム状態に基づいて選択したり、所定の順番で選択したりすることができる。また、所定条件が満たされたときにだけ、特定のカラーリールが選択できるようにしてもよい。
【0063】
S18の処理では、CPU21が、複数のリール2およびカラーリール50を回転させる。このとき、リール2の回転速度とカラーリール50の回転速度とは、同一速度であっても異なる速度であってもよい。なお、以下では、左からX番目のリール2をリール(X)として説明し、そのリール(X)に対応するカラーリール50をカラーリール(X)として説明する。CPU21が全てのリール2及びカラーリール50を回転させると、S20へと処理が進められる。S20の処理では、CPU21が初期処理としてn=1を設定する。設定後、S22へと処理が進められる。
【0064】
S22の処理では、CPU21が乱数を取得する。取得後、S24へと処理が進められる。S24の処理では、S22の処理で取得された乱数に基づいて、CPU21がリール(n)の停止位置を決定する。決定後、S26へと処理が進められる。S26の処理では、CPU21がn=n+1とする。設定後、S28へと処理が進められる。S28の処理では、CPU21がn>Xを満たすか否かを判定する。n>Xを満たさない場合には、S22へと処理が進められる。これにより、n>Xを満たすまで、S22〜S28の処理が繰り返し実行される。このように、リール(1)からリール(X)まで、停止位置が決定される。n>Xを満たす場合には、全てのリール2について停止位置が決定したことを意味するため、S30へと処理が進められる。
【0065】
S30の処理では、CPU21が初期処理としてm=1を設定する。設定後、S32へと処理が進められる。
【0066】
S32の処理では、CPU21が乱数を取得する。取得後、S34へと処理が進められる。S34の処理では、S32の処理で取得された乱数に基づいて、CPU21がカラーリール(m)の停止位置を決定する。決定後、S36へと処理が進められる。S36の処理では、CPU21がm=m+1とする。設定後、S38へと処理が進められる。S38の処理では、CPU21がm>Xを満たすか否かを判定する。m>Xを満たさない場合には、S32へと処理が進められる。これにより、m>Xを満たすまで、S32〜S38の処理が繰り返し実行される。このように、カラーリール(1)からカラーリール(X)まで、停止位置が決定される。m>Xを満たす場合には、全てのカラーリール50について停止位置が決定したことを意味するため、S40へと処理が進められる。
【0067】
S40の処理では、S24の処理で決定された各リール(X)の停止位置、及び、S34の処理で決定された各カラーリール(X)の停止位置に基づいて、CPU21が各リール(X)及び各カラーリール(X)のスピンを同時に停止させる。各リール(X)及び各カラーリール(X)の停止後、S42へと処理が進められる。S42の処理では、CPU21は、シンボル領域61の有効ライン上に並んだシンボル36a及びその色が、所定の入賞パターンを形成しているか否かを判別する。入賞パターンが形成されていない場合、図11に示す制御処理を終了する。一方、入賞パターンが形成されている場合には、S44へと処理が進められる。S44の処理では、形成された入賞パターンに対応する賞金額を計算し、計算された賞金額に等価の遊戯価値をプレイヤーに付与する。付与された遊戯価値は、次回以降のスロットゲームのベットに利用することができる。プレイヤーがペイアウトボタンを操作すれば、その時点で蓄えられている遊戯価値と等価の賞金が払出部25から払い出しトレイ24に払い出されるか、または、蓄積されたクレジット数の情報が媒体に印刷されて出力口5から出力される。以上で、図11に示す制御処理を終了する。
【0068】
上述したとおり、ゲーミングマシン1においては、メモリ装置32に複数のカラーリール50が格納されており、その中から選択された一つのカラーリール50に基づいて、CPU21が、リールストリップ36に対して光源42から照射される光の色を順次変化させる。つまり、CPU21により選択されるカラーリール50が変わることで、光源42から照射される光の色のパターン(種類、頻度または順番)の態様を変化させ、シンボルの色彩を多彩な態様で変化させることが可能となる。
【0069】
ここで、リール2の内側に、外周に複数の彩色領域が並んだ内側リールを配置した場合、内側リールの彩色領域の色の並び方を変えるためには、ゲームマシンの本体内部から内側リールを取り出し、別途に準備した内側リールに交換する必要がある。そのため、彩色領域の色の並び方を変えるのに手間と時間を要し、たとえばプレイヤーにゲームを提供している最中に、彩色領域の色の並び方を変えることは不可能である。そのため、上記のような内側リールを有するゲーミングマシンでは、ゲームを提供している間は単一の内側リールのみが用いられ、単一の内側リールでは彩色領域の色が一様な並びであるため、ゲームが単調になりやすい。
