(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.
光透過性導電性フィルム
本発明の光透過性導電性フィルムは、
(A)光透過性支持層;
(B)中間層;及び
(C)光透過性導電層
を含有し、
前記中間層(B)が、前記光透過性支持層(A)の少なくとも一方の面に、直接又は一以上の他の層を介して配置されており、かつ
少なくとも一つの前記光透過性導電層(C)が、前記光透過性支持層(A)の少なくとも一方の面に、少なくとも中間層(B)を介して配置されている光透過性導電性フィルムであって、
前記中間層(B)の前記光透過性導電層(C)と対向する面の表面形状が以下の特性を示すことを特徴とする光透過性導電性フィルム:
白色干渉顕微鏡により測定された表面形状を微分解析した微分画像において、
不規則な網目構造が得られ、かつ
以下の工程(1)〜(3)により求められる平均直径Zが、30μm〜200μmである:
(1)該網目によって囲まれ
る領域に内接する真円を、直径が最大となり、かつ複数の真円を配置できるときは境界内に最も密に充填されるように配置する工程;
(2)前記工程(1)により配置された真円の群の合計面積(X)を求め、該真円のうち直径が小さいものから順に、それらの合計面積(Y)が前記合計面積
(X)の20%を超えるまで並べる工程;及び
(3)前記(2)により並べられた真円の群を除外した、残りの真円の群の直径を算術平均して平均直径Zを求める工程。
【0014】
本発明において「光透過性」とは、光を透過させる性質を有する(translucent)ことを意味する。「光透過性」には、透明(transparent)が含まれる。「光透過性」とは、例えば、全光線透過率が80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは87%以上である性質をいう。本発明において全光線透過率は、ヘーズメーター(日本電色社製、商品名:NDH−2000、またはその同等品)を用いてJIS−K−7105に基づいて測定する。
【0015】
本明細書において、光透過性支持層(A)の一方の面に配置される複数の層のうち二つの層の相対的な位置関係について言及する場合、光透過性支持層(A)を基準にして、光透過性支持層(A)からの距離が大きい一方の層を「上の層」等といい、光透過性支持層(A)からの距離が小さい他方の層を「下の層」等ということがある。
【0016】
以下の各層についての説明箇所において特に明記されていない限り、本発明において、各層の厚さは、市販の反射分光膜厚計(大塚電子、FE−3000(製品名)、又はその同等品)を用いて求める。又は、代替的に、市販の透過型電子顕微鏡を用いた観察により求めてもよい。具体的には、ミクロトーム又は収束イオンビームなどを用いて光透過性導電性フィルムをフィルム面に対して垂直方向に薄く切断し、その断面を観察する。
【0017】
図1に、本発明の光透過性導電性フィルムの一態様を示す。この態様では、光透過性支持層(A)の一方の面に、中間層(B)及び光透過性導電層(C)がこの順で配置されている。
【0018】
図2に、本発明の光透過性導電性フィルムの別の態様を示す。この態様では、光透過性支持層(A)の両方の面に、中間層(B)及び光透過性導電層(C)がこの順で配置されている。
【0019】
1.1
光透過性支持層(A)
本発明において光透過性支持層とは、光透過性導電層を含有する光透過性導電性フィルムにおいて、光透過性導電層を含有する層を支持する役割を果たすものをいう。光透過性支持層(A)としては、特に限定されないが、例えば、タッチパネル用光透過性導電性フィルムにおいて、光透過性支持層として通常用いられるものを用いることができる。
【0020】
光透過性支持層(A)の素材は、特に限定されないが、例えば、各種の有機高分子等を挙げることができる。有機高分子としては、特に限定されないが、例えば、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリメタクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、及びポリフェニレンサルファイド系樹脂等が挙げられる。ポリエステル系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びポリエチレンナフタレート(PEN)等が挙げられる。光透過性支持層(A)の素材は、ポリエステル系樹脂が好ましく、特にPETが好ましい。光透過性支持層(A)は、これらのうちいずれか単独からなるものであってもよいし、複数種からなるものであってもあってもよい。
【0021】
光透過性支持層(A)の厚さは、特に限定されないが、例えば、2〜300μmの範囲が挙げられる。
【0022】
1.2
中間層(B)
