特許第6475425号(P6475425)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6475425-電解コンデンサ 図000003
  • 特許6475425-電解コンデンサ 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6475425
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】電解コンデンサ
(51)【国際特許分類】
   H01G 9/048 20060101AFI20190218BHJP
   H01G 13/02 20060101ALI20190218BHJP
   H01G 9/00 20060101ALI20190218BHJP
【FI】
   H01G9/048 C
   H01G13/02 301A
   H01G9/048 D
   H01G9/00 030
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-111809(P2014-111809)
(22)【出願日】2014年5月30日
(65)【公開番号】特開2015-226028(P2015-226028A)
(43)【公開日】2015年12月14日
【審査請求日】2017年4月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】309035062
【氏名又は名称】日立エーアイシー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100130052
【弁理士】
【氏名又は名称】大阪 弘一
(72)【発明者】
【氏名】石川 貴大
(72)【発明者】
【氏名】吉井 智之
【審査官】 馬場 慎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−282362(JP,A)
【文献】 特開昭57−128917(JP,A)
【文献】 特開昭61−156720(JP,A)
【文献】 特開2011−77384(JP,A)
【文献】 特開平4−361517(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 9/048
H01G 9/00
H01G 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極箔と陰極箔とをセパレータを介し巻回したコンデンサ素子と、このコンデンサ素子を収納する有底筒状の金属ケースと、前記コンデンサ素子の巻き初め部分に、前記陽極箔を巻き込まない空巻き部分を設けた電解コンデンサにあって、前記空巻き部分は、前記陰極箔と前記セパレータとが巻き込まれているとともに、前記陰極箔の先端がセパレータの先端よりはみ出して巻き込まれていることを特徴とする電解コンデンサ。
【請求項2】
前記金属ケースの底部内側の中央部に設けた凸部と、前記空巻き部分の箔とが直接接触していることを特徴とする請求項1の電解コンデンサ。
【請求項3】
前記空巻き部分では、前記陰極箔と前記セパレータとが数周巻回されていることを特徴とする請求項1又は2の電解コンデンサ。
【請求項4】
前記空巻き部分における前記陰極箔及び前記セパレータの先端部分は、前記空巻き部分以外の部分における前記陰極箔及び前記セパレータとは逆向きに巻回されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項の電解コンデンサ。
【請求項5】
前記陰極箔の先端は、前記空巻き部分において、前記陰極箔と前記セパレータとの間に巻き込まれていることを特徴とする請求項4の電解コンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器や産業機器に使用される電解コンデンサの中で、特に箔を電極として巻回された電解コンデンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金属箔を電極とし、それに引き出しリードタブを接続して巻回された電解コンデンサは、アルミニウムやチタンなどの弁作用金属からなるエッチング箔に耐電圧性の酸化皮膜を形成した陽極箔と、アルミニウムやチタンなどの弁作用金属のエッチング箔からなる陰極箔とを絶縁紙などのセパレータを介して巻回されたコンデンサ素子を有している。前記陽極箔及び陰極箔からそれぞれ引き出される引き出しリードタブは、それぞれの電極箔にステッチ法やコールドウェルド法などにより接続され、外装ケースの開口部に設ける封口体に配置された外部端子に各々に接続される。そしてコンデンサ素子には駆動用電解液が含浸され、有底筒形状の外装ケースに収納される。外装ケースは封口体により封止され、電解コンデンサが形成される。
【0003】
