【実施例1】
【0022】
実施例1の帳票連続紙1は、上質紙等からなる長尺帯状の矩形紙からなる。帳票連続紙1には、
図1のように、その幅方向に横断する複数のミシン目4が、長手方向で一定間隔をおいて形成されている。ミシン目4は折り曲げ可能且つ切断可能に形成され、隣合う二つのミシン目4,4で区切られる部位により矩形状の帳票紙片5a,5bが夫々構成される。このように帳票連続紙1は、ミシン目4を介して複数の帳票紙片5a,5bが連続してなるものである。
【0023】
帳票連続紙1は、
図2のように複数のミシン目4が交互に山折りと谷折りとを繰り返されることにより、
図3のように、連続する複数の帳票紙片5a,5bを蛇腹状に折り重ねることができる。このように蛇腹状に折り重ねることにより、保管スペースや運搬作業などで有利となることから、保管時や運搬時の作業性を向上できるという利点がある。
【0024】
尚、帳票連続紙1は、各帳票紙片5a,5b毎に、その表紙面または/および裏紙面にプリンタなどで所定の情報が印刷される。そして、ミシン目4を切断することにより、帳票紙片5を切り離して使用することができる。尚、こうした帳票連続紙1には、従前から公知のものを適用できることから、その詳細については省略する。
【0025】
本実施例1にあって、帳票連続紙1には、連続する各帳票紙片5a,5bにRFIDラベル11が貼付される。RFIDラベル11は、
図5のように、RFIDインレット12と粘着シート13とから構成されている。ここで、RFIDインレット12は、図示しない合成樹脂製フィルム上に、ICチップ15と該ICチップ15に接続されたアンテナ16とが配設されてなる。このRFIDインレット12は、図示しない入出力装置(リーダ・ライタ装置)との間で、電磁波を利用してコマンドやデータ等の信号を非接触で送受信できる非接触型の電池レスタイプであり、前記ICチップ15が具備するメモリに、前記入出力装置と交信されるコマンドやデータ等が記憶される。前記アンテナ16には、ダイポールアンテナやメアンダラインアンテナ等の小型のものを適用できる。そして、このアンテナ16は、RFIDインレット12の通信に使用する電磁波に応じて、そのアンテナ長さなどが適宜設定される。
【0026】
上記の粘着シート13は、矩形状の合成樹脂製フィルムの片側全面に、ほぼ均一な厚みで粘着剤が塗布されてなるものである。そして、粘着シート13は、その面積が上記のRFIDインレット12よりも大きいサイズとなるように設定されている。こうした粘着シート13が、その粘着剤の塗布面をRFIDインレット12に対面するようにして、該RFIDインレット12に被着されることによって、上記のRFIDラベル11が構成されている。尚、RFIDラベル11には、従前から公知のものを適用できることから、その詳細については省略する。
【0027】
ここで、本実施例1に用いる全てのRFIDラベル11は、粘着シート13の略中央部分にRFIDインレット12が配置されている。そのため、後述するように複数のRFIDラベル11が上下方向で重なった場合には、これらRFIDラベル11を構成する夫々のRFIDインレット12およびICチップ15が上下方向で重なる。
【0028】
このようなRFIDラベル11は、
図1のように、上記の帳票連続紙1を構成する各帳票紙片5a,5bの表紙面(又は裏紙面)に夫々一個づつ貼付される。本実施例1では、各帳票紙片5a,5bにRFIDラベル11を夫々貼付する位置として、相互に異なる二つの貼付位置31a,31bが位置設定されている。そして、一のミシン目4を介して隣接する一対の第一帳票紙片5a,5aに、前記貼付位置31a,31aが夫々設定され、また、他のミシン目4を介して隣接する他の一対の第二帳票紙片5b,5bに、前記貼付位置31b,31bが夫々設定されている。すなわち、一対の第一帳票紙片5a,5aでは、その各紙面上の同一位置に貼付位置31a,31aが定められ、一対の第二帳票紙片5b,5bでは、その各紙面上の同一位置に貼付位置31b,31bが定められている。本実施例1の帳票連続紙1は、こうした一対の第一帳票紙片5a,5aと一対の第二帳票紙片5b,5bとが交互に連続されてなるものであり、各第一帳票紙片5aの貼付位置31aと各第二帳票紙片5bの貼付位置31bとにRFIDラベル11が夫々貼付されてなる。