【0070】
一方、上述したゲーミングマシン1では、メモリ装置32には複数のカラーリール50が格納されており、CPU21が、選択するカラーリール50を変えることで、カラーリール50の種類が変わり、光源42から照射される光の色のパターン(種類、頻度または順番)の態様を変化させることができる。すなわち、上述したゲーミングマシン1では、カラーリール50の変更を、容易かつ瞬時に行うことができ、ゲームを提供している間でも任意のタイミングでカラーリール50を変更することができる。
【0071】
そのため、ゲーミングマシン1によれば、シンボルの色彩を多彩な態様で変化させることが可能となる。特に、ゲーミングマシン1が、入賞判定の際に色によってシンボル36aの役割が変わるゲームを提供する場合には、カラーパターンを変化させることで、ゲームの当選種別、当選確率または配当率をゲーム中に変化させることができ、これにより高いゲーム性を提供することができる。
【0072】
また、上下に連続する同一シンボル群(スタックシンボル)を有するリールを用いる場合、シンボル領域にスタックシンボルが表示された場合には高額当選が発生しやすくなるため、遊戯価値の払出率を調整するためには、スタックシンボルの表示確率を低く調整する必要があった。一方、ゲーミングマシン1では、シンボル領域にスタックシンボルが表示された場合であっても、メモリ装置32に高額当選となりにくい色の並びのカラーリール50を格納しておくことで、スタックシンボルの表示確率を低く調整することなく、遊戯価値の払出率を調整することができる。
【0073】
さらに、図8に示したカラーリール50Bのように同一の色を連続して並べたり、図9に示したカラーリール50Cのように同一の色のみで構成したりすることで、高額当選を発生しやすくし、遊戯価値の払出率を高くする調整をおこなうこともできる。
【0074】
このようにゲーミングマシン1によれば、選択するカラーリールにより遊戯価値の払出率の調整等ができるため、ゲーム調整の幅が広がる。
【0075】
なお、図11を参照して説明した上述のフローチャートでは、CPU21が、リール2の回転とカラーリール50の回転とを同時に停止させる停止制御の例を示したが、このような停止制御とは異なる停止制御を行っても良い。
【0076】
図12に、CPU21が、リール2の回転を停止させた後、カラーリール50の回転を停止させる停止制御を行うフローチャートを示す。
【0077】
図12のフローチャートにおけるS10〜S38の処理は、図11のフローチャートにおけるS10〜S38の処理と同様である。図12のフローチャートでは、S38の処理において、m>Xが満たされた場合には、S401へと処理が進められる。S401の処理では、S24の処理で決定された各リール2の停止位置に基づき、CPU21は、各リール2の回転のみ停止させる。すなわち、S401では、CPU21は、カラーリール50の回転を停止させず、カラーリール50は回転を続ける。
【0078】
S401においてリール2の回転が停止した後、CPU21は、S402の処理として、S34の処理で決定された各カラーリール50の停止位置に基づき、各カラーリール50の回転を停止させる。その結果、各リール2及び各カラーリール50の両方の回転が停止し、続くS42の処理において入賞判定が行われる。
【0079】
このように、図12に示したフローチャートの停止制御においては、リール2の回転が停止した時点では、シンボル領域61に表示されるシンボル36aの形状のみ確定するが、カラーリール50は回転を続けているため、シンボル36aの色は確定しない。そして、その後、カラーリール50の回転が停止した時点でシンボル36aの色が確定する。したがって、図12に示したフローチャートでは、リール2が停止してからカラーリール50が停止するまでの間、入賞パターンとなる位置にカラーリール50が停止するかもしれないというプレイヤーの期待を高めることができる。
【0080】
図13は、図12に示した停止制御のフローチャートとは反対に、CPU21が、カラーリール50の回転を停止させた後、リール2の回転を停止させる停止制御を行うフローチャートを示す。
【0081】
すなわち、図13のフローチャートは、図12のフローチャートとは、S401の処理とS402の処理の順番が逆になっている点でのみ異なる。すなわち、図13のフローチャートでは、S38の処理において、m>Xが満たされた場合には、S402へと処理が進められる。S402の処理では、S34の処理で決定された各カラーリール50の停止位置に基づき、各カラーリール50の回転を停止させる。すなわち、図13のフローチャートにおけるS402では、CPU21は、リール2の回転を停止させず、リール2は回転を続ける。
【0082】
S402においてカラーリール50の回転が停止した後、CPU21は、S401の処理として、S24の処理で決定された各リール2の停止位置に基づき、各リール2の回転を停止させる。その結果、各リール2及び各カラーリール50の両方の回転が停止し、続くS42の処理において入賞判定が行われる。