本発明の光透過性導電性フィルムは、光透過性支持層(A)の少なくとも一方の面に、直接又は一以上の他の層を介して中間層(B)が配置されている。
【0023】
光透過性支持層(A)の両方の面に、中間層(B)がそれぞれ、直接配置されていてもよい(
図3)。
【0024】
中間層(B)は、前記光透過性導電層(C)と対向する面の表面形状が以下の特性を示すことを特徴とする:
白色干渉顕微鏡により測定された表面形状を微分解析した微分画像において、
不規則な網目構造が得られ、かつ
以下の工程(1)〜(3)により求められる平均直径Zが、30μm〜
200μmである:(1)該網目によって囲まれ
る領域に内接する真円を、直径が最大となり、かつ複数の真円を配置できるときは境界内に最も密に充填されるように配置する工程;
(2)前記工程(1)により配置された真円の群の合計面積(X)を求め、該真円のうち直径が小さいものから順に、それらの合計面積(Y)が前記合計面積
(X)の20%を超えるまで並べる工程;及び
(3)前記(2)により並べられた真円の群を除外した、残りの真円の群の直径を算術平均して平均直径Zを求める工程。
【0025】
図4及び
図5に、上記特性を示す中間層(B)の表面を白色干渉顕微鏡により測定した表面形状の一例、及びその表面を微分解析した微分画像がそれぞれ示してある。
図4には、観察エリアの広さ(X軸方向及びY軸報告)、及び当該表面において観察される溝の深さが色相ダイアグラムで示してある。
【0026】
図6に、上記工程(1)により真円を配置しているところの模式図を示す。
【0027】
また、
図7に、上記工程(2)により真円を並べているところの模式図を示す。
【0028】
中間層(B)の測定しようとする表面が露出していない場合、上記工程(1)〜(3)による測定の事前に、必要に応じて、予め上側に配置されている層を除去することができる。特に限定されないが、例えば、エッチング処理によって上層を除去してもよい。エッチング処理は、特に限定されないが、例えば、以下のようにして行うことができる。光透過性導電性フィルムを20%塩酸に浸漬し、表面抵抗が計測不能になるまでエッチング処理を続ける。
【0029】
白色干渉顕微鏡による表面形状の測定は、特に限定されないが、非接触表面・層断面形状計測システムを使用して行うことができる。特に限定されないが、そのようなシステムとして、例えば、株式会社菱化システムが製造・販売するVertScan(登録商標)2.0を用いて行うこともできる。これらの機器を使用するうえでは、特に限定されないが、通常は添付されているマニュアルに従うが、必要に応じて使用方法を適宜改変してもよい。
【0030】
表面抵抗は、表面抵抗計(MITSUBISHI CHEMICAL ANALYTECH社製、商品名:Loresta−EP)を用いて、4端子法により測定した。
【0031】
なお、中間層(B)の表面にアンダーコート層等の数十ナノメートルの厚さの他の層が存在する場合は、当該他の層を除去せずにそのまま当該他の層で覆われた表面形状を測定してもよい。
【0032】
前記網目構造は、特に限定されないが、網目構造を構成する線の幅が、500μm〜10μmであればより好ましい。
【0033】
前記網目構造は、特に限定されないが、網目構造を構成する線が溝で形成されていてもよいし、山で形成されていてもよい。
【0034】
特に限定されないが、中間層(B)は、いわゆるハードコート層と呼ばれる層としての機能と構成を有するものであってもよい。
【0035】
好ましくは、中間層(B)は、微粒子、及びバインダー成分を含有する。
【0036】
前記微粒子としては、特に限定されないが、好ましくは透明有機高分子粒子、透明無機粒子及び有機無機ハイブリッド粒子等を使用できる。
【0037】
バインダー成分としては、特に限定されないが、例えば、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、メラミン系樹脂及びアルキド系樹脂;並びにシリカ、ジルコニア、チタニア及びアルミナ等のコロイド粒子等が挙げられる。中間層(B)は、これらのうちいずれか単独をバインダー成分として含有していてもよいし、複数種をバインダー成分として含有していてもよい。
【0038】
上記において、前記微粒子及び前記バインダー成分の屈折率差が0.1以下であれば好ましい。屈折率差がこの範囲内にあれば、光を透過させた際に、フィルム全面に渡り均一な透過光が得られるため好ましい。屈折率差がこの範囲内となるように適宜材料を選択すればよい。
【0039】
中間層(B)は、本発明の効果が奏される限り特に限定されないが、前記微粒子に加えてその他の成分をさらに含有していてもよい。その他の成分としては、本発明の効果が奏される限り特に限定されないが、例えば、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、メラミン系樹脂及びアルキド系樹脂;並びにシリカ、ジルコニア、チタニア及びアルミナ等のコロイド粒子、ケイ素系有機無機ハイブリッド高分子等が挙げられる。中間層(B)は、前記微粒子に加えて、これらのうちいずれか単独をさらに含有していてもよいし、複数種をさらに含有していてもよい。