【0029】
ここで、RFIDラベル11の貼付位置31a,31bは、各帳票紙片5a,5bの紙面上に設定された位置であり、いずれも、帳票紙片5a,5bを区画する隣合う二つのミシン目4,4のうち、一方のミシン目4寄りに設定される。すなわち、各帳票紙片5a,5bには、その前後方向で同じ側にあるミシン目4寄りに、RFIDラベル11が夫々貼付される。一対の第一帳票紙片5a,5aに設定される貼付位置31aは、前記一方のミシン目4に近接する所定の位置に定められている。また、一対の第二帳票紙片5b,5bに設定される貼付位置31bは、前記帳票紙片5aの貼付位置31aよりも前記一方のミシン目4から離れた位置に定められており、該貼付位置31aよりも中央寄りである。これにより、第一帳票紙片5aの貼付位置31aと第二帳票紙片5bの貼付位置31bとは、相互に、前後方向で異なる位置となっている。そのため、貼付位置31aに貼付されたRFIDラベル11のRFIDインレット12およびICチップ15と、貼付位置31bに貼付されたRFIDラベル11のRFIDインレット12およびICチップ15とは、相互に、夫々の帳票紙片5a,5bの紙面上で異なる位置に配置される。尚、本実施例1では、仮に帳票紙片5a,5bを、前後方向の位置関係が互いに同じ向きとなるように、上下で重ねた場合に、貼付位置31aに貼付したRFIDラベル11と、貼付位置31bに貼付したRFIDラベル11とが、上下方向で全く重ならないように、各貼付位置31a,31bが設定されている(
図4参照)。
【0030】
本実施例1の帳票連続紙1は、上述したように一対の第一帳票紙片5a,5aと一対の第二帳票紙片5b,5bとが交互に連続したものであるから、第一帳票紙片5aと第二帳票紙片5bとが一つ置きに繰り返し存在している。尚、一対の第一帳票紙片5a,5aにより、本発明の一対の帳票紙片が構成され、一対の第二帳票紙片5b,5bにより、本発明の他の一対の帳票紙片が構成される。また、帳票紙片5a,5bにあって、RFIDラベル11が貼付される表紙面(又は裏紙面)が、本発明にかかる帳票紙片の一側紙面である。
【0031】
上述したように帳票連続紙1の各帳票紙片5a,5bを蛇腹状に折り重ねると、
図3のように、隣接する一対の第一帳票紙片5a,5a同士では、互いの表紙面が対面して重なる(又は、互いの裏紙面が対面して重なる)ことから、両者の前後方向の位置関係が互いに逆向きとなる。そのため、隣接する一対の第一帳票紙片5a,5aに夫々貼付されたRFIDラベル11,11は、上下方向で重ならない。同様に、隣接する一対の第二帳票紙片5b,5b同士にあっても、両者の前後位置関係が逆になることから、これらに夫々貼付されたRFIDラベル11,11は、上下方向で重ならない。さらに同様に、隣接する第一帳票紙片5aと第二帳票紙片5b同士にあっても、両者の前後位置関係が逆になることから、これらに夫々貼付されたRFIDラベル11,11は、上下方向で重ならない。
【0032】
また、上述のように蛇腹状に折り重ねた状態で、一つ置きの第一帳票紙片5aと第二帳票紙片5bとは、