【0083】
このように、図13に示したフローチャートの停止制御においては、カラーリール50の回転が停止した時点では、シンボル領域61の上段、中段、下段に光源42から照射される光の色のみ確定するが、リール2は回転を続けているため、シンボル36aの形状は確定しない。そして、その後、リール2の回転が停止した時点でシンボル36aの形状が確定する。したがって、図13に示したフローチャートでは、カラーリール50が停止してからリール2が停止するまでの間、入賞パターンとなる位置にリール2が停止するかもしれないというプレイヤーの期待を高めることができる。
【0084】
また、ゲーミングマシン1が、図11に示した通常ゲームに加えて、特別ゲームの一種であるフリーゲームを提供する場合には、CPU21は、図14、15に示したフローチャートに従う処理を行う。なお、フリーゲームとは、遊戯価値と引き換えにゲームを提供する通常ゲームとは異なり、遊戯価値が消費されることなく所定回数のゲームが提供される特別なゲーム状態である。
【0085】
図14のフローチャートにおけるS10〜S44の処理は、図11のフローチャートにおけるS10〜S44の処理と同様である。ただし、図14の制御処理では、CPU21が、通常ゲームに用いるカラーリール50として、カラーリールAを選択している。
【0086】
S44の処理において、遊戯価値をプレイヤーに付与した後、図15に示したS46の処理が進められる。
【0087】
S46の処理では、CPU21は、特別ゲームとしてフリーゲームを実行するトリガーが成立しているか否かを判定する。たとえば、CPU21は、有効ライン上のセル62に表示されたシンボル36aが特定の組合せである場合や、シンボル領域61内に所定数以上の特定のシンボル36aが表示された場合に、トリガーが成立していると判定する。トリガーが成立している場合にはS48に処理が進められ、トリガーが成立していない場合には図14、15に示す制御処理を終了する。
【0088】
S48の処理では、CPU21がフリーゲームの回数(Y)を決定し、Y回のフリーゲームを開始する。フリーゲームの回数(Y)は、予め決められた回数に決定したり、S46の処理における成立トリガーに応じて決定したりすることができる。S46の処理においてフリーゲームが開始されると、S50へと処理が進められる。
【0089】
S50の処理では、CPU21がフリーゲームの回数(Y)を1回減らし(すなわち、Y=Y−1)、その後、S52へと処理が進められる。
【0090】
S52の処理では、CPU21は、カラーリール50を決定する。このとき、CPU21は、特別ゲームに用いるカラーリール50として、カラーリールBを選択する。特別ゲームのときに選択されるカラーリールBは、通常ゲームのときに選択されるカラーリールAと異なるようにしてもよく、同じであってもよい。
【0091】
図15のフローチャートにおけるS54〜S80の処理は、通常ゲーム中である図14のS18〜S44の処理と同様であるため、その説明を省略する。
【0092】
そして、S80の処理において、遊戯価値をプレイヤーに付与した後は、S82の処理が進められる。
【0093】
S82の処理では、フリーゲームの回数(Y)が0であるか否か、すなわち、フリーゲーム残り回数の有無を判定する。そして、フリーゲームの回数が0である場合には、図15に示す特別ゲームの制御処理を終了し、ゲーム状態が通常ゲームに戻る。
【0094】
フリーゲームの回数(Y)が残っている場合には、S50の処理に戻り、フリーゲームの回数が0になるまでS50〜S80の処理を繰り返す。
【0095】
このように、ゲーミングマシン1によれば、通常ゲームのときだけでなく、特別ゲームのときにも、容易に変更可能な仮想的なカラーリール50を用いて、多様なシンボル36aの色の変化を実現することができる。
【0096】
その上、CPU21が、通常ゲームのときに選択するカラーリールAと、特別ゲームのときに選択するカラーリールBとを異ならせることで、ゲーム状態に応じてカラーリール50の変更が可能である。それにより、通常ゲームと特別ゲームとの間で、ゲーム性や遊戯価値の払出率を変えることができる。また、プレイヤーは、通常ゲームから特別ゲームに移行したことを、カラーリール50の違い(すなわち、カラーリールAとカラーリールBとの違い)から認識することが可能となる。
【0097】
なお、上述したゲーミングマシン1では、光源42である複数のLED素子は、リールストリップ36に沿って上下に並んで配置されており、リールストリップ36のシンボル領域61における上段、中段および下段の各シンボル36aに調整された色の光を照射可能である。そのため、上段、中段および下段の連続する3つのシンボル36aの色を、仮想的なカラーリール50が回転しているような態様で、順次に変化させることができる。
