(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フレーム体は、前記被掛止部に対して回動自在に支持されて、前記被掛止部から放射状に延びる複数の腕部と、複数の前記腕部の長手方向と交差する方向に延在し、前記複数の腕部同士を接続可能な間隔保持体と、を更に備えており、
前記間隔保持体は、一端が一の前記腕部に対して回動自在に接合され、他端が他の前記腕部に対して着脱自在に接合されている、請求項1に記載の溶接光遮蔽具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の特許文献1の技術では、設置面が平坦である場合には、門型フレームを立設させて、カーテン状の遮光部を配置することができるが、溶接現場の地面が傾斜していたり、段差があったりして、設置面が平坦でない場合には、遮蔽体を自立させることができなかった。また、作業員によって、遮蔽体を補助的に支えることもできるが、この場合には、溶接作業を行う作業員とは別に、遮蔽体を支えるための作業員を確保する必要があった。
【0007】
本発明は、平坦ではない設置面上方に遮蔽体を配置することができ、溶接による光を遮蔽することが可能な溶接光遮蔽具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の溶接光遮蔽具は、溶接による光を遮蔽する溶接光遮蔽具であって、被掛止部を備えたフレーム体と、フレーム体から垂下され、溶接が施工される溶接施工部の側方に配置され、溶接によって発生する光を遮蔽する遮蔽体と、を備え
、遮蔽体は、作業員が出入りするための開口部を除いて溶接施工部を包囲するように配置されている。
【0009】
この溶接光遮蔽具では、被掛止部を例えば重機の掛止部に引っ掛けて、フレーム体を上方から吊り下げることができ、フレーム体から垂下された遮蔽体が溶接施工部の側方に配置される。そのため、遮蔽体の外側から溶接施工部が存在する方向を見た場合には、溶接施工部は遮蔽体によって覆われているので、溶接による光を遮蔽することができる。遮蔽体は上方から吊り下げられているので、遮蔽体を、設置面に直接配置する必要がない。これにより、遮蔽体を地面から浮かせて配置することができるので、地面の形状の影響を無くすことができ、溶接現場の地面が平坦ではない場合であっても、遮蔽体によって溶接施工部を覆い、溶接による光を遮蔽することができる。作業員によって遮蔽体を支持する必要もない。
【0010】
また、フレーム体は、被掛止部に対して回動自在に支持されて、被掛止部から放射状に延びる複数の腕部と、複数の腕部の長手方向と交差する方向に延在し、複数の腕部同士を接続可能な間隔保持体と、を更に備えており、間隔保持体は、一端が一の腕部に対して回動自在に接合され、他端が他の腕部に対して着脱自在に接合されている構成でもよい。この構成の溶接光遮蔽具によれば、溶接光遮蔽具を使用する際には、複数の腕部を広げて、遮蔽体を設置することができ、溶接光遮蔽具を使用しないときは、複数の腕部を閉じて平行に配置してまとめることができる。また、間隔保持体を備え、一端が一の腕部に対して回動自在に接合され、他端が他の腕部に対して着脱自在であるので、遮蔽体の使用時において、間隔保持体によって、隣り合う腕部の間隔を保つことができ、遮蔽体の設置スペースを確保することができる。遮蔽体を使用しないときは、間隔保持体の接続を解除して、腕部を閉じてコンパクトにまとめることができるので、溶接光遮蔽具の収納や移送を容易なものとすることができる。
また、本発明の溶接光遮蔽具は、溶接による光を遮蔽する溶接光遮蔽具であって、被掛止部を備えたフレーム体と、フレーム体から垂下され、溶接が施工される溶接施工部の側方に配置され、溶接によって発生する光を遮蔽する遮蔽体と、を備え、フレーム体は、被掛止部に対して回動自在に支持されて、被掛止部から放射状に延びる複数の腕部と、複数の腕部の長手方向と交差する方向に延在し、複数の腕部同士を接続可能な間隔保持体と、を更に備えており、間隔保持体は、一端が一の腕部に対して回動自在に接合され、他端が他の腕部に対して着脱自在に接合されている。
【0011】
また、遮蔽体は、シート状を成し、複数の腕部の先端部から垂下され、遮蔽体の側面における水平方向の長さである幅部は、隣り合う腕部の先端部の離隔距離に対応しており、遮蔽体の下部には、棒体を保持する棒体挿入部が形成され、棒体挿入部には、隣り合う腕部の先端部の離隔距離に対応した長さの棒体が挿入されている構成でもよい。この構成によれば、棒体が遮蔽体の下部に設けられた棒体挿入部に挿入されているので、この棒体がおもりとして作用し、遮蔽体が下方に引っ張られ、シート状の遮蔽体の形状を安定させることができる。また、この棒体が遮蔽体に沿って配置され、遮蔽体の形状が保持されるので、遮蔽体の変形が抑制される。