図3,4のように、両者の前後方向の位置関係が互いに同じ向きとなる。ここで、第一帳票紙片5aの貼付位置31aと第二帳票紙片5bの貼付位置31bとは、上述したように前後方向で互いに異なる。そのため、蛇腹状に折り重ねた状態で前後方向の位置関係が互いに同じ向きとなる第一帳票紙片5aと第二帳票紙片5bとにあっても、該第一帳票紙片5aに貼付されたRFIDラベル11と該第二帳票紙片5bに貼付されたRFIDラベル11とは、上下方向で重ならない。
【0033】
さらに、上述のように蛇腹状に折り重ねた状態では、一つ置きに配された各帳票紙片5a,5bが前後方向で互いに同じ向きとなる。すなわち、一対の第一帳票紙片5a,5aと、これと連続する一対の第二帳票紙片5b,5bを隔てた一対の第一帳票紙片5a,5aとは、夫々の前後方向の位置関係が互いに同じ向きとなる。同様に、一対の第二帳票紙片5b,5bと、これと連続する一対の第一帳票紙片5a,5aを隔てた一対の第二帳票紙片5b,5bとは、夫々の前後方向の位置関係が互いに同じ向きとなる。このように前後方向で互いに同じ向きとなる各第一帳票紙片5a,5aでは、夫々の貼付位置31a,31aに貼付されたRFIDラベル11(ICチップ15)が上下方向で重なり、前後方向で互いに同じ向きなる各第二帳票紙片5b,5bでは、夫々の貼付位置31b,31bに貼付された貼付されたRFIDラベル11(ICチップ15)が上下方向で重なる。
【0034】
そして、前後方向で互いに同じ向きとなる二つの第一帳票紙片5a,5aの上下間には、一対の第二帳票紙片5b,5bと一の第一帳票紙片5aとの三つが介在する。そのため、これら二つの第一帳票紙片5a,5aに夫々貼付されて上下方向に重なるRFIDラベル11,11の上下間には、該帳票紙片5a,5bの基材(紙材)が四枚介在する。同様に、前後方向で互いに同じ向きとなる二つの第二帳票紙片5b,5bの上下間には、一対の第一帳票紙片5a,5aと一の第二帳票紙片5bとの三つが介在し、夫々に貼付されて上下方向で重なるRFIDラベル11,11の上下間には、基材が四枚介在する。尚、介在する基材には、一方のRFIDラベル11が貼付された基材をも含めている。
【0035】
ここで、上述した本実施例1の構成を、上述した従来構成の帳票連続紙101と比較する。
従来構成の帳票連続紙101は、
図11のように、実施例1と同様、上質紙等からなる長尺状の矩形紙からなり、ミシン目104を介して複数の帳票紙片105が連続してなるものである。そして、各帳票紙片105には、該帳票紙片105を区画する隣合う二つのミシン目104,104のうち、一方のミシン目104寄りの位置に、RFIDラベル111の貼付位置(図示せず)が定められている。この貼付位置は、前記一方のミシン目4と近接する位置に設定されており、全ての帳票紙片105で同じ位置となっている。尚、この従来構成は、実施例1との比較する関係上、RFIDラベル111の貼付位置を全ての帳票紙片105で同じ位置とした以外は該実施例1と同じ構成としている。こうした従来構成にあって、複数の帳票紙片105を蛇腹状に折り重ねると、
図12のように、一つ置きの帳票紙片105,105で夫々のRFIDラベル111(RFIDインレット112のICチップ)が上下方向で重なる。この場合には、上下方向で重なるRFIDラベル111,111の上下間に、帳票紙片105の基材が二枚介在する。
【0036】
上述した実施例1の構成では、蛇腹状に折り重ねた状態で、上下方向に重なるRFIDラベル11,11間に介在する基材(帳票紙片5a,5bの紙材)が四枚であり、一方、上述した従来構成では、上下方向に重なるRFIDラベル111,111間に介在する基材(帳票紙片105の紙材)が二枚である。このように介在する基材数と、上下方向に重なるRFIDラベルが受ける圧力との関係を、実験により確認した。
【0037】
