(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一対の係止部材は、前記回転抑制部に付勢される把持力を増加させて前記係止部に伝達するよう前記支軸により枢支されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のイコライザ。
前記一対の係止部材は、前記支軸を回転中心とし、該回転中心から前記係止部による当該複数の昇降コードの係止位置までの径よりも当該回転中心から前記回転抑制部による把持位置までの径の方が長いことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のイコライザ。
前記回転抑制部は、前記複数の昇降コードの垂下方向の長さとして前記係止部よりも長尺に構成されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のイコライザ。
前記回転抑制部は、前記複数の昇降コードの垂下方向を法線とする断面として前記係止部よりも大きくなるよう構成されていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のイコライザ。
前記回転抑制部は、前記一対の係止部材を互いに嵌合する嵌合手段を有し、該嵌合手段は、前記係止部に対して当該複数の昇降コードの各末端に付勢される張力に応じて前記一対の係止部材の嵌合状態を解除するよう構成されていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のイコライザ。
前記支軸は、前記係止部に対して前記複数の昇降コードの各一端に付勢される張力に応じて前記一対の係止部材の係合状態を解除するよう構成されていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のイコライザ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1における昇降コード端末結束装置では、複数の昇降コードの各末端を分離可能とするために、各昇降コードの端末を止着する分割体と各分割体を外嵌する外嵌部材とにより構成し、各分割体と外嵌部材とが全て分割する全分割体で構成されているが、その装置自体を掴んで操作可能とすることが考慮されていないため操作性が悪く、且つ各部材が個別に分離されてしまうため再結束させる際に手間がかかる。
【0009】
そこで、複数の昇降コードの各一端を連結するイコライザのうち、このイコライザ自体を掴んで操作可能とし、且つ複数の昇降コード間に異物が引掛かる時に、複数の昇降コードの各末端を分離可能とする形態が望まれ、本願明細書中の実施形態の説明では、このように構成されるイコライザを「セーフティイコライザ」と称することとする。
【0010】
このセーフティイコライザとして、複数の昇降コードの各一端を連結するとともに、セーフティイコライザ自体を掴んで操作可能とし、且つ複数の昇降コード間に異物が引掛かる時に、複数の昇降コードの各末端を分離可能とするだけでなく、各部材が個別に分離された後での再結束を容易とする技法が望まれる。
【0011】
本発明は、上述の問題を鑑みて、複数の昇降コードの各一端を連結するイコライザ及び横型ブラインドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るセーフティイコライザは、複数の昇降コードの各一端を連結し、このセーフティイコライザか、又はこのセーフティイコライザに取着した操作コードを掴んで複数の昇降コードの移動によるスラットの昇降操作を可能とする。そして、セーフティイコライザ又は操作コードの引き操作時には、複数の昇降コードの各一端は分離せず、複数の昇降コード間に異物が引掛かる時など、複数の昇降コードが拡がる方向に張力を受けたとき複数の昇降コードの各末端が分離して開放されるようになっている。特に、引き操作時には、一対の係止部材が閉状態となり、「てこの原理」で複数の昇降コードの末端を係止する係止部が閉じて、複数の昇降コードの一端を挟持して係止する力が働くようになっている。
【0013】