ところで、この巻回形の電解コンデンサの放熱性を改善するための方法として、コンデンサ素子は、巻回中心部で発熱が最も大きいため、特許文献1では、巻回形のコンデンサ素子を作成するための巻き取り機の、巻き軸をはずした後の巻きの中心部に、ヒートパイプを挿入して、巻回中心部の熱を効率的に周囲に放散する構成のコンデンサが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭58−37126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の巻きの中心部にヒートパイプを挿入する構造は、効率よく電解コンデンサの放熱性を改善することができるが、巻きの中心部に、ヒートパイプを挿入する方法は、挿入作業が繁雑になりやすい。
【0006】
本発明は、上記した問題を解決するためになされたものであり、コンデンサの放熱性を改善するのに製造が自動化しやすい電解コンデンサを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、下記の電解コンデンサを提供する。
(1)陽極箔と陰極箔とをセパレータを介し巻回したコンデンサ素子と、このコンデンサ素子を収納する有底筒状の金属ケースと、前記コンデンサ素子の巻き初め部分に、前記陽極箔を巻き込まない空巻き部分を設けた電解コンデンサにあって、前記空巻き部分は、前記陰極箔の先端がセパレータの先端よりはみ出して巻き込まれていることを特徴とする電解コンデンサ。
(2)前記金属ケースの底部内側の中央部に設けた凸部と、前記空巻き部分の箔とが直接接触していることを特徴とする(1)の電解コンデンサ。
【発明の効果】
【0008】
コンデンサ素子の巻き初めの空巻き部分において、前記陰極箔の先端がセパレータの先端よりはみ出して巻き込まれているので、発熱が大きい巻回中心部の熱を効率的に周囲に放散することができ、コンデンサの放熱性を改善するのに、部品点数を増やさずに、自動化しやすい構造の電解コンデンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係るアルミニウム電解コンデンサのコンデンサ素子において、陽極箔と陰極箔とをセパレータを介して巻回し初めた状態を模式的に示している。
図2】本発明に係るアルミニウム電解コンデンサの陽極箔と陰極箔とをセパレータを介して巻回する方法を模式的に示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の陽極箔は、電解コンデンサに使用される一般的な陽極箔で、厚さ50μmから150μm程度のアルミニウム箔等を、酸水溶液中、その表面をエッチング処理し、直径が0.1μmから2μm程度のエッチングピットを設けた後、ホウ酸アンモニウム等の水溶液中で、定格電圧の1.5倍程度の電圧を印加して化成し、コンデンサとしての耐圧性の陽極酸化皮膜を形成したもので、化成後、引き出しリードタブを取り付け、陽極箔としたものである。
【0011】
本発明の陰極箔は、電解コンデンサ使用される一般的な陰極箔で、厚さ20μmから100μm程度のアルミニウム箔等をそのまま、または酸水溶液中に浸漬し、その表面をエッチング処理し、引き出しリードタブを取り付け、陰極箔としたものである。
特に厚さは、厚い方が放熱性の点と共に曲がりやすい陰極箔の形状安定性を得ることができるで好ましいが、あまり厚いと対容積あたりの容量が低下するため、50μmから70μm程度にすることが好ましい。
【0012】
本発明のセパレータは、陽極箔と、陰極箔とを物理的にわけると共に、電解液を保持する役目をする多孔質シートで、マニラ紙、ヘンプ紙、クラフト紙などの従来から使用されてきた電解紙を主材料としたものである。大きさはコンデンサの大きさにより選定されるが、おおよそ幅は、陽極箔幅より広く、1cmから30cm程度で、長さは数cmから数mほどのもの、厚さは数μmから数10μmほどのものである。セパレータの構成としては、単純密度紙のほか、一枚が相対的に繊維が密な高密度な層と、相対的に繊維が粗な低密度な層の複層紙などであってもよい。
【0013】
本発明に述べる巻き軸は、巻回される材料を巻き込む軸となるもので、巻き終えた後は、コンデンサ素子から抜き取られるものである。巻き軸は、概ね半円柱形状で、軸方向に柱状にふたつで一対になっており、全体では円柱形状となっている。対面する面間で巻回される材料をはさみ、一対で軸方向に回転する構造になっている。
【0014】
本発明の空巻き部分は、一対の巻き軸によりはさみ込まれ、巻回される初めの部分で、コンデンサとしての機能を有さない巻きの中心部分である。空巻き部分は、陰極箔またはセパレータからなるが、陰極箔の長さは、セパレータの長さよりも長くする。
また、巻き軸部分と直接接触する部分を、陰極箔、または陰極に加工する前の箔とすると、金属ケースの底部内側の中央部に凸部を設けた場合、空巻き部分の箔と直接金属接触するため放熱性にとって好ましい。
【0015】
本発明の金属ケースは、側面と底面を有し上面が開口したアルミニウム等の金属材からなり、外観的に円筒状や楕円筒状に形成されている。ケース内側の底部には、中央にコンデンサ素子固定用の突起があってもよい。上面の開口部は、外部端子を導出した封口板により封口され、コンデンサ素子がケース内は密封される。
【0016】
以下、本発明を図面に示す実施の形態に基づいて説明する。
【0017】