本実験は、RFIDラベルを上質紙で挟み込んだサンプルを用い、該サンプル上から圧力を加えて、該RFIDラベルのICチップが破損する荷重を測定することによって行った。ここで、サンプル(試料)には、一枚の上質紙の紙面上にRFIDラベルを貼付し、さらに、その上下両側から挟むようにして上質紙を積み重ねたものを用い、上下から挟む上質紙の枚数が異なる三種類を使用した。詳細は、下記(1)〜(3)の通りである。また、圧力を加える機器は、デジタルフォースゲージを用い、そのプローブ先端に直径2mmの鋼球を取り付けて使用した。
(1)サンプルA:上下から挟む上質紙枚数が各1枚
(2)サンプルB:上下から挟む上質紙枚数が各3枚
(3)サンプルC:上下から挟む上質紙枚数が各5枚
尚ここで、上質紙には、連量86kg、厚み100μmのものを使用し、RFIDラベルのRFIDインレットには、「SMARTRAC Belt iM PAPERFACE」を使用した。
本実験の実験方法としては、試験テーブル上の所定位置に前記サンプルを載置し、その上側から、前記機器により鋼球を押しつけて点圧を加える。この際に、前記サンプルのRFIDラベルのICチップ直上から前記鋼球を押しつける。そして、実験中には、所定の入力装置(リーダ装置)によりICチップから所定信号を連続的に読み取り、該読み取りができなくなったときを、ICチップの破壊とし、その時の荷重を測定した。ここで、ICチップは、実験後に、破壊されていることを確認している。尚、各サンプルA,B,Cの試料数を5個(n数=5)としている。
本実験の結果を
図6に示す。実験結果の破壊荷重は、n数=5の平均値である。この実験結果では、サンプルAの破壊荷重が最も低く、サンプルCの破壊荷重が最も高い。そして、RFIDラベルを上下から挟み込む上質紙の枚数が増加するに伴って、ICチップの破壊荷重が高くなっていく傾向を示している。これにより、RFIDラベルを上下から挟み込む上質紙が緩衝材として働き、該上質紙の枚数を増やすことによって緩衝作用が大きくなる傾向を示すことがわかる。
【0038】
こうした実験結果によれば、上述のように複数の帳票紙片を蛇腹状に折り重ねた場合に、RFIDラベル間に介在する該帳票紙片の基材数が増えるに従って、該RFIDラベルのICチップが上下方向から受ける圧力を、緩和する効果が高くなることがわかる。すなわち、本実施例1の構成では、上述の従来構成(
図11,12)に比して、上下方向で重なるRFIDラベル11,11間に介在する基材数が二倍に増加することから、蛇腹状に折り重ねた状態でRFIDラベル11のICチップ15が上下方向から受ける圧力を低減することができる。
【0039】
上述したように本実施例1の構成は、一対の第一帳票紙片5aと一対の第二帳票紙片5bとを交互に連続させたものであり、第一帳票紙片5aと第二帳票紙片5b相互で異なる貼付位置31a,31bに夫々RFIDラベル11が貼付されることから、一つ置きの帳票紙片5a,5b相互でRFIDラベル11の貼付位置が異なる。本構成によれば、各帳票紙片5a,5bを蛇腹状に折り重ねた状態で、一つ置きの帳票紙片5a,5bは前後方向の位置関係が互いに同じ向きとなるものの、貼付位置31a,31bが異なることから、夫々に貼付したRFIDラベル11,11が上下方向で重ならない。そして、本実施例1の構成では、前後方向の位置関係が互いに同じ向きとなる第一帳票紙片5a,5a間または第二帳票紙片5b,5b間に、三つの帳票紙片5a,5bが介在することから、上下方向で重なるRFIDラベル11,11間には四枚の基材(帳票紙片の紙材)が介在し、該介在する基材数が上述した従来構成に比して増加する。このように本実施例1の構成によれば、各帳票紙片5a,5bを蛇腹状に折り重ねた状態で、上下方向で重なるRFIDラベル11の数を少なくすることができ、各RFIDラベル11のICチップ15に上下方向から作用する圧力を低減できる。したがって、前記蛇腹状に折り重ねた場合に、各RFIDラベル11のICチップ15が前記圧力により破損してしまうことを、可及的に抑制できる。