即ち、本発明によるイコライザは、複数の昇降コードの各一端を連結するイコライザであって、支軸を中心として開閉可能に枢支される一対の係止部材を備え、前記支軸より上部で前記複数の昇降コードの一端を挟持して係止する係止部と、前記支軸より下部で前記一対の係止部材の回転を抑制する回転抑制部が構成されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明によるイコライザにおいて、前記回転抑制部は、把持可能な上端部と側部を有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明によるイコライザにおいて、前記一対の係止部材は、前記回転抑制部に付勢される把持力を増加させて前記係止部に伝達するよう前記支軸により枢支されていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明によるイコライザにおいて、前記一対の係止部材は、前記支軸を回転中心とし、該回転中心から前記係止部による当該複数の昇降コードの係止位置までの径よりも当該回転中心から前記回転抑制部による把持位置までの径の方が長いことを特徴とする。
【0017】
また、本発明によるイコライザにおいて、前記回転抑制部は、前記複数の昇降コードの垂下方向の長さとして前記係止部よりも長尺に構成されていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明によるイコライザにおいて、前記回転抑制部は、前記複数の昇降コードの垂下方向を法線とする断面として前記係止部よりも大きくなるよう構成されていることを特徴とする。
【0019】
また、本発明によるイコライザにおいて、前記回転抑制部の下端に操作コードが取着されており、前記操作コードの引き操作時に前記係止部及び前記回転抑制部が閉状態となるよう、前記操作コードの一端は、前記一対の係止部材のうち一方の当該回転抑制部の下端に挿通された後、他方の当該回転抑制部の下端に係止されていることを特徴とする。
【0021】
また、本発明によるイコライザにおいて、前記回転抑制部は、前記一対の係止部材を互いに嵌合する嵌合手段を有し、該嵌合手段は、前記係止部に対して当該複数の昇降コードの各末端に付勢される張力に応じて前記一対の係止部材の嵌合状態を解除するよう構成されていることを特徴とする。
【0022】
また、本発明によるイコライザにおいて、前記支軸は、前記係止部に対して前記複数の昇降コードの各一端に付勢される張力に応じて前記一対の係止部材の係合状態を解除するよう構成されていることを特徴とする。
【0023】
更に、本発明による横型ブラインドは、複数のスラットを吊下支持する横型ブラインドであって、本発明によるイコライザと、ヘッドボックスを介して前記複数の昇降コードの他端を取着するボトムレールと、前記ヘッドボックスと前記ボトムレールとの間で吊下支持される複数のスラットとを備え、前記複数の昇降コードの一端は、前記ヘッドボックス内を案内されて垂下し前記イコライザに連結されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係るイコライザによれば、係止する昇降コード間に異物が引掛かった場合の安全性を確保できる。また、本発明に係るイコライザは、引き操作のために把持可能な形態で構成され、引き操作時に複数の昇降コードの各末端を挟持して係止する力が働くため、複数の昇降コードの各末端が開放されず操作性に優れる。また、本発明に係るイコライザは、支軸を中心として開閉可能に枢支される一対の係止部材から構成されるため、複数の昇降コードの各末端を分離可能とするだけでなく、各部材が個別に分離された後での再結束が容易になるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明による一実施形態の横型ブラインドを説明する。尚、本願明細書中、
図1に示す横型ブラインドの正面図に対して、図示上方及び図示下方をスラットの吊り下げ方向に準じてそれぞれ上方向(又は上側)及び下方向(又は下側)と定義し、図示左方向を横型ブラインドの左側、図示右方向を横型ブラインドの右側と定義する。また、
図1の正面図を視認する側を前側(室内側)、及び、その反対側を後側(又は室外側)とし、横型ブラインドの前後方向と称するときは、
図1の正面図における図示面に対して垂直な方向を云う。
【0027】
(全体構成)
図1は、本発明による一実施形態の横型ブラインドの概略構成を示す正面図である。