【0040】
中間層(B)の厚さは、0.5〜5μmであり、好ましくは1〜4μm、より好ましくは1〜3μmである。中間層(B)の厚さが0.5μmよりも大きいと、粒子を含んでいる場合は粒子が脱落しにくくなるという利点が得られる。また、中間層(B)の厚さが5μmよりも小さいと、突起高さの均一性が高まるという利点が得られる。
【0041】
本発明において、中間層(B)の厚さは、次のようにして測定する。透過型電子顕微鏡観察により求める。具体的には、ミクロトーム又は収束イオンビームなどを用いて光透過性導電性フィルムを薄く切断して、その断面を観察する。
【0042】
中間層(B)は、他のさらなる機能を兼ね備える層とすることもできる。例えば、光学調整層としての機能を同時に中間層(B)に付与してもよい。この場合、中間層(B)が例えば、上方が低屈折領域、下方に高屈折率領域がそれぞれ配置されている、境界が明瞭でなくてもよい多層構造を有するものであってもよい。
【0043】
中間層(B)を下地となる層の上に配置する方法としては、特に限定されないが、例えば、フィルムに原料を塗布したうえで、熱で硬化する方法、及び紫外線や電子線などの活性エネルギー線で硬化する方法等が挙げられる。生産性の点で、紫外線により硬化する方法が好ましい。
【0044】
より具体的には、中間層(B)が前記バインダー成分及び前記微粒子を含有する場合は以下のようにして下地となる層の上に中間層(B)を配置することができる。
(1)前記バインダー成分及び前記微粒子を含有する原料を用いて前記中間層(B)を形成する工程を含有する方法により配置することができる。前記工程(1)において、下地となる層の上に前記原料を塗布することにより前記中間層(B)を形成することがより好ましい。
【0045】
あるいは、前記のような微粒子を使用せず、インプリント等の方法により所望の突起を中間層(B)の表面に設けることもできる。
【0046】
1.3
光透過性導電層(C)
光透過性導電層(C)は、光透過性支持層(A)の一方の面に、直接又は一以上の他の層を介して配置されている。
【0047】
本発明において光透過性導電層とは、電気を導通しかつ可視光を透過する役割を果たすものをいう。光透過性導電層(C)としては、特に限定されないが、例えば、タッチパネル用光透過性導電性フィルムにおいて光透過性導電層として通常用いられるものを用いることができる。
【0048】
光透過性導電層(C)の素材は、特に限定されないが、例えば、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化錫及び酸化チタン等が挙げられる。光透過性導電層(C)としては、透明性と導電性を両立する点で酸化インジウムにドーパントをドープしたものを含む光透過性導電層が好ましい。光透過性導電層(C)は、酸化インジウムにドーパントをドープしたものからなる光透過性導電層であってもよい。ドーパントとしては、特に限定されないが、例えば、酸化スズ及び酸化亜鉛、並びにそれらの混合物等が挙げられる。
【0049】
光透過性導電層(C)の素材として酸化インジウムに酸化スズをドープしたものを用いる場合は、酸化インジウム(III)(In
2O
3)に酸化スズ(IV)(SnO
2)をドープしたもの(tin−doped indium oxide;ITO)が好ましい。この場合、SnO
2の添加量としては、特に限定されないが、例えば、1〜15重量%、好ましくは2〜10重量%、より好ましくは3〜8重量%等が挙げられる。また、ドーパントの総量が左記の数値範囲を超えない範囲で、酸化インジウムスズにさらに他のドーパントが加えられたものを光透過性導電層(C)の素材として用いてもよい。左記において他のドーパントとしては、特に限定されないが、例えばセレン等が挙げられる。
【0050】
光透過性導電層(C)は、上記の各種素材のうちいずれか単独からなるものであってもよいし、複数種からなるものであってもあってもよい。
【0051】
光透過性導電層(C)は、特に限定されないが、結晶体若しくは非晶質体、又はそれらの混合体であってもよい。
【0052】
光透過性導電層(C)を配置する方法は、湿式及び乾式のいずれであってもよく、特に限定されない。光透過性導電層(C)を配置する方法の具体例として、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法及びパルスレーザーデポジション法等が挙げられる。
【0053】
1.4
アンダーコート層(D)