さらに、本実施例1の構成では、各帳票紙片5a,5bに設定した貼付位置31a,31bが、前後方向の一方のミシン目4寄りに設定されていることから、蛇腹状に折り重ねた場合に、隣合う帳票紙片5a,5bが互いに前後逆向きとなる。そのため、複数のRFIDラベル11が上下方向で重なることによる局部的な厚み増加を抑制できる。さらに、これら貼付位置31aと貼付位置31bとが、前後方向で異なる位置に夫々設定されていることから、前記した局部的な厚み増加を一層抑制できる。このように局部的な厚み増加を抑制できることによって、保管時や運搬時などで、蛇腹状に折り重ねた状態の帳票連続紙1を複数積み重ねた場合に、崩れ難くなり、該保管や運搬の際の作業性を向上できる。
【0040】
尚、上述した本実施例1の帳票連続紙1は、帳票連続紙1を構成する長尺帯状の矩形紙に、一定間隔でミシン目4を形成し、予め製造されたRFIDラベル11を、貼付位置31a,31bに夫々貼付することによって製造することができる。すなわち、RFIDラベル11を貼付位置31a,31bに貼り付ける工程以外は、従前の製造工程を適用可能である。そして、RFIDラベル11を貼付する工程では、所定の貼付装置を用い、前記貼付位置31a,31bをセットすることにより実施可能である。このように、本実施例1の帳票連続紙1は、製造に要するコスト上昇を抑制しつつ、比較的容易かつ安定して製造することが可能である。
【実施例2】
【0041】
実施例2の帳票連続紙51は、上述した実施例1と同様、長尺帯状の矩形紙からなり、
図7のように、一定間隔をおいて複数形成されたミシン目4を介して複数の帳票紙片55a〜55cが連続してなる。尚、本実施例2の構成は、後述するように、各帳票紙片55a〜55cに貼付するRFIDラベル11の貼付位置61a〜61c以外は上述した実施例1と同じ構成であり、その詳細を適宜省略する。
【0042】
実施例2では、相互に異なる三つの貼付位置61a〜61cが夫々設定された三つの帳票紙片55a〜55cを、ミシン目4を介して所定順序で連続し、さらに、この三つ連続する帳票紙片55a〜55cを一組として、該一組の帳票紙片55a〜55cを繰り返し連続してなる。そのため、隣合う帳票紙片相互と一つ置きの帳票紙片相互とで、RFIDラベル11の貼付位置61a〜61cが異なる。ここで、帳票紙片55aにおけるRFIDラベル11の貼付位置61aは、該帳票紙片55aを区画する一方のミシン目4に近接する所定位置に設定される。また、帳票紙片55bにおけるRFIDラベル11の貼付位置61bは、前記帳票紙片55aの貼付位置61aよりも、該帳票紙片55bを区画する一方のミシン目4から離れた所定位置に設定される。また、帳票紙片55cにおけるRFIDラベル11の貼付位置61cは、前記帳票紙片55bの貼付位置61bよりも、該帳票紙片55cを区画する一方のミシン目4から離れた所定位置に設定される。こうした各貼付位置61a〜61cは、各帳票紙片55a〜55cにおける前後方向で相互に異なる位置となっており、いずれも、夫々の帳票紙片55a〜55cにおける前後方向中心よりも一方のミシン目4寄りにある。尚、本実施例2にあっても、仮に三枚の帳票紙片55a〜55cを、前後方向の位置関係が互いに同じ向きとなるように、上下で重ねた場合に、夫々に貼付した三枚のRFIDラベル11が上下方向で全く重ならないように、各貼付位置61a〜61cが設定されている。
【0043】
こうした帳票連続紙51の各帳票紙片55a〜55cを蛇腹状に折り重ねると、