図1に示す横型ブラインドは、ヘッドボックス1の左右両側から吊下支持するラダーコード2を介して多数段のスラット3が吊下支持され、そのラダーコード2の下端にボトムレール4が吊下支持されている。
【0028】
また、ヘッドボックス1から、例えば室外側のラダーコード2に併設して複数の昇降コードC1,C2が垂下され、その昇降コードC1,C2の下端にボトムレール4が取着されている。
【0029】
ヘッドボックス1内にはラダーコード2及び昇降コードC1,C2を吊下支持する支持部材5が配設され、この支持部材5には六角棒状の駆動軸13が挿通されている。
【0030】
支持部材5にはチルトドラム(図示せず)が回転可能に支持され、このチルトドラムに駆動軸13が相対回転不能に挿通されている。従って、駆動軸13が回転されると、当該チルトドラムが回転し、ラダーコード2により吊下支持された多数段のスラット3の角度が調整されるようになっている。
【0031】
ヘッドボックス1内の右端側には、チルト操作グリップ10に一端を取着したチルト操作棒9を垂下するチルト窓部11が形成されている。このチルト窓部11を介して、チルト操作棒9の他端は、ヘッドボックス1内のギヤ機構12に連結されている。また、ギヤ機構12は駆動軸13を連結しており、チルト操作棒9の回転が駆動軸13の回転へと伝達するよう構成されている。したがって、チルト操作グリップ10を回転操作することで、駆動軸13にその回転を伝達し、支持部材5を介してラダーコード2により吊下支持された多数段のスラット3の角度を調整することができる。
【0032】
ボトムレール4に下端を取着する昇降コードC1,C2の各他端は、支持部材5を介してヘッドボックス1内の右端側に案内され、ストッパー装置15を経てコード窓部14から垂下されて、本発明に係るセーフティイコライザ6に連結される。
【0033】
図1に示す例では、複数の昇降コードC1,C2の各末端を連結するセーフティイコライザ6の下端には操作コード7の一端が取着されている。操作コード7の他端は、セーフティイコライザ6から垂下してセーフティジョイント8を介してボトムレール4に取着されている。
【0034】
ここで、セーフティジョイント 8は、所定荷重が操作コードに作用すると非ループ状に分離する 連結部材であり、2分割可能な 形態とすることができる。また、ストッパー装置15は、操作コード7又はセーフティイコライザ6の引き操作によりボトムレール4を上昇させた後、手放したとき、ボトムレール4やスラット3の自重で昇降コードC1,C2が移動するのを防止するようロックする公知の作用をなす。
【0035】
本発明に係るセーフティイコライザ6は、複数の昇降コードC1,C2の各一端を連結し、このセーフティイコライザ6か、又はこのセーフティイコライザ6に取着した操作コード7を掴んで複数の昇降コードC1,C2の移動によるスラット3の昇降操作を可能としている。そして、セーフティイコライザ6又は操作コード7の引き操作時には、複数の昇降コードC1,C2の各末端は分離せず、複数の昇降コードC1,C2間に異物が引掛かる時など、複数の昇降コードC1,C2が拡がる方向に張力を受けたとき複数の昇降コードC1,C2の各末端が分離して開放されるようになっている。
【0036】
(実施例1のセーフティイコライザ)
以下、
図2乃至
図7を参照して、実施例1のセーフティイコライザ6を説明する。
図2は、本発明による一実施形態の横型ブラインドにおける実施例1のセーフティイコライザ6の概略構成を示す斜視図である。ここで、
図2に示すX軸方向は、横型ブラインドの室内方向、Z軸方向は横型ブラインドの左方向、Y軸方向は横型ブラインドの上方向を指している。
図2では、2本の昇降コードC1,C2でスラット3を昇降させる横型ブラインドを構成可能としつつ、例えば4本の昇降コードC1,C2,C3,C4でスラット3を昇降させる横型ブラインドを構成可能とする例を示している。即ち、
図2に示す実施例1のセーフティイコライザ6において、
図1に示す2本の昇降コードC1,C2でスラット3を昇降させる横型ブラインドを構成する場合には、昇降コードC3,C4を未使用とすればよい。
【0037】