図1は、本発明に係るアルミニウム電解コンデンサのコンデンサ素子において、陽極箔と陰極箔とをセパレータを介して巻回し初めた状態を模式的に示している。
1は巻き軸、2は陰極箔、3は陽極箔、4はセパレータを示している。
巻き軸1は、円柱を軸方向に縦に半分に割った断面が半円形の形をしていて、陰極箔2と2枚のセパレータ4との巻回開始端部をその順序にかさねて、巻き軸1により、はさみこんで軸方法に回転し、途中で陽極箔3をセパレータ間に挿入して巻回されている。巻き軸1によるはさみこみより先の部分において、2枚のセパレータ4よりも陰極箔2の長さが長く陰極箔2の先端がセパレータの先端よりはみ出している。また、巻き軸1によるはさみこみより後の部分において、2枚のセパレータ4と陰極箔2がかさなって数回転させて空巻き部分を設け、その後陽極箔3を2枚のセパレータ4間に挿入してさらに巻き取ってコンデンサ素子とする。
【0018】
図2は、本発明に係るアルミニウム電解コンデンサの陽極箔と陰極箔とをセパレータを介して巻回する方法を模式的に示している。
まず、図2(a)に示すように、陰極箔2と2枚のセパレータ4とは右側から供給され、陰極箔2と2枚のセパレータ4とその順序に重ね合わせ、一対の押さえローラ5で、上下を搬送可能な程度で押さえている。この重ね合わせた積層体は、左側の一対の押さえ治具6の左側で同時に切断されている。
次に、図2(b)に示すように、押さえ治具6と押さえローラ5の間の押さえローラ5側において、バキューム治具7を、陰極箔2の上面に接触させる。
次に、図2(c)に示すように、押さえ治具6を解放し、バキューム治具7で陰極箔2を吸引しながら左側に移動させる。移動後、押さえ治具6で再び積層体を押さえる。
次に、図2(d)に示すように、一対の巻き軸1を押さえ治具6と押さえローラ5の間で積層体をはさみ込む。
次に押さえ治具6を解放しながら、巻き軸1を回転させ、空巻き部分を設けた後、陽極箔3を2枚のセパレータ4間に挿入して、さらに巻き軸1を回転させながら巻き取ってコンデンサ素子とする。なお巻き取りの途中で、陽極箔3及び陰極箔2からそれぞれ引き出される引き出しリードタブを、それぞれの電極箔にステッチ法やコールドウェルド法などにより接続する。
【実施例】
【0019】
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、実施例は、定格400V、5600μFの電解コンデンサを製造する場合について説明する。
【0020】
(実施例1)
まず、陽極箔はアルミニウム箔をエッチング処理、化成処理を施して製造する。すなわち、このアルミニウム箔を直流エッチング法によって0.7μF/cmになるように粗面化する。粗面化後、純水中でボイルする。ボイル後、ホウ酸の化成液中において、600Vの電圧をかけて化成し、化成膜を形成する。化成処理後、幅120mmの適切な長さに切断して、陽極箔とする。また、陽極用リードタブには化成処理をした幅10mmのアルミニウム箔を用いる。そしてこの陽極用リードタブにコールドウェルドにより接続する。
陰極箔は、アルミニウム箔を電解エッチング処理し、平均直径0.8μmのエッチングピットを設け、200μF/cmになるように粗面化する。幅127mmの適切な長さに切断する。陰極用リードタブは、幅10mmの大きさに切断し、陰極箔にコールドウェルドにより接続する。
セパレータとしては、幅130mmのクラフト紙を用いた。
巻回は、断面が半円形の径が10mmの巻き軸を使用し、図2で示した方法のように、まず陰極箔と2枚のセパレータをその順序でかさねて、陰極箔をセパレータより10cmはみ出して巻回初め、途中で陽極箔を挿入して巻回し、コンデンサ素子を形成した。
その後、電解液を含浸した。電解液を含浸後、コンデンサ素子から引き出した陽極用リードタブ及び陰極用リードタブを、各々封口板に貫通して設けた陽極端子及び陰極端子に接続した。接続後、予め硬化前の固定剤を底の方に充填したアルミニウムのケースにコンデンサ素子を収納した。収納後、固定剤を硬化するとともに、封口板をケースの端に取り付けて、ケースを密閉した。なお、封口板には防爆弁が取り付けられている。ケースを密閉後、温度85℃の雰囲気中に放置して425Vの電圧を印加してエージング処理した。エージング処理後、ケースに絶縁性のチューブを被覆した。
【0021】
(実施例2)
アルミニウムのケースの内底部中心に突起を一体で設けたものを使用、この突起と巻きはじめの陰極箔が接触するようにする以外実施例1と同様に製作した。
【0022】
(比較例1)
巻回初め、陰極箔をセパレータよりはみ出さずに巻回した以外実施例1と同様に製作した。
実施例1、2を比較例1、2とともに下記の方法で測定し、結果を表1に示す。
〔測定方法〕
電解コンデンサの巻回部中心部に熱電対を挿入し、40Armsのリプル電流を印加し、中心部の温度上昇を測定した。
【0023】
【表1】
【0024】
表1の結果より、従来仕様である比較例1に対し、実施例1、2は、巻回部中心部温度上昇を低減することができた。
【符号の説明】
【0025】
1…巻き軸、2…陰極箔、3…陽極箔、4…セパレータ、5…押さえローラ、6…押さえ治具、7…バキューム治具
図1
図2