図8,9のように、一つ置きの帳票紙片55a,55cと、一つ置きの帳票紙片55b,55aと、一つ置きの帳票紙片55c,55bとでは、夫々の前後方向の位置関係が互いに同じ向きとなる。しかし、これら一つ置きの帳票紙片55a〜55cでは、相互の貼付位置61a〜61cが異なることから、夫々に貼付されたRFIDラベル11が上下方向で重ならない。尚、隣接する帳票紙片55a〜55c同士では、上述した実施例1と同様に、前後方向の位置関係が逆向きになることから、夫々に貼付されたRFIDラベル11が上下方向で重ならない。
【0044】
本実施例2の構成では、連続する三つの帳票紙片55a〜55cを一組とし、この一組の帳票紙片55a〜55cが繰り返し連続されたものであるから、前後方向の位置関係が互いに同じ向きとなる二つの帳票紙片55a,55a、二つの帳票紙片55b,55b、または二つの帳票紙片55c,55cは、夫々の間に五つの帳票紙片55a〜55cが介在する。すなわち、蛇腹状に折り重ねた状態で、上下方向で重なる二つのRFIDラベル11,11間には、帳票紙片55a〜55cの基材(紙材)が六枚介在する。この場合には、上述した従来構成(
図11,12参照)に比して、上下方向で重なる二つRFIDラベル11間に介在する基材数が三倍となる。そのため、上述した実験結果(
図6参照)により、従来構成に比して、上下方向に重なるRFIDラベル11のICチップ15が受ける圧力を低減することができる。
【0045】
このように本実施例2の帳票連続紙51は、蛇腹状に折り重ねた状態で、上下方向で重なるRFIDラベル11の数を少なくすることができることから、上下方向で重なる二つのRFIDラベル11間に介在する帳票紙片55a〜55cが、上述した従来構成に比して増加する。そのため、帳票紙片55a〜55cの基材の緩衝作用によって、RFIDラベル11のICチップ15が上下方向から受ける圧力を緩和できる。したがって、前記蛇腹状に折り重ねた場合に、各RFIDラベル11のICチップ15が前記圧力により破損してしまうことを、可及的に抑制できる。さらに、本実施例2の構成は、上下方向で重なる二つのRFIDラベル11間に介在する基材数が、上述した実施例1よりも多いことから、該RFIDラベル11のICチップ15が受ける圧力を一層低減でき、該ICチップ15の破損を防止する効果が一層向上する。
また、本実施例2の構成にあっても、上述した実施例1と同様に、上下方向で重なるRFIDラベル11の数を少なくできることから、該RFIDラベル11が複数重なることによって生ずる局部的な厚みの増加を抑制できる。
このように本実施例2の構成にあっても、上述した実施例1と同様の作用効果を発揮することができる。
【0046】
尚、本実施例2の帳票連続紙51にあっては、RFIDラベル11の貼付位置61a〜61cを設定した以外は実施例1と同じであることから、上述した実施例1と同様に、製造に要するコスト上昇を抑制しつつ、比較的容易かつ安定して製造することが可能である。
【0047】
上述した実施例1,2の構成にあって、相互に異なる貼付位置は、蛇腹状に折り重ねた状態で、一つ置きの帳票紙片の各貼付位置に貼付したRFIDラベルが上下方向で全く重ならないように設定されたものであるが、これに限らず、RFIDラベルの粘着シートのみが部分的に重なるように、各貼付位置を設定するようにしても良い。この場合にも、蛇腹状に折り重ねた状態で、前後方向の位置関係が互いに同じ向きとなる一つ置きの帳票紙片では、RFIDラベルのRFIDインレットが上下方向で重ならない。そのため、上述した実施例1,2と同様に、該RFIDインレットのICチップが受ける圧力を低減でき、該圧力によるICチップの破損を防止するという作用効果が発揮される。さらに、一つ置きの帳票紙片における夫々のRFIDラベルの貼付位置としては、蛇腹状に折り重ねた状態で該RFIDラベルのICチップ同士が上下方向で重ならなければ、RFIDインレットのアンテナ同士が部分的に重なるように設定することも可能である。この場合にも、ICチップ同士が上下方向で重ならないことから、該ICチップの破損を防止するという作用効果が発揮され得る。