図2に示す実施例1のセーフティイコライザ6は、支軸61を中心として開閉可能に枢支される一対の係止部材6a,6bから形成される。一対の係止部材6a,6bは同形状で構成されており、支軸61より上部で複数の昇降コードC1,C2,C3,C4の一端を挟持して係止する係止部65が設けられている。支軸より下部で一対の係止部材6a,6bの回転を抑制する回転抑制部64が構成されている。
【0038】
回転抑制部64は、その側部で把持可能とするとともに、上端部で把持可能とする把持部63が形成されている。例えば、操作者は、人差し指で把持部63を持ち、親指やその他の指で回転抑制部64の側部を持つようにするか、又は両方の回転抑制部64の側部を持つようにして 回転抑制部64を把持可能となっている。
【0039】
回転抑制部64は、その下端で操作コード7の一端を係止可能な構造を有し、例えば操作コード7の一端は回転抑制部64の下端で結び玉7aにより係止され垂下される。操作コード7の他端は、セーフティイコライザ6から垂下してセーフティジョイント8を介してボトムレール4に取着される(
図1参照)。
【0040】
複数の昇降コードC1,C2,C3,C4の各一端には、それぞれ円筒状の結束具62が挿通され、各結束具62は各昇降コードC1,C2,C3,C4の結び玉により係止されている。そして、セーフティイコライザ6を構成する一対の係止部材6a,6bの閉状態(
図2に示す状態)で、複数の昇降コードC1,C2,C3,C4の各結束具62が支軸61より上部に形成された係止部65により、挟持して係止されている。
【0041】
図3は、実施例1のセーフティイコライザ6の概略構成を示す分解斜視図である。一対の係止部材6a,6bは同形状で構成されており、それぞれ互い違いに向き合わせて、係止部材6a,6bのそれぞれに設けられた軸孔部66に支軸61を挿通して係止することで、セーフティイコライザ6として一体化される。
【0042】
そして、回転抑制部64は、空洞部67を有し、その空洞部67内で回転抑制部64の内底面から起立する半円状の係止片68が設けられ、係止片68は操作コード7を挿通して結び玉7aにより係止可能な係止孔69を有している。また、回転抑制部64の底面には、操作コード7を挿通可能な長孔状の挿通孔70が設けられている。したがって、結び玉7aにより、例えば係止部材6bにおける係止片68の係止孔69に係止された操作コード7は、係止部材6aにおける係止片68の係止孔69に挿通された後、係止部材6aにおける長孔状の挿通孔70に挿通されて下方へと垂下される(
図2に参照)。尚、一対の係止部材6a,6bは同形状で構成されているため、いずれの係止部材6a,6bでも操作コード7を係止し下方に垂下できるようになっているが、操作コード7の係止に関して一対の係止部材6a,6bを同形状とする例に限定するものではなく、操作コード7を係止し下方に垂下できる構造として、その他の構造としてもよいし、操作コード7を係止する必要の無い用途の場合には、係止片68、係止孔69及び挿通孔70を設けない形態としてもよい。
【0043】
また、一対の係止部材6a,6bを同形状としない場合には、支軸61についても別部材とせず、一対の係止部材6a,6bのいずれか一方から延びるよう構成することができる。
【0044】
複数の昇降コードC1,C2,C3,C4の各末端は、一対の係止部材6a,6bの閉状態で支軸61より上部に形成された係止部65により挟持して係止されるようになっているため、一対の係止部材6a,6bにおける各々の係止部65の形状は、半長孔状となっている。
【0045】
特に、一対の係止部材6a,6bの閉状態で支軸61より上部には、複数の昇降コードC1,C2,C3,C4の各一端に取着される円筒状の結束具62を収容可能とする空間部が設けられている。詳細に後述するが、昇降コードC1,C2は、上部中央側に設けられたZ軸方向に延びる長孔状の共通の係止部65により挟持して係止されるようになっているため(
図2参照)、昇降コードC1,C2間に張力が働くときは、一対の係止部材6a,6bが開状態となるよう回転トルクが働くようになっている。一方、昇降コードC3,C4が設けられる場合には、上部両端側にそれぞれ設けられたX軸方向に延びる半長孔状の個別の係止部65により挟持して係止されるようになっているため(