【0012】
また、本発明の杭の溶接方法は、下部側が地中に埋め込まれた杭の上端部に、他の杭を溶接して長手方向に接続する杭の溶接方法であって、
被掛止部を備えたフレーム体と、フレーム体から垂下され、溶接によって発生する光を遮蔽する遮蔽体と、を備える溶接光遮蔽具を準備し、杭打機の掛止部に被掛止部を引っ掛けて、フレーム体を吊り下げ、遮蔽体を杭の上端部の溶接施工部の側方に配置する工程と、遮蔽体によって区画された領域内で、杭の上端部に対して他の杭を溶接して繋ぎ合わせる工程と、を含む。
【0013】
この杭の溶接方法では、杭打機の掛止部に被掛止部を引っ掛けて、フレーム体を上方から吊り下げることができ、フレーム体から垂下された遮蔽体を溶接施工部の側方に配置することができる。そして、この遮蔽体によって区画された領域内において、地中に埋め込まれた杭の上端部に対して他の杭を溶接して繋ぎわせることができる。そのため、遮蔽体の外側から溶接施工部が存在する方向を見た場合には、溶接施工部は遮蔽体によって覆われているので、溶接による光を遮蔽することができる。遮蔽体は上方から吊り下げられているので、遮蔽体を、設置面に直接配置する必要がない。これにより、遮蔽体を地面から浮かせて配置することができるので、地面の形状の影響を無くすことができ、溶接現場の地面が平坦ではない場合であっても、遮蔽体によって溶接施工部を覆い、溶接による光を遮蔽することができる。作業員によって遮蔽体を支持する必要もない。
【発明の効果】
【0014】
本発明の溶接光遮蔽具によれば、平坦ではない設置面上方に遮蔽体を設置することができ、溶接による光を遮蔽することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において同一部分又は相当部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
図1に示されるように、溶接光遮蔽具1は、長尺な鋼管杭2を溶接して繋ぎ合わせる際に、鋼管杭2の周囲に配置され、溶接作業が行われる領域を区画するものである。例えば、住宅などの建物を建築する場合に、地盤を補強するために複数の鋼管杭2を地中に打ち込む。鋼管杭2は、杭打機(重機)3によって支持されて地中に埋設される。
【0018】
杭打機3は、運転席3aが設けられた車体本体3bを備え、車体本体3bの下部には地上を走行可能な走行装置3cが設けられている。車体本体3bは、走行装置3cに対して旋回可能となっている。よって、杭打機3は、鋼管杭2の位置、すなわち溶接作業が行われる位置に応じて、移動したり、旋回したりすることができる。また、車体本体3bは、上下方向に延在するロッド3dを有し、ロッド3dには、ロッド3dの長手方向に沿って上下に移動し、鋼管杭2を支持する支持部3eが設けられている。
【0019】
また、杭打機3には、支持部3eを昇降させるための駆動部3fが設けられている。駆動部3fは、例えば油圧シリンダを有し、この油圧シリンダを伸縮させることで、支持部3eを移動させることができる。支持部3eは、鋼管杭2の上端部を支持し、上方から下向きの力を加え、鋼管杭2を地中に埋め込むことができる。また、支持部3eは、鋼管杭2を支持し、上方に吊り上げることができる。地中に埋め込まれた鋼管杭2に対して、別の鋼管杭2を溶接する際には、杭打機3によって別の鋼管杭2を吊り上げて、大部分が地中に埋め込まれた鋼管杭2の上方に配置する。
【0020】
また、ロッド3dの上端部には、ワイヤー3gが巻回されたドラム3hが軸支されている。さらに、ロッド3dの上端部には、先端部に滑車を備え、ロッド3dから前方に張り出すガイド部3iが設けられている。ドラム3hから繰り出されたワイヤー3gは、前方に配置されたガイド部3iの滑車を経由して垂れ下がっている。ワイヤー3gの下端には、フック(掛止部)4が設けられている。杭打機3は、ドラム3hを回転駆動することで、フック4を昇降させることができる。なお、フック4、及びワイヤー3g等は、鋼管杭2やその他の重量物を吊り上げたり移動させたりするために、従来から杭打機3に設けられているものである。
【0021】
溶接光遮蔽具1は、
図2及び