【0048】
また、上述した実施例1,2の構成にあっては、RFIDラベルを貼付する貼付位置を、前後方向で異なるように設定したものであるが、これに限らず様々に設定することが可能である。例えば、帳票紙片の幅方向で異なる貼付位置を設定することができ、具体的な構成を実施例1の別例として、
図10に示す。この別例の帳票連続紙81は、一対の第一帳票紙片85a,85aと一対の第二帳票紙片85b,85bとを交互に連続してなるものであり、第一帳票紙片85aにはRFIDラベル11の貼付位置91aが設定され、第二帳票紙片85bにはRFIDラベル11の貼付位置91bが設定されている。いずれの貼付位置91a,91bも、該帳票紙片85a,85bを区画する二つのミシン目4,4のうちの、一方のミシン目4寄りにあり、貼付位置91aが幅方向で一側端寄りの所定位置に定められ、貼付位置91bが幅方向で反対の側端寄りの所定位置に定められている。この別例の構成にあっても、一つ置きの第一帳票紙片85aと第二帳票紙片85bとの相互で、貼付位置91a,91bが異なることから、上述した実施例1と同様に、上下方向で重なるRFIDラベル11,11間に四枚の基材(帳票紙片の紙材)が介在する。したがって、別例の構成にあっても、上述した実施例1と同様の作用効果を奏し得る。
【0049】
尚、上述したように、RFIDラベルを貼付する貼付位置は、適宜設定することが可能である。しかし、RFIDラベルの貼付位置を、帳票紙片の前後方向の中央に位置設定した場合には、該中央を貼付位置とした二つの帳票紙片をミシン目を介して隣接しないようにする必要がある。これは、隣接する帳票紙片を折り重ねることにより、前後方向の位置関係が互いに逆向きとなっても、前後方向の中央位置は重なるためである。そのため、上述した実施例1の構成では、RFIDラベルの貼付位置を、その帳票紙片の前後方向の中央に設定しない。一方、上述した実施例2の構成では、帳票紙片の前後方向の中央にRFIDラベルの貼付位置を設定することも可能である。
【0050】
また、上述した実施例1,2の構成にあっては、RFIDラベル11がRFIDインレット12と該RFIDインレット12上に被着された粘着シート13とを一体化してなる構成であるが、これに限らず、その他の構成のRFIDラベルを用いることも可能である。例えば、RFIDラベルは、実施例と同様のRFIDインレット上に、該RFIDインレットと略同形状の紙片を貼付し、該RFIDインレットを構成する合成樹脂製フィルムの裏面に粘着剤が塗布されてなるものとしても良い。かかる構成のRFIDラベルを用いた場合にも、上述した実施例1,2と同様の作用効果を奏し得る。
【0051】
また、上述した実施例2の構成にあっては、RFIDラベルの貼付位置が相互に異なる三つの帳票紙片を順次連続した組合せを、繰り返し連続するようにしたものであるが、これに限らず、貼付位置が相互に異なる四枚の帳票紙片や、五枚の帳票紙片などを順次連続した組合せを、繰り返し連続するようにしても良い。こうした組合せの帳票紙片の数は、三つ以上で適宜設定可能である。
【0052】
本発明にあっては、上述した実施例に限定されるものではなく、上述の実施例以外の構成についても本発明の趣旨の範囲内で適宜変更して実施可能である。例えば、帳票連続紙を構成する複数の帳票紙片が、隣合う一対の帳票紙片を一個の帳票として使用するものであり、一つ置きの帳票紙片にRFIDラベルが貼付される構成にも適用できる。この構成では、RFIDラベルが貼付される一つ置きの帳票紙片相互で、該RFIDラベルの貼付位置が異なるようにする。