図2参照)、昇降コードC3と他の昇降コードとの間(又は昇降コードC4と他の昇降コードとの間)に張力が働くときは、当該空間部を形成する内壁面に設けられている張力受部71が、その結束具62に係る張力を傾斜面で受力する。この傾斜面は、X,Z軸から略45度に位置するY軸上平面で形成され、昇降コードC3,C4がX軸方向やZ軸方向に張力が働くときは、一対の係止部材6a,6bが開状態となるよう回転トルクが働くようになっている。
【0046】
図4(a),(b)は、実施例1のセーフティイコライザ6の閉状態時の動作を示す説明図である。
図4(a)に示すように、ボトムレール4の昇降操作時に、操作コード7が下方に引き出されるときは、操作コード7に張力F1が働くことになる。すると、
図4(b)に示すように、操作コード7は、結び玉7aにより、係止部材6bにおける係止片68に係止された状態で係止部材6aにおける長孔状の挿通孔70に挿通されて下方へと垂下されているため、一対の係止部材6a,6bが支軸61を基に閉状態となる方向に回転トルクT2が働く。これに伴い、一対の係止部材6a,6bが支軸61を基に閉状態となる方向に回転トルクT1が働くため、複数の昇降コードC1,C2,C3,C4の各一端に結び玉62aで取着される円筒状の結束具62が、それぞれの係止部65により挟持して係止される。
【0047】
セーフティイコライザ6を把持して引き操作を行なった場合には、直接的に閉状態となる力F2が働くため、上記と同様に回転トルクT1,T2が働くこととなり、複数の昇降コードC1,C2,C3,C4の各一端に結び玉62aで取着される円筒状の結束具62が、それぞれの係止部65により挟持して係止される。
【0048】
したがって、実施例1のセーフティイコライザ6では、セーフティイコライザ6又は操作コード7を把持して引き操作する際に、「てこの原理」で当該係止部65が閉じて複数の昇降コードC1,C2,C3,C4の一端を挟持して係止する力が働くようになっている。複数の昇降コードC1,C2,C3,C4の各末端を挟持して係止する力が働くため、複数の昇降コードC1,C2,C3,C4の各末端が開放されないことから操作性に優れた形態となっている。
【0049】
一方、
図5(a),(b),(c)は、実施例1のセーフティイコライザ6の開状態時の動作を示す説明図である。
図5(a)に示すように、例えばボトムレール4が上限位置にあり、複数の昇降コードC1,C2がヘッドボックス1から長く垂下されているときに、複数の昇降コードC1,C2間に異物Obが引っ掛かる場合を考える。この場合、
図5(b)に示すように、複数の昇降コードC1,C2のそれぞれに張力F3が働く。すると、複数の昇降コードC1,C2を係止していた係止部65には、その係止部65を開く方向にZ軸方向の分力F3zが加わる。これにより、
図5(c)に示すように、セーフティイコライザ6の支軸61を基に係止部65を開放させるK方向に一対の係止部材6a,6bが相対回転するため、複数の昇降コードC1,C2の結び玉62aで取着された円筒状の結束具62が、開放された係止部65から脱出し、異物Obへの負荷は除去される。
【0050】
また、このようにセーフティイコライザ6が開状態となっている場合でも、一対の係止部材6a,6bが個別に分離することはなく、更に操作コード7から外れてしまうことはない。このため、異物Obを取り除いてセーフティイコライザ6を再構成する際に、ヘッドボックス1から垂下された状態にある複数の昇降コードC1,C2の末端と、ボトムレール4に一端を取着する操作コード7の他端に取着されたままの状態の一対の係止部材6a,6bを用いて再結束することが容易な構造となっており、部材を紛失してしまうおそれがない。
【0051】
また、
図6(a)に示すように、異物Obが一方の昇降コード(例えば、昇降コードC2)側にのみに掛かりセーフティイコライザ6の姿勢が横向きとなっても、
図6(b)に示すように、複数の昇降コードC1,C2を係止していた係止部65には、その係止部65を開く方向に力F3’が加わる。これにより、
図6(c)に示すように、セーフティイコライザ6の支軸61を基に係止部65を開放させるK方向に一対の係止部材6a,6bが相対回転するため、複数の昇降コードC1,C2の結び玉62aで取着された円筒状の結束具62が、開放された係止部65から脱出し、異物Obへの負荷は除去される。
【0052】