図3に示されるように杭打機3のフック4に係止されるリング部(被掛止部)5を備えたフレーム体6を有する。フレーム体6は複数のアーム部(腕部)7を連結する十字状の連結具8(
図6参照)を備えている。連結具8の中央には、上方に突出する円柱状のボス部9が設けられ、リング部5の下部側はボス部9に支持されている。
【0022】
連結具8には、中央から4方向に突出する突出部8aが設けられ、突出部8aの先端部には、アーム部7の基端部7aが各々ピン接合されている。アーム部7は、連結具8に対してそれぞれ揺動可能に支持されている。アーム部7は、棒状部材であり、例えば円筒部材である。
【0023】
アーム部7の長手方向の中間部には、棒状の間隔保持体10を回動可能に支持する取付け金具11が装着されている。取付け金具11は、アーム部7に装着される筒部11aを備え、この筒部11aには、径方向の外側に突出する突出片11b,11cが設けられている。筒部11aは、アーム部7の外側に嵌められ、突出片11b,11cは隣り合うアーム部7側に向かってそれぞれ突出している。
【0024】
突出片11b,11cは、異なる方向に隣り合うアーム部7側に各々突出している。一方の突出片11bには、間隔保持体10の基端部10aが回転自在にピン接合されている。間隔保持体10は、平板から形成され、間隔保持体10の長手方向の長さは、隣り合うアーム部7の中間部同士の間隔に対応している。中間部同士の間隔とは、
図2に示されるように、アーム部7を広げて配置したときの取付け金具11の距離に対応している。
【0025】
間隔保持体10の先端部10bには、ちょうボルト12が取り付けられている。また、取付け金具11の他方の突出片11cには、ちょうボルト12が係止される切欠き部11d(
図3参照)が設けられている。この切欠き部11dに間隔保持体10のちょうボルト12が挿入されて、間隔保持体10は、隣り合うアーム部7同士に連結されて、アーム部7同士の間隔を保持することができる。間隔保持体10のちょうボルト12を突出片11cから外すことで、間隔保持体10による接続を解除することができる。
【0026】
アーム部7の先端部7bには、遮蔽シート13を係止するための係止フック14が設けられている。係止フック14は、アーム部7の長手方向に突出し、例えばU字状を成すように湾曲している。
【0027】
遮蔽シート13は、溶接による光を遮蔽するシートである。遮蔽シート13の材質は、例えば防炎軟質塩化ビニルである。遮蔽シート13は溶接の光の透過を抑制し、難燃性を有するものであればよい。遮蔽シート13には、
図2及び
図4に示されるように、アーム部7の係止フック14に引っ掛けられる複数の孔部13aが設けられている。遮蔽シート13は、鋼管杭2の側方の4方向のうち、3方向を覆うことが可能な大きさを有する。複数の孔部13aは、遮蔽シート13の上端部で、アーム部7の係止フック14の間隔に対応して配置されている。
【0028】
遮蔽シート13は、係止フック14に係止され、吊り下げられる。この吊り下げられた状態において、遮蔽シート13は、
図4に示されるように、側方から見た場合に矩形を成している。遮蔽シート13の上下方向における中間部及び下端部には、図示左右方向に連続する袋状の棒体挿入部15が形成されている。棒体挿入部15には、遮蔽シート13の幅(図示左右方向の長さ)に対応する長さの棒体16が挿通されている。棒体16としては丸棒の鋼材を用いることができる。棒体16はおもりとして機能するとともに、遮蔽シート13の変形を抑制するための部材として機能する。
【0029】
下端部の棒体挿入部15は、遮蔽シート13が下端から上方に折り返されて、縫い合わされて袋状に形成されている。また、中間部の棒体挿入部15は、棒体16の長さ及び外径に対応する大きさのシート片を縫い合わせることで、袋状に形成されている。
【0030】
次に、地中に埋め込まれた鋼管杭に対して別の鋼管杭2を溶接する方法について説明する。
図1に示されるように、杭打機3を用いて、1本目の鋼管杭2を地中に埋め込む。上端部を残し、鋼管杭2の大部分が地中に埋め込まれた状態で、1本目の鋼管杭2の埋め込みを停止する。
【0031】
次に、2本目の鋼管杭2を杭打機3によって上方に吊り上げ、1本目の鋼管杭2の上方に配置する。具体的には、1本目の鋼管杭2の上端面と、2本目の鋼管杭2の下端面とを対面させて近接させる。
【0032】