本発明の光透過性導電性フィルムは、光透過性支持層(A)の光透過性導電層(C)が配置されている面に、直接又は一以上の他の層を介してアンダーコート層(D)が配置されていてもよい。アンダーコート層(D)が配置されている場合、少なくとも一方の前記光透過性導電層(C)が、少なくとも前記アンダーコート層(D)及び中間層(B)を介して前記光透過性支持層(A)の前記面に配置されている。この場合、少なくとも一方の前記光透過性導電層(C)が、前記アンダーコート層(D)に隣接して配置されていてもよい。また、この場合、アンダーコート層(D)は通常、中間層(B)よりも光透過性導電層(C)に近い側に配置されている。
【0054】
図8に、本発明の光透過性導電性フィルムの一態様を示す。この態様では、光透過性支持層(A)の一方の面に、中間層(B)、アンダーコート層(D)及び光透過性導電層(C)がこの順で互いに隣接して配置されている。
【0055】
図9に、本発明の光透過性導電性フィルムの一態様を示す。この態様では、光透過性支持層(A)の両面に、中間層(B)、アンダーコート層(D)及び光透過性導電層(C)がこの順で互いに隣接して配置されている。
【0056】
図10に、本発明の光透過性導電性フィルムの一態様を示す。この態様では、光透過性支持層(A)の一方の面に、第一の中間層(B)、アンダーコート層(D)及び光透過性導電層(C)がこの順で互いに隣接して配置されており、他方の面に、第二の中間層(B)が直接配置されている。
【0057】
アンダーコート層(D)の素材は、特に限定されないが、例えば、誘電性を有するものであってもよい。アンダーコート層(D)の素材としては、特に限定されないが、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、炭化ケイ素、シリコンアルコキシド、アルキルシロキサン及びその縮合物、ポリシロキサン、シルセスキオキサン、並びにポリシラザン等が挙げられる。アンダーコート層(D)は、これらのうちいずれか単独からなるものであってもよいし、複数種からなるものであってもあってもよい。酸化ケイ素を含有する光透過性アンダーコート層が好ましく、酸化ケイ素からなる光透過性アンダーコート層がより好ましい。
【0058】
アンダーコート層(D)は、一層が配置されていてもよい。あるいは二層以上が互いに隣接して、または他の層を介して互いに離間して配置されていてもよい。
【0059】
アンダーコート層(D)の一層あたりの厚さは、15〜40nm等が挙げられる。二層以上が互いに隣接して配置されている場合は互いに隣接している全てのアンダーコート層(D)の合計厚さが上記範囲内であればよい。左記の例示列挙においては後出のものが前出のものよりも好ましい。
【0060】
アンダーコート層(D)を配置する方法としては、湿式及び乾式のいずれでもよく、特に限定されないが、湿式としては例えば、ゾル−ゲル法、及び微粒子分散液若しくはコロイド溶液を塗布する方法等が挙げられる。アンダーコート層(D)を配置する方法として、乾式としては、例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法又はパルスレーザーデポジション法により隣接する層上に積層する方法等が挙げられる。
【0061】
1.5
その他の層
本発明の光透過性導電性フィルムは、光透過性支持層(A)の中間層(B)及び光透過性導電層(C)が配置されている側の面に、アンダーコート層(D)及び少なくとも1種のその他の層(E)からなる群より選択される少なくとも1種の層がさらに配置されていてもよい。
【0062】
その他の層(E)としては、特に限定されないが、例えば、接着層等が挙げられる。
【0063】
接着層とは、二層の間に当該二層と互いに隣接して配置され、当該二層間を互いに接着するために配置される層である。接着層としては、特に限定されないが、例えば、タッチパネル用光透過性導電性フィルムにおいて接着層として通常用いられるものを用いることができる。特に限定されないが、例えば、カップリング剤を用いることができる。必要に応じて接着される片方の面又は両方の面に対してより接着性を高める目的でコロナ処理を行ってもよい。
【0064】
1.6
本発明の光透過性導電性フィルムの用途
本発明の光透過性導電性フィルムは、タッチパネルのために好ましく用いられる。本発明の光透過性導電性フィルムは、特に、静電容量型タッチパネルのためにより好ましく用いられる。抵抗膜方式タッチパネルの製造のために用いられる光透過性導電性フィルムは一般に表面抵抗率(シート抵抗)が100〜1,000Ω/sq程度は必要であるとされる。これに対して静電容量型タッチパネルの製造のために用いられる光透過性導電性フィルムは一般に表面抵抗率が低いほうが有利である。本発明の光透過性導電性フィルムは、抵抗率が低減されており、これにより、静電容量型タッチパネルの製造のために好ましく用いられる。静電容量型タッチパネルについて詳細は、2で説明する通りである。
【0065】
2.