また、一対の係止部材6a,6bの閉状態で支軸61より上部における空間部は、複数の昇降コードC1,C2,C3,C4の各一端に取着される円筒状の結束具62を収容可能としているが、昇降コードC3と他の昇降コードとの間(又は昇降コードC4と他の昇降コードとの間)に張力が働くときに、その張力に係る結束具62を傾斜面で受ける張力受部71が設けられている。例えば、
図7に示す例では、昇降コードC3,C4がX軸方向に引かれた場合、張力受部71の傾斜面に対し昇降コードC3,C4の結束具62が当接すると、当該張力受部71には係止部65を開放するZ軸方向の分力F5を生じさせるため、同様に昇降コードC1,C2,C3,C4は開放される。
【0053】
以上のように、実施例1のセーフティイコライザ6によれば、係止する昇降コードC1,C2,C3,C4間に異物が引掛かった場合の安全性を確保できる。また、実施例1のセーフティイコライザ6は、引き操作のために把持可能な形態で構成され、引き操作時に複数の昇降コードC1,C2,C3,C4の各末端を挟持して係止する力が働くため、複数の昇降コードC1,C2,C3,C4の各末端が開放されず操作性に優れる。また、実施例1のセーフティイコライザ6によれば、支軸61を中心として開閉可能に枢支される一対の係止部材6a,6bから構成されるため、複数の昇降コードC1,C2,C3,C4の各末端を分離可能とするだけでなく、係止部材6a,6bや昇降コードC1,C2,C3,C4等の各部材が個別に分離された後での再結束も容易に行うことができる。
【0054】
(実施例2のセーフティイコライザ)
次に、
図8及び
図9を参照して、実施例2のセーフティイコライザ6を説明する。
図8は、本発明による一実施形態の横型ブラインドにおける実施例2のセーフティイコライザ6の概略構成を示す斜視図である。尚、実施例1と同様な構成要素には、同一の参照番号を付している。実施例2のセーフティイコライザ6は、実施例1のセーフティイコライザ6と比較して、回転抑制部64の下端で操作コード7の一端を係止可能な構造とする代わりに、一対の係止部材6a,6bを閉状態で嵌合可能とする嵌合手段が設けられている点で相違しており、その他の構成要素は同様である。したがって、実施例2のセーフティイコライザ6は、昇降コードC1,C2,C3,C4の移動を操作する操作グリップとして機能する。
【0055】
実施例2のセーフティイコライザ6においても、支軸61を中心として開閉可能に枢支される一対の係止部材6a,6bから形成される。一対の係止部材6a,6bは同形状で構成されており、支軸61より上部で複数の昇降コードC1,C2,C3,C4の一端を挟持して係止する係止部65が設けられている。また、支軸より下部で一対の係止部材6a,6bの回転を抑制する回転抑制部64が構成されている。回転抑制部64は、その側部で把持可能とするとともに、上端部で把持可能とする把持部63が形成されている。例えば、操作者は、人差し指で把持部63を持ち、親指やその他の指で回転抑制部64の側部を持つようにして回転抑制部64を把持可能となっている。
【0056】
図8に示す例では、一対の係止部材6a,6bは同形状で構成されており、回転抑制部64の下端にて、それぞれ互いに嵌合可能とする嵌合突起部72と嵌合受部73が形成されている。
【0057】
図9(a),(b)は実施例2のセーフティイコライザ6の開閉動作を示す説明図である。
図9(a)に示すように、常には、ボトムレール4の昇降操作時に、セーフティイコライザ6が下方に引き出されるときは、直接的に閉状態となる力が働くため、一対の係止部材6a,6bは嵌合突起部72及び嵌合受部73が互いに嵌合し、複数の昇降コードC1,C2,C3,C4の各一端に結び玉62aで取着される円筒状の結束具62が、それぞれの係止部65により挟持して係止される。そして、これらの嵌合突起部72及び嵌合受部73の嵌合により、異物等による外力が加わらない限り容易には外れないようになっている。
【0058】
一方、例えばボトムレール4が上限位置にあり、複数の昇降コードC1,C2がヘッドボックス1から長く垂下されているときに、複数の昇降コードC1,C2間に異物Obが引っ掛かる場合、
図9(b)に示すように、複数の昇降コードC1,C2のそれぞれに張力が働き、複数の昇降コードC1,C2を係止していた係止部65には、その係止部65を開く方向に分力が加わる。これにより、嵌合突起部72及び嵌合受部73の互いの嵌合が外れ、セーフティイコライザ6の支軸61を基に係止部65を開放させるK方向に相対回転するため、複数の昇降コードC1,C2の結び玉62aで取着された円筒状の結束具62が、開放された係止部65から脱出し、異物Obへの負荷は除去される。