次に、溶接光遮蔽具1を準備し、複数のアーム部7を回動させて放射状に配置して、間隔保持体10を回動させて、間隔保持体10の先端部10bを隣り合うアーム部7の取付け金具11に連結する。具体的には、取付け金具11の突出片11cの切欠き部11dに間隔保持体10の先端部10bのちょうボルト12を嵌め、ちょうボルト12を締め付けて固定する。複数の間隔保持体10を用いて、複数のアーム部7をそれぞれ連結して、隣り合うアーム部7同士の間隔を保持し、フレーム体6を組立てる。
【0033】
次に、溶接光遮蔽具1のリング部5を杭打機3のフック4に係止して、フック4を上方に吊り上げて、溶接光遮蔽具1のフレーム体6を吊り上げる。吊り上げられたフレーム体6のアーム部7の係止フック14に遮蔽シート13の孔部13aをそれぞれ係合させて、遮蔽シート13をフレーム体6に装着して吊り下げる。遮蔽シート13において、溶接光遮蔽具1の4つの側面のうち3つの側面を形成するように遮蔽シート13を配置し、残りの1つの側面を作業員が出入りする開口部17(
図5参照)とする。
【0034】
次に、フック4を上昇させて溶接光遮蔽具1を吊り上げて、鋼管杭2の近傍に移動させる。具体的には、溶接光遮蔽具1の開口部17を杭打機3の車体本体3bに向けて配置する。このとき、例えば開口部17側の2本のアーム部7間に鋼管杭2が配置されている。また、帯状のバンド部材を用いて、鋼管杭2に対してアーム部7を接近させて固定する。
【0035】
次に、遮蔽シート13の下端部及び中間部に形成された棒体挿入部15に棒体16をそれぞれ挿入する。この棒体16の重さによって、遮蔽シート13に下向きの力を作用させて、遮蔽シート13を適度に下方に引っ張る。これにより、遮蔽シート13の位置及び形状の変化を防止する。
【0036】
溶接光遮蔽具1を吊り上げて、鋼管杭2の近傍に配置させた状態において、遮蔽シート13の下端部は、地面から上方に離間した状態で配置されている。また、このとき、1本目の鋼管杭2の上端部の溶接施工部(溶接が施工される部分、
図1参照)18の周囲に、遮蔽シート13が配置されている。溶接施工部18は、遮蔽シート13によって3方向から覆われた状態であり、残りの1方向は、杭打機3の車体本体3bによって隠されている。溶接施工部18の周囲は、遮蔽シート13によって区間され、この区画された内側の領域には、作業員が入って溶接作業を行うことが可能な作業領域が確保されている。また、区画された外側から、溶接施工部18は見えない状態である。
【0037】
次に、作業員によって溶接を行い、1本目の鋼管杭2の上端部と2本目の鋼管杭2の下端部を接合して、2本の鋼管杭2を上下に連結して繋ぎ合わせる。この溶接作業において、溶接による光は、遮蔽シート13によって遮蔽されて、遮蔽シート13の外側から見えない。また、溶接光遮蔽具1の開口部17側も、杭打機3の車体本体3bによって、溶接施工部18が隠されているので、溶接による光は見えないようになっている。
【0038】
溶接作業の終了後、フック4を下降させて、溶接光遮蔽具1を降ろして、遮蔽シート13をフレーム体6から取り外し、間隔保持体10の先端部10bのちょうボルト12を緩めて、間隔保持体10の先端部10bと突出片11cとの接続状態を解除する。
【0039】
間隔保持体10を回動させて、間隔保持体10をアーム部7に沿うように配置すると共に、複数のアーム部7を回動させて平行に配置して、溶接光遮蔽具1をコンパクトにまとめる。溶接光遮蔽具1は、再び、別の鋼管杭2を溶接する際に利用される。上下に繋ぎ合わされた鋼管杭2は、杭打機3によって更に地中に埋め込まれる。
【0040】
このような本実施形態の溶接光遮蔽具1では、杭打機3のフック4にリング部5を引っ掛けて、フレーム体6を上方から吊り下げることができ、フレーム体6から垂下された遮蔽シート13を溶接施工部18の側方に配置することができる。そのため、遮蔽シート13の外側から溶接施工部18が存在する方向を見た場合には、溶接施工部18は遮蔽シート13によって覆われているので、溶接による光を遮蔽することができる。遮蔽シート13は上方から吊り下げられているので、遮蔽シート13を、設置面に直接配置する必要がない。これにより、遮蔽シート13を地面から浮かせて配置することができるので、地面の形状の影響を無くすことができ、溶接現場の地面が平坦ではない場合であっても、遮蔽シート13によって溶接施工部18を覆い、溶接による光を遮蔽することができる。作業員によって遮蔽シート13を支持する必要もない。
【0041】
また、溶接光遮蔽具1は、連結具8を中心として放射状に延びる複数のアーム部7を備え、この複数のアーム部7が連結具8に対して回動自在であるので、溶接光遮蔽具1を使用する際には、複数のアーム部7を広げて、遮蔽シート13を設置することができ、溶接光遮蔽具1を使用しないときは、複数のアーム部7を閉じて平行に配置してまとめることができる。