【0098】
また、光源42のLED素子が、複数のLED素子を組み合わせてなる色調整機能を備えたLED素子であるため、一つのLED素子で複数の色を再現できる。そのため、単色LED素子を複数用いる場合に比べて、省スペース化や部品点数の減少が図られる。
【0099】
さらに、光源42は、リールストリップ36のシンボル領域61における上段、中段および下段の各シンボル36aに互いに異なる色の光を照射可能である。たとえば、上段、中段および下段のシンボル36aとして、同一形状のシンボル36aが表示された場合でも、同一形状のシンボル36aの色を互いに異ならせることで、異なるシンボルとして表示することができる。
【0100】
なお、上述した実施形態では、光源として点光源であるLED素子を例に説明したが、光源として面光源を採用することもできる。
【0101】
図16は、面光源42Aを有する光照射ユニット40Aの例を示す。光照射ユニット40Aは、壁部46によって隔てられた3つの面光源42Aを有している。上側の面光源42Aは、シンボル領域61の上段に回転表示または停止表示されるシンボル36aに対して光を照射する。中央の面光源42Aは、シンボル領域61の中段に回転表示または停止表示されるシンボル36aに対して光を照射する。下側の面光源42Aは、シンボル領域61の下段に回転表示または停止表示されるシンボル36aに対して光を照射する。
【0102】
このような面光源42Aにおいても、上述したLED素子である光源42同様に、カラーテーブル50に基づいてリールストリップ36の各シンボル36aに照射する光の色を順次変化させることで、仮想的なカラーリール50が回転しているかのように視認させることができる。
【0103】
このような面光源42Aとしては、単に面発光する発光体に限らず、カラー表示可能な液晶表示装置または有機EL表示装置を採用しうる。
【0104】
このような面光源42Aによれば、シンボル36aが形成された領域(セル62)の全体にわたって均一な光を照射することができる。特に、上述のような液晶表示装置や有機EL表示装置であれば、面光源42Aに画像および/または動画等(たとえば、イラストやアニメ)を表示することができ、シンボル36aの表示をより多様化することができる。
【0105】
なお、上述したコントローラ20の機能は、コンピュータによりプログラムが実行されることでも実現され得る。
【0106】
すなわち、1又は複数のコンピュータを、上述したコントローラ20と同様に機能させるプログラムが作成可能である。このようなプログラムを実行させることにより実現される機能は、上述したコントローラ20と同様であり、すなわち、メモリ装置32に格納された、光源42が照射する光の色の順序を定めた複数のカラーテーブル50の中から一つを選択し、選択したカラーテーブル50に基づいて光源42が照射する光の色を順次変化させる機能が実現される。
【0107】
上記プログラムは、例えば、ROM又は半導体メモリ等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録されて、提供され得る。
【0108】
本発明は上述した実施形態に限定されることなく、適宜の形態にて実施することができる。
【0109】
例えば、メモリ装置に格納されるカラーテーブルの長さや並び順、色の数は、上記の形態の例に限定されない。また、カラーテーブルは、ゲームプログラム等を記録するメモリ(上述のメモリ22)に格納してもよい。さらに、シンボル領域に表示されるリール数やセル数も、上記の形態の例に限定されない。
【0110】
また、上述した実施形態では、乱数抽選によりリール及びカラーリールの停止位置を決定するタイプのゲーミングマシンについて説明したが、ゲーミングマシンは、乱数抽選により入賞役を決定するタイプであってもよい。
【0111】
さらに、上記実施形態では1段あたり5個の光源42を6段に設けて壁部46で区分けした構成を示したが、光源42の数量と配置はこれに限られるものではなく、壁部46を設けることも必須ではない。たとえば、壁部46を設けない構成とした場合には、光の色彩の境界を上段、中段および下段の境界を超えて移動させることができ、カラーリールの回転する態様をより高い表現力で示すことが可能となる。この場合には、照射する光の指向性が高い光源42を多く使用することが好適である。
【符号の説明】
【0112】
1…ゲーミングマシン、2…リール(回転リール)、12…下部ディスプレイ装置(ディスプレイ装置)、21…CPU(コントローラ)、22…メモリ、32…メモリ装置、35、35A、35B、35C、35D、35E…リールユニット、36…リールストリップ、36a…シンボル、40…光照射ユニット、42、42A…光源、50、50A、50B、50C…カラーテーブル。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16