【0059】
また、このようにセーフティイコライザ6が開状態となっている場合でも、一対の係止部材6a,6bが個別に分離することはない。このため、異物Obを取り除いてセーフティイコライザ6を再構成する際に、ヘッドボックス1から垂下された状態にある複数の昇降コードC1,C2の末端と、一対の係止部材6a,6bを用いて再結束することが比較的容易である。
【0060】
従って、実施例2のセーフティイコライザ6は、当該係止部65に対して複数の昇降コードC1,C2,C3,C4の各末端に加わる張力に応じて一対の係止部材6a,6bの嵌合状態を解除可能とする嵌合手段が回転抑制部64に設けられている。
【0061】
尚、一対の係止部材6a,6bを同形状で構成する必要が無い場合には、一対の係止部材6a,6bのいずれか一方に嵌合突起部72を設け、他方に嵌合受部73を設けるように構成することができる。
【0062】
また、実施例2のセーフティイコライザ6の変形例として、回転抑制部64の下端で操作コード7の一端を係止可能な構造とする実施例1のセーフティイコライザ6に、嵌合突起部72及び嵌合受部73を設けた形態としてもよい。
【0063】
以上のように、実施例2のセーフティイコライザ6によれば、係止する昇降コードC1,C2,C3,C4間に異物が引掛かった場合の安全性を確保できる。また、実施例2のセーフティイコライザ6は、引き操作のために把持可能な形態で構成され、引き操作時に複数の昇降コードC1,C2,C3,C4の各末端を挟持して係止する力が働くため、複数の昇降コードC1,C2,C3,C4の各末端が開放されず操作性に優れる。また、実施例2のセーフティイコライザ6によれば、支軸61を中心として開閉可能に枢支される一対の係止部材6a,6bから構成されるため、複数の昇降コードC1,C2,C3,C4の各末端を分離可能とするだけでなく、係止部材6a,6bや昇降コードC1,C2,C3,C4等の各部材が個別に分離された後での再結束も容易に行うことができる。
【0064】
(実施例3のセーフティイコライザ)
次に、
図10及び
図11を参照して、実施例3のセーフティイコライザ6を説明する。
図10(a),(b)は、本発明による一実施形態の横型ブラインドにおける実施例3のセーフティイコライザ6の概略構成を説明する説明図である。尚、実施例1と同様な構成要素には、同一の参照番号を付している。実施例3のセーフティイコライザ6は、実施例1のセーフティイコライザ6と比較して、一対の係止部材6a,6bのうち、支軸61が係止部材6bに一体的に設けられ、且つこの支軸61上にはその軸方向に延在する凸部61aが形成されており、係止部材6aの軸孔部66には、この凸部61aと係合可能とする凹部66aが設けられている点で相違しており、その他の構成要素は同様である。
【0065】
実施例3のセーフティイコライザ6においても、支軸61を中心として開閉可能に枢支される一対の係止部材6a,6bから形成される。一対の係止部材6a,6bは同形状で構成されており、支軸61より上部で複数の昇降コードC1,C2,C3,C4の一端を挟持して係止する係止部65が設けられている。また、支軸より下部で一対の係止部材6a,6bの回転を抑制する回転抑制部64が構成されている。回転抑制部64は、その側部で把持可能とするとともに、上端部で把持可能とする把持部63が形成されている。例えば、操作者は、人差し指で把持部63を持ち、親指やその他の指で回転抑制部64の側部を持つようにして回転抑制部64を把持可能となっている。
【0066】
図10(a)に示す例では、一対の係止部材6a,6bのうち、支軸61が係止部材6bに一体的に設けられ、且つこの支軸61上にはその軸方向に延在する凸部61aが形成されており、係止部材6aの軸孔部66には、この凸部61aと係合可能とする凹部66aが設けられている。そして、一対の係止部材6a,6bが閉状態で、
図10(b)に示すように、凸部61aと凹部66aが係合する位置となるようになっており、これにより、常には、一対の係止部材6a,6bの閉状態が安定化するようになっている。
【0067】
より具体的には、