【0042】
また、遮蔽シート13の下部には、棒体16を保持する棒体挿入部15が形成され、棒体挿入部15には、隣り合うアーム部7の先端部7bの離隔距離に対応した長さの棒体16が挿入されている。これにより、棒体16がおもりとして作用するので、遮蔽シート13が下方に引っ張られ、遮蔽シート13の形状を安定させることができる。また、この棒体16によって遮蔽シート13の形状を保持することができる。
【0043】
また、溶接光遮蔽具1は、間隔保持体10の基端部10aが一のアーム部7に対して回動自在に接合され、間隔保持体10の先端部10bが他のアーム部7に対して着脱自在であるので、遮蔽シート13の使用時において、間隔保持体10によって隣り合うアーム部7の間隔を保つことができ、遮蔽シート13の設置スペースを確保することができる。また、遮蔽シート13を使用しないときは、間隔保持体10の接続を解除して、アーム部7を閉じてコンパクトにまとめることができ、溶接光遮蔽具1の収納や移送を容易なものとすることができる。
【0044】
図6は、溶接光遮蔽具1を畳んで、コンパクトにまとめた状態を示している。複数のアーム部7は、閉じられて平行に配置され、間隔保持体10は、アーム部7の長手方向に沿って平行に配置され、溶接光遮蔽具1はコンパクトにまとめられている。また、複数のアーム部7は、複数(2本)の部材がピン接合され、折り曲げ可能に構成されているものでもよい。このようなアーム部7を備える構成では、溶接光遮蔽具1を使用しなときは、アーム部7を折り曲げて、長手方向に短くしてコンパクトにすることができる。また、アーム部7を複数(2本)の筒体により構成し、第1の筒体内に第2の筒体を収容可能として連結することで、使用時においては、第2の筒体を引き出して、アーム部7を長くして、不使用時において、第2の筒体を第1の筒体内に押し込んで収容することで、アーム部7を短くすることができる。このようにして、溶接光遮蔽具1をコンパクトにまとめることができる。
【0045】
本発明は、前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で下記のような種々の変形が可能である。
【0046】
上記実施形態では、杭打機3のフック4に溶接光遮蔽具1のリング部を引っ掛けることで、溶接光遮蔽具1を上方から吊り下げて使用しているが、溶接光遮蔽具1が吊り下げられる重機は杭打機3に限定されず、例えば、クレーン、掘削機械などその他の重機に対して吊り下げて、使用することができる。また、重機以外のその他の構造物に被掛止部を引っ掛けて、溶接光遮蔽具を上方から吊り下げて使用してもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、溶接によって長尺な鋼管杭2を上下に繋ぎ合わせているが、地中に埋め込まれた鋼管杭2に対して、その他の金属製部材を溶接する場合に、溶接光遮蔽具1を使用してもよい。また、例えば、配管、柱などその他の金属製の部材に対して、溶接を行う場合に溶接光遮蔽具1を使用することができる。また、上下方向に延在する部材を溶接する際に使用してもよく、水平方向に延在する部材を溶接する際に溶接光遮蔽具1を使用してもよく、その他の方向に延在する部材を溶接する際に使用してもよい。溶接は、アーク溶接でもよく、ガス溶接でもよく、その他の溶接でもよい。また、溶断による光を遮蔽する際に、溶接光遮蔽具1を使用してもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、遮蔽シート13によって、溶接施工部の周囲の3方向(3面)を覆うようにしているが、遮蔽シート13によって、1面だけを覆うものでもよく、隣り合う2面を覆うものでもよく、4面全てを覆うものでもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、遮蔽体はシート状に形成されているが、例えば、板状の壁体によって遮蔽体を形成してもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、アーム部7は回動自在とされているが、アーム部7は溶接などによって接合されて、可動しない構成でもよい。このような構成の場合、現場において、フレーム体6を組立て必要がなく、現場における設置を容易なものとすることができる。