本発明の静電容量型タッチパネル
本発明の静電容量型タッチパネルは、本発明の光透過性導電性フィルムを含み、さらに必要に応じてその他の部材を含んでなる。
【0066】
本発明の静電容量型タッチパネルの具体的な構成例としては、次のような構成が挙げられる。なお、保護層(1)側が操作画面側を、ガラス(5)側が操作画面とは反対側を向くようにして使用される。
(1)保護層
(2)本発明の光透過性導電性フィルム(Y軸方向)
(3)絶縁層
(4)本発明の光透過性導電性フィルム(X軸方向)
(5)ガラス
本発明の静電容量型タッチパネルは、特に限定されないが、例えば、上記(1)〜(5)、並びに必要に応じてその他の部材を通常の方法に従って組み合わせることにより製造することができる。
【0067】
3.
本発明の光透過性導電性フィルムの製造方法
本発明の光透過性導電性フィルムは、それぞれの層について説明した通りそれぞれの層を配置することにより製造することができる。例えば、光透過性支持層(A)の光透過性導電層(C)が配置されている側の面に、下層側から順次配置させてもよいが、配置の順番は特に限定されない。例えば、最初に光透過性支持層(A)ではない層(例えば、光透過性導電層(C))の一方の面に他の層を配置させてもよい。あるいは、一方で2種以上の層を互いに隣接するように配置させることにより1種の複合層を得てから、又はそれと同時に、他方で同様に2種以上の層を互いに隣接するように配置させることにより1種の複合層を得て、これらの2種の複合層をさらに互いに隣接するように配置させてもよい。
【実施例】
【0068】
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
1.
実施例1
1.1
ハードコート用材料の調製
光重合剤含有アクリル系オリゴマーにメチルイソブチルケトン(MIBK)を混合して固形分濃度40重量%の塗液を調製した。
1.2
ハードコートフィルムの作成
厚さ50μmのPETフィルム(三菱樹脂製ダイアホイル)の一方の面に1.1で調整した塗液を、バーコーターを用いて塗工し、その塗工膜を、ドライヤーオーブンを用いて、100℃×1分の条件で加熱乾燥した。次いで、乾燥後の塗工膜に対して紫外線を照射することにより(照射量:300mJ/cm
2)、PETフィルム上に厚さ約1μmのハードコートを設けた。
【0069】
PETフィルムの他方の面に対しても同一の作業を施すことにより、PETフィルムの両面に厚さ約1μmのハードコートが設けられてなるハードコートフィルムを得た。
1.3
低屈折率層(低屈層)の成膜
得られたハードコートフィルムの一方の面にSi(ボロンドープ)からなるスパッタリング用ターゲット材料を用いて反応性スパッタリングで成膜した。具体的にはチャンバー内を5×10
−4Pa以下となるまで真空排気した後にArガスとO
2ガスを2:1で投入しチャンバー内圧力を0.2Paとしスパッタリングを実施した。
1.5
透明導電層の成膜
酸化インジウム:95重量%及び酸化スズ:5重量%からなる焼結体材料をターゲット材として用いて、DCマグネトロンスパッタリング法により、低屈折率層の全面を覆う透明導電層を形成した。具体的には、チャンバー内を5×10
−4Pa以下となるまで真空排気した後に、かかるチャンバー内にArガス:95%及び酸素ガス:5%からなる混合ガスを導入し、チャンバー内圧力を0.2〜0.3Paとしてスパッタリングを実施した。尚、最終的に得られる透明導電層の膜厚が20nmとなるように、スパッタリングを実施した。得られた膜を150℃で1時間熱処理した後のシート抵抗値は150Ω/□であった。
1.6
エッチング処理
得られた透明導電層上にパターン化されたフォトレジスト膜を形成した後、フィルム全体を25℃のHCl/HNO
3/H
2O混合溶液[HCl:HNO
3:H
2O=20:1:30(体積比))の溶液に10分間、浸漬することにより、パターン開口部及びパターン部からなる透明導電層を最表面に有する透明導電性フィルムを得た。
1.7
骨見え評価
パターンニングしたフィルムの骨身えの見え方を目視で評価を実施した。
【0070】
パターンが目視でほとんど確認出来ない場合を〇、僅かに確認出来る場合を△、はっきりと確認出来る場合を×とした。
2.
実施例2
ハードコートフィルムの作成時の乾燥温度を120℃としてそれ以外は実施例1と同じとした。
3.
比較例1
ハードコートフィルム作成時の乾燥温度を70℃としたそれ以外は実施例1と同じにした。
【0071】
実施例及び比較例でそれぞれ得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
【0072】
【表1】