図11(a)に示すように、常には、ボトムレール4の昇降操作時に、セーフティイコライザ6が下方に引き出されるときは、直接的に閉状態となる力が働くため、一対の係止部材6a,6bは凸部61aと凹部66aが互いに係合し(
図11(c)参照)、複数の昇降コードC1,C2,C3,C4の各末端は、それぞれの係止部65により挟持して係止される。
【0068】
一方、例えばボトムレール4が上限位置にあり、複数の昇降コードC1,C2がヘッドボックス1から長く垂下されているときに、複数の昇降コードC1,C2間に異物Obが引っ掛かる場合、
図11(b)に示すように、複数の昇降コードC1,C2のそれぞれに張力が働き、一対の係止部材6a,6bの上部(複数の昇降コードC1,C2を係止していた係止部65)には、その係止部65を開く方向に分力が加わる。これにより、凸部61aと凹部66aの互いの係合が外れ、セーフティイコライザ6の支軸61が自由回転し(
図11(d)参照)、この支軸61を基に支軸61より上部を開放させるK方向に一対の係止部材6a,6bが相対回転するため、複数の昇降コードC1,C2の末端が、一対の係止部材6a,6bの上部から脱出し、異物Obへの負荷は除去される。
【0069】
また、このようにセーフティイコライザ6が開状態となっている場合でも、一対の係止部材6a,6bが個別に分離することはない。このため、異物Obを取り除いてセーフティイコライザ6を再構成する際に、ヘッドボックス1から垂下された状態にある複数の昇降コードC1,C2の末端と、一対の係止部材6a,6bを用いて再結束することが容易である。
【0070】
従って、実施例3のセーフティイコライザ6は、当該係止部65に対して複数の昇降コードC1,C2,C3,C4の各末端に加わる張力に応じて一対の係止部材6a,6bの係合状態を解除可能とする係合手段が支軸61に設けられている。
【0071】
尚、係止部材6aの軸孔部66に、凸部61aと係合可能とする凹部66aを複数設けて、支軸61が段階的に回転するよう構成してもよい。
【0072】
以上のように、実施例3のセーフティイコライザ6によれば、係止する昇降コードC1,C2,C3,C4間に異物が引掛かった場合の安全性を確保できる。また、実施例3のセーフティイコライザ6は、引き操作のために把持可能な形態で構成され、引き操作時に複数の昇降コードC1,C2,C3,C4の各末端を挟持して係止する力が働くため、複数の昇降コードC1,C2,C3,C4の各末端が開放されず操作性に優れる。また、実施例3のセーフティイコライザ6によれば、支軸61を中心として開閉可能に枢支される一対の係止部材6a,6bから構成されるため、複数の昇降コードC1,C2,C3,C4の各末端を分離可能とするだけでなく、係止部材6a,6bや昇降コードC1,C2,C3,C4等の各部材が個別に分離された後での再結束も容易に行うことができる。
【0073】
以上、特定の実施形態の例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態の例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、セーフティイコライザ6に、5本以上の昇降コードを係止可能とする多数の係止部65を設けてもよい。
【0074】
また、実施例1,2,3を組み合わせた形態のセーフティイコライザ6とすることもできる。
【0075】
また、一対の係止部材6a,6bは、回転抑制部64に付勢される把持力を増加させて係止部65に伝達するよう支軸61で枢支させるよう構成するのが好適であり、支軸61を回転中心とし、該回転中心から係止部65による当該複数の昇降コードC1,C2,C3,C4の係止位置までの径よりも当該回転中心から回転抑制部64による把持位置までの径の方を長くすることがより好適となる。したがって、回転抑制部64は、複数の昇降コードC1,C2,C3,C4の垂下方向の長さとして係止部65よりも長尺に構成することが好ましい。更には、回転抑制部64は、複数の昇降コードC1,C2,C3,C4の垂下方向を法線とする断面として係止部65よりも大きくなるよう構成することが好ましい。このように構成することで、「てこの原理」で当該係止部65が閉じて複数の昇降コードC1,C2,C3,C4の一端を挟持して係止する力がより効率よく働くとともに、把持を容易にすることができる。